JPWO2018159001A1 - ナノカーボンの分離方法 - Google Patents

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Abstract

本発明のナノカーボンの分離方法は、比重の異なる複数の液体であって、複数の液体の少なくとも1つが性質の異なるナノカーボンの混合物が分散した分散液である複数の液体を用意する工程と、液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少するように、電気泳動槽へ複数の液体を順次注入する工程と、電気泳動槽の上部と下部とに配置された電極に直流電圧を印加することで、ナノカーボンの混合物の一部を上部に配置された電極側に移動させ、ナノカーボンの混合物の他方を下部に配置された電極側に移動させて分離する工程と、を有する。

Description

本発明は、ナノカーボンの分離方法に関する。
本願は、2017年2月28日に出願されたPCT/JP2017/007753に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、ナノメートル領域のサイズを有する炭素材料(以下、ナノカーボン)が、その機械的特性、電気的特性、化学的特性等から様々な分野への適用が期待されている。
ナノカーボンでは、製造の段階で性質の異なるナノカーボンが同時に生成される場合がある。電気的特性の異なるナノカーボンが混合した状態で電子材料として用いた場合、特性の低下などの問題を引き起こす可能性がある。そこで、性質の異なるナノカーボンを分離することが必要となる。
ナノカーボンを分離するために、特許文献1には、異なる複数の電荷を持つナノカーボンミセル群に分散した、ナノカーボン材料の分散溶媒と、該ナノカーボン材料と異なる比重を持つ保持溶液とを、電気泳動槽内に所定の方向に積層して注入配置する工程と、該積層して注入配置した分散溶液と保持溶液に、直列方向に電圧を印加することにより、該ナノカーボンミセル群を2以上のナノカーボンミセル群に分離する工程と、を含むナノカーボン材料分離方法が記載されている。
国際公開第2010/150808号
しかし、特許文献1に記載の分離方法では分離の効率に課題があった。すなわち、特許文献1に記載の分離方法では分離に時間を要した。
本発明は、性質の異なるナノカーボンの分離において、分離効率を向上させる、または分離に要する時間を短縮する、ナノカーボンの分離方法を提供することを目的とする。
本発明のナノカーボンの分離方法は、
比重の異なる複数の液体であって、前記複数の液体の少なくとも1つが性質の異なるナノカーボンの混合物が分散した分散液である前記複数の液体を用意する工程と、
液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少するように、電気泳動槽へ前記複数の液体を順次注入する工程と、
前記電気泳動槽の上部と下部とに配置された電極に直流電圧を印加することで、前記ナノカーボンの混合物の一部を上部に配置された前記電極側に移動させ、前記ナノカーボンの混合物の他方を下部に配置された前記電極側に移動させて分離する工程と、を有する。
本発明によれば、性質の異なるナノカーボンの分離において、分離効率を向上させることができる。または、本発明によれば、性質の異なるカーボンナノホーンの分離において、分離に要する時間を短縮することができる。
第1の実施形態に係る分離装置の一例を示す概略図である。 第1の実施形態に係る分離方法を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る分離装置の変形例を示す概略図である。 第1の実施形態に係る分離装置の他の変形例を示す概略図である。 第1の実施形態に係る分離装置の他の変形例を示す概略図である。 第2の実施形態に係る分離装置の一例を示す概略図である。 実施例1に係る電気泳動条件の一例を示す概略図である。 図7Aと比較する電気泳動条件を示す概略図である。 図7Aの例において電気泳動の前後における試料移動状態を示す写真である。 図7Bの例において電気泳動の前後における試料移動状態を示す写真である。 図7Aの例における分離後試料の吸収スペクトルである。 図7Bの例における分離後試料の吸収スペクトルである。 図7Aの例における分離後試料のRBM領域ラマンスペクトルである。 図7Bの例における分離後試料のRBM領域ラマンスペクトルである。 図7Aの例における分離後試料のグラフであり、(A)は屈折率分布、(B)は泳動電流および印加電圧を示す。 図7Bの例における分離後試料のグラフであり、(A)は屈折率分布、(B)は泳動電流および印加電圧を示す。 実施例2に係る電気泳動条件の他の一例を示す概略図である。 図13Aと比較する電気泳動条件を示す概略図である。 図13Aの例において電気泳動の前後における試料移動状態を示す写真である。 図13Bの例において電気泳動の前後における試料移動状態を示す写真である。 図13Aの例における分離後試料のグラフであり、(A)は屈折率分布、(B)は泳動電流および印加電圧を示す。 図13Bの例における分離後試料のグラフであり、(A)は屈折率分布、(B)は泳動電流および印加電圧を示す。 実施例3に係る電気泳動条件の他の一例において、電気泳動の前後における試料移動状態を示す写真である。 実施例4に係る電気泳動条件の他の一例を示す概略図である。 図18Aと比較する電気泳動条件を示す概略図である。 図18Aの例において電気泳動の前後における試料移動状態を示す写真である。 図18Bの例において電気泳動の前後における試料移動状態を示す写真である。 図18Aの例における分離後試料のグラフであり、(A)は屈折率分布、(B)は泳動電流および印加電圧を示す。 図18Bの例における分離後試料のグラフであり、(A)は屈折率分布、(B)は泳動電流および印加電圧を示す。 図18Aの例における分離後試料のグラフであり、(A)は吸収スペクトル、(B)はフラクション依存性を示す。 電気泳動時の経過時間に対する分散液の界面活性剤の密度分布の変化を示すグラフである。 実施例5において、分離操作後の単層カーボンナノチューブ分散液の吸収スペクトルを示す図である。 実施例6において、電気泳動槽における、分離操作前の溶液の層構造を示す図である。 実施例6において、電気泳動槽における、分離操作後の溶液の層構造を示す図である。 実施例6において、分離操作後の単層カーボンナノチューブ分散液の吸収スペクトルを示す図である。 実施例6において、分離操作後の単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度を示す図である。 実施例6において、分離操作後の溶液のラマンスペクトルを示す図である。 参考例1において、界面活性剤の濃度と溶液の密度との関係を示すグラフである。 参考例2において、界面活性剤の濃度と溶液の密度との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本実施形態に係るナノカーボンの分離方法について説明する。
本実施形態において、ナノカーボン材料とは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノツイスト、グラフェン、フラーレンなどを含めた主に炭素により構成されている炭素材料を意味する。ナノカーボンの一例として、単層カーボンナノチューブを包含する分散液から半導体型を持つ単層カーボンナノチューブと、金属型を持つ単層カーボンナノチューブと、を分離する場合について詳述する。
(1)単層ナノカーボンチューブ
単層カーボンナノチューブは、チューブの直径、巻き方によって金属型と半導体型という2つの異なる性質に分かれることが知られている。現在知られている製造方法を用いて単層カーボンナノチューブを合成すると、金属的な性質を有する単層カーボンナノチューブ(以下、「金属型の単層カーボンナノチューブ」と記す。)と半導体的な性質を有する単層カーボンナノチューブ(以下、「半導体型の単層カーボンナノチューブ」と記す。)が統計的に1:2の割合で含まれる単層カーボンナノチューブの混合材料が得られる。
なお、以下では、金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブとが混合した単層カーボンナノチューブを、単層カーボンナノチューブ混合物と記す。単層カーボンナノチューブ混合物は、金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブとを含むものであれば特に制限されない。また本実施形態における単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ単体であってもよいし、一部の炭素が任意の官能基で置換された単層カーボンナノチューブや、任意の官能基で修飾された単層カーボンナノチューブであってもよい。
以降では、単層カーボンナノチューブ混合物が分散媒に分散した分散液を、半導体型を持つ単層カーボンナノチューブと、金属型を持つ単層カーボンナノチューブと、に分離する一例について詳述する。
(2)単層カーボンナノチューブ混合物の分散液
本実施形態における単層カーボンナノチューブ混合物の分散液(以下、「単層カーボンナノチューブ分散液」と記す。)は、単層カーボンナノチューブ混合物が分散媒に分散した液体である。分散液の分散媒には、水もしくは重水を用いることが好適である。しかし、単層カーボンナノチューブを分散させることができる分散媒であれば、有機溶媒、イオン液体などの分散媒を用いても良い。分散媒中に単層カーボンナノチューブ混合物を分散させる補助材料として、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、その他の分散補助剤などを用いてもよい。特に、非イオン性界面活性剤を用いることが好適である。非イオン性界面活性剤については後述する。分散液の調製方法についても後述する。
[第1の実施形態]
(分離装置)
次に、本実施形態のナノカーボンの分離方法において用いられる分離装置について説明する。
図1は、本実施形態のナノカーボンの分離方法において用いられる分離装置の一例を示す概略図である。
本実施形態の分離装置1は、I字型(縦型)構造を有する電気泳動槽10と、電気泳動槽10内の上部に配置された電極20と、電気泳動槽10内の下部に配置された電極30と、電気泳動槽10内に液体を注入する注入口40と、液体を電気泳動槽10から回収する回収口50と、を有する。
電気泳動槽10は、液体を収容可能な空間を有する。電気泳動槽10内に分離対象である単層カーボンナノチューブ分散液を注入し、カーボンナノチューブ混合物の分離を行う。電気泳動槽10の材質は、絶縁性の材質であればよい。例えば、電気泳動槽10の材質として、ガラス、石英、アクリル樹脂等を用いることができる。
I字型構造の電気泳動槽10は、中空管形状を有する容器である。I字型構造の電気泳動槽10は、上端に開口を有する。I字型構造の電気泳動槽10の下端は閉じられており、容器の底になっている。
I字型構造の電気泳動槽10は、長手方向が水平面に立設される。
また、後述するU字型構造の電気泳動槽10は、中空管の該両端が、一方向に揃って延びるように曲げられた形状を有する容器である。U字型構造の電気泳動槽10は、一方向に揃って延びる両端に開口を有する。曲げられた部分は、容器の底になっている。
U字型構造の電気泳動槽10は、一方向に揃って延びる両端が水平面に対し上に延びるように立設される。
電極20と電極30とに電圧を印加すると、単層カーボンナノチューブ混合物が、金属型の単層カーボンナノチューブと、半導体型のカーボンナノチューブと、に分離する。金属型の単層カーボンナノチューブは、陰極近傍に集まる。一方、半導体型の単層カーボンナノチューブは陽極近傍に集まる。このため、電極20及び電極30を、電気泳動槽10の上端部と下端部とに配置することが望ましい。電気泳動槽10の下部に陽極を配置し、電気泳動槽10の上部に陰極を配置することがより好ましい。電極30を陽極、電極20を陰極とした場合、電界Zが電気泳動槽10の下方から上方へ向かう。一方、電気泳動槽10の下部に配置された電極30を陰極、電気泳動槽10の上部に配置された電極20を陽極とした場合、電界Zが電気泳動槽10の上方から下方へ向かう。ここで、上下とは、分離装置1を使用可能な状態で設置した場合での、重力方向の上を上、重力方向の下を下と示す。電極20、30の材料は、白金などを用いることができる。
注入口40は、電気泳動槽10内に液体を注入するための開口である。本実施形態における注入口40は電気泳動槽10の上端に設けられた開口である。
回収口50は、液体を電気泳動槽10から回収するための開口である。回収口50は電気泳動槽10の下端に設けてもよい。回収口50を複数有する場合、それぞれの回収口は電極20、30の近傍に設けることが好ましい。分離された金属型の単層カーボンナノチューブは陰極近傍に移動し、半導体型の単層カーボンナノチューブは陽極近傍に移動するので、移動した単層カーボンナノチューブを効率的に回収することができる。
図1に示す一例では注入口40と回収口50とを有する構成を示したが、分離装置1の構成はこれに限定されるものではない。例えば、注入口40は、回収口50を兼ねてもよい。
(ナノカーボンの分離方法)
次に、本実施形態に係るナノカーボンの分離方法を説明する。図2は、本実施形態における分離方法のフローチャートである。
まず、第1のステップ(S1)では、互いに比重の異なる複数の液体を準備する。複数の液体のうち少なくとも1つは、単層カーボンナノチューブ分散液である。比重の異なる複数の液体は、所定の溶質が所定の溶媒に含有された液体である。所定の溶質としては、例えば、界面活性剤を用いることができる。また、所定の溶媒としては、水または重水を用いることが好適である。さらに、分散液の分散媒には、水と重水の混合液を用いることもできる。溶質である界面活性剤の濃度を調整することによって、比重の調製ができる。例えば、分散媒に重水を、溶質として界面活性剤、具体的には、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(Brij S100[商品名]、シグマアルドリッチ社製)を用いることができる。この場合、室温(25℃)においてBrij S100の1wt%重水溶液は、Brij S100の0.5wt%重水溶液よりも比重が大きくなる。
次に、単層カーボンナノチューブ分散液を得る方法は特に限定されず、既知の方法を適用することができる。例えば、単層カーボンナノチューブ混合物と分散媒を混合し、超音波処理を行うことで単層カーボンナノチューブ混合物を分散媒に分散させる。または、機械的なせん断力により単層カーボンナノチューブを分散媒に分散させることもできる。単層カーボンナノチューブ分散液は、単層カーボンナノチューブ混合物と分散媒との他に界面活性剤等の分散補助剤を含んでもよい。
次に、第2のステップ(S2)では、液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少するように、第1のステップで準備した液体を電気泳動槽10へ注入する。その際、液体が単層カーボンナノチューブを含むか否かに拘わらない。
具体的には、準備した液体のうち、比重が最大の液体を電気泳動槽10へ注ぐ。次に、準備した液体のうち2番目に比重が大きい液体を電気泳動槽10へ注ぐ。以下、比重の大きい液体から順に電気泳動槽10へ注ぐ。これにより、電気泳動槽中に、液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少する比重勾配を形成することができる。液体は、例えば、ピペットを用いて静かに注げばよい。
第3のステップ(S3)では、電気泳動槽へ直流電圧を印加する。液体中に分散したカーボンナノチューブ混合物のうち金属型の単層カーボンナノチューブが陰極近傍に移動し、半導体型の単層カーボンナノチューブが陽極側に移動する。この結果、液体中に分散したカーボンナノチューブ混合物を金属型と半導体型とに分離することができる。非イオン性界面活性剤が溶解した液体を用いる場合、金属型の単層カーボンナノチューブは液体中で正電荷を帯び、半導体型の単層カーボンナノチューブは極めて弱い負電荷を持つ。また、電圧印加後には、半導体型の単層カーボンナノチューブは金属型の単層カーボンナノチューブに比べ比重が大きくなる傾向にある。この比重の差によって生じる移動力と、電界と電荷とにより生じる電気泳動力と、の合力により単層カーボンナノチューブ混合物が金属型と半導体型とに分離される。
印加する電圧は、分散媒の組成及び単層カーボンナノチューブ混合物の電荷量により最適な値を決定する必要がある。水及び重水などを分散媒として用いた場合、最も離れた電極間に加える印加電圧は0Vより大きく、1000V以下(0〜1000V)の間の任意の値とすることが可能である。特に水・重水では電気分解の効果を抑えるため、0Vより大きく、120V以下(0〜120V)の範囲において電圧を印加することが望ましい。
最後に、第4のステップ(S4)では、分離後の液体を回収する。電圧を印加した状態で、回収口50から回収を行う。なお、回収はそれぞれの試料を拡散混合しないならば、どのような手段を用いても良い。例えば、電圧の印加をやめ、静かにピペットにより、例えば、1mL毎に吸い出す方法、分離流路に対して仕切り板を挿入し各ブロックの液体を回収する方法を用いてもよい。
以上により、単層カーボンナノチューブ混合物を、金属型の単層カーボンナノチューブと、半導体型の単層カーボンナノチューブと、に分離することができる。なお、第4のステップで得た回収液を用いて、第1のステップから第4のステップを繰り返し実行してもよい。繰り返し行うことにより、金属型の単層カーボンナノチューブおよび半導体型の単層カーボンナノチューブの純度を向上させることができる。
なお、以上では単層カーボンナノチューブ混合物を、金属型の単層カーボンナノチューブと、半導体型の単層カーボンナノチューブと、に分離する一例について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、電気泳動槽10内で分離させた後、目的の性質を持つ単層カーボンナノチューブのみを回収する、単層カーボンナノチューブの精製方法として行ってもよい。
回収した試料の分離効率は、顕微Raman分光分析法(Radial Breathing Mode(RBM)領域のRamanスペクトルの変化、Breit−Wigner−Fano(BWF)領域のRamanスペクトル形状の変化)、及び紫外可視近赤外吸光光度分析法(吸収スペクトルのピーク形状の変化)などの手法により評価することができる。また、単層カーボンナノチューブの電気的特性について評価することによっても分離効率を評価することが可能である。例えば、電界効果トランジスタを作製して、そのトランジスタ特性を測定することによって試料の評価を行うことができる。
上記の説明では非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(Brij S100[商品名]、シグマアルドリッチ社製)を用いる例を説明した。しかし、非イオン性界面活性剤はこれに限定されるものではない。
非イオン性界面活性剤として、イオン化しない親水性部位とアルキル鎖など疎水性部位で構成されている非イオン性界面活性剤を1種類もしくは複数組み合わせて用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系に代表されるポリエチレングリコール構造を有する非イオン性界面活性剤や、アルキルグルコシド系非イオン性界面活性剤などを用いることができる。また、ポリオキシエチレン(n)アルキルエーテル(nが10以上100以下、アルキル鎖長がC12以上C18以下)で規定される非イオン性界面活性剤が好適に用いられる。例えば、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij L23[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(Brij C20[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(Brij S20[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(Brij O10[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(Brij C10[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(Brij S10[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(Brij O20[商品名]、シグマアルドリッチ社製、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(Brij S100[商品名]、シグマアルドリッチ社製)などを用いることができる。
(分離装置の変形例)
図3から図5に分離装置1の変形例を示す。
図3に示す分離装置1Aは、I字型(縦型)構造を有する電気泳動槽10と、電気泳動槽10内の上部に配置された電極20と、電気泳動槽10内の下部に配置された電極30と、注入口40と、電極20の近傍に設けられた回収口50と、電極30の近傍に設けられた回収口60と、を有する。注入口40は、電気泳動槽10の高さ方向半分より上側であって、回収口50よりも下側の位置に設けられる。
図4に示す分離装置1Bは、注入口40を電気泳動槽10の高さ方向半分より下側であって回収口60よりも上側の位置に有する。回収口50は電極20の近傍に配置するのが好ましく、回収口60は電極30の近傍に配置するのが好ましい。また、回収口50あるいは回収口60を用いず、電気泳動槽10の下方に設けた注入口40を用いて回収してもよい。その際は、まず半導体型単層カーボンナノチューブ層が回収され、ついで金属型単層カーボンナノチューブ層が回収される。
図5に示す分離装置1Cは、U字型構造を有する。分離装置1Cの電気泳動槽10Aは、両端が上方に開口したU字型構造の電気泳動槽10Aを有する。電気泳動槽10Aの両端開口が、注入口40、回収口50となる。U字の一方に電極20を有し、反対側に電極30を有する。なお、一方の電極の高さ位置が、他方の電極の高さ位置よりも高いことが好ましい。陽極が下方に、陰極が上方になるように配置することがより好ましい。
以上、単層カーボンナノチューブの金属型および半導体型分離に対して適用できる実施形態を説明したが、他のナノカーボン、すなわち多層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、グラフェンなどにも適用できる。
本実施形態に係る分離方法を用いることにより、性質の異なるナノカーボンの分離において、分離効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係る分離方法を用いることにより、電気泳動槽内で分散液が安定となる。この結果、分離されたナノカーボンの純度を高めることができる。
また、分離装置1を用いた、ナノカーボンの分離方法において、電気泳動槽10内に温度勾配が生じると、電気泳動槽10内にて、単層カーボンナノチューブ分散液の対流現象が生じることがある。その結果、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを安定に分離することができなくなる。そこで、分離装置1は、電気泳動槽10内の単層カーボンナノチューブ分散液の温度を一定に保つための温度調節手段を備えることが好ましい。温度調節手段としては、特に限定されず、容器内に収容された液体の温度を一定に保つことができるもの、例えば水冷ジャケットの装着などであればいかなる手段でも用いることができる。
[第2の実施形態]
(分離装置)
図6は、本実施形態のナノカーボンの分離方法において用いられる分離装置の一例を示す概略図である。
本実施形態の分離装置100は、I字型(縦型)構造を有する電気泳動槽101と、電気泳動槽101内の上部に設けられた第1の電極102、および電気泳動槽101内の下部に設けられた第2の電極103を有する電極部材104と、を備える。
電気泳動槽101は、上端に開口部105を有する。また、電気泳動槽101は、下端に、電気泳動槽101の外底面101aに連通する注入/回収口106を有する。注入/回収口106は、電気泳動槽101にナノカーボン分散液200を注入、および、電気泳動槽101からナノカーボン分散液200を回収するために用いられる。また、注入/回収口106は、すり合わせを有する回転式のコック等の密閉構造(図示略)を備える。
電気泳動槽101の底部の注入/回収口106を介して、例えば、ペリスタポンプ等を用いて静かにナノカーボン分散液200の注入、および、回収を行うことにより、注入/回収時に、液面の変化に合わせて注入/回収口を移動させる必要がなく、電気泳動槽101内部の液相界面を乱すことなく、注入/回収操作を行うことができる。また、電気泳動槽101を高容量化した場合に、長い注入/回収ノズルを用意する必要もなく、非常に合理的である。
電極部材104は、絶縁性の筒状部材107と、筒状部材107内に挿入される絶縁性の柱状部材108と、筒状部材107の外周面107aに設けられた第1の電極102と、柱状部材108の下端部に設けられた第2の電極103と、を備える。また、第1の電極102は、筒状部材107の上端部に設けられている。本実施形態の分離装置100において、第1の電極102が陰極、第2の電極103が陽極である。
筒状部材107は、電気泳動槽101の高さ方向のほぼ全域にわたって延在する。
柱状部材108は、筒状部材107内に挿入された状態で、電気泳動槽101の高さ方向のほぼ全域にわたって延在する。また、柱状部材108は、筒状部材107内に挿入された状態で、電気泳動槽101の高さ方向に沿って移動可能となっている。さらに、柱状部材108の下端には、柱状部材108を電気泳動槽101の高さ方向上方に移動することにより、筒状部材107の下端部に内接する板状の嵌合部材109が設けられている。嵌合部材109の側面109aは、筒状部材107の下端部の内側面107bと相似な形状をなしている。これにより、柱状部材108を電気泳動槽101の高さ方向上方に移動することにより、筒状部材107の下端部に、嵌合部材109が内接し、嵌合する。一方、柱状部材108を電気泳動槽101の高さ方向下方に移動することにより、筒状部材107の下端と嵌合部材109の間に隙間を設けることができる。無担体電気泳動によって、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する際には、筒状部材107の下端と嵌合部材109の間に隙間を設ける。この状態で、第1の電極102と第2の電極103に直流電圧を印加すると、電気泳動槽101内のナノカーボン分散液200にpH勾配が形成される。なお、筒状部材107の下端と嵌合部材109の間に隙間を設ける場合にも、第2の電極103の大部分が筒状部材107内に配置されていることが好ましい。
電気泳動槽101の材質としては、電気泳動槽10の材質と同様のものが挙げられる。
第1の電極102および第2の電極103としては、電極20、30と同様のものが挙げられる。
筒状部材107、柱状部材108および嵌合部材109の材質は、ナノカーボン分散液200に対して安定であり、かつ絶縁性の材質であれば特に限定されないが、例えば、ガラス、石英、アクリル樹脂等が挙げられる。嵌合部材109において、筒状部材107の下端と相対する部分はシリコンゴム等の柔軟な材料であることが望ましい。
本実施形態の分離装置100では、第1の電極102が陰極、第2の電極103が陽極である場合を例示したが、本実施形態の分離装置100はこれに限定されない。本実施形態の分離装置100にあっては、第1の電極102が陽極、第2の電極103が陰極であってもよい。
また、後述する分離装置100を用いた、ナノカーボンの分離方法において、電気泳動槽101内に温度勾配が生じると、電気泳動槽101内にて、ナノカーボン分散液200の対流現象が生じることがある。その結果、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを安定に分離することができなくなる。そこで、分離装置100は、電気泳動槽101内のナノカーボン分散液200の温度を一定に保つための温度調節手段を備えることが好ましい。温度調節手段としては、特に限定されず、容器内に収容された液体の温度を一定に保つことができるもの、例えば水冷ジャケットの装着などであればいかなる手段でも用いることができる。
(ナノカーボンの分離方法)
図6を用いて、分離装置100を用いた、ナノカーボンの分離方法を説明するとともに、分離装置100の作用を説明する。
本実施形態のナノカーボンの分離方法は、比重の異なる複数の液体であって、複数の液体の少なくとも1つが性質の異なるナノカーボンの混合物が分散した分散液である複数の液体を用意する工程(以下、「調製工程」という。)と、液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少するように、電気泳動槽へ複数の液体を順次注入する工程(以下、「注入工程」という。)と、電気泳動槽の上部と下部とに配置された電極に直流電圧を印加することで、ナノカーボンの混合物の一部を上部に配置された電極側に移動させ、ナノカーボンの混合物の他方を下部に配置された電極側に移動させて分離する工程(以下、「分離工程」という。)と、を有する。
本実施形態のナノカーボンの分離方法において、ナノカーボンとは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノツイス卜、グラフェン、フラーレン等の主に炭素から構成される炭素材料を意味する。本実施形態のナノカーボンの分離方法では、ナノカーボンとして単層カーボンナノチューブを含むナノカーボン分散液200から、半導体型単層カーボンナノチューブと、金属型単層カーボンナノチューブと、を分離する場合について詳述する。
単層カーボンナノチューブは、チューブの直径、巻き方によって金属型と半導体型という2つの異なる性質に分かれることが知られている。従来の製造方法を用いて単層カーボンナノチューブを合成すると、金属的な性質を有する金属型単層カーボンナノチューブと半導体的な性質を有する半導体型単層カーボンナノチューブが統計的に1:2の割合で含まれる単層カーボンナノチューブの混合物が得られる。
単層カーボンナノチューブの混合物は、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとを含むものであれば特に制限されない。また、本実施形態における単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ単体であってもよいし、一部の炭素が任意の官能基で置換された単層カーボンナノチューブや、任意の官能基で修飾された単層カーボンナノチューブであってもよい。
本実施形態のナノカーボンの分離方法において、ナノカーボンの混合物は、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンとを含む。
まず、調製工程にて、ナノカーボンの混合物が、非イオン性界面活性剤とともに分散媒に分散したナノカーボン分散液200を調製する。すなわち、2種類以上の比重の異なるナノカーボン(金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボン)の混合物が分散した分散液を調製する。
また、電気泳動槽101内における上層を形成する溶液(以下、「上層溶液」という。)210を調製する。
さらに、電気泳動槽101内における下層を形成する溶液(以下、「下層溶液」という。)220を調製する。
ナノカーボン分散液200、上層溶液210および下層溶液220の比重を、これらに添加する界面活性剤の濃度で調節することが好ましい。上層溶液210は、界面活性剤の濃度を0%、すなわち、界面活性剤を含まなくてもよい。
また、ナノカーボン分散液200、上層溶液210および下層溶液220の中でも、上層溶液210が最も比重が小さく、下層溶液220が最も比重が大きいことが好ましい。さらに、ナノカーボン分散液200は、上層溶液210と下層溶液220の中間の比重を有することが好ましい。
分散媒としては、ナノカーボンの混合物を分散させることができるものであれば特に限定されない。分散媒としては、例えば、水、重水、有機溶媒、イオン液体等が挙げられる。これらの分散媒の中でも、ナノカーボンが変質しないことから、水または重水、もしくは、水と重水の混合溶媒が好適に用いられる。
分散媒として、水と重水の混合溶媒を用いる場合、ナノカーボン分散液200、上層溶液210および下層溶液220の比重を、水と重水の混合比の濃度で調節することも可能である。この場合、界面活性剤の濃度のみで比重調整する場合と比較して、比重の調整範囲が大きい。
非イオン性界面活性剤としては、イオン化しない親水性部位とアルキル鎖等の疎水性部位とを有する非イオン性界面活性剤が用いられる。このような非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系に代表されるポリエチレングリコール構造を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。
このような非イオン性界面活性剤としては、下記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適に用いられる。
2n(OCHCHOH (1)
(但し、n=12〜18、m=10〜100である。)
上記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(商品名:Brij L23、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(商品名:Brij C20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(商品名:Brij S20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(商品名:Brij O20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(Brij O10[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(Brij C10[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(Brij S10[商品名]、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:Brij S100、シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(分子式:C6412626、商品名:Tween 60、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(分子式:C2444、商品名:Tween 85、シグマアルドリッチ社製)、オクチルフェノールエトキシレート(分子式:C1422O(CO)、n=1〜10、商品名:Triton X−100、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル(分子式:C1740(CHCH2040H、商品名:Triton X−405、シグマアルドリッチ社製)、ポロキサマー(分子式:C10、商品名:Pluronic、シグマアルドリッチ社製)、ポリビニルピロリドン(分子式:(CNO)、n=5〜100、シグマアルドリッチ社製)等を用いることもできる。
ナノカーボン分散液200における非イオン性界面活性剤の含有量は、0.1wt%以上5wt%以下であることが好ましく、0.5wt%以上2wt%以下であることがより好ましい。
非イオン性界面活性剤の含有量が0.1wt%以上であれば、無担体電気泳動によって、電気泳動槽101内にて、ナノカーボン分散液200のpH勾配を形成することができる。一方、非イオン性界面活性剤の含有量が5wt%以下であれば、ナノカーボン分散液200の粘度が高くなり過ぎることがなく、無担体電気泳動によって容易に、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離することができる。
ナノカーボン分散液200におけるナノカーボンの含有量は、1μg/mL以上100μg/mL以下であることが好ましく、5μg/mL以上40μg/mL以下であることがより好ましい。
ナノカーボンの含有量が上記の範囲であれば、無担体電気泳動によって容易に、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離することができる。
ナノカーボン分散液200を調製する方法としては、特に限定されず、公知の方法が用いられる。例えば、ナノカーボンの混合物と、非イオン性界面活性剤を含む分散媒との混合液を超音波処理して、分散媒に、ナノカーボンの混合物を分散させる方法が挙げられる。この超音波処理により、凝集していた金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンの混合物が充分に分離し、ナノカーボン分散液200は、分散媒に金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンが均一に分散したものとなる。したがって、後述する無担体電気泳動法により、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離し易くなる。なお、超音波処理により分散しなかった金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンは、超遠心分離により分離、除去することが好ましい。
次いで、注入工程において、液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少するように、電気泳動槽101へ複数の液体を順次注入する。すなわち、ナノカーボン分散液200が、上層溶液210と下層溶液220の間となるように注入する。
具体的には、最も比重が大きい下層溶液220を電気泳動槽101へ注ぐ。次に、2番目に比重が大きいナノカーボン分散液200を電気泳動槽101へ注ぐ。次に、最も比重が小さい上層溶液210を電気泳動槽101へ注ぐ。これにより、電気泳動槽101中に、液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少する比重勾配を形成することができる。液体は、例えば、ピペットを用いて静かに注げばよい。
また、注入工程において、第1の電極102は、上層溶液210のみに接し、第2の電極103は、下層溶液220のみに接するように、ナノカーボン分散液200、上層溶液210および下層溶液220を順次注入することが好ましい。
また、上述したように、本実施形態の注入工程では、電気泳動槽101の底部に設けられた注入/回収口106を介して、例えば、ペリスタポンプ等を用い、静かに上層溶液210、ナノカーボン分散液200および下層溶液220を順次注入することも可能である。
注入工程においては、筒状部材107の下端と嵌合部材109の間を閉じておく。また、筒状部材107の内部に液体を注入しておく。注入する液体は、例えば、下層溶液220と同じ液体としてもよい。
次いで、分離工程にて、柱状部材108を電気泳動槽101の高さ方向下方に移動することにより、筒状部材107の下端と嵌合部材109の間に隙間を設けた状態で、無担体電気泳動により、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する。なお、上述のように、筒状部材107の下端と嵌合部材109の間に隙間を設ける場合にも、第2の電極103の大部分が筒状部材107内に配置されていることが好ましい。
非イオン性界面活性剤を含むナノカーボン分散液200中では、金属型ナノカーボンが正電荷を有し、半導体型ナノカーボンが極めて弱い負電荷を有する。
したがって、第1の電極102と第2の電極103に直流電圧を印加すると、ナノカーボン分散液200に含まれるナノカーボンの混合物のうち、金属型ナノカーボンが第1の電極102(陰極)側に移動し、半導体型ナノカーボンが第2の電極103(陽極)側に移動する。その結果として、ナノカーボン分散液200は、相対的に金属型ナノカーボンの含有量が多い分散液相(以下、「分散液相A」という。)と、相対的に半導体型ナノカーボンの含有量が多い分散液相(以下、「分散液相B」という。)と、分散液相Aと分散液相Bの間に形成され、相対的に金属型ナノカーボンおよび半導体型ナノカーボンの含有量が少ない分散液相(以下、「分散液相C」という。)との3相に相分離する。
本実施形態では、第1の電極102側に分散液相Aが形成され、第2の電極103側に分散液相Bが形成される。
第1の電極102と第2の電極103に印加する直流電圧は、特に限定されず、第1の電極102と第2の電極103との間の距離やナノカーボン分散液200におけるナノカーボンの混合物の含有量等に応じて適宜調整される。
ナノカーボン分散液200の分散媒として、水または重水を用いた場合、第1の電極102と第2の電極103に印加する直流電圧を、0Vより大きく、1000V以下の間の任意の値とする。
例えば、第1の電極102と第2の電極103の距離(電極間距離)が30cmである場合、第1の電極102と第2の電極103に印加する直流電圧は、15V以上450V以下であることが好ましく、30V以上300V以下であることがより好ましい。
第1の電極102と第2の電極103に印加する直流電圧が15V以上であれば、電気泳動槽101内にて、ナノカーボン分散液200のpH勾配を形成して、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離することができる。一方、第1の電極102と第2の電極103に印加する直流電圧が450V以下であれば、水または重水の電気分解による影響を抑えられる。
また、第1の電極102と第2の電極103に直流電圧を印加したとき、第1の電極102と第2の電極103の間の電界は、0.5V/cm以上15V/cm以下であることが好ましく、1V/cm以上10V/cm以下であることがより好ましい。
第1の電極102と第2の電極103の間の電界が0.5V/cm以上であれば、電気泳動槽101内にて、ナノカーボン分散液200のpH勾配を形成して、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離することができる。一方、第1の電極102と第2の電極103の間の電界が15V/cm以下であれば、水または重水の電気分解による影響を抑えられる。
第1の電極102を陰極とし、第2の電極103を陽極として直流電圧を印加すると、水または重水が電気分解して、第1の電極102では水素(重水素)が発生し、第2の電極103では酸素が発生する。第2の電極103で発生した酸素が、気泡となって電気泳動槽101の上部に移動すると、分離中のナノカーボン分散液200が擾乱され、その結果として対流現象が生じることがある。
本実施形態の分離装置100では、筒状部材107の下端と嵌合部材109の間に隙間を設けた状態で、無担体電気泳動の電圧を印加する。第2の電極103で電気分解により発生した酸素は筒状部材107内を上昇して、電気泳動槽101外に出る。本実施形態のナノカーボンの分離方法では、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンの分離は、主に電気泳動槽101と筒状部材107の間で進行する。従って、本実施形態のナノカーボンの分離方法によれば、第2の電極103で発生した酸素が、気泡となって上方に移動することで、分離中のナノカーボン分散液200が擾乱を受けることを防止できる。したがって、第1の実施形態で用いた分離装置1を使用する場合と比べて、水または重水が電気分解して発生した気泡による擾乱が少なく、分離が安定し、分離の精度が向上する。さらに、より高い電圧を印加することが可能となり、分離をより早く、かつ、安定に進行させることが可能である。
次いで、分離した分散液相Aと分散液相Bとをそれぞれ回収(分取)する。
回収の方法は、特に限定されず、分散液相Aと分散液相Bが拡散混合しない方法であればいかなる方法であってもよい。
回収の方法としては、例えば、第1の電極102と第2の電極103への直流電圧の印加を止め、注入/回収口106に設けられた回転式のコックを開けて、ペリスタポンプ等を用い、電気泳動槽101の底から分散液相Aの分散液をゆっくり排出させ、その分散液を回収し、次いで、電気泳動槽101の底から分散液相Bの分散液をゆっくり排出させ、その分散液を回収する方法が挙げられる。
回収した分散液を、再び、電気泳動槽101に収容し、上述と同様にして、無担体電気泳動法により、ナノカーボン分散液200に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する操作を繰り返し実施することにより、より純度が高い金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを得ることができる。
回収した分散液の分離効率は、顕微Raman分光分析法(Radial Breathing Mode(RBM)領域のRamanスペクトルの変化、Breit−Wigner−Fano(BWF)領域のRamanスペクトル形状の変化)、および紫外可視近赤外吸光光度分析法(吸収スペクトルのピーク形状の変化)等の手法により評価することができる。また、ナノカーボンの電気的特性について評価することによっても、分散液の分離効率を評価することができる。例えば、電界効果トランジスタを作製して、そのトランジスタ特性を測定することによって、分散液の分離効率を評価することができる。
本実施形態のナノカーボンの分離方法によれば、陰極である第1の電極102の近傍にて、金属型ナノカーボンの含有量が多くなり、陽極である第2の電極103の近傍にて、半導体型ナノカーボンの含有量が多くなるため、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを安定に分離することができる。結果として、純度が高い金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを得ることができる。また、本実施形態のナノカーボンの分離方法によれば、ナノカーボン分散液200が非イオン性界面活性剤を含むため、無担体電気泳動において、ナノカーボン分散液200に流れる電流量を少なくすることができ、ナノカーボン分散液200の発熱量を抑えることができる。
なお、本実施形態のナノカーボンの分離方法では、ナノカーボンの混合物を、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンに分離する場合を例示したが、本実施形態のナノカーボンの分離方法はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボンの分離方法は、例えば、電気泳動槽101内にて、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンに分離した後、目的の性質を有するナノカーボンのみを回収する、ナノカーボンの精製方法として行ってもよい。
また、第1の電極102を陽極、第2の電極103を陰極とした場合、第2の電極103で電気分解により発生した水素を、筒状部材107内を上昇させて、電気泳動槽101外に放出することにより、第2の電極103で発生した水素の気泡によって分離中のナノカーボン分散液200の対流現象が生じることを防止できる。
以上、ナノカーボンの混合物を、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンに分離する場合に適用することができる実施形態を説明したが、多層カーボンナノチューブの混合物、二層カーボンナノチューブの混合物、グラフェンの混合物等を分離する場合にも、本発明を適用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図7Aは、本実施形態に示す電気泳動条件の一例を示す概略図である。以下では、図7Aを参照して説明する。
(1)分離用の液体の調製
分散媒として、水に、非イオン性界面活性剤であるBrij S100(以下、「界面活性剤」と記す。)を1wt%溶解した水溶液を準備した。この分散媒に対して、単層カーボンナノチューブ混合物(eDIPS単層カーボンナノチューブ)を投入した。投入した液体に対して、ホーン型超音波破砕機(出力約300W、30分間)による超音波分散処理を行った。その後、超遠心分離操作を行い、上澄み50%を分散液(以下、CNT分散液と記す)として得た。
また、水に非イオン性界面活性剤であるBrij S100を2wt%溶解した水溶液(以下、Brij 2wt%水溶液と記す)と、水を用意した。
液体の比重は、Brij 2wt%水溶液が最も大きく、次いでCNT分散液であり、水の比重が最も小さかった。
(2)液体の注入
調製した液体を、図7Aに示す分離装置300の電気泳動槽301に注入した。まず、Brij 2wt%水溶液を電気泳動槽301内に注いだ。注いだBrij 2wt%水溶液によりBrij 2wt%層306が形成された。次いで、Brij 2wt%層306の上にCNT分散液305層が積層するように、CNT分散液を分離装置300の電気泳動槽301に静かに注入した。最後に、CNT分散液305層の上に水層304が積層するように、水を分離装置300の電気泳動槽301に静かに注入した。以上により、電気泳動槽301内の液体に、重力方向下から上に向かって減少する比重勾配を形成した。
(3)分離操作
分離装置300の下側の電極303(陽極)と上側の電極302(陰極)間に直流電圧(30V)を印加した。
電圧印加終了後、電気泳動槽301における層の形成について確認を行った。分離操作前後の電気泳動槽101の写真を図8A、図8Bに示す。終状態では、金属型単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(501、601)と透明な領域(502、602)、半導体型単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(503、603)の3層を形成した状態となった。
電圧印加終了後、電気泳動槽301の上部より約1mL毎に7フラクションとなるよう回収した。各フラクションは電気泳動槽301の陰極側(上部)から#1、#2、…、#7とした。得られたフラクションについて、後述する屈折率の測定を行なった。
[実施例1の比較例]
図7Bは、図7Aと比較する電気泳動条件を示す概略図である。以下では、図7Aを参照して説明する。
図7Bに示す分離装置400の電気泳動槽301に、実施例1と同じCNT分散液のみを注入した以外は実施例1と同様の操作を行った。
実施例1及びその比較例について電圧印加による、電気泳動槽301中の液体の変化を確認した。分離操作前後の分離装置の写真を図8A、図8Bに示す。図8Aは実施例1の分離操作前後の電気泳動槽301の写真であり、図8Bは実施例1の比較例の分離操作前後の電気泳動槽301の写真である。
図8A、図8B、いずれの場合も、分離操作の終状態では、金属型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(501、601)と透明な領域(502、602)、半導体型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(503、603)の3層を形成した状態となった。
図8A、図8Bによれば、実施例1では、その比較例に比べて、金属型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(501)、半導体型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(503)が、それぞれ上側の電極302(陰極)及び下側の電極303(陽極)の近傍に片寄って形成された。また、それぞれの濃度も高くなった。
CNT分散液(Pristine)、陽極側で回収した液体(semicon)、陰極側で回収した液体(metal)に対して、吸光度スペクトル分析と顕微Ramanスペクトル分析とを行った。分析した結果から、実施例1及びその比較例について、金属型・半導体型の分離傾向について評価した。
吸収スペクトルの結果を、図9A(実施例1)、図9B(実施例1の比較例)に示す。図中のSは半導体型の単層カーボンナノチューブ由来の吸収ピークであり、図中のMは金属型の単層カーボンナノチューブ由来の吸収ピークである。半導体型及び金属型の単層カーボンナノチューブ由来のピークにおける面積から、半導体型及び金属型の単層カーボンナノチューブの含有率を計算することができる。図9A、図9Bから、実施例1のほうが比較例1よりも高純度に分離できたことが分かった。
Ramanスペクトルの結果を、図10A(実施例1)、図10B(実施例1の比較例)に示す。
図10A、図10Bおいて、左側のグラフは波数が100〜300cm−1の範囲の結果を、右側のグラフは波数が1200〜1680cm−1の範囲の結果を、それぞれ表わしている。励起光としては633nmを用いた。
RBM領域のRamanスペクトルは、ナノチューブの直径が振動するモードであり、100−300cm−1の低波数領域にあらわれる。
G−bandのRamanスペクトルは、1590cm−1付近に観測され、グラファイトの物質に共通してあらわれるスペクトルである。グラファイトの場合には、1585cm−1付近に観測されるが、カーボンナノチューブの場合にはG−bandが2つに分裂し、G+とG−に分裂する。したがって、G−bandが2つのピークをもつように見えればナノチューブがあると判断できる。また、金属型ナノチューブの場合には、半導体型ナノチューブに比べて、G−の振動数が1550cm−1と大きくずれる。
D−bandのRamanスペクトルは、1350cm−1付近に観測され、欠陥に起因するスペクトルである。
ゆえに、図10A、図10Bの左側のグラフからは、RBM(ラジアルブリージングモード)領域のRamanスペクトルが、図10A、図10Bの右側のグラフからは、G−bandのRamanスペクトル、及びD−bandのRamanスペクトルが、それぞれ読み取ることができる。
図10A(実施例1)と図10B(実施例1の比較例)から、実施例1の方が比較例に比べて、陰極側(metal)及び陽極側(semicon)のピークが何れも高いことが分かった。このことは、実施例1の方が比較例よりも金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブを高純度に分離できたことを示す。
分離操作の終状態において、電気泳動槽301の上部より約1mL毎に7フラクションとなるよう回収した。各フラクションは電気泳動槽301の陰極側(上部)から#1、#2、…、#7とした。
実施例1及びその比較例における分離後試料(各フラクション)について、屈折率分布と泳動電流を評価した。
図11(A)、図11(B)は順に、実施例1における分離後試料の屈折率分布、泳動電流を示すグラフである。
図12(A)、図12(B)は順に、実施例1の比較例における分離後試料の屈折率分布、泳動電流を示すグラフである。
図11(A)より、実施例1においては、フラクション#1からフラクション#7にかけて屈折率から割り出される界面活性剤の濃度について0wt%から2wt%まで濃度勾配が認められる。これに対して、図12(A)より、比較例においては、濃度勾配が殆ど認められない。
以上より、実施例1においては、対流が抑制されて金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離が安定的に行なわれているのに対し、比較例においては、対流が発生して分散液が全体的に撹拌され、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離が安定的に行なわれなかったことが推察される。すなわち、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが安定的に分離されないとき(比較例)には、分離に有効な界面活性剤の濃度勾配が形成されていないことになる。
また、図11(B)より、実施例1においては、泳動電流が時間の経過とともに安定的に漸減していることが分かる。これに対して、図12(B)より、比較例においては、泳動電流の電流値が実施例1[図11(B)]に比較して高く、かつ不安定である。このことから、実施例1においては、比較例に比べて電気泳動槽301内の対流が抑制されていることが推察される。
[実施例2]
(1)分離用の液体の調製
分散媒として、水に、非イオン性界面活性剤を0.25wt%溶解した水溶液を準備した。この分散媒に対して、単層カーボンナノチューブ混合物(eDIPS単層カーボンナノチューブ)を分散させた。分散させた液体に対して、ホーン型超音波破砕機(出力約300W、30分間)による超音波分散処理を行った。その後、超遠心分離操作を行い、上澄み50%を分散液(以下、CNT分散液Brij 0.25wt%と記す)として得た。
同様に、水に界面活性剤を1.5wt%溶解した分散媒に単層カーボンナノチューブ混合物を分散させた分散液(以下、CNT分散液Brij 1.5wt%と記す)を調製した。CNT分散液Brij 1.5wt%の方が、CNT分散液Brij 0.25wt%よりも比重が大きい。
(2)分散液の注入
調製した分散液を、図13Aに示す分離装置300Bの電気泳動槽301に注入した。まず、CNT分散液Brij 1.5wt%を電気泳動槽301内に注いだ。注いだCNT分散液Brij 1.5wt%によりCNT分散液Brij 1.5wt%層306Bが形成された。次いで、CNT分散液Brij 1.5wt%層306Bの上にCNT分散液Brij 0.25wt%層305Bが積層するように、CNT分散液Brij 0.25wt%を分離装置300Bの電気泳動槽301に静かに注入した。以上により、電気泳動槽301内の液体に、重力方向下から上に向かって減少する比重勾配を形成した。
(3)分離操作
分離装置300Bの下側の電極303(陽極)と上側の電極302(陰極)間に直流電圧(50V)を印加した。同様に、分離装置400Bにおいても直流電圧(50V)を印加した。
[実施例2の比較例]
分散媒として、水に界面活性剤を1wt%溶解した水溶液を準備した。準備した分散媒に、単層カーボンナノチューブ混合物を分散させた分散液(以下、CNT分散液Brij 1wt%と記す)を調製した。図13Bに示すように、電気泳動槽301にCNT分散液Brij 1wt%のみを注入した。それ以外は、実施例2と同様にした。
実施例2及びその比較例について電圧印加による、電気泳動槽301中の液体の変化を確認した。図14Aに、実施例2の分離操作前後の分離装置の写真を示す。図14Bに、実施例2の比較例の分離操作前後の分離装置の写真を示す。分離操作の終状態では、電気泳動槽301中の液体が、金属型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(501B、601B)と透明な領域(502B、602B)、半導体型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(503B、603B)の3層を形成した。
図14A、図14Bより、実施例2は比較例に比べて、金属型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(501B)、半導体型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(503B)が、それぞれ上側の電極302(陰極)側及び下側の電極303(陽極)側に片寄って形成され、それぞれの濃度も高くなっていることが分かった。
分離操作の終状態において、電気泳動槽301の上部より約1mL毎に10フラクションとなるよう回収した。各フラクションは電気泳動槽301の陰極側(上部)から#1、#2、…、#10とした。
実施例2及びその比較例における分離後試料(各フラクション)について、屈折率分布と泳動電流を評価した。
図15(A)、図15(B)は順に、実施例2における分離後試料の屈折率分布、泳動電流を示すグラフである。
図16(A)、図16(B)は順に、実施例2の比較例における分離後試料の屈折率分布、泳動電流を示すグラフである。
図15(A)より、実施例2においては、フラクション#1からフラクション#10にかけて屈折率から割り出される界面活性剤の濃度について0.5wt%から1.5wt%まで濃度勾配が認められる。これに対して、図16(A)より、比較例においては、濃度勾配が殆ど認められない。
以上のことから、実施例2においては、対流が抑制されて金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブの分離が比較的安定的に行なわれていることが推察される。
また、図15(B)より、実施例2においては、泳動電流が時間の経過とともに安定的に漸減することが分かった。これに対して、図16(B)より、比較例では、泳動電流の電流値が実施例2に比較して高く、かつ漸減が認められない。このことから、実施例2では、比較例に比べて電気泳動槽301内の対流が抑制されていることが推察される。
[実施例3]
(1)分離用の液体の調製
分散媒として、水に界面活性剤を1wt%溶解した水溶液を準備した。準備した分散液に、直径が1.3nmである単層カーボンナノチューブ混合物(eDIPS単層カーボンナノチューブ)を分散させた分散液を調製した。
(2)液体の注入
分離装置として、図5に示すU字形状に形成され両端が上方に開口したU字型構造の分離装置1Cを用いた。分離装置1Cの電気泳動槽10Aに、液体を注入した。まず、電気泳動槽10Aの開口部10Abから水を注いだ。これにより、電極30から開口部10Abまでを水で満たした。次に、電気泳動槽10Aの開口部10Aaから上記(1)で調製した分散液を、ピペットを用いて、分散液を電気泳動槽10Aの底部に注いだ。そして、電気泳動槽10Aの開口部10Aaから静かに水を注入し、分散液の上に水を積層させた。
(3)分離操作
分離装置1Cの電極30(陽極)と電極20(陰極)間に直流電圧を印加した。後、電気泳動槽10Aにおける層の形成について確認を行った。分離操作前後の電気泳動槽10Aの写真を図17に示す。分離操作の終状態では、電極30(陽極)から底面付近まで水の領域701、電極20(陰極)の直下付近に金属型単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域702が形成され、その下部には底面付近まで透明な領域703があり、底面付近に半導体型単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域704を形成していた。領域702と領域704においてそれぞれ金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが分離されたことを確認した。
[実施例4]
(1)分離用の液体の調製
界面活性剤を0.5wt%溶解した水溶液に単層カーボンナノチューブ混合物を分散させた分散液を準備した(以下、CNT分散液Brij 0.5wt%と記す)。次に、水に非イオン性界面活性剤を2wt%溶解した水溶液(以下、Brij 2wt%水溶液と記す。)と、水を用意した。
(2)液体の注入
準備した液体を、図18Aに示す分離装置300Cの電気泳動槽301に注入した。まず、Brij 2wt%水溶液を電気泳動槽301内に注いだ。これにより、電気泳動槽301内に比重の重いBrij 2wt%層306Cが形成された。次に、CNT分散液Brij 0.5wt%を静かに注いだ。このとき、Brij 2wt%水溶液とCNT分散液Brij 0.5wt%とが拡散されないように、CNT分散液Brij 0.5wt%をBrij 2wt%水溶液の液面付近で静かに注いだ。Brij 2wt%層306Cの上にCNT分散液Brij 0.5wt%層305Cが積層した。そして、水を静かに注入した。CNT分散液Brij 0.5wt%層305Cの上に水の層304Cが積層した。
(3)分離操作
分離装置300Cの下側の電極302(陰極)と上側の電極303(陽極)間に直流電圧(50V)を印加した。同様に、後述する比較例の分離装置400C(図18B)においても直流電圧(50V)を印加した。すなわち、直流電界が重力方向における上方から下方に向けて印加される。
[実施例4の比較例]
図18Bに示すように、分離用の液体として界面活性剤を1wt%溶解した水溶液に単層カーボンナノチューブ(eDIPS単層カーボンナノチューブ)を分散させた分散液(CNT)のみを用いた以外は実施形態4と同様に行った。
電圧印加終了後、電気泳動槽301における層の形成について確認を行った。実施例4及びその比較例における分離操作前後の電気泳動槽301の写真を図19A、図19Bにそれぞれ示す。分離操作の終状態では、金属型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(501C、601C)と透明な領域(502C、602C)、半導体型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(503C、603C)の3層を形成した状態となった。
図19A、図19Bによれば、実施例4においては、比較例に比べて、金属型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(501C)、半導体型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(503C)が、それぞれ下側の電極302(陰極)及び上側の電極303(陽極)の近傍に片寄って形成され、それぞれの濃度も高くなっている。
電圧印加終了後、電気泳動槽301の上部より約1mL毎に11フラクションとなるよう回収した。各フラクションは電気泳動槽301の陽極側(上部)から#1、#2、…、#11とした。
実施例4及びその比較例における分離後試料(各フラクション)について、屈折率分布と泳動電流を評価した。
図20(A)、図20(B)は順に、実施例4における分離後試料の屈折率分布、泳動電流を示すグラフである。
図21(A)、図21(B)は順に、実施例4の比較例における分離後試料の屈折率分布、泳動電流を示すグラフである。
図20(A)より、実施例4においては、フラクション#1からフラクション#11にかけて屈折率から割り出される界面活性剤の濃度について0.25wt%から1.5wt%まで濃度勾配が認められる。これに対して、図21(A)より、比較例においては、濃度勾配が殆ど認められない。
これより、直流電界が重力方向における上方から下方に向けて印加される状態であっても、実施例4では、電気泳動槽内の対流が抑制されて金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブの分離が安定的に行なわれたことが推察される。一方、比較例では、対流が発生して分散液が全体的に撹拌され、金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブの分離が安定的に行なわれなかったことが推察される。すなわち、金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブが安定的に分離されないとき(比較例)には、分離に有効な界面活性剤の濃度勾配が形成されていないことになる。
また、図20(B)より、実施例4においては、泳動電流が時間の経過とともに安定的に漸減することが分かった。これに対して、図21(B)より、比較例では、泳動電流の電流値が実施例4に比較して高く、かつ不安定である。このことから、実施例4では、比較例に比べて電気泳動槽301内の対流が抑制されていることが推察される。
図22Aは、図18Aの例における分離後試料の吸収スペクトルである。図22Aには、回収したフラクション#3(F03)、#10(F10)、分離前の液体(Pristine)の測定結果を示した。
図22Bは、310nm、640nm、937nm励起時における各フラクション#1、・・・、#11についての吸収スペクトルを示す。
図22A中のSは半導体型の単層カーボンナノチューブ由来の吸収ピークであり、Mは金属型の単層カーボンナノチューブ由来の吸収ピークである。半導体型及び金属型の単層カーボンナノチューブ由来のピークにおける面積から、各フラクションにおける半導体型及び金属型の単層カーボンナノチューブの含有率を計算することが可能である。
図22Bから、陰極側(metal)におけるフラクション#10においては金属型の単層カーボンナノチューブの吸収率が高く、陽極側(semicon)におけるフラクション#3においては半導体型の単層カーボンナノチューブの吸収率が高く分離が高純度化されていることが確認できる。
図23は、電気泳動時の経過時間に対する分散液の界面活性剤の密度分布の変化を示すグラフである。非イオン性界面活性剤は、負極性の電荷を有している。このため、図23に示すように、電気泳動槽301において直流電圧を印加すると、その電界によって界面活性剤が電気泳動する。
従って、重力方向における下方を陽極、上方を陰極とした場合、界面活性剤が陽極に向かって泳動する。この結果、時間の経過とともに重力方向における下方から上方に向かって濃度勾配が形成され、金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブの分離が促進されていた。本実施例においては、電気泳動槽301内において、予め重力方向における下方から上方に向かって濃度勾配を形成するように分散液を積層しているために、直流電圧の印加方向によらず金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブの分離が促進される結果となった。
[実施例5]
「単層カーボンナノチューブ分散液の調製」
重水に、非イオン性界面活性剤を1wt%溶解した溶液AAを調製した。
溶液AAに対して、単層カーボンナノチューブの混合物(eDIPS(enhanced Direct Injection Pyrolytic Synthesis:改良直噴熱分解合成)単層カーボンナノチューブ、平均直径:1.3nm)を投入した。
単層カーボンナノチューブの混合物を投入した溶液AAに対して、ホーン型超音波破砕機(商品名:Digital Sonifier 450、ブランソン社製)により、出力40Wで20分間、超音波分散処理を行い、単層カーボンナノチューブの混合物を分散させた。その後、超遠心機(商品名:CS100GX、日立工機社製)により、250000×g、10℃にて1時間、超遠心分離操作を行った。そして、上澄み80%を分取し、単層カーボンナノチューブの含有量が10μg/mL、界面活性剤の含有量が1.0wt%の単層カーボンナノチューブ分散液を得た。
また、重水に非イオン性界面活性剤を2wt%溶解した重水溶液(以下、Brij 2wt%重水溶液と記す。)と、重水を用意した。
「単層カーボンナノチューブ分散液の注入」
上述のように調製した単層カーボンナノチューブ分散液、重水およびBrij 2wt%重水溶液を、図6に示す分離装置100の電気泳動槽101に注入した。電気泳動槽101に注入した単層カーボンナノチューブ分散液、重水およびBrij 2wt%重水溶液全体の高さ(電気泳動槽101の底面から液表面までの高さ)を25cmとした。
第1の電極102は、重水のみに接し、第2の電極103は、Brij 2wt%重水溶液のみに接するように、単層カーボンナノチューブ分散液、重水およびBrij 2wt%重水溶液を電気泳動槽101に注入した。
「分離操作」
分離装置100の第1の電極102(陰極)と第2の電極103(陽極)に120Vの直流電圧を印加した。所定の時間が経過し、分離が充分に進行したところで電圧印加を停止した。
「回収操作」
電圧印加終了後、電気泳動槽101の上部より約6mL毎に、15フラクションとなるように、単層カーボンナノチューブ分散液を回収した。各フラクションは電気泳動槽101の第2の電極103側(下部)からF1、F2、・・・、F15とした。
「評価」
(単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度測定)
分光光度計(商品名:紫外可視近赤外分光光度計 UV−3600、島津製作所社製)を用いて、フラクションF1、フラクションF4、フラクションF8、フラクションF11およびフラクションF14から回収した単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度を測定した。
結果を図24に示す。
図24において、縦軸は単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度、横軸は波長を示す。
図24の結果から、フラクションF1およびF14から回収した単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度スペクトルには、波長643nmおよび波長937nmにおけるピークが極めて小さかった。従って、フラクションF1およびF14には、金属型単層カーボンナノチューブおよび半導体型単層カーボンナノチューブがほとんど含まれないことが確認された。
フラクションF4およびフラクションF8から回収した単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度スペクトルには、波長643nmにおけるピークが極めて小さく、波長937nmにおける大きなピークが観測された。従って、フラクションF4およびフラクションF8には、金属型単層カーボンナノチューブが含まれず、半導体型単層カーボンナノチューブが多量に含まれることが確認された。
フラクションF11から回収した単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度スペクトルには、波長937nmにおけるピークが小さく、波長643nmにおける大きなピークが観測された。従って、フラクションF11には、半導体型単層カーボンナノチューブがほとんど含まれず、金属型単層カーボンナノチューブが多量に含まれることが確認された。
[実施例6]
実施例6では、重水に、非イオン性界面活性剤を1wt%溶解した溶液AAを調製した。
溶液AAに対して、単層カーボンナノチューブの混合物(eDIPS(enhanced Direct Injection Pyrolytic Synthesis:改良直噴熱分解合成)単層カーボンナノチューブ、平均直径:1.0nm)を投入した。
単層カーボンナノチューブの混合物を投入した溶液AAに対して、ホーン型超音波破砕機(商品名:Digital Sonifier 450、ブランソン社製)により、出力40Wで20分間、超音波分散処理を行い、単層カーボンナノチューブの混合物を分散した。その後、超遠心機(商品名:CS100GXII、日立工機社製)により、250000×g、10℃にて1時間、超遠心分離操作を行った。そして、上澄み80%を分取し、単層カーボンナノチューブの含有量が20μg/mL、界面活性剤の含有量が1.0wt%の単層カーボンナノチューブ分散液を得た。
次に、重水に、非イオン性界面活性剤を2wt%溶解した溶液BBを調製した。
分離装置の底部の注入/回収口より、100mLの容積をもつ電気泳動槽に、ペリスタポンプを用いて15mLの重水を静かに注入した。
次いで、同様に、調製した単層カーボンナノチューブ分散液を、70mL静かに注入した。
さらに、同様に、上記で調整した溶液BBを10mL静かに注入した。
この結果、図25に示すように、第1の電極(陰極)に接する領域は重水、第2の電極(陽極)に接する領域は溶液BB(2wt%重水溶液)、中間の領域は単層カーボンナノチューブ分散液と、3層の溶液の積層構造が形成された(第1の電極と第2の電極は図25では不鮮明で判別しにくい。)。
次に、実施例5と同様に、第1の電極(陰極)と第2の電極(陽極)に120Vの直流電圧を印加した。所定の時間が経過すると、図26に示すように、単層カーボンナノチューブは、電気泳動槽内で、上下2つの領域に分離し、間にはほとんど色を示さない中間層が形成された。
第1の電極と第2の電極への直流電圧の印加を止めた後に、分離装置の底部の注入/回収口より、ペリスタポンプを用い静かに電気泳動槽内部の溶液を回収した。溶液は、回収した順に約6mL毎に、15フラクションに分けられた。すなわち、各フラクションは電気泳動槽の下部から順にF1、F2、・・・、F15とした。
(単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度測定)
分光光度計(商品名:紫外可視近赤外分光光度計 UV−3600、島津製作所社製)を用いて、フラクションF2、フラクションF12から回収した単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度を測定した。
結果を図27および図28に示す。
図27において、縦軸は単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度、横軸は波長を示す。また、図27において、波長503nmにおけるピークは金属型単層カーボンナノチューブに起因するものであり、波長725nmにおけるピークは半導体型単層カーボンナノチューブに起因するものである。
図27の結果から、フラクションF2から回収した単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度スペクトルには、波長503nmにおけるピークが極めて小さく、波長725nmにおける大きなピークが観測された。従って、フラクションF2には、金属型単層カーボンナノチューブが含まれず、半導体型単層カーボンナノチューブが多量に含まれることが確認された。
フラクションF12から回収した単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度スペクトルには、波長725nmにおけるピークが小さく、波長503nmにおける大きなピークが観測された。従って、フラクションF12には、半導体型単層カーボンナノチューブがほとんど含まれず、金属型単層カーボンナノチューブが多量に含まれることが確認された。
図28において、左側の縦軸は波長310nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度、右側の縦軸は波長725nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度を波長503nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度で除した値、横軸はフラクションを示す。すなわち、図28における右側の縦軸は、半導体型単層カーボンナノチューブの純度に相当する。また、波長310nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度は、単層カーボンナノチューブの濃度に相当する。
図28の結果から、波長310nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度は、フラクションF2〜F6とフラクションF10〜F14において大きくなっていることから、単層カーボンナノチューブが、分離槽内で2つの領域に分離していることが分かった。さらに、フラクションF2〜F6では、波長725nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度を波長503nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度で除した値が大きくなっていることから、高純度の半導体型単層カーボンナノチューブであることが分かった。フラクションF10〜F14においては、波長725nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度を波長503nmにおける単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度で除した値が小さくなっていることから、高純度の金属型単層カーボンナノチューブであることが分かった。このように、高純度な金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離ができていることが確認された。
フラクションF3とF4の回収した単層カーボンナノチューブ分散液、および、分離操作前の単層カーボンナノチューブ分散液(未分離)について、顕微ラマン分光装置(商品名:HR−800、ホリバ社製)を用いて測定したRadial Breathing Mode(RBM)領域のRamanスペクトルを図29に示す。図29において、縦軸は規格化した強度、横軸は波数を示し、測定時の励起波長は514nmである。図29において、波数140〜220(cm−1)の領域のピークは、半導体型単層カーボンナノチューブに由来するものであり、波数220〜300(cm−1)の領域のピークは、金属型単層カーボンナノチューブに由来するものである。分離操作前の単層カーボンナノチューブ分散液(未分離)では、金属型単層カーボンナノチューブが多量に含まれているが、フラクションF3とF4では、金属型単層カーボンナノチューブに由来するピークは非常に小さく、かつ、半導体型単層カーボンナノチューブに由来するピークが大きくなっていることが分かった。このピークを詳細に解析することで、フラクションF3とF4の半導体型単層カーボンナノチューブの純度は約98%であると見積もられた。
本発明のナノカーボンの分離法により、高純度の半導体型単層カーボンナノチューブが得られた。
以上、本発明の実施例について、図6に示した分離装置100において、上部に設けられた第1の電極102を陰極、下部に設けられた第2の電極103を陽極とし、I字型構造を有する電気泳動槽101内で、上向きの電界を与えた場合の実施例を説明した。しかし、本発明のナノカーボン分離方法はこれに限定されない。分離装置100にあっては、第1の電極102が陽極、第2の電極103が陰極であってもよい。
[参考例1]
参考例1では、水に、非イオン性界面活性剤を溶解して、界面活性剤の濃度を0wt%、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%とした溶液を調製した。
それぞれの濃度の界面活性剤の溶液の密度を、密度比重計(商品名:DA−650、京都電子工業社製)を用いて測定した。
界面活性剤の濃度と溶液の密度との関係を図30に示す。
図28の結果から、界面活性剤の濃度と溶液の密度とが比例関係にあることが確認された。図30に示すグラフを、後述する実施例7(実験例1)〜実施例26(実験例20)にて、溶液の比重を算出するための検量線として用いた。
[参考例2]
参考例2では、重水に、非イオン性界面活性剤を溶解して、界面活性剤の濃度を0wt%、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%とした溶液を調製した。
それぞれの濃度の界面活性剤の溶液の密度を、密度比重計(商品名:DA−650、京都電子工業社製)を用いて測定した。
界面活性剤の濃度と溶液の密度との関係を図31に示す。
図31の結果から、界面活性剤の濃度と溶液の密度とが比例関係にあることが確認された。図31に示すグラフを、後述する実施例7(実験例1)〜実施例26(実験例20)にて、溶液の比重を算出するための検量線として用いた。
[実施例7(実験例1)]
以下では、図6を参照して説明する。
(1)分離用の液体の調製
重水に、非イオン性界面活性剤を1wt%溶解した重水溶液を準備した。この分散媒に対して、単層カーボンナノチューブ混合物(eDIPS単層カーボンナノチューブ)を投入した。投入した液体に対して、ホーン型超音波破砕機(出力約300W、30分間)による超音波分散処理を行った。その後、超遠心分離操作を行い、上澄み50%をCNT分散液として得た。
また、重水に非イオン性界面活性剤を2wt%溶解した重水溶液(以下、Brij 2wt%重水溶液と記す。)と、重水を用意した。
CNT分散液、重水およびBrij 2wt%重水溶液の比重を、図31に示すグラフを用いて算出した。
(2)液体の注入
CNT分散液、重水およびBrij 2wt%重水溶液を、図6に示す分離装置100の電気泳動槽101に注入した。まず、Brij 2wt%重水溶液を電気泳動槽101内に注いだ。注いだBrij 2wt%重水溶液によりBrij 2wt%層220A(電気泳動槽101内における下層溶液220からなる層)が形成された。次いで、Brij 2wt%層220Aの上にCNT分散液層230A(電気泳動槽101内における中間層溶液230からなる層)が積層するように、CNT分散液を分離装置100の電気泳動槽101に静かに注入した。最後に、CNT分散液305層の上に水層210A(電気泳動槽101内における上層溶液210からなる層)が積層するように、水を分離装置100の電気泳動槽101に静かに注入した。以上により、電気泳動槽101内の液体に、重力方向下から上に向かって減少する比重勾配を形成した。
(3)分離操作
分離装置100の下側の第2の電極103(陽極)と上側の第1の電極102(陰極)間に直流電圧(120V)を印加した。
電圧印加終了後、電気泳動槽101における層の形成について確認を行った。分離操作が終了した状態では、金属型単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(電気泳動槽101内における上側の領域)と透明な領域(電気泳動槽101内における中間の領域)、半導体型単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域(電気泳動槽101内における下側の領域)の3層を形成した状態となった。
(4)半導体型単層カーボンナノチューブの純度算出
実施例6と同様にして、半導体型単層カーボンナノチューブが多く含まれる領域から回収したCNT分散液について、顕微ラマン分光装置(商品名:HR−800、ホリバ社製)を用いて、Radial Breathing Mode(RBM)領域のRamanスペクトルを測定した。得られたRamanスペクトルのピークを詳細に解析することで、半導体型単層カーボンナノチューブの純度は97%を超えると見積もられた。
分離操作前のCNT分散液、電気泳動槽101内における下層を形成する溶液(表1において、「下層溶液」と記す。)、および電気泳動槽101内における上層を形成する溶液(表1において、「上層溶液」と記す。)の組成、比重を表1に示す。また、分離操作における印加電圧および電界の向きを表1に示す。なお、表1において、電界の向きが「↑」で表わされる場合、電界の向きが電気泳動槽101の下方から上方へ向かうことを示し、電界の向きが「↓」で表わされる場合、電界の向きが電気泳動槽101の上方から下方へ向かうことを示す。また、半導体型単層カーボンナノチューブの純度を表1に示す。
表1に示されるCNT分散液の比重はそれぞれ、分散している単層カーボンナノチューブを含むBrij水溶液とBrij重水溶液の比重である。
[実施例8(実験例2)〜実施例26(実験例20)]
分離操作前のCNT分散液、電気泳動槽301内における下層溶液、および電気泳動槽301内における上層溶液の組成、比重、並びに、分離操作における印加電圧および電界の向きを表1に示す通りとしたこと以外は実施例7(実験例1)と同様にして、分離操作を行った。
また、実施例6と同様にして、半導体型単層カーボンナノチューブの純度を算出した。なお、実施例8(実験例2)〜実施例26(実験例20)において、分散媒として水を用いる場合には、CNT分散液、水およびBrij水溶液の比重を、図30に示すグラフを用いて算出した。また、分散媒として重水を用いる場合には、CNT分散液、重水およびBrij重水溶液の比重を、図31に示すグラフを用いて算出した。
結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例7(実験例1)〜実施例26(実験例20)では、半導体型単層カーボンナノチューブの純度が90%を超えることが確認された。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
本発明のナノカーボンの分離方法は、性質の異なるナノカーボンの分離において、分離効率を向上させることができる。また、性質の異なるカーボンナノホーンの分離において、分離に要する時間を短縮することができる。
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)比重の異なる複数の液体であって、前記複数の液体の少なくとも1つが性質の異なるナノカーボンの混合物が分散した分散液である前記複数の液体を用意する工程と、液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少するように、電気泳動槽へ前記複数の液体を順次注入する工程と、前記電気泳動槽の上部と下部とに配置された電極に直流電圧を印加することで、前記ナノカーボンの混合物の一部を上部に配置された前記電極側に移動させ、前記ナノカーボンの混合物の他方を下部に配置された前記電極側に移動させて分離する工程と、を有するナノカーボンの分離方法。
(付記2)前記複数の液体を用意する工程において、2種類以上の比重の異なるナノカーボンの混合物が分散した分散液を用意する付記1に記載のナノカーボンの分離方法。
(付記3)前記複数の液体を用意する工程において、前記液体の比重を、前記液体に添加する界面活性剤の濃度で調節する付記1または付記2に記載のナノカーボンの分離方法。
(付記4)前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である付記3に記載のナノカーボンの分離方法。
(付記5)前記非イオン性界面活性剤は、下記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルである付記4に記載のナノカーボンの分離方法。
2n(OCHCHOH (1)
(但し、n=12〜18、m=20〜100である。)
(付記6)前記複数の液体に含まれる溶媒は、水または重水、もしくは水と重水の混合溶媒である付記1ないし5のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
(付記7)前記複数の液体を用意する工程において、前記液体の比重を、前記水と前記重水の混合比で調節する付記6に記載のナノカーボンの分離方法。
(付記8)前記電気泳動槽は、縦型構造を有する付記1ないし7のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
(付記9)前記電気泳動槽の上部に配置された電極は陰極、前記電気泳動槽の下部に配置された電極は陽極である付記1ないし8のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
(付記10)前記複数の液体が、比重の異なる3つの液体であって、第1の液体は最も比重が小さく、第2の液体は最も比重が大きく、第3の液体は前記分散液であって、前記第1の液体と前記第2の液体の中間の比重を有し、前記複数の液体を順次注入する工程において、前記第3の液体が、前記前記第1の液体と前記第2の液体の間となるように、前記比重の異なる3つの液体を順次注入する付記1ないし9のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
(付記11)前記複数の液体を順次注入する工程において、前記電気泳動槽の上部に配置された電極は、前記第1の液体のみに接し、前記電気泳動槽の下部に配置された電極は、前記第2の液体のみに接するように、前記比重の異なる3つの液体を順次注入する付記10に記載のナノカーボンの分離方法。
前記ナノカーボンは、単層カーボンナノチューブである付記1ないし11のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
1,1A,1B,1C,100,300,300B,300C,400,400B,400C・・・分離装置、
10,10A,101,301・・・電気泳動槽、
10Aa,10Ab・・・開口部、
20,30,302,303・・・電極、
40・・・注入口、
50,60・・・回収口
102・・・第1の電極、
103・・・第2の電極、
104・・・電極部材、
105・・・開口部、
106・・・注入/回収口、
107・・・筒状部材、
108・・・柱状部材、
109・・・嵌合部材、
200・・・ナノカーボン分散液。

Claims (12)

  1. 比重の異なる複数の液体であって、前記複数の液体の少なくとも1つが性質の異なるナノカーボンの混合物が分散した分散液である前記複数の液体を用意する工程と、
    液体の比重が重力方向の下から上へ向かって減少するように、電気泳動槽へ前記複数の液体を順次注入する工程と、
    前記電気泳動槽の上部と下部とに配置された電極に直流電圧を印加することで、前記ナノカーボンの混合物の一部を上部に配置された前記電極側に移動させ、前記ナノカーボンの混合物の他方を下部に配置された前記電極側に移動させて分離する工程と、を有する、
    ことを特徴とするナノカーボンの分離方法。
  2. 前記複数の液体を用意する工程において、2種類以上の比重の異なるナノカーボンの混合物が分散した分散液を用意する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のナノカーボンの分離方法。
  3. 前記複数の液体を用意する工程において、前記液体の比重を、前記液体に添加する界面活性剤の濃度で調節する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のナノカーボンの分離方法。
  4. 前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、
    ことを特徴とする請求項3に記載のナノカーボンの分離方法。
  5. 前記非イオン性界面活性剤は、下記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルである、
    ことを特徴とする請求項4に記載のナノカーボンの分離方法。
    2n(OCHCHOH (1)
    (但し、n=12〜18、m=20〜100である。)
  6. 前記複数の液体に含まれる溶媒は、水または重水、もしくは水と重水の混合溶媒である、
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
  7. 前記複数の液体を用意する工程において、
    前記液体の比重を、前記水と前記重水の混合比で調節する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のナノカーボンの分離方法。
  8. 前記電気泳動槽は、縦型構造を有する、
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
  9. 前記電気泳動槽の上部に配置された電極は陰極、前記電気泳動槽の下部に配置された電極は陽極である、
    ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
  10. 前記複数の液体が、比重の異なる3つの液体であって、
    第1の液体は最も比重が小さく、第2の液体は最も比重が大きく、
    第3の液体は前記分散液であって、前記第1の液体と前記第2の液体の中間の比重を有し、
    前記複数の液体を順次注入する工程において、前記第3の液体が、前記前記第1の液体と前記第2の液体の間となるように、前記比重の異なる3つの液体を順次注入する、
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
  11. 前記複数の液体を順次注入する工程において、前記電気泳動槽の上部に配置された電極は、前記第1の液体のみに接し、前記電気泳動槽の下部に配置された電極は、前記第2の液体のみに接するように、前記比重の異なる3つの液体を順次注入する、
    ことを特徴とする請求項10に記載のナノカーボンの分離方法。
  12. 前記ナノカーボンは、単層カーボンナノチューブである、
    ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載のナノカーボンの分離方法。
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