JPWO2018225784A1 - ワクチン組成物及びアジュバント - Google Patents

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Abstract

本発明は、優れたワクチン組成物及びアジュバントを提供することを目的とする。本発明に係るワクチン組成物は、免疫誘導のための抗原と、金属有機構造体とを含んでいる。本発明に係るアジュバントは、金属有機構造体を含んでいる。【選択図】なし

Description

本発明は、ワクチン組成物及びアジュバントに関する。
従来、感染症の予防又は治療のために、多数のワクチン組成物が利用されている。また、抗原性の補強のため、ワクチン組成物にアジュバントを添加することも一般的に行われている。
他方、免疫学とは全く異なるガス分離などの分野で、金属有機構造体(Metal−Organic Framework; MOF)又は多孔性配位高分子(Porous Coordination Polymer; PCP)と呼ばれる物質群が注目を集めている。金属有機構造体は、金属と多座配位子との組み合わせにより、細孔を有する構造体を形成している。
国際公開2004/037895号公報 国際公開2009/042802号公報
David Farrusseng, Metal−Organic Frameworks: Applications from Catalysis to Gas Storage, Wiley, 2011 Yabing He et al. Methane Storage in Metal−Organic Frameworks, Chem Soc Rev, 2014
本発明は、優れたワクチン組成物及びアジュバントを提供することを目的とする。
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
[1]免疫誘導のための抗原と、金属有機構造体とを含んだワクチン組成物。
[2]免疫シグナル伝達物質を更に含んでいる、[1]に記載のワクチン組成物。
[3]前記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部は、前記金属有機構造体の細孔内に含まれている、[1]又は[2]に記載のワクチン組成物。
[4]前記金属有機構造体は、生体内で分解して前記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を放出するように構成されている、[3]に記載のワクチン組成物。
[5]前記免疫シグナル伝達物質は、分子量が1000以下の小分子である、[2]〜[4]の何れかに記載のワクチン組成物。
[6]前記免疫シグナル伝達物質は、25℃及び100kPaにおいて気体である、[5]に記載のワクチン組成物。
[7]前記免疫シグナル伝達物質は、ケラチノサイト、単球、リンパ球、又は顆粒球に作用する因子である、[2]〜[6]の何れかに記載のワクチン組成物。
[8]前記金属有機構造体は、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、カリウム、及びナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種類の金属元素を含んでいる、[1]〜[7]の何れかに記載のワクチン組成物。
[9]皮膚及び/又は粘膜上に投与されるように構成されている、[1]〜[8]の何れかに記載に記載のワクチン組成物。
[10]皮内注射、皮下注射、又は筋肉内注射により投与されるように構成されている、[1]〜[8]の何れかに記載のワクチン組成物。
[11]金属有機構造体を含んだアジュバント。
[12]前記金属有機構造体は、その細孔内に免疫シグナル伝達物質を含んでいる、[11]に記載のアジュバント。
[13]前記金属有機構造体は、生体内で分解して前記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を放出するように構成されている、[12]に記載のアジュバント。
本発明によると、優れたワクチン組成物及びアジュバントを提供することが可能となる。
図1Aは、金属有機構造体AP004〔MIL−100(Fe)〕のCO吸着プロファイルである。 図1Bは、金属有機構造体AP004〔MIL−100(Fe)〕のNO吸着プロファイルである。 図2は、金属有機構造体AP104(BioMIL−3)のNO吸着プロファイルである。 図3は、マウス血清中抗原特異的抗体価の測定結果を示す図である。 図4Aは、OVA特異的サイトカイン産生量の測定結果を示す図である。 図4Bは、OVA特異的サイトカイン産生量の測定結果を示す図である。
以下、本発明の一態様に係るワクチン組成物及びアジュバントについて説明する。
本発明に係るワクチン組成物は、免疫誘導のための抗原と、金属有機構造体とを含んでいる。ここで、金属有機構造体は、主にアジュバントとして機能する。
抗原としては、免疫応答を誘導し得るあらゆる物質が挙げられる。上記抗原は特に限定されないが、例えば、タンパク質又はペプチドが挙げられる。抗原の皮膚透過性が求められる経皮投与においては、分子量の小さい抗原を用いることが好ましく、例えば、約8〜12個のアミノ酸からなるペプチドを用いることができる。また、上記抗原として、癌抗原ペプチド及び感染性病原体由来抗原などを使用することもできる。
或いは、抗原として、自己抗原(例えば自己免疫疾患に関わる抗原)や内因性抗原(例えば癌由来抗原)及び外来性抗原(例えばアレルギーに関わる抗原及びウイルス・細菌由来抗原)などを使用することもできる。
自己免疫疾患に関わる抗原としては、例えば、アルツハイマー病の原因と考えられているアミロイドβ及び/又はその前駆体並びにその断片タンパク及びペプチド、パーキンソン病の原因と考えられているαシヌクレチン並びにその断片タンパク及びペプチド、シェーングレン症候群の原因と考えられているα−fodrin並びにその断片タンパク及びペプチド、パセドウ病の原因と考えられている甲状腺ホルモン受容体並びにその断片タンパク及びペプチド、ギラン・バレー症候群の原因と考えられているガングリオシド並びにその断片タンパク及びペプチド、全身性エリトマトーデスの原因と考えられているDNA及びその断片、動脈硬化症の原因と考えられているコレステロールエステル転移タンパク質、アポリポタンパク質、及び酸化LDL並びにそれらの断片タンパク及びペプチド、高血圧症の原因と考えられているアンジオテンシンI/II並びにその断片タンパク及びペプチド、1型糖尿病の原因と考えられているインスリン、GAD、及びIL−1β並びにそれらの断片タンパク及びペプチド、重症筋無力症の原因と考えられているアセチルコリン受容体並びにその断片タンパク及びペプチド、慢性関節リウマチの原因と考えられているTNFα及びIL−6並びにそれらの断片タンパク及びペプチド、骨粗鬆症に起因の原因と考えられているTRANCE及びRANKL並びにそれらの断片タンパク及びペプチドが挙げられる。
癌由来抗原としては、例えば、WT1、PR1、GPC3、HER−2、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、チロシナーゼ、gp100、CEA、hTRT、EGF受容体、mTERT、PRAME、PSMA、PSA−1、チトクロムp450、NY−ESO−1、Survivine、MUC−1、MAGE−A10、及びPAP由来のタンパク及びペプチドが挙げられる。
アレルギーに関わる抗原としては、例えば、樹木類に由来するアレルゲン(アカシア、ハンノキ、ビロードアオダイモ、セイヨウブナ、白樺、カエデ、山スギ、赤スギ、ハコヤナギ、ヒノキ、アメリカニレ、アキニレ、トガサワラ、ゴム、ユーカリ、エノキ、ヒッコリー、アメリカシナノキ、サトウカエデ、メスキート、カジノキ、コナラ、オリーブ、ペカン、コショウ、松、イボタツキ、ロシアオリーブ、アメリカスズカケ、ニワウルシ、クロクルミ、クロヤナギ等)、草木類に由来するアレルゲン(ワタ、ギョウギシバ、ナガハグサ、スズメノチャヒキ、トウモロコシ、ヒロハウシノケグサ、セイバンモロコシ、カラスムギ、カモガヤ、コヌカグサ、ホソムギ、コメ、ハルガヤ、オオアワガエリ、ヒユ、アカザ、オナモミ、ギシギシ、セイタカアワダチソウ、イソホウキ、シロザ、キンセンカ、イラクサ、アオビエ、ヘラオオバコ、オオブタクサ、ブタクサ、ブタクサモドキ、ノハラヒジキ、ヤマヨモギ、エニシダ、ヒメスイバ等)、虫由来のアレルゲン(カイコ、ダニ、ミツバチ、スズメバチ、アリ、ゴキブリ等)、菌由来のアレルゲン(アルテルナリア、アスペルギルス、ボツリヌス、カンジダ、セファロスポリウム、カーブラリア、エピコッカム、表皮菌、フザリウム、ヘルムントスポリウム、連鎖クラドスポリウム、ケカビ、ペニシュリウム、プルラリアプルランス、クモノスカビ等)、動物の体毛由来のアレルゲン(犬、猫、トリ等)、ハウスダスト由来のアレルゲン、食物由来のアレルゲン、及び金属アレルギーに関与するハプテンが挙げられる
上記感染性病原体から罹る疾患としては、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV−I、HSV−II、CMV、又はVZV)、ポックスウイルス(例えば、痘瘡若しくはワクシニア、又は、伝染性軟属腫などのオルトポックスウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ライノウイルス又はエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、おたふく風邪ウイルス、はしかウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えば、SARS)、パポバウイルス(例えば、生殖器疣、尋常性胱贅、又は、足底疣費を引き起こすものなどの乳頭腫ウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、肝炎Bウイルス)、フラビウイルス(例えば、肝炎Cウイルス又はデングウイルス)、又は、レトロウイルス(例えば、HIVなどのレンチウイルス)などのウイルス感染から罹る疾患などのウイルス疾患;エシェリキア属、エンテロバクター、サルモネラ、ブドウ球菌、赤痢菌、リステリア、アエロバクター、ヘリコバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、連鎖球菌、クラミジア、マイコプラズマ、肺炎球菌、ナイセリア、クロストリジウム、バシラス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア、クロモバクテリウム、ブルセラ、エルシニア、ヘモフィルス、又は、ボルデテラなどの細菌感染から罹る疾患などの細菌疾患;クラミジア、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎などの真菌疾患;マラリア、ニューモシスティスカリニ肺炎、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、及び、トリパノソーマ感染等が挙げられる。
抗原として特に適合する例としては、卵白アルブミン(OVA)、肺炎球菌、インフルエンザワクチン、Cryj1(スギ花粉の主要アレルゲン)、及び、HPV16組み換えタンパク質が挙げられる。
抗原は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。抗原のワクチン組成物中の含有量は、例えば1×10−7〜1×10−1質量%の範囲内とし、好ましくは1×10−6〜1×10−2質量%の範囲内とし、より好ましくは2×10−6〜2×10−3質量%の範囲内とする。
金属有機構造体は、上述した通り、金属と多座配位子との組み合わせによって構成されている。金属有機構造体がアジュバントとして作用する機構は詳らかではないが、本発明者らは、金属有機構造体の金属及び/又は配位子が抗原及び/又は免疫細胞と相互作用することに起因しているのではないかと推測している。なお、ここで「多座配位子」とは、二座以上の配位子を意味している。
上記金属有機構造体の種類に特に制限はない。金属イオンの種類及び配位数と、多座配位子の種類及びトポロジーとを適切に組み合わせることにより、所望の構造を有する金属有機構造体を製造することができる。金属有機構造体は、生体内で分解するように構成されていてもよい。この場合、金属有機構造体を構成する金属及び配位子が露出しやすくなることにより、金属有機構造体のアジュバントとしての機能がより高くなり得る。なお、金属有機構造体は、結晶性であってもよく、非晶質であってもよい。
金属有機構造体を構成する金属元素としては、例えば、アルカリ金属(第1族)、アルカリ土類金属(第2族)、及び遷移金属(第3族〜第12族)に属する任意の元素が挙げられる。これらのうち、生体適合性の観点から、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、カリウム、及びナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種類の金属元素を用いることが特に好ましい。但し、これら以外の金属元素を用いる場合であっても、金属有機構造体としての生体適合性が担保されていれば問題はない。
金属有機構造体を構成する多座配位子は、典型的には有機配位子であり、例えば、カルボン酸アニオン、並びに、複素環化合物が挙げられる。カルボン酸アニオンとしては、例えばジカルボン酸又はトリカルボン酸が挙げられる。具体的には、例えば、クエン酸、リンゴ酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシル酸、及びこれらの誘導体のアニオンが挙げられる。複素環化合物としては、例えば、ビピリジン、イミダゾール、アデニン、及びこれらの誘導体が挙げられる。或いは、配位子は、アミン化合物、スルホン酸アニオン又はリン酸アニオンであってもよい。なお、金属有機構造体は、単座配位子を更に含んでいてもよい。
金属有機構造体を構成する金属及び配位子の組み合わせは、その機能や所望する細孔のサイズに応じて、適宜決定することができる。なお、金属有機構造体は、2種類以上の金属元素を含んでいてもよく、2種類以上の配位子を含んでいてもよい。また、金属有機構造体は、ポリマーなどにより表面修飾されていてもよい。
金属有機構造体の具体例としては、例えば、非特許文献2の表1に挙げられているものを使用することができる。或いは、金属有機構造体として、以下の表1乃至3に示すものを使用してもよい。なお、これらは非限定的な列挙であり、これら以外の金属有機構造体を用いてもよい。
Figure 2018225784
Figure 2018225784
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特に好ましい金属有機構造体としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2018225784
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Figure 2018225784
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金属有機構造体は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。金属有機構造体のワクチン組成物中の含有量は、例えば1×10−7〜99.9999999質量%の範囲内とし、好ましくは1×10−6〜99.999999質量%の範囲内とし、より好ましくは5×10−6〜99.99999質量%の範囲内とする。
本発明の一態様に係るワクチン組成物は、免疫シグナル伝達物質を更に含んでいてもよい。このような構成を採用することにより、ワクチン組成物を投与する効果を更に向上させることができる。なお、ここで「免疫シグナル伝達物質」とは、免疫細胞の活性化や分化などを誘導するための免疫シグナルを伝達するために使用される任意の物質を意味している。免疫シグナル伝達物質は、例えば、インターロイキン、ケモカイン、インターフェロン、造血因子、細胞増殖因子、及び細胞壊死因子などのサイトカインであってもよく、後述する気体分子などの小分子であってもよい。なお、ここで「小分子」とは、分子量が1000以下の分子を意味している。
免疫シグナル伝達物質は、例えば、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞など)、単球(マクロファージ、ランゲルハンス細胞、樹状細胞など)、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球など)、及び/又はケラチノサイトに作用する因子である。免疫シグナル伝達物質は、例えば、リンパ球の一種であるヘルパーT細胞の、Th1細胞、Th2細胞、Treg細胞、Th17細胞、Tfh細胞、及びメモリーT細胞などの各系列への分化を誘導するための因子であってもよい。免疫シグナル伝達物質がTh1細胞を誘導する場合、本発明に係るワクチン組成物は、例えば、癌ワクチン用及び感染症ワクチン用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がTh2細胞を誘導する場合、本発明に係るワクチン組成物は、例えば、感染症ワクチン用及び生活習慣病ワクチン用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がTreg細胞を誘導する場合、本発明に係るワクチン組成物は、例えば、アレルギーワクチン用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がTh17細胞を誘導する場合、本発明に係るワクチン組成物は、例えば、感染症ワクチン用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がTfh細胞を誘導する場合、本発明に係るワクチン組成物は、例えば、感染症ワクチン用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がメモリーT細胞を誘導する場合、本発明に係るワクチン組成物は、例えば、感染症ワクチン用又は癌ワクチン用に使用することができる。
上記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部は、上記金属有機構造体の細孔内に含まれていることが好ましい。これにより、免疫シグナル伝達物質のより安定的且つ定量的な投与が可能となる。なお、免疫シグナル伝達物質の他の一部は、抗原や金属有機構造体の表面に付着していてもよい。また、免疫シグナル伝達物質のほぼ全部が金属有機構造体の細孔内に含まれていてもよい。
なお、上記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部が上記金属有機構造体の細孔内に含まれている場合、金属有機構造体は、不可逆的な吸着脱着プロファイルを有することが好ましい。即ち、金属有機構造体は、同一圧力において、脱着時における吸着量が、吸着時における吸着量より大きいことが好ましい。特に、金属有機構造体は、真空状態から加圧状態への吸着を行った後に加圧状態からの真空状態への脱着を行った際の吸着残存量がゼロでないことが好ましい。このような場合、低圧条件下(例えば大気圧下)においても、金属有機構造体の細孔内に免疫シグナル伝達物質を保持しやすくなる。
また、免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部が金属有機構造体の細孔内に含まれている場合、金属有機構造体は、生体内で分解して前記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を放出するように構成されていることが好ましい。これにより、免疫シグナル伝達物質の投与量及び放出速度などの微調整を行うことができる。また、金属有機構造体を構成する金属及び配位子が露出しやすくなり、金属有機構造体自体のアジュバントとしての機能が更に向上し得る。
上述した通り、免疫シグナル伝達物質は、小分子であってもよい。この場合、免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を金属有機構造体の細孔内に含有させることが容易になる。なお、ここで「小分子」とは、分子量が1000以下の分子を意味している。
免疫シグナル伝達物質は、25℃及び100kPa(SATP)において気体であることがより好ましい。この場合、免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を金属有機構造体の細孔内に含有させることが更に容易になる。
近年、気体分子などの小分子が免疫シグナル伝達物質として機能していることが明らかになりつつある。例えば、一酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、及びメタンなどの気体分子は、免疫担当細胞に作用していることが明らかになっている。しかしながら、従来、気体分子などの小分子を安定的且つ定量的に生体内に投与する方法は全く知られておらず、当業者は試みもしていなかった。これに対し、本発明者らは、気体分子などの小分子を金属有機構造体と共に用いることにより、気体分子などの小分子を、安定的且つ定量的に生体内に投与し得ることを見出した。
免疫シグナル伝達物質としての小分子又は気体分子には、特に制限はない。このような免疫シグナル伝達物質としては、例えば、下記表10に示す化合物が挙げられる。なお、これらは非限定的な列挙であり、これら以外の小分子又は気体分子を用いてもよい。
Figure 2018225784
免疫シグナル伝達物質は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。免疫シグナル伝達物質のワクチン組成物中の含有量は、例えば1×10−7〜40質量%の範囲内とし、好ましくは1×10−6〜30質量%の範囲内とし、より好ましくは5×10−5〜25質量%の範囲内とする。
なお、金属有機構造体の細孔内に免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を含有させる場合、その方法に制限はない。例えば、金属有機構造体の溶液又は分散液と免疫シグナル伝達物質の溶液又は分散液とを混合してもよい。或いは、固体の金属有機構造体を免疫シグナル伝達物質又はその溶液若しくは分散液にさらしてもよい。特に、免疫シグナル伝達物質が気体である場合には、金属有機構造体を当該気体にさらしてもよい。
本発明の一態様に係るワクチン組成物は、金属有機構造体以外の既知のアジュバントを更に含んでいてもよい。また、ワクチン組成物は、TLRリガンド、RLRリガンド、NLRリガンド及び環状ジヌクレオチドなどの免疫賦活化剤を更に含んでいてもよい。
本発明の一態様に係るワクチン組成物は、例えば、溶媒に溶解又は分散させた状態で使用することができる。溶媒としては、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、又は油脂を使用することができる。
本発明に係るワクチン組成物は、任意の方法により対象に投与されうる。ここで「対象」とは、実用段階においてワクチン組成物を投与して免疫応答を誘導し得るいずれかの動物、典型的にはヒトを含む哺乳類、例えばマウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、サル、チンパンジー、フェレット、モグラ等を意味する。特に好ましい対象は、ヒトである。
本発明の一態様に係るワクチン組成物は、例えば、皮膚及び/又は粘膜上に投与されるように構成されている。
経皮投与を行う場合、ワクチン組成物は、経皮投与に通常使用されるいずれかの製剤、例えばリニメント剤若しくはローション剤外用液剤、エアゾール剤などの外用スプレー剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゲル剤、又は、テープ剤若しくはパップ剤などの貼付剤であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
粘膜投与を行う場合、ワクチン組成物は、粘膜投与、例えば舌下、経鼻、頬側、直腸又は膣投与に通常使用されるいずれかの製剤、例えばゲル剤(ゼリー剤)、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤などの半固形剤、液剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、フィルム剤や錠剤、口腔内崩壊錠等の固形製剤、エアゾール剤のような粘膜用スプレー剤、吸引剤等であってよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
本発明の一態様に係るワクチン組成物は、例えば、皮内注射、皮下注射、又は筋肉内注射により投与されるように構成されている。皮内、皮下、又は筋肉内投与を行う場合、医薬組成物は、例えば液剤、懸濁剤、クリーム剤などの注射投与可能なある程度の流動性を有する様態であればよい。これらの組成物の区分、定義、性質、製法等は、当該技術分野において周知であり、例えば日本薬局方第16版を参照されたい。
ワクチン組成物は、必要に応じて、添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤は、基剤の主成分、抗原及び金属有機構造体との適合性、意図する投与レジメン等に応じて、例えば、皮膚透過性増強剤、等張化剤、防腐・殺菌剤、酸化防止剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤、充填剤、pH調節剤、安定化剤、吸収促進剤、放出速度制御剤、着色剤、可塑剤、粘着剤等、又はそれらの2種以上の組合せから選択され得る。
本発明に係るアジュバントは、金属有機構造体を含んでいる。このアジュバントは、抗原とは別に使用されてもよい。例えば、抗原を対象に投与した後に、アジュバントを別途投与してもよい。或いは、アジュバントを投与した後に、抗原を投与してもよい。
アジュバントを構成する金属有機構造体は、生体内で分解するように構成されていてもよい。また、この金属有機構造体は、その細孔内に免疫シグナル伝達物質を含んでいてもよい。更に、この金属有機構造体は、生体内で分解して、細孔内に含まれている免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を放出するように構成されていてもよい。金属有機構造体の細孔内に免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を含有させる方法としては、例えば、先に説明したのと同様の方法を用いることができる。また、このようなアジュバントの投与方法についても、例えば、先にワクチン組成物について説明したのと同様の方法を用いることができる。
また、上述した通り、免疫シグナル伝達物質は、例えば、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞など)、単球(マクロファージ、ランゲルハンス細胞、樹状細胞など)、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球など)、及び/又はケラチノサイトの活性化や分化などを誘導するための因子である。この免疫シグナル伝達物質は、例えば、ナイーブヘルパーT細胞のTh1細胞、Th2細胞、Treg細胞、Th17細胞、Tfh細胞、及びメモリーT細胞などの各系列への分化を誘導するための因子であってもよい。免疫シグナル伝達物質がTh1細胞を誘導する場合、本発明に係るアジュバントは、例えば、癌ワクチン用、感染症ワクチン用、又は抗がん剤併用薬として使用することができる。免疫シグナル伝達物質がTh2細胞を誘導する場合、本発明に係るアジュバントは、例えば、感染症ワクチン用又は生活習慣病ワクチン用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がTreg細胞を誘導する場合、本発明に係るアジュバントは、例えば、アレルギーワクチン用又は臓器移植用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がTh17細胞を誘導する場合、本発明に係るアジュバントは、例えば、感染症ワクチン用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がTfh細胞を誘導する場合、本発明に係るアジュバントは、例えば、感染症ワクチン用に使用することができる。免疫シグナル伝達物質がメモリーT細胞を誘導する場合、本発明に係るアジュバントは、例えば、感染症ワクチン用又は癌ワクチン用に使用することができる。
[サンプル調製]
(実施例1)
生理食塩水(大塚生食注、大塚製薬)100mLに、NO(一酸化窒素、京都帝酸)を室温下で6時間バブリングし、NO飽和生理食塩水を調製した。当該溶液10mLにZIF−8(Basolite Z1200、SIGMA−ALDRICH)1mg及びOVA(卵由来アルブミン、Wako)1mgを添加混合しサンプル溶液とした。
(実施例2)
生理食塩水(大塚生食注、大塚製薬)10mLにZIF−8(Basolite Z1200、SIGMA−ALDRICH)1mg及びOVA(卵由来アルブミン、Wako)1mgを添加混合しサンプル溶液とした。
(比較例1)
生理食塩水(大塚生食注、大塚製薬)をサンプル溶液とした。
(比較例2)
生理食塩水(大塚生食注、大塚製薬)10mLにOVA(卵由来アルブミン、Wako)1mgを添加混合しサンプル溶液とした。
(参考例1)
生理食塩水(大塚生食注、大塚製薬)10mLにZIF−8(Basolite Z1200、SIGMA−ALDRICH)1mgを添加混合しサンプル溶液とした。
(参考例2)
生理食塩水(大塚生食注、大塚製薬)100mLにNO(一酸化窒素、京都帝酸)を室温下で6時間バブリングし、NO飽和生理食塩水を調製した。当該溶液10mLにZIF−8(Basolite Z1200、SIGMA−ALDRICH)1mgを添加混合しサンプル溶液とした。
以上の構成を下記表11に示す。
Figure 2018225784
(実施例3〜6)
抗原として下記表12に示すものを用いたことを除いては、実施例1と同様にして、サンプル溶液を調製した。
Figure 2018225784
(実施例7〜35)
免疫シグナル伝達物質として下記表13に示すものを用いたことを除いては、実施例1と同様にして、サンプル溶液を調製した。
Figure 2018225784
(実施例36〜145)
金属有機構造体として下記表14乃至16に示すものを用いたことを除いては、実施例1と同様にして、サンプル溶液を調製した。なお、表14乃至16中の略称は、それぞれ、表1乃至3に記載したものと同様である。
Figure 2018225784
Figure 2018225784
Figure 2018225784
[腹腔内細胞(PEC細胞)の採取]
4重量%チオグリコール酸溶液2mLをマウスに腹腔内投与し、3日後腹腔内の細胞を取り出した。これをPBS(Phosphate Buffered Saline )で洗浄した。
[サンプル刺激]
24ウェルプレートにPEC細胞1×10cells/wellで分注し、各サンプルを添加し、24時間インキュベートした。
[サイトカイン測定]
各サイトカイン(TNF−α、IL−6、IFN−γ、IL−12p40、IL−10)に対応したELISAキット(Quantikine ELISA kit, R&D Systems)を使用して、細胞培養液上清50μL/wellを用いて評価を行った。その結果を下記表17に示す。
Figure 2018225784
−:比較例1の2倍未満のサイトカイン放出量
+:比較例1の2倍以上3倍未満のサイトカイン放出量
++:比較例1の3倍以上のサイトカイン放出量
[マウス血清中OVA特異的IgG力価測定(ELISA法)]
ELISA用96ウェルプレートに炭酸緩衝液にて希釈したOVA含有溶液(100μg/mL)を100μLずつ添加し、一晩放置した。予め準備した洗浄液(Tween20含有PBS)で3回ウェルを洗浄し、ブロッキング剤(Block Ace、大日本住友製薬)を精製水で4g/100mLに希釈したブロッキング溶液を200μLずつ添加し、2時間室温で放置した。その後、洗浄液で3回ウェルを洗浄した。
予めマウスから採取した血清を4℃、3000gで10分間遠心分離し、上清を回収した。ブロッキング剤をリン酸緩衝液(ナカライテスク)で0.4g/100mLに希釈した溶液を用いて、前述の上清もしくは鼻腔洗浄液を2倍ずつ段階希釈し、その溶液をそれぞれ50μLずつ添加し、2時間室温で放置した。
その後、洗浄液で3回ウェルを洗浄し、ブロッキング剤をリン酸緩衝液(ナカライテスク)で0.4g/100mLに希釈した溶液でHRP標識抗マウスIgG抗体(Goat−anti mouse IgG Fc HRP、BETHYL)を10000倍に希釈し、100μLずつ添加し、1時間室温で放置した。その後、洗浄液で3回ウェルを洗浄し、TMB溶液(ELISA POD TMBキット、ナカライテスク)を100μLずつ添加し、暗所にて30分放置した。その後、1M硫酸溶液を100μLずつ添加し、当該96ウェルプレートをマイクロプレートリーダー(SpectraMax、モレキュラーデバイス)で450nmの吸光度を測定した。段階希釈時の吸光度を基に、マウス血清中のIgG抗体力価をLog2で求めた。
[マウスを用いた液性免疫評価]
上記の通りに製造した液剤を用いて、液性免疫評価用モデル動物を用いてマウス免疫試験を行った。予め準備したマウス(BALB/cマウス、メス7週齢)背部皮下に注射剤200μLを投与した。当該投与から1週間後、再度マウス背部皮下に同様に投与した。2度目の投与から更に2週間後に、マウス血清を採取し、血清中OVA特異的IgG力価を、上述したELISA法により測定した。
[OVA抗原特異的CTL測定(ELISPOT法)]
抗マウスIFN−γ抗体を固定化したELISPOTプレート(R&D Systems)のウェルに、脾細胞(3x10cells/well)と抗原ペプチド(100μM)又は抗原タンパク(100μg/mL)とを培養液と共に入れ、37℃、5% COの培養条件にて20時間共培養し、ELISPOT法にてIFN−γ産生細胞スポット数(スポット数/3x10cells)を測定した。
[マウスを用いた細胞性免疫評価]
上記の通りに製造した液剤を用いて、細胞性免疫評価用モデル動物を用いてマウス免疫試験を行った。予め準備したマウス(C57BL/6マウス、メス7週齢)背部皮下に注射剤200μLを投与した。当該投与から1週間後、再度マウス背部皮下に同様に投与した。2度目の投与から更に1週間後に、マウス脾臓を採取し、OVA抗原特異的CTLを、上述したELISPOT法により測定した。
これらの結果を下記表18に示す。
Figure 2018225784
−:比較例1の4倍未満の抗体産生量、又は30cells/well未満のCTL数
+:比較例1の4倍以上8倍未満のサイトカイン放出量、又は30cells/well以上100cells/well未満のCTL数
++:比較例1の8倍以上16倍未満のサイトカイン放出量、又は100cells/well以上300cells/well未満のCTL数
+++:比較例1の16倍以上のサイトカイン放出量、又は300cells/well以上のCTL数
[金属有機構造体の合成]
表4乃至表9に示した金属有機構造体を準備した。これらのうち、公知物質については、文献法に従って合成した。新規物質については、金属硝酸塩と配位子とをDMF存在下で水熱処理することによって合成した。
[金属有機構造体の吸着特性評価]
吸着量の測定は、BELSORP−max12(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて行った。なお、金属有機構造体は、粉末状態のものを使用した。その結果の一部を、図1A、図1B及び図2に示す。図1Aは、AP004〔MIL−100(Fe)〕のCO吸着プロファイルである。図1Bは、AP004〔MIL−100(Fe)〕のNO吸着プロファイルである。図2は、AP104(BioMIL−3)のNO吸着プロファイルである。これらの例では、吸着脱着プロファイルが不可逆的であった。即ち、同一圧力において、脱着時における吸着量が、吸着時における吸着量より大きかった。また、真空状態から加圧状態への吸着を行った後に加圧状態からの真空状態への脱着を行った際の吸着残存量がゼロでなかった。
[金属有機構造体への免疫シグナル伝達物質の導入]
下記の一部の例において、金属有機構造体に免疫シグナル伝達物質を導入した化合物を使用した。具体的には、まず、窒素フロー下で、金属有機構造体を加熱してデガス処理を行った。次に、室温に戻したサンプルを、免疫シグナル伝達物質にさらした。特に、免疫シグナル伝達物質が気体である場合には、室温に戻したサンプルをガスフローにさらした。次に、室温下で窒素フローを行って、余分な免疫シグナル伝達物質を排出した。このようにして、金属有機構造体に免疫シグナル伝達物質を導入した化合物を得た。
なお、上記化合物については、その一部を窒素フロー下で加熱した際に、検知管で免疫シグナル伝達物質が検出されることを確認した。このようにして、金属有機構造体に免疫シグナル伝達物質が導入されていることを確認した。
[マウス免疫試験]
下記表19の組成を有する注射剤を調製した。具体的には、表19中に明記した配合量で、抗原及び金属有機構造体を秤取し、そこにグリセリンを加え、混和してワクチン組成物を得た。なお、表中、MOFは金属有機構造体を意味し、Glyはグリセリンを意味している。また、一部の例においては、金属有機構造体に免疫シグナル伝達物質を吸着させたものを用いた。
Figure 2018225784
上記の通りに製造した液剤を用いて、予め準備したマウス(BALB/cマウス、メス7週齢)背部皮下に注射剤50μLを投与した。当該投与から2週間後、再度マウス背部皮下に同様に投与した。
2度目の投与から更に2週間後に、マウス血清及び脾臓細胞を採取し、血清中OVA特異的IgG抗体及びIgG2a抗体をELISA法により測定した。また、脾臓細胞を用い、OVA特異的IFN−γ及びIL−4の産生量も同時に評価した。具体的な評価方法は以下の通りである。
〔マウス血清中抗原特異的抗体価の測定(ELISA法)〕
抗原として、炭酸緩衝液にて希釈したOVA含有溶液(100μg/mL)を準備した。これを、ELISA用96ウェルプレートに100μLずつ添加し、一晩放置した。
予め準備した洗浄液(Tween20含有PBS)で3回ウェルを洗浄した。ブロッキング剤(Block Ace、大日本住友製薬)を精製水で4g/100mLに希釈したブロッキング溶液を200μLずつ添加し、2時間室温で放置した。その後、洗浄液で3回ウェルを洗浄した。
予めマウスから採取した血清を4℃、3000gで10分間遠心分離し、上清を回収した。ブロッキング剤をリン酸緩衝液(ナカライテスク)で0.4g/100mLに希釈した溶液を用いて、前述の上清を2倍ずつ段階希釈した。得られた希釈溶液をそれぞれ50μLずつ添加し、2時間室温で放置した。
その後、洗浄液で3回ウェルを洗浄した。また、ブロッキング剤をリン酸緩衝液(ナカライテスク)で0.4g/100mLに希釈した溶液で、HRP標識抗マウスIgG抗体(Goat−anti mouse IgG Fc HRP、BETHYL)又はHRP標識抗マウスIgG2a抗体(Goat−anti mouse IgG2a Fc HRP、BETHYL)を10000倍に希釈した。この希釈液を、100μLずつ添加し、1時間室温で放置した。
その後、洗浄液で3回ウェルを洗浄し、TMB溶液(ELISA POD TMBキット、ナカライテスク)を100μLずつ添加し、暗所にて30分放置した。
さらに、1M硫酸溶液を100μLずつ添加し、96ウェルプレートの各々について、マイクロプレートリーダーを用いて450nmにおける吸光度を測定した。段階希釈時の吸光度を基に、マウス血清中のIgG抗体力価又はIgG2a抗体力価をLog2で求めた。
これらの結果を、図3に示す。図3に示す通り、金属有機構造体を使用することにより、免疫特性を制御することができた。また、金属有機構造体と免疫シグナル伝達物質とを組み合わせることにより、免疫特性を更に変化させることができた。
〔OVA特異的サイトカイン産生量の測定(ELISA法)〕
予めマウスから採取した脾臓細胞4×10cells/wellを、ELISA用96ウェルプレートに100μLずつ添加した。これらに、RPMI培地にて希釈したOVA含有溶液(100μg/mL)を100μLずつ添加し、72時間放置した。この培養上清を採取し、マウスIFNーγ ELISAキット及びマウスIL−4 ELISAキット(R&D systems)を用いて、各サイトカイン産生量の定量を行った。
これらの結果を、図4A及び図4Bに示す。図4A及び図4Bに示す通り、金属有機構造体を使用することにより、免疫特性を制御することができた。また、金属有機構造体と免疫シグナル伝達物質とを組み合わせることにより、免疫特性を更に変化させることができた。

Claims (13)

  1. 免疫誘導のための抗原と、金属有機構造体とを含んだワクチン組成物。
  2. 免疫シグナル伝達物質を更に含んでいる、請求項1に記載のワクチン組成物。
  3. 前記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部は、前記金属有機構造体の細孔内に含まれている、請求項1又は2に記載のワクチン組成物。
  4. 前記金属有機構造体は、生体内で分解して前記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を放出するように構成されている、請求項3に記載のワクチン組成物。
  5. 前記免疫シグナル伝達物質は、分子量が1000以下の小分子である、請求項2乃至4の何れか1項に記載のワクチン組成物。
  6. 前記免疫シグナル伝達物質は、25℃及び100kPaにおいて気体である、請求項5に記載のワクチン組成物。
  7. 前記免疫シグナル伝達物質は、ケラチノサイト、単球、リンパ球、又は顆粒球に作用する因子である、請求項2乃至6の何れか1項に記載のワクチン組成物。
  8. 前記金属有機構造体は、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、カリウム、及びナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種類の金属元素を含んでいる、請求項1乃至7の何れか1項に記載のワクチン組成物。
  9. 皮膚及び/又は粘膜上に投与されるように構成されている、請求項1乃至8の何れか1項に記載のワクチン組成物。
  10. 皮内注射、皮下注射、又は筋肉内注射により投与されるように構成されている、請求項1乃至8の何れか1項に記載のワクチン組成物。
  11. 金属有機構造体を含んだアジュバント。
  12. 前記金属有機構造体は、その細孔内に免疫シグナル伝達物質を含んでいる、請求項11に記載のアジュバント。
  13. 前記金属有機構造体は、生体内で分解して前記免疫シグナル伝達物質の少なくとも一部を放出するように構成されている、請求項12に記載のアジュバント。

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