JPWO2018189967A1 - ロッド形状のMnZnフェライトコアおよびその製造方法ならびにアンテナ - Google Patents

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Abstract

基本成分として、鉄:Fe2O3換算で51.5〜54.5mol%、亜鉛:ZnO換算で10.0〜17.0mol%、マンガン:残部を含み、副成分として、SiO2:50〜300massppm、CaO:100〜1300massppmおよびNb2O5:100〜400massppmを含有するロッド形状のMnZnフェライトコアにおいて、該MnZnフェライトコアの焼結密度を4.85g/cm3以上とし、かつJIS B 0601に基づく表面性状観察において、n=50での輪郭曲線の最大谷深さの平均値を17μm以下とすることにより、23℃、100kHzにおける初透磁率μiが1800以上という高透磁率と、3点曲げ強さをn=50で測定したとき、強度100MPa未満のコアの出現率が4%以下という高強度を併せて実現する。

Description

本発明は、高強度でかつ高透磁率のロッド形状のMnZnフェライトコアおよびその製造方法に関し、特にアンテナ用コイルの磁心としての用途に供して好適なMnZnフェライトコアを提供しようとするものである。
また、本発明は、上記のロッド形状のMnZnフェライトコアを用いて作製したアンテナに関するものである。
MnZnフェライトは、スイッチング電源等のノイズフィルタやトランスやアンテナ用コイルの磁心として幅広く使用されている材料である。その特長は、軟磁性材料の中ではkHz領域において高透磁率、低損失であること、またアモルファス金属等と比較して安価なことが挙げられる。
これらの用途のうち、主に車載で用いられるアンテナ用コイルの磁心としては、初透磁率が高いことが求められる。この理由は、かかる用途のコイルにはインダクタンスが高いことが要求されるからである。単にインダクタンスを高めるには、巻き数を増やせば良いのであるが、この用途では同時に小型化も要求されることから、巻き数を増やすことは好ましくない。MnZnフェライトの初透磁率が高ければ、巻き数を増やす必要は無いため、アンテナの小型化を実現することが可能となる。
アンテナ用コイルの磁心用途向けのMnZnフェライトについては、過去に様々な開発が進められており、例えば特許文献1、2、3等が挙げられる。
特開平10-270232号公報 特開2006-206355号公報 特開2006-210493号公報
一般的に、MnZnフェライトの初透磁率を高めるためには、磁気異方性と磁歪を小さくすることが有効である。これらを実現するためには、MnZnフェライトの主成分であるFe2O3、ZnOおよびMnOの配合量を、適正な範囲に調整する必要がある。また、焼成工程において十分な熱を加え、フェライト内の結晶粒を粗大に成長させることで、磁化工程における結晶粒内の磁壁の移動を容易化することができ、その結果、初透磁率を高めることができる。ただし、過度の結晶粒成長は、1〜10kHz程度の周波数領域における初透磁率は高めるものの、渦電流損失の影響で100kHz以上の初透磁率を低下させる。この点については、粒界に偏析する成分の添加物を加え、適度で均一な厚みの粒界を生成させることにより、100kHzまで初透磁率を十分な値に維持している。
アンテナ用コイルの磁心に関しては、上記した磁気特性に加え、特に車載用の場合に重要視される特性が強度である。この理由は、アンテナ用コイル磁心は、主にロッド形状と言われる細長い直方体や円柱状の形状で使用されるためである。一般的には縦横が数mmに対し、長さがその10倍程度の60〜100mmで用いられることが多い。それ故、磁心の破損によるコイルのインダクタンス低下を防ぐために、磁心には3点曲げ強さで測定される強度が高いものが求められる。また、製品化した場合には、3点曲げ強さの低い低強度コアが出現しないことが強く求められる。
以上から、アンテナ用コイルの磁心には、高い初透磁率という磁気特性と、3点曲げ強さの低い低強度コアの出現率を低減した高強度との両立が求められている。
しかしながら、特許文献1では、所望の磁気特性を実現するための組成、さらには強度を実現するために平均結晶粒径を制御する必要性について言及されているものの、粒径が3μm以下と小さいために初透磁率が低く、実施例を見ても100kHzにおける初透磁率の最大値が1500に止まっている。
また、強度に関しても、平均結晶粒径の影響のみの言及に止まっており、本発明にて後述する重要な因子に関しての記載は無い。そのため、特許文献1に記載された条件に基づいて作製したMnZnフェライトは、車載用等のアンテナ用コイルの磁心として求められる高い初透磁率という磁気特性および3点曲げ強さが強いという高強度の両者を併せ持つものではない。
また、特許文献2、3では、成分の規定により初透磁率の温度特性に優れたMnZnフェライトが報告されているが、実施例では、20℃にて、100kHzにおける初透磁率は最高値でも1700に止まっており、十分とは言い難い。さらに、車載用等のアンテナ用コイルにとって重要な強度に関する記載が一切なく、そのため特許文献2、3に記載された条件に基づいて作製したMnZnフェライトは、磁気特性と強度の両観点からみても、好ましい特性を有するものではない。
そこで、発明者らはまず、23℃、100kHzにおける初透磁率を高めることが可能なMnZnフェライトのFe2O3量、ZnO量について検討し、適正な組成範囲を見出した。
この組成範囲内であれば、磁気異方性および磁歪が小さく、必要な比抵抗も保持でき、さらに初透磁率の温度特性が極大値を示すセカンダリーピークも23℃近傍に出現させることが可能なことから、同条件下にて高い初透磁率を得られることが突き止められた。
また、粒界に偏析する非磁性成分であるSiO2、CaOおよびNb2O5を適量加えることによって均一な粒界を形成でき、これにより比抵抗が上昇することで、さらに初透磁率を高めることが可能であることが判明した。
さらに、これらに加え、焼成条件に関しても好適な範囲があり、特に最高保持温度とその保持時間を適切な範囲に制御しなければ、焼結密度が高まらないため、所望の初透磁率が得られない、との知見も得た。
ある温度以上での最高温度保持、およびある一定時間以上での保持が初透磁率の上昇のために不可欠な焼結と結晶粒成長を促進する。そのため、焼結密度に規定を設け、これを実現できるよう適切な焼成条件を選択する必要がある。
以上が初透磁率を高めるために必要な手段であるが、アンテナ用コイル向けのMnZnフェライトには、これと同時に、3点曲げ強さが低い低強度コアの出現率を低減させる必要があることも判明した。
そこで、発明者らは次に、この観点から調査を進めたところ、まず焼結密度を高めることが肝要であり、これを実現するためには、上記の焼成条件の最高保持温度および保持時間の適正化が求められることを突き止めた。すなわち、焼結密度を高めることで、初透磁率が向上するのみならず、低強度コアの出現率を低減することができる。
さらに、発明者らは、コアの表面観察から表面に存在する微小な凹凸に着目し、この凹部が破壊時の起点となることから、凹部の深さに制限を設ける必要があることを突き止めた。この凹部の深さは最大谷深さとして観察され、n=50での平均値が一定以上である場合には、容易な破壊の起点となる深い凹部が存在していることになり、低強度コアの出現率が高くなる。低強度コアの出現率を望ましい値にまで低下させるためには、最大谷深さの値が大きくならないよう、例えばバインダーとして用いられるPVAのような有機物の塊の混入を抑制するだけでなく、通常のフェライトコアで使用される、成形時の離型剤等の固体有機物成分を添加しないことが求められる。
本発明で対象とするロッド形状コアであれば、金型との接触面積が少なく、成形易形状であることから、固体有機物である離型剤を使用しなくても作製が可能である。また同時に造粒粉の粒度分布に着目すると、粗粉が多い場合および造粒粉の圧壊強度が過度に高い場合には成形時に造粒粉間に空隙が残りやすく、これが焼結後に凹部として残存することも判明した。そのため、造粒粉の粒度分布および圧壊強度を適切な範囲内に収めることも求められる。
しかしながら、先に述べたが特許文献1では初透磁率の値が不十分であり、また強度に関しては平均結晶粒径の抑制にしか言及されていないため、低強度コアの出現率を下げることは不可能である。
また、特許文献2、3に関しても、初透磁率の値が不十分なだけでなく、強度に関する言及が一切無いことから、低強度コアの出現を抑制することができず、このため、これらの知見のみでは実用上有用なアンテナコアのコイル向け磁心に適したMnZnフェライトを作製することはできない。
本発明は、上記の知見に基づき、種々検討を重ねた末に開発されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.基本成分として、
鉄:Fe2O3換算で51.5〜54.5mol%、
亜鉛:ZnO換算で10.0〜17.0mol%、
マンガン:残部
を含み、副成分として、
SiO2:50〜300massppm、
CaO:100〜1300massppmおよび
Nb2O5:100〜400massppm
を含有するロッド形状のMnZnフェライトコアであって、
該MnZnフェライトコアの焼結密度が4.85g/cm3以上で、
JIS B 0601に基づく表面性状観察において、n=50での輪郭曲線の最大谷深さの平均値が17μm以下であることを特徴とするロッド形状のMnZnフェライトコア。
2.基本成分として、
鉄:Fe2O3換算で51.5〜54.5mol%、
亜鉛:ZnO換算で10.0〜17.0mol%、
マンガン:残部、
副成分として、
SiO2:50〜300massppm、
CaO:100〜1300massppmおよび
Nb2O5:100〜400massppm
ならびに不可避的不純物からなるロッド形状のMnZnフェライトコアであって、
該MnZnフェライトコアの焼結密度が4.85g/cm3以上で、
JIS B 0601に基づく表面性状観察において、n=50での輪郭曲線の最大谷深さの平均値が17μm以下であるロッド形状のMnZnフェライトコア。
3.副成分として、さらに
CoO:3500massppm以下
を含有する前記1または2に記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
4.前記ロッド形状のMnZnフェライトコアの23℃、100kHzにおける初透磁率μiが1800以上である前記1ないし3のいずれかに記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
5.前記ロッド形状のMnZnフェライトコアについて、3点曲げ強さをn=50で測定したとき、強度100MPa未満のコアの出現率が4%以下である前記1ないし4のいずれかに記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
6.前記ロッド形状のMnZnフェライトコアが、粒度分布d90の値が300μm以下の造粒粉の成形−焼成体からなるMnZnフェライトコアである前記1ないし5のいずれかに記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
7.前記ロッド形状のMnZnフェライトコアが、圧壊強度が1.5MPa未満の造粒粉の成形−焼成体からなるMnZnフェライトコアである前記1ないし6のいずれかに記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
8.基本成分の混合物を仮焼する仮焼工程と
上記仮焼工程で得られた仮焼粉に副成分を添加して、混合、粉砕する混合−粉砕工程と、
上記混合−粉砕工程で得られた粉砕粉にバインダーを添加し、混合した後、造粒する造粒工程と、
上記造粒工程で得られた造粒粉を成形する成形工程と、
上記成形工程で得られた成形品を焼成して、請求項1ないし5のいずれかに記載のMnZnフェライトコアを得る焼成工程と
を有するロッド形状のMnZnフェライトコアの製造方法。
9.前記造粒粉の粒度分布d90の値が300μm以下である前記8に記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
10.前記造粒粉の圧壊強度が1.50MPa未満である前記8または9に記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
11.前記成形工程で離型剤を用いずに成形する請求項8ないし10のいずれかに記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
12.前記1ないし7のいずれかに記載のMnZnフェライトコアからなる磁心と、その外周に複数ターン巻かれた電線とを有するアンテナ。
本発明のロッド形状のMnZnフェライトコアは、従来のMnZnフェライトコアでは望み得なかった、23℃、100kHzにおける初透磁率μiが1800以上という高透磁率と、3点曲げ強さをn=50で測定したとき、強度100MPa未満のコアの出現率が4%以下という高強度を同時に得ることができる。
このため、本発明のロッド形状のMnZnフェライトコアは、高透磁率と高強度が併せて必要とされるアンテナ用コイルの磁心に用いて特に好適なものである。
そして、本発明のロッド形状のMnZnフェライトコアをアンテナ用コイルの磁心として利用することにより、高性能で破損しにくいアンテナを得ることができ、またアンテナの小型化を図ることができる。
本発明のロッド形状のMnZnフェライトコアの具体的形状である直方体形状(a)および円柱体形状(b)を示した図である。 本発明のロッド形状のMnZnフェライトコアを磁心とし、その外周に電線を複数ターン巻いた状態を示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、MnZnフェライトの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、基本成分として本発明に含まれる鉄や亜鉛、マンガンについてはすべてFe2O3、ZnO、MnOに換算した値で示す。また、これらFe2O3、ZnO、MnOの含有量についてはmol%で、一方副成分の含有量についてはフェライトコア全体に対するmassppmで示すこととする。
Fe2O3:51.5〜54.5mol%
基本成分のうち、Fe2O3が適正範囲よりも少ない場合でも多い場合でも、磁気異方性が大きくなるだけでなく、磁歪も大きくなることから、初透磁率の低下を招く。そのため、本発明では最低でもFe2O3量を51.5mol%含有させるものとし、54.5mol%を上限とした。
ZnO:10.0〜17.0mol%
ZnOが少ない場合にはキュリー温度が過度に高くなるため、23℃における初透磁率が低下することから、ZnOは最低でも10.0mol%は含有させることとする。しかし、含有量が適正量を超えると初透磁率が極大値を示すセカンダリーピーク温度が低下するため23℃における初透磁率の低下を招く。そこで上限を17.0mol%とする。
MnO:残部
本発明はMnZnフェライトであり、主成分組成の残部はMnOでなければならない。なぜなら、MnOでなければ、23℃、100kHzにおいて初透磁率が1800以上を実現できないためである。ここに、好適なMnO量は30.0〜38.0mol%である。
以上、基本成分について説明したが、副成分については次のとおりである。
SiO2:50〜300mass ppm
SiO2は、フェライトの結晶組織の均一化に寄与することが知られており、添加に伴い結晶粒内に残留する空孔を減少させ、また比抵抗も高めることから、適量の添加により、23℃、100kHzにおける初透磁率を上昇させられると共に、粗大粒の低減による破壊時の起点を減少させられることから、低強度コアの出現を抑制できる。そのため、最低でもSiO2を50massppm含有させることとする。しかし、添加量が過多の場合には、反対に異常粒が出現し、これは破壊時の起点となるため低強度コアを出現させ、同時に初透磁率も著しく低下させることから、上限を300massppmに定めた。
CaO:100〜1300massppm
CaOは、MnZnフェライトの結晶粒界に偏析し結晶粒の成長を抑制する働きがあり、適量の添加により、比抵抗を上昇させることができ、これに伴い23℃、100kHzにおける初透磁率を上昇させることができる。また、結晶粒成長の抑制に伴い、破壊強度も高めることができる。そのため、CaOは最低でも100massppm含有させることとする。しかし、添加量過多の場合には異常粒が出現し、初透磁率が著しく低下するだけでなく、低強度コアも出現させることから、1300massppm以下に制限する必要がある。
Nb2O5:100〜400mass ppm
Nb2O5は、MnZnフェライトの結晶粒界に偏析し、結晶粒にかかる応力を緩和させる効果がある。そのため、適量の添加により、初透磁率を上昇させることができ、かつ結晶粒界生成による結晶粒成長抑制により破壊強度も高めることができる。そのため、最低でもNb2O5を100massppm含有させることとする。しかし、添加量過多の場合に、は異常粒が出現し、初透磁率が著しく低下するだけでなく、低強度コアも出現させることから、400massppm以下に制限する必要がある。
また、本発明では、任意成分としてCoOを含有させることもできる。
CoO:3500massppm以下
CoOは、正の磁気異方性を有するCo2+イオンを含有する成分であり、同成分の添加により初透磁率が極大を示す温度であるセカンダリーピークの温度幅を広げることができる。しかし、添加量過多の場合には他の成分の有する負の磁気異方性と相殺できないことから初透磁率の著しい低下を招く。そのため、添加する場合には3500massppm以下に制限する必要がある。
以上、本発明に従うMnZnフェライトの基本成分、副成分および任意成分について説明したが、その他にも不純物として、Cl、Na、Al成分などが混入する場合がある。しかしながら、これらの混入物は合計で500massppm以下であれば特に問題はない。
また、本発明のMnZnフェライトコアは、組成に限らず、種々のパラメータにより諸特性に多大な影響を受ける。その中で、特に重要な特性である磁気特性および強度特性を担保するために次の規定を設ける。
(1) 焼結密度:4.85g/cm3以上
MnZnフェライトコアは、焼成処理により焼結および粒成長が進み、結晶粒および結晶粒界が構成される。高い初透磁率を実現可能な結晶組織、すなわち結晶粒界に存在すべき非磁性成分が適切に結晶粒界に偏析し、結晶粒は適度な粒径を保ちかつ均一な磁性を有する成分にて構成される形を実現するためには、焼結反応が十分に進む必要がある。また、強度の観点から鑑みても、焼結が不十分な場合には強度の低下を誘発するため好ましくない。
以上の観点から、MnZnフェライトコアの焼結密度について検討したところ、焼結密度を4.85g/cm3以上とする必要があることが判明した。
また、この条件を満たすことで、初めて23℃、100kHzにおける初透磁率を1800以上とすることができ、併せて3点曲げ強さが100MPa未満の低強度コアの発生率を4%未満に抑制することができる。
なお、この焼結密度を実現するためには、焼成時の最高保持温度を1290℃以上とし、かつこの温度での保持時間を1h以上とする必要がある。
また、異常粒成長が発生した場合には焼結密度が高まらないことから、異常粒が出現しないように作製する必要がある。このためには、副成分を規定した範囲を超えて過度に添加しないことや、不純物混入量を500massppm以内に抑制することすることが有利である。
(2) JIS B 0601に基づく表面性状観察において、n=50での輪郭曲線の最大谷深さの平均値が17μm以下
MnZnフェライトコアは、造粒粉を金型に充填した後、約100MPaの圧力で圧縮する粉末成形工程を経て、得られた成形体を焼成し焼結させることで得られる。このMnZnフェライトコアの表面には、微小な凹凸が存在するが、そのうち凹部が3点曲げ強さ測定時に破壊の起点となるおそれがあり、特に深い凹部の存在は、抗折荷重100MPa未満の低強度コアの出現率を高める。そのため、本発明で所期した高透磁率かつ高強度のMnZnフェライトコアを得るためには、JIS B 0601に則った表面性状観察におけるn=50での輪郭曲線の最大谷深さの平均値を17μm以下に抑制する必要がある。
なお、この条件を満たすためには、まずバインダーとして用いられるPVA等の有機物の塊が造粒粉に混入することを抑制する必要がある。この対策としては、造粒粉の微粉と粗粉を篩でカットすることや、外部より有機物が混入しないように造粒粉の管理時の保管方法についても、ドラム缶に入れ蓋を封止する等が求められる。また、成形する際には、定期的に造粒粉を目視確認し、混入を発見した場合には混入物を除去することが有効である。さらに、本発明の対象は成形易形状であるロッド形状であることから、通常では成形前に造粒粉に添加される金属石鹸等の固体有機物の離型剤を添加しなくても成形が可能である。
これら塊状の有機物は、焼成の初期段階にて分解するため、有機物の痕跡がそのまま焼結体内での空隙として残存してしまう。この空隙が深い凹部となり、最大谷深さ平均値が17μm以上となると、この深い凹部が3点曲げ強さ測定時に破壊の起点となるため、抗折荷重100MPa未満の低強度コアの出現率を高めてしまう。そのため、有機物の塊の混入を抑制することが重要である。
また同時に、成形される造粒粉に関しても規定を2つ設けることが好ましい。
1つ目は粒度分布であり、粗粉が多い場合には成形時に加圧されても造粒粉間に空隙が残りやすいため、焼成後にも深い凹部が残存しやすい。また2つ目は、造粒粉の圧壊強度であり、これが過度に高い場合にも同様に造粒粉間の空隙に起因する焼成後の凹部残存に繋がる。
そのため、最大谷深さを17μm未満に抑制し、抗折荷重100MPa未満の低強度コアの出現率を抑制するためには、粒度分布のメヂアン径d90の値を300μm以下、および圧壊強度を1.50MPa以下にすることが好ましい。
なお、粒度分布に関しては、JIS Z 8825に記載されたレーザ回折・散乱法による粒子径解析により測定する。「d90」とは、該粒度分布曲線における小粒径側から体積累計90%の粒径を表わす。また、造粒粉の圧壊強度はJIS Z 8841に規定された手法にて測定する。
次に、MnZnフェライトコアの製造方法について説明する。
まず、所定の組成比率となるようにFe2O3、ZnO及びMnO粉末を秤量し、これらを十分に混合した後に仮焼を行う。次に、得られた仮焼粉を粉砕する。この際、本発明にて規定された副成分等の添加物を所定の組成比率で加え、仮焼粉とあわせて粉砕を行う。この工程にて、添加した成分の濃度に偏りがないように粉末が充分に均質化され、同時に仮焼粉を目標の平均粒径の大きさまで微細化させる。
ついで、上記のようにして得た目標組成の粉末に、ポリビニルアルコール等の有機物バインダーを加え、望ましい粒度および圧壊強度の試料が得られるように適切な条件下にてスプレードライ法等による造粒する。スプレードライ法であれば、排風温度を270℃より低くすることが望ましい。得られた造粒粉は、必要であれば粒度調整のための篩通し等の工程を経て、塊状の有機物の混入が無いように保管し、混入が無いことを確認した上で、成形機にて圧力を加えて成形後、規定された焼成条件の下で焼成を行う。篩では350μmの目開きのものを通し、篩上の粗粉を除去することが望ましい。また、適正な焼成条件は、前述したとおり、最高保持温度:1290℃以上、保持時間:1h以上である。
なお、得られたフェライト焼結体は、表面研磨等加工を施しても構わない。
かくして得られたMnZnフェライトコアは、従来のMnZnフェライトでは不可能であった、23℃、100kHzにおける初透磁率の値が1800以上で、かつn=50での3点曲げ強さ評価の際に100MPa未満の低強度コアの出現率が4%以下という、優れた磁気特性および強度特性を実現している。
なお、本発明における「ロッド形状」とは、図1に示すように、長さが30〜150mmで直径が3〜10mmの円柱体(a)や、同じく長さが30〜150mmで縦が3〜10mm、横が2〜8mmの直方体(b)を意味する。
そして、図2に示すように、かようなロッド形状のMnZnフェライトコアを磁心1とし、その外周に複数ターンの電線2を巻いてアンテナを作製することにより、高性能で破損しにくいアンテナを得ることができる。また、アンテナの小型化を図ることもできる。
実施例1
Fe2O3、ZnOおよびMnOが表1に示す組成比率となるように秤量した各原料粉末を、ボールミルを用いて16時間混合した後、空気中で925℃、3時間の仮焼を行った。ついで、この仮焼粉に、SiO2、CaOおよびNb2O5をそれぞれ150、700、250massppm相当分秤量した後に添加し、ボールミルで12時間粉砕を行った。その後、得られた粉砕スラリーに、ポリビニルアルコールを加えて排風温度250℃でスプレードライ造粒したのち、目開き350μmの篩を通して粗粉を除去し、さらに有機物の混入が無いことを確認した上で、118MPaの圧力を負荷してトロイダルコアおよび直方体コアを離型剤を用いずに成形した。なお、成形に用いた造粒粉の粒度分布d90は230μmであり、圧壊強度は1.32MPaであった。
その後、これらの成形体を焼成炉に装入して、最高温度1320℃×2時間、窒素ガスと空気を適宜混合したガス流中で焼成し、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの焼結体トロイダルコアと縦4mm、横6mm、長さ80mmの焼結体直方体コアを得た。
なお、不純物としてのCl、NaおよびAl等の混入量は、合計で100massppm以下であった。
得られた試料のうち、直方体コアを用いて、JIS C 2560-2に基づき、焼結密度をアルキメデス法により測定した。初透磁率は、トロイダルコアに10ターンの巻線を施し、LCRメータ(キーサイト社製4980A)を用いて測定したインダクタンスを基に算出した。表面の輪郭曲線の最大谷深さは、直方体コア50個の表面を、レーザー顕微鏡(キーエンス社製VK9700)を用いて倍率:50倍で観察し、全観察領域をJIS B 0601に基づいて輪郭曲線の最大谷深さを解析し、その平均値を算出した。強度試験については、直方体コア50個を、JIS R 1601に基づくオートグラフ(島津製作所製)および破壊治具を用い、支点間距離が75mm、厚みが4mm、幅が6mmとなるようセットして3点曲げ試験を実施し、試験片50個中の3点曲げ強さが100MPa未満のコアの出現数を記録し、出現率を算出した。
得られた結果を表1に併記する。
Figure 2018189967
同表に示したとおり、発明例である実施例1-1〜1-5はいずれも、23℃、100kHzにおける初透磁率が1800以上で、かつ3点曲げ強さが100MPa未満のコアの発生率が4%以下であり、良好な磁気特性と高強度を併せ持っている。
これに対し、Fe2O3を51.5mol%未満しか含まない比較例(比較例1-1)およびFe2O3が54.5mol%より多い比較例(比較例1-2)では、高強度は実現できているものの、磁気異方性と磁歪が大きくなったため初透磁率が低下しており、23℃、100kHzにおいて1800以上を満たせていない。
また、ZnOが不足した比較例(比較例1-3)では、キュリー温度が過度に上昇したため、反対にZnOを適正範囲より多量に含む比較例(比較例1-4)では、初透磁率が極大値を示すセカンダリーピークが低下したため、23℃、100kHzにおける初透磁率がやはり1800以上を満たせていない。
実施例2
Fe2O3:53.0mol%、ZnO:12.0mol%、MnO:35.0mol%組成となるよう原料を秤量し、ボールミルを用いて16時間混合した後、空気中で925℃、3時間の仮焼を行った。ついで、この仮焼粉に、表2に示す量のSiO2、CaO、Nb2O5、さらに一部試料にはCoOを加え、ボールミルで12時間粉砕を行った。その後、得られた粉砕スラリーに、ポリビニルアルコールを加えて排風温度250℃でスプレードライ造粒したのち、目開き350μmの篩を通して粗粉を除去し、さらに有機物の混入が無いことを確認した上で、離型剤を用いずに118MPaの圧力を負荷してトロイダルコアおよび直方体コアを成形した。なお、成形に用いた造粒粉の粒度分布d90は230μmであり、圧壊強度は1.32MPaであった。
その後、これらの成形体を焼成炉に装入して、最高温度1320℃×2時間、窒素ガスと空気を適宜混合したガス流中で焼成し、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの焼結体トロイダルコアと縦4mm、横6mm、長さ80mmの焼結体直方体コアを得た。
なお、不純物としてのCl、NaおよびAl等の混入量は、合計で100massppm以下であった。
これらの各試料について、実施例1と同じ手法、装置を用いて、それぞれの特性を評価した。
得られた結果を表2に併記する。
Figure 2018189967
同表に示したとおり、SiO2、CaO、Nb2O5およびCoO量が適正範囲内である実施例2-1〜2-8はいずれも、23℃、100kHzにおける初透磁率が1800以上で、かつ3点曲げ強さが100MPa未満のコアの発生率が4%以下であり、良好な磁気特性と高強度が両立できている。
これに対し、SiO2、CaOおよびNb2O5の3成分のうち1つでも適正量未満しか含まない比較例2-1、2-3および2-5は、比抵抗の低下に起因する初透磁率の低下が見られ、また結晶粒界の生成が不十分であることから結晶粒の大きさが整っておらず、そのため3点曲げ強さが100MPa未満の低強度コアの発生率も高くなっている。
また、同成分のうち1つでも過多である比較例2-2、2-4および2-6は、異常粒の出現により初透磁率が著しく低下しただけでなく、焼結が阻害されることから焼結密度が低いこともあって、低強度コアの発生率が高くなっている。
さらに、CoO量が適正範囲よりも過多である比較例2-7は、磁気異方性が過度に強くなったために初透磁率が低下している。
実施例3
実施例1、2に示した手法により、実施例1-2と同じ組成、および実施例2-7と同じ組成の2つの組成条件を選択し、スプレードライおよび篩通し条件にて得られた造粒粉(粒度分布d90は230μm、圧壊強度は1.32MPa)を用い作製した成形体(成形時に離型剤は用いていない)を、表3に示す種々の温度条件下にて焼成した。
得られた各試料について、実施例1と同じ手法、装置を用いて、それぞれの特性を評価した。得られた結果を表3に併記する。
Figure 2018189967
焼成時の最高保持温度を1290℃以上、かつ保持時間を1時間以上とすることにより焼結密度が4.85g/cm3以上となった実施例3-1〜3-10はいずれも、23℃、100kHzにおける初透磁率が1800以上で、かつ3点曲げ強さが100MPa未満のコアの発生率が4%以下に抑制できており、良好な磁気特性と高強度の両立ができている。
これに対し、焼成温度が1290℃未満、もしくは保持時間が1時間未満であり焼結密度が4.85g/cm3未満である比較例3-1〜3-6では、焼結密度が低いために3点曲げ強さが100MPa未満の発生率が高く、また焼成による結晶粒成長が不十分であることから初透磁率の値も低く、23℃、100kHzにおいて1800未満に止まっている。
実施例4
実施例1、2に示した手法により作製した実施例1-2と同じ組成および実施例2-7と同じ組成の2つの組成条件を選択し、スプレードライおよび篩通し条件にて得られた造粒粉(粒度分布d90は230μm、圧壊強度は1.32MPa)を用い、その一部については、成形の前に、表4に示す量の種々の固体有機物離型剤を添加し、均一に混合した後、118MPaの圧力を負荷してトロイダルコアおよび直方体コアを成形した。その後、この成形体を焼成炉に装入して、最高温度1320℃×2時間、窒素ガスと空気を適宜混合したガス流中で焼成し、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの焼結体トロイダルコアと縦4mm、横6mm、長さ80mmの焼結体直方体コアを得た。
これらの各試料について、実施例1と同じ手法、装置を用いて、それぞれの特性を評価した。得られた結果を表4に併記する。
Figure 2018189967
通常、MnZnフェライトの製造の際に添加される固体有機物離型剤を混合しておらず、表面の最大谷深さ平均値が17μm以下である実施例1-2および2-7は、23℃、100kHzにおける初透磁率が1800以上で、かつ3点曲げ強さが100MPa未満のコアの発生率も4%以下に抑制できており、良好な磁気特性と高強度の両立ができている。
これに対し、離型剤を添加した比較例4-1〜4-12では、この痕跡が表面に残存することから、表面の最大谷深さの平均値が17μm以上となっており、これが破壊試験時の破断の起点となるために、3点曲げ強さが100MPa未満の発生率が高くなっており、良好な磁気特性と高強度を両立できていない。
実施例5
実施例1、2に示した手法により作製した実施例1-2と同じ組成および実施例2-7と同じ組成の2つの組成条件を選択し、スプレードライ条件にて得られた造粒粉(圧壊強度は1.32MPa)を用い、篩通し条件を変更することで表5に示す粒度分布d90の値としたものを、有機物の混入が無いことを確認した上で、離型剤を用いずに118MPaの圧力を負荷してトロイダルコアおよび直方体コアを成形した。その後、この成形体を焼成炉に装入して、最高温度1320℃×2時間、窒素ガスと空気を適宜混合したガス流中で焼成し、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの焼結体トロイダルコアと縦4mm、横6mm、長さ80mmの焼結体直方体コアを得た。
これらの各試料について、実施例1と同じ手法、装置を用いてそれぞれの特性を評価した。得られた結果を表5に併記する。
Figure 2018189967
造粒粉粒度分布d90の値が過大ではない実施例1-2、2-7および5-1〜5-2では、成形時に粗い造粒粉間で残りやすい空隙が残りにくく、そのため焼結体表面の最大谷深さ平均値が17μm以下を実現しており、23℃、100kHzにおける初透磁率が1800以上で、かつ3点曲げ強さが100MPa未満のコアの発生率も4%以下に抑制できており、良好な磁気特性と高強度の両立ができている。
これに対し、造粒粉粒度分布d90が過大であり、成形時に造粒粉間の空隙が残りやすい比較例5-1〜5-6に着目すると、表面の最大谷深さ平均値が17μmより大きく、これが破壊試験時の破断の起点となるために、3点曲げ強さが100MPa未満の発生率が高くなっており、良好な磁気特性と高強度を両立できていない。
実施例6
実施例1、2に示した手法により作製した実施例1-2および実施例2-7と同じ組成の2つの組成条件を選択して作製した粉砕スラリーを、表6に示す排風温度条件下にてスプレードライすることで圧壊強度の異なる造粒粉を得て、目開き350μmの篩を通して粗粉を除去し(粒度分布d90は230μm)、さらに有機物の混入が無いことを確認した上で、離型剤を用いずに118MPaの圧力をかけトロイダルコアおよび直方体コアを成形した。
その後、これらの成形体を焼成炉に装入して、最高温度1320℃×2時間、窒素ガスと空気を適宜混合したガス流中で焼成し、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの焼結体トロイダルコアと縦4mm、横6mm、長さ80mmの焼結体直方体コアを得た。
これらの各試料について、実施例1と同じ手法、装置を用いてそれぞれの特性を評価した。得られた結果を表6に併記する。
Figure 2018189967
スプレードライ造粒の排風温度が過度に高くない実施例1-2、2-7および6-1〜6-2では、造粒粉の圧壊強度が1.5MPa未満であるため、成形時に造粒粉が十分に潰れることから造粒粉間の隙間が残らず、そのため焼結体表面の最大谷深さ平均値が17μm以下を実現しており、23℃、100kHzにおける初透磁率が1800以上で、かつ3点曲げ強さが100MPa未満のコアの発生率が4%以下に抑制できており、良好な磁気特性と高強度の両立ができている。
これに対し、排風温度が過度に高く造粒粉圧壊強度が1.5MPa以上である比較例6-1〜6-6に着目すると、表面の最大谷深さ平均値が17μmより大きく、これが破壊試験時の破断の起点となるために、3点曲げ強さが100MPa未満の発生率が高くなっており、良好な磁気特性と高強度を両立できていない。
1 磁心
2 電線

Claims (12)

  1. 基本成分として、
    鉄:Fe2O3換算で51.5〜54.5mol%、
    亜鉛:ZnO換算で10.0〜17.0mol%、
    マンガン:残部
    を含み、副成分として、
    SiO2:50〜300massppm、
    CaO:100〜1300massppmおよび
    Nb2O5:100〜400massppm
    を含有するロッド形状のMnZnフェライトコアであって、
    該MnZnフェライトコアの焼結密度が4.85g/cm3以上で、
    JIS B 0601に基づく表面性状観察において、n=50での輪郭曲線の最大谷深さの平均値が17μm以下であるロッド形状のMnZnフェライトコア。
  2. 基本成分として、
    鉄:Fe2O3換算で51.5〜54.5mol%、
    亜鉛:ZnO換算で10.0〜17.0mol%、
    マンガン:残部、
    副成分として、
    SiO2:50〜300massppm、
    CaO:100〜1300massppmおよび
    Nb2O5:100〜400massppm
    ならびに不可避的不純物からなるロッド形状のMnZnフェライトコアであって、
    該MnZnフェライトコアの焼結密度が4.85g/cm3以上で、
    JIS B 0601に基づく表面性状観察において、n=50での輪郭曲線の最大谷深さの平均値が17μm以下であるロッド形状のMnZnフェライトコア。
  3. 副成分として、さらに
    CoO:3500massppm以下
    を含有する請求項1または2に記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
  4. 前記ロッド形状のMnZnフェライトコアの23℃、100kHzにおける初透磁率μiが1800以上である請求項1ないし3のいずれかに記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
  5. 前記ロッド形状のMnZnフェライトコアについて、3点曲げ強さをn=50で測定したとき、強度100MPa未満のコアの出現率が4%以下である請求項1ないし4のいずれかに記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
  6. 前記ロッド形状のMnZnフェライトコアが、粒度分布d90の値が300μm以下の造粒粉の成形−焼成体からなるMnZnフェライトコアである請求項1ないし5のいずれかに記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
  7. 前記ロッド形状のMnZnフェライトコアが、圧壊強度が1.5MPa未満の造粒粉の成形−焼成体からなるMnZnフェライトコアである請求項1ないし6のいずれかに記載のロッド形状のMnZnフェライトコア。
  8. 基本成分の混合物を仮焼する仮焼工程と
    上記仮焼工程で得られた仮焼粉に副成分を添加して、混合、粉砕する混合−粉砕工程と、
    上記混合−粉砕工程で得られた粉砕粉にバインダーを添加し、混合した後、造粒する造粒工程と、
    上記造粒工程で得られた造粒粉を成形する成形工程と、
    上記成形工程で得られた成形品を焼成して、請求項1ないし5のいずれかに記載のMnZnフェライトコアを得る焼成工程と
    を有するロッド形状のMnZnフェライトコアの製造方法。
  9. 前記造粒粉の粒度分布d90の値が300μm以下である請求項8に記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
  10. 前記造粒粉の圧壊強度が1.50MPa未満である請求項8または9に記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
  11. 前記成形工程で離型剤を用いずに成形する請求項8ないし10のいずれかに記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
  12. 請求項1ないし7のいずれかに記載のMnZnフェライトコアからなる磁心と、その外周に複数ターン巻かれた電線とを有するアンテナ。
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