JPWO2018066686A1 - 芽胞形成細菌の培養方法および有用物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
整腸剤や微生物農薬、微生物肥料として芽胞形成細菌を利用する際、生きた菌体を有効成分として製品に加える必要があるが、耐久力に優れた芽胞状態の菌体を利用するのが一般的である。そのため、芽胞をより高効率に生産する方法が求められている。
芽胞形成細菌は、増殖に適した環境に置かれることで増殖し、芽胞形成に適した環境に置かれることで栄養細胞中に芽胞を形成する。芽胞の数がもともとの栄養細胞の数を上回ることはありえないため、芽胞の生産性向上には、栄養細胞の培養生産性の向上と、栄養細胞からの芽胞形成率の向上という、少なくとも2つの側面が存在する。
増殖に適した環境とはすなわち、その菌株にとって、増殖に必要な栄養成分が十分あり、水分量、浸透圧、温度、pH、酸素濃度等が増殖可能な範囲内である。
また酵素や有用物質の生産においては、目的となる代謝物をより高効率に生産する方法が求められている。酵素や有用物質の生産性向上には、目的となる物質を高生産する代謝状態への誘導と、その状態を長時間維持するという、少なくとも2つの側面が存在する。
従来、栄養細胞の培養生産性向上や代謝物を高生産する代謝状態の維持は、上述のような各種条件の最適化、とりわけ培地組成の改良とその濃度の向上によって達成されてきた。
以上のように、培地中に添加する栄養成分の濃度を濃くして培養生産性を上げる従来の手法には、限界があった。
また非特許文献4において、増殖阻害濃度より低濃度の抗生物質を使用してバチルス属細菌培養中の芽胞化を抑制しうること、そこにデコイニンを加えることで芽胞化の抑制効果を打ち消しうることが示されている。しかし非特許文献4で使用された低濃度の培地(グルコース濃度1%、培地中の炭素含量4.0g/L)においては、添加する抗生物質の濃度依存的に、形成される芽胞の濃度が低下することが示されており、芽胞の高生産に寄与しうる技術とは言えなかった。
バチルス属細菌による有用物質生産技術に関して、たとえば特許文献4〜5に例示するように複数の報告がなされているが、いずれも培地組成や培養条件を改良するという手法が記載されている。しかし前述のように酸素要求量の増大、栄養成分による増殖阻害、クオラムセンシングによる芽胞形成誘導などのため、培地成分の濃度を濃くして培養生産性を上げる手法には限界があった。
また同特許文献には、形質転換体や突然変異によって目的の代謝物を高生産する菌株を取得する方法が記載されているが、野生型株の遺伝的形質を変化させることになるため、その他の有用な性質が失われたり弱まったりする可能性があった。
[1] 芽胞形成阻害物質を培地中に添加して芽胞形成細菌を培養する工程を含む芽胞形成細菌の培養方法であって、前記培地は炭素含量が9.1g/L以上であることを特徴とする、芽胞形成細菌の培養方法。
[2]前記芽胞形成阻害物質が酵素阻害剤である、[1]に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[3]前記芽胞形成阻害物質がリンコマイシン、エリスロマイシン、リファンピシン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カフェイン、コーヒー酸、アクチノマイシン、フシジン酸、リピアマイシン、ピューロマイシン、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、チオストレプトンからなる群より選ばれる1種類以上である、[1]または[2]に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[4]前記芽胞形成阻害物質の濃度が前記芽胞形成細菌に対する増殖阻害濃度以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[5]前記芽胞形成阻害物質の濃度が15ppm以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[6]前記培地に芽胞形成促進物質を添加する工程を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[7]前記芽胞形成促進物質を培養開始から5〜70時間後に培地中に添加する、[6]に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[8]前記芽胞形成促進物質が、核酸塩基類縁体、有機酸、アミノ酸、アンモニウム化合物、硝酸化合物、亜硝酸化合物またはミネラルである、[6]または[7]に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[9]前記芽胞形成促進物質がデコイニン、ミゾリビン、マイコフェノール、6-アザウラシル、乳酸とその塩、酢酸とその塩、酪酸とその塩、マンガン、アンモニウム、カルシウム、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、乳酸アンモニウム、酢酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種類以上である、[6]〜[8]のいずれかに記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[10]前記芽胞形成促進物質が10〜10,000ppmの濃度で培地に添加される、[6]〜[9]のいずれかに記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[11]前記芽胞形成細菌がバチルス属細菌である、[1]〜[10]のいずれかに記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[12]バチルス属細菌がバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・シンプレックス(Bacillus simplex)、バチルス レンタス(Bacillus lentus)、バチルス ラテロスポルス(Bacillus laterosporus)、バチルス アルベイ(Bacillus alvei)、バチルス・ポピリエ(Bacillus popilliae)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alcalophilus)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・サイアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス ロータス(Bacillus lautus)、バチルス クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・チューリンジェンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・ベレゼンシス(Bacillus velezensis)、バチルス・ピチノティ(Bacillus pichinotyi)、バチルス・アシドカルダリウス(Bacillus acidocaldarius)、バチルス・アルカリコラ(Bacillus alkalicola)、バチルス・アゾトフォーマンス(Bacillus azotoformans)、バチルス・アンスラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・バディウス(Bacillus badius)、バチルス・バタビエンシス(Bacillus bataviensis)、バチルス・シクロヘプタニカス(Bacillus cycloheptanicus)、バチルス・ アネウリニリティカス(Bacillus aneurinilyticus)、バチルス・ミグラヌス(Bacillus migulanus)、バチルス・アビッサリス(Bacillus abyssalis)、バチルス・アエスツアリイ(Bacillus aestuarii)、バチルス・ポリミグザ(Bacillus polymyxa)、およびバチルス・エスピー(Bacillus sp.)から選択される、[11]に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
[13][1]〜[12]のいずれかに記載の培養方法を用いて、有用物質を生成させることを特徴とする、有用物質の製造方法。
[14]前記有用物質が前記芽胞形成細菌の芽胞である、[13]に記載の有用物質の製造方法。
[15]前記有用物質が前記芽胞形成細菌の代謝物である、[13]に記載の有用物質の製造方法。
[16]前記代謝物が環状リポペプチドである、[15]に記載の製造方法。
[17]前記環状リポペプチドが、イツリン、サーファクチン、プリパスタチン、フェンジシン、バシロマイシン、リチェニシン、クルスタキン、マイコサブチリン、コリスチン、フザリシジン、パエニバクテリン、ポリミキシンおよびピュミラシジンからなる群から選択される少なくとも1種である、[16]に記載の製造方法。
本発明の芽胞形成細菌の培養方法を用いることにより、芽胞形成細菌の芽胞や代謝物などの有用物質を良好な生産性で得ることができる。
バチルス属細菌の代謝物である環状リポペプチドとしては、イツリン、サーファクチン、プリパスタチン、フェンジシン、バシロマイシン、リチェニシン、クルスタキン、マイコサブチリン、コリスチン、フザリシジン、パエニバクテリン、ポリミキシンおよびピュミラシジンからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
なお培地成分のうち天然系原料の炭素含量は、それぞれ全糖量の40%重量、全タンパク質量の50%重量として概算できる。全糖量は、酸中で100℃、2.5時間加水分解を行うことで、ソモギー法にて還元糖濃度として定量できる。全タンパク質量はまずケルダール法による全窒素量の定量後、換算係数6.25を乗じることでタンパク質量を概算できる。
培地の炭素源濃度が低い場合、炭素源の枯渇に伴って芽胞形成が開始される。この場合、芽胞形成阻害(遅延)物質を添加すると、栄養細胞状態の菌体が長期間、栄養成分枯渇下に晒されることになる。そのため芽胞形成阻害物質非添加時よりも栄養細胞の死滅が早まり、結果的にその培養生産性が下がる(非特許文献4は、このケースに該当すると考えられる)。一方、培地の炭素源濃度が十分に高い場合、栄養細胞の増殖に伴い、クオラムセンシング等によって芽胞形成が開始される。この場合、芽胞形成阻害物質を添加すると、栄養増殖期間が芽胞形成阻害物質非添加時よりも長くなる。通常ではクオラムセンシング等によって芽胞化してしまう菌体密度を大幅に超えて栄養細胞が増殖し、結果的に菌体や代謝物の培養生産性が上がることになる。
一方、液体培地における炭素含量の上限は特に制限されないが、例えば、炭素含量は100g/L以下が好ましく、72g/L以下であることがより好ましい。
C/N比は以下の通り算出される。
C/N比=各培地成分に含まれる炭素含量の合計÷各培地成分に含まれる窒素含量の合計。
これらの多くは、ある濃度では栄養細胞の増殖阻害効果を示すが、それよりもごく低濃度で用いた場合、栄養細胞の増殖にはほとんど阻害的効果を示さないまま、芽胞形成を阻害する。
例えば、リンコマイシンは0.05〜15ppmであることが好ましい。さらに好ましくは0.05〜1ppm、より好ましくは0.05〜0.75ppmである。エリスロマイシンは0.05〜1ppmであることが好ましく、リファンピシンは5〜10ppmであることが好ましく、クロラムフェニコールは0.1〜2ppmであることが好ましく、ストレプトマイシンは5〜15ppmであることが好ましく、カフェインは5〜10ppmであることが好ましく、コーヒー酸は5〜10ppmであることが好ましく、アクチノマイシンは0.1〜10ppmであることが好ましく、フシジン酸は0.1〜10ppmであることが好ましく、リピアマイシンは0.1〜10ppmであることが好ましく、ピューロマイシンは0.1〜10ppmであることが好ましく、スペクチノマイシンは0.1〜10ppmであることが好ましく、テトラサイクリンは0.1〜10ppmであることが好ましく、チオストレプトンは0.1〜10ppmであることが好ましい。
芽胞形成阻害物質を添加した状態で、バチルス属細菌等の芽胞形成細菌を菌体濃度が高濃度、例えば、1×108/ml以上になるまで培養することが好ましく、具体的には5〜80時間培養することが好ましい。
そして、芽胞形成促進物質を添加した状態で、例えば、10〜30時間培養することで高濃度の芽胞を得ることができる。
<芽胞形成阻害による高濃度増殖(バチルス・ズブチリス)>
500mL三角フラスコ(バッフル付)を用い、表1に記載の培地をそれぞれ100mLずつ作成し、オートクレーブ滅菌を行った。なおメイラード反応を避けるため、グルコースは別途滅菌の上、無菌的に混合した。
なお培地成分のうちグルコース、脱脂大豆粉、コーンスティープリカー、酵母エキスの炭素含量は、それぞれ全糖量の40%重量および全タンパク質量の50%重量として算出した。全糖量は、酸中で100℃、2.5時間加水分解後、ソモギー法にて還元糖濃度として定量した。全タンパク質量はまずケルダール法による全窒素量の定量後、換算係数6.25を乗じることで算出した。
同様に、エリスロマイシン濃度が0.1ppmの試験区では芽胞形成への阻害効果は見られなかったが、1ppmの試験区では芽胞形成への阻害効果が見られた。また、菌体濃度はエリスロマイシン濃度に応じて高くなる傾向を示した。
またストレプトマイシン濃度が12.5ppmの試験区では芽胞形成への阻害効果は見られなかったが、15.0ppmの試験区では芽胞形成への阻害効果が見られた。一方、菌体濃度はストレプトマイシン濃度に応じて高くなる傾向を示した。
<芽胞形成阻害による栄養細胞の高濃度増殖と芽胞形成誘導による芽胞高生産(バチルス・ズブチリス)>
500mL三角フラスコ(バッフル付)を用い、表1に記載の培地をそれぞれ100mLずつ作成し、オートクレーブ滅菌を行った。なおメイラード反応を避けるため、グルコースは別途滅菌の上、無菌的に混合した。
表3に記載の通り、試験区を設定した。各試験区の条件に従い、フィルター滅菌した芽胞形成阻害物質水溶液を、無菌的に培地へ添加した。各試験区の条件に従い、普通寒天培地上に生育させたバチルス・ズブチリスMBI−600のコロニーより1白金耳を取って植菌した後、30℃、150rpmで振とう培養を行った。
得られた培養液について、滅菌水で10倍に希釈したのち、光学顕微鏡および細菌用セルカウンターを用いて、菌体濃度(栄養細胞および芽胞)および芽胞形成率(芽胞濃度÷菌体濃度)を計測した。結果を表3に示す。
芽胞形成物質として乳酸アンモニウムを添加した試験区において、リンコマイシン濃度に関わらず、いずれも非添加時と比べて芽胞形成率に改善が見られた。特にリンコマイシン濃度0.3ppmおよび0.5ppmで乳酸アンモニウムを添加した試験区では、いずれも無添加の試験区と比べ、芽胞の生産性が大幅に高かった。
リンコマイシン濃度0.5ppmで酢酸アンモニウムを添加した試験区において、酢酸アンモニウムの添加量に応じて、菌体濃度および芽胞形成率が増加する傾向が見られた。いずれも無添加の試験区と比べ、芽胞の生産性が大幅に高かった。
クロラムフェニコール濃度が1.4ppmの試験区では芽胞形成への阻害効果が見られたが、クロラムフェニコールに加えてデコイニンを途中で添加した区では芽胞形成率に改善が見られ、いずれも無添加の試験区と比べ、芽胞の生産性が向上した。
<芽胞形成阻害による栄養細胞の高濃度増殖と芽胞高生産(バチルス・チューリンゲンシス)>
500mL三角フラスコ(バッフル付)を用い、表1に記載の培地をそれぞれ100mLずつ作成し、オートクレーブ滅菌を行った。なおメイラード反応を避けるため、グルコースは別途滅菌の上、無菌的に混合した。
表4に記載の通り、試験区を設定した。各試験区の条件に従い、フィルター滅菌した芽胞形成阻害物質水溶液を、無菌的に培地へ添加した。各試験区の条件に従い、普通寒天培地上に生育させたバチルス・チューリンゲンシスNBRC 101235株のコロニーより1白金耳を取って植菌した後、30℃、150rpmで40時間振とう培養を行った。
クロラムフェニコール濃度6.0ppmで増殖および芽胞形成への阻害効果が認められた。一方、2.0ppmの試験区では菌体濃度および芽胞濃度が高くなる傾向を示した。
エリスロマイシン濃度0.1ppmで芽胞形成への阻害効果が認められた。一方、0.05ppmの試験区では菌体濃度および芽胞濃度が高くなる傾向を示した。
一定量の抗生物質を加えることで菌体濃度を向上させ、かつ十分な時間(40時間)培養を行うことで、芽胞化促進物質を加えることなく芽胞の生産性を向上させることができた。
<芽胞形成阻害によるサーファクチンの高生産(バチルス・ズブチリス)>
500mL三角フラスコ(バッフル付)を用い、表5に記載の培地をそれぞれ100mLずつ作成し、オートクレーブ滅菌を行った。なおメイラード反応を避けるため、グルコースは別途滅菌の上、無菌的に混合した。
表6に記載の通り、試験区を設定した。各試験区の条件に従い、フィルター滅菌した芽胞形成阻害物質水溶液を、無菌的に培地へ添加した。各試験区の条件に従い、普通寒天培地上に生育させたバチルス・ズブチリスMBI−600株のコロニーより1白金耳を取って植菌した後、30℃、150rpmで振とう培養を行った。
得られた培養液について、冷却遠心機(株式会社トミー精工 MX-307)を用い、10,000rpm、20℃、30分遠心分離を行い、上清を回収した。
固相抽出カラム(日本ウォーターズ株式会社 Oasis HLB 3cc(400mg)LP Extraction Cartridge)に0.1%TFA含有アセトニトリル3mLを加えて通過させたのち、0.1%TFA含有蒸留水3mLを加えて通過させた。回収した培養液遠心上清2mLを加えて通過させ、0.1%TFA含有蒸留水6mL、0.1%TFA含有アセトニトリル/蒸留水(20:80, v/v)3mLを順次通過させて洗浄した。次に0.1%TFA含有アセトニトリル/蒸留水(90:10, v/v)3mLを通過させ、溶出液を回収した。回収液が4mLとなるよう0.1%TFA含有アセトニトリル/蒸留水(90:10, v/v)を加え、以下の条件でHPLC分析を行った。
HPLC: アジレント・テクノロジー株式会社 1260 Infinity
カラム: 日本ウォーターズ株式会社 XBridge C18 5μm 4.6 x 250mm
移動相: A:0.1%TFA含有蒸留水、B:0.1%TFA含有アセトニトリル
0〜5分 A 80%/B 20%
5〜25分 A 80%/B 20% → B 100%
25〜30分 B 100%
30〜40分 A 80%/B 20%
流量: 1mL/分
温度: 40℃
検出: UV205nm
注入量: 20μL
標品: Surfactin Sodium Salt(和光純薬工業株式会社)
濃度: 30ppm、120ppm
溶媒: 0.1%TFA含有アセトニトリル/蒸留水(90:10, v/v)
溶出時間27.6分および28.4分に検出されたピーク面積について、標品との比較から、培養液中のサーファクチン濃度を算出した。
結果を表6に示す。
一定量の抗生物質を加えることで芽胞だけでなく有用物質であるサーファクチンの生産性を向上させることができた。
Claims (17)
- 芽胞形成阻害物質を培地中に添加して芽胞形成細菌を培養する工程を含む芽胞形成細菌の培養方法であって、前記培地は炭素源の含量が9.1g/L以上であることを特徴とする、芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成阻害物質が酵素阻害剤である、請求項1に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成阻害物質がリンコマイシン、エリスロマイシン、リファンピシン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カフェイン、コーヒー酸、アクチノマイシン、フシジン酸、リピアマイシン、ピューロマイシン、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、チオストレプトンからなる群より選ばれる1種類以上である、請求項1または2に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成阻害物質の濃度が前記芽胞形成細菌に対する増殖阻害濃度以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成阻害物質の濃度が15ppm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記培地に芽胞形成促進物質を添加する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成促進物質を培養開始から5〜70時間後に培地中に添加する、請求項6に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成促進物質が、核酸塩基類縁体、有機酸、アミノ酸、アンモニウム化合物、硝酸化合物、亜硝酸化合物またはミネラルである、請求項6または7に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成促進物質がデコイニン、ミゾリビン、マイコフェノール、6-アザウラシル、乳酸とその塩、酢酸とその塩、酪酸とその塩、マンガン、アンモニウム、カルシウム、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、乳酸アンモニウム、酢酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種類以上である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成促進物質が10〜10,000ppmの濃度で培地に添加される、請求項6〜9のいずれか一項に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 前記芽胞形成細菌がバチルス属細菌である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- バチルス属細菌がバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・シンプレックス(Bacillus simplex)、バチルス レンタス(Bacillus lentus)、バチルス ラテロスポルス(Bacillus laterosporus)、バチルス アルベイ(Bacillus alvei)、バチルス・ポピリエ(Bacillus popilliae)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alcalophilus)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・サイアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス ロータス(Bacillus lautus)、バチルス クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・チューリンジェンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・ベレゼンシス(Bacillus velezensis)、バチルス・ピチノティ(Bacillus pichinotyi)、バチルス・アシドカルダリウス(Bacillus acidocaldarius)、バチルス・アルカリコラ(Bacillus alkalicola)、バチルス・アゾトフォーマンス(Bacillus azotoformans)、バチルス・アンスラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・バディウス(Bacillus badius)、バチルス・バタビエンシス(Bacillus bataviensis)、バチルス・シクロヘプタニカス(Bacillus cycloheptanicus)、バチルス・ アネウリニリティカス(Bacillus aneurinilyticus)、バチルス・ミグラヌス(Bacillus migulanus)、バチルス・アビッサリス(Bacillus abyssalis)、バチルス・アエスツアリイ(Bacillus aestuarii)、バチルス・ポリミグザ(Bacillus polymyxa)、およびバチルス・エスピー(Bacillus sp.)から選択されるバチルス属細菌である、請求項11に記載の芽胞形成細菌の培養方法。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の培養方法を用いて、有用物質を生成させることを特徴とする、有用物質の製造方法。
- 前記有用物質が前記芽胞形成細菌の芽胞である、請求項13に記載の有用物質の製造方法。
- 前記有用物質が前記芽胞形成細菌の代謝物である、請求項13に記載の有用物質の製造方法。
- 前記代謝物が環状リポペプチドである、請求項15に記載の製造方法。
- 前記環状リポペプチドが、イツリン、サーファクチン、プリパスタチン、フェンジシン、バシロマイシン、リチェニシン、クルスタキン、マイコサブチリン、コリスチン、フザリシジン、パエニバクテリン、ポリミキシンおよびピュミラシジンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項16に記載の製造方法。
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