JPWO2018092176A1 - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ピストンスラップ音の抑制とフリクションの低減を好適に実現可能な内燃機関を提供する。【解決手段】 シリンダボア3を画定する機関本体2と、シリンダボア3内に収容されたピストン4と、機関本体2に回転可能に支持され、ピストン4にコネクティングロッド6を介して接続されたクランク軸8とを備える内燃機関であって、ピストンはスカートを有し、シリンダボアは第1ピストン位置よりも上死点側のシリンダ軸線方向Xの範囲として規定される第1領域A1と、第1ピストン位置より下死点の近くに設定された第2ピストン位置より下死点側のシリンダ軸線方向の範囲として規定される第2領域A2と、第1領域と第2領域との間に位置する接続領域A3とを有し、シリンダボアの径が、第1領域に於いて第2領域よりも小さく、接続領域が第1領域と第2領域とを平滑に接続する。【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関に関し、特に、レシプロ内燃機関に関する。
レシプロ内燃機関において、ピストンとシリンダボアの壁面との間のフリクションを低減することによって燃費を向上させるためには、ピストンとシリンダボアの壁面との間隔を大きくする(即ち、ピストンクリアランスを大きくする)ことが好ましい。しかし、ピストンとシリンダボアの壁面との間隔を大きくすると、ピストンの首振り動作によってピストンのスカートがシリンダボアの壁面に衝突することによるピストンスラップ音が大きくなる。そのため、フリクションの低減とピストンスラップ音の抑制とを両立させることは難しい。
それらを両立させるため、特許文献1には、ピストンのスカートの形状を改善することが提案されている。特許文献1のピストンでは、スカートが樽型をなしており、ピストンの高さ方向においてスカートの張出し量が最大値に到達する高さ位置が、ピンボス中心高さ位置よりもスカート下端部に近くなるように設定されている。しかしながら、ピストンのスカートの形状を調整することによって、フリクションの低減とピストンスラップ音の抑制の両立を図ることには限界がある。
特許文献2には、シリンダボアの摺動面を形成するシリンダライナとして、ピストンが上死点にあるときのトップリングに対応する部分の内径を他の部分の内径よりも小さく形成し、同部分より下方側の内径を漸次拡大してなるピストンライナを用いることが提案されている。この構成によれば、何らかの方法でトップリング溝に油を充満させておくことで、ピストンがそのシリンダボアの内部において上死点へ向けて移動し、上死点より少し下部でピストンリングがシリンダボアの摺動面に当接してリング溝内に押込まれると、リング溝内に蓄えられた油がシリンダボアの摺動面(シリンダライナ摺動面)とピストンとの間に押し出され、シリンダライナとピストンとの間に供給される。しかしながら、供給された油によって、ピストンとシリンダボアの摺動面とが直接接触するのが抑えられるため、ピストンの上死点におけるトップリングに対応する部分のシリンダボアの摺動面の摩耗が抑えられる。しかし、ピストンスカートとシリンダボアの壁面との衝突によるピストンスラップ音を抑制するものではない。
特開2002−221084号公報 特開昭60−60240号公報
本発明は、以上の背景を鑑み、ピストンスラップ音の抑制とフリクションの低減を好適に実現可能な内燃機関を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一側面によると、シリンダボア(3、53)を画定する機関本体(2)と、前記シリンダボア内にシリンダ軸線方向(X)に往復移動可能に収容されたピストン(4)と、前記機関本体に回転可能に支持され、前記ピストンにコネクティングロッド(6)を介して接続されたクランク軸(8)とを備える内燃機関(1)であって、前記ピストンは1対のスカート(22)を有し、前記シリンダボアは、前記ピストンが上死点から下死点に向かって所定距離に設定された第1ピストン位置(P1)よりも前記上死点側にあるときに前記スカートの最大径部が位置する前記シリンダ軸線方向の範囲として規定される第1領域(A1)と、前記ピストンが前記第1ピストン位置より前記下死点に近い第2ピストン位置(P2)より前記下死点側にあるときに前記スカートの前記最大径部が位置する前記シリンダ軸線方向の範囲として規定される第2領域(A2)と、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する接続領域(A3)とを有し、前記クランク軸の軸線方向と直交する方向の前記シリンダボアの径が、前記第1領域に於いて前記第2領域よりも小さく、前記接続領域が前記第1領域と前記第2領域とを平滑に接続する内燃機関が提供される。
本願発明者は、ピストンのスカートがシリンダボアの壁面に衝突しピストンスラップ音が発生するのは、主としてピストンが上死点に比較的近い所定範囲内に位置するときであり、ピストンがこの範囲より下死点側に位置するときはシリンダボアの径が大きくてもピストンスラップ音はほとんど発生しないことを見出した。上記構成によれば、ピストンが上記所定範囲内に位置するときにスカートの最大径部が位置するシリンダ軸線方向の範囲の少なくとも一部を含むようにシリンダボアの第1領域を設定する(例えば、第1ピストン位置を上記所定範囲の下縁より下死点側に設定する)ことにより、当該範囲の少なくとも一部でシリンダボアの径を比較的小さくし(即ち、シリンダボアの壁面とスカートとの間隔を比較的狭くし)、ピストンスラップ音を抑制することができる。また、上記構成によれば、シリンダボアの第2領域は、ピストンが上記所定範囲よりも下死点側にあるときにスカートの最大径部が位置するシリンダ軸線方向の範囲の少なくとも一部を含むので、当該範囲の少なくとも一部におけるシリンダボアの径を比較的大きくし(即ち、シリンダボアの壁面とスカートとの間隔を比較的広くし)、ピストンとシリンダボアの壁面との間のフリクションを、ピストンスラップ音の増大を招くことなく低減することができる。よって、上記構成によれば、ピストンスラップ音の抑制とフリクションの低減を好適に実現可能な内燃機関が提供される。
上記の構成において、前記一対のスカートは、好ましくは、ピストンの径方向に膨出する樽形をなし、前記スカートの最大径部は、スカートが径方向に最も突出した部分である。
また、上記の構成において、前記第1ピストン位置が、前記上死点を基準として前記クランク軸の角度が30度であるときの前記ピストンの位置よりも前記下死点側に設定されているとよい。
大きなピストンスラップ音が発生し易いのは、上死点を基準としてクランク軸の回転角度が30度となる位置よりやや上死点側にピストンがあるときである。上記構成によれば、大きなピストンスラップ音が発生し易い上記クランク軸回転角度に対応した位置にピストンがあるときのスカートとシリンダボアの壁面との間隔が狭くなるため、ピストンスラップ音を効果的に抑制することができる。
また、上記の構成において、前記第1ピストン位置が、前記上死点を基準として前記クランク軸の角度が55度であるときの前記ピストンの位置よりも前記下死点側に設定されているとよい。
比較的大きなピストンスラップ音が、上死点を基準としてクランク軸の回転角度が55度近くに至るまで発生することがある。上記構成によれば、比較的大きなピストンスラップ音が発生することがある上記クランク軸回転角度に対応した位置にピストンがあるときのスカートとシリンダボアの壁面との間隔が狭くなるため、ピストンスラップ音をより効果的に抑制することができる。
また、前記第1ピストン位置が、前記上死点を基準として前記クランク軸の角度が120度であるときの前記ピストンの位置よりも前記上死点側に設定されているとよい。
小さなピストンスラップ音は、上死点を基準としてクランク軸の回転角度が120度近くに至るまで発生し得るが、それより下死点側ではほとんど発生しない。従って、第1ピストン位置を、上死点を基準として120度のクランク軸の回転角度に対応するピストンの位置よりも下死点側に設定しても、ピストンスラップ音の低減効果は小さく、逆に、第1領域よりも下死点側に位置しシリンダボアの直径が比較的大きい第2領域が縮小され、シリンダボアの壁面とピストンとの間のフリクションの低減効果が損なわれる。上記構成によれば、小さなピストンスラップ音を抑制しつつ、シリンダボアの第2領域をシリンダ軸線方向に十分な長さを有するように確保し、シリンダボアの壁面とピストンとの間のフリクションを低減することができる。
また、前記第2ピストン位置が、前記上死点を基準として前記クランク軸の角度が120度であるときの前記ピストンの位置よりも前記上死点側に設定されているとよい。
この構成によれば、シリンダボアの径が比較的大きい第2領域をシリンダ軸線方向に十分な長さを有するように確保し、シリンダボアの壁面とピストンとの間のフリクションを低減することができる。
また、前記第1領域内の前記シリンダボアの前記シリンダ軸線方向に直交する断面形状が前記シリンダ軸線方向に概ね同一であり、前記第2領域内の前記シリンダボアの前記シリンダ軸線方向に直交する断面形状が前記シリンダ軸線方向に概ね同一であるとよい。
この構成によれば、シリンダボアの構造が簡素となるので、シリンダボアを容易に形成することができる。
また、前記第1領域、前記接続領域及び前記第2領域の全てにおいて、前記シリンダボアの前記シリンダ軸線方向に直交する方向の断面形状が円形であるとよい。
この構成によれば、シリンダボアを容易に形成することができる。また、ホーニング加工を用いてシリンダボアの仕上げ加工を容易に行うことができる。
また、前記ピストンは合口隙間を有するピストンリングを備え、前記第1領域における前記シリンダボアの前記シリンダ軸線に直交する断面形状は、長軸が前記クランク軸の軸線方向と直交する方向に延在し、短軸が前記クランク軸の軸線方向に沿って延在する楕円であり、前記第2領域における前記シリンダボアの前記シリンダ軸線に直交する断面形状は、長軸が前記クランク軸の軸線方向に延在し、短軸が前記クランク軸の軸線方向と直交する方向に延在する楕円であり、前記第1領域、前記第2領域及び前記接続領域の全てにおいて、前記シリンダボア(53)の周長が略一定であるとよい。
ピストンに設けられたピストンリングにはリング自身の張力により拡径する方向に力が働き、それによりピストンリングはその外周において常にシリンダボアの壁面と当接している。そのため、ピストンが上死点と下死点との間を移動するとき、ピストンリングはシリンダ軸線に直交するシリンダボアの断面形状に合わせて変形する。上記構成によれば、ピストンが上死点と下死点との間を移動するとき、シリンダ軸線方向に直交するシリンダボアの断面形状の周長が変わらないため、ピストンが上死点と下死点との間を移動するときのピストンリングの周方向端部の間の隙間である合口隙間の幅が一定に保たれる。そのため、シリンダボアのシリンダ軸線に直交する方向の断面形状が第1領域と第2領域とで変っていても、合口隙間を通って燃焼室外へ流れることで発生するブローバイガスの量が増大することがない。
以上の構成によれば、ピストンスラップ音の抑制とフリクションの低減を好適に実現可能な内燃機関を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る内燃機関のクランク軸に直交する面における縦断面図 ピストンが(A)上死点、(B)第1ピストン位置、(C)第2ピストン位置、及び(D)下死点にあるときの第1実施形態に係る内燃機関の縦断面図 ピストンが図1に示したのとは異なる位置にある、第1実施形態に係る内燃機関の図1と同様の縦断面図 第1実施形態に係る内燃機関のシリンダブロックの(A)図1のIVA−IVA断面図、及び(B)図1のIVB−IVB断面図 (A)機関A及びBのそれぞれに対し、運転時におけるフリクションによる単位時間当たりのエネルギー損失のクランク角度に対する変化を示すグラフ、(B)機関Aの運転時におけるピストンスラップにより生じるシリンダブロック(シリンダスリーブ)の加速度のクランク角度に対する変化を示すグラフ、及び(C)機関Bの運転時におけるピストンスラップにより生じるシリンダブロック(シリンダスリーブ)の加速度のクランク角度に対する変化を示すグラフ 第2実施形態に係る内燃機関の(A)クランク軸に直交する面における部分縦断面図、及び(B)クランク軸に平行な面における部分縦断面図 第2実施形態に係る内燃機関のシリンダブロックの(A)図6(A)のIXA−IXA断面図、及び(B)図6(A)のIXB−IXB断面図 比較例となる内燃機関の運転時におけるシリンダボア形状を、本発明のシリンダボア形状と対比して示す部分縦断面図 比較例の内燃機関に対する第1実施形態の内燃機関、及び第2実施形態の内燃機関におけるピストンスラップによるシリンダブロック(シリンダスリーブ)の加速度の最大値の相対比を示すグラフ 比較例の内燃機関に対する第1実施形態の内燃機関、及び第2実施形態の内燃機関におけるフリクションによるエネルギー損失の相対比を示すグラフ
以下に本発明に係る内燃機関の2つの実施形態を、図1〜図10を参照して説明する。
<<第1実施形態>>
第1実施形態に係る内燃機関1は4ストロークレシプロエンジンである。図1に示されるように、内燃機関1では機関本体2となるシリンダブロック2にシリンダボア3が設けられ、このシリンダボア3の内部にピストン4が摺動可能に収容されている。ピストン4には、ピストンピン5を介してコネクティングロッド6の上端が連結され、コネクティングロッド6の下端はクランクピン7を介してクランク軸8に連結されている。尚、本実施形態では、シリンダスリーブ(シリンダライナ)が設けられていないが、シリンダブロック2のスリーブ受容孔に圧入される円筒状のシリンダスリーブの内周面によってシリンダボア3が画定されるものとしてもよい。即ち、シリンダボア3を画定する機関本体はシリンダスリーブを含み得る。
シリンダブロック2の上側には、吸気バルブ11及び排気バルブ12によりそれぞれ開閉される吸気ポート13及び排気ポート14が設けられたシリンダヘッド15が結合され、このシリンダヘッド15の下面とピストン4の上面とシリンダボア3の壁面とで燃焼室16が画成される。
ピストン4は、円柱状のピストンヘッド21と、このピストンヘッド21から垂下するように設けられた一対のスカート22と、スカート22の周方向端部を互いに連結するように設けられた一対のサイドウォール23とを有している。この一対のサイドウォール23の各々には、ピストンピン5を支持するためのピンボス部24が設けられている。ピストンヘッド21の外周には、ピストンリング25〜27がそれぞれ取り付けられている。より詳細には、ピストンリング25〜27は、ピストンヘッド21の外周に設けられた対応する溝に受容されている。尚、上側2つのピストンリング25・26はそれぞれ合口隙間28を有するコンプレッションリングであり、一番下のピストンリング27はオイルリングである。
図1に示されるように、ピストン4のスカート22は、ピストン4の径方向であり、且つ、クランク軸8の軸線方向と直交する方向に膨出する樽形をなしている。図1、図2、及び図3では、ピストン4のスカート22の形状が明瞭となるように、スカート22のクランク軸8の軸線方向と直交する方向への膨出が強調して描かれている。一対のスカート22が樽形をなしていることから、スカート22の径方向への突出量は、シリンダ軸線X方向(図1の上下方向)に変化している(上端及び下端では突出量が小さく、上下方向の中央部において突出量が大きい)。以下では、スカート22の径方向へ最も突出した部分を最大径部と言う。
ピストンスラップ音の抑制とフリクションの低減との両立とを図るため、内燃機関1の運転時のシリンダボア3は特徴ある形状を備える。以下、実施形態1のシリンダボア3の形状について説明する。
図4(A)及び(B)は、それぞれシリンダブロック2の図1のIVA−IVA断面図、及び図1のIVB−IVB断面図であり、各断面図にはピストン4の位置を示すために、ピストン4を下から見た概略図が想像線で記載されている。図4に示されるように、第1実施形態のシリンダボア3は、シリンダ軸線Xに直交する断面形状がシリンダ軸線X方向の位置によらず円形となるように形成されている。
また、図1〜図3に示されるように、シリンダボア3の上側部分は比較的小さい径を有し、下側部分は比較的大きい径を有する。より具体的には、シリンダボア3は、ピストン4が上死点(図2(A)のP0)から下死点(図2(D)のP3)に向かって所定距離に設定された第1ピストン位置(図1及び図2(B)のP1)よりも上死点側にあるときにスカート22の最大径部が位置するシリンダ軸線X方向の範囲として規定される第1領域A1と、ピストン4が第1ピストン位置P1より下死点P3の近くに設定された第2ピストン位置(図2(C)及び図3のP2)より下死点側にあるときにスカート22の最大径部が位置するシリンダ軸線X方向の範囲として規定される第2領域A2と、第1領域A1と第2領域A2との間に位置する接続領域A3とを有し、シリンダボア3は、第1領域において第2領域よりも小さい径を有している。第1領域A1内において、シリンダボア3の径はシリンダ軸線X方向に概ね一定であり、また、第2領域A2内において、シリンダボア3の径はシリンダ軸線X方向に概ね一定である。接続領域A3においては、シリンダボア3の径は、上死点から下死点に向かう方向に、すなわち、燃焼室16から離れるほど漸増し、接続領域A3は第1領域A1と第2領域A2とを平滑に接続している。これら第1領域A1、第2領域A2、及び接続領域A3は全てシリンダ軸線Xを共通の軸線として形成されている。
ここで、上死点P0、第1ピストン位置P1、第2ピストン位置P2、及び下死点P3は、ピストン4のピストンヘッド21の燃焼室16の側の面(上面)がシリンダ軸線Xに概ね直交するように配置された状態で(即ち、ピストンが傾いていない状態で)定められるものとする。
また、シリンダボア3は、内燃機関1の運転時において上記の形状を有する。内燃機関1の運転時では、シリンダボア3を画定するシリンダブロック2(またはシリンダスリーブ)の温度は、燃焼室16の近傍ほど高く、燃焼室16から遠ざかるにつれて低下し、また、シリンダブロック2にはシリンダヘッド15が締結されることから、内燃機関1が運転状態でないとき(常温時)と比べて、通常、シリンダボア3の形状は変化している。
上記のようなシリンダボア3において、第1領域A1を規定する第1ピストン位置P1は、ピストン4が第1ピストン位置P1にあるときのクランク軸8の角度をθとしたとき、θが30度〜120度の範囲にあるように設定されているとよく、より好ましくは、θが55度〜113度の範囲にあるように設定されているとよい。ここでクランク角度はピストン4が上死点にあるときを基準として表される。即ち、ピストン4が上死点にあるときのクランク角度を0度とし、内燃機関1の運転時によりクランク軸が回転するにつれてクランク角度は増加し、ピストン4が下死点にあるときクランク角度は180度となり、クランク軸が一回転すると360度となる。本明細書では、ピストン4のシリンダ軸線X方向の位置を規定するときにはクランク角度として0度以上180度以下の角度を用いる。そのため、この範囲において、クランク角度とシリンダ軸線X方向のピストン4の位置とは1対1に対応する。
図1には、第1ピストン位置P1にあるピストン4が実線によって記載され、クランク角度が30度であるときのピストン4が二点鎖線によって記載されている。図1に示されるように、第1ピストン位置P1はクランク角度が30度であるときのピストン4の位置(図1のQ1)よりも下死点側に設定されている(即ち、30度<θ)。よって、クランク角度が30度であるときピストン4のスカート22の最大径部は、シリンダ軸線X方向においてシリンダボア3の第1領域A1内に位置することとなる。
図3には、第2ピストン位置P2にあるピストン4が実線によって記載され、クランク角度が120度であるときのピストン4が二点鎖線によって記載されている。ここで、ピストン4が第2ピストン位置P2にあるときのクランク角度をφとする。図3に示されるように、第2ピストン位置P2はクランク角度が120度であるときのピストン4の位置(図3のQ2)よりも上死点側に設定されている(即ち、φ<120度)。よって、クランク角度が120度であるときピストン4のスカート22の最大径部は、シリンダ軸線X方向においてシリンダボア3の第2領域A2内に位置することとなる。角度φは好ましくは62度〜120度に設定されているとよい。尚、第1ピストン位置P1は第2ピストン位置P2よりも上死点の側に位置しているため、角度θは角度φよりも小さい。
また、第2領域A2におけるシリンダボア3の径と第1領域A1におけるシリンダボア3の径との差は10μm以上50μm以下となるように設定されていることが好ましい。
尚、本実施形態では、上記のようにシリンダボア3の径がシリンダ軸線X方向に一定ではないが、コンプレッションリングからなるピストンリング25、26は、リング自身の張力により拡径することで、ピストン4のシリンダボア3内におけるシリンダ軸線X方向の位置によらず、ピストンリング25、26のシリンダ軸の外周面がシリンダボア3の壁面に常に当接する。言い換えると、ピストン4が上死点と下死点との間を移動するとき、ピストンリング25、26はシリンダ軸線Xに直交するシリンダボア3の断面形状(径)に合わせて変形する。
次に、上記のような構成を有するシリンダボア3の形成方法について説明する。内燃機関1の運転時にシリンダボア3が所定の形状となるように熱膨張、及び締結時の変形量を考慮して、NCボーリングマシンを用いてシリンダブロック2を加工する。ボーリング加工の後、仕上げ加工として、シリンダボア3の壁面形状に砥石を追従させる機構を備えたヘッドを用いてホーニング加工を行う。これらの行程によって内燃機関1の運転時に第1領域A1、接続領域A3、及び第2領域A2を有するシリンダボア3が形成される。
本実施形態に係るシリンダボア3の加工は、シリンダブロック2にシリンダヘッド15またはダミーのシリンダヘッドを締結した後に行ってもよい。シリンダヘッド15またはダミーのシリンダヘッドをシリンダブロック2に締結した後にシリンダボア3の加工を行うことによって、シリンダヘッド15とシリンダブロック2とが締結された状態においてシリンダボア3が上記の形状を有することが保証される。
次に、上記のように構成された内燃機関1の効果について説明する。図5(A)は、大径のシリンダボアを用いた従来の(即ち、シリンダボアの径が軸線方向に一定の)内燃機関Aと小径のシリンダボアを用いた従来の内燃機関Bのそれぞれに対し、運転時におけるフリクションによる単位時間当たりのエネルギー損失のクランク角度に対する変化を示すグラフであり、図5(B)は、機関Aの運転時におけるピストンスラップにより生じるシリンダブロック(シリンダスリーブ)の加速度のクランク角度に対する変化を示すグラフであり、図5(C)は、機関Bの運転時におけるピストンスラップにより生じるシリンダブロック(シリンダスリーブ)の加速度のクランク角度に対する変化を示すグラフである。機関Aと機関Bの構造はピストンの形状も含めてシリンダボアの径以外は同じである。
図5(A)〜(C)では、圧縮行程終了時(即ち、膨張行程開始時)の上死点(以下、圧縮TDCと呼ぶことがある)の位置を0度として−180度から540度のクランク角度の範囲に渡って、ピストン4の傾斜角度、フリクションによる単位時間当たりのエネルギー損失、及びピストンスラップによるシリンダブロック加速度を示している。クランク角度の−180度から0度までが圧縮行程、0度から180度までが膨張行程、180度から360度までが排気行程、及び360度から540度までが吸気行程に対応する。尚、排気行程終了時(即ち、吸気行程開始時)の上死点(図5において、360度のクランク角度に対応)を排気TDCと呼ぶことがある。また、上記したように、クランク軸角度は、シリンダボア内におけるピストン4のシリンダ軸線X方向位置に対応している。
図5(A)には、機関Aのフリクションによる単位時間当たりのエネルギー損失が実線で、機関Bのフリクションによる単位時間当たりのエネルギー損失が破線で示されている。図5(A)からわかるように、フリクションによる単位時間当たりのエネルギー損失は全てのクランク角度の範囲において概して機関Aの方が機関Bよりも小さい。図5(B)及び(C)には、それぞれ機関A及びBの運転時におけるピストンスラップにより生じるシリンダブロック(シリンダスリーブ)の加速度のクランク軸角度に対する変化が示されている。ここで、ピストン4の上死点と下死点との間の移動による影響を排除するため、シリンダブロックの加速度は、ハイパスフィルタにより低周波成分が除去されている。
図5(B)及び(CD)に示されるように、シリンダボアの径が小さい機関Bでは、シリンダボアの径が大きい機関Aに比べて、大きくピストンスラップ音(シリンダブロック加速度)が低減されている。また、図5(BC)に示されるように、シリンダボアの径が大きい機関Aにおいて、大きなピストンスラップ音はクランク角度の特定の範囲、即ち、ピストンが上死点に比較的近い所定範囲内に位置しているときに集中して発生している。より具体的には、圧縮TDCの後のクランク角度が0度より大きく30度より小さい範囲、排気TDC手前のクランク角度が305度より大きく340度より小さい範囲、及び、排気TDCに対応する360度のクランク角度の近傍において、ピストンスラップによる比較的大きなシリンダブロックの加速度が発生している。即ち、ピストンスラップ音が発生し易いこれら特定のクランク角度範囲外では、シリンダボアの径が比較的大きい機関Aでも、スラップ音はほとんど発生していない。
従って、これら特定のクランク角度範囲にクランク角度があるときピストン4のスカート22が位置するシリンダ軸線X方向の範囲においてはシリンダボアの径を機関Bのシリンダボアの径とし、それ以外のクランク角度においてピストン4のスカート22の最大径部が位置するシリンダ軸線X方向の範囲においてはシリンダボアの径を機関Aのシリンダボアの径とすれば、ピストンスラップ音を抑制しつつ、フリクションを低減することができると考えられる。
本実施形態の内燃機関1では、第1領域A1におけるシリンダボア3の径が、機関Bのシリンダボアの径に対応し、第2領域A2におけるシリンダボア3の径が、機関Aのシリンダボアの径に対応している。詳述すると、本実施形態の内燃機関1では、第1領域A1を規定する第1ピストン位置P1に対応するクランク角度θが、ピストンスラップ音が発生し易いクランク角度範囲より下死点側に位置しており、それにより、シリンダボア3の径が比較的小さい第1領域A1に、ピストンスラップ音が発生し易いクランク角度範囲にクランク角度があるときピストン4のスカート22の最大径部が位置するシリンダ軸線X方向の範囲が含まれている。その結果、当該シリンダ軸線X方向の範囲においてシリンダボア3の径が比較的小さくなり(即ち、シリンダボア3の壁面とスカート22との間隔が比較的狭くなり)、ピストンスラップ音が抑制される。また、シリンダボア3の第2領域A2を規定する第2ピストン位置P2に対応するクランク角度φは、第1ピストン位置P1に対応するクランク角度θよりも下死点側に、クランク角度θに近接して設定されている。それにより、シリンダボア3の径が比較的大きい第2領域A2に、ピストンスラップ音が発生し易いクランク角度範囲外にクランク角度があるときピストン4のスカート22の最大径部が位置するシリンダ軸線X方向の範囲の大部分が含まれている。その結果、当該シリンダ軸線X方向の範囲の大部分においてシリンダボア3の径が比較的大きくなり(即ち、シリンダボア3の壁面とスカート22との間隔が比較的広くなり)、ピストン4とシリンダボア3の壁面との間のフリクションが、ピストンスラップ音の増大を招くことなく低減される。よって、本実施形態の内燃機関1によれば、ピストンスラップ音の抑制とフリクションの低減が好適に実現される。
尚、第1領域A1を規定する第1ピストン位置P1(または第1ピストン位置P1に対応するクランク角度θ)は、ピストンスラップ音が発生し易いクランク角度範囲にクランク角度があるときピストン4のスカート22の最大径部が位置するシリンダ軸線X方向の範囲の全体が第1領域A1に含まれるように設定される必要は必ずしもなく、当該シリンダ軸線X方向の範囲の少なくとも一部が第1領域A1に含まれるように設定されてもよい。ただし、第1ピストン位置P1は、圧縮TDCの後の膨張行程初期のピストンスラップ音及び排気TDC近傍のピストンスラップ音を抑制するべく、クランク角度30度に対応したシリンダ軸線X方向位置より下死点側であることが好ましく、また、排気TDCの手前のクランク角度が305度より大きく340度より小さい範囲において発生するピストンピストンスラップ音を抑制するべく、クランク角度55度に対応したシリンダ軸線X方向位置またはそれより下死点側であるとより好ましい。更に、より小さいピストンスラップ音の抑制を図る場合、第1ピストン位置P1をクランク角度120度に対応したシリンダ軸線X方向位置に設定してもよい。第1ピストン位置P1をそれより下死点側に設定すると、シリンダボア3の径の大きい第2領域A2が比較的縮小され、フリクション低減効果が損なわれる恐れがある。
また、十分なフリクションの低減の効果を得るためには、第2領域A2を規定する第2ピストン位置P2は、クランク角度120度に対応したシリンダ軸線X方向位置またはそれよりも上死点側であることが好ましい。
また、本実施形態では、第1領域A1内のシリンダボア3のシリンダ軸線X方向に直交する断面形状がシリンダ軸線X方向に概ね同一であり、第2領域A2内のシリンダボア3のシリンダ軸線X方向に直交する断面形状がシリンダ軸線X方向に概ね同一であるため、シリンダボア3の構造が簡素となるので、シリンダボア3を容易に形成することができる。
また、本実施形態では、第1領域A1、接続領域A3及び第2領域A2の全てにおいて、シリンダボア3のシリンダ軸線X方向に直交する方向の断面形状が円形であるので、シリンダボア3を容易に形成することができる。また、ホーニング加工を用いてシリンダボア3の仕上げ加工を容易に行うことができる。
<<第2実施形態>>
次に、本発明に係る内燃機関の第2実施形態について、図6、及び図7を参照して説明する。
上記した第1実施形態では、第1領域A1及び第2領域A2の両方で、シリンダ軸線X方向に直交する断面形状を円形とした。しかしながら、ピストンフラップ音、及び、フリクションの大きさはクランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア3の径に依存するので、クランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア3の径を第1領域A1においてピストンスラップ音が抑制されるように小さくし、第2領域A2においてフリクションが低減されるように大きくすれば、第1領域A1及び第2領域A2の各々におけるシリンダ軸線X方向に直交する断面形状を円形とする必要は必ずしもない。
図7(A)及び(B)は、それぞれシリンダブロック2の図6(A)のIXA−IXA断面図、及び図6(B)のIXB−IXB断面図であり、各断面図にはピストン4の位置を示すために、ピストン4を下から見た概略図が想像線で記載されている。図6(A)及び(B)に示されるように、第2実施形態に係る内燃機関51に備えられたシリンダボア53も、第1実施形態のシリンダボア3と同様に、燃焼室16に近い側から、第1領域A1、接続領域A3、及び第2領域A2をこの順に有しており、クランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア3の径は、第1領域A1において第2領域A2によりも小さく設定されている。また、第1領域A1及び第2領域A2の各々において、シリンダボア53のシリンダ軸線X方向に直交する断面形状は概ね一定である。
しかしながら、図7(A)及び(B)に示すように、第2実施形態のシリンダボア53は、第1領域A1及び第2領域A2の各々において、シリンダ軸線Xに直交する断面の形状が円形ではなく楕円形となっている。詳述すると、図7(A)に示されるように、第1領域A1においてシリンダボア53のシリンダ軸線Xに直交する断面の形状はクランク軸8の軸線方向に延びた(即ち、長軸がクランク軸8の軸線方向と直交する方向に延在し、短軸がクランク軸8の軸線方向に沿って延在する)楕円形をなしている。また、図7(B)に示されるように、第2領域A2においてシリンダボア53のシリンダ軸線Xに直交する断面の形状は、クランク軸8の軸線方向と直交する方向に延びた(即ち、長軸がクランク軸8の軸線方向に延在し、短軸がクランク軸8の軸線方向と直交する方向に延在する)楕円形をなしている。更に、本実施形態において、第1領域A1におけるシリンダボア53の楕円形の断面形状と、第2領域A2におけるシリンダボア53の楕円形の断面形状は、長軸及び短軸の延在方向が異なるものの、長軸及び短軸の長さは同じである。即ち、第2領域A2におけるシリンダボア53の楕円形の断面形状は、第1領域A1におけるシリンダボア53の楕円形の断面形状をシリンダ軸線Xに直交する平面において90度回転したものとなっている。従って、本実施形態では、第1領域A1及び第2領域A2におけるシリンダ軸線Xに直交する断面の周長は同じである。また、第1領域A1においてクランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア53の径はその楕円形の断面の短軸の長さであり、第2領域A2においてクランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア53の径はその楕円形の断面の長軸の長さであるため、第1領域A1におけるシリンダ軸線X方向にクランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア53の径よりも第2領域A2におけるシリンダ軸線X方向にクランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア53の径の方が大きい。
第1領域A1と第2領域A2を滑らかに接続する接続領域A3においても、シリンダボア53のシリンダ軸線Xに直交する断面の周長は、第1領域A1及び第2領域A2における楕円形断面の周長と概ね同じで、且つ、シリンダ軸線X方向に一定となっている。
上記したように、第2実施形態においても、クランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア53の径は、第1領域A1において比較的小さくなっており、それによりピストンスラップ音が効果的に抑制される。また、第2実施形態においても、クランク軸8の軸線方向と直交する方向のシリンダボア53の径は、第2領域A2において比較的大きく設定されており、それによりピストンスラップ音の増大を招くことなくフリクションが低減される。従って、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ピストンスラップ音の抑制とフリクションの低減が好適に実現される。
また、第1実施形態では、シリンダボア3の断面形状が第1領域A1及び第2領域A2において円形であるため、第2領域A2におけるシリンダボア3の断面の周長が第1領域A1におけるシリンダボア3の断面の周長よりも大きい。そのため、ピストン4の第1領域A1から第2領域A2への移動によって、ピストンリング25、26が拡径し、ピストンリング25・26の合口隙間28が開く。合口隙間28が開くことによって、合口隙間28を介して燃焼室16から抜け出ることで発生するブローバイガスが増加する虞がある。
一方、第2実施形態に係るシリンダボア53では、第1領域A1におけるシリンダボア53の断面の周長と第2領域A2におけるシリンダボア53の断面の周長とは等しい。そのため、ピストン4が第1領域A1から第2領域A2に移動してもピストンリング25・26の合口隙間28が開かず、第1実施形態に比べて第2実施形態においてはブローバイガスの発生が抑えられる。
<<実施例>>
本願発明の効果を確認するべく、実施形態1の機関1、実施形態2の機関51、及び比較例の機関Cを試作し、試験を行った。機関1において第1ピストン位置P1にピストンがあるときのクランク角度は機関51において第1ピストン位置P1にピストン4があるときのクランク角度と同じであり、機関1において第2ピストン位置P2にピストン4があるときのクランク角度は機関51において第2ピストン位置P2にピストン4があるときのクランク角度と同じになるように設定されている。機関1において第1ピストン位置P1にピストンがあるときのクランク角度は50度より大きく、機関1において第2ピストン位置P2にピストン4があるときのクランク角度は67度より大きくなるように設定されている。
更に、機関1に係るシリンダボア3の第1領域における径は機関51に係るシリンダボア53の第1領域におけるクランク軸に直交する方向の径と同じであり、且つ、機関1に係るシリンダボア3の第2領域における径は機関51に係るシリンダボア53の第2領域におけるクランク軸に直交する方向の径と同じであるように設定されている。また、機関Cのシリンダボアはシリンダ軸線X方向に直交する断面形状が円形であり、径がシリンダ軸線X方向に変化している。図7に機関Cのシリンダボアのシリンダ軸線Xを通る断面が実線で示され、機関1に係るシリンダボアのシリンダ軸線Xを通る断面が二点鎖線で示されている。機関1に係るシリンダボア3の第1領域A1に対応するシリンダ軸線X方向の範囲において、機関Cに係るシリンダボアの径は機関1のシリンダボア3の径よりも大きく、機関1に係るシリンダボア3の第2領域A2に対応するシリンダ軸線X方向の範囲において、機関Cに係るシリンダボアの径は機関1のシリンダボア3の径よりも大きい。
図9及び図10に示すように、機関1及び機関51のいずれにおいても、機関Cと比べて、ピストンスラップ音(ピストンスラップによるシリンダブロック加速度)及びフリクションによるエネルギー損失の両方とも低減された。即ち、機関1及び機関51のいずれにおいても、スラップ音の抑制とフリクションの低減が両立された。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。また、シリンダボア3、53の壁面には2段階の仕上げ加工(プラトーホーニング加工)を行うことによってプラトーを形成するプラトー面とそのプラトー面の間に設けられた溝とが形成される場合がある。その場合、シリンダボア3、53の径はプラトー面上の点を用いて評価される。
1 :内燃機関
2 :機関本体(シリンダブロック)
3 :第1実施形態に係るシリンダボア
4 :ピストン
6 :コネクティングロッド
8 :クランク軸
21 :ピストンヘッド
22 :スカート
25・26 :ピストンリング
28 :合口隙間
53 :第2実施形態に係るシリンダボア
A1 :第1領域
A2 :第2領域
A3 :接続領域
X :シリンダ軸線

Claims (7)

  1. シリンダボアを画定する機関本体と、
    前記シリンダボア内にシリンダ軸線方向に往復移動可能に収容されたピストンと、
    前記機関本体に回転可能に支持され、前記ピストンにコネクティングロッドを介して接続されたクランク軸とを備える内燃機関であって、
    前記ピストンは1対のスカートを有し、
    前記シリンダボアは、
    前記ピストンが上死点から下死点に向かって所定距離に設定された第1ピストン位置よりも前記上死点側にあるときに前記スカートの最大径部が位置する前記シリンダ軸線方向の範囲として規定される第1領域と、
    前記ピストンが前記第1ピストン位置より前記下死点の近くに設定された第2ピストン位置より前記下死点側にあるときに前記スカートの前記最大径部が位置する前記シリンダ軸線方向の範囲として規定される第2領域と、
    前記第1領域と前記第2領域との間に位置する接続領域とを有し、
    前記クランク軸の軸線方向と直交する方向の前記シリンダボアの径が、前記第1領域に於いて前記第2領域よりも小さく、前記接続領域が前記第1領域と前記第2領域とを平滑に接続することを特徴とする内燃機関。
  2. 前記第1ピストン位置が、前記上死点を基準として前記クランク軸の角度が30度であるときの前記ピストンの位置よりも前記下死点側に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記第1ピストン位置が、前記上死点を基準として前記クランク軸の角度が55度であるときの前記ピストンの位置よりも前記下死点側に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記第2ピストン位置が、前記上死点を基準として前記クランク軸の角度が120度であるときの前記ピストンの位置よりも前記上死点側に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つの項に記載の内燃機関。
  5. 前記第1領域内の前記シリンダボアの前記シリンダ軸線方向に直交する断面形状が前記シリンダ軸線方向に概ね同一であり、
    前記第2領域内の前記シリンダボアの前記シリンダ軸線方向に直交する断面形状が前記シリンダ軸線方向に概ね同一であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つの項に記載の内燃機関。
  6. 前記第1領域、前記接続領域及び前記第2領域の全てにおいて、前記シリンダボアの前記シリンダ軸線方向に直交する断面形状が円形であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載の内燃機関。
  7. 前記ピストンは合口隙間を有するピストンリングを備え、
    前記第1領域における前記シリンダボアの前記シリンダ軸線に直交する断面形状は、短軸が前記クランク軸の軸線方向と直交する方向に延在し、長軸が前記クランク軸の軸線方向に沿って延在する楕円であり、前記第2領域における前記シリンダボアの前記シリンダ軸線に直交する断面形状は、長軸が前記クランク軸の軸線方向に延在し、短軸が前記クランク軸の軸線方向と直交する方向に延在する楕円であり、前記第1領域、前記第2領域及び前記接続領域の全てにおいて、前記シリンダボアの周長が略一定であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つの項に記載の内燃機関。
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