本発明の液晶表示素子は、前記した通り、第一の基板および第二の基板が対向して設けられる一対の基板と、前記第一の基板と第二の基板と間に挟持された液晶層と、前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた画素電極と、前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた共通電極と、発光素子を備えた光源部と、
赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備え、前記三原色の内少なくとも一色に入射した前記光源部からの入射光により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルを有する発光用ナノ結晶を含有する光変換層とを備え、
前記液晶層が、ポリマーネットワーク(A)と、一般式(i)
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Aは1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、nは0又は1を表す。)で表される化合物を10〜50質量%含有する液晶組成物(B)を含有することを特徴とするものである。
本発明では、液晶層を特性の構成とすることにより、光源に用いる短波長の可視光線や紫外光などの高エネルギー光線の長時間暴露に耐えうる液晶層を備えた信頼性の高い液晶表示素子を提供できる。
本発明に係る好適な液晶表示素子について図を用いて以下に説明した後、液晶表示素子の各構成要素について説明する。
図1は、本実施形態で用いられる液晶表示素子の一例の全体を示す斜視図であり、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。
本発明に係る液晶表示素子1000は、バックライトユニット100と、液晶パネル10とを備えている。当該バックライトユニット100は、発光素子Lを有する光源部101と、導光板(図示せず)または光拡散板(図示せず)の役割を果たす導光部102と、を有している。図1に示すように、バックライト100の一形態は、複数の発光素子Lを含む光源部101が導光部102の一側面に配置されている。必要により、複数の発光素子Lを含む光源部101を、液晶パネル10の一側面側(導光部102の一側面)だけでなく、液晶パネル10の他方の側面側(対向する両側面)に設けてもよく、また、導光部102の周囲を囲むように、複数の発光素子Lを含む光源部101が、該導光部102の3つ側面又は該導光部102の全周囲を囲むように、4つの側面に設けられていてもよい。なお、導光部102は必要に応じて導光板の代わりに光拡散板(図示せず)を備えてもよい。
図1に示す液晶パネル10において、第一の(透明絶縁)基板2は、一方の面に偏光層1が設けられ、他方の面に電極層3が設けられている。また、液晶層5を挟んで前記第一の基板2と対向するように、第二の(透明絶縁)基板7が配設され、該基板7上に光変換層(いわゆる色層)6および偏光層8の順で設けられている。ここで、該光変換層(色層)6は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備え、前記三原色の内の少なくとも一色の画素が、前記光源部からの入射光により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルを有する発光用ナノ結晶を含有するものである。
図1では、電極層3として画素電極(図示せず)と共通電極(図示せず)とが第一の基板2側に設けられている形態を示しているが、別の実施形態(例えば、図3、図4)では、画素電極を第一の基板2に設け、共通電極3’を第二の基板7に設けてもよい。
また、図1では、前記第二の基板7と液晶層5との間に光変換層6が設けられているが、本発明に係る液晶表示素子の他の実施形態としては、図10、図11に示す様な、いわゆるカラーフィルタオンアレイ(COA)型と同様に光変換層6が第一の基板2側に設けられていてもよく、この場合、電極層3と液晶層5の間に光変換層6を設けても、または当該電極層3と第一の基板2との間に光変換層6を設けてもよい。また、必要により、オーバコート層(図示せず)を、光変換層6を覆う様に設けることで、光変換層に含まれる物質が液晶層へ流出することを防止してもよい。
次に、図2に示す液晶表示素子1000は、図1の液晶パネル10において、更に配向層4を設けた実施形態を示す図である。具体的には、図2の液晶パネル10において、第一の(透明絶縁)基板2の一方の面に偏光層1が設けられており、他方の面に電極層3が設けられている。さらに前記電極層3上には配向層4が形成されている。また、液晶層5を挟んで前記第一の基板2と対向するよう、第二の(透明絶縁)基板7上に発光用ナノ結晶を含有する光変換層6を有する。また、当該光変換層6の第一の基板2側に偏光層8が設けられ、さらに当該偏光層8の第一の基板2側に配向層4が設けられている。
図2では、電極層3として画素電極(図示せず)と共通電極(図示せず)とが第一の基板2側に設けられているが、別の実施形態(例えば、図3、図4)では、画素電極3を第一の基板2に設け、共通電極を第二の基板7に設けてもよい。
また、配向層4により電圧無印加時に該液晶組成物中の液晶分子が前記基板2,7に対して所定方向に配向することができる。図2では一対の配向層4により液晶層5を挟持した形態を例にしているが、配向層4は第一の基板2または第二の基板の片側にだけ設けてもよい。
また、図2では、前記第二の基板7と配向層4との間に光変換層6が設けられているが、図1の場合と同様に、いわゆるカラーフィルタオンアレイ(COA)型と同様に光変換層6が第一の基板2側に設けられていてもよい。更に、図2および後述の図4において、配向層4は液晶層5に接するように第一の基板2側と第二の基板7側に設けられているが、そのどちらか一方のみでもよい。
このように、本発明に係る液晶パネル10は、第一の偏光層1と、第一の基板2と、電極層3と、液晶層5と、第二の偏光層8と、光変換層6と、第二の基板7と、が順次積層された構成、或いは、第一の偏光層1と、第一の基板2と、電極層3と、配向層4と、液晶組成物を含む液晶層5と、配向層4と、第二の偏光層8と、光変換層6と、第二の基板7と、が順次積層された構成を有するものであることが好ましい。
図1、図2において、発光素子Lから発光された光は、導光部102内(例えば、導光板や光拡散板を介して)を通過して、液晶パネル10の面内に入射する。当該液晶パネル10内に入射した光は、第一の偏光層1により特定の方向に偏光された後、液晶層5により偏光の方向が変えられた光は、第二の偏光層8で遮断または特定方向に偏光された後、光変換層6に入光する。当該光変換層6では、該光変換層6に入光した光が発光用ナノ結晶に吸収され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルに変換されることで、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかの色を表示することができる。
この際、導光部102(特に導光板)の形状が、発光素子Lから発光された光が入射する側面から対向面に向かって厚さが次第に減少する側面を備えた平板体である(側面がテーパー状の形態や楔状四角形板)と、線光を面光に変換することができるため液晶パネル10内に光を入射しやすくなる為好ましい(後述に実施形態として記載する)。
図3は、バックライトユニット100が、複数の発光素子Lを平板状の導光部102に対して平面状に配置された、所謂直下型バックライト構造を持つ液晶表示素子の一例の全体を示す斜視図である。なお、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。
直下型バックライト構造は、発光素子Lからの光は面光であるため、導光部102の形状は、図1、図2とは異なりテーパー状である必要はない。
図3における液晶パネル10は、一方の面に第一の電極層3(例えば、画素電極)を備え、かつ他方の面に第一の偏光層1を備えた第一の基板2と、第二の電極層3’(例えば、共通電極)を具備した第二の基板7と、前記第一の基板2と第二の基板7との間に挟持された液晶層5を備えている。また、前記第二の基板7と第二の電極層3’との間に光変換層6が設けられており、さらに当該光変換層6の上の第二の電極層3’側に第二の偏光層8が設けられている。
すなわち、図3の実施形態では、液晶表示素子1000は、バックライトユニット100と、第一の偏光板1と、第一の基板2と、薄膜トランジスタを含む電極層(又は薄膜トランジスタ層や画素電極とも称する)3と、液晶組成物を含む層5と、第二の電極層3’と、第二の偏光板8と、光変換層6と、第二の基板7と、が順次積層された構成となる。
次に、図4に示す液晶表示素子1000は、図3の液晶パネル10において、更に配向層4を設けた実施形態を示す図である。即ち、図4における液晶パネル10は、一方の面に第一の電極層3(例えば、画素電極)を備え、かつ他方の面に第一の偏光層1を備えた第一の基板2と、第二の電極層3’(例えば、共通電極)を具備した第二の基板7と、前記第一の基板2と第二の基板7との間に挟持された液晶組成物(または液晶層5)を有し、前記第一の基板2と前記液晶層5の間に前記液晶層5と接するように設けられた配向層4と、前記第二の基板7と前記液晶層5との間に前記液晶層5と接するように設けられた配向層4と、を備えている。また、前記第二の基板7と第二の電極層3’との間に光変換層6が設けられており、さらに当該光変換層6の上の第二の電極層3’側に第二の偏光層8が設けられている。
すなわち、図4の実施形態では、液晶表示素子1000は、バックライトユニット100と、第一の偏光板1と、第一の基板2と、薄膜トランジスタを含む電極層(又は薄膜トランジスタ層とも称する)3と、配向層4と、液晶組成物を含む層5と、配向層4と、第二の電極層3’と、第二の偏光板8と、光変換層6と、第二の基板7と、が順次積層された構成であることが好ましい。
図3、図4において、発光素子Lから発光された光は、導光部102を(光拡散板や光拡散板を介して)通過して、液晶パネル10の面内に入射する。当該液晶パネル10内に入射した光は、第一の偏光層1により特定の方向に偏光された後、液晶層5により偏光の方向が変えられた光は、第二の偏光層8で遮断または特定方向に偏光された後、光変換層6に入光する。当該光変換層6では、該光変換層6に入光した光が発光用ナノ結晶に吸収され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルに変換されることで、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかの色を表示することができる。
また、前記導光部102として、液晶パネル10と前記導光部102との間に光拡散板を備えることが好ましい(後述に実施形態として記載する)。
以下、本発明の好ましい液晶表示素子における液晶パネル部分の断面構造、特に、偏光層、光変換層、および液晶層などの積層態様について説明する。
図5〜11は、本実施形態で用いられる液晶パネルの構成を示すために、液晶表示素子における液晶パネル10部分を切断した断面図の模式図であり、液晶パネル10における偏光層、光変換層および液晶層の積層態様を示す概略図である。また、図5〜11では、偏光層、光変換層および液晶層の位置関係の説明のため便宜上、図1〜図4で示されている電極層3(TFTを含む)、電極層3’、配向層4などを省略して模式的に示している。
さらに、図5〜11では、液晶層5に対して、バックライトユニット(光源)側の基板とその基板に積層される積層体をアレイ基板(A−SUB)、当該アレイ基板と液晶層5を挟んで対向する基板とその基板に積層される積層体を対向基板(O−SUB)としている。これらアレイ基板(A−SUB)および対向基板(O−SUB)の構成や好ましい実施態様は、後述の図12〜図19における電極構造の説明の箇所で詳細に説明する。なお、図5〜11では、アレイ基板側にTFTが形成されている例を記載しているが、アレイ基板と対向基板とを入れ替えてもよい。
図5の実施態様は、光変換層6が対向基板(O−SUB)に設けられ、かつ、該光変換層6と第二の偏光層8とが、一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の間に設けられた所謂インセル偏光層を備える形態である。
一般的な液晶表示素子は、白色光源からの光をカラーフィルタにおいて、波長選択し、その一部を吸収することによりそれぞれの色表示を行っているのに対して、本発明では、発光用ナノ結晶を含有する光変換層をカラーフィルタの代替部材として用いたことを特徴の一つとしている。よって、本発明における光変換層6は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備えており、いわゆるカラーフィルタと同様の役割を果たす。
具体的には、光変換層6は、例えば、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)を備え、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)を備え、そして青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Blue)を備えている。斯かる単層型の光変換層6の一例を図22に示す。
すなわち、光変換層6は、青色LEDなどの450nm近傍に主ピークを持つ光を光源として使用する場合、青色LEDが発する青色光を青色として利用することができる。そのため、光源部からの光が青色光である場合には、前記各色の光変換画素層(NC−Red、NC−Green、NC−Blue)のうち、光変換画素層(NC−Blue)を省略し、青色はバックライト光をそのまま使用してもよい。この場合、青色を表示する色層は透明樹脂や青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。よって、図5及び図22では、青色発光用ナノ結晶が任意成分となりうることから、青色発光用ナノ結晶を一点破線で表示している。
図5で示す本発明の液晶表示素子では、各色層の間の混色を防ぐ目的でブラックマトリックスを設けてもよい。また、図5において、使用する光源の種類(発光素子として青色LED)に応じて、光変換層6と第二の偏光層8との間に、青色の色材を含む色層(いわゆる「青色カラーフィルタ」)をそれらの間に一面に設けることが、外部からの不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる青色カラーフィルタを配した構造を図21に示す。
図5に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の偏光層8との間、或いは、第二の偏光層8と光変換層6との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。また、対向基板側(O−SUB)およびアレイ基板側(A−SUB)の少なくとも一方の液晶層と接する面には配向層4が形成されいることが好ましい。また、図5において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基2上に形成されていることが好ましい。
次に、図6の実施態様は、光変換層6が対向基板(O−SUB)に設けられ、かつ、該光変換層6が、一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の外側に設けられた形態である。そのため、第二の偏光層8および光変換層6を支持する支持基板9が設けられている。当該支持基板9は、透明基板であることが好ましい。
図6における光変換層6は、図5の実施形態と同様に、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)を備え、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)を備え、当該青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む光変換画素層(NC−Blue)を備えている。また、図6における光変換層8における赤色(R)の画素部、緑色(G)の画素部および青色(B)の画素部の好ましい形態は、図5で示した実施形態と同一であるためここでは省略する。
図6に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の偏光層8との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。また、対向基板側(O−SUB)およびアレイ基板側(A−SUB)の少なくとも一方の液晶層と接する面には配向層4が形成されていることが好ましい。また、図6において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。
次に、図7の実施態様は、光変換層6が対向基板側O−SUBに設けられ、該光変換層6及び第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える形態であって、かつ、該光変換層6を構成する赤色及び緑色の各色層部において、赤色の色層部が、赤色発光用ナノ結晶を含有する光変換画素層(NC−Red)と、赤色の色材を含む色材層(いわゆる赤色カラーフィルタ)(CF‐Red)とが積層された2層構造を有し、緑色の色層部が、緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶を含有する光変換画素層(NC−Green)と、緑色の色材を含む色材層(いわゆる緑色カラーフィルタ)(CF‐Green)とが積層された2層構造を有するものである。
即ち、斯かる色層部の2層構造は、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)の全てをナノ結晶を含有する光変換画素層で変換できない場合に、残った励起光を透過させず吸収する目的でカラーフィルタ(CFL)を積層させるものである。
図7によれば、本発明に係る液晶表示素子の液晶パネル部において、第二の偏光層8および赤色の色層と緑色の色層と青色の色層を有する光変換層6は、バックライトユニット(光源)側の基板A−SUBと対向する基板側O−SUBに設けられている。また、図7では第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える形態である。図7における実施形態は、図5の光変換層6が二層に積層された形態である。より詳細には、光変換層6は、赤色の色層部と緑色の色層部と青色の色層部とを有し、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)と赤色の色材を含む色材層(CF‐Red)との二層構造として構成される。緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)と緑色の色材を含む色材層(CF‐Green)との二層構造として構成される。この場合、図7では、緑色の色層部は、励起光の透過を考慮して色補正を行うために、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)と黄色の色材を含む色材層(CF‐Yellow)との組み合わせでもよい。青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む色層(NC−Blue)で構成される。
図7における光変換層6における赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)および青色発光用ナノ結晶を必要により含む色層(NC−Blue)の好ましい形態は、図5で示した実施形態と同一であるためここでは省略する。なお、図7でも、赤色の色層部と緑色の色層部と青色の色層部はそれぞれ接しているように示されているが、混色を防止するために、それぞれの間に遮光層としてブラックマトリックスを配置してもよい。
また、使用する発光素子として青色LEDなど使用する場合には、図7の光変換層6と第二の偏光層8との間に、青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)をそれらの間に一面に設けることが外部からの不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる2層構造の光変換層6と青色カラーフィルタとを必須の構成要素とする層構造は、例えば図22で示される構造が挙げられる。
図7に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向する基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の偏光層8との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。また、図7において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。また、VA型、FFS型またはIPS型液晶表示素子において、対向基板側(O−SUB)およびアレイ基板側(A−SUB)の少なくとも一方の液晶層と接する面には配向層4が形成されていることが好ましい。
次に、図8の実施形態は、第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備えた形態であり、発光用ナノ結晶を含む層とカラーフィルタとが積層された二層の光変換層6を持つものである。具体的には、光変換層6は、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)が、発光用ナノ結晶を含む層(NCL)と赤色の色材を含む色材層との二層構造で構成され、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)が、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と緑色の色材を含む色材層との二層構造で構成され、かつ、青色(R)の画素部(青色の色層部)は、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と青色の色材を含む色材層との二層構造で構成されている。
この場合、発光用ナノ結晶NCを含む層における発光用ナノ結晶は、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶および入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶からなる群から選択される1種または2種を含むことが好ましい。なお、本実施形態においても各色層の間の混色を防ぐ目的でブラックマトリックスを設けてもよい。
また、図8の実施形態では、青色カラーフィルタを光変換層6の液晶層側に隣接するように一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる青色カラーフィルターを配設した構造は図9で示すことができる。
図8又は図9に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の偏光層8との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の表示基板SUB1上に形成されていることが好ましい。また、対向基板側(O−SUB)およびアレイ基板側(A−SUB)の少なくとも一方の液晶層と接する面には配向層4が形成されていることが好ましい。また、図8において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の表示基板SUB1上に形成されていることが好ましい。
以上詳述した図5〜9に示す実施形態では、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線の光源を用いた光を、光スイッチとして機能する液晶層および偏光層を介して、光変換層に含まれる発光用ナノ結晶が吸収し、当該吸収した光を当該発光用ナノ結晶により特定の波長の光に変換して発光することにより色を表示する。
次に、図10の実施形態は、光変換層6がアレイ基板側(A−SUB)側に設けられ、また、第二の偏光層8が、第二の基板7の外側に設けられ、さらに、第一の偏光層1が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える、カラーフィルターオンアレイ型の液晶パネルである。
図10に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向する基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の基板7との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。
例えば、第一の基板2と光変換層6との間、第一の偏光層1と光変換層6との間または第一の偏光層1と液晶層5との間に画素電極3が形成されていることが好ましい。
また、対向基板側(O−SUB)およびアレイ基板側(A−SUB)の少なくとも一方の液晶層と接する面には配向層4が形成されていることが好ましい。
また、図10において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上、例えば、第一の基板2と光変換層6との間、第一の偏光層1と光変換層6との間または第一の偏光層1と液晶層5との間に形成されていることが好ましい。また、光変換層6と第一の基板2との間には、青色カラーフィルタをそれらの間に一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。また、入射光が青色光である場合には、青色を表示する色層は青色発光用ナノ結晶を用いなくともよく、この場合、透明樹脂や青色の色材を含む色層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。
図11に示す実施形態は、光変換層6がバックライトユニット(光源)側のアレイ基板(A−SUB)側に設けられ、かつ、第一の偏光層1および第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間の外側に設けられた形態である。そのため、第一の偏光層1および光変換層6を支持する支持基板9が第一の基板2より光源部(バックライトユニット)側に設けられている。
図11に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向する基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の基板7との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。例えば、第一の基板2と液晶層5との間に共通電極3’が形成されていることが好ましい。また、対向基板側(O−SUB)およびアレイ基板側(A−SUB)の少なくとも一方の液晶層と接する面には配向層4が形成されていることが好ましい。また、図11において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上、例えば、第一の基板2と液晶層5との間に画素電極および共通電極が形成されていることが好ましい。また、光変換層6と支持基板9との間には、青色カラーフィルタをそれらの間に一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。また、入射光が青色光である場合には、青色を表示する色層は青色発光用ナノ結晶を用いなくともよく、この場合、透明樹脂や青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。
以上詳述した通り、図10〜11に示す実施形態では、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線の光源を用いた光のうち、光変換層に含まれる発光用ナノ結晶で吸収されなかった光、特に青色の色層部を通過した光が光スイッチとして機能する液晶層を介して、色を表示するものである。
以上の図5〜図11の各実施態様の中でも、特に、図5〜図9で示される、光変換層6を、バックライトユニット(光源)側の基板A−SUBと対向する基板側O−SUB側に設けられた構造のものが、高エネルギー光線の照射による液晶層の劣化を抑制または防止できる、という本発明の効果が顕著に現れるものとなる点から好ましい。
次に、本発明の液晶表示素子における主たる構成要素である、光変換層、カラーフィルタ、液晶層、配向層、光源部、光源部、偏光層、基板につき詳述する。
[光変換層]
本発明の液晶表示素子における光変換層は、その画素部を構成要素は、発光用ナノ結晶を必須成分として含み、樹脂成分、その他必要により当該発光用ナノ結晶に対して親和性のある分子、公知の添加剤、その他色材を含有してもよいものである。また、前記した通り、各色層の境界部分にはブラックマトリックスを有することがコントラストの点から好ましい。
(発光用ナノ結晶)
前記光変換層を構成する発光用ナノ結晶は、好ましくは100nm以下の少なくとも1つの長さを有する、粒子を指す。ナノ結晶の形状は、任意の幾何学的形状を有してもよく、対称または不対称であってよい。当該ナノ結晶の形状の具体例としては、細長、ロッド状の形状、円形(球状)、楕円形、角錐の形状、ディスク状、枝状、網状または任意の不規則な形状等を含む。一部の実施形態では、ナノ結晶は、量子ドットまたは量子ロッドであることが好ましい。
当該発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含むシェルとを有することが好ましい。
そのため、発光用ナノ結晶は、少なくとも第一半導体材料を含むコアと、第二半導体材料を含むシェルからなり、前記第一半導体材料と、前記第二半導体材料とは同じでも異なっていても良い。また、コアおよび/またはシェル共に第一半導体および/または第二半導体以外の第三の半導体材料を含んでも良い。なお、ここでいうコアを被覆とは、コアの少なくとも一部を被覆していればよい。
さらに、当該発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含む第一のシェルと、必要により、前記第一のシェルを被覆し、かつ前記第一のシェルと同一または異なる第三の半導体材料を含む第二のシェルと、を有することが好ましい。
したがって、本発明に係る発光用ナノ結晶は、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一の第二の半導体材料を含むシェルを有する形態、すなわち1種類又は2種以上の半導体材料から構成される態様(=コアのみの構造(コア構造とも称する))と、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと異なる第二の半導体材料を含むシェルを有する形態等の、すなわちコア/シェル構造と、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと異なる第二の半導体材料を含む第一のシェルと、前記第一のシェルを被覆し、かつ前記第一のシェルと異なる第三の半導体材料を含む第二のシェルを有する形態の、すなわちコア/シェル/シェル構造との3つの構造のうち少なくとも一つを有することが好ましい。
また、本発明に係る発光用ナノ結晶は、上記の通り、コア構造、コア/シェル構造、コア/シェル/シェル構造の3つの形態を含むことが好ましく、この場合、コアは2種以上の半導体材料を含む混晶であってもよい(例えば、CdSe+CdS、CIS+ZnS等)。またさらに、シェルも同様に2種以上の半導体材料を含む混晶であってもよい。
本発明に係る光変換層において、発光用ナノ結晶は、当該発光用ナノ結晶に対して親和性のある分子が発光用ナノ結晶と接触していてもよい。
上記親和性のある分子とは、発光用ナノ結晶に対して親和性のある官能基を有する低分子および高分子であり、親和性のある官能基としては特に限定されるものでは無いが、窒素、酸素、硫黄およびリンからなる群から選択される1種の元素を含む基である事が好ましい。例えば、有機系硫黄基、有機系リン酸基ピロリドン基、ピリジン基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、カルボニル基、および水酸基等を挙げる事が出来る。
本発明に係る半導体材料は、II−VI族半導体、III−V族半導体、I−III−VI族半導体、IV族半導体及びI−II−IV−VI族半導体からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。本発明に係る第一の半導体材料、第一の半導体材料および第三の半導体材料の好ましい例は、上記の半導体材料と同様である。
本発明に係る半導体材料は、具体的には、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS2、AgInSe2、AgInTe2、AgGaS2、AgGaSe2、AgGaTe2、CuInS2、CuInSe2、CuInTe2、CuGaS2、CuGaSe2、CuGaTe2、Si、C、Ge、Cu2ZnSnS4から少なくとも1つ以上選ばれ、2つ以上が混合されていても良い。
本発明に係る発光用ナノ結晶は、赤色発光用ナノ結晶を、緑色発光用ナノ結晶を、及び青色発光用ナノ結晶からなる群から選択される少なくとも1種のナノ結晶を含むことが好ましい。一般に、発光用ナノ結晶の発光色は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば粒子径に依存するが、発光用ナノ結晶が有するエネルギーギャップにも依存するため、使用する発光用ナノ結晶とその粒子径を調整することにより、発光色を選択する。
本発明において赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が635nm±30nmの範囲に入っている事が望ましい。同じく、緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が530nm±30nmの範囲に入っている事が望ましく、青色光を発光する青色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が450nm±30nmの範囲に入っている事が望ましい。
本発明に係る発光用ナノ結晶の蛍光量子収率の下限値は、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上の順で好ましい。
本発明に係る発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの半値幅の上限値は、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下の順で好ましい。
本発明に係る赤色発光用ナノ結晶の粒子径(1次粒子)の上限値は、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下の順で好ましい。
本発明に係る赤色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は665nm、下限値は605nmであり、このピーク波長に合う様に化合物およびその粒径を選択する。同じく、緑色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は560nm、下限値は500nm、青色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は420nm、下限値は480nmであり、それぞれこのピーク波長に合う様に化合物およびその粒径を選択する。
本発明に係る液晶表示素子は、少なくとも1つの画素を備える。当該画素を構成する色は、近接する3つの画素により得られ、各画素は、赤色(例えば、CdSeの発光用ナノ結晶、CdSeのロッド状発光用ナノ結晶、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がCdSe、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がZnSe、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がCdSe、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がZnSe、CdSeとZnSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶、InPの発光用ナノ結晶、InPの発光用ナノ結晶、InPのロッド状発光用ナノ結晶、CdSeとCdSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとCdSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶、ZnSeとCdSとの混晶の発光用ナノ結晶、ZnSeとCdSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶など)、緑色(CdSeの発光用ナノ結晶、CdSeのロッド状の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶など)および青色(ZnSeの発光用ナノ結晶、ZnSeのロッド状発光用ナノ結晶、ZnSの発光用ナノ結晶、ZnSのロッド状発光用ナノ結晶、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がZnSeであって内側のコア部がZnS、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がZnSeであって内側のコア部がZnS、CdSの発光用ナノ結晶、CdSのロッド状発光用ナノ結晶)で発光する異なるナノ結晶を含む。他の色(例えば、黄色)についても、必要に応じて光変換層に含有してもよく、さらには近接する4画素以上の異なる色を使用してもよい。
本発明に係る発光用ナノ結晶の平均粒子径(1次粒子)はTEM観察によって測定できる。一般的に、ナノ結晶の平均粒子径の測定方法としては、光散乱法、溶媒を用いた沈降式粒度測定法、電子顕微鏡により粒子を直接観察して平均粒子径を実測する方法が挙げられる。発光用ナノ結晶は水分などにより劣化しやすいため、本発明では、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により任意の複数個の結晶を直接観察し、投影二次元映像よる長短径比からそれぞれの粒子径を算出し、その平均を求める方法が好適である。そのため、本発明では上記方法を適用して平均粒子径を算出している。発光用ナノ結晶の1次粒子とは、構成する数〜数十nmの大きさの単結晶またはそれに近い結晶子のことであり、発光用ナノ結晶の一次粒子の大きさや形は、当該一次粒子の化学組成、構造、製造方法や製造条件などによって依存すると考えられる。
本発明における光変換層は、上記で示した発光用ナノ結晶に加え、該発光用ナノ結晶を適度分散安定化させる樹脂成分を含むことが好ましい。
斯かる樹脂成分は、該光変換層が主にフォトリソグラフィー法にて製造されることから、光重合性化合部物の重合体であって、かつ、アルカリ現像可能なものが好ましく、具体的には、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマーの重合体:トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマーの重合体、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーの重合体が挙げられる。
また、これらの重合体と共に、一部熱可塑性樹脂を併用してもよく、該熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
さらに、本発明に係る光変換層において、必要により、上記透明樹脂、上記発光用ナノ結晶の他に、重合開始剤、触媒、アルミナ、シリカ、酸化チタンビーズ、ゼオライトまたはジルコニアなどの散乱剤といった、公知の添加剤を含んでもよい。
本発明における光変換層において、透明樹脂に対する発光用ナノ結晶の含有量の上限は、透明樹脂100質量部に対して、80質量部、70質量部、60質量部、50質量部、が好ましい。一方、下限は透明樹脂100質量部に対して、1.0質量部、3.0質量部、5.0質量部、10.0質量部が好ましい。光変換層に複数種の発光用ナノ結晶が含まれる場合において、上記含有量は合計量を表す。
光変換層に複数種の発光用ナノ結晶が含まれる場合において、上記含有量は合計量を表す。
(色材)
本発明の液晶表示素子における光変換層は、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色画素部を備え、前記した通り、必要により色材を含んでもよい。当該色材としては、公知の色材を使用することができ、例えば、赤(R)の画素部中にジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を、緑(G)の画素部中にハロゲン化銅フタロシニアン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を、青(B)の画素部中にε型銅フタロシニアン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料を含有することが好ましい。
本発明に係る赤色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を含有するのが好ましい。ジケトピロロピロール顔料としては、具体的にはC.I.Pigment Red 254、同255、同264、同272、Orange 71及び同73から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Red 254、同255、同264及び同272から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、C.I.Pigment Red 254が特に好ましい。アニオン性赤色有機染料としては、具体的には、C.I.Solvent Red 124、Acid Red 52及び同289から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、C.I.Solvent Red 124が特に好ましい。
上記本発明に係る赤色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Red 177、同242、同166、同167、同179、C.I.Pigment Orange 38、同71、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Red 89、C.I.Solvent Orange 56、C.I.Solvent Yellow 21、同82、同83:1、同33、同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
本発明に係る緑色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料及びフタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するのが好ましい。上記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、次の2つの群のハロゲン化金属フタロシアニン顔料が挙げられる。
(第一群)
Al、Si、Sc、Ti、V、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn及びPbからなる群から選ばれる金属を中心金属として有し、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料であり、その中心金属が三価の場合には、その中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基(−SO3H)のいずれかが結合しており、中心金属が四価金属の場合には、その中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかが結合しているハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(第二群)
Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属とし、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これら構成単位の各中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO2−)からなる群から選ばれる二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体からなる顔料。
本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料において、ベンゼン環に結合するハロゲン原子は、全て同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。また、ひとつのベンゼン環に異なるハロゲン原子が結合していてもよい。
ここで、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子のうち9〜15個の臭素原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合した、本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、黄味を帯びた明るい緑色を呈し、カラーフィルタの緑色画素部への使用に最適である。本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、水や有機溶媒に不溶または難溶である。本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料には、後述する仕上げ処理が行われていない顔料(粗顔料とも呼ばれる)も、仕上げ処理が行われた顔料も、いずれも包含される。
前記第一群および第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、下記一般式(PIG−1)で表すことが出来る。
第一群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、前記一般式(PIG−1)において、次の通りである。
一般式(PIG−1)において、X1〜X16は、水素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。ひとつのベンゼン環に結合した4個のXの原子は同一でも異なっていても良い。4個のベンゼン環に結合したX1〜X16のうち、8〜16個は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。Mは中心金属を表す。後述するY及びそれの個数mが同一であるハロゲン化金属フタロシアニン顔料の範囲において、16個のX1〜X16のうち塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計が8未満の顔料は青色であり、同様に16個のX1〜X16のうち塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計が8以上の顔料で前記合計値が大きいほど黄味が強くなる。中心金属Mに結合するYはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのハロゲン原子、酸素原子、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる一価原子団であり、mは中心金属Mに結合するYの数を表し、0〜2の整数である。
中心金属Mの原子価により、mの値が決定される。中心金属Mが、Al、Sc、Ga、Y、Inの様に原子価が3価の場合、m=1であり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の一つが中心金属に結合する。中心金属Mが、Si、Ti、V、Ge、Zr、Snの様に原子価が4価の場合は、m=2であり、酸素の一つが中心金属に結合するか、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の二つが中心金属に結合する。中心金属Mが、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Sn、Pbの様に原子価が2価の場合は、Yは存在しない。
また、第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、前記一般式(PIG−1)において次の通りである。
前記一般式(PIG−1)において、X1〜X16については、前記定義と同義であり、中心金属MはAl、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を表し、mは1を表す。Yは次の原子団を表す。
なお、原子団Yの化学構造中、中心金属Mは前記した定義と同義であり、X17〜X32については、一般式(PIG−1)において前記したX1〜X16の定義と同義である。Aは、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO2−)からなる群から選ばれる二価原子団を表す。一般式(PIG−1)中のMと原子団YのMとは、二価原子団Aを介して結合していることを表す。
即ち、第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、ハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これらが前記二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体である。
一般式(PIG−1)で表わされるハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、具体的には、次の(1)〜(4)が挙げられる。
(1) ハロゲン化錫フタロシアニン顔料、ハロゲン化ニッケルフタロシアニン顔料、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の様な、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Sn及びPbからなる群から選ばれる二価金属を中心金属として有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。なお、この中で、塩素化臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、C.I.Pigment Green 58であり、特に好ましい。
(2) ハロゲン化クロロアルミニウムフタロシアニンの様な、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属として有し、中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかを有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(3) ハロゲン化オキシチタニウムフタロシアニン、ハロゲン化オキシバナジウムフタロシアニンの様な、Si、Ti、V、Ge、Zr及びSnからなる群から選ばれる四価金属を中心金属として有し、中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかを有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(4) ハロゲン化されたμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体、ハロゲン化されたμ−チオ−アルミニウムフタロシアニン二量体の様な、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属とし、フタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これら構成単位の各中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選ばれる二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体からなる顔料。
その他の色材としては、緑色の色層中にC.I.Solvent Blue 67とC.I.Solvent Yellow 162との混合物、又はC.I.Pigment Green 7及び/又は同36を任意に含有するのが好ましい。
上記本発明に係る緑色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、C.I.Solvent Yellow 21、同82、同83:1、同33からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
本発明に係る青色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ε型銅フタロシニアン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料を含有するのが好ましい。ε型銅フタロシニアン顔料は、C.I.Pigment Blue 15:6である。カチオン性青色有機染料としては、具体的には、C.I.Solvent Blue 2、同3、同4、同5、同6、同7、同23、同43、同72、同124、C.I.Basic Blue7、同26が好ましく、C.I.Solvent Blue 7、Basic Blue7がより好ましく、C.I.Solvent Blue 7が特に好ましい。
上記本発明に係る青色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Basic Blue 7、C.I.Basic Violet 10、C.I.Acid Blue 1、同90、同83、C.I.Direct Blue 86からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
また、本発明に係る光変換層又はカラーフィルタにおいて、黄色の色材を用いる場合、該色材としては、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Yellow 21、82、同83:1、同33、同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色有機染顔料であることが好ましい。
本発明における光変換層において、透明樹脂に対する発光用ナノ結晶の含有量の上限は、透明樹脂100質量部に対して、80質量部、70質量部、60質量部、50質量部が好ましく、前記発光用ナノ結晶の含有量の下限は、透明樹脂100質量部に対して、1.0質量部、3.0質量部、5.0質量部、10.0質量部が好ましい。光変換層に複数種の発光用ナノ結晶が含まれる場合において、上記含有量は合計量を表す。
前記した光変換層は、例えばフォトリソグラフィー法、電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(PhotovoltaicElectrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法により形成することができるが、これらの中でも生産性に優れる点からフォトリソグラフィー法が好ましい。
斯かるフォトリソグラフィー法は、具体的には、後述する発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物を、透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。
これを、赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素、必要に応じて黄色(Y)画素等の他の色の画素ごとに、光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素、黄色(Y)画素の着色画素部を有する光変換層を製造することができる。
この様にして発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
ここで、発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。また、発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用できる。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、90〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、発光用ナノ結晶を含有する光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、光変換層が完成する。
本発明の光変換層は、発光用ナノ結晶と共に前記色材、樹脂を併用することによって、液晶層の電圧保持率(VHR)の低下、青色光または紫外光による劣化、イオン密度(ID)の増加を防止し、白抜け、配向むら、焼き付けなどの表示不良の問題をより顕著に改善することが可能となる。
上記した発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物を製造する方法としては、発光用ナノ結晶と、有機溶剤と、を混合して、必要により、親和性のある分子、分散剤、色材(=染料及び/又は顔料組成物)と、を添加し均一となる様に攪拌分散を行って、まず光変換層の画素部を形成するための分散液を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて発光用ナノ結晶を含有する発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物とする方法が挙げられる。
ここで用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸プロピルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。
ここで用いられる分散剤としては、例えば、ビックケミー社のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2020、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2096、ディスパービック2150、ディスパービックLPN21116、ディスパービックLPN6919エフカ社のエフカ46、エフカ47、エフカ452、エフカLP4008、エフカ4009、エフカLP4010、エフカLP4050、LP4055、エフカ400、エフカ401、エフカ402、エフカ403、エフカ450、エフカ451、エフカ453、エフカ4540、エフカ4550、エフカLP4560、エフカ120、エフカ150、エフカ1501、エフカ1502、エフカ1503、ルーブリゾール社のソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース17000、18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000、味の素株式会社のアジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB814、アジスパーPN411、アジスパーPA111等の分散剤や、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン等の天然ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、酸化ロジン、マレイン化ロジン等の変性ロジン、ロジンアミン、ライムロジン、ロジンアルキレンオキシド付加物、ロジンアルキド付加物、ロジン変性フェノール等のロジン誘導体等の、室温で液状かつ水不溶性の合成樹脂を含有させることが出来る。これら分散剤や、樹脂の添加は、フロッキュレーションの低減、顔料の分散安定性の向上、分散体の粘度特性を向上にも寄与する。
また、分散助剤として、有機顔料誘導体の、例えば、フタルイミドメチル誘導体、同スルホン酸誘導体、同N−(ジアルキルアミノ)メチル誘導体、同N−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド誘導体等も含有することも出来る。もちろん、これら誘導体は、異なる種類のものを二種以上併用することも出来る。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。市販の光重合開始剤としては、たとえば、BASF社製「イルガキュア(商標名)−184」、「イルガキュア(商標名)−369」、「ダロキュア(商標名)−1173」、BASF社製「ルシリン−TPO」、日本化薬社製「カヤキュアー(商標名)DETX」、「カヤキュアー(商標名)OA」、ストーファー社製「バイキュアー10」、「バイキュアー55」、アクゾー社製「トリゴナールPI」、サンド社製「サンドレー1000」、アップジョン社製「デープ」、黒金化成社製「ビイミダゾール」などがある。
また上記光重合開始剤に公知慣用の光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、たとえば、アミン類、尿素類、硫黄原子を有する化合物、燐原子を有する化合物、塩素原子を有する化合物またはニトリル類もしくはその他の窒素原子を有する化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤の配合率は、特に限定されるものではないが、光重合性あるいは光硬化性官能基を有する化合物に対して0.1〜30質量%の範囲が好ましい。0.1質量%未満では、光硬化時の感光度が低下する傾向にあり、30%を超えると、顔料分散レジストの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
前記した様な各材料を使用して、質量基準で、本発明の発光用ナノ結晶100部当たり、300〜100000部の有機溶剤と、1〜500部の親和性のある分子や分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記染顔料液を得ることができる。次いでこの顔料分散液100部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が0.125〜2500部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜10部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散して画素部を形成するための発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物を得ることができる。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することができる。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ画素部の形成に効果的である。
ここでは、フォトリソグラフィー法によるR画素、G画素、B画素、Y画素の着色画素部の製造方法について詳記したが、本発明の発光用ナノ結晶含有組成物を使用して調製された画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(PhotovoltaicElectrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法で各色画素部を形成して、光変換層を製造してもよい。
[カラーフィルタ]
本発明では、図7における光変換画素層に積層される色材層(CF−Green、CF−Red)、図8又は図9におけるカラーフィルタ(CFL)、図9における青色カラーフィルタ(CF−Blue)のように色材を含むカラーフィルタを適宜使用することができる。
ここで使用し得る、青色、赤色、緑色、黄色の色材は、上記したものが何れも使用できるが、なかでも青色(B)の色材としては、ε型銅フタロシニアン顔料又はカチオン性青色有機染料、赤色(R)の色材としてはジケトピロロピロール顔料又はアニオン性赤色有機染料、緑色(G)の色材としてはハロゲン化銅フタロシニアン顔料、フタロシアニン系緑色染料、又はフタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物であることが好ましい。また、カラーフィルタには、必要により前述の透明樹脂や後述の光硬化性化合物、分散剤などを含んでもよく、カラーフィルタの製造方法は公知のフォトリソグラフィー法などで形成することができる。
[液晶層]
次に、液晶表示素子における液晶層、例えば、前記各実施態様における液晶層5は、前記した通り、ポリマーネットワーク(A)と、下記一般式(i):
(式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Ai1は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、ni1は0又は1を表す。)で表される化合物を10〜50重量%含有する液晶組成物(B)を含有することを特徴としている。
(ポリマーネットワーク(A))
斯かる液晶層を構成するポリマーネットワーク(A)は、一軸性の光学異方性、又は一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有するものであることが好ましく、該ポリマーネットワークの光学軸又は配向容易軸と、前記液晶組成物(B)を構成する低分子液晶の配向容易軸が略一致するように形成されていることがより好ましい。尚、該ポリマーネットワークには、複数のポリマーネットワークが集合することにより高分子薄膜を形成したポリマーバインダも含まれる。該ポリマーバインダは、一軸配向性を示す屈折率異方性を有しており、該薄膜に低分子液晶が分散され、該薄膜の一軸性の光学軸と低分子液晶の光学軸が略同一方向へ揃っていることが特徴である。
従って、これにより、光散乱型液晶である高分子分散型液晶又はポリマーネットワーク型液晶とは異なり光散乱が起こらず偏光を用いた液晶表示素子に於いて高コントラストな表示が得られる点と、立下り時間を短くして液晶素子の応答性を向上させる、という特徴を有するものとなる。更に、本発明の液晶表示素子を構成する液晶層では、ポリマーネットワーク層が液晶表示素子全体に形成されている為、液晶素子基板上にポリマーの薄膜層を形成させてプレチルトを誘起させるPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶組成物と区別することができる。
斯かる液晶層は、例えば、重合性単量体成分(a)及び前記液晶組成物(B)を必須成分とする重合性液晶組成物を重合させることにより製造することができる。具体的には、前記重合性液晶組成物が液晶相を示した状態で、該重合性液晶組成物中の重合性単量体成分(a)を重合させることにより、分子量が増加して液晶組成物(B)と重合体(もしくは共重合体)に相分離させることにより前記液晶層を形成することができる。
ここで、二相に分離する形態は、含有する液晶組成物(B)の種類や重合性単量体成分(a)(以下、単に「モノマー」と略記することがある。)の種類に依存する。例えば、液晶組成物(B)中に重合性単量体成分(a)の相(以下、「モノマー相」と略記する。)が無数に島状の核として発生して成長するバイノーダル分解で相分離構造を形成しても良く、液晶組成物(B)中にもモノマー相との濃度の揺らぎから相分離するスピノーダル分解により相分離構造を形成しても良い。バイノーダル分解によるポリマーネットワークを形成させるには、モノマーの反応速度が速い化合物を用いることにより可視光の波長より小さい大きさのモノマーの核を無数に発生させて線状に連結させる構造によりナノオーダーの相分離構造が形成されるので好ましい。結果としてモノマーの相に於ける重合が進むと相分離構造に依存して可視光の波長より短い空隙間隔のポリマーネットワークが形成される。一方、ポリマーネットワークの空隙は液晶組成物(B)相の相分離によるもので、この空隙の大きさが可視光の波長より小さいと、光散乱性が無く高コントラストで、且つポリマーネットワークからのアンカーリング力の影響が強まり立下り時間が短くなり高速応答の液晶表示素子が得られるようになり特に好ましい。バイノーダル分解に於けるモノマー相の核生成は、化合物の種類や組合せによる相溶性の変化や、反応速度、温度等のパラメータに影響され適宜必要に応じて調整することが好ましい。反応速度は、紫外線重合の場合は、モノマーの官能基や重合開始剤の種類及び含有量、紫外線照射強度によるもので反応性を促進するように紫外線照射条件を適宜調整すれば良く、少なくとも2mW/cm2以上の紫外線照射強度が好ましい。スピノーダル分解では周期性のある二相の濃度の揺らぎによる相分離微細構造が得られるので可視光波長より小さい均一な空隙間隔を容易に形成するので好ましい。モノマーの含有量を増加させると、温度の影響で液晶組成物(B)高濃度相とモノマー高濃度相との二相分離する相転移温度が存在する。二相分離転移温度より高い温度では等方相を示すが、低いと分離が起こり均一な相分離構造が得られず好ましくない。温度変化により二相分離する場合は、二相分離温度より高い温度に於いて相分離構造を形成させることが好ましい。上述した何れの場合も、液晶組成物(B)の配向状態と同様の配向状態を保持しながらポリマーネットワークを形成させることができる。
(重合性液晶組成物)
ここで、前記した重合性液晶組成物は、重合性単量体成分(a)、前記液晶組成物(B)、及び必要に応じて重合開始剤を含むものであるが、前記重合性単量体成分(A)を重合性液晶組成物中、0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%となる割合で用いることが液晶組成物(B)相の相分離とポリマーネットが良好に形成される点から好ましい。従って、本発明では、前記液相層は、ポリマーネットワーク(A)と液晶組成物(B)との総質量に対して、ポリマーネットワーク(A)が0.5〜20質量%、特に1〜10質量%となる割合で存在していることが好ましい。
重合性液晶組成物を重合させる際、重合相分離構造形成過程に於いては、モノマー高濃度相と液晶高濃度相の二相が形成されるが、重合開始剤は、通常、モノマー又は液晶の何れかの親和性の高い方に集まり易くなり濃度の局在化が起こる。
ここで、重合開始剤がモノマー高濃度相に偏在化する場合には、モノマーの重合が促進される一方で、液晶高濃度相に残存するモノマーの重合が進み難くなる。この場合、光開始剤濃度が低くなった液晶高濃度相中の残存モノマーは、モノマー高濃度相へ凝集性などの作用により集まることで架橋する。
逆に、重合開始剤が液晶高濃度相に偏在化する場合には、液晶高濃度相の残存モノマーの重合が促進されるようになり、液晶中の残存モノマーの分子量が増加すると伴に、新たに重合相分離構造を形成する場合やモノマー高濃度相へ凝集する場合などが考えられ、液晶高濃度相の残存モノマーは液晶相に溶存する光開始剤の効果で重合が進み易くなるので好ましい。又、液晶高濃度相の残存モノマーが光開始剤の効果で重合相分離が進み新たにポリマーネットワークを形成することも好ましい。
形成されたポリマーネットワーク(A)は、液晶組成物(B)の配向に倣うように光学異方性を示す。ポリマーネットワーク中の液晶層の形態としては、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶組成物(B)が連続層をなす構造、液晶組成物(B)のドロップレットがポリマー中に分散している構造、又は両者が混在する構造、更に、両基板面を起点にポリマーネットワーク層が存在し、対面基板との中心付近では液晶層のみである構造が挙げられる。何れもの構造もポリマーネットワークの作用により0〜90°のプレチルト角が液晶素子基板界面に対して誘起されていることが好ましいが、前記各構造のなかでも特にポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶組成物(B)が連続層をなす構造のものが、液晶分子のプレチルトの安定性に優れる点から好ましい。ここで、液相層を構成するポリマーネットワークは、共存する液晶組成物(B)を液晶セルの配向膜が示す配向方向へ配向させる機能を有することが好ましく、更に、ポリマー界面方向に対して低分子液晶をプレチルトさせる機能を有していることも好ましい。ポリマー界面に対して低分子液晶をプレチルトさせるモノマーを導入すると透過率の向上や液晶素子の駆動電圧を低くさせるのに有用で好ましい。又、屈折率異方性を有しても良く、配向方向へ液晶を配向させる機能は、メソゲン基を有するモノマーを用いることが好ましい。又、電圧を印加しながら紫外線照射等によりポリマーネットワークを形成させてプレチルトを形成させても良い。
斯かる観点から重合性単量体成分(a)は、液晶性のモノマーを使用することが好ましい。即ち、本発明の液晶表示素子は、液晶相中に液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され、液晶相が連続している構造であって、ポリマーネットワークの配向容易軸や一軸の光学軸が低分子液晶の配向容易軸と略同一方向であること、また、低分子液晶のプレチルト角を誘起するようにポリマーネットワークを形成させることが、オフ応答の速度を高めることができる点から好ましく、そのため重合性単量体成分(a)は、分子構造中にメソゲン構造を持つ液晶性のモノマーであることが好ましい。なお、本発明における液晶表示素子は、前記ポリマーネットワーク層が、ポリマーネットワークの平均空隙間隔が可視光の波長より小さい大きさであること、即ち450nm未満の平均空隙間隔であることが、光散乱は起こらなくなる点から好ましい。
斯かる液晶性のモノマー、即ち液晶性を示す重合性単量体成分(a)としては、下記一般式(P1)
で表されるものが挙げられる。
ここで、Zp11は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニルオキシ基又は−Spp12−Rp12を表す。これらのなかでも、Zp11としては、フッ素原子、酸素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基を使用することが液晶表示素子の電圧保持率を高くすることが可能になる点から好ましく、また、チルトの安定性の点から−Spp12−Rp12であることが好ましい。
ここで、Rp11およびRp12はそれぞれ独立に以下の式(RP11−1)から式(PP11−8)
のいずれかを表し(式中、*は結合点を示す)、前記式(RP11−1)〜(RP11−8)中、RP111〜RP112はお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基であり、tM11は0、1または2を表す。これらのなかでも特に前記式(RP11−1)で表され、かつ、該式中のRP111としては水素原子又はメチル基である、(メタ)アクリロイル基であることが、液晶表示素子の製造時にモノマーを重合させる際の紫外線照射量を低くすることが可能になる、液晶材料への紫外線照射量を必要最低限に保つことができ、液晶材料及び液晶表示素子の劣化を避けることができる点から好ましい。
前記Rp11およびRp12として挙げた式(RP11−1)から式(PP11−8)の中でも特に、下記式(RP11−1)から式(RP11−4)
で表されるものが反応性に優れる点から好ましく、特に式(RP11−1)で表されるものが好ましい。
Spp11およびSpp12は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基、又は、この直鎖もしくは分岐状のアルキレン構造の炭素原子は、酸素原子が隣接しない条件で、酸素原子もしくはカルボニル基で置換された化学構造を有する構造部位を表す。これらのなかでも、特に、炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基は、液晶材料(B)との相溶性を高めるので好ましく、液晶分子が持つアルキル基と同程度の炭素原子数1〜6のものが特に好ましい。ここで、重合性単量体成分(a)と液晶材料(B)との相溶性が十分でない場合や、前記した重合開始剤(C)の液晶材料(B)への相溶性が十分でない場合には、ポリマーネットワークの密度が粗になる部分と密になる部分ができるため素子特性に影響を及ぼし面内の特性が不均一となり易いが、本発明において重合性単量体成分(a)と液晶材料(B)との相溶性が良好なる場合には、重合開始剤(C)と液晶材料(B)との相溶性が良好なものとなることと相俟って、一様な重合相分離構造が形成され、液晶中の均一なポリマーネットワークを形成されて液晶表示素子の特性が面内で一定になる、という特長を有する。ここで、炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基であるSpp11とSpp12とを有する場合、これらが同一のものであることが該モノマーの製造が容易であること、また、アルキレン鎖長の異なる複数種の化合物の使用割合を調整することによって物性調整が容易となる点から好ましい。一方、Spp11およびSpp12が単結合である場合には、モノマーが基板面に集まり易く、ポリマーネットワークを形成する傾向よりも垂直配向膜表面に薄膜を形成する傾向が強くなるため、ポリマーネットワーク形成による高速応答の効果よりも配向膜にプレチルトを付与し固定化する効果がより強くなる。
また、重合性液晶組成物中の重合性単量体成分(a)の含有率が0.5質量%未満である場合には、前記した配向膜にプレチルト角を付与し固定化する点から、Spp11およびSpp12は単結合であることが好ましく、一方、該含有率が0.5質量%〜20質量%の範囲である場合には、Spp11およびSpp12は炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基であることがオフ応答速度を速めるポリマーネットワークを形成できる点から好ましい。特にオフ応答速度と低駆動電圧の点から1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。また、前記した直鎖もしくは分岐状アルキレン基は、炭素原子数としては、2〜8が好ましく、2〜6が更に好ましい。また、アルキレン基上の炭素原子を酸素原子が隣接しない条件で酸素原子もしくはカルボニル基で置換することは好ましい。特に酸素原子をMP11やMP13に結合する位置で導入すると、液晶材料全体としての液晶上限温度の拡大や重合時における紫外線感度を増加させることが可能になる点から好ましい。
次に、前記一般式(P1)中、Lp11及びLp12はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−C2H4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH2−、−CH2OCOO−、−OCH2CH2O−、−CO−NRP113−、−NRP113−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CH=CRP113−COO−、−CH=CRP113−OCO−、−COO−CRP113=CH−、−OCO−CRaP113=CH−、−COO−CRP113=CH−COO−、−COO−CRP113=CH−OCO−、−OCO−CRP113=CH−COO−、−OCO−CRP113=CH−OCO−、−(CH2)tm12−C(=O)−O−、−(CH2)tm12−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH2)tm12−、−(C=O)−O−(CH2)tm12−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF2−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−C≡C−、−N=N−、−CH=N−又は−C=N−N=C−(式中、RP113はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、前記式中、tm12は1〜4の整数を表す。)を表す。
これらのなかでも重合性単量体成分(a)の液晶性が高く、液晶表示素子における配向ムラ抑止の観点から、単結合、−C2H4−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−(CH2)2−C(=O)−O−、−(CH2)2−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH2)2−、−(C=O)−O−(CH2)2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−C≡C−、−N=N−、又は−C=N−N=C−が好ましい。
また、モノマーに光異性化する機能を付与することによりワイゲルト効果を用いた光による光配列機能が利用できることから、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、または−N=N−が好ましく、−CH=CH−と−N=N−を選択すること、なかでも−N=N−であることが好ましい。また、ポリマーネットワークの配向性を高くする観点から特に−N=N−であることが好ましい。
つぎに、一般式(P1)中のMp11、Mp12およびMp13は、それぞれ独立に1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロヘキセニレン基、1,2−シクロヘキセニレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、フルオレン−2,6−ジイル基、フルオレン−1,4−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、アントラセン−2,6−ジイル基、アントラセン−1,4−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、或いは、これらの芳香核に炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基で置換された構造が挙げられる。
また、前記Mp11、Mp12およびMp13は、これらの構造の芳香核に−Spp11−Rp11が置換されたものが、反応性に優れたラジカル重合性単量体となる点から好ましい。この時のRp11としては式(RP11−1)でかつ、RP111としては水素原子、もしくはメチル基である(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
これらのなかでも特に 1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、フルオレン−2,6−ジイル基、フルオレン−1,4−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、アントラセン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、2,3−ジフロロ−1,4−フェニレン基、2−フロロ−1,4−フェニレン基が液晶との相溶性の点から好ましい。
また、一般式(P1)中、mp12は1又は2を表し、mp13及びmp14はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、mp11及びmp15はそれぞれ独立して1、2又は3を表す。ここで、Zp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Mp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Mp13が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよいで表される化合物であることが好ましい。また、当該材料は1種又は2種以上含有することが好ましい。
また、前記したmp12〜mp14は、それらの合計が1〜6の範囲であることが好ましく、2〜4の範囲、なかでも2であることが特に好ましい。2種以上のモノマーを使用する場合には、モノマー全体中の当該モノマーの濃度とmp12〜mp14の合計を乗じて計算する平均数が、1.6〜2.8になるように設定することが好ましく、1.7〜2.4にする事が更に好ましく、1.8〜2.2にすることが特に好ましい。
mp11及びmp15の合計は1〜6が好ましく、2〜4が更に好ましく、2が特に好ましい。2種以上のモノマーを使用する場合には、モノマー全体中の当該モノマーの濃度とmp1とp15合計を乗じて計算する平均数が、1.6〜2.8になるように設定することが好ましく、1.7〜2.4にする事が更に好ましく、1.8〜2.2にすることが特に好ましい。平均数が1に近いと、液晶表示素子の駆動電圧を低減できる傾向があり、平均数が高いとオフ応答を速くできる傾向がある。
Mp11、Mp12およびMp13へのフッ素原子による置換は、液晶表示素子の電圧保持率を悪化させることなく、液晶材料と重合体もしくは共重合体との相互作用の大きさや溶解性を制御できるため好ましい。好ましい置換数は、1〜4である。
以上詳述した式(P1)の中でも、下記式(P2−1)〜(P2−11)で表される化合物を使用することは、チルト角の経時変化を抑制に有効である。
(式中、RP21、RP22はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表す)
このような化合物は有用であるものの、液晶材料中への溶解性が良好でない場合ある。従って、このような化合物は使用するモノマー全体において、90質量%以下含有することが好ましく、70質量%以下含有することが更に好ましく、50質量%以下含有することが特に好ましい。
また、式(P1)の中でも、下記式(P3−1)〜(P3−11)で表される化合物を使用することは、チルト角の経時変化の抑制と液晶材料中への溶解性確保の両立を図れることから好ましい。
(式中、RP31、RP32はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP31は0または1の整数を表し、mP31が0の場合、mP32は1〜6の整数を表し、mp31が1の場合、mP32は2〜6の整数を表す)
式(P1)の中でも、下記式(P4−1)〜(P4−11)で表される化合物を使用することは、オフ応答を効果的に改善するのに有用であることから好ましい。
(式中、RP41、RP42はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP42及びmP43はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP42が0の場合、mP41は1〜6の整数を表し、mp42が1の場合、mP41は2〜6の整数を表し、mP43が0の場合、mP44は1〜6の整数を表し、mP43が1の場合、mp44は2〜6の整数を表す)
このような化合物は使用するモノマー全体において、40質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することが更に好ましく、60質量%以上含有することが特に好ましい。
式(P1)の中でも、メソゲン中にアリールエステル構造を有する、式(P5−1)〜(P5−11)で表される化合物は紫外線照射によって重合開始できる能力を有するため、重合開始剤の添加量を低減できるので好ましい。
(式中、RP51、RP52はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP52及びmP53はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP52が0の場合、mP51は1〜6の整数を表し、mp52が1の場合、mP51は2〜6の整数を表し、mP53が0の場合、mP54は1〜6の整数を表し、mP53が1の場合、mp54は2〜6の整数を表す)
このような化合物の添加量が多いと液晶表示素子の電圧保持率が悪化する傾向があるので、使用するモノマー全体においで30質量%以下含有することが好ましく、20質量%以下含有することが更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
また、式(P1)の中でも式(P6−1)〜(P6−11)で表される化合物のようなメソゲン中に桂皮酸エステル基を導入することも好ましい。
(式中、RP61、RP62はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP62及びmP63はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP62が0の場合、mP61は1〜6の整数を表し、mp62が1の場合、mP61は2〜6の整数を表し、mP63が0の場合、mP64は1〜6の整数を表し、mP63が1の場合、mp64は2〜6の整数を表す)
また、式(P1)の中でも下記式(P7−1)〜(P7−5)で表されるような縮合環を有する化合物は、紫外線吸収域を単環化合物より可視光側にシフトさせることができるので、モノマーの感度調節の観点から好ましい。
(式中、RP71、RP72はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP72及びmP73はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP72が0の場合、mP71は1〜6の整数を表し、mp72が1の場合、mP71は2〜6の整数を表し、mP73が0の場合、mP74は1〜6の整数を表し、mP73が1の場合、mp74は2〜6の整数を表す。)
上記では好ましい化合物として2官能モノマーを例示したが、式(P1)の中でも式(P5−1)〜(P5−11)で表される化合物のような3官能モノマーの使用も好ましい。重合体もしくは共重合体の機械的強度を向上させることができる。また、メソゲン中にエステル結合を有しているものは、紫外線照射によって重合開始できる能力を有するため、重合開始剤の添加量を低減できるのでより好ましい。
(式中、RP81、およびRP83はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP72及びmP73はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP72が0の場合、mP71は1〜6の整数を表し、mp72が1の場合、mP71は2〜6の整数を表し、mP73が0の場合、mP74は1〜6の整数を表し、mP73が1の場合、mp74は2〜6の整数を表す。)
また、式(P1)の中でも液晶表示素子の駆動電圧を調整する目的から下記式(P9−1)〜(P9−11)で表される化合物のような単官能モノマーの使用も好ましい。
(式中、RP91は水素原子又はメチル基を表し、およびRP92は水素原子、または炭素原子数1〜18のアルキル基を表す)
また、式(P1)の中でもモノマーとして光異性化する機能を付与することは、ワイゲルト効果を用いた光による光配列機能が利用できるので好ましい。このような観点からは(P10−1)〜(P10−11)で表される化合物が好ましい。
(式中、RP101、RP102はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP102及びmP103はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP102が0の場合、mP101は1〜6の整数を表し、mp102が1の場合、mP101は2〜6の整数を表し、mP103が0の場合、mP104は1〜6の整数を表し、mP103が1の場合、mp104は2〜6の整数を表す)
以上詳述した重合性単量体成分(a)は、上記した各種具体例で表される化合物を、下記一般式(V)
(式中、X1及びX2はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp1及びSp2はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH2)s−(式中、sは1〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Uは炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状の多価脂肪族炭化水素基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価脂肪族炭化水素基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、kは1〜5の整数を表す。式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子が−CH3、−OCH3、フッ素原子、又はシアノ基に置換されていてもよい。)
または、下記一般式(VI)
(式中、X3は、水素原子又はメチル基を表し、Sp3は、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH2)t−(式中、tは2〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Vは炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン構造中の酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換された構造部位、これらの化学構造は、該構造を構成する炭素原子上の水素原子が、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよい。Wは水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。なお、式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子が−CH3、−OCH3、フッ素原子、又はシアノ基に置換されていてもよい。)
で表すこともできる。
ここで、前記一般式(V)におけるSp1及びSp2が同一となるものであることが、これらが例えば炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基である場合に、該化合物の合成が容易であり、また、アルキレン鎖長の異なる複数種の化合物の使用割合を調整することによって物性調整が容易となる点から好ましい。
前記した通り、以上詳述した重合性単量体成分(A)は、重合性液晶組成物中、0.5質量%〜20質量%の範囲、特に1質量%〜10質量%の範囲となる割合で用いることが好ましいが、当該範囲内の何れの濃度に於いてもTgの異なる重合性単量体成分(A)を少なくとも二種類以上含有させて必要に応じてTgを調整することが好ましい。Tgが高いポリマーの前駆体である重合性単量体成分(a)は、架橋密度が高くなる分子構造を有する重合性単量体成分(a)であって、官能基数が2以上であることが好ましい。又、Tgが低いポリマーの前駆体は、官能基数が1であるか、又は2以上であって、官能基間にスペーサとしてアルキレン基等を有し分子長を長くした構造であることが好ましい。ポリマーネットワークの熱的安定性や耐衝撃性向上に対応することを目的にポリマーネットワークのTgを調整する場合、多官能モノマーと単官能モノマーの比率を適宜調整することが好ましい。又、Tgはポリマーネットワークの主鎖、及び側鎖に於ける分子レベルの熱的な運動性とも関連しており、電気光学特性にも影響を及ぼしている。例えば、架橋密度を高くすると主鎖の分子運動性が下がり低分子液晶とのアンカーリング力が高まり駆動電圧が高くなると共に立下り時間が短くなる。一方、Tgが下がるように架橋密度を下げるとポリマー主鎖の熱運動性が上がることにより、低分子液晶とのアンカーリング力が下がり駆動電圧が下がり立下り時間が長くなる傾向を示す。ポリマーネットワーク界面に於けるアンカーリング力は、上述のTgの他にポリマー側鎖の分子運動性にも影響され、1価もしくは2価であり、かつ炭素原子数が8〜18のアルコール化合物のアクリレートもしくはメタクリレートを重合性単量体成分(a)として用いることでポリマー界面のアンカーリング力が下げられる。又、このような重合性単量体成分(A)は、基板界面でプレチルト角を誘起させるのに有効で極角方向のアンカーリング力を下げる方向に作用する。
(液晶組成物(B))
次に、前記液晶層又は前記重合性液晶組成物を構成する液晶組成物(B)は、前記した通り、下記一般式(i):
(式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Ai1は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、ni1は0又は1を表す。)で表される化合物を10〜50重量%含有するものである。
これにより、液晶層のリタデーションを調整することができる。また、上記化合物により耐光性に対する信頼性が高い化合物を含む液晶層を構成しえるため、光源からの光、特に青色光(青色LEDからの)による劣化を抑制・防止することができる。
本発明における液晶層又は前記重合性液晶組成物において、上記一般式(i)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶層又は前記重合性液晶組成物の総量に対して、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%であり、45質量%であり、50質量%であり、55質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶層又は前記重合性液晶組成物の総量に対して、95質量%であり、90質量%であり、85質量%であり、80質量%であり、75質量%であり、70質量%であり、65質量%であり、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%である。
上記一般式(i)で表される化合物は下記一般式(i−1)〜(i−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(i−1)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、Ri11及びRi12はそれぞれ独立して、一般式(i)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
Ri11及びRi12は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
一般式(i−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
好ましい含有量の下限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%であり、45質量%であり、50質量%であり、55質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、95質量%であり、90質量%であり、85質量%であり、80質量%であり、75質量%であり、70質量%であり、65質量%であり、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中Ri12は一般式(i−1)における意味と同じ意味を表す。)
一般式(i−1−1)で表される化合物は、式(i−1−1.1)から式(i−1−1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(i−1−1.2)又は式(i−1−1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(i−1−1.3)で表される化合物であることが好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−1.3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが、バックライトとして紫外線領域にある波長200〜400nmの光が照射された場合であっても優れた耐久性を持ち、電圧保持率を発現できる点から好ましい。
(式中Ri12は一般式(i−1)における意味と同じ意味を表す。)
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、42質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。これらの中でも青色の可視光に対する液晶層の劣化防止の観点から、含有量の上限値は、15質量%、特に10質量%であることが好ましい。
さらに、一般式(i−1−2)で表される化合物は、式(i−1−2.1)から式(i−1−2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(i−1−2.2)から式(i−1−2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(i−1−2.2)で表される化合物は本発明で用いる液晶組成物(B)の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTNIを求めるときは、式(i−1−2.3)又は式(i−1−2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(i−1−2.3)及び式(i−1−2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度を良くするために30質量%以上にすることは好ましくない。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−2.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%であり、38質量%であり、40質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、32質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、22質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−1.3)で表される化合物及び式(i−1−2.2)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、32質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、22質量%である。
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中Ri13及びRi14はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
Ri13及びRi14は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、30質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、37質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
さらに、一般式(i−1−3)で表される化合物は、式(i−1−3.1)から式(i−1−3.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(i−1−3.1)、式(i−1−3.3)又は式(i−1−3.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(i−1−3.1)で表される化合物は本発明で用いる液晶組成物(B)の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTNIを求めるときは、式(i−1−3.3)、式(i−1−3.4)、式(L−1−3.11)及び式(i−1−3.12)で表される化合物を用いることが好ましい。式(i−1−3.3)、式(i−1−3.4)、式(i−1−3.11)及び式(i−1−3.12)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度を良くするために20質量%以上にすることは好ましくない。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−3.1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%である。
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−4)及び/又は(i−1−5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中Ri15及びRi16はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
Ri15及びRi16は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
さらに、一般式(i−1−4)及び(i−1−5)で表される化合物は、式(i−1−4.1)から式(i−1−5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(i−1−4.2)又は式(i−1−5.2)で表される化合物であることが好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%である。
式(i−1−1.3)、式(i−1−2.2)、式(i−1−3.1)、式(i−1−3.3)、式(i−1−3.4)、式(i−1−3.11)及び式(i−1−3.12)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、式(i−1−1.3)、式(i−1−2.2)、式(i−1−3.1)、式(i−1−3.3)、式(i−1−3.4)及び式(i−1−4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、これら化合物の合計の含有量の好ましい含有量の下限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%であり、上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、80質量%であり、70質量%であり、60質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、37質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%である。組成物の信頼性を重視する場合には、式(i−1−3.1)、式(i−1−3.3)及び式(i−1−3.4))で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、組成物の応答速度を重視する場合には、式(i−1−1.3)、式(i−1−2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中Ri17及びRi18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、42質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%である。
さらに、一般式(i−1−6)で表される化合物は、式(i−1−6.1)から式(i−1−6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(i−2)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、Ri21及びRi22はそれぞれ独立して、一般式(i)におけるRi1及びRi2と同じ意味を表す。)
Ri21は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL22は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(i−2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
さらに、一般式(i−2)で表される化合物は、式(i−2.1)から式(i−2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−2.1)、式(i−2.3)、式(i−2.4)及び式(i−2.6)で表される化合物であることが好ましい。
(n型化合物)
本発明で用いる液晶組成物(B)は、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上さらに含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)に該当する。
[前記一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)及び(N−4)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31、RN32、RN41及びRN42はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、又は炭素原子数2〜8のアルキル鎖中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−が、それぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換された化学構造を持つ構造部位、
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31、AN32、AN41及びAN42はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
(d) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)は、その構造中の水素原子が、それぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31、ZN32、ZN41及びZN42は、それぞれ独立して、単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
XN21は水素原子又はフッ素原子を表し、TN31は−CH2−又は酸素原子を表し、XN41は、酸素原子、窒素原子、又は−CH2−を表し、YN41は、単結合、又は−CH2−を表し、nN11、nN12、nN21、nN22、nN31、nN32、nN41、及びnN42は、それぞれ独立して0〜3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11〜AN32、ZN11〜ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nN41+nN42は0〜3の整数を表すが、AN41及びAN42、ZN41及びZN42が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。]
一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)及び(N−4)で表される化合物は、Δεが負でその絶対値が2よりも大きな化合物であることが好ましい。
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して−CH2O−、−CF2O−、−CH2CH2−、−CF2CF2−又は単結合を表すことが好ましく、−CH2O−、−CH2CH2−又は単結合が更に好ましく、−CH2O−又は単結合が特に好ましい。
XN21はフッ素原子が好ましい。
TN31は酸素原子が好ましい。
nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(N−1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(N−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(N−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
本発明に係る液晶組成物は、一般式(N−1)〜(N−4)で表される化合物のうち、特に一般式(N−1)で表される化合物が、液晶表示素子における電圧保持率に優れ、かつ、低い回転粘度を有する点から好ましい。
(p型化合物)
本発明で用いる液晶組成物(B)は、一般式(J)で表される化合物を1種類又は2種類以上さらに含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)に該当する。
(式中、RJ1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nJ1は、0、1、2、3又は4を表し、
AJ1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良く、
ZJ1及びZJ2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
nJ1が2、3又は4であってAJ2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nJ1が2、3又は4であってZJ1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
XJ1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(J)中、RJ1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
信頼性を重視する場合にはRJ1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
AJ1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、それらはフッ素原子により置換されていてもよく、下記の構造を表すことがより好ましく、
下記の構造を表すことがより好ましい。
ZJ1及びZJ2はそれぞれ独立して−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−CH2CH2−、−CF2CF2−又は単結合を表すことが好ましく、−OCH2−、−CF2O−、−CH2CH2−又は単結合が更に好ましく、−OCH2−、−CF2O−又は単結合が特に好ましい。
XJ1はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子が好ましい。
nJ1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、TNIを重視する場合には1又は2が好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(J)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての一般式(J)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
信頼性を重視する場合にはRJ1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
一般式(J)で表される化合物としては一般式(M)で表される化合物及び一般式(K)で表される化合物が好ましい。
(式中、RM1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nM1は、0、1、2、3又は4を表し、
AM1及びAM2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZM1及びZM2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
nM1が2、3又は4であってAM2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nM1が2、3又は4であってZM1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
XM1及びXM3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
XM2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
(式中、RK1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nK1は、0、1、2、3又は4を表し、
AK1及びAK2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZK1及びZK2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
nK1が2、3又は4であってAK2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nK1が2、3又は4であってZK1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
XK1及びXK3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
XK2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(M)中、RM1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
信頼性を重視する場合にはRM1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
AM1及びAM2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
下記の構造を表すことがより好ましい。
ZM1及びZM2はそれぞれ独立して−CH2O−、−CF2O−、−CH2CH2−、−CF2CF2−又は単結合を表すことが好ましく、−CF2O−、−CH2CH2−又は単結合が更に好ましく、−CF2O−又は単結合が特に好ましい。
nM1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、TNIを重視する場合には1又は2が好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(M)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(M)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
(np化合物)
本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上さらに含有することが好ましい。一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)に該当する。
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nL1は0、1、2又は3を表し、
AL1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZL1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
nL1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)、(J)及び(i)で表される化合物を除く。)
一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
RL1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
nL1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
AL1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
ZL1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
一般式(L)で表される化合物は一般式(L−3)〜(L−8)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(L−3)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
高い複屈折率を得る場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、高いTNIを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
一般式(L−4)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL41は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。)
一般式(L−4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L−4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−4)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
一般式(L−5)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL51は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L−5)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−5)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である
一般式(L−6)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
RL61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、XL61及びXL62のうち一方がフッ素原子他方が水素原子であることが好ましい。
一般式(L−6)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−6)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
一般式(L−7)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、AL71及びAL72はそれぞれ独立して1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は単結合又はCOO−が好ましく、単結合が好ましく、XL71及びXL72は水素原子が好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L−7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−7)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−7)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)が高いTNIの実施形態が望まれる場合は式(L−7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
一般式(L−8)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL81及びRL82はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL81は一般式(L)におけるAL1と同じ意味又は単結合を表すが、AL81上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、XL81〜XL86はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL81及びRL82はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、AL81は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、一般式(L−8)中の同一の環構造上にフッ素原子は0個又は1個が好ましく、分子内にフッ素原子は0個又は1個であることが好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L−8)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−8)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−8)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)が高いTNIの実施形態が望まれる場合は式(L−8)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての一般式(i)、一般式(L)、(N−1)、(N−2)、(N−3)及び(J)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80質量%であり、85質量%であり、88質量%であり、90質量%であり、92質量%であり、93質量%であり、94質量%であり、95質量%であり、96質量%であり、97質量%であり、98質量%であり、99質量%であり、100質量%である。好ましい含有量の上限値は、100質量%であり、99質量%であり、98質量%であり、95質量%である。ただし、Δεの絶対値が大きい組成物を得る観点からは、一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)又は(J)で表される化合物のいずれか一方は0質量%であることが好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての一般式(i)、一般式(L−1)から(L−7)、一般式(M−1)から(M−8)、一般式(N−1)〜(N−4)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80質量%であり、85質量%であり、88質量%であり、90質量%であり、92質量%であり、93質量%であり、94質量%であり、95質量%であり、96質量%であり、97質量%であり、98質量%であり、99質量%であり、100質量%である。好ましい含有量の上限値は、100質量%であり、99質量%であり、98質量%であり、95質量%である。
本発明で用いる液晶組成物(B)は、分子内に過酸(−CO−OO−)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはカルボニル基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して15質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましく、95質量%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
本発明で用いる液晶組成物(B)において、粘度の改善及びTNIの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、前記2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないという意味である。
本発明の第一実施形態の組成物に含有される化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は2〜5であることが好ましく、前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は4〜5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
本発明で用いる重合性液晶組成物は、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。
ここで、重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましく、光フリース転位によるラジカル重合、光重合開始剤によるラジカル重合がより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には以下の化合物が好ましい。
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、4′−フェノキシアセトフェノン、4′−エトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系;
ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;
ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,5−ジメチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好ましい。この中でも、ベンジルジメチルケタールが最も好ましい。
又、ラジカルの寿命や反応性を考慮して複数の重合開始剤を用いることも好ましい。
本発明における重合性液晶組成物は、さらに、一般式(Q)で表される化合物を酸化防止剤又は光安定剤として含有することができる。
(式中、RQは炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−で置換されてよく、MQはトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表す。)
RQは炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−で置換されてよいが、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素原子数1から20の直鎖アルキル基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が更に好ましい。MQはトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
上記一般式(Q)で表される化合物として、より具体的には以下の(III−1)〜(III−38)で表される化合物が好ましい。
(式中、nは0から20の整数を表す。)
本願発明の重合性液晶組成物において、一般式(Q)で表される化合物又は一般式(III−1)〜(III−38)から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その含有量は0.001から1%であることが好ましく、0.001から0.1%が更に好ましく、0.001から0.05%が特に好ましい。
上記した液晶層を形成する方法につき、更に詳述すれば、2枚の基板を透明電極層が内側となるように対向させ、スペーサーを介して、基板の間隔を調整し、基板間に重合性液晶組成物を狭持させ、該組成物中の重合性単量体成分(a)を重合させる方法が挙げられる。
ここで、液晶層の厚さは1〜100μmとなるように調整するのが好ましく、1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。
ここで、スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料などからなる柱状スペーサー等が挙げられる。
2枚の基板間に重合性液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーンまたはフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の
重合性液晶組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本発明に用いられる重合性液晶組成物は、ODF工程における液晶及び重合性単量体成分(a)の複合材料の滴下が安定的に行えるため、好適に使用することができる。
重合性単量体成分(a)を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、活性エネルギー線である紫外線又は電子線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶表示素子製造用の液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、重合性単量体成分(a)を含有した重合性液晶組成物に対し、−50℃から20℃の温度範囲で交流電界を印加するとともに、紫外線もしくは電子線を照射することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数100Hzから5kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
照射時の温度は、重合性液晶組成物の温度が−50℃から30℃の範囲であることが好ましい。さらに20℃〜−10℃の範囲であることが、液晶分子の配向度が上昇した状態で重合できること、ポリマーと液晶組成物との相溶性が低下し相分離が容易になってポリマーネットワークの空隙間隔が微細になることから、オフ応答速度がより向上する点から好ましい。
紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、365nm未満の紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm2〜100W/cm2が好ましく、2mW/cm2〜50W/cm2がより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm2から500J/cm2が好ましく、100mJ/cm2から200J/cm2がより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
垂直配向セルを用いて液晶層を形成した場合、繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)が液晶セル基板に対して液晶組成物(B)の垂直方向と略同一の方向に形成されていることが好ましい。又、セル基板表面にある垂直配向膜に液晶が傾斜配向を誘起するようにラビング処理等を施してプレチルト角を誘起するようにした垂直配向膜が用いられた場合は、プレチルトして配向している液晶組成物(B)と同方向に繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)が傾斜して形成されていることが好ましい。
ポリマーネットワーク(A)の傾斜は、基板界面で自発的に起こるようにモノマーを選定するか、或いは、後述する自発配向剤、光配向膜を利用するものであってもよい。又、電圧を印加して液晶を傾斜配向状態にして紫外線等を照射させてポリマーネットワーク(A)を形成させても良い。
更に、電圧を印加しながらプレチルト角を誘起する方法としては、液晶表示素子製造用の液晶の閾値電圧よりも0.9V程度低い電圧から2V程度高い電圧の範囲で電圧を印加しながら重合させる方法、或いは、閾値電圧以上の電圧をポリマーネットワーク(A)形成過程中に数秒〜数十秒の短時間印加した後、閾値電圧未満にしてポリマーネットワークを形成させる方法が挙げられる。
液晶層中に形成された繊維状又は柱状のポリマーネットワーク(A)は、透明基板平面に対して90度〜80度のプレチルト角を誘起するように傾斜して形成されていることが好ましく、斯かるプレチルト角は、90度〜85度の範囲、89.9度〜85度の範囲、89.9度〜87度の範囲、89.9度〜88度の範囲であることが特に好ましい。何れの方法で形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークは、二枚のセル基板間を連結していることが特徴である。これにより、プレチルト角の熱的安定性が向上して液晶表示素子の信頼性を高めることができる。
他に、繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)を傾斜配向させて形成することにより液晶組成物(B)のプレチルト角を誘起させる方法として、重合性官能基とメソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素原子数が6以上のプレチルト角の誘起角度が小さい二官能アクリレートと官能基と、メソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素原子数が5以上のプレチルト角の誘起角度が大きい二官能アクリレートを組合せ用いる方法が挙げられる。これらの化合物の配合比を調整することにより所望のプレチルト角を界面近傍で誘起させることができる。
更に、可逆性の光配向機能を有するモノマーを少なくとも0.01質量%以上1質量%以下の範囲で添加して繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)を形成させる方法が挙げられる。
この場合、トランス体に於いて低分子液晶と同様の棒状の形態になり低分子液晶の配向状態へ影響を及ぼす。液晶表示素子製造用の重合性液晶組成物に含有されている該トランス体は、紫外線をセル上面から平行光として照射すると紫外線の進む方向と該棒状の分子長軸方向が平行になるように揃い、低分子液晶も同時に該トランス体の分子長軸方向へ揃うように配向する。セルに対して傾斜して紫外線を照射すると、該トランス体の分子長軸が傾斜方向に向き液晶を紫外線の傾斜方向へ配向させるようになる。即ち、プレチルト角を誘起するようになり光配向機能を示す。この段階でモノマーを架橋させると誘起したプレチルト角が重合相分離で形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークにより固定化される。従って、VAモードで重要なプレチルト角の誘起は、電圧印加しながら重合相分離させる方法、誘起するプレチルト角が異なるモノマーを複数添加して重合相分離させる方法、可逆性の光配向機能を有するモノマーが示す光配向機能を用いて紫外線が進む方向へ液晶組成物(B)及びモノマーを配向させ重合相分離する方法、が挙げられ、必要に応じてこれらの中から選択して本発明の液晶素子を作製することができる。
ここで、光配向機能を有するモノマーは、紫外線を吸収してトランス体になる光異性化合物であっても良く、紫外線を吸収してシス体になる光異性化化合物であっても良い。更に、光配向機能を有するモノマーの反応速度が光配向機能を有するモノマー以外のモノマーの反応速度より遅いことが好ましい。紫外線照射されると、直ちに光配向機能を有するモノマーはトランス体になり光の進む方向に配向すると、周囲のモノマーや非重合液晶組成物も同様の方向へ配向する。この時、重合相分離が進行して液晶組成物(B)とポリマーネットワークの配向容易軸方向が光配向機能を有するモノマーの配向容易軸と同一方向へ揃い紫外線光が進む方向へプレチルト角が誘起される。
更に、IPSやFFSモード等の平行配向セルを適用する場合には、液晶表示素子製造用の液晶組成物を用いて相分離重合により繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)が液晶セル基板面に有る配向膜の配向方向に対して液晶組成物(B)は平行配向するが、形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークの屈折率異方性又は配向容易軸方向と液晶組成物(B)の配向方向と略同一の方向に形成されていることが好ましい。更に、繊維状、又は柱状のポリマーネットワークは、液晶組成物(B)が分散している空隙を除いて略セル全体に存在していることがより好ましい。ポリマー界面方向に対して該プレチルト角を誘起させることを目的に、1価もしくは2価であり、かつ炭素原子数が8〜18のアルコール化合物のアクリレートもしくはメタクリレートをモノマーとして、メソゲン基を有するモノマーと用いることが好ましい。
更に、電気光学特性は、ポリマーネットワーク界面の表面積、及びポリマーネットワークの空隙間隔に影響されるが、光散乱を起こさないことが重要で、平均空隙間隔を可視光の波長より小さくすることが好ましい。例えば、該界面の表面積を広げて該空隙間隔を小さくさせるにはモノマー組成物含有量を増加させる方法がある。これにより、重合相分離構造が変化して該空隙間隔が微細になることにより該界面の表面積が増加するようにポリマーネットワークが形成され駆動電圧、及び立ち下がり時間が短くなる。重合相分離構造は、重合温度にも影響される。
液晶表示素子において、高いコントラストの表示を得るには光散乱が起こらないようにする必要があるが、上述した方法を考慮して目的の電圧−透過率特性、及びスイッチング特性を得られるように相分離構造を制御して適切なポリマーネットワーク層構造を形成させることが望ましい。
斯かるポリマーネットワーク(A)を有する液晶層を更に具体的に詳述すれば、該液晶層は、液晶相中に液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され液晶相が連続している構造であって、ポリマーネットワーク(A)の配向容易軸や一軸の光学軸が低分子液晶の配向容易軸と略同一方向であることが好ましく、低分子液晶のプレチルト角を誘起するようにポリマーネットワークを形成させることが好ましく、ポリマーネットワーク(A)の平均空隙間隔をより小さくすることにより、光散乱は起こり難くなる。
更に、応答の立下り時間をポリマーネットワーク(A)と低分子液晶との相互作用効果(アンカーリング力)により低分子液晶単体の応答時間より短くするには、ポリマーネットワーク(A)の平均空隙間隔を50nm〜450nmの範囲にする事が好ましい。立下り時間が液晶のセル厚の影響が少なくなりセル厚が厚くても薄厚並の立下り時間を示すようにするには、少なくとも平均空隙間隔が下限は200nm付近で且つ上限は450nm付近の範囲に入るようにすることが好ましい。平均空隙間隔を減少させると駆動電圧の増加が課題になるが、駆動電圧の増加を25V以下に抑制して立ち下がり応答時間を短くするには250nm近傍から450nmの範囲に入るようにすれば良く、立下り応答時間が約5msecから約1msecの範囲に改善ができるので好ましい。又、駆動電圧が5V程度以内の増加に抑制するには、平均空隙間隔が300nm付近から450nmの範囲にすることが好ましい。更に、ポリマーネットワーク(A)の平均空隙間隔を制御して立下り応答時間を1msec以下の高速応答にすることも可能である。
このような高速応答にする場合、駆動電圧を30V以上に増加する場合があるが、平均空隙間隔を50nm付近から250nm付近の間にすれば良く、0.5msec以下にするには50nm近傍から200nm付近にすることが好ましい。ポリマーネットワークの平均直径は、平均空隙間隔と相反し、20nmから700nmの範囲にあることが好ましい。モノマーの含有量が増えると平均直径は増加する傾向にある。反応性を高くして重合相分離速度を高めるとポリマーネットワークの密度が増加してポリマーネットワークの平均直径が減少するので必要に応じて相分離条件を調整すれば良い。モノマー含有量が10質量%以下の場合は、平均直径が20nmから160nmにあることが好ましく、平均空隙間隔が200nmから450nm範囲に於いては、平均直径が40nmから160nmの範囲であることが好ましい。モノマー含有量が10質量%より大きくなると50nmから700nmの範囲が好ましく、50nmから400nmの範囲がより好ましい。
液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され液晶相が連続している構造に対して、重合性単量体成分(a)含有量が低くなりセル全体にポリマーネットワーク層が被うのに必要な量が不足するとポリマーネットワーク層が不連続に形成される。基板表面の極性が高い場合には、重合性単量体成分(a)が液晶セル基板界面付近に集まり易く、基板表面からポリマーネットワークが成長して基板界面に付着するようにポリマーネットワーク層が形成され、セル基板表面からポリマーネットワーク層、液晶層、ポリマーネットワーク層、対向基板の順で積層されるように形成される。ポリマーネットワーク層/液晶層/ポリマーネットワーク層の積層構造を示し、且つセル断面方向に対して少なくともセル厚の0.5%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上の厚さのポリマーネットワーク層が形成されているとポリマーネットワークと低分子液晶とのアンカーリング力の作用により立下り時間が短くなる効果が発現して好ましい傾向を示す。但し、セル厚の影響が大きくなるのでセル厚を増すと立ち下がり時間が長くなる場合は、ポリマーネットワーク層の厚さを必要に応じて増加させれば良い。ポリマーネットワーク層に於けるポリマーネットワークの構造は、低分子液晶と配向容易軸や一軸の光学軸が略同一の方向へ揃っていれば良く、低分子液晶がプレチルト角を誘起するように形成されていれば良い。平均空隙間隔は90nmから450nmの範囲が好ましい。
例えば、モノマー含有量が6質量%未満にする場合は、アンカーリング力の高いメソゲン基を有する二官能モノマーを用いることが好ましく、官能基間の距離が短い構造で重合速度が速い二官能モノマーを用いることが好ましく、0℃以下の低温で重合相分離構造を形成させることが好ましい。モノマー含有量を6質量%から10質量%未満にする場合は、該二官能モノマーとアンカーリング力が低い単官能モノマーとの組み合わせが好ましく、必要に応じて25℃から−20℃の範囲で重合相分離構造を形成させることが好ましい。更に、該融点が室温以上であれば該融点より5℃程度低くすると低温重合と同様な効果が得られるので好ましい。液晶表示素子製造用の液晶組成物中のモノマー濃度が高いほど、液晶組成物(B)とポリマー界面とのアンカーリング力は大きくなり、τdは高速化する。一方、液晶組成物(B)とポリマー界面とのアンカーリング力は大きくなると、τrは低速化する。τdとτrの和を1.5ms未満とするためには、液晶表示素子製造用の液晶組成物中のモノマーの濃度は、1質量%以上10質量%未満であり、1.5質量%以上8質量%以下が好ましく、1.8質量%以上5質量%以下がより好ましい。
TFT駆動液晶表示素子に用いる場合は、フリッカーの抑制、焼付けによる残像等の信頼性を向上させる必要があり電圧保持率が重要な特性になる。電圧保持率を低下させる原因は、液晶表示素子製造用の液晶組成物内に含有しているイオン性不純物、特に、可動イオンがにある為、少なくとも比抵抗を1014Ω・cm以上が得られるように精製処理等を施し可動イオンを取り除くことが好ましい。又、ラジカル重合でポリマーネットワークを形成させると光重合開始剤等から発生するイオン性不純物により電圧保持率が低下する場合があるが、有機酸や低分子の副生成物発生量が少ない重合開始剤を選定することが好ましい。
更に、本発明の液晶表示素子が、配向膜を有する場合、該配向膜の配向容易軸方向とポリマーネットワーク(A)の配向容易軸方向が同一であることが好ましい。この場合、偏光板、位相差フィルムなどを具備させることにより、この配向状態を利用して表示させることができる。
液晶層5中のポリマーネットワークの含有量は、前記した通り、該液晶組成物(B)及びポリマーネットワークの合計の質量の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましいが、下限値としては0.7質量%以上が好ましく、0.9質量%以上、特に1質量%が好ましく、他方、上限値としては10質量%以下、9質量%以下が好ましく、7質量%以下であることがオフ応答速度と駆動電圧とのバランスに優れる点から好ましい。
PSA型液晶表示素子では、ラビング配向処理の代わりに電極に3〜5μm幅の複数のスリットを設けスリット方向へ液晶を傾斜配向させることにより配向処理が省略される。量産技術では、数十ボルトとの電圧を印加しながら紫外線照射すると、基板界面にプレチルト角(基板法線に対しての傾斜角)が得られるように液晶の配向が高分子安定化され、ポリマーの薄膜が形成される。この高分子薄膜の作用でプレチルト角が誘起されることを利用してPSVA(polymer−stabilized vertical alignment)LCD又はPSALCDの製造に用いられている。又、視野角向上を目的に、マルチドメインが形成できるように設計されたパターン電極を用い一つの画素内のプレチルト角方向を複数に分割している。
しかしながら、セル全体にポリマーネットワーク等を形成させて応答の緩和時間を改善させることが可能な液晶表示素子にこの方法を適用させると、飽和電圧以上の数十ボルトの電圧を印加して紫外線照射するのでポリマーネットワークが液晶を水平配向状態で高分子安定してしまう。よって、該方法では、ポリマーネットワークの屈折異方性又は配向容易軸が液晶分子を水平配向状態に保持するように形成されるため、垂直配向を得ることができなくなる。
他方、閾値電圧近傍の低い電圧を印加してポリマーネットワークの屈折異方性又は配向容易軸を形成させると液晶の傾斜配向方位が定まらないことが理由で透過率が低下する。
そこで、本発明では、重合性液晶組成物を閾値電圧以上の高い電圧を印加し、ポリマーネットワークを一部形成させ、次いで、紫外線照射中に電圧を閾値電圧未満にし、更に、この状態で紫外線照射を継続させることが好ましい。即ち、先ず、閾値電圧以上の高い電圧を印加し、モノマーの一部を重合させて液晶の傾斜配向方位が安定化するようにポリマーネットワークを一部形成させ、次いで、紫外線照射中に電圧を閾値電圧未満にすることにより液晶は略垂直配向に戻り、更に、この状態で紫外線照射を継続させると、略垂直配向になるようにポリマーネットワークの屈折異方性又は配向容易軸が形成され傾斜配向方位が軌跡としてポリマーネットワークに残すことが可能になり電圧印加時の配向制御と電圧無印加時の垂直配向とを両立させることができる。
よって、本発明の液晶表示素子を製造する方法は、少なくとも一方に電極を有する2枚の透明基板間に挟持した液晶表示素子製造用の重合性液晶組成物に、該素子製造用の液晶の閾値電圧以上の電圧を印加しながら紫外線を照射して重合相分離させる工程、及びその後紫外線を照射したまま電圧を閾値電圧未満にして更に紫外線を照射させる工程を含有する方法が好ましい。
ここで、パターン電極セル等を含む垂直配向モード液晶表示素子の場合、液晶表示素子製造用の液晶の閾値電圧以上の電圧を印加しながら紫外線を照射して重合相分離させる工程において、素子製造用の液晶中の液晶分子が透明基板平面に対して0度から30度の範囲で傾斜して配向しており、次いで、紫外線を照射したまま前記電圧を閾値電圧未満にして更に紫外線を照射させる工程において、前記液晶分子が透明基板平面に対して80度から90度に傾斜して配向しているのが好ましい。
液晶分子が透明基板平面に対して0度から30度の範囲で傾斜して配向している状態は、液晶の複屈折率が電圧印加で増加した状態を示し液晶の配向状態が透明基板平面に対して0度になると複屈折率が最大になり好ましいが、基板平面に対して30度傾斜した配向であっても好ましい。特に、PVAセルでは傾斜方位が一定にすることが出来るので好ましい。何れも、電圧印加による液晶の傾斜配向方位が一定方向になるように配向が安定化させるポリマーネットワークを形成させることが好ましい。
液晶分子が透明基板平面に対して80度から90度に傾斜して配向している状態は、電圧無印加時において透明基板平面に対して90度に液晶が配向すると複屈折率が最小になり液晶表示素子の高コントラスト化に有用で好ましいが、電圧を印加した際に一定方向へ傾斜配向させるためには基板平面に対して89.9度から85度以内に傾斜していることがより好ましい。基板平面に対して80度を超えると複屈折率が増加して透過光量が増加するため表示のコントラストが低下して好ましくなく、基板平面に対して85度以上で表示黒レベルが良好になり高コントラストが得られるので好ましい。
また、IPS(In−plane switching)表示モード、FFSモードの液晶表示素子においては、液晶表示素子製造用の液晶組成物の閾値電圧以上の電圧を印加しながら紫外線を照射して重合相分離させる工程において、液晶表示素子製造用の液晶組成物中の液晶分子が透明基板平面に対して0度から90度の範囲で傾斜して配向しており、紫外線を照射したまま前記電圧を閾値電圧未満にして更に紫外線を照射させる工程において、前記液晶分子が透明基板平面に対して0度から30度に傾斜して配向しているのも好ましい。
液晶分子が透明基板平面に対して0度から90度の範囲で傾斜して配向は、電圧を印加した液晶の配向状態を安定化させるようにポリマーネットワークを形成させる。IPSモードの場合は、素子に用いられる配向膜の性質の傾斜角度が大きく依存し、1度から2度程度の範囲になっても良く、プレチルト角が捩れ配向を含む液晶分子の傾斜角度が0.5度から3度が好ましく、0度から2度以内が好ましい。
FFSモードの場合は、閾値電圧以上の電圧を印加すると液晶の配向状態は、素子内の電界分布に依存してスプレイ配向、ベンド配向、捩れ配向状態が共存するが主にスプレイ配向と捩れ配向状態を示す。この状態の液晶分子の配向状態の傾斜角は、0度から45度の範囲に入り、配向をポリマーネットワークで安定化させると同様の範囲が安定化されることが好ましい。TNモードでは、45度から90度範囲の傾斜角度になっていることが好ましい。
一方、閾値電圧未満の電圧を印加して液晶の配向状態を安定化するようにポリマーネットワークを形成させるが、IPSモード、FFSモード、及びTNモードの場合は、ラビング配向処理により基板界面にプレチルト角が1度〜3度程度あるので、閾値電圧未満の電圧を印加した液晶の配向状態を安定化させるようにポリマーネットワークを形成させることが好ましく、液晶の配向の角度がこの範囲に傾斜しても良いく、光配向膜等の他の配向処理方法を用いてプレチルト角が捩れ配向を含む液晶分子の傾斜角度が0.5度から3度が好ましく、0度から2度以内が広視野角を得るには有用でより好ましい。
また、印加する電圧は、交流波形であって、液晶表示素子製造用の液晶組成物(B)が誘電異方性を示す範囲の周波数を有するものであるのが好ましい。波形は、ピーク電圧が一定にした場合に実効電圧が高くできる矩形波が好ましい。周波数の上限は、液晶表示素子に用いられる駆動回路により画素に伝達される信号が減衰しない範囲の周波数であれば良く、少なくとも周波数が2kHz以下であることが好ましい。紫外線照射前の液晶表示素子製造用の液晶組成物が示す誘電率の周波数依存性において誘電異方性が示す周波数で10kHz以下であれば良い。下限値は、素子を駆動した際にフリッカーが起こる場合があり、この場合にフリッカーが最小になる周波数であれば良く、少なくとも20Hz以上が好ましい。
このように二つの液晶配向状態を保持するようにポリマーネットワークを形成することが好ましいが、それぞれの液晶配向状態を保持するように形成されたポリマーネットワークは、ポリマーネットワークの屈折率異方性又は配向容易軸が閾値電圧以上の液晶配向方向、又は閾値電圧未満の液晶配向方向に一致するように形成される。これにより、電圧印加時の液晶の配向を安定化させるポリマーネットワークと、電圧無印加時の液晶の配向の安定化させるポリマーネットワークが共存させた状態を作ることになり、電圧無印加時の液晶配向状態から電圧印加により配向変形させる際に起こる配向歪を抑制させてコントラストの向上等の表示特性を改善させることが可能になる。一方、電圧無印加時の液晶配向状態を保持するように形成されるポリマーネットワークのみだけでは、電圧印加時の液晶配向状態へ変移する際に、閾値電圧未満の液晶配向を保持するように形成されたポリマーネットワークの影響力が強いので閾値電圧以上の液晶配向状態に変移するとき配向歪を与えて透過率を下げる原因になる。電圧印加時の液晶の配向を安定化させるポリマーネットワークをポリマーネットワークの一部に形成させることによりスイッチングで起きる配向変移の歪を抑制させ、本来必要とする液晶配向の変移が得られるようになり透過率を向上させられる。尚、電圧印加時及び電圧無印加時の各液晶の配向状態を安定化させるように形成されるポリマーネットワークは、二つの異なる液晶の配向に沿うようにポリマーネットワークの屈折率異方性又は、配向容易軸を形成させることが特徴である。
更に、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧の印加時間により、閾値電圧以上の液晶状態を安定化させるために形成されたポリマーネットワークの影響力が変化し、電気光学特性を変化させることが可能になる。例えば、電圧印加時の液晶の配向状態が基板平面に対して0度から30度の傾斜配向を含む平行配向としてポリマーネットワークを形成させた場合、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧の印加時間を短くすると、平行配向を保持しようとする作用が僅かなため、垂直配向を保持しようとするポリマーネットワークの作用に従い液晶が配向しようとする。更に、二つの異なる配向を保持したポリマーネットワークからの両配向の影響力が均衡して透明基板法線方向に対してプレチルトが1度以内と小さな角度が誘起される。紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧の印加時間を長くするのにともない、水平配向を保持しようとするポリマーネットワークの影響が強まるので垂直配向を保持する力と平行配向を保持する力の均衡からプレチルト角が増加し、プレチルト角が増加して透明基板法線方向に対して10度以上にすることが可能になる。又、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧の印加時間は、用いられる液晶表示素子製造用の重合性液晶組成物が持つ反応性に大きく依存するので適宜調整して所望のプレチルト角が得られるようにすることが好ましい。特に、基板平面に対し80度から90度の範囲でプレチルト角が得られるようにすることが好ましく、85度から89.9度にすることがより好ましく、87度から89.9度にすることが更に好ましい。
閾値電圧以上の電圧を印加して得られる液晶の配向状態を保持しようと形成されたポリマーネットワークは、負の誘電異方性を用いた垂直配向モードの液晶表示素子に於いては、水平配向状態か、又は方位角が一定の傾斜配向が望ましい。閾値電圧未満で得られる配向状態は、略垂直配向であることが好ましく、特に、基板平面に対して80度から90度の略垂直の配向が好ましく、高コントラストが得られるような良好な黒レベルを示す配向状態であることが好ましい。
負の誘電異方性、又は正の誘電異方性を用いた横電界によるIPS表示モードに於いては、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧を印加して得られる液晶の配向状態は、捩れ配向であることが好ましい。閾値電圧未満で得られる配向状態は、方位角が一定の平行配向であることが好ましい。FFSモードに於いては、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧を印加して得られる配向状態が少なくともベンド配向、スプレイ配向、傾斜配向の何れか、又は複数混在した配向状態であることが好ましい。閾値電圧未満に於いては略平行配向であることが好ましい。電圧印加時の液晶の配向状態を保持するようにポリマーネットワークを形成させた後、閾値電圧未満の液晶の配向状態を高分子安定化させることにより、ポリマーネットワーク形成完了後に電圧を印加した場合の液晶の配向状態へ容易に配向変形できるようになり、高透過率と高速応答を両立させることができる。
紫外線照射時の印加電圧は、ポリマーネットワーク形成後の液晶表示素子の表示が高コントラストになるように適宜調整することが好ましく、紫外線照射前の液晶表示素子製造用の液晶組成物の電気光学効果の特性に大きく依存するので液晶表示素子製造用の液晶が示す電圧−透過率特性に合わせる必要がある。閾値電圧以上の電圧としては、液晶表示素子製造用の液晶の電圧−透過率特性電圧における透過率の全変化量に対して10%以上になる電圧V10以上であることが好ましく、透過率の全変化量が20%以上になる電圧V20以上がより好ましく、透過率の全変化量が50%以上になる電圧V50以上がより好ましい。但し、閾値電圧の6倍以下の電圧であることが好ましい。紫外線照射中に印加する閾値電圧以上の電圧は、交流電圧を印加することが好ましく、矩形波を印加することが好ましい。周波数は、フリッカーが目視で認識できない周波数にすることが好ましく、TFT基板等の電子回路がガラス基板上に形成されている場合は、重合電圧の減衰が起きない周波数であれば良く、30Hzから5kHz程度あることが好ましい。
紫外線照射の途中で印加する電圧を閾値電圧以上から閾値電圧未満にするが、閾値電圧未満の電圧としては、液晶の配向が電圧で変化しない範囲であればよく、0V以上で閾値値電圧の90%未満の電圧が好ましく、80%未満の電圧が好ましく、70%以下であることがより好ましい。また、紫外線照射中に印加電圧を閾値電圧以下にするが、この時に液晶表示素子に於けるOFF時の液晶配向状態になるように戻すことが好ましく、例えば、上述したように垂直配向モードに於いては垂直配向に戻せば良く、FFSモードやIPSモードでは平行配向にすれば良い。液晶表示素子OFF時の液晶配向状態になるように戻す為には、電圧印加時の液晶の配向を安定化させるポリマーネットワークの影響力が僅かな状態で閾値電圧未満の電圧へ下げることが好ましい。
閾値電圧以上の電圧を印加した後に紫外線を照射するが、紫外線照射中に電圧印加時間が長くなると、紫外線照射中に電圧印加時の液晶の配向を安定化させるポリマーネットワークの影響力が増大して必要とする液晶表示素子OFF時の液晶配向状態へ戻らなくなり好ましくなくなる。そのため、最適な紫外線照射中の電圧を適宜最適化して本発明の液晶液晶表示素子を製造することが好ましい。又、紫外線照射中の電圧を閾値電圧未満にする際、素子製造用の液晶組成物の液晶に於ける応答の緩和時間を調整する目的で、電圧を紫外線照射途中で徐々に低くして印加電圧の降下時間を紫外線照射中の液晶に於ける応答緩和時間よりも長くすることにより応答緩和過程で起こるバックフローの影響を最小限にするようにしても良く、印加電圧の降下時間は、10ms以上から1000ms以内であることが好ましい。又、反対に速く下げる場合も良く、少なくとも液晶表示素子製造用の液晶組成物が示す緩和時間より短くすることが好ましく、100ms以下が好ましい。
このように閾値電圧以上の電圧が印加された状態で紫外線照射することで水平配向成分のポリマーネットワークを部分的に形成させ、紫外線照射を継続しながら電圧を閾値電圧未満にすることで液晶を垂直配向に戻すことで重合相分離を完了させる。フィッシュボーン型電極液晶セルに於いては、上述の平行配向成分と垂直配向成分の比率でプレチルト角は変化させることが可能でポリマーネットワーク形成初期過程で電圧を切ると傾斜配向方位が定まり、垂直配向を残存モノマーで形成することにより垂直配向と傾斜配向方位の両立が可能になりナノ相分離液晶に於ける配向制御技術となる。
尚、平行配向状態とは、電圧が印加されて負の誘電異方性液晶が略平行配向状態になることを意味し、基板面に対して0.1度から30度の範囲が好ましく、0.1度から10度の範囲で傾斜配向していることが好ましい。電圧が無印加の場合の垂直配向は、垂直配向膜の作用で略垂直配向状態になることを意味し、液晶の配向が基板平面に対して80から89.9度に傾斜して配向していることが好ましく、85度から89.9度に傾斜していることがより好ましい。
正の誘電異方性液晶の場合は、電圧が印加されると垂直配向が得られるが、液晶配向状態が基板平面に対して45度から89.9度の範囲で液晶が傾斜して配向していることも含まれる。電圧が無印加の場合の平行配向は、平行配向膜の作用で略平行配向状態になることを意味し、液晶の配向が基板平面に対して0.1から30度に傾斜して配向していることが含まれる。
本発明の液晶表示素子における基板間の距離(d)は、2〜5μmの範囲が好ましく、3.5μm以下が更に好ましい。一般に、液晶組成物の複屈折率とセル厚の積が0.275近傍になるように複屈折率を調整するが、本発明に用いられる素子製造用の液晶組成物では重合相分離後にポリマーネットワークが形成されるため、ポリマーネットワークのアンカーリング力作用とポリマーネットワークの光学的な性質により電界印加時の液晶表示素子の複屈折率が低くなるので液晶組成物、及び重合組成物、又は液晶表示素子製造用の液晶組成物に含まれる液晶組成物の複屈折率(Δn)と基板間の距離(d)の積は、駆動電圧がポリマーネットワーク形成により5V程度以内の増加では0.3〜0.4μmの範囲が特に好ましく、3V程度以内の増加では0.30〜0.35μmの範囲が更に好ましく、駆動電圧が1V以内の増加では0.29〜0.33μmの範囲が特に好ましい。液晶表示素子の基板間の距離(d)及び液晶組成物の複屈折(Δn)と基板間の距離(d)の積をそれぞれ上記範囲内とすることにより、透過率は、低分子液晶のみに匹敵して高く、高速応答で色再現性が好ましい表示を得ることができる。液晶表示素子製造用の液晶組成物に用いる液晶組成物の複屈折率を、セル厚(d)と複屈折率(Δn)の積が0.275に対して1から1.9倍になるようにすることが好ましい。
本発明の液晶表示素子の駆動電圧は、液晶組成物の誘電異方性や弾性定数だけで決まるものではなく、液晶組成物とポリマー界面との間で作用するアンカーリング力に大きく影響される。
例えば高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧に関する記述として、特開平6−222320号公報において次式の関係が示されている。
(Vthはしきい値電圧を表わし、1Kii及び2Kiiは弾性定数を表わし、iは1、2又は3を表わし、Δεは誘電率異方性を表わし、<r>は透明性高分子物質界面の平均空隙間隔を表わし、Aは液晶組成物に対する透明性高分子物質のアンカーリング力を表わし、dは透明性電極を有する基板間の距離を表わす。)
これによると、光散乱型液晶表示素子の駆動電圧は、透明性高分子物質界面の平均空隙間隔、基板間の距離、液晶組成物の弾性定数・誘電率異方性、及び液晶組成物と透明性高分子物質間のアンカーリングエネルギーによって決定される。このうち本発明の液晶表示素子で制御できるパラメータは、液晶物性とポリマー間のアンカーリング力である。アンカーリング力は、該ポリマーの分子構造、及び低分子液晶の分子構造に大きく依存するため、アンカーリング力が強いモノマーを選定すれば応答時間を1.5ms以下に速くすることが可能であるが同時に、駆動電圧が30V以上に増加するので、駆動電圧が30V以下で応答速度が1.5ms以下になるように適宜液晶化合物、及びモノマーの選定を行い組成を調整することが好ましい。アンカーリング力の強いポリマー前駆体とアンカーリング力の弱いポリマー前駆体を適宜配合して駆動電圧と応答速度のバランスが取れるように組成を調整することが好ましい。一方、駆動電圧を低くするのに求められる液晶組成物の物性としては、P型液晶では誘電異方性が6以上で、N型液晶では誘電異方性が−3以下にすることが特に好ましい。又、複屈折率を0.09以上にすることが好ましい。更に、液晶組成物の複屈折率と繊維状、又は柱状ポリマーネットワークの屈折率を可能な限り近づけ光散乱を無くすとより好ましくなる。但し、ポリマー前駆体の濃度に液晶素子のリターデーションが影響されるので、適宜、必要なリターデーションが得られるように液晶組成物の複屈折率を増減させて使用することが好ましい。
以上詳述した液晶層は、液晶表示素子における前記光源部からの入射光の波長が450nmで25℃の場合において、下記数式(1)で定義されるリタデーション(Re)が、
Re=Δn×d
(上記数式(1)中、Δnは589nmでの屈折率異方性を表し、dは液晶表示素子の液晶層のセル厚(μm)を表す。)
220〜300nmであることが好ましい。
即ち、通常の白色光源を用いた液晶表示素子と、当該量子ドットの励起を引き起こす約500nm以下の青色可視光(いわゆる短波長領域の光)または紫外線の透過をスイッチングする液晶表示素子とでは、透過する光および当該透過する光の光学的な性質が異なるため、それぞれの素子に求められる特性等も相違する。しかしながら、従来、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を発光素子として用いた液晶表示素子で用いられる光源と、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を含まない通常の液晶表示素子で使用する光源との違いに起因する液晶材料の光学特性についての最適化がなされておらず、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を用いた表示素子の光学特性を最大限に利用できない問題が生じていた。そこで、上記リタデーションの条件を満足させることにより、500nm以下の青色可視光(いわゆる短波長領域の光)または紫外線を入射光とした場合において液晶表示素子の透過率を向上することができる。そのため、液晶表示素子の透過率の低下を抑制または防止することができる。
[配向層]
本発明の液晶表示素子は、前記した通り、配向層4を有するものであってもよいが、例えばVA型液晶表示素子の場合、液晶化合物を垂直配向させる場合に、配向層を設けることなく、前記重合性液晶組成物中に自発配向剤を含ませ、配向膜なしで液晶を自立させるか、溶剤可溶型の垂直配向型ポリイミドを用いて配向させるか、或いは、光配向膜、とりわけ非ポリイミド系の光配向膜によって液晶を配向させることが液晶表示素子の製造が容易である点から好ましい。
ここで使用し得る当該自発配向剤としては、液晶層を構成する液晶組成物(B)に含まれる液晶分子の配向方向を制御することができる。液晶層の界面に自発配向剤の成分が集積する、または当該界面に吸着することで液晶分子の配向方向を制御することができると考えられる。これにより、重合性液晶組成物中に自発配向剤を含む場合は、液晶パネルの配向層を無くすことができる。
本発明に係る重合性液晶組成物における自発配向剤の含有量は、重合性液晶組成物の全体のうち0.1〜10質量%含むことが好ましい。
当該自発配向剤としては、以下の一般式(al−1)および/または一般式(al−2)であることが好ましい。
(式中、Ral1、Ral2、Zal1、Zal2、Lal1、Lal2、Lal3、Spal1、Spal2、Spal3、Xal1、Xal2、Xal3、mal1、mal2、mal3、nal1、nal2、nal3、pal1およびpal2はそれぞれ互いに独立して、
Ral1は、水素原子、ハロゲン、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルを示し、ここで当該アルキル基において、1または2つ以上の隣接していないCH2基は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−によって、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されてもよく、さらに1個または2個以上の水素原子は、FまたはClによって置き換えられていてもよい、
Ral2は、以下のいずれかの部分構造を備えた基を表し、
Spal1、Spal2およびSpal3はそれぞれ互いに独立して、炭素原子数1〜12個のアルキル基または単結合を表し、
Xal1、Xal2およびXal3はそれぞれ互いに独立して、アルキル基、アクリル基、メタクリル基またはビニル基を示し、
Zal1は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−(CH2)n al−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−(CF2)n al−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−(CRal3Ral4)n a1−、−CH(−Spal1−Xal1)−、−CH2CH(−Spal1−Xal1)−、−CH(−Spal1−Xal1)CH(−Spal1−Xal1)−を示し、
Zal2はそれぞれ互いに独立して、単結合、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−(CH2)n1−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−(CF2)n al−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−(CRal3Ral4)na1−、−CH(−Spal1−Xal1)−、−CH2CH(−Spal1−Xal1)−、−CH(−Spal1−Xal1)CH(−Spal1−Xal1)−を示し、
Lal1、Lal2、Lal3はそれぞれ互いに独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(Ral3)2、−C(=O)Ral3、3〜15個の炭素原子を有する任意に置換されたシリル基、任意に置換されたアリール基もしくはシクロアルキル基または1〜25個の炭素原子を表すが、ここで、1個もしくは2個以上の水素原子がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子)によって置き換えられていてもよく、
上記Ral3は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を表し、上記Ral4は、水素原子または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を表し、上記nalは、1〜4の整数を表し、
pal1およびpal2はそれぞれ互いに独立して、0または1を表し、mal1、mal2およびmal3はそれぞれ互いに独立して、0〜3の整数を表し、nal1、nal2およびnal3はそれぞれ互いに独立して、0〜3の整数を表す。)
一般式(Al−2):
(式中、Zi1およびZi2はそれぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OOCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2−CH2COO−、−OCOCH2―CH2−、−CH=C(CH3)COO−、−OCOC(CH3)=CH−、−CH2−CH(CH3)COO−、−OCOCH(CH3)―CH2−、−OCH2CH2O−、又は炭素原子数2〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、ただしKi1が(K−11)の場合はメソゲン基に少なくとも−CH2−CH2COO−、−OCOCH2―CH2−、−CH=C(CH3)COO−、−OCOC(CH3)=CH−、−CH2−CH(CH3)COO−、−OCOCH(CH3)―CH2−、−OCH2CH2O−の何れか一つを含み、
Aal21およびAa122はそれぞれ独立して、2価の6員環芳香族基又は2価の6員環脂肪族基を表すが、2価の無置換の6員環芳香族基、2価の無置換の6員環脂肪族基又はこれらの環構造中の水素原子は、置換されていないか炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていていることが好ましく、2価の無置換の6員環芳香族基若しくはこの環構造中の水素原子がフッ素原子で置換された基、又は2価の無置換の6員環脂肪族基が好ましく、置換基上の水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基によって置換されていても良い1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレン基又は1,4−シクロヘキシル基が好ましいが、少なくとも一つの置換基はPi1−Spi1−で置換されており、
Zi1、Aal21およびAa122がそれぞれ複数存在する場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、
Spi1は、好ましくは炭素原子数1〜18の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、より好ましくは炭素原子数2〜15の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、更に好ましくは炭素原子数3〜12の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、
Ral21は、水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はPi1−Spi1−を表し、該アルキル基中の−CH2−は、−O−、−OCO−、又は−COO−が好ましく(ただし−O−は連続にはならない)、より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基、又はPi1−Spi1−を表し、該アルキル基中の−CH2−は、−O−、−OCO−(ただし−O−は連続にはならない)を表す。
Ki1は、以下の一般式(K−1)〜一般式(K−11)で表される置換基を表し、
Pi1は、重合性基を表し、以下の一般式(P−1)〜一般式(P−15)で表される群より選ばれる置換基を表し(式中、右端の黒点は結合手を表す。)、
Zi1、Zi2、Aal21、miii1及び/又はAal22がそれぞれ複数存在する場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、ただしAi1及びAi2の何れか一つは少なくとも一つのPi1−Spi1−で置換されており、Ki1が(K−11)の場合は、Zii1は少なくとも−CH2−CH2COO−、−OCOCH2―CH2−、−CH2−CH(CH3)COO−、−OCOCH(CH3)―CH2−、−OCH2CH2O−の何れか一つを含み、
miii1は、1〜5の整数を表し、
miii2は、1〜5の整数を表し、
Gi1は、2価、3価、4価のいずれかの分岐構造、または2価、3価、4価のいずれかの脂肪族または芳香族の環構造を表し、
miii3は、Gi1の価数より1小さい整数を表す。)
具体的には、以下の化合物が挙げられる。
その他、液晶パネルの配向層を無くす手段としては、重合性化合物を含有する液晶組成物を第1の基板および第2の基板間に充填する際に、当該晶組成物をTni以上の状態で充填し、重合性化合物を含有する液晶組成物に対してUV照射を行い重合性化合物を硬化させる方法などが挙げられる。
その他、液晶パネルの配向層を無くす手段としては、重合性化合物を含有する液晶組成物を第1の基板および第2の基板間に充填する際に、当該晶組成物をTni以上の状態で充填し、重合性化合物を含有する液晶組成物に対してUV照射を行い重合性化合物を硬化させる方法などが挙げられる。
一方、配向膜4として光配向膜を用いる場合は、該光配向膜は、光応答性分子又は光応答性高分子を主たる成分して構成されているものが挙げられる。斯かる光応答性分子又は光応答性高分子としては、
(1)光に応答して異性化し偏光軸に対して略垂直または平行に配向する
光応答性異性化型分子又はその重合体、
(2)光に応答して二量化により架橋構造を形成する光応答性二量化型分子、および
(3)光に応答して高分子鎖が切断する光応答性分解型高分子
が挙げられる。これらのなかでも特に光応答性異性化型分子又はその重合体(3)が、感度、配向規制力の点から特に好ましい。
[光源部]
次に、本発明の液晶表示素子を構成する光源部は、紫外または可視光を発光する発光素子を有する。当該発光素子は、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオード(青色発光ダイオード)を好適に使用できる。
本発明に係る発光素子(または発光ダイオード)は、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、430nm以上500nm以下(420nm以上480nm以下)の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオードを好適に使用できる。当該青色領域に主発光ピークを有する発光ダイオードは、公知のものを使用することができる。青色領域に主発光ピークを有する発光ダイオードとしては、例えば、サファイア基板の上に形成されるAlNからなるシード層と、シード層上に形成される下地層と、GaNを主体とする積層半導体層とを少なくとも備えたものなどが例示として挙げられる。また、積層半導体層は、基板側から下地層、n型半導体層、発光層およびp型半導体層の順に積層されて構成されたものが挙げられる。
紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、LED等が挙げられるが、本発明に係る発光素子Lは、上記の420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有するLED以外として、紫外光を発生するLEDが好ましい。
なお、本明細書において、420〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を青色光と称し、500〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を緑色光と称し、605〜665nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を赤色光と称する。また、本明細書の紫外光とは、300nm以上420nm未満の波長帯域に発光中心波長を有する光をいう。さらに本明細書において、「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。
(偏光層)
本発明の液晶表示素子に使用される偏光層は公知の偏光板(偏光層)を使用することができる。例えば、二色性有機色素偏光子、塗布型偏光層、ワイヤーグリッド型偏光子、またはコレステリック液晶型偏光子などが挙げられる。たとえば、ワイヤーグリッド型偏光子は、第1基板、第2基板、カラーフィルタ上に形成され、ナノインプリント法、ブロックコポリマー法、Eビームリソグラフィ法またはグランシングアングル蒸着法のうちいずれか一つによって形成されることが好ましい。また、塗布型偏光層を形成する場合、本明細書の以下で説明する配向層をさらに設けてもよい。そのため、本発明に係る偏光層が塗布型偏光層である場合、塗布型偏光層と配向層とを有することが好ましい。
(基板)
本発明の液晶表示素子に使用される2枚の基板、具体的には前記第一の基板2及び前記第二の基板7は、ガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができる。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
以上、詳述した各要素から構成される本発明の液晶表示素子の具体的な構造につき、図12〜19を用いて説明する。
図12は、液晶表示部の電極層3の構造図の模式図を表し、より詳細には図12は、画素部分を等価回路で示した模式図であり、図13および14は画素電極の形状の一例を示す模式図である。また、図13〜図14は、本実施形態の一例として、FFS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。また、図15は、本実施形態の一例として、IPS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。さらに、図18は、本実施形態の一例として、VA型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。図1〜4に示すように、液晶パネル10に対して背面側から照明する照明手段として上記バックライトユニットを設けることで液晶表示素子として駆動する。
当該図13において、本発明に係る電極層3は、共通電極および複数の画素電極を備えている。画素電極は、絶縁層(例えば、窒化シリコン(SiN)など)を介して共通電極上に配置されている。画素電極は表示画素毎に配置され、スリット状の開口部が形成されている。共通電極と画素電極とは、例えばITO(Indium Tin Oxide)によって形成された透明電極であり、電極層3は、表示部において、複数の表示画素が配列する行に沿って延びるゲートバスラインGBL(GBL1、GBL2・・・GBLm)と、複数の表示画素が配列する列に沿って延びるソースバスラインSBL(SBL1、SBL2・・・SBLm)と、ゲートバスラインとソースバスラインとが交差する位置近傍に画素スイッチとして薄膜トランジスタを備えている。また、当該薄膜トランジスタのゲート電極は対応するゲートバスラインGBLと電気的に接続されており、当該薄膜トランジスタのソース電極は対応する信号線SBLと電気的に接続されている。さらに、薄膜トランジスタのドレイン電極は、対応する画素電極と電気的に接続されている。
電極層3は、複数の表示画素を駆動する駆動手段として、ゲートドライバとソースドライバとを備えており、前記ゲートドライバおよび前記ソースドライバは、液晶表示部の周囲に配置されている。また、複数のゲートバスラインはゲートドライバの出力端子と電気的に接続され、複数のソースバスラインはソースドライバの出力端子と電気的に接続されている。ゲートドライバは複数のゲートバスラインにオン電圧を順次印加して、選択されたゲートバスラインに電気的に接続された薄膜トランジスタのゲート電極にオン電圧を供給する。ゲート電極にオン電圧が供給された薄膜トランジスタのソース−ドレイン電極間が導通する。
ソースドライバは、複数のソースバスラインのそれぞれに対応する出力信号を供給する。ソースバスラインに供給された信号は、ソース−ドレイン電極間が導通した薄膜トランジスタを介して対応する画素電極に印加される。ゲートドライバおよびソースドライバは、液晶表示素子の外部に配置された表示処理部(制御回路とも称する)により動作を制御される。
本発明に係る表示処理部は、通常駆動のほかに駆動電力低減のために低周波駆動の機能と間欠駆動の機能とを備えてもよく、TFT液晶パネルのゲートバスラインを駆動するためのLSIであるゲートドライバの動作およびTFT液晶パネルのソースバスラインを駆動するためのLSIであるソースドライバの動作を制御するものである。また、共通電極に共通電圧VCOMを供給し、バックライトの動作も制御している。。例えば、本発明に係る表示処理部は、表示画面全体を複数の区画に分けて、それぞれの区画に映す画像の明るさに合わせてバックライトの光の強度を調整するローカルディミング手段を有してもよい。
図13は、画素電極の形状の一例として櫛形の画素電極を示した図であり、図1における基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図13に示すように、第1の基板2の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む電極層3は、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のソースバスライン25とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。当該複数のゲートバスライン26と当該複数のソースバスライン25とにより囲まれた領域により、液晶表示装置の単位画素が形成され、該単位画素内には、画素電極21及び共通電極22が形成されている。ゲートバスライン26とソースバスライン25が互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、画素電極21に表示信号を供給するスイッチ素子として、画素電極21と連結している。また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン29が設けられる。この共通ライン29は、共通電極22に共通信号を供給するために、共通電極22と連結している。
画素電極21の背面には絶縁層18(図示せず)を介して共通電極22が一面に形成されている。そして、隣接する共通電極と画素電極との最短離間距離は配向層同士の最短離間距離(セルギャップ)より短い。前記画素電極の表面には保護絶縁膜及び配向膜層によって被覆されていることが好ましい。ここで言う「最短離間経路の水平成分」とは、隣接する共通電極と画素電極とを結ぶ最短離間経路を、基板に対して水平方向と基板に対して垂直方向(=厚み方向)とに分解した成分のうち、基板に対して水平方向の成分をいう。なお、前記複数のゲートバスライン26と複数のソースバスライン25とに囲まれた領域にはソースバスライン25を介して供給される表示信号を保存するストレイジキャパシタを設けてもよい。
また、図14は、図13の変形例であり、画素電極の形状の一例としてスリット状の画素電極を示した図である。当該図13に示す画素電極21は、略長方形の平板体の電極を、当該平板体の中央部および両端部が三角形状の切欠き部でくり抜かれ、その他の部分は略矩形枠状の切欠き部でくり抜かれた形状である。なお、切欠き部の形状は特に制限されるものではなく、楕円、円形、長方形状、菱形、三角形、または平行四辺形など公知の形状の切欠き部を使用できる。
なお、図13および図14には、一画素における一対のゲートバスライン26及び一対のソースバスライン25のみが示されている。
図16は、図13または図14におけるIII−III線方向に図1に示す液晶表示素子を切断した断面図の例の一つである。配向層4および薄膜トランジスタを含む電極層3が表面に形成された第1の基板2と、配向層4が表面に形成された第2の基板7とが所定の間隔Gで配向層同士向かい合うよう離間しており、この空間に液晶組成物を含む液晶層5が充填されている。第1の基板2の表面の一部にゲート絶縁膜12、共通電極22、パッシベーション膜18、画素電極21および配向層4の順で積層されている。
薄膜トランジスタの構造の好適な一態様は、例えば、図16で示すように、基板2表面に形成されたゲート電極11と、当該ゲート電極11を覆い、且つ前記基板2の略全面を覆うように設けられたゲート絶縁層12と、前記ゲート電極11と対向するよう前記ゲート絶縁層12の表面に形成された半導体層13と、前記半導体層13の表面の一部を覆うように設けられた保護膜14と、前記保護層14および前記半導体層13の一方の側端部を覆い、かつ前記基板2表面に形成された前記ゲート絶縁層12と接触するように設けられたドレイン電極16と、前記保護膜14および前記半導体層13の他方の側端部を覆い、かつ前記基板2表面に形成された前記ゲート絶縁層12と接触するように設けられたソース電極17と、前記ドレイン電極16および前記ソース電極17を覆うように設けられたパッシベーション膜18と、を有している。ゲート電極11の表面にゲート電極との段差を無くす等の理由により陽極酸化被膜(図示せず)を形成してもよい。
図13及び図14に示す実施の形態では、共通電極22はゲート絶縁層12上のほぼ全面に形成された平板状の電極であり、一方、画素電極21は共通電極22を覆う絶縁保護層18上に形成された櫛形の電極である。
すなわち、共通電極22は画素電極21よりも第1の基板2に近い位置に配置され、これらの電極は絶縁保護層18を介して互いに重なりあって配置される。画素電極21と共通電極22は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)等の透明導電性材料により形成される。画素電極21と共通電極22が透明導電性材料により形成されるため、単位画素面積で開口される面積が大きくなり、開口率及び透過率が増加する。
また、画素電極21と共通電極22とは、これらの電極間にフリンジ電界を形成するために、画素電極21と共通電極22との間の電極間距離(最小離間距離とも称する)Rが、第1の基板2と第2の基板7との間の液晶層5の厚さGより小さくなるように形成される。ここで、電極間距離Rは各電極間の基板に水平方向の距離を表す。図12では、平板状の共通電極22と櫛形の画素電極21とが重なり合っているため、最小離間距離(または電極間距離):R=0となる例が示されており、最小離間距離Rが第1の基板2と第2の基板7との間の液晶層の厚さ(セルギャップとも称される):Gよりも小さくなるため、フリンジの電界Eが形成される。したがって、FFS型の液晶表示素子は、画素電極21の櫛形を形成するラインに対して垂直な方向に形成される水平方向の電界と、放物線状の電界を利用することができる。画素電極21の櫛状部分の電極幅:l、及び、画素電極21の櫛状部分の間隙の幅:mは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶パネルのFFS型の変形例であるIPS型の液晶表示素子の例を図1、図15および図17を用いて説明する。IPS型の液晶表示素子の液晶パネル10の構成は、上記図1のFFS型と同様に片側の基板上に電極層3(共通電極と画素電極とTFTを含む)が設けられた構造であり、第1の偏光板1と、第1の基板2と、電極層3と、配向層4と、液晶組成物を含む液晶層5と、配向層4と、カラーフィルタ6と、第2の基板7と、第2の偏光板8と、が順次積層された構成である。
図15は、IPS型の液晶表示部における図1の第1の基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域の一部を拡大した平面図である。図15に示すように、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のソースバスライン25とにより囲まれた領域内(単位画素内)で、櫛歯形の第1の電極(例えば、画素電極)21と櫛歯型の第2の電極(例えば、共通電極)22とが互いに遊嵌した状態(両電極が一定距離を保った状態で離間して噛合した状態)で設けられている。該単位画素内には、ゲートバスライン26とソースバスライン25が互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、第1の電極21に表示信号を供給するスイッチ素子として、第1の電極21と連結している。また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン(Vcom)29が設けられる。この共通ライン29は、第2の電極22に共通信号を供給するために、第2の電極22と連結している。
図17は、図15におけるIII−III線方向にIPS型の液晶パネルを切断した断面図である。第1の基板2上には、ゲートバスライン26(図示せず)を覆い、且つ第1の基板2の略全面を覆うように設けられたゲート絶縁層32と、ゲート絶縁層32の表面に形成された絶縁保護層31とが設けられ、絶縁保護膜31上に、第1の電極(画素電極)21及び第2の電極(共通電極)22が離間して設けられる。絶縁保護層31は、絶縁機能を有する層であり、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ素酸窒化膜等で形成される。
図15及び図17に示すような実施の形態では、第1の電極21及び第2の電極22は、絶縁保護層31上に、すなわち同一の層上に形成された櫛形の電極であり、互いに離間して噛合した状態で設けられている。IPS型の液晶表示部では、第1の電極21と第2の電極22との間の電極間距離Gと、第1の基板2と第2の基板7との間の液晶層の厚さ(セルギャップ):Hは、G≧Hの関係を満たす。電極間距離:Gとは、第1の電極21と第2の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離を表し、図15及び図17で示す例においては、第1の電極21と第2の電極22とが遊嵌して交互に形成されたラインに対して、水平方向の距離を表す。第1の基板2と第2の基板7との距離:Hとは、第1の基板2と第2の基板7との間の液晶層の厚さを表し、具体的には、第1の基板2及び第2の基板7のそれぞれに設けられた配向層4(最表面)間の距離(すなわちセルギャップ)、液晶層の厚みを表す。
一方、先述のFFS型の液晶表示部では、第1の基板2と第二の基板7との間の液晶層5の厚さが、第1の電極21と第2の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離以上であり、IPS型の液晶表示部は、第1の基板2と第二の基板7との間の液晶層5の厚さが、第1の電極21と第2の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離未満である。したがって、IPSとFFSの違いは、第1の電極21及び第2の電極22の厚み方向の位置関係に依存しない。
IPS型の液晶表示素子は、第1の電極21及び第2の電極22間に形成される基板面に対して水平方向の電界を利用して液晶分子を駆動させる。第1の電極21の電極幅:Q、及び第2の電極22の電極幅:Rは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。
本発明の好ましい液晶パネルの他の実施形態は、垂直配向型の液晶表示素子である。図18は、前記図3における基板上に形成された薄膜トランジスタを含む電極層3(または薄膜トランジスタ層3とも称する。)のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図18は、図17におけるIII−III線方向に図2に示す液晶表示素子を切断した断面図である。以下、図2および図17〜18を参照して、本発明に係る垂直配向型の液晶表示部を説明する。
本発明に係る液晶表示素子における液晶パネル10の構成は、図3に記載するように透明導電性材料からなる透明電極(層)3’(または共通電極3’とも称する。)を具備した第2の基板7と、画素電極および各画素に具備した前記画素電極を制御する薄膜トランジスタを形成した電極層3を含む第1の基板2と、前記第1の基板2と第2の基板7との間に挟持された液晶組成物(または液晶層5)を有し、該液晶組成物中の液晶分子の電圧無印加時の配向が前記基板2,7に対して略垂直である液晶表示素子であって、該液晶組成物として前記本発明の液晶組成物を用いたことに特徴を有するものである。また図19に示すように、前記第1の基板2および前記第2の基板7は、一対の偏光板1,8により挟持されてもよい。さらに、図19では、前記第2の基板7と共通電極3’との間にカラーフィルタ6が設けられている。またさらに、本発明に係る液晶層5と隣接し、かつ当該液晶層5を構成する液晶組成物と直接当接するよう一対の配向層4を透明電極(層)3,3’表面に形成してもよい。
図18は、画素電極21の形状の一例として逆L字型の画素電極を示した図であり、図3における基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。前記画素電極21は、上記図13、14および15と同様に、ゲートバスライン26とソースバスライン25とに囲まれた領域の略全面に逆L字型に形成されているが、画素電極の形状は限定されるものではない。
垂直配向型の液晶表示素子の液晶表示部は、上記のIPS型やFFS型とは異なり、共通電極22(図示せず)が画素電極21と対向離間して形成されている。換言すると、画素電極21と、共通電極22とは別の基板上に形成されている。一方、先述のFFSやIPS型の液晶表示素子は、画素電極21および共通電極22が同一基板上に形成されている。
また、当該カラーフィルタ6は、光の漏れを防止する観点で、薄膜トランジスタおよびストレイジキャパシタに対応する部分にブラックマトリックス(図示せず)を形成することが好ましい。
図19は、図18おけるIII−III線方向に図2に示す液晶表示素子を切断した断面図である。すなわち、本発明に係る液晶表示素子の液晶パネル10は、第1の偏光板1と、第1の基板2と、薄膜トランジスタを含む電極層(又は薄膜トランジスタ層とも称する)3と、液晶を垂直配向させる配向層4と、液晶組成物を含む層5と、該配向層4と、共通電極3’と、カラーフィルタ6と、第2の基板7と、第1の偏光板8と、が順次積層された構成である。
以上詳述した垂直配向型の液晶表示素子は、視野角依存を改善する為に画素が2分割乃至8分割されたマルチドメインを有する分割配向させたものが好ましい。斯かる分割配向は配向膜4をマスクラビングによって作成してもよいが、
1)第1の基板2側及び第2の基板7の双方にリブを形成させる手段、
2)第1の画素電極21に電極スリットを用い、第2の基板7上にリブを形成させる手段、
3)第1の画素電極21に微細スリット電極を用い、第2の基板7上にリブを形成させる手段、
4)第1の画素電極21、及び第2の共通電極22にスリット電極を用いる手段、
5)第1の画素電極21に微細スリット電極を用い、かつ、ポリマーによって液晶にプレチルトを形成させる手段、
6)配向膜として直線偏光紫外線照射によって均一な配向方位を液晶に付与できる所謂光配向膜を用いる手段等によって液晶の配向方位が規定されたマルチドメイン型のVA素子であることが、素子の製造が容易であることから好ましい。これらのなかでも、特に、液晶層5のポリマーネットワークを形成しやすいこと、また、液相層5内でポリマーネットワーク(A)の光軸方向又は配向容易軸方向と、前記液晶組成物(B)の配向容易軸方向が同一乃至略同一方向に制御することが容易であることから、前記5)ポリマーによって液晶にプレチルトを形成させる手段、又は前記6)の光配向膜を用いる手段によって得られた液晶表示素子であることが好ましい。
ここで、前記した画素電極22として微細スリット電極を用いる場合、図24に示す様な所謂フィッシュボーン型電極であることが配向方位の安定性の点から好ましい。該フィッシュボーン型電極を図24に基づいて詳述すれば、該電極はITOなどの透明電極から構成され、その電極材料(ITO)の一部を抜いたスリット部512cが設けられている。長方形のセルの各対向辺の中点を結ぶ十字状で幅3〜5μm程度のスリット部512cが配向規制用構造物として機能し、スリット部512cから斜め45°方向に延びて幅5μmのスリット部512cがピッチ8μmで複数形成されており、これらが傾斜時の方位角方向の乱れを抑える補助的な配向制御因子として機能する。表示用画素電極の幅は例えば3μmである。図24では、画素幹部電極512aと画素枝部電極512bは45度の角度を有しながら、画素中央を対称中心として90度ずつ異なる4方向に枝部電極が延在された構造を有している。液晶分子は電圧印加により傾斜配向するが、傾斜配向の方位がこれらの4方向と一致しするように傾斜配向するので、4分割されたドメインを一つの画素内に形成させて表示の視野角を広くすることができる。
本発明に係る液晶表示素子は、バックライトユニット100を液晶の画素数より少ない複数の区画毎に輝度を制御することで、コントラストを向上させるローカルディミングの手法を有していても良い。
ローカルディミングの手法としては、複数存在する発光素子Lを液晶パネル上の特定の領域の光源として使用し、各発光素子Lを表示領域の輝度に応じて制御することが可能である。この場合、当該複数の発光素子Lが、平面状に配列された形態であっても、液晶パネル10の一側面側に一列に並べられた形態であっても良い。
上記ローカルディミングの手法としてバックライトユニット100の導光部102と液晶パネル10とを有する構造になっている場合において、導光板(および/または光拡散板)と液晶パネルの光源側の基板との間に当該導光部102として、液晶の画素数より少ない特定領域毎にバックライトの光量を制御する制御層を有していても良い。
バックライトの光量を制御する手法としては、液晶の画素数より少ない液晶素子を更に有していても良く、液晶素子としては既存の様々手法を用いることができるが、ポリマーネットワークが形成された液晶を含むLCD層が透過率の点で好ましい。当該ポリマーネットワークが形成された(ネマチック)液晶を含む層(必要により一対の透明電極で挟持されたポリマーネットワークが形成された(ネマチック)液晶を含む層)は、電圧OFF時は光を散乱し、電圧ON時は光を透過するため、表示画面全体を複数の区画に分けるように区画されたポリマーネットワークが形成された液晶を含むLCD層を、導光板(および/または光拡散板)と液晶パネルの光源側の基板との間に設けることでローカルディミングを実現できる。
以上詳述した本発明の液晶表示素子は、TN、STN、ECB、VA、VA−TN、IPS、FFS、πセル、OCB、コレステリック液晶などの動作モードに適用できる。これらの中でも、VA、IPS、FFS、VA−TN、TN、ECBが特に好ましい。尚、本発明の液晶表示素子は、液晶層中にポリマーネットワークを形成する点において配向膜上に重合体又は共重合体を有するPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示素子と区別することができる。
以下、例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらによって限定されるものではない。なお、各実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。また、nは自然数を表す。
「n型化合物」
(側鎖)
−n −CnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
n− CnH2n+1− 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
−On −OCnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
nO− CnH2n+1O− 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
−V −CH=CH2
V− CH2=CH−
−V1 −CH=CH−CH3
1V− CH3−CH=CH−
−2V −CH2−CH2−CH=CH3
V2− CH2=CH−CH2−CH2−
−2V1 −CH2−CH2−CH=CH−CH3
1V2− CH3−CH=CH−CH2−CH2
(連結基)
−n− −CnH2n−
−nO− −CnH2n−O−
−On− −O−CnH2n−
−COO− −C(=O)−O−
−OCO− −O−C(=O)−
−CF2O− −CF2−O−
−OCF2− −O−CF2−
(環構造)
(環構造)
各実施例にて使用した重合性単量体は以下のとおりである。
各実施例にて使用した重合開始剤はイルガキュア651である。
各実施例中、測定した特性は以下の通りである。
TNI :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :25℃における屈折率異方性
Δε :25℃における誘電率異方性
η :25℃における粘度(mPa・s)
γ1 :25℃における回転粘度(mPa・s)
VHR測定
(周波数60Hz,印加電圧1Vの条件下で333Kにおける電圧保持率(%))
450nmに主発光ピークを有するLED耐光試験:
2万cd/m2の450nmに主発光ピークを有する可視光LED光源を液晶パネルに対して1週間暴露する前と後のVHRを測定した。
385nmに主発光ピークを有するLED耐光試験:
385nmをピークにもつ単色LEDで60秒130J照射する前と後のVHRを測定した。
(重合性液晶組成物の調整)
N型液晶組成物として下記表1〜表15の配合に従って液晶組成物を調整し、次いで、60℃に加熱し、各表に記載の重合性単量体[(P2−1M)、(P2−2M)、又は(P4−4M)]を混合し溶解させた。室温で各重合性液晶組成物が均一に溶解してネマチック液晶相を示していることを偏光顕微鏡で確認した。この溶液に重合光開始剤(イルガキュア651)を混合して重合性液晶組成物を調製した。
[液晶パネル、バックライトユニットおよび液晶表示素子の作製方法]
(1)液晶パネルの作製
(光変換層またはカラーフィルタの製造)
(A)赤色発光用ナノ結晶含有組成物、緑色発光用ナノ結晶含有組成物および青色(発光用ナノ結晶含有)組成物の作製
(A)赤色発光用ナノ結晶含有組成物、緑色発光用ナノ結晶含有組成物および青色(発光用ナノ結晶含有)組成物の作製
[赤色発光用ナノ結晶含有組成物]
赤色発光用ナノ結晶30質量部と、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)30質量部と、重合開始剤(Irgacure−907(商標名) BASF社製)5質量部と、ポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)30質量部とを混合して、固形分が20質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、赤色発光用ナノ結晶含有組成物を得た。
[赤色着色用組成物]
赤色顔料(水溶分0.3%、比電導度30μS/cmのC.I.Pigment Red 254)10部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55部、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)7.0部、0.3−0.4mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散液を得た。この顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、赤色顔料着色組成物1を得た。
なお、顔料の水溶分は、JIS K5101−16−1(顔料試験方法−第16部:水溶分−第1節:煮沸抽出法)に基づくものである。
具体的には、
1.顔料5.00gを500mLの硬質ビーカーに正しく計り取り、イオン交換水(電導度5μS/cm以下、pH=7.0±1.0)200mLを、初め少量ずつ加え、試薬一級メタノール5mLを加えてよく濡らした後、全量を加え5分間煮沸する。
2.これを室温まで冷却し、250mLメスシリンダーに移し、更に上記イオン交換水を加えて250mLとし、よくかき混ぜてアドバンテック社製ろ紙No.5Cにてろ過する。
3.ろ液の最初の約50mLを捨て、残りの中から100mLをメスシリンダーで計り取り、質量既知の蒸発皿に移す。メスシリンダーに付着したろ液は少量のイオン交換水で蒸発皿に洗い流す。
4.この蒸発皿を水浴上で蒸発乾固させ、105〜110℃に保った乾燥器中で2時間乾燥した後デシケーターに入れ、放冷した後の質量を計り、蒸発残量を求める。
5.次式により水溶分を算出する。
顔料の水溶分(%)=蒸発残量(g)×2.5 / 顔料の質量(g) ×100
また、顔料の比電導度は、イオン交換水の比電導度を電導度計(東亜ディーケーケー株式会社社製CM−30V型等)を使用して測定した後、上記3で100mLをメスシリンダーで計り取ったろ液を同じ電導度計を使用して測定し、次式により測定値を補正して算出する。
顔料の比電導度=ろ液の比電導度−用いたイオン交換水の比電導度
[緑色発光用ナノ結晶含有組成物]
上記赤色発光用ナノ結晶含有組成物の赤色発光用ナノ結晶に代え、緑色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、緑色発光用ナノ結晶含有組成物を得た。
[緑色着色用組成物]
上記赤色顔料着色組成物1の赤色顔料1 10部に代え、緑色顔料1(水溶分0.3%、比電導度40μS/cmのC.I.Pigment Green 36)6部と黄色顔料2(水溶分0.6%、比電導度70μS/cmのC.I.Pigment Yellow 150)4部を混合した顔料(水溶分0.4%、比電導度50μS/cm)を用いて、上記と同様にして、緑色着色用組成物を得た。
[青色(発光用ナノ結晶含有)組成物]
青色(発光用ナノ結晶含有)組成物は、上記赤色発光用ナノ結晶含有組成物1の赤色発光用ナノ結晶に代え、青色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、青色発光用ナノ結晶含有組成物を得た。
[青色着色用組成物1]
青色着色用組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)、Saint−Gobain社製0.3−0.4mmφジルコニアビーズ「ER−120S」を混合し、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、1μmのフィルタで濾過して分散液を調製した。次いで、当該分散液75質量部、ポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.5質量部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5質量部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1質量部およびユーカーエステルEEP13.5質量部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物1を得た。
[青色着色用組成物2]
青色着色組成物は、青色染料1(C.I.Solvent Blue 7)をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)、Saint−Gobain社製0.3−0.4mmφジルコニアビーズ「ER−120S」を加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、1μmのフィルタで濾過し顔料分散液を得た。
この顔料分散液75質量部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.5質量部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5質量部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物2を得た。
[黄色発光用ナノ結晶含有組成物]
黄色発光用ナノ結晶含有組成物も上記赤色発光用ナノ結晶に代え、黄色色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、黄色発光用ナノ結晶含有組成物を得た。
[黄色着色用組成物]
上記赤色顔料組成物の赤色顔料に代え、黄色顔料(水溶分0.6%、比電導度70μS/cmのC.I.Pigment Yellow 150)10部を用いて上記と同様にして、黄色着色用組成物を得た。
(B)光変換層の製造
予めブラックマトリックスが形成されてあるガラス基板に、赤色発光用ナノ結晶含有組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。70℃で20分間乾燥の後、超高圧水銀ランプを備えた露光機にて紫外線をフォトマスクを介してストライプ状のパターン露光をした。アルカリ現像液にて90秒間スプレー現像、イオン交換水で洗浄し、風乾した。さらに、クリーンオーブン中で、180℃で30分間ポストベークを行い、ストライプ状の着色層である赤色画素を透明基板上に形成した。
次に、緑色発光用ナノ結晶含有組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布。乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。
以下、下記表1の構成となるように、各色の発光用ナノ結晶含有組成物又は着色用組成物を用いて、赤、緑、青の3色のストライプ状の画素を持つ光変換層1,3,5又は赤、緑、青、黄の4色のストライプ状の画素を持つ光変換層2を得た。
また、光変換層1上の全面に青色着色組成物2を塗布・紫外線照射することにより赤、緑、青の3色のストライプ状の画素全面の上に青色層を形成させた光変換層4を得た。
(インセル偏光層を備えた電極基板の製造方法)
前記光変換層1上にクラレ社製「ポバール103」水溶液(固形分濃度4質量%)を塗布・乾燥させた後、ラビング処理を施した。
次いで、ラビング処理面に、メガファックF‐554(DIC株式会社製)0.03質量部、以下の式(az−1)のアゾ色素1質量部、以下の式(az−2)のアゾ色素1質量部、
クロロホルム98質量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学社製)2質量部、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬社製)2質量部、イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.06質量部およびカヤキュアDETX(日本化薬社製)からなる偏光層用塗布液を塗布・乾燥させて、偏光層および光変換層を備えた基板を作成した。その後、ITOをスパッタリング法により堆積させ、対向基板(=第2(電極)基板)を作製した。
(VA型液晶パネル1)
上記第2(電極)基板のITO上および第1基板の透明電極上に、ポリイミド系垂直配向層をそれぞれ形成した後、前記透明電極およびポリイミド系垂直配向層が形成された第1基板と、前記ポリイミド系垂直配向層が形成された第2(電極)基板とを、それぞれの配向層が対向し、当該配向層の配向方向がアンチパラレル方向(180°)となるように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により貼り合わせた。次に、配向層表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、下記の実施例1〜27の重合性液晶組成物を、真空注入法により、充填し、偏光板を第1基板上に貼りあわせることでVA型の液晶パネル1を作製した。このように作製した液晶パネルを評価用素子とし、VHR測定およびUVに対する表示品位の評価を行った。
その結果を以下の表2〜16に示す。
この液晶パネルに周波数1kHzで2.43Vの矩形波の電圧を印加しながら、波長365nmの紫外線LEDの光源を用いて照射強度が15mW/cm2の紫外線を12秒間照射した後、紫外線照射を継続した状態で、電圧を0Vにして垂直配向に戻し、電圧を0Vに戻した時点から紫外線を68秒間照射した。このように作製した液晶パネルを評価用素子とし、VHR測定およびUVに対する表示品位の評価を行った。
その結果を以下の表に示す。
上記表2〜16において、低下率は、「初期(=1W耐光試験前)のVHR値/1W(=1週間)耐光試験後のVHR値」である。したがって、低下率が1に近いほど、450nmに主発光ピークを有する光または385nmに主発光ピークを有する光に対して安定であるため、耐光性に優れており、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線に対しても劣化しにくいと考えられる。
上記の実験データから、450nmに主発光ピークを有する光を1週間照射した場合は、組成例2が最も低下率が低いことが確認される。また、385nmに主発光ピークを有する光を60秒照射した場合も、実施例2、11、20が最も低下率が低いことが確認された。一方、液晶表示素子の高速応答性に関係するγ1をみると、実施例3、12、21が最も高いことが確認された。前者の原因としては、縮合環(ナフタレン)を含む2環以上の液晶化合物を含むため、光を吸収しやすいことに関係すると考えられる。また、後者の原因としては、クロマン環を含む2環以上液晶化合物であるため、粘性が高くなることが考えられる。
次に、実施例1、10、19に記載の重合性液晶組成物を、VA型液晶パネル1の間隙(4μm)を間隙(3.5μm)に変更したVA型液晶パネル2と、VA型液晶パネル1の間隙(4μm)を間隙(2.8μm)に変更したVA型液晶パネル3とを用いて、透過率のシミュレーションを行った(シンテック社製LCDMasterを使用)。その結果を以下に示す。
上記結果から、リタデーションを325nmから260nmに変えると、透過率が約2割向上することが確認された。
リタデーション(Re)は、以下の式(1)で表される
(上記数式(1)中、Δnは589nmでの屈折率異方性を表し、dは液晶表示素子の液晶層のセル厚(μm)を表す。)
同様に、上記実施例2〜9、11〜18、20〜27においても透過率が向上することが確認される。そのため、220〜300nmの範囲であると透過率が向上すると考えられる。
また、上記実施例8、17、26については初期のVHRが他の組成例より低い為、組成例8の液晶組成物100質量部に対して、以下の式(III−22)の酸化防止剤を0.03質量部添加した。
その結果、初期のVHRが98%以上になり、上記の450nmに主発光ピークを有するLED耐光試験および385nmに主発光ピークを有するLED耐光試験を確認したが、低下率は上記表4に示した値とほぼ同様の結果であった。
(VA型液晶パネル4の製造)
透明電極が形成された第1基板と、上記インセル偏光層を表面に備えた光変換層1が形成された上記第2の透明電極基板とを、それぞれの電極が対向するように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により貼り合わせた。次に、配向層表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、実施例1の重合性液晶組成物(100質量部)に対して、自発配向剤(以下の式(al−1))2質量部を
添加した液晶組成物を、真空注入法により、充填し、偏光板を第1基板上に貼りあわせることでVA型の液晶パネル4を作製した。
(VA型液晶パネル5の製造)
透明電極が形成された第1基板と、上記インセル偏光層を表面備えた光変換層1が形成された上記第2の透明電極基板とを、それぞれの電極が対向するように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により貼り合わせた。次に、配向層表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、実施例1の重合性液晶組成物(100質量部)に対して、自発配向剤(以下の式(P−1−2))2質量部を
添加した液晶組成物を、真空注入法により、充填し、偏光板を第1基板上に貼りあわせることでVA型の液晶パネル5を作製した。
(VA型液晶パネル6の製造)
第1基板に形成された透明電極の上に、国際公開2013/002260号パンフレットの実施例22で用いられた垂直配向層溶液を備えた垂直配向層用溶液をスピンコート法により形成し、乾燥厚さ0.1μmの配向層を形成した。偏光層を表面に備えた光変換層1が形成された上記第2の透明電極基板にも同様にして表面に配向層を形成した。透明電極および配向層が形成された第1基板と、上記光変換層1が形成された対向基板である第2(電極)基板を、それぞれの配向層が対向し、当該配向層の配向方向がアンチパラレル方向(180°)となるように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により貼り合わせた。次に、配向層表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、下記の実施例1の重合性液晶組成物を、真空注入法により、充填し、偏光板を第1基板上に貼りあわせることでVA型の液晶パネル6を作製した。
(IPS型液晶パネル)
第1基板に形成された一対の櫛歯電極の上に、配向層溶液をスピンコート法により形成し、配向層を形成した。櫛形透明電極および配向層が形成された第1基板と、配向層、上記インセル偏光層、光変換層1および前記光変換層1上に平坦化膜が形成された形成された第2基板を、それぞれの配向層が対向し、かつ直線偏光を照射した、または水平方向にラビングした方向がアンチパラレル方向(180°)となるように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により張り合わせた。次に、配向層表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、実施例6の重合性液晶組成物(液晶組成物6)を、真空注入法により充填し、その後一対の偏光板を第1基板および第2基板上に貼りあわせIPS型の液晶パネルを作製した。
(FFS型液晶パネル)
第1の透明基板に平板状の共通電極を形成した後、絶縁層膜を形成し、さらに当該絶縁層膜上に透明櫛歯電極を形成した後、当該透明櫛歯電極上に配向層溶液をスピンコート法により形成し、第1の電極基板を形成した。配向層、上記インセル偏光層、光変換層1および平坦化膜が形成された第2基板にも同様にして配向層を形成した。次いで、櫛形透明電極および配向層が形成された第1基板と、配向層、偏光層、光変換層1および光変換層1上に平坦化膜が形成された第2基板を、それぞれの配向層が対向し、かつ直線偏光を照射した、またはラビングした方向がアンチパラレル方向(180°)となるように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により張り合わせた。次に、配向層表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、実施例9の重合性液晶組成物を、滴下法により充填しFFS型の液晶パネルを作製した。
(2)バックライトユニットの作製
(バックライトユニット1の作製)
青色LED光源を導光板の一辺の端部に設置し、反射シートで照射面を除く部分を覆い、導光板の照射側に拡散シートを配置してバックライトユニット1を作製した。
(バックライトユニット2の作製)
光を散乱反射する下側反射板上に格子状に青色LEDが配置され、さらにその照射側直上には拡散板を配置し、さらにその照射側に拡散シートを配置しバックライトユニット2を作製した。
(3)液晶表示素子の作製と色再現領域の測定
上記得られたVA型液晶パネル1およびVA型液晶パネル2に対して、上記で作製したバックライトユニット1及び2を取り付けて色再現領域を測定した。その結果、いずれも光変換部を備えた液晶表示素子と光変換部を備えていない従来の液晶表示素子とでは、前者の方が、色再現領域が拡大することが確認された。
同様に、上記で得られたIPS型液晶パネル(オンセル)およびIPS型液晶パネル(インセル)に対して、上記で作製したバックライトユニット1及び2を取り付けて色再現領域を測定した。その結果、いずれも光変換部を備えた液晶表示素子と光変換部を備えていない従来の液晶表示素子とでは、前者の方が色再現領域が拡大することが確認された。
上記得られたFFS型液晶パネル(オンセル)およびFFS型液晶パネル(インセル)に対して、上記で作製したバックライトユニット1〜4を取り付けて色再現領域を色再現領域を測定した。その結果、いずれも光変換部を備えた液晶表示素子と光変換部を備えていない従来の液晶表示素子とでは、前者の方が色再現領域が拡大することが確認された。