JP2020177071A - 液晶表示素子 - Google Patents

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正臣 木村
士朗 谷口
Shiro Taniguchi
士朗 谷口
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Junichi Mamiya
平田 真一
Shinichi Hirata
真一 平田
井ノ上雄一
Yuichi Inoue
宗矩 櫻井
Munenori SAKURAI
宗矩 櫻井
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、高エネルギー光線の照射による液晶層の劣化を抑制または防止するものである。【解決手段】 本願発明の第一は、第一の基板および第二の基板が対向して設けられる一対の基板と、前記基板と間に挟持された特定の液晶化合物を含有する液晶層と、前記基板の少なくとも一方に設けられた画素電極と、前記基板の少なくとも一方に設けられた共通電極と、発光素子を備えた光源部と、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備え、前記三原色の内少なくとも一色に入射した前記光源部からの光により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルを有する発光用ナノ結晶を含有する光変換層と、前記基板と前記液晶層との間のうち少なくとも一方には、配向膜を有さず、重合性化合物から形成された配向制御層を有することを特徴とする液晶表示素子である。【選択図】 図1

Description

本願発明は、液晶表示素子に関する。
表示品質が優れていることから、アクティブマトリクス型液晶表示装置が携帯端末、液晶テレビ、プロジェクタ、コンピューター等の市場に出されている。アクティブマトリクス表示方式は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはMIM(メタル・インシュレータ・メタル)等が使われており、高電圧保持率を有する液晶組成物との組合せにおいて、TN型(ツイストネマチック)を初めとする一般的液晶表示素子として広く用いられている。また、更に広い視角特性を得るためにVA(バーチカルアライメント:垂直配向)、IPS(In Plane Switching:インプレーンスイッチング)、IPSの改良型であるFFS(Fringe Field Switching:フリンジフィールドスイッチング)等が用いられており、この様な表示素子に対応するために、現在も新しい液晶化合物あるいは液晶組成物の提案がなされている。
一方液晶表示素子は自己発光型では無いため、発光するための光源が必須となり、ディスプレイとして求められる色再現領域に発光スペクトルを有する白色光源が使用される。光源としては、冷陰極管や白色LED(発光ダイオード)等が用いられるが発光効率の観点から、現在では白色LEDを用いることが主流となっている。LEDは現在一つの素子で380nmから750nmにおよぶ可視光全領域のカバーすることはできず、白色光を得るためにはいくつかの形式が知られている。
1)青色LEDと黄色蛍光体の組合せ
2)3原色の各LED(赤色・緑色・青色)の組合せ
3)近紫外線または紫色LEDと赤色・緑色・青色の蛍光体との組合せ
これら3方式中、液晶表示素子の光源として最適な白色光を得る観点では3)が最も優れ、2)、1)の順となり、発光効率の観点では、1)が最も優れている。
液晶表示素子においては、消費電力の低減が重要であり、先進各国が検討中の省電力プログラムに対応するためには、光源の発光効率が重視されている。そのため、現在では1)の青色LEDと黄色蛍光体の組合せにより白色光を得ている。
この方式は、発光効率的には優れるものの、赤色光の不足など白色光源としての特性的には劣り、色再現性に問題を有していた。特に液晶表示素子はカラー表示を実現するために液晶素子と合わせてカラーフィルタを用いることから、光源部を改良しても色再現性を向上させることは難しく、そのため色再現性を向上させるにはカラーフィルタ中の高顔料濃度化を図るか、或いは、着色膜厚を大きくすることにより色純度を高める必要があった。然しながら、この場合、透過率が低下し、光量を増加させなければならず消費電力が増加することとなる問題があった。
そこで、液晶表示素子の色再現性と発光効率を同時に解決するための技術として、発光用ナノ結晶の一例である量子ドット技術(特許文献1参照)が注目されている。量子ドットは、粒子径数nmから数十nmの半導体微結晶からなり電子正孔対の閉じ込め効果によりエネルギーレベルが離散的に存在し、粒子径が小さくなるにつれてエネルギーバンドギャップが大きくなる性質を有している。この性質を応用し、粒子径をコントロールしバンドギャップを均一化することにより、発光スペクトルの半値幅が小さい光源を得ることができる。半値幅の小さい三原色の光源を得ることにより広色域ディスプレイが実現できることから、量子ドットをバックライトの構成部材として用いることにより、色再現性を向上させた液晶表示素子を構成できることが開示されている(特許文献2及び非特許文献1参照)。更に、光源として近紫外線または青色等の短波長可視光線を用いて、三色の量子ドットを従来のカラーフィルタの替わりに用いる提案がなされている(特許文献3参照)。これらの表示素子は、原理的には高い発光効率と色再現性を両立できるものである。
また、液晶表示素子の開発において、配向膜自体を使用せず、自発配向性化合物により初期の配向状態を制御する方法も存在する。当該液晶表示素子は、液晶組成物に重合性化合物を含有した重合性液晶組成物を基板に滴下し、もう一枚の基板を狭持した状態で、紫外線を照射し、重合性化合物を重合させて製造するが、初期の配向状態が十分でなかったり、経時的に変化してしまうなどの問題を解決し、広い温度範囲での表示、高速応答性及び低電圧駆動性を満たしつつ、液晶表示素子とした際に表示不良が無いか極めて少なくする必要があった。
特表2001−523758号公報 国際公開2004/074739号パンフレット 米国特許8648524号公報
SID 2012 DIGEST,p895−896
上記の通り、特許文献2、3及び非特許文献1のように発光用ナノ結晶の一例である量子ドットを液晶表示素子に用いた場合、当該量子ドットの励起を引き起こすために光源として短波長または紫外光の可視光源が必要であることから、液晶層を透過する光は、従来の白色光を用いる場合と異なり短波長領域が主体となる。
より詳細に説明すると、発光用ナノ結晶の発光に使用するための光源に用いる短波長の可視光線や紫外光は高エネルギー光線であり、光スイッチとして機能する液晶層はこれらの高エネルギー光の長時間暴露に耐えうることが求められる。特に、配向膜自体を使用しない液晶表示素子の場合、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線に液晶層が暴露されると液晶材料自体が分解する等の問題がより確認された。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、発光用ナノ結晶を含有する光変換層をカラーフィルタの替わりに用いた場合において、高い発光効率と色再現性を両立しつつ、高エネルギー光線の照射による液晶層の劣化を抑制または防止できる、第一の基板及び第二の基板と前記液晶層との間のうち少なくとも一方に配向膜を使用しない液晶表示素子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の液晶化合物を含有する液晶層を、量子ドットなどの発光用ナノ結晶をカラーフィルタとして用いた液晶表示素子に使用することで、前記課題を解決できることを見出し本願発明の完成に至った。
本発明の液晶表示素子は、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線に対しても劣化しにくく、色再現領域を長期間維持する。
本発明の液晶表示素子は、透過率に優れ、かつ色再現領域を長期間維持する。
本発明の液晶表示素子の実施形態を示す斜視図である。 本発明の液晶表示素子の他の実施形態を示す斜視図である。 図1〜2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本発明の液晶表示素子における光変換層の一例を示す模式図である。 図1〜2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本発明の液晶表示素子における光変換層の他の一例を示す模式図である。 図1〜2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本発明の液晶表示素子における光変換層の他の一例を示す模式図である。 図1〜2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本発明の液晶表示素子における光変換層の他の一例を示す模式図である。 図1〜2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本発明の液晶表示素子における光変換層の他の一例を示す模式図である。 図1〜2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本発明の液晶表示素子における光変換層の他の一例を示す模式図である。 図1〜2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本発明の液晶表示素子における光変換層の他の一例を示す模式図である。 本発明の液晶表示素子の画素部分を等価回路で示した模式図である。 本発明の画素電極の形状の一例を示す模式図である。 本発明の画素電極の形状の一例を示す模式図である。 本発明のIPS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。 図14は、光変換層6の一例を示す模式図である。 図15は、光変換層6の一例を示す模式図である。 図16は、光変換層6の一例を示す模式図である。 量子ドットの発光スペクトルを示す図である。
本願発明の第一は、第一の基板および第二の基板が対向して設けられる一対の基板と、
前記第一の基板と第二の基板と間に挟持された液晶層と、
前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた画素電極と、
前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた共通電極と、
発光素子を備えた光源部と、
赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備え、前記三原色の内少なくとも一色に入射した前記光源部からの光により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルを有する発光用ナノ結晶を含有する光変換層と、を備え、
前記液晶層は、前記液晶層は、一般式(2−A)及び(2−B)
Figure 2020177071
(式中、Rは炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数2から7のアルケニル基であり、環Cは、複数存在する場合は相互に独立して、環上の−CH−基の1個又は2個以上が−O−又は−S−で置換されていてもよい1,4−シクロへキシレン基、又は、環状の−CH=基の1個又は2個以上が−N=で置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表し、これら環上の水素原子は1個又は2個以上がハロゲン原子で置換されていてもよく、Lは、複数存在する場合は相互に独立して、単結合、−C−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−又は−OCF−を表し、Xは、−F、−Cl、−CN、−NCS、−CF、−OCF、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜6のアルキル基又は少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜6のアルコキシ基を表し、Y及びYは相互に独立して、水素原子又はフッ素原子を表し、bは、1、2、3又は4を表す。)
で表される群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する誘電率異方性(Δε)が正の液晶組成物であって、
前記第一の基板及び第二の基板と前記液晶層との間のうち少なくとも一方は配向膜を有さず、液晶組成物に含まれた単一又は複数の化合物(I)の重合により形成された重合体(PL)を液晶層に接する界面上に有し、これを配向制御層とする液晶表示素子である。
本発明おける上記化合物(I)は、メソゲン長軸方向に光異性化基又は二量化基の部分構造を有することを特徴としている。これにより、本発明における液晶組成物に光照射時をした際に、吸収および光反応がメソゲンに対して平行な向きを向いている分子のみが相対的に反応し、選択的な光異性化又は光二量化反応が促進される。これらの反応を繰り返すことにより、結果的に系全体の液晶組成物の配向軸を一義的に決定される。すなわち、化合物(I)の分子構造が配向軸を決定する駆動力となる。
したがって、本実施形態の化合物(I)を用いた液晶組成物によれば、素子の両面又は片面にPI層を設けなくとも液晶分子を配向させる(電圧無印加時における液晶分子の均一水平配向を実現する)ことが可能となる。このように、一般式(I)で表される化合物は、液晶組成物における液晶分子の水平配向を助けるために好適に使用される。
本発明では、液晶層を特定の構成とすることにより、光源に用いる短波長の可視光線や紫外光などの高エネルギー光線の長時間暴露に耐えうる液晶層を備えた信頼性の高い第一の基板及び第二の基板と液晶層との間のうち少なくとも一方には配向膜を有さない液晶表示素子を提供できる。
また、発光素子は、紫外または可視光を発光する発光素子が好ましい。
本発明に係る好適な液晶表示素子について図を用いて以下に説明した後、液晶表示素子の各構成要素について説明する。
図1は、本実施形態で用いられる液晶表示素子の一例の全体を示す斜視図であり、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。
本発明に係る液晶表示素子1000は、バックライトユニット100と、液晶パネル10とを備えている。当該バックライトユニット100は、発光素子Lを有する光源部101と、導光板(図示せず)または光拡散板(図示せず)の役割を果たす導光部102と、を有している。図1に示すように、バックライト100の一形態は、複数の発光素子Lを含む光源部101が導光部102の一側面に配置されている。必要により、複数の発光素子Lを含む光源部101を、液晶パネル10の一側面側(導光部102の一側面)だけでなく、液晶パネル10の他方の側面側(対向する両側面)に設けてもよく、また、導光部102の周囲を囲むように、複数の発光素子Lを含む光源部101が、該導光部102の3つ側面又は該導光部102の全周囲を囲むように、4つの側面に設けられていてもよい。なお、導光部102は必要に応じて導光板の代わりに光拡散板(図示せず)を備えてもよい。
図1に示す液晶パネル10において、第一の(透明絶縁)基板2は、一方の面に偏光層1が設けられ、他方の面に電極層3が設けられている。また、液晶層5を挟んで前記第一の基板2と対向するように、第二の(透明絶縁)基板7が配設され、該基板7上に光変換層(いわゆる色層)6および偏光層8の順で設けられている。ここで、該光変換層(色層)6は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備え、前記三原色の内の少なくとも一色の画素が、前記光源部からの入射光により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルを有する発光用ナノ結晶を含有するものである。
図1では、電極層3として画素電極(図示せず)と共通電極(図示せず)とが第一の基板2側に設けられている形態を示しているが、別の実施形態(例えば、図3、図4)では、画素電極を第一の基板2に設け、共通電極3’を第二の基板7に設けてもよい。
また、図1では、前記第二の基板7と液晶層5との間に光変換層6が設けられているが、本発明に係る液晶表示素子の他の実施形態としては、図10、図11に示す様な、いわゆるカラーフィルタオンアレイ(COA)であってもよく、この場合、電極層3と液晶層5の間に光変換層6を設けても、または当該電極層3と第一の基板2との間に光変換層6を設けてもよい。また、必要により、オーバコート層(図示せず)を、光変換層6を覆う様に設けることで、光変換層に含まれる物質が液晶層へ流出することを防止してもよい。
図1において、発光素子Lから発光された光は、導光部102内(例えば、導光板や光拡散板を介して)を通過して、液晶パネル10の面内に入射する。当該液晶パネル10内に入射した光は、第一の偏光層1により特定の方向に偏光された後、電極層3の駆動により液晶層5の液晶分子の配向方向を制御することができるため、光シャッターとしての役割を果たす液晶層5により偏光の方向が変えられた光は、第二の偏光層8で遮断または特定方向に偏光された後、光変換層6に入光する。当該光変換層6では、該光変換層6に入光した光が発光用ナノ結晶に吸収され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルに変換されることで、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかの色を表示することができる。
この際、導光部102(特に導光板)の形状が、発光素子Lから発光された光が入射する側面から対向面に向かって厚さが次第に減少する側面を備えた平板体である(側面がテーパー状の形態や楔状四角形板)と、線光を面光に変換することができるため液晶パネル10内に光を入射しやすくなる為好ましい(後述に実施形態として記載する)。
図2は、バックライトユニット100が、複数の発光素子Lを平板状の導光部102に対して平面状に配置された、所謂直下型バックライト構造を持つ液晶表示素子の一例の全体を示す斜視図である。なお、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。
直下型バックライト構造は、発光素子Lからの光は面光であるため、導光部102の形状は、図1とは異なりテーパー状である必要はない。
図2における液晶パネル10は、一方の面に第一の電極層3(例えば、画素電極)を備え、かつ他方の面に第一の偏光層1を備えた第一の基板2と、第二の電極層3’(例えば、共通電極)を具備した第二の基板7と、前記第一の基板2と第二の基板7との間に挟持された液晶層5を備えている。また、前記第二の基板7と第二の電極層3’との間に光変換層6が設けられており、さらに当該光変換層6の上の第二の電極層3’側に第二の偏光層8が設けられている。
すなわち、図3の実施形態では、液晶表示素子1000は、バックライトユニット100と、第一の偏光板1と、第一の基板2と、薄膜トランジスタを含む電極層(又は薄膜トランジスタ層や画素電極とも称する)3と、液晶組成物を含む層5と、第二の電極層3’と、第二の偏光板8と、光変換層6と、第二の基板7と、が順次積層された構成となる。
図2において、発光素子Lから発光された光は、導光部102を(光拡散板や光拡散板を介して)通過して、液晶パネル10の面内に入射する。当該液晶パネル10内に入射した光は、第一の偏光層1により特定の方向に偏光された後、第一の電極層3、第二の電極層3’の駆動により液晶層5内で偏光の方向が変えられた光が、第二の偏光層8で遮断または特定方向に偏光された後、光変換層6に入光する。当該光変換層6では、光変換層6に入光した光が発光用ナノ結晶に吸収され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルに変換されることで、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかの色を表示することができる。
また、前記導光部102として、液晶パネル10と前記導光部102との間に光拡散板を備えることが好ましい(後述に実施形態として記載する)。
以下、本発明の好ましい液晶表示素子における液晶パネル部分の断面構造、特に、偏光層、光変換層、および液晶層などの積層態様について説明する。
図3〜9は、本実施形態で用いられる液晶パネルの構成を示すために、液晶表示素子における液晶パネル10部分を切断した断面図の模式図であり、液晶パネル10における偏光層、光変換層および液晶層の積層態様を示す概略図である。また、図3〜9では、偏光層、光変換層および液晶層の位置関係の説明のため便宜上、図1〜図2で示されている電極層3(TFTを含む)、電極層3’などを省略して模式的に示している。
さらに、図3〜9では、液晶層5に対して、バックライトユニット(光源)側の基板とその基板に積層される積層体をアレイ基板(A−SUB)、当該アレイ基板と液晶層5を挟んで対向する基板とその基板に積層される積層体を対向基板(O−SUB)としている。これらアレイ基板(A−SUB)および対向基板(O−SUB)の構成や好ましい実施態様は、後述の図12〜図19における電極構造の説明の箇所で詳細に説明する。なお、図3〜9では、アレイ基板側にTFTが形成されている例を記載しているが、アレイ基板と対向基板とを入れ替えてもよい。
図3の実施態様は、光変換層6が対向基板(O−SUB)に設けられ、かつ、該光変換層6と第二の偏光層8とが、一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の間に設けられた所謂インセル偏光層を備える形態である。
一般的な液晶表示素子は、白色光源からの光をカラーフィルタにおいて、波長選択し、その一部を吸収することによりそれぞれの色表示を行っているのに対して、本発明では、発光用ナノ結晶を含有する光変換層をカラーフィルタの代替部材として用いたことを特徴の一つとしている。よって、本発明における光変換層6は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備えており、いわゆるカラーフィルタと同様の役割を果たす。
具体的には、光変換層6は、例えば、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)を備え、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)を備え、そして青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Blue)を備えている。斯かる単層型の光変換層6の一例を図16に示す。
すなわち、光変換層6は、青色LEDなどの450nm近傍に主ピークを持つ光を光源として使用する場合、青色LEDが発する青色光を青色として利用することができる。そのため、光源部からの光が青色光である場合には、前記各色の光変換画素層(NC−Red、NC−Green、NC−Blue)のうち、光変換画素層(NC−Blue)を省略し、青色はバックライト光をそのまま使用してもよい。この場合、青色を表示する色層は透明樹脂や青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。よって、図3及び図16では、青色発光用ナノ結晶が任意成分となりうることから、青色発光用ナノ結晶を一点破線で表示している。
また、特に好ましい実施形態として、光変換層6における赤色の色層に光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCを含有し、かつ緑色の色層に光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCを含有する例を記載しているがこれに限定されることはない。
本発明に係る発光用ナノ結晶NCは、光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される少なくとも1種で表されることが好ましく、光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される2種の発光用ナノ結晶NCで表されることがより好ましい。本発明に係る光変換層は、赤色発光用ナノ結晶を含む層(NC−Red)と、緑色発光用ナノ結晶を含む層(NC−Green)と、を含むことが特に好ましい。
図3で示す本発明の液晶表示素子では、各色層の間の混色を防ぐ目的でブラックマトリックスを設けてもよい。また、図3において、使用する光源の種類(発光素子として青色LED)に応じて、光変換層6と第二の偏光層8との間に、青色の色材を含む色層(いわゆる「青色カラーフィルタ」)をそれらの間に一面に設けることが、外部からの不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる青色カラーフィルタを配した構造を図15に示す。
図3に示す実施形態をFFS型またはIPS型の液晶表示素子に適用する場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。
次に、図4の実施態様は、光変換層6が対向基板(O−SUB)に設けられ、かつ、該光変換層6が、一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の外側に設けられた形態である。そのため、第二の偏光層8および光変換層6を支持する支持基板9が設けられている。当該支持基板9は、透明基板であることが好ましい。
図4における光変換層6は、図3の実施形態と同様に、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)を備え、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)を備え、当該青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む光変換画素層(NC−Blue)を備えている。また、図4における光変換層8における赤色(R)の画素部、緑色(G)の画素部および青色(B)の画素部の好ましい形態は、図3で示した実施形態と同一であるためここでは省略する。
図4に示す実施形態をFFS型又はIPS型の液晶表示素子に適用する場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。
次に、図5の実施態様は、光変換層6が対向基板側O−SUBに設けられ、該光変換層6及び第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える形態であって、かつ、該光変換層6を構成する赤色及び緑色の各色層部において、赤色の色層部が、赤色発光用ナノ結晶を含有する光変換画素層(NC−Red)と、赤色の色材を含む色材層(いわゆる赤色カラーフィルタ)(CF‐Red)とが積層された2層構造を有し、緑色の色層部が、緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶を含有する光変換画素層(NC−Green)と、緑色の色材を含む色材層(いわゆる緑色カラーフィルタ)(CF‐Green)とが積層された2層構造を有するものである。
即ち、斯かる色層の2層構造は、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)の全てをナノ結晶を含有する光変換画素層で変換できない場合に、残った励起光を透過させず吸収する目的でカラーフィルタ(CFL)や各色の色材層を積層させるものである。
図5によれば、本発明に係る液晶表示素子の液晶パネル部において、第二の偏光層8および赤色の色層と緑色の色層と青色の色層を有する光変換層6は、バックライトユニット(光源)側の基板A−SUBと対向する基板側O−SUBに設けられている。また、図5では第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える形態である。図5における実施形態は、図3の光変換層6が二層に積層された形態である。より詳細には、光変換層6は、赤色の色層部と緑色の色層部と青色の色層部とを有し、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)と赤色の色材を含む色材層(CF‐Red)との二層構造として構成される。緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)と緑色の色材を含む色材層(CF‐Green)との二層構造として構成される。この場合、図5では、緑色の色層部は、励起光の透過を考慮して色補正を行うために、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)と黄色の色材を含む色材層(CF‐Yellow)との組み合わせでもよい。青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む色層(NC−Blue)で構成される。
図5における光変換層6における赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)および青色発光用ナノ結晶を必要により含む色層(NC−Blue)の好ましい形態は、図3で示した実施形態と同一であるためここでは省略する。なお、図5でも、赤色の色層部と緑色の色層部と青色の色層部はそれぞれ接しているように示されているが、混色を防止するために、それぞれの間に遮光層としてブラックマトリックスを配置してもよい。
また、使用する発光素子として青色LEDなど使用する場合には、図5の光変換層6と第二の偏光層8との間に、青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)をそれらの間に一面に設けることが外部からの不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる2層構造の光変換層6と青色カラーフィルタとを必須の構成要素とする層構造は、例えば図16で示される構造が挙げられる。
図5に示す実施形態をFFS型又はIPS型の液晶表示素子適用する場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。
次に、図6の実施形態は、第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備えた形態であり、発光用ナノ結晶を含む層とカラーフィルタとが積層された二層の光変換層6を持つものである。具体的には、光変換層6は、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)が、発光用ナノ結晶を含む層(NCL)と赤色の色材を含む色材層との二層構造で構成され、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)が、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と緑色の色材を含む色材層との二層構造で構成され、かつ、青色(R)の画素部(青色の色層部)は、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と青色の色材を含む色材層との二層構造で構成されている。
この場合、発光用ナノ結晶NCを含む層における発光用ナノ結晶は、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶および入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶からなる群から選択される1種または2種を含むことが好ましい。なお、本実施形態においても各色層の間の混色を防ぐ目的でブラックマトリックスを設けてもよい。
また、図6の実施形態では、青色または黄色カラーフィルタを光変換層6の液晶層側に隣接するように一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる青色または黄色カラーフィルタを配設した構造は図9で示すことができる。
図6又は図7に示す実施形態をFFS型又はIPS型の液晶表示素子に適用する場合、画素電極および共通電極が第一の表示基板SUB1上に形成されていることが好ましい。
以上詳述した図3〜7に示す実施形態では、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線の光源を用いた光を、光スイッチとして機能する液晶層および偏光層を介して、光変換層に含まれる発光用ナノ結晶が吸収し、当該吸収した光を当該発光用ナノ結晶により特定の波長の光に変換して発光することにより色を表示する。
次に、図8の実施形態は、光変換層6がアレイ基板側(A−SUB)側に設けられ、また、第二の偏光層8が、第二の基板7の外側に設けられ、さらに、第一の偏光層1が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える、カラーフィルタオンアレイ型の液晶パネルである。
図8に示す実施形態をFFS型またはIPS型の液晶表示素子に適用する場合、画素電極および共通電極が第一の基板2上、例えば、第一の基板2と光変換層6との間、第一の偏光層1と光変換層6との間または第一の偏光層1と液晶層5との間に形成されていることが好ましい。また、光変換層6と第一の基板2との間には、青色カラーフィルタをそれらの間に一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。また、入射光が青色光である場合には、青色を表示する色層は青色発光用ナノ結晶を用いなくともよく、この場合、透明樹脂や青色の色材を含む色層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。
図9に示す実施形態は、光変換層6がバックライトユニット(光源)側のアレイ基板(A−SUB)側に設けられ、かつ、第一の偏光層1および第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間の外側に設けられた形態である。そのため、第一の偏光層1および光変換層6を支持する支持基板9が第一の基板2より光源部(バックライトユニット)側に設けられている。
図9に示す実施形態をFFS型またはIPS型の液晶表示素子に適用する場合、画素電極および共通電極が第一の基板2上、例えば、第一の基板2と液晶層5との間に画素電極および共通電極が形成されていることが好ましい。また、光変換層6と支持基板9との間には、青色カラーフィルタをそれらの間に一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。また、入射光が青色光である場合には、青色を表示する色層は青色発光用ナノ結晶を用いなくともよく、この場合、透明樹脂や青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。
以上詳述した通り、図8〜9に示す実施形態では、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線の光源を用いた光のうち、光変換層に含まれる発光用ナノ結晶で吸収されなかった光、特に青色の色層部を通過した光が光スイッチとして機能する液晶層を介して、色を表示するものである。
以上の図3〜図9の各実施態様の中でも、特に、図3〜図7で示される、光変換層6を、バックライトユニット(光源)側の基板A−SUBと対向する基板側O−SUB側に設けられた構造のものが、高エネルギー光線の照射による液晶層の劣化を抑制または防止できる、という本発明の効果が顕著に現れるものとなる点から好ましい。
上述した通り、図3〜9の模式図を用いて、本発明の好ましい液晶表示素子(特に液晶パネル)における、偏光層、光変換層および液晶層の位置関係を説明した。
「光変換層」
次に、本発明における光変換層につき更に詳述すれば、その画素部の構成要素は、発光用ナノ結晶を必須成分として含み、樹脂成分、その他必要により当該発光用ナノ結晶に対して親和性のある分子、公知の添加剤、その他色材を含有してもよいものである。また、前記した通り、各画素層の境界部分にはブラックマトリックスを有することがコントラストの点から好ましい。
(発光用ナノ結晶)
本発明に係る光変換層は、発光用ナノ結晶を含有する。本明細書における用語「ナノ結晶」は、好ましくは、100nm以下の少なくとも1つの長さを有する、粒子を指す。ナノ結晶の形状は、任意の幾何学的形状を有してもよく、対称または不対称であってよい。当該ナノ結晶の形状の具体例としては、細長、ロッド状の形状、円形(球状)、楕円形、角錐の形状、ディスク状、枝状、網状または任意の不規則な形状等を含む。一部の実施形態では、ナノ結晶は、量子ドットまたは量子ロッドであることが好ましい。
当該発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含むシェルとを有することが好ましい。
そのため、発光用ナノ結晶は、少なくとも第一半導体材料を含むコアと、第二半導体材料を含むシェルからなり、前記第一半導体材料と、前記第二半導体材料とは同じでも異なっていても良い。また、コアおよび/またはシェル共に第一半導体および/または第二半導体以外の第三の半導体材料を含んでも良い。なお、ここでいうコアを被覆とは、コアの少なくとも一部を被覆していればよい。
さらに、当該発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含む第一のシェルと、必要により、前記第一のシェルを被覆し、かつ前記第一のシェルと同一または異なる第三の半導体材料を含む第二のシェルと、を有することが好ましい。
したがって、本発明に係る発光用ナノ結晶は、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一の第二の半導体材料を含むシェルを有する形態、すなわち1種類又は2種以上の半導体材料から構成される態様(=コアのみの構造(コア構造とも称する))と、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと異なる第二の半導体材料を含むシェルを有する形態等の、すなわちコア/シェル構造と、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと異なる第二の半導体材料を含む第一のシェルと、前記第一のシェルを被覆し、かつ前記第一のシェルと異なる第三の半導体材料を含む第二のシェルを有する形態の、すなわちコア/シェル/シェル構造との3つの構造のうち少なくとも一つを有することが好ましい。
また、本発明に係る発光用ナノ結晶は、上記の通り、コア構造、コア/シェル構造、コア/シェル/シェル構造の3つの形態を含むことが好ましく、この場合、コアは2種以上の半導体材料を含む混晶であってもよい(例えば、CdSe+CdS、CIS+ZnS等)。またさらに、シェルも同様に2種以上の半導体材料を含む混晶であってもよい。
本発明に係る光変換層において、発光用ナノ結晶は、当該発光用ナノ結晶に対して親和性のある分子が発光用ナノ結晶と接触していてもよい。
上記親和性のある分子とは、発光用ナノ結晶に対して親和性のある官能基を有する低分子および高分子であり、親和性のある官能基としては特に限定されるものでは無いが、窒素、酸素、硫黄およびリンからなる群から選択される1種の元素を含む基である事が好ましい。例えば、有機系硫黄基、有機系リン酸基ピロリドン基、ピリジン基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、カルボニル基、および水酸基等を挙げる事が出来る。
本発明に係る半導体材料は、II−VI族半導体、III−V族半導体、I−III−VI族半導体、IV族半導体及びI−II−IV−VI族半導体からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。本発明に係る第一の半導体材料、第一の半導体材料および第三の半導体材料の好ましい例は、上記の半導体材料と同様である。
本発明に係る半導体材料は、具体的には、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb;SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe;Si、Ge、SiC、SiGe、AgInSe2、CuGaSe2、CuInS2、CuGaS2、CuInSe2、AgInS2、AgGaSe2、AgGaS2、C、SiおよびGeからなる群から選択される少なくとも1つ以上選ばれ、これらの化合物半導体は単独で使用されても、または2つ以上が混合されていても良く、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS、AgInSe、AgInTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、CuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、Si、C、GeおよびCuZnSnSからなる群から選択される少なくとも1つ以上選ばれることがより好ましく、これらの化合物半導体は単独で使用されても、または2つ以上が混合されていても良い。
本発明に係る発光用ナノ結晶は、赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶、緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶および青色光を発光する青色発光用ナノ結晶からなる群から選択される少なくとも1種のナノ結晶を含むことが好ましい。一般に、発光用ナノ結晶の発光色は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば粒子径に依存するが、発光用ナノ結晶が有するエネルギーギャップにも依存するため、使用する発光用ナノ結晶とその粒子径を調整することにより、発光色を選択する。
本発明において赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、665nm、663nm、660nm、658nm、655nm、653nm、651nm、650nm、647nm、645nm、643nm、640nm、637nm、635nm、632nmまたは630nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、628nm、625nm、623nm、620nm、615nm、610nm、607nmまたは605nmであることが好ましい。
本発明において緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、560nm、557nm、555nm、550nm、547nm、545nm、543nm、540nm、537nm、535nm、532nmまたは530nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、528nm、525nm、523nm、520nm、515nm、510nm、507nm、505nm、503nmまたは500nmであることが好ましい。
本発明において青色光を発光する青色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、480nm、477nm、475nm、470nm、467nm、465nm、463nm、460nm、457nm、455nm、452nmまたは450nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、450nm、445nm、440nm、435nm、430nm、428nm、425nm、422nmまたは420nmであることが好ましい。
本発明において赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が635nm±30nmの範囲に入っている事が望ましい。同じく、緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が530nm±30nmの範囲に入っている事が望ましく、青色光を発光する青色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が450nm±30nmの範囲に入っている事が望ましい。
本発明に係る発光用ナノ結晶の蛍光量子収率の下限値は、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上の順で好ましい。
本発明に係る発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの半値幅の上限値は、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下の順で好ましい。
本発明に係る赤色発光用ナノ結晶の粒子径(1次粒子)の上限値は、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下の順で好ましい。
本発明に係る赤色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は665nm、下限値は605nmであり、このピーク波長に合う様に化合物およびその粒径を選択する。同じく、緑色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は560nm、下限値は500nm、青色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は420nm、下限値は480nmであり、それぞれこのピーク波長に合う様に化合物およびその粒径を選択する。
本発明に係る液晶表示素子は、少なくとも1つの画素を備える。当該画素を構成する色は、近接する3つの画素により得られ、各画素は、赤色(例えば、CdSeの発光用ナノ結晶、CdSeのロッド状発光用ナノ結晶、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がCdSe、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がZnSe、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がCdSe、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がZnSe、CdSeとZnSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶、InPの発光用ナノ結晶、InPの発光用ナノ結晶、InPのロッド状発光用ナノ結晶、CdSeとCdSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとCdSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶、ZnSeとCdSとの混晶の発光用ナノ結晶、ZnSeとCdSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶など)、緑色(CdSeの発光用ナノ結晶、CdSeのロッド状の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶など)および青色(ZnSeの発光用ナノ結晶、ZnSeのロッド状発光用ナノ結晶、ZnSの発光用ナノ結晶、ZnSのロッド状発光用ナノ結晶、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がZnSeであって内側のコア部がZnS、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がZnSeであって内側のコア部がZnS、CdSの発光用ナノ結晶、CdSのロッド状発光用ナノ結晶)で発光する異なるナノ結晶を含む。他の色(例えば、黄色)についても、必要に応じて光変換層に含有してもよく、さらには近接する4画素以上の異なる色を使用してもよい。
本明細書における本発明に係る発光用ナノ結晶の平均粒子径(1次粒子)はTEM観察によって測定できる。一般的に、ナノ結晶の平均粒子径の測定方法としては、光散乱法、溶媒を用いた沈降式粒度測定法、電子顕微鏡により粒子を直接観察して平均粒子径を実測する方法が挙げられる。発光用ナノ結晶は水分などにより劣化しやすいため、本発明では、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により任意の複数個の結晶を直接観察し、投影二次元映像よる長短径比からそれぞれの粒子径を算出し、その平均を求める方法が好適である。そのため、本発明では上記方法を適用して平均粒子径を算出している。発光用ナノ結晶の1次粒子とは、構成する数〜数十nmの大きさの単結晶またはそれに近い結晶子のことであり、発光用ナノ結晶の一次粒子の大きさや形は、当該一次粒子の化学組成、構造、製造方法や製造条件などによって依存すると考えられる。
本発明に係る光変換層において、発光用ナノ結晶は、分散安定性の観点から、その表面に有機リガンドを有することが好ましい。有機リガンドは、例えば、発光用ナノ結晶の表面に配位結合されていてよい。換言すれば、発光用ナノ結晶の表面は、有機リガンドによってパッシベーションされていてよい。また、発光用ナノ結晶は、その表面に高分子分散剤を有していてもよい。一実施形態では、例えば、上述の有機リガンドを有する発光用ナノ結晶から有機リガンドを除去し、有機リガンドと高分子分散剤とを交換することで発光用ナノ結晶の表面に高分子分散剤を結合させてよい。ただし、インクジェットインクにした際の分散安定性の観点では、有機リガンドが配位したままの発光用ナノ結晶に対して高分子分散剤が配合されることが好ましい。
有機リガンドとしては、発光用ナノ結晶粒子に対して親和性のある官能基を有する低分子および高分子であり、親和性のある官能基としては特に限定されるものでは無いが、窒素、酸素、硫黄およびリンからなる群から選択される1種の元素を含む基である事が好ましい。例えば、有機系硫黄基、有機系リン酸基ピロリドン基、ピリジン基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、カルボニル基、および水酸基等を挙げることができる。例えば、TOP(トリオクチルフォスフィン)、TOPO(トリオクチルフォスフィンオキサイド)、オレイン酸、オレイルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタンチオール、ドデカンチオール、ヘキシルホスホン酸(HPA)、テトラデシルホスホン酸(TDPA)、及びオクチルホスフィン酸(OPA)が挙げられる。
その他の有機リガンドとしては、発光性ナノ結晶粒子の分散性及び発光強度がより一層優れたものになるという観点から、親和性基としてエチレンオキシド鎖及び/又はプロピレンオキシド鎖を有する脂肪族炭化水素を有することが好ましい。
上記好ましい有機リガンドは、例えば、下記一般式(1)で表される有機リガンドであってもよい。
Figure 2020177071
[式(1)中、pは0〜50の整数を示し、qは0〜50の整数を示す。]
上記一般式(1)で表される有機リガンドにおいて、p及びqのうち少なくとも一方が1以上であることが好ましく、p及びqの両方が1以上であることがより好ましい。
発光用ナノ結晶としては、有機溶剤の中にコロイド形態で分散しているものを用いることができる。有機溶剤中で分散状態にある発光用ナノ結晶の表面は、上述の有機リガンドによってパッシベーションされていることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、クロロホルム、トルエン、オクタン、クロロベンゼン、テトラリン、ジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、又はそれらの混合物が挙げられる。
本発明に係る光変換層(または当該光変換層の調製用インク組成物)は、高分子分散剤を含有させることが好ましい。高分子分散剤は、光散乱性粒子をインク中に均一分散させることができる。
本発明における光変換層は、上記で示した発光用ナノ結晶粒子に加え、該発光用ナノ結晶粒子を適度に分散安定化させる高分子分散剤を含むことが好ましい。
本発明において、高分子分散剤は、750以上の重量平均分子量を有し、かつ、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を有する高分子化合物であり、光散乱性粒子を分散させる機能を有する。高分子分散剤は、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を介して高分子分散剤が光散乱性粒子に吸着し、高分子分散剤同士の静電反発及び/又は立体反発により、光散乱性粒子がインク組成物中に分散される。高分子分散剤は、光散乱性粒子の表面と結合して光散乱性粒子に吸着していることが好ましいが、発光用ナノ結晶の表面に結合して発光性ナノ粒子に吸着していてもよく、インク組成物中に遊離していてもよい。
光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基としては、酸性官能基、塩基性官能基及び非イオン性官能基が挙げられる。酸性官能基は解離性のプロトンを有しており、アミン、水酸化物イオン等の塩基により中和されていてもよく、塩基性官能基は有機酸、無機酸等の酸により中和されていてもよい。
酸性官能基としては、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、硫酸基(−OSOH)、ホスホン酸基(−PO(OH))、リン酸基(−OPO(OH))、ホスフィン酸基(−PO(OH)−)、メルカプト基(−SH)、が挙げられる。
塩基性官能基としては、一級、二級及び三級アミノ基、アンモニウム基、イミノ基、並びに、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、トリアゾール等の含窒素ヘテロ環基等が挙げられる。
非イオン性官能基としては、ヒドロキシ基、エーテル基、チオエーテル基、スルフィニル基(−SO−)、スルホニル基(−SO−)、カルボニル基、ホルミル基、エステル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、チオアミド基、チオウレイド基、スルファモイル基、シアノ基、アルケニル基、アルキニル基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基が挙げられる。
光散乱性粒子の分散安定性の観点、発光用ナノ結晶が沈降するという副作用を起こしにくい観点、高分子分散剤の合成の容易性の観点、及び官能基の安定性の観点から、酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基及びリン酸基が好ましく用いられ、塩基性官能基としては、アミノ基が好ましく用いられる。これらの中でも、カルボキシル基、ホスホン酸基及びアミノ基がより好ましく用いられ、最も好ましくはアミノ基が用いられる。
酸性官能基を有する高分子分散剤は酸価を有する。酸性官能基を有する高分子分散剤の酸価は、好ましくは、固形分換算で、1〜150mgKOH/gである。酸価が1以上であると、光散乱性粒子の充分な分散性が得られやすく、酸価が150以下であると、画素部(インク組成物の硬化物)の保存安定性が低下しにくい。
また、塩基性官能基を有する高分子分散剤はアミン価を有する。塩基性官能基を有する高分子分散剤のアミン価は、好ましくは、固形分換算で、1〜200mgKOH/gである。アミン価が1以上であると、光散乱性粒子の充分な分散性が得られやすく、アミン価が200以下であると、画素部(インク組成物の硬化物)の保存安定性が低下しにくい。
高分子分散剤は、単一のモノマーの重合体(ホモポリマー)であってよく、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、高分子分散剤は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、高分子分散剤がグラフト共重合体である場合、くし形のグラフト共重合体であってよく、星形のグラフト共重合体であってもよい。高分子分散剤は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレア樹脂、アミノ樹脂、ポリエチレンイミン及びポリアリルアミン等のポリアミン、エポキシ樹脂、ポリイミドなどであってよい。
前記高分子分散剤として、市販品を使用することも可能であり、市販品としては、味の素ファインテクノ株式会社のアジスパーPBシリーズ、BYK社製のDISPERBYKシリーズ並びにBYK−シリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ等を使用することができる。
本発明に係る光変換層(または当該光変換層の調製用インク組成物)は、硬化物中においてバインダーとして機能する樹脂成分を含むことが好ましい。本発明に係る樹脂成分は、硬化性樹脂が好ましく、当該硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂が好ましい。
当該熱硬化性樹脂としては、硬化性基を有し、当該硬化性基としては、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、メチロール基等が挙げられ、インク組成物の硬化物の耐熱性及び保存安定性に優れる観点、及び、遮光部(例えばブラックマトリックス)及び基材への密着性に優れる観点から、エポキシ基が好ましい。熱硬化性樹脂は、1種の硬化性基を有していてもよく、二種以上の硬化性基を有していてもよい。
熱硬化性樹脂は、単一のモノマーの重合体(ホモポリマー)であってよく、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、熱硬化性樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。
熱硬化性樹脂としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物が用いられ、通常、硬化剤と組み合わせて用いられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化反応を促進できる触媒(硬化促進剤)を更に添加してもよい。言い換えれば、インク組成物は、熱硬化性樹脂(並びに、必要に応じて用いられる硬化剤及び硬化促進剤)を含む熱硬化性成分を含有していてよい。また、これらに加えて、それ自体は重合反応性のない重合体を更に用いてもよい。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(以下、「多官能エポキシ樹脂」ともいう。)を用いてよい。「エポキシ樹脂」には、モノマー性エポキシ樹脂及びポリマー性エポキシ樹脂の両方が含まれる。多官能性エポキシ樹脂が1分子中に有するエポキシ基の数は、好ましくは2〜50個であり、より好ましくは2〜20個である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等であってよい。エポキシ樹脂としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ樹脂を挙げることができる。このようなエポキシ樹脂は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
熱硬化性樹脂として、比較的分子量が小さい多官能エポキシ樹脂を用いると、インク組成物(インクジェットインク)中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が高濃度となり、架橋密度を高めることができる。
熱硬化性樹脂を硬化させるために用いられる硬化剤及び硬化促進剤としては、上記した有機溶剤に溶解又は分散し得る公知慣用のものをいずれも用いることができる。
熱硬化性樹脂は、信頼性に優れるカラーフィルタ画素部が得られやすい観点から、アルカリ不溶性であってよい。熱硬化性樹脂がアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃における熱硬化性樹脂の溶解量が、熱硬化性樹脂の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。熱硬化性樹脂の上記溶解量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
熱硬化性樹脂の重量平均分子量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点、インク組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(インク組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、750以上であってよく、1000以上であってもよく、2000以上であってよい。インクジェットインクとしての適正な粘度とする観点から、500000以下であってよく、300000以下であってもよく、200000以下であってもよい。ただし、架橋後の分子量に関してはこの限りでない。
熱硬化性樹脂の含有量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点、インク組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(インク組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、10質量%以上であってよく、15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。熱硬化性樹脂の含有量は、画素部の厚さが光変換機能に対して厚くなりすぎない観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。
上記UV硬化性樹脂は、光の照射によって重合する、光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物を重合した樹脂であることが好ましく、光重合性のモノマー又はオリゴマーであってよい。これらは、光重合開始剤と共に用いられる。光ラジカル重合性化合物は光ラジカル重合開始剤と共に用いられ、光カチオン重合性化合物は光カチオン重合開始剤と共に用いられることが好ましい。言い換えれば、本発明に係る光変換層用のインク組成物は、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光重合性成分を含有していてよく、光ラジカル重合性化合物及び光ラジカル重合開始剤を含む光ラジカル重合性成分を含有していてもよく、光カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤を含む光カチオン重合性成分を含有していてもよい。光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物とを併用してもよく、光ラジカル重合性と光カチオン重合性を具備した化合物を用いてもよく、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤とを併用してもよい。光重合性化合物は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
上記光ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリロイル基を一つ有する単官能(メタ)アクリレートであってよく、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリレートであってもよい。カラーフィルタ製造時における硬化収縮に起因する平滑性の低下を抑制し得る観点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを組み合わせて用いることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリロイル」との表現についても同様である。
光カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
また、本実施形態における光重合性化合物として、特開2013−182215号公報の段落0042〜0049に記載の光重合性化合物を用いることもできる。
本発明に係る光変換層用のインク組成物において、硬化可能成分を、光重合性化合物のみ又はそれを主成分として構成する場合には、上記したような光重合性化合物としては、重合性官能基を一分子中に2以上有する2官能以上の多官能の光重合性化合物を必須成分として用いることが、硬化物の耐久性(強度、耐熱性等)をより高めることができることからより好ましい。
光重合性化合物は、信頼性に優れるカラーフィルタ画素部が得られやすい観点から、アルカリ不溶性であってよい。本明細書中、光重合性化合物がアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃における光重合性化合物の溶解量が、光重合性化合物の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。光重合性化合物の上記溶解量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
光重合性化合物の含有量は、インク組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(インク組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、10質量%以上であってもよく、15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。光重合性化合物の含有量は、より優れた光学特性(漏れ光)が得られる観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。
光重合性化合物は、画素部(インク組成物の硬化物)の安定性に優れる(例えば、経時劣化を抑制でき、高温保存安定性及び湿熱保存安定性に優れる)観点から、架橋性基を有していてもよい。架橋性基は、熱又は活性エネルギー線(例えば、紫外線)により他の架橋性基と反応する官能基であり、例えば、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型又は水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤が好適である。
光重合開始剤の含有量は、インク組成物の硬化性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上であってよく、0.5質量部以上であってもよく、1質量部以上であってもよい。光重合開始剤の含有量は、画素部(インク組成物の硬化物)の経時安定性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、40質量部以下であってよく、30質量部以下であってもよく、20質量部以下であってもよい。
また、これらのUV硬化樹脂と共に、一部熱可塑性樹脂を併用してもよく、該熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
また、本発明に係る光変換層の調製用インク組成物は、公知の有機溶剤を使用してもよく、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、1,4−ブタン時オールジアセテート、グリセリルトリアセテートなどが挙げられる。
さらに、本発明に係る光変換層(または当該光変換層の調製用インク組成物)において、上記硬化性樹脂、上記高分子分散剤、上記発光用ナノ結晶粒子の他に、光散乱性粒子といった公知の添加剤を含んでもよい。
発光用ナノ結晶を用いたインク組成物によりカラーフィルタ画素部(以下、単に「画素部」ともいう。)を形成した場合、光源からの光が発光用ナノ結晶に吸収されずに画素部から漏れることがある。このような漏れ光は、画素部の色再現性を低下させるため、光変換層として上記画素部を用いる場合には、その漏れ光を可能な限り低減することが好ましい。上記光散乱性粒子は、画素部の漏れ光を防止するために、好適には用いられる。光散乱性粒子は、例えば、光学的に不活性な無機微粒子である。光散乱性粒子は、カラーフィルタ画素部に照射された光源からの光を散乱させることができる。
光散乱性粒子を構成する材料としては、例えば、タングステン、ジルコニウム、チタン、白金、ビスマス、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、プラチナ、金等の単体金属;シリカ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナホワイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、次炭酸ビスマス、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物、次硝酸ビスマス等の金属塩などが挙げられる。光散乱性粒子は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化チタン、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことがより好ましい。
光散乱性粒子の形状は、球状、フィラメント状、不定形状等であってよい。しかしながら、光散乱性粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、インク組成物の均一性、流動性及び光散乱性をより高められる点で好ましい。
インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、0.05μm以上であってよく、0.2μm以上であってもよく、0.3μm以上であってもよい。インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、吐出安定性に優れる観点から、1.0μm以下であってもよく、0.6μm以下であってもよく、0.4μm以下であってもよい。インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、0.05〜1.0μm、0.05〜0.6μm、0.05〜0.4μm、0.2〜1.0μm、0.2〜0.6μm、0.2〜0.4μm、0.3〜1.0μm、0.3〜0.6μm、又は0.3〜0.4μmであってもよい。このような平均粒子径(体積平均径)が得られやすい観点から、使用する光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、50nm以上であってよく、1000nm以下であってよい。光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。また、使用する光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、例えば透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により各粒子の粒子径を測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
光散乱性粒子の含有量は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、0.1質量%以上であってよく、1質量%以上であってもよく、5質量%以上であってもよく、7質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよく、12質量%以上であってもよい。光散乱性粒子の含有量は、漏れ光の低減効果により優れる観点及び吐出安定性に優れる観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、60質量%以下であってよく、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよい。本実施形態では、インク組成物が高分子分散剤を含むため、光散乱性粒子の含有量を上記範囲とした場合であっても光散乱性粒子の良好に分散させることができる。
発光用ナノ結晶の含有量に対する光散乱性粒子の含有量の質量比(光散乱性粒子/発光用ナノ結晶)は、0.1〜5.0である。質量比(光散乱性粒子/発光用ナノ結晶)は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、0.2以上であってもよく、0.5以上であってもよい。質量比(光散乱性粒子/発光用ナノ結晶)は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、2.0以下であってもよく、1.5以下であってもよい。質量比(光散乱性粒子/発光用ナノ結晶)は、0.1〜2.0、0.1〜1.5、0.2〜5.0、0.2〜2.0、0.2〜1.5、0.5〜5.0、0.5〜2.0、又は0.5〜1.5であってもよい。なお、光散乱性粒子による漏れ光低減は、次のようなメカニズムによると考えられる。すなわち、光散乱性粒子が存在しない場合、バックライト光は画素部内をほぼ直進して通過するのみであり、発光用ナノ結晶に吸収される機会が少ないと考えられる。一方、光散乱性粒子を発光用ナノ結晶と同一の画素部内に存在させると、その画素部内でバックライト光が全方位に散乱され、それを発光用ナノ結晶が受光することができるため、同一のバックライトを用いていても、画素部における光吸収量が増大すると考えられる。結果的に、このようなメカニズムで漏れ光を防ぐことが可能になったと考えられる。
本発明における光変換層は、上記で示した発光用ナノ結晶に加え、製造工程に応じて該発光用ナノ結晶を適度分散安定化させる樹脂成分を含むことが好ましい。
斯かる樹脂成分は、該光変換層をフォトリソグラフィ法で製造される観点では、光重合性化合部物の重合体であって、かつ、アルカリ現像可能なものが好ましく、具体的には、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマーの重合体:トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマーの重合体、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーの重合体が挙げられる。
また、これらの重合体と共に、一部熱可塑性樹脂を併用してもよく、該熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
さらに、本発明に係る光変換層において、必要により、上記透明樹脂、上記発光用ナノ結晶の他に、重合開始剤、触媒、アルミナ、シリカ、酸化チタンビーズ、ゼオライトまたはジルコニアなどの散乱剤といった、公知の添加剤を含んでもよい。
(色材)
本発明に係る光変換層は、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色画素部を備え、必要により色材を含んでもよく、当該色材としては、公知の色材を使用することができ、例えば、赤(R)の画素部中にジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を、緑(G)の画素部中にハロゲン化銅フタロシニアン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を、青(B)の画素部中にε型銅フタロシニアン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料を含有することが好ましい。
本発明に係る赤色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を含有するのが好ましい。ジケトピロロピロール顔料としては、具体的にはC.I.Pigment Red 254、同255、同264、同272、Orange 71及び同73から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Red 254、同255、同264及び同272から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、C.I.Pigment Red 254が特に好ましい。アニオン性赤色有機染料としては、具体的には、C.I.Solvent Red 124、Acid Red 52及び同289から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、C.I.Solvent Red 124が特に好ましい。
上記本発明に係る赤色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Red 177、同242、同166、同167、同179、C.I.Pigment Orange 38、同71、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Red 89、C.I.Solvent Orange 56、C.I.Solvent Yellow 21、同82、同83:1、同33、同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
本発明に係る緑色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料及びフタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するのが好ましい。上記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、次の2つの群のハロゲン化金属フタロシアニン顔料が挙げられる。
(第一群)
Al、Si、Sc、Ti、V、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn及びPbからなる群から選ばれる金属を中心金属として有し、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料であり、その中心金属が三価の場合には、その中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基(−SOH)のいずれかが結合しており、中心金属が四価金属の場合には、その中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかが結合しているハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(第二群)
Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属とし、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これら構成単位の各中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO−)からなる群から選ばれる二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体からなる顔料。
本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料において、ベンゼン環に結合するハロゲン原子は、全て同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。また、ひとつのベンゼン環に異なるハロゲン原子が結合していてもよい。
ここで、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子のうち9〜15個の臭素原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合した、本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、黄味を帯びた明るい緑色を呈し、カラーフィルタの緑色画素部への使用に最適である。本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、水や有機溶媒に不溶または難溶である。本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料には、後述する仕上げ処理が行われていない顔料(粗顔料とも呼ばれる)も、仕上げ処理が行われた顔料も、いずれも包含される。
前記第一群および第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、下記一般式(PIG−1)で表すことが出来る。
Figure 2020177071
第一群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、前記一般式(PIG−1)において、次の通りである。
一般式(PIG−1)において、X〜X16は、水素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。ひとつのベンゼン環に結合した4個のXの原子は同一でも異なっていても良い。4個のベンゼン環に結合したX〜X16のうち、8〜16個は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。Mは中心金属を表す。後述するY及びそれの個数mが同一であるハロゲン化金属フタロシアニン顔料の範囲において、16個のX〜X16のうち塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計が8未満の顔料は青色であり、同様に16個のX〜X16のうち塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計が8以上の顔料で前記合計値が大きいほど黄味が強くなる。中心金属Mに結合するYはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのハロゲン原子、酸素原子、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる一価原子団であり、mは中心金属Mに結合するYの数を表し、0〜2の整数である。
中心金属Mの原子価により、mの値が決定される。中心金属Mが、Al、Sc、Ga、Y、Inの様に原子価が3価の場合、m=1であり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の一つが中心金属に結合する。中心金属Mが、Si、Ti、V、Ge、Zr、Snの様に原子価が4価の場合は、m=2であり、酸素の一つが中心金属に結合するか、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の二つが中心金属に結合する。中心金属Mが、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Sn、Pbの様に原子価が2価の場合は、Yは存在しない。
また、第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、前記一般式(PIG−1)において次の通りである。
前記一般式(PIG−1)において、X〜X16については、前記定義と同義であり、中心金属MはAl、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を表し、mは1を表す。Yは次の原子団を表す。
Figure 2020177071
なお、原子団Yの化学構造中、中心金属Mは前記した定義と同義であり、X17〜X32については、一般式(PIG−1)において前記したX〜X16の定義と同義である。Aは、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO−)からなる群から選ばれる二価原子団を表す。一般式(PIG−1)中のMと原子団YのMとは、二価原子団Aを介して結合していることを表す。
即ち、第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、ハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これらが前記二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体である。
一般式(PIG−1)で表わされるハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、具体的には、次の(1)〜(4)が挙げられる。
(1) ハロゲン化錫フタロシアニン顔料、ハロゲン化ニッケルフタロシアニン顔料、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の様な、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Sn及びPbからなる群から選ばれる二価金属を中心金属として有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。なお、この中で、塩素化臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、C.I.Pigment Green 58であり、特に好ましい。
(2) ハロゲン化クロロアルミニウムフタロシアニンの様な、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属として有し、中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかを有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(3) ハロゲン化オキシチタニウムフタロシアニン、ハロゲン化オキシバナジウムフタロシアニンの様な、Si、Ti、V、Ge、Zr及びSnからなる群から選ばれる四価金属を中心金属として有し、中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかを有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(4) ハロゲン化されたμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体、ハロゲン化されたμ−チオ−アルミニウムフタロシアニン二量体の様な、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属とし、フタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これら構成単位の各中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選ばれる二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体からなる顔料。
その他の色材としては、緑色の色層中にC.I.Solvent Blue 67とC.I.Solvent Yellow 162との混合物、又はC.I.Pigment Green 7及び/又は同36を任意に含有するのが好ましい。
上記本発明に係る緑色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、C.I.Solvent Yellow 21、同82、同83:1、同33からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
本発明に係る青色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ε型銅フタロシニアン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料を含有するのが好ましい。ε型銅フタロシニアン顔料は、C.I.Pigment Blue 15:6である。カチオン性青色有機染料としては、具体的には、C.I.Solvent Blue 2、同3、同4、同5、同6、同7、同23、同43、同72、同124、C.I.Basic Blue7、同26が好ましく、C.I.Solvent Blue 7、Basic Blue7がより好ましく、C.I.Solvent Blue 7が特に好ましい。
上記本発明に係る青色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Basic Blue 7、C.I.Basic Violet 10、C.I.Acid Blue 1、同90、同83、C.I.Direct Blue 86からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
また、本発明に係る光変換層に、黄色(Y)画素部(黄色の色層)を含む場合、色材として、黄色の色層中には、に、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Yellow 21、82、同83:1、同33、同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色有機染顔料を含有するのも好ましい。
本発明における光変換層において、透明樹脂に対する発光用ナノ結晶の含有量の上限は、透明樹脂100質量部に対して、80質量部、70質量部、60質量部、50質量部が好ましく、前記発光用ナノ結晶の含有量の下限は、透明樹脂100質量部に対して、1.0質量部、3.0質量部、5.0質量部、10.0質量部が好ましい。光変換層に複数種の発光用ナノ結晶が含まれる場合において、上記含有量は合計量を表す。
(カラーフィルタ)
本発明に係る光変換層は、発光用ナノ結晶を含む層(NC)とカラーフィルタ(CF)とを積層させた積層体であることが好ましい(例えば、図19)。より詳細には、当該光変換層は、赤色の色層Rと、緑色の色層Gと、青色の色層Bと、を有することが好ましい。この場合、赤色(R)の画素部R(赤色の色層部R)は、赤色発光用ナノ結晶を含む層(NC)と赤色の色材を含む色材層(CF‐Red)とで構成されることが好ましい。緑色(R)の画素部(緑色の色層部G)は、緑色発光用ナノ結晶を含む層(NC)と緑色の色材を含む色材層(CF‐Green)または黄色の色材を含む色材層(黄色の色層)とで構成されることが好ましい。青色(R)の画素部(青色の色層部B)は、青色の色材を含む色材層(CF‐Blue 青色の色材を含む層)および/または透明樹脂層と、必要により青色発光用ナノ結晶を含む層(NC)とで構成されることが好ましい。本発明では、図7における光変換画素層に積層される色材層(CF―Green、CF、Red)、図8又は図9におけるカラーフィルタ(CFL)、図9における青色カラーフィルタ(CF−Blue)のように色材を含むカラーフィルタを適宜使用することができる。
カラーフィルタは、上記色材を用いて形成することが好ましい。例えば、赤色(R)のカラーフィルタ中にジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を、緑色(G)のカラーフィルタ中にハロゲン化銅フタロシニアン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を、青色(B)のカラーフィルタ中にε型銅フタロシニアン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料を含有することが好ましい。
また、カラーフィルタには、必要により前述の透明樹脂や後述の光硬化性化合物、分散剤などを含んでもよく、カラーフィルタの製造方法は公知のフォトリソグラフィ法などで形成することができる。
(光変換層の製造方法)
光変換層は、従来公知の方法で形成することができる。画素部の形成方法の代表的な方法としては、フォトリソグラフィ法であり、これは、後記する発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物を、従来のカラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素、必要に応じて黄色(Y)画素等の他の色の画素ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素、黄色(Y)画素の着色画素部を有する光変換層を製造することができる。
後記する発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。また、発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用できる。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、90〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、発光用ナノ結晶を含有する光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、光変換層が完成する。
本発明の光変換層用色材、樹脂は、本発明の発光用ナノ結晶と用いることで、液晶層の電圧保持率(VHR)の低下、青色光または紫外光による劣化、イオン密度(ID)の増加を防止し、白抜け、配向むら、焼き付けなどの表示不良の問題を解決する液晶表示装置を提供することが可能となる。
上記発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の製造方法としては、発光用ナノ結晶と、有機溶剤と、を混合して、必要により、親和性のある分子、分散剤、色材(=染料及び/又は顔料組成物)と、を添加し均一となる様に攪拌分散を行って、まず光変換層の画素部を形成するための分散液を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて発光用ナノ結晶を含有する発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物とする方法が一般的である。
ここで用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸プロピルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。
ここで用いられる分散剤としては、例えば、ビックケミー社のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2020、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2096、ディスパービック2150、ディスパービックLPN21116、ディスパービックLPN6919エフカ社のエフカ46、エフカ47、エフカ452、エフカLP4008、エフカ4009、エフカLP4010、エフカLP4050、LP4055、エフカ400、エフカ401、エフカ402、エフカ403、エフカ450、エフカ451、エフカ453、エフカ4540、エフカ4550、エフカLP4560、エフカ120、エフカ150、エフカ1501、エフカ1502、エフカ1503、ルーブリゾール社のソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース17000、18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000、味の素株式会社のアジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB814、アジスパーPN411、アジスパーPA111等の分散剤や、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン等の天然ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、酸化ロジン、マレイン化ロジン等の変性ロジン、ロジンアミン、ライムロジン、ロジンアルキレンオキシド付加物、ロジンアルキド付加物、ロジン変性フェノール等のロジン誘導体等の、室温で液状かつ水不溶性の合成樹脂を含有させることが出来る。これら分散剤や、樹脂の添加は、フロッキュレーションの低減、顔料の分散安定性の向上、分散体の粘度特性を向上にも寄与する。
また、分散助剤として、有機顔料誘導体の、例えば、フタルイミドメチル誘導体、同スルホン酸誘導体、同N−(ジアルキルアミノ)メチル誘導体、同N−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド誘導体等も含有することも出来る。もちろん、これら誘導体は、異なる種類のものを二種以上併用することも出来る。
発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレ
発光用ナノ結晶含有光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。市販の光重合開始剤としては、たとえば、BASF社製「イルガキュア(商標名)−184」、「イルガキュア(商標名)−369」、「ダロキュア(商標名)−1173」、BASF社製「ルシリン−TPO」、日本化薬社製「カヤキュアー(商標名)DETX」、「カヤキュアー(商標名)OA」、ストーファー社製「バイキュアー10」、「バイキュアー55」、アクゾー社製「トリゴナールPI」、サンド社製「サンドレー1000」、アップジョン社製「デープ」、黒金化成社製「ビイミダゾール」などがある。
また上記光重合開始剤に公知慣用の光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、たとえば、アミン類、尿素類、硫黄原子を有する化合物、燐原子を有する化合物、塩素原子を有する化合物またはニトリル類もしくはその他の窒素原子を有する化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤の配合率は、特に限定されるものではないが、質量基準で、光重合性あるいは光硬化性官能基を有する化合物に対して0.1〜30%の範囲が好ましい。0.1%未満では、光硬化時の感光度が低下する傾向にあり、30%を超えると、顔料分散レジストの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
前記した様な各材料を使用して、質量基準で、本発明の発光用ナノ結晶100部当たり、300〜100000部の有機溶剤と、1〜500部の親和性のある分子や分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記染顔料液を得ることができる。次いでこの顔料分散液100部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が0.125〜2500部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜10部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散して画素部を形成するための発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物を得ることができる。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することができる。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ画素部の形成に効果的である。
ここでは、フォトリソグラフィ法によるR画素、G画素、B画素、Y画素の着色画素部の製造方法について詳記したが、本発明の発光用ナノ結晶含有組成物を使用して調製された画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(PhotovoltaicElectrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法で各色画素部を形成して、光変換層を製造してもよい。
本発明に係る光変換層用のインク組成物の製造方法について説明する。インク組成物の製造方法は、例えば、光散乱性粒子及び高分子分散剤を含有する、光散乱性粒子の分散体を用意する第1の工程と、光散乱性粒子の分散体及び発光性ナノ結晶粒子を混合する第2の工程と、を備える。この方法では、光散乱性粒子の分散体が熱硬化性樹脂を更に含有してよく、第2の工程において、熱硬化性樹脂を更に混合してもよい。この方法によれば、光散乱性粒子を充分に分散させることができる。そのため、画素部における漏れ光を低減することができるインク組成物を容易に得ることができる。
光散乱性粒子の分散体を用意する工程では、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、場合により、熱硬化性樹脂とを混合し、分散処理を行うことにより光散乱性粒子の分散体を調製してよい。混合及び分散処理は、ビーズミル、ペイントコンディショナー、遊星撹拌機等の分散装置を用いて行ってよい。光散乱性粒子の分散性が良好となり、光散乱性粒子の平均粒子径を所望の範囲に調整しやすい観点から、ビーズミル又はペイントコンディショナーを用いることが好ましい。
インク組成物の製造方法は、第2の工程の前に、発光性ナノ結晶粒子と、熱硬化性樹脂とを含有する、発光性ナノ結晶粒子の分散体を用意する工程を更に備えていてもよい。この場合、第2の工程では、光散乱性粒子の分散体と、発光性ナノ結晶粒子の分散体と、を混合する。この方法によれば、発光性ナノ結晶粒子を充分に分散させることができる。そのため、画素部における漏れ光を低減することができるインク組成物を容易に得ることができる。発光性ナノ結晶粒子の分散体を用意する工程では、光散乱性粒子の分散体を用意する工程と同様の分散装置を用いて、発光性ナノ結晶粒子と、熱硬化性樹脂との混合及び分散処理を行ってよい。
本実施形態のインク組成物を、インクジェット方式用のインク組成物として用いる場合には、圧電素子を用いた機械的吐出機構による、ピエゾジェット方式のインクジェット記録装置に適用することが好ましい。ピエゾジェット方式では、吐出に当たり、インク組成物が瞬間的に高温に晒されることがなく、発光性ナノ結晶粒子の変質が起こり難く、カラーフィルタ画素部(光変換層)も期待した通りの発光特性がより容易に得られやすい。
本発明に係る光変換層は、例えば、基材上に遮光部であるブラックマトリックスをパターン状に形成した後、基材上の遮光部によって区画された画素部形成領域に、上述した実施形態のインク組成物(インクジェットインク)をインクジェット方式により選択的に付着させ、活性エネルギー線の照射又は加熱によりインク組成物を硬化させる方法により製造することができる。
遮光部を形成させる方法は、基材の一面側の複数の画素部間の境界となる領域に、クロム等の金属薄膜、又は、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法等が挙げられる。金属薄膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができ、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜は、例えば、塗布、印刷等の方法により形成することができる。パターニングを行う方法としては、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。
インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)方式、或いは圧電素子を用いたピエゾジェット方式等が挙げられる。
インク組成物の硬化を活性エネルギー線(例えば紫外線)の照射により行う場合、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等を用いてよい。照射する光の波長は、例えば、200nm以上であってよく、440nm以下であってよい。露光量は、例えば、10mJ/cm以上であってよく、4000mJ/cm以下であってよい。
インク組成物の硬化を加熱により行う場合、加熱温度は、例えば、110℃以上であってよく、250℃以下であってよい。加熱時間は、例えば、10分以上であってよく、120分以下であってよい。
また、本明細書において、インクジェット法で使用される化合物、樹脂などの材料は、フォトリソグラフィ法で用いてもよく、またその反対にフォトリソグラフィ法で使用される化合物、樹脂などの材料は、インクジェット法で用いてもよいことは言うまでもない。
以上、カラーフィルタ及び光変換層、並びにこれらの製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
「液晶パネル」
次に、本発明に係る液晶表示素子における液晶パネルの構造について説明する。
液晶パネル10の好ましい実施形態を、図10〜13および図14〜図16を用いて説明する。図10は、液晶表示部の電極層3の構造図の模式図を表し、液晶パネル10の電極部分を等価回路で示した模式図であり、図111および12は画素電極の形状の一例を示す模式図であり、本実施形態の一例として、FFS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。図13は、本実施形態の一例として、IPS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。図1〜図2に示すように、液晶パネル10に対して側面側または背面側から照明する照明手段としてバックライトユニットを設けることで液晶表示素子として駆動する。
図1〜2および図10において、本発明に係る電極層3、3’は、1以上の共通電極および/または1以上の画素電極を備えている。例えば、FFS型の液晶表示素子では、画素電極は、絶縁層(例えば、窒化シリコン(SiN)など)を介して共通電極上に配置されており、VA型の液晶表示素子では、画素電極と共通電極とは液晶層5を介して対向して配置されている。
画素電極は表示画素毎に配置され、スリット状の開口部が形成されている。共通電極と画素電極とは、例えばITO(Indium Tin Oxide)によって形成された透明電極であり、電極層3は、表示部において、複数の表示画素が配列する行に沿って延びるゲートバスラインGBL(GBL1、GBL2・・・GBLm)と、複数の表示画素が配列する列に沿って延びるソースバスラインSBL(SBL1、SBL2・・・SBLm)と、ゲートバスラインとソースバスラインとが交差する位置近傍に画素スイッチとして薄膜トランジスタを備えている。また、当該薄膜トランジスタのゲート電極は対応するゲートバスラインGBLと電気的に接続されており、当該薄膜トランジスタのソース電極は対応する信号線SBLと電気的に接続されている。さらに、薄膜トランジスタのドレイン電極は、対応する画素電極と電気的に接続されている。
電極層3は、複数の表示画素を駆動する駆動手段として、ゲートドライバとソースドライバとを備えており、前記ゲートドライバおよび前記ソースドライバは、液晶表示部の周囲に配置されている。また、複数のゲートバスラインはゲートドライバの出力端子と電気的に接続され、複数のソースバスラインはソースドライバの出力端子と電気的に接続されている。
ゲートドライバは複数のゲートバスラインにオン電圧を順次印加して、選択されたゲートバスラインに電気的に接続された薄膜トランジスタのゲート電極にオン電圧を供給する。ゲート電極にオン電圧が供給された薄膜トランジスタのソース−ドレイン電極間が導通する。ソースドライバは、複数のソースバスラインのそれぞれに対応する出力信号を供給する。ソースバスラインに供給された信号は、ソース−ドレイン電極間が導通した薄膜トランジスタを介して対応する画素電極に印加される。ゲートドライバおよびソースドライバは、液晶表示素子の外部に配置された表示処理部(制御回路とも称する)により動作を制御される。
本発明に係る表示処理部は、通常駆動のほかに駆動電力低減のために低周波駆動の機能と間欠駆動の機能とを備えてもよく、TFT液晶パネルのゲートバスラインを駆動するためのLSIであるゲートドライバの動作およびTFT液晶パネルのソースバスラインを駆動するためのLSIであるソースドライバの動作を制御するものである。また、共通電極に共通電圧VCOMを供給し、バックライトユニットの動作も制御している。例えば、本発明に係る表示処理部は、表示画面全体を複数の区画に分けて、それぞれの区画に映す画像の明るさに合わせてバックライトの光の強度を調整するローカルディミング手段を有してもよい。
本発明に係る液晶表示素子におけるFFS型の液晶パネルの例を図11、および図12を用いて説明する。
図11は、画素電極の形状の一例として櫛形の画素電極を示した図であり、図1および2における基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図11に示すように、第一の基板2の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む電極層3は、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のソースバスライン25とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。当該複数のゲートバスライン26と当該複数のソースバスライン25とにより囲まれた領域により、液晶表示装置の単位画素が形成され、該単位画素内には、画素電極21及び共通電極22が形成されている。ゲートバスライン26とソースバスライン25が互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、画素電極21に表示信号を供給するスイッチ素子として、画素電極21と連結している。また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン29が設けられる。この共通ライン29は、共通電極22に共通信号を供給するために、共通電極22と連結している。
画素電極21の背面には絶縁層18(図示せず)を介して共通電極22が一面に形成されている。そして、隣接する共通電極と画素電極との最短離間経路の水平成分は配向層同士(または基板同士)の最短離間距離(セルギャップ)より短い。前記画素電極の表面には保護絶縁膜及び配向層によって被覆されていてもよい。ここで言う「最短離間経路の水平成分」とは、隣接する共通電極と画素電極とを結ぶ最短離間経路を、基板に対して水平方向と基板に対して垂直方向(=厚み方向)とに分解した成分のうち、基板に対して水平方向の成分をいう。なお、前記複数のゲートバスライン26と複数のソースバスライン25とに囲まれた領域にはソースバスライン25を介して供給される表示信号を保存するストレイジキャパシタ(図示せず)を設けてもよい。
また、図12は、図11の変形例であり、画素電極の形状の一例としてスリット状の画素電極を示した図である。当該図12に示す画素電極21は、略長方形の平板体の電極を、当該平板体の中央部および両端部が三角形状の切欠き部でくり抜かれ、その他の部分は略矩形枠状の切欠き部でくり抜かれた形状である。なお、切欠き部の形状は特に制限されるものではなく、楕円、円形、長方形状、菱形、三角形、または平行四辺形など公知の形状の切欠き部を使用できる。
なお、図11および図12には、一画素における一対のゲートバスライン26及び一対のソースバスライン25のみが示されている。
図14〜図16を用いて光変換層6について以下説明する。
本発明に係る光変換層6を拡大した模式図の一例を図14に示す。光変換層6は、赤色の色層Rと緑色の色層Gと青色の色層Bとを有する。赤色(R)の画素部R(赤色の色層R)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)と青色または黄色の色材を含む色材層(いわゆる黄色カラーフィルタまたは青色カラーフィルタ)とで構成されている。緑色(G)の画素部G(緑色の色層G)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)と青色または黄色の色材を含む色材層(いわゆる黄色カラーフィルタまたは青色カラーフィルタ)とで構成されている。青色(B)の画素部B(青色の色層B)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む光変換画素層(または透明樹脂層)と青色または黄色の色材を含む色材層(いわゆる黄色カラーフィルタまたは青色カラーフィルタ)とで構成される。そのため、光変換層6は、赤色の色層、緑色の色層および青色の色層を含むナノ結晶層NCLに対して光源側に色材を含む色層(いわゆるカラーフィルタ)CFLが積層した2層が設けられている。さらに赤色の色層と緑色の色層と青色の色層との間に、混色を防止するために、それぞれ遮光層としてブラックマトリックスBMが設けられている。また、黄色カラーフィルタを一面に設けることで、発光用ナノ結晶に吸収されない青色光をカットすることができる。
図14では好ましい光変換層の態様の一つとして、ナノ結晶層NCLと色材を含む色材層(いわゆるカラーフィルタ)CFLとが積層されている。光源からの光(励起光、例えば青色光)を全て光変換層で変換できないため、残った励起光が光変換層を透過させず吸収する必要がある。そのため、光変換層は、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と色材を含む色層(いわゆるカラーフィルタ)CFLとを積層させることで、残った励起光(青色光)を外部から視認しないよう抑制している。しかし、必要により色材を含む色層(いわゆるカラーフィルタ)CFLを無くしてもよい。その場合、好ましい光変換層の態様の他の一つとしては、図16などで示すようにナノ結晶層NCLから構成される。
また、図14ではカラーフィルタ層CFLとして、光源として420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有する光(例えば青色LEDなどの光)を想定して青色の色材を含む色層を設けているが、使用する光源の種類により当該色層の種類は適宜変更される。
また、赤色の色層R、緑色の色層Gおよび青色の色層Bには、必要により適宜色材を含んでもよい。さらには、発光用ナノ結晶NCを含む層(NCL)には、それぞれの色に対応した色材を含んでも良い。
図15は、好ましい光変換層の態様の他の一つを模式的に示している。光変換層6は、赤色の色層Rと緑色の色層Gと青色の色層Bとを有する。赤色(R)の画素部R(赤色の色層R)は、赤色の色材を含む色材層(いわゆる赤色カラーフィルタ)CF‐Redと赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC)と青色の色材を含む色材層CFL(青色または黄色カラーフィルタCF−BLue・Yellow)で構成される。緑色(G)の画素部(緑色の色層G)は、緑色の色材を含む色材層(いわゆる緑色カラーフィルタ)CF‐Greenと緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC)と青色の色材を含む色材層CFL(青色または黄色カラーフィルタCF−Blue・Yellow)とで構成される。青色(R)の画素部(青色の色層B)は、透明樹脂層および/または青色または黄色の色材を含む色層CFL(いわゆる青色または黄色カラーフィルタ)と必要により含まれる発光用ナノ結晶を含む層(NC)と青色の色材を含む色層CFL(青色または黄色カラーフィルタ)とで構成される。さらには、赤色の色層と緑色の色層と青色の色層のそれぞれの間に遮光層としてブラックマトリックスが配置されている。黄色カラーフィルタを一面に設けることで、発光用ナノ結晶に吸収されない青色光をカットすることができる。
したがって、光変換層6は、(青色または黄色の)カラーフィルタ層CFLと、発光用ナノ結晶NCを含む層(NCL)と、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備えた赤色(R)、緑色(G)および青色(B)カラーフィルタと、が順に積層された構造であり、三層構造の積層体を有する。しかし、必要によりカラーフィルタ層CFLを無くしてもよい。なお、緑色の色材を含む色材層(いわゆる緑色カラーフィルタ)CF‐Greenの代わりに、色調整のため黄色の色材を含む色材層(いわゆる黄色カラーフィルタ)を使用してもよい。
また、赤色の色層R、緑色の色層Gおよび青色の色層Bには、必要により適宜色材を含んでもよい。さらには、発光用ナノ結晶NCを含む層(NCL)には、それぞれの色に対応した色材を含んでも良い。
上記構成であると、光源からの光(励起光、例えば青色光)のうち、発光用ナノ結晶で吸収されない光を、各色のカラーフィルタや一面に設けられた青色のカラーフィルタ層CFLで吸収することができるため、残った励起光が光変換層を透過することを軽減・抑制することができる。また、図15でもカラーフィルタ層CFLとして、光源として青色LEDを想定して青色のカラーフィルタ層を設けているが、使用する光源の種類によりカラーフィルタ層の色の種類は適宜変更される。
本発明に係る光変換層6を拡大した模式図の他の一例を図16に示す。光変換層6は、赤色の色層Rと緑色の色層Gと青色の色層Bとを有する。赤色(R)の画素部R(赤色の色層R)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)から構成されている。緑色(G)の画素部G(緑色の色層G)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)から構成されている。青色(B)の画素部B(青色の色層部B)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む(光変換画素)層(または透明樹脂層)から構成される。そのため、光変換層6は、赤色の色層R、緑色の色層Gおよび青色の色層Bを含むナノ結晶層NCLの1層で構成されている。また、赤色の色層Rと緑色の色層Gと青色の色層Bとの間に、混色を防止するために、それぞれ遮光層としてブラックマトリックスBMが設けられている。
また、赤色の色層R、緑色の色層Gおよび青色の色層Bには、必要により適宜色材を含んでもよい。さらには、発光用ナノ結晶NCを含む層(NCL)には、それぞれの色に対応した色材を含んでも良い。
図1、図12、および、図12に示すようなFFS型の液晶表示素子の実施形態では、共通電極22はゲート絶縁層12上のほぼ全面に形成された平板状の電極であり、一方、画素電極21は共通電極22を覆う絶縁保護層18上に形成された櫛形の電極である。すなわち、共通電極22は画素電極21よりも第一の基板2に近い位置に配置され、これらの電極は絶縁保護層18を介して互いに重なりあって配置される。画素電極21と共通電極22は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)等の透明導電性材料により形成される。画素電極21と共通電極22が透明導電性材料により形成されるため、単位画素面積で開口される面積が大きくなり、開口率及び透過率が増加する。
また、画素電極21と共通電極22とは、これらの電極間にフリンジ電界を形成するために、画素電極21と共通電極22との間の電極間経路の水平成分(最小離間経路の水平成分とも称する)Rが、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層5の厚さGより小さくなるように形成される。ここで、電極間経路の水平成分Rは各電極間の基板に水平方向の距離を表す。FFS型の液晶表示素子は、画素電極21の櫛形を形成するラインに対して垂直な方向に形成される水平方向の電界と、放物線状の電界を利用することができる。画素電極21の櫛状部分の電極幅:l、及び、画素電極21の櫛状部分の間隙の幅:mは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。また、画素電極と共通電極との最小離間経路の水平成分Rは、絶縁膜の(平均)膜厚などで調整することができる。
本発明に係る液晶表示素子におけるFFS型の液晶パネルの変形例であるIPS型の液晶パネルの例を図13を用いて説明する。IPS型の液晶表示素子における液晶パネル10の構成は、上記図1のFFS型と同様に片側の基板上に電極層3(共通電極と画素電極とTFTを含む)が設けられた構造であり、第一の偏光層1と、第一の基板2と、電極層3と、液晶組成物を含む液晶層5と、第二の偏光層8と、光変換層6と、第二の基板7と、が順次積層された構成である。
図13は、IPS型の液晶表示部における図1の第一の基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域の一部を拡大した平面図である。図13に示すように、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のソースバスライン25とにより囲まれた領域内(単位画素内)で、櫛歯形の第一の電極(例えば、画素電極)21と櫛歯型の第二の電極(例えば、共通電極)22とが互いに遊嵌した状態(両電極が一定距離を保った状態で離間して噛合した状態)で設けられている。該単位画素内には、ゲートバスライン26とソースバスライン25が互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、第一の電極21に表示信号を供給するスイッチ素子として、第一の電極21と連結している。また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン(Vcom)29が設けられる。この共通ライン29は、第二の電極22に共通信号を供給するために、第二の電極22と連結している。
図13に示すような実施の形態では、第一の電極21及び第二の電極22は、絶縁保護層31上に、すなわち同一の層上に形成された櫛形の電極であり、互いに離間して噛合した状態で設けられている。IPS型の液晶表示部では、第一の電極21と第二の電極22との間の電極間距離Gと、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層の厚さ(セルギャップ):Hは、G≧Hの関係を満たす。電極間距離:Gとは、第一の電極21と第二の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離を表し、図13で示す例においては、第一の電極21と第二の電極22とが遊嵌して交互に形成されたラインに対して、水平の方向の距離を表す。第一の基板2と第二の基板7との距離:Hとは、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層の厚さを表し、具体的には、第一の基板2及び第二の基板7のそれぞれに設けられた最表面間の距離(すなわちセルギャップ)、液晶層の厚みを表す。
一方、先述のFFS型の液晶パネルでは、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層の厚さが、第一の電極21と第二の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離以上であり、IPS型の液晶表示部は、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層の厚さが、第一の電極21と第二の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離未満である。
IPS型の液晶パネルは、第一の電極21及び第二の電極22間に形成される基板面に対して水平方向の電界を利用して液晶分子を駆動させる。第一の電極21の電極幅:Q、及び第二の電極22の電極幅:Rは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子は、バックライトユニット100を液晶の画素数より少ない複数の区画毎に輝度を制御することで、コントラストを向上させるローカルディミングの手法を有していても良い。
ローカルディミングの手法としては、複数存在する発光素子Lを液晶パネル上の特定の領域の光源として使用し、各発光素子Lを表示領域の輝度に応じて制御することが可能である。この場合、当該複数の発光素子Lが、平面状に配列された形態であっても、液晶パネル10の一側面側に一列に並べられた形態であっても良い。
上記ローカルディミングの手法としてバックライトユニット100の導光部102と液晶パネル10とを有する構造になっている場合において、導光板(および/または光拡散板)と液晶パネルの光源側の基板との間に当該導光部102として、液晶の画素数より少ない特定領域毎にバックライトの光量を制御する制御層を有していても良い。
バックライトの光量を制御する手法としては、液晶の画素数より少ない液晶素子を更に有していても良く、液晶素子としては既存の様々手法を用いることができるが、ポリマーネットワークが形成された液晶を含むLCD層が透過率の点で好ましい。当該ポリマーネットワークが形成された(ネマチック)液晶を含む層(必要により一対の透明電極で挟持されたポリマーネットワークが形成された(ネマチック)液晶を含む層)は、電圧OFF時は光を散乱し、電圧ON時は光を透過するため、表示画面全体を複数の区画に分けるように区画されたポリマーネットワークが形成された液晶を含むLCD層を、導光板(および/または光拡散板)と液晶パネルの光源側の基板との間に設けることでローカルディミングを実現できる。
また、本発明に係る液晶表示素子は、下記数式(1)にてリタデーション(Re)(25℃)が定義される。
Re=Δn×d 数式(1)
(上記数式(1)中、Δnは589nmにおける屈折率異方性を表し、dは液晶表示素子の液晶層のセル厚(μm)を表す。)
光源部は450nmに主発光ピークを有することが好ましい。また、リタデーション(Re)は、250〜400nmであることが好ましく、270〜380nmであることがさらに好ましい。
可視光全域の波長を含む従来の白色光の透過をスイッチングする通常の液晶表示素子と、当該量子ドットの励起を引き起こす約500nm以下の青色可視光(いわゆる短波長領域の光)または紫外線の透過をスイッチングする液晶表示素子とでは、透過する光および当該透過する光の光学的な性質が異なるため、それぞれの素子に求められる特性等も相違する。従来技術では、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を発光素子として用いた液晶表示素子で用いられる光源と、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を含まない通常の液晶表示素子で使用する光源との違いに起因する液晶材料の光学特性についての最適化がなされておらず、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を用いた表示素子の光学特性を最大限に利用できない問題が確認された。しかし、上記リタデーションの条件により、液晶表示素子の透過率を向上することができる。そのため、発明が解決しようとする他の課題は、液晶表示素子の透過率の低下を抑制または防止するものである。
以下、本発明に係る液晶表示素子の主な構成要素である光源部、偏光層、液晶層および化合物(I)より形成された重合体(PL)、必要に応じて有しても良い配向層について説明する。
(光源部)
本発明に係る光源部は、紫外または可視光を発光する発光素子を有する。当該発光素子は、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有す
本発明に係る発光素子(または発光ダイオード)は、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、430nm以上500nm以下(420nm以上480nm以下)の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオードを好適に使用できる。当該青色領域に主発光ピークを有する発光ダイオードは、公知のものを使用することができる。青色領域に主発光ピークを有する発光ダイオードとしては、例えば、サファイア基板の上に形成されるAlNからなるシード層と、シード層上に形成される下地層と、GaNを主体とする積層半導体層とを少なくとも備えたものなどが例示として挙げられる。また、積層半導体層は、基板側から下地層、n型半導体層、発光層およびp型半導体層の順に積層されて構成されたものが挙げられる。
紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、LED等が挙げられるが、本発明に係る発光素子Lは、上記の420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有するLED以外として、紫外光を発生するLEDが好ましい。
なお、本明細書において、420〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を青色光と称し、500〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を緑色光と称し、605〜665nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を赤色光と称する。また、本明細書の紫外光とは、300nm以上420nm未満の波長帯域に発光中心波長を有する光をいう。さらに本明細書において、「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。
(偏光層)
本発明に係る偏光層は特に制限されることは無く、公知の偏光板(偏光層)を使用することができる。例えば、二色性有機色素偏光子、塗布型偏光層、ワイヤーグリッド型偏光子、またはコレステリック液晶型偏光子などが挙げられる。たとえば、ワイヤーグリッド型偏光子は、第1基板、第2基板、カラーフィルタ上に形成され、ナノインプリント法、ブロックコポリマー法、Eビームリソグラフィ法またはグランシングアングル蒸着法のうちいずれか一つによって形成されることが好ましい。また、塗布型偏光層を形成する場合、本明細書の以下で説明する配向層をさらに設けてもよい。そのため、本発明に係る偏光層が塗布型偏光層である場合、塗布型偏光層と配向層とを有することが好ましい。
(液晶表示素子の形態)
本実施形態の液晶組成物は、液晶表示素子に適用される。液晶表示素子は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であってよい。液晶表示素子1は、IPS型、FFS型又はPSA型、PSVA型、VA型、ECB型の液晶表示素子であってよく、より好ましくはIPS型、FFS型の液晶表示素子である。
本実施形態の液晶表示素子では、化合物(I)より形成された重合体(PL)を含むため、第一基板及び第二基板の液晶層側にポリイミド配向膜等の配向膜が設けられている必要がない。すなわち、本実施形態の液晶表示素子は、二つの基板のうち少なくとも一方の基板がポリイミド配向膜等の配向膜を有さない構成をとることができる。
(配向層)
前述の通り、本実施形態の液晶表示素子は、二つの基板のうち少なくとも一方の基板がポリイミド配向膜等の配向膜を有さない構成をとることができるが、配向膜を片面に設ける場合は、その配向膜は重合体PLに接する層として位置する。これは、例えば、ラビング処理されたポリイミド膜であり、各配向膜の配向方向は平行である。
配向膜を両面とも含まない場合は、液晶表示素子への(偏光)UV処理、または基板へのラビング処理などを行なうことにより、液晶分子の均一な一軸配向を実現することができる。
ただし、ここでUV照射の偏光軸の沿った分子は選択的に反応し、消費されてゆくため液晶分子の配向軸は相対的にUV偏光軸に対して垂直になることに留意が必要である。ちなみに、ラビング処理の場合は、液晶分子の配向軸はラビング軸に対して平行になる。
配向層を必要とする液晶表示素子においては、光変換層と液晶層と間に配置するものであるが、配向層の膜厚が厚いものでも100nm以下と薄く、光変換層を構成する発光用ナノ結晶、顔料等の色素と液晶層を構成する液晶化合物との相互作用を完全に遮断するものでは無い。
本発明において有していてもよい配向層は、ラビング配向層および光配向層からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。ラビング配向層の場合は、特に制限されることは無く、公知のポリイミド系の配向層を好適に使用することができる。
当該ラビング配向層材料としては、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ペンゾシクロブテンポリマー)、ポリビニルアルコールなどの透明性有機材料を用いることができ、特に、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフエニルメタンなどの脂肪族または脂環族ジアミン等のジアミン及びブタンテトラカルボン酸無水物や2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸無水物から合成されるポリアミック酸をイミド化した、ポリイミド配向層が好ましい。垂直配向層等に使用する場合は配向を付与しないで使用することもできる。
(光配向)
本発明において有していてもよい配向層が光配向層の場合は、光応答性分子を1種以上含むものであればよい。前記光応答性分子は、光に応答して二量化により架橋構造を形成する光応答性二量化型分子、光に応答して異性化し偏光軸に対して略垂直または平行に配向する光応答性異性化型分子、および光に応答して高分子鎖が切断する光応答性分解型高分子からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、光応答性異性化型分子が感度、配向規制力の点から特に好ましい。
前記光応答性異性化型高分子において、光に応答して異性化し偏光軸に対して略垂直に配向する際に使用される光は、200〜500nmであることが好ましく、300〜500nmであることがより好ましく、300〜400nmであることがさらに好ましい。
本発明に係る光応答性異性化型高分子の重量平均分子量は、10000〜800000であることが好ましく、10000〜400000であることがより好ましく、50000〜400000であることがさらに好ましく、50000〜300000であることが特に好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー,Gel Permeation Chromatography)測定の結果得られたものである。
(液晶層)
本発明に係る液晶表示素子の液晶層、および重合体(PL)の形成における液晶組成物は、正の誘電率異方性を有し、ネマチック相−等方性液体の転移温度が60℃以上であり、誘電率異方性の絶対値が1.5以上であり、下記一般式(2−A)及び(2−B)で表される群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有する。誘電率異方性の値は、1.5以上であることが好ましい。
Figure 2020177071
(一般式(2−A)及び(2−B)において、Rは炭素数1から7のアルキル、炭素数1から7のアルコキシ、または炭素数2から7のアルケニルであり、環Cは、複数存在する場合は相互に独立して、環上の-CH2基の少なくとも一つがO又はSで置換されていてもよい1,4−シクロへキシレン基、又は、環状の-CH-基の少なくとも一つがNで置換されていてもよい1,4−フェニレン基であり、これら環上のH原子は少なくともひとつのハロゲンで置換されていてもよく、L2は、複数存在する場合は相互に独立して、単結合、-C2H4-、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、OCF2-、であり、Xは、-F、-Cl、-CN、-NCS、-CF3、-OCF3、又は少なくとも1つのHがハロゲン原子で置換された炭素数1~6のアルキル又はアルコキシ基であり、YおよびYは相互に独立して、-Hまたは-Fであり、bは、1、2、3、または4である。)
一般式(2−A)及び一般式(2−B)中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
信頼性を重視する場合にはRはアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、前記式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
環Cはそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましい。
Figure 2020177071
本発明の組成物において、一般式(2−A)及び/又は一般式(2−B)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明の組成物の総量に対しての一般式(2−A)及び一般式(2−B)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明の組成物のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
一般式(2−A)で表される化合物としては、一般式(2―A―1)〜(2―A―28)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
(Rは炭素数1から7のアルキル、炭素数1から7のアルコキシ、または炭素数2から7のアルケニル基を表す。)
一般式(2−B)で表される化合物としては一般式(2−B−1)〜(2−B−5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020177071
(Rは炭素数1から7のアルキル、炭素数1から7のアルコキシ、または炭素数2から7のアルケニル基を表す。)
一般式(2−A)及び(2−B)で表される化合物は、どちらか一方の群からのみ選択して用いても良いし、それぞれの群から選択して組合わせて用いることもできる。
液晶組成物の信頼性を重視する場合は、一般式(2−A−1)〜(2−A−11)、(2−A−16)〜(2−A−20)及び一般式(2―B−1)〜(2−B−4)で表される群から選択される化合物を用いることが好ましく、中でも一般式(2−A−1)、(2−A−2)、(2−A−4)、(2−A−17)及び(2−A−20)で表される群から選択することがより好ましい。低い粘性を重視する場合は、一般式(2−A−12)〜(2−A−15)、(2−A−21)〜(2−A−28)及び(2―B−5)〜(2−B−6)で表される群から選択される化合物を用いることが好ましく、中でも(2−A−12)、(2−A−13)、(2−A−22)、(2−A−23)及び(2−A−26)で表される群から選択することがより好ましい。低い粘性を重視しつつ、更にFFSモードにおける透過率向上を重視する場合には、(2−A−14)、(2−A−15)、(2−A−25)、(2−A−27)及び(2−A−28)で表される群から選択される化合物を用いることが好ましい。本願発明の液晶表示素子の作製工程におけるUV照射の工程時間を短縮するためには、一般式(2−A−4)〜(2−A−7)、(2−A−20)及び(2−B−4)で表される群から選択される化合物を用いることが好ましく、中でも(2−A−4)又は(2−A−20)から選択される化合物が特に好ましく、これらの群の化合物を用いることによりUV照射時の液晶組成物の劣化や液晶表示素子の電圧保持率の低下、焼付きの発生といった不具合を発生させないか、またはその程度を低減することができる。
一般式(2−A−1)〜(2−A−28)及び一般式(2―B−1)〜(2−B−6)で表される化合物は、液晶表示素子に求める特性に応じて適宜選択し、必要に応じて複数種を組み合わせて用いることができるが、1〜12種用いることが好ましく、2〜10種用いることがより好ましく、3〜8種用いることが特に好ましい。液晶組成物中における各化合物単独での好ましい含有量を以下に示す。なお、表中の数字は質量%を意味する。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
上記含有量を調整した液晶組成物を用いて液晶表示素子を作成すると、第一の基板及び第二の基板と前記液晶層との間のうち少なくとも一方に配向膜を有しない液晶表示素子であっても、発光用ナノ結晶を含有する光変換層をカラーフィルタの替わりに用いた場合において、高い発光効率と色再現性を両立しつつ、高エネルギー光線の照射による液晶層の劣化を抑制または防止することができる。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)に該当する。このため、分子内に有する、ハロゲン等の極性基の個数を2個以下とした方が好ましく、1個以下とした方が好ましく、有さない方が好ましい。
誘電的に中性の化合物としては一般式(L)で表される群から選ばれる化合物を用いることが好ましい。
Figure 2020177071
(一般式(L)において、RL1およびRL2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基を表すが、基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−または−OCO−で置換されてもよく、 nL1は、0、1、2または3を表し、AL1、AL2およびAL3は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH−は、−O−で置換されてもよい。)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH=は、−N=で置換されてもよい。)、および
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH=は、−N=で置換されてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、前記基(a)、基(b)および基(c)は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されてもよく、ZL1およびZL2は、それぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−を表し、nL1が2以上の場合は、AL2およびZL2は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(L)で表される化合物は、誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)に該当する。かかる化合物は、1種を単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜選択される。使用する化合物の種類は、例えば、1種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
液晶組成物中に含まれる一般式(L)で表される化合物の量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整される。
その好ましい下限値は、1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%である。一方、その好ましい上限値は、95質量%、85質量%、75質量%、65質量%、55質量%、45質量%、35質量%、25質量%である。
液晶組成物の粘度(η)を低く保ち、応答速度を高める場合は、一般式(L)で表される化合物の量は、下限値が高くかつ上限値も高いことが好ましい。さらに、液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性を改善する場合は、その量は下限値が高くかつ上限値も高いことが好ましい。また、液晶表示素子の駆動電圧を低く保つため、液晶組成物のΔεを大きくする場合は、その量は下限値が低くかつ上限値も低いことが好ましい。
信頼性を重視する場合は、RL1およびRL2は、それぞれ独立して、アルキル基が好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合は、RL1およびRL2は、それぞれ独立して、アルコキシ基が好ましく、粘性の低下を重視する場合は、RL1およびRL2のうちの少なくとも一方は、アルケニル基が好ましい。
一般式(L)で表される化合物中に存在するハロゲン原子の数は、0、1、2または3個であることが好ましく、0または1個であることがより好ましい。また、他の液晶分子との相溶性を重視する場合は、ハロゲン原子の数は、1個であることが好ましい。
また、それらが結合する環構造がベンゼン環(芳香族環)である場合は、RL1およびRL2は、それぞれ独立して、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基、または炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましい。
それらが結合する環構造がシクロヘキサン環、ピラン環、ジオキサン環のような飽和した環構造の場合は、RL1およびRL2は、それぞれ独立して、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基、または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
ネマチック相を安定化させるためには、RL1およびRL2は、それぞれ独立して、炭素原子および酸素原子(存在する場合)の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることも好ましい。
アルケニル基としては、下記式(R1)〜(R5)で表される群から選ばれる基が好ましい。
Figure 2020177071
各式中の黒点は結合手を表す。
L1は、液晶分子の応答速度を重視する場合は0が好ましく、液晶分子のネマチック相の上限温度を改善する場合は2または3が好ましく、これらのバランスをとる場合は1が好ましい。また、液晶組成物として求められる特性を満たすためには、nL1が異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
L1、AL2およびAL3は、それぞれ独立して、液晶分子のΔnを大きくする場合は芳香族基が好ましく、液晶分子の応答速度を改善する場合は脂肪族基が好ましい。
かかる芳香族基または脂肪族基としては、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基が好ましく、下記化54で表される構造がより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基または1,4−フェニレン基がさらに好ましい。
Figure 2020177071
L1およびZL2は、それぞれ独立して、液晶分子の応答速度を重視する場合は単結合が好ましい。
一般式(L)で表される化合物は、下記一般式(L−1)〜(L−7)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は、下記の化合物である。
Figure 2020177071
式中、RL11およびRL12は、それぞれ一般式(L)におけるRL1およびRL2と同じ意味を表す。
L11およびRL12は、それぞれ独立して、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基、または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は、1種を単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選択される。使用する化合物の種類は、例えば、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−1)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%である。一方、その好ましい上限値は、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%である。
液晶組成物の粘度(η)を低く保ち、応答速度を高める場合は、一般式(L−1)で表される化合物の量は、下限値が高くかつ上限値も高いことが好ましい。さらに、液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性を改善する場合は、その量は下限値が中庸かつ上限値も中庸であることが好ましい。また、液晶表示素子の駆動電圧を低く保つため、液晶組成物のΔεを大きくする場合は、その量は下限値が低くかつ上限値も低いことが好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は、下記一般式(L−1−1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020177071
式中、RL12は、一般式(L−1)における意味と同じ意味を表す。
一般式(L−1−1)で表される化合物は、下記式(L−1−1.1)〜(L−1−1.3)で表される化合物であることが好ましく、式(L−1−1.2)または式(L−1−1.3)で表される化合物であることがより好ましく、式(L−1−1.3)で表される化合物であることが特に好ましい。式(L−1−1.3)で表される化合物を用いると、液晶組成物に低い粘性と高い弾性定数を与えることができ表示素子の高速応答化に有利であるだけでなく、製造工程でのUV照射によるアルケニル化合物特有の劣化が無く、表示品位や信頼性の低下を抑える事ができる点でも好ましい。
Figure 2020177071
液晶組成物中に含まれる式(L−1−1.3)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
一般式(L−1)で表される化合物は、下記一般式(L−1−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020177071
式中、RL12は、一般式(L−1)における意味と同じ意味を表す。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−1−2)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、である。一方、その好ましい上限値は、60質量%、54質量%、48質量%、42質量%、36質量%、30質量%、24質量%、20質量%、18質量%、15質量%である。
一般式(L−1−2)で表される化合物は、下記式(L−1−2.1)〜(L−1−2.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L−1−2.2)〜(L−1−2.4)で表される化合物であることがより好ましい。特に、式(L−1−2.2)で表される化合物は、液晶組成物の応答速度を改善する効果が高いため好ましく、組成物中における含有量の上限を24重量%以下に抑えることで、製造工程でのUV照射によるアルケニル化合物特有の劣化が抑制され、表示品位や信頼性の低下も抑える事ができる点でも好ましい。
また、液晶組成物の応答速度よりもTniの向上を求める場合は、式(L−1−2.3)または式(L−1−2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。液晶組成物中に含まれる式(L−1−2.3)または式(L−1−2.4)で表される化合物の量は、低温での溶解度を高くするために30質量%未満にすることが好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−1)で表される化合物は、下記一般式(L−1−3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020177071
式中、RL13およびRL14は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。
L13およびRL14は、それぞれ独立して、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基、または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−1−3)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、30質量%である。一方、その好ましい上限値は、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、37質量%、35質量%、33質量%、30質量%、27質量%、25質量%、23質量%、20質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%である。
一般式(L−1−3)で表される化合物は、下記式(L−1−3.1)〜(L−1−3.4)または式(L−1−3.11)〜(L−1−3.13)で表される化合物であることが好ましく、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)または式(L−1−3.4)で表される化合物であることがより好ましい。特に、式(L−1−3.1)で表される化合物は、液晶組成物の応答速度を改善する効果が高いため好ましく、誘電的に負の液晶組成物に用いる場合には、式(L−1−1.3)と組合せて用いることでさらに応答速度が速く、UV工程に起因した表示品位や信頼性の低下が抑制された表示素子が得られるのでより好ましい。誘電的に正の液晶組成物に用いる場合、及び/又は24質量%以下の式(L−1−2.2)と組合せて用いることで、さらに応答速度が速く、表示品位や信頼性の低下が抑制された表示素子が得られるので好ましい。
また、液晶組成物の応答速度よりも高いTniの向上を求める場合は、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)または式(L−1−3.12)で表される化合物を用いることが好ましい。液晶組成物中に含まれる式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)および式(L−1−3.12)で表される化合物の合計量は、低温での溶解度を高くするために20%未満にすることが好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−1)で表される化合物は、下記一般式(L−1−4)または(L−1−5)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020177071
式中、RL15およびRL16は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。
L15およびRL16は、それぞれ独立して、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基、または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−1−4)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、25質量%、23質量%、20質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%である。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−1−5)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、25質量%、23質量%、20質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%である。
一般式(L−1−4)または(L−1−5)で表される化合物は、下記式(L−1−4.1)〜(L−1−4.3)または式(L−1−5.1)〜(L−1−5.3)で表される化合物であることが好ましく、式(L−1−4.2)または式(L−1−5.2)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−1)で表される化合物は、式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)および式(L−1−3.12)で表される化合物から選ばれる2種以上を組み合わせることが好ましく、式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)および式(L−1−4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上を組み合わせることがより好ましい。
液晶組成物の信頼性を重視する場合は、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)および式(L−1−3.4)で表される化合物から選ばれる2種以上を組み合わせることが好ましく、液晶組成物の応答速度を重視する場合は、式(L−1−1.3)および式(L−1−2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上を組み合わせることが好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は、下記一般式(L−1−6)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2020177071
式中、RL17およびRL18は、それぞれ独立して、メチル基または水素原子を表す。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−1−6)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、42質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%である。
一般式(L−1−6)で表される化合物は、下記式(L−1−6.1)〜(L−1−6.3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−2)で表される化合物は、下記の化合物である。
Figure 2020177071
式中、RL21およびRL22は、それぞれ一般式(L)におけるRL1およびRL2と同じ意味を表す。
L21は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
L22は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−2)で表される化合物は、1種を単独で使用することもできるが、2以上を組み合わせて使用することもできる。組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選択される。使用する化合物の種類は、例えば、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−2)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
液晶分子の低温での溶解性を重視する場合は、一般式(L−2)で表される化合物の量を多めに設定すると効果が高く、液晶組成物の応答速度を重視する場合は、その量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、一般式(L−2)で表される化合物の量を、前記範囲の中間に設定することが好ましい。
一般式(L−2)で表される化合物は、下記式(L−2.1)〜(L−2.6)で表される化合物であることが好ましく、式(L−2.1)、式(L−2.3)、式(L−2.4)または式(L−2.6)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−3)で表される化合物は、下記の化合物である。
Figure 2020177071
式中、RL31およびRL32は、それぞれ一般式(L)におけるRL1およびRL2と同じ意味を表す。
L31およびRL32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基、または炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−3)で表される化合物は、1種を単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選択される。使用する化合物の種類は、例えば、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−3)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
なお、高い複屈折率を得る場合は、一般式(L−3)で表される化合物の量を多めに設定すると効果が高く、高いTniを重視する場合は、その量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、一般式(L−3)で表される化合物の量を、前記範囲の中間に設定することが好ましい。
一般式(L−3)で表される化合物は、下記式(L−3.1)〜(L−3.4)、式(L−3.6)または式(L−3.7)で表される化合物であることが好ましく、式(L−3.2)〜(L−3.4)、式(L−3.6)または式(L−3.7)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−4)で表される化合物は、下記の化合物である。
Figure 2020177071
式中、RL41およびRL42は、それぞれ一般式(L)におけるRL1およびRL2と同じ意味を表す。
L41は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
L42は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−4)で表される化合物は、1種を単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選択される。使用する化合物の種類は、例えば、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−4)で表される化合物の量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整される。
その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、14質量%、16質量%、20質量%、23質量%、26質量%、30質量%、35質量%、40質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、35質量%、30質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%である。
一般式(L−4)で表される化合物は、下記式(L−4.1)〜(L−4.3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020177071
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、液晶組成物は、式(L−4.1)で表される化合物のみを含んでも、式(L−4.2)で表される化合物のみを含んでも、式(L−4.1)で表される化合物および式(L−4.2)で表される化合物の双方を含んでもよく、式(L−4.1)〜(L−4.3)で表される化合物の全てを含んでもよい。
一般式(L−4)で表される化合物は、下記式(L−4.4)〜(L−4.6)で表される化合物であることも好ましく、式(L−4.4)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、液晶組成物は、式(L−4.4)で表される化合物のみを含んでも、式(L−4.5)で表される化合物のみを含んでもよく、式(L−4.4)で表される化合物および式(L−4.5)で表される化合物の双方を含んでもよい。
一般式(L−4)で表される化合物は、下記式(L−4.7)〜(L−4.10)で表される化合物であることも好ましく、式(L−4.9)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−5)で表される化合物は、下記の化合物である。
Figure 2020177071
式中、RL51およびRL52は、それぞれ一般式(L)におけるRL1およびRL2と同じ意味を表す。
L51は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
L52は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基、または炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−5)で表される化合物は、1種を単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選択される。使用する化合物の種類は、例えば、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−5)で表される化合物の量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整される。
その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、14質量%、16質量%、20質量%、23質量%、26質量%、30質量%、35質量%、40質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、35質量%、30質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%である。
一般式(L−5)で表される化合物は、下記式(L−5.1)または式(L−5.2)で表される化合物であることが好ましく、式(L−5.1)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−5)で表される化合物は、下記式(L−5.3)または式(L−5.4)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−5)で表される化合物は、下記式(L−5.5)〜(L−5.7)で表される化合物であることも好ましく、式(L−5.7)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−6)で表される化合物は、下記の化合物である。
Figure 2020177071
式中、RL61およびRL62は、それぞれ一般式(L)におけるRL1およびRL2と同じ意味を表し、XL61およびXL62は、水素原子であるか又はいずれか一方がフッ素原子を表す。
L61およびRL62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましいく、XL61およびXL62のうちの一方がフッ素原子、他方が水素原子であることが好ましく、XL62がフッ素原子でいあることがより好ましい。
一般式(L−6)で表される化合物は、1種を単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選択される。使用する化合物の種類は、例えば、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。また、一般式(L−6)で表される群から化合物は、本願発明の液晶表示素子の作製工程におけるUV照射の工程時間を短縮するためにも好ましい。これによりUV照射時の液晶組成物の劣化や液晶表示素子の電圧保持率の低下、焼付きの発生といった不具合を発生させないか、またはその程度を低減することができる。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−6)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、14質量%、16質量%、20質量%、23質量%、26質量%、30質量%、35質量%、40質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、35質量%、30質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%である。
なお、Δnを大きくすることに重点を置く場合は、一般式(L−6)で表される化合物の量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合は、その量を少なくした方が好ましい。
一般式(L−6)で表される化合物は、下記式(L−6.1)〜(L−6.9)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020177071
組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、1種〜3種を用いることが好ましく、1種〜4種を用いることがより好ましい。また、選択する化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L−6.1)および式(L−6.2)で表される化合物から1種と、式(L−6.4)および式(L−6.5)で表される化合物から1種と、式(L−6.6)および式(L−6.7)で表される化合物から1種と、式(L−6.8)および式(L−6.9)で表される化合物から1種とを選択し、これらを適宜組み合わせることが好ましい。中でも、式(L−6.1)、式(L−6.3)、式(L−6.4)、式(L−6.6)および式(L−6.9)で表される化合物の組み合わせがより好ましい。
一般式(L−6)で表される化合物は、下記式(L−6.10)〜(L−6.17)で表される化合物であることも好ましく、式(L−6.11)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−7)で表される化合物は、下記の化合物である。
Figure 2020177071
式中、RL71およびRL72は、それぞれ一般式(L)におけるRL1およびRL2と同じ意味を表す。
L71およびAL72は、それぞれ一般式(L)におけるAL2およびAL3と同じ意味を表す。ただし、AL71およびAL72中に存在する任意の水素原子は、フッ素原子で置換されてもよい。
L71は、一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表す。
L71およびXL72は、それぞれ独立して、フッ素原子または水素原子を表す。
式中、RL71およびRL72は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、または炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
L71およびAL72は、それぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェニレン基が好ましい。ただし、AL71およびAL72中に存在する任意の水素原子は、フッ素原子で置換されてもよい。
L71は、単結合またはCOO−が好ましく、単結合がより好ましい。
L71およびXL72は、それぞれ水素原子が好ましい。
組み合わせる化合物の種類は、特に限定されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選択される。使用する化合物の種類は、例えば、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
液晶組成物中に含まれる一般式(L−7)で表される化合物の量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整される。
その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、14質量%、16質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、30質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、10質量%、5質量%である。
液晶組成物の高いTniが要求される場合は、一般式(L−7)で表される化合物の量を多めにすることが好ましく、低粘度であることが望まれる場合は、その量を少なめにすることが好ましい。
一般式(L−7)で表される化合物は、下記式(L−7.1)〜(L−7.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.2)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−7)で表される化合物は、下記式(L−7.11)〜(L−7.13)で表される化合物であることも好ましく、式(L−7.11)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−7)で表される化合物は、下記式(L−7.21)〜(L−7.23)で表される化合物であることも好ましく、式(L−7.21)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
一般式(L−7)で表される化合物は、下記式(L−7.31)〜(L−7.34)で表される化合物であることも好ましく、式(L−7.31)または式(L−7.32)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
また、一般式(L−7)で表される化合物は、下記式(L−7.41)〜(L−7.44)で表される化合物であることも好ましく、式(L−7.41)または式(L−7.42)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2020177071
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、下記式(L−7.51)〜(L−7.53)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2020177071
誘電的に正の液晶組成物を用いる場合、該液晶組成物は誘電的に正の化合物(Δεが+2以上)を1種類又は2種類以上含有する以外に、誘電的に負(Δεが−2より大きく+2より小さい)の化合物を1種類又は2種類以上含有することができる。この場合も、誘電的に正の化合物は一般式(2−A)及び一般式(2−B)で表される群から選択される化合物を用いることが好ましい。更に、一般式(L)で表される誘電的に中性の化合物を少なくとも1種類含有する事がより好ましい。誘電的に正と負の化合物を組合わせると、液晶組成物の平均誘電率を増大させることができる。これにより、横電界成分で駆動する液晶モードにおいて高い透過率を備えた液晶表示素子を得られる点で好ましく、FFSや、電極幅や電極間距離の狭いIPSなどのフリンジ電場が発生しやすいモードに特に好適に用いることができる。誘電的に正と負の化合物を同時に用いる場合も、組成部全体における各化合物の好ましい含有量は、前記記載に従って適宜決定することができる。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物は、分子内に過酸(−CO−OO−)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはカルボニル基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して5%以下とすることが好ましく、3%以下とすることがより好ましく、1%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して15%以下とすることが好ましく、10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
粘度の改善及びTniの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、前記2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないという意味である。
本発明の第一実施形態の組成物に含有される化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は2〜5であることが好ましく、前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は4〜5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
本発明に使用される液晶組成物の平均弾性定数(KAVG)は10から25が好ましいが、その下限値としては、10が好ましく、10.5が好ましく、11が好ましく、11.5が好ましく、12が好ましく、12.3が好ましく、12.5が好ましく、12.8が好ましく、13が好ましく、13.3が好ましく、13.5が好ましく、13.8が好ましく、14が好ましく、14.3が好ましく、14.5が好ましく、14.8が好ましく、15が好ましく、15.3が好ましく、15.5が好ましく、15.8が好ましく、16が好ましく、16.3が好ましく、16.5が好ましく、16.8が好ましく、17が好ましく、17.3が好ましく、17.5が好ましく、17.8が好ましく、18が好ましく、その上限値としては、25が好ましく、24.5が好ましく、24が好ましく、23.5が好ましく、23が好ましく、22.8が好ましく、22.5が好ましく、22.3が好ましく、22が好ましく、21.8が好ましく、21.5が好ましく、21.3が好ましく、21が好ましく、20.8が好ましく、20.5が好ましく、20.3が好ましく、20が好ましく、19.8が好ましく、19.5が好ましく、19.3が好ましく、19が好ましく、18.8が好ましく、18.5が好ましく、18.3が好ましく、18が好ましく、17.8が好ましく、17.5が好ましく、17.3が好ましく、17が好ましい。
AVGの値を高めに設定すると、特に戻りの応答速度が高速化される点で好ましい。また、黒表示時の輝度を低く抑えることができ、高いコントラスとが得られやすくなる点でも好ましい。
(重合体PL)
本発明に係る液晶表示素子の重合体(PL)を形成には、化合物(I)を1種又は2種以上含む液晶組成物の光重合を用いることが好ましい。
上述した、化合物(I)から形成された重合体(PL)を形成するためには、本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる組成物中に化合物(I)を含有することが必須である。化合物は、従来のポリイミド等の液晶配向膜を基板の片方又は両方に用いることなく、液晶組成物の配向性を制御する化合物である。
化合物(I)は、主として液晶組成物に添加して用いられ、重合体(PL)を形成した際には、当該液晶組成物を含む液晶層と直接当接する部材(電極(例えば、ITO)、基板(例えば、ガラス基板、アクリル基板、透明基板、フレキシブル基板等)、樹脂層(例えば、カラーフィルター、配向膜、オーバーコート層等)、絶縁膜(例えば、無機材料膜、SiNx等))に対して相互作用し、液晶層の液晶分子の一軸なホモジニアス配向を誘起する機能を備えている。
光異性化又は光二量化反応基は、下記(Z3−1)〜(Z3−5)のいずれかであることが好ましい。式中、黒丸は両端の黒点は結合手を表す。
Figure 2020177071
偏光を照射することにより偏光方向に沿った二量化、又は異性化を起こし、液晶分子を水平配向させた状態で保持することができる。したがって、本実施形態の化合物を用いた液晶組成物によれば、素子の両面又は片面にPI層を設けなくとも液晶分子を配向させ、電圧印加によるスイッチングが可能となる。このように、一般式(i)で表される化合物は、液晶組成物における液晶分子の配向を助けるために好適に使用される。使用する偏光の波長として365nmを主に使用する場合は、(Z3−1)、(Z3−3)、(Z3−5)が好ましく、313nmの波長は使用する場合は、(Z3−1)、(Z3−2)、(Z3−4)が好ましく、配向安定性、及び信頼性の面で(Z3−1)、及び(Z3−2)がより好ましい。
液晶組成物との相溶性、合成上の簡便性などの観点から(Z3-1)、(Z3-2)、(Z3-4)が好ましく、耐久性の観点から(Z3−1)、(Z3−2)、(Z3−3)が好ましい。
また、反応速度及び水平配向性の観点から、上記光異性化又は光二量化反応基部位は、少なくとも芳香族部位と隣接して結合していることが好ましい。一方で、液晶との相溶性の観点からは脂肪族基が隣接していることが好ましい。実際に使用する場合には、上記を適宜バランスよく使い分けることが好ましく、異なる光異性化又は光二量化反応基を同一の化合物に有してもよいし、それぞれ構造のことなる光異性化又は光二量化反応基を有する化合物を複数以上併用しても良い。
メソゲン基は、剛直な部分を備えた基、例えば環式基を1つ以上備えた基をいい、環式基を2〜4個を備えた基が好ましく、環式基を3〜4個を備えた基がより好ましい。なお、必要に応じて、環式基は、連結基で連結されてもよい。メソゲン基は、液晶層に使用される液晶分子(液晶化合物)と類似の骨格を有することが好ましい。
なお、本明細書中において、「環式基」は、構成する原子が環状に結合した原子団をいい、炭素環、複素環、飽和又は不飽和環式構造、単環、2環式構造、多環式構造、芳香族、非芳香族などを含む。
また、環式基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、さらに、少なくとも1つの置換基(ハロゲノ基、重合性基、有機基(アルキル、アルコキシ、アリール等)で置換されてもよい。環式基が単環である場合には、メソゲン基は、2個以上の単環を含んでいることが好ましい。
上記メソゲン基は、例えば、一般式(AL)で表されることが好ましい。
Figure 2020177071
式中、ZAL1は、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH−CHCOO−、−OCOCH−CH−、−CH=C(CH)COO−、−OCOC(CH)=CH−、−CH−CH(CH)COO−、−OCOCH(CH)−CH−、−OCHCHO−又は炭素原子数1〜20のアルキレン基を表す。ただし、アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は、−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。
AL1及びAAL2は、それぞれ独立して、2価の環式基を表す。
AL1、AAL1及びAAL2中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲノ基、吸着基、重合基又は1価の有機基で置換されてもよく、
なお、分子内にZAL1及びAAL1が複数存在する場合に、それぞれ互いに同一であっても異なってもよい。
AL1は、1〜5の整数を表す。
一般式(AL)中、ZAL1は、単結合又は炭素原子数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、単結合又は炭素原子数2〜10のアルキレン基であることがより好ましく、単結合、−(CH−又は−(CH−であることがさらに好ましい。アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は、−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。
さらに、棒状分子の直線性を高めることを目的とする場合は、ZAL1は、環と環とが直接連結した形態である単結合や、環と環とを直接結ぶ原子の数が偶数個の形態が好ましい。例えば、−CH−CHCOO−の場合、環と環とを直接結ぶ原子の数は4つである。
一般式(AL)中、AAL1及びAAL2は、それぞれ独立して、2価の環式基を表す。2価の環式基としては、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基及びフルオレン−2,7−ジイル基からなる群から選択される1種であることが好ましく、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基又はフェナントレン−2,7−ジイル基がより好ましく、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基であることがさらに好ましい。
なお、これらの基は、非置換又は置換基で置換されてもよい。この置換基としては、フッ素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましい。さらに、アルキル基は、フッ素原子又は水酸基で置換されてもよい。
また、環式基中の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲノ基、吸着基、重合基又は1価の有機基で置換されてもよい。
一般式(AL)中、1価の有機基とは、有機化合物が1価の基の形態になることによって、化学構造が構成された基であり、有機化合物から水素原子を1つ取り除いてなる原子団をいう。
かかる1価の有機基としては、例えば、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数2〜15のアルケニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、炭素原子数2〜15のアルケニルオキシ基などが挙げられ、炭素原子数1〜15のアルキル基又は炭素原子数1〜14のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることがさらに好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜2のアルコキシ基であることが特に好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基又は炭素原子数1のアルコキシ基であることが最も好ましい。
また、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は、−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。さらには、上記1価の有機基は、後述の配向誘導基としての役割を有してもよい。
上記一般式(AL)中、mAL1は、1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、2又は3であることがさらに好ましい。
上記メソゲン基の好ましい形態としては、下記式(me−1)〜(me−44)が挙げられる。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
一般式(AL)は、これらの化合物から2個の水素原子が脱離した構造である。
これらの式(me−1)〜(me−44)において、シクロヘキサン環、ベンゼン環又はナフタレン環中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲノ基、重合基、1価の有機基(例えば、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基)、吸着基又は配向誘導基で置換されてもよい。
上記メソゲン基のうち、好ましい形態は、式(me−8)〜(me−44)であり、より好ましい形態は、式(me−8)〜(me−10)、式(me−12)〜(me−18)、式(me−22)〜(me−24)、式(me−26)〜(me−27)及び式(me−29)〜(me−44)であり、さらに好ましい形態は、式(me−12)、(me−15)〜(me−16)、(me−22)〜(me−24)、(me−29)、(me−34)、(me−36)〜(me−37)、(me−42)〜(me−44)である。
一般式(i)で表される化合物は、重合基を有することが好ましい。化合物内に重合基を有することにより、前記に記載した光異性化反応、および光二量化反応の他に重合反応が進行し、基板近傍に重合体を形成することができる。これにより、水平配向性の安定性および耐久性の確保が可能となる。
重合基はPi1−Spi1−であることが好ましい。ここで、Pi1は、重合性基を表し、以下の一般式(P−1)〜一般式(P−15)で表される群より選ばれる置換基を表し(式中、右端の黒点は結合手を表す。)、取り扱いの簡便性、反応性の点から、式(P−1)〜(P−3)、(P−14)、(P−15)のいずれかの置換基が好ましく、式(P−1)、(P−2)が、さらに好ましい。前記
Figure 2020177071
前記Spi1はスペーサー基を表し、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OOCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH−CHCOO−、−OCOCH―CH−、−CH=C(CH)COO−、−OCOC(CH)=CH−、−CH−CH(CH)COO−、−OCOCH(CH)―CH−、−OCHCHO−、又は炭素原子数2〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。
さらに、化合物(I)は、少なくとも1つの吸着基(Kil)が結合してもよい。
吸着基(Kil)は、分子構造における他の部位との相対性から、液晶組成物に用いられた際に、選択的に液晶組成物(液晶層)を挟持する基板に吸着することができる。このため、(Kil)の結合する位置が重要であり、メソゲン部位の側方部分に結合させることにより、液晶分子を水平方向に配向させた状態で保持することができる。つまり、水平配向性の実現のためには、少なくとも1つの吸着基(Kil)を有することが好ましい。
「吸着基」
吸着基は、基板、膜、電極など液晶組成物と当接する層である吸着媒と吸着する役割を備えた基である。
吸着は、一般的に、化学結合(共有結合、イオン結合又は金属結合)をつくって吸着媒と吸着質との間で吸着する化学吸着と、化学吸着以外の物理吸着とに分別される。本明細書中において、吸着は、化学吸着又は物理吸着のいずれでもよいが、物理吸着であることが好ましい。そのため、吸着基は、吸着媒と物理吸着可能な基であることが好ましく、分子間力により吸着媒と結合可能な基であることがより好ましい。
分子間力により吸着媒と結合する形態としては、永久双極子、永久四重極子、分散力、電荷移動力又は水素結合などの相互作用による形態が挙げられる。
吸着基の好ましい形態としては、水素結合により吸着媒と結合可能な形態が挙げられる。この場合、吸着基が水素結合を介在するプロトンのドナーおよびアクセプターのいずれの役割を果たしてもよく、若しくは双方の役割を果たしてもよい。
吸着基は、炭素原子とヘテロ原子とが連結した原子団を有する極性要素を含む基(以下、「吸着基」を「極性基」とも記載する。)であることが好ましい。本明細書中において、極性要素とは、炭素原子とヘテロ原子とが直接連結した原子団をいう。
ヘテロ原子としては、N、O、S、P、B及びSiからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、N及びOからなる群から選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、Oであることが特に好ましい。
また、配向助剤において、極性要素の価数は、1価、2価、3価など特に制限されず、また吸着基中の極性要素の個数も特に制限されることはない。
配向助剤は、一分子中に1〜8個の吸着基を有することが好ましく、1〜4個の吸着基を有することがより好ましく、1〜3個の吸着基を有することがさらに好ましい。
なお、吸着基からは、重合性基及び配向誘導基を除くが、吸着基中の任意の水素原子がPi1−Spi1−で置換された構造及びPi1−Spi1−中の水素原子が−OHなどで置換された構造は吸着基に含む。
吸着基は、1又は2以上の極性要素を含み、環式基型と鎖式基型とに大別される。
環式基型は、その構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含む形態であり、鎖式基型は、その構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含まない形態である。
鎖式基型は、直鎖又は分岐した鎖状基中に極性要素を有する形態であり、その一部に極性要素を含まない環状構造を有していてもよい。
環式基型の吸着基とは、少なくとも1つの極性要素を環状の原子配列内に含む構造を有する形態を意味する。
なお、本明細書中において、環式基とは、上述した通りである。そのため、環式基型の吸着基は、極性要素を含む環式基さえ含んでいればよく、吸着基全体としては分岐しても直鎖状であってもよい。
一方、鎖式基型の吸着基とは、分子内に極性要素を含む環状の原子配列を含まず、かつ少なくとも1つの極性要素を線状の原子配列(枝分かれしてもよい)内に含む構造を有する形態を意味する。
なお、本明細書中において、鎖式基とは、構造式中に環状の原子配列を含まず、構成する原子が線状(分岐してもよい)に結合した原子団をいい、非環式基をいう。換言すると、鎖式基とは、直鎖状又は分枝状の脂肪族基をいい、飽和結合又は不飽和結合のどちらを含んでもよい。
したがって、鎖式基には、例えば、アルキル、アルケニル、アルコキシ、エステル、エーテル又はケトンなどが含まれる。なお、これらの基中の水素原子は、少なくとも1つの置換基(反応性官能基(ビニル基、アクリル基、メタクリル基等)、鎖状有機基(アルキル、シアノ等))で置換されてもよい。また、鎖式基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。
環式基型の吸着基としては、炭素原子数3〜20の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3〜20の複素脂環族基(縮合環を含む)であることが好ましく、炭素原子数3〜12の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3〜12の複素脂環族基(縮合環を含む)であることがより好ましく、5員環の複素芳香族基、5員環の複素脂環族基、6員環の複素芳香族基又は6員環の複素脂環族基であることがさらに好ましい。なお、これらの環構造中の水素原子は、ハロゲノ基、炭素原子数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はアルキルオキシ基で置換されてもよい。
鎖式基型の吸着基としては、構造内の水素原子や−CH−が極性要素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキル基であることが好ましい。なお、アルキル基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。また、鎖式基型の吸着基は、その端部に1個又は2個以上の極性要素を含むことが好ましい。
吸着基中の水素原子は、重合性基で置換されてもよい。
極性要素の具体例としては、酸素原子を含む極性要素(以下、含酸素極性要素)、窒素原子を含む極性要素(以下、含窒素極性要素)、リン原子を含む極性要素(以下、含リン極性要素)、ホウ素原子を含む極性要素(以下、含ホウ素極性要素)、ケイ素原子を含む極性要素(以下、含ケイ素極性要素)又は硫黄原子を含む極性要素(以下、含硫黄極性要素)が挙げられる。吸着能の観点から、極性要素としては、含窒素極性要素、含窒素極性要素又は含酸素極性要素であることが好ましく、含酸素極性要素であることがより好ましい。
含酸素極性要素としては、水酸基、アルキロール基、アルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、エーテル基、カルボニル基、カーボネート基及びエステル基からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
含窒素極性要素としては、シアノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、ピリジル基、カルバモイル基及びウレイド基からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
含リン極性要素としては、ホスフィニル基及びリン酸基からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
そのため、吸着基としては、含酸素極性要素を備えた環式基(以下、含酸素環式基)、含窒素極性要素を備えた環式基(以下、含窒素環式基)、含硫黄極性要素を備えた環式基(以下、含硫黄環式基)、含酸素極性要素を備えた鎖式基(以下、含酸素鎖式基)及び含窒素極性要素を備えた鎖式基(以下、含窒素鎖式基)からなる群から選択される1種又は2種以上の基自体または当該基を含むことが好ましく、吸着能の観点から含酸素環式基、含硫黄環式基、含酸素鎖式基及び含窒素鎖式基からなる群から選択される1種又は2種以上の基を含むことがより好ましい。
含酸素環式基としては、環構造内に酸素原子をエーテル基として有する下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
Figure 2020177071
また、含酸素環式基としては、環構造内に酸素原子をカルボニル基、カーボネート基及びエステル基として有する下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
Figure 2020177071
含窒素環式基としては、下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
Figure 2020177071
含酸素鎖式基としては、下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
Figure 2020177071
式中、Rat1は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。
at1は、単結合、炭素原子数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表す。ただし、アルキレン基又はアルケニレン基中の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−で置換されてもよい。
at1は、炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。ただし、アルキル基中の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−で置換されてもよい。mat1、mat2、mat3は、0〜5を表す。
含窒素鎖式基としては、下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
Figure 2020177071
式中、Rat、Rbt、Rct及びRdtは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。ただし、アルキル基中の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−で置換されてもよい。
さらに好ましくは、前記化合物(I)における前記吸着基(Kil)は、下記一般式(K−1)〜(K−18)のいずれかで表されることが好ましい。
Figure 2020177071
から選ばれる基を表し、WK1は、メチン基又は窒素原子を表すが、メチン基中の水素原子は炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されてもよく、
K1及びYK1はそれぞれ独立して、−CH−、酸素原子又は硫黄原子を表し、
K1は、酸素原子又は硫黄原子を表し、UK1、VK1及びSK1は、それぞれ独立して、メチン基又は窒素原子を表し、TK1は、それぞれ独立して一般式(T−1)〜(T−6)
Figure 2020177071
から選ばれる基を表し、ST1は、単結合、炭素原子数1〜15個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の−CH−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−C(=CH)−又は−OCO−に置換されてもよく、RT1は、炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、当該アルキル基の−CH−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−C(=CH)−又は−OCO−に置換されてもよく、RT2及びRT3は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、一般式(i)で表される化合物は少なくとも一つのPi1−Spi1−基を有し、A、C、D、Z、Z、Z、Z、Ki1、WK1、XK1、YK1、ZK1、TK1、UK1、VK1、SK1、ST1、RT1、RT2、RT3、Pi1及びSpi1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
一般式(K−1)〜(K−18)で表される部分構造としては、液晶の配向性を重要視する場合は、一般式(K−1)、(K−2)、(K−5)、(K−8)、(K−11)、(K−13)、(K−14)、(K−15)、(K−17)、及び(K−18)が好ましく、信頼性を重要視する場合は(K−1)、(K−9)、(K−11)、(K−13)、及び(K−15)が好ましい。配向性と信頼性の両立を考えた場合に(K−11)、(K−13)及び(K−15)がより好ましい。また(K−13)〜(K−18)においてTK1は、一般式(T−1)、(T−3)及び(T−4)で表される基が好ましく、特に(T−1)及び(T−3)がより好ましい。一般式(T−3)中のST1は、単結合、炭素原子数1〜10個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜10個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素原子数2〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基が好ましく、該アルキル基又はアルキレン基中の−CH−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−C(=O)−又は−C(=CH)−で置換されていることが好ましい。一般式(T−3)中のRT1は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、当該アルキル基の−CH−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−C(=O)−、−C(=CH)−又は−OCO−に置換されていることが好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基が好ましい。一般式(T−3)中に、少なくとも2個以上の第二級炭素原子は−C(=O)を含むことが好ましい。
一般式(T−6)中のRT2及びRT3は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表すが、水素原子を表すことが好ましい。
一般式(K−13)(K−17)の好ましい例としては以下の(K−1−1)〜(K−1−4)、(K−3−1)、及び(K−5−1)が、配向性や反応性の点から好ましく、特に好ましくは式(K−1−1)、(K−1−3)、及び(K−3−1)が挙げられる。
Figure 2020177071
(式中、Pi1は重合性基を表し、RT4、RT5及びRT6はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、RK1は、水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し該アルキル基中の−CH−は−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−NH−、−OCOO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよいが−O−は連続にはならなく、
T1及びnT2はそれぞれ独立して0又は1を表し、nT3はそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、複数存在するRT4、RT5、RT6、nT1、nT2及びnT3は同一であっても異なっていてもよい。)
式(i)中のZ及びZは、好ましくは単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−OCHCHO−、又は炭素原子数1〜10のアルキレン基、又はこのアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換された基をそれぞれ表し、より好ましくは、単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−OCHCHO−、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又は該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−が−O−、−COO−又は−OCO−で置換された基で置換された基を表し、Z及びZは更に好ましくは、単結合、−COO−、−OCO−、−OCHCHO−、又は炭素原子数2のアルキレン基(エチレン基(−CHCH−))若しくはエチレン基中の−CH−の1個が−O−で置換された基(−CHO−、−OCH−)、若しくはエチレン基中の−CH−の1個が−COO−、−OCO−で置換された基(−CH−CHCOO−、−OCOCH−CH−)である。Zは、単結合、−O−、−CH=CH−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH−CH(CH)COO−、−OCOCH(CH)―CH−、又は炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐アルキレン基(該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい)を表すが、好ましくは、−COO−、−OCO−、−OCHCHO−、又は炭素原子数2のアルキレン基(エチレン基(−CHCH−))若しくはエチレン基中の−CH−の1個が−O−で置換された基(−CHO−、−OCH−)、若しくは炭素数2〜8アルキル基中の−CH−の1個が−O−、−COO−、−OCO−で置換された基である。
水平配向性の観点から前記吸着基(Ki1)が前記(K−13)〜(K−18)から選択され、かつTK1の少なくとも一つは(T−1)であることが好ましい。
具体的部分構造としては、下記の基が挙げられるがこれに限定されるものではない。
Figure 2020177071
式中、Rtcは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基又はPi1−Spi1−を表す。ただし、アルキル基中の水素原子は、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、若しくはPi1−Spi1基−、−Z−Kilで置換されていてもよく、アルキル基中の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−又は−CH=CH−で置換されてもよい。
*は、結合手を表す。
一方で、配向性と溶液安定性のバランスからは、前記吸着基(Ki1)におけるが前記(K−13)〜(K−18)から選択され、かつTK1の少なくとも一つは(T−3)であることが好ましい。具体的部分構造としては、下記の基が挙げられるがこれに限定されるものではない。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
式中、Rtcは、前記と同様の意味を表す。
また、配向性と電圧保持率のバランスの観点から、前記吸着基(Ki1)が、(K−1)〜(K−12)のいずれかであることが好ましい。
化合物(I)は下記一般式(i)で表されることがさらに好ましい。
Figure 2020177071
(式中、Ri1及びRi2は、好ましくはPi1−Spi1基−、水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表し、該アルキル基中の−CH−は−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−で置換されてもよいが−O−は連続にはならなく、より好ましくは、Pi1−Spi1基、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基、該アルキル基中の−CH−は、−CH=CH−、−O−、−OCO−で置換(ただし−O−は連続にはならない)され、
i1、Ci1及びDi1はそれぞれ独立して、2価の芳香族基、2価の複素芳香族基、2価の脂肪族基、2価の複素脂肪族基を表し、
Bi1は、芳香族基を表し、これらAからDの該環構造における任意の水素原子は無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、若しくはPi1−Spi1−、−Z−Kilで置換されていてもよく、
及びZはそれぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH−CHCOO−、−OCOCH―CH−、−CH=C(CH)COO−、−OCOC(CH)=CH−、−CH−CH(CH)COO−、−OCOCH(CH)―CH−、−OCHCHO−、又は炭素原子数2〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、
31及びZ32は光異性化又は光二量化反応基であり、それぞれ独立して、下記(Z3−1)〜(Z3−5)から選ばれる基、又は単結合を表すが、Z及び/又はZ32の少なくとも一つは前記(Z3−1)〜(Z3−5)のいずれかであり、両端の黒点は結合手を表し、
l、m及びnはそれぞれ独立して、0、1、2の整数を表し、
kは0、1、2の整数を表し、
は、単結合、−O−、−CH=CH−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH−CH(CH)COO−、−OCOCH(CH)―CH−、又は炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐アルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、
i1は前記記載と同様に極性基を表し、前記一般式(K−1)〜(K−18)のいずれかより選択される基を表す。
式(i)中、Ri1及びRi2は、好ましくはPi1−Spi1−、水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表し、該アルキル基中の−CH−は−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−で置換されてもよいが−O−は連続にはならなく、より好ましくは、Pi1−Spi1−、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基、該アルキル基中の−CH−は、−CH=CH−、−O−、−OCO−で置換(ただし−O−は連続にはならない)されても良い。液晶表示素子の信頼性を向上させる観点から、Ri1及びRi2は、Pi1−Spi1−、炭素原子数は2〜6のアルキル基が特に好ましい。
一般式(i)で表される化合物は少なくとも一つのPi1−Spi1基を有するが、配向性を向上させる観点から、2つ以上又は3つ以上のPi1−Spi1基を有することが好ましい。一般式(i)において2つ以上又は3つ以上のPi1−Spi1が存在する場合、より好ましくはRが、炭素原子数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表し、2つ又は3つ以上のPi1−Spi1基基が一般式(i)中の式(Z3−1)〜(Z3−5)から選ばれる基よりもRi1側の位置に存在していることがより好ましい。配向性、信頼性の観点から、さらに好ましくは、Ri1及びRi2の両方ともPi1−Spi1基であり、少なくともひとつのSpi1が単結合であることがさらに好ましい。
一般式(i)中の環Bi1は、フェニレン基又はナフチレン基が好ましく、1,2,4−フェニレントリイル、1,3,4−フェニレントリイル基がより好ましい。
環Ai1、Ci1及び環Di1は、2価の環芳香族基、2価の環複素芳香族基、2価の環脂肪族基、又は2価の環複素脂肪族基、2価の環芳香族基、2価の環複素芳香族基、2価の環脂肪族基、又は2価の環複素脂肪族基が好ましく、具体的には、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、クロマン−3,7−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基が好ましく、該環構造は無置換であるか又はLで置換されていることが好ましい。Lは炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、Pi1−Spi1−基,若しくはZ−Ki1が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換された基であることがより好ましい。環A、C及び環D間は、より好ましくは炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、若しくはPi1−Spi1−基で置換されていてもよい、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレン基、1,4−シクロヘキシル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである。l、m及びnは、0、1、2の整数を表すが、l+m+n≦1であることが好ましく、l+m+n≦2であることが好ましく、l+m+n≦3がより好ましい。
kは溶液安定性の観点からは、0が好ましく、配向性の観点からは1又は2が好ましい。
i1の好ましい様態、およびさらに好ましい様態は前記と同様である。
一般式(i)で表される化合物で表される化合物の合計の含有量は、それら化合物を含む組成物に対して、0.05〜10%含んでいることが好ましく、0.1〜8%含んでいることが好ましく、0.1〜5%含んでいることが好ましく、0.1〜3%含んでいることが好ましく、0.2〜2%含んでいることが好ましく、0.2〜1.3%含んでいることが好ましく、0.2〜1%含んでいることが好ましく、0.2〜0.56%含んでいることが好ましい。
一般式(i)で表される化合物で表される化合物の合計の含有量の好ましい下限値は、それら化合物を含む組成物に対して、0.01%であり、0.03%であり、0.05%であり、0.08%であり、0.1%であり、0.15%であり、0.2%であり、0.25%であり、0.3%である。
一般式(i)で表される化合物で表される化合物の合計の含有量の好ましい上限値は、それら化合物を含む組成物に対して、10%であり、8%であり、5%であり、3%であり、1.5%であり、1.2%であり、1%であり、0.8%であり、0.5%である。
含有量が少ないと一般式(i)で表される化合物で表される化合物を加える効果が現れにくく、液晶組成物の配向規制力が弱い又は経時的に弱くなってしまうなどの問題が発生し、多すぎると硬化後に残存する量が多くなる、硬化に時間がかかる、液晶の信頼性が低下する等の問題が生じる。このため、これらのバランスを考慮し含有量を設定する。
一般式(i)のより具体的な例としては、下記式(R−1)〜(R−57)に表すがこれらに限られたものではない。また、下記式中、置換基の記載は省略している。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
(式中、Ri1、Ri2、Z、Ki1およびkは、それぞれ独立して一般式(i)中のRi1、Ri2、Z、Ki1およびkとそれぞれ同じ意味を表す。)
液晶組成物用に添加する場合は、本発明の一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上添加してもよく、一般式(i)で表される化合物に加えて、液晶組成物に用いられる公知の重合性化合物、酸化防止剤等を更に含有していてもよい。化合物(I)のより具体的な化合物の例として、下記(P−0−1)から(P−0−30)、および(P−1−1)から(P−1−45)に表す。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
本発明に係る液晶表示素子の重合体(PL)の形成には、一般式(i)で表される化合物とは異なる他の重合性化合物を更に含有してもよい。重合性化合物は、液晶組成物に用いられる公知の重合性化合物であってよい。重合性化合物の例としては、一般式(P):
Figure 2020177071
(上記一般式(P)中、Rp1は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1〜15のアルキル基又は−Spp2−Pp2を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
p1及びPp2はそれぞれ独立して、一般式(Pp1−1)〜式(Pp1−9)
Figure 2020177071
(式中、Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Wp11は単結合、−O−、−COO−又はメチレン基を表し、tp11は、0、1又は2を表すが、分子内にRp11、Rp12、Wp11及び/又はtp11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
のいずれかを表し、
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表し、
p1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−OCHCHO−、−CO−NRZP1−、−NRZP1−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CRZP1−COO−、−CH=CRZP1−OCO−、−COO−CRZP1=CH−、−OCO−CRZP1=CH−、−COO−CRZP1=CH−COO−、−COO−CRZP1=CH−OCO−、−OCO−CRZP1=CH−COO−、−OCO−CRZP1=CH−OCO−、−(CH−COO−、−(CH−OCO−、−OCO−(CH−、−(C=O)−O−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−(式中、RZP1はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表すが、分子内にRZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
を表し、
p1、Ap2及びAp3はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基又はアントラセン−2,6−ジイル基(これら基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良く、この基中に存在する水素原子は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基で置換されていてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)は、それぞれ独立して、この基中に存在する水素原子は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基で置換されていてもよい。シアノ基、フッ素原子、塩素原子又は−Spp2−Pp2で置換されていても良く、
p1は、0、1、2又は3を表し、分子内にZp1、Ap2、Spp2及び/又はPp2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良いが、Ap3は、mp1が0で、Ap1がフェナントレン−2,7−ジイル基又はアントラセン−2,6−ジイル基である場合には単結合を表す。)
で表される化合物が好ましい。また、当該重合性モノマーは1種又は2種以上含有することが好ましい。
一般式(P)において、Rp1は−Spp2−Pp2であることが好ましい。
p1及びPp2はそれぞれ独立して式(Pp1−1)〜式(Pp1−3)のいずれかであることが好ましく、(Pp1−1)であることが好ましい。
p11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
p11は、0又は1が好ましい。
p11は、単結合、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
p1は0、1又は2であることが好ましく、0又は1が好ましい。
p1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−CH=CH−、−CF−、−CFO−、−(CH−COO−、−(CH−OCO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH−、−OCF−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−OCH−、−CHO−、−C−、−COO−、−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−CH=CH−、−(CH−COO−、−(CH−OCO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH−又は−C≡C−が好ましく、分子内に存在する1つのみが−OCH−、−CHO−、−C−、−COO−、−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−CH=CH−、−(CH−COO−、−(CH−OCO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH−又は−C≡C−であり、他がすべて単結合であることが好ましく、分子内に存在する1つのみが、−OCH−、−CHO−、−C−、−COO−又は−OCO−であり、他がすべて単結合であることが好ましく、すべてが単結合であることが好ましい。
また、分子内に存在するZp1及びZp2の1つのみが、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−(CH−COO−、−(CH−OCO−、−O−CO−(CH−、−COO−(CH−からなる群から選択される連結基であり、他は単結合であることが好ましい。
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表すが、スペーサー基は、炭素原子数1〜30のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基中の−CH−は酸素原子同士が直接連結しない限りにおいて−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良いが、直鎖の炭素原子数1〜10のアルキレン基又は単結合が好ましい。
p1、Ap2及びAp3はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、1,4−フェニレン基が好ましい。1,4−フェニレン基は液晶化合物との相溶性を改善するために、1個のフッ素原子、1個のメチル基又は1個のメトキシ基で置換されていることが好ましい。
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、0.05〜10%含んでいることが好ましく、0.1〜8%含んでいることが好ましく、0.1〜5%含んでいることが好ましく、0.1〜3%含んでいることが好ましく、0.2〜2%含んでいることが好ましく、0.2〜1.3%含んでいることが好ましく、0.2〜1%含んでいることが好ましく、0.2〜0.56%含んでいることが好ましい。
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量の好ましい下限値は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、0.01%であり、0.03%であり、0.05%であり、0.08%であり、0.1%であり、0.15%であり、0.2%であり、0.25%であり、0.3%である。
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量の好ましい上限値は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、10%であり、8%であり、5%であり、3%であり、1.5%であり、1.2%であり、1%であり、0.8%であり、0.5%である。
含有量が少ないと一般式(P)で表される化合物を加える効果が現れにくく、液晶組成物の配向規制力が弱い又は経時的に弱くなってしまうなどの問題が発生し、多すぎると硬化後に残存する量が多くなる、硬化に時間がかかる、液晶の信頼性が低下する等の問題が生じる。このため、これらのバランスを考慮し含有量を設定する。
一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−1−1)〜式(P−1−46)で表される重合性化合物が挙げられる。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
(式中、Pp11、Pp12、Spp11及びSpp12は、一般式(P)におけるPp1、Pp2、Spp1及びSpp2と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−2−1)〜式(P−2−12)で表される重合性化合物が挙げられる。
Figure 2020177071
(式中、Pp21、Pp22、Spp21及びSpp22は、一般式(P)におけるPp1、Pp2、Spp1及びSpp2と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−3−1)〜式(P−3−15)で表される重合性化合物が挙げられる。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
(式中、Pp31、Pp32、Spp31及びSpp32は、一般式(P)におけるPp1、Pp2、Spp1及びSpp2と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−4−1)〜式(P−4−15)で表される重合性化合物が挙げられる。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
(式中、Pp41、Pp42、Spp41及びSpp42は、一般式(P)におけるPp1、Pp2、Spp1及びSpp2と同じ意味を表す。)
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物に重合性化合物を添加する場合において、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる組成物は、さらに、一般式(Q)で表される化合物を含有することができる。
Figure 2020177071
(式中、Rは炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−で置換されてよく、Mはトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表す。)
は炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−で置換されてよいが、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基、1つのCH基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素原子数1から20の直鎖アルキル基、1つのCH基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が更に好ましい。Mはトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
一般式(Q)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(Q−a)から一般式(Q−d)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020177071
式中、RQ1は炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ2は炭素原子数1から20の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ3は炭素原子数1から8の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基又は分岐鎖アルコキシ基が好ましく、Lは炭素原子数1から8の直鎖アルキレン基又は分岐鎖アルキレン基が好ましい。一般式(Q−a)から一般式(Q−d)で表される化合物中、一般式(Q−c)及び一般式(Q−d)で表される化合物が更に好ましい。
本願発明の組成物において、一般式(Q)で表される化合物を1種又は2種を含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その含有量は0.001から1質量%であることが好ましく、0.001から0.1質量%が更に好ましく、0.001から0.05質量%が特に好ましい。
また、本発明に使用できる酸化防止剤又は光安定剤としてより具体的には以下の(III−1)〜(III−38)で表される化合物が好ましい。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
(式中、nは0から20の整数を表す。)
本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる組成物において、一般式(Q)で表される化合物又は一般式(III−1)〜(III−38)から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その含有量は0.001から1質量%であることが好ましく、0.001から0.1質量%が更に好ましく、0.001から0.05質量%が特に好ましい。
(重合体(PL)の製造方法)
本発明の液晶表示素子における重合体は(PL)は、化合物(I)を含む液晶組成物の紫外線照射による重合により形成され、これにより液晶配向能が付与され、組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。
本発明における重合体は(PL)を得る方法には、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。
紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性化合物含有組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。
液晶層は、2つの基板AM、CFに挟まれているため 紫外線、電子線のような活性エネルギー線を液晶組成物に対して照射することにより、重合体(PL)を基板AM、またはCF側に偏在することができる。
なお、本実施形態のように、少なくとも照射面側に位置する基板は、活性エネルギー線に対して適当な透過性を有する必要がある。
また、重合工程は次のように複数段階で行ってもよい。具体的には、まず、マスクを用いて液晶組成物の特定の領域に存在する化合物(I)などの重合性化合物のみを重合させることができる。その後、電場、磁場または温度等の条件を調整し、未重合領域における液晶分子の配向状態を変化させることができる。この状態で、さらに活性エネルギー線を照射して、未重合領域に存在する化合物(I)などの重合性化合物を重合させることができる。
本工程は、表示素子として液晶分子の良好な配向性、および残留モノマー量の低減を得るためであり、適度な重合速度であることが望ましい。また、簡便性、効率の観点から前記活性エネルギー線は紫外線領域であることが特に好ましい。
また、偏光光源を用いてもよいし、非偏光光源を用いてもよいが、水平配向性の誘起のためには、偏光光源であることが好ましく、直線偏光であることがさらに好ましい。一方で、残留モノマー量低減のためには、非偏光光源であることが好ましい。これらのバランスを実現するために、活性エネルギー線を単一、併用または順番に照射することもできる。
特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光してもよく、電圧を印加する場合、交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましい。
活性エネルギー線が紫外線の場合、光源ランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。
また、照射する紫外線は、液晶組成物の吸収波長域でない波長を有する紫外線であることが好ましく、必要に応じて所定の波長をカットして使用することがより好ましい。
照射する活性エネルギー線(特に紫外線)の強度は、0.1mW/cm〜100W/cm程度であることが好ましく、2mW/cm〜50W/cm程度であることがより好ましい。なお、強度を変化させつつ、活性エネルギー線を照射するようにしてもよい。
照射する活性エネルギー線(特に紫外線)のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm〜500J/cm程度であることが好ましく、100mJ/cm〜200J/cm程度であることがより好ましい。
また、活性エネルギー線(特に紫外線)を照射する時間は、その強度により適宜選択されるが、10〜7200秒程度であることが好ましく、10〜3600秒程度であることがより好ましく10〜600秒程度であることがさらに好ましい。
この際、例えば、照射する活性エネルギー線の照射時間、液晶組成物中に含まれる配向助剤の量等を適宜調整することにより、重合性モノマーの重合物に起因する表面粗さ(Ra)を設定することができる。
紫外線を照射する際の温度は、電圧保持率やツイスト角安定性などの信頼性の観点からは液晶組成物のTni以下の温度が好ましく、液晶組成物の均一配向性、残存モノマーの観点からはTni以上であることが好ましく、さらに、温度は、Tni +30℃以上であることがさらに好ましい。
(液晶表示素子の製造方法)
本実施形態の液晶表示素子の製造方法は、基板および液晶組成物を準備する準備工程[1]と、基板に親水化処理を施す親水化処理工程[2]と、液晶表示素子1を組み立てる組立工程[3]と、化合物(I)などの重合性化合物を重合させる重合工程[4]と、シール材を硬化させる硬化工程[5]とを有している。親水化処理工程[2]はこの工程を施すことが好ましいが、省略することもできる。
[1] 準備工程
まず、アクティブマトリックス基板AMと、カラーフィルタ基板CFと、前述の液晶組成物とを用意する。
液晶表示素子に使用される2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
[2] 親水化処理工程(第1の工程)
次に、アクティブマトリックス基板AMおよびカラーフィルタ基板CFの液晶層に接触する面(基板AM、CFの接触面)のそれぞれに、親水化処理を施してもよい。なお、本工程は、必要に応じて行うようにすればよく、省略することもできる。
親水化処理を施すことにより、基板AM、CFの接触面(以下、単に「接触面」とも言う。)の親水性を高めることができる。このため、内側面に対して、液晶組成物中に含まれる配向助剤の極性基を強固に固定することができる。また、接触面から、メソゲン基が離れるように配向助剤を配向させることができる。その結果、液晶層中において液晶分子を配向させた状態でより確実に保持することができる。
親水化処理(極性向上処理)としては、例えば、オゾン処理、コロナ処理、酸素プラズマ処理のような物理的処理、界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の付与、親水性を有する官能基の導入のような化学的処理等が挙げられる。これらの処理は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、親水化処理としては、物理的処理が好ましく、オゾン処理がより好ましい。オゾン処理によれば、接触面に水酸基を導入して親水性(極性)を高めることができる。また、オゾン処理(物理的処理)は、洗浄効果も高いため、内側面に付着した不純物(例えば、レジスト残渣等)を除去することができる。したがって、接触面には、配向助剤の極性基がより吸着し易くなる。
<オゾン処理>
オゾン処理は、紫外線(UV)照射により空気中の酸素をオゾンに変換し、オゾン含有雰囲気により表面改質を行う方法である。
UV光源としては、低圧水銀ランプが好ましい。低圧水銀ランプは、185nm付近と254nm付近との波長に発光スペクトルを有し、185nm付近の波長を有する光でオゾンを生成し、254nm付近の波長を有する光でオゾンを分解し、活性酸素を生成することが知られている。したがって、低圧水銀ランプを用いることにより、接触面に効率よく親水化処理を施すことができる。
オゾンの生成源となるガスは、酸素を含むガスであればよく、酸素ガス、乾燥空気等を用いることができる。
また、オゾン処理の雰囲気の圧力は、減圧および大気圧のいずれであってもよい。
オゾン処理の時間(UVの照射時間)は、特に限定されないが、5〜100秒間程度であることが好ましく、10〜60秒間程度であることがより好ましい。
<コロナ処理>
コロナ処理は、大気圧下に、一対の電極に高電圧の交流を印加することにより励起されるコロナ放電を利用して、表面改質を行う方法である。
<酸素プラズマ処理>
酸素プラズマ処理は、酸素ガスを含む処理ガスをアーク放電により電離させ、この際に発生する酸素プラズマを利用して表面改質を行う方法である。
処理ガスには、酸素ガスと、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスのような不活性ガスとの混合ガスを用いることができる。
酸素ガスの供給量は、0.5〜50sccm程度であることが好ましく、雰囲気の圧力は、0.1〜50Pa程度であることが好ましい。
アーク放電時において電源からの印加電力は、10〜500W程度であることが好ましく、電源の周波数は、1〜50kHz程度であることが好ましい。
親水化処理後の接触面の全領域において25℃における水の静的接触角が70°以下であることが好ましく、60°以下であることがより好ましい。
画素電極層5および共通電極層9が有機絶縁膜を含む場合は、有機絶縁膜の表面の25℃における水の静的接触角が70°以下であることが好ましく、40〜55°程度であることがより好ましい。ITO膜(金属酸化物膜)の表面の25℃における水の静的接触角が30°以下であることが好ましく、10〜20°程度であることがより好ましい。
また、親水化処理後の接触面の全領域において表面自由エネルギーが50mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上であることがより好ましい。
画素電極層および共通電極層が有機絶縁膜を含む場合は、有機絶縁膜の表面の表面自由エネルギーが50mN/m以上であることが好ましく、55〜65mN/m程度であることがより好ましい。ITO膜(金属酸化物膜)の表面の表面自由エネルギーが70mN/m以上であることが好ましく、75〜85mN/m程度であることがより好ましい。
静的接触角および表面自由エネルギーを前記範囲に設定することにより、配向助剤を接触面のほぼ全面にムラなく供給することができるとともに、配向助剤をより強固に接触面に吸着(固定)することができる。
[3] 組立工程(第2の工程)
次に、アクティブマトリクス基板AMおよびカラーフィルタ基板CFの少なくとも一方の縁部に沿って、ディスペンサーを用いてシール材を閉ループ土手状に描画する。
ここで、前記基板は、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さdが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、2.5〜4.0μmが特に好ましい。偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料などからなる柱状スペーサー等が挙げられる。
その後、減圧状態下において、所定量の液晶組成物をシール材の内側に滴下し、2枚の基板間に液晶組成物を狭持させる。この方法は、通常の真空注入法又はODF(One Drop Fill)法、インクジェット法などを用いることができるが、真空注入法においては滴下痕が発生しないものの、注入の跡が残る課題を有しているものであるが、本願発明においては、ODF法を用いて製造する表示素子により好適に使用することができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーン又はフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本発明の組成物は、ODF工程における組成物の滴下が安定的に行えるため、好適に使用することができる。
ODF法では、液晶表示素子1のサイズに応じて最適な注入量を滴下する必要がある。前述したような液晶組成物は、例えば、滴下時に生じる滴下装置内の急激な圧力変化や衝撃に対する影響が少なく、長時間にわたって安定的に滴下し続けることが可能である。このため、液晶表示素子1の歩留まりを高く維持することができる。
特に、スマートフォンに多用される小型の液晶表示素子は、液晶組成物の最適な注入量が少ないため、そのズレ量を一定範囲内に制御すること自体が難しい。しかしながら、前述したような液晶組成物を用いることにより、小型の液晶表示素子においても安定かつ最適な注入量を正確に滴下することができる。
また、ODF法によれば、液晶組成物を基板に滴下した際の滴下痕の発生を抑えることができる。なお、滴下痕とは、黒表示および白表示した場合に液晶組成物を滴下した痕が散乱のため、白く浮かび上がる現象である。
上記により、液晶組成物に接触するように、アクティブマトリクス基板AMとカラーフィルタ基板CFとを対向させて配置することができる。
[4] 重合工程(第3の工程)
重合工程(第3の工程)は、(重合体(PL)の製造方法)の記載と同様である。
なお、[3]組立工程では、滴下注入(ODF)法に代えて、真空注入法を用いるようにしてもよい。例えば、真空注入法では、まず、アクティブマトリクス基板AMおよびカラーフィルタ基板CFの少なくとも一方の縁部に沿って、注入口を残すようにしてシール材をスクリーン印刷する。その後、2つの基板AM、CFを貼り合わせ、加熱によりシール材を熱硬化させる。次に、注入口を封止した後、[4]重合工程に移行する。
このようにして得られた液晶表示素子は、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型またはECB型の液晶表示素子であることが好ましく、IPS型、FFS型またはECB型の液晶表示素子であることがより好ましい。
以上、本発明の液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の液晶表示素子は、その一部の構成を同様の機能を発揮する他の構成と置換してもよく、任意の構成を追加してもよい。また、本発明の液晶表示素子の製造方法は、任意の目的を有する追加の工程を有してもよく、同様の作用・効果が得られる任意の工程と置換されてもよい。
また、前記実施形態の液晶表示素子では、アクティブマトリクス基板AMおよびカラーフィルタ基板CFの双方がポリイミド(PI)配向膜を介さず、直接、液晶層4に接触する構成であるが、いずれか一方にPI配向膜を設けるようにしてもよい。この場合、PI配向膜の表面には、親水化処理を施しても、施さなくてもよい。
PI配向膜を設けるのであれば、PI配向膜を形成する際のCFへの熱の影響、および配向性から、アクティブマトリクス基板AM(画素電極を有する基板)側が好ましく、残留DC、焼きつきの観点からはカラーフィルタ基板CF側が好ましい。
以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は「質量%」を意味する。
尚、実施例において化合物の記載について以下の略号を用いた。
<環構造>
Figure 2020177071
(側鎖構造及び連結構造)
Figure 2020177071
(ただし、表中のnは自然数である。)
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
ni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ :20℃における回転粘性(mPa・s)
Δε :20℃における誘電率異方性
33 :20℃における弾性定数K33(pN)
実施例及び比較例の各液晶組成物について、以下の各種評価試験を行った。
また、各実施例および比較例における、それぞれの液晶組成物における各評価試験の結果をそれぞれ後述の各表に記載した。
「VHR測定」
(周波数60Hz,印加電圧1Vの条件下で333Kにおける電圧保持率(%))
450nmに主発光ピークを有する青色LED光源耐光試験:
450nmにピークをもつ青色単色LED光源を液晶パネルに対して14時間450nmの波長で68J照射する前と後のVHRを測定した。
385nmに主発光ピークを有するLED耐光試験:
385nmをピークにもつ単色LEDを液晶パネルに対して60秒385nmの波長で10J照射する前と後のVHRを測定した。
「液晶パネル、バックライトユニットおよび液晶表示素子の作製方法」
(1)液晶パネルの作製
(光変換層またはカラーフィルタの製造)
(A)「発光性ナノ結晶の作製」
下記の発光性ナノ結晶を製造する操作、及びインクを製造する操作は、窒素で満たしたグローブボックス内、または、大気を遮断し窒素気流下のフラスコ内で行った。
また以下で例示するすべての原料は、その容器内の大気を、容器内に窒素ガスを導入して窒素ガスにあらかじめ置換しておき用いた。尚、液体材料に関しては、液体に窒素ガスを導入して溶存酸素を窒素ガスに置換し用いた。酸化チタンについては使用前に、1mmHgの減圧下、2時間、120℃で加熱し、窒素ガス雰囲気下で放冷した。
また、以下で用いる、有機溶剤及び液体材料は、10mlにつき、窒素雰囲気下、関東化学(株)モレキュラーシーブ 3Aを1gの割合で加えて、48時間以上脱水、乾燥させたものを用いた。
〔赤色発光性ナノ結晶の製造〕
1000mlのフラスコに酢酸インジウム17.48g、トリオクチルホスフィンオキサイド25.0g、ラウリン酸35.98gを仕込み、窒素ガスでバブリングしながら160℃で40分撹拌した。更に250℃で20分間撹拌した後、300℃まで加熱して撹拌を続けた。グローブボックス内でトリス(トリメチルシリル)ホスフィン4.0gをトリオクチルホスフィン15.0gに溶解させた後、ガラス注射器に充填した。これを300℃に加熱した前記のフラスコ中に注入し、250℃で10分間反応させた。さらにグローブボックス内でトリス(トリメチルシリル)ホスフィン7.5gをトリオクチルホスフィン30.0gに溶解させた混合液5mlを上記反応溶液に12分間で滴下し、その後、使い切るまで15分間隔で5mlずつ反応溶液に加えた。
別の三口フラスコにて酢酸インジウム5.595g、トリオクチルホスフィンオキシド10.0g、ラウリン酸11.515gを仕込み、窒素ガスでバブリングしながら160℃で40分撹拌した。更に250℃で20分間撹拌、300℃まで加熱した後、70℃まで冷却した混合溶液を上記反応溶液に加えた。グローブボックス内でトリス(トリメチルシリル)ホスフィン4.0gをトリオクチルホスフィン15.0gに溶解させた混合液5mlを再度、上記反応溶液に12分間で滴下し、その後、使い切るまで15分間隔で5mlずつ反応溶液に加えた。1時間攪拌を維持、室温まで冷却した後、トルエン100mlとエタノール400mlを加えて微粒子を凝集させた。遠心分離機を用いて微粒子を沈殿させた後、上澄み液を廃棄し、沈殿した微粒子をトリオクチルホスフィンに溶解させる事によりリン化インジウム(InP)赤色発光性ナノ結晶のトリオクチルホスフィン溶液を得た。
〔緑色発光性ナノ結晶の製造〕
1000mlのフラスコに酢酸インジウム23.3g、トリオクチルホスフィンオキサイド40.0g、ラウリン酸48.0gを仕込み、窒素ガスでバブリングしながら160℃で40分撹拌した。更に250℃で20分間撹拌した後、300℃まで加熱して撹拌を続けた。グローブボックス内でトリス(トリメチルシリル)ホスフィン10.0gをトリオクチルホスフィン30.0gに溶解させた後、ガラス注射器に充填した。これを300℃に加熱した前記のフラスコ中に注入し、250℃で5分間反応させた。フラスコを室温まで冷却し、トルエン100mlとエタノール400mlを加えて微粒子を凝集させた。遠心分離機を用いて微粒子を沈殿させた後、上澄み液を廃棄し、沈殿した微粒子をトリオクチルホスフィンに溶解させる事によりリン化インジウム(InP)緑色発光性ナノ結晶のトリオクチルホスフィン溶液を得た。
〔InP/ZnSコアシェルナノ結晶の製造〕
上記にて合成したリン化インジウム(InP)赤色発光性ナノ結晶のトリオクチルホスフィン溶液においてInP3.6g、トリオクチルホスフィン90gに調整した後、1000mlのフラスコに投入し、さらにトリオクチルホスフィンオキシド90g、ラウリン酸30gを加える。一方、グローブボックス内でジエチル亜鉛の1Mヘキサン溶液42.9ml、ビストリメチルシリルスルフィドのトリオクチルホスフィン9.09重量%溶液92.49gをトリオクチルホスフィン162g混合する事でストックソリューションを作製した。フラスコ内を窒素雰囲気に置換した後、フラスコの温度を180℃に設定し、80℃に達した時点で上記ストックソリューション15mlを添加し、その後10分ごとに15mlを添加し続けた。(フラスコ温度は180℃に維持)。最後の添加が終了後、さらに10分間温度を維持する事で反応を終了させた。反応終了後、溶液を常温まで冷却させ、トルエン500mlとエタノール2000mlを加えてナノ結晶を凝集させた。遠心分離機を用い、ナノ結晶を沈殿した後、上澄み液を廃棄し、溶液中のナノ結晶濃度が20質量%となる様、沈殿物を再度クロロホルムに溶解させる事により、InP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)のクロロホルム溶液(QD分散液1)を得た。
また、リン化インジウム(InP)赤色発光性ナノ結晶の代わりに、前記のリン化インジウム(InP)緑色発光性ナノ結晶を用い、InP/ZnSコアシェルナノ結晶(緑色発光性)のクロロホルム溶液(QD分散液2)を得た。
〔発光性ナノ結晶のリガンド交換〕
特開2002―121549(三菱化学(株)の公開特許公報)を参考にして3−メルカプトプロパン酸のトリエチレングリコールモノメチルエーテルエステル(トリエチレングリコールモノメチルエーテルメルカプトプロピオネート)(TEGMEMP)を合成し、減圧乾燥した。
窒素ガスで満たした容器内でナノ結晶(量子ドット)分散液1(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)を含む)と、上記で合成したTEGMEMP8gを溶解したクロロホルム溶液80gを混合して80℃で2時間撹拌することでリガンド交換を行い、室温まで冷却した。
その後、減圧下40℃で撹拌しながらトルエン/クロロホルムを蒸発させ、液量が100mlになるまで濃縮した。この分散液に4倍重量のn−ヘキサンを加えてQDを凝集させ、遠心分離とデカンテーションによって上澄み液を除いた。沈殿物に50gのトルエンを加えて超音波で再分散させた。この洗浄操作を計3回行い、液中に残存する遊離しているリガンド成分を除去した。デカンテーション後の沈殿物を室温で2時間真空乾燥してTEGMEMPで修飾されたQD(QD−TEGMEMP(赤色発光))の粉体2gを得た。同様の方法でQD(QD−TEGMEMP(緑色発光))の粉体を得た。
(B)着色用組成物、発光用ナノ結晶含有組成物およびインク組成物の作製
[赤色発光用ナノ結晶含有組成物1]
上記赤色発光用ナノ結晶固形分(リガンドを含む)30質量部と、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)30質量部と、重合開始剤(Irgacure−907(商標名) BASF社製)5質量部と、ポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)30質量部とを混合して、固形分が20質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、赤色発光用ナノ結晶含有組成物1を得た。
[赤色着色用組成物]
赤色顔料(水溶分0.3%、比電導度30μS/cmのC.I.Pigment Red 254)10部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55部、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)7.0部、0.3−0.4mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散液を得た。この顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、赤色顔料着色組成物1を得た。
なお、顔料の水溶分は、JIS K5101−16−1(顔料試験方法−第16部:水溶分−第1節:煮沸抽出法)に基づくものである。
具体的には、
1.顔料5.00gを500mLの硬質ビーカーに正しく計り取り、イオン交換水(電導度5μS/cm以下、pH=7.0±1.0)200mLを、初め少量ずつ加え、試薬一級メタノール5mLを加えてよく濡らした後、全量を加え5分間煮沸する。
2.これを室温まで冷却し、250mLメスシリンダーに移し、更に上記イオン交換水を加えて250mLとし、よくかき混ぜてアドバンテック社製ろ紙No.5Cにてろ過する。
3.ろ液の最初の約50mLを捨て、残りの中から100mLをメスシリンダーで計り取り、質量既知の蒸発皿に移す。メスシリンダーに付着したろ液は少量のイオン交換水で蒸発皿に洗い流す。
4.この蒸発皿を水浴上で蒸発乾固させ、105〜110℃に保った乾燥器中で2時間乾燥した後デシケーターに入れ、放冷した後の質量を計り、蒸発残量を求める。
5.次式により水溶分を算出する。
顔料の水溶分(%)=蒸発残量(g)×2.5 / 顔料の質量(g) ×100
また、顔料の比電導度は、イオン交換水の比電導度を電導度計(東亜ディーケーケー株式会社社製CM−30V型等)を使用して測定した後、上記3で100mLをメスシリンダーで計り取ったろ液を同じ電導度計を使用して測定し、次式により測定値を補正して算出する。
顔料の比電導度=ろ液の比電導度−用いたイオン交換水の比電導度
[緑色発光用ナノ結晶含有組成物1]
上記赤色発光用ナノ結晶含有組成物の赤色発光用ナノ結晶に代え、上記緑色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、緑色発光用ナノ結晶含有組成物1を得た。
[緑色着色用組成物]
上記赤色顔料着色組成物1の赤色顔料1 10部に代え、緑色顔料1(水溶分0.3%、比電導度40μS/cmのC.I.Pigment Green 36)6部と黄色顔料2(水溶分0.6%、比電導度70μS/cmのC.I.Pigment Yellow 150)4部を混合した顔料(水溶分0.4%、比電導度50μS/cm)を用いて、上記と同様にして、緑色着色用組成物1を得た。
[青色(発光用ナノ結晶含有)組成物]
青色(発光用ナノ結晶含有)組成物は、上記赤色発光用ナノ結晶含有組成物1の赤色発光用ナノ結晶に代え、青色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、青色発光用ナノ結晶含有組成物を得た。
[青色着色用組成物1]
青色着色用組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)、Saint−Gobain社製0.3−0.4mmφジルコニアビーズ「ER−120S」を混合し、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、1μmのフィルタで濾過して分散液を調製した。次いで、当該分散液75質量部、ポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.5質量部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5質量部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1質量部およびユーカーエステルEEP13.5質量部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物1を得た。
[青色着色用組成物2]
青色着色組成物は、青色染料1(C.I.Solvent Blue 7)をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)、Saint−Gobain社製0.3−0.4mmφジルコニアビーズ「ER−120S」を加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、1μmのフィルタで濾過し顔料分散液を得た。
この顔料分散液75質量部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.5質量部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5質量部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物2を得た。
[黄色発光用ナノ結晶含有組成物]
黄色発光用ナノ結晶含有組成物も上記赤色発光用ナノ結晶に代え、黄色色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、黄色発光用ナノ結晶含有組成物を得た。
[黄色着色用組成物]
上記赤色顔料組成物の赤色顔料に代え、黄色顔料(水溶分0.6%、比電導度70μS/cmのC.I.Pigment Yellow 150)10部を用いて上記と同様にして、黄色着色用組成物を得た。
「インク組成物の作製」
〔酸化チタン分散液の調製〕
窒素ガスで満たした容器内で、酸化チタン6gと、高分子分散剤1.01gと、1,4−ブタンジオールジアセテートとを不揮発分40%となるように混合した。窒素ガスで満たした容器内の配合物にジルコニアビーズ(直径:1.25mm)を加えた後、窒素ガスで満たした密閉容器をペイントコンディショナーを用いて2時間振とうさせることで配合物の分散処理を行った。これにより光散乱性粒子分散体1を得た。上記の材料は全て、窒素ガスを導入して溶存酸素を窒素ガスに置換したものを用いた。
〔赤色発光用ナノ結晶含有インク組成物1の調製〕
窒素ガスで満たした容器内で、以下の(1)、(2)及び(3)を均一に混合した後、グローブボックス内で、混合物を孔径5μmのフィルタでろ過、更に窒素ガスをインク内に導入し窒素ガスを飽和させた。次いで減圧して窒素ガスを除去することにより、インク組成物を得た。こうして、脱酸素処理された、水分を実質的に含有していない、最終インク組成物1を得た。尚、使用した材料は以下である。
[光散乱性粒子]
・酸化チタン:MPT141(石原産業(株)製)
[熱硬化系樹脂]
・グリシジル基含有固形アクリル樹脂:「ファインディックA−254」
(DIC(株)製)
[高分子分散剤]
・高分子分散剤:BYK−2164
(BYK社製の商品名、「DISPERBYK」は登録商標)
[有機溶剤]
・1,4−ブタンジオールジアセテート ((株)ダイセル製)
(1)上記で調製したQD(QD−TEGMEMP(赤色発光))に、有機溶剤1,4−ブタンジオールジアセテートを混合し不揮発分30%としたQD−TEGMEMP分散液1(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)を含む): 22.5g
(2)熱硬化系樹脂:DIC(株)製「ファインディックA−254」(6.28g)と、硬化剤:1−メチルシクロヘキサン−4,5−ジカルボン酸無水物 (1.05g)と硬化促進剤:ジメチルベンジルアミン (0.08g)とを、有機溶剤:1、4−ブタンジオールジアセテートに不揮発分30%となるように溶解した、熱硬化性樹脂溶液 : 12.5g
(3)前記光散乱性粒子分散体1: 7.5g
〔緑色発光用ナノ結晶含有インク組成物2の調製〕
上記QD−TEGMEMP分散液1(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)を含む)の代わりに、QD(QD−TEGMEMP(緑色発光))の分散液(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(緑色発光性)を含む)を用い、インク組成物1と同様にしてインク組成物2を得た。
〔インク組成物3の調製〕
Y138(BASF株式会社製) 0.50質量部を塩化ナトリウム1.50質量部、ジエチレングリコール0.75質量部とともに磨砕した。その後、この混合物を600質量部の温水に投じ、1時間攪拌した。水不溶分をろ過分離して温水でよく洗浄した後、90℃で送風乾燥して顔料化を行った。顔料の粒子系は、100nm以下、粒子の平均長さ/幅比は3.00未満であった。得られたキノフタロン化合物の黄色顔料を用いて以下の分散試験及びカラーフィルタ評価試験を行った。
上記方法で顔料化したY138(BASF株式会社製)0.660質量部をガラス瓶に入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.42質量部、DISPERBYK(登録商標)LPN−6919(ビックケミー株式会社社製)0.467質量部、DIC株式会社製アクリル樹脂溶液ユニディック(登録商標)ZL−295 0.700質量部、0.3−0.4mmφセプルビーズ22.0質量部を加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、顔料分散体を得た。さらに、得られた顔料分散体2.00質量部、DIC株式会社製アクリル樹脂溶液ユニディック(登録商標)ZL−295 0.490質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.110質量部をガラス瓶に入れ、インク組成物3を作製した。
〔光散乱性インク組成物ScBの調製〕
上記QD−TEGMEMP分散液1(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)を含む)の代わりに、(1)として1,4−ブタンジオールジアセテートを用い、インク組成物1と同様にして光散乱性インク組成物ScBを得た。
(C)光変換層の製造
(フォトリソグラフィ法による光変換層1〜5の作製)
予めブラックマトリックスが形成されてあるガラス基板に、赤色発光用ナノ結晶含有組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。70℃で20分間乾燥の後、超高圧水銀ランプを備えた露光機にて紫外線をフォトマスクを介してストライプ状のパターン露光をした。アルカリ現像液にて90秒間スプレー現像、イオン交換水で洗浄し、風乾した。さらに、クリーンオーブン中で、180℃で30分間ポストベークを行い、ストライプ状の着色層である赤色画素を透明基板上に形成した。
次に、緑色発光用ナノ結晶含有組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布。乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。
以下、下記表1の構成となるように、各色の発光用ナノ結晶含有組成物又は着色用組成物を用いて、赤、緑、青の3色のストライプ状の画素を持つ光変換層1,3,5又は赤、緑、青、黄の4色のストライプ状の画素を持つ光変換層3を得た。
また、光変換層1上の全面に青色着色組成物2を塗布・紫外線照射することにより赤、緑、青の3色のストライプ状の画素全面の上に青色層を形成させた光変換層4を得た。
Figure 2020177071
〔インクジェット法による光変換層6の作製〕
無アルカリガラスからなるガラス基板(日本電気硝子社製の「OA−10G」)上に金属クロムをスパッタリング後、フォトリソグラフィ法にてパターン形成したのち、フォトレジストSU−8(日本化薬株式会社製)を塗布、露光、現像、ポストベークして、クロムパターン上に、SU−8パターンを形成した。
こうして作成した隔壁パターンのデザインは、100μm×300μmのサブ画素に相当する開口部分を有するパターンであり、線幅は20μmであり、厚さは8μmであった。このBM基板を光変換層6の作成に使用した。
尚、同様の方法で、ベタパターンを作成し、インクに用いる溶剤(1,4−BDDA)の接触角を測定したところ、45°であり溶剤に対して撥液性を示すことを確認した。
インクジェットプリンター(富士フイルムDimatix社製、商品名「DMP−2850」)を用いて、上記インク組成物1〜2および、QD−TEGMEMPを用いないこと以外は赤色発光用ナノ結晶含有インク組成物1と同様にして光散乱性インク組成物ScBを作成し、これらのインク組成物を開口部に吐出させた。なお、本インクジェットプリンターのインクを吐出するヘッド部には16個のノズルが形成されており、1ノズル当たり、吐出一回あたりのインク組成物の使用量は10pLとした。
ブラックマトリックス(以下、BMとも称する)を、DMP−2850のプラテン(基材テーブル)上に設置し、基材上のブラックマトリックスパターンとヘッドの走査方向を一致させ、位置あわせを行って、BMの開口部分に対して、インクを6m/秒の速度で吐出させた。
尚、ブラックマトリックスの隔壁厚みに対して、インクの硬化膜の膜厚みが80%以上の厚みになるまでインクを吐出、製膜した。BMの開口部に印刷・硬化されたインク硬化膜の膜厚は、光干渉式の膜厚計(Vert Scan)にて測定した。
尚、インクの乾燥や硬化処理は、以下のように行った。
インクが熱硬化性の場合、溶剤を含むため、減圧下で乾燥させたのち、グローブボックス内で窒素雰囲気中、100℃3分加熱ののち、150℃30分、加熱し硬化させた。
インクが光重合性の場合、窒素ガスを充填した光透過性窓を有する密閉容器(パージボックス)に、印刷した基板を入れ、紫外線照射装置にて、UV光を照射して効果させた。
このようにして、BM基板に、青色光を赤色光に変換する画素部と、青色光を緑色光に変換する画素部と、発光性ナノ結晶を含まない光散乱剤含有分散液で青色光を(色変換せずに)透過させる画素部と、を形成した。
以上の操作により、複数種の画素部を備えるパターン付き光変換層6を得た(図16の構成)。
[インクジェット法による光変換層7の作製]
上記光変換層1を上記と同様の方法でガラス基板上に作製した後、光変換層1が形成されているガラス基板面とは反対側の面、すなわち画素部である硬化したインク組成物1〜2および硬化したインク組成物ScB上にインク組成物3をスピンコーターにより塗布後、乾燥させた。次いで、180℃で1時間加熱することで、黄色カラーフィルタ層が一面にコーティングされ、かつ青色光を赤色光に変換する画素部と、青色光を緑色光に変換する画素部と、発光性ナノ結晶を含まない光散乱剤含有分散液で青色光を(色変換せずに)透過させる画素部と、がBM基板の開口部中に形成した光変換層7を作製した(図14の構成)。
[インセル偏光層を備えた電極基板の製造方法]
前記光変換層1上のクラレ社製「ポバール103」水溶液(固形分濃度4質量%)をそれぞれ塗布・乾燥させた後、ラビング処理を施した。
次いで、ラビング処理面に、メガファックF‐554(DIC株式会社製)0.03質量部、以下の式(az−1)のアゾ色素1質量部、以下の式(az−2)のアゾ色素1質量部、
Figure 2020177071
クロロホルム98質量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学社製)2質量部、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬社製)2質量部、イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.06質量部およびカヤキュアーDETX(日本化薬社製)からなる偏光層用塗布液を塗布・乾燥させて、偏光層および光変換層1を備えた基板1を作成した。その後、ITOをスパッタリング法により堆積させ、対向基板1(=第2(電極)基板)を作製した。
同様に、光変換層1の代わりに、光変換層6を用いて対向基板6(=第2(電極)基板)を作製した。
また、同様に光変換層1の代わりに、光変換層7を用いて対向基板7(=第2(電極)基板)を作製した。
(実施例1)(IPS液晶パネル)
配向層を有さない透明電極が形成された第1基板と、上記インセル偏光層を表面に備えた光変換層6が形成された配向層を有さない対向基板6(上記第2の透明電極基板)における液晶層に接する側に、それぞれオゾン処理の時間を30秒間行なった。その後、それぞれの電極が対向するように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により貼り合わせた。
次に、配向層表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、以下の化合物(I)に相当する化合物(以下の式(P−J−1))1.0質量部と、
Figure 2020177071
下記重合性化合物(XX−1)0.3質量部と、
下記液晶組成HLC1を100質量部とを混合した液晶組成物(組成1)をセルギャップ3.5μmで配向膜を有さないITO付き基板を含む液晶パネルに真空注入法で注入した。
その後、シール材を常圧で110℃2時間の条件で硬化させ、配向膜を有さないIPS型液晶パネルを得た。
さらに、得られた液晶セルがTni+30℃の温度になるように加熱し、この温度にて、365nmにおける照度が50mW/cm2である直線偏光UV光を600秒間照射した。このとき光源は、高圧水銀ランプとし、ワイヤーグリッドを介することにより直線偏光UVの照射を行なった。
次に、蛍光UVランプを用いて、中心波長313nmの条件で測定した照度が3mW/cmになるように調整し、積算光量10J/cmの紫外線を更に照射し、IPS型液晶パネル1を得た。このときの、このときの配向性および滴下痕などの配向ムラを、偏光顕微鏡を用いて観察した結果、端部なども含め、全面に渡り均一な一軸水平配向が得られた。
450nmに主発光ピークを有する青色光による耐光試験および385nmに主発光ピークを有する光による耐光試験の評価を行った。その結果を以下に示す。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
(実施例2〜9)
用いる液晶組成、重合性化合物を以下のものに変更した以外、実施例1と同一条件で配向膜を有さないIPS型液晶パネルを作製した。
これら液晶パネルの配向性および滴下痕などの配向ムラを、偏光顕微鏡を用いて観察した結果、端部なども含め、全面に渡り均一な一軸水平配向が得られた。その後、450nmに主発光ピークを有する青色光による耐光試験および385nmに主発光ピークを有する光による耐光試験の評価を行った。その結果を以下に示す。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
上記表3、7〜10において、450nmに主発光ピークにおける低下率は、「1−(14時間耐光試験後のVHR値」/(初期(=14時間耐光試験前)のVHR値)」であり、385nmに主発光ピークにおける低下率は、「1−(60秒耐光試験後のVHR値)/(初期(=60秒耐光試験前)のVHR値)」である。したがって、低下率が低いほど、450nmに主発光ピークを有する青色光または385nmに主発光ピークを有する光に対して安定であることを示す。
上記実験結果によれば本発明の液晶表示素子は、本発明の範囲外の液晶表示素子(比較例1)に比べ耐光性に優れており、発光用ナノ結晶の劣化や部分的な高エネルギー光線の照射スポットによる液晶層の劣化を抑制または防止できると考えられる。
(液晶表示素子の作製と色再現領域の測定)
上記にて得られた配向膜を有さないIPS型液晶パネルに対して、上記で作製したバックライトユニット1〜2をそれぞれ取り付けて色再現領域を測定した。その結果、いずれも光変換層を備えた液晶表示素子は、色再現領域が広いことが確認された。
実施例にて作製した各種の液晶組成物を100重量%としたときに、化合物(I)に相当する化合物1.0重量%を、それぞれ下記化合物(P-J-3)から(P-J-17)に1.0重量%置換した以外は、各実施例と同様の液晶パネルを作製した。その結果、他の実施例と同様に、配向性、VHRなどに優れた結果を示した。
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
Figure 2020177071
[添加剤の添加]
実施例にて作製した各種の液晶組成物を100重量%としたときに、下記化合物(A-1)を0.0050重量%加えた。その結果、実施例と同様に優れた結果を示した。
Figure 2020177071
上記と同様に、実施例にて作製した各種の液晶組成物を100重量%としたときに、KEMISORB 71(BASF社製) を0.2wt%加えた。その結果、対応する実施例と同様に優れた結果を示した。
上記と同様に、実施例にて作製した各種の液晶組成物を100重量%としたときに、TINUVIN 770(BASF社製) を0.0050重量%加えた。その結果、対応する実施例と同様に優れた結果を示した。
本発明の様態にて作製した液晶表示素子にさらに、タッチパネルを具備した表示素子を作製した結果、表示素子として優れた性能を示すことが判明した。
(層構成)
上記実施例における、カラーフィルタ層および光変換層、偏光層、液晶層などの層構成を入れ替えても、表示素子として実施例と同様に優れた性能を示した。だだし、その際、光変換層は、偏光解消してしまうため、光源、偏光層、光変換層の順序はこの順とした。
(比較例)
(液晶表示素子の作製と色再現領域の測定)
上記各種実施例におけるIPS型液晶パネルに対して、液晶層に接する両面にポリイミド配向層を設けた以外が実施例と同様にIPS型液晶パネルを作成した。
ポリイミド配向層の形成は、水平配向を誘起するポリイミド系塗布液を塗布し、80℃5分の条件にて仮焼成し、その後230℃30分本焼成を行なうことにより作製した。さらに、形成された配向層を一軸に配向させるためラビング処理をした。
上記で作製したバックライトユニット1〜2をそれぞれ取り付けて色再現領域を測定した。その結果、いずれも光変換層を備えた液晶表示素子は、実施例と比較し、色再現領域の著しい狭小化が確認された。
1000:液晶表示素子
100:バックライトユニット(101:光源部、102:導光部、103:光変換部)
101:光源部(L:発光素子(105:発光ダイオード、110:光源基板)、112a、b:固定部材)
102:導光部(106:拡散板、104:導光板)
103:光源・導光部
110:光源基板
111:透明充填容器
112a、b:固定部材
NC:発光用ナノ結晶(化合物半導体)
1、8:偏光層
2、7:透明基板
3:第一の電極層
3’:第二の電極層
5:液晶層
6:カラーフィルタ(樹脂に色素が含まれる場合も含む)
9:支持基板
10:液晶パネル
11:ゲート電極
12:ゲート絶縁膜
13:半導体層
14:保護層
16:ドレイン電極
17:ソース電極
18:パッシベーション膜
21:画素電極
22:共通電極
23、25:絶縁層

Claims (19)

  1. 第一の基板および第二の基板が対向して設けられる一対の基板と、
    前記第一の基板と第二の基板と間に挟持された液晶層と、
    前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた画素電極と、
    前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた共通電極と、
    発光素子を備えた光源部と、
    赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備え、前記三原色の内少なくとも一色に入射した前記光源部からの光により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルを有する発光用ナノ結晶を含有する光変換層と、を備え、
    前記液晶層は、一般式(2−A)及び(2−B)
    Figure 2020177071
    (式中、Rは炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数2から7のアルケニル基であり、環Cは、複数存在する場合は相互に独立して、環上の−CH−基の1個又は2個以上が−O−又は−S−で置換されていてもよい1,4−シクロへキシレン基、又は、環状の−CH=基の1個又は2個以上が−N=で置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表し、これら環上の水素原子は1個又は2個以上がハロゲン原子で置換されていてもよく、Lは、複数存在する場合は相互に独立して、単結合、−C−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−又は−OCF−を表し、Xは、−F、−Cl、−CN、−NCS、−CF、−OCF、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜6のアルキル基又は少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜6のアルコキシ基を表し、Y及びYは相互に独立して、水素原子又はフッ素原子を表し、bは、1、2、3又は4を表す。)
    で表される群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する誘電率異方性(Δε)が正の液晶組成物を含み、
    前記第一の基板及び第二の基板と前記液晶層との間のうち少なくとも一方は配向膜を有さず、
    液晶組成物に含まれた単一又は複数の化合物(I)の光重合により形成された重合体(PL)を液晶層に接する界面上に有する液晶表示素子。
  2. 前記光変換層は、ブラックマトリクスを有し、青色光を吸収し赤色光を発光する第一の発光用ナノ結晶及び青色光を吸収し緑色光を発光する第二の発光用ナノ結晶を含有し、前記発光素子が青色領域に発光スペクトルを有する請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 前記光源部からの発光が青色光であり、光変換層における青色画素を形成する青色画素領域が該青色光を透過させるものである請求項1又は2記載の液晶表示素子。
  4. 前記光変換層は、ブラックマトリクスを有し、紫外光を吸収し赤色光を発光する第三の発光用ナノ結晶、紫外光を吸収し緑色光を発光する第四の発光用ナノ結晶及び紫外光を吸収し青色光を発光する第五の発光用ナノ結晶を含有し、前記発光素子が紫外領域に発光スペクトルを有する請求項1記載の液晶表示素子。
  5. 前記光変換層は、前記光源部側の基板と対向する基板側に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  6. 前記第一の基板と第二の基板間に少なくとも一つの偏光板挟持した請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  7. 赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の画素からの透過光又は発光のうち少なくとも一つの発光スペクトルの半値幅が20から50nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  8. 前記発光用ナノ結晶は、第一の半導体材料を少なくとも1種又は2種以上含むコアと、
    前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含むシェルとを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  9. 前記第一の半導体材料は、II−VI族半導体、III−V族半導体、I−III−VI族半導体、IV族半導体及びI−II−IV−VI族半導体からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項8に記載の液晶表示素子。
  10. 前記化合物(I)が、メソゲン基及び前記メソゲン基に結合した光異性化基又は二量化基を含む化合物である請求項1〜9いずれか1項に記載の液晶表示素子。
  11. 前記化合物(I)におけるメソゲン基は、さらに1個又は2個以上のPi1−Spi1
    (式中、Pi1は、一般式(P−1)〜一般式(P−15)で表される群より選ばれる置換基を表し、
    Figure 2020177071
    (式中、右端の黒点は結合手を表す。)
    Spi1は、単結合又はスペーサー基を表す。)
    で置換されている請求項10に記載の液晶表示素子。
  12. 前記化合物(I)が、極性基として一般式(K−1)〜(K−18)で表される群から選ばれる少なくとも一種の基を構造中に有する請求項10〜11に記載の液晶表示素子。
    Figure 2020177071
    (式中、WK1は、メチン基又は窒素原子を表すが、メチン基中の水素原子は炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されてもよく、
    K1は、水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し該アルキル基中の−CH−は−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−NH−、−OCOO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよいが−O−は連続にはならなく、
    K1及びYK1はそれぞれ独立して、−CH−、酸素原子又は硫黄原子を表し、
    K1は、酸素原子又は硫黄原子を表し、UK1、VK1及びSK1は、それぞれ独立して、メチン基又は窒素原子を表し、TK1は、それぞれ独立して一般式(T−1)〜(T−6)
    Figure 2020177071
    (式中、ST1は、単結合、炭素原子数1〜15個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の−CH−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−C(=CH)−又は−OCO−に置換されてもよく、RT1は、炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、当該アルキル基の−CH−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−C(=CH)−又は−OCO−に置換されてもよく、RT2及びRT3は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Pi1は、請求項11に記載のPi1と同じ意味を表し、Spi1は、請求項11に記載のSpi1と同じ意味を表し、同一分子内に、WK1、RK1、XK1、Y、ZK1、UK1、VK1、SK1、TK1、Spi1、Pi1、ST1、RT1、RT2及びRT3が複数存在する場合にはそれらは同一の意味を表しても、異なる意味を表してもよい。)
    で表される基を表す。)
  13. 前記化合物(I)の極性基が一般式(K−13)〜(K−18)から選択され、かつTK1の少なくとも一つが一般式(T−1)である請求項12に記載の液晶表示素子。
  14. 前記化合物(I)の極性基が一般式(K−13)〜(K−18)から選択され、かつTK1の少なくとも一つが(T−3)である請求項12に記載の液晶表示素子。
  15. 前記化合物(I)の極性基が(K−1)〜(K−12)から選択される請求項12に記載の液晶表示素子。
  16. 前記化合物(I)におけるメソゲンは、2つ以上のPi1−Spi1
    (式中、Pi1及びSpi1は、請求項11記載のPi1及びSpi1と同じ意味を表す。)で表される置換基で置換されている請求項11〜15いずれか1項に記載の液晶表示素子。
  17. 前記メソゲンに置換しているPi1−Spi1−で表される置換基におけるSpi1が単結合である請求項11〜16いずれか1項に記載の液晶表示素子。
  18. 前記化合物(I)として一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有する請求項1〜17いずれか1項に記載の液晶表示素子。
    Figure 2020177071
    (式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はPi1−Spi1−を表し、該アルキル基中の−CH−は−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−NH−、−OCOO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよいが−O−は連続にはならなく、Pi1は重合性基を表し、Spi1はスペーサー基又は単結合を表し、
    i1、Ci1及びDi1はそれぞれ独立して、2価の芳香族基、2価の複素芳香族基、2価の脂肪族基、2価の複素脂肪族基を表し、
    i1は、芳香族基を表し、これらAi1からDi1の環構造は、無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、Pi1−Spi1−及び−Z−Kilで置換されていてもよく、
    及びZはそれぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH−CHCOO−、−OCOCH―CH−、−CH=C(CH)COO−、−OCOC(CH)=CH−、−CH−CH(CH)COO−、−OCOCH(CH)―CH−、−OCHCHO−、又は炭素原子数2〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−はそれぞれ独立して、−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、
    31及びZ32はそれぞれ独立して、一般式(Z3−1)〜(Z3−5)から選ばれる基、又は単結合を表すが、Z31及び/又はZ32の少なくとも一つは(Z3−1)〜(Z3−5)のいずれかであり、
    Figure 2020177071
    (式中、両端の黒点は結合手を表す。)
    l、m及びnはそれぞれ独立して、0、1、2の整数を表し、
    kは0、1、2の整数を表し、
    は、単結合、−O−、−CH=CH−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH−CH(CH)COO−、−OCOCH(CH)―CH−、又は炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐アルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、
    i1は請求項11に記載の一般式(K−1)〜(K−18)から選択される基を表すが、分子内に複数存在する場合のPi1、Spi1、Pi1、Spi1、Ai1、Ci1、Di1、Z、Z、Z32、Z及びKi1は同一の意味を表しても、異なった意味を表していてもよい。)
  19. 前記液晶組成物中に含有する一般式(2−A)及び(2−B)で表される化合物において、Lが単結合又は−CFO−である化合物の含有量の合計が、一般式(2−A)及び(2−B)で表される化合物の含有量の合計に対して50〜100質量%である請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
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