JPWO2018131434A1 - 拡管工具、拡管装置、及び伝熱管の拡管方法、並びに熱交換器の製造方法 - Google Patents

拡管工具、拡管装置、及び伝熱管の拡管方法、並びに熱交換器の製造方法 Download PDF

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Abstract

被加工管(3)の開口端から被加工管(3)の内部に挿入されて、被加工管(3)の管径を拡大する拡管工具(2a)であって、被加工管(3)の内面を押圧して、被加工管(3)の管径を拡大する拡管部材(21)と、被加工管(3)の内面に面接触して、拡管工具(2a)の被加工管(3)に対する姿勢を保持する姿勢保持部材(22)とを備え、姿勢保持部材(22)は、拡管部材(21)に先行して被加工管(3)に挿入される位置に配置されて、拡管部材(21)に固定されている。

Description

この発明は、拡管工具、拡管装置、及び伝熱管の拡管方法、並びに熱交換器の製造方法に関するものである。
空調機器が備える熱交換器は、冷媒中の熱を環境に放出させ、あるいは環境中の熱を冷媒中に吸収させる装置である(特許文献1)。熱交換器は冷媒の流路を構成する伝熱管と、伝熱面積を広げて放熱/吸熱効率を改善する伝熱フィンとを備える。具体的には、熱交換器は、間隔を空けて互いに平行に配列された多数の伝熱フィンを備える伝熱フィン列に、冷媒を移送する複数本の伝熱管を挿通させて構成される。つまり、熱交換器は、多数の伝熱フィンを備える伝熱フィン列に複数本の伝熱管を串刺しにして構成される。また、伝熱管の開口端は、U字形に曲げられた接続管の一方の端部が接続され、接続管の他方の端部は他の伝熱管の開口端に接続される。熱交換器が備える複数の伝熱管は、接続管を介して互いに接続されて、1本の流路を構成している。
熱交換器において伝熱フィン列を構成する伝熱フィンには、伝熱管を挿通させる透穴が穿設されている。透穴は、伝熱管の取り付けを容易にするために、組立前の伝熱管よりも僅かに大きな径を有している。そのため、伝熱管を伝熱フィン列に差し込むと、伝熱管と透穴の間には、僅かな隙間が生じる。この隙間を解消して、伝熱管の外周面を伝熱フィンに密着させるために、伝熱管は伝熱フィン列に取り付けられた後で、伝熱管の直径を拡大する加工がされる。つまり、伝熱管は伝熱フィン列に取り付けられた後で、拡管される。伝熱管と透穴の間の隙間を解消して、伝熱管は伝熱フィンに密着させるために施される拡管加工は一次拡管と呼ばれる。
また、熱交換器を構成する伝熱管の間に置かれて、伝熱管を相互に接続する接続管は、その端部が伝熱管の開口端に差し込まれて、その後、ろう付けされて、伝熱管に固定される。通常の場合、接続管には、一次拡管後の伝熱管と同一の内外径を有する管材が使用される。そのため、そのままでは、接続管の端部を伝熱管の開口端に差し込むことができない。そこで、接続管を伝熱管に取り付ける前に、伝熱管の開口端の直径を、接続管が挿入できるように、拡大する拡管加工が施される。接続管を伝熱管に取り付けるために、伝熱管の開口端に施される拡管加工は二次拡管と呼ばれる。
伝熱管の拡管は、拡管工具を伝熱管に挿入して行う。拡管工具は、伝熱管の内面に、半径方向に圧力を加えて、塑性変形させて、伝熱管の直径を拡大する工具である。
特許文献2には、拡管ポンチと楔状のピンを備える拡管工具が開示されている。この拡管ポンチを伝熱管に挿入して、拡管ポンチに楔状のピンを押し込むと、拡管ポンチが伝熱管の直径を広げる方向に広がり、その結果、伝熱管の直径が拡大される(特許文献2,図4)。また、特許文献2には、拡管ビレットを伝熱管内に押し入れて熱交換器用チューブを拡管する拡管方法が開示されている(特許文献2,図7)。
特許文献3には、伝熱管の内面に液圧を与えて、伝熱管の直径を広げるように構成された拡管工具が開示されている(特許文献3,図1)。
特開2007−187413号公報 特開2000−42668号公報 特開2001−269733号公報
前述した拡管工具は、拡管工具を伝熱管に対して進退させる拡管装置に片持ち支持されて取り付けられる。そのため、拡管工具を伝熱管に挿入する過程で、拡管工具に意図しない傾斜が生じることがある。あるいは、伝熱管は弾性を有する長尺の部材なので、拡管工具を伝熱管に挿入する過程で、伝熱管に意図しない傾斜が生じることがある。いずれにせよ、拡管工具を伝熱管に挿入する過程で、拡管工具が伝熱管に対して相対的に傾くことがある。その結果、伝熱管に歪みが生じることがある。伝熱管の歪みの影響は伝熱フィン列に及ぶことがある。つまり、伝熱フィン列に歪みが生じることがある。その結果、伝熱管や伝熱フィン列に亀裂が生じたりすることがある。
このように、特許文献2,3に記載の拡管工具を使って、熱交換器の伝熱管の拡管を行うと、伝熱管や伝熱フィン列に歪みが生じることがあるという問題がある。その結果、伝熱管や伝熱フィン列に亀裂が生じたりすることがあるという問題がある。
本発明は、上記の問題を解決するために成されたものであり、被加工管に歪みが生じにくい拡管工具と拡管装置を提供することを目的とする。また、伝熱管や伝熱フィン列に意図しない変形が生じにくい伝熱管の拡管方法、並びに熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る拡管工具は、被加工管の開口端から被加工管の内部に挿入されて、被加工管の管径を拡大する拡管工具であって、被加工管の内面を押圧して、被加工管の管径を拡大する拡管部材と、被加工管の内面に面接触して、拡管工具の被加工管に対する姿勢を保持する姿勢保持部材とを備え、姿勢保持部材は、拡管部材に先行して被加工管に挿入される位置に配置されて、拡管部材に固定されているものである。
本発明に係る拡管工具は、拡管工具の被加工管に対する姿勢を保持する姿勢保持部材を備えるので、被加工管に対して傾くことなく、被加工管に挿入される。そのため、被加工管に歪みが生じたり、亀裂が生じたりすることがない。本発明に係る拡管装置は、前述の拡管工具を備えているので、被加工管に歪みが生じたり、亀裂が生じたりすることなしに、被加工管に拡管加工を施すことができる。本発明に係る伝熱管の拡管方法によれば、前述の拡管工具を用いて、熱交換器を構成する伝熱管に拡管加工を施すので、伝熱管や伝熱フィンに歪みが生じたり、亀裂が生じたりすることがない。このように、本発明によれば、拡管加工の品質が向上する。また、本発明に係る熱交換器の製造方法によれば、伝熱管や伝熱フィンに歪みが生じたり、亀裂が生じたりすることがないので、熱交換器全体の品質が向上する。
本発明の実施の形態に係る拡管装置の構成を示す側面図 図1に記載の拡管装置が備える拡管工具であって一次拡管に使用される拡管工具の構成を示す側面図 図1に記載の拡管装置が備える拡管工具であって二次拡管に使用される拡管工具の構成を示す側面図 拡管工具を図3AにおいてA−A’線で示した平面で切断した断面図 拡管工具を図3AにおいてB−B’線で示した平面で切断した断面図 本発明の実施の形態に係る拡管方法の対象である熱交換器の構成を示す平面図 図4に記載の熱交換器が備える伝熱管に対して一次拡管を施す工程を示す説明図 図4に記載の熱交換器が備える伝熱管に対して一次拡管を施す工程を示す説明図 図4に記載の熱交換器が備える伝熱管に対して二次拡管を施す工程を示す説明図 図4に記載の熱交換器が備える伝熱管に対して二次拡管を施す工程を示す説明図 図4に記載の熱交換器が備える伝熱管に対して二次拡管を施す工程を示す説明図
以下、本発明に係る拡管工具、拡管装置、及び拡管方法の実施の形態を、図1〜図6Cを参照して詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
図1は、本発明の実施の形態に係る拡管装置1の構成を説明する側面図である。図1に示すように、拡管装置1は、拡管工具2と、拡管工具2を被加工管3に対して進退させる進退装置4を備えて構成される。拡管工具2は、被加工管3の開口端31から被加工管3の内部に挿入されて、被加工管3の内面に圧力を加えて、塑性変形させて、被加工管3の直径を拡大する工具である。拡管工具2の詳細な構成と作用については後述する。
被加工管3は、拡管装置1の加工対象の金属管であって、図示しないクランプ手段で、図に示す位置と姿勢を保つように固定されている。
進退装置4は、図に示す位置に固定される固定部41と、固定部41に進退自在に取り付けられた進退部42を備えている。進退部42は、図示しない駆動手段を介して固定部41に取り付けられていて、被加工管3に対して進退する。進退部42には、ロッド43が固定されている。ロッド43は被加工管3に向かう方向に延びていて、先端には拡管工具2が取り付けられている。拡管装置1は、このように構成されているので、拡管工具2を被加工管3に対して進退させることができる。
なお、図1は、進退部42が後退した状態を示している。図示しない駆動手段を動作させて、進退部42を前進させると、拡管工具2は、被加工管3の内部に挿入されて、被加工管3の管径が拡大される。
図2は、拡管装置1が備える拡管工具2であって、一次拡管に使用される拡管工具2aの側面図である。図2に示すように、拡管工具2aは、拡管部材21と姿勢保持部材22とを備えている。拡管部材21は被加工管3の内面を押圧して、被加工管3の管径を拡大する、金属製の球状の中実体である。姿勢保持部材22は、金属製の円柱状の中実体であって、拡管部材21の被加工管3寄りの端部に固定されている。つまり、姿勢保持部材22は拡管部材21に先行して被加工管3に挿入される位置に配置されて、拡管部材21に固定されている。姿勢保持部材22は、本体部221と先端部222を有している。本体部221と先端部222の横断面の直径、つまり姿勢保持部材22の横断面の直径は拡管前の被加工管3の内径に実質的に等しくされている。そのため、姿勢保持部材22を拡管前の被加工管3に挿通すると、姿勢保持部材22は拡管前の被加工管3に内面に面接触する。また、姿勢保持部材22は被加工管3に支持されて摺動する。その結果、拡管工具2aを被加工管3に挿入する時に、拡管工具2aが被加工管3に対して傾くことがない。このように、姿勢保持部材22は、拡管工具2aが被加工管3に対して傾くことがないように、拡管工具2aの被加工管3に対する姿勢を保持する部材として機能する。そのため、拡管工具2aを被加工管3に挿入して、被加工管3に拡管加工を施す場合に、歪みや過大な応力が生じることがない。
なお、拡管工具2aの姿勢保持部材22の外径は、一次拡管される前の被加工管3の内径より僅かに小さくされる。つまり、拡管工具2aの姿勢保持部材22の外径は、姿勢保持部材22が一次拡管される前の被加工管3の内面に対して実質的に面接触し、姿勢保持部材22が被加工管3に対して摺動するような大きさが選ばれる。拡管工具2aの拡管部材21の外径は、一次拡管された後の被加工管3の外径が、被加工管3が挿通される透穴の内径よりも僅かに大きくなるような大きさが選ばれる。
図3Aは、拡管装置1が備える拡管工具2であって、二次拡管に使用される拡管工具2bの側面図である。拡管工具2bの基本的な構成は、拡管工具2aと同一である。すなわち、拡管工具2bは、拡管部材21と姿勢保持部材22とを備えている。また、姿勢保持部材22は、金属製の円柱状の中実体であって、拡管部材21の被加工管3寄りの端部に固定されている。つまり、姿勢保持部材22は拡管部材21に先行して被加工管3に挿入される位置に配置されて、拡管部材21に固定されている。
拡管工具2bが備える拡管部材21は、本体部211と中間部212を有している。本体部211と中間部212は金属で構成された中実体である。本体部211の横断面形は図3Bに示すように円形をなしていて、本体部211は円柱状をなしている。中間部212は本体部211と姿勢保持部材22の間にあって、本体部211との境界面における横断面形の直径は本体部211の横断面形の直径に等しくされ、姿勢保持部材22との境界面における横断面形の直径は図3Cに示すような姿勢保持部材22の横断面形の直径に等しくされている。また、中間部212の横断面形の直径は、本体部211との境界面と姿勢保持部材22との境界面の間で連続して変化する。本実施の形態においては、中間部212の側面形の輪郭は曲線を描いている。このように、中間部212の横断面形の直径は、本体部211に近付くにしたがって漸増する。
拡管工具2bが備える姿勢保持部材22は、本体部221と先端部222を有している。本体部221は金属で構成された中実体である。本体部221の横断面形は図3Cに示すように円形をなしていて、本体部221は円柱状をなしている。先端部222は金属で構成された半球状の中実体である。姿勢保持部材22の横断面形の直径は、拡管前の被加工管3の内径に実質的に等しくされているので、姿勢保持部材22は拡管前の被加工管3に挿通すると、姿勢保持部材22は拡管前の被加工管3に内面に面接触する。また、姿勢保持部材22は被加工管3に支持されて摺動する。そのため、このように、姿勢保持部材22は、拡管工具2bが被加工管3に対して傾くことがないように、拡管工具2bの被加工管3に対する姿勢を保持する部材として機能する。そのため、拡管工具2bを被加工管3に挿入して、被加工管3に拡管加工を施す場合に、歪みや過大な応力が生じることがない。
なお、拡管工具2bの姿勢保持部材22の外径は、二次拡管される前の被加工管3の内径より僅かに小さくされる。つまり、姿勢保持部材22の外径は、姿勢保持部材22が二次拡管される前の被加工管3の内面に対して実質的に面接触し、姿勢保持部材22が被加工管3に対して摺動するような大きさが選ばれる。拡管工具2bの拡管部材21の外径は、二次拡管された後の被加工管3の開口端の内径が、被加工管3の開口端に挿入される接続管の外径よりも僅かに大きくなるような大きさが選ばれる。
最後に拡管装置1と拡管工具2b,2aを使用して、熱交換器5が備える伝熱管53に対して拡管加工を行う方法を説明する。
図4は、拡管加工の加工対象である熱交換器5の構成を示す平面図である。図4に示すように、熱交換器5は、間隔を空けて互いに平行に配列された多数の伝熱フィン51を備える伝熱フィン列52に、伝熱フィン列52と直交する方向に間隔を空けて互いに平行に配列された複数の伝熱管53を挿通させて構成される。
伝熱管53は、互いに平行に配置された往路部531と復路部532と備えていて、往路部531と復路部532の間には曲がり部533があって、両者を連絡している。そのため、外部から入口端534を通って往路部531に流入した冷媒は、曲がり部533を通って復路部532に流れ、出口端535を通って外部に流出する。また、入口端534と出口端535は伝熱フィン列52の一方端の外側に配置され、曲がり部533は伝熱フィン列52の他方端の外側に配置されている。また、隣接する2本の伝熱管53の間には、U字形に曲げられた接続管54が取り付けられていて、一方の伝熱管53の出口端535から流出した冷媒は、接続管54を通って、他方の伝熱管53の入口端534に流れる。
また、図4に示すように、伝熱フィン列52の両端にはサイドプレート55が配置されている。サイドプレート55は伝熱フィン51と平行に配置された構造部材である。熱交換器5はサイドプレート55を介して、図示しないフレームに固定される。
(一次拡管)
図5Aは、一次拡管を行う前の熱交換器5の伝熱フィン51と伝熱管53とサイドプレート55の形状を示す部分断面図である。図5Aに示すように、伝熱フィン51とサイドプレート55には透穴56が形成されている。伝熱管53(往路部531)は透穴56に挿通されている。なお、透穴56の内径Dhは、伝熱管53を容易に挿通できるように、伝熱管53の外径Dpよりも、僅かに大きくされている。また、伝熱フィン51とサイドプレート55は、透穴56の周囲において、捲り上げられていて、スリーブ511,551を形成している。図5Aに示す状態においては、伝熱管53が伝熱フィン51に接触していないので、伝熱管53と伝熱フィン51との間で固体熱伝導がなされない。また、伝熱管53とサイドプレート55の間に隙間があるので、伝熱管53がサイドプレート55に固定されない。そこで、伝熱管53に対して拡管加工を施して、つまり伝熱管53の外径を拡大して、伝熱管53を伝熱フィン51に接触させ、伝熱管53をサイドプレート55に固定する。以下において、伝熱管53を拡管して、伝熱管53を伝熱フィン51に接触させる加工工程を一次拡管と呼ぶ。
図5Aに示すように、一次拡管は、拡管工具2aを、伝熱管53(往路部531)の開口端57(入口端534)から、伝熱管53の内部に挿入して行う。前述したように、拡管工具2aは姿勢保持部材22を備えていて、姿勢保持部材22は伝熱管53の内面に面接触して、伝熱管53の内面に対して摺動する。そのため、拡管工具2aを伝熱管53の内部に挿入すると、拡管工具2aは伝熱管53に対して相対的に傾くことなしに伝熱管53内を移動する。その結果、一次拡管の過程において、伝熱管53に歪みや過大な応力が生じることがない。
拡管工具2aを、伝熱管53の内部に挿入して、伝熱管53に拡管加工を施すと、伝熱管53の径が拡大される。その結果、図5Bに示すように、伝熱管53の外周面が伝熱フィン51のスリーブ511に面接触するので、伝熱管53と伝熱フィン51との間で固体熱伝導が生じる。また、伝熱管53の外周面とサイドプレート55のスリーブ551の間の隙間がなくなるので、伝熱管53はサイドプレート55に固定される。そして、拡管工具2aを伝熱管53から引き抜けば、一次拡管は完了する。
(二次拡管)
図6Aは、一次拡管が完了した後の熱交換器5の伝熱フィン51と伝熱管53とサイドプレート55の形状を示す部分断面図である。図6Aに示すように、開口端57における伝熱管53の内径Diは、接続管54の外径Djよりも小さいので、接続管54を伝熱管53の開口端57に差し込むことができない。そのため、伝熱管53の開口端57を拡管する必要がある。以下において、接続管54を伝熱管53の開口端57に差し込むことできるように、伝熱管53の開口端57の径を拡大することを二次拡管と呼ぶ。
図6Aに示すように、二次拡管は、拡管工具2bを、伝熱管53(往路部531)の開口端57(入口端534)から、伝熱管53の内部に挿入して行う。前述したように、拡管工具2bは姿勢保持部材22を備えていて、姿勢保持部材22は伝熱管53の内面に当接して、伝熱管53の内面に対して摺動する。そのため、拡管工具2bを伝熱管53の内部に挿入すると、拡管工具2bは伝熱管53に対して相対的に傾くことなしに伝熱管53内を移動する。その結果、二次拡管の過程において、伝熱管53に歪みや過大な応力が生じることがない。
拡管工具2bを、伝熱管53の開口端57に挿入して、開口端57に拡管加工を施すと、図6Bに示すように、開口端57において、伝熱管53の径が拡大される。そして、その後、拡管工具2bを伝熱管53から引き抜けば、二次拡管は完了する。二次拡管が完了したら、図6Cに示すように、接続管54を伝熱管53の開口端57に差し込むことができる。なお、接続管54は、伝熱管53の開口端57に差し込まれた後で、伝熱管53にろう付されて固定される。
このように、上記の伝熱管53の拡管方法によれば、伝熱管53や伝熱フィン51に歪みや過大な応力を生じさせることなく、伝熱管53に拡管加工を施すことができる。そのため、拡管加工の過程で、熱交換器5に変形や破損が生じ難い。
以上説明したように、上記各実施の形態によれば、被加工管3、伝熱管53に歪みや過大な応力を生じさせることなく、被加工管3、伝熱管53に拡管加工を施すことができる。そのため、拡管加工の加工品質が向上する。
なお、熱交換器5の製造は、概略、次のような工程を辿って行われる。まず、管材に切断加工と曲げ加工を加えて、伝熱管53と接続管54を製造する。また、板材に切断加工と曲げ加工を加えて、伝熱フィン51とサイドプレート55を製造する。そして、伝熱フィン51とサイドプレート55を配列して、伝熱フィン列52を構成する。その後、伝熱フィン列52に伝熱管53を挿通して、更に、その後に、伝熱管53の端部に、上述したような拡管加工を加える。そして、拡管加工された伝熱管53の端部に、接続管54を挿入して、接続管54を伝熱管53にろう付けする。以上の工程を辿って、図4に示す熱交換器5が完成する。
なお、上記各実施の形態は、本発明の具体的な実施態様の例示であって、本発明の技術的範囲はこれらによっては限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲において、自由に変形、応用、又は改良して実施することができる。
上記実施の形態において、被加工管3の具体例として、熱交換器5を構成する伝熱管53を例示したが、被加工管3は伝熱管53には限定されない。被加工管3の用途と材質は限定されない。拡管装置1と拡管工具2b,2aは、用途と材質を問わずに、各種の管材の拡管加工に適用される。
図1において開示した拡管装置1の構成は、拡管装置1の概念的な構成を例示するものである。本発明の技術的範囲は、拡管装置1によっては限定されない。また、拡管装置1において、進退部42を被加工管3に対して進退させる駆動手段の動力源と駆動機構は、限定されない。駆動手段は、回転電動機と直動ねじを組み合わせて構成されても良いし、油圧や空気圧で駆動されるものであっても良い。
拡管工具2が備える拡管部材21は、上記実施の形態において例示されたような、進退装置4が拡管工具2を被加工管3に向けて押し出す力を、被加工管3の内面を押圧する圧力に変換するものには限定されない。拡管部材21は、特許文献2の図4に記載されているような、拡管ポンチと楔状のピンを組み合わせたものであっても良い。また、拡管部材21は、特許文献3の図1に記載されているような、被加工管3の内面に液圧を加えるものであっても良い。
上記実施の形態において、拡管工具2bの拡管部材21が備える中間部212の側面形における輪郭が、外側に膨らんだ曲線で描かれる例を示したが、中間部212はこのような形状を有するものには限定されない。中間部212の形状は、下記の(1)〜(3)の要件を満足するように構成されていればよい。
(1)本体部211との境界面における中間部212の横断面形の直径は本体部211の横断面形の直径に等しい。
(2)姿勢保持部材22との境界面における中間部212の横断面形の直径は姿勢保持部材22の横断面形の直径に等しい。
(3)中間部212の横断面形の直径は、本体部211に近付くにしたがって漸増する。
したがって、中間部212は、姿勢保持部材22との境界面と本体部211との境界面の間で、横断面形の直径が直線的に変化するものであっても良いし、横断面形の直径が任意の曲線を描いて変化するものであっても良い。前記直線の傾きや前記曲線の曲率も任意である。
上記実施の形態においては、拡管工具2aを使用して一次拡管を行い、拡管工具2bを使用して二次拡管を行う例を示したが、拡管工具2bで一次拡管を行えるように拡管工具2bの拡管部材21と姿勢保持部材22の寸法を設計することもできるし、拡管工具2aで二次拡管を行えるように拡管工具2aの拡管部材21と姿勢保持部材22の寸法を設計することもできる。つまり、拡管工具2bを使用して一次拡管を行い、拡管工具2aを使用して二次拡管を行うようにすることもできる。2種類の拡管工具2bを使用して、一次拡管と二次拡管を行うこともできる。2種類の拡管工具2aを使用して、一次拡管と二次拡管を行うこともできる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本出願は、2017年1月12日に出願された、日本国特許出願2017−003077号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2017−003077号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
本発明は、管材の直径を拡大する拡管工具、あるいは拡管装置として好適に利用することができる。また、本発明は熱交換器を構成する伝熱管の直径を拡大する拡管方法として好適に利用することができる。
1 拡管装置、2(2b,2a)拡管工具、3 被加工管、4 進退装置、5 熱交換器、21 拡管部材、22 姿勢保持部材、31 開口端、41 固定部、42 進退部、43 ロッド、51 伝熱フィン、52 伝熱フィン列、53 伝熱管、54 接続管、55 サイドプレート、56 透穴、57 開口端、211 本体部、212 中間部、221 本体部、222 先端部、511 スリーブ、531 往路部、532 復路部、533 曲がり部、534 入口端、535 出口端 551 スリーブ。
上記目的を達成するために、本発明に係る拡管工具は、被加工管の開口端から被加工管の内部に挿入されて、被加工管の管径を拡大する拡管工具であって、被加工管の内面を押圧して、被加工管の管径を拡大する拡管部材と、被加工管の内面に面接触して、拡管工具の被加工管に対する姿勢を保持する姿勢保持部材とを備え、姿勢保持部材は、拡管部材に先行して被加工管に挿入される位置に配置されて、拡管部材に固定されているものである。拡管部材は、円柱状の外形を有する本体部と、本体部と姿勢保持部材の間にあって、本体部に近付くにしたがって、外径が漸増するとともに、側面形における輪郭線が外側に膨らむ曲線をなす中間部と、を備えるものである。

Claims (8)

  1. 被加工管の開口端から前記被加工管の内部に挿入されて、前記被加工管の管径を拡大する拡管工具であって、
    前記被加工管の内面を押圧して、前記被加工管の管径を拡大する拡管部材と、
    前記被加工管の内面に面接触して、前記拡管工具の前記被加工管に対する姿勢を保持する姿勢保持部材とを備え、
    前記姿勢保持部材は、前記拡管部材に先行して前記被加工管に挿入される位置に配置されて、前記拡管部材に固定されている、
    拡管工具。
  2. 前記拡管部材は、
    円柱状の外形を有する本体部と、
    前記本体部と前記姿勢保持部材の間にあって、前記本体部に近付くにしたがって、外径が漸増する中間部を備える。
    請求項1に記載の拡管工具。
  3. 前記拡管部材は球状の外形を有する、
    請求項1に記載の拡管工具。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の拡管工具と、
    前記拡管工具を前記被加工管に対して進退させる進退装置を備える、
    拡管装置。
  5. 複数枚の伝熱フィンを配列して形成された伝熱フィン列に挿通された伝熱管に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の拡管工具を挿入して、前記伝熱管の管径を拡大する、
    伝熱管の拡管方法。
  6. 前記伝熱フィンには前記伝熱管を挿通させる透穴が形成されていて、
    前記伝熱管の外径を拡大して、前記透穴における前記伝熱管と前記伝熱フィンの間の隙間を解消させる一次拡管を施した後に、前記伝熱管の開口端における内径を拡大する二次拡管を施す、
    請求項5に記載の伝熱管の拡管方法。
  7. 前記一次拡管は、前記伝熱管に請求項3に記載の拡管工具を挿入して行い、
    前記二次拡管は、前記伝熱管に請求項2に記載の拡管工具を挿入して行う、
    請求項6に記載の伝熱管の拡管方法。
  8. 複数枚の伝熱フィンを配列して形成された伝熱フィン列に伝熱管が挿通された熱交換器の製造方法であって、
    複数枚の伝熱フィンを配列して形成された伝熱フィン列に挿通された伝熱管に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の拡管工具を挿入する工程と、
    前記拡管工具を用いて前記伝熱管の管径を拡大する工程と、
    を含む、熱交換器の製造方法。
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