JPWO2018230354A1 - セルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、TEMPOなどのN−オキシル化合物がセルロースナノファイバー中に残存せず、かつ、効率的な方法でセルロースナノファイバーを製造する方法を提供することを目的とする。【解決方法】有効塩素濃度が14〜43質量%の次亜塩素酸またはその塩を用いて、セルロース系原料を酸化させて酸化セルロースを製造する工程と、該酸化セルロースを解繊処理してナノ化させる工程とを有するセルロースナノファイバーの製造方法である。

Description

本発明は、セルロース系原料を酸化した後、得られた酸化セルロースを解繊処理するセルロースナノファイバーの製造方法に関する。さらに詳しくは、酸化剤として、有効塩素濃度が14〜43質量%の次亜塩素酸またはその塩を用いることを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法に関する。
各種セルロース系原料を酸化処理することで、セルロースナノファイバーなどのセルロースナノ材料を製造する方法が検討されている。例えば、セルロース系原料を、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(以下、TEMPOという)の存在下に、酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムで酸化処理する方法が開示されている(非特許文献1)。
また、TEMPOなどのN−オキシル化合物の存在下に、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤でセルロース系原料を酸化する際に、該酸化剤を反応系内に一定の時間をかけながら徐々に添加することで、N−オキシルの使用量が少なくても効率よくカルボキシル基をセルロース系原料に導入することができる酸化セルロースの製造方法が開示されている(特許文献1)。
また、N−オキシル化合物の存在下に次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を用いてセルロース系原料を酸化して得られた酸化パルプを、pH3〜10の条件で50℃以上120℃以下に加熱し、次いで水洗することにより、酸化パルプ中に不純物として含まれるN−オキシル化合物を除去する方法が開示されている(特許文献2)。
さらに、TEMPOを使用しない系でセルロース系原料を酸化剤で酸化処理した後に、更に超音波処理、ミキサー処理等の機械的処理を行うことにより、安価で、不純物の少ないセルロースナノファイバーを得る方法が開示されている。(特許文献3)
特開2015−67730号公報 特開2010−236106号公報 特開2016−30809号公報
Cellulose Commun.,14(2),62(2007)
しかしながら、上記先行技術文献におけるTEMPOなどのN−オキシル化合物を触媒として製造された酸化セルロース中には、十分に洗浄した後であっても、窒素分として数ppm程度のN−オキシル化合物が残留する。
N−オキシル化合物は環境や人体に対する毒性が懸念されているため、酸化セルロースを用いてセルロースナノファイバー水分散液を調製した場合、該分散液中にもN−オキシル化合物が混在することになり、セルロースナノファイバーを高機能性材料として利用する場合、その用途によっては、分散液中に存在するN−オキシル化合物が好ましくない影響を与えることがある。
また、N−オキシルは非常に高価な材料であるため、N−オキシルを使用する方法は、経済的な製造方法ではない。
特許文献1によれば、酸化剤を一定の時間をかけながら徐々に添加することで、N−オキシル化合物の使用量が少なくできると記載されている。しかしながら、時間をかけて酸化剤を添加するため、反応時間が長くなり、効率的な製造方法ではない。さらに、酸化反応にN−オキシル化合物を使用しているため、酸化セルロース中にN−オキシル化合物が微量残存するという課題が残る。
また、特許文献2によれば、酸化反応で得られた酸化パルプを加熱処理することでN−オキシル化合物が除去できると記載されている。しかしながら、加熱処理する工程が必要となるため効率的な製造方法ではなく、さらに、特許文献1と同様に、N−オキシル化合物が微量残存するという課題が残る。
さらに、特許文献3によれば、過酸化水素等の酸化剤のみを用いてセルロース系原料を酸化処理できると記載されているが、酸化剤として有効塩素濃度が14質量%を超える次亜塩素酸ナトリウム水溶液については記載も示唆もない。
本発明は、上記の状況を鑑み、TEMPOなどのN−オキシル化合物がセルロースナノファイバー中に残存させずに、かつ、簡便で効率的な方法でセルロースナノファイバーを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことに酸化剤として有効塩素濃度が14質量%以上である次亜塩素酸またはその塩を用いることにより、TEMPOなどのN−オキシル化合物を触媒として用いなくても、セルロース系原料を酸化させて酸化セルロースが製造できることを見出し、さらに、該酸化セルロースを解繊処理してナノ化させることでセルロースナノファイバーが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1発明は、有効塩素濃度が14〜43質量%の次亜塩素酸またはその塩を用いて、セルロース系原料を酸化させて酸化セルロースを製造する工程と、該酸化セルロースを解繊処理してナノ化させる工程とを有するセルロースナノファイバーの製造方法である。
また、本発明の第2発明は、有効塩素濃度が18〜43質量%の次亜塩素酸またはその塩を用いる第1発明に記載のセルロースナノファイバーの製造方法である。
さらに、本発明の第3発明は、次亜塩素酸またはその塩が次亜塩素酸ナトリウムである第1発明または第2発明に記載のセルロースナノファイバーの製造方法である。
本発明の製造方法は、触媒であるN−オキシル化合物を使用しない製造方法であるため、得られたセルロースナノファイバーにはN−オキシル化合物が含まれず、環境や人体に対する毒性の恐れが著しく低減する。また、高価な触媒であるTEMPO化合物を使用しないため、経済的に優れた製造方法である。
実施例1で得られたセルロースナノファイバーを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を示す。 実施例10で得られたセルロースナノファイバーを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を示す。 実施例7で得られたセルロースナノクリスタルを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を示す。 実施例3で得られたセルロースナノクリスタルを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を示す。
本発明におけるセルロース系原料とは、セルロースを主体とした材料であれば特に限定はなく、例えば、パルプ、天然セルロース、再生セルロースおよびセルロース原料を機械的処理することで解重合した微細セルロースなどが挙げられる。なお、セルロース系原料として、パルプを原料とする結晶セルロースなどの市販品をそのまま使用することができる。また、次の工程で使用する酸化剤が原料パルプの中に浸透しやすくする目的でセルロース系原料を適度な濃度のアルカリで処理しても良い。
本発明におけるセルロースナノファイバーの製造方法は、有効塩素濃度が14〜43質量%の次亜塩素酸またはその塩を用いて、セルロース系原料を酸化させて酸化セルロースを製造する工程と、該酸化セルロースを解繊処理してナノ化させる工程とを有する製造方法であり、酸化剤である次亜塩素酸またはその塩中の有効塩素濃度は16〜43質量%であることが好ましく、18〜43質量%であることがさらに好ましい。
なお、有効塩素濃度が43質量%を超える次亜塩素酸またはその塩は、自己分解が進行し易く、取り扱い難くなる。
次亜塩素酸またはその塩における有効塩素濃度はよく知られた概念であり、以下のように定義される。
次亜塩素酸は水溶液として存在する弱酸であり、次亜塩素酸塩は結晶水をもった固体として存在することは出来るが、潮解性をもち、非常に不安定な物質であり、一般に水溶液として取り扱う。
例えば、次亜塩素酸塩である次亜塩素酸ナトリウムは溶液中にしか存在しないため、次亜塩素酸ナトリウムの濃度ではなく、溶液中の有効塩素量を測定する。
次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素とは,次亜塩素酸ナトリウムの分解により生成する2価の酸素原子の酸化力が1価の塩素の2原子当量に相当するため、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の結合塩素原子は,非結合塩素(Cl2)の2原子と同じ酸化力を持っていて、有効塩素=2×(NaClO 中の塩素)となる。
具体的な有効塩素濃度の測定は、試料を精秤し、水、ヨウ化カリウム、酢酸を加えて放置し、遊離したヨウ素についてデンプン水溶液を指示薬としてチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し測定する。
本発明における次亜塩素酸またはその塩としては、次亜塩素酸水、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムおよび次亜塩素酸アンモニウムなどが例示され、これらの中でも、取り扱いやすさの点から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
以下、次亜塩素酸またはその塩として次亜塩素酸ナトリウムを例にして、本発明の製造方法を説明する。
(1)有効塩素濃度が14〜43質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて、セルロース系原料を酸化させて酸化セルロースを製造する工程。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度を14〜43質量%に調整する方法としては、有効塩素濃度が14質量%より低い次亜塩素酸ナトリウム水溶液を濃縮する方法、有効塩素濃度が約43質量%である次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶をそのまま、または水で希釈して調整する方法がある。これらの中でも、次亜塩素酸ナトリウム5水和物を用いて、酸化剤としての有効塩素濃度に調整することが、自己分解が少ない、すなわち有効塩素濃度の低下が少なく、調整が簡便であるため好ましい。
酸化剤である有効塩素濃度が14〜43質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の使用量は、酸化反応が促進する範囲で選択できる。
セルロース系原料と次亜塩素酸ナトリウム水溶液の混合方法は特に限定はないが、操作の容易さの面から、次亜塩素酸ナトリウム水溶液にセルロース系原料を加えて混合させることが好ましい。
前記酸化反応における反応温度は15〜40℃であることが好ましく、20〜35℃であることがさらに好ましい。酸化反応を効率よく進めるために、反応系のpHを7〜14に維持することが好ましく、10〜14に維持することがさらに好ましい。pHを調整するために水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤、塩酸などの酸を添加することができる。
酸化反応の反応時間は、酸化の進行の程度に従って設定することができるが、例えば、15分〜6時間程度反応させることが好ましい。
前記酸化反応では、セルロース系原料中の1級水酸基がカルボキシル基へ酸化され酸化セルロースが生成する。該酸化セルロースのカルボキシル基量は特に限定されないが、次工程で酸化セルロースを解繊してナノ化させてセルロースナノファイバーを製造するに際し、酸化セルロース1g当たりのカルボキシル基量が、0.1〜3.0mmol/gであることが好ましく、0.2〜1.0mmol/gであることがさらに好ましい。また、前記酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。
酸化セルロース中のカルボキシル基量は、次の方法で測定することができる。
酸化セルロースの0.5質量%スラリーに純水を加えて60mlに調製し、0.1M塩酸水溶液を加えて、pH2.5にした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が穏やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下記式を用いて算出する。
カルボキシル基量(mmol/g酸化セルロース)=a(ml)×0.05/酸化セルロース質量(g)
(2)酸化セルロースを解繊処理してナノ化させる工程
本発明におけるセルロースナノファイバーは、前記工程で得られた酸化セルロースを解繊してナノ化することで製造される。
解繊する方法は、溶媒中でスターラーなどの弱い攪拌にとどめても良いが、機械的解繊を行うことで、解繊時間の短縮が可能になる。ただし、機械的解繊を行うと、セルロースナノファイバーが折れたり、切れたりする場合がある。
機械的解繊の方法は、特に限定されないが、例えば、酸化セルロースを十分に溶媒で洗浄した後、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、二重円筒型ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、水流対抗衝突型分散機、ビーター、ディスク型リファイター、コニカル型リファイター、ダブルディスク型リファイナー、グラインダー、一軸または多軸混錬機などの公知の混合・攪拌装置が挙げられ、これらを単独または2種類以上組合せて溶媒中で処理することで、酸化セルロースをナノ化して、セルロースナノファイバーを製造することができる。
解繊処理に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイドなどが挙げられ、これらを単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチレングリコールおよびグリセリン等が挙げられる。
前記エーテル類としては、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサンおよびテトラヒドロフラン等が挙げられる。
前記ケトン類としては、アセトンおよびメチルエチルケトン等が挙げられる。
溶媒として有機溶剤を選択することにより、前記工程で得られた酸化セルロースおよびそれを解繊して得られたセルロースナノファイバーの単離が容易となる。また、有機溶剤中に分散したセルロースナノファイバーが得られるため、有機溶剤に溶解する樹脂やその樹脂原料モノマー等との混合が容易となる。
本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、セルロースナノクリスタルにも適用され、本発明の製造方法で製造されたセルロースナノファイバーおよびセルロースナノクリスタルは、幅が2〜100nmであることが好ましく、この範囲にあると、特にバリヤー性、透明性および耐熱性に優れる。
セルロースナノファイバーの繊維長はとくに制限はないが、好ましくは10〜1000μm、より好ましくは100〜500μmであり、アスペクト比(繊維長/繊維径)は1000〜15000、好ましくは2000〜10000程度である。
セルロースナノクリスタルの繊維長は100〜1000nm(好ましくは150〜500nm)程度である。なお、セルロースナノクリスタルは、セルロースナノウィスカーとも呼ばれる。
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
100mlのビーカーに、有効塩素濃度が43質量%である次亜塩素酸ナトリ
ウム5水和物結晶を10.0g入れ、純水10.5mlを加えて撹拌して、有効塩素濃度21質量%の水溶液とした。
ここで、次亜塩素酸ナトリウム中の有効塩素濃度は、以下の方法で測定した。
前記水溶液0.582gを精密に量り、純水50mlを加え,ヨウ化カリウム2gおよび酢酸10mlを加え、直ちに密栓して暗所に15分間放置し、遊離したヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した結果(指示薬 デンプン試液)、滴定量は34.55mlであった。別に空試験を行い補正し、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1mlが3.545mgClに相当するので、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の有効塩素濃度は21質量%である。
前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスターラーで撹拌しながら恒温水槽にて30℃に加温した後、セルロース系原料として、平均粒子径が50μm、カルボキシル基量が0.03mmol/gである旭化成ケミカルズ社製のセオラスFD−101(商品名)を0.70g加えた。
セルロース系原料を供給後、同じ恒温水槽で30℃に保温しながら、30分間スターラーで撹拌し、次に、総量100mlになるまで純水を加えた後、目開き0.1μmのPTFE製メンブランフィルターを使用して、吸引ろ過により生成物を固液分離し、得られたろ過上物を純水で洗浄した後に、カルボキシル基量を測定したところ、0.36mmol/gであり、セルロース系原料のカルボキシル基量より増加しており、酸化セルロースが得られた。
30分間の撹拌中、激しい反応は認められなかった。ろ過上物量は0.66gであり、セルロース系原料からの大幅減少は見られなかった。
前記ろ過上物を純水に分散させて約1%スラリーとし、超音波ホモジナイザーにて10分間解繊処理をした。処理液を遠沈管に入れ、t−ブタノールを加えた後に、十分に混合し遠心分離させた。得られた上澄み分を除去してt−ブタノールを加える操作を10回繰り返して溶媒置換した。そして、得られたt−ブタノール分散液を凍結乾燥させ、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ社製S−4800)で観察した結果、幅が5〜50nmであるセルロースナノファイバーが得られていることを確認した。
図1に実施例1で得られたセルロースナノファイバーのSEMの倍率が10万倍の写真を示す。
<実施例2>
有効塩素濃度を32質量%にした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。
セルロース系原料の供給から約10分経過後にガス発生を伴った反応が見られ、ろ過上物の取得量は0.13gであり、ろ過上物のカルボキシル基量は0.47mmol/gであった。投入したセルロース量と比較して明らかに少なく、多くが母液に溶解したと推測した。
そこで、母液をエタノール液に添加し、得られた沈殿を固液分離、エタノールで洗浄した後、乾燥して評価サンプル(母液回収物)を得た。母液回収物は0.38gであり、処理後セルロースの多くが母液に溶解したことが分かった。ろ過下物のカルボキシル基量は0.67mmol/gであった。
ろ過上物およびろ過下物をそれぞれ、純水に分散させ、超音波ホモジナイザーで解繊処理した結果、1分間で全体が透明な処理液になった。
ろ過上物、ろ過下物を解繊した処理液を別々にt−ブタノールを加えて実施例1と同様に溶媒置換して凍結乾燥させ、SEMで観察した結果、いずれも幅が約100nm、長さが0.4〜1.0μmの棒状形状のセルロースナノクリスタルが得られていることが確認された。
<実施例3>
有効塩素濃度が43質量%である次亜塩素酸ナトリウム5水和物を30℃に加温して融液状態を使用した以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。
ろ過上物のカルボキシル基量は1.5mmol/gであり(取得量は0.01g以下)、ろ過下物(取得量は0.59g)のカルボキシル基量は4.9mmol/gであった。ろ過下物をSEMで観察した結果、幅が約100nm、長さが0.4〜1.0μmの棒状形状のセルロースナノクリスタルが得られていることが確認された。
図4に実施例3で得られたセルロースナノクリスタルのSEM写真(倍率5万倍)を示す。
<実施例4>
有効塩素濃度を18質量%にした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。
ろ過上物量は0.63gであり、カルボキシル基量は0.16mmol/gであった。ろ過上物をSEMで観察した結果、幅が5〜50nmであるセルロースナノファイバーが得られていることを確認した。
<実施例5>
有効塩素濃度を26質量%にした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。
30分間の撹拌中、激しい反応は認められなかった。ろ過上物量は0.40gであり、カルボキシル基量は0.41mmol/gであった。
ろ過上物をSEMで観察した結果、幅が5〜50nmであるセルロースナノファイバーが得られていることを確認した。
<実施例6>
100mlのビーカーに、有効塩素濃度が43質量%である次亜塩素酸ナトリ
ウム5水和物結晶を30.0g入れ、純水と35質量%の塩酸を加えて撹拌して、有効塩素濃度18質量%でpH7.0の水溶液とした。
次に、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスターラーで撹拌しながら恒温水槽にて30℃に加温した後、セルロース系原料として、カルボキシル基量が0.05mmol/gである針葉樹パルプ(SIGMA-ALDRICH社 NIST RM8495,bleached kraft pulp)を綿状に機械解繊した物を0.35g加えた。
セルロース原料を供給後、同じ恒温水槽で30℃に保温しながら、pH7.0を維持するために、48質量%の水酸化ナトリウムを添加して、30分間スターラーで攪拌した。目開き0.1μmのPTFE製メンブランフィルターを使用して、吸引ろ過により生成物を固液分離し、得られたろ過上物を純水で洗浄した後に、カルボキシル基量を測定したところ、1.26mmol/gであり、ろ過上物量は0.09gであった。
<実施例7>
有効塩素濃度を14質量%とした以外は実施例6と同様に反応を行った結果、
カルボキシル基量が0.62mmol/gであり、ろ過上物量は0.16gであった。
<実施例8〜実施例16>
有効塩素濃度および反応中のpHを表1に示すように調整した以外は、実施例6と同様に反応を行った。得られた生成物のカルボキシル基量とろ過上物量を表1に示す。
実施例10で得られたろ過上物について、実施例1と同様な方法で解繊処理してナノ化させ、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、幅が10〜20nmであるセルロースナノファイバーが得られていることを確認した。
図2に実施例10で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(倍率3万倍)を示す。
また、実施例7で得られたろ過上物について、実施例1と同様な方法で解繊処理してナノ化させ、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、幅が30nm〜70nm、長さ30〜280nmであるセルロースナノクリスタルが得られていることを確認した。
図3に実施例7で得られたセルロースナノクリスタルのSEM写真(倍率5万倍)を示す。
Figure 2018230354
<比較例1>
有効塩素濃度を12質量%にした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。
ろ過上物のカルボキシル基量は0.07mmol/gであり、セルロース系原料とほぼ同じ値であり、酸化はほとんど進まなかった。取得量は0.63gであり、セルロース系原料から大幅減少はなかった。
酸化が進まなかったため、ナノ化させる工程は実施しなかった。
<比較例2>
有効塩素濃度を7質量%にした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。
ろ過上物のカルボキシル基量は0.09mmol/gであり、セルロース系原料との差は僅かであり、酸化はほとんど進まなかった。取得量は0.69gであり、セルロース原料から大幅減少はなかった。
酸化が進まなかったため、ナノ化させる工程は実施しなかった。

Claims (3)

  1. 有効塩素濃度が14〜43質量%の次亜塩素酸またはその塩を用いて、セルロース系原料を酸化させて酸化セルロースを製造する工程と、該酸化セルロースを解繊処理してナノ化させる工程とを有するセルロースナノファイバーの製造方法。
  2. 有効塩素濃度が18〜43質量%の次亜塩素酸またはその塩である請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
  3. 次亜塩素酸またはその塩が次亜塩素酸ナトリウムである請求項1または請求項2に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
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