本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係るコンテンツ再生システム1の構成例を示す図である。コンテンツ再生システム1は、コンテンツ再生機器として第1機器20−1、第2機器20−2、及び第3機器20−3を含んでいる。以下では、第1機器20−1、第2機器20−2、及び第3機器20−3を総称して「機器20」と記載する場合がある。
機器20は、LAN(Local Area Network)2に接続されている。LAN2は有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。図1の例では、第1機器20−1にはIPアドレス「198.168.0.1」が設定され、第2機器20−2にはIPアドレス「198.168.0.2」が設定され、第3機器20−3にはIPアドレス「198.168.0.3」が設定されている。
機器20は、例えばAVレシーバ、AVアンプ、スピーカ、光ディスク再生機器(コンパクトディスクプレーヤ、ブルーレイディスク(登録商標)プレーヤ又はDVD(登録商標)プレーヤ等)又はテレビジョン受像機などの、オーディオ機器又はオーディオビジュアル機器である。図1の例では3台の機器20を示しているが、機器20の台数は4台以上であってもよいし、2台以下であってもよい。
コンテンツ再生システム1では、複数の機器20で協調してコンテンツを再生するためのリンク状態が形成されている。リンク状態においては、親機(マスター)である1の機器20から子機(クライアント)である他の1又は複数の機器20にコンテンツデータを配信し、これらの機器20で協調してコンテンツを再生することが可能である。すなわち、親機は、協調再生に際してコンテンツデータを配信する側であり、子機は、協調再生に際してコンテンツデータを受信する側である。協調再生とは、例えば同期再生を含む概念であり、一方の再生と他方の再生とが時間的に連関していればよく、時間的に完全に一致するものに限定されない。図1の例では、第1機器20−1が親機として設定され、第2機器20−2及び第3機器20−3が子機として設定されてリンク状態を形成している。
機器20は、コンテンツ再生部としてメイン再生部30−1を備えている。また、機器20は、メイン再生部30−1とは別のコンテンツ再生部として1又は複数のゾーン再生部30−2〜30−4を備えてもよい。図1の例では、第1機器20−1がメイン再生部30−1と2つのゾーン再生部30−2,30−3とを備えている。第2機器20−2はメイン再生部30−1と3つのゾーン再生部30−2〜30−4とを備えている。第3機器20−3はメイン再生部30−1のみを備え、ゾーン再生部を備えていない。以下では、メイン再生部30−1及びゾーン再生部30−2〜30−4を総称して「コンテンツ再生部30」と記載する場合がある。
機器20は、スタンバイ状態(非アクティブ状態)と通常状態(アクティブ状態)とで切り替え可能である。スタンバイ状態は、通常状態よりも消費電力が低減された状態である。スタンバイ状態は完全に電源がオフの状態ではなく、スタンバイ状態でもネットワーク通信機能などは有効になっており、コマンドを受信したり、コマンドを実行したり、コマンドを送信することが可能である。後述する電源ボタン241若しくはリモコン27(図3参照)が操作されたとき又は電源状態を制御するための後述する状態制御コマンド(図7参照)を外部から受信したとき、機器20はスタンバイ状態から通常状態に切り替わる。又は、機器20は通常状態からスタンバイ状態に切り替わる。
また、機器20に含まれる1又は複数のコンテンツ再生部30も、スタンバイ状態(非アクティブ状態)と通常状態(アクティブ状態)とで個別に切り替え可能である。コンテンツ再生部30は、スタンバイ状態においてはコンテンツの再生が不可能であり、通常状態においてはコンテンツの再生が可能である。なお、機器20の状態とメイン再生部30−1の状態とは連動してよく、例えば機器20がスタンバイ状態から通常状態に切り替わるときにメイン再生部30−1も同様に切り替わるよう構成されてよい。
図2は、機器20の構成例を示すブロック図である。機器20は、メイン再生部30−1及びゾーン再生部30−2〜30−4の他に、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25を備えている。
制御部21は少なくとも一つのマイクロプロセッサ(CPU)を含み、記憶部22に記憶されたプログラムに従って処理を実行する。記憶部22は、主記憶部(例えばRAM)及び補助記憶部(例えば不揮発性の半導体メモリ、ハードディスクドライブ、又はソリッドステートドライブ)を含む。記憶部22はプログラムやデータを記憶するためのものである。通信部23は他の装置との間でデータを送受信するためのものである。
なお、機器20は、情報記憶媒体(例えば光ディスク又はメモリカード等)に記憶されたプログラムやデータを読み取るための構成要素(例えば光ディスクドライブ又はメモリーカードスロット等)を備えてもよい。そして、プログラムが情報記憶媒体を介して機器20に供給されてもよい。プログラムはインターネット6を介して機器20に供給されてもよい。
操作部24は、機器20を操作するためのものである。図3の例では、機器20の前面に、電源供給を制御するための電源ボタン241、入力を切り替えるためのインプットつまみ243、及び音量を調節するためのボリュームつまみ245等が、操作部24として設けられている。また、リモコン27からの赤外線リモコン信号を受光する信号受光部247も、操作部24として設けられている。また、機器20の前面には、液晶表示パネル等からなる表示部25も設けられている。
コンテンツ再生部30のそれぞれは、制御部21等と通信可能に接続されている。図2の例では、メイン再生部30−1は、内蔵アンプ51を介してスピーカ53に接続されている。ゾーン再生部30−2〜30−4は、外部アンプ61を介してスピーカ63に接続されている。外部アンプ61及びスピーカ63は、例えば機器20が設置されたゾーン(例えば部屋)とは異なるゾーンに設置されてよい。なお、メイン再生部30−1が外部アンプを介してスピーカ53に接続されてもよいし、ゾーン再生部30−2〜30−4が内蔵アンプを介してスピーカ63に接続されてもよい。
コンテンツ再生部30のそれぞれは、信号処理部41、DAC(digital to analog converter)43、及びバッファ45を備えている。信号処理部41は、入力されたオーディオ信号に所定の信号処理を施し、処理されたオーディオ信号をバッファ45を介さず又はバッファ45を介してDAC43に出力する。DAC43は、入力されたオーディオ信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、変換されたオーディオ信号を内蔵アンプ51又は外部アンプ61に出力する。
オーディオ信号をバッファ45を介さず出力するか、バッファ45を介して出力するかは、機器20が親機であるか子機であるかに応じて決定される。すなわち、親機においてはオーディオ信号をバッファ45を介して出力する一方、子機においてはオーディオ信号をバッファ45を介さず出力することで、親機から子機へのデータ配信による遅延を相殺することができる。これにより、親機によるコンテンツの再生と子機によるコンテンツの再生との時間差を低減して、協調再生を実現できる。
制御部21は、例えばホストCPUとネットCPUとを含んでいる。ネットCPUは、ネットワーク通信機能などを担うCPUである。機器20がスタンバイ状態のときには、ホストCPUは起動しておらず、ネットCPUのみが起動してネットワーク通信などを行っている。電源ボタン241若しくはリモコン27(図3参照)が操作されると又は後述する状態制御コマンド(図7参照)を外部から受信すると、ネットCPUはホストCPUを起動し、これにより機器20がスタンバイ状態から通常状態に切り替わる。又は、ホストCPUは動作を停止し、これにより機器20が通常状態からスタンバイ状態に切り替わる。
また、制御部21は、選択されたコンテンツ再生部30について、例えば電源供給を制限することでコンテンツ再生部30をスタンバイ状態にし、電源供給の制限を解除することでコンテンツ再生部30を通常状態にする。これに限らず、例えば単に制御部21が使用を禁止することでコンテンツ再生部30をスタンバイ状態にし、使用を許可することでコンテンツ再生部30を通常状態にしてもよい。
図4は、親機である第1機器20−1が保持する子機リスト(クライアントリスト)の一例を示す図である。子機リストは、リンク状態を形成するために利用されるリスト情報であり、子機となる機器20の機器識別情報を含んでいる。機器識別情報は、例えばIPアドレスである。これに限らず、機器識別情報は例えばMACアドレスを含んでもよい。図4の例では、子機となる第2機器20−2及び第3機器20−3の名称及びIPアドレスが記述されている。
親機である第1機器20−1は、子機リストに含まれるIPアドレスを利用して、子機となる第2機器20−2及び第3機器20−3にコンテンツデータを配信する。また、親機である第1機器20−1は、子機リストに含まれるIPアドレスを利用して、子機となる第2機器20−2及び第3機器20−3に後述するコマンド(図7参照)を送信する。
第1機器20−1の制御部21は、記憶部22に保存されている子機リストを読み出して、第2機器20−2及び第3機器20−3のIPアドレスを取得する(識別情報取得手段としての機能の例)。なお、第1機器20−1は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等の端末から子機リストを取得してもよいし、インターネット上のサーバコンピュータから子機リストを取得してもよい。
子機リストは、リンク状態において再生するコンテンツの情報を含んでもよい。子機リストにおいて予め指定されるコンテンツは、例えば光ディスク再生機器においてコンパクトディスク等から読み出されるコンテンツであってもよいし、LAN2に接続されたDLNA(Digital Living Network Alliance:登録商標)サーバに保存されたコンテンツであってもよいし、インターネット上のコンテンツ提供サービス(例えばネットラジオ又は音楽ストリーミング配信サービス等)から提供されるコンテンツであってもよい。図4の例では、ネットラジオAの再生が指定されている。
図5は、子機である第2機器20−2が保持する管理テーブルの一例を示す図である。管理テーブルは、機器20に含まれるコンテンツ再生部30のインプットの設定を表すテーブル情報である。通常、コンテンツ再生部30のインプットには、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)入力、オーディオ入力、及びネット入力(通信部23を経由した入力)などがある。ネット入力には、例えばUSB入力、Bluetooth(登録商標)入力、及びDLNAサーバからの入力などがある。
コンテンツ再生部30が親機とリンク状態を形成するものである場合、コンテンツ再生部30のインプットには、親機とリンク状態を形成することを表す値(MCLink)が設定される。この値が設定されたコンテンツ再生部30は、親機から配信されるコンテンツデータに基づいてコンテンツを再生する。
図5の例では、メイン再生部30−1及び第3ゾーン再生部30−3のインプットに、親機とリンク状態を形成することを表す値(MCLink)が設定されている。また、第2ゾーン再生部30−2のインプットにはHDMI入力が設定されており、第4ゾーン再生部30−4のインプットにはオーディオ入力が設定されている。
図6は、親機である第1機器20−1が保持する管理テーブルの一例を示す図である。メイン再生部30−1には、親機として機能することを表す値(LinkMaster)が設定されている。すなわち、この値が設定されたメイン再生部30−1で再生されるコンテンツのコンテンツデータが、協調再生のために子機である第2機器20−2又は第3機器20−3に配信される。なお、これに限らず、例えばゾーン再生部30−2,30−3の何れかに、親機として機能することを表す値(LinkMaster)が設定されてもよい。
ゾーン再生部30−2,30−3がメイン再生部30−1と同期するものである場合、ゾーン再生部30−2,30−3のインプットには、メイン再生部30−1と同期することを表す値(MainSync)が設定される。この値が設定されたゾーン再生部30−2,30−3は、メイン再生部30−1から配信されるコンテンツデータに基づいてコンテンツを再生する。なお、これに限らず、メイン再生部30−1の出力がゾーン再生部30−2,30−3の出力としてそのまま流用されてもよい。
以上のように、機器20のそれぞれは、自身が保持する管理テーブルの設定に基づいてリンク状態を形成する。すなわち、機器20の制御部21は、記憶部22に保存された管理テーブルを読み取ることによって、リンク状態形成手段として機能する。
図7は、親機である第1機器20−1から子機である第2機器20−2又は第3機器20−3に送信されるコマンドの一例を示す図である。親機である第1機器20−1の制御部21は、例えばスタンバイ状態から通常状態に切り替わるときに、これらのコマンドを順番に子機である第2機器20−2又は第3機器20−3に送信する(コマンド送信手段としての機能の例)。
コマンドにはHTTPプロトコル又はHTTPSプロトコルが使用されており、URLをパラメータとして含んでいる。コマンドはHTTPリクエストの形で第1機器20−1から第2機器20−2又は第3機器20−3に送信される。第2機器20−2又は第3機器20−3ではHTTPデーモンが起動されており、HTTPデーモンによってHTTPリクエストが受け付けられ、当該HTTPリクエストに応じた処理が実行される。そして、その処理結果を示すHTTPレスポンスがコマンドの送信元である第1機器20−1に返信される。
再生部数確認コマンド(getFeatures)は、機器20が備えるコンテンツ再生部30の数を問い合わせるためのコマンドである。第1機器20−1が再生部数確認コマンドを第2機器20−2又は第3機器20−3に送信すると、第2機器20−2又は第3機器20−3は自身が備えるコンテンツ再生部30の数(ゾーン数)を第1機器20−1に返信する。再生部数確認コマンドは、後段の2つのコマンドにおいてコンテンツ再生部30を特定して情報の取得、値の設定を行うために送信される。なお、再生部数確認コマンドは、第1機器20−1がスタンバイ状態から通常状態に切り替わるときに限らず、例えばリンク状態が最初に形成されるとき等に送信されてもよい。
再生部状態確認コマンド(getStatus)は、機器20が備えるコンテンツ再生部30のそれぞれのインプットの状態を問い合わせるためのコマンドである。再生部状態確認コマンドは、コンテンツ再生部30のそれぞれに対して生成される(コマンド中の<zone>にコンテンツ再生部30を選択する値が入れられる)。第1機器20−1が再生部状態確認コマンドを第2機器20−2又は第3機器20−3に送信すると、第2機器20−2又は第3機器20−3は自身が保持する管理テーブル(図5参照)を参照し、選択されたコンテンツ再生部30のインプットを表す値を第1機器20−1に返信する。
言い換えると、再生部状態確認コマンドは、機器20が備えるコンテンツ再生部30のそれぞれがリンク状態を形成可能か否かを問い合わせるためのコマンドである。リンク状態を形成可能とは、管理テーブル(図5参照)において親機とリンク状態を形成することを表す値(MCLink)が設定されていることを指す。第1機器20−1は、再生部状態確認コマンドを送信することによって、第2機器20−2及び第3機器20−3の何れのコンテンツ再生部30が子機としてリンク状態を形成するものであるかを把握する。
状態制御コマンド(setPower)は、機器20の状態をスタンバイ状態から通常状態に切り替えるためのコマンドである。状態制御コマンドは、選択されたコンテンツ再生部30に対して生成される(コマンド中の<zone>にコンテンツ再生部30を選択する値が入れられる)。第1機器20−1は、第2機器20−2及び第3機器20−3のコンテンツ再生部30のうち、リンク状態を形成可能なコンテンツ再生部30に対する状態制御コマンドを、第2機器20−2又は第3機器20−3に送信する。第2機器20−2又は第3機器20−3は、ホストCPUを起動して機器自身をスタンバイ状態から通常状態に切り替えるとともに、選択されたコンテンツ再生部30をスタンバイ状態から通常状態に切り替える。
また、状態制御コマンド(setPower)は、機器20の状態を通常状態からスタンバイ状態に切り替えるためのコマンドでもある。第1機器20−1が、通常状態からスタンバイ状態に切り替える状態制御コマンドを第2機器20−2又は第3機器20−3に送信すると、第2機器20−2又は第3機器20−3は、ホストCPUの動作を停止して機器自身を通常状態からスタンバイ状態に切り替える。
図8及び図9は、実施形態に係る方法を実現する処理例を示す図である。同図に示す処理は、第1機器20−1及び第2機器20−2のそれぞれにおいて、制御部21が記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。同図では、第1機器20−1と第2機器20−2との間の通信に係る処理を示すが、第1機器20−1と第3機器20−3との間の通信に係る処理についても同様である。
なお、同図に示す処理を実行する前において、親機である第1機器20−1と子機である第2機器20−2とは既にリンク状態を形成しており、且つスタンバイ状態にあるものとする。リンク状態を形成しているとは、親機である第1機器20−1の管理テーブル(図6参照)に親機として機能することを表す値(LinkMaster)が設定され、子機である第2機器20−2の管理テーブル(図5参照)に親機とリンク状態を形成することを表す値(MCLink)が設定されていることを指す。
また、親機である第1機器20−1では、電源オン指令又は電源オフ指令を受けてスタンバイ状態と通常状態とが切り替わるときに子機の状態を連動させる設定(子機状態連動設定)が有効であるものとする。子機状態連動設定の詳細は後述する。また、子機である第2機器20−2では、外部から受信した状態制御コマンド(setPower)によりスタンバイ状態と通常状態とが切り替わる設定(いわゆるネットワークスタンバイ設定)が有効であるものとする。
図8に示すように、まず、第1機器20−1は、電源オン指令を受けると(S101:YES)、機器自身をスタンバイ状態から通常状態に切り替える(S102)。電源オン指令は、電源ボタン241若しくはリモコン27(図3参照)の操作に応じて入力される。
具体的には、第1機器20−1の制御部21では、ネットCPUが電源オン指令の受信を監視しており、電源オン指令を受信したときにホストCPUを起動することによって、機器自身をスタンバイ状態から通常状態に切り替える。また、これに伴って、第1機器20−1の制御部21は、メイン再生部30−1もスタンバイ状態から通常状態に切り替える。
次に、第1機器20−1は、第2機器20−2が備えるコンテンツ再生部30の数を問い合わせるための再生部数確認コマンド(getFeatures)を、第2機器20−2に送信する(S103)。再生部数確認コマンドを受信した第2機器20−2は、自身が備えるコンテンツ再生部30の数(ゾーン数)を第1機器20−1に返信する(S201)。本例では、第2機器20−2は、メイン再生部30−1及びゾーン再生部30−2〜30−4の合計4つのコンテンツ再生部30を備えているので、4の値を第1機器20−1に返信する。なお、この再生部確認コマンドの送信(S103)とゾーン数の返信(S201)とは、スタンバイ状態になる以前、例えばリンク状態が最初に形成されるとき等に予め行われてもよい。
次に、第1機器20−1は、第2機器20−2が備えるコンテンツ再生部30のインプットの状態を問い合わせるための再生部状態確認コマンド(getStatus)を、第2機器20−2に送信する(S104)。再生部状態確認コマンドは、上記再生部数確認コマンドにより取得したコンテンツ再生部30の数に基づき、コンテンツ再生部30のそれぞれに対して生成される。本例では、第2機器20−2のメイン再生部30−1及びゾーン再生部30−2〜30−4のそれぞれに対する合計4つの再生部状態確認コマンドが生成され、第2機器20−2に送信される。
再生部状態確認コマンドを受信した第2機器20−2は、自身が保持する管理テーブル(図5参照)を参照し、自身が備えるコンテンツ再生部30のインプットを表す値を第1機器20−1に返信する。本例では、メイン再生部30−1及び第3ゾーン再生部30−3については親機とリンク状態を形成することを表す値(MCLink)が返信され、第2ゾーン再生部30−2についてはHDMI入力を表す値が返信され、第4ゾーン再生部30−4についてはオーディオ入力を表す値が返信される。
次に、第1機器20−1は、第2機器20−2が備えるコンテンツ再生部30のうち、リンク状態を形成可能なコンテンツ再生部30に対する状態制御コマンド(setPower)を、第2機器20−2に送信する(S105)。状態制御コマンドは、上記再生部状態確認コマンドにより取得した第2機器20−2が備えるコンテンツ再生部30のインプットを表す値に基づき、親機とリンク状態を形成することを表す値(MCLink)が設定されているコンテンツ再生部30に対して生成される。本例では、メイン再生部30−1及び第3ゾーン再生部30−3に対する状態制御コマンドが生成され、第2機器20−2に送信される。
状態制御コマンドを受信した第2機器20−2は、機器自身をスタンバイ状態から通常状態に切り替えるとともに、状態制御コマンドにより指定されたコンテンツ再生部30をスタンバイ状態から通常状態に切り替える(S203)。
具体的には、第2機器20−2の制御部21では、ネットCPUが状態制御コマンドの受信を監視しており、状態制御コマンドを受信したときにホストCPUを起動することによって、機器自身をスタンバイ状態から通常状態に切り替える。さらに、第2機器20−2の制御部21は、状態制御コマンドにより指定されたコンテンツ再生部30をスタンバイ状態から通常状態に切り替える。本例では、メイン再生部30−1及び第3ゾーン再生部30−3がスタンバイ状態から通常状態に切り替えられる。
これにより、リンク状態を形成するよう設定された第1機器20−1と第2機器20−2との両方がスタンバイ状態から通常状態に切り替わり、リンク状態が再形成される。すなわち、第1機器20−1と第2機器20−2とで協調再生を行うことが可能な状態となる。
図9に示すように、次に、第1機器20−1は、自身が備えるゾーン再生部30−2,30−3にメイン再生部30−1と同期するものがあるか否かを判定する(S106)。具体的には、第1機器20−1は、自身が保持する管理テーブル(図6参照)を参照し、ゾーン再生部30−2,30−3のインプットに、メイン再生部30−1と同期することを表す値(MainSync)が設定されているか否かを判定する。
メイン再生部30−1と同期するものがある場合(S106:YES)、第1機器20−1は、メイン再生部30−1と同期するよう設定されているゾーン再生部30−2,30−3をスタンバイ状態から通常状態に切り替える(S107:状態切替手段としての機能の例)。本例では、ゾーン再生部30−2,30−3の両方がスタンバイ状態から通常状態に切り替えられる。これにより、第1機器20−1におけるメイン再生部30−1とゾーン再生部30−2,30−3とでも協調再生を行うことが可能な状態となる。
その後、第1機器20−1はコンテンツの再生を開始するとともに、第2機器20−2へのコンテンツデータの配信を開始する(S108)。コンテンツデータの配信が開始されると、第2機器20−2もコンテンツの再生を開始する(S204)。これにより、第1機器20−1と第2機器20−2とによる協調再生が実現する。本例では、第1機器20−1のメイン再生部30−1及びゾーン再生部30−2,30−3と、第2機器20−2のメイン再生部30−1及びゾーン再生部30−3とで協調再生が行われる。
ここで、第1機器20−1が再生を開始するコンテンツは、子機リスト(図4参照)において予め指定されたコンテンツである。第1機器20−1は、スタンバイ状態から通常状態に切り替わるときにコンテンツを自動的に再生する設定(自動再生設定)が有効であり、かつ子機リストでコンテンツが指定されている場合に、上記S108においてコンテンツの再生を開始する。一方、自動再生設定が無効である又は子機リストでコンテンツが指定されていない場合には、第1機器20−1は、上記S107の終了後、コンテンツを再生せずにリンク状態を形成したまま待機する。
次に、第1機器20−1は、電源オフ指令を受けると(S109:YES)、通常状態からスタンバイ状態に切り替えるための状態制御コマンド(setPower)を第2機器20−2に送信すると共に(S110)、機器自身を通常状態からスタンバイ状態に切り替える(S111)。電源オフ指令も、電源ボタン241若しくはリモコン27(図3参照)の操作に応じて入力される。
具体的には、第1機器20−1の制御部21では、電源オフ指令を受信したときにホストCPUの動作を停止することによって、機器自身を通常状態からスタンバイ状態に切り替える。また、これに伴って、第1機器20−1のメイン再生部30−1及びゾーン再生部30−2,30−3も通常状態からスタンバイ状態に切り替わる。
通常状態からスタンバイ状態に切り替えるための状態制御コマンドを受信した第2機器20−2は、機器自身を通常状態からスタンバイ状態に切り替える(S205)。
具体的には、第2機器20−2の制御部21では、状態制御コマンドを受信したときにホストCPUの動作を停止することによって、機器自身をスタンバイ状態から通常状態に切り替える。また、これに伴って、第2機器20−2のメイン再生部30−1及びゾーン再生部30−2〜30−4も通常状態からスタンバイ状態に切り替わる。
これにより、リンク状態を形成するよう設定された第1機器20−1と第2機器20−2との両方が通常状態からスタンバイ状態に切り替わる。
以下、子機状態連動設定について説明する。子機状態連動設定は、親機である第1機器20−1のスタンバイ状態と通常状態とが切り替わるときに子機の状態を連動させるか否かを表す設定である。
図10に示すように、まず、第1機器20−1は、子機状態連動設定を有効にするか無効にするかを設定するための設定画面を表示部25又は外部の表示装置に表示する(S301)。図11に示すように、設定画面には、例えば子機状態連動設定の有効と無効の切り替えを受け付けるためのスイッチSが表示される。
設定画面に入力があり(S302:YES)、その入力が有効に対応するものであった場合(S303:YES)、第1機器20−1は子機状態連動設定を有効として保存する(S304:第2の設定の例)。一方、その入力が無効に対応するものであった場合には(S303:NO)、第1機器20−1は子機状態連動設定を無効として保存する(S305:第1の設定の例)。
子機状態連動設定が有効である場合、上述したように、親機である第1機器20−1のスタンバイ状態と通常状態とが切り替わるときに、子機である第2機器20−2に状態制御コマンドが送信されて、子機である第2機器20−2のスタンバイ状態と通常状態とが切り替わる(図8及び図9参照)。一方、子機状態連動設定が無効である場合、第1機器20−1のみスタンバイ状態と通常状態とが切り替わる。
なお、子機状態連動設定の有効/無効は、子機リスト(図4参照)に記述されてもよく、第1機器20−1はスタンバイ状態と通常状態とが切り替わるときに、子機リストの子機状態連動設定を読み出して、有効である場合には子機である第2機器20−2に状態制御コマンドを送信してスタンバイ状態と通常状態とを切り替えるように構成してもよい。
次に、変形例について説明する。変形例では、親機である第1機器20−1の電源ボタンの操作態様に応じて子機の状態を連動させるか否かを切り替える。
図12に示すように、第1機器20−1の電源ボタン241(図3参照)が操作され(S401:YES)、且つその操作が所定の操作であった場合には(S402:YES)、第1機器20−1は子機状態連動切替指令を出力する(S403:第2の指令の例)。一方、その操作が所定の操作でなかった場合には(S402:NO)、第1機器20−1は通常の切替指令を出力する(S404:第1の指令の例)。
子機状態連動切替指令が出力された場合、上述したように、親機である第1機器20−1のスタンバイ状態と通常状態とが切り替わるときに、子機である第2機器20−2に状態制御コマンドが送信されて、子機である第2機器20−2のスタンバイ状態と通常状態とが切り替わる(図8及び図9参照)。一方、通常の起動指令が出力された場合、第1機器20−1のみスタンバイ状態と通常状態とが切り替わる。
ここで、電源ボタン241の操作態様とは、例えば電源ボタン241の押下時間であってよく、押下時間が比較的短い場合には通常の起動指令を出力し、押下時間が比較的長い場合には子機状態連動起動指令を出力するようにしてよい。また、電源ボタン241の操作態様は、例えば他のボタン等との組み合わせであってもよく、電源ボタン241が単独で押下された場合には通常の起動指令を出力し、電源ボタン241が他のボタンと同時に押下された場合には子機状態連動起動指令を出力するようにしてもよい。
なお、図12に示す処理は、第1機器20−1に限らず、リモコン27(図3参照)において実行されてもよい。すなわち、リモコン27の電源ボタンの操作が所定の操作であった場合に(S402:YES)、リモコン27は子機状態連動切替指令を第1機器20−1に対して出力し(S403)、所定の操作でなかった場合には(S402:NO)、リモコン27は通常の切替指令を第1機器20−1に対して出力するようにしてもよい(S404)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。