JPWO2018128002A1 - 血液凝固系解析装置、血液凝固系解析システム、血液凝固系解析方法、及び血液凝固系解析用プログラム、並びに、出血量予測装置、出血量予測システム、出血量予測方法、及び出血量予測用プログラム - Google Patents

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Abstract

血液凝固因子に対する阻害因子の特性の評価を可能とする技術を提供すること。血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果との比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する推定部を含む血液凝固系解析装置。

Description

本技術は、血液凝固系解析装置、血液凝固系解析システム、血液凝固系解析方法、及び血液凝固系解析用プログラム、並びに、出血量予測装置、出血量予測システム、出血量予測方法、及び出血量予測用プログラムに関する。
生体内での血栓形成(凝固)及び溶解(線溶)は複雑なカスケード反応により進行する。当該反応には、凝固因子、フィブリノーゲン、及びフィブリン等を含む多数の分子成分、並びに、血管内皮細胞及び血小板等の細胞成分の両方が関与する。凝固及び線溶が関係する疾患及び傷害の治療あるいは予防においては、患者の血液凝固能及び線溶能を把握するために様々な検査が行われる。それら検査は、各種凝固因子、フィブリノーゲン、及びDダイマー等の凝固・線溶反応系に関与する特定分子の量を測定する定量検査、及び反応系全体あるいはその一部の働きの程度を評価する機能検査に大別することができる。
広く普及している機能検査の例として、プロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を挙げることができる。これらはそれぞれ、外因系凝固能及び内因系凝固能の機能検査である。これらの検査では、それぞれ外因系凝固反応及び内因系凝固反応を惹起する物質(例えば、それぞれ組織因子及びエラグ酸)を大過剰に添加し、短時間で検査結果が得られるようにしている。PTとAPTTの正常値は、それぞれおおよそ10秒と30〜40秒である。これらの検査は著しい凝固能の低下、すなわち出血傾向を評価するのに好適である。
また、別の機能検査として、トロンボエラストグラフィー及びトロンボエラストメトリーを挙げることができる。これら検査のための装置として、それぞれTEG5000(ヘモネティスク社)及びROTEM delta(ティムイノベーションズ社)が実用化されている。TEG5000では、測定容器であるカップに全血検体を注入し、検査目的に応じた惹起物質を添加したうえで、容器の上部よりワイヤーで吊るされた棒状のピンを浸漬し、容器に対して定常的な往復角運動(典型的には10秒間で4.45度の範囲を往復する運動)を与える。凝固反応の進行に伴い検体の粘弾性が増加し、カップとピンの相対運動は小さくなり、したがってピンの回転変位は増加する。この回転変位を装置内の光学系を用いて経時的に記録することで、トロンボエラストグラムと呼ばれる波形が得られる。カップではなくピンに対して往復角運動が与えられるという違いはあるものの、ROTEM deltaも基本的に同一の原理に基づいている。前記PT及びAPTTが凝固の終点検出法であるのに対して、トロンボエラストグラフィー及びトロンボエラストメトリーは、凝固開始から血栓形成、さらにはその後の線溶までの一連のプロセスをひとつの装置で経時的にモニタリングできるという利点がある。トロンボエラストグラフィー及びトロンボエラストメトリーは、凝固カスケード反応の最終段階であるフィブリン生成に注目し、そのネットワーク形成(凝固)と溶解(線溶)のプロセスを検体の粘弾性を通じてモニタリングすることで、フィブリン生成に至るまでの反応系全体の働きを包括的に検査しているということができる。
近年、血液凝固能をより簡便且つ正確に評価することができる手法として、血液凝固過程の誘電測定を行う方法が考案された(下記特許文献1及び2)。この手法は、1組の電極対等からなるコンデンサー状の試料部に血液を充填し、それに交流電場を印加して血液の凝固過程に伴う誘電率の変化を測定する方法である。この手法を用いることで、簡便に凝固及び線溶反応のプロセスをモニタリングできることが示されている(下記非特許文献1)。
前記手法に関連する技術も開発されている。例えば下記特許文献3に記載の血液状態解析装置は、「血漿中の前記薬剤の濃度と血液凝固評価結果との相関関係に基づいて、前記血液試料の血液凝固評価結果を、前記血液試料中の血漿中に存在する前記薬剤の濃度に対応して補正する補正部」(請求項1)を備えるものである。また、下記特許文献4に記載の血液状態解析装置は、「一の血液検体から調整された薬剤の種類又は濃度が異なる2以上の血液試料について、特定の周波数又は周波数帯域において測定された電気的特性の経時変化データを利用して、前記薬剤又は前記血液中の因子が前記血液の凝固系又は線溶系に及ぼす影響を評価する解析部」(請求項1)を備えるものである。
特開2010−181400号公報 特開2012−194087号公報 特開2015−206609号公報 国際公開第2015/159623号
Y. Hayashi et al., Analytical Chemistry 87(19), 10072-10079 (2015)
心臓手術等の人工心肺を使用する手術では一般的に血液にヘパリンを加えて血栓形成を防ぐ。ヘパリンは血中のアンチトロンビンによるトロンビン阻害能を劇的に高めて凝固活性を効果的に抑制することができる。そして、人工心肺終了時にはプロタミン等のヘパリン中和剤を用いることで、速やかに必要な凝固活性を回復させることができる。しかし、ヘパリンは本来血管内皮に主に局在する組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor;以下、TFPIともいう)を血中に遊離させる作用があることも知られている。血中TFPI濃度が高まると、本来凝固反応が起こるべき血管損傷部でも反応が抑制され、効果的な止血ができなくなる可能性がある。血中TFPIはプロタミン等によっても中和できない。そのため、血中TFPI濃度が高まると、予期せぬ凝固抑制状態が継続することになる。血中TFPI濃度の高まりが、術後出血の継続等の原因の1つになっている可能性がある。そこで、血中TFPIの濃度又は活性を迅速且つ簡便に評価したいという、医療現場の明確なニーズが存在する。
現在利用可能な血中TFPIの濃度又は活性の分析方法としては、遠心分離によって得られる血漿成分の分析のみである。当該分析は時間及び手間がかかるため、周術期の臨床検査としては実施されていない。
前記PT及びAPTTは、著しい凝固能の低下、すなわち出血傾向を評価するのに好適であるが、逆に著しい凝固能の亢進、すなわち血栓傾向、あるいは凝固能の微妙な変化を評価するのには適していない。前記PT又はAPTTによって血中TFPIを評価することも困難である。術中凝固検査としては、しばしば活性化全凝固時間(ACT)が用いられており、これは特にヘパリン効果のモニタリングに有効である。しかしながら、ACTは、内因系凝固経路を惹起する物質を多量に用いて行う検査であり、外因系凝固経路の微妙な調節制御に係るTFPIを評価することは困難である。
前記トロンボエラストグラフィー及びトロンボエラストメトリーは、(1)測定が自動化されておらず、検査結果が測定者の手技に依存する、(2)振動の影響を受けやすい、(3)品質管理(QC)手順が煩雑で、QC用試薬が高価である、(4)出力信号(トロンボエラストグラム)の解釈に熟練を要する等の理由が、これらの十分な普及を阻む第一の原因であると考えられる。さらに、これらは、外因系や内因系の各凝固因子の欠乏や阻害効果に対してそれほど高い感度を示さず、医療現場のニーズを満足できない場合がある。
本技術は、血液凝固因子に対する阻害因子の特性の評価を可能とする技術を提供することを主目的とする。
本発明者らは、例えば前記特許文献1又は2に記載された装置等の血液凝固系解析装置に新たな構成を追加することにより、血液凝固因子に対する阻害因子の特性の評価が可能となることを見出した。また、本発明者らは、そのような構成により、出血量の予測が可能となることも見出した。
すなわち、本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する推定部
を含む血液凝固系解析装置を提供する。
前記第1の結果及び前記第2の結果は、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における、電気的特性の変化率でありうる。
前記比較結果は、前記第1の結果と前記第2の結果との比でありうる。
前記第1の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度と前記第2の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度との差が0.50pM以上でありうる。
前記阻害因子は組織因子経路インヒビターでありうる。
前記比較結果は、前記第1の結果と前記第2の結果との比に対して、前記血液のヘマトクリット値による補正を行ったものであってもよい。
前記比較結果は、前記第1の結果と前記第2の結果との比に対して、前記血液のヘマトクリット値及び内因系凝固経路に関する特性値による補正を行ったものであってもよい。
また、前記阻害因子に関する特性は当該阻害因子の濃度又は活性でありうる。
また、本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する予測部
を含む出血量予測装置も提供する。
また、本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する推定部を含む血液凝固系解析装置、及び
前記推定の結果を表示する表示装置
を備える血液凝固系解析システムも提供する。
また、本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する予測部を含む出血量予測装置、及び
前記予測された出血量を表示する表示装置
を備える出血量予測システムも提供する。
また、本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
を比較する工程、及び
前記比較の結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する工程
を含む血液凝固系解析方法も提供する。
また、本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
を比較する工程、及び
前記比較の結果に基づき、個体の出血量を予測する工程
を含む出血量予測方法も提供する。
また、本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する工程をコンピュータに実行させるための
血液凝固系解析用プログラムも提供する。
また、本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する工程をコンピュータに実行させるための
出血量予測用プログラムも提供する。
本技術によれば、血液凝固因子に対する阻害因子の特性の評価が可能となる。また、本技術によれば、出血量の予測が可能となる。なお、ここに記載された効果に本技術の効果は必ずしも限定されるものではなく、本技術の効果は本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
血液凝固系解析装置の構成を示す模式図である。 誘電率の時間に対するプロットの例を示す図である。 出血量予測装置の構成を示す模式図である。 血液凝固系解析システムの構成を示す模式図である。 出血量予測システムの構成を示す模式図である。 血液凝固系解析方法のフローチャートを示す図である。 出血量予測方法のフローチャートを示す図である。 比較結果yのrTFPI濃度に対するプロットを示すグラフである。 比較結果yのrTFPI濃度に対するプロットを示すグラフである。 比較結果yのrTFPI濃度に対するプロットを示すグラフである。 比較結果yのrTFPI濃度に対するプロットを示すグラフである。 比較結果yの術後出血量に対するプロットを示すグラフである。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.血液凝固系解析装置
(1)血液凝固因子及び血液凝固因子に対する阻害因子
(2)電気的特性
(3)第1の結果及び第2の結果
(4)第1の結果と第2の結果との比較結果
(5)阻害因子に関する特性の推定
(6)その他の構成
2.出血量予測装置
3.血液凝固系解析システム
4.出血量予測システム
5.血液凝固系解析方法
6.出血量予測方法
7.血液凝固系解析用プログラム
8.出血量予測用プログラム
9.実施例
1.血液凝固系解析装置
本技術の血液凝固系解析装置は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する推定部を含む。
図1に、本技術の血液凝固系解析装置の構成の概略を示す。図1に示されるとおり、本技術の血液凝固系解析装置100は、推定部101を含む。本技術の血液凝固系解析装置100はさらに他の構成を含んでいてもよい。本技術の血液凝固系解析装置に含まれうる構成の例として、試料保持部102、測定部103、結果算出部104、比較部105、及び表示部106を挙げることができる。また、本技術の出血量予測装置は必要に応じて記憶部(図示せず)を含んでいてもよい。以下では、まず推定部101について説明する。
本技術において、前記推定部は、前記第1の結果と前記第2の結果との比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する。前記推定部により、前記阻害因子に関する特性が推定されるという効果が奏される。
(1)血液凝固因子及び血液凝固因子に対する阻害因子
本技術において、血液凝固因子は、例えば外因系凝固因子若しくは内因系凝固因子であり、又は凝固系活性化剤であってもよい。本技術において、血液凝固因子は外因系凝固因子であることが好ましい。外因系凝固因子としては例えば、第III因子(組織因子)、第VII因子、及びその活性化型、すなわち活性化第VII因子、並びにこれらの遺伝子組換え型を挙げることができる。内因系凝固因子としては例えば、第VIII因子、第IX因子、第XI因子、及び第XII因子、並びにこれらの活性化型、例えば活性化第VIII因子等、並びにこれらの遺伝子組換え型を挙げることができる。凝固系活性化剤としては例えばエラグ酸及びカオリンを挙げることができる。エラグ酸及びカオリンは内因系を活性化させることができる。本技術において、血液凝固因子は、第III因子、すなわち組織因子であることが特に好ましい。本技術において、血液凝固因子が組織因子である場合に、より良い推定(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測)が行われうる。
本技術において、血液凝固因子に対する阻害因子は、例えば外因系凝固因子又は内因系凝固因子に対する阻害因子であり、特には前記凝固因子(例えば組織因子等)に対する阻害因子でありうる。阻害因子として例えば、TFPI、アンチトロンビン、プロテインC、及びプロテインSを挙げることができるがこれらに限定されない。本技術において、阻害因子はTFPIであることが特に好ましい。本技術において、阻害因子がTFPIである場合に、より良い推定(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測)が行われうる。
本技術において、血液は、特には動物の血液であり、より好ましくは哺乳類の血液であり、さらにより好ましくは霊長類の動物の血液であり、さらにより好ましくはヒトの血液でありうる。本技術において、血液は全血でありうる。本技術では、全血を用いて前記推定(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測)が行われうるので、血液成分の分離が不要であるという利点も有しうる。
以下で、凝固反応系に関して詳細に説明する。凝固反応系は、組織因子(tissue factor: TF)と活性化凝固第VII因子の複合体形成を端緒とする機序(外因系)、及び異物との接触等の原因による第XII因子の活性化を端緒とする機序(内因系)に分かれており、両者は第X因子の活性化の段階で合流する。なお、以下では血栓止血分野の慣習に従い、凝固因子を因子番号のローマ数字の先頭にFを付けて表記し、それが活性化されている場合は末尾にaを付すことにする。例えば、第XII因子、活性化第VII因子はそれぞれFXII、FVIIaと表記する。生成したFXaはプロトロンビン(FII)を活性化してトロンビン(FIIa)へと転換し、トロンビンの作用でフィブリノーゲンはフィブリンに転換される。生成したフィブリンはお互いに重合して難溶性の高分子線維となり、さらにFXIIIaや血小板の作用により安定化フィブリンと呼ばれる3次元ネットワーク構造を形成する。このネットワーク構造に主として赤血球が巻き込まれた構造体が血栓である。ひとたび血栓が形成されると、凝固が亢進し過ぎるのを抑制するために線溶反応系が働き始め、止血の役割を果たし終えた血栓はやがて溶解される。
実際の生体内では、血管損傷等により止血が必要な部位で血小板が凝集すると共に血液凝固が起こり、同時にそれ以外の部位では血液の流動性を維持して末梢への血流を保つという、絶妙な機構により生命が維持されている。それには、前述の凝固系や線溶系を、調節制御する機構が大きな役割を担っている。逆にこれらの機構が破たんすると止血不良や血栓症等の重篤な結果をもたらすこともある。血液凝固系の調節機構としては、TFPI、アンチトロンビン、及びプロテインC/S系がその中心分子であることが知られている。これらの制御因子は、血管内皮細胞との関わりによって効果的に機能を発現する。例えばTFPIは血管内皮細胞上のヘパラン硫酸等に結合して存在し、TF/FVIIa複合体を阻害することで外因系凝固経路を抑制する。特にこの阻害活性はTFPIの特定部位にFXaが結合することで著しく増強される。すなわち、出血部位で血液凝固反応が進んで過剰なFXaが産生された場合においても、遠隔の健常な血管部分ではTFPIを通じて過剰な血栓形成抑制するフィードバック機構が発動するという仕組みである。
(2)電気的特性
本技術において、電気的特性として例えば、誘電率、インピーダンス、アドミッタンス、キャパシタンス、コンダクタンス、導電率、及び位相角等を挙げることができる。本技術において、電気的特性は、これらのいずれか1つ又は2つ以上であってもよい。これらの電気的特性は、下記表1に示す数式によって互いに変換可能である。これらの電気量や物性値の多くは複素数を用いて記述することができ、それによって変換式を簡略化することもできる。本技術において用いられる電気的特性は、好ましくは誘電率でありうる。例えば、電気的特性として複素インピーダンス測定が行われ、これに基づき誘電率が決定されうる。
本技術において、必要に応じて、測定された電気的特性は規格化されうる。規格化は、例えば、測定開始直後に測定された初期値、又は、誘電率の極小値若しくは極大値を用いて行われうる。
本技術において、電気的特性は、任意の周波数の電圧、特には交番電圧を血液に印加することにより得られる任意の電気的特性でありうる。好ましくは、前記交番電圧の周波数は1kHz〜50MHzであり、より好ましくは3kHz〜30MHzであり、より好ましくは0.1MHz〜20MHzであり、より好ましくは0.5MHz〜15MHz、さらにより好ましくは1MHz〜10MHzでありうる。これらの周波数を用いることによって、本技術における推定(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測)により適した電気的特性が得られうる。
前記電気的特性の測定は、特開2010−181400号公報又は特開2012−194087号公報に記載された装置により行われうる。測定の具体的な方法も、これら文献に記載された方法に従い行われうる。
(3)第1の結果及び第2の結果
本技術において、阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果は、前記電気的特性に基づき得られるものである。当該第1の結果は、例えば当該電気的特性の変化率又は電気的特性の積分値であり、好ましくは電気的特性の変化率でありうる。当該第1の結果は、より好ましくは、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における電気的特性の変化率、又は、当該時点の前後一定区間の変化率の平均値でありうる。抗凝固剤(例えばクエン酸等)によって凝固を抑制されている血液に対し、抗凝固作用解除剤(例えばカルシウム含有化合物、特には塩化カルシウム等)を添加することで抗凝固作用が解除され、その後、血液の凝固が開始する。当該血液の電気的特性を経時的に測定した場合、当該血液の凝固開始後に、前記電気的特性の経時変化が最大となる時点がある。当該時点における電気的特性の変化率が、本技術における第1の結果でありうる。
以下において、前記第1の結果について、図2を参照してより詳しく説明する。
図2は、凝固過程にある血液に対して所定の周波数の交番電圧を印加した場合における、当該血液について測定される誘電率の時間に対するプロットの例である。図2の時間軸の左端が、抗凝固作用を解除する為の剤を添加した時点である。
電圧の周波数が10MHzの場合において、抗凝固作用を解除する為の剤の添加後、誘電率が低下し、最小値Eminに達し、その後上昇する。最小値Eminの時点が、凝固開始時点(図2におけるCT)である。凝固開始後、図2におけるCT3の時点において、誘電率の経時変化(増加率)が最大になる。この時点における誘電率の時間に対する変化を表す曲線の勾配(図2におけるCFR2)、すなわち誘電率の時間に対する変化率が、本技術における第1の結果でありうる。
また、周波数が1MHzの場合において、抗凝固作用を解除する為の剤の添加後に誘電率が上昇し、最大値Aに達し、その後低下する。最大値Aの時点が、凝固開始時点(図2におけるCT)である。凝固開始後、周波数が1MHzの場合においても、誘電率の経時変化(減少率)が最大になる時点がある。この時点における、誘電率の時間に対する変化を表す曲線の勾配(図2におけるCFR)、すなわち誘電率の時間に対する変化率が、本技術における第1の結果でありうる。
本技術において、阻害因子の血液凝固阻害能に関する第2の結果は、前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られるものである。すなわち、第2の結果を得るために用いられる血液試料は、第1の結果を得るために用いられる血液試料と異なる血液凝固因子濃度を有する。
前記第1の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度と前記第2の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度との差は、好ましくは0.25pM以上、より好ましくは0.30pM以上であり、電気的特性が測定される2つの血液の濃度差をこのように設定することで、より良い推定結果(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。
当該差は、特に好ましくは0.50pM以上であり、さらにより好ましくは0.52pM以上であり、さらにより好ましくは0.55pM以上であり、さらにより好ましくは0.57pM以上でありうる。電気的特性が測定される2つの血液の濃度差をこのように設定することで、例えば濃度差が約0.3pMの場合と比べて、さらにより良い推定結果(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。当該血液凝固因子濃度は、血液に添加される血液凝固因子の量のみに基づき算定される。すなわち、血液に元々含まれる血液凝固因子の量は当該濃度の算定において考慮されない。例えば第2の結果を得るために用いられる血液が、血液凝固因子が添加されていない血液である場合、血液凝固因子濃度は0である。
第1の結果が得られた血液及び第2の結果が得られた血液の両方に血液凝固因子が添加される場合、第1の結果が得られた血液の血液凝固因子濃度は、第2の結果が得られた血液の血液凝固因子濃度に対して、好ましくは1.9倍以上、より好ましくは1.95倍以上でありうる。このように濃度を設定することで、より良い推定結果(又は、下記2.出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。
第1の結果が得られた血液の血液凝固因子濃度は、第2の結果が得られた血液の血液凝固因子濃度に対して、特に好ましくは5倍以上、さらにより好ましくは6倍以上、7倍以上、又は8倍以上でありうる。このように濃度を設定することで、濃度差が約2倍である場合と比べて、さらにより良い推定結果(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。
本技術において、第1の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度及び前記第2の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度はいずれも、好ましくは20pM以下、より好ましくは15pM以下、より好ましくは7pM以下、より好ましくは5pM以下、さらにより好ましくは3pM以下でありうる。これら濃度以下であることによって、より正確な電気的特性の測定が可能になりうる。
第2の結果を得るために用いられる電気的特性の測定は、第1の結果を得るために用いられる電気的特性の測定と同じ方法で行われうる。第2の結果は、第1の結果と同じ方法によって、電気的特性に基づき得られうる。すなわち、第2の結果は、上で述べたとおり、好ましくは電気的特性の変化率であり、より好ましくは、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における、電気的特性の変化率でありうる。
(4)第1の結果と第2の結果との比較結果
本技術において、第1の結果と第2の結果との比較結果は、好ましくは前記第1の結果と前記第2の結果との比、又は、当該比を所定の補正項により補正したものでありうる。当該比又は当該比を所定の補正項により補正したものを用いて推定することで、より良い推定結果(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。
本技術において、例えば血液凝固因子が外因系凝固因子である場合に、第1の結果及び第2の結果は、例えばそれぞれf(EX1α)及びg(EX2α)として表され且つ前記比がyとして表されうる。これら第1及び第2の結果並びに当該比の関係は、下記式1のとおりに表されうる。
式1において、関数fとgは、例えば高次関数又は無理関数でありうる。また、TFPI濃度=EX1αm/EX2αn としてもよく、また、m=n=1であってもよい。これらはあくまで例であり、これらに限定されるわけではない。
本技術において、凝固因子が例えば組織因子である場合、上記の比較によってTFPIのより良い評価ができる。このようなより良い評価が可能となる理由の一つとして、組織因子濃度が低いアッセイでは組織因子濃度が高いアッセイよりもTFPIによる阻害効果をより強く受け、その一方で、TFPIによる影響は両アッセイの差が小さいことが考えられる。
本技術において、前記式1はさらに補正されてもよい。例えば、前記式1に対して、血液試料のヘマトクリット値による補正がさらに行われうる。当該補正が行われた式は、下記式2のとおりでありうる。
式2において、h(Hct)は血液試料のヘマトクリット値に関する関数である。Hctは検体のヘマトクリット値又はヘマトクリット値に直接換算できる値(測定値や演算値)でありうる。例えば、h(Hct) = 100% - Hct値(%)でありうる。
前記補正によって、より良い推定結果(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。本技術において、血液の誘電率等の電気的特性を測定する場合、添加される血液凝固因子の血漿中濃度は赤血球による排除体積効果の違いによって影響を受ける。例えば高ヘマトクリット値の検体では、血液凝固因子の実効的な血漿中濃度は高くなりうる。そこで、前記補正を行うことで、この影響が減少されうる。
ヘマトクリット値の測定は、当技術分野で用いられている血算装置等により測定してもよく、又は、前記電気的特性に基づき算出されてもよい。前記電気的特性に基づき算出する方法は、例えば国際公開第2014/141844号に記載されている。電気的特性に基づき算出されたヘマトクリット値を用いる場合、前記第1の結果及び第2の結果を得る為の電気的特性の測定と平行してヘマトクリット値の算出が可能となり、血算装置等による別途の測定が不要となりうる。
本技術において、前記式2はさらに補正されてもよい。例えば、前記式2は、内因系凝固経路に関する特性値による補正がさらに行われうる。当該補正が行われた式は、下記式3のとおりでありうる。
式3において、I(s)は内因系凝固経路に関する補正関数であり、sは内因系凝固因子に関するアッセイで得られるパラメータ、又は、内因系凝固因子に関するアッセイで得られる複数のパラメータを用いた演算結果でありうる。
血液凝固反応において内因系凝固因子のFXIIaは、内因系を活性化するだけでなく、外因系凝固因子FVIIを活性化する能力もある。また、TF/FVIIa複合体はFXを活性化するだけでなく、内因系凝固因子FIXを活性化する能力も持つ。活性化されたFIXaはFXを活性化し、トロンビン生成に寄与することで、さらにFVIIの活性化(即ち、外因系凝固反応の促進)につながる。このように、外因系凝固経路と内因系凝固経路とは相互に作用し合う。そのため、仮に外因系凝固因子濃度とTFPI濃度が全く同じ2つの検体があり、しかし、一方の内因系凝固因子の濃度が他方より有意に高い場合には、前記2つの検体の凝固反応は異なることがある。そのため、内因系凝固経路に関する特性値による補正によって、より良い推定結果が得られうる。
本技術において、前記式3において、外因系凝固因子に関する第1及び第2の結果として、それぞれ複数の結果が用いられてもよい。この場合、比較結果yは例えば以下のとおりに表されうる。
式4においてpは、外因系凝固因子に関するアッセイで得られる複数のパラメータを用いた演算結果であり、F(p)はその関数である。rは、pに関する結果を得た血液に添加された血液凝固因子の濃度と異なる血液凝固因子濃度の前記血液に関して前記アッセイで得られる複数のパラメータを用いた演算結果であり、G(r)はその関数である。複数のパラメータの例としては、例えば上で述べた電気的特性の変化率及び図1において示されたとおりのDSCが挙げられる。複数のパラメータを用いることで、より良い推定結果(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。
本技術において、好ましくは、前記式1において例えばf(EX1α) 及びg(EX2α)のいずれもが、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における、電気的特性の変化率でありうる。すなわち、前記式1は以下のとおりに表される。
式5において、CFR2EX1は、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における、電気的特性の変化率であり、これが第1の結果である。CFR2EX2も、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における、電気的特性の変化率であり、これが第2の結果である。ただし、上で述べたとおり、第1の結果を得るために用いられた血液の血液凝固因子濃度は、第2の結果を得るために用いられた血液の血液凝固因子濃度と異なる。本技術において式5のyを比較結果として用いることで、より良い推定結果(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。
本技術において、好ましくは、前記式2において例えばf(EX1α) 及びg(EX2α)のいずれもが、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における、電気的特性の変化率であり、且つ、h(Hct)が100% - Hct値(%)でありうる。すなわち、前記式2は下記式6のとおりに表される。なお、式6において、CFR2EX1及びCFR2EX2は前記式5について述べたとおりである。本技術において式6のyを比較結果として用いることで、より良い推定結果(又は、下記2.で述べる出血量予測装置の場合においては予測結果)が得られうる。
本技術において、前記阻害因子に関する特性は、例えば当該阻害因子の濃度又は活性でありうる。すなわち、本技術において、例えば当該阻害因子の濃度又は活性が、実際に化学的又は生化学的な方法によって測定することなく、電気的特性の測定値に基づき迅速に推定されうる。
(5)阻害因子に関する特性の推定
本技術において、推定部は、前記比較結果に基づき、血液凝固因子に対する阻害因子に関する特性の推定を行う。当該推定は、例えば、当該比較結果と当該特性との相関関係に基づき行われうる。当該相関関係は、例えば、以下のとおりにして予め用意されうる。複数の個体、特にはヒト、からそれぞれ得られた血液試料に対して電気的特性の測定を行い、測定結果に基づき第1の結果及び第2の結果の比較結果を得ておく。これら複数の個体の血液試料に対して、阻害因子に関する特性、例えば濃度又は活性等、を実際に化学的又は生化学的な方法により測定する。統計学的処理により、前記比較結果と前記阻害因子に関する特性との間の相関関係が得られる。阻害因子に関する特性を推定したい個体の血液についても同様に比較結果を得、そして、当該相関関係、例えば当該相関関係を表すグラフ又は式等、を参照して、当該比較結果に基づき阻害因子に関する特性が推定されうる。当該比較結果は、上で説明したとおりの前記第1の結果と前記第2の結果との比であってよく、特には前記式1〜6のいずれかにより表されるyでありうる。
本技術において、上で述べたとおり阻害因子の特性が推定されることで、例えば周術期にある場合や救急救命の場合等、前記阻害因子に関する特性をできる限り迅速に知りたい場合において、時間のかかる化学的又は生化学的な方法によって当該特性の測定を実際に行うことなく、当該特性を知ることができる。その結果、例えば輸血や止血治療をエビデンスに基づいて行うことができ、出血の遷延を予防するとともに、治療の予後も向上しうる。また、止血に必要な処置が、早期に行われることで、再止血術の頻度を下げ、医療コストの低減が実現される。
前記相関関係を得るために行われる前記阻害因子に関する特性の化学的又は生化学的な測定は、当技術分野において一般に用いられる方法によって行われてよい。例えば特性が濃度である場合、例えばEIA、特にはELISA、又はRIAを用いて濃度が測定されうる。例えば、前記特性がTFPIの濃度である場合、ELISAによってTFPIの濃度の測定が行われうる。特性が活性である場合、活性を測定したい阻害因子が阻害する経路において活性化される因子又はその下流において活性化される因子の活性化型の基質を用いて、当該阻害因子の阻害作用を評価することにより、活性の測定が行われうる。例えば、前記特性がTFPIの活性である場合、当該活性は、TF/VIIa複合体によるX因子の活性化反応の阻害作用を、Xa因子の合成基質を用いて測定する方法により測定されうる。本技術において例えば、前記比較結果とTFPI濃度との間の予め得られた相関関係を参照して、前記電気的特性の測定値に基づき、血液試料のTFPI濃度が推定されうる。
前記推定部は、必要に応じて、前記推定結果に基づき、投与されるべき薬剤の量又は安静にしておくべき時間をさらに推定しうる。当該薬剤量や当該時間が推定されることで、血液の特性に応じたより適切な処置が可能となりうる。
前記推定部を従来の電気的特性測定装置(例えば特開2010−181400号公報又は特開2012−194087号公報に記載の装置等)に導入することにより、前記推定が可能となりうる。そのため、新たな設備を導入するためのコストが抑えられるとともに、装置を設置するスペースの節約にも役立つ。また、臨床現場での労力低減にも役立ちうる。
(6)その他の構成
本技術の血液凝固系解析装置は、必要に応じて、前記推定部において行われる推定に用いられる各種データを取得する為に用いられる構成、推定された特性を出力する構成、及び/又は各種データを記憶する構成をさらに含んでいてもよい。そのような構成の例として例えば、図1に示されたとおりの、血液試料を保持する試料保持部102、電気的特性を測定する測定部103、阻害因子の血液凝固阻害能に関する結果を得る結果算出部104、前記第1の結果と前記第2の結果とを比較する比較部105、推定された特性を表示する表示部106、及び記憶部(図示せず)を挙げることができるがこれらに限定されない。以下で、これらの構成についてそれぞれ説明する。
本技術において、試料保持部102は血液試料を保持する。血液試料は、クエン酸等の抗凝固剤を含んだ状態で試料保持部102中に保持されうる。試料保持部102は、血液試料が入れられると、当該血液試料を約37℃に自動的に加温しうる。また、試料保持部102は、ピペッティング機構を有しうる。当該ピペッティング機構によって、血液が適度に撹拌され、その結果血沈が解消されうる。当該ピペッティング機構は例えば、血液の液面を自動的に検知する機構によって血液の液面を検知し、当該検知された液面から所定の深さにおいて血液を吸引し、血液の最深部から所定の高さにおいて血液を吐出するものでありうる。当該ピペッティング機構による撹拌は、例えば特開2016−045071に記載されたとおりに行われうる。
本技術において、測定部103は血液試料の電気的特性を測定する。電気的特性及びその測定方法は、上で述べたとおりである。測定部103には例えば、血液凝固因子及び抗凝固作用を解除する為の抗凝固作用解除剤を予め入れられたカートリッジが備えられていてよい。当該カートリッジに試料保持部102から血液が注入され、そして、当該血液と血液凝固因子及び抗凝固作用解除剤との混合が行われる。当該混合の結果、血液凝固過程が開始する。そして、測定部103において、当該血液凝固過程における当該血液の電気的特性が、上で述べたとおりに測定されうる。また、2つ以上のカートリッジが測定部103に備えられていてもよい。当該2つ以上のカートリッジ中の血液の電気的特性が同時に測定されてもよい。例えば2つのカートリッジがそれぞれ異なる量の血液凝固因子を含むことで、第1の結果を得る為の電気的特性の測定と第2の結果を得る為の電気的特性の測定を同時に行うことができる。また、複数のカートリッジに対してそれぞれ異なる周波数の電圧を印加し、それぞれのカートリッジにおいて電気的特性が測定されてもよい。このようにして測定された電気的特性は、結果算出部104において、第1及び第2の結果を算出する為に用いられうる。
本技術において、結果算出部104は、当該電気的特性に基づき、阻害因子の血液凝固阻害能に関する結果を得る。当該結果及びその算出方法は、上で述べたとおりである。当該結果が、比較部105における比較に用いられうる。
本技術において、比較部105は、前記第1の結果と前記第2の結果とを比較する。比較方法は、上で述べたとおりである。当該比較の結果に基づき、前記推定部101において阻害因子に関する特性が推定されうる。
本技術において、表示部106は、前記推定部101により推定された特性を表示する。また、表示部106は、必要に応じて、前記電気的特性、前記第1の結果及び第2の結果、及び/又は前記比較結果を表示してもよい。
また、本技術の血液凝固系解析装置は必要に応じて記憶部(図示せず)を含んでいてもよい。記憶部は、前記推定結果並びに、必要に応じて、推定結果を得る為に用いられた相関関係、第1及び第2の結果、電気的特性、並びに凝固因子添加量から選ばれる1つ又はそれ以上のデータを記憶しうる。また、当該記憶部は、前記血液試料に関する情報を記憶してもよい。当該情報は、例えば、前記装置のユーザインターフェースを通じて入力されてよく、又は、例えばバーコード等による読み取りにより入力されてもよい。血液試料に関する情報は例えば、測定されるべき電気的特性の種類、決定されるべき第1及び第2の結果の種類、添加されるべき血液凝固因子の種類、特性を決定されるべき阻害因子の種類、推定されるべき特性の種類、第1及び第2の結果の比較の仕方、当該に比較の結果を得る為に用いられる式、及び推定のために用いられる相関関係等を挙げることができるがこれらに限定されない。これらの情報に基づき、上記各部はそれぞれ作動しうる。
2.出血量予測装置
本技術の出血量予測装置は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する予測部を含む。
図3に、本技術の出血量予測装置の構成の概略を示す。図3に示されるとおり、本技術の出血量予測装置200は、予測部201を含む。本技術の血液凝固系解析装置200はさらに他の構成を含んでいてもよい。本技術の血液凝固系解析装置に含まれうる構成の例として、試料保持部202、測定部203、結果算出部204、比較部205、及び表示部206を挙げることができる。また、本技術の出血量予測装置は必要に応じて記憶部(図示せず)を含んでいてもよい。これら構成のうち、予測部201以外の構成は、上記1.で血液凝固系解析装置に関して述べたものと同じであるので、説明を省略する。以下で、予測部201について説明する。
本技術において、前記予測部は、前記第1の結果と前記第2の結果との比較結果に基づき、個体の出血量を予測する。前記予測部により、個体の出血量が予測されるという効果が奏される。
上記1.(1)〜(4)において本技術の血液凝固系解析装置に関して述べた説明の全てが、本技術の出血量予測装置にも当てはまる。すなわち、本技術の血液凝固系解析装置の推定部における推定に用いられる比較結果及び当該比較結果を得る為の事項に関する全ての説明が、当該出血量予測装置の予測部における予測に用いられる比較結果及び当該比較結果を得る為の事項にも当てはまる。そのため、当該予測部に関して、血液凝固因子及び血液凝固因子に対する阻害因子、電気的特性、第1の結果及び第2の結果、及び第1の結果と第2の結果との比較結果についての説明は省略する。以下では、個体の出血量の予測に関して説明する。
本技術において、予測部は、第1の結果と第2の結果との比較結果に基づき、個体の出血量を予測する。当該予測は、例えば、当該比較結果と出血量との相関関係に基づき行われうる。当該相関関係は、例えば、以下のとおりにして予め用意されうる。特定の手術を行った複数の個体、特にはヒト、からそれぞれ得られた血液試料に対して電気的特性の測定を行い、測定結果に基づき第1の結果及び第2の結果の比較結果を得ておく。一方で、これら複数の個体から、手術後の出血量を計量する。例えば、心臓血管手術の場合は、閉胸後の出血量が計量されうる。統計学的処理により、前記比較結果と前記出血量との間の相関関係が得られる。出血量を予測したい個体の血液についても前記比較結果を得、そして、当該相関関係、例えば当該相関関係を表すグラフ又は式等、を参照して、前記比較結果に基づき出血量が予測されうる。当該比較結果は、上で説明したとおりの前記第1の結果と前記第2の結果との比であってよく、特には前記式1〜6のいずれかにおいて表されるyでありうる。より好ましくは、当該比較結果は、式6でありうる。式6を用いることで、より好ましい予測結果が得られうる。
本技術の出血量予測装置において、出血量は例えば、手術後の出血量又は出血を伴う怪我による出血量でありうる。当該手術は特には、血液に凝固抑制因子を加える処置が行われる手術でありうる。
本技術において個体は好ましくは動物であり、より好ましくは哺乳類であり、さらにより好ましくは霊長類の動物であり、さらにより好ましくはヒトでありうる。
本技術において、出血量が予測されることで、例えば周術期にある場合や救急救命の場合等において、例えば輸血や止血治療をエビデンスに基づいて行うことができ、出血の遷延を予防するとともに、治療の予後も向上しうる。例えば、本技術により、手術後や怪我の後の出血量を予測でき、その予測結果が必要な輸血量又は投薬量の判断に役立ちうる。また、出血量が多くなることが予測される場合に、止血に必要な処置を早期に行うことで、再止血術の頻度を下げ、医療コストの低減が実現されうる。
前記予測部を従来の電気的特性測定装置(例えば特開2010−181400号公報又は特開2012−194087号公報に記載の装置等)に導入することにより、前記予測が可能となりうる。そのため、新たな設備を導入するためのコストが抑えられるとともに、装置を設置するスペースの節約にも役立つ。また、臨床現場での労力低減にも役立ちうる。
3.血液凝固系解析システム
本技術は、血液凝固系解析装置及び当該装置による推定結果を表示する表示装置を備える血液凝固系解析システムも提供する。当該血液凝固系解析装置は、上記1.で述べた血液凝固系解析装置である。
本技術の血液凝固系解析システムは、前記推定結果を表示する表示装置を備える。当該表示装置は、推定結果に加えて、推定結果を得る為に用いられた相関関係、第1及び第2の結果、電気的特性、並びに凝固因子添加量から選ばれる1つ又はそれ以上のデータを表示してもよい。
本技術の血液凝固系解析システムはさらに、サーバ及び/又はユーザインターフェースを備えうる。当該サーバは、前記推定結果並びに、必要に応じて、推定結果を得る為に用いられた相関関係、第1及び第2の結果、電気的特性、並びに凝固因子添加量から選ばれる1つ又はそれ以上のデータを記憶する記憶部を備えうる。当該インターフェースは、ユーザが当該システム又は当該血液凝固系解析装置を操作するための部位でありうる。ユーザは、当該インターフェースを介して、血液凝固系解析のための操作を行うことができ又は解析結果の表示を行うことができる。
本技術の血液凝固系解析システムは、上記1.で述べた前記推定部において行われる推定に用いられる各種データを取得する為に用いられる構成、例えば試料保持部、測定部、結果算出部、及び比較部等をさらに含みうる。本技術の血液凝固系解析システムに含まれる各部及び表示装置は、ネットワークを介して接続されていてもよい。
図4に、本技術の血液凝固系解析システムの構成の概略を示す。図4に示されるとおり、本技術の血液凝固系解析システム300は、血液凝固系解析装置301及び表示装置302を含む。
4.出血量予測システム
本技術は出血量予測装置を備える出血量予測システムを提供する。当該出血量予測装置は、上記2.で述べた出血量予測装置である。
本技術の出血量予測システムは、出血量予測装置により予測された予測結果を表示する表示装置を備える。当該表示装置は、予測結果に加えて、予測結果を得る為に用いられた相関関係、第1及び第2の結果、電気的特性、並びに凝固因子添加量から選ばれる1つ又はそれ以上のデータを表示してもよい。
本技術の出血量予測システムはさらに、サーバ及び/又はユーザインターフェースを備えうる。当該サーバは、前記予測結果並びに、必要に応じて、予測結果を得る為に用いられた相関関係、第1及び第2の結果、電気的特性、並びに凝固因子添加量から選ばれる1つ又はそれ以上のデータを記憶する記憶部を備えうる。当該インターフェースは、ユーザが当該システム又は当該出血量予測装置を操作するための部位でありうる。ユーザは、当該インターフェースを介して、出血量予測のための操作を行うことができ又は出血量予測結果の表示を行うことができる。
本技術の出血量予測システムは、上記2.で述べた前記予測部において行われる予測に用いられる各種データを取得する為に用いられる構成、例えば試料保持部、測定部、結果算出部、及び比較部等をさらに含みうる。本技術の出血量予測システムに含まれる各部や表示装置は、ネットワークを介して接続されていてもよい。
図5に、本技術の出血量予測システムの構成の概略を示す。図5に示されるとおり、本技術の出血量予測システム400は、出血量予測装置401及び表示装置402を含む。
5.血液凝固系解析方法
本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
を比較する工程、及び、
前記比較の結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する工程
を含む血液凝固系解析方法も提供する。
前記比較する工程において、前記第1の結果と前記第2の結果が比較される。前記比較する工程における比較の結果が、前記推定する工程における推定において用いられる。上記1.(1)〜(4)において本技術の血液凝固系解析装置に関して述べた説明の全てが、本技術の血液凝固系解析方法における前記比較する工程に当てはまる。すなわち、本技術の血液凝固系解析装置に関して記載した血液凝固因子及び血液凝固因子に対する阻害因子、電気的特性、第1の結果及び第2の結果、並びにこれらの結果の比較に関する説明が、前記比較する工程にも当てはまる。そのため、これらの説明は省略する。
前記推定する工程において、前記比較の結果に基づき、前記阻害因子に関する特性が推定される。上記1.(4)及び(5)において本技術の血液凝固系解析装置に関して述べた説明の全てが、本技術の血液凝固系解析方法の前記推定する工程に当てはまる。すなわち、本技術の血液凝固系解析装置に関して記載した比較結果及び当該比較結果に基づく推定に関する説明の全てが、前記推定する工程にもあてはまる。そのため、これらの説明は省略する。
本技術の血液凝固系解析方法は、必要に応じて、前記比較する工程及び推定する工程において用いられる各種データを取得する為の工程をさらに含んでいてもよい。そのような工程の例として例えば、血液凝固因子を血液に添加する工程、血液試料の電気的特性を測定する工程、及び阻害因子の血液凝固阻害能に関する結果を算出する工程を挙げることができるがこれらに限定されない。これらの工程において、上記1.において述べた試料保持部、測定部、及び結果算出部において実行されるそれぞれの方法が行われうる。
本技術の血液凝固系解析方法の実施態様の一つを、図6に記載のフローチャートを参照して説明する。
血液凝固因子添加工程(S501)において、血液試料に当該凝固因子が添加される。同じ血液試料が2種類の濃度で凝固因子と混合され、異なる濃度で凝固因子を有する2つの血液試料が用意される。血液凝固因子添加工程(S501)は、上記1.(6)において説明した測定部により、特には測定部に含まれるカートリッジ中において行われうる。
電気的特性測定工程(S502)において、当該血液試料それぞれの凝固過程における電気的特性が経時的に測定される。電気的特性測定工程(S502)は、上記1(6)において説明した測定部により行われうる。
結果算出工程(S503)において、前記2つの血液試料それぞれについて、前記測定された電気的特性に基づき、当該凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する結果が算出される。結果算出工程(S503)は、上記1(6)において説明した結果算出部により行われうる。
結果比較工程(S504)において、前記2つの血液試料それぞれについて算出された結果が比較される。結果比較工程(S504)は、上記1(6)において説明した比較部により行われうる。
特性推定工程(S505)において、前記比較の結果に基づき、予め用意された相関関係を参照し、阻害因子に関する特性が推定される。特性推定工程(S505)は、上記1(6)において説明した推定部により行われうる。
6.出血量予測方法
本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
を比較する工程、及び、
前記比較の結果に基づき、個体の出血量を予測する工程
を含む出血量予測方法も提供する。
前記比較する工程において、前記第1の結果と前記第2の結果とが比較される。前記比較する工程は、上記5.で述べた比較する工程と同じであるので、説明を省略する。
前記予測する工程において、前記比較の結果に基づき、個体の出血量が予測される。上記2において本技術の出血量予測装置に関して述べた説明の全てが、本技術の出血量予測方法の前記予測する工程に当てはまる。すなわち、本技術の出血量予測装置に関して記載した比較結果及び当該比較結果に基づく予測に関する説明の全てが、前記予測する工程にもあてはまる。そのため、これらの説明は省略する。
本技術の出血量予測方法は、必要に応じて、前記比較する工程及び予測する工程において用いられる各種データを取得する為の工程をさらに含んでいてもよい。そのような工程の例として例えば、血液凝固因子を血液に添加する工程、血液試料の電気的特性を測定する工程、及び阻害因子の血液凝固阻害能に関する結果を算出する工程を挙げることができるがこれらに限定されない。これらの工程において、上記1.において述べた試料保持部、測定部、及び結果算出部において実行されるそれぞれの方法が行われうる。
本技術の出血量予測方法の実施態様の一つを、図7に記載のフローチャートを参照して説明する。
図7中の工程S601〜S604は、図6中の工程S501〜S504にそれぞれ対応するので、説明は省略する。
出血量予測工程(S605)において、工程S604における比較の結果に基づき、予め用意された相関関係を参照し、個体の出血量が予測される。出血量予測工程(S605)は、上記2において説明した予測部により行われうる。
7.血液凝固系解析用プログラム
本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する工程をコンピュータに実行させるための
血液凝固系解析用プログラムも提供する。
本技術の血液凝固系解析用プログラムは、上記5.で述べた本技術の血液凝固系解析方法における前記推定する工程をコンピュータに実行させるためのプログラムである。また、当該プログラムは、必要に応じて、上記5.で述べた比較する工程をコンピュータに実行させるものでありうる。また、当該プログラムは、前記推定する工程において用いられる各種データを取得する為の工程をコンピュータに実行させる為のものでありうる。そのような工程の例として例えば、血液凝固因子を血液に添加する工程、血液試料の電気的特性を測定する工程、及び阻害因子の血液凝固阻害能に関する結果を算出する工程を挙げることができるがこれらに限定されない。本技術のプログラムにより実行される工程はいずれも、本技術の血液凝固系解析方法において説明された各工程と同一であるため、これらの工程の説明は省略する。
8.出血量予測用プログラム
本技術は、
血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する工程をコンピュータに実行させるための
出血量予測用プログラムも提供する。
本技術の出血量予測用プログラムは、上記6.で述べた本技術の出血量予測方法における前記予測する工程をコンピュータに実行させるためのプログラムである。また、当該プログラムは、必要に応じて、上記6.で述べた比較する工程をコンピュータに実行させるものでありうる。また、当該プログラムは、前記予測する工程において用いられる各種データを取得する為の工程をコンピュータに実行させる為のものでありうる。そのような工程の例として例えば、血液凝固因子を血液に添加する工程、血液試料の電気的特性を測定する工程、及び阻害因子の血液凝固阻害能に関する結果を算出する工程を挙げることができるがこれらに限定されない。本技術のプログラムにより実行される工程はいずれも、本技術の出血量予測方法において説明された各工程と同一であるため、これらの工程の説明は省略する。
本技術の血液凝固系解析用プログラム及び出血量予測用プログラムは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の記録媒体に格納されていてもよく、又は、ネットワークを介して配信されてもよい。
9.実施例
9−1.TFPI濃度と誘電率プロットにおける最大勾配との相関
(1)実験概要
健常者の血液に体外で人為的にリコンビナントTFPI(以下、rTFPIという)を異なる濃度で添加した複数の血液試料を用意した。当該血液試料それぞれに異なる濃度の組織因子を添加した状態で、凝固経路を活性化させ、血液凝固過程における誘電率を経時的に測定した。測定結果を解析して、異なる組織因子濃度のそれぞれの場合について誘電率変化の最大勾配を得た。得られた最大勾配の比を求めたところ、rTFPI濃度に依存して当該比が変化した。したがって、血中TFPI濃度を当該比により評価できることが分かった。また、解析に用いる測定の組織因子濃度差がある程度大きい場合に、より有効な評価ができることも分かった。
(2)実験方法
クエン酸を抗凝固剤として使用した真空採血管を用いて、健常者の静脈血の採血を行った。rTFPIはシグマ・アルドリッチ社から購入したものを用いた。当該rTFPIは凍結乾燥状態にあるので、メーカー推奨の方法に従って50μg/mLの濃度になるように溶解してrTFPI溶液を得た。当該溶液を血液に加え、rTFPI濃度が30、50、70及び90ng/mLである血液試料を用意した。なお、rTFPI溶液の添加量によって血液の希釈度が変化するのを防ぐため、生理食塩水を適宜血液試料に加え、全ての血液試料においてrTFPI溶液+生理食塩水の量は血液の10分の1になるようにした。
前記血液試料それぞれをさらに5つに分け、当該5つの試料それぞれに異なる濃度で外因系凝固経路の活性化剤である組織因子(以下、TFという)を添加した。5つの試料のTFの濃度は、添加後の終濃度でそれぞれ0、0.08、0.16、0.33及び0.65pMであった。当該5つの試料に塩化カルシウムを添加してクエン酸による抗凝固作用を解除した。抗凝固作用が解除された当該5つの試料の血液凝固過程における誘電率を経時的に測定した。誘電率測定には、特開2016−045071号公報に記載された装置を用いた。血液試料に印加された交番電圧の周波数は10kHz〜10MHzであった。
(3)結果
測定結果から、凝固開始後における誘電率変化の最大勾配を求めた。TF濃度が0.65pMである場合の最大勾配とその他の濃度のいずれかの場合の最大勾配との比yを求めた。yは以下の式7により表される。
式7において、CFR2EX1は、TF濃度が0.65pMである場合の最大勾配である。CFR2EX2は、その他の濃度のいずれかの場合の最大勾配である。10MHzの周波数における測定結果に基づくyの値をrTFPI濃度に対してプロットした結果を図8〜11に示す。図8〜11に示されるとおり、TFの濃度差がいずれの場合においてもyとrTFPI濃度との間に相関関係がみられ、特には濃度差が0.57pM及び0.65pMの場合にyとrTFPI濃度との間に特に良好な相関関係がみられた。
このように、yとTFPI濃度との間の相関関係に基づき、血液のTFPI濃度を推定することができる。
9−2.出血量と誘電率プロットにおける最大勾配との相関
(1)実験方法
人工心肺を用いる心臓血管手術を受けた18名の成人患者の血液を、閉胸後手術終了時に採血した。当該手術において、人工心肺が適用されている間は、プロタミンによるヘパリン中和が行われていた。得られた血液に、クエン酸が抗凝固剤として添加された。また、術後48時間のドレーンからの出血量を計量した。
前記血液それぞれをさらに2つに分け、当該2つの血液試料のうち一方にはTFを添加し、他方にはTFを添加せずに、血液凝固過程における誘電率を経時的に測定した。TFを添加した血液のTF濃度は、添加後の終濃度で0.65pMであった。誘電率測定には、特開2016−045071号公報に記載の装置を用いた。血液試料に印加された交番電圧の周波数は10MHzであった。クエン酸による抗凝固作用の解除は、塩化カルシウムの添加により行われた。また、前記血液のヘマトクリット値を、国際公開第2014/141844号に記載されたとおりの複素誘電率に基づき算出する方法により測定した。
(2)結果
測定結果から、凝固開始後における誘電率変化の最大勾配を求めた。TF濃度が0.65pMである場合の最大勾配とTFを添加しない場合(すなわちTF濃度が0pMの場合)との比に対してヘマトクリット値による補正を行ったyを求めた。yは以下の式8により表される。
前記式8において、CFR2EX1は、TF濃度が0.65pMである場合の最大勾配である。CFR2EX2は、TFを添加しない場合の最大勾配である。Hctはヘマトクリット値(%)である。yの値を術後出血量に対してプロットした結果を図12に示す。図12に示されるとおり、yと術後出血量との間に相関関係がみられた(スピアマン検定による相関係数0.5)。
このように、yと術後出血量との間の相関関係に基づき、術後出血量を予測することができる。
なお、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
〔1〕血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する推定部
を含む血液凝固系解析装置。
〔2〕前記第1の結果及び前記第2の結果が、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における、電気的特性の変化率である、前記〔1〕に記載の血液凝固系解析装置。
〔3〕前記比較結果が、前記第1の結果と前記第2の結果との比である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の血液凝固系解析装置。
〔4〕前記第1の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度と前記第2の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度との差が0.50pM以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
〔5〕前記阻害因子が組織因子経路インヒビターである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
〔6〕前記比較結果が、前記第1の結果と前記第2の結果との比に対して、前記血液のヘマトクリット値による補正を行ったものである、前記〔1〕、〔2〕、〔4〕、及び〔5〕のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
〔7〕前記比較結果が、前記第1の結果と前記第2の結果との比に対して、前記血液のヘマトクリット値及び内因系凝固経路に関する特性値による補正を行ったものである、前記〔1〕、〔2〕、〔4〕、及び〔5〕のいずれかにに記載の血液凝固系解析装置。
〔8〕前記阻害因子に関する特性が当該阻害因子の濃度又は活性である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
〔9〕血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する予測部
を含む出血量予測装置。
〔10〕血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する推定部を含む血液凝固系解析装置、及び
前記推定の結果を表示する表示装置
を備える血液凝固系解析システム。
〔11〕血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する予測部を含む出血量予測装置、及び、
前記予測された出血量を表示する表示装置
を備える出血量予測システム。
〔12〕血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
を比較する工程、及び、
前記比較の結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する工程
を含む血液凝固系解析方法。
〔13〕血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
を比較する工程、及び
前記比較の結果に基づき、個体の出血量を予測する工程
を含む出血量予測方法。
〔14〕血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する工程をコンピュータに実行させるための
血液凝固系解析用プログラム。
〔15〕血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する工程をコンピュータに実行させるための
出血量予測用プログラム。
100 血液凝固系解析装置
101 推定部
102、202 試料保持部
103、203 測定部
104、204 結果算出部
105、205 比較部
106、206 表示部
200 出血量予測装置
201 予測部
300 血液凝固系解析システム
301 血液凝固系解析装置
302 表示装置
400 出血量予測システム
401 出血量予測装置
402 表示装置

Claims (15)

  1. 血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
    前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
    の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する推定部
    を含む血液凝固系解析装置。
  2. 前記第1の結果及び前記第2の結果が、血液凝固の開始後に前記電気的特性の経時変化が最大となる時点における、電気的特性の変化率である、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。
  3. 前記比較結果が、前記第1の結果と前記第2の結果との比である、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。
  4. 前記第1の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度と前記第2の結果が得られた血液中の血液凝固因子濃度との差が0.50pM以上である、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。
  5. 前記阻害因子が組織因子経路インヒビターである、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。
  6. 前記比較結果が、前記第1の結果と前記第2の結果との比に対して、前記血液のヘマトクリット値による補正を行ったものである、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。
  7. 前記比較結果が、前記第1の結果と前記第2の結果との比に対して、前記血液のヘマトクリット値及び内因系凝固経路に関する特性値による補正を行ったものである、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。
  8. 前記阻害因子に関する特性が当該阻害因子の濃度又は活性である、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。
  9. 血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
    前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
    の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する予測部
    を含む出血量予測装置。
  10. 血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
    前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
    の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する推定部を含む血液凝固系解析装置、及び
    前記推定の結果を表示する表示装置
    を備える血液凝固系解析システム。
  11. 血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
    前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
    の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する予測部を含む出血量予測装置、及び
    前記予測された出血量を表示する表示装置
    を備える出血量予測システム。
  12. 血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
    前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
    を比較する工程、及び
    前記比較の結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する工程
    を含む血液凝固系解析方法。
  13. 血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
    前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
    を比較する工程、及び
    前記比較の結果に基づき、個体の出血量を予測する工程
    を含む出血量予測方法。
  14. 血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
    前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
    の比較結果に基づき、前記阻害因子に関する特性を推定する工程をコンピュータに実行させるための
    血液凝固系解析用プログラム。
  15. 血液凝固因子が添加された血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、当該血液凝固因子に対する阻害因子の血液凝固阻害能に関する第1の結果と、
    前記血液凝固因子が添加された前記血液中の当該血液凝固因子の濃度とは異なる濃度となるように当該血液凝固因子が添加された又は当該血液凝固因子が添加されていない前記血液の少なくとも一つの電気的特性に基づき得られた、前記血液凝固阻害能に関する第2の結果と
    の比較結果に基づき、個体の出血量を予測する工程をコンピュータに実行させるための
    出血量予測用プログラム。
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