JPWO2018150972A1 - 防音構造体 - Google Patents

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Abstract

2つの空間を隔てる壁部材に設けられた開口部で共鳴する低次の周波数の音に対して十分な消音効果を得ることができる防音構造体を提供する。2つの空間を隔てる壁部材に設けられた開口部内に配置される共鳴消音構造体を有する防音構造体であって、開口部の一方の開口面側に、開口面から離間した位置に風量調整部材が配置され、共鳴消音構造体は、開口部内で共鳴する音の周波数で共鳴するものであり、共鳴消音構造体は、開口面に垂直な方向において、開口部の中央に配置されている。

Description

本発明は、防音構造体に関する。
住宅の壁には換気のために壁を貫通する換気スリーブが設けられている。この換気スリーブからの音漏れが騒音の問題となっている。換気スリーブでは、スリーブの長さおよび開口部の直径(開口面積)等に応じて、特定の周波数の音が透過する。この周波数はスリーブ内で共鳴が生じる周波数であり、スリーブ内で共鳴が生じることで高い透過率で音がスリーブを透過してしまう。
従来用いられる一般的な防音材としては、発泡ウレタンおよびグラスウール等の吸音材が挙げられる。しかしながら、発泡ウレタンおよびグラスウール等の防音材は、1kHz以下の低周波数の音に対しては消音効果が低いため、スリーブ内で共鳴する低次周波数の音を消音することは困難であった。
一方で、特定の周波数帯域の音を吸収する防音構造体として、膜振動を利用するもの、気柱共鳴を利用するもの、および、ヘルムホルツ共振を利用するものがある。
特許文献1には、通気スリーブ内に、共鳴型消音機構を配置することが記載されており、共鳴型消音機構として、サイドブランチ型消音器およびヘルムホルツ共鳴器が記載されている。
特許文献2には、換気孔内に、共鳴作用により低周波騒音を消音する消音室を有する消音装置を配設することが記載されている。
特許第4820163号 特許第3664675号
通気スリーブ内に共鳴消音構造体を配置する際に、通気スリーブ内における共鳴消音構造体の配置位置については十分な検討がなされていなかった。そのため、通気スリーブ内に共鳴構造体を配置しても、スリーブ内で共鳴する低次の周波数の音に対して十分な消音効果を得られないおそれがあった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、2つの空間を隔てる壁部材に設けられた開口部内で共鳴する低次の周波数の音に対して十分な消音効果を得ることができる防音構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、2つの空間を隔てる壁部材に設けられた開口部内に配置される共鳴消音構造体を有する防音構造体であって、開口部の一方の開口面側に、開口面から離間した位置に風量調整部材が配置され、共鳴消音構造体は、開口部内で共鳴する音の周波数で共鳴するものであり、共鳴消音構造体は、開口面に垂直な方向において、開口部の中央に配置されていることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
[1] 2つの空間を隔てる壁部材に設けられた開口部内に配置される共鳴消音構造体を有する防音構造体であって、
開口部の一方の開口面側に、開口面から離間した位置に風量調整部材が配置され、
共鳴消音構造体は、開口部内で共鳴する音の周波数で共鳴するものであり、
共鳴消音構造体は、開口面に垂直な方向において、開口部の中央に配置されている防音構造体。
[2] 共鳴消音構造体の共鳴周波数が前記開口部内で共鳴する音の最低次の周波数である[1]に記載の防音構造体。
[3] 共鳴消音構造体を開口面から前記開口部内で共鳴する音の波長の1/4の位置に配置し、
共鳴消音構造体の共鳴周波数が開口部内を共鳴する音の2次の周波数である[1]に記載の防音構造体。
[4] 共鳴消音構造体が気柱共鳴管である[1]〜[3]のいずれかに記載の防音構造体。
[5] 気柱共鳴管は、管長さ方向が開口部の内周方向に一致する[4]に記載の防音構造体。
[6] 共鳴消音構造体は、ヘルムホルツ共鳴器である[1]〜[3]のいずれかに記載の防音構造体。
[7] ヘルムホルツ共鳴器は、最も長い辺を開口部の内周方向に沿って配置されている[6]に記載の防音構造体。
[8] 共鳴消音構造体は、貫通した枠孔部を有する枠と、枠孔部を覆って枠に周囲を固定される膜とを有する膜型共鳴構造体である[1]〜[3]のいずれかに記載の防音構造体。
[9] 枠の枠孔部の両方の端面それぞれに膜が固定されている[8]に記載の防音構造体。
[10] 2つの膜の膜振動の共鳴周波数が互いに異なる[9]に記載の防音構造体。
[11] 複数の共鳴消音構造体を有し、
複数の共鳴消音構造体が開口部の内周方向に沿って配置されている[1]〜[10]のいずれかに記載の防音構造体。
[12] 複数の共鳴消音構造体の共鳴周波数が互いに異なる[1]〜[11]のいずれかに記載の防音構造体。
[13] 両端が開放された筒形状で、内周部に複数の共鳴消音構造体が設置されるベース部材を有し、
ベース部材が開口部に着脱可能に設けられている[1]〜[12]のいずれかに記載の防音構造体。
[14] 開口部内に配置される吸音材を有する[1]〜[13]のいずれかに記載の防音構造体。
[15] 両端が開放された筒形状で、内周部に吸音材が設置される第2ベース部材を有し、第2ベース部材が開口部に着脱可能に設けられている[14]に記載の防音構造体。
本発明によれば、2つの空間を隔てる壁部材に設けられた開口部で共鳴する低次の周波数の音に対して、十分な消音効果を得ることができる防音構造体を提供することができる。
本発明の防音構造体の一例を模式的に示す断面図である。 図1の共鳴消音構造体を模式的に示す斜視図である。 図1のA1−A1線断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 図4のA2−A2線断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 図6の共鳴消音構造体を模式的に示す斜視図である。 図6のB1−B1線断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 図9のB2−B2線断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 図11に示す共鳴消音構造体を模式的に示す斜視図である。 図12のC1−C1線断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 図14のC2−C2線断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 図16のD−D線断面図である。 共鳴消音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 図19のC3−C3線断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 図21に示す防音構造体の分解図である。 図22の防音構造体をb方向から見た平面図である。 図22の防音構造体をa方向から見た平面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 開口部における透過率と周波数との関係を表すグラフである。 開口部内における位置と音圧との関係を表すグラフである。 開口部内における位置と音圧との関係を表すグラフである。 開口部内における位置と音圧との関係を表すグラフである。 開口部内における位置と音圧との関係を表すグラフである。 風量調整部材と開口面との距離と、開口部内における音圧最大の位置との関係を表すグラフである。 周波数と透過損失との関係を表すグラフである。 周波数と透過損失との関係を表すグラフである。 周波数と透過損失との関係を表すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
[防音構造体]
本発明の防音構造体は、
2つの空間を隔てる壁部材に設けられた開口部内に配置される共鳴消音構造体を有する防音構造体であって、
開口部の一方の開口面側に、開口面から離間した位置に風量調整部材が配置され、
共鳴消音構造体は、開口部内で共鳴する音の周波数で共鳴するものであり、
共鳴消音構造体は、開口面に垂直な方向において、開口部の中央に配置されている防音構造体である。
本発明の防音構造体の一例について、図1〜図3を用いて説明する。
図1は、本発明の防音構造体を構成する共鳴消音構造体10aを、2つの空間を隔てる壁部材Wの開口部102内に配置した一例を示す模式的な断面図である。図2は、図1に示す防音構造体の共鳴消音構造体10aの概略斜視図である。図3は、図1のA1−A1線断面図である。
図1に示すように、壁部材Wには、壁部材Wを貫通する、円筒状のスリーブ100が配設されており、壁部材Wを貫通する開口部102が設けられている。
また、壁部材Wに設けられる開口部102の一方の開口面側には、風量調整部材104が配置されている。風量調整部材104は、いわゆるレジスター等の開口部内を通過する空気の風量を調整する部材である。風量調整部材104は、開口面に垂直な方向から見た際に、開口部を覆うように配置されている板状部材である。また、風量調整部材と開口面とは距離D1離間して配置される。風量調整部材104と開口面とが所定距離離間しているので、風量調整部材104が開口部102を塞ぐことなく、壁部材Wに隔てられる2つの空間は、開口部102により通気可能である。
ここで、風量調整部材104と開口面との距離D1は、0.1mm〜100mmが好ましく、0.5mm〜50mmがより好ましい。
この点に関しては後に詳述する。
図1に示す例では、開口部102の断面形状は、円形であるが、これに限定はされない。開口部102の断面形状は、正方形、長方形、楕円形および多角形等の形状であってもよい。
また、図1に示すように、共鳴消音構造体10aは、その中心位置が、開口面に垂直な方向において、すなわち、開口部102の貫通方向において、開口部102の中央に配置される。
ここで、本発明において、開口部102の中央とは、開口部102の長さをL1、開口部102内で共鳴する音波の最低次の共鳴周波数の波長をλ1すると、一方の開口面から、L1/2−λ1/8〜L1/2+λ1/8の範囲をいう。すなわち、一方の開口面から、共鳴消音構造体10aの中心までの距離をL2とすると、共鳴消音構造体10aの配置位置は、L1/2−λ1/8≦L2≦L1/2+λ1/8を満たす。
なお、共鳴消音構造体10aの配置位置は、L1/2−λ1/16≦L2≦L1/2+λ1/16を満たすのがより好ましい。
図1〜図3に示す共鳴消音構造体10aは、内部に中空部16を有し、開口14を1つ有する閉管である管本体12からなる従来公知の気柱共鳴管である。図2および図3に示すように、共鳴消音構造体10aは、開口部102の内周面に沿って配置される。そのため、共鳴消音構造体10aは、管本体12の延在方向(管長さ方向)を開口部102の内周方向に一致させて(平行に)、この管長さ方向が、開口部102の内周面の形状に沿って湾曲した形状である。また、開口14は、管本体12の延在方向の一方の端部の内側の面に形成されている。
周知のとおり、一方が閉じて他方が開放している閉管における気柱共鳴では、音圧において、閉口端で固定端となり、定常波の腹となる。一方、開口端は自由端となり、定常波における節となる。気柱共鳴における定常波の波長は、開口端補正を考慮した気柱共鳴管の長さに応じた波長となる。ここで、気柱共鳴において、実際には定常波の節の位置は管の外側に発生する。これを開口端補正といい、開口端から実際の定常波の節の位置までの距離を開口端補正の長さという。なお、円筒形の場合の開口端補正の長さは、大凡0.61×管半径で与えられる。
本発明においては、共鳴消音構造体10aは、開口部102内で共鳴する音の周波数で共鳴する。すなわち、共鳴消音構造体10aの共鳴周波数は、開口部102内で共鳴する音の周波数と略一致する。
したがって、気柱共鳴管である共鳴消音構造体10aの中空部16の長さは、開口部102内で共鳴する音の周波数に応じて設定される。
ここで、開口部102内で共鳴する音の周波数とは、共鳴消音構造体10aと同じ形状および大きさで、開口14および中空部16を有さない剛体を共鳴消音構造体10aと同じ位置に配置した場合における、開口部102内で共鳴する音の周波数である。
開口部102内に共鳴消音構造体10aを配置すると開口部102の断面積が小さくなるため、共鳴消音構造体10aを配置しない場合と比べて、開口部102内で共鳴する音の周波数が変化する。したがって、共鳴消音構造体10aを配置した影響を考慮して、開口部102内で共鳴する音の周波数を決定する。
また、共鳴消音構造体が、開口部内で共鳴する音の周波数で共鳴するとは、共鳴消音構造体の共鳴周波数fsと、開口部内で共鳴する音の共鳴周波数fdとが、0.8×fd≦fs≦1.2×fdの関係を満たすことをいう。
共鳴消音構造体10aが、開口部102内で共鳴する音の周波数で共鳴することで、開口部102内で共鳴する音を消音することができる。その際、本発明においては、共鳴消音構造体10aを開口面に垂直な方向における開口部102の中央に配置する。
ここで、開口部102の一方の開口面近傍に風量調整部材104が配置される場合には、風量調整部材104が配置される側の開口面は、風量調整部材104の影響により固定端と想定されると考えられる。一方が開放端で他方が固定端の場合は、開口部内に生じる定在波は非対称なものとなる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、開口面と風量調整部材104との間にわずかな隙間があると、風量調整部材104を配置しても、両端が開放された場合と同様の対称な音場が形成される。そのため、開口面から所定距離離間した位置に風量調整部材104を配置した場合は、開口部102に生じる定在波の最低次の周波数では、開口部102内の中央位置において音圧が最も高くなる。従って、音圧が最も高くなる開口部102内の中央位置に共鳴消音構造体10aを配置することで、開口部102内で共鳴する音を効果的に消音することができる。
なお、共鳴消音構造体10aの共鳴周波数fsは、開口部内で共鳴する音の最低次の共鳴周波数fd1と一致するのが好ましい。すなわち、0.8×fd1≦fs≦1.2×fd1を満たすのが好ましい。
これにより、発泡ウレタンおよびグラスウール等の防音材では消音し難い、1kHz以下の低周波数の音をより効果的に消音することができる。
ここで、図1に示す例では、1つの共鳴消音構造体10aを開口部102の中央に配置する構成としたがこれに限定はされない。図4および図5に示すように、2以上の共鳴消音構造体を開口部102の中央に配置に配置してもよい。
図4は、本発明の防音構造体の他の一例の模式的断面図であり、図5は、図4のA2−A2線断面図である。
なお、図4に示す防音構造体は、共鳴消音構造体を2つ有する以外は、図1に示す防音構造体と同じ構成を有するので、同じ部位には同じ符号を付し、以下の説明は異なる点を主に行なう。
図4および図5に示す防音構造体は、2つの共鳴消音構造体10aを有する。2つの共鳴消音構造体10aは、開口面に垂直な方向の開口部102の中央において、開口部102の内周方向に配列されている。
2つの共鳴消音構造体10aを有することで、より高い消音効果を得ることができる。また、2つの共鳴消音構造体10aを有する場合には、開口部の内周方向に配列することで、2つの共鳴消音構造体を開口部の中央に配置することができ、より高い消音効果を得ることができる。
また、2つの共鳴消音構造体10aの共鳴周波数が互いに異なっていてもよい。すなわち、気柱共鳴管の気柱の長さが互いに異なっていてもよい。共鳴周波数が互いに異なる2つの共鳴消音構造体10aを配置することで、広い周波数帯域で消音効果を得ることができる。
なお、図4および図5に示す例では、2つの共鳴消音構造体を開口部の内周方向に配列する構成としたがこれに限定はされず、開口部の軸方向に配列してもよい。
また、図1に示す例では、共鳴消音構造体として気柱共鳴管を用いる構成としたがこれに限定はされず、共鳴消音構造体として、ヘルムホルツ共鳴器を用いてもよく、あるいは、膜振動を利用する構造を用いてもよい。
図6〜図8に、共鳴消音構造体としてヘルムホルツ共鳴器を用いた場合の一例を示す。
図6は、本発明の防音構造体を構成する共鳴消音構造体10bを、2つの空間を隔てる壁部材Wの開口部102内に配置した一例を示す模式的な断面図である。図7は、図6に示す防音構造体の共鳴消音構造体10bの概略斜視図である。図8は、図6のB1−B1線断面図である。
図6においては、ヘルムホルツ共鳴器である共鳴消音構造体10bは、その中心位置が、開口面に垂直な方向において、開口部102の中央に配置される。
図6〜図8に示す共鳴消音構造体10bは、従来公知のヘルムホルツ共鳴器であり、開口部102内で共鳴する音の周波数で共鳴する。周知のとおりヘルムホルツ共鳴器は、開口20の空気が質量(マス)として、容器18の内部22にある空気がばねとしての役割を果たし、マスバネの共鳴をするものである。ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数は、容器の内容積および開口の面積等によって決まる。従って、ヘルムホルツ共鳴器の内容積および開口の面積等は、開口部102内で共鳴する音の周波数に応じて設定すればよい。
また、図7および図8に示すように、共鳴消音構造体10bは、開口部102の内周面に沿って配置される。そのため、共鳴消音構造体10bは、容器18の最も長い辺を開口部102の内周方向に一致させて(平行に)、この辺に平行な方向が、開口部102の内周面の形状に沿って湾曲した形状である。また、開口20は、容器18の延在方向の一方の端部の内側の面に形成されている。
このように、開口部102内で共鳴する音の周波数で共鳴するヘルムホルツ共鳴器を、開口部102の中央に配置することでも、開口部102内で共鳴する音を効果的に消音することができる。
ヘルムホルツ共鳴器は、気柱共鳴管よりも小型で低い周波数の共鳴をもたらすことができる点で好ましい。
なお、図6に示す例では、1つの共鳴消音構造体10bを開口部102の中央に配置する構成としたがこれに限定はされない。
図9は、本発明の防音構造体の他の一例の模式的断面図であり、図10は、図9のB2−B2線断面図である。
図9および図10に示す防音構造体は、4つの共鳴消音構造体10bを有する。4つの共鳴消音構造体10bは、開口面に垂直な方向の開口部102の中央において、開口部102の内周方向に配列されている。
4つの共鳴消音構造体を有することで、より高い消音効果を得ることができる。また、4つの共鳴消音構造体を開口部の内周方向に配列することで、4つの共鳴消音構造体を開口部の中央に配置することができ、より高い消音効果を得ることができる。また、4つの共鳴消音構造体10bの共鳴周波数が互いに異なっていてもよい。共鳴周波数が互いに異なる4つの共鳴消音構造体10bを配置することで、広い周波数帯域で消音効果を得ることができる。
なお、図9および図10に示す例では、4つの共鳴消音構造体を開口部の内周方向に配列する構成としたがこれに限定はされず、開口部の軸方向に配列してもよい。
図11〜図13に、共鳴消音構造体として膜振動を利用する構造を用いた場合の一例を示す。
図11は、本発明の防音構造体を構成する共鳴消音構造体10cを、2つの空間を隔てる壁部材Wの開口部102内に配置した一例を示す模式的な断面図である。図12は、図11に示す防音構造体の共鳴消音構造体10cの概略斜視図である。図13は、図12のC1−C1線断面図である。
図11においては、共鳴消音構造体10cは、その中心位置が、開口面に垂直な方向において、開口部102の中央に配置される。
共鳴消音構造体10cは、貫通する枠孔部28を持つ枠24と、枠孔部28の片面を覆うように周囲を枠24に固定された膜26とを備える膜型共鳴構造体である。
このように、開口部102内で共鳴する音の周波数で共鳴する膜型共鳴構造体を、開口部102の中央に配置することでも、開口部102内で共鳴する音を効果的に消音することができる。
膜型共鳴構造体は、下記に示すような枠および膜のパラメータを最適化することで、気柱共鳴管およびヘルムホルツ共鳴器よりも薄い構造とすることができる。そのため、開口部内に共鳴消音構造体を配置しても大きな開口断面績を維持することができる点で好ましい。
枠24は、貫通する枠孔部28を環状に囲むように形成され、枠孔部28の片面を覆うように膜26を固定し、かつ支持するためのものである。枠24は、膜26に比べて、剛性が高く、具体的には、単位面積当たりの質量及び剛性は、共に高いことが好ましい。
なお、枠24は、膜26の全周を抑えることができるように膜26を固定できる閉じた連続した形状であることが好ましいが、本発明は、これに限定されず、膜26を好適に固定できれば、一部が切断され、不連続な形状であっても良い。
また、枠24の枠孔部28の形状は、平面形状で、図示例では正方形であるが、本発明においては、特に制限的ではなく、例えば、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは円形、楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。なお、枠24の枠孔部28の両側の端部は、共に閉塞されておらず、共にそのまま外部に開放されている。
また、枠24のサイズは、平面視のサイズであり、その枠孔部28のサイズとして定義できるので、以下では、枠孔部28のサイズとする。枠孔部28の形状が円形または正方形のような正多角形の場合には、その中心を通る対向する辺間の距離、又は円相当直径と定義することができる。また、多角形、楕円又は不定形の場合には、円相当直径と定義することができる。本発明において、円相当直径とは、それぞれ面積の等しい円に換算した時の直径である。
枠24の形成材料は、膜26を支持でき、上述した防音対象物に適用する際に適した強度を持ち、防音対象物の防音環境に対して耐性があれば、特に制限的ではなく、防音対象物及びその防音環境に応じて選択することができる。例えば、枠24の材料としては、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、および、これらの合金等の金属材料;アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、および、トリアセチルセルロース等の樹脂材料;炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等の繊維強化プラスチック材料等を挙げることができる。
また、これらの枠24の材料の複数種を組み合わせて用いてもよい。
膜26は、膜振動することができる弾性を有するシート状の部材である。膜26は、周縁部を枠24の一方の開口面のフレームに固定されて支持されている。枠24に固定された膜26は、膜振動可能である。
膜の材質には限定はなく、アルミニウム、チタン、ニッケル、パーマロイ、42アロイ、コバール、ニクロム、銅、ベリリウム、リン青銅、黄銅、洋白、錫、亜鉛、鉄、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、パラジウム、鋼鉄、タングステン、鉛、および、イリジウム等の各種金属;PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリ塩化ビニルデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルベンテン、COP(シクロオレフィンポリマー)、ポリカーボネート、ゼオノア、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリプロピレン、および、ポリイミド等の樹脂材料等が利用可能である。さらに、薄膜ガラスなどのガラス材料、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)およびGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)のような繊維強化プラスチック材料を用いることもできる。または、それらを組合せたものでもよい。
また、金属材料を用いる場合には、錆びの抑制等の観点から、表面に金属めっきを施してもよい。
一方で、防音構造体全体に透明性が必要な場合は透明にできる樹脂材料やガラス材料を用いることができる。
枠24への膜26の固定方法は、特に制限的ではなく、例えば、接着剤を用いる方法、又は物理的な固定具を用いる方法などを挙げることができる。
接着剤を用いる方法は、接着剤を枠24の枠孔部28を囲む表面上に接着剤を塗布し、その上に膜26を載置し、膜26を接着剤で枠24に固定する。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン株式会社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)、スーパーX(セメダイン社製)、アクリル系接着剤等を挙げることができる。
物理的な固定具を用いる方法としては、枠24の枠孔部28を覆うように配置された膜26を枠24と棒等の固定部材との間に挟み、固定部材をネジやビス等の固定具を用いて枠24に固定する方法等を挙げることができる。
また、両面テープ(例えば日東電工株式会社製、3M社製のもの)を枠の枠孔部サイズに合わせて切り取り、その上から膜26を固定することもできる。
また、膜26を枠24に固定する際には、膜26に張力を付与して固定してもよいが、張力を付与せずに固定するのが好ましい。
また、膜26を枠24に固定する際には、膜26の端部の少なくとも一部が固定されていればよい。すなわち、一部が自由端であってもよく、固定せず単純支持の部分があってもよい。好ましくは、膜26の端部が枠24と接しており、膜26の端部(周縁部)の50%以上が枠24に固定されているのが好ましく、90%以上が枠24に固定されているのがより好ましい。
また、枠24と膜26とが、同じ材質からなり、一体的に形成されている構成であってもよい。
枠24と膜26とが一体となった構成は、圧縮成形、射出成形、インプリント、削り出し加工、および3次元形状形成(3D)プリンタを用いた加工方法などの単純な工程で作製することができる。
また、膜26は、1以上の貫通穴が穿孔されたものであっても良い。
また、膜26に錘を設けてもよい。
膜26に貫通孔、あるいは、錘を設けることで、膜振動単体の共振周波数を調整することができる。
貫通する枠孔部28を持つ枠24と、枠孔部28の片面を覆うように周囲を枠24に固定された膜26とを備える膜型共鳴構造体において、膜振動の共鳴周波数は、枠孔部28のサイズ、膜26の材質(弾性率)および膜26の厚さ等によって決まる。従って、膜型共鳴構造体の枠孔部28のサイズ、膜26の材質(弾性率)および膜26の厚さ等は、開口部102内で共鳴する音の周波数に応じて設定すればよい。
なお、枠孔部28のサイズは、特に制限的ではないが、波長より大きい枠サイズの場合、枠24の面上に音圧の正負の分布が形成され複雑な膜振動や音の流れが励起されて、周波数変化に対してフラットな防音特性が得られない場合がある等観点から、防音対象とする音の波長よりも小さいことが好ましい。
枠孔部28のサイズは、例えば、0.5mm〜300mmであることが好ましく、1mm〜100mmであることがより好ましく、10mm〜50mmであることが最も好ましい。
また、枠24の肉厚および厚さ(枠孔部28の深さ方向の厚さ)も、膜26を確実に固定することができ、膜26を確実に支持できれば、特に制限的ではないが、例えば、枠孔部28のサイズに応じて設定することができる。
例えば、枠24の肉厚は、枠孔部28のサイズが、0.5mm〜50mmの場合には、0.5mm〜20mmであることが好ましく、0.7mm〜10mmであることがより好ましく、1mm〜5mmであることが最も好ましい。
枠24の肉厚が、枠24のサイズに対して比率が大きくなりすぎると、全体に占める枠24の部分の面積率が大きくなり、デバイスが重くなる懸念がある。一方、上記比率が小さくなりすぎると、その枠24部分において接着剤などによって膜を強く固定することが難しくなってくる。
また、枠24の肉厚は、枠孔部28のサイズが、50mm超、300mm以下の場合には、1mm〜100mmであることが好ましく、3mm〜50mmであることがより好ましく、5mm〜20mmであることが最も好ましい。
また、枠24、即ち枠孔部28の厚さは、0.5mm〜200mmであることが好ましく、0.7mm〜100mmであることがより好ましく、1mm〜50mmであることが最も好ましい。
また、膜26のヤング率は、膜振動することができれば特に制限的ではない。膜26のヤング率は、1000Pa〜3000GPaであることが好ましく、10000Pa〜2000GPaであることがより好ましく、1MPa〜1000GPaであることが最も好ましい。
また、膜26の密度も、膜振動することができるものであれば、特に制限的ではない。膜26の密度は、10kg/m3〜30000kg/m3であることが好ましく、100kg/m3〜20000kg/m3であることがより好ましく、500kg/m3〜10000kg/m3であることが最も好ましい。
また、膜26の厚さは、膜振動することができれば、特に制限的ではない。例えば、膜26の厚さは、0.005mm(5μm)〜5mmであることが好ましく、0.007mm(7μm)〜2mmであることがより好ましく、0.01mm(10μm)〜1mmであることが最も好ましい。
また、図11に示す例では、共鳴消音構造体10aは、開口部102の開口断面に垂直な方向に対して、膜26の膜面を平行にして配置されているがこれに限定はされない。開口部102の開口断面に垂直な方向に対して膜26の膜面が傾いていてもよい。
なお、図11に示す例では、1つの共鳴消音構造体10cを開口部102の中央に配置する構成としたがこれに限定はされない。
図14は、本発明の防音構造体の他の一例の模式的断面図であり、図15は、図14のC2−C2線断面図である。
図14および図15に示す防音構造体は、6つの共鳴消音構造体10cを有する。6つの共鳴消音構造体10cは、開口面に垂直な方向の開口部102の中央において、開口部102の内周方向に配列されている。
6つの共鳴消音構造体を有することで、より高い消音効果を得ることができる。また、6つの共鳴消音構造体を開口部の内周方向に配列することで、6つの共鳴消音構造体を開口部の中央に配置することができ、より高い消音効果を得ることができる。また、6つの共鳴消音構造体10cの共鳴周波数は互いに異なっていてもよい。共鳴周波数が互いに異なる6つの共鳴消音構造体10cを配置することで、広い周波数帯域で消音効果を得ることができる。
また、図14および図15に示す例では、6つの共鳴消音構造体を開口部の内周方向に配列する構成としたがこれに限定はされず、開口部の軸方向に配列してもよい。
ここで、図11〜13に示す例では、共鳴消音構造体10cは、枠24の一方の開口面に膜26が固定される構成としたがこれに限定はされない。図16および図17に示すように、共鳴消音構造体10dは、枠24の両方の開口面に膜26が固定される構成としてもよい。
共鳴消音構造体10dが、枠24の両方の開口面に膜26が固定される構成の場合には、2つの膜の膜振動の共鳴周波数が互いに異なっていてもよい。これにより、広い周波数帯域で消音効果を得ることができる。
また、図11〜13に示す例では、膜型共鳴構造体である共鳴消音構造体10cは、枠24が貫通する枠孔部28を有する構成としたがこれに限定はされない。例えば、膜型共鳴構造体は、枠が未貫通の枠孔部を有し、未貫通の枠孔部の開口面を覆うように膜が固定される構成であってもよい。
未貫通の枠孔部を有し、その開口面に膜が固定される構成の場合には、膜の質量、弾性および、膜背面の閉空間の弾性によるマスバネ共振を誘起することができる。
あるいは、図18に示す例のように、貫通する枠孔部28を有する枠24の、膜26が固定される開口面とは反対側の開口面に、開口面を覆う背面板34を固定する構成としてもよい。背面板34を固定する構成とすることでも、膜の質量、弾性および、膜背面の閉空間の弾性によるマスバネ共振を誘起することができる。
また、複数の共鳴消音構造体を有する場合には、上述した気柱共鳴管、ヘルムホルツ共鳴器、および、膜型共鳴構造を組み合わせて用いてもよい。
また、共鳴消音構造体として、気柱共鳴管、あるいは、ヘルムホルツ共鳴器を用いる場合には、その開口に微細な貫通孔を有する板状部材(または膜部材)を配置してもよい。これにより、消音帯域を広げることができる。
さらに、本発明の防音構造体は、開口部内に配置される吸音材を有していてもよい。
図19は、本発明の防音構造体の他の一例の模式的断面図である。図20は、図19のC3−C3線断面図である。なお、図19に示す例は、吸音材32を有する以外は、図14と同様の構成を有する。
図19に示すように、開口部102の中央には共鳴消音構造体10cが6つ、内周方向に配列されており、共鳴消音構造体10cが配列される位置から両端部側には、吸音材32が配置されている。
図20に示すように、吸音材32は円筒状に形成されており、開口部102の内周面に配置されている。
このように、吸音材32を配置することで、吸音材による吸音効果により、防音性能をより向上できる。特に、吸音材は1kHz超の周波数の音に対して吸音効果を発揮するため、1kHz以下の音を消音できる共鳴消音構造体と組み合わせることで、より広い周波数帯で高い防音効果を得ることができる。
吸音材32としては、特に限定はなく、発泡ウレタン等の発泡材料、ならびに、グラスウール、および、マイクロファイバー(3M社製シンサレートなど)等の不織布等の種々の公知の吸音材が利用可能である。
また、吸音材としては、微細貫通孔板、および、膜と閉空間とを用いた構造等の広帯域に吸音可能な吸音構造を用いてもよい。
ここで、図19に示す例では、複数の共鳴消音構造体、ならびに、吸音材32はそれぞれ直接、開口部102内に配置される構成としたがこれに限定はされない。
複数の共鳴消音構造体は、両端が開放された筒形状のベース部材の内周部に設置されて、このベース部材ごと開口部に設置される構成であってもよい。
また、吸音材は、両端が開放された筒形状の第2ベース部材の内周部に設置されて、このベース部材ごと開口部に設置される構成であってもよい。
図21は、本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。図22は、図21に示す防音構造体の分解図である。図23は、図22をb方向から見た平面図である。図24は、図22をa方向から見た平面図である。
図21〜図24に示す例では、複数の共鳴消音構造体、および、吸音材がそれぞれユニット化されて壁部材Wの開口部102内に設置されている。
具体的には、6つの共鳴消音構造体10cとスリーブ100aとを有する第1ユニット50aと、吸音材32とスリーブ100bとを有する2つの第2ユニット50bと、吸音材32と風量調整部材104とスリーブ100cとを有する第3ユニット50cと、吸音材32とガラリ106とスリーブ100dとを有する第4ユニット50dとを有し、これらのユニットが、開口部102内に、一方の開口面側(図21中左右方向の左側)から第4ユニット50d、第2ユニット50b、第1ユニット50a、第2ユニット50b、および、第3ユニット50cの順に設置されている。
第1ユニット50aにおいてスリーブ100aは、本発明におけるベース部材であり、両端が開放された筒形状で、内周部に6つの共鳴消音構造体10cが設置される。また、スリーブ100aは、壁部材Wの開口部102に挿入可能な大きさ及び形状である。
第2ユニット50bにおいてスリーブ100bは、本発明における第2ベース部材であり、両端が開放された筒形状で、内周部に吸音材32が設置される。また、スリーブ100bは、壁部材Wの開口部102に挿入可能な大きさ及び形状である。
第3ユニット50cにおいてスリーブ100cは、本発明における第2ベース部材であり、両端が開放された筒形状で、内周部に吸音材32が設置される。また、スリーブ100cは、壁部材Wの開口部102に挿入可能な大きさ及び形状である。また、スリーブ100cには、スリーブ100cの開口面と風量調整部材104の表面とが所定の距離離間するようにして、風量調整部材104が取り付けられている。
第4ユニット50dにおいてスリーブ100dは、本発明における第2ベース部材であり、両端が開放された筒形状で、内周部に吸音材32が設置される。また、スリーブ100dは、壁部材Wの開口部102に挿入可能な大きさ及び形状である。また、スリーブ100dには、一方の開口面にガラリ106が取り付けられている。
このように、複数の共鳴消音構造体をベース部材に設置してユニット化することで、複数の共鳴消音構造体を開口部内に配置することを容易に行なうことができる。
同様に、吸音材を第2ベース部材に設置してユニット化することで、吸音材を開口部内に配置することを容易に行なうことができる。
また、開口部からの取り外しも容易に行うことができるため、メンテナンスを行う際に有効である。
また、複数の共鳴消音構造体、ならびに、吸音材をユニット化することで、種々の長さの開口部に対応してユニットの組み合わせを適宜選択することができ、複数の共鳴消音構造体、および、吸音材を適切な位置に設置することができ、また、設置を容易に行うことができる。
なお、図21および図22に示す例では、5つのユニットを組み合わせる構成としたが、これに限定はされず、例えば、2〜4つのユニットを組み合わせる構成であっても良いし、6以上のユニットを組み合わせる構成であってもよい。
また、図21および図22に示す例では、ガラリを備えるユニットを有する構成としたがこれに限定はされず、ガラリを備えるユニットを有さない構成であってもよい。
また、共鳴消音構造体を備えるユニットを開口部内の所定の位置に配置できれば、ユニットの配置順も特に限定はない。
また、図11に示す例では、開口部102の中央のみに共鳴消音構造体10cを配置する構成としたが、これに限定はされない。さらに、共鳴消音構造体を開口面(開口端補正を考慮した位置であるのが好ましい)から開口部の2次の共鳴周波数の音の波長λ2の1/4の位置に配置してもよい。
図25は、本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。
図25では、3つの共鳴消音構造体10cが開口部102内に配置されている。3つの共鳴消音構造体10cのうち1つは、開口部102の中央に配置される。また、2つの共鳴消音構造体10cはそれぞれ、一方の開口面から距離L3の位置に配置されている。距離L3は、開口部102の長さをL1、開口部の2次の共鳴周波数の音の波長λ2とすると、L1/4−λ2/4≦L3≦L1/4+λ2/4を満たす。すなわち、距離L3は、開口部102の長さL1の略1/4の長さである。
前述のとおり、開口部102の開口面と風量調整部材104との間にわずかな隙間があると、風量調整部材104を配置しても、両端が開放された場合と同様の対称な音場が形成される。開口部102に生じる定在波の2次の周波数では、開口部102の長さの1/4の位置において音圧が最も高くなる。従って、音圧が最も高くなる開口部102の長さの1/4の位置に共鳴消音構造体10cを配置することで、開口部102で共鳴する音を効果的に消音することができる。
開口部102の長さの1/4の位置に配置する共鳴消音構造体10cの共鳴周波数fsは、開口部で共鳴する音の2次の共鳴周波数fd2と一致するのが好ましい。すなわち、0.8×fd2≦fs≦1.2×fd2を満たすのが好ましい。
図26は、本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。
図26では、2つの共鳴消音構造体10cが開口部102内に配置されている。2つの共鳴消音構造体10cはそれぞれ、一方の開口面から距離L3の位置に配置されている。距離L3は、開口部102の長さをL1、開口部の2次の共鳴周波数の音の波長λ2とすると、L1/4−λ2/4≦L3≦L1/4+λ2/4を満たす。すなわち、距離L3は、開口部102の長さL1の略1/4の長さである。
前述のとおり、開口部102の開口面と風量調整部材104との距離が0.5mm以上であると、風量調整部材104を配置しても、両端が開放された場合と同様の対称な音場が形成される。開口部102に生じる定在波の2次共鳴周波数では、開口部102の長さの1/4の位置において音圧が最も高くなる。従って、2次共鳴周波数の音圧が最も高くなる開口部102の長さの1/4の位置に共鳴消音構造体10cを配置することで、開口部102で共鳴する2次共鳴周波数の音を効果的に消音することができる。
以下に、本発明の防音構造体、ならびに、防音構造体を持つ防音部材に組合せることができる構造部材の物性、又は特性について説明する。
[難燃性]
建材や機器内防音材として本発明の防音構造体を持つ防音部材を使用する場合、難燃性であることが求められる。
そのため、膜は、難燃性のものが好ましい。膜としては、例えば難燃性のPETフィルムであるルミラー(登録商標)非ハロゲン難燃タイプZVシリーズ(東レ株式会社製)、テイジンテトロン(登録商標)UF(帝人株式会社製)、及び/又は難燃性ポリエステル系フィルムであるダイアラミー(登録商標)(三菱樹脂株式会社製)等を用いればよい。
また、枠も、難燃性の材質であることが好ましく、アルミニウム等の金属、セミラックなどの無機材料、ガラス材料、難燃性ポリカーボネート(例えば、PCMUPY610(タキロン株式会社製))、及び/又はや難燃性アクリル(例えば、アクリライト(登録商標)FR1(三菱レイヨン株式会社製))などの難燃性プラスチックなどが挙げられる。
さらに、膜を枠に固定する方法も、難燃性接着剤(スリーボンド1537シリーズ(株式会社スリーボンド製))、半田による接着方法、又は2つの枠で膜を挟み固定するなどの機械的な固定方法が好ましい。
[耐熱性]
環境温度変化にともなう、本発明の防音構造体の構造部材の膨張伸縮により防音特性が変化してしまう懸念があるため、この構造部材を構成する材質は、耐熱性、特に低熱収縮のものが好ましい。
膜は、例えばテイジンテトロン(登録商標)フィルム SLA(帝人デュポンフィルム株式会社製)、PENフィルム テオネックス(登録商標)(帝人デュポンフィルム株式会社製)、及び/又はルミラー(登録商標)オフアニール低収縮タイプ(東レ株式会社製)などを使用することが好ましい。また、一般にプラスチック材料よりも熱膨張率の小さいアルミニウム等の金属膜を用いることも好ましい。
また、枠は、ポリイミド樹脂(TECASINT4111(エンズィンガージャパン株式会社製))、及び/又はガラス繊維強化樹脂(TECAPEEKGF30(エンズィンガージャパン株式会社製))などの耐熱プラスチックを用いること、及び/又はアルミニウム等の金属、又はセラミック等の無機材料やガラス材料を用いることが好ましい。
さらに、接着剤も、耐熱接着剤(TB3732(株式会社スリーボンド製)、超耐熱1成分収縮型RTVシリコーン接着シール材(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、及び/又は耐熱性無機接着剤アロンセラミック(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)を用いることが好ましい。これら接着を膜または枠に塗布する際は、1μm以下の厚みにすることで、膨張収縮量を低減できることが好ましい。
[耐候・耐光性]
屋外や光が差す場所に本発明の防音構造体を持つ防音部材が配置された場合、構造部材の耐侯性が問題となる。
そのため、膜は、特殊ポリオレフィンフィルム(アートプライ(登録商標)(三菱樹脂株式会社製))、アクリル樹脂フィルム(アクリプレン(三菱レイヨン株式会社製))、及び/又はスコッチカルフィルム(商標)(3M社製)等の耐侯性フィルムを用いることが好ましい。
また、枠は、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリル(アクリル)などの耐侯性が高いプラスチックやアルミニウム等の金属、セラミック等の無機材料、及び/又はガラス材料を用いることが好ましい。
さらに、接着剤も、エポキシ樹脂系のもの、及び/又はドライフレックス(リペアケアインターナショナル社製)などの耐侯性の高い接着剤を用いることが好ましい。
耐湿性についても、高い耐湿性を有する膜、枠、及び接着剤を適宜選択することが好ましい。吸水性、耐薬品性に関しても適切な膜、枠、及び接着剤を適宜選択することが好ましい。
[ゴミ]
長期間の使用においては、膜にゴミが付着し、本発明の防音構造体の防音特性に影響を与える可能性がある。そのため、ゴミの付着を防ぐ、または付着したゴミ取り除くことが好ましい。
ゴミを防ぐ方法として、ゴミが付着し難い材質の膜を用いることが好ましい。例えば、導電性フィルム(フレクリア(登録商標)(TDK株式会社製)、及び/又はNCF(長岡産業株式会社製))などを用いることで、膜が帯電しないことで、帯電によるゴミの付着を防ぐことができる。また、フッ素樹脂フィルム(ダイノックフィルム(商標)(3M社製))、及び/又は親水性フィルム(ミラクリーン(ライフガード株式会社製)、RIVEX(リケンテクノス株式会社製)、及び/又はSH2CLHF(3M社製))を用いることでも、ゴミの付着を抑制できる。さらに、光触媒フィルム(ラクリーン(株式会社きもと製))を用いることでも、膜部材の汚れを防ぐことができる。これらの導電性、親水性、及び/又は光触媒性を有するスプレー、及び/又はフッ素化合物を含むスプレーを膜に塗布することでも同様の効果を得ることができる。
上述したような特殊な膜を使用する以外に、膜上にカバーを設けることでも汚れを防ぐことが可能である。カバーとしては、薄い膜材料(サランラップ(登録商標)など)、ゴミを通さない大きさの網目を有するメッシュ、不織布、ウレタン、エアロゲル、ポーラス状のフィルム等を用いることができる。
付着したゴミを取り除く方法としては、膜の共鳴周波数の音を放射し、膜を強く振動させることで、ゴミを取り除くことができる。また、ブロワー、又はふき取りを用いても同様の効果を得ることができる。
[風圧]
強い風が膜に当たることで、膜が押された状態となり、共振周波数が変化する可能性がある。そのため、膜を、不織布、ウレタン、及び/又はフィルムなどでカバーすることで、風の影響を抑制することができる。
[配置]
本発明の防音構造体を有する防音部材を開口部の内壁に簡易に取り付け、又は取外しできるようにするため、防音部材に磁性体、マジックテープ(登録商標)、ボタン、吸盤などからなる脱着機構が取り付けられていることが好ましい。例えば、防音部材の側面に脱着機構を取付けて置き、脱着機構を開口部内壁に取付けて、防音部材を開口部の内壁に取り付けられるようにしてもよい。また、防音部材に取り付けられた脱着機構を開口部内壁から取り外して、防音部材を開口部内壁から離脱させるようにしても良い。
また、複数の共鳴消音構造体を組合せる場合には、容易に共鳴消音構造体を組み合わせられるように、各共鳴消音構造体に磁性体、マジックテープ(登録商標)、ボタン、および、吸盤などの脱着機構が取り付けられていることが好ましい。
また、各共鳴消音構造体に凹部および凸部を設け、一方の共鳴消音構造体の凸部と他方の共鳴消音構造体の凹部とをかみ合わせて共鳴消音構造体の脱着を行ってもよい。複数の共鳴消音構造体を組み合わせる場合には、1つの共鳴消音構造体に凸部及び凹部の両方を設けても良い。
更に、上述した脱着機構と、凸部および凹部とを組み合わせて共鳴消音構造体の着脱を行うようにしても良い。
なお、本発明において、開口部は、気体の通過を遮断する物体の領域内に形成される開口であり、2つの空間を隔てる壁部材に設けられることが好ましい。
ここで、開口が形成される領域を持ち気体の通過を遮断する物体とは、2つの空間を隔てる部材、及び壁等を言い、部材としては、管体、筒状部材等の部材を言い、壁としては、例えば、家、ビル、工場等の建造物の構造体を構成する固定壁、建造物の部屋内に配置され、部屋内を仕切る固定間仕切り(パーティション)等の固定壁、建造物の部屋内に配置され、部屋内を仕切る可動間仕切り(パーティション)等の可動壁等を言う。
本発明において開口部とは、窓枠、戸、出入り口、換気口、ダクト部、ルーバー部などに形成される、通気や放熱、物質の移動を目的として形成される開放部である。
なお、開口部の形状は、断面形状で、図示例では円形であるが、防音構造体を開口部内に配置できれば、特に制限的ではなく、例えば、正方形、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、二等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。
また、壁部材の材料としては、特に制限的ではなく、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、これらの合金等の金属材料、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の樹脂材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)、建造物の壁材と同様なコンクリート、モルタル、木材等の壁材等を挙げることができる。
また、壁部材に形成された開口部には、円筒形状のスリーブが挿入されていてもよい。スリーブの材料としては、ポリ塩化ビニル(塩ビ)等の樹脂材料、ステンレス鋼等の金属材料を挙げることができる。
壁部材に形成された開口部にスリーブを挿入することで、開口部内に水が浸入することを防止でき、共鳴消音構造体および吸音材が水にぬれるのを防止できる。また、開口部にスリーブを配置した構成とすることで、ユニット化した共鳴消音構造体、および、吸音材を容易に設置することができる。
以上、本発明の防音構造体についての種々の実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[参考例1]
まず、壁部材Wに開口部が設けられ、一方の開口面側に風量調整部材が配置された一例を用いて、開口部で共鳴する音の周波数と透過率との関係を測定した。開口面と風量調整部材との距離は18mmである。
壁部材Wは、材質がコンクリート、厚さが250mmとした。
壁部材Wに直径156mmの貫通孔を形成し、この貫通孔に外径156mm、内径150mmのポリ塩化ビニル(塩ビ)製のスリーブを挿入した。すなわち、壁部材Wに設けられる開口部の直径は150mm、長さは250mmとした。
風量調整部材は、材質がABS樹脂、大きさ150mm×150mm、厚み3mmとした。
この開口部を透過する音の透過率を、有限要素法の解析ソフトウェアであるCOMSOLver5.1(COMSOL Inc)の音響モジュールを用いて設計を行い、シミュレーションにより求めた。
結果を図27に示す。
図27に示すように、2つの空間を隔てる壁部材Wに設けられた開口部を透過する音の透過率は、420Hz近傍、840Hz近傍、1260Hz近傍等にピークを有することがわかる。420Hzが、開口部で共鳴する音の最低次の共鳴周波数であり、840Hzが、開口部で共鳴する音の2次の共鳴周波数である。
次に、開口部の長さ(壁部材Wの厚さ)、および、開口部の直径を種々変更して、開口部内の位置と音圧との関係をシミュレーションにより求めた。なお、音圧は最低次の共鳴周波数における音圧とした。
開口部の長さ(壁部材Wの厚さ)を100mmとし、開口部の直径を100mm、150mmおよび200mmとした場合の結果を図28に示す。開口部の長さ(壁部材Wの厚さ)を250mmとし、開口部の直径を100mm、150mmおよび200mmとした場合の結果を図29に示す。開口部の長さ(壁部材Wの厚さ)を500mmとし、開口部の直径を100mm、150mmおよび200mmとした場合の結果を図30に示す。
なお、図28〜図30において、音圧(振幅の絶対値)は、各条件における最大音圧を1として最大音圧に対する比率で表した。
図28〜図30に示すように、開口部の長さおよび直径がいずれの場合であっても、開口部の中央位置で音圧が最も大きくなり、両端部側で音圧が最も小さくなることがわかる。
[参考例2]
次に、壁部材Wに設けられた開口部の一方の開口面側に、風量調整部材を配置した一例を用いて、開口部を透過する音の音圧をシミュレーションにより求めた。
開口部の長さは250mm、直径は150mmとした。
風量調整部材は、材質がABS樹脂、大きさ150mm×150mm、厚み3mmとした。
風量調整部材と開口面との距離D1を0mm(すなわち閉じた場合)、0.5mm、5mm、および、18mmとして開口部内の位置と音圧との関係をシミュレーションにより求めた。
なお、風量調整部材と開口面との距離D1によって開口部を透過する音の共振周波数が異なっていた。具体的には、距離D1が0mmの場合は最低次の共振周波数は240Hzであった。距離D1が0.5mmの場合は最低次の共振周波数は360Hzであった。距離D1が5mmの場合は最低次の共振周波数は380Hzであった。距離D1が18mmの場合は最低次の共振周波数は400Hzであった。
開口部内の位置と音圧との関係を示すグラフを図31に示す。また、風量調整部材と開口面との距離D1と、音圧が最大となる開口部内の位置との関係を図32に示す。
図31および図32に示すように、距離D1が0mmの場合には、開口部内における音圧の分布が非対称になり音圧が最大となる位置が風量調整部材側の端面となる。一方、距離D1が0.5mm以上の場合には、開口部内における音圧の分布が対称になり音圧が最大となる位置が開口部の中央の位置となることがわかる。
[実施例1]
実施例1として、図7に示すような、膜型共鳴構造体である共鳴消音構造体を開口部内に配置する構成として透過損失を測定した。
<共鳴消音構造体>
共鳴消音構造体の枠は、材質がABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)製とし、外形が長さ54mm×幅54mm×厚み23mmとし、厚み方向に、断面の大きさ48mm×48mm、深さが3mmの枠孔部が形成されたものとした。枠は3Dプリンター(Ultimaker2 BRULE社製)を用いて作製した。
膜は、大きさ54mm×54mm、厚み80μmの銅膜を用いた。
枠の一方の開口面のフレーム上に膜を接着剤で固定し、さらに、他方の開口面に厚み3mmのABS樹脂製の板を配置し、共鳴消音構造体を作製した。
作製した共鳴消音構造体の膜振動の共鳴周波数を測定したところ430Hzであった。
作製した共鳴消音構造体を、風量調整部材が配置された開口部内に設置して、透過損失を測定した。
開口部の長さは250mm、直径は150mmとした。風量調整部材と開口面との距離D1は、0.5mmとした。
共鳴消音構造体の設置位置は、開口部の中央の位置(0mm)、中央から風量調整部材が配置されていない開口面側に45mmの位置(−45mm)、中央から風量調整部材が配置されている開口面側に45mmの位置(+45mm)、中央から風量調整部材が配置されていない開口面側に90mmの位置(−90mm)、中央から風量調整部材が配置されている開口面側に90mmの位置(+90mm)とした。
開口部に共鳴消音構造体を設置して透過損失を測定した結果、ならびに、共鳴消音構造体を設置せずに透過損失を測定した結果を図33に示す。
図33に示すように、開口部内に共鳴消音構造体を設置することで、開口部で共鳴する音の共鳴周波数近傍で、透過損失を大きくすることができることがわかる。すなわち、消音することができることがわかる。
また、開口部内の中央に近い位置に配置することで、透過損失がより大きくなることがわかる。すなわち、消音効果が高くなることがわかる。
[実施例2]
実施例2として、図14に示すような、6つの共鳴消音構造体を開口部内の中央位置に配置する構成として透過損失を測定した。
<共鳴消音構造体>
6つ共鳴消音構造体は、いずれも枠の材質がABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)製とし、外形が長さ95mm×幅54mm×厚み24mmとした。また、枠孔部はそれぞれ、長さ89mm×幅48mm×深さ21mm、長さ89mm×幅48mm×深さ20mm、長さ69mm×幅48mm×深さ19mm、長さ54mm×幅48mm×深さ19mm、長さ48mm×幅48mm×深さ16mm、長さ44mm×幅48mm×深さ13mmとした。
また、膜はいずれも厚み80μmの銅膜を用いた。
各共鳴消音構造体の共鳴周波数は、310Hz、330Hz、360Hz、400Hz、440Hz、480Hzであった。
作製した6つの共鳴消音構造体を、風量調整部材が配置された開口部内の中央の内周方向に配列して、透過損失を測定した。
開口部の長さは250mm、直径は150mmとした。風量調整部材と開口面との距離D1は、0.5mmとした。
結果を図34に示す。
図34に示すように、開口部で共鳴する音の共鳴周波数近傍で、透過損失を大きくすることができることがわかる。すなわち、消音することができることがわかる。また、図33に示す共鳴消音構造体が1つの場合と比較して、開口部を透過する音の共鳴周波数近傍の広い周波数帯域で消音できることがわかる。
[実施例3]
実施例3として、図19に示すような、6つの共鳴消音構造体を開口部内の中央位置に配置し、さらに、6つ共鳴消音構造体が配置される位置の両側には、吸音材が配置した構成として透過損失を測定した。
6つの共鳴消音構造体の構成および配置は実施例2と同様である。
吸音材は、材質が発泡ウレタン、外径150mm、内径130mm、長さ100mmの円筒形状とした。
2つの吸音材を6つ共鳴消音構造体が配置される位置の両側それぞれに配置して、透過損失を測定した。
結果を図35に示す。図35には、実施例3(共鳴消音構造体6つ+吸音材の構成)、実施例2(共鳴消音構造体6つの構成)、および、共鳴消音構造体なしの構成の透過損失の測定結果を示している。
図35に示すように、共鳴消音構造体に加えて吸音材を配置することで、開口部で共鳴する音の最低次の共鳴周波数近傍で、消音することができることに加えて、最低次の共鳴周波数よりも高い周波数帯域で大きく吸音することができることがわかる。
以上より本発明の効果は明らかである。
10a、10b、10c、10d 共鳴消音構造体
12 気柱共鳴管
14 開口
16 管内
18 容器
20 開口
22 内部
24 枠
26 膜
28 枠孔部
32 吸音材
34 背面板
50a 第1ユニット
50b 第2ユニット
50c 第3ユニット
50d 第4ユニット
100、100a、100b、100c、100d スリーブ
102 開口部
104 風量調整部材
106 ガラリ

Claims (15)

  1. 2つの空間を隔てる壁部材に設けられた開口部内に配置される共鳴消音構造体を有する防音構造体であって、
    前記開口部の一方の開口面側に、前記開口面から離間した位置に風量調整部材が配置され、
    前記共鳴消音構造体は、前記開口部内で共鳴する音の周波数で共鳴するものであり、
    前記共鳴消音構造体は、前記開口面に垂直な方向において、前記開口部の中央に配置されている防音構造体。
  2. 前記共鳴消音構造体の共鳴周波数が前記開口部内で共鳴する音の最低次の周波数である請求項1に記載の防音構造体。
  3. 前記共鳴消音構造体を前記開口面から前記開口部内で共鳴する音の波長の1/4の位置に配置し、
    前記共鳴消音構造体の共鳴周波数が前記開口部内で共鳴する音の2次の周波数である請求項1に記載の防音構造体。
  4. 前記共鳴消音構造体が気柱共鳴管である請求項1〜3のいずれか一項に記載の防音構造体。
  5. 前記気柱共鳴管は、管長さ方向が前記開口部の内周方向に一致する請求項4に記載の防音構造体。
  6. 前記共鳴消音構造体は、ヘルムホルツ共鳴器である請求項1〜3のいずれか一項に記載の防音構造体。
  7. ヘルムホルツ共鳴器は、最も長い辺を前記開口部の内周方向に沿って配置されている請求項6に記載の防音構造体。
  8. 前記共鳴消音構造体は、貫通した枠孔部を有する枠と、前記枠孔部を覆って前記枠に周囲を固定される膜とを有する膜型共鳴構造体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の防音構造体。
  9. 前記枠の前記枠孔部の両方の端面それぞれに前記膜が固定されている請求項8に記載の防音構造体。
  10. 2つの前記膜の膜振動の共鳴周波数が互いに異なる請求項9に記載の防音構造体。
  11. 複数の前記共鳴消音構造体を有し、
    複数の前記共鳴消音構造体が前記開口部の内周方向に沿って配置されている請求項1〜10のいずれか一項に記載の防音構造体。
  12. 複数の前記共鳴消音構造体の共鳴周波数が互いに異なる請求項1〜11のいずれか一項に記載の防音構造体。
  13. 両端が開放された筒形状で、内周部に複数の前記共鳴消音構造体が設置されるベース部材を有し、
    前記ベース部材が前記開口部に着脱可能に設けられている請求項1〜12のいずれか一項に記載の防音構造体。
  14. 前記開口部内に配置される吸音材を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載の防音構造体。
  15. 両端が開放された筒形状で、内周部に吸音材が設置される第2ベース部材を有し、
    前記第2ベース部材が前記開口部に着脱可能に設けられている請求項14に記載の防音構造体。
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