JP6635829B2 - 熱交換器の曲げ装置及び曲げ方法 - Google Patents
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Description
クロスフィン型熱交換器を曲げる装置としては、伝熱管長手方向の一方を把持、他方を押圧機構により押圧しながら、内径型に沿って所定角度曲げを行う装置が知られている(例えば特許文献1参照)。また、曲げ方法に関しては、熱交換器と曲げ装置の間や熱交換器の各コア間に摩擦係数の小さい薄板を挟んで曲げる方法が開示されている(例えば特許文献2参照)。
しかし、特許文献1や特許文献2に代表されるような熱交換器の曲げ装置にあっては、熱交換器の曲げ中に発生する伝熱フィンへの圧縮力に比例して伝熱フィンへ摩擦力が発生する。そのため、曲げ中の圧縮力や薄板の摩擦係数が0となることがない以上は、特に大きな擦れが発生する熱交換器の各コア間において、熱交換器の曲げ中に伝熱フィンへ摩擦力が発生してしまう。即ち、これら従来の技術では、摩擦力に弱い形状をした伝熱フィンを有した熱交換器を伝熱フィンの倒れなしに曲げることは困難であった。このことは、熱交換器の設計段階での材質選定や構造検討の自由度を狭める原因となっていた。
また、本発明に係る熱交換器の曲げ方法は、伝熱管の外周面に板状の伝熱フィンが該伝熱管の管軸方向に複数設けられた熱交換器をなすコアが複数列重合されたワークに対して、前記管軸方向の一側部側を固定し、該管軸方向の他側部側の所望位置を内径型の外周面に沿わせながら所定角度まで曲げ加工を行なう際に、前記コアを曲げるための曲げ機構を重合された前記コアの列毎に設け、前記コアの前記他側部側の端部を把持した状態で曲げ半径が小さい前記コアから順に曲げるときに、重合された複数列の前記コアの内、前記内径型に最も近く、曲げ半径が小さいコアから曲げ半径が大きいコアへ向けて順次時間を遅らせて曲げると共に、前記曲げ半径が小さいコアの曲げ加工中に、隣接された次のコアの曲げ加工を開始することを特徴とする。
また、本発明の熱交換器の曲げ方法によれば、曲げ加工を行なう際に、前記コアを曲げるための曲げ機構を重合された前記コアの列毎に設け、曲げ半径が小さい前記コアから順に曲げるようにしたので、熱交換器の曲げの過程で各コア間が擦れることがなくなるため、伝熱フィンに対して擦れによる摩擦力が発生せず、伝熱フィンが倒れることなしに曲げることが可能となる。また、歩留まりや生産性を向上できる。
実施の形態1.
図1は本発明による熱交換器の曲げ装置及び曲げ方法に用いる熱交換器の一例を概念的に示す図であり、(a)は側面図、(b)は図1(a)の円Aで囲む部分の拡大図、(c)は前記円Aで囲む部分の斜視図である。図2は本発明の実施の形態1による熱交換器の曲げ装置の要部構成を示す正面図、図3は複列コアを同時に曲げた際のコア間の擦れを説明する参考図である。
図1に示すように、曲げ対象のワークである熱交換器1は、1列目のコア1aと2列目のコア1bからなり、各コア1a、1bは、この例では扁平管からなる伝熱管1cとその伝熱管1cの外周面に該伝熱管1cの管軸方向(図1(a)のy軸方向)に所定間隔で複数枚密着された伝熱フィン1dで構成される。伝熱管1cは図1(a)の奥行(x軸)方向に所定間隔で複数列設されている。各コア1a、1bとも、伝熱管1cと伝熱フィン1dとは一体化されて、伝熱フィン1dの高さ方向(z軸方向)の寸法の厚みを有する板状体であり、熱交換器1は、その板状体のコア1a、1bをz軸方向に重合した形態となっている。
熱交換器1の曲げ中の固定は、クランプ5と昇降ステージ6により熱交換器1をz軸方向に挟みこむことによって行う。昇降ステージ6は、図示しない駆動機構によって図2のz軸方向へ移動する他に、引込軸7によって図2のy軸方向へ移動することができるように構成されている。なお、本書では正負の断りなしに「・・・軸方向」と記した場合は、当該軸または当該軸に平行な正負双方の方向を指すものとする。
また、断面が扁平状の伝熱管1cを用いる場合について説明するが、伝熱管1cの断面形状は特に限定されず、例えば断面円形管であっても良い。また、伝熱管1cの一側部及び他側部における突出部の形状あるいは構成も図示のものに限定されない。
第1過程(1a):<セット>
熱交換器1を図4(1a)のように、昇降ステージ6上にセットする。熱交換器1のセットは、例えば昇降ステージ6上に具備された図示しないブロックに押し当てて位置を決め、x軸方向から熱交換器1の上面を図示しないクランプ機構でクランプすることによって行う。
第2過程(1b):<引き込み>
図4(1b)のように、引込軸7を駆動させ、熱交換器1を搭載した昇降ステージ6をy軸の正方向に移動させる。昇降ステージ6は、クランプ5のz軸方向下で停止させる。
第3過程(1c):<クランプ>
図4(1c)のように、昇降ステージ6をz軸方向の上方へ移動させ、クランプ5と昇降ステージ6の間に熱交換器1の一側部を挟みこむ。この際、熱交換器1の他側部側の先端部が把持機構4に接触しないようにするため、把持機構4はy軸の正方向へ退避させておく。
図5(1d)のように、把持機構4を矢印Bで示すようにy軸の負の方向へ移動させ、熱交換器1の他側部側の端部、ここでは伝熱管1cの突出部を把持機構4によって把持する。
第5過程(1e):<1列目コア1aの曲げ>
図5(1e)のように、1列目曲げ機構のアーム3aにより、1列目コア1aを曲げ完了角度θまで曲げる。1列目の把持機構4aで把持している1列目コア1aの一端は、曲げが進むにつれて内径型2の方向へ引き込まれる。そのため、1列目コア1aに品質上不要な力がかかることのないよう、1列目の把持機構4aは曲げ中にその位置を、アーム3aの直線部分3cに沿って内径型2の方向へ図示省略している駆動機構によって押し込むように移動させるのが望ましい。
図6(1f)のように、2列目曲げ機構のアーム3bにより、2列目コア1bを曲げ完了角度θまで曲げる。1列目コア1aの曲げの場合と同様に、2列目コア1bの一端は曲げが進むにつれて内径型2の方向へ引き込まれるため、2列目の把持機構4bは曲げ中にその位置をアーム3bの直線部分3cに沿って内径型2の方向へ図示省略している駆動機構によって押し込むように変えていくのが望ましい。
第7過程(1g):<取出し>
図6(1g)のように、1列目コア1aと2列目コア1bの双方を所定部で曲げ完了角度θまで曲げた熱交換器1を取出す。手順としては、例えば、把持機構4(4a、4b)の把持解除、曲げ機構3の原点位置復帰、昇降ステージ6の降下、引込軸7による昇降ステージ6の原点位置復帰によって行う。
図7は本発明の実施の形態2による熱交換器の曲げ方法を説明する図である。なお、本実施の形態2は熱交換器の曲げ装置が実施の形態1と同様の構成で、実施の形態1の第5過程(1e)、及び第6過程(1f)を、以下のように第5A過程、及び第6A過程に変更して熱交換器1を曲げるようにしたものである。なお、第1過程〜第4過程、及び第7過程は実施の形態1と同様である。
1列目曲げ機構のアーム3aにより、1列目コア1aの曲げを開始する。次に、図7に示すように、1列目コア1aの曲げ途中角度θa’が、予め設定された所定の角度θ1に達した時点で、2列目曲げ機構のアーム3bにより、2列目コア1bの曲げを開始する。
なお、曲げ中においては、1列目コア1aの曲げ途中角度θa’と2列目コア1bの曲げ途中角度θb’に関して、θa’>θb’の関係が成り立つように曲げる必要がある。
また、熱交換器1の一端は曲げが進むにつれて内径型2の方向へ引き込まれるため、実施の形態1と同様に熱交換器1に品質上不要な力がかかることのないよう、把持機構4は曲げ中にその位置を図示省略している駆動機構によってコア1a、1bの他側部を、それぞれが対応するアーム3a、3bの直線部分3cに沿って内径型2の方向へ図示省略している駆動機構によって押し込むように変えていくのが望ましい。
1列目コア1aの曲げ途中角度θa’と2列目コア1bの曲げ途中角度θb’が、それぞれ曲げ完了角度θに達した時点で順次曲げを終了する。
上記のように実施の形態2による熱交換器の曲げ方法によれば、コア間の伝熱フィン1dに対して擦れによる摩擦力が発生しない状態を保ったまま、1列目コア1aの曲げ完了を待たずして2列目コア1bの曲げを開始できる。従って、複列コアを有する熱交換器を1列ごとに順に曲げ動作を完了させる場合に比べて曲げ時間が短縮でき、熱交換器の生産性を更に向上させることができるという効果が得られる。
なお、3列以上のコアから成る熱交換器であっても、N列目コアの曲げ途中角度θn(n=1、2、3、4…)がそれぞれ予め設定された角度に達した時点で(N+1)列目の曲げを開始できるように図示省略している制御装置のパラメータを設定することにより、同様の曲げ方法が実施可能である。
図8は本発明の実施の形態3による熱交換器の曲げ方法を説明する図である。なお、本実施の形態3は熱交換器の曲げ装置が実施の形態1と同様の構成で、実施の形態2における第6A過程を、以下のように第6B過程に変更した他は実施の形態2と同様に熱交換器1を曲げるようにしたものである。
図7に示す1列目コア1aの曲げ途中角度θa’と2列目コア1bの曲げ途中角度θb’が、図8のように、それぞれ曲げ完了角度θaとθbに達した時点で曲げを終了する。
なお、3列以上のコアから成る熱交換器であっても、N列目コアの曲げ完了角度θm(m=a、b、c、d…)だけ各列を個別に曲げられるように図示省略している制御装置のパラメータを設定することにより、同様の曲げ方法が実施可能である。
図9は本発明の実施の形態4による熱交換器の曲げ装置の要部構成を示す正面図、図10は図9に示す曲げ装置による特徴的動作の第1過程(4a)から第3過程(4c)までを示す図、図11は図9に示す曲げ装置による特徴的動作の第4過程(4d)と第5過程(4e)を示す図である。なお、本実施の形態4は、曲げ機構3によるコア1a、1bの曲げ加工が開始されて当該コアの曲げ方向とは反対側の面である背面部に所定の間隙が形成されたときに、該間隙に進入して当該コアの背面部に当接され、曲げ機構3と協働して当該コアに曲げモーメントを加える曲げ補助機構9を備えるようにしたものである。
第1過程(4a):<1列目コアの初期曲げ>
図10(4a)のように、1列目曲げ機構3aにより、1列目コア1aを初期曲げ角度θ’1[rad]まで曲げる。1列目把持機構4aで把持している1列目コア1aの一端は、曲げが進むにつれて内径型2の方向へ引き込まれる。そのため、1列目コア1aに品質上不要な力がかかることのないよう、把持機構4aは曲げ中にその位置を図示省略している駆動機構によって押し込むように内径型2の方向へ変えていくのが望ましい。
図10(4b)のように、1列目コア1aの背面側に当接する位置へ曲げ補助機構9を挿入する。挿入前の曲げ補助機構9は、熱交換器1や曲げ機構3と干渉しないように、例えばx軸方向に退避した状態で待機しているものとする。挿入手順は、以下の通りである。
1)図示しない回転駆動機構により曲げ補助機構9を装置の座標系に対してθ’1[rad]回転させる。
2)曲げ補助機構9が退避している方向より、曲げ補助機構9を1列目コア1aと2列目コア1bの間へ挿入する。例えば、x軸方向に曲げ補助機構9が退避している場合は、図示しないx’軸方向駆動軸により曲げ補助機構9を1列目コア1aと2列目コア1bの間へ挿入する。なお、伝熱フィン1dの倒れ防止の観点から、1列目コア1aと曲げ補助機構9が接触しない位置へと曲げ補助機構9は挿入する。
3)図示しないz’軸方向駆動軸により1列目コア1aの背面側へ曲げ補助機構9を当接させる。
図10(4c)のように、1列目曲げ機構3aと曲げ補助機構9により、1列目コア1aを曲げ完了角度θまで曲げる。ここでも、1列目コア1aに品質上不要な力がかかることのないよう、1列目把持機構4aは曲げ中にその位置を内径型2の方向へアーム3aの直線部分3cに沿って変えていくのが望ましい。また、1列目把持機構4aと同期して、図示しないy’軸方向駆動軸により曲げ補助機構9も曲げ中にその位置を図示省略している駆動機構によって押し込むように内径型2の方向へ変えていくのが望ましい。
図11(4d)のように、2列目コア1bに当接する位置へ曲げ補助機構9を挿入する。挿入手順は、以下の通りである。
1)図示しないz’軸方向駆動軸により、1列目コア1aの背面に当接している曲げ補助機構9を、1列目コア1aから離れた位置へ退避させる。
2)曲げ補助機構9を1列目コア1aと2列目コア1bの間から退避させる。例えば、図示しないx’軸方向駆動軸により曲げ補助機構9を退避させる。
3)図示しない回転駆動機構により、曲げ補助機構9を装置の座標系に対して(θ’1−θ’2)[rad]だけ逆回転させる。θ’2[rad]は2列目コア1bの初期曲げ角度であり、図11(4d)はθ’2=0°の場合を示している。
4)2列目コア1bのz’軸方向下方へ曲げ補助機構9を挿入する。例えば、図示しないx’軸方向駆動軸により曲げ補助機構9を挿入する。
5)図示しないz’軸方向駆動軸により2列目コア1bへ曲げ補助機構9を当接させる。
図11(4e)のように、2列目曲げ機構3bに協働して曲げ補助機構9により、2列目コア1bを曲げ完了角度θまで曲げる。ここでも、2列目コア1bに品質上不要な力がかかることのないよう、2列目把持機構4bは曲げ中にその位置をアーム3bの直線部分3cに沿って内径型2の方向へ変えていくのが望ましい。また、2列目把持機構4bと同期して、図示しないy’軸方向駆動軸により曲げ補助機構9も曲げ中にその位置を図示省略している駆動機構によって押し込むように内径型2の方向へ変えていくのが望ましい。
なお、この第5過程(4e)の次は、実施の形態1における図6(1g)に示す第7過程(1g):<取出し>に相当する、曲げ完了角度θまで曲げた熱交換器1を取出す動作を行う。その手順としては、例えば、曲げ補助機構9の退避、把持機構4の把持解除、曲げ機構3の原点位置復帰、昇降ステージ6の降下、引込軸7による昇降ステージ6の原点位置復帰によって行う。
1d 伝熱フィン、2 内径型、3 曲げ機構、3a アーム(1列目曲げ機構)、
3b アーム(2列目曲げ機構)、3c 直線部分、4 把持機構、
4a 把持機構(1列目)、4b 把持機構(2列目)、5 クランプ、
6 昇降ステージ、7 引込軸、8 架台、8a 支持フレーム、9 曲げ補助機構。
Claims (9)
- 伝熱管の外周面に板状の伝熱フィンが該伝熱管の管軸方向に複数設けられた熱交換器をなすコアが複数列重合されたワークに対して、前記管軸方向の一側部側を固定し、該管軸方向の他側部側の所望位置を内径型の外周面に沿わせながら所定角度まで曲げ加工を行なう装置であって、前記コアを曲げるための曲げ機構を、重合された前記コアの列毎に備え互いに独立して制御し得るようにしたものであり、前記曲げ機構は、各前記コアを互いに独立して曲げるための力を伝達する複数のアームと、複数の前記アームを個別に駆動する回転駆動機構と、各前記コアの前記他側部側の端部を把持する把持機構とを備えた熱交換器の曲げ装置。
- 前記把持機構は、前記他側部側の端部に突出した前記伝熱管の突出部を把持する請求項1に記載の熱交換器の曲げ装置。
- 前記把持機構は、前記アームに沿って移動可能に設備されている請求項1または2に記載の熱交換器の曲げ装置。
- 前記アームの回動中心軸は、前記内径型の中心軸と同軸に設置されている請求項1から3の何れか1項に記載の熱交換器の曲げ装置。
- 前記曲げ機構は、重合された複数列の前記コアの内、前記内径型に最も近く、曲げ半径が小さいコアから曲げ半径が大きいコアへ向けて順次時間を遅らせて曲げるようにした請求項1から4の何れか1項に記載の熱交換器の曲げ装置。
- 前記曲げ半径が小さいコアの曲げ加工中に、隣接された次のコアの曲げ加工を開始するようにした請求項5に記載の熱交換器の曲げ装置。
- 前記コアの列毎に備えられた前記曲げ機構は、曲げ終了角度を前記コア毎に独立して設定し得るようにした請求項1から6の何れか1項に記載の熱交換器の曲げ装置。
- 前記曲げ機構による前記コアの曲げ加工が開始されて当該コアの曲げ方向とは反対側の面である背面部に所定の間隙が形成されたときに、該間隙に進入して当該コアの前記背面部に当接され、前記曲げ機構と協働して当該コアに曲げモーメントを加える曲げ補助機構を備えた請求項1から7の何れか1項に記載の熱交換器の曲げ装置。
- 伝熱管の外周面に板状の伝熱フィンが該伝熱管の管軸方向に複数設けられた熱交換器をなすコアが複数列重合されたワークに対して、前記管軸方向の一側部側を固定し、該管軸方向の他側部側の所望位置を内径型の外周面に沿わせながら所定角度まで曲げ加工を行なう際に、前記コアを曲げるための曲げ機構を重合された前記コアの列毎に設け、前記コアの前記他側部側の端部を把持した状態で曲げ半径が小さい前記コアから順に曲げる熱交換器の曲げ方法であって、重合された複数列の前記コアの内、前記内径型に最も近く、曲げ半径が小さいコアから曲げ半径が大きいコアへ向けて順次時間を遅らせて曲げると共に、前記曲げ半径が小さいコアの曲げ加工中に、隣接された次のコアの曲げ加工を開始するようにした熱交換器の曲げ方法。
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