JPWO2018116491A1 - 非水電解液二次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の非水電解液二次電池は、負極、正極および非水電解液を有しており、前記負極はLiと合金化可能な元素とLiとの合金を負極活物質として有し、前記非水電解液が、スルトン化合物、有機ホウ酸リチウム塩、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムより選択される少なくとも1種の添加剤と、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物とを含有することを特徴とするものである。【化1】〔前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕

Description

本発明は、高温貯蔵を経た後でも低温での負荷特性が良好であり、信頼性に優れた非水電解液二次電池およびその製造方法に関するものである。
非水電解液二次電池は、高容量、高電圧などの特性を生かして、種々の用途に利用されている。そして、その適用分野の広がりと共に、非水電解液二次電池には、各種の特性向上が求められている。
特に、近年では電気自動車の実用化などに伴い、車載用の非水電解質電池の需要が伸びており、電気自動車のモーターの駆動電源への適用が主である一方で、それ以外への適用も進められている。例えば、現在、車両が事故などに遭遇した際に、それを関係各所へ通報するための緊急通報システムの開発が進行中であるが、その電源として、非水電解液二次電池の適用が検討されている。
そのようなシステムは、実際に作動する機会が限られているものの、緊急時に確実に作動することが必要とされる。そのため、電源となる電池には、長期にわたって貯蔵しても、その特性を良好に維持できる信頼性が要求される。
また、車両の走行中にタイヤがパンクして重大事故につながるケースが散見されるようになったことに鑑み、車両走行中の安全性を確保するために、タイヤ空気圧監視システム〔TirePressure Monitoring System(TPMS)〕を装着した車両が普及しつつある。前記システムの電源として、非水電解液電池(一次電池)が利用されているが、高温多湿環境となるタイヤ内にシステムが設置されることから、その電源となる電池に対しても、長期間特性を維持することのできる信頼性が要求される。
そのような非水電解液電池の特性向上を図る技術の一つとして、非水電解液の改良が検討されており、電解液を難燃化して電池の安全性を向上させためや、電池の耐久性や耐電圧性能を向上させるために、特定構造のリン酸エステル化合物などを非水電解液に添加する提案がなされている(特許文献1、2)。
また、負極上での溶媒の分解反応を抑制し、高温保存時の電池の容量低下、ガス発生の抑制、および電池の負荷特性の劣化を抑制するために、非水電解液に不飽和スルトンを含有させることや、充電電圧を4.2Vより高く設定しても、充放電効率を向上させて高温環境下(45℃)におけるサイクル特性の向上を図るため、非水電解液に、ビニレンカーボネートと、LiPFと、リチウムビスオキサレートボレート〔LiB(C〕とを含有させることが提案されている(特許文献3、4)。
更に、非水電解液に、モノフルオロリン酸リチウムまたはジフルオロリン酸リチウムを含有させることにより、高温保存時の電池の自己放電を抑制することの提案もなされている(特許文献5)
ところで、非水電解液一次電池の負極活物質には、金属リチウムや、Li−Al(リチウム−アルミニウム)合金などのリチウム合金が用いられているが、非水電解液二次電池においても、負極活物質としてリチウム合金を用いることができるため、リチウムを吸蔵、放出可能な金属とリチウムの吸蔵、放出能力のない異種金属とのクラッド材を用いて負極を構成することにより、電池特性の安定化を実現することも提案されている(特許文献6、7)。
特開2001−319685号公報 特開2015−72864号公報 特開2002−329528号公報 特開2007−128723号公報 特開平11−67270号公報 特開平8−293302号公報 国際公開第2016/39323号
一般には、前記のようなシステムを車両に搭載する場合、電池が高温環境下に置かれる可能性が高く、電池に優れた耐熱性が要求されることになるが、一方、車両が寒冷地で使用されることもあり、高温環境下に長時間置かれた後においても特性劣化が少なく、低温環境下で良好な負荷特性を発揮できる電池が必要とされる。
ところが、前記特許文献1〜7に記載された技術だけでは、負極活物質としてリチウム合金を用いる非水電解液二次電池において、優れた高温貯蔵特性と低温特性とを両立させることは難しい。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温貯蔵を経た後でも低温での負荷特性が良好であり、信頼性に優れた非水電解液二次電池とその製造方法とを提供することにある。
本発明の非水電解液二次電池は、負極、正極および非水電解液を有しており、前記負極は、Liと合金化可能な元素とLiとの合金を負極活物質として有し、前記非水電解液が、スルトン化合物、有機ホウ酸リチウム塩、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムより選択される少なくとも1種の添加剤と、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物とを含有することを特徴とするものである。
Figure 2018116491
前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。
また、本発明の製造方法は、負極、正極および非水電解液を有する非水電解液二次電池の製造方法であって、前記負極は、Liと合金化可能な元素とLiとの合金を負極活物質として有し、前記非水電解液に、スルトン化合物、有機ホウ酸リチウム塩、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムより選択される少なくとも1種の添加剤と、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物とを添加することを特徴とする。
本発明においては、スルトン化合物、有機ホウ酸リチウム塩、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムより選択される少なくとも1種の添加剤と、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物とを含有する非水電解液を用いることにより、Liと合金化可能な元素とLiとの合金を負極活物質として含有する負極を備えた非水電解液二次電池の高温貯蔵特性、低温での負荷特性および信頼性を優れたものとすることができる。
本発明の非水電解液二次電池の一例を模式的に表す部分縦断面図である。 図1の斜視図である。
前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物は、炭素材料を負極活物質に使用した非水電解液二次電池において、非水電解液に添加されることで、その安全性を高める作用を有していることが知られている。
ところが、負極にLi合金を用いた非水電解液二次電池において、前記リン酸化合物またはホウ酸化合物を添加した非水電解液を使用した場合には、高温での貯蔵を経た後の負荷特性を高く維持できることが、本発明者らの検討により明らかとなった。
一方、前記構成の非水電解液二次電池について更に検討を進めた結果、高温貯蔵後に大電流で放電を行うと、放電開始直後に大きな電圧降下(過渡電圧)を生じ、特に低温での放電において、すぐに放電終止電圧まで電池電圧が低下して放電できなくなるという問題が生じやすいことが判明した。これは、高温貯蔵時に非水電解液の含有成分によって電極表面に新たに形成される被膜により、電池の内部抵抗が上昇することが一因になっていると考えられる。
これに対し、非水電解液に更にスルトン化合物、有機ホウ酸リチウム塩、モノフルオロリン酸リチウム(LiPOF)およびジフルオロリン酸リチウム(LiPO)より選択される少なくとも1種の添加剤を添加することにより、前記問題の発生を抑制できることが明らかとなった。前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物と、スルトン化合物などの前記添加剤とを非水電解液中で共存させることにより、負極表面に形成される被膜の形態がより良好なものとなり、前記高温貯蔵における問題の発生を抑制できるものと推測される。
更に、スルトン化合物は、正極表面にも被膜を形成して正極における非水電解液の分解およびガス発生を抑制することができると考えられ、前記リン酸化合物またはホウ酸化合物と共存させることにより、高温貯蔵における電池の膨れなどをより一層抑制することができ、非水電解液二次電池の信頼性の更なる改善も可能となる。
本発明の非水電解液二次電池において、非水電解液には、下記の非水系溶媒中に、リチウム塩を溶解させることで調製した溶液が使用できる。そして、非水電解液には、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物と、スルトン化合物などの前記添加剤とを含有させて使用する。
[リン酸化合物およびホウ酸化合物]
前記リン酸化合物は、リン酸が有する水素原子のうちの少なくとも1つが、前記一般式(1)で表される基で置換された構造を有している。
また、前記ホウ酸化合物は、ホウ酸が有する水素原子のうちの少なくとも1つが、前記一般式(1)で表される基で置換された構造を有している。
前記一般式(1)において、XはSi、GeまたはSnであるが、前記リン酸化合物としては、XがSiであるリン酸シリルエステルが好ましく用いられ、前記ホウ酸化合物としては、XがSiであるホウ酸シリルエステルが好ましく用いられる。
また、前記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基であるが、メチル基またはエチル基がより好ましい。また、R、RおよびRは、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。そして、前記一般式(1)で表される基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
前記リン酸化合物においては、リン酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよいが、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
このような前記リン酸化合物としては、例えば、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸ジフェニル(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)、リン酸トリス(トリイソプロピルシリル)、リン酸トリス(ジメチルエチルシリル)、リン酸トリス(メチルジエチルシリル)、リン酸トリス(ブチルジメチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)、リン酸トリス(トリフェニルシリル)などを挙げることができ、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましく、リン酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましい。
また、前記ホウ酸化合物においては、ホウ酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、ホウ酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、ホウ酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよいが、ホウ酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
このような前記ホウ酸化合物としては、例えば、ホウ酸モノ(トリメチルシリル)、ホウ酸ジ(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジメチルトリメチルシリル、ホウ酸メチルビス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジエチルトリメチルシリル、ホウ酸ジフェニル(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリエチルシリル)、ホウ酸トリス(ビニルジメチルシリル)ホウ酸トリス(トリイソプロピルシリル)、ホウ酸トリス(ジメチルエチルシリル)、ホウ酸トリス(メチルジエチルシリル)、ホウ酸トリス(ブチルジメチルシリル)、ホウ酸トリス(ビニルジメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリフェニルシリル)などを挙げることができ、ホウ酸モノ(トリメチルシリル)、ホウ酸ジ(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジメチルトリメチルシリル、ホウ酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましく、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましい。
非水電解液中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物の添加量は、その使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、0.7質量%以上であることが特に好ましく、1質量%以上であることが最も好ましい。また、その含有量が多くなりすぎると、負極表面に形成され得る被膜の厚みが増大し、これにより抵抗が大きくなり負荷特性が低下する虞があることから、非水電解液中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物の添加量は、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、3質量%以下であることが最も好ましい。
非水電解液が前記リン酸化合物と前記ホウ酸化合物とを共に含有する場合には、その合計量が前記範囲となるように調整すればよい。
[スルトン化合物]
前記スルトン化合物としては、環内に不飽和結合を持たない化合物と、環内に不飽和結合を有する化合物とに分類され、それぞれ、非水電解液への溶解性などの点から、5員環〜7員環の化合物が好ましく用いられ、5員環構造を有するものがより好ましく用いられる。
前記環内に不飽和結合を持たない化合物としては、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどが例示され、1,3−プロパンスルトンが好ましく用いられる。
前記環内に不飽和結合を有する化合物としては、下記一般式(2)で表される5員環構造を有するものが例示される。
Figure 2018116491
前記一般式(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数が1〜12で、その一部または全部の水素がフッ素で置換されていてもよい炭化水素基である。
前記一般式(2)で表される化合物の中でも、R、R、RおよびRは、それぞれ水素、フッ素、または炭素数が1〜3で、その一部または全部の水素がフッ素で置換されていてもよい炭化水素基であるものが好ましく、1,3−プロペンスルトン(PRS)がより好ましい。
スルトン化合物の前記効果を良好に確保する観点から、非水電解液におけるスルトン化合物の添加量は、0.1質量%以上とすればよく、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが最も好ましい。ただし、非水電解液中のスルトン化合物の量が多すぎると、電池の内部抵抗が増大して放電特性が低下する虞がある。よって、放電特性の低下を抑える観点から、非水電解液におけるスルトン化合物の添加量は、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが特に好ましく、2質量%以下であることが最も好ましい。
また、前述した作用をより効果的に発揮させるためには、非水電解液中での、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物およびホウ酸化合物のおよびホウ酸化合物の添加量の合計と、スルトン化合物の添加量との質量比を20:80〜80:20の範囲とすることが好ましい。更に、電池の内部抵抗の増大による放電特性の低下をより良好に抑制する観点からは、非水電解液中での、スルトン化合物の添加量と前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物およびホウ酸化合物の添加量との合計が、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが特に好ましく、2.5質量%以下であることが最も好ましい。
[有機ホウ酸リチウム塩]
有機ホウ酸リチウム塩としては、リチウムテトラキス(アセテート)ボレート、リチウムテトラキス(フルオロアセテート)ボレート、リチウムテトラキス(ジフルオロアセテート)ボレート、リチウムテトラキス(トリフルオロアセテート)ボレートや、リチウムビス(オキサレート)ボレート〔LiB(C〕(LiBOB)などが例示され、リチウムビス(オキサレート)ボレートがより好ましく用いられる。
有機ホウ酸リチウム塩の前記効果を良好に確保する観点から、非水電解液における有機ホウ酸リチウム塩の添加量は、0.05質量%以上とすればよく、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることが最も好ましい。ただし、非水電解液中の有機ホウ酸リチウム塩の量が多すぎると、電池の内部抵抗が増大して放電特性が低下する虞がある。よって、放電特性の低下を抑える観点から、非水電解液における有機ホウ酸リチウム塩の添加量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。
また、前述した作用をより効果的に発揮させるためには、電池に使用する非水電解液中での、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物およびホウ酸化合物の添加量の合計と、有機ホウ酸リチウム塩の添加量とを合わせた総量中、有機ホウ酸リチウム塩の割合を、質量基準で3%以上とすることが好ましい。更に、電池の内部抵抗の増大による放電特性の低下をより良好に抑制する観点からは、非水電解液中での、有機ホウ酸リチウム塩の添加量と前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物およびホウ酸化合物の添加量との合計が、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが特に好ましく、2.5質量%以下であることが最も好ましい。
[フルオロリン酸リチウム]
モノフルオロリン酸リチウムまたはジフルオロリン酸リチウムの前記効果を良好に確保する観点から、非水電解液におけるモノフルオロリン酸リチウムまたはジフルオロリン酸リチウムの添加量は、0.1質量%以上とすればよく、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。ただし、モノフルオロリン酸リチウムやジフルオロリン酸リチウムの非水電解液中の量が多すぎると、電池の内部抵抗が増大して放電特性が低下する虞がある。よって、放電特性の低下を抑える観点から、非水電解液におけるモノフルオロリン酸リチウムまたはジフルオロリン酸リチウムの添加量は、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
非水電解液がモノフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムとを共に含有する場合には、その合計量が前記範囲となるように調整すればよい。
また、前述した作用をより効果的に発揮させるためには、非水電解液中での、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムの添加量の合計と、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物およびホウ酸化合物の添加量の合計との質量比を5:95〜95:5の範囲とすることが好ましい。更に、電池の内部抵抗の増大による放電特性の低下をより良好に抑制する観点からは、非水電解液中での、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムの添加量と、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物およびホウ酸化合物の添加量との合計が、6質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
なお、非水電解液に添加する下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物およびホウ酸化合物、並びにスルトン化合物、有機ホウ酸リチウム塩、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムの総量は、4質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以下であることがより好ましい。
非水電解液に係る溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を1種単独で、または2種以上を混合した混合溶媒として用いることができる。
非水電解液に係るリチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.6〜1.8mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.6mol/lとすることがより好ましい。
更に、非水電解液には、必要に応じて、スルトン化合物などの前記添加剤や前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物およびホウ酸化合物以外の添加剤を含有させることもできる。このような添加剤としては、無水マレイン酸、無水フタル酸などの酸無水物;スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリルなどのジニトリル;などが挙げられる。
更に、非水電解液は、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としてもよい。
非水電解液二次電池に係る負極には、Liと合金化可能な元素(Al、Si、Snなど)とLiとの合金を負極活物質として使用する。これらの負極活物質の中でも、LiとAlとの合金が好ましい。
前記の各種合金を負極活物質として用いるには、前記合金の粉末をバインダなどと共に合剤化し、これを集電体となる金属箔の表面に塗布して負極を構成する方法や、Liと合金化可能な元素からなる粉末をバインダなどと共に合剤化し、これを集電体となる金属箔の表面に塗布して負極を構成するための電極を作製し、電池を組み立てた後で充電することにより、前記電極の前記粉末をLiと合金化させる方法などが挙げられる。
また、例えば、Li−Al合金を負極活物質とする場合には、Li箔とAl箔とを貼り合わせて電池内に導入し、非水電解液の共存下でLiとAlとを反応させてLi−Al合金を形成する方法などを用いることも可能である。電池の組み立て後に、充電によりAlをLiと合金化させる工程を経て、目的とする負極のLi−Al合金を形成することにより、高温貯蔵後の負荷特性をより向上させることが可能となる。
電池の組み立て後に、充電によりAlをLiと合金化させる場合は、前記のようにAlの粉末を用いて負極を作製したり、Al箔などを用いて負極を作製したりし、電池の組み立て後に電池を充電して電気化学的にAlをLiと反応させればよい。
なお、Al箔を用いる場合、集電体を用いるケースでは、集電体となる金属箔〔Cu(銅)箔やCu合金箔など〕を、Li箔とAl箔との積層体に単に重ねただけで電池内に挿入すると、貯蔵後(特に高温環境下での貯蔵後)に電池の内部抵抗が増大して、十分な特性が得られない場合がある。
これは、電池内において、Li箔とAl箔との積層体でLi−Al合金が形成される際に体積変化が生じたり、Li−Al合金が形成されて微粉化が生じることで負極が非水電解液を吸収しやすくなって体積変化が生じたりして、Li−Al合金の層(Al箔)と集電体との密着性が確保できなくなるためである。
そこで、本発明においては、合金化の際の体積変化による負極の変形などを抑制するため、Li−Al合金を形成するためのAl金属層(Al箔など)と、集電体として作用するLiと合金化しない金属基材層(Cu箔など)とをあらかじめ接合した積層体(積層金属箔)を電池の組み立てに用いることが好ましい。更に、前記Al金属層の少なくとも表面側をLiと合金化させることによりLi−Al合金とし、前記金属基材層とLi−Al合金層との積層体で構成された負極とすることを好ましい実施態様とする。
前記負極を構成するにあたり、Al金属層の少なくとも表面側におけるLi−Al合金の形成は、前記積層体(積層金属箔)を用いて組み立てられた電池を化成処理する工程において行えばよい。まず、金属基材層の表面にAl金属層が接合された積層金属箔と、正極とを、セパレータを介して積層することなどにより電極体を構成する。次いで、前記電極体を外装体内に装填し、更に外装体内に非水電解液を注入した後、外装体の開口部を封止することにより、前記負極となる前の電極(負極前駆体)を有する電池が組み立てられる。組み立てられた電池は、充電を行う工程(充電工程)を有し、好ましくは更に放電を行う工程(放電工程)も有する化成処理の工程を経ることにより、負極前駆体を負極に変化させ、非水電解液二次電池として十分な機能を生じさせることができる。すなわち、前記充電工程において、前記Al金属層のAlが非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応し、正極と対向するAl金属層の少なくとも表面側にLi−Al合金が形成され、前記金属基材層とLi−Al合金層との積層体を有する負極が構成される。
負極を形成するための好ましい実施態様として先に記載した前記金属基材層(以下、単に「基材層」という)は、Cu、Ni、Ti、Feなどの金属、またはそれら元素と他の元素との合金(ただし、ステンレス鋼などの、Liと反応しない合金)により構成することができるが、基材層の厚みを薄くしても充電時の負極の膨張を充分に抑制するためには、基材層を、ニッケル、チタンおよび鉄より選択される金属またはその合金のように、引っ張り強さが高い材料で構成すればよく、室温での引っ張り強さが400N/mm以上の材料で構成することが好ましい。
すなわち、電極の面積が比較的小さいコイン形電池などでは、Cu(引っ張り強さ:220N/mm)のように引っ張り強さが低い材料により基材層を構成しても、負極の膨張による影響が小さいため、例えば、基材層を封口板に抵抗溶接することにより、所定の特性の電池を構成することができるが、電極の面積が大きくなった場合、または複数の負極が積層された場合などでは、負極の膨張による特性低下が大きくなってしまう。一方、Ni(490N/mm)、Ti(410N/mm)、SUS304(600N/mm)など、Ni、TiおよびFeより選択される金属か、またはその合金で基材層を構成することにより、厚みが薄くても優れた膨張抑制の効果を得ることができ、特に、Al活性層の面積(複数ある場合は、総面積)が、10cm以上となる場合には、前記材料とすることによる効果がより顕著となる。
一方、負極のインピーダンスを低くするためには、室温での体積固有抵抗が低い材料で基材層を構成するのがよく、体積固有抵抗が80×10−6Ω・cm以下の材料であることが好ましく、体積固有抵抗が30×10−6Ω・cm以下の材料であることがより好ましく、体積固有抵抗が15×10−6Ω・cm以下の材料であることが特に好ましい。
前記材料の体積固有抵抗は、それぞれNi:6.8×10−6Ω・cm、Ti:55×10−6Ω・cm、SUS304:72×10−6Ω・cmであり、体積固有抵抗の点からは、Niまたはその合金によって基材層を構成することが特に好ましい。
前記基材層は、具体的には、前記金属または合金の箔や蒸着膜、めっき膜などにより構成される。
また、前記Al金属層は、AlまたはAl合金の箔や蒸着膜、めっき膜などにより構成され、基材層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔としては、基材層を構成する金属の箔とAlまたはAl合金の箔とのクラッド材や、基材層を構成する金属の箔の表面にAlまたはAl合金を蒸着してAl金属層を形成した積層膜などが好ましく用いられる。
なお、Al金属層は、基材層の片面に設けることも、両面に設けることも可能であるが、基材層の両面にAl金属層を接合し、それぞれのAl金属層の少なくとも表面側に、Li−Al合金を形成する場合には、基材層の片面のみにAl金属層の接合およびLi−Al合金の形成を行う場合に比べて、負極の変形(湾曲など)や、それに伴う電池の特性劣化をより一層抑制することが可能となることから、基材層の両面にAl金属層がそれぞれ接合された積層金属箔を用いて電池を組み立てることが望ましい。
以下では、基材層がCu(Cu箔)である場合、および基材層がNi(Ni箔)である場合を例示して説明するが、基材層がCuやNi以外の材料である場合も同様である。
Cu層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔に係るCu層としては、Cu(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてZr、Cr、Zn、Ni、Si、Pなどを含み、残部がCuおよび不可避不純物であるCu合金(前記合金成分の含有量は、例えば、合計で10質量%以下、好ましくは1質量%以下)からなる層などが挙げられる。
Ni層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔に係るNi層としては、Ni(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてZr、Cr、Zn、Cu、Fe、Si、Pなどを含み、残部がNiおよび不可避不純物であるNi合金(前記合金成分の含有量は、例えば、合計で20質量%以下)からなる層などが挙げられる。
更に、Cu層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔やNi層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔に係るAl金属層としては、Al(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてFe、Ni、Co、Mn、Cr、V、Ti、Zr、Nb、Moなどを含み、残部がAlおよび不可避不純物であるAl合金(前記合金成分の含有量は、例えば、合計で50質量%以下)からなる層などが挙げられる。
Cu層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔やNi層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔においては、負極活物質となるLi−Al合金の割合を一定以上とするために、基材層であるCu層やNi層の厚みを100としたときに、Al金属層の厚み(ただし、基材層であるCu層やNi層の両面にAl金属層を接合させた場合には、片面あたりの厚み。以下同じ。)は、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましく、70以上であることが特に好ましい。また、集電効果を高め、Li−Al合金を十分に保持するためには、Cu層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔やNi層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔において、基材層であるCu層やNi層の厚みを100としたときに、Al金属層の厚みは、180以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましく、120以下であることが特に好ましく、100以下であることが最も好ましい。
なお、基材層であるCu層やNi層の厚みは、10〜50μmであることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。また、Al金属層の厚み(ただし、基材層であるCu層やNi層の両面にAl金属層を接合させた場合には、片面あたりの厚み)は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが特に好ましく、また、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましく、30μm以下であることが最も好ましい。
Cu層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔やNi層とAl金属層とを接合して形成した積層金属箔の厚みは、負極の容量を一定以上とするために、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、また、正極活物質との容量比を適切な範囲とするために、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、120μm以下であることが特に好ましい。
なお、正極活物質の種類に応じ、あるいは、Li−Al合金の不可逆容量を調整するために、Al金属層の表面にあらかじめLi箔を貼り合わせておき、Li箔が更に積層された積層金属箔を用いて電池を組み立て、組み立て後の電池を充電して、目的とする組成のLi−Al合金層を形成することも可能である。
また、負極を形成するための負極前駆体として使用する前記積層体におけるCu層やNi層には、電池の組み立て前に、常法に従って負極リード体を設けることができる。
非水電解液二次電池に係る正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。正極活物質には、リチウム含有複合酸化物(Liイオンを吸蔵および放出可能なリチウム含有複合酸化物)や、リチウム含有複合酸化物以外の正極活物質を使用することができる。
正極活物質として使用されるリチウム含有複合酸化物としては、Li1+x(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される層状構造のリチウム含有複合酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などが挙げられる。前記層状構造のリチウム含有複合酸化物としては、LiCoOなどのコバルト酸リチウムやLiNi1−aCoa−bAl(0.1≦a≦0.3、0.01≦b≦0.2)などの他、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などを例示することができる。
また、リチウム含有複合酸化物以外の正極活物質としては、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、クロム酸化物などの金属酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどの金属硫化物を例示することができる。
正極活物質には、前記例示の化合物のうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、高容量で貯蔵安定性に優れていることから、リチウム含有複合酸化物を使用することが好ましく、コバルト酸リチウムを使用することがより好ましい。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤を、溶剤(NMPなどの有機溶剤や水)に分散させて正極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を調製し、この正極合剤含有組成物を集電体の片面または両面などに塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
また、前記正極合剤を用いて成形体を形成し、この成形体の片面の一部または全部を正極集電体と貼り合わせて正極としてもよい。正極合剤成形体と正極集電体との貼り合わせは、プレス処理などにより行うことができる。
正極の集電体としては、AlやAl合金などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、Al箔が好適に用いられる。正極集電体の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質を80.0〜99.8質量%とし、導電助剤を0.1〜10質量%とし、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。また、正極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、30〜300μmであることが好ましい。
正極の集電体には、常法に従って正極リード体を設けることができる。
非水電解液二次電池において、正極と負極(負極前駆体を含む)とは、例えば、セパレータを介して重ねて構成した電極体、前記電極体を更に渦巻状に巻回して形成された巻回電極体、または複数の正極と複数の負極とを交互に積層した積層電極体の形態で使用される。
セパレータは、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常の非水電解液二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
また、前記ポリオレフィン製の微多孔膜の表面に、アルミナ、ベーマイト、カオリン、Mg(OH)などの無機粒子をバインダにより結着して構成される多孔質膜や、アラミドの多孔質膜を形成した積層体を、セパレータに用いてもよい。
セパレータの厚みは、例えば、10〜30μmであることが好ましい。
非水電解液二次電池は、例えば、電極体を外装体内に装填し、更に外装体内に非水電解液を注入して非水電解液中に電極体を浸漬させた後、外装体の開口部を封止することで製造される。
非水電解液二次電池の外装体には、スチール製やアルミニウム製、アルミニウム合金製の外装缶や、金属を蒸着したラミネートフィルムで構成される外装体などを用いることができる。
本発明の非水電解液二次電池を構成するにあたり、前記負極前駆体を用いた場合において、Liと合金化可能な元素とLiとの合金を形成するために、組み立て後の電池に少なくとも1回の充電工程を有するか、または充電工程に加えて放電工程を有する化成処理を施すことが好ましい。
前記充電工程において、負極前駆体が含有するLiと合金化可能な元素が、非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応してLiと合金化可能な元素とLiとの合金が形成されることで、負極前駆体が負極に変化する。
なお、前記化成処理においては、Li−Al合金が形成されるときにAl金属層が大きな体積膨張を生じるため、Li−Al合金層に多数のクラックを生じ、化成処理を行わない場合と比較して、高温貯蔵後の負荷特性をより向上させることができる。充電条件など化成処理の条件は、必要とされる特性に応じて適宜設定することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限
するものではない。
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質であるLiNi0.8Co0.15Al0.05:97質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部と、バインダであるPVDF:1.5質量部とを、NMPに分散させたスラリーを調製し、これを厚さ12μmのAl箔の両面に塗布し、乾燥し、プレス処理を行うことにより、Al箔集電体の片面におよそ12.7mg/cmの質量の正極合剤層を形成した。更に、正極合剤層のプレス処理を行うと共に、アルミニウム製のリード体を取り付けることにより、長さ974mm、幅43mmの帯状の正極を作製した。
<負極の作製>
厚さ35μmのCu箔の両面に、それぞれ、厚さ20μmのAl箔を積層した988mm×44.5mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を負極の作製に用いた。前記クラッド材には、電池外部との導電接続のためのニッケル製のリード体を取り付けて負極(負極前駆体)とした。
前記正極と前記負極とを、厚さ12μmのPE製の微多孔フィルムの表面にベーマイトをアクリル樹脂により結着して構成された厚さ4μmの多孔質膜を形成した積層体よりなるセパレータを介して積層し、渦巻状に巻回した後、押しつぶして扁平状の電極体を形成した。前記電極体の作製の際には、セパレータのベーマイトを結着した面側が正極と対向するようにした。
また、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DEC)との体積比17:63:20の混合溶媒に、LiBFを1.2mol/lの濃度で溶解させ、更にアジポニトリル:5質量%、リン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP):0.3質量%、1,3−プロペンスルトン(PRS):0.5質量%となる量で添加することにより、非水電解液を調製した。
前記電極体を、厚さ0.8mmのアルミニウム合金製の角形電池容器に挿入し、前記非水電解液を注入した後、電池容器を封止することにより、規格容量が1200mAhであり、図1および図2に示す構造で、103450サイズの角形非水電解液二次電池を組み立てた。
ここで図1および図2に示す電池について説明すると、図1はその部分断面図であって、正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角形(角筒形)の電池容器4に非水電解液と共に収容されている。ただし、図1では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の各層や非水電解液などは図示していない。
電池容器4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この電池容器4は正極端子を兼ねている。そして、電池容器4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、電池容器4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはポリプロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は電池容器4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池容器4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図1の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって電池容器4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、電池容器4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図2は前記図1に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図2は前記電池が
角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図1では電池
を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図
1においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。
(実施例2)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を2質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例3)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を3質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例4)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を7質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例5)
非水電解液中の1,3−プロペンスルトンの添加量の添加量を1質量%に変更した以外は、実施例2と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例6)
非水電解液中の1,3−プロペンスルトンの添加量の添加量を2質量%に変更した以外は、実施例2と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例7)
非水電解液中の1,3−プロペンスルトンの添加量の添加量を3質量%に変更した以外は、実施例2と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例8)
非水電解液中の1,3−プロペンスルトンの添加量の添加量を5質量%に変更した以外は、実施例2と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(比較例1)
非水電解液にリン酸トリス(トリメチルシリル)および1,3−プロペンスルトンを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(比較例2)
非水電解液にリン酸トリス(トリメチルシリル)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例1〜8および比較例1〜2の各電池に対して、3.8Vまで定電流−定電圧充電し、その後、2.0Vまで定電流で放電を続ける充放電を3回行うことにより、化成処理を行った。
化成処理後の各電池に対し、0.2C(240mA)の定電流で3.8Vまで充電し、その後、3.8Vの定電圧で0.01C(12mA)に電流値が減少するまで充電を続ける定電流−定電圧充電を行い、充電状態とした各電池を100℃の恒温槽に入れ7日間保持した。
保持後の各電池を取り出し、室温まで放冷させた後、前記充電条件にて自己放電分の補充電を行い、更に、100℃の恒温槽中での7日間保持と、保持後の電池を取り出して室温にて行う補充電とを繰り返し、100℃の恒温槽中で通算56日間の高温貯蔵を行った。
高温貯蔵後の各電池に対し、恒温槽から取り出してすぐに電池の厚みを測定し、高温貯蔵前の厚みとの差を「電池の膨れ」(Δt)として求めた。
次に、電池を室温まで放冷させ、更に−20℃まで冷却した後に、−20℃の環境下で5Wの定電力放電を行い、電池電圧が1.4Vに低下するまでの放電時間を測定した。また、各電池の放電曲線から、放電電圧の極小値を過渡電圧として求めた。
表1に、それぞれの測定結果を、非水電解液中の添加剤の含有量と共に示す。
Figure 2018116491
表1に示す通り、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物と不飽和環状スルトン化合物とを含有する非水電解液を用いた実施例1〜8の非水電解液二次電池は、これらのいずれも含有しない比較例1の電池、およびスルトン化合物のみ含有する非水電解液を用いた比較例2の電池に比べて、高温貯蔵後の低温環境下における放電時の過渡電圧を高くすることができ、これにより、放電時間が長く、優れた負荷特性を有する電池とすることができた。
(実施例9)
1,3−プロペンスルトン(PRS)に代えて、非水電解液にジフルオロリン酸リチウムを0.5質量%添加した以外は、実施例2と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例10)
非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの添加量を0.1質量%に変更した以外は、実施例9と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例11)
非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの添加量を1質量%に変更した以外は、実施例9と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例12)
非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの添加量を2質量%に変更した以外は、実施例9と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例13)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を0.5質量%に変更した以外は、実施例9と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例14)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を5質量%に変更した以外は、実施例9と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例15)
ジフルオロリン酸リチウムに代えて、非水電解液にモノフルオロリン酸リチウムを添加した以外は、実施例9と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(比較例3)
非水電解液にリン酸トリス(トリメチルシリル)を添加しなかった以外は、実施例9と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例9〜15、比較例1および比較例3の各電池に対して、前記と同様の条件で化成処理を行った。
化成処理後の各電池に対し、0.2C(240mA)の定電流で3.8Vまで充電し、その後、3.8Vの定電圧で0.01C(12mA)に電流値が減少するまで充電を続ける定電流−定電圧充電を行い、充電状態とした各電池を100℃の恒温槽に入れ7日間保持した。
保持後の各電池を取り出し、室温まで放冷させた後、前記充電条件にて自己放電分の補充電を行い、更に、100℃の恒温槽中での7日間保持と、保持後の電池を取り出して室温にて行う補充電とを繰り返し、100℃の恒温槽中で通算28日間の高温貯蔵を行った。
次に、各電池について、前記と同様の条件で−20℃の環境下での放電時間と過渡電圧を測定した。
表2に、それぞれの測定結果を、非水電解液中の添加剤の含有量と共に示す。
Figure 2018116491
表2に示す通り、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物と、モノフルオロリン酸リチウムまたはジフルオロリン酸リチウムとを含有する非水電解液を用いた実施例9〜15の非水電解液二次電池は、これらのいずれも含有しない比較例1の電池、およびジフルオロリン酸リチウムのみ含有する非水電解液を用いた比較例3の電池に比べて、高温貯蔵後の低温環境下における放電時の過渡電圧を高くすることができ、これにより、放電時間が長く、優れた負荷特性を有する電池とすることができた。
(実施例16)
1,3−プロペンスルトン(PRS)に代えて、非水電解液にLiB(C〔LiBOB〕を0.3質量%添加した以外は、実施例2と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例17)
非水電解液中のLiB(Cの添加量を0.5質量%に変更した以外は、実施例16と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例18)
非水電解液中のLiB(Cの添加量を0.75質量%に変更した以外は、実施例16と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(実施例19)
非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を3質量%に変更した以外は、実施例17と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
(参考例1)
非水電解液に1,3−プロペンスルトン(PRS)を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして角形非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例16〜19、比較例1および参考例1の各電池に対して、前記と同様の条件で化成処理を行った。
化成処理後の各電池に対し、0.2C(240mA)の定電流で3.8Vまで充電し、その後、3.8Vの定電圧で0.01C(12mA)に電流値が減少するまで充電を続ける定電流−定電圧充電を行い、充電状態とした各電池を100℃の恒温槽に入れ7日間保持した。
保持後の各電池を取り出し、室温まで放冷させた後、前記充電条件にて自己放電分の補充電を行い、更に、100℃の恒温槽中で7日間保持し、100℃の恒温槽中で通算14日間の高温貯蔵を行った。
高温貯蔵後の各電池に対し、恒温槽から取り出してすぐに電池の厚みを測定し、高温貯蔵前の厚みとの差を「電池の膨れ」(Δt)として求めた。
次に、電池を室温まで放冷させ、更に−20℃まで冷却した後に、−20℃の環境下で5Wの定電力放電を行い、電池電圧が2.0Vに低下するまでの放電時間を測定した。
表3に、それぞれの測定結果を、非水電解液中の添加剤の含有量と共に示す。
Figure 2018116491
表3に示す通り、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物と有機ホウ酸リチウム塩とを含有する非水電解液を用いた実施例16〜19の非水電解液二次電池は、これらのいずれも含有しない比較例1の電池に比べて、高温貯蔵後の低温環境下における放電時間が長く、優れた負荷特性を有していた。また、実施例16および17の電池は、高温貯蔵後の電池の膨れを、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物のみを含有する非水電解液を用いた参考例1の電池に比べて抑制することができた。
一方、実施例17の電池と実施例19の電池との特性比較より、前記リン酸化合物を多くし過ぎると、却って負荷特性が低下し、また貯蔵後の電池の膨れが増加することが分かる。また、実施例17の電池と実施例18の電池との特性比較より、有機ホウ酸リチウム塩を多くし過ぎると、却って負荷特性が低下し、また貯蔵後の電池の膨れが増加することが分かる。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、前記以外の形態としても実施が可能である。本出願に開示された実施形態は一例であって、本発明は、これらの実施形態には限定されない。本発明の範囲は、前記の明細書の記載よりも、添付されている請求の範囲の記載を優先して解釈され、請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更は、請求の範囲に含まれる。
本発明の非水電解液二次電池は、高温環境下での貯蔵を経ても、低温下においても優れた負荷特性を発揮でき、また、信頼性にも優れたものであることから、こうした特性を生かして、例えば車両緊急通報システムの電源用途のように、高温環境下に置かれた後に、低温下でも良好に放電できることが求められる用途に好ましく適用することができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池容器
6 扁平状の巻回電極体
9 封口用蓋体

Claims (13)

  1. 負極、正極および非水電解液を有する非水電解液二次電池であって、
    前記負極は、Liと合金化可能な元素とLiとの合金を負極活物質として有し、
    前記非水電解液が、スルトン化合物、有機ホウ酸リチウム塩、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムより選択される少なくとも1種の添加剤と、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物とを含有することを特徴とする非水電解液二次電池。
    Figure 2018116491
    〔前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕
  2. 前記負極活物質として、LiとAlとの合金を有する請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記非水電解液中の前記リン酸化合物または前記ホウ酸化合物の含有量が、0.1〜3質量%である請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記非水電解液が前記スルトン化合物を含有し、
    前記非水電解液中の前記スルトン化合物の含有量が、0.1〜5質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記非水電解液中の前記スルトン化合物の含有量と、前記リン酸化合物および前記ホウ酸化合物の含有量との合計が、5質量%以下である請求項4に記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記非水電解液中の前記スルトン化合物の含有量と、前記リン酸化合物および前記ホウ酸化合物の含有量の合計との質量比が、20:80〜80:20である請求項4または5に記載の非水電解液二次電池。
  7. 前記スルトン化合物が5員環構造を有する請求項4〜6のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  8. 前記スルトン化合物が環内に不飽和結合を有する化合物である請求項4〜7のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  9. 前記非水電解液が前記有機ホウ酸リチウム塩を含有し、
    前記非水電解液中の前記有機ホウ酸リチウム塩の含有量が、0.1〜0.5質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  10. 前記非水電解液中の有機ホウ酸リチウム塩と、前記リン酸化合物および前記ホウ酸化合物との含有量の合計が、5質量%以下である請求項9に記載の非水電解液二次電池。
  11. 前記非水電解液がモノフルオロリン酸リチウムまたはジフルオロリン酸リチウムを含有し、
    前記非水電解液中のモノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムの含有量が、0.1〜2質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  12. 前記非水電解液中のモノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムと、前記リン酸化合物および前記ホウ酸化合物との含有量の合計が、6質量%以下である請求項11に記載の非水電解液二次電池。
  13. 負極、正極および非水電解液を有する非水電解液二次電池の製造方法であって、
    前記負極は、Liと合金化可能な元素とLiとの合金を負極活物質として有し、
    前記非水電解液に、スルトン化合物、有機ホウ酸リチウム塩、モノフルオロリン酸リチウムおよびジフルオロリン酸リチウムより選択される少なくとも1種の添加剤と、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物とを添加することを特徴とする非水電解液二次電池の製造方法。
    Figure 2018116491
    〔前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕
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