JPWO2018190204A1 - インクジェットインク及びその製造方法、並びに画像形成方法 - Google Patents

インクジェットインク及びその製造方法、並びに画像形成方法 Download PDF

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Abstract

水と、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有するポリマーを含む粒子と、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、及びチオウレア結合からなる群から選択される少なくとも1種の結合、並びに、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種の親水性基Wを有し、数平均分子量が1000以上であり、インクジェットインク全量に対する含有量が0.01質量%〜1質量%である親水性基含有化合物と、を含有するインクジェットインク及びその製造方法、並びに画像形成方法。

Description

本開示は、インクジェットインク及びその製造方法、並びに画像形成方法に関する。
ポリウレタン、ポリウレア等のポリマー及び水を含むインクジェットインクが知られている。
例えば、少なくとも1種の光重合開始剤と、コアを取り囲む架橋ポリマーからなるシェルから構成されるカプセルと、を含み、コアがUV硬化性化合物を含む水性UVインクジェットインクが開示されている(例えば、国際公開第2015/158748号参照)。国際公開第2015/158748号の段落0081には、シェルは、ポリウレタン、ポリウレア、又はこれらの組み合わせからなることが好ましいことが記載されている。
しかしながら、例えば国際公開第2015/158748号に記載のインクジェットインクのように、ポリマーを含む粒子(カプセル等)を含有するインクジェットインクにおいて、インクジェットヘッドからの吐出性をより向上させることが求められる場合がある。
従って、本開示の目的は、インクジェットヘッドからの吐出性に優れたインクジェットインク及びその製造方法、並びに、このインクジェットインクを用いた画像形成方法を提供することである。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の態様を含む。
<1> 水と、
ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有するポリマーを含む粒子と、
ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、及びチオウレア結合からなる群から選択される少なくとも1種である結合、並びに、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種である親水性基を有し、数平均分子量が1000以上であり、インクジェットインク全量に対する含有量が0.01質量%〜1質量%である親水性基含有化合物と、
を含有するインクジェットインク。
<2> 親水性基含有化合物は、
アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物X1、
3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、の反応生成物X2、
3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、水と、の反応生成物X3、又は、
3個以上の活性水素基を有する化合物と2官能イソシアネート化合物とアニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物との反応生成物PXと、水と、の反応生成物X4
である<1>に記載のインクジェットインク。
<3> 親水性基含有化合物が、下記構造単位(X)を含む<1>又は<2>に記載のインクジェットインク。
構造単位(X)中、
Uは、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合を表し、
Rは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、
は、(n+m)価の連結基を表し、
Wは、アニオン性基又はノニオン性基である親水性基を表し、
nは、0又は1を表し、
mは、2〜6の整数を表し、
(n+m)は、3〜6の整数であり、
*は、基(UW)との結合位置、1級アミノ基との結合位置、又は、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、若しくはチオウレア結合を介して他の構造単位と結合する結合位置を表す。
基(UW)中、
Uは、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合を表し、
Wは、アニオン性基又はノニオン性基である親水性基を表し、
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、
*は、構造単位(X)との結合位置を表す。
<4> 親水性基含有化合物が有する親水性基が、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩の少なくとも一方であるか、又は、ポリオキシアルキレン鎖を含む1価の基である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェットインク。
<5> 粒子に含まれるポリマーが、更に、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種である親水性基を有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェットインク。
<6> 粒子に含まれるポリマーが有する親水性基の少なくとも1種と、親水性基含有化合物が有する親水性基の少なくとも1種と、が同種の基である<5>に記載のインクジェットインク。
<7> 粒子に含まれるポリマー及び親水性基含有化合物が、
同種の2官能イソシアネート化合物に由来する構造を有し、
アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する同種の化合物に由来する構造を有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェットインク。
<8> 親水性基含有化合物の数平均分子量が、2000〜50000である<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェットインク。
<9> 粒子が、重合性基を有する<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェットインク。
<10> <1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェットインクを製造する方法であって、
親水性基含有化合物が、
アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物X1、
3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、の反応生成物X2、
3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、水と、の反応生成物X3、又は、
3個以上の活性水素基を有する化合物と2官能イソシアネート化合物とアニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物との反応生成物PXと、水と、の反応生成物X4であり、
有機溶媒及びポリマーを含む油相成分、又は、有機溶媒及び3官能以上のイソシアネート化合物を含む油相成分と、水を含む水相成分と、を混合し、乳化させることにより、粒子を形成する工程を有し、
親水性基含有化合物が反応生成物X1又は反応生成物X2である場合には、油相成分が親水性基含有化合物を含み、
親水性基含有化合物が反応生成物X3又は反応生成物X4である場合には、水相成分が親水性基含有化合物を含むインクジェットインクの製造方法。
<11> <1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェットインクを基材上に付与する工程を含む画像形成方法。
本開示によれば、インクジェットヘッドからの吐出性に優れたインクジェットインク及びその製造方法、並びに、このインクジェットインクを用いた画像形成方法が提供される。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、化学式中の「*」は、結合位置を表す。
本明細書において、「画像」とは、インクによって形成された膜全般を意味する。「画像」の概念には、パターン画像(例えば、文字、記号、又は図形)だけでなく、ベタ画像も包含される。
本明細書において、「光」は、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線等の活性エネルギー線を包含する概念である。
本明細書では、紫外線を、「UV(Ultra Violet)光」ということがある。
本明細書では、LED(Light Emitting Diode)光源から生じた光を、「LED光」ということがある。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念である。
〔インクジェットインク〕
本開示のインクジェットインク(以下、単に「インク」ともいう)は、水と、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有するポリマー(以下、「特定ポリマー」ともいう)を含む粒子(以下、「特定粒子」ともいう)と、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、及びチオウレア結合からなる群から選択される少なくとも1種である結合、並びに、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種である親水性基を有し、数平均分子量が1000以上であり、インクジェットインク全量に対する含有量が0.01質量%〜1質量%である親水性基含有化合物(以下、「特定親水性基含有化合物」ともいう)と、を含有する。
本開示のインクは、インクジェットヘッドからの吐出性(以下、単に「吐出性」ともいう)に優れる。
かかる効果が奏される推定理由は、以下のとおりである。但し、本開示のインクは、以下の推定理由によって限定されることはない。
本開示のインクにおいて、特定粒子は、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方(以下、「ウレタン結合及び/又はウレア結合」ともいう)を有する特定ポリマーを含む。
一方、本開示のインクにおいて、特定親水性基含有化合物は、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、及びチオウレア結合からなる群から選択される少なくとも1種である結合(以下、「結合U」とも称する)を有する。
本開示のインクでは、特定粒子中のポリマーに含まれるウレタン結合及び/又はウレア結合と、特定親水性基含有化合物に含まれる結合Uと、の間に相互作用(例えば、水素結合による相互作用)が生じ、その結果、特定ポリマーと特定親水性基含有化合物との間に相互作用が生じると考えられる。
本開示のインクでは、特定ポリマーと特定親水性基含有化合物との間の相互作用、及び、特定親水性基含有化合物が有する親水性基による分散作用と、が相まって、特定粒子の分散安定性が向上し、その結果、インクの吐出性が向上すると考えられる。
特定親水性基含有化合物による上述した効果(特定粒子の分散安定性向上、及び、これによるインクの吐出性向上の効果)は、インク中における特定親水性基含有化合物の含有量が0.01質量%以上であることによって発揮される。
一方、特定親水性基含有化合物の含有量が1質量%を超えると、吐出性が低下することが判明した。この理由は、特定親水性基含有化合物の含有量が1質量%を超えた場合には、特定親水性基含有化合物同士の凝集により、インクのゲル化が生じるためと考えられる。
この点に関し、本開示のインクでは、インク中における特定親水性基含有化合物の含有量が1質量%以下である。これにより、インクのゲル化によるインクの吐出性の低下が抑制され、その結果、インクの吐出性が向上すると考えられる。
本開示のインクは、保存後のインクの吐出性(以下、単に「保存安定性」ともいう)にも優れる。保存安定性に優れる理由としては、吐出性に優れる理由と同様の理由が考えられる。
以下、本開示のインクに含まれ得る各成分について説明する。
<特定親水性基含有化合物>
本開示のインクは、特定親水性基含有化合物を少なくとも1種含有する。
特定親水性基含有化合物は、結合U(即ち、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、及びチオウレア結合からなる群から選択される少なくとも1種の結合)、並びに、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種である親水性基を有し、数平均分子量が1000以上である。
特定親水性基含有化合物の数平均分子量は1000以上である。これにより、特定粒子の分散安定性が向上し、これにより、インクの吐出性が向上する。
一方、インクのゲル化をより抑制し、インクのゲル化に起因する吐出性低下をより抑制する観点から、特定親水性基含有化合物の数平均分子量は、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましい。
また、インクの保存安定性をより向上させる観点から、特定親水性基含有化合物の数平均分子量は2000以上であることが好ましい。
上述した観点から、特定親水性基含有化合物の数平均分子量は、1000〜100000が好ましく、2000〜50000がより好ましい。
本明細書中において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された値を意味する。
但し、分子量が小さいためにGPCでは正確なMnを測定できない化合物については、化合物の化学構造から求められる分子量を、その化合物のMnとして採用する。Mwについても同様とする。
本明細書中において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、測定装置として、HLC(登録商標)−8020GPC(東ソー(株))を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super Multipore HZ−H(4.6mmID×15cm、東ソー(株))を3本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、測定条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行う。
検量線は、東ソー(株)の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、及び「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
特定親水性基含有化合物は、インクの吐出性をより向上させる観点から、水溶性の化合物であることが好ましい。
本明細書において、「水溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解度が1g超である性質を指す。
(親水性基)
特定親水性基含有化合物は、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種である親水性基を有する。
親水性基としてのアニオン性基としては、中和されていないアニオン性基であってもよいし、中和されたアニオン性基であってもよい。
中和されていないアニオン性基としては、カルボキシ基、スルホ基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、等が挙げられる。
中和されたアニオン性基としては、カルボキシ基の塩、スルホ基の塩、硫酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、等が挙げられる。
本明細書中において、中和されたアニオン性基とは、「塩」の形態であるアニオン性基(例えば、カルボキシ基の塩である−COONa)を指す。
アニオン性基に対する中和は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、有機アミン(例えば、トリエチルアミン等)を用いて行うことができる。
特定親水性基含有化合物に含まれ得るアニオン性基としては、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、スルホ基、スルホ基の塩、硫酸基、硫酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、及びリン酸基の塩からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩からなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
上述した、カルボキシ基の塩、スルホ基の塩、硫酸基の塩、ホスホン酸基の塩、及びリン酸基の塩における「塩」としては、アルカリ金属塩又は有機アミン塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましい。
アルカリ金属塩におけるアルカリ金属としては、K又はNaが好ましい。
特定親水性基含有化合物がアニオン性基を有する場合、特定親水性基含有化合物のアニオン性基の中和度は、50%〜100%が好ましく、70%〜95%がより好ましく、70%〜90%が更に好ましい。
ここで、中和度(%)とは、インクに含有される特定親水性基含有化合物全体における、「中和されていないアニオン性基の数と中和されたアニオン性基の数との合計」に対する「中和されたアニオン性基の数」の比(即ち、比〔中和されたアニオン性基の数/(中和されていないアニオン性基の数+中和されたアニオン性基の数)〕)を、百分率で表した値を指す。
特定親水性基含有化合物の中和度(%)は、中和滴定によって測定される。
また、特定親水性基含有化合物がアニオン性基を有する場合、特定親水性基含有化合物及び特定粒子の全体におけるアニオン性基の中和度は、50%〜100%が好ましく、70%〜95%がより好ましく、70%〜90%が更に好ましい。
ここで、中和度とは、インクに含有される、特定親水性基含有化合物及び特定粒子の全体における、「中和されていないアニオン性基の数と中和されたアニオン性基の数との合計」に対する「中和されたアニオン性基の数」の比(即ち、比〔中和されたアニオン性基の数/(中和されていないアニオン性基の数+中和されたアニオン性基の数)〕)を指す。
特定親水性基含有化合物及び特定粒子の全体の中和度(%)も、中和滴定によって測定される。
本開示のインク中、特定親水性基含有化合物及び特定粒子の全体の中和度(%)は、以下のようにして求める。
まず、測定対象である、特定親水性基含有化合物及び特定粒子を含むインクを準備する。
準備したインク50gに対し、80000rpm(round per minute;以下同じ。)、40分の条件の遠心分離を施す。遠心分離によって生じた上澄み液を除去し、沈殿物(特定親水性基含有化合物及び特定粒子)を回収する。
容器1に、回収した特定親水性基含有化合物及び特定粒子を約0.5g秤量し、秤量値W1(g)を記録する。次いで、テトラヒドロフラン(THF)54mL及び蒸留水6mLの混合液を添加し、秤量した特定親水性基含有化合物及び特定粒子を希釈することにより中和度測定用試料1を得る。
得られた中和度測定用試料1に対し、滴定液として0.1N(=0.1mol/L)水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定を行い、当量点までに要した滴定液量をF1(mL)として記録する。滴定において複数の当量点が得られた場合は、複数の当量点までに要した複数の滴定液量のうちの最大値をF1(mL)とする。F1(mL)と水酸化ナトリウム水溶液の規定度(0.1mol/L)との積が、特定親水性基含有化合物及び特定粒子に含まれるアニオン性基のうちの中和されていないアニオン性基(例えば、−COOH)のミリモル数に相当する。
また、容器2に、回収した特定親水性基含有化合物及び特定粒子を約0.5g秤量し、秤量値W2(g)を記録する。次いで、酢酸60mLを添加し、秤量した特定親水性基含有化合物及び特定粒子を希釈することにより中和度測定用試料2を得る。
得られた中和度測定用試料2に対し、滴定液として0.1N(=0.1mol/L)過塩素酸酢酸溶液を用いて滴定を行い、当量点までに要した滴定液量をF2(mL)として記録する。滴定において複数の当量点が得られた場合は、複数の当量点までに要した複数の滴定液量のうちの最大値をF2(mL)とする。F2(mL)と過塩素酸酢酸溶液の規定度(0.1mol/L)との積が、特定親水性基含有化合物及び特定粒子に含まれるアニオン性基のうちの中和されたアニオン性基(例えば、−COONa)のミリモル数に相当する。
「F1(mL)」及び「F2(mL)」の測定値に基づき、下記の式に従って、アニオン性基の中和度(%)を求める。
F1(mL)×水酸化ナトリウム水溶液の規定度(0.1mol/L)/W1(g)+F2(mL)×過塩素酸酢酸溶液の規定度(0.1mol/L)/W2(g) = 特定親水性基含有化合物及び特定粒子の合計1gに含まれるアニオン性基の全ミリモル数(中和されたアニオン性基及び中和されていないアニオン性基の全ミリモル数)(mmol/g)・・・(1)
F2(mL)×過塩素酸酢酸溶液の規定度(0.1mol/L)/W2(g) = 特定親水性基含有化合物及び特定粒子の合計1gに含まれるアニオン性基のうちの中和されたアニオン性基のミリモル数(mmol/g)・・・(2)
中和度(%) = (2)/(1)×100
親水性基としてのノニオン性基としては、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、ポリオキシアルキレン鎖を含む1価の基がより好ましく、下記基(N1)が特に好ましい。
基(N1)中、
は、炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキレン基を表し、Rは、炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基を表し、Lは、単結合、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表し、nは、2〜200の整数を表し、*は、結合位置を表す。
基(N1)中、Rで表される炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキレン基の炭素数は、2〜4であることが好ましく、2又は3であることが更に好ましく、2であること(即ち、Rがエチレン基であること)が特に好ましい。
基(N1)中、Rで表される炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1であること(即ち、Rがメチル基であること)が特に好ましい。
基(N1)中、nとしては、2〜150の整数が好ましく、2〜100の整数がより好ましく、2〜50の整数が更に好ましく、2〜20の整数が特に好ましい。
基(N1)中、Lは、単結合、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。
基(N1)中、Lで表される「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基」における「炭素数」は、置換基を有する場合には置換基を含めた基全体の炭素数を示す。
Lで表される「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基」における「炭素数」は、2〜25が好ましく、4〜20がより好ましい。
基(N1)中、Lで表される「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基」における「2価の炭化水素基」としては、アルキレン基又はアリーレン基が好ましい。
基(N1)中、Lで表される「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基」における「置換基」としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、等が挙げられる。
基(N1)中のLとしては、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましく、単結合が特に好ましい。
なお、特定ポリマーへのノニオン性基導入用化合物の例として後述する化合物(N2)は、特定親水性基含有化合物に対する基(N1)の導入にも用いることができる。
特定親水性基含有化合物が有する親水性基は、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、及びポリオキシアルキレン鎖を含む1価の基からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
また、特定親水性基含有化合物は、親水性基として、アニオン性基とノニオン性基との両方を有していてもよいが、特定親水性基含有化合物の製造容易性の観点から、アニオン性基及びノニオン性基のいずれか一方を含み、他方を含まないことが好ましく、アニオン性基を含み、ノニオン性基を含まないことがより好ましい。
インクの吐出性及び保存安定性、並びに、特定親水性基含有化合物の製造容易性の観点から、特定親水性基含有化合物が有する親水性基は、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩の少なくとも一方であるか、又は、ポリオキシアルキレン鎖を含む1価の基であることが更に好ましく、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩の少なくとも一方であることが更に好ましい。
特定親水性基含有化合物が、親水性基としてアニオン性基を含む場合であって、特定親水性基含有化合物1g当たりのアニオン性基のミリモル数を特定親水性基含有化合物のアニオン性基価(mmol/g)とした場合に、特定親水性基含有化合物のアニオン性基価は、インクの吐出性及び保存安定性をより向上させる観点から、好ましくは0.5mmol/g以上、より好ましくは0.8mmol/g以上、更に好ましくは1.0mmol/g以上である。
特定親水性基含有化合物のアニオン性基価の上限には特に制限はないが、上限は、例えば5.0mmol/g、好ましくは4.0mmol/g、より好ましくは3.0mmol/gである。
特定親水性基含有化合物のアニオン性基価及び後述する特定ポリマーのアニオン性基価は、中和滴定によって測定できる。
また、特定親水性基含有化合物が、親水性基としてアニオン性基を含む場合であって、特定親水性基含有化合物1g当たりのアニオン性基のミリモル数を特定親水性基含有化合物のアニオン性基価(mmol/g)とし、かつ、特定ポリマー1g当たりのアニオン性基のミリモル数を特定ポリマーのアニオン性基価(mmol/g)とした場合に、
特定親水性基含有化合物のアニオン性基価(mmol/g)に対する特定ポリマーのアニオン性基価(mmol/g)の比率(特定ポリマーのアニオン性基価/特定親水性基含有化合物のアニオン性基価)は、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.8以下であり、更に好ましくは0.7以下であり、特に好ましくは0.6以下である。
比率(特定ポリマーのアニオン性基価/特定親水性基含有化合物のアニオン性基価)が1未満であると、特定親水性基含有化合物によるインクの吐出性及び保存安定性向上の効果がより効果的に発揮される。
(結合U)
特定親水性基含有化合物は、結合U(即ち、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、及びチオウレア結合からなる群から選択される少なくとも1種の結合)を有する。
特定親水性基含有化合物は、2官能以上(より好ましくは2官能〜6官能。以下同じ。)のイソシアネート化合物と、活性水素基を有する化合物及び水の少なくとも一方と、の反応生成物であることが好ましい。かかる反応生成物は、イソシアネート化合物と、活性水素基を有する化合物及び水の少なくとも一方と、の反応によって生じた結合Uを有する。
言い換えれば、特定親水性基含有化合物は、
結合Uと、2官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造と、を含むこと、又は、
結合Uと、2官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造と、活性水素基を有する化合物に由来する構造と、を含むことが好ましい。
特定親水性基含有化合物は、末端基として、1級アミノ基(−NH)を含むことがより好ましい。
本明細書において、活性水素基とは、ヒドロキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はメルカプト基を意味する。
本明細書において、2官能以上のイソシアネート化合物に由来する構造とは、2官能以上のイソシアネート化合物から全てのイソシアネート基を除いた構造を意味する。
例えば、2官能イソシアネート化合物であるm−キシリレンジイソシアネート(XDI)の構造、及び、XDIに由来する構造は、それぞれ以下のとおりである。
また、活性水素基を有する化合物に由来する構造とは、活性水素基を有する化合物から全ての活性水素基を除いた構造を意味する。
例えば、アニオン性基(詳しくはカルボキシ基)である親水性基及び活性水素基を有する化合物に該当するリシン(Lysine)の構造、及び、Lysineに由来する構造は、それぞれ以下のとおりである。
以下、特定親水性基含有化合物が、2官能以上のイソシアネート化合物と、活性水素基を有する化合物及び水の少なくとも一方と、の反応生成物である場合の好ましい態様について説明する。
特定親水性基含有化合物は、
アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物X1、
3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、の反応生成物X2、
3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、水と、の反応生成物X3、又は
3個以上の活性水素基を有する化合物と2官能イソシアネート化合物とアニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物との反応生成物PXと、水と、の反応生成物X4
であることが好ましい。
反応生成物X1〜X4では、活性水素基を有する化合物の活性水素基及び/又は水と、イソシアネート化合物のイソシアネート基と、の反応によって、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合が形成されている。
以下、各反応生成物の好ましい態様について説明する。
(反応生成物X1)
反応生成物X1は、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物である。
反応生成物X1の原料である、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物、並びに、2官能イソシアネート化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
特定親水性基含有化合物が反応生成物X1である態様は、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、特定粒子に含まれる特定ポリマーが後述する特定鎖状ポリマーである場合において、特に好適である。
反応生成物X1の原料である2官能イソシアネート化合物としては、後述する特定ポリマーを形成するための2官能イソシアネート化合物(例えば、化合物(1−1)〜(1−20))を用いることができる。
反応生成物X1の原料である、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物としては、後述する特定ポリマーに対するアニオン性基導入用化合物(例えば、α−アミノ酸及び化合物(H−1)〜(H−33))及びノニオン性基導入用化合物(例えば、化合物(N2))を用いることができる。
反応生成物X1の原料である、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物としては、
2個の活性水素基を有する化合物が好ましく、
アニオン性基である親水性基及び2個の活性水素基を有する化合物がより好ましく、
カルボキシ基及び2個の活性水素基を有する化合物が更に好ましく、
2個の1級アミノ基を有するアミノ酸(例えば、リシン等)、又は、ビス(ヒドロキシメチル)カルボン酸(例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸(DMBA)等)が特に好ましい。
反応生成物X1は、例えば、原料(アニオン性基である親水性基及び2個の活性水素基を有する化合物、並びに、2官能イソシアネート化合物)を有機溶媒(例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン等)中で反応させることによって生成される。
反応生成物X1の末端は、イソシアネート基又は1級アミノ基であることが好ましく、1級アミノ基であることがより好ましい。1級アミノ基は、例えば、イソシアネート基と反応系中に含まれる微量の水分とによって形成され得る。
(反応生成物X2)
反応生成物X2は、3官能以上(好ましくは3官能〜6官能。以下同じ。)のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、の反応生成物である。
反応生成物X2の原料である、3官能以上のイソシアネート化合物、並びに、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
特定親水性基含有化合物が反応生成物X2である態様は、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、特定粒子に含まれる特定ポリマーが後述する特定架橋ポリマーである場合において、特に好適である。
反応生成物X2の原料である3官能以上のイソシアネート化合物としては、後述する特定粒子に含まれ得る特定架橋ポリマーの原料としての3官能以上のイソシアネート化合物を用いることができる。
反応生成物X2の原料である、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物の好ましい態様は、反応生成物X1の原料における好ましい態様と同様である。
反応生成物X2は、例えば、原料(3官能以上のイソシアネート化合物、並びに、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物)を有機溶媒(例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン等)中で反応させることによって生成される。
反応生成物X2としては、3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基である親水性基及び2個の活性水素基を有する化合物と、の反応生成物が好ましい。
反応生成物X2の末端は、上記親水性基及び1級アミノ基の少なくとも一方であることが好ましい。
(反応生成物X3)
反応生成物X3は、3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、水と、の反応生成物である。
反応生成物X3の原料である、3官能以上のイソシアネート化合物、並びに、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
特定親水性基含有化合物が反応生成物X3である態様は、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、特定粒子に含まれる特定ポリマーが後述する特定架橋ポリマーである場合において、特に好適である。
反応生成物X3の原料のうち水以外の原料の好ましい態様は、反応生成物X2の原料と同様である。
反応生成物X3は、例えば、前述した反応生成物X2の原料(即ち、3官能以上のイソシアネート化合物、並びに、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物)を水中で反応させることによって生成させることができる。
反応生成物X3の末端は、上記親水性基及び1級アミノ基の少なくとも一方であることが好ましい。
(反応生成物X4)
反応生成物X4は、3個以上の活性水素基を有する化合物と2官能イソシアネート化合物とアニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物との反応生成物PXと、水と、の反応生成物である。
反応生成物X4の原料である反応生成物PXとしては、3個以上の活性水素基を有する化合物と、2官能イソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、の反応生成物であって、かつ、2官能イソシアネート化合物由来のイソシアネート基の一部が未反応のまま残存しているイソシアネート化合物R又はこのイソシアネート化合物Rを含む混合物が好ましい。
反応生成物PXは、後述する、親水性基を導入したイソシアネート化合物(即ち、特定ポリマーに親水性基を導入するためのイソシアネート化合物)と同様の化合物であってもよい。
反応生成物X4の原料である、反応生成物PXは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
特定親水性基含有化合物が反応生成物X4である態様は、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、特定粒子に含まれる特定ポリマーが後述する特定架橋ポリマーである場合において、特に好適である。
反応生成物PXの原料である3個以上の活性水素基を有する化合物としては、例えば、後述する架橋ポリマーの原料である3個以上の活性水素基を有する化合物(例えば、化合物(T−1)〜(T−13))を用いることができる。
反応生成物PXの原料である2官能イソシアネート化合物としては、後述する特定ポリマーを形成するための2官能イソシアネート化合物(化合物(1−1)〜(1−20))を用いることができる。
反応生成物PXの原料である、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物としては、後述する特定ポリマーに対するアニオン性基導入用化合物(例えば、α−アミノ酸及び化合物(H−1)〜(H−33))又はノニオン性基導入用化合物(例えば、化合物(N2))を用いることができる。中でも、ノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物が好ましく、化合物(N2)が特に好ましい。
反応生成物X4は、例えば、反応生成物PXを水中で混合することにより生成させることができる。これにより、反応生成物PXの構造が変化し、反応生成物X4が生成される。
反応生成物PXの構造の変化の態様は複雑であり、必ずしも一義的ではない(後述のD116水中反応生成物の構造参照)。反応生成物X4としては、例えば、反応生成物PX中に存在していたイソシアネート基、及び、反応生成物PXの加水分解によって生じたイソシアネート基が、水と反応することによって形成された高分子化合物が挙げられる。
反応生成物X4の末端は、上記親水性基及び1級アミノ基の少なくとも一方であることが好ましい。
反応生成物X4としては、3個以上の活性水素基を有する化合物と、2官能イソシアネート化合物と、ノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、の反応生成物PXと、水と、の反応生成物が好ましい。
(親水性基含有化合物の好ましい構造)
親水性基含有化合物は、下記構造単位(X)(以下、単に「単位(X)」ともいう)を含むことが好ましい。
単位(X)中、
Uは、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合を表し、
Rは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、
は、(n+m)価の連結基を表し、
Wは、アニオン性基又はノニオン性基である親水性基を表し、
nは、0又は1を表し、
mは、2〜6の整数を表し、
(n+m)は、3〜6の整数であり、
*は、基(UW)との結合位置、1級アミノ基との結合位置、又は、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、若しくはチオウレア結合を介して他の構造単位と結合する結合位置を表す。
基(UW)中、
Uは、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合を表し、
Wは、アニオン性基又はノニオン性基である親水性基を表し、
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、
*は、単位(X)との結合位置を表す。
単位(X)中のWと、基(UW)中のWと、は同一であっても異なっていてもよい。
単位(X)中のUと、基(UW)中のUと、は同一であっても異なっていてもよい。
単位(X)中のLと、基(UW)中のLと、は同一であっても異なっていてもよい。
単位(X)中に複数存在するUは、同一であっても異なっていてもよい。
単位(X)中に複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。
特定親水性基含有化合物は、単位(X)を複数含んでいてもよい。この場合、複数の単位(X)は、同一であっても異なっていてもよい。
特定親水性基含有化合物は、単位(X)を複数含むことが好ましい。これにより、特定親水性基含有化合物の数平均分子量をより高く(例えば2000以上に)することができ、その結果、インクの吐出性及び保存安定性をより向上させることができる。
ここで、特定親水性基含有化合物が単位(X)を複数含むとは、親水性基含有化合物一分子当たりの単位(X)の数が複数であることを意味する。
親水性基含有化合物は、基(UW)を複数含んでいてもよい。この場合、複数の単位(UW)は、同一であっても異なっていてもよい。
親水性基含有化合物中に存在する、単位(X)中のW及び基(UW)中のWの好ましい態様は、前述した「特定親水性基含有化合物が有する親水性基」の好ましい態様と同様である。
単位(X)中、Uは、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合を表す。単位(X)中、Uは、ウレタン結合又はウレア結合であることが好ましい。
単位(X)中、Rで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基は、脂環構造又は芳香環構造を有していてもよい。
また、単位(X)中、Rで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この場合、「炭素数1〜20の2価の炭化水素基」における「炭素数」は、置換基も含めた基全体の炭素数を意味する。
置換基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、等が挙げられる。
Rで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、脂環構造を含んでいてもよいアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、等が挙げられる。
Rで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基の構造は、2官能イソシアネート化合物に由来する構造であることが好ましい。
2官能イソシアネート化合物の具体例としては、後述する特定粒子に含まれ得る特定鎖状ポリマーを形成するための2官能イソシアネート化合物(例えば、化合物(1−1)〜(1−20))が挙げられる。
単位(X)中、nは、0又は1を表し、mは、2〜6の整数を表し、(n+m)は、3〜6の整数である。
単位(X)中、Xで表される(n+m)価の連結基の構造は、2個〜6個の活性水素基を有する化合物に由来する構造が好ましい。
2個〜6個の活性水素基を有する化合物としては、3個〜6個の活性水素基を有する化合物が好ましい。3個〜6個の活性水素基を有する化合物としては、例えば、後述する特定架橋ポリマーの原料である化合物(T−1)〜(T−13)が挙げられる。
2個〜6個の活性水素基を有する化合物としては、2個の活性水素基と1個の親水性基を有する化合物も好ましい。2個の活性水素基と1個の親水性基を有する化合物としては、例えば、後述する親水性基導入用化合物(アニオン性基導入用化合物)である化合物(H−31)〜(H−33)が挙げられる。
で表される(n+m)価の連結基の具体例としては、下記連結基(XT−1)〜(XT−13)及び(XH−31)〜(XH−32)が挙げられる。なお、連結基(XT−4)、(XT−5)及び(XT−11)において、n1は、1〜100から選択される整数を表す。
単位(X)中、Wで表される、アニオン性基又はノニオン性基である親水性基の好ましい態様は、前述した「特定親水性基含有化合物が有する親水性基」の好ましい態様と同様である。
単位(X)中、*は、基(UW)との結合位置、1級アミノ基との結合位置、又は、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、若しくはチオウレア結合を介して他の構造単位と結合する結合位置を表す。
ここで、他の構造単位としては、この単位(X)に対して隣接する他の単位(X)であってもよいし、単位(X)以外の構造単位であってもよい。
基(UW)中、Uは、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合を表す。単位(UW)中、Uは、ウレタン結合又はウレア結合であることが好ましい。
基(UW)中、Wで表される、アニオン性基又はノニオン性基である親水性基の好ましい態様は、前述した「特定親水性基含有化合物が有する親水性基」の好ましい態様と同様である。
単位(X)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表すが、単結合であることが好ましい。
Lで表される2価の連結基の好ましい範囲は、Rで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基の好ましい範囲と同様である。
以下、単位(X)を含む場合の特定親水性基含有化合物の構造の具体例を示すが、特定親水性基含有化合物の構造は、以下の具体例に限定されることはない。
具体例中の各符号は、単位(X)及び基(UW)中の各符号と同義である。
下記具体例では、構造単位内に存在するウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合だけでなく、構造単位間に存在するウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合も、符号「U」で表す。
具体例において、一分子中に複数存在する各符号(例えば「U」)は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
単位(1)中、nが0であり、かつ、mが3である場合の特定親水性基含有化合物は、例えば、以下の構造をとり得る。
また、nが0であり、かつ、mが3である場合の単位(1)を複数含む場合の特定親水性基含有化合物は、以下の6つの構造単位の少なくとも1つを含む。この場合、必要に応じ、その他の構造単位を含んでもよい。
上記6つの単位は、具体的には、
3つの末端が全て*(他の構造単位との結合位置)である単位(組み合わせとして1通り)、
3つの末端のうちの1つの末端が1級アミノ基又は基(UW)に結合し、残りが*(他の構造単位との結合位置)である単位(組み合わせとして2通り)、及び、
3つの末端のうちの2つの末端が1級アミノ基又は基(UW)に結合し、残りが*(他の構造単位との結合位置)である単位(組み合わせとして3通り)
である。
nが0であり、かつ、mが4である場合の単位(1)を複数含む特定親水性基含有化合物は、以下の10個の構造単位のうちの少なくとも1つを含む。この特定親水性基含有化合物は、必要に応じ、その他の構造単位を含んでもよい。
上記10個の単位は、具体的には、
4つの末端が全て*(他の構造単位との結合位置)である単位(組み合わせとして1通り)、
4つの末端のうちの1つの末端が1級アミノ基又は基(UW)に結合し、残りが*(他の構造単位との結合位置)である単位(組み合わせとして2通り)、
4つの末端のうちの2つの末端が1級アミノ基又は基(UW)に結合し、残りが*(他の構造単位との結合位置)である単位(組み合わせとして3通り)、及び、
4つの末端のうちの3つの末端が1級アミノ基又は基(UW)に結合し、残りが*(他の構造単位との結合位置)である単位(組み合わせとして4通り)
である。
特定親水性基含有化合物の含有量は、前述したとおり、インク全量に対し、0.01質量%〜1質量%である。
特定親水性基含有化合物の含有量が上記範囲であると、インクの吐出性及び保存安定性の効果が奏される。
<特定粒子>
特定粒子は、特定ポリマー(即ち、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有するポリマー)を含む。
(特定ポリマー)
特定粒子は、特定ポリマーを少なくとも1種含む。
特定ポリマーは、ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有する。
特定ポリマーとしては、架橋構造を有しない線状のポリマー(以下、「特定鎖状ポリマー」ともいう)であってもよいし、架橋構造(例えば、三次元架橋構造)を有するポリマー(以下、「特定架橋ポリマー」ともいう)であってもよい。
鎖状ポリマーは、主鎖中に、脂肪族環、芳香族環、複素環等の環状構造を含んでいてもよい。
特定架橋ポリマーが有し得る三次元架橋構造については、国際公開第2016/052053号に記載の三次元架橋構造を参照してもよい。
特定ポリマーは、水不溶性の化合物であることが好ましい。特定ポリマーが水不溶性の化合物である場合には、特定粒子中に特定ポリマーがより存在し易い。
本明細書において、「水不溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解度が1g以下である性質を指す。
(特定鎖状ポリマー)
特定鎖状ポリマーとしては、
2官能イソシアネート化合物と、2個の活性水素基を有する化合物及び水の少なくとも一方と、の反応生成物、又は、
2官能イソシアネート化合物と、2個の活性水素基を有する化合物及び水の少なくとも一方と、その他の化合物と、の反応生成物
が好ましい。
特定鎖状ポリマーの原料である、2官能イソシアネート化合物、及び、2個の活性水素基を有する化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
2個の活性水素基を有する化合物としては、ジオール化合物、ジアミン化合物、及びジチオール化合物が挙げられる。
例えば、2官能イソシアネート化合物とジオール化合物との反応により、ウレタン結合が形成される。
また、2官能イソシアネート化合物とジアミン化合物との反応により、ウレア結合が形成される。
また、2官能イソシアネート化合物と水との反応により、ウレア結合が形成される。
また、上記その他の化合物としては、
後述する重合性基導入用化合物のうち、活性水素基を1個のみ含む化合物、
後述する重合性基を導入したイソシアネート化合物のうち、イソシアネート基を1個のみ含む化合物、
後述する親水性基導入用化合物のうち、活性水素基を1個のみ含む化合物、
後述する親水性基を導入したイソシアネート化合物のうち、イソシアネート基を1個のみ含む化合物、
等が挙げられる。
特定鎖状ポリマーを形成するための2官能イソシアネート化合物としては、以下の化合物(1−1)〜(1−20)が挙げられる。
特定鎖状ポリマーを形成するための、2個の活性水素基を有する化合物としては、以下の化合物(2−1)〜(2−24)が挙げられる。
また、特定鎖状ポリマーを形成するための、2個の活性水素基を有する化合物としては、後述する重合性基導入用化合物のうち、活性水素基を2個含む化合物、後述する親水性基導入用化合物のうち、活性水素基を2個含む化合物、等も挙げられる。
(特定架橋ポリマー)
特定架橋ポリマーとしては、
3官能以上のイソシアネート化合物と、2個以上の活性水素基を有する化合物及び水の少なくとも一方と、の反応生成物、又は、
3官能以上のイソシアネート化合物と、2個以上の活性水素基を有する化合物及び水の少なくとも一方と、その他の化合物と、の反応生成物
が好ましい。
特定架橋ポリマーの原料である、3官能以上のイソシアネート化合物、及び、2個以上の活性水素基を有する化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記その他の化合物としては、
後述する重合性基導入用化合物のうち、活性水素基を1個のみ含む化合物、
後述する重合性基を導入したイソシアネート化合物のうち、イソシアネート基を1個のみ含む化合物、
後述する親水性基導入用化合物のうち、活性水素基を1個のみ含む化合物、
後述する親水性基を導入したイソシアネート化合物のうち、イソシアネート基を1個のみ含む化合物、
等が挙げられる。
特定粒子が特定架橋ポリマーを含む場合、特定粒子は、三次元架橋構造を有する特定架橋ポリマーからなるシェルと、コアと、を含むマイクロカプセル(以下、「MC」)を含むことが好ましい。
特定架橋ポリマーを形成するための、2個の活性水素基を有する化合物としては、上述した特定鎖状ポリマーを形成するための、2個の活性水素基を有する化合物と同様に、ジオール化合物、ジアミン化合物、及びジチオール化合物が挙げられる。
また、特定架橋ポリマーを形成するための、2個以上の活性水素基を有する化合物としては、3官能以上のポリオール化合物、3官能以上のポリアミン化合物、及び3官能以上のポリチオール化合物が挙げられる。
特定架橋ポリマーを形成するための3官能以上のイソシアネート化合物は、3個以上の活性水素基を有する化合物(例えば、3官能以上のポリオール化合物、3官能以上のポリアミン化合物、及び3官能以上のポリチオール化合物)と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物であることが好ましい。
3個以上の活性水素基を有する化合物と反応させる2官能イソシアネート化合物のモル数(分子数)は、3個以上の活性水素基を有する化合物における活性水素基のモル数(活性水素基の当量数)に対し、0.6倍以上が好ましく、0.6倍〜5倍がより好ましく、0.6倍〜3倍が更に好ましく、0.8倍〜2倍が更に好ましい。
3官能以上のイソシアネート化合物を形成するための2官能イソシアネート化合物としては、上述した特定鎖状ポリマーを形成するための2官能イソシアネート化合物と同様のものが挙げられる。
3官能以上のイソシアネート化合物を形成するための、3個以上の活性水素基を有する化合物としては、下記(T−1)〜(T−13)で表される構造の化合物が挙げられる。なお、下記の構造において、nは、1〜100から選択される整数を表す。
特定架橋ポリマーの形成に用いられる3官能以上のイソシアネート化合物としては、アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物、イソシアヌレート型の3官能以上のイソシアネート化合物、ビウレット型の3官能以上のイソシアネート化合物、等が挙げられる。
アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物の市販品としては、タケネート(登録商標)D−102、D−103、D−103H、D−103M2、P49−75S、D−110N、D−120N、D−140N、D−160N(以上、三井化学(株))、デスモジュール(登録商標)L75、UL57SP(住化バイエルウレタン(株))、コロネート(登録商標)HL、HX、L(日本ポリウレタン(株))、P301−75E(旭化成(株))等が挙げられる。
イソシアヌレート型の3官能以上のイソシアネート化合物の市販品としては、タケネート(登録商標)D−127N、D−170N、D−170HN、D−172N、D−177N(以上、三井化学(株))、スミジュールN3300、デスモジュール(登録商標)N3600、N3900、Z4470BA(以上、住化バイエルウレタン(株))、コロネート(登録商標)HX、HK(以上、日本ポリウレタン(株))、デュラネート(登録商標)TPA−100、TKA−100、TSA−100、TSS−100、TLA−100、TSE−100(以上、旭化成(株))等が挙げられる。
ビウレット型の3官能以上のイソシアネート化合物の市販品としては、タケネート(登録商標)D−165N、NP1100(以上、三井化学(株))、デスモジュール(登録商標)N3200(住化バイエルウレタン(株))、デュラネート(登録商標)24A−100(旭化成(株))等が挙げられる。
3官能以上のイソシアネート化合物としては、3官能〜6官能のイソシアネート化合物が好ましい。
(特定ポリマーの好ましい重量平均分子量(Mw))
特定ポリマーの重量平均分子量(Mw)としては、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、5000以上であることが好ましく、7000以上であることがより好ましく、8000以上であることが更に好ましく、10000以上であることが特に好ましい。
特定ポリマーのMwの上限には特に制限はない。特定ポリマーのMwの上限としては、例えば、150000、100000、70000、50000が挙げられる。
特定ポリマーの含有量は、特定粒子の固形分量に対し、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
特定ポリマーの含有量が、特定粒子の固形分量に対して10質量%以上であると、インクの吐出性及び保存安定性がより向上する。
特定ポリマーの含有量は、特定粒子の固形分量に対し、100質量%となることもあり得るが、80質量%以下が好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
(重合性基)
特定粒子は、重合性基を有することが好ましい。
特定粒子が重合性基を有する場合、重合性基は、光、熱、赤外線などによる、画像の硬化に寄与する。
特定粒子が重合性基を有する場合、重合性基は、特定ポリマーと共有結合していてもよいし、特定ポリマーと共有結合していなくてもよい。言い換えれば、特定粒子が重合性基を有する場合、特定ポリマーが重合性基を有していてもよいし、特定ポリマーが重合性基を有していなくてもよい。
特定粒子が、特定ポリマーに共有結合していない重合性基を有することは、特定粒子が、重合性基を有する化合物(即ち、重合性化合物)を含むことを意味する。
特定粒子が、特定ポリマーに共有結合している重合性基を含むことは、特定ポリマー自体が重合性基を有することを意味する。
重合性基としては、光重合性基又は熱重合性基が好ましい。
光重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、エチレン性二重結合を含む基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、又はビニル基が更に好ましい。ラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応性及び形成される膜の硬度の観点から、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
熱重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、アジリジニル基、アゼチジニル基、ケトン基、アルデヒド基、又はブロックイソシアネート基が好ましい。
特定粒子が重合性基を有する場合、特定粒子は、重合性基を1種のみ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
特定粒子が重合性基を有することは、例えば、フーリエ変換赤外線分光測定(FT−IR)分析によって確認することができる。
本開示のインクにおいて、画像の硬度をより向上させる観点から、特定粒子が重合性化合物(詳細には、光重合性化合物又は熱重合性化合物)を含むことが好ましい。
特定粒子に含まれる重合性化合物の好ましい態様については後述する。
(重合性基導入用化合物)
特定ポリマーが重合性基を有する場合、特定ポリマーへの重合性基の導入は、重合性基導入用化合物を用いて行うことができる。
重合性基導入用化合物としては、重合性基及び活性水素基を有する化合物を用いることができる。
重合性基導入用化合物としては、1つ以上の重合性基及び2つ以上の活性水素基を有する化合物を用いることが好ましい。
特定ポリマーへの重合性基の導入方法には特に制限はないが、特定ポリマーを合成する際に、特定ポリマーの原料とともに、重合性基導入用化合物(及び、必要に応じ親水性基導入用化合物)を反応させる方法が特に好ましい。
重合性基導入用モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性基導入用化合物としては、例えば、国際公開第2016/052053号の段落0075〜0089に記載の化合物を用いることもできる。
重合性基導入用化合物としては、下記式(ma)で表される化合物が好ましい。
Lc (ma)
式(ma)において、Lは、m+n価の連結基を表し、m及びnは、それぞれ独立に、1〜100から選ばれる整数であり、Lcは1価のエチレン性不飽和基を表し、Zは活性水素基を表す。
は、2価以上の脂肪族基、2価以上の芳香族基、2価以上の複素環基、−O−、−S−、−NH−、−N<、−CO−、−SO−、−SO−又はそれらの組合せであることが好ましい。
m及びnは、それぞれ独立に、1〜50であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、3〜10であることがさらに好ましく、3〜5であることがとくに好ましい。
Lcで表される1価のエチレン性不飽和基としては、アリル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等を挙げることができる。
Zで表される活性水素基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基(1級アミノ基及び2級アミノ基)、メルカプト基等が挙げられ、ヒドロキシ基又は1級アミノ基であることがより好ましく、ヒドロキシ基であることがさらに好ましい。
以下、重合性基導入用化合物の例を示すが、重合性基導入用化合物は以下の例には限定されない。なお、化合物(a−3)及び(a−14)におけるnは、例えば、1〜90から選ばれる整数を表す。
(重合性基を導入したイソシアネート化合物)
特定ポリマーが重合性基を有する場合、特定ポリマーへの重合性基の導入は、重合性基を導入したイソシアネート化合物を用いて行うこともできる。
重合性基を導入したイソシアネート化合物としては、
上述した重合性基導入用化合物と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物;
上述した重合性基導入用化合物と、3官能以上のイソシアネート化合物と、の反応生成物;
上述した重合性基導入用化合物と、2官能イソシアネート化合物と、3個以上の活性水素基を有する化合物と、の反応生成物;
等が挙げられる。
重合性基を導入したイソシアネート化合物の原料は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(親水性基)
特定粒子(好ましくは特定粒子中の特定ポリマー)は、更に、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種である親水性基を有していてもよい。
特定粒子が親水性基を有する場合は、インクの吐出性及び保存安定性が向上する。
親水性基としては、インクの吐出性及び保存安定性向上の効果に優れる点から、アニオン性基が好ましい。
例えば、同じ分子量のアニオン性基とノニオン性基とを比較した場合、アニオン性基の方が、インクの吐出性及び保存安定性向上の効果に優れる。即ち、アニオン性基(特に好ましくは、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩からなる群から選択される少なくとも1種)は、その分子量が小さい場合においても、インクの吐出性及び保存安定性向上の効果を十分に発揮し得る。
特定粒子に含まれ得るノニオン性基としては、ポリエーテル構造を有する基が挙げられ、ポリオキシアルキレン鎖を含む1価の基が好ましい。特定粒子に含まれ得るノニオン性基として、より好ましくは、特定親水性基含有化合物の説明中で述べた基(N1)である。
特定粒子に含まれ得るアニオン性基としては、中和されていないアニオン性基であってもよいし、中和されたアニオン性基であってもよいし、これらの両方であってもよい。
中和されていないアニオン性基としては、カルボキシ基、スルホ基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、等が挙げられる。
中和されたアニオン性基としては、カルボキシ基の塩、スルホ基の塩、硫酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、等が挙げられる。
本明細書中において、「カルボキシ基が中和されている」とは、アニオン性基としてのカルボキシ基が、「塩」の形態(例えば、「−COONa」)となっていることを指す。アニオン性基としての、スルホ基、硫酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基についても同様である。
中和は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、有機アミン(例えば、トリエチルアミン等)を用いて行うことができる。
特定粒子が有し得るアニオン性基としては、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、スルホ基、スルホ基の塩、硫酸基、硫酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、及びリン酸基の塩からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上述した、カルボキシ基の塩、スルホ基の塩、硫酸基の塩、ホスホン酸基の塩、及びリン酸基の塩における「塩」としては、アルカリ金属塩又は有機アミン塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましい。
アルカリ金属塩におけるアルカリ金属としては、K又はNaが好ましい。
特定粒子が中和されたアニオン性基を有する場合における、特定粒子が有するアニオン性基(例えばカルボキシ基)の中和度は、50%〜100%であることが好ましい。
本明細書において、「アニオン性基の中和度」とは、特定粒子が有するアニオン性基全体における、中和されたアニオン性基のモル数と中和されていないアニオン性基のモル数との合計に対する中和されたアニオン性基のモル数の割合〔中和された酸基のモル数/(中和された酸基のモル数+中和されていない酸基のモル数)〕を意味する。
アニオン性基の中和度が50%以上であると、インクの吐出性及び保存安定性がより向上する。
アニオン性基の中和度は、50%〜95%であることが好ましく、80%〜95%であることがより好ましく、90%〜95%であることが更に好ましい。
中和されたアニオン性基(即ち、塩の形態であるアニオン性基)は、塩基性を示す。アニオン性基の中和度が95%以下であると、特定ポリマーが有するウレタン結合及び/又はウレア結合の加水分解をより抑制できる。
中和度は、中和滴定によって求めることができる。
特定ポリマーが上記親水性基を有する場合、特定粒子に含まれる特定ポリマーが有する親水性基の少なくとも1種と、特定親水性基含有化合物が有する親水性基の少なくとも1種と、が同種の基であることが好ましい。これにより、特定ポリマーと特定親水性基含有化合物とがより相互作用し易くなり、その結果、インクの吐出性及び保存安定性がより向上する。
ここで、特定の親水性基(例えばカルボキシ基)とその特定の親水性基(例えばカルボキシ基)との関係だけでなく、特定の親水性基(例えばカルボキシ基)とその特定の親水性基の塩(例えば−COONa)との関係も、「同種の基」の概念に含まれるものとする。
中でも好ましい態様は、特定粒子に含まれる特定ポリマーが有する親水性基が、カルボキシ基及びその塩の少なくとも一方であり、かつ、特定親水性基含有化合物が有する親水性基が、カルボキシ基及びその塩の少なくとも一方である態様である。
(親水性基導入用化合物)
特定粒子中の特定ポリマーが親水性基を有する場合、特定ポリマーへの親水性基の導入は、親水性基導入用化合物を用いて行うことができる。
親水性基導入用化合物としては、親水性基及び活性水素基を有する化合物を用いることができる。
親水性基導入用化合物としては、1個以上の親水性基及び2個以上の活性水素基を有する化合物を用いることが好ましい。
親水性基導入用化合物のうち、アニオン性基導入用化合物としては、α−アミノ酸(具体的には、リシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン)等のアミノ酸が挙げられる。
アニオン性基導入用化合物としては、上記のα−アミノ酸以外にも、以下の具体例(化合物(H−1)〜(H−33))も挙げられる。
アニオン性基導入用化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基;トリエチルアミンなどの有機塩基;等を用い、アニオン性基の少なくとも一部を中和して用いてもよい。
親水性基導入用化合物のうち、ノニオン性基導入用化合物としては、ポリエーテル構造を有する化合物が好ましく、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物がより好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物としては、下記化合物(N2)が好ましい。
化合物(N2)中、
は、炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキレン基を表し、Rは、炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基を表し、Lは、単結合、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表し、nは、2〜200の整数を表す。
化合物(N2)中、R、R、L、及びnの好ましい態様は、前述の基(N1)中の、R、R、L、及びnの好ましい態様と同様である。
(親水性基を導入したイソシアネート化合物)
特定粒子中の特定ポリマーが親水性基を有する場合、特定ポリマーへの親水性基の導入は、親水性基を導入したイソシアネート化合物を用いて行うこともできる。
親水性基を導入したイソシアネート化合物としては、
上述した親水性基導入用化合物と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物;
上述した親水性基導入用化合物と、3官能以上のイソシアネート化合物と、の反応生成物;
上述した親水性基導入用化合物と、2官能イソシアネート化合物と、3個以上の活性水素基を有する化合物と、の反応生成物;
等が挙げられる。
親水性基を導入したイソシアネート化合物の原料は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
親水性基を導入したイソシアネート化合物の具体例としては、トリメチロールプロパン(TMP)とm−キシリレンジイソシアネート(XDI)とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(EO)との付加物(例えば、三井化学株式会社製のタケネート(登録商標)D−116N)が挙げられる。
本開示のインクにおいて、インクの吐出性及び保存安定性をより向上させる観点から、特定粒子に含まれる特定ポリマー及び特定親水性基含有化合物は、同種の2官能イソシアネート化合物に由来する構造を有し、かつ、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する同種の化合物に由来する構造を有することが好ましい。即ち、概略的に言えば、特定ポリマー及び特定親水性基含有化合物が共通する構造骨格を有することが好ましい。これにより、特定ポリマーと特定親水性基含有化合物とがより相互作用し易くなり、その結果、インクの吐出性及び保存安定性がより向上する。
ここで、2官能イソシアネート化合物に由来する構造とは、前述したとおり、2官能イソシアネート化合物からイソシアネート基を2個除いた構造を意味する。
また、ここでいう「2官能イソシアネート化合物に由来する構造」の概念には、3官能以上のイソシアネート化合物(例えば、後述のD110)の構造中に含まれている、2官能イソシアネート化合物に由来する構造(例えば、XDIに由来する構造)も包含される。
また、「アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する同種の化合物」の概念に関し、特定のアニオン性基(例えばカルボキシ基)及び活性水素基を有する化合物と、特定のアニオン性基(例えば−COONa)及び活性水素基を有する化合物と、の関係も、「同種の化合物」の概念に包含される。
(重合性化合物)
特定粒子は、重合性基(例えば、光重合性基又は熱重合性基)を有する化合物として、重合性化合物(例えば、光重合性化合物又は熱重合性化合物)を含むことが好ましい。この態様によれば、画像の硬度がより向上する。
特定粒子が重合性化合物を含む場合、特定粒子に含まれる重合性化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。特定粒子が重合性化合物を含む場合、重合性化合物の重合性基は、特定粒子の重合性基として機能する。
なお、特定粒子が重合性化合物を含む態様において、特定ポリマーが重合性基を有していてもよい。
特定粒子に含まれ得る重合性化合物としては、国際公開第2016/052053号の段落0097〜0105に記載された化合物を用いてもよい。
特定粒子に含まれ得る重合性化合物としては、光の照射によって重合する光重合性化合物、又は、加熱もしくは赤外線の照射によって重合する熱重合性化合物が好ましい。光重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性二重結合を有するラジカル重合性化合物が好ましい。
特定粒子に含まれ得る重合性化合物は、重合性モノマー、重合性オリゴマー、及び重合性ポリマーのいずれであってもよいが、膜の硬化感度及び膜の硬度を向上させる観点からは、重合性モノマーが好ましい。中でも、より好ましい重合性化合物は、光重合性化合物の概念に包含される光重合性モノマー及び熱重合性化合物の概念に包含される熱重合性モノマーである。
特定粒子が、重合性化合物として光重合性化合物を含む場合、特定粒子は、更に、後述の光重合開始剤を含むことが好ましい。
また、特定粒子が、重合性化合物として熱重合性化合物を含む場合、特定粒子は、更に、後述の光熱変換剤、熱硬化促進剤、又は光熱変換剤及び熱硬化促進剤を含むことが好ましい。
特定粒子に含まれ得る重合性化合物(好ましくは重合性モノマー。以下同じ。)の含有量(2種以上含む場合には合計量)は、膜の硬化感度及び膜の硬度を向上させる観点から、特定粒子の固形分量に対して、10質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましく、30質量%〜70質量%が更に好ましい。
画像の基材との密着性をより向上させる観点から、特定粒子に含まれ得る重合性化合物(例えば光重合性化合物)の少なくとも1種は、環状構造を有する重合性化合物(以下、「環状重合性化合物」ともいう)であることが好ましい。
画像の基材との密着性を更に向上させる観点から、特定粒子に含まれ得る重合性化合物(例えば光重合性化合物)の少なくとも1種は、一分子中に、1つ以上の環状構造と、2つ以上の(メタ)アクリロイル基と、を含む重合性化合物(以下、「2官能以上の環状重合性化合物」ともいう)であることが好ましい。
2官能以上の環状重合性化合物としては、
トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、
ビスフェノールAエチレンオキシド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、
ビスフェノールAプロピレンオキシド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、
エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、
アルコキシ化ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、
アルコキシ化シクロヘキサノンジメタノールジ(メタ)アクリレート、
シクロヘキサノンジメタノールジ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
特定粒子が重合性化合物を含む場合、この重合性化合物全体に占める2官能以上の環状重合性化合物の割合は、10質量%〜100質量%が好ましく、30質量%〜100質量%がより好ましく、40質量%〜100質量%が特に好ましい。
また、特定粒子は、2官能以下の重合性化合物(好ましくは2官能以下の重合性モノマー。以下同じ。)と、3官能以上の重合性化合物(好ましくは3官能以上の重合性モノマー。以下同じ。)と、を含んでもよい。
特定粒子が、2官能以下の重合性化合物と3官能以上の重合性化合物とを含む場合には、2官能以下の重合性化合物が、膜の基材との密着性に寄与し、3官能以上の重合性化合物が、膜の硬度向上に寄与すると考えられる。
重合性化合物の分子量としては、重量平均分子量として、好ましくは100〜100000であり、より好ましくは100〜30000であり、更に好ましくは100〜10000であり、更に好ましくは100〜4000であり、更に好ましくは100〜2000であり、更に好ましくは100〜1000であり、更に好ましくは100〜900であり、更に好ましくは100〜800であり、特に好ましくは150〜750である。
−重合性モノマー−
特定粒子に含まれ得る重合性モノマーとしては、光の照射によって重合硬化する光重合性モノマー、及び加熱又は赤外線の照射によって重合硬化する熱重合性モノマーを挙げることができる。
重合性化合物として光重合性モノマーを含む場合、後述の光重合開始剤を含む態様が好ましい。また、重合性化合物として熱重合性モノマーを含む場合、後述の光熱変換剤、熱硬化促進剤、又は光熱変換剤及び熱硬化促進剤を含む態様が好ましい。
−光重合性モノマー−
光重合性モノマーとしては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマー(即ち、ラジカル重合性モノマー)及びカチオン重合可能なカチオン重合性基を有する重合性モノマー(即ち、カチオン重合性モノマー)から選択できる。
ラジカル重合性モノマーの例としては、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、スチレン化合物、ビニルナフタレン化合物、N−ビニル複素環化合物、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、及び不飽和ウレタンが挙げられる。
ラジカル重合性モノマーは、エチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。
特定粒子がラジカル重合性モノマーを含む場合、特定粒子は、ラジカル重合性モノマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
アクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート(PEA)、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、オリゴエステルアクリレート、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート(IBOA)、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソアミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルヒドロフタル酸、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ビニルエーテルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシフタル酸、2−アクリロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ラクトン変性アクリレート、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、置換アクリルアミド(例えば、N−メチロールアクリルアミド、及びジアセトンアクリルアミド)等の単官能のアクリレート化合物;
ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(NDDA)、1,10−デカンジオールジアクリレート(DDDA)、3−メチルペンタジオールジアクリレート(3MPDDA)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド(EO)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキシド(PO)付加物ジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシ化ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、アルコキシ化シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ネオペンチルグリコールプロピレンオキシド付加物ジアクリレート等の2官能のアクリレート化合物;
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート等の3官能以上のアクリレート化合物などが挙げられる。
メタクリレート化合物としては、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の単官能のメタクリレート化合物;
ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、テトラエチレングリコールジメタクリレート等の2官能のメタクリレート化合物などが挙げられる。
スチレン化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン等が挙げられる。
ビニルナフタレン化合物としては、1−ビニルナフタレン、メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレン等が挙げられる。
N−ビニル複素環化合物としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルピロール、N−ビニフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルコハク酸イミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
その他のラジカル重合性のモノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルアミドが挙げられる。
これらのラジカル重合性モノマーの中でも、2官能以下のラジカル重合性モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(NDDA)、1,10−デカンジオールジアクリレート(DDDA)、3−メチルペンタジオールジアクリレート(3MPDDA)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、及びポリプロピレングリコールジアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
2官能以下のラジカル重合性モノマーと3官能以上のラジカル重合性のモノマーとの組合せとしては、2官能のアクリレート化合物と3官能のアクリレート化合物との組合せ、2官能のアクリレート化合物と5官能のアクリレート化合物との組み合わせ、単官能のアクリレート化合物と4官能のアクリレート化合物との組み合わせなどが挙げられる。
ラジカル重合性モノマーとしては、
環状構造を有するモノマーが好ましく;
前述した2官能以上の環状重合性化合物の好ましい化合物群、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、又は、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートがより好ましく;
前述した2官能以上の環状重合性化合物の好ましい化合物群、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、又は、ジシクロペンタニルアクリレートが更に好ましく;
前述した2官能以上の環状重合性化合物の好ましい化合物群が特に好ましい。
上記に挙げたラジカル重合性モノマーの他にも、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品、並びに業界で公知のラジカル重合性及び架橋性のモノマーを用いることができる。
カチオン重合性モノマーの例としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、及びオキセタン化合物が挙げられる。
カチオン重合性モノマーとしては、少なくとも1つのオレフィン、チオエーテル、アセタール、チオキサン、チエタン、アジリジン、N複素環、O複素環、S複素環、P複素環、アルデヒド、ラクタム、又は環状エステル基を有する化合物が好ましい。
カチオン重合性モノマーとしては、J. V. Crivelloらの「Advances in Polymer Science」, 62, pages 1 to 47 (1984)、Leeらの「Handbook of Epoxy Resins」, McGraw Hill Book Company, New York (1967) 、及びP. F. Bruinsらの「Epoxy Resin Technology」,(1968)に記載の化合物を用いてもよい。
また、光重合性モノマーとしては、特開平7−159983号公報、特公平7−31399号公報、特開平8−224982号公報、特開平10−863号公報、特開平9−134011号公報、特表2004−514014号公報等の各公報に記載の光重合性組成物に用いられる光硬化性の重合性モノマーが知られており、これらも特定粒子に含まれ得る重合性モノマーとして適用することができる。
光重合性モノマーとしては、上市されている市販品を用いてもよい。
光重合性モノマーの市販品の例としては、AH−600(2官能)、AT−600(2官能)、UA−306H(6官能)、UA−306T(6官能)、UA−306I(6官能)、UA−510H(10官能)、UF−8001G(2官能)、DAUA−167(2官能)、ライトアクリレートNPA(2官能)、ライトアクリレート3EG−A(2官能)(以上、共栄社化学(株))、SR339A(PEA、単官能)、SR506(IBOA、単官能)、CD262(2官能)、SR238(HDDA、2官能)、SR341(3MPDDA、2官能)、SR508(2官能)、SR306H(2官能)、CD560(2官能)、SR833S(2官能)、SR444(3官能)、SR454(3官能)、SR492(3官能)、SR499(3官能)、CD501(3官能)、SR502(3官能)、SR9020(3官能)、CD9021(3官能)、SR9035(3官能)、SR494(4官能)、SR399E(5官能)(以上、サートマー社)、A−NOD−N(NDDA、2官能)、A−DOD−N(DDDA、2官能)、A−200(2官能)、APG−400(2官能)、A−BPE−10(2官能)、A−BPE−20(2官能)、A−9300(3官能)、A−9300−1CL(3官能)、A−TMPT(3官能)、A−TMM−3L(3官能)、A−TMMT(4官能)、AD−TMP(4官能)(以上、新中村化学工業(株))、UV−7510B(3官能)(日本合成化学(株))、KAYARAD DPCA−30(6官能)、KAYARAD DPEA−12(6官能)(以上、日本化薬(株))等が挙げられる。
その他、重合性モノマーとしては、NPGPODA(ネオペンチルグリコールプロピレンオキシド付加物ジアクリレート)、SR531、SR285、SR256(以上、サートマー社)、A−DHP(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業(株))、アロニックス(登録商標)M−156(東亞合成(株))、V−CAP(BASF社)、ビスコート#192(大阪有機化学工業(株))等の市販品を好適に用いることができる。
これらの市販品の中でも、特に環状構造を有する光重合性モノマーである、SR506、SR833S、A−9300、又はA−9300−CLが好ましく、SR833Sが特に好ましい。
−熱重合性モノマー−
熱重合性モノマーは、加熱もしくは赤外線の照射によって重合可能な重合性モノマーの群から選択できる。熱重合性モノマーとしては、例えば、エポキシ、オキセタン、アジリジン、アゼチジン、ケトン、アルデヒド、又はブロックイソシアナート等の化合物が挙げられる。
上記のうち、エポキシ化合物としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、3−(ビス(グリシジルオキシメチル)メトキシ)−1,2−プロパンジオール、リモネンオキシド、2−ビフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エピクロロヒドリン−ビスフェノールS由来のエポキシド、エポキシ化スチレン、エピクロロヒドリン−ビスフェノールF由来のエポキシド、エピクロロヒドリン−ビスフェノールA由来のエポキシド、エポキシ化ノボラック、脂環式ジエポキシド等の2官能以下のエポキシ化合物;
多塩基酸のポリグリシジルエステル、ポリオールのポリグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル、芳香族ポリオールのポリグリシジルエステル、ウレタンポリエポキシ化合物、ポリエポキシポリブタジエン等の3官能以上のエポキシ化合物などが挙げられる。
オキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−1−オキセタン、1,4ビス[3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3−エチル−3−フェノキシメチル−オキセタン、ビス([1−エチル(3−オキセタニル)]メチル)エーテル、3−エチル−3−[(2−エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−[(トリエトキシシリルプロポキシ)メチル]オキセタン、3,3−ジメチル−2−(p−メトキシフェニル)−オキセタン等が挙げられる。
ブロックイソシアナート化合物としては、イソシアナート化合物をブロック化剤(活性水素含有化合物)で不活性化した化合物が挙げられる。
イソシアナート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、トルイルジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート三量体、トリメチルへキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、水添キシリレンジイソシアナート、タケネート(登録商標;三井化学社)、デュラネート(登録商標;旭化成社)、Bayhydur(登録商標;バイエルAG社)などの市販のイソシアナート、又はこれらを組み合わせた二官能以上のイソシアナートが好ましい。
ブロック化剤としては、ラクタム[例えばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等]、オキシム[例えばアセトオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチルケトオキシム(MIBKオキシム)、シクロヘキサノンオキシム等]、アミン[例えば脂肪族アミン(ジメチルアミン、ジイソピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソブチルアミン等)、脂環式アミン(メチルヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等)、芳香族アミン(アニリン、ジフェニルアミン等)]、脂肪族アルコール[例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール等]、フェノール及びアルキルフェノール[例えばフェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール、ジイソプロピルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール等]、イミダゾール[例えばイミダゾール、2−メチルイミダゾール等]、ピラゾール[例えばピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等]、イミン[例えばエチレンイミン、ポリエチレンイミン等]、活性メチレン[例えばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等]、特開2002−309217号公報及び特開2008−239890号公報に記載のブロック化剤、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。中でも、ブロック化剤としては、オキシム、ラクタム、ピラゾール、活性メチレン、又はアミンが好ましい。
ブロックイソシアナート化合物としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、Trixene(登録商標)BI7982、BI7641,BI7642、BI7950、BI7960、BI7991等(Baxenden Chemicals LTD)、Bayhydur(登録商標;Bayer AG社)が好適に用いられる。また、国際公開第2015/158654号の段落0064に記載の化合物群も好適に用いられる。
重合性モノマーを含む特定粒子は、例えば、特定鎖状ポリマー及び重合性モノマーを含む油相成分と、水相成分と、を混合した混合物を乳化させることによって製造できる。
重合性モノマーの分子量としては、重量平均分子量として、好ましくは100〜4000であり、より好ましくは100〜2000であり、更に好ましくは100〜1000であり、更に好ましくは100〜900であり、更に好ましくは100〜800であり、特に好ましくは150〜750である。
(光重合開始剤)
特定粒子は、光重合開始剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。
特定粒子が、重合性基として光重合性基(好ましくはラジカル重合性基)を有する場合(特に、特定粒子が光重合性化合物(更に好ましくはラジカル重合性化合物)を含む場合)には、特定粒子は、光重合開始剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
特定粒子が光重合開始剤を含む場合には、活性エネルギー線に対する感度が高くなり、硬度により優れ、かつ、基材との密着性にもより優れた画像が得られる。
詳細には、特定粒子が光重合開始剤を含む場合、1つの特定粒子が、重合性基と光重合開始剤との両方を有する。このため、重合性基と光重合開始剤との距離が近くなるので、従来の光硬化性組成物を用いた場合と比較して、膜の硬化感度(以下、単に「感度」ともいう。)が向上する。その結果、硬度により優れ、かつ、基材との密着性にもより優れた膜が形成される。
また、特定粒子が光重合開始剤を含む場合、従来、高感度ではあるが水への分散性が低い又は溶解性が低いために用いることが難しかった光重合開始剤(例えば、水への溶解度が25℃において1.0質量%以下である光重合開始剤)を用いることができる。これにより、使用する光重合開始剤の選択の幅が広がり、ひいては、用いられる光源の選択の幅も広がる。このため、従来よりも硬化感度が向上し得る。
上述の、高感度ではあるが水への分散性が低い又は溶解性が低いために用いることが難しかった光重合開始剤として、具体的には、後述のカルボニル化合物及びアシルホスフィンオキシド化合物が挙げられ、アシルホスフィンオキシド化合物が好ましい。
このように、本開示のインクは、水に対する溶解性が低い物質を特定粒子に含ませることにより、水系の組成物である本開示のインク中に含有させることができる。このことも本開示のインクの利点の一つである。
また、特定粒子が光重合開始剤を含む態様のインクは、従来の光硬化性組成物と比較して、保存安定性にも優れる。この理由は、光重合開始剤が特定粒子に含まれていることにより、光重合開始剤の凝集又は沈降が抑制されるためと考えられる。
特定粒子に含まれ得る光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を適宜選択して使用することができる。
光重合開始剤は、光(即ち、活性エネルギー線)を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する化合物である。
光重合開始剤としては公知の化合物を使用できるが、好ましい光重合開始剤として、(a)芳香族ケトン類等のカルボニル化合物、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を1種単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(a)カルボニル化合物、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、”RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY”,J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117に記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。
より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号パンフレット、ヨーロッパ特許0284561A1号公報に記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
また、特開2008−105379号公報又は特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。
光重合開始剤の市販品の例としては、IRGACURE(登録商標)184、369、500、651、819、907、1000、1300、1700、1870、DAROCUR(登録商標)1173、2959、4265、ITX、LUCIRIN(登録商標)TPO〔以上、全てBASF社製〕、ESACURE(登録商標)KTO37、KTO46、KIP150、EDB〔以上、全てLamberti社製〕、H−Nu(登録商標)470、470X〔以上、全てSpectra Group Limited社製〕、Omnipol TX、9210〔以上、全てIGM Resins B.V.社〕、SPEEDCURE7005、7010、7040〔以上、LAMBSON社製〕等が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中でも、(a)カルボニル化合物又は(b)アシルホスフィンオキシド化合物がより好ましく、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)819)、2−(ジメチルアミン)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)369)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)907)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)184)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(例えば、DAROCUR(登録商標)TPO、LUCIRIN(登録商標)TPO(いずれもBASF社製))などが挙げられる。
これらの中でも、感度向上の観点及びLED光への適合性の観点等から、内包光重合開始剤としては、(b)アシルホスフィンオキシド化合物が好ましく、モノアシルホスフィンオキシド化合物(特に好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド)、又は、ビスアシルホスフィンオキシド化合物(特に好ましくは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)がより好ましい。
LED光の波長としては、355nm、365nm、385nm、395nm、又は405nmが好ましい。
また、マイグレーション抑制の観点からみると、光重合開始剤としては、高分子型光重合開始剤も好ましい。
高分子型光重合開始剤としては、前述の、Omnipol TX、9210;SPEEDCURE7005、7010、7040;が挙げられる。
光重合開始剤を含む特定粒子は、例えば、特定鎖状ポリマー及び光重合開始剤を含む油相成分と、水相成分と、を混合した混合物を乳化させることによって製造することができる。
光重合開始剤の含有量は、特定粒子の固形分量に対して、0.1質量%〜25質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜20質量%、さらに好ましくは1質量%〜15質量%である。
(増感剤)
特定粒子は、増感剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。
特定粒子が光重合開始剤の少なくとも1種を含む場合には、特定粒子は、増感剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
特定粒子が増感剤を含有すると、活性エネルギー線照射による光重合開始剤の分解がより促進され得る。
増感剤は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる物質である。電子励起状態となった増感剤は、光重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱等の作用を生じる。これにより、光重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸又は塩基の生成等が促進される。
増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、アントラキノン、3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン、エリスロシン等が挙げられる。
また、増感剤としては、特開2010−24276号公報に記載の一般式(i)で表される化合物や、特開平6−107718号公報に記載の一般式(I)で表される化合物も、好適に使用できる。
上記の中でも、増感剤としては、LED光への適合性及び光重合開始剤との反応性の観点から、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及びベンゾフェノンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、チオキサントン及びイソプロピルチオキサントンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、イソプロピルチオキサントンが更に好ましい。
特定粒子が増感剤を含む場合、増感剤を1種単独で含んでもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
特定粒子が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、特定粒子の固形分量に対し、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.2質量%〜15質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
光重合開始剤及び増感剤を含む特定粒子は、例えば、特定鎖状ポリマー、光重合開始剤及び増感剤を含む油相成分と、水相成分と、を混合した混合物を乳化させることによって製造することができる。
(光熱変換剤)
特定粒子が重合性化合物として熱重合性化合物(好ましくは熱重合性モノマー)を含む場合、特定粒子は、光熱変換剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。
光熱変換剤は、赤外線等を吸収して発熱し、熱重合性化合物を重合硬化させる化合物である。光熱変換剤としては、公知の化合物を用いることができる。
光熱変換剤としては、赤外線吸収剤が好ましい。赤外線吸収剤としては、例えば、ポリメチルインドリウム、インドシアニングリーン、ポリメチン色素、クロコニウム色素、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素、カルコゲノピリロアリリデン色素、金属チオレート錯体色素、ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン色素、オキシインドリジン色素、ビスアミノアリルポリメチン色素、インドリジン色素、ピリリウム色素、キノイド色素、キノン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、カーボンブラック等が挙げられる。
光熱変換剤を含む特定粒子は、例えば、特定鎖状ポリマー及び光熱変換剤を含む油相成分と、水相成分と、を混合した混合物を乳化させることによって製造することができる。
光熱変換剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
光熱変換剤の含有量は、特定粒子の固形分量に対して、0.1質量%〜25質量%であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%であることがより好ましく、1質量%〜15質量%であることが更に好ましい。
(熱硬化促進剤)
特定粒子が重合性化合物として熱重合性化合物(好ましくは熱重合性モノマー)を含む場合、特定粒子は、熱硬化促進剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。
熱硬化促進剤は、熱重合性化合物(好ましくは熱重合性モノマー)の熱硬化反応を触媒的に促進する化合物である。
熱硬化促進剤としては、公知の化合物を使用することができる。熱硬化促進剤としては、酸もしくは塩基、又は加熱により酸もしくは塩基を発生させる化合物が好ましく、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、脂肪族アルコール、フェノール、脂肪族アミン、芳香族アミン、イミダゾール(例えば、フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール)、ピラゾール等が挙げられる。
熱硬化促進剤を含む特定粒子は、例えば、特定鎖状ポリマー及び熱硬化促進剤を含む油相成分と、水相成分と、を混合した混合物を乳化させることによって製造することができる。
熱硬化促進剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
熱硬化促進剤の含有量は、特定粒子の固形分量に対して、0.1質量%〜25質量%であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%であることがより好ましく、1質量%〜15質量%であることが更に好ましい。
本開示のインクにおいて、特定粒子の固形分量は、インクの固形分量に対して50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、85質量%以上であることが更に好ましい。
これにより、インクの吐出性及び保存安定性がより向上し、かつ、画像と基材との密着性がより向上する。
本開示のインクにおいて、特定粒子の固形分量は、インクの全量に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、3質量%〜40質量%であることがより好ましく、5質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
特定粒子の固形分量がインクの全量に対して1質量%以上であると、画像と基材との密着性がより向上する。
また、特定粒子の固形分量がインクの全量に対して50質量%以下であると、インクの吐出性及び保存安定性がより向上する。
特定粒子の体積平均分散粒子径は特に制限はないが、インクの吐出性及び保存安定性の観点から、0.01μm〜10.0μmであることが好ましく、0.01μm〜5μmであることがより好ましく、0.05μm〜1μmであることが更に好ましく、0.05μm〜0.5μmが更に好ましく、0.05μm〜0.3μmが更に好ましい。
本明細書中において、「体積平均分散粒子径」は、光散乱法によって測定された値を指す。光散乱法による特定粒子の体積平均分散粒子径の測定は、例えば、LA−960((株)堀場製作所)を用いて行う。
<水>
本開示のインクは、水を含有する。
水は、特定粒子(分散質)に対する分散媒である。
本開示のインク中の水の含有量には特に制限はないが、水の含有量は、インクの全量に対し、好ましくは10質量%〜99質量%であり、より好ましくは20質量%〜95質量%であり、さらに好ましくは30質量%〜90質量%であり、特に好ましくは50質量%〜90質量%である。
<色材>
本開示のインクは、色材を少なくとも1種含有するインク(いわゆる「着色インク」)であってもよいし、色材を含有しないインク(いわゆる「クリアインク」)であってもよい。
インクが色材を含有する場合、色材は、特定粒子の外部に含有されること(即ち、特定粒子が色材を含まないこと)が好ましい。
色材としては、特に制限はなく、顔料、水溶性染料、分散染料等の公知の色材から任意に選択して使用することができる。この中でも、耐候性に優れ、色再現性に富む点から、顔料を含むことがより好ましい。
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機顔料及び無機顔料などが挙げられ、また、染料で染色した樹脂粒子、市販の顔料分散体や表面処理された顔料(例えば、顔料を分散媒として水、液状化合物や不溶性の樹脂等に分散させたもの、及び、樹脂や顔料誘導体等で顔料表面を処理したもの等)も挙げられる。
有機顔料及び無機顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、紫色顔料、褐色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。
色材として顔料を用いる場合には、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよい。
また、色材として顔料を用いる場合には、顔料として、顔料粒子表面に親水性基を有する自己分散顔料を用いてもよい。
色材及び顔料分散剤については、特開2014−040529号公報の段落0180〜0200、国際公開第2016/052053号の段落0122〜0129を適宜参照することができる。
本開示のインクが色材を含有する場合、色材の含有量は、インク全量に対し、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が特に好ましい。
<その他の成分>
本開示のインクは、必要に応じて、上記で説明した以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分は、特定粒子に含まれていてもよいし、特定粒子に含まれていなくてもよい。
(有機溶剤)
本開示のインクは、有機溶剤を含有していてもよい。
本開示のインクが有機溶剤を含有すると、画像と基材との密着性がより向上し得る。
本開示のインクが有機溶剤を含有する場合、有機溶剤の含有量は、インクの全量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%であることがより好ましい。
有機溶剤の具体例は、以下のとおりである。
・アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、
・多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−メチルプロパンジオール等)、
・多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
・アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
・アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、
・複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン等)、
・スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、
・スルホン類(例えば、スルホラン等)、
・その他(尿素、アセトニトリル、アセトン等)
(界面活性剤)
本開示のインクは、界面活性剤を少なくとも1種含有していてもよい。
本開示のインクが界面活性剤を含有すると、インクの基材への濡れ性が向上する。
界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等が挙げられる。
これらの中でも、界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、及びアルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤が好ましく、アルキル硫酸塩が特に好ましい。
界面活性剤としては、特定粒子の分散性の観点から、アルキル鎖長が8〜18のアルキル硫酸塩であることが好ましく、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、アルキル鎖長:12)及びセチル硫酸ナトリウム(SCS、アルキル鎖長:16)から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
また、上述の界面活性剤以外のその他の界面活性剤として、特開昭62−173463号及び同62−183457号の各公報に記載されたものも挙げられる。例えば、その他の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、シロキサン類等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
また、界面活性剤として、有機フルオロ化合物も挙げられる。
有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物としては、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)、及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8欄〜第17欄)、及び特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
なお、本開示のインクは、吐出性及び保存安定性に優れるため、界面活性剤(例えばアニオン性界面活性剤)を実質的に含有しないこともできる。
ここで、「実質的に含有しない」とは、インクの全量に対し、含有量が1質量%未満(好ましくは0.1質量%未満)であることを指す。
インクがアニオン性界面活性剤を実質的に含有しない態様は、インクの起泡を抑制できるという利点、画像の耐水性を向上できるという利点、画像形成後にブリードアウトによる白化を抑制できるという利点、等を有する。また、特に、インクの調製に、アニオン性分散性基を有する顔料分散物を用いる場合には、アニオン性界面活性剤により系中のイオン濃度が上昇し、アニオン性顔料分散剤の電離度が低下して、顔料の分散性が低下することを抑制できるという利点も有する。
(重合禁止剤)
本開示のインクは、重合禁止剤を含有していてもよい。
本開示のインクが重合禁止剤を含有すると、インクの保存安定性がより向上し得る。
重合禁止剤としては、p−メトキシフェノール、キノン類(例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、メトキシベンゾキノン等)、フェノチアジン、カテコール類、アルキルフェノール類(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等)、アルキルビスフェノール類、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、サリチル酸銅、チオジプロピオン酸エステル類、メルカプトベンズイミダゾール、ホスファイト類、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、クペロンAl、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩などが挙げられる。
これらの中でも、p−メトキシフェノール、カテコール類、キノン類、アルキルフェノール類、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl、及びトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ベンゾキノン、BHT、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl、及びトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
(紫外線吸収剤)
本開示のインクは、紫外線吸収剤を含有していてもよい。
本開示のインクが紫外線吸収剤を含有すると、画像の耐候性等がより向上し得る。
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンズオキサゾール系化合物等が挙げられる。
また、本開示のインクは、画像の硬度、画像と基材との密着性、及びインクの吐出性の観点から、必要に応じ、特定粒子の外部に、重合性化合物、光重合開始剤、樹脂等を含有していてもよい。
これらの成分は、水溶性又は水分散性を有することが好ましい。
また、「インクが特定粒子の外部に重合性化合物を含有している」とは、インクが、特定粒子に含まれない重合性化合物を含有していることを意味する。光重合開始剤、水溶性樹脂、水分散性樹脂等を特定粒子の外部に含有している場合も同様である。
特定粒子の外部に含有され得る重合性化合物としては、国際公開第2016/052053号の段落0148〜0156に記載された重合性化合物が挙げられる。
特定粒子の外部に含有され得る重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
これらの中でも、特定粒子の外部に含有され得る重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が特に好ましい。
水溶性又は水分散性の観点から、特定粒子の外部に含有され得る重合性化合物としては、アミド構造、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造、カルボキシ基、及びカルボキシ基の塩からなる群から選択される少なくとも1種を有する化合物が好ましい。
水溶性又は水分散性の観点から、特定粒子の外部に含有され得る重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、モルホリンアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、N−[トリス(3−アクリロイルアミノプロピルオキシメチレン)メチル]アクリルアミド、ジエチレングリコールビス(3−アクリロイルアミノプロイル)エーテル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、下記一般式(a)〜一般式(d)で表される化合物、及びエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、サートマー社製のSR9035)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、N−[トリス(3−アクリロイルアミノプロピルオキシメチレン)メチル]アクリルアミド、ジエチレングリコールビス(3−アクリロイルアミノプロイル)エーテル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、下記一般式(a)〜一般式(d)で表される化合物、及びエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、サートマー社製のSR9035)から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
一般式(a)中、複数のRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、複数のRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、複数のLはそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
一般式(b)中、複数のRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、複数のLはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、複数のk及びpはそれぞれ独立に、0又は1を表し、複数のmはそれぞれ独立に、0〜8の整数を表し、但し、k及びpの少なくとも1つは1である。
一般式(c)中、複数のRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、複数のnはそれぞれ独立に、1〜8の整数を表し、lは0又は1の整数を表す。
一般式(d)中、Zはポリオールのヒドロキシル基から水素原子をq個除いた残基を表し、qは3〜6の整数を表し、複数のRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、複数のLはそれぞれ独立に炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す。
一般式(a)〜一般式(d)で表される化合物の具体例としては、下記AM−1〜AM−4で表される化合物が挙げられる。
上記のAM−1〜AM−4は、特許第5591858号に記載の方法により合成することができる。
特定樹脂の外部に含有され得る、光重合開始剤及び樹脂については、国際公開第2016/052053号の段落0139〜0147及び0157を適宜参照することができる。
<インクの好ましい物性>
本開示のインクは、インクを25℃〜50℃とした場合に、粘度が、3mPa・s〜15mPa・sであることが好ましく、3mPa・s〜13mPa・sであることがより好ましい。特に、本開示のインクは、インクを25℃とした場合における粘度が、50mPa・s以下であることが好ましい。インクの粘度が上記の範囲であると、より高い吐出性を実現できる。
なお、インクの粘度は、粘度計(VISCOMETER TV−22、東機産業(株))を用いて測定される値である。
〔インクの製造方法の具体例1(製法A)〕
本開示のインクを製造する方法には特に制限はないが、特定親水性基含有化合物が前述の反応生成物X1〜反応生成物X4のいずれかである場合には、以下に示す製法Aが好適である。
製法Aは、有機溶媒及び特定ポリマーを含む油相成分、又は、有機溶媒及び3官能以上のイソシアネート化合物を含む油相成分と、水を含む水相成分と、を混合し、乳化させることにより、特定粒子を形成する工程を有し、
特定親水性基含有化合物が反応生成物X1又は反応生成物X2である場合には、油相成分が特定親水性基含有化合物を含み、
特定親水性基含有化合物が反応生成物X3又は反応生成物X4である場合には、水相成分が特定親水性基含有化合物を含む。
この製法Aによれば、吐出性及び保存安定性に優れたインクを製造することができる。
特定粒子を形成する工程では、上述した油相成分と水相成分とを混合し、得られた混合物を乳化させることにより、特定粒子が形成される。形成された特定粒子は、製造されるインクにおいて分散質として機能する。
水相成分中の水は、製造されるインクにおける分散媒として機能する。
油相成分に含まれる有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
有機溶媒は、特定粒子の形成過程において、また、特定粒子の形成後において、その少なくとも一部が除去されることが好ましい。
油相成分は、インクによって形成される画像の硬化性の観点から、重合性化合物、重合性基導入用化合物(好ましくは、重合性基及び活性水素基を有する化合物)、及び重合性基を導入したイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましく、重合性化合物を含むことがより好ましい。
油相成分が重合性化合物を含む場合、油相成分は、更に、重合性基導入用化合物(好ましくは、重合性基及び活性水素基を有する化合物)及び重合性基を導入したイソシアネート化合物の少なくとも一方を含んでもよい。
油相成分は、上記各成分以外にも、例えば、光重合開始剤、増感剤、親水性基を導入したイソシアネート化合物、等を含むことができる。
製法Aにおいて、特定親水性基含有化合物が反応生成物X1又は反応生成物X2である場合には、油相成分は、特定親水性基含有化合物を含む。
この場合、例えば、有機溶媒中で反応生成物X1又は反応生成物X2を製造して反応生成物X1又は反応生成物X2の溶液を得、得られた溶液を、油相成分の一部として用いる。
水相成分は、水を含むこと以外には特に制限はなく、水のみであってもよい。
水相成分は、水以外の成分を含んでもよい。
例えば、水相成分は、親水性基導入用化合物(好ましくは、親水性基及び活性水素基を有する化合物)を含んでもよい。
また、水相成分は、中和されていないアニオン性基(カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、等)に対する中和剤として、塩基性化合物を含有してもよい。これにより、特定粒子の形成過程において、中和されたアニオン性基(即ち、塩の形態であるアニオン性基;例えば、カルボキシ基の塩、スルホ基の塩、リン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、硫酸基の塩、等)を形成できる。
上記塩基性化合物(中和剤)を用いる場合、上記塩基性化合物(中和剤)は、少なくとも水相成分に含有させることが好ましい。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基などが挙げられる。これらの中でも、塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が好ましい。
また、塩の形態であるアニオン性基における塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;トリエチルアミン塩等の有機アミン塩;等が挙げられる。これらの中でも、塩の形態であるアニオン性基における塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
製法Aにおいて、特定親水性基含有化合物が反応生成物X3又は反応生成物X4である場合には、水相成分は、特定親水性基含有化合物を含む。
この場合、例えば、水中で反応生成物X3又は反応生成物X4を製造して反応生成物X3又は反応生成物X4の水溶液又は水分散液を得、得られた水溶液又は水分散液を、水相成分の一部として用いる。
製法Aにおける、油相成分及び水相成分から有機溶媒及び水を除いた全量が、製造されるインクにおける、特定粒子の固形分量に対応する。
製法Aに用いられ得る各成分の使用量の好ましい範囲については、既述の「インク」の項を参照できる。この参照の際、既述の「インク」の項における、「含有量」及び「特定粒子の固形分量」は、それぞれ、「使用量」及び「油相成分及び水相成分から有機溶媒及び水を除いた全量」と読み替える。
特定粒子を形成する工程において、油相成分と水相成分との混合の方法には特に限定はないが、例えば、攪拌による混合が挙げられる。
特定粒子を形成する工程において、乳化の方法には特に限定はないが、例えば、ホモジナイザー等の乳化装置(例えば、分散機等)による乳化が挙げられる。
乳化における分散機の回転数は、例えば、5,000rpm〜20,000rpmであり、好ましくは10,000rpm〜15,000rpmである。
乳化における回転時間は、例えば、1分間〜120分間であり、好ましくは3分間〜60分間であり、より好ましくは3分間〜30分間であり、更に好ましくは5分間〜15分間である。
特定粒子を形成する工程における乳化は、加熱下で行ってもよい。
乳化を加熱下で行うことにより、特定粒子をより効率よく形成できる。
また、乳化を加熱下で行うことにより、油相成分中の有機溶媒の少なくとも一部を、混合物中から除去し易い。
乳化を加熱下で行う場合の加熱温度としては、35℃〜70℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。
また、特定粒子を形成する工程は、混合物を(例えば35℃未満の温度で)乳化させる乳化段階と、乳化段階によって得られた乳化物を(例えば35℃以上の温度で)加熱する加熱段階と、を含んでいてもよい。
乳化段階と加熱段階とを含む態様では、特に加熱段階において、特定粒子をより効率よく形成できる。
また、乳化段階と加熱段階とを含む態様では、特に加熱段階において、油相成分中の有機溶媒の少なくとも一部を、混合物中から除去し易い。
加熱段階における加熱温度としては、35℃〜70℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。
加熱段階における加熱時間は、6時間〜50時間が好ましく、12時間〜40時間がより好ましく、15時間〜35時間が更に好ましい。
また、製法Aは、必要に応じて、特定粒子を形成する工程以外のその他の工程を有していてもよい。
その他の工程としては、特定粒子を形成する工程後において、その他の成分(顔料等)を添加する工程が挙げられる。
添加されるその他の成分(顔料等)については、インクに含有され得るその他の成分として既に説明したとおりである。
〔インクの製造方法の具体例2(製法B)〕
特定親水性基含有化合物が前述の反応生成物X3又は反応生成物X4のいずれかである場合には、本開示のインクを製造する方法として、以下に示す、製法Bも挙げられる。
製法Bは、
有機溶媒及び特定ポリマーを含む油相成分、又は、有機溶媒及び3官能以上のイソシアネート化合物を含む油相成分と、水を含む水相成分と、
を混合し、乳化させることにより、特定粒子を含む水分散物を得る工程と、
得られた水分散物に対し、反応生成物X3又は反応生成物X4である特定親水性基含有化合物を添加する工程と、
を有する。
製法Bにおける上記添加する工程は、水分散物に対し、特定親水性基含有化合物だけでなく、その他の成分(顔料等)を添加してもよい。
この製法Bによっても、吐出性及び保存安定性に優れたインクを製造することができる。
製法Bにおいて、油相成分及び水相成分に含まれていてもよい成分は、それぞれ、製法Aにおいて、油相成分及び水相成分に含まれていてもよい成分と同様である。
製法Bの好ましい条件も、製法Aの好ましい条件と同様である。
〔画像形成方法〕
本開示の画像形成方法は、上述した本開示のインクを基材上に付与する工程(以下、「付与工程」ともいう)を含む。
本開示の画像形成方法は、必要に応じその他の工程を含んでいてもよい。
本開示の画像形成方法は、吐出性及び保存安定性に優れた本開示のインクを用いる。このため、本開示の画像形成方法によれば、基材上に、画像を安定して形成できる。
(付与工程)
付与工程は、本開示のインクを、基材上に付与する工程である。
基材上にインクを付与する態様としては、塗布法、浸漬法、インクジェット法などの公知の方法を利用した態様のいずれを採用してもよい。中でも、種々の基材(記録媒体を含む)に対して膜(例えば画像)の形成が行える点で、インクジェット法が好適である。
基材としては、特に制限はなく、例えば、支持体及び記録媒体として提供されている公知の基材を適宜選択して使用することができる。
基材としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等の金属の板)、プラスチックフィルム(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl Chloride)樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)、ポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリスチレン(PS:Polystyrene)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)、ポリカーボネート(PC:Polycarbonate)、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂等のフィルム)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙、上述した金属がラミネートされ又は蒸着されたプラスチックフィルムなどが挙げられる。
また、基材としては、テキスタイル基材も挙げられる。
テキスタイル基材の素材としては、例えば、綿、絹、麻、羊毛等の天然繊維;ビスコースレーヨン、レオセル等の化学繊維;ポリエステル、ポリアミド、アクリル等の合成繊維;天然繊維、化学繊維、及び合成繊維からなる群から選択される少なくとも2種である混合物;等が挙げられる。テキスタイル基材としては、国際公開第2015/158592号の段落0039〜0042に記載されたテキスタイル基材を用いてもよい。
基材として、具体的には、ポリ塩化ビニル(PVC)基材、ポリスチレン(PS)基材、ポリカーボネート(PC)基材、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材、ポリプロピレン(PP)基材、アクリル樹脂基材等のプラスチック基材が好ましい。
インクジェット法によるインクの付与は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。
インクジェット記録装置としては特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。
インクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、加熱手段を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本開示のインクを含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1pl〜100pl、より好ましくは8pl〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320dpi(dot per inch)×320dpi〜4000dpi×4000dpi(dot per inch)、より好ましくは400dpi×400dpi〜1600dpi×1600dpi、さらに好ましくは720dpi×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、dpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。
(硬化工程)
本開示のインクにおける特定粒子が重合性基を有する場合、本開示の画像形成方法は、付与工程の後に設けられ、基材上に付与されたインクを硬化させる工程(以下、「硬化工程」ともいう)を更に含むことが好ましい。
この硬化工程により、特定粒子の架橋反応(即ち、重合反応)が進行するので、画像と基材との密着性及び画像の硬度を向上させることができる。
硬化工程としては、特定粒子が光重合性基(及び、好ましくは光重合開始剤)を有する場合には、活性エネルギー線(光)を照射する硬化工程Aが好ましく、特定粒子が熱重合性基を有する場合には、加熱又は赤外線の照射を行う硬化工程Bが好ましい。
−硬化工程A−
硬化工程Aは、基材上に付与されたインクに、活性エネルギー線を照射する工程である。
硬化工程Aでは、基材上に付与されたインクに活性エネルギー線を照射することで、インク中の特定粒子の光架橋反応(即ち、光重合反応)が進行するので、画像と基材との密着性及び画像の硬度を向上させることができる。
硬化工程Aで用いることができる活性エネルギー線としては、紫外線(UV光)、可視光線、電子線等を挙げられ、これらの中でも、UV光が好ましい。
活性エネルギー線(光)のピーク波長は、200nm〜405nmであることが好ましく、220nm〜390nmであることがより好ましく、220nm〜385nmであることが更に好ましい。
また、200nm〜310nmであることも好ましく、200nm〜280nmであることも好ましい。
活性エネルギー線(光)が照射される際の露光面照度は、例えば10mW/cm〜2000mW/cm、好ましくは20mW/cm〜1000mW/cmである。
活性エネルギー線(光)が照射される際の露光エネルギーは、例えば10mJ/cm〜2000mJ/cm、好ましくは20mJ/cm〜1000mJ/cmである。
活性エネルギー線(光)を発生させるための源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV蛍光灯、ガスレーザー、固体レーザー等が広く知られている。
また、上記で例示された光源の、半導体紫外発光デバイスへの置き換えは、産業的にも環境的にも非常に有用である。
半導体紫外発光デバイスの中でも、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)は、小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、光源として期待されている。
光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LED、又は青紫レーザーが好ましい。
これらの中でも、増感剤と光重合開始剤とを併用する場合は、波長365nm、405nm、若しくは436nmの光照射が可能な超高圧水銀ランプ、波長365nm、405nm、若しくは436nmの光照射が可能な高圧水銀ランプ、又は、波長355nm、365nm、385nm、395nm、若しくは405nmの光照射が可能なLEDがより好ましく、波長355nm、365nm、385nm、395nm、若しくは405nmの光照射が可能なLEDが最も好ましい。
硬化工程Aおいて、基材上に付与されたインクに対する活性エネルギー線の照射時間は、例えば0.01秒間〜120秒間であり、好ましくは0.1秒間〜90秒間である。
照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている照射条件及び照射方法を同様に適用することができる。
活性エネルギー線の照射方式として、具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニット及び光源を走査する方式、又は、駆動を伴わない別光源によって活性エネルギー線の照射を行う方式が好ましい。
活性エネルギー線の照射は、インクを着弾して加熱乾燥を行った後、一定時間(例えば0.01秒間〜120秒間、好ましくは0.01秒間〜60秒間)をおいて行うことが好ましい。
−硬化工程B−
硬化工程Bは、基材上に付与されたインクに、加熱又は赤外線の照射を行う工程である。
硬化工程Bでは、基材上に付与されたインクに加熱又は赤外線の照射を行って加熱硬化させることで、インク中の特定粒子の熱架橋反応(即ち、熱重合反応)が進行するので、画像と基材との密着性及び画像の硬度を向上させることができる。
加熱を行う加熱手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、赤外線LED、赤外線ヒーター、熱オーブン、ヒート版、赤外線レーザー、赤外線ドライヤー等が挙げられる。中でも、インクを効率的に加熱硬化可能な点で、波長0.8μm〜1.5μm又は2.0μm〜3.5μmに極大吸収波長を有する、近赤外線〜遠赤外線に発光波長を有する発光ダイオード(LED)、近赤外線〜遠赤外線を放射するヒーター、近赤外線〜遠赤外線に発振波長を有するレーザー、又は近赤外線〜遠赤外線を放射するドライヤーが好ましい。
加熱時における加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜200℃がより好ましく、100℃〜180℃が更に好ましい。加熱温度は、基材上のインク組成物の温度を指し、赤外線サーモグラフィ装置H2640(日本アビオニクス株式会社製)を用いたサーモグラフで測定することができる。
加熱時間は、加熱温度、インクの組成、及び印刷速度等を加味し、適宜設定することができる。
また、基材上に付与されたインクの加熱硬化を担う硬化工程Bは、後述する加熱乾燥工程を兼ねていてもよい。
(加熱乾燥工程)
画像形成方法は、必要により、付与工程後であって硬化工程前に、更に加熱乾燥工程を有していてもよい。
加熱乾燥工程において、基材上に吐出されたインクは、加熱手段により、水及び必要に応じて併用される有機溶剤が蒸発されることにより画像が定着されることが好ましい。
加熱手段としては、水及び必要に応じて併用される有機溶剤を乾燥させることができればよい。加熱手段は特に限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などが挙げられる。
加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。
なお、加熱時間は、インクの組成及び印刷速度を加味して適宜設定できる。
加熱により定着されたインクは、必要に応じ、照射工程において活性エネルギー線を照射して、さらに光定着される。既述のごとく、照射工程においては、UV光による定着をすることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下において、「部」は、特に断りが無い限り、質量部を表す。また、「NCO化合物」は、イソシアネート化合物を意味する。
〔特定ポリマーの合成〕
以下の反応スキームに従い、特定鎖状ポリマーとして下記ポリマー1を合成した。
ポリマー1は、IPDI(イソホロンジイソシアネート)と他の原料(ジオール化合物)との反応によって形成されたウレタン結合を有している。
三口フラスコに、IPDI(47.8g)、DMBA(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸)(9.1g)、化合物(2−13)(26.7g)、化合物(a−19)(16.4g)、及び酢酸エチル(100g)を仕込み、70℃に加熱した。そこに、ネオスタンU−600(日東化成(株)製、無機ビスマス触媒;以下、「U−600」ともいう)を0.2g添加し、70℃で15時間撹拌した。
次に、そこにイソプロピルアルコール(IPA)(70.0g)及び酢酸エチル(63.3g)を添加し、70℃で3時間撹拌した。3時間の撹拌後、反応液を室温まで放冷し、次いで酢酸エチルで濃度調整を行うことにより、ポリマー1の30質量%溶液(溶媒は、酢酸エチル/イソプロピルアルコールの混合溶液)を得た。
ポリマー1は、重量平均分子量(Mw)が20000であり、アニオン性基価が0.61mmol/gであった。また、ポリマー1は、25℃の水100gに対する溶解度が1g以下であった。
〔特定親水性基含有化合物の合成〕
特定親水性基含有化合物として、
前述の反応生成物X1に該当するDMBA/IPDI反応生成物、
前述の反応生成物X2に該当するD110/Lysine反応生成物、
前述の反応生成物X3に該当するD110/Lysine水中反応生成物、及び、
前述の反応生成物X4に該当するD116水中反応生成物
をそれぞれ合成した。
<DMBA/IPDI反応生成物(DMBA/IPDI(モル比)=1/3)の合成>
以下の反応スキームに従い、DMBA/IPDI反応生成物を合成した。
DMBA/IPDI反応生成物は、IPDIとDMBAとの反応によって形成されたウレタン結合を有する。DMBA/IPDI反応生成物の末端は、酢酸エチル中に微量に混入した水分と、イソシアネート基との反応によって形成された1級アミノ基であると考えられる。
詳細には、ポリマー1の合成において、イソシアネート化合物(IPDI)及びジオール化合物(DMBA、化合物(2−13)、及び化合物(a−19))を、DMBA及びIPDI(DMBA/IPDI(モル比)=1/3)に置き換え、かつ、イソプロピルアルコールを用いなかったこと以外はポリマー1の合成と同様にして、DMBA/IPDI反応生成物の30質量%溶液(溶媒は、酢酸エチル)を得た。
DMBA/IPDI反応生成物は、数平均分子量(Mn)が1500であり、アニオン性基価が1.2mmol/gであった。また、DMBA/IPDI反応生成物は、25℃の水100gに対する溶解度が1g超であった。
<D110/Lysine反応生成物(D110/Lysine(モル比)=1/3)の合成>
以下の反応スキームに従い、D110/Lysine反応生成物を合成した。
D110/Lysine反応生成物は、D110とLysineとの反応によって形成されたウレア結合を有し、かつ、D110由来の構造中にウレタン結合を有する。
まず、原料である3官能イソシアネート化合物の溶液として、三井化学社製のタケネート(登録商標)D−110Nを準備した。
タケネートD−110Nは、トリメチロールプロパン(TMP)とm−キシリレンジイソシアネート(XDI)との付加物(3官能イソシアネート化合物)の75質量%酢酸エチル溶液である。以下、タケネートD−110N中の固形分である3官能イソシアネート化合物を、「D110」と称する。
また、原料であるLysine(リシン)として、東京化成工業社製のリシンを準備した。
ポリマー1の合成において、イソシアネート化合物(IPDI)及びジオール化合物(DMBA、化合物(2−13)、及び化合物(a−19))を、タケネートD−110N及びLysine(D110/Lysine(モル比)として1/3)に置き換え、かつ、イソプロピルアルコールを用いなかったこと以外はポリマー1の合成と同様にして、D110/Lysine反応生成物の30質量%溶液(溶媒は、酢酸エチル)を得た。
D110/Lysine反応生成物は、数平均分子量(Mn)が1137であり、アニオン性基価が2.6mmol/gであった。また、D110/Lysine反応生成物は、25℃の水100gに対する溶解度が1g超であった。
<D110/Lysine水中反応生成物(D110/Lysine(モル比)=1/3)の合成>
酢酸エチル(40部)と、タケネートD−110N(9.3部)と、を混合し、15分間撹拌することにより、油相成分を得た。
蒸留水(46部)と、東京化成工業社製のリシン(4.4部)と、を混合し、15分間撹拌することにより、水相成分を得た。
上記油相成分と上記水相成分とを混合し、得られた混合物を室温でホモジナイザーを用いて12000rpmで12分間乳化させ、乳化物を得た。
得られた乳化物を蒸留水に添加し、得られた液体を室温で30分攪拌した。次に、攪拌後の液体を45℃に加熱し、45℃で4時間攪拌することにより、上記液体から酢酸エチルを留去した。
酢酸エチルが留去された液体を50℃に加温し、液温を50℃に保持した状態で24時間攪拌し、次いで蒸留水で希釈することにより、D110/Lysine水中反応生成物(D110/Lysine(モル比)=1/3)の20質量%水溶液を得た。
D110/Lysine水中反応生成物は、数平均分子量(Mn)が4500であり、アニオン性基価が2.2mmol/gであった。また、D110/Lysine水中反応生成物は、25℃の水100gに対する溶解度が1g超であった。
D110/Lysine反応生成物の構造は、以下の6つの構造単位が、ウレア結合を介してランダムに結合した構造であると考えられる。
<D116水中反応生成物の合成>
まず、原料であるイソシアネート化合物の溶液として、三井化学社製のタケネート(登録商標)D−116Nを準備した。
タケネートD−116Nは、トリメチロールプロパン(TMP)とm−キシリレンジイソシアネート(XDI)とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(EO90)との付加物の50質量%酢酸エチル溶液である。
以下、タケネートD−116N中の上記付加物(固形分)を、「D116」と称する。
D116は、ノニオン性基(詳細には、前述の基(N1)であって、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であり、Lが単結合であり、nが90である基)を導入したイソシアネート化合物と、3官能イソシアネート化合物と、の混合物である。
D116において、ノニオン性基の含有量は、D116全体に対し50質量%である。
以下、D116の原料を示す。
酢酸エチル(20部)と、タケネートD−116N(20部)と、を混合し、15分間撹拌することにより、油相成分を得た。
上記油相成分と蒸留水(40部)とを混合し、得られた混合物を室温でホモジナイザーを用いて12000rpmで12分間乳化させ、乳化物を得た。
得られた乳化物を蒸留水に添加し、得られた液体を室温で30分攪拌した。次に、攪拌後の液体を45℃に加熱し、45℃で4時間攪拌することにより、上記液体から酢酸エチルを留去した。
酢酸エチルが留去された液体を50℃に加温し、液温を50℃に保持した状態で24時間攪拌し、次いで蒸留水で希釈することにより、D116水中反応生成物の20質量%水溶液を得た。
D116水中反応生成物は、数平均分子量(Mn)が100000超であった。また、D116水中反応生成物は、25℃の水100gに対する溶解度が1g超であった。
D116水中反応生成物の構造は、以下の6つの構造単位が、ウレア結合を介してランダムに結合した構造であると考えられる。
〔実施例1〕
<マイクロカプセル(MC)の水分散物の調製>
以下のようにして、特定粒子としてのマイクロカプセル(MC)の水分散物を調製した。
−油相成分の調製−
酢酸エチル(55部)と、
三井化学社製のタケネート(登録商標)D−110N(固形分である3官能イソシアネート化合物(前述のD110)の量として11部)と、
特定親水性基含有化合物としてのD110/Lysine反応生成物の酢酸エチル溶液(後述する量)と、
サートマー社製の重合性化合物SR833S(以下、「S833」ともいう)(35部)と、
IGM Resins B.V.社製の光重合開始剤「Omnipol TX」(1.8部)と、
IGM Resins B.V.社製の光重合開始剤「Omnipol 9210」(3.5部)と、
Rahn AG社製の光重合開始剤「Genopol AB−2」(1.8部)と、
を混合し、15分間撹拌することにより、油相成分を得た。
D110/Lysine反応生成物の酢酸エチル溶液の量は、最終的に得られるインク中におけるD110/Lysine反応生成物(固形分)の含有量が、インク全量に対して1質量%となる量とした。
−水相成分の調製−
蒸留水(50部)と、アニオン性基導入用化合物(アニオン性基及び活性水素基を有する化合物)としての東京化成工業社製のリシン(3.3部)と、中和剤としての水酸化ナトリウムと、を混合し、15分間撹拌することにより、水相成分を調製した。
中和剤としての水酸化ナトリウムの使用量は、D110/Lysine反応生成物及びMCにおいて、カルボキシ基の中和度が90%となるように調整した。
即ち、後述するMCの水分散物中では、D110/Lysine反応生成物及びMCが、いずれも、親水性基としてカルボキシ基及びその塩(Na塩)を有している。
上記油相成分と上記水相成分とを混合し、得られた混合物を室温でホモジナイザーを用いて12000rpmで12分間乳化させ、乳化物を得た。
得られた乳化物を蒸留水に添加し、得られた液体を室温で30分攪拌した。次に、攪拌後の液体を45℃に加熱し、45℃で4時間攪拌することにより、上記液体から酢酸エチルを留去した。
酢酸エチルが留去された液体を50℃に加温し、液温を50℃に保持した状態で24時間攪拌することにより、液体中にマイクロカプセル(MC)を形成させた。
次に、MCを含む液体を、固形分含有量が20質量%となるように蒸留水で希釈することにより、MCの水分散物を得た。
得られたMCは、ウレア結合を有し、かつ、三次元架橋構造を有する架橋ポリマーからなるシェルと、重合性化合物及び3種の光重合開始剤を含むコアと、を含むマイクロカプセルである。
MCの水分散物では、MCの上記シェルの一部又は全体と、D110/Lysine反応生成物と、が相互作用している。
MCのシェルは、アニオン性基価が0.32mmol/gであった。MCのシェルは、25℃の水100gに対する溶解度が1g以下であった。
なお、上記S833は、2官能の重合性化合物(重合性モノマー)であり、具体的にはトリシクロデカンジメタノールジアクリレートである。
また、光重合開始剤「Omnipol TX」は、多量体化されたチオキサントンである。
また、光重合開始剤「Genopol AB−2」は、ポリマー化された4−ジメチルアミノ安息香酸エステルである。
また、光重合開始剤「Omnipol 9210」は、ポリエチレングリコールジ(β−4−[4−(2−ジメチルアミノ−2−ベンジル)ブチロイルフェニル]ピペラジン)プロピオナートとエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物である。
<インクの調製>
下記組成の各成分を混合し、インクを作製した。
−インクの組成−
・上記MCの水分散物 … 50部
・顔料分散液 … 10部
(Pro−jet Cyan APD1000(FUJIFILM Imaging Colorants社製)、顔料濃度14質量%)
・フッ素系界面活性剤 … 0.3部
(DuPont社製、Capstone FS−31、固形分25質量%)
・グリセリン … 5部
・水 … 合計で100部となる残量
<評価>
上記で得られたインクを用い、以下の評価を行った。
結果を表1に示す。
(インクの吐出性)
調製後室温で1日以内保管した上記インクをインクジェットプリンタ(ローランド ディー.ジー.社製、SP−300V)のヘッドから30分間吐出し、次いで吐出を停止した。
吐出の停止から所定の時間(詳細には、5分間、8分間、及び10分間のそれぞれの時間)経過した後、上述の基材上に、再び上記ヘッドから上記インクを吐出させ、5cm×5cmのベタ画像を形成した。
これらの画像を目視で観察し、不吐出ノズルの発生等によるドット欠けの有無を確認し、下記評価基準に従ってインクの吐出性を評価した。
下記評価基準において、インクの吐出性が最も優れるものは、Aである。
−吐出性の評価基準−
A:吐出の停止から10分経過後の吐出評価時にも不吐出ノズルの発生等によるドット欠けの発生が認められず、良好な画像が得られた。
B:吐出の停止から8分経過後の吐出評価時には不吐出ノズルの発生等によるドット欠けの発生が認められず、良好な画像が得られたが、10分経過後の吐出評価時には不吐出ノズルが発生し、ドット欠けの発生が認められた。
C:吐出の停止から5分経過後の吐出評価時には不吐出ノズルの発生等によるドット欠けの発生が認められず、良好な画像が得られたが、8分経過後の吐出評価時には不吐出ノズルが発生し、ドット欠けの発生が認められた。
D:吐出の停止から5分経過後の吐出評価時に不吐出ノズルが発生し、ドット欠けの発生が認められた。
(インクの保存安定性)
上記インクを容器に封入し、60℃で放置して2週間経時させた。
2週間経時させた後のインクを用い、上記の吐出性の評価と同様の評価を行い、同様の評価基準にしたがってインクの保存安定性を評価した。
〔実施例2及び5〜7〕
インク全量に対する特定親水性基含有化合物の含有量を、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例3〕
MCのシェルを形成するための、アニオン性基及び活性水素基を有する化合物を、リシンからβ−アラニン(下記構造のβ−Alanine)に変更したこと以外は実施例2と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
実施例3におけるMCのシェルは、アニオン性基価が0.32mmol/gであった。実施例3におけるMCのシェルは、25℃の水100gに対する溶解度が1g以下であった。
〔実施例4〕
MCのコアに含ませる重合性化合物の種類及び量を、表1に示すように変更したこと以外は実施例2と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
ここで、S399は、サートマー社製の重合性化合物SR399E(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)である。
〔実施例8及び10〜13〕
油相成分にD110/Lysine反応生成物の酢酸エチル溶液を含有させず、水相成分にD110/Lysine水中反応生成物の水溶液を、インク全量に対するD110/Lysine水中反応生成物の含有量が表1に示す量となるように含有させたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例9〕
MCのシェルを形成するための、アニオン性基及び活性水素基を有する化合物を、リシンからβ−アラニンに変更したこと以外は実施例8と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例14〜16〕
油相成分にD110/Lysine反応生成物の酢酸エチル溶液を含有させず、水相成分にD116水中反応生成物の水溶液を、インク全量に対するD116水中反応生成物の含有量が表1に示す量となるように含有させたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例1〕
油相成分にD110/Lysine反応生成物の酢酸エチル溶液を含有させなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例2及び3〕
インク全量に対する特定親水性基含有化合物の含有量を、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例4〕
油相成分にD110/Lysine反応生成物の酢酸エチル溶液を含有させず、水相成分に比較化合物としてのユニオックス(登録商標)M−4000(日油社製、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、数平均分子量4000;以下、単に「M−4000」と称する)を、インク全量に対するM−4000の固形分の含有量が表1に示す量となるように含有させたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
M−4000は、ノニオン性基(詳細には、前述の基(N1)であって、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であり、Lが単結合であり、nが約90である基)を有する化合物である。
各実施例及び各比較例において、得られた粒子の水分散物を用い、MCの体積平均分散粒子径を測定した。
MCの体積平均分散粒子径は、いずれの例においても、0.15μm〜0.25μmの範囲であった。
表1に示すように、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有するシェル(ポリマー)を含み重合性基を有するMCを含有し、結合U(即ち、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、及びチオウレア結合からなる群から選択される少なくとも1種)を含みアニオン性基又はノニオン性基を有する特定親水性基含有化合物をインク全量に対して0.01〜1質量%含有する実施例1〜16のインクは、特定親水性基含有化合物を含有しない比較例1のインク、特定親水性基含有化合物の含有量がインク全量に対して1質量%超である比較例2及び3のインク、並びに、結合Uを有しない比較化合物を含有する比較例4のインクと比較して、吐出性に優れ、更に、保存安定性にも優れていた。
実施例1と実施例8との対比より、特定親水性基含有化合物の数平均分子量が2000以上である場合(実施例8)には、インクの保存安定性がより向上することがわかる。
実施例1〜13と実施例14〜16との対比より、特定親水性基含有化合物の数平均分子量が50000以下である場合(実施例1〜13)には、インクの吐出性及び保存安定性がより向上することがわかる。
また、実施例1〜13と実施例14〜16との対比より、特定粒子に含まれる特定ポリマーが有する親水性基の少なくとも1種と、特定親水性基含有化合物が有する親水性基の少なくとも1種と、が同種の基である場合(実施例1〜13)には、インクの吐出性及び保存安定性がより向上することがわかる。
実施例9と実施例10との対比より、特定粒子に含まれる特定ポリマー及び特定親水性基含有化合物が、同種の2官能イソシアネート化合物に由来する構造(詳細には、D110中に存在するXDIに由来する構造)を有し、アニオン性基及び活性水素基を有する同種の化合物(詳細には、リシン)に由来する構造を有する場合(実施例10)には、インクの保存安定性がより向上することがわかる。
〔実施例101〕
<特定線状ポリマーを含む特定粒子の水分散物の調製>
以下のようにして、特定線状ポリマーを含む特定粒子の水分散物を調製した。
−油相成分の調製−
酢酸エチルと、
ポリマー1の30質量%溶液(ポリマー1の量として51.5部)と、
特定親水性基含有化合物としてのDMBA/IPDI反応生成物の酢酸エチル溶液(後述する量)と、
重合性化合物としての前述のS833(17.5部)と、
重合性化合物としての前述のS399(17.5部)と、
光重合開始剤としての前述の「Omnipol TX」(1.8部)と、
光重合開始剤としての前述の「Omnipol 9210」(3.5部)と、
光重合開始剤としての前述の「Genopol AB−2」(1.8部)と、
を混合し、15分間撹拌することにより、固形分36質量%の油相成分44gを得た。
DMBA/IPDI反応生成物の酢酸エチル溶液の量は、最終的に得られるインク中におけるDMBA/IPDI反応生成物(固形分)の含有量が、インク全量に対して0.5質量%となる量とした。
−水相成分の調製−
蒸留水(45部)と、中和剤としての水酸化ナトリウムと、を混合し、15分間撹拌することにより、水相成分を調製した。
中和剤としての水酸化ナトリウムの使用量は、製造される粒子において、中和度が90%となるように調整した。
上記油相成分と上記水相成分とを混合し、得られた混合物を室温でホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させ、乳化物を得た。得られた乳化物を蒸留水(25部)に添加し、得られた液体を室温で30分攪拌した。次に、この液体を50℃に加熱し、50℃で3時間攪拌することにより、上記液体から酢酸エチルを留去した。
酢酸エチルが留去された液体を、更に50℃で24時間攪拌することにより、液体中に粒子を形成させた。
次に、粒子を含む液体を、固形分含有量が20質量%となるように蒸留水で希釈することにより、粒子の水分散物を得た。
形成された粒子は、詳細には、ウレタン結合を有する特定線状ポリマーであるポリマー1、上述した2種の重合性化合物、及び、上述した3種の光重合開始剤を含む粒子である。
得られた粒子の水分散物を用い、粒子の体積平均分散粒子径を測定した。
粒子の体積平均分散粒子径は、0.15μm〜0.25μmの範囲であった。
<インクの調製>
下記組成の各成分を混合し、インクを作製した。
−インクの組成−
・上記粒子の水分散物 … 50部
・顔料分散液(Pro−jet Cyan APD1000(FUJIFILM Imaging Colorants社製)、顔料濃度14質量%) … 10部
・フッ素系界面活性剤(DuPont社製、Capstone FS−31、固形分25質量%) … 0.3部
・グリセリン … 5部
・水 … 合計で100部となる残量
<評価>
上記で得られたインクを用い、実施例2と同様の評価を行った。
結果を表2に示す。
表2に示すように、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する特定鎖状ポリマー及び重合性化合物を含む特定粒子を含有し、結合Uを含みアニオン性基を有する特定親水性基含有化合物をインク全量に対して0.01〜1質量%含有する実施例101のインクは、前述の実施例2と同様に、吐出性に優れ、更に、保存安定性にも優れていた。
〔実施例201〕(熱重合系インク)
実施例201として、特定線状ポリマーを含む特定粒子を含有する熱重合系インクを用いた実施例を示す。
<特定ポリマーの合成>
下記反応スキームに従い、特定鎖状ポリマーとして下記ポリマー2を合成した。
下記ポリマー2は、IPDI由来の構造単位と他の構造単位とが結合してウレタン結合が形成された構造を有している。
三口フラスコに、IPDI(34.5g)、DMBA(9.1g)、化合物(2−13)(56.4g)、及び酢酸エチル(100g)を仕込み、70℃に加熱した。そこに、ネオスタンU−600(日東化成(株)製、無機ビスマス触媒;以下、「U−600」ともいう)を0.2g添加し、70℃で15時間撹拌した。
次に、そこにイソプロピルアルコール(IPA)(70.0g)及び酢酸エチル(63.3g)を添加し、70℃で3時間撹拌した。3時間の撹拌後、反応液を室温まで放冷し、次いで酢酸エチルで濃度調整を行うことにより、ポリマー2の30質量%溶液(溶媒は、酢酸エチル/イソプロピルアルコールの混合溶液)を得た。
ポリマー2は、重量平均分子量(Mw)が20000であり、アニオン性基価が0.61mmol/gであった。また、ポリマー2は、25℃の水100gに対する溶解度が1g以下であった。
<水分散物の調製、インクの調製、評価>
実施例101において、重合性化合物及び光重合開始剤を、60℃、2.67kPa(20torr)の条件でプロピレングリコールモノメチルエーテルを減圧留去したTrixeneTMBI7982(熱重合性モノマー;ブロックイソシアナート;Baxenden Chemicals社)(以下、「B7982」ともいう;量は表3に示すとおり)に変更し、かつ、ポリマー1を同じ量のポリマー2に変更したこと以外は実施例101と同様の操作を行った。
結果を表3に示す。
〔実施例202〕
B7982を、エポキシ基を有する熱重合性オリゴマーであるEPICLONTM840(DIC社;以下、「E840」ともいう;量は表3に示すとおり)及び熱硬化促進剤である2−メチルイミダゾール(以下、「2MI」ともいう;量は表3に示すとおり)に変更したこと以外は実施例201と同様の操作を行った。
結果を表3に示す。
実施例201及び202における特定粒子の水分散物を用い、特定粒子の体積平均分散粒子径を測定した。特定粒子の体積平均分散粒子径は、0.15μm〜0.25μmの範囲であった。
表3に示すように、特定鎖状ポリマー及び熱重合性化合物を含む特定粒子を含有する熱重合系のインクである実施例201及び202においても、実施例101と同様の結果が得られた。
〔実施例301〕(熱重合系インク、マイクロカプセル)
実施例301として、三次元架橋構造を有する特定架橋ポリマーからなるシェル及び熱重合性化合物を含むコアを備えるマイクロカプセルを含有する熱重合系インクを用いた実施例を示す。
<水分散物の調製、インクの調製、評価>
実施例2において、重合性化合物及び光重合開始剤を、B7982(量は表4に示すとおり)に変更したこと以外は実施例2と同様の操作を行った。
結果を表4に示す。
〔実施例302〕
B7982を、E840(量は表4に示すとおり)及び熱硬化促進剤である2MI(量は表4に示すとおり)に変更したこと以外は実施例301と同様の操作を行った。
結果を表4に示す。
実施例301及び302における特定粒子の水分散物を用い、特定粒子の体積平均分散粒子径を測定した。特定粒子の体積平均分散粒子径は、0.15μm〜0.25μmの範囲であった。
表4に示すように、三次元架橋構造を有する特定架橋ポリマーからなるシェル及び熱重合性化合物を含むコアを備えるマイクロカプセルを含有する熱重合系のインクである実施例301及び302においても、実施例2と同様の結果が得られた。
2017年4月14日に出願された日本国特許出願2017−080717号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (11)

  1. 水と、
    ウレタン結合及びウレア結合の少なくとも一方を有するポリマーを含む粒子と、
    ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、及びチオウレア結合からなる群から選択される少なくとも1種である結合、並びに、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種である親水性基を有し、数平均分子量が1000以上であり、インクジェットインク全量に対する含有量が0.01質量%〜1質量%である親水性基含有化合物と、
    を含有するインクジェットインク。
  2. 前記親水性基含有化合物は、
    アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物X1、
    3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、の反応生成物X2、
    3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、水と、の反応生成物X3、又は、
    3個以上の活性水素基を有する化合物と2官能イソシアネート化合物とアニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物との反応生成物PXと、水と、の反応生成物X4
    である請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記親水性基含有化合物が、下記構造単位(X)を含む請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインク。

    構造単位(X)中、
    Uは、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合を表し、
    Rは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、
    は、(n+m)価の連結基を表し、
    Wは、アニオン性基又はノニオン性基である親水性基を表し、
    nは、0又は1を表し、
    mは、2〜6の整数を表し、
    (n+m)は、3〜6の整数であり、
    *は、基(UW)との結合位置、1級アミノ基との結合位置、又は、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、若しくはチオウレア結合を介して他の構造単位と結合する結合位置を表す。
    基(UW)中、
    Uは、ウレタン結合、ウレア結合、チオウレタン結合、又はチオウレア結合を表し、
    Wは、アニオン性基又はノニオン性基である親水性基を表し、
    Lは、単結合又は2価の連結基を表し、
    *は、構造単位(X)との結合位置を表す。
  4. 前記親水性基含有化合物が有する前記親水性基が、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩の少なくとも一方であるか、又は、ポリオキシアルキレン鎖を含む1価の基である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  5. 前記粒子に含まれる前記ポリマーが、更に、アニオン性基及びノニオン性基からなる群から選択される少なくとも1種である親水性基を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  6. 前記粒子に含まれる前記ポリマーが有する前記親水性基の少なくとも1種と、前記親水性基含有化合物が有する前記親水性基の少なくとも1種と、が同種の基である請求項5に記載のインクジェットインク。
  7. 前記粒子に含まれる前記ポリマー及び前記親水性基含有化合物が、
    同種の2官能イソシアネート化合物に由来する構造を有し、
    アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する同種の化合物に由来する構造を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  8. 前記親水性基含有化合物の数平均分子量が、2000〜50000である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  9. 前記粒子が、重合性基を有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェットインクを製造する方法であって、
    前記親水性基含有化合物が、
    アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、2官能イソシアネート化合物と、の反応生成物X1、
    3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、の反応生成物X2、
    3官能以上のイソシアネート化合物と、アニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物と、水と、の反応生成物X3、又は、
    3個以上の活性水素基を有する化合物と2官能イソシアネート化合物とアニオン性基若しくはノニオン性基である親水性基及び活性水素基を有する化合物との反応生成物PXと、水と、の反応生成物X4であり、
    有機溶媒及び前記ポリマーを含む油相成分、又は、有機溶媒及び3官能以上のイソシアネート化合物を含む油相成分と、水を含む水相成分と、を混合し、乳化させることにより、前記粒子を形成する工程を有し、
    前記親水性基含有化合物が前記反応生成物X1又は前記反応生成物X2である場合には、前記油相成分が前記親水性基含有化合物を含み、
    前記親水性基含有化合物が前記反応生成物X3又は前記反応生成物X4である場合には、前記水相成分が前記親水性基含有化合物を含むインクジェットインクの製造方法。
  11. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェットインクを基材上に付与する工程を含む画像形成方法。
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