JPWO2018211793A1 - 透明導電膜用スパッタリングターゲット - Google Patents

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Abstract

構成元素がIn、Sn、SiおよびO、またはIn、SiおよびOであり、Inの含有比率がIn2O3換算で70.0質量%以上85.0質量%未満であり、Snの含有比率がSnO2換算で0質量%以上10.0質量%以下であり、Siの含有比率がSiO2換算で15.0質量%より大きく、20.0質量%以下である酸化物焼結体からなる透明導電膜用スパッタリングターゲットであって、前記スパッタリングターゲットのX線回折測定において、Siがすべてトルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物のピークとして現れる透明導電膜用スパッタリングターゲット。本発明の導電膜形成用スパッタリングターゲットは、比抵抗が低く、DCスパッタリングを行うことが可能であり、ノジュールやアーキングの発生が少ない。また、スパッタリングにより、高い膜比抵抗および高いエッチング加工性を有する透明導電膜を形成することができる。

Description

本発明は、透明導電膜用スパッタリングターゲットに関し、詳しくは、DCスパッタリングが可能であり、高いエッチング加工性を有する透明導電膜を成膜できる透明導電膜用スパッタリングターゲットに関する。
インセル型の静電容量型タッチパネルに使用される透明導電膜には、低周波ノイズによるディスプレイ動作の妨害を阻止するために、高抵抗、高透過率が要求される。導電膜が低抵抗だと、タッチ感知に使用される高周波信号が遮断されてしまうからである。
この導電性膜は、通常スパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより形成される。
高透過率材料として、ITOが主に使用されているが、ITOは抵抗が低いので、インセル型の静電容量型タッチパネルの導電性膜には使用できない。
高抵抗材料を得る技術としてITOに絶縁酸化物を添加する技術がある。しかし、ITOに絶縁酸化物を添加するとエッチング加工性が低くなるという欠点があり、導電膜に対してエッチングを施す用途等において、使用が困難になる。
たとえば特許文献1に、ITOを主原料とし、7.2〜11.2原子%のケイ素を含有し、比抵抗が100〜103Ωcmである透明導電膜が開示されている。特許文献2に、酸化インジウムと酸化スズと酸化珪素とからなる透明導電膜用スパッタリングターゲットをスパッタリングして得られた抵抗率0.8〜10×10-3Ωcmの透明導電膜が開示されている。しかしながら、いずれの導電膜もエッチング加工性が低い。
その他、高抵抗膜が多く報告されているが、その膜の成膜に使用されるターゲットの抵抗も高くなる。ターゲットの抵抗が高いと、DC電源でスパッタリングできず、RF電源で高抵抗の膜を作製しなければならないので、生産性が悪い。
特許第5855948号公報 特許第4424889号公報
本発明は、DCスパッタリングを行うことが可能であり、ノジュールやアーキングの発生が少なく、また比抵抗が高く、エッチング加工性の高い透明導電膜を形成することができるスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明の透明導電膜用スパッタリングターゲットは、構成元素がIn、Sn、SiおよびO、またはIn、SiおよびOであり、Inの含有比率がIn23換算で70.0質量%以上85.0質量%未満であり、Snの含有比率がSnO2換算で0質量%以上10.0質量%以下であり、Siの含有比率がSiO2換算で15.0質量%より大きく、20.0質量%以下である酸化物焼結体からなる透明導電膜用スパッタリングターゲットであって、
前記スパッタリングターゲットのX線回折測定において、Siがすべてトルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物のピークとして現れる。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットは、比抵抗が2.0×102Ωcm以下であることが好ましい。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットは、相対密度が98.0%以上であることが好ましい。
本発明の透明導電膜は、構成元素がIn、Sn、SiおよびO、またはIn、SiおよびOであり、Inの含有比率がIn23換算で73.0質量%以上87.0質量%以下であり、Snの含有比率がSnO2換算で0質量%以上9.0質量%以下であり、Siの含有比率がSiO2換算で13.0質量%以上18.0質量%以下である。
前記透明導電膜は、膜比抵抗が1.0×100Ωcm以上であることが好ましく、エッチングレートが11.0Å/secより大きいことが好ましい。
本発明の透明導電膜の製造方法は、前記透明導電膜用スパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより成膜を行う。
前記透明導電膜の製造方法において、前記透明導電膜の膜比抵抗が1.0×100Ωcm以上であることが好ましく、前記透明導電膜のエッチングレートが11.0Å/secより大きいことが好ましい。
本発明の導電膜形成用スパッタリングターゲットは、比抵抗が低く、DCスパッタリングを行うことが可能であり、ノジュールやアーキングの発生が少ない。また、スパッタリングにより、高い膜比抵抗および高いエッチング加工性を有する透明導電膜を形成することができる。本発明の透明導電膜の製造方法は、高い比抵抗および高いエッチング加工性を有する透明導電膜を製造することができる。
図1は、実施例3で得られたスパッタリングターゲットのX線回折パターンである。
本発明の透明導電膜用スパッタリングターゲットは、構成元素がIn、Sn、SiおよびO、またはIn、SiおよびOであり、Inの含有比率がIn23換算で70.0質量%以上85.0質量%未満であり、Snの含有比率がSnO2換算で0質量%以上10.0質量%以下であり、Siの含有比率がSiO2換算で15.0質量%より大きく、20.0質量%以下である酸化物焼結体からなる。本発明の透明導電膜用スパッタリングターゲットのような酸化物焼結体からなるターゲットには原料等に由来する不可避的不純物が含まれ得るのは当然であり、本発明の透明導電膜用スパッタリングターゲットにも不可避的不純物が含まれる場合はある。本発明の透明導電膜用スパッタリングターゲットにおける不可避的不純物の含有量は、通常100ppm以下である。
なお、本発明において構成元素とは、スパッタリングターゲットまたは透明導電膜における不可避的不純物を除く構成元素を意味し、各構成元素の含有比率は、スパッタリングターゲットまたは透明導電膜全体に占める各構成元素の含有比率を意味する。
本発明の透明導電膜用スパッタリングターゲットは、通常のITOスパッタリングターゲットに比較してSnの含有比率が低いかまたはSnを含有せず、また比較的高濃度のSiを含有することを特徴とする。
前記酸化物焼結体の構成元素は、In、Sn、SiおよびO、またはIn、SiおよびOである。前記酸化物焼結体において、Inの含有比率はIn23換算で70.0質量%以上85.0質量%未満、好ましくは73.0質量%以上84.0質量%以下、より好ましくは76.0質量%以上84.0質量%以下であり、Snの含有比率はSnO2換算で0質量%以上10.0質量%以下、好ましくは0質量%以上7.0質量%以下、より好ましくは0質量%以上5.0質量%以下であり、Siの含有比率はSiO2換算で15.0質量%より大きく、20.0質量%以下、好ましくは16.0質量%以上20.0質量%以下、より好ましくは16.0質量%以上19.0質量%以下である。なお、前記透明導電膜用スパッタリングターゲットの組成は、前記酸化物焼結体の組成と同一である。
前記組成を有する酸化物焼結体からなる透明導電膜用スパッタリングターゲットは、比抵抗が低いので、DCスパッタリングを行うことが可能である。前記透明導電膜用スパッタリングターゲットの比抵抗は、2.0×102Ωcm以下であることが好ましく、1.5×102Ωcm以下であることがより好ましく、1.0×102Ωcm以下であることがさらに好ましい。通常、ターゲットの比抵抗が102Ωcm台以下であるとDCスパッタリングを行うことが可能である。
前記組成を有する酸化物焼結体からなる透明導電膜用スパッタリングターゲットは、スパッタリングにより、膜比抵抗が高い透明導電膜を形成することができる。このため、前記透明導電膜用スパッタリングターゲットから得られる透明導電膜をインセル型の静電容量型タッチパネルに使用すると、低周波ノイズによるディスプレイ動作の妨害を阻止することができる。前記透明導電膜用スパッタリングターゲットを用いれば、1.0×100Ωcm以上の膜比抵抗を有する透明導電膜を得ることができる。前記透明導電膜の膜比抵抗は、好ましくは1.1×100Ωcm以上、より好ましくは1.2×100Ωcm以上である。前記透明導電膜の膜比抵抗の上限は、特に定めるものではないが、通常5.0×105Ωcmである。
前記組成を有する酸化物焼結体からなる透明導電膜用スパッタリングターゲットは、スパッタリングにより、エッチング加工性の高い透明導電膜を形成することができる。高いエッチング加工性は、エッチングレートが速いということで評価することができる。前記透明導電膜用スパッタリングターゲットから得られる透明導電膜は、エッチングレートが11.0Å/secより大きいことが好ましく、11.3Å/sec以上であることがより好ましく15.0Å/sec以上であることがさらに好ましく、20.0Å/sec以上であることが一層好ましい。前記透明導電膜のエッチングレートは、40℃に加熱した透明導電膜エッチング液(関東化学社製ITO−07N)の中に、前記透明導電膜の一部を6分間浸すことでエッチングを施し、エッチングを実施した箇所と実施しなかった箇所の膜厚差(段差)とエッチング時間から算出することができる。
In、SnおよびSiを含有する酸化物焼結体からなる透明導電膜用スパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより得られる透明導電膜の膜比抵抗は、該ターゲットのSnおよびSiの含有量が多いほど高くなる。しかし、透明導電膜のエッチング加工性は、Sn含有量が多いと高くならない。このため、透明導電膜の十分なエッチング加工性を得るためには、前記ターゲットのSn含有量をSnO2換算で0質量%以上10.0質量%以下にすることが必要である。前記ターゲットのSn含有量をSnO2換算で0質量%以上10.0質量%以下とした場合、膜比抵抗は低くなるので、高い膜比抵抗を得るためには、その分Si含有量を多くする必要がある。このため、Si含有量はSiO2換算で15.0質量%より多い必要がある。一方、高い膜比抵抗を得るためには、Si含有量はSiO2換算で20.0質量%あれば十分であり、それより多くは必要としない。つまり、本発明の透明導電膜用スパッタリングターゲットは、SnO2換算で0質量%以上10.0質量%以下のSn含有量とSiO2換算で15.0質量%より多く、20.0質量%以下のSi含有量とを組み合わせることにより、DCスパッタリングを行うことが可能となり、またその組み合わせにより、成膜した透明導電膜の高い膜比抵抗と高いエッチング加工性とを両立させることができたのである。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットの相対密度は、好ましくは98.0%以上であり、より好ましくは98.5%以上、さらに好ましくは99.0%以上である。相対密度が98.0%以上であると、ノジュールやアーキングの発生の少ない、効率的なスパッタリングが可能である。相対密度の上限は特に制限はなく、100%を超えてもよい。前記相対密度はアルキメデス法に基づき測定された数値である。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットは、X線回折測定において、Siがすべてトルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物のピークとして現れることが好ましい。つまり、該ターゲットにはトルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物が含まれており、該ターゲットをX線回折測定した場合に、Siがすべてトルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物のピークとして現れ、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物以外のSi化合物のピークとしては現れないことが好ましい。トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物とは、たとえば、In2Si27に代表される化合物である。トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物以外のSi化合物とは、たとえば、SiO2があげられる。前記透明導電膜用スパッタリングターゲットがこの条件を満たすと、部分的な絶縁物の偏析がないため、アーキングやノジュールの発生が少なくなる。
なお、前記透明導電膜用スパッタリングターゲットには、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物相の他、たとえばIn23相、In4Sn312相等が含まれる。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットは、たとえば以下に示すような方法により製造することができる。
まず、原料粉末を混合する。原料粉末は、通常In23粉末、SnO2粉末およびSiO2粉末である。In23粉末、SnO2粉末およびSiO2粉末は、得られる焼結体におけるIn、SnおよびSiの含有量がそれぞれ上記範囲内になるように混合される。なお、原料粉末を混合して得られた混合粉末におけるIn23粉末、SnO2粉末およびSiO2粉末の含有比は、前記酸化物焼結体におけるIn23換算のIn含有比、SnO2換算のSn含有比、およびSiO2換算のSi含有比とそれぞれ一致することが確認されている。
各原料粉末は、通常は粒子が凝集しているため、事前に粉砕して混合するか、あるいは混合しながら粉砕を行うことが好ましい。
原料粉末の粉砕方法や混合方法には特に制限はなく、例えば原料粉末をポットに入れて、ボールミルにより粉砕または混合を行うことができる。
得られた混合粉末は、そのまま成形して成形体とし、これを焼結することもできるが、必要により混合粉末にバインダーを加えて成形して成形体としてもよい。このバインダーとしては、公知の粉末冶金法において成形体を得るときに使用されるバインダー、例えばポリビニルアルコール、アクリルエマルジョンバインダー等を用いることができる。また、混合粉末に分散媒を加えてスラリーを調製し、このスラリーをスプレードライして顆粒を作製し、この顆粒を成形してもよい。
成形方法は、従来粉末冶金法において採用されている方法、たとえばコールドプレスやCIP(冷間等方圧成形)等を用いることができる。
また、混合粉末を一旦仮プレスして仮成形体を作製し、これを粉砕して得られた粉砕粉末を本プレスすることにより成形体を作製してもよい。
なお、スリップキャスト法等の湿式成形法を用いて成形体を作製してもよい。
成形体の相対密度は通常50〜75%である。
得られた成形体を焼成することで焼結体を得ることができる。焼成に使用する焼成炉としては、冷却時に冷却速度をコントロールすることができれば特に制限はなく、粉末冶金に一般的に使用される焼成炉で差し支えない。焼成雰囲気としては酸素含有雰囲気が適している。
昇温速度は、高密度化および割れ防止の観点から、通常100〜500℃/hである。焼成温度は、1300〜1600℃であり、好ましくは1400〜1600℃である。焼成温度が前記範囲内であると、高密度の焼結体を得ることができる。前記焼成温度での保持時間は通常3〜30h、好ましくは5〜20hである。保持時間が前記範囲内であると、高密度の焼結体を得やすい。
上記温度での保持が完了した後、焼成炉内の温度を通常300℃/hr以下、好ましくは100℃/hr以下で降下させて冷却を行う。
このようにして得られた焼結体を、必要に応じて所望の形状に切り出し、研削等することにより前記透明導電膜用スパッタリングターゲットを得ることができる。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットの形状は、平板形および円筒形など特に制限は無い。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットは、通常基材にボンディングして使用される。基材は、通常Cu、Al、Tiまたはステンレス製である。ボンディング材は、従来のITOターゲット材のボンディングに使用されるボンディング材、たとえばInメタルを用いることができる。ボンディング方法も、従来のITOターゲット材のボンディング方法と同様である。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより透明導電膜を成膜することができる。前述のとおり、前記透明導電膜用スパッタリングターゲットは比抵抗が低いので、RFスパッタリングだけでなく、DCスパッタリングを行うことも可能である。
前記透明導電膜用スパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより、構成元素としてIn、Sn、SiおよびO、またはIn、SiおよびOを有する透明導電膜を得ることができる。得られる透明導電膜のSnの含有比率およびSiの含有比率は、前記透明導電膜用スパッタリングターゲットのSnの含有比率およびSiの含有比率よりも低くなる傾向にある。そのため前記透明導電膜は、Inの含有比率がIn23換算で73.0質量%以上87.0質量%以下、好ましくは74.0質量%以上87.0質量%以下であり、Snの含有比率がSnO2換算で0質量%以上9.0質量%以下、好ましくは0質量%以上8.0質量%以下であり、Siの含有比率がSiO2換算で13.0質量%以上18.0質量%以下、好ましくは13.0質量%以上16.0質量%以下である。得られた透明導電膜は、前述のとおり、膜比抵抗およびエッチング加工性が高い。なお、前記透明導電膜用スパッタリングターゲットの場合と同様に、前記透明導電膜にも不可避的不純物が含まれる場合はある。前記透明導電膜における不可避的不純物の含有量は、通常100ppm以下である。
下記実施例および比較例において用いた測定方法を以下示す。
1.ターゲットの相対密度
透明導電膜用スパッタリングターゲットの相対密度はアルキメデス法に基づき測定した。具体的には、ターゲット材の空中質量を体積(ターゲット材の水中質量/計測温度における水比重)で除し、下記式(X)に基づく理論密度ρ(g/cm3)に対する百分率の値を相対密度(単位:%)とした。
ρ=((C1/100)/ρ1+(C2/100)/ρ2+・・・+(Ci/100)/ρi)-1 (X)
(式中C1〜Ciはそれぞれターゲット材の構成物質の含有量(質量%)を示し、ρ1〜ρiはC1〜Ciに対応する各構成物質の密度(g/cm3)を示す。)
下記実施例および比較例においてターゲット材の製造に使用する物質(原料)は、In23、SnO2、SiO2であるため、例えば
C1:ターゲットに使用したIn23原料の質量%
ρ1:In23の密度(7.18g/cm3
C2:ターゲットに使用したSnO2原料の質量%
ρ2:SnO2の密度(6.95g/cm3
C3:ターゲットに使用したSiO2原料の質量%
ρ3:SiO2の密度(2.20g/cm3
を式(X)に適用することで理論密度ρを算出することができる。
2.ターゲットの比抵抗
スパッタリングターゲットの比抵抗は、三菱化学社製、ロレスタ(登録商標)HP MCP-T410(直列4探針プローブ TYPE ESP)を用いて、加工後の焼結体表面にプローブをあてて、AUTO RANGEモードで測定した。
3.スパッタリングターゲット中のSiの存在状態
スパッタリングターゲット中のSiの存在状態はリガク社製X線回折装置 SmartLab(登録商標)を用いて下記条件にて測定した。
・線源:CuKα線
・管電圧:40kV
・管電流:30mA
・スキャン速度:5deg/min
・ステップ:0.02deg
・スキャン範囲:2θ=20度〜80度
4.透明導電膜の膜比抵抗
透明導電膜の膜比抵抗は、共和理研社製、四探針計測器K-705RSを用いて測定した。
5.透明導電膜のエッチングレート
透明導電膜のエッチングレートは、40℃に加熱した透明導電膜エッチング液(関東化学社製ITO−07N)の中に、前記透明導電膜の一部を6分間浸すことでエッチングを施し、KLA-Tencor社製、触針式表面形状測定器P-15を使用して、エッチングを実施した箇所と実施しなかった箇所との段差を測定し、その段差をエッチング時間で除すことにより算出した。
6.透明導電膜のIn、Sn、Siの含有比率
測定には銅箔上に成膜された透明導電膜を使用した。In、Snの含有比率はAgilent Technologies社製ICP発光分光分析装置 720 ICP-OESを使用して、酸分解ICP-OES法にて測定し、Siの含有比率は日立製作所製分光光度計 U-2900使用して、モリブデンブルー吸光光度法にて測定した。
[実施例および比較例]
(スパッタリングターゲットの製造)
In23粉末と、SnO2粉末と、SiO2粉末とを、表1に示した比率で、ボールミルを用いて混合し、混合粉末を調製した。
前記混合粉末に、4質量%に希釈したポリビニルアルコールを混合粉末に対して6質量%添加し、乳鉢を用いてポリビニルアルコールを粉末によく馴染ませ、5.5メッシュの篩に通した。得られた粉末を200kg/cm2の条件で仮プレスし、得られた仮成形体を乳鉢にて粉砕した。得られた粉砕粉をプレス用の型に充填し、プレス圧1t/cm2で60秒間成形して成形体を得た。
得られた成形体を焼成炉に入れ、炉内に1L/hで酸素をフローさせ、焼成雰囲気を酸素フロー雰囲気とし、昇温速度を350℃/h、焼結温度を1550℃、焼成温度での保持時間を9hとして焼成した。その後、降温速度100℃/hで冷却した。なお、比較例7では焼成温度を1250℃とした。
以上のようにして酸化物焼結体を得た。
この酸化物焼結体を切削加工しスパッタリングターゲットを製造した。このスパッタリングターゲットの相対密度、比抵抗およびスパッタリングターゲット中のSiの存在状態を上記方法により測定した。結果を表1に示す。
表1の「Siの存在状態」において、「In2Si27」という表記は、X線回折測定において、スパッタリングターゲット中のSiがすべてIn2Si27のピークとして現れることを示し、「SiO2+ In2Si27」という表記は、スパッタリングターゲット中のSiが、SiO2のピークおよびIn2Si27のピークとして現れることを示す。
また、実施例3で得られたスパッタリングターゲットのX線回折パターンを図1に示す。図1中、黒丸はIn23のピークを示し、黒三角はIn2Si27のピークを示す。図1より、実施例3で得られたスパッタリングターゲット中のSiがすべて、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物であるIn2Si27中のSiとして存在していることが確認された。
(透明導電膜の製造)
前記スパッタリングターゲットを銅製バッキングプレートにIn半田により接合し、以下の条件でスパッタリングを行い、比抵抗およびエッチングレート測定用としてガラス基板上に膜厚1000Åの透明導電膜を成膜し、また、透明導電膜のSn含有比率およびSi含有比率測定用として、厚さ1.1mmの銅箔上に膜厚15000Åの透明導電膜を成膜した。なお、比較例6では、ターゲットの比抵抗が高く、放電が立たなかった為、DCスパッタリングは行えなかった。また、比較例7のターゲットはアーキングとノジュールが多発し、安定して成膜を行うことができなかった。そのため成膜評価も行うことができなかった。
装置:DCマグネトロンスパッタ装置、排気系クライオポンプ、ロータリーポンプ
到達真空度:1×10-4Pa
スパッタ圧力:0.4Pa
酸素流量:0〜3.0sccm
得られた透明導電膜の膜比抵抗、エッチングレート、In含有比率、Sn含有比率およびSi含有比率を上記方法により測定した。酸素流量の条件はアモルファスの透明導電膜が得られる条件で、且つ膜の比抵抗が最も低くなる条件に適宜調整した。結果を表1に示す。
Figure 2018211793

Claims (9)

  1. 構成元素がIn、Sn、SiおよびO、またはIn、SiおよびOであり、Inの含有比率がIn23換算で70.0質量%以上85.0質量%未満であり、Snの含有比率がSnO2換算で0質量%以上10.0質量%以下であり、Siの含有比率がSiO2換算で15.0質量%より大きく、20.0質量%以下である酸化物焼結体からなる透明導電膜用スパッタリングターゲットであって、
    前記スパッタリングターゲットのX線回折測定において、Siがすべてトルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物のピークとして現れる透明導電膜用スパッタリングターゲット。
  2. 比抵抗が2.0×102Ωcm以下である請求項1に記載の透明導電膜用スパッタリングターゲット。
  3. 相対密度が98.0%以上である請求項1または2に記載の透明導電膜用スパッタリングターゲット。
  4. 構成元素がIn、Sn、SiおよびO、またはIn、SiおよびOであり、Inの含有比率がIn23換算で73.0質量%以上87.0質量%以下であり、Snの含有比率がSnO2換算で0質量%以上9.0質量%であり、Siの含有比率がSiO2換算で13.0質量%以上18.0質量%以下である透明導電膜。
  5. 膜比抵抗が1.0×100Ωcm以上である請求項4に記載の透明導電膜。
  6. エッチングレートが11.0Å/secより大きい請求項4または5に記載の透明導電膜。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜用スパッタリングターゲットをスパッタリングすることにより成膜を行う透明導電膜の製造方法。
  8. 前記透明導電膜の膜比抵抗が1.0×100Ωcm以上である請求項7に記載の透明導電膜の製造方法。
  9. 前記透明導電膜のエッチングレートが11.0Å/secより大きい請求項7または8に記載の透明導電膜の製造方法。
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