JPWO2018096879A1 - 光学物品の製造方法、及び光学物品 - Google Patents

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優壮 藤木
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Abstract

曲面を有する立体基体の少なくとも曲面の一部を含む表面上に液晶化合物の硬化層を備えた、硬化層における光学特性が一様である光学物品の製造方法及び光学物品を提供する。液晶化合物、及び、粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤を含み、溶剤が全溶剤中の20質量%以上を占める液晶組成物を、曲面を有する立体基体の少なくとも曲面の一部を含む表面上に直接または他の層を介して塗布し、この液晶化合物を硬化する。塗布は、液晶組成物を、スプレーノズルを表面に対して法線方向に一定の距離を保ちながらスプレー塗布するスプレー塗布工程、液晶組成物をスピン塗布するスピン塗布工程、または、液晶組成物をディップ塗布するディップ塗布工程とする。

Description

本発明は、光学物品の製造方法、及び光学物品に関する。
従来、平面上に設けられた液晶化合物が硬化してなる硬化層からなる光学層が知られており、例えば、特許文献1に記載のλ/4あるいはλ/2の位相差を持つ位相差板、特許文献2の装飾用のコレステリック液晶フィルムが挙げられる。
一方、曲面上に設けられた液晶化合物が硬化してなる硬化層からなる光学層としては、例えば特許文献3、4に記載のレンズ等の眼科用基材の上に液晶化合物をコーティングした光学エレメントが挙げられる。
また、特許文献5には、平面のみならず曲面を含む基体の表面に膜厚がナノメートルレベルの高分子超薄膜の製造方法及び装置が提案されている。
国際公開2013/137464号公報 特開平6−186534号公報 特表2007−519013号公報 特開2012−32527号公報 特開2012−236125号公報
近年、引用文献1、2のように、平面に対して液晶化合物からなる光学層を形成する場合には、十分均一な厚みの膜を形成することができる技術が開発されている。他方、特許文献3、4に記載のような基材の曲面に対しては、液晶化合物からなる光学層を均一に形成するのは非常に困難であり、十分な知見がない。
高分子超薄膜の製造方法及び装置に関する特許文献5の実施例においては、立体の表面に形成したナノシートの断面の膜厚が90.02±23.68nmであった旨記載されている。すなわち、このナノシートの膜厚の変動率は膜厚の50%程度である。
液晶化合物からなる光学層を、例えば、位相差板として用いる場合には、膜厚が変化すると均一な位相差を与えることができず、一様な位相差板としての機能を発揮できない。また波長選択性反射特性を示すコレステリック液晶は、膜厚が変化すると、反射波長が変化してしまう。すなわち、液晶化合物の硬化層からなる光学層において、液晶化合物による均一な光学特性を得るためには、膜厚の均一性が非常に重要である。
液晶化合物からなる光学層は、概ね6000nm(=6μm)以下の厚みである。曲面に対して厚み6000nm以下の光学層を均一に形成する技術はこれまで知られていない。
本発明の目的は、曲面を有する立体基体の少なくとも曲面の一部を含む表面上に液晶化合物の硬化層を備えた、硬化層における光学特性が一様である光学物品の製造方法及び光学物品を提供することにある。
本発明の光学物品の製造方法は、液晶化合物、及び粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤を含み、溶剤が全溶剤中の20質量%以上を占める液晶組成物を、曲面を有する立体基体の少なくとも曲面の一部を含む表面上に直接または他の層を介して塗布する塗布工程と、
液晶組成物が塗布された立体基体を加熱する加熱工程と、
液晶化合物を光硬化して硬化層を形成する光硬化工程とを含み、
塗布工程が、液晶組成物を、スプレーノズルを表面に対して法線方向に一定の距離を保ちながらスプレー塗布するスプレー塗布工程、液晶組成物をスピン塗布するスピン塗布工程、もしくは液晶組成物をディップ塗布するディップ塗布工程である。
本発明の光学物品の製造方法においては、塗布工程が、スプレー塗布工程であり、立体基体を回転させながらスプレー塗布を行なうことが好ましい。
本発明の光学物品は、曲面を有する立体基体の少なくとも曲面の一部を含む表面上に、直接または他の層を介して、液晶化合物を硬化してなる硬化層を備え、
硬化層において、任意の20か所で測定した膜厚の変動値がその20か所で測定した膜厚の平均膜厚に対して10%以内である。
本発明の光学物品は、硬化層が、面内位相差Re(550)が90〜320nmであることが好ましい。
さらに、この場合、硬化層の平均膜厚が、500〜6000nmであることが好ましい。
本発明の光学物品は、硬化層が、波長選択反射性を有するコレステリック液晶層であってもよい。
さらにこの場合、硬化層が、その断面において走査型電子顕微鏡にて観測される明部と暗部との縞模様を有し、縞模様が波打構造を有しており、波打構造のピーク間距離の平均値が0.5〜50μmであることが好ましい。
本発明によれば、曲面を有する立体物であって、入射光の偏光状態を均一に変化させた光を出射する光学物品、あるいは光学的な作用により高度な意匠性を有する高品位な光学物品が得られる。
一般的なコレステリック液晶層の断面SEM画像である。 一般的なコレステリック液晶層の断面を示す模式図である。 波打構造を有するコレステリック液晶層の断面を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、角度について「直交」および「平行」とは、厳密な角度±10度の範囲を意味するものとし、並びに角度について「同一」および「異なる」は、その差が5度未満であるか否かを基準に判断できる。
また、本明細書では、「可視光」とは、380〜780nmのことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
本明細書において「遅相軸方向」とは、面内において屈折率が最大となる方向を意味する。なお、位相差フィルムの遅相軸という場合は、位相差フィルム全体の遅相軸を意図する。
「光学物品」
本発明の光学物品は、曲面を有する立体基体の少なくとも曲面の一部を含む表面上に、直接または他の層を介して、液晶化合物を硬化してなる硬化層を備える。この硬化層は、液晶化合物、及び、粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤を含む液晶組成物が塗布され、その液晶組成物中の液晶化合物が硬化されてなる光学層である。なお、液晶組成物中における、粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤は全溶剤中の20質量%以上である。そして、この硬化層は、任意の20か所で測定した膜厚の変動値がその20か所で測定した膜厚の平均膜厚に対して10%以内である。
膜厚が均一であるため、硬化層は全域に亘って均一な光学機能を奏する。
以下では、まず、光学物品に含まれる各部材について詳述する。
1、立体基体
本明細書において立体基体とは、曲面を有する立体物であり、二つの主面からなるフィルム状物、シート状物の屈曲、湾曲から得られる立体物を除くものである。
立体基体が有する曲面は、例えば、その任意の断面の曲線の曲率半径が1mm以上であるものを指す。
立体基体はその材質に特に制限はなく、ガラス、金属、セラミックス、プラスチック等が挙げられ、プラスチックとしては、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン、ポリスチレン等が挙げられる。
立体基体は、透明、不透明、無色、有色のいずれでもよいが、透明であることが好ましく、さらに無色透明であることが好ましい。
2、硬化層
硬化層は、液晶化合物を硬化した層であり、更に他の化合物を含んでいても良い。
(1)液晶化合物
硬化層は、液晶化合物が所定の配向状態のまま架橋(重合)により固定化された層である。硬化層となった後は液晶性を示す必要はない。
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(ディスコティック液晶化合物、円盤状液晶化合物)に分類できる。さらに、それぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、本発明の効果がより優れる点で、ディスコティック液晶化合物が好ましい。なお、2種以上の棒状液晶化合物、2種以上のディスコティック液晶化合物、または、棒状液晶化合物とディスコティック液晶化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1や特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好ましく用いることができ、円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]や特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
硬化層は、光学特性の温度変化や湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)を用いて形成することがより好ましい。液晶化合物は2種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。
つまり、硬化層は、重合性基を有する棒状液晶化合物または重合性基を有する円盤状液晶化合物が重合によって固定されて形成された層であることが好ましい。
棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物に含まれる重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などが好ましく挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基およびアクリロイル基の両者を包含する概念である。
(2)膜厚
硬化層の平均膜厚は500〜6000nmが好ましく、500〜5000nmがより好ましい。
なお、硬化層の平均膜厚は、硬化層の任意の20点の膜厚を測定し、それらを算術平均したものである。
本明細書において、膜厚の変動値は、下記式から算出した値とする。
[膜厚の変動値(%)]=([任意の20点の厚みの最大値]−[任意の20点の厚みの最小値])×0.5÷[平均膜厚]
本発明の光学物品において、膜厚の変動値は、10%以内であり、5%以内が好ましい。
本発明において、硬化層の面内位相差Re(550)は、90〜320nmであることが好ましい。ここで、面内位相差Re(550)とは波長λ=550nmにおける面内位相差である。面内位相差Re(λ)は、例えば、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)により測定することができる。
(3)液晶化合物を含む液晶組成物
硬化層は、上記液晶化合物と、粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤を含む液晶組成物を塗布し、溶剤を揮発させるとともに液晶化合物を硬化させることにより形成される。
<溶剤>
粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤は、液晶組成物中における全溶剤の20質量%以上である。
液晶組成物に含まれる全溶剤の20質量%以上を占める、少なくとも一種の溶剤が、酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度は0.01以上5.0以下であることが好ましく、0.10以上3.5以下であることがより好ましい。この範囲とすることにより、塗布液が基体上でレベリングした後に乾燥固化し、均一な膜厚が達成できる。さらに、液が垂れて膜厚に差が生じることを防ぐことができる。
上記、酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤が全溶剤に占める割合は、20〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましい。
上記の好ましい溶剤を使用することによって硬化層の膜厚の均一性を高めることができる。
なお、本明細書において、溶剤の相対蒸発速度は、以下の方法により測定された値を採用するものとする。具体的には、窒素ガスを供給可能にしたフード付き化学天秤2台を用い、両者の天秤皿に濾紙No.5C(9cmφ)を入れた10cmφのシャーレをのせる。一方に酢酸ブチル、他方に試料をそれぞれ0.7mLずつとり、23℃、相対湿度50%、大気圧下において、窒素ガスを30NL/mLの流速で各シャーレへ同時に供給して、酢酸ブチルおよび試料のそれぞれの重量を30秒経過ごとに同時に測定し、60秒、90秒、120秒において、酢酸ブチルの減少重量に対する試料の減少重量の相対比をそれぞれ求める。試料の溶剤の相対蒸発速度は、前述の減少重量の相対比の平均値として算出される。
また、公知の有機溶剤の蒸発速度は「最新コーティング技術」(1983年(株)総合技術センター発行)17〜19ページの表5等にも記載されており、このような公知の値を適宜採用してもよい。
また、本明細書において、溶剤の粘度は、B型粘度計を用いて、25℃の組成物(溶剤)について測定した値とする。
粘度が4.0mPa・s以下、かつ、酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。
粘度は3.5mPa・s以下が好ましく、2.0mPa・s以下がさらに好ましい。また、相対蒸発速度は4.0以下が好ましく、2.0以下がさらに好ましい。
溶剤の粘度および相対蒸発速度が上記範囲である溶剤を含む組成物を用いることにより、後述のスプレー塗布、スピン塗布もしくはディップ塗布と組み合わせた際に、曲面に対しても膜厚の変動が非常に小さい液晶化合物の硬化層を形成することができる。
<その他の添加剤>
液晶化合物を含む液晶組成物(以下において、単に「組成物」ともいう。)には、さらに他の成分が含まれていてもよい。
例えば、組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて選択され、例えば、熱重合開始剤および光重合開始剤が挙げられる。例えば、光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、および、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。
重合開始剤の使用量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
また、液晶化合物を含む組成物には、塗工膜の均一性および膜の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられ、好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーである。なお、重合性モノマーとしては、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報中の段落[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。
重合性モノマーの使用量は、液晶化合物の全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
また、液晶化合物を含む組成物には、塗工膜の均一性および膜の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば、特開2001−330725号公報中の段落[0028]〜[0056]に記載の化合物、および、特願2003−295212号公報中の段落[0069]〜[0126]に記載の化合物が挙げられる。
また、液晶化合物を含む組成物には、偏光子界面側垂直配向剤および空気界面側垂直配向剤など垂直配向促進剤、並びに、偏光子界面側水平配向剤および空気界面側水平配向剤など水平配向促進剤などの、各種配向剤が含まれていてもよい。
さらに、液晶化合物を含む組成物には、上記成分以外に、密着改良剤、可塑剤、または、ポリマーなどが含まれていてもよい。
3、その他の層
本発明の光学物品は、立体基体表面に、硬化層を直接備えていてもよいが、他の層を介して硬化層を備えていてもよい。立体基体と硬化層との間に、配向膜、あるいは液晶組成物の塗布膜形成のための下塗り層などを備えていてもよい。さらに、光学等方性層を立体基体と硬化層の間、あるいは硬化層の表面側に備えていてもよい。
他の層としては、例えば、配向膜が挙げられる。配向膜を備えることにより、液晶の配向状態の制御が容易になる。配向膜の詳細については後述する。
「光学物品の製造方法」
本発明の光学物品の製造方法は、液晶組成物を曲面を有する立体基体の少なくとも曲面の一部を含む表面上に直接または他の層を介して塗布する塗布工程と、加熱工程と、光硬化工程とを備えている。
塗布工程においては、液晶化合物、及び粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤を含み、その溶剤が全溶剤中の20質量%以上を占める液晶組成物を塗布する。
塗布工程が、液晶組成物を、スプレーノズルを立体基体の表面に対して法線方向に一定の距離を保ちながらスプレー塗布するスプレー塗布工程、液晶組成物をスピン塗布するスピン塗布工程、もしくは液晶組成物をディップ塗布するディップ塗布工程であることが好ましい。但し、上記に挙げたスプレー塗布、スピン塗布もしくはディップ塗布に限らず、インクジェット法など他の塗布法を適用することも可能である。
加熱工程では、溶剤を気化させ、光硬化工程では、塗布膜に対して光(たとえばUV光)を照射することにより、液晶化合物を硬化させる。
以上の製造方法により、硬化層における任意の20か所で測定した膜厚の変動値がその20か所で測定した膜厚の平均膜厚に対して10%以内である硬化層を備えた光学物品を製造することができる。
以下、光学物品の製造方法についての詳細を説明する。
(1)立体基体の表面処理
体基体の表面は、配向膜、下塗り層、あるいは硬化層を形成する前に、表面処理が施されてもよい。表面処理の方法としては、真空下又は大気圧下、コロナ又はプラズマで立体基体の表面を処理する方法、立体基体表面をレーザー処理する方法、立体基体表面をオゾン処理する方法、立体基体表面をケン化処理する方法又は立体基体表面を火炎処理する方法、立体基体表面にカップリング剤を塗布するプライマー処理する方法、反応性モノマーや反応性を有するポリマーを立体基体表面に付着させた後、放射線、プラズマ又は紫外線を照射して反応させるグラフト重合させて処理する方法等が挙げられる。中でも、真空下や大気圧下で、立体基体表面をコロナ又はプラズマ処理する方法が好ましい。
コロナ又はプラズマで立体基体の表面処理を行う方法としては、大気圧近傍の圧力下で、対向した電極間に立体基体を設置し、コロナ又はプラズマを発生させて、立体基体の表面処理を行う方法、対向した電極間にガスを流し、電極間でガスをプラズマ化し、プラズマ化したガスを立体基体に吹付ける方法、低圧条件下で、グロー放電プラズマを発生させて、立体基体の表面処理を行う方法等が挙げられる。
中でも、大気圧近傍の圧力下で、対向した電極間に立体基体を設置し、コロナ又はプラズマを発生させて立体基体の表面処理を行う方法、又は対向した電極間にガスを流し、電極間でガスをプラズマ化し、プラズマ化したガスを立体基体に吹付ける方法が好ましい。かかるコロナ又はプラズマによる表面処理は、通常、市販の表面処理装置により行うことができる。
また、配向膜が形成されていない立体基体の表面には、ハードコート処理、帯電防止処理等がなされてもよい。また立体基体は、性能に影響しない範囲で、紫外線吸収剤などの添加剤を含んでいてもよい。
(2)液晶化合物を含む組成物の塗布工程
塗布工程では、液晶化合物を含む組成物を、基体の表面に直接、もしくは他の層を介して塗布する。液晶化合物を含む組成物の塗布方法としては、スプレー塗布、スピン塗布もしくはディップ塗布を用いることが好ましい。塗布方法はこれらに限られず、インクジェット法を用いてもよい。
<スプレー塗布>
スプレー塗布は、スプレーノズルから塗布液を微小液滴状に噴射、塗布する方法である。例えば、ノズルの種類は1流体ノズルおよび2流体ノズルのいずれも適用することが可能であり、ノズル形状は吐出量、噴霧パターン(扇形状、柱状、シャワー状)により色々なものがあるが、いずれも適用可能である。一般的に、塗布液濃度、塗出量、基体―ノズル間距離により、塗布膜の膜厚制御を行うことができる。液の濃度が同じであれば、塗出量が多く、基体―ノズル間距離が短くなれば、より厚い膜が得られる。
なお、立体基体を回転ステージ上に載置し、あるいは、立体基体をスピンチャックにて真空吸着させて、立体基体を回転させながらスプレー塗布を行なうことが好ましい。なお、立体基体を回転させながら、スプレー塗布を行う手法を、スプレー塗布スピン塗布併用と称する場合がある。
<スピン塗布>
スピン塗布は、基体をスピンチャックにて真空吸着した状態で回転させ、その回転中心の真上から基体表面に塗布液を滴下、供給し、遠心力によって基体中心からその周囲全域に塗布液を広げる、ことによって行われる。この種の塗布装置では、塗布液の濃度、スピンチャック(基体)の回転数により塗布膜の膜厚制御を行うことができる。溶液の濃度が同じであれば、回転数を下げれば、より厚い膜が得られる。
<ディップ塗布>
ディップ塗布は、基体を塗布槽内の溶液に浸漬し、これを塗布槽から上部に引き上げる方式と溶液を塗布槽から抜く方式(ドレイン方式)が用いられている。この種の塗布装置では、溶液の濃度、浸漬時間、引き上げ速度(もしくは、溶液面の降下速度)で、ディップ塗布は、浸漬時間や引き上げ速度、パラメーターになる。一般に、溶液濃度、浸漬時間、引き上げ速度(もしくは、溶液面の降下速度)の値が高いほど膜厚は厚くなる。
(3)加熱工程
組成物が塗布された立体基体を所定温度に加熱する工程である。加熱工程では、組成物の塗布膜からの溶剤の揮発を促進させると共に、液晶化合物を所望の配向状態に配向させる。
(4)光硬化工程
組成物の塗布膜に紫外線等の光を照射して、液晶化合物を硬化させる工程である。光硬化工程では、メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)等の紫外線照射光源を用い、組成物の塗布膜に紫外線を照射して、その配向状態を固定化しながら硬化させる。
「第1の態様の光学物品」
本発明の第1の態様の光学物品は、光線の偏光状態を変化させる光学的作用を有する光学物品であり、硬化層が位相差板機能を有する。このような光学物品は、光学装置、電気光学装置あるいはセキュリティ物品に利用することができる。
硬化層を、位相差板として機能させるには、面内位相差Re(550)が90〜320nmであることが好ましい。
以下に、硬化層がλ/2板である場合、λ/4板である場合について説明する。
<λ/2板>
λ/2板は、特定の波長λnmにおける面内位相差Re(λ)がRe(λ)=λ/2を満たす光学異方性層のことをいう。この式は、可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよい。なかでも、波長550nmにおける面内位相差Re(550)が、以下の関係を満たすことが好ましい。
210nm≦Re(550)≦300nm
なかでも、220nm≦Re(550)≦290nmを満たすことがより好ましい。
<λ/4板>
λ/4板(λ/4機能を有する板)とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に、または、円偏光を直線偏光に変換する機能を有する板である。より具体的には、所定の波長λnmにおける面内位相差がRe(λ)=λ/4(または、この奇数倍)を示す板である。この式は、可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよいが、波長550nmにおける面内位相差Re(550)が、以下の関係を満たすことが好ましい。
100nm≦Re(550)≦160nm
なかでも、110nm≦Re(550)≦150nmを満たすことがより好ましい。
円偏光は、半導体シリコンウェハの欠陥検査、植物の成長促進、大気中のエアロゾル検出に用いられており、光学物品の硬化層が前述のλ/4板の機能を有する場合は、曲面構造を活かして広範囲に円偏光を照射、検出できるようになるため、欠陥検査範囲の拡大、植物生産面積拡大、エアロゾル検出範囲の拡大等に貢献することができる。
<配向膜>
本発明の光学物品には、液晶化合物の配向方向を規定する機能を有する配向膜が含まれていてもよい。
本発明における配向膜とは、(重合性)液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。
配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。利用されるポリマー材料は、分子内にアミド結合を有するポリアミド、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル類等が挙げられる。2種以上の配向性ポリマーを組み合わせて用いてもよい。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶剤に溶解した配向膜形成用組成物を立体基体に塗布し、溶剤を除去して塗布膜を形成する、又は、配向膜形成用組成物を立体基体に塗布し、溶剤を除去して塗布膜を形成し、この塗布膜をラビングする(ラビング法)ことで得られる。
前述の溶剤としては、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
配向膜形成用組成物として、市販の配向性材料をそのまま使用してもよい。市販の配向性材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向膜形成用組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1%以上20%以下が好ましく、0.1%以上10%以下がより好ましい。
配向膜の厚みは特に制限されないが、20μm以下の場合が多く、なかでも、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
配向膜形成用組成物に含まれる溶剤を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。加温乾燥させる場合の温度としては、通常60℃以上160℃以下であり、好ましくは80℃以上140℃以下である。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビングを行うことができる(ラビング法)。ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向膜形成用組成物を立体基体に塗布しアニールすることで立体基体表面に形成された配向性ポリマーの膜を、接触させる方法が挙げられる。
<<光配向膜>>
本発明において、立体基体への偏光照射により液晶化合物の配向方向を規定する機能を発現する光配向膜が好ましく、立体基体上の曲面にラビングする必要がないという点で製造上の効率性が高い。光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む配向膜形成用組成物を立体基体に塗布し、光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でより好ましい。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいい、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の、液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基は、不飽和結合を有する基が好ましく、二重結合を有する基がより好ましい。中でも炭素−炭素二重結合(C=C結合)、炭素−窒素二重結合(C=N結合)、窒素−窒素二重結合(N=N結合)および炭素−酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基が好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、カルコン基、シンナモイル基などが挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、アゾキシベンゼン構造を有する基などが挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基、マレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基またはカルコン基が好ましい。光反応性基を有するモノマーまたはポリマーとしては、モノマーまたはポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるシンナモイル基を有することが特に好ましい。
配向膜形成用組成物を立体基体上に塗布することにより、立体基体上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶剤としては、上述の配向性ポリマーを含む配向膜を形成する配向膜形成用組成物に含まれる溶剤と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、ポリマーまたはモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、少なくとも0.2質量%以上とすることが好ましく、0.3質量%以上10質量%以下がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコールやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
配向膜形成用組成物を立体基体に塗布する方法としては、配向性ポリマーを含む配向膜を形成する配向膜形成用組成物を立体基体に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された配向膜形成用組成物から、溶剤を除去する方法としては、配向性ポリマーを含む配向膜を形成する配向膜形成用組成物から溶剤を除去する方法と同じ方法が挙げられる。
偏光を照射するには、基体上に塗布された配向膜形成用組成物から、溶剤を除去したものに直接、偏光を照射する形式でもよいし、立体基体側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、平行光であることが好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250nm以上400nm以下のUV(紫外線)が好ましい。このUVの照射量としては、通常1mJ/cm以上500mJ/cm以下であり、好ましくは10mJ/cm以上200mJ/cm以下であり、より好ましくは10mJ/cm以上100mJ/cm以下である。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レーザーなどが挙げられる。波長313nmの紫外線の発光強度が大きいという点で、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、またはメタルハライドランプが好ましい。前述の光源からの光を、適当な偏光フィルムを通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光フィルムとしては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラーなどの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光フィルムを使用することができる。
なお、ラビング又は偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
(光)配向膜の厚さは、通常10nm以上10000nm以下であり、好ましくは10nm以上1000nm以下であり、より好ましくは10nm以上700nm以下である。
「第2の態様の光学物品」
本発明の好ましい一態様である光学物品は、曲面を有する立体基体の少なくとも一部の表面上に、直接または他の層を介して、波長選択反射性を有するコレステリック液晶層を硬化層として有する加飾性の光学物品である。
加飾性の光学物品は、物品の面内に本発明の要件を充足する部分と充足しない部分が混在した、パターン形状を有するものであってもよい。例えば、任意の文字情報や画像情報などのパターニングに一致するように、本発明の要件を充足する硬化層からなる加飾部(光輝性を示す)を形成し、意匠性を出すことも好ましい。
部分的に加飾形成する方法としては、例えば、マスクしてコレステリック液晶層を塗布すること(マスク部は液晶層未塗布)、一様に塗布したコレステリック液晶層を温度などで部分的に等方層にすること、コレステリック液晶層をインクジェットによって描画すること、等が挙げられるが、これらに限定されない。
加飾性の光学物品は、物品の面内に選択反射のピーク波長がそれぞれ異なる複数の反射領域を有していてもよく、また、選択反射のピーク波長がそれぞれ異なるコレステリック液晶層が複数積層されている領域を有していてもよい。例えば、異なる反射波長をもつ複数の加飾性の光学物品を転写積層すること、物品面内でキラル剤の量が異なるコレステリック液晶層をインクジェットによって複数回描画すること、等が挙げられるが、これらに限定されない。
加飾性の光学物品は、立体基体の表面に、各種パターン状に硬化層が設けられたものであってもよい。硬化層が各種パターン形状を有する場合、様々な形状とすることができ、種々の図形、文字等特に限定はない。それぞれの領域の形状は特に限定はなく、ストライプ状、ドット状、モザイク状等各種形状を用いることができる。
それぞれの反射領域(硬化層の形成領域)の大きさは特に限定はない。反射領域それぞれの反射光が一体となって観察できるような微細な構造を有していてもよい。
それぞれの反射領域同士は、相互に接していても、相互に離間していてもよい。
加飾性の光学物品は、さらに、光透過領域、光反射層、光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層等のいずれか、または、それぞれを組み合わせて有していてもよい。
<下塗り層>
本発明の好ましい一態様である加飾性の光学物品には下塗り層を介して波長選択反射性を有するコレステリック液晶層を硬化層として形成することが好ましく、下塗り層としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの、多官能(メタ)アクリルモノマーを硬化した樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、(メタ)アクリルポリマー樹脂、ポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂を含んでいる下塗り層が挙げられる。また、下塗り層を複数積層させてもよい。
<コレステリック液晶層:硬化層>
コレステリック液晶層が波長選択反射性を示す光は特に限定されず、例えば、赤外光、可視光、紫外光などいずれであってもよい。
コレステリック液晶層は、液晶化合物をコレステリック配向状態で固定したものが好ましい。コレステリック配向状態は、右円偏光を反射する配向状態でも、左円偏光を反射する配向状態でも、その両方を含んでいてもよい。液晶化合物は特に限定はなく、各種公知のものを使用することができる。
図1は、一般的なコレステリック液晶層の断面を示す電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)画像である。本発明に用いられるコレステリック液晶層1は、図1に示すように、断面を、SEMを用いて観察した際、明部Bと暗部Dとの縞模様を有することが好ましい。
なお、図1のSEM画像は、あくまで、コレステリック液晶層の一例の断面を参考として示すものであり、本発明の膜厚が均一になった硬化液晶層の実施形態を示すものではない。
図2は、一般的なコレステリック液晶層の断面を示す模式図である。
図2に示すように、一般的なコレステリック液晶層20の断面では、通常、明部Bと暗部Dとの縞模様が観察される。すなわち、コレステリック液晶層20の断面では、明部Bと暗部Dとを交互に積層した層状構造が観察される。
一般的に、明部B(明部Bが成す連続線)および暗部D(明部Dが成す連続線)の縞模様(層状構造)は、図2に示すように、支持体24の表面すなわちコレステリック液晶層20の形成面と平行となるように形成される。このような態様の場合、コレステリック液晶層20は、鏡面反射性を示す。すなわち、コレステリック液晶層20の法線方向から光が入射される場合、法線方向に光は反射されるが、斜め方向には光は反射されにくい(図2中の矢印参照)。
これに対して、図3に断面を模式的に示すコレステリック液晶層26のように、明部Bおよび暗部Dが波打構造(凹凸構造あるいは波状構造ともいう。)を有する場合には、コレステリック液晶相を形成する液晶化合物の螺旋軸が傾いている領域があるため、コレステリック液晶層26の法線方向から光が入射されると、入射光の一部が斜め方向に反射される(図3の矢印参照)。
つまり、明部Bと暗部Dとが波打ち構造を有することにより、コレステリック液晶層26は、適度な拡散反射性を有する。
領域Mとは、縞模様の明部または暗部の連続線においてコレステリック液晶層の平面に対する傾斜角度の絶対値が5°以上90°以下であって、最も近い位置にある、2点の傾斜角度0°の山または谷に挟まれている領域を意味する。図3において、破線で領域Mを例示する。図3で示すように、破線で囲む領域Mは谷vと山tに挟まれた領域である。山tと、谷vは、接線が支持体24のコレステリック液晶層形成面に対して平行(傾き0°)となる箇所である。
波打構造は、領域Mを少なくとも一つ有する。
傾斜角度0°の山または谷とは、凸状、凹状を含むが、傾斜角度0°であれば階段状、棚状の点も含む。波打構造は、縞模様の明部または暗部の連続線において傾斜角度の絶対値が5°以上である領域Mとそれを挟む山または谷が複数繰り返すことが好ましい。
また、波打構造のピーク間距離とは、領域Mを挟み、最も近い位置にある、山と山もしくは谷と谷の距離である。このピーク間距離は、コレステリック液晶層の平面方向の距離を計測し、コレステリック液晶層の断面長軸方向の長さ100μm、全膜厚において算術平均した値である。
波打構造のピーク間距離の平均値が0.5μm〜50μmであることが好ましい。1.5μm〜10μmであることがより好ましく、2.5μm〜5.0μmであることが更に好ましい。
明部と暗部との縞模様が波打構造を有し、かつ、波打構造のピーク間距離の平均値を上記範囲とすることにより、加飾部の光輝性をより高めることができる。
ここで、各連続線が膜の両界面いずれかに接触し、途切れている場合は、その途切れた箇所の両端は山または谷とはみなさない。また、各連続線が図1のSEM画像において破線で囲む領域30に存在しているような折れ曲がり構造については、連続線は途切れているものとみなし、その両端は山または谷とみなさない。
<コレステリック液晶層の作製方法>
本発明の好ましい一態様である加飾性の光学物品に好ましく用いられるコレステリック液晶層は、例えば、立体基体上にポリビニルアルコール等の親水性樹脂からなる下塗り層を形成し、その上に液晶化合物を含む組成物を塗布し、コレステリック配向状態で固定することによって得ることが出来る。立体基体にコロナ処理等を施し、立体基体表面を親水化すれば下塗り層は必ずしも必要ではない。
立体基体及び下塗り層には、配向規制力を付与しないか、弱い配向規制力を付与することが好ましい。例えば、ラビング処理を実施しない、もしくは弱いラビング処理を行なう程度とすることが好ましい。適切な配向規制力を付与することで、上述した好ましい波打構造を得ることができる。
また、立体基体の表面又は下塗り層は、平滑であることが好ましいが、上述した波打構造を得るために、立体基体又は下塗り層が予め凹凸構造を有するものであってもよく、その凹凸構造は規則性があってもよく、不規則性(ランダム)であってもよい。
液晶化合物を含む組成物は、上述の通り、粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤を全溶剤中の20質量%以上含む組成物である。この組成物を下塗り層上に塗布、乾燥した後に温度を調整してコレステリック配向状態とするが、その際の降温速度は、毎秒0.4℃〜60℃が好ましく、毎秒2℃〜12℃が特に好ましい。上記条件とすることにより、光輝性を高めることができる。
〔界面活性剤〕
コレステリック液晶層を硬化層として形成するには、上記の組成物中に界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤を用いることで、効果的に上述した波打構造のコレステリック液晶層とすることが出来る。
また、上述した好ましい波打構造を得るために、コレステリック液晶層の空気界面近傍にある液晶性化合物をコレステリック液晶層表面と平行に配向させる性質の界面活性剤を用いることがより好ましい。界面活性剤は、フッ素系、シリコーン系のいずれの界面活性剤でもよいが、フッ素系の界面活性剤が好ましい。
また、界面活性剤は、コレステリック液晶層の空気界面近傍にある液晶性化合物をコレステリック液晶層表面と平行に配向させるために、分子中にメソゲン部を有するものが好ましく、界面活性剤分子の片方の末端、好ましくは両方の末端に界面活性機能がある基を有することが好ましい。
本発明の好ましい一態様である加飾性の光学物品に好ましく用いられるコレステリック液晶層は、空気界面側の表面に界面活性剤を多く含むことが好ましい。界面活性の表面偏在性は、例えばコレステリック液晶層の両表面についてフッ素原子の存在率を測定することによって確認することができる。
〔キラル剤〕
本発明の好ましい一態様である加飾性の光学物品に好ましく用いられるコレステリック液晶層はキラル剤を含んでいてもよい。キラル剤としては各種公知のものを使用することができる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
「入射光の偏光状態を変化させた光を出射する光学物品の実施例」
〔実施例1〕
<配向膜の形成>
配向層用の塗布液としてサンエバーSE−130(日産化学社製)をN−メチルピロリドンに溶解して溶液を作製した。立体基体1(ガラス非球面レンズ、エドモンドオプティクス社製)をスピンコーターのステージに固定し、それを回転させながら、スプレー法による塗布装置を用いて、作製した溶液を前述の基体1の表面に塗布、成膜した。乾燥膜厚が約0.5μmになるように、塗布液濃度、スプレー吐出量、スプレーノズルと基体1間の距離、塗布時間を調整した。得られた塗布膜を100℃で5分間加熱し、さらに250℃で1時間加熱した。
その後、配向処理として光配向を実施した。偏光フィルタとして波長254nmのものを用い、紫外線を偏光した光(直線偏光)を、基体1の曲面に対して法線方向から照射した(照射量:約1J/cm)。
<液晶化合物を硬化してなる硬化層の形成>
下記の塗布液(組成物1)を調製した。前述の配向膜を塗設した基体1をスピンコーターのステージに固定し、それを回転させながら、スプレー法による塗布装置を用いて、作製した組成物1の液を配向膜表面に塗布、成膜した。後記の表4における「スプレー塗布スピン塗布併用」とは、基体1を回転させながら、スプレー塗布を行うことを意味する。乾燥膜厚が1000nmになるように、塗布液濃度、スプレー吐出量、スプレーノズルと基体1間の距離、塗布時間を調整した。次いで、膜面温度80℃で40秒間加熱熟成し、空気下にて20mW/cmの空冷した。メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して、その配向状態を固定化しながら硬化した。形成された硬化層は、偏光方向に対し遅相軸方向が平行に、つまり棒状液晶が水平配向していた。
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塗布液(組成物1)の組成
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下記棒状液晶性化合物1(L1) 70質量部
下記棒状液晶性化合物2(L2) 30質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、BASF社製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
下記フッ素化合物FP−1 1.0質量部
下記フッ素化合物FP−2 0.5質量部
メチルエチルケトン(溶剤) 200質量部
シクロヘキサノン(溶剤) 200質量部
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<溶剤の相対蒸発速度>
溶剤の相対蒸発速度は、以下の方法により測定した。窒素ガスを供給可能にしたフード付き化学天秤2台を用い、両者の天秤皿に濾紙No.5C(9cmφ)を入れた10cmφのシャーレをのせた。一方に酢酸ブチル、他方に試料をそれぞれ0.7mLずつとり、23℃、相対湿度50%、大気圧下において、窒素ガスを30NL/mLの流速で各シャーレへ同時に供給して、酢酸ブチルおよび試料のそれぞれの重量を30秒経過ごとに同時に測定し、60秒、90秒、120秒において、酢酸ブチルの減少重量に対する試料の減少重量の相対比をそれぞれ求めた。試料の溶剤の相対蒸発速度は、前述の減少重量の相対比の平均値として算出した。
なお、前述の液晶組成物に含まれる全溶剤の20質量%以上を占める複数種の溶剤を用いた場合は、相対蒸発速度の値が小さい溶剤の蒸発速度を代表値として採用した。
得られた塗布液(組成物1)から形成された硬化層は、下記のように評価した。
<膜厚:評価1>
形成された硬化層の膜厚は、マルチチャンネル分光器MCPD(大塚電子社製)を用いて測定した。硬化層の任意の20点の厚みを測定し、それらを算術平均したものを平均膜厚とした。
<膜厚の変動値:評価2>
膜厚の変動値は、下記式から算出した。
[膜厚の変動値(%)]=([任意の20点の厚みの最大値]−[任意の20点の厚みの最小値])×0.5÷[平均膜厚]
<面内位相差:評価3>
硬化層の任意の20点について面内位相差Re(550)を、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)を用いて測定し、その算術平均を算出して、Re値とした。
得られた硬化層(光学異方性層)は、偏光方向に対し遅相軸方向が平行に、つまり棒状液晶が水平配向しており、波長550nmのRe値は125nmであった。
<欠陥評価法:評価4>
作製した光学物品をクロスニコルに配置した2枚の偏光板の間に置き、シャーカステン上において、曲面に対し法線方向から見た膜厚ムラ、一部領域(2cm×2cm)における点欠陥の数を目視にて評価した。
評点5: 膜厚ムラが視認されず、点欠陥も全く見られない。
評点4: 膜厚ムラは視認されず、見られた点欠陥も一か所であった。
評点3: 膜厚ムラが視認されず、見られた点欠陥は1〜3か所であった。
評点2: 膜厚ムラが視認されず、見られた点欠陥が4か所以上であった。
評点1: 膜厚ムラが見られ、見られた点欠陥が4か所以上であった。
<光学物品の評価>
実施例1にて作製した光学物品に関して、当該物品の曲面に対して法線方向から直線偏光を入射し、光学物品の光学軸を回転させたときの透過光を解析した。
入射した直線偏光は、その偏光方向に対して当該物品の光学軸がなす角度が0°及び90°以外である場合、硬化層によって楕円偏光に変換され、特に当該角度が45°である場合は円偏光に変換されることを確認した。さらに、同一曲面における任意の20箇所についても同様の評価を行ったところ、いずれの箇所においても入射した直線偏光が、円偏光に変換されることを確認した。また、本実施例1の光学物品は、直線偏光を出射する光源と組み合わせて放射線状に円偏光を出射する光源とすることもできることを確認した。すなわち、本実施例1の光学物品における硬化層はλ/4板として機能するものであった。
後述の実施例及び比較例において用いた基体1〜5を表1に示す。
実施例1、後述の実施例2〜18及び比較例1〜3の光学物品の作製に用いた組成物1〜9の組成を表1に示す。
上記組成物1〜9に含まれる溶剤の蒸発速度及び粘度を表3に示す。
実施例1〜18及び比較例1〜3の光学物品の構成、製造方法及び評価結果を表4にまとめて示す。
〔実施例2〜6、10〜18、及び比較例1〜3〕
立体基体、組成物、塗布方法、膜厚を、表1〜表4に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、各実施例及び比較例の光学物品を作製した。
〔実施例7〜9〕
組成物2を用いて、表4に記載の平均膜厚になるように成膜した以外は、実施例1と同様にして、各実施例の光学物品を作製した。
<組成物2の形成>
下記の組成物2を作製した。実施例1と同様にして作製した配向膜表面上に組成物2の液を塗布し、硬化層を形成した。
次いで、膜面温度128℃で40秒間加熱熟成した後、90℃まで冷却し空気下にて20mW/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射量300mJ/cmとなるよう照射して、その配向状態を固定化しながら組成物2の硬化層を形成した。
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塗布液(組成物2)の組成
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下記ディスコティック液晶3(L3) 80質量部
下記ディスコティック液晶4(L4) 20質量部
下記配向膜界面配向剤1(A1) 0.55質量部
下記配向膜界面配向剤2(A2) 0.05質量部
フッ素化合物FP−1 0.21質量部
下記変性トリメチロールプロパントリアクリレート 5質量部
(略称:TMPEOTA)
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、BASF社製)
下記層間配向剤(A3) 1.2質量部
メチルエチルケトン 100質量部
シクロヘキサノン 100質量部
─────────────
表4に示す通り、本発明の光学物品の製造方法の実施例1〜18については、膜厚の変動値が10%以下であり、欠陥評価の結果も3以上であった。また、実施例2〜18についても硬化層が設けられている領域において均一な光学特性が得られた。
「立体的な光学作用により高度な意匠性を有する光学物品の実施例」
〔実施例19〕
<下塗り層の形成>
下記の組成の下塗り層塗布液1を調製した。基体1をスピンコーターのステージにセットし、それを回転させながら、スプレー法による塗布装置を用いて、作製した溶液を前述の基体1の表面に塗布、成膜した。乾燥膜厚が約2.0μmになるように、塗布液濃度、スプレー吐出量、スプレーノズルと基体1間の距離、塗布時間を調整した。得られた塗布膜を95℃で60秒乾燥し、25℃にて紫外線照射装置により、500mJ/cmの紫外線を照射して、固定化した。
(下塗り層塗布液1)
KAYARAD PET30(日本化薬(株)製) 100質量部
IRGACURE 907 (BASF社製) 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 120質量部
<硬化層の形成>
硬化層としてコレステリック液晶層を形成した。
下記組成のコレステリック液晶層用塗布液(組成物10)を調製した。
前述の下塗り層を塗設した基体1をスピンコーターのステージに固定し、それを回転させながら、スプレー法による塗布装置を用いて、調製した塗布液を下塗り層表面に塗布、成膜した。塗布液の乾燥膜厚が2000nmになるように、塗布液濃度、スプレー吐出量、スプレーノズルと基体1間の距離及び塗布時間を調整した。その後、95℃で60秒乾燥した後、25℃に至るまで、−7℃/sで降温した。続いて、25℃にて紫外線照射装置により、500mJ/cmの紫外線を照射して硬化層を形成し、実施例19の光学物品を作製した。
(コレステリック液晶層用塗布液:組成物10)
下記の棒状液晶性化合物の混合物(L5) 100.0質量部
IRGACURE 907 (BASF社製) 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 1.0質量部
下記構造のキラル剤A1 5.78質量部
下記構造の界面活性剤 F1 0.08質量部
メチルエチルケトン(溶剤) 145.0質量部
棒状液晶性化合物の混合物(L5)

数値は質量%である。また、Rは酸素原子で結合する基である。
キラル剤A1
界面活性剤F1
コレステリック液晶層(硬化層)の平均膜厚、膜厚の変動値は、既述の評価1、2と同様の手法にて測定した。
<波打構造のピーク間距離の測定:評価5>
縞模様の明部または暗部の連続線においてコレステリック液晶層の平面に対する傾斜角度の絶対値が5°以上である領域Mを挟み、最も近い位置にある、2点の傾斜角度0°の山又は谷についてコレステリック液晶層の平面方向の距離を計測し、コレステリック液晶層の断面長軸方向の長さ100μm、全膜厚において算術平均して波打構造のピーク間距離を測定した。
<目視:評価6>
光学物品を目視して表示色の状態を評価した。
<光学物品の評価>
実施例19で作製した光学物品は、あらゆる方向からみても照明光が正反射する方向にだけ選択的に、緑色が表示された。表示色は曲面にそって均一であった。さらに、それ以外の周囲部分では、青色が表示された。
正反射する方向に表示される色は、いずれもコレステリック液晶の選択反射に由来するものである。また、正反射する以外の場所で見られた色は、コレステリック液晶層を横から見ることになり、反射光が短波シフトしたためと推定される。光学物品を手に取って見る角度を変えたりすると、見え方の変化を楽しむことができた。
実施例19、後述の実施例20〜23及び比較例4の光学物品の作製に用いた組成物10、11の組成を表5に示す。
実施例19〜23及び比較例4の光学物品の構成、製造方法及び評価結果を表6にまとめて示す。
[実施例20〜23、及び比較例4]
立体基体、組成物、塗布方法、膜厚を、表5及び表6に記載のように変更した以外は、実施例19と同様にして、各実施例及び比較例の光学物品を作製した。
比較例4で作製した光学物品は、照明光が正反射する方向に見られる表示色の色みにムラが見られた。塗布ムラが生じ、膜厚が均一にできていないことに起因して、反射強度に差異が生じてしまったためと考えられる。
20、26 コレステリック液晶層
24 支持体
30 領域

Claims (7)

  1. 液晶化合物、及び粘度が4.0mPa・s以下かつ酢酸ブチルの蒸発速度を1.0とした場合の相対蒸発速度が5.0以下である溶剤を含み、該溶剤が全溶剤中の20質量%以上を占める液晶組成物を、曲面を有する立体基体の少なくとも該曲面の一部を含む表面上に直接または他の層を介して塗布する塗布工程と、
    前記液晶組成物が塗布された前記立体基体を加熱する加熱工程と、
    前記液晶化合物を光硬化して硬化層を形成する光硬化工程と、
    をこの順に含み、
    前記塗布工程が、前記液晶組成物を、スプレーノズルを前記表面に対して法線方向に一定の距離を保ちながらスプレー塗布するスプレー塗布工程、前記液晶組成物をスピン塗布するスピン塗布工程、または、前記液晶組成物をディップ塗布するディップ塗布工程である光学物品の製造方法。
  2. 前記塗布工程が、前記スプレー塗布工程であり、
    前記立体基体を回転させながら前記スプレー塗布を行なう請求項1に記載の光学物品の製造方法。
  3. 曲面を有する立体基体の少なくとも曲面の一部を含む表面上に、直接または他の層を介して、液晶化合物を硬化してなる硬化層を備え、
    該硬化層において、任意の20か所で測定した膜厚の変動値が該20か所で測定した膜厚の平均膜厚に対して10%以内である光学物品。
  4. 前記硬化層が、面内位相差Re(550)が90〜320nmである請求項3に記載の光学物品。
  5. 前記硬化層の平均膜厚が、500〜6000nmである請求項4に記載の光学物品。
  6. 前記硬化層が、波長選択反射性を有するコレステリック液晶層である請求項3に記載の光学物品。
  7. 前記硬化層は、断面において走査型電子顕微鏡にて観測される明部と暗部との縞模様を有し、縞模様が波打構造を有しており、波打構造のピーク間距離の平均値が0.5〜50μmである請求項6に記載の光学物品。
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