JPWO2018155317A1 - 防汚性フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、高温/高湿の環境下において、白化が抑制され、耐擦性が優れた防汚性フィルムを提供する。本発明の防汚性フィルムは、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層を備える防汚性フィルムであって、上記重合体層は、重合性組成物の硬化物であり、上記重合性組成物は、上記重合性組成物の全量を100重量%とするとき、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを50〜70重量%、アミド基を有する単官能アクリレートを15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有する第一の離型剤を0.01〜5重量%、パーフルオロアルキル基を有し、かつ、CF2基を1分子当たり4個以上有する単官能の第二の離型剤を0.45〜5重量%含有するものである。

Description

本発明は、防汚性フィルムに関する。より詳しくは、ナノメートルサイズの凹凸構造を有する防汚性フィルムに関するものである。
反射防止性を有する光学フィルムは、種々検討されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特に、ナノメートルサイズの凹凸構造(ナノ構造)を有する光学フィルムは、優れた反射防止性を有することが知られている。このような凹凸構造によれば、空気層から基材にかけて屈折率が連続的に変化するために、反射光を劇的に減少させることができる。
特開2012−52125号公報 国際公開第2007/040159号 特開2005−97371号公報
しかしながら、このような光学フィルムにおいては、優れた反射防止性を有する一方で、その表面の凹凸構造のために、指紋(皮脂)等の汚れが付着すると、付着した汚れが広がりやすく、更に、凸部間に入り込んだ汚れを拭き取ることが困難となることがあった。また、付着した汚れは、その反射率が光学フィルムの反射率と大きく異なるため、視認されやすかった。そのため、ナノメートルサイズの凹凸構造を表面に有し、防汚性に優れた機能性フィルム(防汚性フィルム)が求められていた。
これに対して、本発明者らが検討したところ、光学フィルムの凹凸構造を構成する重合体層において、その構成材料を工夫することによって、防汚性に加えて耐擦性も高まった防汚性フィルムを実現することができることが分かった。具体的には、重合体層の構成材料として、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレート、アミド基を有する単官能アクリレート、及び、パーフルオロポリエーテル基を有する離型剤を組み合わせて用いれば、防汚性及び耐擦性が高まることが分かった。
しかしながら、本発明者らが更に検討したところ、高温/高湿の環境下において、重合体層の構成材料、不純物等がブリードアウトすることによって、重合体層(凹凸構造)の表面が白化してしまうことが分かった。また、高温/高湿の環境下において、重合体層(凹凸構造)の表面を擦ると、凸部同士が引っ付いて元の状態に戻らなかったり、凸部が倒れた後に起き上がらなかったり、凸部が破損したりして、重合体層が白く見えてしまうことが分かった。すなわち、高温/高湿の環境下において、耐擦性が低下してしまうことが分かった。
以上のように、従来の防汚性フィルムに対しては、高温/高湿の環境下において、白化を抑制し、耐擦性を高めるという課題があった。しかしながら、上記課題を解決する手段は見出されていなかった。例えば、上記特許文献1〜3には、高温/高湿の環境下における特性に関する記載がなく、改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高温/高湿の環境下において、白化が抑制され、耐擦性が優れた防汚性フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、高温/高湿の環境下において、白化が抑制され、耐擦性が優れた防汚性フィルムについて種々検討したところ、重合体層の構成材料として、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレート、アミド基を有する単官能アクリレート、及び、パーフルオロポリエーテル基を有する離型剤に加えて、パーフルオロアルキル基を有し、かつ、CF基を1分子当たり4個以上有する単官能の離型剤を用いることを見出した。これにより、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の一態様は、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層を備える防汚性フィルムであって、上記重合体層は、重合性組成物の硬化物であり、上記重合性組成物は、上記重合性組成物の全量を100重量%とするとき、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを50〜70重量%、アミド基を有する単官能アクリレートを15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有する第一の離型剤を0.01〜5重量%、パーフルオロアルキル基を有し、かつ、CF基を1分子当たり4個以上有する単官能の第二の離型剤を0.45〜5重量%含有する防汚性フィルムであってもよい。
上記第二の離型剤は、CF基を1分子当たり6個以上有していてもよい。
上記単官能アクリレートは、N−アクリロイルモルホリン、及び、N,N−ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
上記重合体層の厚みは、5.0μm以上、20.0μm以下であってもよい。
上記複数の凸部の平均ピッチは、100nm以上、400nm以下であってもよい。
上記複数の凸部の平均高さは、100nm以上、1000nm以下であってもよい。
上記複数の凸部の平均アスペクト比は、0.8以上、1.5以下であってもよい。
上記複数の凸部の平均幅は、100nm以上、1000nm以下であってもよい。
本発明によれば、高温/高湿の環境下において、白化が抑制され、耐擦性が優れた防汚性フィルムを提供することができる。
実施形態の防汚性フィルムを示す断面模式図である。 図1中の重合体層を示す平面模式図である。 ブリードアウトの発生が防止されていない状態を説明するための断面模式図である。 ブリードアウトの発生が防止されている状態を説明するための断面模式図である。 実施形態の防汚性フィルムの製造方法例1を説明するための断面模式図である。 実施形態の防汚性フィルムの製造方法例2を説明するための断面模式図である。 実施形態の防汚性フィルムの製造方法例3を説明するための断面模式図である。
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。また、実施形態の各構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
本明細書中、「X〜Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。
[実施形態]
実施形態の防汚性フィルムについて、図1及び図2を参照して以下に説明する。図1は、実施形態の防汚性フィルムを示す断面模式図である。図2は、図1中の重合体層を示す平面模式図である。
防汚性フィルム1は、基材2と、基材2の表面上に配置される重合体層3とを備えている。
基材2の材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルメタクリレート(MMA)等の樹脂が挙げられる。基材2は、上記材料に加えて、可塑剤等の添加剤を適宜含んでいてもよい。基材2の表面(重合体層3側の表面)には易接着処理が施されていてもよく、例えば、易接着処理が施されたトリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。また、基材2の表面(重合体層3側の表面)にはケン化処理が施されていてもよく、例えば、ケン化処理が施されたトリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。防汚性フィルム1が液晶表示装置等の偏光板を備える表示装置に取り付けられるものである場合、基材2は、偏光板の一部を構成するものであってもよい。
基材2の厚みは、透明性及び加工性を確保する観点から、50μm以上、100μm以下であることが好ましい。
重合体層3は、複数の凸部(突起)4が可視光の波長(780nm)以下のピッチ(隣接する凸部4の頂点間の距離)Pで設けられる凹凸構造、すなわち、モスアイ構造(蛾の目状の構造)を表面に有している。よって、防汚性フィルム1は、モスアイ構造による優れた反射防止性(低反射性)を示すことができる。
重合体層3の厚みTは、後述する第一の離型剤及び第二の離型剤中のフッ素原子を重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に高濃度で配向させる観点から、薄いことが好ましい。具体的には、重合体層3の厚みTは、5.0μm以上、20.0μm以下であることが好ましく、8.0μm以上、12.0μm以下であることがより好ましい。重合体層3の厚みTは、図1に示すように、基材2側の表面から凸部4の頂点までの距離を指す。
凸部4の形状としては、例えば、柱状の下部と半球状の上部とによって構成される形状(釣鐘状)、錐体状(コーン状、円錐状)等の、先端に向かって細くなる形状(テーパー形状)が挙げられる。図1中、隣接する凸部4の間隙の底辺は傾斜した形状となっているが、傾斜せずに水平な形状であってもよい。
複数の凸部4の平均ピッチは、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生を充分に防止する観点から、100nm以上、400nm以下であることが好ましく、100nm以上、200nm以下であることがより好ましい。複数の凸部4の平均ピッチは、具体的には、走査型電子顕微鏡で撮影された平面写真の1μm角の領域内における、すべての隣接する凸部のピッチ(図1中のP)の平均値を指す。
複数の凸部4の平均高さは、100nm以上、1000nm以下であることが好ましく、100nm以上、500nm以下であることがより好ましく、100nm以上、300nm以下であることが更に好ましい。複数の凸部4の平均高さが上記範囲内であれば、後述する複数の凸部4の好ましい平均アスペクト比と両立させることができる。一方、モスアイ構造を形成する際に、後述するように、離型処理が表面に施された金型を重合性組成物に押し当てて重合体層3を形成する場合、後述する第二の離型剤中のフッ素含有モノマーは、金型に引き寄せられて重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向しやすくなる。しかしながら、複数の凸部4の平均高さが高過ぎると、距離の観点から、第二の離型剤中のフッ素含有モノマーは、金型に充分に引き寄せられず、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向しにくくなることがある。複数の凸部4の平均高さは、具体的には、走査型電子顕微鏡で撮影された断面写真における、連続して並んだ10個の凸部の高さ(図1中のH)の平均値を指す。ただし、10個の凸部を選択する際は、欠損や変形した部分(測定用試料を準備する際に変形させてしまった部分等)がある凸部を除く。
複数の凸部4の平均アスペクト比は、0.8以上、1.5以下であることが好ましく、1.0以上、1.3以下であることがより好ましい。複数の凸部4の平均アスペクト比が0.8未満である場合、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生を充分に防止することができず、優れた反射防止性が得られないことがある。複数の凸部4の平均アスペクト比が1.5よりも大きい場合、凹凸構造の加工性が低下し、スティッキングが発生したり、凹凸構造を形成する際の転写具合が悪化したりする(後述する金型6が詰まったり、巻き付いてしまう、等)ことがある。複数の凸部4の平均アスペクト比は、上述した複数の凸部4の平均高さと平均ピッチとの比(高さ/ピッチ)を指す。
複数の凸部4の平均幅は、100nm以上、1000nm以下であることが好ましく、100nm以上、500nm以下であることがより好ましく、100nm以上、300nm以下であることが更に好ましい。後述する第二の離型剤中のフッ素含有モノマーに対しては、複数の凸部4の毛細管現象によっても重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)への移動(上昇)が促進されると考えられる。ここで、複数の凸部4の平均幅が大き過ぎると、その毛細管力が弱まるため、第二の離型剤中のフッ素含有モノマーは、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)への移動(上昇)が促進されず、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向しにくくなることがある。一方、複数の凸部4の平均幅が小さ過ぎると、複数の凸部4の平均アスペクト比が大きくなりやすく、スティッキングが発生することがある。複数の凸部4の平均幅は、具体的には、走査型電子顕微鏡で撮影された断面写真における、連続して並んだ10個の凸部の幅(図1中のW)の平均値を指す。ただし、10個の凸部を選択する際は、欠損や変形した部分(測定用試料を準備する際に変形させてしまった部分等)がある凸部を除く。
凸部4は、ランダムに配置されていても、規則的(周期的)に配置されていてもよい。凸部4の配置には周期性があってもよいが、その周期性に起因する不要な回折光が発生しない等の利点から、図2に示すように、凸部4の配置には周期性がない(ランダムである)ことが好ましい。
重合体層3は、重合性組成物の硬化物である。重合体層3としては、例えば、活性エネルギー線硬化性の重合性組成物の硬化物、熱硬化性の重合性組成物の硬化物等が挙げられる。ここで、活性エネルギー線は、紫外線、可視光線、赤外線、プラズマ等を指す。重合体層3は、活性エネルギー線硬化性の重合性組成物の硬化物であることが好ましく、中でも、紫外線硬化性の重合性組成物の硬化物であることがより好ましい。
重合性組成物は、重合性組成物の全量を100重量%とするとき、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレート(以下、成分Aとも言う。)を50〜70重量%、アミド基を有する単官能アクリレート(以下、成分Bとも言う。)を15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有する第一の離型剤(以下、成分Cとも言う。)を0.01〜5重量%、パーフルオロアルキル基を有し、かつ、CF基を1分子当たり4個以上有する単官能の第二の離型剤(以下、成分Dとも言う。)を0.45〜5重量%含有する。
重合性組成物は、成分A〜Dを上述した割合で含有するものであれば、その他の成分を含有していてもよい。
成分A〜Dについて、以下に説明する。
<成分A>
成分Aによれば、重合体層3の架橋密度が高まり、適度な硬度(弾性)が付与されるため、耐擦性が高まる。更に、エチレンオキサイド基の高い極性によって基材2との相互作用が高まるため、密着性(重合体層3と基材2との密着性)が高まる。耐擦性は、重合体層3の架橋密度及びガラス転移温度と相関すると考えられ、架橋密度を上げ、かつ、ガラス転移温度を下げれば、耐擦性を顕著に高めることができる。例えば、重合性組成物がプロピレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを含有すれば、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを含有する場合と比較して、ガラス転移温度が高くなってしまう。これは、プロピレンオキサイド基が有する分岐状の−CHによって、分子運動が束縛されるためである。また、プロピレンオキサイド基(炭化水素基も同様)はエチレンオキサイド基よりも極性が低く、基材2との相互作用が低下するため、密着性が低下してしまう。そのため、本実施形態では、耐擦性及び密着性の観点から、エチレンオキサイド基を選定している。ここで、多官能アクリレートは、アクリロイル基を1分子当たり2個以上有するアクリレートを指す。
成分Aにおいて、多官能アクリレートの官能基数は、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは9以上である。多官能アクリレートの官能基数が3以下である場合、重合体層3の架橋密度が高まらず、硬度が低くなり過ぎてしまうことがあるため、耐擦性が高まりにくいことがある。一方、多官能アクリレートの官能基数が多過ぎると、重合体層3の架橋密度が高くなり過ぎてしまい、その弾性が不足することがあるため、耐擦性が高まりにくいことがある。このような観点から、多官能アクリレートの官能基数の好ましい上限値は15である。ここで、多官能アクリレートの官能基数は、1分子当たりのアクリロイル基の個数を指す。
成分Aにおいて、エチレンオキサイド基の個数は、好ましくは1官能基当たり3〜15個、より好ましくは1官能基当たり4〜12個、更に好ましくは1官能基当たり6〜9個である。エチレンオキサイド基の個数が1官能基当たり3個未満である場合、重合体層3の弾性が不足することがあるため、耐擦性が高まりにくいことがある。エチレンオキサイド基の個数が1官能基当たり15個よりも多い場合、重合体層3の架橋密度が低くなり過ぎてしまうことがあるため、耐擦性が高まりにくいことがある。ここで、1官能基当たりのエチレンオキサイド基の個数は、(1分子当たりのエチレンオキサイド基の個数)/(1分子当たりのアクリロイル基の個数)を指す。
重合性組成物中の成分Aの含有率は、重合性組成物の全量を100重量%とするとき、50〜70重量%であり、好ましくは55〜65重量%、より好ましくは58〜62重量%である。成分Aの含有率が50重量%未満である場合、重合体層3の弾性が不足するため、耐擦性が低下する。成分Aの含有率が70重量%よりも高い場合、重合体層3の架橋密度が低くなり過ぎてしまうため、耐擦性が低下する。重合性組成物が成分Aを複数種類含有する場合、複数の成分Aの含有率の合計が上記範囲内であればよい。
成分Aとしては、例えば、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ポリグリセリンポリアクリレート等が挙げられる。エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートの公知例としては、新中村化学工業社製の「NKエステル ATM−35E」(官能基数:4、エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり8.75個)等が挙げられる。エトキシ化ポリグリセリンポリアクリレートの公知例としては、新中村化学工業社製の「NK ECONOMER(登録商標) A−PG5027E」(官能基数:9、エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり3個)、「NK ECONOMER A−PG5054E」(官能基数:9、エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり6個)等が挙げられる。
<成分B>
成分Bによれば、成分A、C、Dの相溶性が高まるため、耐擦性が高まる。更に、重合性組成物の硬化収縮を抑制し、基材2との凝集力が高まるため、密着性が高まる。成分C、Dは長鎖構造を有していることがあり、成分Aとの相溶性が低い。そのため、成分Bは、基材2との凝集力を高める役割だけではなく、成分A、C、Dの反応性希釈剤(相溶化剤)の役割も担っている。ここで、単官能アクリレートは、アクリロイル基を1分子当たり1個有するアクリレートを指す。すなわち、成分Bは、アミド基を有し、かつ、アクリロイル基を1分子当たり1個有するアクリレートである。
重合性組成物中の成分Bの含有率は、重合性組成物の全量を100重量%とするとき、15〜30重量%であり、好ましくは15〜25重量%、より好ましくは16〜20重量%である。成分Bの含有率が15重量%未満である場合、滑り性が低下し、その結果、耐擦性が低下する。また、重合性組成物の硬化収縮が抑制されず、密着性が低下する。成分Bの含有率が30重量%よりも高い場合、重合体層3の架橋密度が低くなり過ぎてしまうため、耐擦性が低下する。重合性組成物が成分Bを複数種類含有する場合、複数の成分Bの含有率の合計が上記範囲内であればよい。
成分Bとしては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。N−アクリロイルモルホリンの公知例としては、KJケミカルズ社製の「ACMO(登録商標)」等が挙げられる。N,N−ジメチルアクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「DMAA(登録商標)」等が挙げられる。N,N−ジエチルアクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「DEAA(登録商標)」等が挙げられる。N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「HEAA(登録商標)」等が挙げられる。ダイアセトンアクリルアミドの公知例としては、日本化成社製の「DAAM(登録商標)」等が挙げられる。N−n−ブトキシメチルアクリルアミドの公知例としては、MRCユニテック社製の「NBMA」等が挙げられる。
成分Bは、N−アクリロイルモルホリン、及び、N,N−ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。このような構成によれば、成分Bの粘度が低くなり、成分A、C、Dとの相溶性がより高まる。また、基材2がトリアセチルセルロースフィルムである場合、密着性がより高まる。
<成分C>
成分Cによれば、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向し、重合体層3の表面自由エネルギーが低くなるため、防汚性が高まる。更に、滑り性が高まり、その結果、耐擦性が高まる。
成分Cは、パーフルオロポリエーテル基を有している。離型剤として、パーフルオロポリエーテル基を有さない離型剤(例えば、パーフルオロアルキル基を有する離型剤、シリコン系離型剤等)のみを用いても、防汚性及び耐擦性は充分に高まらない。
重合性組成物中の成分Cの含有率は、重合性組成物の全量を100重量%とするとき、0.01〜5重量%であり、好ましくは0.01〜2.5重量%、より好ましくは0.02〜2重量%である。成分Cの含有率が0.01重量%未満である場合、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向するフッ素原子の量が少なくなり過ぎてしまうため、防汚性が低下する。また、滑り性が低下し、その結果、耐擦性が低下する。成分Cの含有率が5重量%よりも高い場合、成分A、B、Dとの相溶性が低くなり過ぎてしまい、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向しないため、防汚性及び耐擦性が低下する。重合性組成物が成分Cを複数種類含有する場合、複数の成分Cの含有率の合計が上記範囲内であればよい。
成分Cの公知例としては、ダイキン工業社製の「オプツール(登録商標)DAC」、「オプツールDAC−HP」、ソルベイ社製の「フォンブリン(登録商標)MT70」、「フォンブリンAD1700」等が挙げられる。
<成分D>
成分Dによれば、フッ素含有モノマーが重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向し、高温/高湿の環境下において、重合性組成物の成分、不純物等がブリードアウトする(以下、ブリードアウトする物質をブリード物とも言う。)のを防御(ブロック)するため、重合体層3の白化が抑制される。これにより、重合体層3の白化を抑制しつつ、成分A、B、C(特に、成分A)の含有率を従来よりも高めることができるため、高温/高湿の環境下においても優れた耐擦性が実現される。特に、本実施形態のように、重合性組成物が成分A、Bを含有する場合は、成分Dによる効果が顕著である。これは、成分A、Bは吸湿性が高く、高温/高湿の環境下において重合体層3の白化がより発生しやすくなるためである。
成分Dは、パーフルオロアルキル基を有している。離型剤として、パーフルオロポリエーテル基を有する離型剤のみを用いても、高温/高湿の環境下において、重合体層3の白化の抑制と耐擦性の向上とを両立させることができない。
パーフルオロポリエーテル基を有する離型剤によれば、パーフルオロアルキル基を有する離型剤と比較して、離型剤中のフッ素含有モノマーが動きやすく、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)の滑り性が高まり、その結果、耐擦性が高まる。しかしながら、パーフルオロポリエーテル基を有する離型剤によれば、フッ素含有モノマーの動きやすさのために、パーフルオロアルキル基を有する離型剤と比較して、フッ素含有モノマーが重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に安定して配向しにくい。そのため、パーフルオロポリエーテル基を有する離型剤では、高温・高湿の環境下において、ブリード物が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に析出するのを充分に防御することができない。すなわち、図3に示すように、ブリード物10は、フッ素含有モノマー9の隙間から重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に析出しやすい。図3は、ブリードアウトの発生が防止されていない状態を説明するための断面模式図である。なお、図3では、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)を平坦状に簡略化して示している。
一方、パーフルオロアルキル基を有する離型剤によれば、図4に示すように、フッ素含有モノマー9が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に安定して配向するため、高温/高湿の環境下において、ブリード物10は、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に析出することができない。図4は、ブリードアウトの発生が防止されている状態を説明するための断面模式図である。なお、図4では、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)を平坦状に簡略化して示している。
成分Dは、CF基を1分子当たり4個以上有し、好ましくは4〜6個有する。このような構成によれば、成分Dを長鎖構造とすることができ、高温/高湿の環境下において、ブリード物が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に析出するのを防御しやすくなる。その結果、高温/高湿の環境下において、重合体層3の白化が効率的に抑制される。成分Dにおいて、1分子当たりのCF基の個数が3個以下である場合、成分Dが長鎖構造とならず、高温/高湿の環境下において、重合体層3の白化が抑制されない。なお、重合性組成物には、成分Dが含有されていれば、パーフルオロアルキル基を有し、かつ、CF基を1分子当たり3個以下有する離型剤が更に含有されていても、高温/高湿の環境下において、重合体層3の白化が抑制される。一方、成分Dにおいて、1分子当たりのCF基の個数が多過ぎると、嵩高い構造となり、耐擦性が低下することがある。
成分Dは、単官能の離型剤、すなわち、反応性の炭素−炭素二重結合(C=C)を1分子当たり1個有する離型剤である。多官能の離型剤(反応性の炭素−炭素二重結合(C=C)を1分子当たり複数個有する離型剤)では、単官能の離型剤と比較して、フッ素含有モノマーを長鎖状につなげた構造を実現しにくく、ブリード物が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に析出するのを防御しにくい。そのため、高温/高湿の環境下において、重合体層3の白化を抑制することができない。
重合性組成物中の成分Dの含有率は、重合性組成物の全量を100重量%とするとき、0.45〜5重量%であり、好ましくは0.9〜4.7重量%である。成分Dの含有率が0.45重量%未満である場合、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向するフッ素含有モノマーの量が少なくなり過ぎてしまうため、重合体層3の白化を抑制することができない。その結果、成分A、B、C(特に、成分A)の含有率を従来よりも高めることができないため、高温/高湿の環境下において、優れた耐擦性が実現されない。成分Dの含有率が5重量%よりも高い場合、成分A、B、Cとの相溶性が低くなり過ぎてしまい、フッ素含有モノマーが重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向しないため、重合体層3の白化を抑制することができない。その結果、成分A、B、C(特に、成分A)の含有率を従来よりも高めることができないため、高温/高湿の環境下において、優れた耐擦性が実現されない。重合性組成物が成分Dを複数種類含有する場合、複数の成分Dの含有率の合計が上記範囲内であればよい。
成分Dとしては、例えば、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート等が挙げられる。2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレートの公知例としては、ユニマテック社製の「CHEMINOX(登録商標) FAAC−4」(CF基の個数:1分子当たり4個)等が挙げられる。2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートの公知例としては、ユニマテック社製の「CHEMINOX FAAC−6」(CF基の個数:1分子当たり6個)等が挙げられる。
重合性組成物は、更に、重合開始剤を含有していてもよい。これにより、重合性組成物の硬化性が高まる。
重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられ、中でも、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は、活性エネルギー線に対して活性であり、モノマーを重合する重合反応を開始させるために添加されるものである。
光重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。このような光重合開始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアルキルフェノン類、等が挙げられる。2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドの公知例としては、IGM Resins社製の「LUCIRIN(登録商標) TPO」、「IRGACURE(登録商標) TPO」等が挙げられる。ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドの公知例としては、IGM Resins社製の「IRGACURE 819」等が挙げられる。1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンの公知例としては、IGM Resins社製の「IRGACURE 184」等が挙げられる。
重合性組成物は、更に、溶剤を含有していてもよい。この場合、溶剤は、成分A〜D中に有効成分とともに含有されていてもよく、成分A〜Dとは別に含有されていてもよい。
溶剤としては、例えば、アルコール(炭素数1〜10:例えば、メタノール、エタノール、n−又はi−プロパノール、n−、sec−、又は、t−ブタノール、ベンジルアルコール、オクタノール等)、ケトン(炭素数3〜8:例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル又はエーテルエステル(炭素数4〜10:例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート、エーテル(炭素数4〜10:例えば、EGモノメチルエーテル(メチルセロソロブ)、EGモノエチルエーテル(エチルセロソロブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソロブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、芳香族炭化水素(炭素数6〜10:例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(炭素数3〜10:例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、ハロゲン化炭化水素(炭素数1〜2:例えば、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等)、石油系溶剤(例えば、石油エーテル、石油ナフサ等)等が挙げられる。
防汚性フィルム1の用途は、その優れた防汚性を活用するものであれば特に限定されず、例えば、反射防止フィルム等の光学フィルム用途であってもよい。このような反射防止フィルムは、表示装置の内部又は外部に取り付けることで、視認性の向上に寄与する。
防汚性フィルム1の防汚性は、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に付着した汚れが容易に除去可能なことを意味していてもよく、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に汚れが付着しにくいことを意味していてもよい。また、防汚性フィルム1によれば、モスアイ構造による効果で、平坦面等の通常の表面を有する従来のフッ素含有フィルムよりも高い防汚性が得られる。
防汚性フィルム1は、例えば、以下の製造方法によって製造される。
<製造方法例1>
図5は、実施形態の防汚性フィルムの製造方法例1を説明するための断面模式図である。
(プロセス1)
図5(a)に示すように、重合性組成物5を基材2の表面上に塗布する。
重合性組成物5の塗布方法としては、例えば、スプレー方式、グラビア方式、スロットダイ方式、バーコート方式等で塗布する方法が挙げられる。重合性組成物5の塗布方法としては、膜厚を均一にし、生産性を向上する観点から、グラビア方式又はスロットダイ方式で塗布する方法が好ましい。
重合性組成物5は、少なくとも成分A〜Dを上述した割合で含有するものである。ここで、重合性組成物5が溶剤を更に含有する場合、重合性組成物5の塗布後に、溶剤を除去する加熱処理(乾燥処理)を行ってもよい。加熱処理は、溶剤の沸点以上の温度で行われることが好ましい。
(プロセス2)
図5(b)に示すように、重合性組成物5を間に挟んだ状態で、基材2を金型6に押し当てる。その結果、凹凸構造が重合性組成物5の表面(基材2とは反対側の表面)に形成される。
(プロセス3)
凹凸構造を表面に有する重合性組成物5を硬化させる。その結果、図5(c)に示すように、重合体層3が形成される。
重合性組成物5の硬化方法としては、例えば、活性エネルギー線の照射、加熱等による方法が挙げられる。重合性組成物5の硬化は、活性エネルギー線の照射によって行われることが好ましく、中でも、紫外線の照射によって行われることがより好ましい。活性エネルギー線の照射は、重合性組成物5の基材2側から行ってもよく、重合性組成物5の金型6側から行ってもよい。また、重合性組成物5に対する活性エネルギー線の照射回数は、1回のみであってもよいし、複数回であってもよい。重合性組成物5の硬化(上記プロセス3)は、重合性組成物5への凹凸構造の形成(上記プロセス2)と同じタイミングで行ってもよい。
(プロセス4)
図5(d)に示すように、金型6を重合体層3から剥離する。その結果、防汚性フィルム1が完成する。
本製造方法例において、例えば、基材2をロール状にすれば、上記プロセス1〜4を連続的かつ効率的に行うことができる。
金型6としては、例えば、下記の方法で作製されるものを用いることができる。まず、金型6の材料となるアルミニウムを、支持基材の表面上にスパッタリング法によって成膜する。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによって、モスアイ構造の雌型(金型6)を作製することができる。この際、陽極酸化を行う時間、及び、エッチングを行う時間を調整することによって、金型6の凹凸構造を変化させることができる。
支持基材の材料としては、例えば、ガラス;ステンレス、ニッケル等の金属;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子(代表的には、ノルボルネン系樹脂等である、日本ゼオン社製の「ゼオノア(登録商標)」、JSR社製の「アートン(登録商標)」)等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース等の樹脂、等が挙げられる。また、支持基材の表面上にアルミニウムを成膜したものの代わりに、アルミニウム製の基材を用いてもよい。
金型6の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられる。
金型6の表面は、離型処理が施されていることが好ましい。これにより、金型6を重合体層3から容易に剥離することができる。また、金型6の表面自由エネルギーが低くなるため、上記プロセス2において、基材2を金型6に押し当てる際に、成分C、D中のフッ素原子を重合性組成物5の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向させることができる。更に、重合性組成物5を硬化させる前に、成分C、D中のフッ素原子が重合性組成物5の表面(基材2とは反対側の表面)から離れてしまうことを防止することができる。その結果、防汚性フィルム1において、成分C、D中のフッ素原子を重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向させることができる。
金型6の離型処理に用いられる材料としては、例えば、フッ素系材料、シリコン系材料、リン酸エステル系材料等が挙げられる。フッ素系材料の公知例としては、ダイキン工業社製の「オプツールDSX」、「オプツールAES4」等が挙げられる。
<製造方法例2>
図6は、実施形態の防汚性フィルムの製造方法例2を説明するための断面模式図である。製造方法例2は、成分A〜Dを2層に分けて塗布した後、両層を一体化させること以外、製造方法例1と同様であるため、重複する点については説明を適宜省略する。
(プロセス1)
図6(a)に示すように、成分A〜Dのうちの一部の成分(例えば、成分A、B、D)を少なくとも含有する第一の樹脂7を、基材2の表面上に塗布する。次に、成分A〜Dのうちの残りの成分(例えば、成分C)を少なくとも含有する第二の樹脂8を、塗布された第一の樹脂7の表面(基材2とは反対側の表面)上に塗布する。
第一の樹脂7、及び、第二の樹脂8の塗布方法としては、例えば、スプレー方式、グラビア方式、スロットダイ方式、バーコート方式等で塗布する方法が挙げられる。第一の樹脂7の塗布方法としては、膜厚を均一にする観点から、グラビア方式又はスロットダイ方式で塗布する方法が好ましい。第二の樹脂8の塗布方法としては、膜厚が容易に調製可能であり、かつ、装置コストを低減する観点から、スプレー方式で塗布する方法が好ましい。中でも、スワールノズル、静電ノズル、又は、超音波ノズルを用いて塗布することが特に好ましい。
第一の樹脂7の塗布と第二の樹脂8の塗布とは、異なるタイミングで行われてもよく、同じタイミングで行われてもよい。第一の樹脂7、及び、第二の樹脂8を同じタイミングで塗布する方法としては、例えば、共押し出し方式で塗布する方法が挙げられる。
(プロセス2)
図6(b)に示すように、第一の樹脂7、及び、第二の樹脂8を間に挟んだ状態で、基材2を金型6に第一の樹脂7側から押し当てる。その結果、凹凸構造を表面(基材2とは反対側の表面)に有する重合性組成物5が形成される。重合性組成物5は、第一の樹脂7、及び、第二の樹脂8が一体化し、両樹脂の界面が存在しないものである。
(プロセス3)
凹凸構造を表面に有する重合性組成物5を硬化させる。その結果、図6(c)に示すように、重合体層3が形成される。
(プロセス4)
図6(d)に示すように、金型6を重合体層3から剥離する。その結果、防汚性フィルム1が完成する。
第一の樹脂7の厚みT1は、3μm以上、30μm以下であることが好ましく、5μm以上、7μm以下であることがより好ましい。
第二の樹脂8の厚みT2は、0.1μm以上、15μm以下であることが好ましく、1μm以上、10μm以下であることがより好ましく、2μm以上、8μm以下であることが更に好ましく、5μm以上、8μm以下であることが特に好ましい。
<製造方法例3>
図7は、実施形態の防汚性フィルムの製造方法例3を説明するための断面模式図である。製造方法例3は、第二の樹脂を金型の表面上に塗布すること以外、製造方法例2と同様であるため、重複する点については説明を適宜省略する。
(プロセス1)
図7(a)に示すように、成分A〜Dのうちの一部の成分(例えば、成分A、B、D)を少なくとも含有する第一の樹脂7を、基材2の表面上に塗布する。次に、成分A〜Dのうちの残りの成分(例えば、成分C)を少なくとも含有する第二の樹脂8を、金型6の表面(凹凸面)上に塗布する。
第一の樹脂7の塗布と第二の樹脂8の塗布とは、異なるタイミングで行われてもよく、同じタイミングで行われてもよい。
(プロセス2)
図7(b)に示すように、第一の樹脂7、及び、第二の樹脂8を間に挟んだ状態で、基材2を金型6に第一の樹脂7側から押し当てる。その結果、凹凸構造を表面(基材2とは反対側の表面)に有する重合性組成物5が形成される。
(プロセス3)
凹凸構造を表面に有する重合性組成物5を硬化させる。その結果、図7(c)に示すように、重合体層3が形成される。
(プロセス4)
図7(d)に示すように、金型6を重合体層3から剥離する。その結果、防汚性フィルム1が完成する。
上記プロセス1について、製造方法例2、3では、第一の樹脂7を基材2の表面上に塗布し、第二の樹脂8を、第一の樹脂7、又は、金型6の表面上に塗布するプロセスを示したが、第二の樹脂8を、第一の樹脂7、及び、金型6の両方の表面上に塗布してもよい。すなわち、上記プロセス1は、第一の樹脂7を基材2の表面上に塗布し、第二の樹脂8を、第一の樹脂7、及び、金型6のうちの少なくとも一方の表面上に塗布することによって行われてもよい。また、上記プロセス1は、第二の樹脂8を金型6の表面(凹凸面)上に塗布し、第一の樹脂7を第二の樹脂8の表面(金型6とは反対側の表面)上に塗布することによって行われてもよい。
[実施例及び比較例]
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例において、防汚性フィルムを製造するために用いた材料は以下の通りである。
<基材>
富士フイルム社製の「TAC−TD80U」を用い、その厚みは80μmであった。
<金型>
下記の方法で作製したものを用いた。まず、金型の材料となるアルミニウムを、10cm角のガラス基板上にスパッタリング法によって成膜した。成膜されたアルミニウムの層の厚みは、1.0μmであった。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによって、多数の微小な穴(隣り合う穴(凹部)の底点間の距離が可視光の波長以下)が設けられた陽極酸化層を形成した。具体的には、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、及び、陽極酸化を順に行う(陽極酸化:5回、エッチング:4回)ことによって、アルミニウムの層の内部に向かって細くなる形状(テーパー形状)を有する微小な穴(凹部)を多数形成し、その結果、凹凸構造を有する金型が得られた。陽極酸化は、シュウ酸(濃度:0.03重量%)を用いて、液温5℃、印加電圧80Vの条件下で行った。1回の陽極酸化を行う時間は、25秒とした。エッチングは、リン酸(濃度:1mol/l)を用いて、液温30℃の条件下で行った。1回のエッチングを行う時間は、25分とした。金型を走査型電子顕微鏡で観察したところ、凹部の深さは290nmであった。なお、金型の表面には、ダイキン工業社製の「オプツールAES4」によって事前に離型処理を施した。
<重合性組成物>
表1〜6に示すような組成の重合性組成物R1〜R8、及び、r1〜r13を用いた。重合性組成物の各成分名の略称は、以下の通りである。
(ウレタンアクリレート)
・「U」:新中村化学工業社製の「U−10HA」
(多官能アクリレート)
・「APG」:新中村化学工業社製の「NK ECONOMER A−PG5054E」
(単官能アクリレート)
・「DM」:KJケミカルズ社製の「DMAA」
(離型剤)
・「MT」:ソルベイ社製の「フォンブリンMT70」
・「DAC」:下記材料の混合物
ダイキン工業社製の「オプツールDAC」:2重量%
KJケミカルズ社製の「ACMO」:8重量%
大阪有機化学工業社製の2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート(パーフルオロアルキル基を有し、かつ、CF基を1分子当たり2個有する単官能の材料):90重量%
・「FAAC4」:ユニマテック社製の「CHEMINOX FAAC−4」
・「FAAC6」:ユニマテック社製の「CHEMINOX FAAC−6」
・「RS」:DIC社製の「メガファック(登録商標)RS−76−NS」(パーフルオロアルキル基を有する多官能の離型剤)
(重合開始剤)
・「TPO」:IGM Resins社製の「LUCIRIN TPO」
表1〜6中の「由来」は、各成分から重合性組成物をどのようにして形成したのかを示すものである。具体的には、製造方法例1のように、各成分を最初から1つにまとめて混合した場合を「同一」と示す。また、製造方法例2、3のように、各成分を第一の樹脂及び第二の樹脂に分けた後、両方を一体化させた場合は、第一の樹脂に由来する成分を「第一」、第二の樹脂に由来する成分を「第二」と示す。
Figure 2018155317
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重合性組成物中の成分A〜Dの含有率を、表7〜12に示す。ここで、重合性組成物R2、R3、R4、R6、R8、r3、r6、r7、r8、r10、r11において、成分Bの含有率、及び、成分Cの含有率は、厳密には以下のものに該当する。成分Bの含有率は、「DM」と「DAC」中の成分Bに該当する成分(KJケミカルズ社製の「ACMO」)とに対応する含有率の和である。成分Cの含有率は、「DAC」中の成分Cに該当する成分(ダイキン工業社製の「オプツールDAC」)に対応する含有率である。
Figure 2018155317
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(実施例1)
実施例1の防汚性フィルムを、製造方法例1に記載の方法によって製造した。
(プロセス1)
重合性組成物R1を、基材2の表面上に帯状に滴下(塗布)した。そして、バーコーターを用いて、重合性組成物R1を基材2の表面全体に広げた。その後、基材2の表面上に重合性組成物R1が塗布された状態のものをオーブンに入れて、温度80℃で1分間加熱処理し、重合性組成物R1から溶剤を揮発させた。
(プロセス2)
重合性組成物R1(溶剤揮発後)を間に挟んだ状態で、基材2を金型6にハンドローラーで押し当てた。その結果、凹凸構造が重合性組成物R1の表面(基材2とは反対側の表面)に形成された。
(プロセス3)
凹凸構造を表面に有する重合性組成物R1に、基材2側から紫外線(照射量:200mJ/cm)を照射して硬化させた。その結果、重合体層3が形成された。
(プロセス4)
金型6を重合体層3から剥離した。その結果、防汚性フィルム1が完成した。重合体層3の厚みTは、9.8μmであった。
防汚性フィルム1の表面仕様は、下記の通りであった。
凸部4の形状:釣鐘状
凸部4の平均ピッチ:200nm
凸部4の平均高さ:200nm
凸部4の平均アスペクト比:1.0
凸部4の平均幅:200nm
防汚性フィルム1の表面仕様の評価は、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「S−4700」を用いて行われた。なお、評価時には、メイワフォーシス社製のオスミウムコーター「Neoc−ST」を用いて、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)上に和光純薬工業社製の酸化オスミウムVIII(厚み:5nm)が塗布されていた。
(実施例2、3、5〜8、及び、比較例1〜9、12、13)
表13〜18に示すような組成に変更したこと以外、実施例1と同様にして、各例の防汚性フィルムを製造した。
(実施例4)
実施例4の防汚性フィルムを、製造方法例2に記載の方法によって製造した。
(プロセス1)
第一の樹脂7(「U」、「APG」、「DM」、「FAAC6」、及び、「TPO」を含有する樹脂)を、基材2の表面上にバーコーターで塗布した。次に、第二の樹脂8(「DAC」を含有する樹脂)を、塗布された第一の樹脂7の表面(基材2とは反対側の表面)上にバーコーターで塗布した。
(プロセス2)
第一の樹脂7、及び、第二の樹脂8を間に挟んだ状態で、基材2を金型6に第一の樹脂7側からハンドローラーで押し当てた。その結果、凹凸構造を表面(基材2とは反対側の表面)に有する重合性組成物R4が形成された。
(プロセス3)
凹凸構造を表面に有する重合性組成物R4に、基材2側から紫外線(照射量:200mJ/cm)を照射して硬化させた。その結果、重合体層3が形成された。
(プロセス4)
金型6を重合体層3から剥離した。その結果、防汚性フィルム1が完成した。重合体層3の厚みTは、9.8μmであった。
防汚性フィルム1の表面仕様は、下記の通りであった。防汚性フィルム1の表面仕様の評価は、実施例1と同様に行われた。
凸部4の形状:釣鐘状
凸部4の平均ピッチ:200nm
凸部4の平均高さ:200nm
凸部4の平均アスペクト比:1.0
凸部4の平均幅:200nm
(比較例10、11)
表17、18に示すような組成に変更したこと以外、実施例4と同様にして、各例の防汚性フィルムを製造した。
[評価]
各例の防汚性フィルムに対して、温度60℃、湿度90%の環境下で1000時間放置する高温/高湿試験(以下、単に、高温/高湿試験とも言う。)を行った上で、以下の評価を行った(耐擦性に対する一部の評価を除く)。結果を表13〜18に示す。
<白化具合>
高温/高湿試験後に、各例の防汚性フィルムの重合体層の白化具合(ブリードアウトの発生具合)を、照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
○:重合体層が白化していなかった。
△:重合体層がわずかに白化していた。
×:重合体層が完全に白化していた。
ここで、判定が○である場合を、許容可能なレベル(白化が抑制されている)と判断した。
<耐擦性>
耐擦性について、高温/高湿試験前、及び、高温/高湿試験後の2仕様で評価を行った。
(高温/高湿試験前)
高温/高湿試験前の評価としては、スチールウール耐性及び滑り性を評価した。
(スチールウール耐性)
高温/高湿試験前に、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)を、日本スチールウール社製のスチールウール「#0000」に荷重400gを加えた状態で擦った。この際、重合体層の表面とスチールウールとの接触面は、直径25mmの円状であった。そして、照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察しながら、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に付いた傷の本数「N」(単位:本)を数えた。なお、スチールウールで擦る際、試験機として新東科学社製の表面性測定機「HEIDON(登録商標)−14FW」を用い、ストローク幅を10mm、速度を100mm/s、擦る回数を10往復とした。判定基準は、下記の通りとした。
レベル10:N=0
レベル9:N=1〜2
レベル8:N=3〜5
レベル7:N=6〜10
レベル6:N=11〜15
レベル5:N=16〜20
レベル4:N=21〜25
レベル3:N=26〜30
レベル2:N=31〜35
レベル1:N≧36
ここで、判定がレベル6〜10である場合を、許容可能なレベル(スチールウール耐性が優れている)と判断した。
(滑り性)
高温/高湿試験前に、各例の防汚性フィルムを新東科学社製の表面性測定機「HEIDON−14FW」のステージ上に固定し、水平状態を確認した。その後、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)上にプローブをセットして、日本スチールウール社製のスチールウール「#0000」に荷重400gを加えた状態で1回擦り、摩擦抵抗(単位:N)を測定した。なお、スチールウールで擦る際、重合体層の表面とスチールウールとの接触面は直径25mmの円状であり、ストローク幅を20mm、速度を30mm/minとした。ここで、摩擦抵抗が低いほど、滑り性が高いと判断した。
(高温/高湿試験後)
高温/高湿試験後の評価としては、ティッシュペーパー耐性を評価した。
(ティッシュペーパー耐性)
高温/高湿試験後に、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)をティッシュペーパーで5回擦った。その後、擦った部分を、照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
◎:重合体層が白く見えなかった。
○:重合体層がごくわずかに白く見えた(蛍光灯の直下でなければ見えなかった)。
△:重合体層がわずかに白く見えた(蛍光灯の直下でなくても見えた)。
×:重合体層が完全に白く見えた。
ここで、判定が◎又は○である場合を、許容可能なレベル(ティッシュペーパー耐性が優れている)と判断した。
<防汚性>
防汚性としては、撥水性及び撥油性を評価した。
(撥水性)
高温/高湿試験後に、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対して水を2μl滴下し、滴下直後及び4分後の接触角を測定した。そして、下記式(1)から、滴下直後の接触角と滴下4分後の接触角との差ΔWを算出した。
ΔW(単位:°)=「滴下直後の接触角(単位:°)」−「滴下4分後の接触角(単位:°)」 (1)
(撥油性)
高温/高湿試験後に、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対してヘキサデカンを2μl滴下し、滴下直後及び4分後の接触角を測定した。そして、下記式(2)から、滴下直後の接触角と滴下4分後の接触角との差ΔHを算出した。
ΔH(単位:°)=「滴下直後の接触角(単位:°)」−「滴下4分後の接触角(単位:°)」 (2)
接触角としては、協和界面科学社製のポータブル接触角計「PCA−1」を用いて、θ/2法(θ/2=arctan(h/r)、θ:接触角、r:液滴の半径、h:液滴の高さ)で測定された、3箇所の接触角の平均値を示した。ここで、1箇所目の測定点としては、各例の防汚性フィルムの中央部分を選択し、2箇所目及び3箇所目の測定点としては、1箇所目の測定点から20mm以上離れ、かつ、1箇所目の測定点に対して互いに点対称な位置にある2点を選択した。
Figure 2018155317
Figure 2018155317
Figure 2018155317
Figure 2018155317
Figure 2018155317
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表13、14に示すように、実施例1〜8では、高温/高湿の環境下において、白化が抑制され、耐擦性が優れていた。中でも、実施例1、2、4、7、8では、高温/高湿の環境下において、防汚性(特に、撥油性)が高く維持されていた。また、実施例1〜8では、初期状態(高温/高湿試験前)の耐擦性も優れていた。
一方、表15〜18に示すように、比較例1〜12では、高温/高湿の環境下において、白化の抑制と耐擦性の向上とが両立していなかった。比較例13では、高温/高湿の環境下において白化が抑制されていたものの、初期状態(高温/高湿試験前)の耐擦性が低かった。
実施例2及び実施例3を比較すると、成分Dとして、「FAAC6」を用いる場合(実施例2)は、「FAAC4」を用いる場合(実施例3)よりも、高温/高湿の環境下において、耐擦性が高まることが分かった。これは、「FAAC6」(CF基の個数:1分子当たり6個)が「FAAC4」(CF基の個数:1分子当たり4個)よりも長鎖であり、高温/高湿の環境下において、ブリード物が析出するのをより防御しやすいためである。また、成分Dとして、「FAAC6」を用いる場合(実施例2)は、「FAAC4」を用いる場合(実施例3)よりも、高温/高湿の環境下において、防汚性(特に、撥油性)が高く維持されることが分かった。
実施例1及び実施例2を比較すると、「MT」(成分C)には、「DAC」(成分C)よりも撥水性を高く維持する(水の浸み込みをより抑制する)効果があることが分かった。このように、同じ成分Cであっても撥水性を維持する効果が異なるのは、構造上の違いによるものと考えられる。「MT」は、パーフルオロポリエーテル鎖の両端に反応性の炭素−炭素二重結合(C=C)を有する4官能の離型剤である。一方、「DAC」は、パーフルオロポリエーテル鎖の一端に反応性の炭素−炭素二重結合(C=C)を有する2官能の離型剤を含むものである。よって、「MT」によれば、「DAC」と比較して、重合体層の表面(基材とは反対側の表面)で架橋密度が高まるため、水の浸み込みを抑制する効果が高いと考えられる。また、実施例1及び比較例2を比較すると、実施例1のように「FAAC6」(成分D)を加えることで、撥油性を維持する効果が高まることが分かった。
比較例6、比較例7、及び、比較例8を比較すると、成分Cの含有率が高くなるにつれて、高温/高湿の環境下において、防汚性は高まるが、白化は抑制されないことが分かった。
実施例1〜8のように、離型剤として成分C、Dを組み合わせて用いた場合は、初期状態(高温/高湿試験前)において、強度が高く(スチールウール耐性が高く)、滑り性も高い(摩擦抵抗が低い)重合体層(モスアイ構造)を表面に有する防汚性フィルムが実現される。実施例1〜8の防汚性フィルムによれば、表面の滑り性が高いため、例えば、スマートフォンの画面に貼り付けて用いられる場合に優れた操作感(手触り感)を提供することができる。一方、比較例4、9、12、13のように、離型剤として成分Dのみを用いた場合は、実施例1〜8と比較して、初期状態(高温/高湿試験前)における重合体層(モスアイ構造)の強度が低く、滑り性も低かった。
[付記]
本発明の一態様は、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層を備える防汚性フィルムであって、上記重合体層は、重合性組成物の硬化物であり、上記重合性組成物は、上記重合性組成物の全量を100重量%とするとき、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを50〜70重量%、アミド基を有する単官能アクリレートを15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有する第一の離型剤を0.01〜5重量%、パーフルオロアルキル基を有し、かつ、CF基を1分子当たり4個以上有する単官能の第二の離型剤を0.45〜5重量%含有する防汚性フィルムであってもよい。この態様によれば、高温/高湿の環境下において、白化が抑制され、耐擦性が優れた防汚性フィルムを実現することができる。
上記第二の離型剤は、CF基を1分子当たり6個以上有していてもよい。このような構成によれば、上記第二の離型剤を長鎖構造とすることができ、高温/高湿の環境下において、ブリード物が上記重合体層の表面に析出するのをより防御しやすくなる。その結果、高温/高湿の環境下において、白化が効率的に抑制される。
上記単官能アクリレートは、N−アクリロイルモルホリン、及び、N,N−ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。このような構成によれば、上記単官能アクリレートの粘度が低くなり、上記多官能アクリレート、上記第一の離型剤、及び、上記第二の離型剤との相溶性がより高まる。
上記重合体層の厚みは、5.0μm以上、20.0μm以下であってもよい。このような構成によれば、上記第一の離型剤及び上記第二の離型剤中のフッ素原子が、上記重合体層の表面により高濃度で配向する。
上記複数の凸部の平均ピッチは、100nm以上、400nm以下であってもよい。このような構成によれば、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生が充分に防止される。
上記複数の凸部の平均高さは、100nm以上、1000nm以下であってもよい。このような構成によれば、上記第二の離型剤中のフッ素含有モノマーが、上記重合体層の表面に配向しやすくなる。また、上記複数の凸部の好ましい平均アスペクト比と両立させることができる。
上記複数の凸部の平均アスペクト比は、0.8以上、1.5以下であってもよい。このような構成によれば、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生が充分に防止され、優れた反射防止性を実現することができる。更に、上記凹凸構造の加工性の低下による、スティッキングの発生、及び、上記凹凸構造を形成する際の転写具合の悪化が充分に防止される。
上記複数の凸部の平均幅は、100nm以上、1000nm以下であってもよい。このような構成によれば、上記第二の離型剤中のフッ素含有モノマーが、上記重合体層の表面に配向しやすくなる。
1:防汚性フィルム
2:基材
3:重合体層
4:凸部
5:重合性組成物
6:金型
7:第一の樹脂
8:第二の樹脂
9:フッ素含有モノマー
10:ブリード物
P:凸部のピッチ
H:凸部の高さ
W:凸部の幅
T:重合体層の厚み
T1:第一の樹脂の厚み
T2:第二の樹脂の厚み

Claims (8)

  1. 複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層を備える防汚性フィルムであって、
    前記重合体層は、重合性組成物の硬化物であり、
    前記重合性組成物は、前記重合性組成物の全量を100重量%とするとき、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを50〜70重量%、アミド基を有する単官能アクリレートを15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有する第一の離型剤を0.01〜5重量%、パーフルオロアルキル基を有し、かつ、CF基を1分子当たり4個以上有する単官能の第二の離型剤を0.45〜5重量%含有することを特徴とする防汚性フィルム。
  2. 前記第二の離型剤は、CF基を1分子当たり6個以上有することを特徴とする請求項1に記載の防汚性フィルム。
  3. 前記単官能アクリレートは、N−アクリロイルモルホリン、及び、N,N−ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の防汚性フィルム。
  4. 前記重合体層の厚みは、5.0μm以上、20.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防汚性フィルム。
  5. 前記複数の凸部の平均ピッチは、100nm以上、400nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防汚性フィルム。
  6. 前記複数の凸部の平均高さは、100nm以上、1000nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防汚性フィルム。
  7. 前記複数の凸部の平均アスペクト比は、0.8以上、1.5以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防汚性フィルム。
  8. 前記複数の凸部の平均幅は、100nm以上、1000nm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防汚性フィルム。
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