JPWO2019008744A1 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

本発明に係る冷凍サイクル装置においては、暖房運転および除霜運転が行なわれる。除霜運転においては、暖房運転とは逆方向に冷媒が循環する。冷凍サイクル装置は、圧縮機と、第1および第2熱交換器と、減圧装置と、流路切替装置とを備える。流路切替装置は、冷媒の循環方向を切り替える。冷媒は、暖房運転において圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の順に循環する。冷媒は、除霜運転において圧縮機、第2熱交換器、減圧装置、第1熱交換器の順に循環する。除霜運転は、第1および第2モードを含む。第1モードにおける減圧装置の開度は、暖房運転における減圧装置の開度よりも大きい。第2モードにおける減圧装置の開度は、第1モードにおける減圧装置の開度よりも小さい。

Description

本発明は、冷媒の循環方向を切り替えて、暖房運転において蒸発器として機能していた熱交換器を除霜運転において凝縮器として機能させることにより、当該熱交換器の除霜を行なう冷凍サイクル装置に関する。
従来から、冷媒の循環方向を切り替えて、暖房運転において蒸発器として機能していた熱交換器を、除霜運転において凝縮器として機能させることにより、当該熱交換器の除霜を行なう冷凍サイクル装置が知られている。たとえば、特開昭61−36659号公報(特許文献1)には、除霜運転時に膨張手段の流路抵抗を通常の暖房運転時の流路抵抗よりも小さくすることにより、除霜運転に要する時間を短縮することが可能なヒートポンプ式空気調和装置が開示されている。
特開昭61−36659号公報
特開昭61−36659号公報(特許文献1)に開示されているヒートポンプ式空気調和装置のように、除霜運転時に膨張手段の流路抵抗を通常の暖房運転時の流路抵抗よりも小さくすることにより、除霜の対象である熱交換器(暖房運転時に蒸発器として機能していた熱交換器)を、単位時間あたりに通過する冷媒量(冷媒循環量)が増加する。そのため、冷凍サイクル装置の構成要素(たとえば配管部材、あるいは圧縮機)から冷媒を介して除霜対象の熱交換器に伝えられる単位時間あたりの熱量が増加する。その結果、当該熱交換器に着霜した霜の融解が速くなる。
除霜が完了する前に、冷媒が冷凍サイクル装置の構成要素から熱を回収することがほとんどできなくなった(当該構成要素の熱容量がほとんど使い切られた)場合、除霜対象の熱交換器へ冷媒を介して伝えられる熱量がほとんどなくなる。そのため、当該熱交換器に着霜した霜の融解が遅くなる。その結果、除霜の完了が遅れる。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、冷凍サイクル装置の除霜に要する時間を短縮することである。
本発明に係る冷凍サイクル装置においては、暖房運転および除霜運転が行なわれる。除霜運転においては、暖房運転とは逆方向に冷媒が循環する。冷凍サイクル装置は、圧縮機と、第1および第2熱交換器と、減圧装置と、流路切替装置とを備える。流路切替装置は、冷媒の循環方向を切り替える。冷媒は、暖房運転において圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の順に循環する。冷媒は、除霜運転において圧縮機、第2熱交換器、減圧装置、第1熱交換器の順に循環する。除霜運転は、第1モードおよび第2モードを含む。第1モードにおける減圧装置の開度は、暖房運転における減圧装置の開度よりも大きい。第2モードにおける減圧装置の開度は、第1モードにおける減圧装置の開度よりも小さい。
本発明に係る冷凍サイクル装置の除霜運転は、減圧装置の開度が暖房運転における減圧装置の開度よりも大きい第1モードと、減圧装置の開度が第1モードにおける減圧装置の開度よりも小さい第2モードとを含む。第1モードにおいては、主に冷凍サイクル装置の構成要素に蓄えられた熱量を用いて除霜が行なわれる。第2モードにおいては、圧縮機によって冷媒に加えられるエネルギー(圧縮機入力)が第1モードよりも増加する。第1モードにおいて除霜に必要な熱量が不足しても、第2モードによって除霜に必要な熱量を補うことができる。そのため、除霜対象の熱交換器に着霜した霜の融解速度の低下を抑制することができる。
本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、除霜に要する時間を短縮することができる。
実施の形態に係る冷凍サイクル装置の機能構成を示す図である。 実施の形態に係る冷凍サイクル装置の機能構成と冷房運転および除霜運転における冷媒の流れを併せて示す図である。 圧縮機から吐出される冷媒の温度の時間変化、および減圧装置の開度の時間変化を併せて示すタイムチャートである。 除霜運転における冷媒の圧力とエンタルピとの関係を示すモリエル線図(P−h線図)である。 除霜運転において制御装置によって行なわれる処理を示すフローチャートである。 圧縮機に吸入される冷媒の飽和温度と密度との関係を示すグラフである。 圧縮機入力、冷媒の密度、およびエンタルピ差との関係を説明するためのモリエル線図である。 圧縮機に吸入される冷媒の飽和温度と圧縮機入力との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。
図1は、実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の機能構成を示す図である。冷凍サイクル装置100においては、暖房運転と、冷房運転と、除霜運転とが行なわれる。除霜運転は、第1および第2モードを含む。図1においては、暖房運転における冷媒の流れが示されている。
図1に示されるように、冷凍サイクル装置100は、室外機50と、室内機51とを備える。室外機50と室内機51とは接続配管3および5によって接続されている。室外機50は、圧縮機1と、四方弁2と、膨張弁を含む減圧装置6と、室外熱交換器7と、室外送風機11と、制御装置60とを含む。室内機51は、室内熱交換器4と、室内送風機12とを含む。
室外熱交換器7には室外送風機11が近接して配置されている。室内熱交換器4には室内送風機12が近接して配置されている。
制御装置60は、圧縮機1の駆動周波数を制御する。制御装置60は、四方弁2を切り替える。制御装置60は、減圧装置6の開度を制御する。制御装置60は、室外送風機11および室内送風機12の単位時間当たりの送風量を制御する。
圧縮機1の吐出配管には、圧力センサ21およびサーミスタ31が取り付けられている。圧縮機1の吸入配管には、圧力センサ22およびサーミスタ32が取り付けられている。制御装置60は、圧力センサ21、22を用いて冷媒の圧力を計測する。制御装置60は、サーミスタ31、32を用いて冷媒の温度に相当する配管温度を計測する。
減圧装置6と室外熱交換器7とを接続する配管にはサーミスタ33が取り付けられている。制御装置60は、室外熱交換器7から流出する冷媒の温度に相当する配管温度を計測する。
暖房運転において制御装置60は、四方弁2を制御して、圧縮機1の吐出口と接続配管3とを連通させるとともに、室外熱交換器7と圧縮機1の吸入口とを連通させる。圧縮機1によって断熱圧縮されて高温高圧となった気体状の冷媒(ガス冷媒)は、四方弁2を通過し、接続配管3を経由して、室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4は、暖房運転においては凝縮器として機能する。室内送風機12により室内熱交換器4に導入された室内空気に対して、高温高圧のガス冷媒は放熱を行って凝縮した後、高圧の液体状の冷媒(液冷媒)となる。
高圧の液冷媒は、接続配管5を経由し、減圧装置6を通過することで膨張し、低温低圧の気液二相状態の冷媒(湿り蒸気)となって室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7は、暖房運転において蒸発器として機能する。室外送風機11により室外熱交換器7に導入された室外空気から、低温低圧の湿り蒸気が吸熱を行なって蒸発し、低圧のガス冷媒となる。その後、低圧のガス冷媒は、四方弁2を経由し、圧縮機1に吸入され、以降同様の過程で冷凍サイクル装置100を循環する。
図2は、実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の機能構成と冷房運転および除霜運転における冷媒の流れを併せて示す図である。図2に示されるように、冷房運転において制御装置60は、四方弁2を切り替えて、圧縮機1の吐出口と室外熱交換器7とを連通させるとともに、接続配管3と圧縮機1の吸入口とを連通させる。圧縮機1によって高温高圧にされたガス冷媒は四方弁2を通過し、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7は、冷房運転および除霜運転において凝縮器として機能する。室外送風機11により室外熱交換器7に導入された室外空気に対して、高温高圧のガス冷媒は放熱を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。
高圧の液冷媒は減圧装置6を通過することで、膨張して低温低圧の湿り蒸気となり、接続配管5を経由し、室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4は、冷房運転および除霜運転において蒸発器として機能する。室内送風機12により室内熱交換器4に導入された室内空気から、低温低圧の湿り蒸気が吸熱を行って蒸発し、低圧のガス冷媒となる。その後、低圧のガス冷媒は、接続配管3を経由して、四方弁2を通過し、圧縮機1に吸入され、以降同様の過程で冷凍サイクル装置100を循環する。
冷凍サイクルの暖房運転において、外気温度が或る温度(例えば7℃)未満になると、蒸発器として機能している室外熱交換器7の温度が0℃未満となり、室外熱交換器7に着霜が生じる。その結果、霜によって室外送風機11の風路が閉塞し、冷凍サイクル装置100の暖房能力が低下する。室外熱交換器7に発生した霜を融解させるために、除霜運転を定期的に行う必要がある。
暖房運転において、除霜の開始条件が成立した場合、除霜運転が開始される。除霜の開始条件としては、伝熱あるいは通風の抵抗となる程度に室外熱交換器7のフィンに霜が発生して成長していることを示す条件であればどのような条件でもよい。除霜の開始条件としては、たとえば、圧力センサ22によって計測される圧力(圧縮機1によって吸入される冷媒の圧力)が基準圧力以下という条件、あるいはサーミスタ32にて計測される温度(圧縮機1に吸入される冷媒の温度)が基準温度以下という条件を挙げることができる。
除霜運転において制御装置60は、室外送風機11および室内送風機12を停止させるとともに、四方弁2を切替えて冷媒の循環方向を逆にして、圧縮機1を運転する。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒を室外熱交換器7に流入させることで、室外熱交換器7のフィン上の霜あるいは氷を融解させる。室外熱交換器7から流出する冷媒は、おおよそ0度の液冷媒であり、減圧装置6を通過することで、膨張して低温低圧の湿り蒸気となる。
暖房運転において、接続配管5、室内熱交換器4、および接続配管3の温度は、一般に40度以上であり、最大で100度前後である。除霜運転中に室外熱交換器7を流出し、減圧装置6を通過して膨張した低圧低温の湿り蒸気は、接続配管5を経由し、室内熱交換器4を通過して接続配管3に至る過程で、配管部材から熱を吸収して蒸発し、低圧のガス冷媒となる。その後、低圧のガス冷媒は、四方弁2を経由して圧縮機1に吸入され、以降同様の過程で冷凍サイクル装置100を循環する。除霜運転においては、圧縮機1によって冷媒に加えられる熱量、および配管部材の熱量を主な熱源として、室外熱交換器7に発生した霜を融解させる。
除霜運転が継続すると、接続配管5、室内熱交換器4、および接続配管3の温度が低下し、冷凍サイクル装置100を循環する冷媒が配管部材から熱量を回収することができなくなる。このため、四方弁2を通過し圧縮機1に吸入される冷媒が、低温の湿り蒸気となる。
配管部材の熱容量がほとんど使い切られた場合でも、圧縮機1の熱量と圧縮機1によって加えられる熱量によって、室外熱交換器7の除霜に必要な熱量を補うことができる。たとえば、圧縮機1が高圧シェルタイプの圧縮機である場合、暖房運転における圧縮機1の温度は100度前後であるため、除霜運転において湿り蒸気が圧縮機1に流入する場合には、冷媒は圧縮機1から採熱して蒸発する。
除霜運転においては、圧縮機1によって加えられる熱量よりも、配管部材、あるいは圧縮機1に蓄えられた熱量の方が、除霜の熱源としての利用量が大きい。そのため、より高速に配管部材、あるいは圧縮機1の熱量を回収することで除霜に要する時間を短縮することができる。当該熱量を高速に回収するためには、冷媒循環量を増加させる必要がある。減圧装置6の開度を暖房運転よりも大きくすることにより、冷媒循環量を大きくすることできる。冷媒循環量を最大化することにより当該熱量を可能な範囲内で最も高速に回収することができるため、減圧装置6は全開とすることが望ましい。
減圧装置6が1つの減圧装置ではなく、複数の開閉弁が並列に接続された構成である場合、複数の開閉弁の全てを全開とするのが望ましい。減圧装置6の流路抵抗を低下させて減圧装置6における圧力損失を低下させることにより、圧縮機1が吸入する冷媒の密度を増加させることができる。その結果、冷媒循環量を増加させることができる。そこで、実施の形態の除霜運転においては、減圧装置6の開度が暖房運転における減圧装置6の開度よりも大きい第1モードが行なわれる。制御装置60は、第1モードにおいて減圧装置6を全開として、暖房運転よりも減圧装置6の開度を大きくする。
第1モードが継続すると、圧縮機1に蓄えられていた熱量が低下するため、圧縮機1の温度が低下するとともに、冷媒が圧縮機1から得る熱量が減少する。そのため、圧縮機1が吐出する冷媒の温度が低下する。当該冷媒の温度が基準温度以下(例えば20℃以下)に低下した場合、圧縮機1からほとんど熱量を回収することができない。
そのため、除霜の熱源として圧縮機1から冷媒に加えられる熱量を増加させる必要がある。そこで実施の形態においては、第1モードに引き続いて、減圧装置の開度が第1モードにおける減圧装置の開度よりも小さく、かつ暖房運転における減圧装置の開度よりも大きい第2モードが行なわれる。制御装置60は、第2モードにおいて減圧装置6の開度を第1モードよりも低下させことにより、圧縮機1から吐出される冷媒と吸入される冷媒との圧力差を増加させて、圧縮機入力(圧縮機によって冷媒に加えられるエネルギー)を増加させる。
図3は、圧縮機1から吐出される冷媒の温度の時間変化、および減圧装置6の開度の時間変化を併せて示すタイムチャートである。図3において、時刻tm1で除霜運転の開始条件が成立し、時刻tm2で除霜運転を第1モードから第2モードに切り替える切替条件が成立しているとする。当該切替条件としては、圧縮機1から吐出される冷媒の温度が基準温度(たとえば20℃)以下という条件を用いることができる。圧縮機1から吐出される冷媒の温度としては、サーミスタ31の計測値を用いることができる。
圧縮機1から吐出される冷媒の温度を切替条件の判定に用いることにより、圧縮機1に吸入される冷媒の温度を切替条件の判定に用いる場合よりも、圧縮機1の熱容量が使いきられた否かの判定を高精度に行なうことができる。圧縮機1の熱容量が使い切られるまで第1モードを継続することができるため、除霜運転において圧縮機1の熱容量を除霜熱源として有効に活用することができる。
除霜運転を第1モードから第2モードに切り替える切替条件としては、圧力センサ21の計測値およびサーミスタ31の計測値から演算される、圧縮機1から吐出される冷媒のスーパーヒート(過熱度)が基準値よりも小さいという条件を用いてもよい。あるいは、圧縮機1と減圧装置6との間を流れる冷媒の温度あるいはスーパーヒートが基準値以下という条件を用いてもよい。
図3に示されるように、第1モードにおいては、暖房運転よりも減圧装置6の開度が大きい。第1モードにおいては減圧装置6の流路抵抗が暖房運転よりも小さくなるため、冷媒循環量が増加し、圧縮機1から吐出される冷媒の密度が暖房運転よりも増加する。その結果、第1モードが開始されてからしばらくの間、圧縮機1から吐出される冷媒の温度は、除霜運転の開始条件が成立した時刻tm1における温度よりも高い。
第1モードが継続されると、配管部材あるいは圧縮機1等に蓄えられていた熱量が徐々に減少する。その結果、圧縮機1から吐出される冷媒の温度が徐々に減少し、時刻tm2において20℃以下まで低下する。時刻tm2において除霜運転が第1モードから第2モードに切り替えられる。第2モードにおいては第1モードよりも減圧装置6の開度が減少され、第1モードよりも圧縮機入力が増加する。その結果、第2モードにおいて圧縮機1から吐出される冷媒の温度は、除霜運転の切替条件が成立した時刻tm2における温度よりも高い。
制御装置60は第1モードあるいは第2モードにおいて、除霜運転の終了条件が成立した場合に、室外熱交換器7に発生した霜がほとんど融解したとして、除霜運転を終了する。除霜運転の終了条件としては、室外熱交換器7に発生した霜がほとんど融解したと判定可能な条件であればどのような条件でもよい。除霜運転の終了条件としては、たとえば室外熱交換器7と減圧装置6との間を流れる冷媒の温度(サーミスタ33の計測値)が基準温度以上(たとえば5℃以上)という条件を挙げることができる。
図4は、除霜運転における冷媒の圧力とエンタルピとの関係を示すモリエル線図(P−h線図)である。図4において、曲線LC1は、冷媒の飽和液線である。曲線GC1は、冷媒の飽和蒸気線である。点CP1は、冷媒の臨界点である。臨界点は、液冷媒とガス冷媒との間で相変化が生じ得る範囲の限界を示す点であり、飽和液線と飽和蒸気線との交点である。
臨界点における圧力より冷媒の圧力が高くなると液冷媒とガス冷媒との間で相変化が生じなくなる。飽和液線よりエンタルピが低い領域においては、冷媒は液体である。飽和液線と飽和蒸気線とで挟まれた領域においては、冷媒は湿り蒸気である。飽和蒸気線よりもエンタルピーが高い領域においては冷媒は気体である。図7においても同様である。図4において、曲線IT1およびIT2は、それぞれ0℃および40℃に対応する冷媒の等温線である。
図4に示されるように、第1モードにおいて冷媒は、点R11〜R14の順に冷凍サイクル装置100を循環する。点R11から点R12への状態変化の過程は、圧縮機1による冷媒の圧縮過程を表す。点R11は、圧縮機1に吸入される冷媒の状態を表す。点R12は、圧縮機1が吐出する冷媒の状態を表す。点R12の状態にある冷媒の圧力およびエンタルピは、圧縮機入力により、いずれも点R11の状態にある冷媒の圧力およびエンタルピよりも大きい。
点R12から点R13への状態変化の過程は、室外熱交換器7における冷媒の凝縮過程を表す。除霜運転における凝縮過程の冷媒の飽和温度は、氷の融解温度である0℃、あるいは0℃より数度高い温度となる。点R13から点R14への状態変化の過程は、減圧装置6による冷媒の減圧過程を表す。点R14は、減圧装置6から流出する冷媒の状態を表す。点R14からR11への状態変化の過程は、室内熱交換器4における冷媒の蒸発過程を表す。
第1モードが継続されると、圧縮機1が吸入する冷媒の温度および吐出する冷媒の温度がともに低下するため、点R11の状態およびR12の状態は、点R15の状態およびR16の状態に向かってそれぞれ変化していく。
除霜運転を第1モードから第2モードに切り替える切替条件が成立した場合、第2モードにおいて減圧装置6の開度が減少される。減圧装置6の流路抵抗が増加するため、減圧装置6から流出する冷媒の密度が低下する。減圧装置6から流出する冷媒の圧力が低下するため、点R14の状態は点R24の状態へ変化する。圧縮機1に吸入される冷媒の圧力も低下するため、当該冷媒の状態は点R15の状態から点R21の状態へ変化する。
第2モードにおいては、冷媒は、点R21,R22,R13,R24の順に冷凍サイクル装置100を循環する。点R22の状態にある冷媒のエンタルピは、圧縮機入力の増加により、第1モードの点R16のエンタルピよりも高い。すなわち、点R16の状態にある冷媒の熱量よりも、点R22の状態にある冷媒の熱量の方が大きい。したがって、第1モードを継続して点R16の状態にある冷媒の熱量を用いて室外熱交換器7の除霜を行なうよりも、点R22の状態にある冷媒の熱量を用いて室外熱交換器7の除霜を行なう方が、室外熱交換器7に着霜した霜の融解が速くなるため、短時間で除霜を完了することができる。
冷凍サイクル装置100においては、第1モードで配管部材および圧縮機1等の冷凍サイクル装置100の構成要素の熱量をほとんど使いきっても除霜が未完了である場合に、圧縮機入力を第1モードよりも大きくする第2モードを行なう。このように、第1モードの後に第2モードを行なうことにより、第1モードにおいて室外熱交換器7の霜の融解を高速化することができるため、除霜時間をより短縮することができる。
図5は、除霜運転において制御装置60によって行なわれる処理を示すフローチャートである。図5に示される処理は、不図示のメインルーチンによって一定時間間隔で呼び出される。以下では、ステップを単にSと記載する。
図5に示されるように、制御装置60は、S10において除霜運転の開始条件が成立したか否かを判定する。除霜運転の開始条件が成立していない場合(S10においてNO)、制御装置60は、処理をメインルーチンに返す。除霜運転の開始条件が成立している場合(S10においてYES)、制御装置60は、処理をS20に進める。
制御装置60は、S20において室外送風機11および室内送風機12を停止させた後、処理をS30に進める。制御装置60は、S30において四方弁2を切り替えて冷媒の循環方向を暖房運転とは逆方向として、処理をS40に進める。
S40は、第1モードにおいて行なわれるS41〜S43を含む。制御装置60は、S41において減圧装置6を全開にした第1モードにして処理をS42に進める。制御装置60は、S42において一定時間待機した後、処理をS43に進める。第1モードで一定時間待機している間、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒が循環量を増加させた状態で、霜が発生した室外熱交換器7に流入し、霜を融解する。
制御装置60は、S43において除霜運転の終了条件が成立したか否かを判定する。除霜運転の終了条件が成立している場合(S43においてYES)、制御装置60は、処理をS70に進める。除霜運転の終了条件が成立していない場合(S43においてNO)、制御装置60は、処理をS50に進める。
制御装置60は、S50において除霜運転の第1モードを第2モードに切替える切替条件が成立しているか否かを判定する。除霜運転の切替条件が成立していない場合(S50においてNO)、制御装置60は、処理をS42に戻す。除霜運転の切替条件が成立している場合(S50においてYES)、制御装置60は、処理をS60に進める。
S60は、第2モードにおいて行なわれるS61〜S63を含む。制御装置60は、S61において減圧装置6の開度を第1モードよりも減少させた第2モードにして処理をS62に進める。制御装置60は、S62において一定時間待機した後、処理をS63に進める。第2モードで一定時間待機している間、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒が圧縮機入力を第1モードよりも大きくさせた状態で、霜が発生した室外熱交換器7に流入し、霜の融解を高速化する。
制御装置60は、S63において除霜運転の終了条件が成立したか否かを判定する。除霜運転の終了条件が成立していない場合(S63においてNO)、制御装置60は、処理をS62に戻す。除霜運転の終了条件が成立している場合(S63においてYES)、制御装置60は、処理をS70に進める。
制御装置60は、S70において四方弁2を切り替えて、冷媒の循環方向を暖房運転の循環方向に戻して処理をS80に進める。制御装置60は、S80において室外送風機11および室内送風機12を再稼働させて処理をメインルーチンに戻す。
除霜運転の終了後は、通常、暖房運転が再開される。制御装置60は、四方弁2を切り替えて冷媒の循環方向を切り替えるとともに、室外送風機11と室内送風機12とを動作させて、圧縮機1を運転する。除霜運転においては室内熱交換器4の温度が低下しているため、室内への冷たい空気の送風がユーザの快適性という観点から望ましくない場合には、室内送風機12の動作開始を圧縮機1の運転開始に対して、遅らせるようにしてもよい。
冷媒循環量を増加させるために、圧縮機1に吸入される冷媒の密度は大きいほど好ましい。圧縮機1に吸入される冷媒の密度は、減圧装置6での圧力損失が無い、飽和温度が0℃の場合に最大となる。しかし、減圧装置6の圧力損失を小さくするため、減圧装置6を大口径の電子減圧装置とすることは費用あるいは設置スペースの関係上困難である場合が多い。
また、減圧装置6の圧力損失を小さくするため、減圧装置6を複数の開閉弁が並列に接続された構成とすることは費用の増加が著しい。そこで、冷凍サイクル装置100の第1モードにおいて制御装置60は、圧力センサ22の計測値から演算される、圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度が−10℃以上0℃以下となるような減圧装置6を選定し、その開度を制御する。
図6は、圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度と密度との関係を示すグラフである。図6において、密度D0は、飽和温度が0℃である場合の冷媒の密度である。密度D10は、飽和温度が−10℃である場合の冷媒の密度である。密度D10は、密度D0の70%程度の値である。図6に示されるように、圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度を−10℃以上0℃以下とした場合、圧縮機1に吸入される冷媒の密度は、D10以上D0以下となる。すなわち、圧縮機1に吸入される冷媒の密度の最大値からの低下を30%程度以内に抑制することができる。その結果、第1モードの要する時間の最短時間からの増加を30%程度以内に抑制することができる。
図7は、圧縮機入力、冷媒の密度、およびエンタルピ差との関係を説明するためのモリエル線図である。図7において、曲線IT1およびIT3は、それぞれ0℃および−40℃に対応する冷媒の等温線である。曲線IP1およぎIP2は、それぞれ密度D1およびD2(D2<D1)に対応する冷媒の等密度線である。以下では、点R31〜R34の順に冷媒が循環するサイクルと、点R41,R42,R33,R34の順に冷媒が循環するサイクルとを比較する。点R31の状態にある冷媒の密度はD1であり、点R41の冷媒の密度はD2である。
圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度に関して、点R41の状態にある冷媒の飽和温度は、点R31の状態にある冷媒の飽和温度よりも小さい。圧縮機1によって吐出される冷媒と吸入される冷媒とのエンタルピ差に関して、点R41と点R42とのエンタルピ差は、点R31とR32とのエンタルピ差よりも大きい。圧縮機1に吸入される冷媒の密度に関して、点R41の状態にある冷媒の密度D2は、点R31の状態にある冷媒の密度D1よりも小さい。
すなわち、圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度が小さいほど、圧縮機1によって吐出される冷媒と吸入される冷媒とのエンタルピ差は大きくなり、圧縮機1に吸入される冷媒の密度は小さくなる。圧縮機入力は、圧縮機1に吸入される冷媒の密度、および圧縮機1によって吐出される冷媒と吸入される冷媒とのエンタルピ差の積に比例する。圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度を大きくして、圧縮機1に吸入される冷媒の密度を大きくすると、圧縮機1によって吐出される冷媒と吸入される冷媒とのエンタルピ差は小さくなる。
逆に、圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度を小さくして、圧縮機1によって吐出される冷媒と吸入される冷媒とのエンタルピ差は大きくすると、圧縮機1に吸入される冷媒の密度を小さくなる。圧縮機入力は、圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度が−30℃付近である場合に最大となる。
図8は、圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度と圧縮機入力との関係を示すグラフである。図8において、仕事W1は、飽和温度が−45℃である場合の圧縮機入力を示す。仕事W2(<W1)は、飽和温度が−20℃である場合の圧縮機入力を示す。仕事W3は、圧縮機入力の最大値を示す。仕事W1およびW2は、仕事W3の90%程度の値である。
図8に示されるように、圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度を−45℃以上−20℃以下とした場合、圧縮機入力は、W1以上W3以下である。すなわち、圧縮機入力の最大値からの低下を約10%程度に抑制することができる。そこで、第2モードにおいては、圧力センサ22の計測値から演算される圧縮機1に吸入される冷媒の飽和温度を、−45℃以上−20℃以下となるように減圧装置6の開度を制御する。圧縮機入力の最大値W3からの低下を10%程度に抑制することができる。その結果、第2モードの要する時間の最短時間からの増加を10%程度に抑制することができる。
以上、実施の形態に係る冷凍サイクル装置によれば、除霜に要する時間を短縮することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 圧縮機、2 四方弁、3,5 接続配管、4,7 熱交換器、6 減圧装置、11 室外送風機、12 室内送風機、21,22 圧力センサ、31〜33 サーミスタ、50 室外機、51 室内機、60 制御装置、100 冷凍サイクル装置。

Claims (5)

  1. 暖房運転および除霜運転が行なわれ、前記除霜運転においては前記暖房運転とは逆方向に冷媒が循環する冷凍サイクル装置であって、
    圧縮機と、
    第1および第2熱交換器と、
    減圧装置と、
    前記冷媒の循環方向を切り替えるように構成された流路切替装置とを備え、
    前記冷媒は、前記暖房運転において前記圧縮機、前記第1熱交換器、前記減圧装置、および前記第2熱交換器の順に循環し、前記除霜運転において前記圧縮機、前記第2熱交換器、前記減圧装置、前記第1熱交換器の順に循環し、
    前記除霜運転は、第1および第2モードを含み、
    前記第1モードにおける前記減圧装置の開度は、前記暖房運転における前記減圧装置の開度よりも大きく、
    前記第2モードにおける前記減圧装置の開度は、前記第1モードにおける前記減圧装置の開度よりも小さい、冷凍サイクル装置。
  2. 前記流路切替装置および前記減圧装置を制御して、前記暖房運転、前記第1モード、および前記第2モードの順に前記冷凍サイクル装置の運転を切り替えるように構成された制御装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記圧縮機と前記第2熱交換器との間を流れる前記冷媒の温度が基準値よりも小さい場合、前記除霜運転を前記第1モードから前記第2モードに切り替えるように構成されている、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記減圧装置は、前記第1モードにおいて全開である、請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記第1モードにおいて前記第1熱交換器と前記圧縮機との間を流れる前記冷媒の飽和温度は、−10℃以上0℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記第2モードにおいて前記第1熱交換器と前記圧縮機との間を流れる前記冷媒の飽和温度は、−45℃以上−20℃以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
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