JPWO2018101054A1 - 末端変性ポリアミド樹脂 - Google Patents

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Abstract

本発明の末端ポリアミド樹脂は、下記一般式(I)で表される末端構造を有する末端変性ポリアミド樹脂であって、前記末端変性ポリアミド樹脂100質量%中、下記一般式(I)で表される末端構造を1〜10質量%含有し、(重量平均分子量/下記一般式(I)で表される末端構造含有量[質量%]の比)が6,000以上20,000以下であり、融点+60℃の温度で、かつ、せん断速度9728sec−1の条件における溶融粘度が0.1Pa・s以上8Pa・s以下の末端変性ポリアミド樹脂である。−X−(R1−O)m−R2(I)(上記一般式(I)中、mは2〜100の範囲を表す。R1は炭素数2〜10の2価の炭化水素基を表し、R2はHまたは1価の有機基を表す。−X−は−NH−、−N(CH3)−、−(C=O)−、または−CH2−CH(OH)−CH2−O−を表す。一般式(I)中に含まれるm個のR1は、同じでも異なっていてもよい。)

Description

本発明は、特定の末端構造を有する、溶融粘度が低く、成形加工性および成形品の機械的強度に優れた末端変性ポリアミド樹脂に関するものである。
ポリアミド樹脂は、優れた機械特性と熱特性などを有するため、繊維、各種容器、フィルム、電気機器部品、電子機器部品、自動車部品、および機械部品など様々な成形品の材料として幅広く使用されている。
近年では、成形品の小型化、複雑化、薄肉化および軽量化に対する要求が高まっており、成形加工性に優れ、かつ、機械特性に優れる材料開発が求められている。また、成形加工温度の低下や成形サイクルの短縮の観点から、環境負荷低減やエネルギーコスト削減にも寄与する成形加工性の向上が求められている。一般的に、ポリアミド樹脂の分子量が増大するにしたがって機械特性も向上することが知られているが、同時にポリアミド樹脂の溶融粘度も上昇するため、成形加工性が低下してしまうという側面があった。成形加工温度を高くすることにより溶融粘度を低下させることはできるものの、熱安定性が低下し、成形加工時に分子量低下やガス発生を伴う熱分解が生じることから、機械特性や成形品の外観が低下するなどの課題があった。
これまでに、ポリアミド樹脂の熱安定性を高める方法として、例えば、ポリアミド樹脂のアミノ末端基とカルボキシル末端基をそれぞれ酢酸とジアゾメタンを用いて封鎖することにより、ポリアミド樹脂末端からの熱分解を抑制する方法が提案されている(非特許文献1参照。)。
また、機械的性質および流動性に優れたポリアミド樹脂として、炭素数6〜22の炭化水素基を有する相対粘度が2以上2.5未満であるポリアミド樹脂が提案されている(特許文献1参照。)。また別に、優れた成形加工性および優れた結晶性を有する高分子量末端変性ポリアミド樹脂として、特定の末端構造を0.5〜4.5質量%含有し、相対粘度ηrが2.1〜10である末端変性ポリアミド樹脂が提案されている(特許文献2参照。)。
特開平6−145345号公報 国際公開第2015/182693号
「ジャーナルオブポリマーサイエンス(J.Polym.Sci.)」、PRAGUE SYMPOSIUM、1958年、第30巻、p.459−478
上記の非特許文献1に記載された技術によれば、ポリアミド樹脂の熱安定性を向上させ、成形加工温度を高めることはできるものの、なお溶融粘度が高く、近年の成形品の小型化、複雑化、薄肉化および軽量化の要求に対して、成形加工性が不十分であるという課題がある。
上記の特許文献1に記載されたポリアミド樹脂はなお溶融粘度が高く、近年の成形品の小型化、複雑化、薄肉化、軽量化の要求に対して、成形加工性が不十分である課題がある。また、特許文献2で提案されている末端変性ポリアミド樹脂は、末端にのみポリアルキレンオキサイド構造をポリアミド樹脂に導入することにより溶融粘度は低下する。しかしながら、近年の成形品に対する小型化等の要求に応じるには、更なる溶融粘度の低減、機械的強度の向上および成形加工性の向上が求められている。
そこで本発明の目的は、溶融粘度が低く、成形加工性および成形品の機械的強度に優れた末端変性ポリアミド樹脂を提供することにある。
本発明者らは、ポリアミド樹脂の低溶融粘度と成形品の機械的強度の両立を達成すべく検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂の末端に、特定のポリアルキレンオキサイド構造を特定量含有し、重量平均分子量と前記の末端構造の含有量の比を特定の範囲とし、特定の溶融粘度とすることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明に達した。
[1]下記一般式(I)で表される末端構造を有する末端変性ポリアミド樹脂であって、前記末端変性ポリアミド樹脂100質量%中、下記一般式(I)で表される末端構造を1〜10質量%含有し、重量平均分子量Mwと下記一般式(I)で表される末端構造含有量[質量%]の比(重量平均分子量/下記一般式(I)で表される末端構造含有量の比)が6,000以上20,000以下であり、融点+60℃の温度で、かつ、せん断速度9728sec−1の条件における溶融粘度が0.1Pa・s以上8Pa・s以下である、末端変性ポリアミド樹脂。
−X−(R−O)−R (I)
(上記一般式(I)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を表し、RはHまたは1価の有機基を表す。−X−は−NH−、−N(CH)−、−(C=O)−、または−CH−CH(OH)−CH−O−を表す。一般式(I)中に含まれるm個のRは、同じでも異なっていてもよい。)
[2]前記末端変性ポリアミド樹脂が、さらに、下記一般式(II)で表される末端構造を0.1〜5質量%含有する前記[1]に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
−Y−R (II)
上記一般式(II)中、Rは炭素数1〜30の1価の炭化水素基を表す。前記一般式(I)におけるXが−NH−または−N(CH)−の場合、上記一般式(II)における−Y−は−(C=O)−を表し、前記一般式(I)におけるXが−(C=O)−の場合、上記一般式(II)におけるYは−NH−または−N(CH)−を表す。
[3]前記一般式(I)中、Rが炭素数1〜30の1価の炭化水素基であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
[4]電子顕微鏡により観察される、末端変性ポリアミド樹脂からなる成形品断面において、前記末端変性ポリアミド樹脂の主鎖および末端変性されていないポリアミド樹脂が海部を、一般式(I)で表される末端構造が島部を形成し、前記島部の平均径が10nm以上、50nm以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
[5]末端変性ポリアミド樹脂中に、アミノ末端基が10〜80[mol/t]含有されている、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
[6]重量平均分子量Mwが、18,000〜30,000である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂を含む成形品。
本発明によれば、溶融粘度が低く、成形加工性および成形品の機械的強度に優れた末端変性ポリアミド樹脂を得ることができる。
次に、本発明の末端変性ポリアミド樹脂とその製造方法について、詳細に説明する。
本発明末端変性ポリアミド樹脂は、下記の一般式(I)で表される末端構造を有する末端変性ポリアミド樹脂であって、前記の末端変性ポリアミド樹脂100質量%中、下記の一般式(I)で表される末端構造を1〜10質量%含有し、重量平均分子量Mwと下記の一般式(I)で表される末端構造含有量[質量%]の比(重量平均分子量/下記一般式(I)で表される末端構造含有量の比)が6,000以上20,000以下であり、融点+60℃の温度で、かつ、せん断速度9728sec−1の条件における溶融粘度が0.1Pa・s以上8Pa・s以下の末端変性ポリアミド樹脂である。
−X−(R−O)−R (I)
(上記一般式(I)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を表し、RはHまたは1価の有機基を表す。そして、−X−は−NH−、−N(CH)−、−(C=O)−、または−CH−CH(OH)−CH−O−を表す。一般式(I)中に含まれるm個のRは、同じでも異なっていてもよい。)
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、アミノ酸、ラクタムおよび「ジアミンとジカルボン酸との混合物」から選ばれる1種以上を主たる原料として得ることができるポリアミド樹脂であって、前記の一般式(I)で表される末端構造を有するものである。言い換えると、本発明における末端変性ポリアミド樹脂は、ジアミンおよびジカルボン酸からなる組み合わせ、アミノ酸、ならびにラクタムからなる群より選ばれる少なくとも1種を主たる原料として得ることができるポリアミド樹脂であって、前記一般式(I)で表される末端構造を有するものである。
ポリアミド樹脂の主たる構造単位を構成する化学構造としては、アミノ酸またはラクタムを原料とする場合、炭素数は4〜20の範囲のものが好ましく用いられる。また、ジアミンとジカルボン酸とを原料とする場合、そのジアミンの炭素数は2〜20の範囲が好ましく、ジカルボン酸の炭素数は2〜20の範囲が好ましい。原料の代表例としては、次のものが挙げられる。
具体的に、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸およびパラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ウンデカンラクタムおよびω−ラウロラクタムなどのラクタム、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよびビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどのジアミン、およびシュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;これらジカルボン酸のジアルキルエステルおよびジクロリドなどが挙げられる。
本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを用いることができる。ポリアミドが2種以上混合されてポリアミド樹脂となっていることも許容される。本発明においては、機械特性および溶融滞留時の熱安定性をより向上させるという観点から、上に例示した原料に由来する構造単位を、一般式(I)で表される末端構造、あるいは、一般式(I)および後述する一般式(II)で表される末端構造を除いたポリアミド樹脂を構成する全構造単位100モル%中、80モル%以上有することが好ましく、90モル%以上有することがより好ましく、100モル%有することがさらに好ましい態様である。また、上に例示した原料に由来する重合構造は、直鎖であることが好ましい。
上記の原料を用いて得られるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーとしては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリメタキシリレンセバカミド(MXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(PXD10)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド5T/6T)、ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドM5T/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド66/6T/6I)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタルアミド(ポリアミドMACMT)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタルアミド(ポリアミドMACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドMACM12)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタルアミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタルアミド(ポリアミドPACMI)、およびポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)等が挙げられる。
耐熱性、靭性および表面性などの必要特性に応じて、これらのポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを2種以上用いることもできる。
とりわけ好ましいポリアミドホモポリマーまたはコポリマーとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド56、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド610、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、ポリアミド9T、およびポリアミド10Tが好ましく用いられる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、下記の一般式(I)で表される末端構造を有する。先述したポリアミド樹脂の原料に由来する構造単位に、下記の一般式(I)で表される末端構造を有する末端変性ポリアミド樹脂を挙げることができる。または、先述したポリアミド樹脂の末端に前記の一般式(I)で表される構造を有するものを挙げることができる。
下記の一般式(I)で表される末端構造は、アルキレンオキシド構造を有するため、得られるポリマーの分子運動性が高く、またアミド基との親和性に優れている。ポリアミド樹脂の末端にある下記の一般式(I)で表される末端構造が、ポリアミド分子鎖の間に介在して、ポリマーの自由体積が増加し、絡み合いが減少する。その結果、ポリマーの分子運動性が大幅に増大して溶融粘度を低減することができ、その結果成形加工性が向上する。このような効果は、ポリアルキレンオキシド構造をポリアミド樹脂の主鎖に主として有する場合に比べて、極めて高い。
−X−(R−O)−R (I)
上記の一般式(I)中、mは2〜100の範囲を表す。mが小さくなると、溶融粘度の低減効果が不十分となる。mは5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、16以上であることがさらに好ましい態様である。一方、mが大きくなりすぎると、耐熱性が不十分となる。mは70以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい態様である。ポリアミド樹脂の主たる構造単位に由来する特性を維持するという観点から、上記の一般式(I)で表される末端構造を末端のみに有することが好ましい。
上記の一般式(I)中、Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を表す。ポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性の観点から、炭素数2〜6の炭化水素基がより好ましく、炭素数2〜4の炭化水素基がより好ましい態様である。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、飽和炭化水素基が好ましい。
としては、例えば、エチレン基、1,3−トリメチレン基、イソプロピレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基、および1,6−ヘキサメチレン基などが挙げられ、m個のRは、異なる炭素数の炭化水素基の組合せであっても許容される。Rは、炭素数2の2価の飽和炭化水素基および炭素数3の2価の飽和炭化水素基から少なくとも構成されることが好ましい。ポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性に優れるエチレン基および自由体積の大きいイソプロピレン基から構成されることがより好ましく、溶融粘度への低減効果をより効果的に発現させることができる。この場合、一般式(I)で表される末端構造はエチレン基を10個以上、かつイソプロピレン基を6個以下含有することが好ましく、所望に近い量の末端構造をポリアミド樹脂に導入することができ、溶融粘度低減効果をより高めることができる。
また、RはHまたは1価の有機基を表す。Rは、ポリアミド樹脂との親和性の観点から、炭素数1以上30以下の1価の炭化水素基が好ましい。Rが1価の炭化水素基の場合、Rの炭素数が少ないほどポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性に優れるため、炭素数1〜20の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜10の炭化水素基がさらに好ましく用いられる。また、末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、Rは1価の飽和炭化水素基であることがさらに好ましい。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、およびエイコシル基などが挙げられる。その中でも、ポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性に優れているメチル基およびエチル基がより好ましい。
上記の一般式(I)中、−X−は、−NH−、−N(CH)−、−(C=O)−または−CH−CH(OH)−CH−O−を表す。これらのうち、ポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性に優れている−NH−がより好ましい。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、一般式(I)で表される末端構造を、少なくとも一部のポリアミド樹脂末端に有する。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、一般式(I)で表される末端構造を、末端変性ポリアミド樹脂100質量%中1〜10質量%含む。一般式(I)で表される末端構造の含有量が1質量%未満であると、末端変性ポリアミド樹脂の溶融粘度が上昇し、成形加工性が低下する。一般式(I)で表される末端構造の含有量は2質量%以上であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上である。
一方、一般式(I)で表される末端構造の含有量が10質量%を超えると、後述する一般式(I)が形成する島部の平均径が50nmより大きくなり、成形品の機械的強度が低下する。上記の一般式(I)で表される末端構造の含有量は8質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
本発明において、末端変性ポリアミド樹脂中における一般式(I)で表される末端構造の含有量は、例えば、末端変性ポリアミド樹脂を製造する際に用いる後述する一般式(III)で表される末端変性用化合物の配合量により、所望の範囲に調整することができる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、融点+60℃の温度条件で、かつ、せん断速度9728sec−1の条件における溶融粘度が、8Pa・s以下である。融点+60℃の温度条件で、かつ、せん断速度9728sec−1の条件における溶融粘度を8Pa・s以下とすることにより、成形加工性をより向上させることができる。溶融粘度は7Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは6Pa・s以下であり、さらに好ましくは5Pa・s以下である。一方、取扱い性の観点から、溶融粘度は0.1Pa・s以上である。0.5Pa・s以上であることがより好ましく、さらに好ましくは1Pa・s以上である。
この溶融粘度は、末端変性ポリアミド樹脂の融点+60℃の温度で、末端変性ポリアミド樹脂を溶融させるため5分間滞留させた後に、せん断速度9728sec−1の条件下で、キャピラリーフローメーターによって測定することができる。本発明においては、この溶融粘度を評価するための指標として、溶融良流動化の効果が現れやすく、かつ、短時間の滞留では熱分解が進行しにくい温度条件として融点+60℃を選択し、そして小型、複雑、薄肉および軽量の成形品の成形を想定した高せん断条件であるせん断速度として、9728sec−1を選択した。
本発明において、末端変性ポリアミド樹脂の溶融粘度は、例えば、末端変性ポリアミド樹脂を製造する際に用いる後述する一般式(III)で表される末端変性用化合物または、一般式(III)および(IV)で表される末端変性用化合物の配合量や反応時間により、所望の範囲に調整することができる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、重量平均分子量Mwと一般式(I)で表される末端構造含有量[質量%]の比(重量平均分子量Mw/一般式(I)で表される末端構造含有量の比)が6,000以上である。重量平均分子量Mwに対して一般式(I)で表される末端構造量が大きくなり、この比が6000未満となると、一般式(I)で表される末端構造が凝集しやすくなり、島部を形成しやすくなることにより、島部の平均径が50nmより大きくなり、成形品の機械的強度が低下する。
重量平均分子量Mwと一般式(I)で表される末端構造含有量の比は、好ましくは6100以上であり、より好ましくは6200以上である。一方、成形加工性の観点から、上記の比は、20000以下である。より好ましくは18000以下であり、さらに好ましくは16000以下である。
一般に、重量平均分子量Mwを下げることにより、溶融粘度を低下させることができる。しかしながら、重量平均分子量Mwを下げることは、機械的強度、中でも耐衝撃性を大きく低下させることになる。そこで、重量平均分子量Mwを高い状態で、すなわち高い耐衝撃性を維持したまま溶融粘度を下げる方法として、一般式(I)で表される末端構造で表される末端構造の導入が効果的であり、導入量に比例して溶融粘度は低下する。しかしながら、一般式(I)で表される末端構造で表される末端構造の導入量が多くなると、急激に機械的強度、中でも曲げ弾性率と曲げ強度が低下する変曲点が存在する現象を実験的に発見した。
また、一般式(I)で表される末端構造で表される末端構造の導入量を同じとした場合において、重量平均分子量Mwによって機械的強度、中でも曲げ弾性率と曲げ強度が大きく変化する現象を実験的に発見した。
これらの現象から、曲げ弾性率と曲げ強度は、重量平均分子量と一般式(I)で表される末端構造で表される末端構造の導入量の双方が大きく関係していることが明確となった。さらに、これら双方の関係を解析した結果、重量平均分子量Mwと一般式(I)で表される末端構造含有量の比を特定の範囲とすることにより、特異的に優れた機械的強度と成形加工性を両立させることができることを見出した。
ここで、末端変性ポリアミド樹脂中の、一般式(I)で表される末端構造で表される末端構造の含有量は、H−NMR測定によって求めることができる。その測定方法と計算方法は、次のとおりである。
まず、末端変性ポリアミド樹脂の濃度が50mg/mLである重水素化硫酸溶液を調製し、積算回数256回によってH−NMR測定を行う。Rのスペクトル積分値、Rのスペクトル積分値、およびポリアミド樹脂骨格の繰り返し構造単位(ポリマーの主鎖を構成する繰り返し構造単位)のスペクトル積分値から、一般式(I)で表される末端構造の含有量(質量%)を算出することができる。
また、本発明における重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)を用い、カラムとしてShodex HFIP−806M(2本)およびHFIP−LGを用いて、30℃でGPC測定して得られるものである。ここでは、分子量基準物質として、ポリメチルメタクリレートを使用する。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、下記一般式(II)で表される末端構造を含有することが好ましい。前述のとおり、ポリアミド樹脂に一般式(I)で表される末端構造を導入することにより、末端変性ポリアミド樹脂の溶融粘度を低減させ、成形加工性を向上させることができる。しかしながら、例えば、ポリアミド樹脂のカルボキシル末端基に一般式(III)で表される末端変性用化合物を反応させることにより、一般式(I)で表される末端構造のみを導入させる場合、ポリアミド樹脂中のアミノ末端基量が高くなる。言い換えると、一般式(I)で表される末端構造を有するポリアミド樹脂は、一方の末端は、一般式(I)で表される構造で変性されているものの、他方の末端は変性されておらず、アミノ末端基のままである。そのため、前記アミノ末端基が基点となり、ポリアミド樹脂同士の凝集力が増加し、ポリアミド樹脂骨格(アミド基)と一般式(I)で表される末端構造の相溶性が低下する。そのため、本来であれば、ポリアミド分子鎖の間に介在する一般式(I)で表される末端構造が、ポリアミド樹脂骨格との相溶性低下により凝集しやすくなり、結果的に成形品の機械的強度が低下する。ポリアミド樹脂のアミノ基末端に一般式(III)で表される末端構造化合物を反応させる場合も上記同様である。
そこで、前記ポリアミド樹脂(すなわち、一方の末端のみが一般式(I)で表される構造で変性されているポリアミド樹脂)に、後述する一般式(IV)で表される末端変性用化合物を更に反応させることなどによって、当該他方の末端を変性せしめ、下記一般式(II)で表される末端構造をさらに有するポリアミド樹脂とすることにより、一般式(I)で表される末端構造とポリアミド樹脂骨格との相溶性低下を抑制し、より優れた成形品の機械的強度を発現することができる。また、一般式(I)で表される末端構造と、下記一般式(II)で表される末端構造の導入によって、アミノ末端基およびカルボキシル末端基を制御することにより、より溶融滞留時の分子量変化を抑制することができる。
さらに、前述のとおり、一般式(I)で表される末端構造を導入することにより、末端変性ポリアミド樹脂の溶融粘度を低減させると同時に、優れた機械的強度を発現することができるが、成形時などの長期間溶融滞留時に、一般式(I)で表される末端構造の熱分解が進行しやすいという傾向がある。これは、一般式(I)で表される末端構造のみを有するポリアミド樹脂は、一方の末端は一般式(I)で表される末端構造で変性されているものの、他方の末端は変性されておらず、アミノ末端基またはカルボキシル基のままである。そのため、前記アミノ末端基とカルボキシル末端基が、一般式(I)で表される末端構造の熱分解触媒として作用し、一般式(I)で表される末端構造の熱分解が進行しやすくなるためと推測される。そのため、かかるアミノ末端基量とカルボキシル末端基量の更なる低減が求められている
そこで、例えば、前記ポリアミド樹脂(すなわち、一方の末端のみが一般式(I)で表される構造で変性されているポリアミド樹脂)に、後述する一般式(IV)で表される末端変性用化合物をさらに反応させることなどによって、当該他方の末端を変性せしめ、下記一般式(II)で表される末端構造をさらに導入することにより、一般式(I)で表される構造の熱分解を抑制し、発生したガス起因による機械的特性の低下を抑制することができる。
−Y−R (II)
上記の一般式(II)中、Rは炭素数1以上30以下の1価の炭化水素基を表す。Rの炭素数が少ないほど、ポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性に優れるため、Rは炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘネイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の分岐鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、および2−フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、Rは、1価の炭素数1以上20以下の飽和炭化水素基またはアリール基であることがさらに好ましい態様である。
前記の一般式(I)におけるXが、−NH−、−N(CH)−、または−CH−CH(OH)−CH−O−の場合、上記の一般式(II)における−Y−は、−(C=O)−を表す。また、前記の一般式(I)におけるXが、−(C=O)−または−CH−CH(OH)−CH−O−の場合、上記の一般式(II)におけるYは、−NH−または−N(CH)−を表す。
通常、ポリアミド樹脂の末端はアミノ末端基とカルボキシル末端基からなり、一般式(III)で表される末端変性用化合物がアミノ末端基を有する場合、かかる末端変性用化合物はポリアミド樹脂のカルボキシル末端基と反応し、一般式(I)におけるXが−NH−または−N(CH)−となる。この場合、ポリアミド樹脂のもう一方の末端であるアミノ末端基を、一般式(IV)で表される末端変性用化合物により封鎖し、一般式(II)におけるYは−(C=O)−となる。
一方、一般式(III)で表される末端変性用化合物がカルボキシル末端基を有する場合、かかる末端変性用化合物はポリアミド樹脂のアミノ末端基と反応し、一般式(I)におけるXが−(C=O)−となる。この場合、ポリアミド樹脂のもう一方の末端であるカルボキシル末端基を、一般式(IV)で表される末端変性用化合物により封鎖し、一般式(II)におけるYは−NH−または−N(CH)−となる。さらに、一般式(III)で表される末端変性用化合物がグリシジル基を有する場合、一般式(I)におけるXが−CH−CH(OH)−CH−O−となる。この場合、一般式(II)におけるYは−(C=O)−、−NH−、−N(CH)−のいずれでもよい。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、一般式(II)で表される末端構造を、末端変性ポリアミド樹脂100質量%中0.1〜5質量%(0.1質量%以上5質量%以下)含むことが好ましい態様である。一般式(II)で表される末端構造の含有量が0.1質量%以上であると、溶融滞留時に末端変性ポリアミド樹脂中の一般式(I)で表される構造の熱分解を抑制し、溶融滞留時の熱安定性をより向上させることができるとともに、発生したガス起因による機械的特性の低下を抑制することができる。一般式(II)で表される末端構造の含有量は、0.2質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは0.4質量%以上である。一方、一般式(II)で表される末端構造の含有量が5質量%以下の場合、機械的強度の低下を抑制することができる。一般式(II)で表される末端構造の含有量は、3質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは1質量%以下である。
ここで、末端変性ポリアミド樹脂中の、一般式(II)で表される末端構造の含有量は、H−NMR測定によって求めることができる。測定と計算方法は、次のとおりである。
まず、末端変性ポリアミド樹脂の濃度が50mg/mLである重水素化硫酸溶液を調製し、積算回数256回によってH−NMR測定を行う。Rのスペクトル積分値、およびポリアミド樹脂骨格の繰り返し構造単位(ポリマーの主鎖を構成する繰り返し構造単位)のスペクトル積分値から、末端構造(II)の含有量(質量%)を算出することができる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、本発明の末端変性ポリアミド樹脂からなる成形品断面の、電子顕微鏡により観察されるモルフォロジーにおいて、末端変性ポリアミド樹脂の主鎖および末端変性されていないポリアミド樹脂が海部を、そして一般式(I)で表される末端構造が島部を形成し、一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の平均径が10nm以上、50nm以下であることが好ましい。一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の平均径が50nmより小さい場合、応力が柔軟な島部に集中することを防ぐため、機械的強度の低下を抑制することができる。また、一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の平均径が10nmより大きい場合、優れた機械的強度を発現することができる。
ここで、一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の平均径は、次の方法により測定することができる。本発明において、島部の径は成形品断面の観察により確認される。なお、一般式(II)は島部を形成しないので、観察により確認される島構造は一般式(I)が形成した島部を示す。一般式(I)で表される末端構造からなる島部が真円の場合はその直径を指し、ISO178に準ずる曲げ評価用試験片を用いて測定する。まず、成形温度を末端変性ポリアミド樹脂の融点+約30℃とし、金型温度を80℃として、射出時間と保圧時間を合わせて10秒、冷却時間を10秒とする成形サイクル条件により、末端変性ポリアミド樹脂の射出成形を行い、前記評価用試験片を作製する。次いで、得られた評価用試験片から厚み100μmの切片を切り出し、リンタングステン酸染色法によりポリアミド樹脂部分を染色した後、超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率2万倍で、一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の分散状態を観察する。評価用試験片からの切片の切り出し箇所は、特に限定されない。切片の表面において、無作為に選択した少なくとも100個の一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の径を測定し、平均径を決定した。ここで、島部が真円の場合は、円の直径を、島部が真円でない場合あるいは円形でない場合、島部の長径及び短径の平均値を径とする。ここで、長径とは島部に接するように2本の平行線Aで挟んだときの平行線A間の最大距離をいう。短径とは、当該島部に接するように上記平行線Aに垂直な2本の平行線Bで挟んだときの平行線B間の最大距離をいう。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、アミノ末端基量を10〜80mol/t(10mol/t以上80mol/t以下)含有することが好ましい。アミノ末端基量が80mol/t以下の場合、成形加工時の溶融滞留時にアミノ末端基からの熱分解が生じにくく、分解物が可塑剤となることを抑制できるため、成形品の機械的強度の低下を抑制することができる。アミノ末端基量は60mol/t以下であることがより好ましく、さらに好ましくは40mol/tである。一方、アミノ末端基量が10mol/t以上の場合、分子間の相互作用の低下を抑制することができ、機械的強度の低下を抑制することができる。アミノ末端基量は15mol/t以上であることがより好ましく、さらに好ましくは20mol/t以上である。
ここで、末端変性ポリアミド樹脂中のアミノ末端基量は、フェノール/エタノール混合溶液(比率:83.5/16.5質量比)に末端変性ポリアミド樹脂を溶解し、チモールブルーを指示薬として使用し、塩酸水溶液で滴定することにより測定することができる。
本発明において、末端変性ポリアミド樹脂のアミノ末端基の含有量は、例えば、末端変性ポリアミド樹脂を製造する際に用いられる、後述する一般式(III)で表される末端変性用化合物または、一般式(III)および(IV)で表される末端変性用化合物の配合量や、反応時間により所望の範囲に調整することができる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した重量平均分子量(Mw)は、18,000以上であることが好ましい。重量平均分子量を18,000以上とすることにより、機械特性をより向上させることができる。重量平均分子量は、より好ましくは19,000以上であり、さらに好ましくは20,000以上である。また、重量平均分子量は30,000以下であることが好ましい。Mwを30,000以下とすることにより、溶融粘度をより低減し、成形加工性をより向上させることができる。重量平均分子量は、より好ましくは28,000以下であり、さらに好ましくは26,000以下である。本発明における重量平均分子量(Mw)の測定方法は、先述したとおりである。
本発明において、末端変性ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、例えば、末端変性ポリアミド樹脂を製造する際に用いる後述する一般式(III)で表される末端変性用化合物、または、一般式(III)および(IV)で表される末端変性用化合物の配合量や、反応時間により所望の範囲に調整することができる。

本発明の末端変性ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上がより好ましい。ここで、末端変性ポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。融点の測定方法は、次のとおりである。末端変性ポリアミド樹脂5〜7mgを秤量する。窒素雰囲気下中、20℃の温度から昇温速度20℃/分でTm+30℃まで昇温する。引き続き、降温速度20℃/分で20℃まで降温する。再度、20℃の温度から昇温速度20℃/分でTm+30℃まで昇温したときに現れる吸熱ピークの頂点の温度を融点(Tm)と定義する。
融点が150℃以上の末端変性ポリアミド樹脂としては、先述したポリアミドおよびこれらの共重合体の末端に、前記の一般式(I)で表される構造を有する樹脂が挙げられる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂は、樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液の25℃の温度における相対粘度(ηr)が1.3〜3.0の範囲であることが好ましい。相対粘度を1.3以上とすることにより、靭性を向上させることができる。相対粘度は、より好ましくは1.4以上であり、さらに好ましくは1.5以上である。一方、相対粘度を3.0以下とすることにより、成形加工性をより向上させることができる。相対粘度は、より好ましくは2.1以下であり、さらに好ましくは2.05以下であり、特に好ましくは2.0以下である。
本発明において、末端変性ポリアミド樹脂の相対粘度は、例えば、末端変性ポリアミド樹脂を製造する際に用いられる、後述する一般式(III)で表される末端変性用化合物、または、一般式(III)および(IV)で表される末端変性用化合物の配合量や、反応時間により所望の範囲に調整することができる。
次に、本発明の末端変性ポリアミド樹脂の製造方法について説明する。
本発明の実施形態において用いられる末端変性ポリアミド樹脂の製造方法としては、例えば、
(1)ポリアミド樹脂、下記一般式(III)で表される末端変性用化合物ならびに必要に応じて下記一般式(IV)で表される末端変性用化合物およびその他の成分を、ポリアミド樹脂の融点以上において溶融混練し、反応せしめる方法や、これらを溶液中において混合し、反応せしめた後に溶媒を除く方法、および、
(2)ポリアミド樹脂の主たる構造単位を構成する原料、下記一般式(III)で表される末端変性用化合物ならびに必要に応じて下記一般式(IV)で表される末端変性用化合物およびその他の成分を、添加混合して反応させる方法(反応時添加方法)などが挙げられる。
具体的には、末端変性ポリアミド樹脂の原料を反応容器に仕込み、窒素置換して、加熱をすることにより反応させることが好ましい態様である。この際の反応時間が短すぎると、分子量が上がらないだけでなく、オリゴマー成分が増加することから、機械的強度が低下することがある。そのため、反応時間に占める窒素フローの時間は、15分以上であることが好ましい。一方、反応時間が長すぎると、熱分解が進行し着色などが生じるため、反応時間に占める窒素フローの時間は、8時間以下であることが好ましい。
Z−(R−O)−R (III)
上記の一般式(I)中、mは2〜100の範囲を表す。前記の一般式(I)におけるmと同様に、mは5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、16以上であることがさらに好ましい態様である。一方、mは70以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい態様である。
また、Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を表し、RはHまたは有機基を表し、有機基が炭化水素基の場合、炭素数1〜30の1価の炭化水素基が好ましい。RとRとしては、それぞれ、一般式(I)におけるRおよびRとして例示したものが挙げられる。
Z−は、HN−、HN(CH)−、HO(C=O)−、またはW−O−を表し、Wはグリシジル基を表す。Z−としては、ポリアミドの末端との反応性に優れているHN−がより好ましい。
H−Y’−R (IV)
上記の一般式(IV)中、Rは炭素数1〜30の1価の炭化水素基を表す。前記の一般式(II)と同様に、末端変性ポリアミド樹脂の熱安定性および着色防止の観点から、Rは1価の飽和炭化水素基が好ましい。前記の一般式(III)におけるZが、HN−、HN(CH)−またはW−O−の場合、上記の一般式(IV)における−Y’−は、−O(C=O)−を表す。また、前記の一般式(III)におけるZがHO(C=O)−またはW−O−の場合、上記の一般式(IV)におけるY’は、−NH−または−N(CH)−を表す。
一般式(III)で表される末端変性用化合物の数平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。数平均分子量を500以上とすることにより、溶融粘度をより低減させることができる。数平均分子量は、より好ましくは800以上であり、さらに好ましくは900以上である。一方、数平均分子量を10000以下とすることにより、ポリアミド樹脂の主たる構造単位との親和性をより向上させることができる。数平均分子量は、より好ましくは5000以下であり、さらに好ましくは2500以下であり、さらに好ましくは1500以下である。数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
一般式(III)で表される末端変性用化合物の具体的な例としては、R=Hの場合の末端変性化合物としては、ポリ(エチレングリコール)アミン、ポリ(トリメチレングリコール)アミン、ポリ(プロピレングリコール)アミン、ポリ(テトラメチレングリコール)アミン、ポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)アミン、ポリ(エチレングリコール)カルボン酸、ポリ(トリメチレングリコール)カルボン酸、ポリ(プロピレングリコール)カルボン酸、ポリ(テトラメチレングリコール)カルボン酸、およびポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)カルボン酸などが挙げられる。2種類のポリアルキレングリコールが含まれる場合、ブロック重合構造をとることができ、ランダム共重合構造をとることもできる。また、上記した末端変性用化合物を、2種以上用いることもできる。
が炭化水素基の場合の末端変性用化合物としては、メトキシポリ(エチレングリコール)アミン、メトキシポリ(トリメチレングリコール)アミン、メトキシポリ(プロピレングリコール)アミン、メトキシポリ(テトラメチレングリコール)アミン、メトキシポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)アミン、メトキシポリ(エチレングリコール)カルボン酸、メトキシポリ(トリメチレングリコール)カルボン酸、メトキシポリ(プロピレングリコール)カルボン酸、メトキシポリ(テトラメチレングリコール)カルボン酸、メトキシポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)カルボン酸、ラウリルアルコールポリ(エチレングリコール)グリシジルエーテル、およびフェノールポリ(エチレングリコール)グリシジルエーテルなどが挙げられる。2種類のポリアルキレングリコールが含まれる場合、ブロック重合構造をとっていてもよく、ランダム共重合構造をとることもできる。また、上記した末端変性用化合物を2種以上用いることもできる。
一般式(IV)で表される末端変性用化合物の具体的な例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、セロチン酸などの脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン、ベンジルアミン、およびβ−フェニルエチルアミンなどの芳香族モノアミンなどが挙げられる。また、上記した末端変性用化合物を、2種以上用いることもできる。
ポリアミド樹脂の原料と末端変性用化合物とを、重合時に反応させる方法により末端変性ポリアミド樹脂を製造する場合には、ポリアミド樹脂の融点以上で反応させる溶融重合法と、ポリアミド樹脂の融点未満で反応させる固相重合法の、いずれの方法も用いることができる。
ポリアミド樹脂の原料としては、前述のアミノ酸、ラクタムおよびジアミンとジカルボン酸との混合物が例示される。
一方、ポリアミド樹脂と末端変性用化合物とを溶融混練することにより末端変性ポリアミド樹脂を製造する場合には、溶融混練温度をポリアミド樹脂の融点(Tm)よりも10℃以上40℃以下高い温度で反応させることが好ましい。例えば、押出機を用いて溶融混練する場合、押出機のシリンダー温度を前記の範囲とすることが好ましい。溶融混練温度をこの範囲にすることにより、末端変性用化合物の揮発とポリアミド樹脂の分解を抑制しつつ、ポリアミド樹脂の末端と末端変性用化合物とを効率的に結合させることができる。ポリアミド樹脂としては、先述したポリアミド樹脂が例示される。
ポリアミド樹脂の原料と末端変性用化合物とを重合時に反応させる方法により末端変性ポリアミド樹脂を製造する際、必要に応じて、重合促進剤を添加することができる。重合促進剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物などが好ましく、特に、亜リン酸ナトリウムと次亜リン酸ナトリウムが好適に用いられる。重合促進剤は、ポリアミド樹脂の原料(末端変性用化合物を除く)100質量部に対して、0.001〜1質量部の範囲で使用することが好ましい。重合促進剤の添加量を0.001〜1質量部とすることにより、機械特性と成形加工性のバランスに、より優れた末端変性ポリアミド樹脂を得ることができる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂に、充填材、他種ポリマー、耐衝撃改良剤および各種添加剤などを配合して、末端変性ポリアミド樹脂を含有するポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
充填材としては、一般に樹脂用フィラーとして用いられる任意の充填材を用いることができ、これにより、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の強度、剛性、耐熱性および寸法安定性を、より向上させることができる。充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状無機充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、タルク、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、アルミノシリケート、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、およびシリカなどの非繊維状無機充填材などが挙げられる。
これらの充填材を、2種以上含有させることができる。また、これら充填材として、中空形状の充填材も用いることができる。また、充填材としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、およびエポキシ化合物などのカップリング剤で処理されてなる充填材も用いることができる。また、モンモリロナイトとして、有機アンモニウム塩で層間イオンをカチオン交換した有機化モンモリロナイトを用いることもできる。前記充填材の中でも、繊維状無機充填材が好ましく、特にガラス繊維と炭素繊維が好ましく用いられる。
他種ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどのエラストマーや、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、SAN樹脂、およびポリスチレンなどを挙げることができる。これらのポリマーを、2種以上含有させることができる。
他種ポリマーとしては、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性を向上させるためには、オレフィン系化合物および/または共役ジエン系化合物の(共)重合体などの変性ポリオレフィン、ポリアミド系エラストマー、およびポリエステル系エラストマーなどの耐衝撃性改良剤が好ましく用いられる。
オレフィン系化合物および/または共役ジエン系化合物の(共)重合体としては、エチレン系共重合体、共役ジエン系重合体、および共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体などが挙げられる。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレンと、炭素数3以上のα−オレフィン、非共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、α,β−不飽和カルボン酸およびその誘導体などとの共重合体が挙げられる。炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1などが挙げられる。非共役系ジエンとしては、例えば、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、および1,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびブテンジカルボン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、前記のα,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アリールエステル、グリシジルエステル、酸無水物、およびイミドなどが挙げられる。
共役ジエン系重合体とは、少なくとも1種の共役ジエンの重合体を指す。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、および1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。また、これらの重合体の不飽和結合の一部または全部が、水添により還元されてなる重合体も用いられる。
共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体とは、共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素との共重合体を指し、ブロック共重合体やランダム共重合体が挙げられる。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエンやイソプレンなどが挙げられる。芳香族ビニル炭化水素としては、例えば、スチレンなどが挙げられる。また、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体の芳香環以外の二重結合以外の不飽和結合の一部または全部が、水添により還元されてなる共重合体も用いられる。
耐衝撃性改良剤の具体例としては、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、およびカルシウムとの塩としたもの、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、およびエチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
各種添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、およびヨウ素化合物等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、およびヒンダードアミン系等の耐候剤)、離型剤および滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニンおよびカーボンブラック等)、染料(ニグロシンやアニリンブラック等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチルやN−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン系帯電防止剤、およびベタイン系両性帯電防止剤等)、および、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、およびこれら臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)などが挙げられる。これらの各種添加剤を、2種以上配合して用いることもできる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂およびこれを用いてなるポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、溶融紡糸およびフィルム成形などの任意の溶融成形方法により、所望の形状に成形することができる。末端変性ポリアミド樹脂およびこれを用いてなるポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形品は、例えば、電機・電子機器部品、自動車部品、機械部品などの樹脂成形品、衣料・産業資材などの繊維、包装用フィルム、および磁気記録などのフィルムとして使用することができる。
次に実施例を示し、本発明の末端変性ポリアミド樹脂について、更に具体的に説明する。各実施例および比較例における特性評価は、下記の方法にしたがって行った。
[相対粘度(ηr)]:
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂の、樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液について、25℃の温度でオストワルド式粘度計を用いて、相対粘度を測定した。
[分子量]:
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂2.5mgを、ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)4mlに溶解し、得られた溶液を0.45μmのフィルターでろ過した。得られた溶液を用いて、GPC測定により、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定した。測定条件を、次に示す。
・ポンプ:e−Alliance GPC system(Waters製)
・検出器:示差屈折率計 Waters 2414(Waters製)
・カラム:Shodex HFIP−806M(2本)+HFIP−LG
・溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
・流速:1ml/分
・試料注入量:0.1ml
・温度:30℃
・分子量基準物質:ポリメチルメタクリレート。
[アミノ末端基量[NH]]:
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂0.5gを精秤し、フェノール/エタノール混合溶液(比率:83.5/16.5質量比)25mlを加えて常温で溶解した後、チモールブルーを指示薬として、0.02規定の塩酸で滴定してアミノ末端基量(mol/t)を求めた。
[末端構造の同定、ならびに、一般式(I)の末端構造の含有量および一般式(II)の末端構造の含有量の定量]:
実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂について、日本電子(株)製FT−NMR JNM−AL400を用いて、H−NMR測定を実施した。まず、測定溶媒として重水素化硫酸を用いて、試料濃度50mg/mLの溶液を調製した。積算回数256回で、ポリアミド樹脂のH−NMR測定を実施した。一般式(I)で表される末端構造におけるRおよびR由来部分のピーク、一般式(II)で表される末端構造におけるR部分由来のピークおよびポリアミド樹脂骨格の繰り返し構造単位由来のピークを、それぞれ同定した。各ピークの積分強度を算出し、算出した積分強度と、それぞれの構造単位中の水素原子数とから、末端変性ポリアミド樹脂における一般式(I)で表される末端構造の含有量[I](質量%)および一般式(II)で表される末端構造の含有量[II](質量%)を、それぞれ算出した。
[熱特性]:
TAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSC Q20)を用いて、各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂5〜7mgを秤量し、窒素雰囲気下、20℃の温度から昇温速度20℃/分で250℃の温度まで昇温した。引き続き、降温速度20℃/分で20℃まで降温した。再度、20℃の温度から昇温速度20℃/分でTm+30℃まで昇温したときに現れる吸熱ピークの頂点を、Tm(融点)とした。
[溶融粘度]:
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂を、80℃の温度の真空乾燥器中で12時間以上乾燥した。溶融粘度の測定装置として、キャピラリーフローメーター((株)東洋精機製作所製、キャピログラフ1C型)を用いて、径が0.5mmで、長さが5mmのオリフィスを用いて、融点+60℃の温度で、せん断速度9728sec−1の条件で溶融粘度を測定した。ただし、末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂を溶融させるため、5分間滞留させた後に測定を行った。この溶融粘度の値が小さいほど、高い流動性を有することを示す。
[成形加工性]:
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂を、80℃の温度の真空乾燥器中で12時間以上乾燥した。東芝機械(株)製IS55EPN射出成形機を用いて、シリンダー温度は、末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂の融点(Tm)+0℃、+5℃、および+10℃の3種類とし、金型温度は80℃とし、射出時間と保圧時間は合わせて10秒、冷却時間は10秒の成形サイクル条件で、試験片厚みが1/25インチ(約1.0mm)のASTM4号ダンベルを射出成形した。射出成形を5回実施し、成形片を5回全て採取できた場合を○とし、5回中1回でも金型への充填が不十分な場合、または成形品を採取できなかった場合を×とした。
[曲げ強度/曲げ弾性率]:
各実施例および比較例により得られた末端変性ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂を、80℃の温度の真空乾燥器中で12時間以上乾燥した後、射出成形機(住友重機械社製SG75H−MIV)を使用し、シリンダー温度を融点+30℃、金型温度を80℃、射出速度100mm/sec、および射出圧を下限圧(最低充填圧力)+1MPaの条件で試験片を成形し、ISO178に従い23℃の温度で曲げ強度および曲げ弾性率を評価した。結果を、表1に示す。
[耐衝撃性]:
ISO179に従い、23℃の温度でシャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)を評価した。
[一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の平均径]:
前記曲げ強度/曲げ弾性率の項で得られた評価用射出成形片の表層から500μm深さの切削面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の分散状態を観察した。射出成形片から厚み100μmの切片を切り出し、リンタングステン酸染色法によりポリアミド骨格成分を染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡によって2万倍に拡大して観察を行った。少なくとも100個の一般式(I)で表される末端構造が形成する島部について観察を行い、平均径を求めた。島部が真円の場合は、円の直径を、島部が真円でない場合あるいは円形でない場合、島部の長径及び短径の平均値を径とした。ここで、長径を、島部に接するように2本の平行線Aで挟んだときの平行線A間の最大距離とした。短径を、当該島部に接するように上記平行線Aに垂直な2本の平行線Bで挟んだときの平行線B間の最大距離とした。なお、島部の平均径が10〜50nmの場合を「〇」、島部の平均径が10nm未満または50nmより大きい場合を「×」とした。
[原料]:
実施例および比較例において、原料は次に示すものを用いた。
・ε−カプロラクタム:和光純薬工業(株)製 和光特級
・ヘキサメチレンジアミン:和光純薬工業(株)製 和光一級
・アジピン酸:和光純薬工業(株)製 和光特級
・セバシン酸:和光純薬工業(株)製 和光一級。
[一般式(III)で表される末端変性用化合物]
・下記の構造式[化学式1]で表されるメトキシポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)アミン:HUNTSMAN製“JEFFAMINE”(登録商標) M1000 (数平均分子量Mn1000)。
Figure 2018101054
・下記の構造式[化学式2]で表されるメトキシポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)アミン:HUNTSMAN製“JEFFAMINE”(登録商標) M2070 (数平均分子量Mn2000)。
Figure 2018101054
・下記の構造式[化学式3]で表されるメトキシエチレングリコールポリ(プロピレングリコール)アミン:HUNTSMAN製“JEFFAMINE”(登録商標) M600 (数平均分子量Mn600)。
Figure 2018101054
・下記の構造式[化学式4]で表されるラウリルアルコールポリ(エチレングリコール)グリシジルエーテル:ナガセケムテックス株式会社製“デナコール”(登録商標) EX171 (数平均分子量Mn971)。
Figure 2018101054
[一般式(IV)で表される末端変性用化合物]:
・酢酸:和光純薬工業(株)製 試薬特級
・安息香酸:和光純薬工業(株)製 試薬特級。
(実施例1)
ε−カプロラクタム700g、イオン交換水175g、“JEFFAMINE”M1000 53.9g、および酢酸1.4gを反応容器に仕込み密閉し、窒素置換した。反応容器外周にあるヒーターの設定温度を260℃とし、加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0MPaに保持し、缶内温度が250℃になるまで昇温した。缶内温度が240℃に到達した後、ヒーターの設定温度を245℃に変更し、1時間かけて常圧となるように缶内圧力を調節した(常圧到達時の缶内温度:245℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら(窒素フロー)195分間保持して、末端変性ポリアミド6樹脂を得た(最高到達温度:250℃)。続いて得られた末端変性ポリアミド6樹脂を、イオン交換水でソックスレー抽出を行い、未反応の末端変性用化合物を除去した。このようにして得られた末端変性ポリアミド6樹脂の重量平均分子量は4.3万で、融点(Tm)は220℃であり、溶融粘度は7.8Pa・sであった。また、得られた末端変性ポリアミド6樹脂は、次の[化学式5]で表される構造と、次の[化学式6]で表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド6樹脂を含むものであった。その他の物性を、表1に示す。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
(実施例2〜20、比較例1〜11)
原料を、表1〜3に示す組成に変更し、かつ缶内圧力を常圧とした後、缶内に窒素を流しながら保持する時間(窒素フロー時間)を、表1〜3に示す時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミド6樹脂を得た。ここで、実施例2〜13、15、16および比較例1〜9、11で得られたポリアミド樹脂は、次の[化学式5]で表される構造と、次の[化学式6]で表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド6樹脂を含むものであった。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
また、実施例14および比較例10で得られたポリアミド樹脂は、次の[化学式5]で表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド6樹脂を含むものであった。
Figure 2018101054
また、実施例17で得られたポリアミド樹脂は、次の[化学式7]で表される構造と次の[化学式6]で表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド6樹脂を含むものであった。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
また、実施例18で得られたポリアミド樹脂は、次の[化学式8]で表される構造と次の[化学式6]で表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド6樹脂を含むものであった。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
また、実施例19で得られたポリアミド樹脂は、次の[化学式9]で表される構造と次の[化学式6]で表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド6樹脂を含むものであった。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
また、実施例20で得られたポリアミド樹脂は、次の[化学式5]で表される構造と次の[化学式10]で表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド6樹脂を含むものであった。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
(実施例21)
ヘキサメチレンジアミン331.2g、アジピン酸417.3g、イオン交換水175g、“JEFFAMINE”M1000 30.1g、酢酸5.6gを反応容器に仕込み密閉し、窒素置換した。反応容器外周にあるヒーターの設定温度を290℃とし、加熱を開始した。缶内圧力が1.75MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.75MPaに保持し、缶内温度が260℃になるまで昇温した。缶内温度が260℃に到達した後、ヒーターの設定温度を265℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を調節した(常圧到達時の缶内温度:270℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら(窒素フロー)180分間保持して末端変性ポリアミド66樹脂を得た(最高到達温度:270℃)。ここで、得られたポリアミド樹脂は次の[化学式5]で表される構造と、次の[化学式6]表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド66樹脂を含むものであった。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
(実施例22)
ヘキサメチレンジアミン270.7g、セバシン酸471.2g、イオン交換水175g、“JEFFAMINE”M1000 30.1g、酢酸5.6gを反応容器に仕込み密閉し、窒素置換した。反応容器外周にあるヒーターの設定温度を260℃とし、加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0MPaに保持し、缶内温度が240℃になるまで昇温した。缶内温度が240℃に到達した後、ヒーターの設定温度を245℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を調節した(常圧到達時の缶内温度:243℃)。続けて、缶内に窒素を流しながら(窒素フロー)195分間保持して末端変性ポリアミド610樹脂を得た(最高到達温度:250℃)。ここで、得られたポリアミド樹脂は次の[化学式5]で表される構造と、次の[化学式6]表される構造を末端に有する末端変性ポリアミド610樹脂を含むものであった。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
その後、実施例1と同様にして各特性を評価した。結果を、表1〜4に示す。
Figure 2018101054
Figure 2018101054
Figure 2018101054
Figure 2018101054
実施例1〜22と比較例1〜10の比較により、一般式(I)で表される末端構造を特定範囲で含有し、特定範囲の溶融粘度を有し、特定範囲の重量平均分子量Mwと一般式(I)で表される末端構造含有量[質量%]の比(重量平均分子量Mw/一般式(I)で表される末端構造含有量の比)を有することにより、優れた成形加工性と成形品の機械的強度を両立させることができることがわかる。
実施例4と実施例14の比較により、一般式(II)で表される末端構造を特定範囲で含有することにより成形加工時の滞留時における一般式(I)で表される末端構造の熱分解を抑制できるため、優れた機械的強度を発現することができる。

実施例1〜19と比較例3〜5、7〜9、および11の比較により、一般式(I)で表される末端構造が形成する島部の平均径を10nmより大きく、かつ50nmより小さくすることにより、成形品の機械的強度を向上させることができることがわかる。
実施例1〜19と比較例1、2、6、7および10の比較により、溶融粘度を8Pa・s以下とすることにより、優れた成形加工性を有することがわかる。
実施例9、10と実施例12の比較により、重量平均分子量Mwを18,000以上とすることにより、耐衝撃性をより向上させることができることがわかる。
実施例2と実施例15の比較により、重量平均分子量Mwを30,000以下とすることにより、成形加工性をより向上させることができることがわかる。
実施例4、5と実施例13および16の比較により、アミノ末端基量を10〜80mol/tとすることにより、機械的強度をより向上させることができることがわかる。
本発明の末端変性ポリアミド樹脂を成形して得られる成形品は、例えば、電機部品、電子機器部品、自動車部品および機械部品などの樹脂成形品として、衣料や産業資材などの繊維として、そして包装材料や磁気記録などのフィルムとして好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表される末端構造を有する末端変性ポリアミド樹脂であって、前記末端変性ポリアミド樹脂100質量%中、下記一般式(I)で表される末端構造を1〜10質量%含有し、重量平均分子量Mwと下記一般式(I)で表される末端構造含有量[質量%]の比(重量平均分子量/下記一般式(I)で表される末端構造含有量の比)が6,000以上20,000以下であり、融点+60℃の温度で、かつ、せん断速度9728sec−1の条件における溶融粘度が0.1Pa・s以上8Pa・s以下である、末端変性ポリアミド樹脂。
    −X−(R−O)−R (I)
    (上記一般式(I)中、mは2〜100の範囲を表す。Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を表し、RはHまたは1価の有機基を表す。−X−は−NH−、−N(CH)−、−(C=O)−、または−CH−CH(OH)−CH−O−を表す。一般式(I)中に含まれるm個のRは、同じでも異なっていてもよい。)
  2. 前記末端変性ポリアミド樹脂が、さらに、下記一般式(II)で表される末端構造を0.1〜5質量%含有する請求項1に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
    −Y−R (II)
    上記一般式(II)中、Rは炭素数1〜30の1価の炭化水素基を表す。前記一般式(I)におけるXが−NH−または−N(CH)−の場合、上記一般式(II)における−Y−は−(C=O)−を表し、前記一般式(I)におけるXが−(C=O)−の場合、上記一般式(II)におけるYは−NH−または−N(CH)−を表す。
  3. 前記一般式(I)中、Rが炭素数1〜30の1価の炭化水素基である、請求項1または2に記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  4. 電子顕微鏡により観察される、末端変性ポリアミド樹脂からなる成形品断面において、前記末端変性ポリアミド樹脂の主鎖および末端変性されていないポリアミド樹脂が海部を、一般式(I)で表される末端構造が島部を形成し、前記島部の平均径が10nm以上、50nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  5. 末端変性ポリアミド樹脂中に、アミノ末端基が10〜80[mol/t]含有されている、請求項1〜4のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  6. 重量平均分子量Mwが、18,000〜30,000である、請求項1〜5のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の末端変性ポリアミド樹脂を含む成形品。
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