実施の形態1.
以下、本開示に係る空気調和装置100の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1に係る空気調和装置100を示す回路図である。空気調和装置100は、室内空間の空気を調整する装置であり、図1に示すように、室外機1、室内機3、および制御装置90を備えている。
室外機1は、例えば屋外に設置され、室内機3に温熱または冷熱を供給する機器である。室外機1は、圧縮機11、流路切替装置12、減圧装置13、第1の室外熱交換器14a、第2の室外熱交換器14b、第1の開閉装置15a、第2の開閉装置15b、第1の副減圧装置16a、第2の副減圧装置16b、および室外送風機17を有している。また、室外機1は、流量調整装置21、第1のバイパス開閉装置22a、および第2のバイパス開閉装置22bを有している。更に、室外機1は、第1の室外圧力センサ92a、第2の室外圧力センサ92b、および室外温度センサ93を有している。室外機1の各機器についての説明は後述する。
室外機1は、室外機配管41、室外機配管42、室外機配管43、吐出配管44、吸入配管45、並列配管70、およびバイパス配管81を有している。室外機配管41は、流路切替装置12と、後述する延長配管51とを接続している。室外機配管42は、流路切替装置12と、第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15bとを接続している。室外機配管42は、第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15b側が分岐し、分岐先が第1の開閉装置15aと第2の開閉装置15bとのそれぞれに接続している。室外機配管43は、第1の副減圧装置16aおよび第2の副減圧装置16bと、後述する延長配管52とを接続している。室外機配管43は、第1の副減圧装置16aおよび第2の副減圧装置16bが分岐し、分岐先が第1の副減圧装置16aと第2の副減圧装置16bとのそれぞれに接続している。
吐出配管44は、圧縮機11の吐出側と流路切替装置12とを接続している。吸入配管45は、圧縮機11の吸入側と流路切替装置12とを接続している。
並列配管70は、圧縮機11および流路切替装置12側の第1の圧縮機側配管71aおよび第2の圧縮機側配管71b、ならびに減圧装置13側の第1の減圧装置側配管72aおよび第2の減圧装置側配管72bからなる。第1の圧縮機側配管71aは、第1の開閉装置15aと、第1の室外熱交換器14aとを接続する。第2の圧縮機側配管71bは、第2の開閉装置15bと、第2の室外熱交換器14bとを接続する。第1の減圧装置側配管72aは、第1の室外熱交換器14aと、第1の副減圧装置16aとを接続する。第2の減圧装置側配管72bは、第2の室外熱交換器14bと、第2の副減圧装置16bとを接続する。つまり、第1の圧縮機側配管71aおよび第1の減圧装置側配管72aと、第2の圧縮機側配管71bおよび第2の減圧装置側配管72bとは、室外機配管42および室外機配管43に並列に接続されている。
バイパス配管81は、吐出配管44の途中から分岐し、第1の圧縮機側配管71aおよび第2の圧縮機側配管71bに流路切替装置12をバイパスして接続している。バイパス配管81は、第1の圧縮機側配管71aおよび第2の圧縮機側配管71b側が分岐し、分岐先が第1の圧縮機側配管71aと第2の圧縮機側配管71bとのそれぞれに接続している。つまり、バイパス配管81は、圧縮機11の吐出側と、流路切替装置12と第1の室外熱交換器14aとの間、および流路切替装置12と第1の室外熱交換器14aとの間とを接続している。バイパス配管81には、圧縮機11から吐出された冷媒の一部が分岐して流れる。なお、バイパス配管81は、室外機配管41と、第1の圧縮機側配管71aおよび第2の圧縮機側配管71bとを接続するように構成されてもよい。
室内機3は、例えば室内に配置され、室内の空気を調和する機器である。室内機3は、室内熱交換器31、および室内送風機32を有している。また、室内機3は、室内圧力センサ91および室内温度センサ94を有している。室内機3の各機器についての説明は後述する。
室内機3は、室内機配管61、および室内機配管62を有している。室内機配管61は、延長配管51と、室内熱交換器31とを接続している。室内機配管62は、室内熱交換器31と、延長配管52とを接続している。
延長配管51および延長配管52は、室外機1および室内機3の外部に設けられ、室外機1と室内機3とを接続している。なお、実施の形態1では、室外機1および室内機3が1台である場合について例示しているが、2台以上でもよい。
圧縮機11は、低温且つ低圧の状態の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して高温且つ高圧の状態の冷媒にして吐出するものである。流路切替装置12は、冷媒回路において冷媒が流れる方向を切り替えるものであり、例えば四方弁である。減圧装置13は、冷媒を減圧して膨張する減圧弁または膨張弁である。減圧装置13は、例えば開度が調整される電子式膨張弁である。実施の形態1では、減圧装置13が室外機1に設けられている場合について例示しているが、減圧装置13は室内機3に設けられてもよい。
第1の室外熱交換器14aは、第1の圧縮機側配管71aと、第1の減圧装置側配管72aとの間に設けられている。第2の室外熱交換器14bは、第2の圧縮機側配管71bと、第2の減圧装置側配管72bとの間に設けられている。つまり、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bは、互いに並列に接続されている。第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bは、例えば室外空気と冷媒との間で熱交換する。第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bは、冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する。実施の形態1では、室外熱交換器が2台の場合について例示しているが、3台以上であってもよい。
第1の開閉装置15aは、室外機配管42と第1の圧縮機側配管71aとの間に設けられている。第1の開閉装置15aが開いているときには第1の室外熱交換器14aに冷媒が流れ、閉じているときには室外機配管42と第1の圧縮機側配管71aとの間を冷媒が流れない。第2の開閉装置15bは、室外機配管42と第2の圧縮機側配管71bとの間に設けられている。第2の開閉装置15bが開いているときには第2の室外熱交換器14bに冷媒が流れ、閉じているときには室外機配管42と第2の圧縮機側配管71bとの間を冷媒が流れない。第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15bは、流路の開閉が可能であればよく、電磁弁、四方弁、三方弁または二方弁等により構成される。
第1の副減圧装置16aは、第1の減圧装置側配管72aと、室外機配管43との間に設けられている。第2の副減圧装置16bは、第2の減圧装置側配管72bと、室外機配管43との間に設けられている。第1の副減圧装置16aおよび第2の副減圧装置16bは、例えば開度が調整される電子式膨張弁、または毛細管などの固定抵抗などである。
室外送風機17は、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに室外空気を送る。実施の形態1では、1台の室外送風機17が、2台の第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bの両方に室外空気を送る場合について例示している。しかし、2台の室外送風機17が、それぞれ2台の第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに室外空気を送るように構成されてもよい。
室内熱交換器31は、例えば室内空気と冷媒との間で熱交換するものである。室内熱交換器31は、冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する。室内送風機32は、室内熱交換器31に室内空気を送る。
圧縮機11、流路切替装置12、減圧装置13、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14b、第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15b、第1の副減圧装置16aおよび第2の副減圧装置16b、ならびに室内熱交換器31が、室外機配管41~43、吐出配管44、吸入配管45、延長配管51および52、室内機配管61および62、ならびに並列配管70により接続されて、冷媒が循環する主回路10が構成されている。室外機配管41~43、吐出配管44、吸入配管45、延長配管51および52、室内機配管61および62、ならびに並列配管70は、本開示の「配管」に相当する。
流量調整装置21は、バイパス配管81に設けられ、バイパス配管81を流れる冷媒の流量を調整する。第1のバイパス開閉装置22aは、バイパス配管81の分岐部分のうち、第1の圧縮機側配管71aに接続する側に設けられている。第1のバイパス開閉装置22aが開いているときには、第1の室外熱交換器14aにバイパス配管81を通った冷媒が流れ、閉じているときには、第1の室外熱交換器14aにバイパス配管81を通った冷媒が流れない。第2のバイパス開閉装置22bは、バイパス配管81の分岐部分のうち、第2の圧縮機側配管71bに接続する側に設けられている。第2のバイパス開閉装置22bが開いているときには、第2の室外熱交換器14bにバイパス配管81を通った冷媒が流れ、閉じているときには、第2の室外熱交換器14bにバイパス配管81を通った冷媒が流れない。第1のバイパス開閉装置22aおよび第2のバイパス開閉装置22bは、流路の開閉が可能であればよく、電磁弁、四方弁、三方弁または二方弁等により構成される。
流量調整装置21、第1のバイパス開閉装置22aおよび第2のバイパス開閉装置22bが、バイパス配管81によって接続されて、冷媒が流れるバイパス回路20が構成されている。
第1の室外圧力センサ92aは、第1の減圧装置側配管72aにおいて、第1の室外熱交換器14aと減圧装置13との間に設けられ、第1の減圧装置側配管72aを流通する冷媒の圧力を検出する。第2の室外圧力センサ92bは、第2の減圧装置側配管72bにおいて、第2の室外熱交換器14bと減圧装置13との間に設けられ、第2の減圧装置側配管72bを流通する冷媒の圧力を検出する。
第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bが凝縮器として作用するとき、第1の室外圧力センサ92aおよび第2の室外圧力センサ92bは、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bの凝縮圧力を検出するセンサとして機能する。第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bが蒸発器として作用するとき、第1の室外圧力センサ92aおよび第2の室外圧力センサ92bは、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bの蒸発圧力を検出するセンサとして機能する。
なお、第1の室外圧力センサ92aおよび第2の室外圧力センサ92bは、圧縮機11の吸入側に取り付けられ、吸入圧力を検出してもよい。また、冷媒が気液二相状態となる部分であれば、第1の室外圧力センサ92aおよび第2の室外圧力センサ92bは、冷媒の温度を検出する温度センサで代用してもよい。この場合、制御装置90によって、温度センサによって検出された値が、飽和温度として冷媒の圧力に換算される。冷媒の温度を検出する場合、温度センサと冷媒とが触れることによって検出する直接方式でもよいし、配管または熱交換器等の外表面の温度を検出する間接方式でもよい。
室外温度センサ93は、第1の室外熱交換器14aの近傍に設けられ、室外空気の温度を検出する。具体的に、室外温度センサ93は、第1の室外熱交換器14aへの外気流入側であって、第1の室外熱交換器14aから少し離れた位置に設置される。なお、室外温度センサ93は、第2の室外熱交換器14bの近傍に設けられてもよい。
室内圧力センサ91は、室内熱交換器31に設けられており、室内熱交換器31に流れる冷媒の圧力を検出する。室内熱交換器31が凝縮器として作用するとき、室内圧力センサ91は、室内熱交換器31の凝縮圧力を検出するセンサとして機能する。室内熱交換器31が蒸発器として作用するとき、室内圧力センサ91は、室内熱交換器31の蒸発圧力を検出するセンサとして機能する。なお、室内圧力センサ91は、圧縮機11の吐出側に取り付けられ、吐出圧力を検出してもよい。また、冷媒が気液二相状態となる部分であれば、室内熱交換器31における冷媒の凝縮温度を検出する温度センサで代用してもよい。
室内温度センサ94は、室内熱交換器31の近傍に設けられ、室内空気の温度を検出する。具体的に、室内温度センサ94は、室内熱交換器31から少し離れた室内機3の室内空気吸込口に設置される。
ここで、冷媒サイクルを循環させる冷媒としては、例えば、フロン冷媒、HFO冷媒等を用いることができる。フロン冷媒としては、例えば、HFC系冷媒のR32冷媒、R125、およびR134a等がある。また、HFC系冷媒の混合冷媒であるR410A、R407c、およびR404A等がある。また、HFO冷媒としては、例えば、HFOa234yf、HFOa234ze(E)、およびHFOa234ze(Z)等がある。また、その他の冷媒としては、CO2冷媒、HC冷媒、アンモニア冷媒、およびR32とHFOa234yfとの混合冷媒等のように、上記の冷媒の混合冷媒等、蒸気圧縮式のヒートポンプ回路に用いられる冷媒を用いることができる。HC冷媒は、例えばプロパン、イソブタン冷媒等である。
図2は、実施の形態1に係る空気調和装置100を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置90は、室内圧力センサ91、第1の室外圧力センサ92a、第2の室外圧力センサ92b、室外温度センサ93、および室内温度センサ94の検出結果に基づいて、圧縮機11、流路切替装置12、減圧装置13、第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15b、第1の副減圧装置16aおよび第2の副減圧装置16b、室外送風機17、流量調整装置21、第1のバイパス開閉装置22aおよび第2のバイパス開閉装置22b、ならびに室内送風機32等を制御して、室内機3の各運転モードの実行、および設定室温の変更などを行う。
ここで、制御装置90のハードウェアの一例を説明する。図3は、制御装置90の一構成例を示すハードウェア構成図である。コントローラ14の各種機能がハードウェアで実行される場合、制御装置90は、図3に示すように、処理回路101で構成され、各機能が処理回路101により実現される。
各機能がハードウェアで実行される場合、処理回路101は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものに該当する。
また、制御装置90の別のハードウェアの一例を説明する。図4は、制御装置90の別の構成例を示すハードウェア構成図である。コントローラ14の各種機能がソフトウェアで実行される場合、制御装置90は、図4に示すように、CPU等のプロセッサ102およびメモリ103で構成される。制御装置90の各機能は、プロセッサ102およびメモリ103により実現される。図4は、プロセッサ102およびメモリ103が互いにバス104を介して通信可能に接続されることを示している。
制御装置90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ103に格納される。プロセッサ102は、メモリ103に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
メモリ103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable and Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリが用いられる。また、メモリ103として、RAM(Random Access Memory)の揮発性の半導体メモリが用いられてもよい。さらに、メモリ103として、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体が用いられてもよい。
空気調和装置100は、運転モードとして、冷房運転モード、通常暖房運転モード、逆サイクルデフロスト運転モードおよび暖房デフロスト運転モードを有している。冷房運転モードは、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bがいずれも凝縮器として作用し、室内機3が室内を冷房する。通常暖房運転モードは、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bがいずれも蒸発器として作用し、室内機3が室内を暖房する。
逆サイクルデフロスト運転モードでは、主回路10において冷房運転時と同じ冷媒の流れとなる運転が行われ、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bが除霜される。制御装置90は、逆サイクルデフロスト移行条件が満たされたときに、運転モードを、通常暖房運転モードから逆サイクルデフロスト運転モードに移行させる。逆サイクルデフロスト移行条件は、例えば、通常暖房運転モード中に、予め設定された通常暖房運転の最大時間閾値を超えることである。また、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに着霜した場合を逆サイクルデフロスト移行条件としてもよい。なお、室外熱交換器における着霜の有無は、各センサの検出結果などを用いた周知の方法によって判断される。制御装置90は、逆サイクルデフロスト終了条件が満たされたときに、運転モードを、逆サイクルデフロスト運転モードから通常暖房運転モードへ移行させる。逆サイクルデフロスト終了条件は、例えば、逆サイクルデフロスト運転モードが所定の時間行われることである。
暖房デフロスト運転モードでは、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bのうち、一方がデフロスト対象となり、他方が蒸発器として作用することにより、室外熱交換器の除霜と、暖房運転の維持とを両立させる。暖房デフロスト運転モードでは、第1の室外熱交換器14aと第2の室外熱交換器14bとが交互にデフロストされる。例えば、暖房デフロスト運転モードでは、第1の室外熱交換器14aが蒸発器として作用して暖房運転を行いつつ、第2の室外熱交換器14bのデフロストが実施される。そして、暖房デフロスト運転モードは、第2の室外熱交換器14bのデフロストが終了すると、第2の室外熱交換器14bが蒸発器として作用して暖房運転を行い、第1の室外熱交換器14aのデフロストが実施される。制御装置90は、暖房デフロスト移行条件が満たされたときに、運転モードを、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードへ移行させる。暖房デフロスト移行条件は、例えば、通常暖房運転モード中に、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bにおいて着霜した場合である。なお、室外熱交換器における着霜の有無は、各センサの検出結果などを用いた周知の方法によって判断される。また、室内空気の温度が設定室温に近づき、圧縮機11の駆動周波数が周波数閾値よりも低くなること、または通常暖房運転モードが連続して行われた時間が所定の最大時間に達することを暖房デフロスト移行条件としてもよい。
制御装置90は、切り替え条件が満たされたときに、デフロスト対象の室外熱交換器を切り替える。切り替え条件は、例えば、デフロスト対象の室外熱交換器の除霜が完了すること、または所定の時間が経過することである。また、制御装置90は、暖房デフロスト終了条件が満たされたときに、運転モードを、暖房デフロスト運転モードから通常暖房運転モードへ移行させる。暖房デフロスト終了条件は、予め設定された所定の最大時間内に第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに流れる冷媒の温度が所定の値以上の温度となることである。この場合、制御装置90は、暖房デフロスト運転モードから復帰した後の通常暖房運転モードの運転時間の最大時間を延長する。具体的には、制御装置90は、逆サイクルデフロスト運転モード、または暖房デフロスト運転モードに切り替えるまでの通常暖房運転モードの運転時間の最大時間を延長する。また、暖房デフロスト運転モードが所定の時間行われることを暖房デフロスト終了条件としてもよい。この場合、制御装置90は、暖房デフロスト運転モードから暖房運転モードに切り替えた後に、逆サイクルデフロスト運転モードに切り替えてもよい。以下では、各運転モードにおける冷媒の流れについて説明する。
(冷房運転モード)
冷房運転モード時の冷媒の流れについて説明する。図5は、実施の形態1の冷房運転時の冷媒の流れを示す回路図である。図6は、実施の形態1の冷房運転時のp-h線図である。図5では、冷媒が流れる部分を実線で示し、冷媒が流れない部分を破線で示している。冷房運転において、制御装置90は、圧縮機11の吐出側と第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bとが接続され、圧縮機11の吸入側と室内熱交換器31とが接続されるように流路切替装置12を切り替える。また、制御装置90は、流量調整装置21を全閉にし、第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15b、ならびに第1の副減圧装置16aおよび第2の副減圧装置16bを全開にする。図5に示すように、冷房運転において、圧縮機11に吸入された冷媒は、圧縮機11によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出される。圧縮機11における冷媒の圧縮過程は、圧縮機11の断熱効率の分だけ、等エントロピ線で断熱圧縮される場合と比較して加熱されるように圧縮される。このときの冷媒の変化は、図6の点(a)から点(b)に延びる線に該当する。
圧縮機11から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置12を通過した後、第1の圧縮機側配管71aおよび第2の圧縮機側配管71bに分岐して流れる。分岐した冷媒は、それぞれの第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15bを通過して、凝縮器として作用する各第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに流入する。冷媒は、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bにおいて、室外送風機17が送る室外空気と熱交換されて凝縮して液化し、中温且つ高圧の液状態の冷媒となる。第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bにおける冷媒の変化は、圧力損失を考慮すると、図6の点(b)から点(c)に延びる線のように若干傾いた水平に近い直線となる。凝縮された中温且つ高圧の液状態の冷媒は、合流した後、減圧装置13に流入し、減圧装置13において膨張および減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。減圧装置13における冷媒の変化は、エンタルピーが一定のもとで行われる。このときの冷媒の変化は、図6の点(c)から点(d)に延びる垂直線に該当する。
気液二相状態の冷媒は、延長配管52を通って、蒸発器として作用する室内熱交換器31に流入し、室内熱交換器31において、室内送風機32が送る室内空気と熱交換されて蒸発してガス化する。このとき、室内空気が冷やされ、室内において冷房が実施される。室内熱交換器31における冷媒の変化は、圧力損失を考慮すると、図6の点(d)から点(a)に延びる線のように若干傾いた水平に近い直線となる。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、延長配管51および流路切替装置12を通過して、圧縮機11に吸入される。
(通常暖房運転モード)
通常暖房運転モード時の冷媒の流れについて説明する。図7は、実施の形態1の暖房運転時の冷媒の流れを示す回路図である。図8は、実施の形態1の暖房運転時のp-h線図である。図7では、冷媒が流れる部分を実線で示し、冷媒が流れない部分を破線で示している。暖房運転において、制御装置90は、圧縮機11の吐出側と室内熱交換器31とが接続され、圧縮機11の吸入側と第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bとが接続されるように流路切替装置12を切り替える。また、制御装置90は、流量調整装置21を全閉にし、それぞれの第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15b、ならびに第1の副減圧装置16aおよび第2の副減圧装置16bを全開にする。図7に示すように、暖房運転において、圧縮機11に吸入された冷媒は、圧縮機11によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出される。圧縮機11における冷媒の圧縮過程は、圧縮機11の断熱効率の分だけ、等エントロピ線で断熱圧縮される場合と比較して加熱されるように圧縮される。このときの冷媒の変化は、図8の点(a)から点(b)に延びる線に該当する。
圧縮機11から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置12および延長配管51を通過して、凝縮器として作用する室内熱交換器31に流入する。冷媒は、室内熱交換器31において、室内空気と熱交換されて凝縮して液化し、中温且つ高圧の液状態の冷媒となる。このとき、室内空気が暖められ、室内において暖房が実施される。室内熱交換器31における冷媒の変化は、圧力損失を考慮すると、図8の点(b)から点(c)に延びる線のように若干傾いた水平に近い直線となる。凝縮された中温且つ高圧の液状態の冷媒は、延長配管52を通って、減圧装置13に流入し、減圧装置13において膨張および減圧されて中圧の気液二相状態の冷媒となる。減圧装置13における冷媒の変化は、エンタルピーが一定のもとで行われる。このときの冷媒の変化は、図8の点(c)から点(d)に延びる垂直線に該当する。なお、減圧装置13は、中温且つ高圧の液状態の冷媒の過冷却度(サブクール)が5K~20K程度となるように制御される。
気液二相状態の冷媒は、分岐して蒸発器として作用する各第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに流入し、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bにおいて、室外空気と熱交換されて蒸発してガス化する。第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bにおける冷媒の変化は、圧力損失を考慮すると、図8の点(d)から点(a)に延びる線のように若干傾いた水平に近い直線となる。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、第1の圧縮機側配管71aおよび第2の圧縮機側配管71bに流入し、第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15bを通過した後に合流し、流路切替装置12を通過して、圧縮機11に吸入される。
(逆サイクルデフロスト運転モード)
逆サイクルデフロスト運転モード時の冷媒の流れについて説明する。冷媒の流れは、冷房運転モードと同様であるため、図示は省略する。ただし、逆サイクルデフロストモードは、冷媒が減圧装置13で減圧されないこと、および室内送風機32が動作しないことが、冷房運転モードと相違する。圧縮機11から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置12を通過した後、第1の圧縮機側配管71aおよび第2の圧縮機側配管71bに分岐して流れる。分岐した冷媒は、それぞれの第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15bを通過して、それぞれ第1の圧縮機側配管71aおよび第2の圧縮機側配管71bから第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに流入する。高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに付着した霜と熱交換されることによって、霜を融かす。
(暖房デフロスト運転モード)
暖房デフロスト運転モード時の冷媒の流れについて説明する。図9は、実施の形態1の暖房デフロスト運転時の冷媒の流れを示す回路図である。図10は、実施の形態1の暖房デフロスト運転時のp-h線図である。図9では、冷媒が流れる部分を実線で示し、冷媒が流れない部分を破線で示している。暖房デフロスト運転において、制御装置90は、圧縮機11の吐出側と室内熱交換器31とが接続され、圧縮機11の吸入側と第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bとが接続されるように流路切替装置12を切り替える。また、制御装置90は、流量調整装置21を開放している。暖房デフロスト運転モードでは、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bのうち、一方がデフロスト対象として選択されてデフロストが実施され、他方が蒸発器として作用して暖房運転を継続する。制御装置90は、第1の開閉装置15aおよび第2の開閉装置15b、ならびに第1のバイパス開閉装置22aおよび第2のバイパス開閉装置22bの開閉状態を、交互に切り替える。これにより、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bが交互にデフロスト対象として切り替わる。冷媒の流れは、デフロスト対象の室外熱交換器と、蒸発器として作用する室外熱交換器とが切り替わることに応じて切り替わる。
図9では、第2の室外熱交換器14bがデフロスト対象として選択され、第1の室外熱交換器14aが蒸発器として作用して暖房を継続する場合について説明する。この場合、制御装置90は、第1の開閉装置15aを全開にし、第2の開閉装置15bを全閉にしている。制御装置90は、第1のバイパス開閉装置22aを全閉にし、第2のバイパス開閉装置22bを全開にしている。また、制御装置90は、デフロスト対象の第2の室外熱交換器14bの圧力が、飽和温度換算で0℃~10℃程度となるように、第2の室外熱交換器14bに対応する第2の副減圧装置16bの開度を制御している。制御装置90は、蒸発器として作用する第1の室外熱交換器14aに対応する第1の副減圧装置16aを全開にする。先ず、主回路10における冷媒の流れについて説明する。図9に示すように、デフロスト暖房運転において、圧縮機11に吸入された冷媒は、圧縮機11によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。圧縮機11における冷媒の圧縮過程は、圧縮機11の断熱効率の分だけ、等エントロピ線で断熱圧縮される場合と比較して加熱されるように圧縮される。このときの冷媒の変化は、図10の点(a)から点(b)に延びる線に該当する。
圧縮機11から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒の一部は、流路切替装置12および延長配管51を通過して、凝縮器として作用する室内熱交換器31に流入する。冷媒は、室内熱交換器31において、室内空気と熱交換されて凝縮して液化し、中温且つ高圧の液状態の冷媒となる。このとき、室内空気が暖められ、室内において暖房が実施される。室内熱交換器31における冷媒の変化は、圧力損失を考慮すると、図10の点(b)から点(c)に延びる線のように若干傾いた水平に近い直線となる。凝縮された中温且つ高圧の液状態の冷媒は、延長配管52を通って、減圧装置13および第1の副減圧装置16aに流入し、減圧装置13および第1の副減圧装置16aにおいて膨張および減圧されて中圧の気液二相状態の冷媒となる。減圧装置13における冷媒の変化は、エンタルピーが一定のもとで行われる。このときの冷媒の変化は、図10の点(c)から点(d)に延びる垂直線に該当する。
気液二相状態の冷媒は、デフロスト対象である第2の室外熱交換器14bには流れず、蒸発器として作用する第1の室外熱交換器14aに流入し、第1の室外熱交換器14aにおいて、室外空気と熱交換されて蒸発してガス化する。第1の室外熱交換器14aにおける冷媒の変化は、圧力損失を考慮すると、図10の点(d)から点(a)に延びる線のように若干傾いた水平に近い直線となる。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、第1の圧縮機側配管71aに流入し、第1の開閉装置15aを通過した後に、流路切替装置12を通過して、圧縮機11に吸入される。
次に、バイパス回路20における冷媒の流れについて説明する。圧縮機11から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒の一部は、バイパス配管81に流れ、流量調整装置21に流入し、流量調整装置21において減圧される。流量調整装置21における冷媒の変化は、エンタルピーが一定のもとで行われる。このときの冷媒の変化は、図10の点(b)から点(e)に延びる垂直線に該当する。流量調整装置21において減圧された冷媒は、第2のバイパス開閉装置22bを通って、第2の圧縮機側配管71bに流入し、デフロスト対象の第2の室外熱交換器14bに流れる。第2の室外熱交換器14bに流入した冷媒は、第2の室外熱交換器14bに付着した霜と熱交換されることによって冷却される。このように、圧縮機11から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒が第2の室外熱交換器14bに流入することによって、第2の室外熱交換器14bに付着した霜を融かす。このときの冷媒の変化は、図10の点(e)から点(f)に延びる線に該当する。第2の室外熱交換器14bのデフロストを行い、第2の室外熱交換器14bから流出した冷媒は、第2の副減圧装置16bを通り、主回路10に合流する。合流した冷媒は、蒸発器として作用する第1の室外熱交換器14aに流入し、蒸発する。
第1の室外熱交換器14aがデフロスト対象として選択され、第2の室外熱交換器14bが蒸発器として作用して暖房を継続する場合については、第1の開閉装置15aと第2の開閉装置15bとの開閉状態、第1のバイパス開閉装置22aと第2のバイパス開閉装置22bとの開閉状態、および第1の副減圧装置16aと第2の副減圧装置16bとの開閉状態がそれぞれ上述した場合と逆転している。このため、詳細な説明は省略する。
ここで、暖房デフロスト運転モード時に、制御装置90が流量調整装置21を制御する動作について説明する。先ず、制御装置90は、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードに切り替わったとき、冷媒流量の増加分が、デフロスト対象の第1の室外熱交換器14aまたは第2の室外熱交換器14bに流れるように、流量調整装置21の開度を、初期開度Pulseiniに設定する。
具体的に、冷媒流量は、圧縮機11の駆動周波数および冷媒の密度が大きいほど増大し、冷媒の密度は蒸発圧力に正比例することが知られている。このため、暖房デフロスト運転モードに切り替える際に、蒸発器として作用する室外熱交換器の蒸発圧力の低下が大きく、圧縮機11の駆動周波数の増分が小さいほど、デフロスト対象の第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに流す冷媒流量は小さくなる。よって、制御装置90は、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードに切り替える時には、蒸発器として作用する室外熱交換器の蒸発圧力、および圧縮機11の駆動周波数に基づいて、初期開度Pulseiniを設定する。具体的に、蒸発器として作用する室外熱交換器の蒸発圧力の低下が大きく、圧縮機11の駆動周波数の増分が小さいほど、流量調整装置21の初期開度Pulseiniを小さく設定する。なお、蒸発器として作用する第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bに流れる冷媒の圧力を検出する第1の室外圧力センサ92aおよび第2の室外圧力センサ92bが、蒸発圧力を検知するセンサとして機能する。
次に、制御装置90は、暖房デフロスト運転モードにおいてデフロスト対象を切り替える際に、流量調整装置21の開度を、室内熱交換器31の凝縮温度を参照して、初期開度Pulseiniから補正した開度に設定する。制御装置90は、室内圧力センサ91が検出した室内熱交換器31の凝縮圧力を換算することで、室内熱交換器31の凝縮温度を算出する。具体的に、制御装置90は、デフロスト対象を切り替えるときの第1の凝縮温度TCと、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードに切り替えるときの第2の凝縮温度TCheatとの大小関係に基づいて、流量調整装置21の開度を調整する。即ち、制御装置90は、第1の凝縮温度TC>第2の凝縮温度TCheatの場合、流量調整装置21の開度を初期開度Pulseiniより大きくする。また、制御装置90は、第1の凝縮温度TC<第2の凝縮温度TCheatの場合、流量調整装置21の開度を初期開度Pulseiniより小さくする。制御装置90は、より具体的に、以下の式で開度の補正を行うようにしてもよい。もっとも、制御装置90は、流量調整装置21の開度をあらかじめ定めた開度下限値よりも低くならないように調整する。開度下限値は、霜が全量除去できる最小の開度を意味し、実機試験などによって決定される。
Pulse=
Pulseini×(TC-TA)/(TCheat-TAheat)
ここで、Pulseは、新たに設定される流量調整装置21の開度である。TAは、暖房デフロスト運転モードにおいてデフロスト対象を切り替えるときの室内機3の吸込み温度である。TAheatは、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードに切り替えるときの吸込み温度である。なお、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードに切り替えるときの第2の凝縮温度TCheat及び吸込み温度TAheatは、暖房デフロスト運転モードに切り替わる際に、制御装置90に記憶されている。
図11は、実施の形態1に係る暖房デフロスト運転モードを説明するための図である。図11では、実施の形態1と比較例とのそれぞれにおいて、時間ごとの凝縮温度、流量調整装置21の開度、室内の吸込み温度、および減圧装置13の開度を4つのグラフで示している。各グラフの横軸の時間は何れも共通している。図11では、デフロスト対象を切り替えるときの第1の凝縮温度TCが、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードに切り替えるときの第2の凝縮温度TCheatよりも低くなった場合を示している。比較例は、上述した実施の形態1における室内熱交換器31の凝縮温度に基づく流量調整装置21の開度の補正を行っていない場合を示している。
暖房デフロスト運転モード時には、冷凍サイクルの高低圧差の増大による圧縮機11の体積効率悪化などにより想定よりも冷媒流量が小さくなることがある。この際に、図11において比較例に示すように、流量調整装置21の開度を初期開度Pulseiniに維持していた場合、凝縮温度が低下し、暖房能力が低下することがある。比較例では、暖房能力の低下によって、暖房デフロスト運転モードにおいて、室内の吸込み温度が低下している。
これに対して、実施の形態1では、室内熱交換器31の凝縮温度に基づく流量調整装置21の開度の補正を行っている。具体的に、図11では、デフロスト対象を切り替えるときの第1の凝縮温度TCが、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードに切り替えるときの第2の凝縮温度TCheatよりも低くなったため、制御装置90は、流量調整装置21の開度Pulseを、初期開度Pulseiniより小さくしている。このため、実施の形態1では、暖房デフロスト運転モード開始前の凝縮温度を維持することができ、通常暖房運転時からの暖房能力の変動を防ぐことができる。実施の形態1では、暖房能力の変動が抑制されることで、暖房デフロスト運転モードにおいて、室内の吸込み温度の低下が比較例よりも抑制されている。
また、暖房デフロスト運転モード中において、流量調整装置21の開度を小さくした場合、制御装置90は、吐出温度の上昇に応じて減圧装置13の開度を増大させる。減圧装置13の開度が大きい状態で通常暖房運転モードに戻ると、高低差圧がつけられず凝縮温度が低下することがある。このため、図11に示すように、制御装置90は、通常暖房運転モードに戻るときに、減圧装置13の開度を、暖房デフロスト運転モード直前の減圧装置13の開度に変更してもよい。これにより、通常暖房運転モードに戻った際に、高低差圧が確保され、凝縮温度の低下を抑制することができる。
流量調整装置21が制御装置90によってこのように制御されることで、暖房デフロスト運転モード中、または通常暖房運転モードに戻った時に冷媒流量が減少した場合にも、暖房運転時からの暖房能力の変動を抑制し、室内吹き出し温度を維持することができる。
また、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bが1台の室外熱交換器を上下に分割したものである場合、次のように暖房デフロスト運転モードを行うようにしてもよい。すなわち、先ず、第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bのうち、下側に配置された室外熱交換器をデフロスト対象にし、その後、上側に配置された室外熱交換器をデフロスト対象にすることで全面を除霜する。これにより、上側の室外熱交換器をデフロストした際の融解水が下側の室外熱交換器の霜相に保水されることを抑制できる。更に、上側に配置された室外熱交換器を除霜した後、再度下側熱交換器をデフロストしてもよい。これにより、上側の室外熱交換器をデフロストした際の融解水が蒸発器となる下側の室外熱交換器に伝う時に再氷結することを抑制できる。それぞれが独立した第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bを上下に配置した場合、つまり第1の室外熱交換器14aおよび第2の室外熱交換器14bの一方を他方の下側に配置した場合も、1台の室外熱交換器を分割する場合と同様である。
なお、下側の室外熱交換器を2回目にデフロスト対象にするときは、下側の室外熱交換器を1回目にデフロスト対象にするときよりも着霜量が少なくなっている。このため、下側の室外熱交換器を2回目にデフロスト対象にするときの流量調整装置21の開度は、下側の室外熱交換器を1回目にデフロスト対象にするときの流量調整装置21の開度、および上側の室外熱交換器をデフロスト対象にするときの流量調整装置21の開度よりも小さくてもよい。また、下側の室外熱交換器を2回目にデフロスト対象にしている時間は、下側の室外熱交換器を1回目にデフロスト対象にしている時間、および上側の室外熱交換器をデフロスト対象にしている時間よりも短くてもよい。
図12は、実施の形態1に係る制御装置90の動作を示すフローチャートである。図12を用いて、通常暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードに移行し、再び通常暖房運転モードに復帰するまでの制御装置90の動作について説明する。なお、以下の動作手順において、第1のバイパス開閉装置22aおよび第2のバイパス開閉装置22bの制御についての説明は、省略する。先ず、制御装置90は、通常暖房運転モードの実行中において、暖房デフロスト運転モードへの移行条件を満たしているか否かを判定する(ステップS1)。暖房デフロスト運転モードへの移行条件を満たしていない場合(ステップS1:NO)、制御装置90は、暖房デフロスト移行条件が満たされるまで、通常暖房運転モードを継続し、その間、ステップS1の処理を周期的に行う。暖房デフロスト移行条件が満たされた場合(ステップS1:YES)、制御装置90は、室内熱交換器31の第2の凝縮温度TCheatを取得し(ステップS2)、暖房デフロスト運転モードへ移行するよう各機器を動作させる(ステップS3)。この際に、流量調整装置21の開度が初期開度Pulseiniに設定される。
制御装置90は、暖房デフロスト運転モードの実行中において、暖房デフロスト終了条件を満たしたか否かを判定する(ステップS4)。暖房デフロスト終了条件が満たされていない場合(ステップS4:NO)、制御装置90は、暖房デフロスト運転モードにおけるデフロスト対象の切り替え条件を満たしたか否かを判定する(ステップS5)。デフロスト対象の切り替え条件が満たされていない場合、制御装置90は、デフロスト対象の切り替え条件が満たされるまで、一方の室外熱交換器をデフロスト対象とする暖房デフロスト運転モードを継続し、その間、ステップS5の処理を周期的に行う。デフロスト対象の切り替え条件が満たされた場合(ステップS5:YES)、室内熱交換器31の第1の凝縮温度TCを取得する(ステップS6)。
続いて、制御装置90は、室内熱交換器31の第1の凝縮温度TCが第2の凝縮温度TCheatよりも大きいか否かを判定する(ステップS7)。室内熱交換器31の第1の凝縮温度TCが第2の凝縮温度TCheatよりも大きい場合(ステップS7:YES)、制御装置90は、流量調整装置21の開度を初期開度Pulseiniよりも拡大する(ステップS8)。室内熱交換器31の第1の凝縮温度TCが第2の凝縮温度TCheat以下である場合(ステップS7:NO)、制御装置90は、室内熱交換器31の第1の凝縮温度TCが凝縮温度TCheatよりも小さいか否かを判定する(ステップS9)。室内熱交換器31の第1の凝縮温度TCが第2の凝縮温度TCheatよりも小さい場合(ステップS9:YES)、流量調整装置21の開度を初期開度Pulseiniよりも縮小する(ステップS10)。なお、ステップS7およびS8の何れにも該当しない場合、即ち室内熱交換器31の第1の凝縮温度TCが第2の凝縮温度TCheatと等しい場合、流量調整装置21の開度を初期開度Pulseiniから変更しない。流量調整装置21の開度の補正が完了すると、制御装置90は、デフロスト対象を切り替えるよう各機器を動作させ(ステップS11)、再び暖房デフロスト運転モードの終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS4)。
暖房デフロスト終了条件が満たされた場合(ステップS4:YES)、制御装置90は、通常暖房運転モードへ移行するよう各機器を動作させる(ステップS12)。なお、上述した処理の順番は一例に過ぎず、例えば、ステップS2とS3との順番を入れ替えてもよいし、ステップS8またはS10と、ステップS11との順番を入れ替えるようにしてもよい。
以上のように、実施の形態1の制御装置90は、暖房デフロスト運転モード中に、暖房運転モードから暖房デフロスト運転モードへの切り替えを行ったときよりも凝縮温度が低下した場合、流量調整装置21の開度を初期開度より小さくする。これにより、室内熱交換器31に供給される冷媒流量が増大する。よって、実施の形態1の空気調和装置100は、暖房デフロスト運転モードにおいて、暖房デフロスト運転モード開始前の暖房運転からの室内吹き出し温度の変動を抑制し、室内の快適性を向上させることができる。
以上が本開示の実施の形態の説明であるが、本開示は、上記の実施の形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形または組み合わせが可能である。例えば、空気調和装置100から、第1の副減圧装置16a、および第2の副減圧装置16bを省略するようにしてもよい。