以下、発明の実施の形態を通じて本開示を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須とは限らない。
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイル又はレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
以下の実施形態では、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)を例示する。無人航空機は、空中を移動する航空機を含む。本明細書に添付する図面では、無人航空機を「UAV」と表記する。飛行制御方法は、無人航空機における動作が規定されたものである。また、記録媒体は、プログラム(例えば無人航空機に各種の処理を実行させるプログラム)が記録されたものである。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における飛行システム10の構成例を示す模式図である。飛行システム10は、無人航空機100及び送信機50を備える。無人航空機100及び送信機50は、有線通信又は無線通信(例えば無線LAN(Local Area Network))により通信可能である。
次に、無人航空機100の構成例について説明する。図2は、無人航空機100の外観の一例を示す図である。図3は、無人航空機100の具体的な外観の一例を示す図である。無人航空機100が移動方向STV0に飛行する時の側面図が図2に示され、無人航空機100が移動方向STV0に飛行する時の斜視図が図3に示されている。
図2及び図3に示すように、地面と平行であって移動方向STV0に沿う方向にロール軸(x軸参照)が定義されたとする。この場合、地面と平行であってロール軸に垂直な方向にピッチ軸(y軸参照)が定められ、更に、地面に垂直であってロール軸及びピッチ軸に垂直な方向にヨー軸(z軸参照)が定められる。
無人航空機100は、UAV本体102と、ジンバル200と、撮像装置220と、複数の撮像装置230とを含む構成である。
UAV本体102は、複数の回転翼(プロペラ)を備える。UAV本体102は、複数の回転翼の回転を制御することにより無人航空機100を飛行させる。UAV本体102は、例えば4つの回転翼を用いて無人航空機100を飛行させる。回転翼の数は、4つに限定されない。また、無人航空機100は、回転翼を有さない固定翼機でもよい。
撮像装置220は、所望の撮像範囲に含まれる被写体(例えば、空撮対象となる上空の様子、山や川等の景色、地上の建物)を撮像する撮像用のカメラである。
複数の撮像装置230は、無人航空機100の飛行を制御するために無人航空機100の周囲を撮像するセンシング用のカメラである。2つの撮像装置230が、無人航空機100の機首である正面に設けられてよい。さらに、他の2つの撮像装置230が、無人航空機100の底面に設けられてよい。正面側の2つの撮像装置230はペアとなり、いわゆるステレオカメラとして機能してよい。底面側の2つの撮像装置230もペアとなり、ステレオカメラとして機能してよい。複数の撮像装置230により撮像された画像に基づいて、無人航空機100の周囲の3次元空間データが生成されてよい。なお、無人航空機100が備える撮像装置230の数は4つに限定されない。無人航空機100は、少なくとも1つの撮像装置230を備えていればよい。無人航空機100は、無人航空機100の機首、機尾、側面、底面、及び天井面のそれぞれに少なくとも1つの撮像装置230を備えてよい。撮像装置230で設定できる画角は、撮像装置220で設定できる画角より広くてよい。撮像装置230は、単焦点レンズ又は魚眼レンズを有してよい。
図4は、無人航空機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。無人航空機100は、UAV制御部110と、通信インタフェース150と、メモリ160と、ジンバル200と、回転翼機構210と、撮像装置220と、撮像装置230と、GPS受信機240と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)250と、磁気コンパス260と、気圧高度計270と、超音波高度計280と、スピーカ290と、を含む構成である。通信インタフェース150は、通信部の一例である。
UAV制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成される。UAV制御部110は、無人航空機100の各部の動作を統括して制御するための信号処理、他の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理及びデータの記憶処理を行う。
UAV制御部110は、メモリ160に格納されたプログラムに従って無人航空機100の飛行を制御する。UAV制御部110は、通信インタフェース150を介して遠隔の送信機50から受信した命令に従って、無人航空機100の飛行を制御する。メモリ160は無人航空機100から取り外し可能であってもよい。
UAV制御部110は、複数の撮像装置230により撮像された複数の画像を解析することで、無人航空機100の周囲の環境を特定してよい。UAV制御部110は、無人航空機100の周囲の環境に基づいて、例えば障害物を回避して飛行を制御する。
UAV制御部110は、現在の日時を示す日時情報を取得する。UAV制御部110は、GPS受信機240から現在の日時を示す日時情報を取得してよい。UAV制御部110は、無人航空機100に搭載されたタイマ(不図示)から現在の日時を示す日時情報を取得してよい。
UAV制御部110は、無人航空機100の位置を示す位置情報を取得する。UAV制御部110は、GPS受信機240から、無人航空機100が存在する緯度、経度及び高度を示す位置情報を取得してよい。UAV制御部110は、GPS受信機240から無人航空機100が存在する緯度及び経度を示す緯度経度情報、並びに気圧高度計270から無人航空機100が存在する高度を示す高度情報をそれぞれ位置情報として取得してよい。UAV制御部110は、超音波高度計280による超音波の放射点と超音波の反射点との距離を高度情報として取得してよい。
UAV制御部110は、磁気コンパス260から無人航空機100の向きを示す向き情報を取得する。向き情報には、例えば無人航空機100の機首の向きに対応する方位が示される。
UAV制御部110は、撮像装置220が撮像すべき撮像範囲を撮像する時に無人航空機100が存在すべき位置を示す位置情報を取得してよい。UAV制御部110は、無人航空機100が存在すべき位置を示す位置情報をメモリ160から取得してよい。UAV制御部110は、無人航空機100が存在すべき位置を示す位置情報を、通信インタフェース150を介して送信機50等の他の装置から取得してよい。UAV制御部110は、3次元地図データベースを参照して、撮像すべき撮像範囲を撮像するために、無人航空機100が存在可能な位置を特定して、その位置を無人航空機100が存在すべき位置を示す位置情報として取得してよい。
UAV制御部110は、撮像装置220及び撮像装置230のそれぞれの撮像範囲を示す撮像情報を取得する。UAV制御部110は、撮像範囲を特定するためのパラメータとして、撮像装置220及び撮像装置230の画角を示す画角情報を撮像装置220及び撮像装置230から取得する。UAV制御部110は、撮像範囲を特定するためのパラメータとして、撮像装置220及び撮像装置230の撮像方向を示す情報を取得する。UAV制御部110は、例えば撮像装置220の撮像方向を示す情報として、ジンバル200から撮像装置220の姿勢の状態を示す姿勢情報を取得する。UAV制御部110は、無人航空機100の向きを示す情報を取得する。撮像装置220の姿勢の状態を示す情報は、ジンバル200のピッチ軸及びヨー軸の基準回転角度からの回転角度を示す。UAV制御部110は、撮像範囲を特定するためのパラメータとして、無人航空機100が存在する位置を示す位置情報を取得する。UAV制御部110は、撮像装置220及び撮像装置230の画角及び撮像方向、並びに無人航空機100が存在する位置に基づいて、撮像装置220が撮像する地理的な範囲を示す撮像範囲を画定し、撮像範囲を示す撮像情報を生成することで、撮像情報を取得してよい。
UAV制御部110は、撮像装置220が撮像すべき撮像範囲を示す撮像情報を取得してよい。UAV制御部110は、メモリ160から撮像装置220が撮像すべき撮像情報を取得してよい。UAV制御部110は、通信インタフェース150を介して送信機50等の他の装置から撮像装置220が撮像すべき撮像情報を取得してよい。
UAV制御部110は、無人航空機100の周囲に存在するオブジェクトの立体形状(3次元形状)を示す立体情報(3次元情報)を取得してよい。オブジェクトは、例えば、建物、道路、車、木等の風景の一部である。立体情報は、例えば、3次元空間データである。UAV制御部110は、複数の撮像装置230から得られたそれぞれの画像から、無人航空機100の周囲に存在するオブジェクトの立体形状を示す立体情報を生成することで、立体情報を取得してよい。UAV制御部110は、メモリ160に格納された3次元地図データベースを参照することにより、無人航空機100の周囲に存在するオブジェクトの立体形状を示す立体情報を取得してよい。UAV制御部110は、ネットワーク上に存在するサーバが管理する3次元地図データベースを参照することで、無人航空機100の周囲に存在するオブジェクトの立体形状に関する立体情報を取得してよい。
UAV制御部110は、撮像装置220及び撮像装置230により撮像された画像データを取得する。
UAV制御部110は、ジンバル200、回転翼機構210、撮像装置220、及び撮像装置230を制御する。UAV制御部110は、撮像装置220の撮像方向又は画角を変更することによって、撮像装置220の撮像範囲を制御する。UAV制御部110は、ジンバル200の回転機構を制御することで、ジンバル200に支持されている撮像装置220の撮像範囲を制御する。
本明細書では、撮像範囲は、撮像装置220又は撮像装置230により撮像される地理的な範囲をいう。撮像範囲は、緯度、経度、及び高度で定義される。撮像範囲は、緯度、経度、及び高度で定義される3次元空間データにおける範囲でよい。撮像範囲は、撮像装置220又は撮像装置230の画角及び撮像方向、並びに無人航空機100が存在する位置に基づいて特定される。撮像装置220及び撮像装置230の撮像方向は、撮像装置220及び撮像装置230の撮像レンズが設けられた正面が向く方位と俯角とから定義される。撮像装置220の撮像方向は、無人航空機100の機首の方位と、ジンバル200に対する撮像装置220の姿勢の状態とから特定される方向である。撮像装置230の撮像方向は、無人航空機100の機首の方位と、撮像装置230が設けられた位置とから特定される方向である。
UAV制御部110は、回転翼機構210を制御することで、無人航空機100の飛行を制御する。つまり、UAV制御部110は、回転翼機構210を制御することにより、無人航空機100の緯度、経度、及び高度を含む位置を制御する。UAV制御部110は、無人航空機100の飛行を制御することにより、撮像装置220及び撮像装置230の撮像範囲を制御してよい。UAV制御部110は、撮像装置220が備えるズームレンズを制御することで、撮像装置220の画角を制御してよい。UAV制御部110は、撮像装置220のデジタルズーム機能を利用して、デジタルズームにより、撮像装置220の画角を制御してよい。
撮像装置220が無人航空機100に固定され、撮像装置220を動かせない場合、UAV制御部110は、特定の日時に特定の位置に無人航空機100を移動させることにより、所望の環境下で所望の撮像範囲を撮像装置220に撮像させることができる。あるいは撮像装置220がズーム機能を有さず、撮像装置220の画角を変更できない場合でも、UAV制御部110は、特定された日時に、特定の位置に無人航空機100を移動させることで、所望の環境下で所望の撮像範囲を撮像装置220に撮像させることができる。
通信インタフェース150は、送信機50と通信する。通信インタフェース150は、遠隔の送信機50からUAV制御部110に対する各種の命令や情報を受信する。
メモリ160は、UAV制御部110がジンバル200、回転翼機構210、撮像装置220、撮像装置230、GPS受信機240、慣性計測装置250、磁気コンパス260、気圧高度計270及び超音波高度計280を制御するのに必要なプログラム等を格納する。メモリ160は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体でよく、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、及びUSBメモリ等のフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ160は、UAV本体102の内部に設けられてよい。UAV本体102から取り外し可能に設けられてよい。
ジンバル200は、少なくとも1つの軸を中心に撮像装置220を回転可能に支持する。ジンバル200は、ヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸を中心に撮像装置220を回転可能に支持してよい。ジンバル200は、ヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸の少なくとも1つを中心に撮像装置220を回転させることで、撮像装置220の撮像方向を変更してよい。
回転翼機構210は、複数の回転翼211と、複数の回転翼211を回転させる複数の駆動モータ212と、駆動モータ212を駆動するための駆動電流の電流値(実測値)を計測する電流センサ213と、を有する。駆動電流は、駆動モータ212に供給される。
撮像装置220は、所望の撮像範囲の被写体を撮像して撮像画像のデータを生成する。撮像装置220の撮像により得られた画像データは、撮像装置220が有するメモリ、又はメモリ160に格納される。
撮像装置230は、無人航空機100の周囲を撮像して撮像画像のデータを生成する。撮像装置230の画像データは、メモリ160に格納される。
GPS受信機240は、複数の航法衛星(つまり、GPS衛星)から発信された時刻及び各GPS衛星の位置(座標)を示す複数の信号を受信する。GPS受信機240は、受信された複数の信号に基づいて、GPS受信機240の位置(つまり、無人航空機100の位置)を算出する。GPS受信機240は、無人航空機100の位置情報をUAV制御部110に出力する。なお、GPS受信機240の位置情報の算出は、GPS受信機240の代わりにUAV制御部110により行われてよい。この場合、UAV制御部110には、GPS受信機240が受信した複数の信号に含まれる時刻及び各GPS衛星の位置を示す情報が入力される。
慣性計測装置250は、無人航空機100の姿勢を検出し、検出結果をUAV制御部110に出力する。慣性計測装置IMU250は、無人航空機100の姿勢として、無人航空機100の前後、左右、及び上下の3軸方向の加速度と、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸の3軸方向の角速度とを検出する。
磁気コンパス260は、無人航空機100の機首の方位を検出し、検出結果をUAV制御部110に出力する。
気圧高度計270は、無人航空機100が飛行する高度を検出し、検出結果をUAV制御部110に出力する。
超音波高度計280は、超音波を放射し、地面や物体により反射された超音波を検出し、検出結果をUAV制御部110に出力する。検出結果は、無人航空機100から地面までの距離つまり高度を示してよい。検出結果は、無人航空機100から物体までの距離を示してよい。
スピーカ290は、UAV制御部110から音声データを取得し、音声データを音声出力する。スピーカ290は、音声データを警告音として音声出力してよい。スピーカ290の個数は1つ以上であり、任意である。スピーカ290の無人航空機100における設置位置は、任意である。スピーカ290から出力される警告音は、重力方向(つまり地面方向)に向かう音成分を有する。警告音は、無人航空機100の高度が低下した際に、地上に存在する人物に確認され得る。
図5は、UAV制御部110の機能構成の一例を示すブロック図である。UAV制御部110は、異常処理部111、信号判定部112、制御モード変更部113、高度取得部114、駆動電流設定部115、回転翼制御部116、及び音声制御部117を備える。
異常処理部111は、検出部の一例である。信号判定部112は、第1判定部の一例である。制御モード変更部113は、変更部の一例である。高度取得部114は、取得部の一例である。駆動電流設定部115は、設定部の一例である。回転翼制御部116は、第1制御部の一例である。音声制御部117は、出力部の一例である。
異常処理部111は、無人航空機100の飛行状態の異常の有無を判定する。異常処理部111は、無人航空機100の飛行状態に異常がある場合、飛行状態の異常を検出する。無人航空機100の飛行状態は、無人航空機100の飛行状態を示すパラメータ(飛行パラメータとも称する)により示されてよい。飛行パラメータには、回転翼機構210に含まれる回転翼を駆動するための駆動電流、無人航空機100の加速度、無人航空機100の速度、無人航空機100の高度の少なくとも1つが含まれてよい。
異常処理部111は、電流センサ213により得られた電流値を、駆動電流の実際の値(駆動電流の実測値)として取得してよい。
異常処理部111は、慣性計測装置250により計測される加速度を、無人航空機100の加速度の実際の値(加速度の実測値)として取得してよい。異常処理部111は、GPS受信機240、気圧高度計270又は超音波高度計280から高度情報を取得し、この高度情報の2回微分により算出された加速度を、無人航空機100の加速度の実測値として取得してよい。
異常処理部111は、慣性計測装置250により計測される加速度を取得し、加速度を積分して、無人航空機100の速度の実際の値(速度の実測値)を取得してよい。異常処理部111は、GPS受信機240、気圧高度計270又は超音波高度計280から高度情報を取得し、この高度情報の微分により算出された速度を、無人航空機100の速度の実測値として取得してよい。
異常処理部111は、無人航空機100の重量方向の加速度の実測値が、閾値th1(例えば10m/s2、つまり1g(g:重力加速度))以上である場合に、飛行状態に異常があると判定してよい。閾値th1は、1g以外でもよく、例えば0.8gでもよい。
異常処理部111は、信号判定部112による判定の結果、送信機50に対する操作者の操作に基づく操作入力信号がない場合、飛行状態に異常があると判定してよい。また、操作入力信号の代わりに、異常処理部111は、メモリ160に所定の設定情報が格納されているか否かを判定してよい。この設定情報は、飛行状態の異常を判定するための異常判定プログラムを含んでよい。
異常処理部111は、飛行パラメータの値を指令するための指令値(飛行パラメータの指令値)を取得してよい。異常処理部111は、通信インタフェース150を介して、送信機50からの操作入力信号に含まれる飛行パラメータの指令値を取得してよい。異常処理部111は、メモリ160に格納された設定情報を取得し、この設定情報から飛行パラメータの指令値を取得してよい。この設定情報は、飛行状態の異常を判定するための異常判定プログラムを含んでよい。
飛行パラメータの指令値は、駆動モータ212に供給される駆動電流の大きさを指令するための駆動電流の指令値と、加速度の大きさを指令するための加速度の指令値と、速度の大きさを指令するための速度の指令値と、を含んでよい。
異常処理部111は、操作入力信号又はメモリ160に保持された設定情報に含まれる加速度の指令値を取得してよい。異常処理部111は、加速度の指令値と駆動電流の指令値との変換テーブル(不図示)を基に、加速度の指令値から駆動電流の指令値に変換することで、駆動電流の指令値を取得してよい。この変換テーブルは、加速度の指令値と駆動電流の指令値との1対1の対応関係の情報を含み、メモリ160に予め保持されてよい。異常処理部111は、加速度の指令値を積分して速度の指令値を算出することで、速度の指令値を取得してよい。
異常処理部111は、操作入力信号又はメモリ160に保持された設定情報に含まれる速度の指令値を取得してよい。異常処理部111は、速度の指令値と駆動電流の指令値との変換テーブル(不図示)を基に、速度の指令値から駆動電流の指令値に変換することで、駆動電流の指令値を取得してよい。この変換テーブルは、速度の指令値と駆動電流の指令値との1対1の対応関係の情報を含み、メモリ160に予め保持されてよい。異常処理部111は、速度の指令値を微分して加速度の指令値を算出することで、加速度の指令値を取得してよい。
異常処理部111は、飛行パラメータの指令値に対するパラメータの実測値が所定範囲にない場合、無人航空機100の飛行状態に異常があると判定してよい。例えば、異常処理部111は、飛行パラメータの指令値に対するパラメータの実測値の比が所望の比の範囲にない場合、無人航空機100の飛行状態に異常があると判定してよい。
異常処理部111は、無人航空機100の飛行状態に異常がある場合、通信インタフェース150を介して、飛行状態の異常に関する情報を送信機50へ送信してよい。飛行状態の異常に関する情報は、飛行状態に異常がある旨を示す情報でもよいし、飛行状態の異常に関する具体的な内容(例えば、無人航空機100の加速度の実測値)を示す情報でもよい。
信号判定部112は、通信インタフェース150を介して、送信機50からの操作入力信号の有無を判定してよい。つまり、信号判定部112は、通信インタフェース150により操作入力信号が受信されたか否かを判定してよい。
制御モード変更部113は、無人航空機100の飛行中の制御モードを制御する。飛行中の制御モードは、飛行状態に異常がない場合に実施される通常制御モードと、飛行状態に異常がある場合に実施される安全制御モードを含む。制御モード変更部113は、無人航空機100の飛行状態に異常がある場合、制御モードを安全制御モードに変更する。安全制御モードは、複数設けられてよい。無人航空機100は、制御モード毎に、UAVの飛行制御方法を規定するプログラムを備えてよい。この飛行制御方法を規定するプログラムは、メモリ160に保持され、制御モードが設定された際にメモリ160から取得され、実行され得る。
高度取得部114は、GPS受信機240、気圧高度計270又は超音波高度計280により取得された高度情報を、無人航空機100の高度(高度の実測値)として取得してよい。高度取得部114は、慣性計測装置250により計測される加速度を取得し、加速度を2回積分して、無人航空機100の高度の実測値を取得してよい。
駆動電流設定部115は、駆動モータ212を駆動するための駆動電流の指令値を設定する。駆動電流設定部115は、異常処理部111により取得された駆動電流の指令値を、駆動電流の指令値として設定してよい。安全制御モードでの駆動電流の指令値は、通常制御モードでの駆動電流の指令値より大きく設定されてよい。
回転翼制御部116は、駆動モータ212を制御することで、回転翼211の回転を制御する。回転翼制御部116は、駆動電流設定部115により設定された駆動電流の指令値に基づいて、無人航空機100の電源(不図示)から駆動モータ212へ駆動電流を供給する。駆動電流が大きくなる程、駆動モータ212の駆動力が大きくなり、回転翼211の単位時間当たりの回転数が大きくなる。一方、駆動電流が小さくなる程、駆動モータ212の駆動力が小さくなり、回転翼211の単位時間当たりの回転数が小さくなる。
音声制御部117は、音声データをスピーカ290に送り、スピーカ290に音声データを出力させてよい。音声データは、音声、音楽、機械音、その他の音のデータを広く含む。音声データは、警告を示す警告音として使用されてよい。UAV制御部110は、メモリ160に保持された音声データを取得してよい。音声データは、通信インタフェース150を介して、外部の音声データを提供するサーバから受信されて、メモリ160に保持されてよい。音声データは、無人航空機100の録音機能により録音され、メモリ160に保持されてよい。
次に、送信機50の構成例について説明する。図6は、送信機50の外観の一例を示す斜視図である。送信機50に対する上下前後左右の方向は、図6に示す矢印の方向にそれぞれ従うとする。送信機50は、例えば送信機50を使用する人物(以下、「操作者」という)の両手で把持された状態で使用される。
送信機50は、例えば略正方形状の底面を有し、かつ高さが底面の一辺より短い略直方体(言い換えると、略箱形)の形状をした樹脂製の筐体50Bを有する。送信機50の筐体表面の略中央には、左制御棒53Lと右制御棒53Rとが突設して配置される。
左制御棒53L、右制御棒53Rは、それぞれ操作者による無人航空機100の移動を遠隔で制御(例えば、無人航空機100の前後移動、左右移動、上下移動、向き変更)するための操作において使用される。図6では、左制御棒53L及び右制御棒53Rは、操作者の両手からそれぞれ外力が印加されていない初期状態の位置が示されている。左制御棒53L及び右制御棒53Rは、操作者により印加された外力が解放された後、自動的に所定位置(例えば図6に示す初期位置)に復帰する。
左制御棒53Lの手前側(言い換えると、操作者側)には、送信機50の電源ボタンB1が配置される。電源ボタンB1が操作者により一度押下されると、例えば送信機50に内蔵されるバッテリ(不図示)の容量の残量がバッテリ残量表示部L2において表示される。電源ボタンB1が操作者によりもう一度押下されると、例えば送信機50の電源がオンとなり、送信機50の各部(図7参照)に電源が供給されて使用可能となる。
右制御棒53Rの手前側(言い換えると、操作者側)には、RTH(Return To Home)ボタンB2が配置される。RTHボタンB2が操作者により押下されると、送信機50は、無人航空機100に所定の位置に自動復帰させるための信号を送信する。これにより、送信機50は、無人航空機100を所定の位置(例えば無人航空機100が記憶している離陸位置)に自動的に帰還させることができる。RTHボタンB2は、例えば屋外での無人航空機100による空撮中に操作者が無人航空機100の機体を見失った場合、又は電波干渉や予期せぬトラブルに遭遇して操作不能になった場合等に利用可能である。
電源ボタンB1及びRTHボタンB2の手前側(言い換えると、操作者側)には、リモートステータス表示部L1及びバッテリ残量表示部L2が配置される。リモートステータス表示部L1は、例えばLED(Light Emission Diode)を用いて構成され、送信機50と無人航空機100との無線の接続状態を表示する。バッテリ残量表示部L2は、例えばLEDを用いて構成され、送信機50に内蔵されたバッテリ(不図示)の容量の残量を表示する。
左制御棒53L及び右制御棒53Rより後側であって、かつ送信機50の筐体50Bの後方側面から、2つのアンテナAN1,AN2が突設して配置される。アンテナAN1,AN2は、操作者の左制御棒53L及び右制御棒53Rの操作に基づき、送信機制御部61により生成された信号(つまり、無人航空機100の移動を制御するための信号)を無人航空機100に送信する。この信号は、送信機50により入力された操作入力信号の1つである。アンテナAN1,AN2は、例えば2kmの送受信範囲をカバーできる。また、アンテナAN1,AN2は、送信機50と無線接続中の無人航空機100が有する撮像装置220,230により撮像された画像、又は無人航空機100が取得した各種データが無人航空機100から送信された場合に、これらの画像又は各種データを受信できる。
表示部DPは、例えばLCD(Crystal Liquid Display)を含んで構成される。表示部DPの形状、サイズ、及び配置位置は、任意であり、図6の例に限られない。
図7は、送信機50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。送信機50は、左制御棒53Lと、右制御棒53Rと、送信機制御部61と、無線通信部63と、電源ボタンB1と、RTHボタンB2と、操作部セットOPSと、リモートステータス表示部L1と、バッテリ残量表示部L2と、表示部DPとを含む構成である。送信機50は、無人航空機100の制御を指示する操作装置の一例である。
左制御棒53Lは、例えば操作者の左手により、無人航空機100の移動を遠隔で制御するための操作に使用される。右制御棒53Rは、例えば操作者の右手により、無人航空機100の移動を遠隔で制御するための操作に使用される。無人航空機100の移動は、例えば前進する方向の移動、後進する方向の移動、左方向の移動、右方向の移動、上昇する方向の移動、下降する方向の移動、左方向に無人航空機100を回転する移動、右方向に無人航空機100を回転する移動のうちいずれか又はこれらの組み合わせであり、以下同様である。
電源ボタンB1は一度押下されると、一度押下された旨の信号が送信機制御部61に入力される。送信機制御部61は、この信号に従い、送信機50に内蔵されるバッテリ(不図示)の容量の残量をバッテリ残量表示部L2に表示する。これにより、操作者は、送信機50に内蔵されるバッテリの容量の残量を簡単に確認できる。また、電源ボタンB1は二度押下されると、二度押下された旨の信号が送信機制御部61に渡される。送信機制御部61は、この信号に従い、送信機50に内蔵されるバッテリ(不図示)に対し、送信機50内の各部への電源供給を指示する。これにより、操作者は、送信機50の電源がオンとなり、送信機50の使用を簡単に開始できる。
RTHボタンB2は押下されると、押下された旨の信号が送信機制御部61に入力される。送信機制御部61は、この信号に従い、無人航空機100に所定の位置(例えば無人航空機100の離陸位置)に自動復帰させるための信号を生成し、無線通信部63及びアンテナAN1,AN2を介して無人航空機100に送信する。これにより、操作者は、送信機50に対する簡単な操作により、無人航空機100を所定の位置に自動で復帰(帰還)させることができる。
操作部セットOPSは、複数の操作部(例えば操作部OP1,…,操作部OPn)(n:2以上の整数)を用いて構成される。操作部セットOPSは、図4に示す左制御棒53L、右制御棒53R、電源ボタンB1及びRTHボタンB2を除く他の操作部(例えば、送信機50による無人航空機100の遠隔制御を支援するための各種の操作部)により構成される。ここでいう各種の操作部とは、例えば、無人航空機100の撮像装置220を用いた静止画の撮像を指示するボタン、無人航空機100の撮像装置220を用いた動画の録画の開始及び終了を指示するボタン、無人航空機100のジンバル200(図4参照)のチルト方向の傾きを調整するダイヤル、無人航空機100のフライトモードを切り替えるボタン、無人航空機100の撮像装置220の設定を行うダイヤルが該当する。
リモートステータス表示部L1及びバッテリ残量表示部L2は、図6を参照して説明したので、ここでは説明を省略する。
送信機制御部61は、プロセッサ(例えばCPU、MPU又はDSP)を用いて構成される。送信機制御部61は、送信機50の各部の動作を統括して制御するための信号処理、他の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理及びデータの記憶処理を行う。
送信機制御部61は、操作者の左制御棒53L及び右制御棒53Rの操作により、その操作により指定された無人航空機100の移動を制御するための信号を生成してよい。送信機制御部61は、この生成した信号を、無線通信部63及びアンテナAN1,AN2を介して、無人航空機100に送信して無人航空機100を遠隔制御してよい。これにより、送信機50は、無人航空機100の移動を遠隔で制御できる。
無人航空機100の移動を制御するための信号は、無人航空機100の飛行状態を制御する飛行パラメータの指令値を含む。送信機制御部61は、左制御棒53L及び右制御棒53Rの操作量(つまり初期位置に対する左制御棒53L又は右制御棒53Rの移動量)が大きい程、飛行パラメータの指令値(例えば加速度又は速度)を大きくしてよい。移動の向きを考慮すると、この指令値の大きさは、指令値の絶対値の大きさとなる。送信機制御部61は、左制御棒53L又は右制御棒53Rの操作量が小さい程、飛行パラメータの指令値を小さくしてよい。送信機制御部61は、飛行パラメータの指令値を含む操作入力信号を生成し、無線通信部63を介して、操作入力信号を無人航空機100に送信してよい。
送信機制御部61は、左制御棒53L及び右制御棒53Rの操作量に応じて、加速度の指令値を生成してよい。この場合、左制御棒53L及び右制御棒53Rが初期位置とされた場合、加速度が値0となり、無人航空機100へ等速での飛行指示が可能である。
送信機制御部61は、左制御棒53L及び右制御棒53Rの操作量に応じて、速度の指令値を生成してよい。この場合、左制御棒53L及び右制御棒53Rが初期位置とされた場合、速度が値0となり、無人航空機100へ移動しない旨の飛行指示(ホバリングの指示)が可能である。
送信機制御部61は、送信機50が有する任意のボタンや任意の操作部への操作に基づく操作入力信号を生成し、無線通信部63を介して、操作入力信号を無人航空機100に送信してよい。この場合、無人航空機100は、操作入力信号を送信機50から受信することで、送信機50の操作者の制御下にあることを認識可能である。
送信機制御部61は、無線通信部63を介して、無人航空機100から、無人航空機100の飛行状態の異常に関する情報(例えば異常が発生した旨の情報)を受信してよい。送信機制御部61は、無人航空機100の飛行状態の異常に関する情報を提示してよい。この場合、送信機制御部61は、表示部DPを介して、飛行状態の異常に関する情報を表示してよい。送信機制御部61は、音声出力部(スピーカ、不図示)を介して、飛行状態の異常に関する情報を音声出力してよい。送信機制御部61は、振動部(バイブレータ、不図示)を介して、飛行状態の異常に関する情報を振動により提示してよい。
無線通信部63は、2つのアンテナAN1,AN2と接続される。無線通信部63は、2つのアンテナAN1,AN2を介して、無人航空機100との間で所定の無線通信方式(例えばWifi(登録商標))を用いた情報やデータの送受信を行う。
表示部DPは、各種データを表示する。表示部DPは、異常状態の異常に関する情報を、表示してよい。
尚、送信機50は、表示部DPを備える代わりに、表示端末(不図示)と有線又は無線により接続されてもよい。表示端末には、表示部DPと同様に、無人航空機100の飛行状態の異常に関する情報が表示されてよい。表示端末は、スマートフォン、タブレット端末、PC(Personal Computer)等でよい。
次に、無人航空機100の制御モードの遷移について説明する。
図8は、無人航空機100の制御モードの第1遷移例を示す模式図である。図8では、無人航空機100が不測の事態に陥り機体が降下する様子を示す。
まず、制御モード変更部113は、制御モードを、通常制御モードに設定している(T11)。通常制御モードにおいて、無人航空機100の飛行状態に異常があると(T12)、制御モード変更部113は、制御モードを安全制御モードに変更する。第1遷移例では、第1の安全制御モードに遷移する。第1の安全制御モードは、無人航空機100が減速しながら高度を低下させて着陸させる制御モードである。
第1の安全制御モードでは、駆動電流設定部115が、駆動電流の指令値を、第1の安全制御モードに変更前の駆動電流の指令値よりも大きな駆動電流の指令値に設定する。これにより、無人航空機100では、回転翼211の回転数が増大し(T13)、重力方向と反対方向(つまり無人航空機100が上昇する方向)への揚力を増大し、重力方向と反対方向の加速度(上向き加速度とも称する)が増大する。
第1の安全制御モードは、飛行パラメータの指令値に対して、ある程度無人航空機100が反応する場合に有益である。無人航空機100の飛行制御が不完全であってもある程度可能であるためである。ある程度無人航空機100が反応する場合とは、飛行パラメータの指令値に対する飛行パラメータの実測値の割合が、値0.3以上である場合を指してよい。尚、値0.3は一例であり、他の値でもよい。
第1の安全制御モードによれば、無人航空機100は、無人航空機100の降下速度を低下させて、無人航空機100が安全に着陸するよう試みることができる。例えば、無人航空機100が完全に故障しておらず、ある程度飛行制御が可能な期間に無人航空機100を所定の位置に帰還させることで、無人航空機100が物体に接触することによる物体の損傷を未然に防止できる。また、無人航空機100が所定の位置に帰還することが困難な場合でも、無人航空機100の降下速度を減速することで、地上に所在する人物は、無人航空機100の行方を確認して、無人航空機100の落下点を避けるように移動できる。従って、無人航空機100は、人物と接触する可能性を低減できる。
尚、回転翼制御部116は、無人航空機100が着陸してから回転翼211を停止してよい。つまり、無人航空機100は、飛行中に回転翼211を停止させなくても、安全性を確保でき、人体を含む物体の損傷を低減でき、人への被害を最小限にし得る。
図9Aは、無人航空機100の制御モードの第2遷移例を示す模式図である。図9Aでは、無人航空機100が不測の事態に陥り機体が降下し、落下に至る様子を示す。
まず、制御モード変更部113は、制御モードを、通常制御モードに設定している(T21)。通常制御モードにおいて、無人航空機100の飛行状態に異常があると(T22)、制御モード変更部113は、制御モードを安全制御モードに変更する。第2遷移例では、第2の安全制御モードに遷移する。第2の安全制御モードは、所定高度H1(例えば5m)で無人航空機100の回転翼211の回転を停止する制御モードである。所定高度H1は、第1の所定高度の一例である。
第2の安全制御モードでは、駆動電流設定部115が、駆動電流の指令値を、第2の安全制御モードに変更前の駆動電流の指令値よりも大きな駆動電流の指令値に設定する。これにより、回転翼211の回転数が増大し(T23)、重力方向と反対方向(つまり無人航空機100が上昇する方向)への揚力を増大し、重力方向と反対方向の加速度が増大する。
回転翼制御部116は、無人航空機100の降下が進み、高度取得部114により取得された高度の実測値が所定高度H1(例えば5m)であることを検出すると、無人航空機100の回転翼211の回転を停止させる(T24)。この場合、回転翼制御部116は、無人航空機100が所定高度H1に達した際に、駆動モータ212の駆動電流の指令値を値0とすることで、回転翼211の回転を停止させてよい。また、回転翼制御部116は、無人航空機100が所定高度H1に達した際に、回転翼211の回転を阻害する突起(不図示)を回転翼211の回転軌道上に移動して挿入し、回転翼211の回転をロックすることで、回転翼211の回転を停止させてよい。これにより、回転翼制御部116は、回転翼211の回転を瞬時に停止できる。
回転翼211の回転を停止させるための閾値となる所定高度H1は、5m以外の値でもよい。地上に存在する人物の負傷を軽減することを考慮する場合、人物として想定される高さよりも高い5mに所定高度H1が設定されてよい。また、地上に建設された特定の建造物(例えば、外力に対する耐久性が不十分な建造物、重要文化財等の建造物)の損傷を軽減することを考慮する場合、その建造物として想定される高さよりも高い任意の値に所定高度H1が設定されてよい。
第2の安全制御モードは、飛行パラメータの指令値に対して、無人航空機100があまり反応しない場合に有益である。無人航空機100の飛行制御がほとんどできず、無人航空機100の降下速度を十分に減速できないためである。無人航空機100があまり反応しない場合とは、飛行パラメータの指令値に対する実測値の比が、値0.3未満である場合を指してよい。尚、値0.3は一例であり、他の値でもよい。
第2の安全制御モードによれば、無人航空機100は、回転翼21の回転停止により回転翼21の物体等への接触時の衝撃力を低減できる。また、無人航空機100は、回転翼21が回転し続けることで、無人航空機100が予期せぬ方向への推進力を取得することを抑制でき、予期せぬ方向に飛行することを抑制できる。また、無人航空機100は、所定高度H1まで無人航空機100が降下してから回転翼21の回転を停止することで、高高度での回転翼211の回転の停止を回避し、重力により無人航空機100が高速落下することによる危険度の増大を抑制できる。
図9Bは、無人航空機100の制御モードの第3遷移例を示す模式図である。図9Bでは、無人航空機100が不測の事態に陥り機体が降下し、落下に至る様子を示す。
まず、制御モード変更部113は、制御モードを、通常制御モードに設定している(T31)。通常制御モードにおいて、無人航空機100の飛行状態に異常があると(T32)、制御モード変更部113は、制御モードを安全制御モードに変更する。第3遷移例では、第3の安全制御モードに遷移する。第3の安全制御モードは、所定高度H2(例えば10m)でスピーカ290により飛行状態の異常を示す警告音を発する制御モードである。所定高度H2は、第2の所定高度の一例である。
第3の安全制御モードでは、駆動電流設定部115が、駆動電流の指令値を、第3の安全制御モードに変更前の駆動電流の指令値よりも大きな駆動電流の指令値に設定する。これにより、回転翼211の回転数が増大し(T33)、重力方向と反対方向(つまり無人航空機100が上昇する方向)への揚力を増大し、重力方向と反対方向の加速度が増大する。
音声制御部117は、無人航空機100の降下が進み、高度取得部114により取得された高度の実測値が所定高度H2(例えば10m)であることを検出すると、警告音を発する(音声出力する)(T34)。警告音は、アラート音、警告音声メッセージ、警告を示す音楽、等でよい。
警告音を発する閾値となる所定高度H2は、10m以外の値でもよい。例えば、所定高度H2は、無人航空機100が発する警告音が地上に存在する人物に聞こえる高さでよい。また、音声制御部117は、所定高度H2を特に考慮せずに、第3の安全制御モードへの移行に伴って、スピーカ290による警告音の出力を開始してもよい。所定高度H2は、上述した所定高度H1と同じでもよい。
第3の安全制御モードによれば、無人航空機100は、飛行状態に異常がある場合に、スピーカ290から警告音を出力できる。従って、無人航空機100が飛行する周辺に存在する人物は、無人航空機100が発する警告音を確認でき、警告音を確認することで無人航空機100の移動方向や地上への降下(例えば落下)位置を予測できる。よって、警告音を確認した人物は、無人航空機100の行方を確認して、無人航空機100の落下点を避けるように移動できる。したがって、無人航空機100は、地上の人物と接触する可能性を低減でき、回転翼211と人物との接触による人物の負傷の可能性を低減できる。
尚、第3の安全制御モードの各処理は、第2の安全制御モードの各処理とは別に実施されても、第2の安全制御モードの各処理とともに実施されてもよい。
次に、飛行パラメータの指令値及び実測値に基づく異常判定について説明する。
図10は、駆動モータ212を駆動するための駆動電流の指令値Iinと駆動電流の実測値Ioutとの関係の一例を示すグラフである。駆動電流の指令値Iinと駆動電流の実測値Ioutとは、比例関係であってよい。この場合、駆動電流の指令値Iinと駆動電流の実測値Ioutとは、以下の関係が成り立つ。
Iout=α1*Iin
尚、「α1」は、Iout/Iinで示され、駆動電流の指令値に対する駆動電流の実測値の比を示す。つまり、α1は、指令値に対する敏感度を示す。アスタリスク「*」は、乗算符号を示す。
飛行状態に異常がない(通常状態である)場合、駆動電流の指令値Iinに対する駆動電流の実測値Ioutとして、比較的大きな値が得られる。したがって、比α1の値は比較的大きくなる。一方、飛行状態に異常がある(異常状態である)場合、駆動電流の指令値Iinに対する駆動電流の実測値Ioutとして、比較的小さな値が得られる。よって、通常状態での比α1=a1とし、異常状態での比α1=b1とすると、a1>b1の関係が成り立つ。a1は、例えば値1である。
図10では、直線L1Nは、通常状態での駆動電流の指令値と駆動電流の実測値との関係の一例を示し、直線L1Aは、異常状態での駆動電流の指令値と駆動電流の実測値との関係の一例を示す。
異常処理部111は、駆動電流の指令値Iin及び駆動電流の実測値Ioutを取得する。取得された駆動電流の指令値Iinと駆動電流の実測値Ioutを基に、通常状態か異常状態かを判定してよい。
異常処理部111は、比α1が1つの閾値(例えば値0.8)以上か閾値未満かに応じて、通常状態か異常状態かを判定してもよい。つまり、異常処理部111は、比α1が1つの閾値以上である所定範囲にある場合に、通常状態と判定し、比α1が1つの閾値未満である所定範囲外にある場合に、異常状態と判定してよい。これにより、異常処理部111は、1つの閾値を用いて簡単に、異常状態か否かを判定できる。なお、この閾値は値0.8以外でもよく、値0.5〜値0.8の間のいずれかの値でもよい。
また、通常状態である場合、駆動電流の指令値Iinに対する駆動電流の実測値Ioutの値は、予め想定される所定範囲内の値となると考えらえる。一方、異常状態である場合、駆動電流の指令値Iinに対する駆動電流の実測値Ioutは、予め想定される所定範囲外の値となると考えらえる。
従って、異常処理部111は、比α1と比較するための上限閾値(例えば値1.2)と下限閾値(例えば値0.8)とを用いて、比α1が上限閾値と下限閾値との間である所定範囲(例えば0.8≦α1(=a1)≦1.2)である場合に、通常状態と判定し、比α1が所定範囲外(例えばα1(=b1)<0.8,1.2<α1(=b1))である場合に、異常状態と判定してよい。つまり、通常状態である場合の比として想定される値の例えば±20%の範囲内の比であれば、通常状態と判定し、例えば±20%の範囲外の比であれば、異常状態と判定してよい。なお、±20%以外の値でもよく、±20%〜±50%の間のいずれかの値でもよい。
図10のように駆動電流の指令値及び実測値に基づき異常判定を行うことで、飛行状態に異常がある場合、無人航空機100は、無人航空機100内での何らかの故障により、駆動電流の指令値に対する駆動モータ212の駆動力が過小又は過大していることを認識できる。よって、無人航空機100は、無人航空機100の適切な上昇力が得られず、落下の危険性があることを認識できる。
図11Aは、上向き加速度の指令値Ainと上向き加速度の実測値Aoutとの関係の一例を示すグラフである。上向きとは、重力方向と反対方向を指す。上向き加速度の指令値Ainと上向き加速度の実測値Aoutとは、比例関係であってよい。この場合、上向き加速度の指令値Ainと上向き加速度の実測値Aoutとは、以下の関係が成り立つ。
Aout=α2*Ain
尚、「α2」は、Aout/Ainで示され、上向き加速度の指令値に対する上向き加速度の実測値の比を示す。
通常状態である場合、上向き加速度の指令値Ainに対する上向き加速度の実測値Aoutとして、比較的大きな値が得られる。したがって、比α2の値は比較的大きくなる。一方、異常状態である場合、上向き加速度の指令値Ainに対する上向き加速度の実測値Aoutとして、比較的小さな値が得られる。よって、通常状態での比α2=a2とし、異常状態での比α2=b2とすると、a2>b2の関係が成り立つ。a2は、例えば値1である。
図11Aでは、直線L21Nは、通常状態での上向き加速度の指令値Ainと上向き加速度の実測値Aoutとの関係の一例を示し、直線L21Aは、異常状態での上向き加速度の指令値Ainと上向き加速度の実測値Aoutとの関係の一例を示す。直線L21Aは、上向きに加速するよう指令しているにも関わらず、下向きの加速度が検出されており、無人航空機100が上向きに減速つまり下向きに加速することを示している。
異常処理部111は、上向き加速度の指令値Ain及び上向き加速度の実測値Aoutを取得してよい。上向き加速度の指令値Ainは、加速度の指令値の重力方向と反対方向の成分である。上向き加速度の実測値Aoutは、加速度の実測値の重力方向と反対方向の成分である。異常処理部111は、取得された上向き加速度の指令値Ainと上向き加速度の実測値Aoutを基に、通常状態か異常状態かを判定してよい。
異常処理部111は、比α2が1つの閾値(例えば値0.8)以上か閾値未満かに応じて、通常状態か異常状態かを判定してもよい。つまり、異常処理部111は、比α2が1つの閾値以上である所定範囲にある場合に、通常状態と判定し、比α2が1つの閾値未満である所定範囲外にある場合に、異常状態と判定してよい。これにより、異常処理部111は、1つの閾値を用いて簡単に、異常状態か否かを判定できる。なお、この閾値は値0.8以外でもよく、値0.5〜値0.8の間のいずれかの値でもよい。
また、通常状態である場合、上向き加速度の指令値Ainに対する上向き加速度の実測値Aoutの値は、予め想定される所定範囲内の値となると考えらえる。一方、異常状態である場合、上向き加速度の指令値Ainに対する上向き加速度の実測値Aoutは、予め想定される所定範囲外の値となると考えらえる。
従って、異常処理部111は、比α2と比較するための上限閾値(例えば値1.2)と下限閾値(例えば値0.8)とを用いて、比α2が上限閾値と下限閾値との間である所定範囲(例えば0.8≦α2(=a2)≦1.2)である場合に、通常状態と判定し、比α2が所定範囲外(例えばα2(=b2)<0.8,1.2<α2(=b2))である場合に、異常状態と判定してよい。つまり、通常状態である場合の比として想定される値の例えば±20%の範囲内の比であれば、通常状態と判定し、例えば±20%の範囲外の比であれば、異常状態と判定してよい。なお、±20%以外の値でもよく、±20%〜±50%の間のいずれかの値でもよい。
図11Aのように上向き加速度の指令値及び実測値に基づき異常判定を行うことで、飛行状態に異常がある場合、無人航空機100は、無人航空機100内での何らかの故障により上向き加速度の指令値に対する加速度が過小又は過大であることを認識できる。よって、無人航空機100は、無人航空機100の適切な高度を維持できず、落下の危険性があることを認識できる。
図11Aでは、上向き加速度の指令値Ainに対する上向き加速度の実測値Aoutを検討したが、加速度の指令値が下向きであっても、飛行状態の異常判定が可能である。図11Bは、下向き加速度の指令値Ainと下向き加速度の実測値Aoutとの関係の一例を示すグラフである。下向きとは、重力方向を指す。図11Bにおいて、図11Aと同様の処理や動作については、説明を省略又は簡略化する。
下向き加速度の指令値Ainと下向き加速度の実測値Aoutとは、比例関係であってよい。この場合、下向き加速度の指令値Ainと下向き加速度の実測値Aoutとは、以下の関係が成り立つ。
Aout=α3*Ain
尚、「α3」は、Aout/Ainで示され、下向き加速度の指令値に対する下向き加速度の実測値の比を示す。
下向き加速度の場合、通常状態である場合には、下向き加速度の指令値Ainに対する下向き加速度の実測値Aoutの値は、予め想定される所定範囲内の値となると考えらえる。一方、異常状態である場合、下向き加速度の指令値Ainに対する下向き加速度の実測値Aoutは、予め想定される所定範囲外の値となると考えらえる。さらに、無人航空機100の落下の危険性が高いのは、下向き加速度の指令値Ainに対して過大な加速度の実測値Aoutが得られた場合である。よって、通常状態での比α3=a3とし、異常状態での比α3=b3とすると、a3<b3の関係が成り立つ。a3は、例えば値1である。
図11Bでは、直線L22Nは、通常状態での下向き加速度の指令値Ainと下向き加速度の実測値Aoutとの関係の一例を示し、直線L22Aは、異常状態での下向き加速度の指令値Ainと下向き加速度の実測値Aoutとの関係の一例を示す。直線L22Aは、下向き加速度の指令値Ainに対して過大な下向き加速度が検出されており、無人航空機100が適切に飛行制御されておらず、無人航空機100が急速に降下することを示している。
異常処理部111は、下向き加速度の指令値Ain及び下向き加速度の実測値Aoutを取得してよい。下向き加速度の指令値Ainは、加速度の指令値の重力方向の成分である。下向き加速度の実測値Aoutは、加速度の実測値の重力方向の成分である。異常処理部111は、取得された下向き加速度の指令値Ainと下向き加速度の実測値Aoutを基に、通常状態か異常状態かを判定してよい。
異常処理部111は、比α3が1つの閾値(例えば値1.2)以上か閾値未満かに応じて、通常状態か異常状態かを判定してもよい。つまり、異常処理部111は、比α3が1つの閾値以上である所定範囲外にある場合に、異常状態と判定し、比α3が1つの閾値未満である所定範囲内にある場合に、通常状態と判定してよい。これにより、異常処理部111は、1つの閾値を用いて簡単に、異常状態か否かを判定できる。尚、この閾値は値1.2以外でもよく、値1.2〜値1.5の間のいずれかの値でもよい。
図11Bのように下向き加速度の指令値及び実測値に基づき異常判定を行うことで、飛行状態に異常がある場合、無人航空機100は、無人航空機100内での何らかの故障により下向き加速度の指令値に対する加速度が過大であることを認識できる。よって、無人航空機100は、適切な飛行制御下になく、適切な高度を維持できないため、落下の危険性があることを認識できる。
図12Aは、上向き速度の指令値Vinと上向き速度の実測値Voutとの関係の一例を示すグラフである。上向き速度の指令値Vinと上向き速度の実測値Voutとは、比例関係であってよい。この場合、上向き速度の指令値Vinと上向き速度の実測値Voutとは、以下の関係が成り立つ。
Vout=α4*Vin
尚、「α4」は、Vout/Vinで示され、上向き速度の指令値に対する上向き速度の実測値の比を示す。
通常状態である場合、上向き速度の指令値Vinに対する上向き速度の実測値Voutとして、比較的大きな値が得られる。したがって、比α4の値は比較的大きくなる。一方、異常状態である場合、上向き速度の指令値Vinに対する上向き速度の実測値Voutとして、比較的小さな値が得られる。よって、通常状態での比α4=a4とし、異常状態での比α4=b4とすると、a4>b4の関係が成り立つ。a4は、例えば値1である。
図12Aでは、直線L31Nは、通常状態での上向き速度の指令値Vinと上向き速度の実測値Voutとの関係の一例を示し、直線L31Aは、異常状態での上向き速度の指令値Vinと上向き速度の実測値との関係の一例を示す。直線L31Aは、高度を上昇するよう指令しているにも関わらず、下向きの速度が検出されており、無人航空機100が降下することを示している。
異常処理部111は、上向き速度の指令値Vin及び上向き速度の実測値Voutを取得してよい。上向き速度の指令値Vinは、速度の指令値の重力方向と反対方向の成分である。上向き速度の実測値Voutは、速度の実測値の重力方向と反対方向の成分である。異常処理部111は、取得された上向き速度の指令値Vinと上向き速度の実測値Voutを基に、通常状態か異常状態かを判定してよい。
異常処理部111は、比α4が1つの閾値(例えば値0.8)以上か閾値未満かに応じて、通常状態か異常状態かを判定してもよい。つまり、異常処理部111は、比α4が1つの閾値以上である所定範囲にある場合に、通常状態と判定し、比α4が1つの閾値未満である所定範囲外にある場合に、異常状態と判定してよい。これにより、異常処理部111は、1つの閾値を用いて簡単に、異常状態か否かを判定できる。なお、この閾値は値0.8以外でもよく、値0.5〜値0.8の間のいずれかの値でもよい。
また、通常状態である場合、上向き速度の指令値Vinに対する上向き速度の実測値Voutの値は、予め想定される所定範囲内の値となると考えらえる。一方、異常状態である場合、上向き速度の指令値Vinに対する上向き速度の実測値Voutは、予め想定される所定範囲外の値となると考えらえる。
従って、異常処理部111は、比α4と比較するための上限閾値(例えば値1.2)と下限閾値(例えば値0.8)とを用いて、比α4が上限閾値と下限閾値との間である所定範囲(例えば0.8≦α4(=a4)≦1.2)である場合に、通常状態と判定し、比α4が所定範囲外(例えばα4(=b4)<0.8,1.2<α4(=b4))である場合に、異常状態と判定してよい。つまり、通常状態である場合の比として想定される値の例えば±20%の範囲内の比であれば、通常状態と判定し、例えば±20%の範囲外の比であれば、異常状態と判定してよい。なお、±20%以外の値でもよい。なお、±20%以外の値でもよく、±20%〜±50%の間のいずれかの値でもよい。
図12Aのように上向き速度の指令値及び実測値に基づき異常判定を行うことで、飛行状態に異常がある場合、無人航空機100は、無人航空機100内での何らかの故障により上向き速度の指令値に対する速度が過小又は過大であることを認識できる。よって、無人航空機100は、無人航空機100の適切な高度を維持できず、落下の危険性があることを認識できる。
図12Aでは、上向き速度の指令値Vinに対する上向き速度の実測値Voutを検討したが、速度の指令値が下向きであっても、飛行状態の異常判定が可能である。図12Bは、下向き速度の指令値Vinと下向き速度の実測値Voutとの関係の一例を示すグラフである。図12Bにおいて、図12Aと同様の処理や動作については、説明を省略又は簡略化する。
下向き速度の指令値Vinと下向き速度の実測値Voutとは、比例関係であってよい。この場合、下向き速度の指令値Vinと下向き速度の実測値Voutとは、以下の関係が成り立つ。
Vout=α5*Vin
尚、「α5」は、Vout/Vinで示され、下向き速度の指令値に対する下向き速度の実測値の比を示す。
下向き速度の場合、通常状態である場合には、下向き速度の指令値Vinに対する下向き速度の実測値Voutの値は、予め想定される所定範囲内の値となると考えらえる。一方、異常状態である場合、下向き速度の指令値Vinに対する下向き速度の実測値Voutは、予め想定される所定範囲外の値となると考えらえる。さらに、無人航空機100の落下の危険性が高いのは、下向き速度の指令値Vinに対して過大な速度の実測値Voutが得られた場合である。よって、通常状態での比α5=a5とし、異常状態での比α5=b5とすると、a5<b5の関係が成り立つ。a5は、例えば値1である。
図12Bでは、直線L32Nは、通常状態での下向き速度の指令値と下向き速度の実測値との関係の一例を示し、直線L32Aは、異常状態での下向き速度の指令値と下向き速度の実測値との関係の一例を示す。直線L32Aは、下向き速度の指令値に対して過大な下向き速度が検出されており、無人航空機100が適切に飛行制御されておらず、無人航空機100が急速に降下することを示している。
異常処理部111は、比α5が1つの閾値(例えば値1.2)以上か閾値未満かに応じて、通常状態か異常状態かを判定してもよい。つまり、異常処理部111は、比α5が1つの閾値以上である所定範囲外にある場合に、異常状態と判定し、比α5が1つの閾値未満である所定範囲内にある場合に、通常状態と判定してよい。これにより、異常処理部111は、1つの閾値を用いて簡単に、異常状態か否かを判定できる。なお、この閾値は値1.2以外でもよく、値1.2〜値1.5の間のいずれかの値でもよい。
図12Bのように下向き速度の指令値及び実測値に基づき異常判定を行うことで、飛行状態に異常がある場合、無人航空機100は、無人航空機100内での何らかの故障により下向き速度の指令値に対する速度が過大であることを認識できる。よって、無人航空機100は、適切な飛行制御下になく、適切な高度を維持できないため、落下の危険性があることを認識できる。
図13Aは、送信機50による無人航空機100の飛行状態の異常の第1提示例を示す模式図である。図13Aに示すように、無人航空機100の飛行状態の異常を表示する手段として、送信機50が異常表示部L3を備えてよい。異常表示部L3は、LEDを用いて構成されてよい。
送信機制御部61は、無線通信部63を介して、無人航空機100の飛行状態の異常に関する情報を受信すると、異常表示部L3により、異常に関する情報を表示してよい。異常表示部L3は、飛行状態の異常に関する情報を受信した場合、LEDの点灯形態(例えば点灯、点滅、消灯)を変更してよい。異常表示部L3は、飛行状態の異常に関する情報を受信した場合、LEDの色を変更(例えば赤色に変更)してよい。異常表示部L3は、飛行状態の異常に関する情報を受信した場合、LEDの点滅パターンを変更してよい。図13Aでは、異常表示部L3が、飛行状態の異常がある旨を示すべく点灯している。
図13Bは、送信機50による無人航空機100の飛行状態の異常の第2提示例を示す模式図である。
送信機制御部61は、無線通信部63を介して、無人航空機100の飛行状態の異常に関する情報を受信すると、表示部DPにより、異常に関する情報を表示してよい。送信機制御部61は、無線通信部63を介して受信された飛行状態の異常に関する情報を、そのまま表示部DPに表示してもよいし、受信された飛行状態の異常に関する情報を加工して表示部DPに表示してもよい。図13Bでは、表示部DPは、異常を報知するメッセージの一例として、「飛行異常発生!」の文字メッセージを表示している。なお、表示部DPには、他の文字メッセージが表示されてもよいし、飛行状態の異常に関する具体的な内容(例えば加速度の実測値を示す情報)が表示されてもよいし、飛行状態の異常を示すものとして予め定められた図形や記号が表示されてもよい。
図13A又は図13に示すように、無人航空機100が飛行状態の異常を送信機50へ通知し、送信機50が異常に関する情報を表示することで、送信機50の操作者は、無人航空機100の飛行状態の異常を確認できる。したがって、操作者は、異常が発生した無人航空機100に対して、送信機50を用いて、無人航空機100の飛行パラメータを変更するよう操作し、無人航空機100の飛行状態の安定化を試みることができる。
次に、無人航空機100の動作例について説明する。
図14A及び図14Bは、無人航空機100の動作例を示すフローチャートである。
まず、異常処理部111は、例えば通常制御モードにおいて、加速度の実測値を取得する(S11)。
異常処理部111は、取得された加速度の実測値の重力方向の運動ベクトル(重力方向成分の値)を算出する(S12)。ここでの加速度の実測値の重力方向成分の値は、上向き加速度の実測値で示されることを想定する。
異常処理部111は、加速度の実測値の重力方向成分の値が、閾値th11(例えば−10m/s2、つまり1G)以下であるか否かを判定する(S13)。つまり、異常処理部111が、上向き加速度の実測値が閾値th11以下であるか否かを判定する。なお、無人航空機100が降下している場合、上向き加速度の実測値は負の値となる。閾値th11は、閾値th1と正負の符号が逆の値となる。加速度の実測値の重力方向成分の値が、閾値th11より大きい場合(S13のNo)、S11に進む。
無人航空機100は、自由落下する場合には、閾値th11以下の上向き加速度での飛行となる。一方、無人航空機100は、例えば送信機50による操作により降下する場合、閾値th11以上の上向き加速度での飛行となる。したがって、閾値th11によって、自由落下と操作による降下とは区別可能である。
加速度の実測値の重力方向成分の値が閾値th11以下である場合(S13のYes)、異常処理部111は、加速度の実測値の重力方向成分の値が閾値th11以下となってから所定時間T1(例えば1秒)経過したか否かを判定する(S14)。加速度の実測値の重力方向成分の値が閾値th11以下となってから所定時間T1経過していない場合(S14のNo)、S11に進む。
加速度の実測値の重力方向成分の値が閾値th11以下となってから所定時間T1経過した場合(S14のYes)、信号判定部112は、通信インタフェース150を介して、送信機50からの操作入力信号を取得したか否かを判定する(S15)。操作入力信号が取得されていない場合、S19に進む。
操作入力信号が取得された場合、異常処理部111は、操作入力信号に含まれる飛行パラメータの指令値を取得する(S16)。
異常処理部111は、S16で取得された飛行パラメータの指令値と同じ飛行パラメータの実測値を取得する(S17)。
異常処理部111は、飛行パラメータの指令値と飛行パラメータの実測値との比が所定範囲外にあるか否かを判定する(S18)。飛行パラメータの指令値と飛行パラメータの実測値との比が所定範囲内にある場合(S18のNo)、S11に進む。つまり、異常処理部111は、無人航空機100の降下は操作者の意図によるものであり、飛行状態に異常がないと判定する。
飛行パラメータの指令値と飛行パラメータの実測値との比が所定範囲外にある場合(S18のYes)、異常処理部111は、無人航空機100の飛行状態に異常があると判定する。つまり、異常処理部111は、無人航空機100が、故障等の異常によって送信機50の操作者の意図に沿わない挙動を示していると認識する。
異常処理部111は、S15〜S18により、操作入力信号を取得したが無人航空機100が降下を続けた場合、飛行パラメータの指令値に対する実測値(つまり無人航空機100の応答)を参照することで、無人航空機100の故障等による降下か否かを判定できる。例えば、通常時に比べて飛行パラメータの実測値/指令値の比が小さければ、上昇力が不足する故障が発生したと判定できる。例えば、異常処理部111は、上向き加速度指令や上向き速度指令に対して下向き加速度や下向き速度の実測値が検出された場合、故障発生を検知できる。
飛行パラメータの指令値と飛行パラメータの実測値との比が所定範囲外にある場合(S18のYes)、制御モード変更部113は、制御モードを安全制御モードに変更する(S19)。ここでは、第2の安全制御モードに変更されている。
駆動電流設定部115は、回転翼211の駆動電流を安全制御モードに変更する前の駆動電流よりも増大させて所定の電流(例えば最大の駆動電流)に設定する(S21)。駆動電流設定部115は、設定された駆動電流の指令値を回転翼制御部116へ送る。
高度取得部114は、無人航空機100の高度に係る高度情報を取得する(S22)。高度情報は、定期的に取得されてよい。高度取得部114は、高度情報を回転翼制御部116へ送る。
回転翼制御部116は、取得された高度情報が示す高度が所定高度H1(例えば5m)以下であるか否かを判定する(S23)。高度情報が示す高度が所定高度H1より高い場合(S23のNo)、S22に進む。
高度情報が示す高度が所定高度H1以下である場合(S23のYes)、回転翼制御部116は、回転翼211の回転を停止させる(S24)。
図14A及び図14Bの処理によれば、無人航空機100は、飛行パラメータの実測値を用いて飛行状態の異常の有無を判定する。無人航空機100は、飛行状態に異常がある場合には、制御モードを安全制御モードへ移行することで、回転する回転翼211が直接物体(人体含む)に接触しないよう配慮できる。これにより、無人航空機100は、回転翼211の回転に起因する物体に対する衝撃力を軽減できる。したがって、無人航空機100は、物体の破壊を抑制し、人体の負傷を低減できる。
また、無人航空機100は、重力方向の加速度が大きい場合、無人航空機100が自由落下に近い状態にあると判断できる。この場合、無人航空機100は、送信機50の操作者による制御下にないものと推定でき、飛行状態に異常があると判定できる。送信機50の操作者による制御下にある場合には自由落下に近い状態は検出されないためである。
また、無人航空機100は、重力方向の加速度が大きい時間が継続したことを基に、飛行状態に異常があると判定できる。よって、無人航空機100は、例えば突発的な突風により無人航空機100が急激に落下した場合など、飛行状態に異常がないにも関わらず異常と判定されることを抑制でき、異常の検出精度を向上できる。
また、無人航空機100は、S15において操作入力信号が取得されない場合、異常処理部111は、無人航空機100が送信機50の操作者の制御下にないと認識し、飛行状態に異常があると判定できる。よって、無人航空機100は、例えば送信機50が予定の飛行コースをはずれ、送信機50と無人航空機100とが通信不能な状態となっても、飛行状態の異常を検出して安全制御モードへ変更できる。
また、無人航空機100は、飛行パラメータの指令値と飛行パラメータの実測値との比が所定範囲外にある場合、無人航空機100の各種センサや回転翼機構210に異常があることにより、指令値に従った無人航空機100の動作に至っていないことを検出できる。したがって、無人航空機100は、無人航空機100の降下に係る指令値に対する飛行動作を行っているのではなく、無人航空機100の飛行状態の異常の状態であることを検出できる。また、自由落下に近い状態か否かの判定と、飛行パラメータの指令値に対する実測値に基づく値の判定と、を組み合わせて実施することで、飛行状態の異常の判定精度を向上できる。
また、指令値と実測値とが比較される飛行パラメータは、駆動電流、無人航空機100の加速度、及び無人航空機100の速度を含み得る。よって、無人航空機100は、飛行パラメータが駆動電流を含む場合、回転翼機構210の異常を検出できる。例えば、回転翼211とその回転軸(不図示)との間で劣化による摩擦力が生じる場合、駆動電流に基づく回転翼211の回転力が摩擦力により規制され、駆動電流の指令値に対して駆動電流の実測値が小さくなり得る。この場合、駆動電流の指令値に対する駆動電流の実測値が所定範囲外に達している場合、飛行状態の異常を検出できる。また、飛行パラメータが加速度を含む場合、無人航空機100は、回転翼機構210による回転翼211の回転により無人航空機100が加速するため、回転翼機構210に異常がない場合、加速度の検出に係るセンサ(例えば慣性計測装置250)の異常を検出できる。また、飛行パラメータが速度を含む場合、無人航空機100は、回転翼機構210による回転翼211の回転により無人航空機100が移動するため、回転翼機構210に異常がない場合、速度の検出に係るセンサ(例えば慣性計測装置250、気圧高度計270、超音波高度計280)の異常を検出できる。
また、無人航空機100は、操作入力信号に含まれる飛行パラメータの指令値を取得することで、送信機50の操作者の意図に沿って、飛行状態の異常の判定を実施できる。
また、S15〜S18では、操作入力信号に含まれる飛行パラメータの代わりに、メモリ160に保持された異常判定プログラムに係る設定情報に含まれる飛行パラメータが用いられてよい。これにより、無人航空機100は、送信機50からの操作入力信号を取得しなくても、飛行パラメータの指令値と実測値とを用いて飛行状態の異常の有無を判定できる。したがって、無人航空機100は、例えば無人航空機100と送信機50との位置関係により無線通信環境が劣悪でも、設定情報に含まれる飛行パラメータの指令値と実測値とを用いて飛行状態の異常判定を実施できる。
尚、図14Aでは、異常処理部111は、送信機50からの操作入力信号の取得を考慮せずに、飛行状態の異常の有無を判定してよい。つまり、S15〜S18が省略され、S14がYesである場合に、S19に進んでもよい。
また、図14Aでは、異常処理部111は、S14における所定時間T1の経過の判定を省略してよい。これにより、無人航空機100は、飛行状態の異常判定に要する期間を短縮できる。
また、図14Aでは、異常処理部111は、S11〜S13の処理を所定回数反復し、いずれの回においても、加速度の実測値の重力方向成分の値が閾値th11以下である場合に、S14に進んでよい。
また、図14Bでは、回転翼制御部116は、無人航空機100の高度が所定高度H1以下の場合に、回転翼211の回転を停止することを、省略してよい。つまり、S22〜S24が省略されてもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、安全制御モードが、エアバッグを作動させる制御モードを含むことを例示する。
第2の実施形態における飛行システム10A(不図示)は、無人航空機100A(図15、図16参照)及び送信機50を備える。第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成や動作については、説明を省略又は簡略化する。
図15は、無人航空機100Aのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。無人航空機100Aは、第1の実施形態における無人航空機100と比較すると、エアバッグ310、ガス発生装置320を更に備え、UAV制御部110の代わりにUAV制御部110Aを備える。図15の無人航空機100Aにおいて、図4の無人航空機100と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。エアバッグ310は、緩衝材の一例である。
エアバッグ310は、収縮状態では、UAV本体102内に収容されてよい。エアバッグ310は、収縮状態では、折り畳まれ、巻かれ、又は束ねられてよい。エアバッグ310は、織物、空気袋、エラストマ材料、又はその他の可撓性材料により形成されてよい。エアバッグ310は、ナイロン織物、ポリエステル織物、又は塩化ビニルで形成されてよい。
エアバッグ310は、展開状態では、ガス発生装置320からのガスを受けて、UAV本体102の外部に向かって展開する。エアバッグ310は、複数の回転翼211を包囲するように展開する。エアバッグ310は、展開状態では、球形、楕円形、円筒形、角柱形、トーラス形、ディアドロップ形、平坦化した球形若しくは楕円形、他の多角形、ボール形、又はその他の形状であってよい。
エアバッグ310の数は、任意であり、1つでも、回転翼211の数と同数でも、それ以外でもよい。1つのエアバッグ310により、展開状態において、複数の回転翼211が包囲されてよい。複数のエアバッグ310のそれぞれにより、展開状態において、複数の回転翼211のそれぞれが包囲されてよい。1つのエアバッグ310当たり、展開状態において、複数の回転翼211のうちの2つ以上の回転翼211が包囲されることで、複数のエアバッグ310により、複数の回転翼211の全部が包囲されてよい。
ガス発生装置320は、流路、管、通路、開口部又は他の接続部を介してエアバッグ310に接続されてよい。ガス発生装置320は、所定のタイミングにおいて着火し、燃焼による化学反応によりガスを発生し、エアバッグ310にガスを供給してよい。ガス発生装置320は、ガスを予めタンクに入れておき、所定のタイミングにおいてガスの噴出を開始して、エアバッグ310にガスを供給してよい。ガス発生装置320の数は、任意であり、1つでも、エアバッグ310の数と同数でも、それ以外でもよい。
図16は、UAV制御部110Aの機能構成の一例を示すブロック図である。UAV制御部110Aは、UAV制御部110と比較すると、更に展開制御部118を備える。展開制御部118は、第2制御部及び第3制御部の一例である。図16のUAV制御部110Aにおいて、図5のUAV制御部110と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
展開制御部118は、所定のタイミングにおいてエアバッグ310を展開するよう制御する。例えば、展開制御部118は、異常処理部111により無人航空機100Aの飛行状態に異常があると判定された場合に、所定のタイミング(例えば飛行高度が所定高度H1まで降下したタイミング)で、ガス発生装置320に展開指令を送る。ガス発生装置320は、展開制御部118からの着火指令に応じて着火し、エアバッグ310を展開させる。
次に、無人航空機100Aの制御モードの遷移について説明する。
図17は、無人航空機100Aの制御モードの遷移例を示す模式図である。図17では、無人航空機100Aが不測の事態に陥り機体が降下し、落下に至る様子を示す。
まず、制御モード変更部113は、制御モードを、通常制御モードに設定している(T41)。通常制御モードにおいて、無人航空機100Aの飛行状態に異常があると(T42)、制御モード変更部113は、制御モードを安全制御モードに変更する。この遷移例では、第4の安全制御モードに遷移する。第4の安全制御モードは、所定高度H1(例えば5m)で無人航空機100Aの回転翼211を覆うようにエアバッグ310を展開させる制御モードである。所定高度H1は、第3の所定高度の一例である。
第4の安全制御モードでは、駆動電流設定部115が、駆動電流の指令値を、第4の安全制御モードに変更前の駆動電流の指令値よりも増大させる。これにより、回転翼211の回転数が増大し(T43)、重力方向と反対方向(つまり無人航空機100Aが上昇する方向)への揚力を増大し、上向き加速度が増大する。
展開制御部118は、無人航空機100Aの降下が進み、高度取得部114により取得された高度の実測値が所定高度H1(例えば5m)であることを検出すると、ガス発生装置320に展開指令を送って着火させ、エアバッグ310を展開させる(T44)。
エアバッグ310を展開させるための閾値となる所定高度H1は、5m以外の値でもよい。地上に存在する人物の負傷を軽減することを考慮する場合、人物として想定される高さよりも高い5mに閾値が設定されてよい。また、地上に建設された特定の建造物(例えば、外力に対する耐久性が不十分な建造物、重要文化財等の建造物)の損傷を軽減することを考慮する場合、その建造物として想定される高さよりも高い任意の閾値に設定されてよい。
第4の安全制御モードは、飛行パラメータの指令値に対して、無人航空機100Aがあまり反応しない場合に有益である。無人航空機100Aの飛行制御がほとんどできず、無人航空機100Aの降下速度を十分に減速できないためである。無人航空機100Aがあまり反応しない場合とは、飛行パラメータの指令値に対する実測値の比が、値0.3未満である場合を指してよい。
第4の安全制御モードによれば、無人航空機100Aは、回転翼211をエアバッグ310が包囲することで、回転翼211に対する物体の接触を抑制できる。また、無人航空機100Aは、物体に接触する部分が緩衝材となる可能性が高くなり、物体への衝撃力を低減できる。また、無人航空機100Aは、所定高度H1まで無人航空機100Aが降下してからエアバッグ310を展開することで、回転翼211がエアバッグ310に包囲されることによる揚力の低下を抑制し、重力により無人航空機100Aが高速落下することによる危険度の増大を抑制できる。
次に、エアバッグ310が展開された状態の無人航空機100Aの構造例について説明する。ここでは、「下方」を、UAV本体102から見た撮像装置220の方向(例えば重力方向)とする。「上方」を、UAV本体102から見た撮像装置220と反対の方向(例えば重力方向と反対方向)とする。「側方」を、下方及び上方に垂直な方向とする。
図18Aは、1つのエアバッグ310により4つの回転翼211を覆う場合のエアバッグ310が展開された状態の無人航空機100Aの一例を示す正面図である。
無人航空機100Aは、1つのエアバッグ310及び複数(例えば4つ)の回転翼211を有してよい。エアバッグ310は、展開状態において、複数の回転翼211の外周の少なくとも一部を包囲してよい。
1つのエアバッグ310が複数の回転翼211の外周を包囲することで、例えば無人航空機100Aが急速に落下する場合に、複数の回転翼211が、物体に接触する前にエアバッグ310に接触する可能性が高くなる。よって、無人航空機100Aは、回転する複数の回転翼211に物体が接触する可能性を低減でき、回転する回転翼211による物体の損傷を軽減できる。
また、無人航空機100Aは、1つのエアバッグ310で回転翼211の全体を包囲することで、各回転翼211の間に気流が発生することを防止でき、例えば水平姿勢を取りやすくなり、飛行姿勢を安定化し易くなる。
図18Bは、図18Aのエアバッグ310の一部を透視した無人航空機100Aの第1例を示す正面図である。
UAV本体102は、上筐体102aと下筐体102bとを有する。上筐体102aは、下筐体102bよりも上方に位置する。下筐体102bは、上筐体102aよりも下方に位置する。上筐体102aは、開口部103を有してよい。開口部103は、上筐体102aにおいて、UAV本体102を上方から見た断面の中央部102cに形成されてよい。UAV本体102は、開口部103に接続してUAV本体102内部に、収縮状態のエアバッグ310を収容するための収容部104を有してよい。収容部104の形状及びUAV本体102における配置位置は、任意である。尚、収縮状態のエアバッグ310を収容するための収容器(不図示)が、UAV本体102とは別体で設けられてよい。この場合、収容器は、開口部103付近に設けられてよい。
エアバッグ310は、展開制御部118の制御によりガス発生装置320からガスの供給を受けると、収容部104に収容された収縮状態から、開口部103を介してUAV本体102の外部に放出されて展開状態となる。この場合、エアバッグ310は、複数の回転翼211の周囲を回り込んで展開する。エアバッグ310は、まず複数の回転翼211のそれぞれの上筐体102aの中央部102c側の側方を覆う。次にエアバッグ310は、複数の回転翼211のそれぞれの上方を覆う。次にエアバッグ310は、複数の回転翼211のそれぞれの外周側(中央部102c側と反対側)の側方を覆う。次にエアバッグ310は、複数の回転翼211のそれぞれの外周側の下方の少なくとも一部を覆ってよい。
無人航空機100Aは、エアバッグ310がUAV本体102の開口部103から回り込んで複数の回転翼211の少なくとも一部(例えば上方及び側方)を包囲することで、回転翼211側から重力方向に落下する場合でも、回転翼211が物体に接触することを回避できる。よって、回転翼211が回転していても、回転する回転翼211による物体の損傷を低減できる。
図18Cは、図18Aのエアバッグ310の一部を透視した無人航空機100Aの第2例を示す正面図である。図18Dは、図18Cの無人航空機100Aを上方から見た平面図である。
UAV本体の上筐体102a及び下筐体102bは、側方端部に開口部105を有してよい。開口部105は、UAV本体102を上方から見た断面において回転翼211の配置位置を含んで形成されてよい。UAV本体102は、開口部105に接続してUAV本体102内部に、収縮状態のエアバッグ310を収容するための収容部106を有してよい。収容部106の形状及びUAV本体102における配置位置は、任意である。
エアバッグ310は、展開制御部118の制御によりガス発生装置320からガスの供給を受けると、収容部106に収容された収縮状態から、開口部105を介してUAV本体102の外部に放出されて展開状態となる。この場合、エアバッグ310は、複数の回転翼211の周囲を回り込んで展開する。エアバッグ310は、まず複数の回転翼211のそれぞれの外周側の下方を覆う。次にエアバッグ310は、複数の回転翼211のそれぞれの外周側の側方を覆う。次にエアバッグ310は、複数の回転翼211のそれぞれの上方の少なくとも一部を覆ってよい。
無人航空機100Aは、エアバッグ310がUAV本体102の開口部105から回り込んで複数の回転翼211の少なくとも一部(例えば下方及び側方)を包囲することで、撮像装置220側から重力方向に落下する場合でも、回転翼211が物体に接触することを回避できる。よって、回転翼211が回転していても、回転する回転翼211による物体の損傷を低減できる。
また、無人航空機100Aは、無人航空機100Aの下降により気流が発生しても、気流によりエアバッグ310に重力方向と反対方向に力がかかりやすい。そのため、無人航空機100Aは、回転翼211の下方及び側方をエアバッグ310により覆いやすい。したがって、無人航空機100Aは、地面落下直前の短時間でも、エアバッグ310により好適に回転翼211を包囲可能な確率が高くなる。
図19Aは、4つのエアバッグ310により4つの回転翼211を覆う場合のエアバッグ310が展開された状態の無人航空機100Aの一例を示す正面図である。
無人航空機100Aは、複数(例えば4つ)のエアバッグ310及び複数(例えば4つ)の回転翼211を有してよい。複数のエアバッグ310のそれぞれは、展開状態において、複数の回転翼211のそれぞれの外周の周囲の少なくとも一部を包囲してよい。
複数のエアバッグ310のそれぞれが複数の回転翼211のそれぞれの外周を包囲することで、例えば無人航空機100Aが急速に落下する場合に、複数の回転翼211が、物体に接触する前にエアバッグ310に接触する可能性が高くなる。よって、無人航空機100Aは、回転する複数の回転翼211に物体が接触する可能性を低減でき、回転する回転翼211による物体の損傷を軽減できる。
また、1つのエアバッグ310が1つの回転翼211を包囲することで足りるため、1つのエアバッグ310のサイズを小さくできる。したがって、エアバッグ310の収納スペースが小さくなり、無人航空機100A本体内のスペースが有効に利用され得る。また、エアバッグ310のサイズが小さいことで、無人航空機100Aは、エアバッグ310の展開指令から展開完了までの時間を短縮でき、早期に回転翼211の周囲の安全性を向上できる。
図19Bは、図19Aのエアバッグ310の一部を透視した無人航空機100Aの一例を示す正面図である。図19Cは、図19Bの無人航空機100Aを上方から見た平面図である。
UAV本体102の上筐体102a及び下筐体102bは、側方端部に複数(例えば4つ)の開口部107を有してよい。複数の開口部107のそれぞれは、UAV本体102を上方から見た断面において回転翼211のそれぞれの配置位置の周辺に形成されてよい。
UAV本体102は、複数の開口部107のそれぞれに接続してUAV本体102内部に、収縮状態のエアバッグ310を収容するための複数(例えば4つ)の収容部108を有してよい。複数の収容部108の形状及びUAV本体102における配置位置は、任意である。また、収縮状態のエアバッグ310を収容するための複数の収容器(不図示)が、UAV本体102とは別体で設けられてよい。この場合、複数の収容器のそれぞれは、複数の開口部107のそれぞれの付近に設けられてよい。
それぞれのエアバッグ310は、展開制御部118の制御によりガス発生装置320からガスの供給を受けると、複数の収容部108のそれぞれに収容された収縮状態から、複数の開口部107のそれぞれを介してUAV本体102の外部に放出されて展開状態となる。この場合、それぞれのエアバッグ310は、それぞれの回転翼211の周囲を回り込んで展開する。それぞれのエアバッグ310は、まずそれぞれの回転翼211の下方を覆う。次にそれぞれのエアバッグ310は、それぞれの回転翼211の外周側及び中央部201c側の側方を覆う。次にそれぞれのエアバッグ310は、それぞれの回転翼211の上方の少なくとも一部を覆ってよい。
無人航空機100Aでは、複数のエアバッグ310のそれぞれが、UAV本体102の開口部105のそれぞれから回り込んで、複数の回転翼211のそれぞれの少なくとも一部(例えば下方及び側方)を包囲する。これにより、無人航空機100Aは、撮像装置220側から重力方向に落下する場合でも、回転翼211が物体に接触することを回避できる。よって、回転翼211が回転していても、回転する回転翼211による物体の損傷を低減できる。
また、無人航空機100Aは、無人航空機100Aの下降により気流が発生しても、気流によりエアバッグ310に重力方向と反対方向に力がかかりやすい。そのため、無人航空機100Aは、回転翼211の下方及び側方をエアバッグ310により覆いやすい。従って、無人航空機100Aは、地面落下直前の短時間でも、エアバッグ310により好適に回転翼211を包囲可能な確率が高くなる。
次に、無人航空機100Aの動作例について説明する。
図20は、無人航空機100Aの動作例を示すフローチャートである。図20において、図14A及び図14Bに示した処理と同様の処理については、同一のステップ番号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
まず、無人航空機100Aは、不図示であるが、第1の実施形態と同様に、図14AのS11〜S19の処理を実行する。S19の処理により、無人航空機100Aの制御モードは、安全制御モードの1つである第4の安全制御モードに遷移する。第4の安全制御モードに遷移すると、無人航空機100Aは、S21〜S24の処理を実施する。
S24において回転翼211の回転が停止すると、展開制御部118は、エアバッグ310を展開させる(S31)。
図20の処理によれば、回転翼211の周囲の少なくとも一部がエアバッグ310により覆われるので、無人航空機100Aは、エアバッグ310が物体に直接接触することを抑制できる。
また、展開制御部118は、回転翼211の回転が停止された場合に、エアバッグ310を展開させてよい。回転翼211の回転が停止されたか否かは、回転翼制御部116により判定されてよい。回転翼制御部116は、例えば無人航空機100Aが備える赤外線センサ(不図示)や磁力センサ(不図示)から検出情報を取得し、この検出情報を基に回転翼211の回転が停止されたか否かを判定してよい。回転翼制御部116は、第2判定部の一例である。
無人航空機100Aは、回転翼211の回転が停止された場合に、エアバッグ310を展開させることで、回転翼211の回転によりエアバッグ310が損傷することを抑制できる。よって、損傷していないエアバッグ310により回転翼211が保護される可能性が高くなり、無人航空機100Aは、物体の損傷を低減できる。
以上、本開示を実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載からも明らかである。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現可能である。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず、」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。