以下、本発明の高演色液晶表示装置およびこれに用いるカラーフィルタの詳細について説明する。
なお、本明細書において、「C.I.」とは、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスの略を示す。
また、「高演色液晶表示装置」とは、量子ドットを有するバックライト部を備える液晶表示装置をいう。
さらに、本明細書において可視領域とは、380nm〜780nmの波長領域をいう。
I.高演色液晶表示装置
本発明の高演色液晶表示装置は、青色発光素子ならびに上記青色発光素子の発光光路上に配置された緑色量子ドットおよび赤色量子ドットを有し、青色光、緑色光および赤色光を発光するバックライト部と、透明基板および上記透明基板上に形成された赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含む着色層を有するカラーフィルタ、対向基板、ならびに上記カラーフィルタおよび上記対向基板の間に形成された液晶層を有する液晶セル部とを有し、上記バックライト部から発光される上記青色光が、波長430nm〜450nmの範囲内にピーク波長におけるピーク位置を有し、上記緑色光が、波長530nm±10nmの範囲内にピーク波長におけるピーク位置を有し、上記カラーフィルタの上記緑色着色層の平均透過率が、波長500nm〜550nmの範囲内で60%以上であり、上記青色着色層の平均透過率が、波長430nm〜500nmの範囲内で50%以上であることを特徴とするものである。
本発明の高演色液晶表示装置について図を用いて説明する。図2は、本発明の高演色液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、本発明の高演色液晶表示装置100は、透明基板1、透明基板1上に形成された赤色着色層2R、緑色着色層2Gおよび青色着色層2Bを有する着色層2、各着色層2R、2G、2Bの間に形成され、画素を画定する遮光部3を有するカラーフィルタ4、対向基板5、ならびにカラーフィルタ4および対向基板5の間に形成された液晶層6を有する液晶セル部10を有する。また、本発明の高演色液晶表示装置100は、青色発光素子21、青色発光素子21の発光光路上に配置された緑色量子ドット22および赤色量子ドット23、ならびに導光板220を有するバックライト部20を有する。図2においては、バックライト部20の導光板220の偏光板30B側の表面上に緑色量子ドット22および赤色量子ドット23が分散された樹脂シート25が配置されている例について示している。また、液晶セル部10の表面には、通常、偏光板30A、30Bが配置される。
本発明によれば、バックライト部から発光される青色光が、所定の波長領域内にピーク波長におけるピーク位置を有することにより、量子ドットによる青色光の光変換効率の低下を抑制することができ、また、緑色着色層および青色着色層の平均透過率を所定の範囲内とすることにより、輝度の低下を抑制することが可能な高演色液晶表示装置とすることができる。具体的には次の通りである。
まず、本発明の発明者等は、図1(a)に示すようなBT.2020の色域に対応できる液晶表示装置を得ることを目的として、研究を重ねた。本発明の発明者等は、特に、青色領域の色域を広げ、BT.2020の色域に面積比を対応させる試みを行った。その結果、青色光のピーク波長におけるピーク位置に応じて、青色領域の色域が決定されることを見出した。具体的には、図1(b)に示すように、青色光のピーク波長におけるピーク位置を、450nm、465nm、470nmにそれぞれ調整した場合、BT.2020の青色領域の色域において、カラーフィルタの青色着色層の濃度に応じて点線A、B、Cで示される色域を示すことを見出した。なお、図1(b)は、図1(a)の点線で囲った領域を拡大した拡大図である。
一方、本発明の発明者等は、青色光のピーク波長におけるピーク位置を比較的長波長側に調整した場合に、緑色量子ドットおよび赤色量子ドットによる青色光の光変換効率が低下してしまうという新たな課題を発見した。この理由としては、次のようなことが考えられる。すなわち、青色光のピーク波長におけるピーク位置を長波長側に調整した場合、従来よりも青色光のピーク波長が長波長側に存在することとなる。ここで、通常の量子ドットの吸収波長は、主に短波長側に存在している。そのため、本発明のように青色光のピーク波長が長波長側にシフトすると、量子ドットに吸収される青色光が減ってしまい、緑色量子ドットおよび赤色量子ドットによる青色光の光変換効率が低下してしまうと考えられる。
また、青色光のピーク波長におけるピーク位置を比較的長波長側に調整した場合には、高演色な液晶表示装置とするために、カラーフィルタにおける緑色着色層および青色着色層の透過率を調整する必要がある。具体的には、バックライト部の青色光のピーク波長におけるピーク位置を長波長側に調整した場合、青色光のピーク波長は、緑色光のピーク波長に近づくこととなり、高演色な液晶表示装置とすることが困難になるという問題がある。そのため、バックライト部の青色光のピーク波長におけるピーク位置を長波長側に調整した場合には、カラーフィルタの青色着色層の透過率を示すスペクトルと、緑色着色層の透過率を示すスペクトルとが重複する領域の平均透過率を低くする必要がある。しかしながら、カラーフィルタの青色着色層の透過率を示すスペクトルと、緑色着色層の透過率を示すスペクトルとが重複する領域の平均透過率を低くするためには、青色着色層および緑色着色層の透過率が全体的に低くなる傾向があり、この場合、液晶表示装置の輝度が低下してしまうという課題が生じることを発見した。
そこで、本発明の発明者等は、さらに研究を重ねた結果、バックライト部の青色光のピーク波長におけるピーク位置を短波長側の所定の範囲内とし、緑色光のピーク波長におけるピーク位置を所定の範囲内とすることにより、量子ドットによる青色光の光変換効率の低下を抑制し、かつ液晶表示装置の輝度の低下を抑制しつつ、BT.2020の色域と同等の面積比を有する高演色液晶表示装置とすることができることを見出した。
以下、本発明の高演色液晶表示装置の各構成について説明する。
A.バックライト部
本発明におけるバックライト部は、青色発光素子ならびに上記青色発光素子の発光光路上に配置された緑色量子ドットおよび赤色量子ドットを有するものである。
ここで、「青色発光素子の発光光路上に配置される」とは、青色発光素子から発光された青色光が液晶セル部側へ進行する光路上に配置されることをいう。
1.バックライト部の発光スペクトル
本発明におけるバックライト部は、その発光スペクトルが、青色光のピーク波長におけるピーク位置が波長430nm〜450nmの範囲内に存在し、緑色光のピーク波長におけるピーク位置が波長530nm±10nmの範囲内に存在することを特徴とする。
本発明におけるバックライト部は、上述した発光スペクトルを有するものであれば特に限定されない。
例えば、青色光のピーク波長におけるピーク位置としては、波長430nm〜450nmの範囲内に存在していれば良く、中でも、波長435nm〜448nmの範囲内に存在していることが好ましく、特に、波長440nm〜445nmの範囲内に存在していることが好ましい。
また、緑色光のピーク波長におけるピーク位置としては、波長530nm±10nmの範囲内に存在していれば良く、中でも、波長530nm±8nmの範囲内に存在していることが好ましく、特に、波長530nm±5nmの範囲内に存在していることが好ましく、波長530nmに存在していることがより好ましい。
さらに、赤色光のピーク波長におけるピーク位置としては、波長645nm±20nmの範囲内に存在していることが好ましく、中でも波長645nm±15nmの範囲内に存在していることが好ましく、特に波長645nmに存在していることが好ましい。
本発明においては、バックライト部における青色光、緑色光および赤色光の各ピーク波長が、所定の半値幅を有することが好ましい。青色光、緑色光および赤色光の各ピーク波長の具体的な半値幅については特に限定されないが、例えば、青色光のピーク波長の半値幅が30nm以下であることが好ましく、緑色光のピーク波長の半値幅が50nm以下であることが好ましく、赤色光のピーク波長の半値幅が70nm以下であることが好ましい。
バックライト部のピーク波長におけるピークの位置および半値幅については、一般的な測定方法により求めることができ、例えば、輝度計(SR-UL1;トプコン社製)を用いて測定することができる。
2.バックライト部の構成
(1)赤色量子ドット
本発明に用いられる赤色量子ドットは、後述する青色発光素子が発光する青色光を照射することにより、645nm±20nmの波長領域に蛍光スペクトルのピーク波長を有し、上記ピーク波長の半値幅が70nm以下の光を発光するナノメートルサイズの半導体微粒子であることが好ましい。
赤色量子ドットの蛍光スペクトルのピーク波長のピーク位置としては、645nm±20nmの波長領域に存在すれば特に限定されないが、中でも625nm〜650nmの波長領域、特に625nm〜640nmの波長領域に存在することが好ましい。赤色量子ドットのピーク波長のピーク位置が上述した範囲内に存在することにより、本発明の高演色液晶表示装置の色再現性を良好なものとすることができるからである。
また、赤色量子ドットの蛍光スペクトルのピーク波長の半値幅としては、70nm以下であれば特に限定されないが、中でも10nm〜50nmの範囲内、特に20nm〜35nmの範囲内であることが好ましい。赤色量子ドットの蛍光スペクトルのピーク波長の半値幅が大きすぎると、バックライト部の緑色領域および赤色領域のピーク波長の間のボトム波長の発光強度を十分に低くすることが困難となる可能性があるからである。また、赤色量子ドットの蛍光スペクトルのピーク波長の半値幅が小さすぎると、赤色量子ドット自体を得ることが困難となる可能性があるからである。
本発明における赤色量子ドットは、所望の波長を有する光を得ることができれば良く、1種類の半導体材料で構成されていても良く、2種類以上の半導体材料で構成されるものであっても良い。
また、本発明における赤色量子ドットとしては、半導体化合物で構成されるコア部と、コア部とは異なる半導体化合物で構成されるシェル部とを有するコアシェル型構造を有する量子ドット材料を好適に用いることができる。また、コア部のみを有する量子ドット材料や、ドーパントを有する半導体微粒子からなる量子ドット材料を用いることができる。
量子ドット材料のコア部となる材料として具体的には、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶を例示できる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。
さらに、ドーパントを有する半導体微粒子からなる量子ドット材料としては、上記半導体化合物に、Eu3+、Tb3+、Ag+、Cu+のような希土類金属のカチオンまたは遷移金属のカチオンをドープしてなる半導体結晶を用いることもできる。
中でも、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒径の制御性、蛍光量子収率の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
コアシェル型の量子ドット材料を用いる場合にシェルを構成する半導体には、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いることで、量子ドット材料の発光効率を高めることが出来る。
このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、In/ZnSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
赤色量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であっても良い。
赤色量子ドット形状等の情報については、透過型電子顕微鏡(TEM)により得ることができる。また、緑色量子ドットの結晶構造については、X線結晶回折(XRD)により知ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、赤色量子ドットの表面に関する情報を得ることもできる。
赤色量子ドットの平均粒径としては、所望の波長の光を得ることができれば特に限定されず、量子ドット材料の種類に応じて適宜選択することができる。赤色量子ドットの平均粒径としては、5.0nm〜8.0nmの範囲内、中でも5.5nm〜7.5nmの範囲内、特に6.0nm〜7.0nmの範囲内であることが好ましい。赤色量子ドットの平均粒径が上記範囲内であることにより、上述した量子ドット材料を用いて良好な発光を示す赤色量子ドットを得ることができるからである。
ここで、「平均粒径」は、顕微鏡観察による平均粒径である。顕微鏡観察による平均粒子径は、例えば、100倍で顕微鏡観察を行い、画像処理ソフト等により任意の粒子の粒子径を100個測定して個数平均することにより得られる。なお、粒子径とは粒子の長軸径と短軸径の平均値を指す。
また、赤色量子ドットの粒径分布としては、バックライト部が所望の赤色光を発光することができれば特に限定されないが、粒子径6.0nm〜8.0nmの粒子を80%以上、中でも80%〜98%の範囲内、特に90%〜98%の範囲内含むことが好ましい。上記範囲の粒子径の粒子が少ないと、バックライト部の赤色光の半値幅を所望の幅に調整することが困難となる可能性があるからである。
上記粒度分布は、透過型電子顕微鏡(TEM)により粒子100個測定して得た値である。
赤色量子ドットの形成方法については、一般的な方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明におけるバックライト部への赤色量子ドットの配置方法としては、青色発光素子の発光光路上に配置することができれば良く、より具体的には青色発光素子から発光された青色光が液晶セル部側へ進行する光路上に配置することできる方法であれば特に限定されない。例えば、図2に示すように、導光板の液晶セル部側の表面上に、赤色量子ドットを分散させた樹脂シートを配置する方法や、図示はしないが、バックライト部がオンエッジ方式である場合は、青色発光素子が配置される導光板の側面に、赤色量子ドットを封じ込めたガラスチューブを実装して配置する方法等が挙げられる。また、青色発光素子が、樹脂で構成される封止部材により封止されて用いられる場合には、封止部材中に赤色量子ドットを分散させることにより、青色発光素子の発光光路上に配置しても良い。
(2)緑色量子ドット
本発明に用いられる緑色量子ドットは、後述する青色発光素子が発光する青色光を照射することにより、520nm〜540nmの波長領域に蛍光スペクトルのピーク波長のピーク位置を有し、上記ピーク波長の半値幅が50nm以下の光を発光するナノメートルサイズの半導体微粒子であることが好ましい。
緑色量子ドットおよび後述する赤色量子ドットの蛍光スペクトル、ピーク波長および半値幅は、輝度計(SR-UL1;トプコン社製)を用いて測定することができる。
緑色量子ドットの蛍光スペクトルのピーク波長のピーク位置としては、520nm〜540nmの波長領域に存在すれば特に限定されないが、中でも520nm〜540nmの波長領域、特に523nm〜537nmの波長領域に存在することが好ましい。
緑色量子ドットのピーク波長のピーク位置が上述した範囲内に存在することにより、本発明の高演色液晶表示装置の色再現性を良好なものとすることができるからである。
また、緑色量子ドットの蛍光スペクトルのピーク波長の半値幅としては、50nm以下であれば特に限定されないが、中でも10nm〜40nmの範囲内、特に15nm〜35nmの範囲内であることが好ましい。緑色量子ドットの蛍光スペクトルのピーク波長の半値幅が大きすぎると、バックライト部の緑色領域および赤色領域のピーク波長の間のボトム波長の発光強度を十分に低くすることが困難となる可能性があるからである。また、緑色量子ドットの蛍光スペクトルのピーク波長の半値幅が小さすぎると、緑色量子ドット自体を得ることが困難となる可能性があるからである。
緑色量子ドットに用いられる量子ドット材料、形状、本発明におけるバックライト部への緑色量子ドットの配置方法および緑色量子ドットの形成方法等については、上述した「(1)赤色量子ドット」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
緑色量子ドットの平均粒径としては、所望の波長の光を得ることができれば特に限定されず、量子ドット材料の種類に応じて適宜選択することができる。緑色量子ドットの平均粒径としては、1.0nm〜4.0nmの範囲内、中でも1.5nm〜3.5nmの範囲内、特に2.0nm〜3.0nmの範囲内であることが好ましい。
緑色量子ドットの平均粒径が上記範囲内であることにより、上述した量子ドット材料を用いて良好な発光を示す緑色量子ドットを得ることができるからである。
また、緑色量子ドットの粒径分布としては、バックライト部が所望の緑色光を発光することができれば特に限定されないが、粒子径2.0nm〜4.0nmの粒子を80%以上、中でも80%〜98%の範囲内、特に90%〜98%の範囲内含むことが好ましい。上記範囲の粒子径の粒子が少ないと、バックライト部の緑色光の半値幅を所望の幅に調整することが困難となる可能性があるからである。
(3)青色発光素子
本発明における青色発光素子は、バックライト部における青色光として用いられるとともに、上述した赤色量子ドットおよび緑色量子ドットの励起光として用いられるものである。
本発明における青色発光素子としては、通常、上述のバックライト部における青色光のピーク波長のピーク位置および半値幅を有するものが用いられる。なお、ピーク波長および半値幅は、輝度計(SR-UL1;トプコン社製)を用いて測定することができる。
また、青色発光素子としては、所望の波長の光を得ることができれば特に限定されないが、例えば、青色発光ダイオード(青色LED)、青色発光レーザーダイオード(青色LD)、青色有機エレクトロルミネッセンス素子(青色OLED)等が挙げられる。
青色LEDおよび青色LDとしては、公知のものを用いることができ、例えば、窒化物系半導体(InXAlYGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いたものが挙げられる。
青色OLEDとしては、公知のものを用いることができ、例えば、陽極と陰極と、陽極および陰極の間に形成された青色有機発光層とを有するものが挙げられる。
青色発光素子は、通常、樹脂で構成される封止部材により封止されて用いられる。封止部材に用いられる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、青色発光素子は、発光装置として構成されていても良い。発光装置の形式については一般的な発光装置の形式と同様とすることができ、例えば、砲弾型、表面実装型等を挙げることができる。また、この場合、発光装置に用いられる構成については、一般的なものとすることができるため、ここでの説明は省略する。
(4)光散乱粒子
本発明におけるバックライト部は、青色発光素子から発光された青色光が液晶セル部側へ進行する光路上に、赤色量子ドットおよび緑色量子ドットが配置されるが、この場合、赤色量子ドットおよび緑色量子ドットとともに、光散乱粒子が配置されることが好ましい。
本発明においては、例えば、図3に示すように、樹脂シート25が、赤色量子ドット22および緑色量子ドット23とともに、光散乱粒子26を含有することが好ましい。光散乱粒子を有することにより、青色光が散乱されるため、赤色量子ドットおよび緑色量子ドットに照射される光量を増やすことができ、青色光の光変換効率を向上させることが可能となる。
光散乱粒子は、その粒子径を制御することにより、青色光の光変換効率を効果的に向上させることが可能となる。光散乱粒子の粒子径は、入射した青色光を散乱させることができる程度であれば特に限定されないが、中でも、青色光に対して主にミー散乱を生じさせることが可能な程度であることが好ましい。ミー散乱が生じることにより、赤色量子ドットおよび緑色量子ドットによる光変換過程が起こる機会が増えるためと考えられる。ここで、ミー散乱とは、例えば、図4に示すように、入射光(青色光)hが、入射光の進行方向に強く散乱されることをいう。
このような光散乱粒子の具体的な粒子径は、例えば、1μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、中でも1μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。光散乱粒子の粒子径が1μm未満である場合には、青色光の光変換効率を向上させることが困難となり、また、十分な光散乱効果を得ることが困難となる。そのため、所望の効果を得るためには、光散乱粒子の添加量を増大させる必要があり好ましくない。さらに、光散乱粒子の粒子径が30μmを超える場合には、十分な光散乱効果を得ることができる一方で、光透過率が低下してしまうという問題がある。
なお、光散乱粒子の粒子径は、断面顕微鏡観察により20個の光散乱粒子の粒子径を測定したときの平均値より求めることができる。
本発明においては、光散乱粒子による光散乱効率を縦軸とし、光散乱粒子の粒子径を横軸としたときに示される図5のグラフにおいて、最大ピークの半値幅の範囲内に、光散乱粒子の粒子径分布のうち20%以上が含まれていることが好ましく、中でも30%以上が含まれていることが好ましい。青色光の光変換効率をより効果的に向上させることが可能となるからである。この理由としては、粒子径が上述した最大ピークの半値幅内にある光散乱粒子が高い光散乱効率を示し、このような光散乱粒子による光散乱により、入射した青色光の光路長がさらに伸び、赤色量子ドットおよび緑色量子ドットによる光変換過程が起こる機会が増えるためと考えられる。
なお、「光散乱粒子の粒子径分布」とは、その存在比率を縦軸に、粒子径を横軸にした粒子径分布である。
また、粒子径分布帯の異なる光散乱粒子を有する場合、各光散乱粒子の粒子径分布が上述した最大ピークの半値幅内にあることが好ましいが、少なくとも最も含有量の多い光散乱粒子の粒子径分布が上述した最大ピークの半値幅内にあれば良い。
また、赤色量子ドットおよび緑色量子ドットが樹脂シートに配置されている場合、光散乱粒子は、樹脂シートを構成する樹脂材料に対して所定の屈折率差を有することにより、青色光の光変換効率を効果的に向上させることが可能となる。光散乱粒子の屈折率は、例えば、樹脂シートを構成する樹脂材料の屈折率に対して0.10以上の屈折率差を有することが好ましい。
このような光散乱粒子の材料としては、例えば、無機粒子であることが好ましく、具体的には、ATO粒子、ITO粒子、MgO粒子、Al2O3粒子、TiO2粒子、BaTiO3粒子、Sb2O5粒子、SiO2粒子、ZrO2粒子およびZnO粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。本発明においては、特に、光散乱粒子が、Al2O3粒子、TiO2粒子、BaTiO3粒子、Sb2O5粒子及びZrO2粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、光散乱粒子は、上述した2種以上の材料から構成されていても良い。
光散乱粒子の含有量は特に限定されないが、青色光の光変換効率を向上させることができるという効果を奏する程度の含有量であることが好ましい。例えば、光散乱粒子100質量部に対して赤色量子ドットおよび緑色量子ドットが0.01〜10質量部の割合で含まれていることが好ましい。また、赤色量子ドットおよび緑色量子ドットが樹脂シートに配置されている場合、光散乱粒子は、樹脂シートを構成する樹脂材料100質量部に対して、5〜50質量部含まれていることが好ましい。
(5)その他の構成
本発明におけるバックライト部は、上述した青色発光素子、緑色量子ドットおよび赤色量子ドットを有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。このような構成としては、例えば、導光板、光散乱粒子を含有する光拡散シート、プリズムシート等の光学部材や、発光装置を実装する実装基板等が挙げられる。これらの構成については、一般的なバックライト部に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.バックライト部の形成方法
本発明におけるバックライト部の形成方法としては、一般的なバックライト部の形成方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
B.液晶セル部
本発明の液晶セル部は、カラーフィルタと、対向基板と、液晶層とを有するものである。
1.カラーフィルタ
本発明におけるカラーフィルタは、透明基板および着色層を有するものである。
(1)着色層
本発明における着色層は、青色着色層、緑色着色層および赤色着色層を有するものである。
(A)青色着色層
本発明における青色着色層は、上述したバックライト部における青色光に対する選択透過性を有するものである。
青色着色層の透過特性としては、上述したバックライト部における青色光に対する選択透過性を示し、430nm〜500nmの波長領域における平均透過率が50%以上であれば特に限定されない。
本発明においては、430nm〜500nmの波長領域における青色着色層の平均透過率が、50%以上であれば良く、中でも、60%以上であることが好ましく、特に、70%以上であることが好ましい。青色着色層の上述の波長領域における平均透過率が上記範囲以上であることにより、青色着色層の透過率を十分に確保することができ、本発明の高演色液晶表示装置の輝度の低下を抑制することが可能となる。
また、青色着色層の透過特性は、500nm〜550nmの波長領域における平均透過率を20%以下とすることができる。本発明においては、500nm〜550nmの波長領域における平均透過率が、15%以下であることが好ましく、特に、8%以下であることが好ましい。このように、本発明においては、青色着色層の上述の波長領域における平均透過率の上限を比較的高く設定することができる。したがって、青色着色層の透過率を全体的に高めることができ、本発明の高演色液晶表示装置の輝度の低下を抑制することが可能となる。
本明細書において、着色層の各波長領域の平均透過率とは、着色層の透過スペクトルを各波長領域にわたって平均することにより得られる値である。着色層の透過スペクトルは、一般的な測定方法により求めることができ、例えば、顕微分光装置OSP−SP2000(OLYMPUS社製)を用いて測定することにより求めることができる。
青色着色層は、青色色材を含有するものである。
青色着色層に含有される青色色材としては、青色着色層に所望の透過特性を付与することができれば特に限定されないが、トリアリールメタン系青色色材を含有することが好ましく、中でも下記の一般式(I)で表わされる色材や下記の一般式(II)で表わされる色材の少なくともいずれかを含有することが好ましい。所望の透過特性を有する青色着色
層を良好に調整して形成することができるからである。
(一般式(I)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。B−は1価のアニオンを表し、複数あるB−は同一であっても異なっていてもよい。R1〜R5は各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R2とR3、R4とR5が結合して環構造を形成してもよい。Ar1は置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR1〜R5及びAr1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
aは2〜4の整数を表す。bは0又は1であり、bが0のとき結合は存在しない。複数あるbは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(II)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R1〜R5は各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R2とR3、R4とR5が結合して環構造を形成してもよい。Ar1は置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR1〜R5及びAr1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
aは2〜4の整数、cは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
以下、一般式(I)で表わされる色材および一般式(II)で表わされる色材の詳細について説明する。
(a)一般式(I)で表わされる色材
上述した一般式(I)で表わされる色材は、カチオン部およびアニオン部を有する。以下、それぞれについて説明する。
(i)カチオン部
上記色材のカチオン部は、下記一般式(III)で表される構造を有する2価以上のカチオンである。一般式(III)で表されるカチオン部は、従来のトリアリールメタン系塩基性染料やキサンテン系塩基性染料と異なり、その塩化物であっても水に実質的に溶解しない。
一般式(III)で表される構造は従来のトリアリールメタン骨格一つのみからなるカチオンがa価の共有結合を介して連結された2価以上のカチオンである。
従来のトリアリールメタン骨格一つのみからなるモノカチオンとアニオンとが構成する結合種がイオン結合のみであると考えた場合、本発明の2価以上のカチオンからなる塩形成物を構成する結合種はイオン結合に加え、モノカチオン同士を連結する共有結合を含む構造であると考えることができる。そのため、下記一般式(III)で表される構造を有する2価以上のカチオンからなる塩形成物は、従来のトリアリールメタン骨格一つからなる塩形成物よりも構成要素全体により強い結合種が増えた結果、安定性が高くなり、水和しにくくなると推定される。更に、下記一般式(III)で表される構造は、連結基Aの影響で分子量が大きくなり、且つ、疎水性がより高くなるため、結合の安定性と相俟って水に実質的に溶解しなくなると推定される。
(一般式(III)中、A、R1〜R5、Ar1、a及びbは、一般式(I)と同様である。
上記一般式(III)におけるbは、0又は1の整数である。bが0の場合、下記化学式(IV)で表されるトリアリールメタン骨格を有する。)
(化学式(IV)中、R1〜R5及びAr1は、一般式(I)と同様である。)
また、bが1の場合、下記化学式(V)で表されるキサンテン骨格を有する。
(化学式(V)中、R1〜R5及びAr1は、一般式(I)と同様である。)
複数あるbは同一であっても異なっていても良い。すなわち、例えば、トリアリールメタン骨格のみ、又は、キサンテン骨格のみを複数有するカチオン部であってもよく、1分子内に、トリアリールメタン骨格とキサンテン骨格との両方を含むカチオン部であっても良い。色純度の点からは、同一骨格のみを有するアニオン部であることが好ましい。一方、トリアリールメタン骨格とキサンテン骨格との両方を含むカチオン部とすることにより、また、後述する置換基の組み合わせにより、一般式(I)の色材は、所望の色に調整することができる。
上記一般式(I)におけるAは、N(窒素原子)と直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)が含まれていても良いものである。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
Aにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであっても良く、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していても良く、置換基を有していても良く、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていても良い。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていても良く、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていても良い。
また、Aにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していても良く、O、S、Nが含まれる複素環であっても良い。中でも、骨格の堅牢性の点から、Aは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。有橋脂環式炭化水素基の中でも、ノルボルナンが好ましい。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。
原料入手の容易さの観点からAは2価が好ましい。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
R1〜R5におけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、製造及び原料調達の容易さの点から、より好ましい。中でも、R1〜R5におけるアルキル基がエチル基又はメチル基であることが特に好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
R1〜R5におけるアリール基は、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
R2とR3、R4とR5が結合して環構造を形成しているとは、R2とR3、R4とR5が窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
中でも化学的安定性の点からR1〜R5としては、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は、R2とR3、R4とR5が結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
R1〜R5はそれぞれ独立に上記構造をとることができるが、中でも、色純度の点からR1が水素原子であることが好ましく、さらに製造および原料調達の容易さの点からR2〜R5がすべて同一であることがより好ましい。
Ar1における2価の芳香族基は特に限定されない。芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であっても良い。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していても良い。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していても良い。
芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Ar1は炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフチレン基であることがより好ましい。
1分子内に複数あるR1〜R5及びAr1は、同一であっても異なっていても良い。複数あるR1〜R5及びAr1がそれぞれ同一である場合には、発色部位が同一の発色を示すため、発色部位の単体と同様の色が再現でき、色純度の点から好ましい。一方、R1〜R5及びAr1のうち少なくとも1つを異なる置換基とした場合には、複数種の単量体を混合した色を再現することができ、所望の色に調整することができる。
(ii)アニオン部
本発明に係る色材において、アニオン部は、(B−)で表される構造を有する1価のアニオンである。上記色材は1価のアニオンを有することにより、アルコール系溶媒やケトン系溶媒への溶解度が高く、高濃度の色材溶液を調製することも可能であり、種々の基材の染着に用いることができる。
B−は1価のアニオンであれば、特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであっても良い。ここで有機アニオンとは、炭素原子を少なくとも1つ含有するアニオンを表す。また、無機アニオンとは、炭素原子を含有しないアニオンを表し、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンのようなハロゲン化物イオンや、硝酸イオン(NO−)、過塩素酸イオン(ClO4 −)等が挙げられる。
B−が有機アニオンである場合、その構造は特に限定されない。中でも、アニオン性置換基を有する有機基であることが好ましい。アニオン性置換基としては、例えば、−SO2N−SO2CH3、−SO2N−COCH3、−SO2N−SO2CF3、−SO2N−COCF3、−CF2SO2N−SO2CH3、−CF2SO2N−COCH3、−CF2SO2N−SO2CF3、−CF2SO2N−COCF3等のイミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −、−COO−、−CF2COO−等の置換基が挙げられる。中でも、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −が好ましく、更に、−SO3 −(スルホナト基)であることが好ましい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、特に限定されない。当該有機基としては、直鎖、分岐、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、単環又は多環芳香族基及びこれらが組み合わされた基が挙げられ、これらは炭素鎖中に、O、S、N等の異種原子が含まれていても良く、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基が含まれていても良く、水素原子が置換されていても良い。有機基が有していても良い置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]ヘキサン、ビシクロ[3,2,3]オクタン、アダマンタン等の炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、フルオレン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キサンテン、カルバゾール等の芳香族化合物が挙げられ、更にハロゲン原子、アルキル基等の置換基を有していても良い。中でも、アニオン性置換基の導入が容易な点から、単環又は多環芳香族炭化水素基及びこれらが組み合わされた基であることが好ましい。
アニオンにより色変化しないことを目的とする場合には、400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基を用いることが好ましい。400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基としては、例えば、ナフタレン、テトラリン、インデン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン等の縮合多環式炭素環からなる有機基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素からななる有機基;フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環からなる有機基、ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環からなる芳香族化合物;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環からなる有機基等が挙げられる。
また、アニオン性置換基が置換される有機基には、有機化合物又は有機金属化合物である、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料及びフタロシアニン染料、インジゴ染料に由来する骨格を用いても良い。或いは、従来公知の酸性染料、直接染料、酸性媒染染料を用いても良い。染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られる色材の色調が変化し、上記一般式(I)で表される色材の色調を所望のものに調整することができる。中でも、耐熱性を向上するという観点から、下記一般式(VI)で表されるアニオンを用いることが好ましい。一般式(VI)のアニオンを用いた場合には、上述したカチオン部との組み合わせにより、色材を所望の色に調整することができる。
(一般式(VI)中、Mは2個の水素原子、若しくは、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、又はZnを表す。スルホナト基(−SO3 −基)は、芳香環に置換している。)
また、本発明における色材において、上記有機アニオンが、下記一般式(VII)で表されるアニオンであることが、耐熱性を向上する点から好ましい。
(一般式(VII)中、Ar2は置換基を有していてもよい1価の芳香族基である。)
上記色材のアニオン部として、上記一般式(VII)のアニオンを用いた場合には、アニオンが無色ないし薄い黄色であるため、生じた色材が一般式(I)で表されるカチオンがもつ固有の色を保持しやすいという特徴を有する。
Ar2における芳香族基は特に限定されない。芳香族基には、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環であっても良い。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素基が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素基においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S等のヘテロ原子を有していても良い。一方、複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していても良い。
芳香族基が有する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Ar2は炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフタレン基であることがより好ましい。
上記色材において、複数あるアニオン(B−)は、同一であっても異なっていても良く、有機アニオンと無機アニオンとを組み合わせて用いることもできる。
上記色材の平均粒径としては、青色着色層を形成することができれば特に限定されないが、10nm〜300nmの範囲内、中でも20nm〜200nmの範囲内、特に30nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。上記色材の平均粒径が小さいと、凝集し易くなり、青色着色層中に均一に分散させることが困難となる可能性があるからである。また、色材の平均粒径が大きすぎると所望の輝度を有する青色着色層を形成することが困難となる可能性があるからである。
上記色材の平均粒径は、少なくとも溶媒を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の平均分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、上記色材を分散させた青色分散液を調製し、青色分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、濃厚系粒径アナライザー FPAR-1000)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。青色分散液としては、例えば、色材5重量部に対して、ポリスルホン酸型高分子分散剤3重量部、酢酸−3−メトキシブチル80重量部を用いることにより調製することができる。
青色着色層中の上記色材の含有量としては、本発明の高演色液晶表示装置の用途等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、5質量%〜50質量%の範囲内、中でも10質量%〜40質量%の範囲内、特に15質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましい。上記色材の含有量が少ないと、本発明の高演色液晶表示装置の表示品位が低下する可能性があるからであり、上記色材の含有量が多いと、青色着色層自体を形成することが困難となる可能性があるからである。
上記色材の形成方法については、特許5223980号公報、および特許5403175号公報に記載されているカチオン部の塩化物の形成方法を用いることができる。
なお、本発明においては、青色着色層の色調を調整するため、必要に応じて他の色材を添加しても良い。このような色材としては例えば紫色色材等を挙げることができる。また、紫色色材を添加する場合は、通常、青色着色層中の上記色材および他の色材の含有量が上述した数値範囲内となるように調整される。
(b)一般式(II)で表わされる色材
次に、一般式(II)で表わされる色材について説明する。
本発明においては、一般式(II)の色材を用いることにより、カラーフィルタの着色層を高コントラストで、かつ、耐溶剤性及び電気信頼性に優れたものとすることができる。
本発明において用いられる上記一般式(II)で表される色材は、図6のように、2価以上の対アニオン202と共に、カチオン性の発色部位がAによる連結203を介して2個以上結合した、2価以上の対カチオン201を有している。例えば、アニオンとカチオンとが共に2価のイオンである場合、色材の凝集体において、アニオンとカチオンとが単に1分子対1分子でイオン結合しているのではなく、図6のように複数の分子が連続したイオン結合を介して会合する、分子会合体210を形成するものと推定される。当該分子会合体210は、色材の凝集体中で1つの分子のように振る舞うため、見かけの分子量は、従来の造塩化合物の分子量に比べて格段に増大する。また、分子会合体210の形成により、固体状態での凝集力がより高まり、熱による運動を低下させ、更に電気的にも安定するため、イオン対の解離やカチオン部の分解を抑制できると推定される。その結果、一般式(II)で表される色材の耐溶剤性が向上し、当該色材を用いた着色層の耐溶剤性及び電気信頼性が向上するものと推定される。また、複数の分子がイオン結合を介して会合した分子会合体からなる微粒子はイオン対の運動性が低下しているため、微粒子間での再凝集によるコントラストの低下を抑制することができる。
なお、上記一般式(II)で表される色材は、カチオン性の発色部位に直接結合する連結基Aの炭化水素がπ結合を有していないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aの導入前後でほとんど変化しない。
また、電気信頼性は、図2に示すような液晶セル部10を作成したときの電圧保持率により評価することができ、電気信頼性が高いとは該電圧保持率が高いことをいう。電気信頼性が低い場合には、液晶層に所定の電圧が印加されなくなり、液晶セルのコントラストが低下する等の問題を生ずる。
一般式(II)で表わされる色材は、アニオン部およびカチオン部を有するものである。
以下、上記色材のアニオン部およびカチオン部について説明する。
(i)カチオン部
カチオン部については、上述した一般式(I)で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。なお、一般式(II)におけるeは一般式(I)のbに相当する。
(ii)アニオン部
アニオン部は、(Bc−)で表される構造を有する、2価以上のアニオンである。Bc−は2価以上のアニオンであれば、特に限定されず、有機アニオンであっても良く、無機アニオンであっても良い。ここで有機アニオンとは、炭素原子を少なくとも1つ含有するアニオンを表す。また、無機アニオンとは、炭素原子を含有しないアニオンを表す。
Bc−が有機アニオンである場合、その構造は特に限定されない。中でも、アニオン性置換基を有する有機基であることが好ましい。アニオン性置換基としては、例えば、−SO2N−SO2CH3、−SO2N−COCH3、−SO2N−SO2CF3、−SO2N−COCF3、−CF2SO2N−SO2CH3、−CF2SO2N−COCH3、−CF2SO2N−SO2CF3、−CF2SO2N−COCF3等のイミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −、−PO3 2−、−COO−、−CF2PO3 2−、−CF2COO−等の置換基が挙げられる。中でも、カチオンを安定化し、色材の発色を安定させる点から、1価のアニオン性置換基を2つ以上用いることが好ましい。また、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −が好ましく、更に、−SO3 −(スルホナト基)であることがより好ましい。
アニオン性置換基を複数置換する場合は、同一の置換基であっても良く、異なる置換基を用いても良い。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、特に限定されない。当該有機基としては、直鎖、分岐、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、単環又は多環芳香族基及びこれらが組み合わされた基が挙げられ、これらは炭素鎖中に、O、S、N等の異種原子が含まれていても良く、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基が含まれていても良く、水素原子が置換されていても良い。有機基が有していても良い置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、[2,2,2]ビシクロヘキサン、[3,2,3]ビシクロオクタン、アダマンタン等の炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、フルオレン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キサンテン、カルバゾール等の芳香族化合物が挙げられ、更にハロゲン原子、アルキル基等の置換基を有していても良い。中でも、アニオン性置換基の導入が容易な点から、単環又は多環芳香族炭化水素基及びこれらが組み合わされた基であることが好ましい。また、アニオンにより色変化しないことを目的とする場合には、400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基を用いることが好ましい。400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基としては、例えば、ナフタレン、テトラリン、インデン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン等の縮合多環式炭素環からなる有機基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素からななる有機基;フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環からなる有機基、ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環からなる芳香族化合物;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環からなる有機基等が挙げられる。
また、アニオン性置換基が置換される有機基としては、有機化合物又は有機金属化合物である、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、インジゴ染料等に由来する骨格を用いても良い。或いは、従来公知の酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いても良い。染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られる色材の色調が変化し、上記化学式(II)で表される色材の色調を所望のものに調整することができる。
酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251、C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、195、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426、C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、74、80、83、86、87、90、92、96、103、112、113、120、129、138、147、150、158、171、182、192、210、242、243、256、259、267、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340、C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19、C.I.アシッドグリーン1、3、5、9、16、25、27、50、58、63、65、80、104、105、106、109等が挙げられる。
直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141、C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107、C.I.ダイレクトブルー57、77、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、166、167、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、196、198、199、200、207、209、210、212、213、214、222、228、229、237、238、242、243、244、245、247、248、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293、C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104、C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等が挙げられる。
酸性媒染染料としては、例えば、C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65、C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95、C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48、C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84、C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58、C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、15、19、26、29、33、34、35、41、43、53等が挙げられる。
上記染料のうち、染料自体が2価以上のアニオンである場合には、当該染料をそのまま、本発明における色材におけるアニオン部として使用することができる。染料自体が2価以上のアニオンでない場合には、適宜2価以上のアニオンとなるように、アニオン性置換基を導入する。
上記有機アニオンは、中でも、下記一般式(VIII)、下記一般式(IX)、及び下記一般式(X)で表されるアニオンよりなる群から選択される1種以上であることが、耐溶剤性および電気信頼性を向上する点から好ましい。
(一般式(VIII)中、Ar2は置換基を有していてもよいc価の芳香族基である。cは2以上の整数を表す。)
(一般式(IX)中、R6は水素原子、又はメチル基であり、Ar3は置換基を有していても良い芳香族基である。Qは直接結合又は2価の連結基を表す。fは1以上の整数、gは2以上の整数を表す。)
(一般式(X)中、Mは2個の水素原子、若しくは、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、又はZnを表す。スルホナト基(−SO3 −基)は、芳香環に置換しており、cは2〜4の整数を表す。)
色材のアニオン部として、上記一般式(VIII)のアニオンを用いた場合には、アニオンが無色ないし薄い黄色であるため、生じた色材が一般式(II)で表されるカチオンがもつ固有の色を保持しやすいという特徴を有する。
色材のアニオン部として、上記一般式(IX)のアニオンを用いた場合には、アニオン価数が多くなるため、より多くの一般式(II)で示されるカチオンと相互作用し得る。その結果、より凝集性が高く溶剤への不溶性が高まるという特徴を有する。
色材のアニオン部として、上記一般式(X)のアニオンを用いた場合には、上記カチオン部との組み合わせにより、色材を所望の色に調整することができる。
一般式(VIII)および一般式(X)において、Ar2及びAr3における芳香族基は特に限定されない。芳香族基には、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環であっても良い。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素基が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素基においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S等のヘテロ原子を有していても良い。一方、複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していても良い。
芳香族基が有する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(VIII)および一般式(X)において、Ar2及びAr3は炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフタレン基であることがより好ましい。
一般式(IX)において、Qは直接結合、又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。中でも、Qは直接結合、又は−COO−基であることが好ましい。
一般式(IX)において、fは1以上の整数であれば、特に限定されない。原料入手の容易さの点からは、fが1であることがより好ましい。
一般式(IX)において、gは2以上の整数である。中でも、耐熱性の点から、gは50以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。一方、溶解性の点から、gが3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。一般式(IX)の重量平均分子量としては10000〜100000であることが好ましい。
ここで、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される標準ポリスチレン換算で求めたものである。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
一般式(IX)において、複数ある構成単位は、全て同一のものであっても良く、2種以上のものが含まれていても良い。なお、一般式(IX)において、複数あるfの総和が一般式(II)におけるcに相当する。
一方、Bc−が無機アニオンである場合、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物である限り、その構造や組成は特に限定されない。無機アニオンとしては、例えば、2価以上のオキソ酸のアニオン(リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO4 2−)、モリブデン酸イオン(MoO4 2−)等)や、複数のオキソ酸が縮合したポリ酸イオン等の無機アニオンやその混合物を挙げることができる。
ポリ酸としては、イソポリ酸イオン(MmOn)c−であってもヘテロポリ酸イオン(XlMmOn)c−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。中でも、耐熱性の点から、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)の少なくともいずれかを含む無機酸のアニオンであることが好ましい。また、本発明においては、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)の少なくともいずれかを含むポリ酸アニオンであることが好ましく、さらに好適な態様として、2つの実施態様が挙げられる。
第1実施態様の色材のアニオン部(Bc−)は、モリブデン及びタングステンを含み、モリブデンとタングステンとのモル比が0.4:99.6〜15:85で表されるc価のポリ酸アニオンである。また、第2実施態様の色材のアニオン部(Bc−)は、少なくともタングステンを含み、モリブデンのタングステンに対するモル比が0.4/99.6未満のc価のポリ酸アニオンである。
なお、本発明においてモリブデンとタングステンとのモル比とは、一般式(II)で表される色材全体におけるモリブデン原子とタングステン原子のモル比を表すものであり、モリブデンのタングステンに対するモル比とは、一般式(II)で表される色材全体におけるモリブデン原子のタングステン原子に対するモル比の値を表すものである。
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推定される。すなわち、カチオン性色材は一般に、光により酸化し、退色することが知られている。一方、タングステンやモリブデンを含むポリ酸は光還元性があり、その光還元反応が可逆的であることが知られている。このようなポリ酸をアニオンとして用いることにより、光によるカチオンの酸化反応を抑制し、耐光性が向上するものと推定される。そのメカニズムは未解明であるが、電子状態の違う、タングステンを含むポリ酸アニオンと、モリブデンを含むポリ酸アニオンを特定の割合で含有することにより、上記酸化反応を抑制する能力に優れるものと推定される。
第1実施態様の色材は、対アニオンとしてモリブデン及びタングステンを含み、モリブデンとタングステンとのモル比が0.4:99.6〜15:85で表される2価以上のポリ酸アニオンを用いる。モリブデンを含むポリ酸アニオンを少量混合することにより、タングステンを含むポリ酸アニオンのみを用いた場合に比べて耐光性を向上し、耐熱性をも向上し得る。カチオンがタングステンを含むポリ酸アニオンとイオン対を形成すると、特に耐熱性が向上するものと推定される。しかしながら、タングステンを含むポリ酸アニオンはイオン径が大きいため、カチオンとの間で隙間を生じるものと推定される。一方、モリブデンを含むポリ酸アニオンは、タングステンを含むポリ酸アニオンよりイオン径が小さいものと推定される。本発明において用いられる色材は、更にイオン径の小さいモリブデンを含むポリ酸アニオンを少量含むことにより、カチオンとタングステンを含むポリ酸アニオンとがイオン対を形成した際に生じる隙間に、モリブデンを含むポリ酸アニオンが入り込むものと推定される。これにより色材の耐熱性及び耐光性が向上するものと推定される。また、モリブデンとタングステンとの両方を含むヘテロポリ酸を用いた場合には、当該ヘテロポリ酸自体がイオン径に分布があるものと推定され、イオン径の小さいヘテロポリ酸が、カチオンとの間の隙き間に入り込み、色材の耐熱性及び耐光性が向上するものと推定される。
一方、第2実施態様の色材は、対アニオンとして、少なくともタングステンを含み、モリブデンの上記タングステンに対するモル比が0.4/99.6未満である2価以上のポリ酸アニオンを用いる。前述の通り、カチオンがタングステンを含むポリ酸アニオンとイオン対を形成すると、特に耐熱性が向上し、第1実施態様の色材と同等の耐熱性を有する。カラーフィルタ用途においては、特に高輝度な着色層が求められている。特許5403175号公報においてはこのような観点から耐熱性についてはより詳細な検討が行われている。その結果、モリブデンの上記タングステンに対するモル比が0.4/99.6未満と、ポリ酸アニオンにおけるモリブデンの含有割合が低い範囲か、若しくはポリ酸アニオン中にモリブデンを含まずタングステンのみを含有する場合、第1実施態様の色材と比較して露光後の輝度が高輝度であるとともに、高温加熱後における着色層の輝度の低下が、上記第1実施態様の色材と比較しても、より抑制されることが明らかとなった。このような効果を発揮する作用は未解明であるが、このような第2実施態様の色材を用いて形成された着色層はより高輝度化を達成できる。
これらの結果、一般式(II)で表される色材は耐熱性及び耐光性に特に優れたものとなり、染料と同様の高輝度化を達成しながら、耐熱性及び耐光性に優れた青色着色層を形成可能な色材が得られると推定される。
ポリ酸アニオンとしては、イソポリ酸イオン(MmOn)c−であっても良く、ヘテロポリ酸イオン(XlMmOn)c−であっても良い。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mは、Mo(モリブデン)又はW(タングステン)のいずれか1つを必ず含む。ポリ原子Mは2種以上含まれていてもよい。ポリ原子MはMoおよびWの少なくともいずれかであることが好ましい。ヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。また、一部にNa+やH+等の対カチオンが含まれていてもよい。
モリブデンおよびタングステンの少なくともいずれかを含むポリ酸アニオンの具体例としては、例えば、ケギン型リンタングステン酸イオンα−[PW12O40]3−、ドーソン型リンタングステン酸イオンα−[P2W18O62]6−、β−[P2W18O62]6−、ケギン型ケイタングステン酸イオンα−[SiW12O40]4−、β−[SiW12O40]4−、γ−[SiW12O40]4−、さらにその他の例として[P2W17O61]10−、[P2W15O56]12−、[H2P2W12O48]12−、[NaP5W30O110]14−、α−[SiW9O34]10−、γ−[SiW10O36]8−、α−[SiW11O39]8−、β−[SiW11O39]8−、[W6O19]2−、[W10O32]4−、WO4 2−、α−[PMo12O40]3−、α−[PW11MoO40]3−、α−[PW9Mo3O40]3−、α−[PW3Mo9O40]3−、α−[SiMo12O40]4−、α−[P2Mo18O62]6−、[Mo2O7]2−、[Mo6O19]2−、[Mo8O26]4−等が挙げられる。モリブデンおよびタングステンの少なくともいずれかを含む無機酸のアニオンとしては、耐熱性及び耐光性の点、および原料入手の容易さの点から、上記の中でもヘテロポリ酸であることが好ましく、更にP(リン)を含むヘテロポリ酸であることがより好ましい。
第1実施態様の色材におけるポリ酸アニオンは、上記のアニオンを1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができ、2種以上組み合わせて用いる場合には、ポリ酸アニオン全体におけるモリブデンとタングステンとのモル比が0.4:99.6〜15:85であればよい。中でも、耐熱性及び耐光性に優れる点から、モリブデンとタングステンとのモル比が0.8:99.2〜13:87であることが好ましく、1.0:99.0〜10:90であることがより好ましい。
また、第2実施態様の色材におけるポリ酸アニオンは、上記のアニオンを1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができ、2種以上組み合わせて用いる場合には、ポリ酸アニオン全体におけるモリブデンのタングステンに対するモル比が0.4/99.6未満であればよい。中でも、加熱時に輝度が低下しにくい点から、モリブデンのタングステンに対するモル比が0.3/99.7以下であることが好ましい。この範囲には、ポリ原子としてモリブデンを含まずタングステンのみを含む場合、即ち、ポリ酸アニオン中のモリブデンとタングステンとのモル比が0:100である場合が包含される。
上記一般式(II)におけるaは、カチオンを構成する発色性カチオン部位の数であり、aは2〜4の整数である。すなわち、本発明において用いられる色材は、カチオンの価数が2以上であり、且つアニオンの価数も2以上であるため、上述した分子会合体が形成され、耐熱性及び耐光性が向上する。一方、aは4以下であればよく、製造の容易性の点からは、3以下であることがより好ましい。
上記一般式(II)におけるbは分子会合体中のカチオンの分子数を、dは分子会合体中のアニオンの分子数を示し、b及びdは1以上の整数を表す。本発明における色材はその結晶乃至凝集体において、b及びdがそれぞれ1の場合に限られず、それぞれ2、3、4…と2以上のいかなる自然数をもとり得る。本発明における色材は、耐熱性及び耐光性の点から、少なくとも一部がb≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。また、本発明における色材は、耐熱性及び耐光性の点から、少なくとも一部がd≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。
また、上記一般式(II)におけるbが2以上の場合、分子会合体中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていても良い。また、dが2以上の場合、分子会合体中に複数あるアニオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていても良く、有機アニオンと無機アニオンを組み合わせて用いることもできる。
色材の平均粒径および青色着色層中の色材の含有量については、上述した「(a)一般式(I)で表わされる色材」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
色材の形成方法については、特許5223980号公報、および特許5403175号公報に記載されている方法を用いることができる。
(c)バインダー樹脂
本発明に用いられる青色着色層は、通常、バインダー樹脂を含む。バインダー樹脂としては、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができ、例えば、硬化性樹脂、感光性樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂としては、特許5223980号公報、および特許5403175号公報に記載の着色層樹脂組成物に用いられる感光性バインダー成分や硬化性バインダー成分を硬化させたものを好適に用いることができる。
(d)その他の成分
本発明における青色着色層は、上述した色材およびバインダー樹脂を含有していれば特に限定されず、必要な成分を添加することができる。このような成分としては、例えば、酸化防止剤を挙げることができる。上記酸化防止剤を添加することにより、青色着色層の耐熱性、耐光性をより良好なものとすることができる。酸化防止剤としては、フリーラジカル捕捉機能を有する一次酸化防止剤や、過酸化物分解機能を有する二次酸化防止剤等を挙げることができ、一方を用いても良く、両方を用いても良い。なお、一次酸化防止剤や二次酸化防止剤については、一般的な着色層に用いられる材料と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
青色着色層中の酸化防止剤の含有量としては、酸化防止剤の種類等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、0.001質量%〜5質量%の範囲内、中でも0.01質量%〜1質量%の範囲内、特に0.05質量%〜0.5質量%の範囲内であることが好ましい。
(B)緑色着色層
本発明における緑色着色層は、上述したバックライト部における緑色光に対する選択透過性を有するものである。
緑色着色層の透過特性としては、上述したバックライト部における緑色光に対する選択透過性を示し、500nm〜550nmの波長領域における平均透過率が60%以上であれば特に限定されない。
緑色着色層の透過特性としては、500nm〜550nmの波長領域における平均透過率60%以上であれば特に限定されないが、中でも、70%以上であることが好ましく、特に、80%以上であることが好ましい。緑色着色層の上述の波長領域における平均透過率が上記範囲以上であることにより、緑色着色層の透過率を十分に確保することができ、本発明の高演色液晶表示装置の輝度の低下を抑制することが可能となる。
また、緑色着色層の透過特性は、450nm〜500nmの波長領域における平均透過率を25%以下とすることができる。本発明においては、450nm〜500nmの波長領域における平均透過率が、20%以下であることが好ましく、特に、16%以下であることが好ましい。さらに、550nm〜600nmの波長領域における平均透過率を50%以下とすることができる。本発明においては、550nm〜600nmの波長領域における平均透過率が、40%以下であることが好ましく、特に、30%以下であることが好ましい。このように、本発明においては、緑色着色層の上述の波長領域における平均透過率の上限を比較的高く設定することができる。したがって、緑色着色層の透過率を全体的に高めることができ、本発明の高演色液晶表示装置の輝度の低下を抑制することが可能となる。
緑色着色層は、緑色着色材を含有する。緑色着色材としては、例えば、ピグメントグリーン(PG)1、PG4、PG7、PG36又はPG58等が挙げられる。また、緑色着色材に加えて、コントラストや色味の調節のためにピグメントイエロー(PY)138、PY139やPY150等が含まれていても良い。また、アゾ系の染料を用いても良い。
また、本発明における緑色着色層は、青色色材および黄色色材を含有するものであっても良い。なお、本発明における緑色着色層は、色材として青色色材および黄色色材のみを含有していても良く、必要に応じてさらに緑色色材を含有していても良い。
緑色着色層中の色材全体の含有量としては、所望の透過特性を有する緑色着色層とすることができれば特に限定されないが、5質量%〜50質量%の範囲内、中でも15質量%〜45質量%の範囲内、特に25質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。色材全体の含有量が少ないと、緑色着色層の透過率が高くなりすぎバックライト部の緑色光に対して十分な選択透過性を発揮することが困難となる可能性があるからである。また、色材全体の含有量が多いと、緑色着色層自体を形成することが困難となる可能性があるからである。
なお、色材全体の含有量とは、緑色着色層中に含有される全ての色材の含有量をいい、具体的には緑色色材の含有量、さらに必要に応じて含有される黄色色材の含有量の総和をいう。
緑色着色層は、通常、バインダー樹脂を含むものである。バインダー樹脂としては、一般的なカラーフィルタに用いられるものから適宜選択することができ、例えば上述した「(A)青色着色層」の項で説明したものから適宜選択して用いることができる。
緑色着色層は、通常、上述した色材と、バインダー樹脂とを含むものであり、必要に応じて、他の成分を適宜選択して含むことができる。このような成分としては、例えば、上述した「(A)青色着色層」の項で説明する酸化防止剤等が挙げられる。
(C)赤色着色層
本発明における赤色着色層は、上述したバックライト部における赤色光に対する選択透過性を有するものである。
赤色着色層の透過特性としては、後述するバックライト部における赤色光に対する選択透過性を示すことができれば特に限定されないが、600nm以下の可視領域の光を透過しないものであることが好ましい。上述したバックライト部における赤色光に対する選択透過性を良好にすることができるからである。
また、本発明おいては、400nm〜600nmの波長領域における平均透過率が、5%以下であることが好ましく、中でも4%以下であることが好ましく、特に3%以下であることが好ましい。また、本発明においては、550nm〜600nmの波長領域における平均透過率が15%以下であることが好ましく、中でも12%以下であることが好ましく、特に10%以下であることが好ましい。さらに、本発明においては、600nm〜700nmの波長領域における平均透過率が、85%以上であることが好ましく、中でも85%〜98%の範囲内であることが好ましく、特に90%〜98%の範囲内であることが好ましい。赤色着色層の600nm〜700nmの波長領域における平均透過率が低すぎると、バックライト部における赤色光を十分に利用することが困難となる可能性があるからである。
また、本発明においては、赤色着色層の380nm〜570nmの波長領域の平均透過率が、1%以下、中でも0.5%以下、特に0.1%以下であることが好ましい。赤色着色層の上述の波長領域における平均透過率が高すぎると、本発明の高演色液晶表示装置の色域の赤色領域を十分に広げることが困難となる可能性があるからである。
本発明における赤色着色層は、赤色色材を含有するものである。
赤色着色層に含有される赤色色材としては、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができ、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド(PR)149、PR177、PR242、PR254、PR264等を用いることができる。
赤色着色層中の色材全体の含有量としては、所望の透過特性を有する赤色着色層とすることができれば特に限定されないが、5質量%〜50質量%の範囲内、中でも10質量%〜40質量%の範囲内、特に15質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましい。色材全体の含有量が少ないと、赤色着色層の透過率が高くなりすぎバックライト部の赤色光に対して十分な選択透過性を発揮することが困難となる可能性があるからである。また、色材全体の含有量が多いと、赤色着色層自体を形成することが困難となる可能性があるからである。
赤着色層は、通常、バインダー樹脂を含むものである。赤色着色層に用いられるバインダー樹脂としては、一般的なカラーフィルタに用いられるものから適宜選択することができ、例えば上述した「(A)青色着色層」の項で説明したものから適宜選択して用いることができる。
赤色着色層は、上述した色材およびバインダー樹脂を含有していれば特に限定されず、必要な成分を添加することができる。このような成分としては、例えば、上述した「(B)緑色着色層」の項で説明した酸化防止剤等が挙げられる。
(D)着色層
本発明における複数色の着色層の配列としては、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができ、具体的には、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
着色層の厚さとしては、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができ、特に限定されないが、通常、0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.5μm〜3.5μmの範囲内であることが好ましい。
着色層の形成方法としては、一般的なカラーフィルタの形成方法に用いられる方法と同様とすることができ、例えば、フォトリソグラフィ法、インクジェット法が挙げられる。
(2)透明基板
本発明に用いられる透明基板は、上述した複数色の着色層等を支持するものである。
透明基板の透明性は、例えば、可視領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明におけるカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
透明基板の厚さは、特に限定されるものではないが、本発明におけるカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
(3)その他の構成
本発明におけるカラーフィルタは、透明基板、および複数の着色層以外にも、例えば、遮光部、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等を有していても良い。これらの構成については、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(4)カラーフィルタの形成方法
本発明におけるカラーフィルタの形成方法は、上述した着色層を形成することができれば特に限定されず、一般的なカラーフィルタの形成方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.対向基板
本発明における対向基板については、液晶セルの駆動方式に応じて一般的なものを適宜選択して用いることができる。対向基板は、必要に応じて、カラーフィルタと対向する側の表面上に配向膜が形成されていても良い。また、対向基板は、必要に応じて、例えば、カラーフィルタと対向する側の表面上に上述した柱状スペーサが形成されていても良い。
3.液晶層
本発明における液晶層に用いられる液晶としては、液晶セル部の駆動方式に応じて適宜選択することができ、一般的なものを用いることができる。上記液晶としては、誘電異方性の異なる各種液晶、およびこれらの混合物を用いることができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
4.その他
本発明における液晶セル部は、上述したカラーフィルタ、対向基板、および液晶層を有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。上記液晶セル部は、通常、カラーフィルタと対向基板との間に液晶層を封止するシール剤が配置される。シール剤については、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明における液晶セル部の駆動方式には、一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等が挙げられる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
液晶セル部の形成方法については、一般的な液晶表示装置の液晶セルの形成方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
C.その他の構成
本発明の高演色液晶表示装置は、上述したバックライトと、部液晶セル部とを有していれば良く、必要に応じて他の構成を適宜選択して追加することができる。本発明の高演色液晶表示装置は、通常、液晶セル部の両面上に偏光板が配置される。また、高演色液晶表示装置の液晶セル部の表示面側にタッチパネルセンサを配置しても良い。また、高演色液晶表示装置置の表示面側に前面板を配置しても良い。偏光板、タッチパネルセンサおよび前面板については、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
D.その他
本発明の高演色液晶表示装置の製造方法については、一般的な液晶表示装置の製造方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の高演色液晶表示装置は、従来の液晶表示装置に比べて、広色域であることを特徴とする。本発明の高演色液晶表示装置においては、xy色度図におけるBT.2020の色域の面積に対して、本発明の高演色液晶表示装置の色域の面積比が、90%以上、中でも100%以上、特に105%を達成するように調整されることが好ましい。
なお、高演色液晶表示装置の色域の面積率とは、xy色度図における各規定の三角形の面積に対して、高演色液晶表示装置の色域の三角形の面積の比率をいう。
高演色液晶表示装置の色域は、高演色液晶表示装置の発光スペクトルを測定することにより求めることができる。高演色液晶表示装置の発光スペクトルは輝度計(SR-UL1;トプコン社製)を用いて測定することができる。
本発明の高演色液晶表示装置の用途としては、例えば、携帯電話、タブレット端末、テレビ、パーソナルコンピューター、ウェアラブル端末等に用いることができる。
II.カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、青色発光素子ならびに上記青色発光素子の発光光路上に配置された緑色量子ドットおよび赤色量子ドットを有し、青色光、緑色光および赤色光を発光するバックライト部と、透明基板および上記透明基板上に形成された赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含む着色層を有するカラーフィルタ、対向基板、ならびに上記カラーフィルタおよび上記対向基板の間に形成された液晶層を有する液晶セル部とを有する高演色液晶表示装置に用いられるカラーフィルタであって、上記バックライト部から発光される上記青色光が、波長430nm〜450nmの範囲内にピーク波長におけるピーク位置を有し、上記緑色光が、波長530nm±10nmの範囲内にピーク波長におけるピーク位置を有し、上記カラーフィルタの上記緑色着色層の平均透過率が、波長500nm〜550nmの範囲内で60%以上であり、上記青色着色層の平均透過率が、波長430nm〜500nmの範囲内で50%以上であることを特徴とするものである。
本発明のカラーフィルタについて図を用いて説明する。図7は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図7に示すように、本発明のカラーフィルタ4は、透明基板1、透明基板1上に形成された赤色着色層2R、緑色着色層2Gおよび青色着色層2Bを有する着色層2、各着色層2R、2G、2Bの間に形成され、画素を画定する遮光部3を有するものである。また、本発明においては、赤色着色層2R、緑色着色層2Gおよび青色着色層2Bがそれぞれ特定の色材を有することを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタ4は、例えば、上述した図2に示す高演色液晶表示装置100の液晶セル部10に用いられるものである。
本発明によれば、バックライト部から発光される青色光が、所定の波長領域内にピーク波長におけるピーク位置を有することにより、量子ドットによる青色光の光変換効率の低下を抑制することができ、また、緑色着色層および青色着色層の平均透過率を所定の範囲内とすることにより、輝度の低下を抑制することができ、さらに、BT.2020の色域と同等の面積比を有する高演色液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとすることができる。
なお、本発明のカラーフィルタの各構成については、上述した「I.高演色液晶表示装置 B.液晶セル部 1.カラーフィルタ」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を挙げて説明する。
[実施例1]
(青色色材1の作製)
和光純薬(株)製 1−ヨードナフタレン15.2g(60mmol)、三井化学(株)製 ノルボルナンジアミン(NBDA)(CAS No.56602−77−8)4.63g(30mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 8.07g(84mmol)、アルドリッチ製 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’,−ジメトキシビフェニル 0.09g(0.2mmol)、和光純薬(株)製 酢酸パラジウム 0.021g(0.1mmol)、キシレン 30mLに分散し130℃〜135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温に冷却し水を加え抽出した。次いで硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮することにより下記化学式(1)で示される中間体1 8.5g(収率70%)を得た。得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):407(M+H)
・元素分析値:CHN実測値 (85.47%、8.02%、6.72%);理論値(85.26%、8.11%、6.63%)
中間体1 8.46g(20.8mmol)、東京化成工業製 4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン13.5g(41.6mmol)トルエン60mLを入れ45℃〜50℃で攪拌した。和光純薬工業製オキシ塩化リン 6.38g(51.5mmol)を滴下し、2時間還流し冷却した。反応終了後、トルエンをデカントした。樹脂状析出物をクロロホルム40mL、水40mL、濃塩酸を加えて溶解しクロロホルム層を分液した。クロロホルム層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮物に酢酸エチル65mLを加え還流した。冷却の後に析出物を濾過し下記化学式(2)で示される青色色材1(BB7−Nb−dimer)を15.9g(収率70%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.48%、7.78%);理論値(78.06%、7.75%、7.69%)
さらに、関東化学社製12タングストリン酸・n水和物3.98gを水50mLに溶解させた。そこに、水50mLとメタノール100mLの混合溶媒に溶解させた青色色材1(中間体2) 2.0g(1.83mmol)に加え、常温で1時間攪拌して反応液を得た。該反応液を減圧下で濾取してケーキを得た。上記ケーキを水で洗浄した後、該ケーキを減圧乾燥して青色色材1を得た。
(紫色色材1の作製)
水50mLとメタノール100mLの混合溶媒に溶解させたアシッドレッド289(東京化成工業社製) 2.0g(1.83mmol)に、ポリ塩化アルミニウム(浅田化学工業社製)3.98gに水50mLを加えた水溶液を添加し、常温で1時間攪拌して反応液を得た。該反応液を減圧下で濾取してケーキを得た。上記ケーキを水で洗浄した後、該ケーキを減圧乾燥して紫色色材1を得た。
(硬化性樹脂組成物の調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、及びハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物とした。
<硬化性樹脂組成物の組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%):16重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399):24重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70):4重量部
・2−メチル−1−(4‐メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン:4重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:52重量部
(ブラックマトリクスの形成)
まず、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調製した。
<黒色顔料分散液の組成>
・黒色顔料:23重量部
・高分子分散材(ビックケミー・ジャパン(株) Disperbyk111):2重量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル):75重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光層用組成物を得た。
<遮光層用組成物の組成>
・上記黒色顔料分散液:61重量部
・硬化性樹脂組成物:20重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:30重量部
そして、厚み0.7mmのガラス基板(旭硝子(株) AN100)上に上記遮光層用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約1μmの遮光層を形成した。当該遮光層を、超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成すべき領域にブラックマトリクスを形成した。
(着色層の形成)
上記のようにしてブラックマトリクスを形成した基板上に、下記組成の赤色着色層用樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。次いで、赤色着色層用樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色着色層用樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより、加熱処理を施して赤色画素を形成すべき領域に赤色のレリーフパターン(厚み2.0μm)を形成した。
次に、下記組成の緑色着色層用樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、緑色画素を形成すべき領域に緑色のレリーフパターンを形成した。
さらに、下記組成の青色着色層用樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、青色画素を形成すべき領域に青色のレリーフパターンを形成し、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる着色層を形成した。以上の工程によりカラーフィルタ1(CF1)を得た。
<赤色着色層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントレッド177:2重量部
・C.I.ピグメントレッド254:4重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:2重量部
・上記硬化性樹脂組成物:30重量部(固形分40%)
・酢酸−3−メトキシブチル:62重量部
<緑色着色層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントグリーン58:4.5重量部
・C.I.ピグメントイエロー150:3.5重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:2重量部
・上記硬化性樹脂組成物:25重量部(固形分40%)
・酢酸−3−メトキシブチル:65重量部
<青色着色層用樹脂組成物の組成>
・上記青色色材1: 4.5重量部
・上記紫色色材1 : 0.5重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:30重量部(固形分40%)
・酢酸−3−メトキシブチル:62重量部
(保護膜の形成)
上記のようにして着色層を形成した基板上に、上記硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布、乾燥し、乾燥塗膜2μmの塗布膜を形成した。
上記硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて保護層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して保護膜を形成した。
(スペーサの形成)
上記のようにして着色層及び保護層を形成した基板上に、上記硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布、乾燥し塗布膜を形成した。上記硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置して、プロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いてスペーサの形成領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して、上端部面積が100μm2で高さ3.0μmの固定スペーサを所定の個数密度となるように形成した。
(液晶セル部の作製)
上記のようにして得られたカラーフィルタにRN1349(日産化学社製)膜厚100nmとなるように塗布し、240℃、15分間焼成した。焼成後、一定方向に偏光した放射線を1000mJ/cm2照射し、さらに240℃、15分間焼成し配向膜を形成した。次いでTFTを形成したガラス基板上にIPS液晶を必要量滴下し、上記カラーフィルタを重ね合わせ、UV硬化性樹脂をシール材として用い、常温で0.3kgf/cm2の圧力をかけながら400mJ/cm2の照射量で露光することにより接合して、セル組みし、液晶セル部を得た。
(バックライト部の作製)
LEDバックライトユニット(BLUE−LEDピーク波長437nm)を準備した。また、QD材料を含有するQDシートを準備した。QD材料はCdSeをコア材料とし、ZnSをシェル材料とするものである。また、緑色QD材料は、平均粒径3nm、ピーク波長525nmのものである。赤色QD材料は、平均粒径7nm、ピーク波長646nmのものである。上記LEDバックライトユニット状に上記QDシートを設置し、さらにQDシート状にBEF/BEF/DBEF(3M社製)を設置してバックライト部1(BL1)を作製した。BL1の発光スペクトルにおける青色光、緑色光および赤色光のピーク波長および半値幅は、それぞれ、青色光(ピーク波長:437nm、半値幅23nm)、緑色光(ピーク波長:530nm、半値幅35nm)、赤色光(ピーク波長:646nm、半値幅30nm)であった。
(高演色液晶表示装置の作製)
バックライト部のBEF/BEF/DBEF側に液晶パネルを設置して、高演色液晶表示装置を得た。
[実施例2]
QD材料のコア材料としてInPを使用し、着色層の膜厚を3.0μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ(CF2)、バックライト部2(BL2)および高演色液晶表示装置を得た。BL2の発光スペクトルにおける青色光、緑色光および赤色光のピーク波長および半値幅は、それぞれ、青色光(ピーク波長:437nm、半値幅23nm)、緑色光(ピーク波長:530nm、半値幅44nm)、赤色光(ピーク波長:655nm、半値幅60nm)であった。
[実施例3]
バックライト部の発光スペクトルにおける青色光のピーク波長を448nmに調整したこと以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ(CF3)、バックライト部3(BL3)および高演色液晶表示装置を得た。BL3の発光スペクトルにおける青色光、緑色光および赤色光の半値幅は、それぞれ、青色光(半値幅23nm)、緑色光(半値幅28nm)、赤色光(半値幅28nm)であった。
[実施例4]
下記の組成を有する青色着色層用樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして高演色液晶表示装置を得た。
<青色着色層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6:4.5重量部
・C.I.ピグメントバイオレット23:0.5重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:30重量部(固形分40%)
・酢酸−3−メトキシブチル:62重量部
[実施例5]
下記の組成を有する青色着色層用樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例2と同様にして高演色液晶表示装置を得た。
<青色着色層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6:4.5重量部
・C.I.ピグメントバイオレット23:0.5重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:30重量部(固形分40%)
・酢酸−3−メトキシブチル:62重量部
[比較例1]
バックライト部の発光スペクトルにおける青色光のピーク波長を465nmに調整したこと以外は、実施例2と同様にしてカラーフィルタ、バックライト部(BL)および高演色液晶表示装置を得た。
<緑色着色層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントグリーン58:4.0重量部
・C.I.ピグメントブルー15:4:1.0重量部
・C.I.ピグメントイエロー150:3.0重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:2重量部
・上記硬化性樹脂組成物:25重量部(固形分40%)
・酢酸−3−メトキシブチル:65重量部
[評価]
実施例1〜5および比較例1の高演色液晶表示装置について輝度計(SR-UL1;トプコン社製)を用いてu’値、v’値およびY値を求めた。また、BT.2020の色域に対する、実施例1〜5および比較例1の高演色液晶表示装置のu’v’色度図の色域の面積比を求めた。結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の高演色液晶表示装置である実施例1〜5では、比較例1に比べてより高い面積比を示し、BT.2020の色域に同等の面積比を有することが分かった。
また、本発明の高演色液晶表示装置である実施例1〜5は、比較例1に比べて、カラーフィルタ青色着色層および緑色着色層の平均透過率が高いため、液晶表示装置の輝度の低下を抑制することができた。
さらに、本発明の高演色液晶表示装置である実施例1〜5は、比較例1に比べて、青色光のピーク波長におけるピーク位置が短波長側にあることにより、量子ドットによる青色光の光変換効率の低下を抑制することができた。