JPWO2018062428A1 - 酸二無水物およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、柔軟性及び透明性に優れるだけでなく、リタデーションが低いという特徴をも有するポリイミド膜を与えるポリアミック酸ポリアミック酸及びポリイミド、並びに該ポリアミック酸及びポリイミドの製造に用いる新規な酸二無水物を提供すること。【解決手段】酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸であって、前記酸二無水物成分が下記式(1−1)で表される酸二無水物を含むことを特徴とするポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化物であるポリイミド、並びに該ポリアミック酸を含むポリイミド膜形成用組成物、該ポリイミドを含む膜形成用組成物、及びそれらから得られるポリイミド膜。【化1】(式中、R1乃至R5は、互いに独立して、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表し、R6及びR7は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、aおよびbは、互いに独立して、0〜4の整数を表し、cおよびdは、互いに独立して、0〜9の整数を表し、eは、0〜2の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規な酸二無水物およびそのポリアミック酸及びポリイミドへの利用に関する。
近年、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のエレクトロニクスの急速な進歩に伴い、デバイスの薄型化や軽量化、更には、フレキシブル化が要求されるようになってきた。
これらのデバイスにおいては、ガラス基板上に様々な電子素子、例えば、薄膜トランジスタや透明電極等が形成されているが、このガラス材料を柔軟かつ軽量な樹脂材料に替えることで、デバイス自体の薄型化や軽量化、フレキシブル化が期待される。
そして、そのような樹脂材料の候補としてはポリイミドが注目を集めており、ポリイミドフィルムに関する種々の報告が従来よりなされている(例えば特許文献1,2参照)。
特開昭60−188427号公報 特開昭58−208322号公報 国際公開2011/149018号パンフレット
ところで、ポリイミド樹脂材料をディスプレイの基板として用いるとき、その樹脂材料が透明性に優れるだけでなく、要求性能の一つとしてリタデーション(Retardation)が低い材料であることが望ましい。
すなわち、リタデーション(位相差)とは、複屈折(直交する2つの屈折率の差)と膜厚との積をいうが、この数値、特に厚さ方向のリタデーションは視野角特性に影響する重要な数値である。大きなリタデーション値は、ディスプレイの表示品質の低下を招く原因となり得る(例えば特許文献3参照)。フレキシブルディスプレイ基板にあっても、高い柔軟性(可撓性)以外に、これらの特性も求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、耐熱性、柔軟性及び透明性に優れるだけでなく、リタデーションが低いという特徴をも有するポリイミド膜を与えるポリアミック酸及びポリイミド、並びにポリアミック酸及びポリイミドの製造に用いる新規な酸二無水物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記式(1−1)で表される酸二無水物化合物を、テトラシクロブタン酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物と共に、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)ベンジジン等の芳香族ジアミンと共重合させることで、有機溶媒に良好な溶解性を示すポリアミック酸及びポリイミドが得られること、及び当該ポリアミック酸及びポリイミドを有機溶媒に溶解させて得られる組成物(溶液)から、耐熱性、柔軟性及び透明性に優れるだけでなく、リタデーションが低いという特徴をも有するポリイミド膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、第1観点として、酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸であって、
前記酸二無水物成分が下記式(1−1)で表される酸二無水物を含むことを特徴とする、ポリアミック酸に関する。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基または炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
6及びR7は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基又は炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
aおよびbは、互いに独立して、0〜4の整数を表し、
cおよびdは、互いに独立して、0〜9の整数を表し、
eは、0〜2の整数を表す。)
第2観点として、前記ジアミン成分が式(A1)で表されるジアミンを含むことを特徴とする、第1観点に記載のポリアミック酸に関する。
Figure 2018062428
(式中、B2は、式(Y−1)〜式(Y−34)からなる群から選ばれるいずれかの基を表す。)
Figure 2018062428
Figure 2018062428
Figure 2018062428
Figure 2018062428
Figure 2018062428
(式中、*は結合手を表す。)
第3観点として、前記酸二無水物成分が、更に式(C1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする、第1観点又は第2観点に記載のポリアミック酸に関する。
Figure 2018062428
〔式中、B1は、式(X−1)〜式(X−12)からなる群から選ばれるいずれかの基を表す。
Figure 2018062428
(式中、複数のRは、互いに独立して、水素原子またはメチル基を表し、*は結合手を表す。)〕
第4観点として、第1観点乃至第3観点のうちいずれか一項に記載のポリアミック酸と、有機溶媒とを含むポリイミド膜形成用組成物に関する。
第5観点として、第4観点に記載のポリイミド膜形成用組成物を用いて形成されるポリイミド膜に関する。
第6観点として、第5観点に記載のポリイミド膜からなるフレキシブルデバイス用基板に関する。
第7観点として、第1観点乃至第3観点のうちいずれか一項に記載のポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドに関する。
第8観点として、第7観点に記載のポリイミドと、有機溶媒とを含む膜形成用組成物に関する。
第9観点として、第8観点に記載の膜形成組成物を用いて形成されるポリイミド膜に関する。
第10観点として、第9観点に記載のポリイミド膜からなるフレキシブルデバイス用基板に関する。
第11観点として、式(1−1)で表されることを特徴とする酸二無水物に関する。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基または炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
6及びR7は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基又は炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
aおよびbは、互いに独立して、0〜4の整数を表し、
cおよびdは、互いに独立して、0〜9の整数を表し、
eは、0〜2の整数を表す。)
第12観点として、式(1−2)で表されることを特徴とする、第11観点に記載の酸二無水物に関する。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、a、b、c、dおよびeは、前記と同じ意味を示す。)
第13観点として、式(1−3)で表されることを特徴とする、第12観点に記載の酸二無水物に関する。
Figure 2018062428
第14観点として、式(2−1)で表されることを特徴とするテトラカルボン酸に関する。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基または炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
6及びR7は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基又は炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
aおよびbは、互いに独立して、0〜4の整数を表し、
cおよびdは、互いに独立して、0〜9の整数を表し、
eは、0〜2の整数を表す。)
第15観点として、式(2−2)で表されることを特徴とする、第14観点に記載のテトラカルボン酸に関する。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、a、b、c、dおよびeは、前記と同じ意味を示す。)
第16観点として、式(2−3)で表されることを特徴とする、第15観点に記載のテトラカルボン酸に関する。
Figure 2018062428
本発明のポリアミック酸及びポリイミドは有機溶媒に良好な溶解性を示し、また該ポリアミック酸及びポリイミドは、耐熱性、柔軟性及び透明性に優れ、さらに低いリタデーションを実現できるポリイミド膜(樹脂薄膜)を形成できる。
また、本発明のポリイミド膜は、高い透明性(高い光線透過率、低い黄色度)、耐熱性及び低いリタデーションを示すことから、フレキシブルデバイス、特にフレキシブルディスプレイの基板として好適に用いることができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るポリアミック酸は、下記式(1−1)で表される酸二無水物を含む酸二無水物成分と、ジアミン成分とを重縮合反応させて得られる。そして得られたポリアミック酸を、熱または触媒を用いた脱水閉環反応により、対応するポリイミドとすることができる。該ポリアミック酸のみならず該ポリイミドともに本発明の対象である。なお本発明のポリアミック酸は、下記式(1−1)で表される酸二無水物を含む酸二無水物成分とジアミン成分との反応生成物であり、また、本発明のポリイミドは前記ポリアミック酸のイミド化物である。
該式(1−1)で表される酸二無水物として、特に式(1−2)で表される酸二無水物が好ましく、中でも、耐熱性、柔軟性及び透明性に優れ、低リタデーションのポリイミド膜を再現性よく与えるポリアミック酸及び対応するポリイミドを得ることを考慮すると、好ましくは式(1−3)で表される酸二無水物である。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基または炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
6及びR7は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基又は炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
aおよびbは、互いに独立して、0〜4の整数を表し、
cおよびdは、互いに独立して、0〜9の整数を表し、
eは、0〜2の整数を表す。)
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
上記炭素原子数1乃至5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、tert−アミル基、sec−イソアミル基及びシクロペンチル基等が挙げられる。
また炭素原子数1乃至5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基及びtert−ペントキシ基等が挙げられる。
本発明の上記式(1−1)〜(1−3)で表される酸二無水物は、それぞれ下記式(2−1)〜(2−3)で表されるテトラカルボン酸を脱水剤にて分子内で脱水させて得ることができる。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、a、b、c、d及びeは上記と同じ意味を表す。)
具体的には、上記式(1−1)で表される酸二無水物は、一例として下記スキームで示されるように、有機溶媒中、9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−1,4−ジオール化合物(以下、ベンゼノアントラセンジオール化合物ともいう。)と、シクロヘキサントリカルボン酸ハロゲン化無水物を塩基または酸吸収剤の存在下で反応させて得ることができる[反応式1]。また反応後は溶媒を除去後、反応混合物を再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等の公知の手法を用いて精製し、目的物の酸二無水物を得ることができる。
また[反応式1]の反応物を加水分解し、中間体(9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−1,4−ジイル ビス(シクロヘキサントリカルボン酸エステル)化合物)(式(2−1)で表される化合物)を得[反応式2]、この中間体を脱水剤にて分子内で脱水させる[反応式3]ことでも得ることができる。
なお上記式(1−1)〜(1−3)で表される酸二無水物及びその中間体である上記式(2−1)〜(2−3)で表されるシクロヘキサントリカルボン酸エステル(テトラカルボン酸化合物)も本発明の対象である。
Figure 2018062428
(上記反応式中、Xはハロゲン原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、a、b、c、d及びeは上記と同じ意味を表す。)
上記[反応式1]の反応において、ベンゼノアントラセンジオール化合物とシクロヘキサントリカルボン酸ハロゲン化無水物との仕込み比は、ベンゼノアントラセンジオール化合物1モルに対し、シクロヘキサントリカルボン酸ハロゲン化無水物2〜4モルが好ましい。
塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン及びN−メチルモルホリン等の有機アミン類等の有機塩基が好適に用いられる。また、塩基の使用量は、シクロヘキサントリカルボン酸ハロゲン化無水物1モルに対して1モル以上であれば特に限定されるものではないが、通常1〜5モル程度であり、好ましくは1〜3モル程度である。
また、反応で副生する塩酸等の酸を中和するために、酸吸収剤を用いてもよい。酸吸収剤としては、プロピレンオキシド等のエポキシド類が挙げられる。酸吸収剤の使用量は、ベンゼノアントラセンジオール化合物1モルに対して2モル以上であれば特に限定されるものではないが、通常2〜10モル程度であり、好ましくは2〜4モル程度である。
有機溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)等のアミド類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、THFという)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル及びジエチルエーテル等のエーテル類;2−ブタノン及び4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;アセトニトリル等のニトリル類並びにジメチルスルホキシド(以下、DMSOという)などを用いることができる。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、[反応式1]で直接目的物である酸二無水物(1−1)を精製し、取り出す場合は、溶媒中に水分が多く含まれると、エステルの加水分解が起こることから、溶媒は脱水溶媒を使用するか、もしくは、脱水してから使用することが好ましい。また、[反応式2]、[反応式3]を経由して目的物である酸二無水物(1−1)を取り出す場合は、脱水溶媒を使用してもしなくてもよい。
反応温度は、0〜200℃程度とすることができるが、20〜150℃が好ましい。
反応後は、溶媒を留去し、反応物を精製することで目的物である酸二無水物を得られる。この精製法は任意であり、再結晶、蒸留及びシリカゲルカラムクロマトグラフィ等公知の手法から適宜選択すればよい。また、精製時に使用する有機溶媒は、精製時に生成物と反応しない溶媒であれば特に限定されるものではなく、上記反応に使用する有機溶媒と同様である。
また、反応後の精製が難しい場合は、粗生成物のまま、加水分解し[反応式2]、テトラカルボン酸を得た後に脱水剤にて脱水環化させる[反応式3]ことで目的である酸二無水物を得ることもできる。
一方、上記[反応式2]の反応は、式(1−1)で表される酸二無水物と水を混合すれば特に限定はないが、例えば[反応式1]で生成した式(1−1)を、水、場合によっては有機溶媒、酸あるいはアルカリを添加し、加熱還流して加水分解することにより、式(2−1)で表されるシクロヘキサントリカルボン酸エステル(テトラカルボン酸化合物)を得ることもできる。
水は、式(1−1)で表される酸二無水物に対して、通常2〜100質量倍、好ましくは2〜40質量倍、より好ましくは2〜6質量倍使用される。
また、上記の反応は有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)等のアミド類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、THFという)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル及びジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、酢酸エチル、2−ブタノン及び4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;並びにジメチルスルホキシド(以下、DMSOという)などを用いることができる。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、加水分解を効率よく進行させるためには、極性の高い溶媒が好ましく、例えばDMF、DMAc、NMP、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、アセトン及び酢酸エチル等が好ましい。
また、上記の反応は酸を添加してもよい。酸は特に限定されるものではないが、酸としては、リンモリブデン酸及びリンタングステン酸などのヘテロポリ酸;トリメチルボレート及びトリフェニルホスフィンなどの有機酸;塩酸、硫酸及びリン酸などの無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸及びp−トルエンスルホン酸などの炭化水素酸;並びにトリフルオロ酢酸などのハロゲン系炭化水素酸が挙げられる。好ましくは、塩酸、硫酸、酢酸及びp−トルエンスルホン酸が挙げられる。
酸は式(1−1)で表される酸二無水物に対して通常0〜100倍モル、好ましくは0.01〜10倍モル使用される。
また、本反応はアルカリ性水溶液を使用して加水分解をしてもよい。アルカリは特に限定されるものではないが、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸リチウムなどのアルカリ金属類、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類が挙げられる。なかでも好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。
アルカリの使用量は式(1−1)で表される酸二無水物に対して通常0〜100倍モル、好ましくは0.01〜10倍モル使用される。
反応温度は特に限定されないが、例えば−90〜200℃、好ましくは50〜130℃である。
反応時間は、通常、0.1ないし200時間、好ましくは0.5ないし100時間である。
また、上記[反応式3]の反応は、公知の方法を採用すればよく、特に制限はないが、例えば、[反応式2]で得た式(2−1)で表されるシクロヘキサントリカルボン酸エステル(テトラカルボン酸化合物)と脱水剤を溶剤中で混合することにより式(1−1)で表される酸二無水物を得ることができる。
脱水剤としては、式(2−1)で表されるシクロヘキサントリカルボン酸エステル(テトラカルボン酸化合物)に脱水剤が接触することができるものであれば特に限定はないが、例えば、脱水は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の脂肪族カルボン酸無水物、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド等の脱水剤の存在下で実施することができる。また、炭素数が1〜3の低級カルボン酸無水物が好ましく、より好ましくは炭素数が1〜2の低級カルボン酸無水物が好ましく、中でも無水化後の除去がしやすく経済的に有利な点で無水酢酸が特に好ましい。
脱水剤の使用量は特に限定されないが、式(2−1)で表されるシクロヘキサントリカルボン酸エステル(テトラカルボン酸化合物)に対して、2〜50当量が好ましく、特に好ましくは4〜20当量である。2〜50当量であれば、十分に無水物化が行われ、かつ得られる式(1−1)で表される酸二無水物の溶解量が増加しすぎることなく、高い収率で式(1−1)で表される酸二無水物を析出させることができる。
上記反応は、反応に直接関与しない有機溶媒を用いることもできる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素類、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類、更に1,4−ジオキサン等が挙げられる。
なお、式(2−1)で表されるシクロヘキサントリカルボン酸エステル(テトラカルボン酸化合物)を完全に溶解させて均一系で必ずしも無水物化反応させる必要はなく、不均一系で無水物化反応を実施してもよい。
反応における加熱の温度は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは40〜180℃の範囲で行うとよく、反応温度が高いほど反応速度が向上する。このため使用溶媒の還流温度で実施するのが好ましい。
また、反応時間は、使用する脱水剤の種類、温度等の条件に応じて適宜設定すればよいが、0.5〜20時間であることが好ましい。
上記の無水物化反応によって、使用した脱水剤に式(1−1)で表される酸二無水物が懸濁した懸濁液を得ることができる。無水物化反応の後は、得られた懸濁液をろ過することで式(1−1)で表される酸二無水物の粉末を回収できる。また、必要に応じて上記懸濁液を濃縮してもよい。
また、必要に応じて上記ろ取物を有機溶媒で洗浄してもよい。この洗浄溶媒は無水物と反応せず、目的の無水物の溶解度が低い溶媒であれば特に限定されないが、例えば、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、アセトニトリル、アセトン、クロロホルム、酢酸エチル、炭酸ジメチル等やこれらの混合溶媒などが挙げられる。中でも酢酸エチル、炭酸ジメチルが好ましい。
さらに、減圧乾燥等により脱水剤や溶媒を除去することで、高純度の式(1−1)で表される酸二無水物を得ることができる。また、必要により再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等公知の手法を用いて精製することでも、目的物である酸二無水物を得られる。
なお、本発明で得られる式(2−1)で表される酸二無水物は、文献未記載の新規化合物であり、上記のように、これから容易に式(1−1)で表される酸二無水物が製造できるなど種々の用途に使用できる。
また、本発明で用いるベンゼノアントラセンジオール化合物は、例えば、一例として下記スキームで示されるように、公知の方法に従い、有機溶媒中、アントラセン化合物と1,4−ベンゾキノン化合物とをDiels―Alder反応させて得られる9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−13,16(9H,10H)−ジオン化合物を酢酸溶媒中、47%臭化水素存在下、加熱条件で処理することで得ることができる。
Figure 2018062428
(上記スキーム中、R1、R2、R5、R6、R7、a、b及びeは上記と同じ意味を表す。)
耐熱性、柔軟性及び透明性に優れるだけでなく、リタデーションが低いという特徴をも有するポリイミド膜を与えるポリアミック酸(及び対応するポリイミド)を再現性よく得る観点から、本発明のポリアミック酸(及び対応するポリイミド)の製造に用いる酸二無水物成分は、上記式(1−1)で表される酸二無水物に加え、好ましくは脂環式テトラカルボン酸二無水物を、より好ましくは下記式(C1)で表される酸二無水物を含む。
Figure 2018062428
〔式中、B1は、式(X−1)〜(X−12)からなる群から選ばれる4価の基を表す。
Figure 2018062428
(式中、複数のRは、互いに独立して、水素原子またはメチル基を表し、*は結合手を表す。)〕
上記式(C1)で表される酸二無水物の中でも、式中のB1が前記式(X−1)、(X−2)、(X−4)、(X−5)、(X−6)、(X−7)、(X−8)、(X−9)、(X−11)および(X−12)で表される酸二無水物が好ましく、前記B1が前記式(X−1)、(X−2)、(X−6)、(X−11)および(X−12)で表される酸二無水物が特に好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、前記酸二無水物成分には、上記式(1−1)で表される酸二無水物、上記式(C1)で表される酸二無水物以外の、その他の酸二無水物を用いてもよい。
上記酸二無水物成分において、本発明の上記式(1−1)で表される酸二無水物とともに脂環式テトラカルボン酸二無水物を用いる場合における、上記式(1−1)で表される酸二無水物と脂環式テトラカルボン酸二無水物との比率は、通常、上記式(1−1)で表される酸二無水物:脂環式テトラカルボン酸二無水物=1:0.5〜1:4である。このような範囲とすることで、高耐熱性、高柔軟性、高透明性、低リタデーションのポリイミドを与えるポリアミック酸を再現性よく得ることができる。
耐熱性、柔軟性及び透明性に優れるだけでなく、リタデーションが低いという特徴をも有するポリイミド膜を与えるポリアミック酸(及び対応するポリイミド)を再現性よく得る観点から、本発明のポリアミック酸(及び対応するポリイミド)の製造に用いるジアミン成分は、好ましくは芳香族ジアミンを、より好ましくは下記式(A1)で表されるジアミンを含む。
Figure 2018062428
(式中、B2は、式(Y−1)〜式(Y−34)からなる群から選ばれる2価の基を表す。)
Figure 2018062428
Figure 2018062428
Figure 2018062428
Figure 2018062428
Figure 2018062428
(式中、*は結合手を表す。)
上記式(A1)で表されるジアミンの中でも、式中のB2が前記式(Y−12)、(Y−13)、(Y−14)、(Y−15)、(Y−18)、(Y−27)、(Y−28)、(Y−30)および(Y−33)で表されるジアミンが好ましく、前記B2が前記式(Y−12)、(Y−13)、(Y−14)、(Y−15)および(Y−33)で表されるジアミンが特に好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、前記ジアミン成分には、上記式(A1)で表されるジアミン以外の、その他のジアミン化合物を用いてもよい。
高耐熱性、高柔軟性、高透明性、低リタデーションのポリイミド膜を与えるポリアミック酸(及び対応するポリイミド)を再現性よく得る観点から、本発明のポリアミック酸(及び対応するポリイミド)の製造に用いるジアミン成分中芳香族ジアミンの含有量は、好ましくは50mol%以上、より好ましくは60mol%以上、より一層好ましくは70モル%、さらに好ましくは80モル%、さらに一層好ましくは90モル%、最も好ましくは100モル%である。
なお、上記酸二無水物成分として上記式(1−1)で表される酸二無水物と上記(C1)で表される酸二無水物とを用い、上記ジアミン成分として上記式(A1)で表されるジアミンを用いた場合、ポリアミック酸は下記式(4−1)で表されるモノマー単位と、下記式(4−2)で表されるモノマー単位とを有するものとなる。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、a、b、c、d、e、B1及びB2は、上記と同じ意味を表す。)
本発明のポリアミック酸を得る方法は特に限定されるものではなく、前述の酸二無水物成分とジアミン成分とを公知の手法によって反応、重合させればよい。
ポリアミック酸を合成する際の酸二無水物成分のモル数とジアミン成分のモル数との比は、酸二無水物成分/ジアミン成分=0.8〜1.2である。
ポリアミック酸の合成に用いられる溶媒としては、例えば、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド及びγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは、単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸を溶解しない溶媒であっても、均一な溶液が得られる範囲内で上記溶媒に加えて使用してもよい。
重縮合反応の温度は、−20〜150℃、好ましくは−5〜100℃の任意の温度を選択することができる。
上述したポリアミック酸の重合反応により得られたポリアミック酸含有溶液は、そのまま、あるいは希釈もしくは濃縮した後、後述するポリイミド膜形成用組成物として使用することができる。また該ポリアミック酸含有溶液に、メタノール、エタノールなどの貧溶媒を加えてポリアミック酸を沈殿させて単離し、その単離したポリアミック酸を適当な溶媒に再溶解させてポリアミック酸含有溶液とし、これをポリイミド膜形成用組成物として使用することもできる。
ポリアミック酸含有溶液の希釈用溶媒並びに単離したポリアミック酸の再溶解用溶媒は、得られたポリアミック酸を溶解させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、m−クレゾール、2−ピロリドン、NMP、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、DMAc、DMF及びγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
また、単独ではポリアミック酸を溶解しない溶媒であっても、ポリアミック酸が析出しない範囲であれば上記溶媒に加えて使用することができる。その具体例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル及び乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。
本発明のポリイミドは、上記説明したポリアミック酸を、加熱により脱水閉環(熱イミド化)するか、または公知の脱水閉環触媒を使用して化学的に閉環して得ることができる。
加熱による方法は、100〜300℃、好ましくは120〜250℃の任意の温度で行うことができる。
化学的に閉環する方法は、例えば、ピリジン、トリエチルアミン又は1−エチルピペリジンなどと、無水酢酸などとの存在下で行うことができ、この際の温度は、−20〜200℃の任意の温度を選択することができる。
こうして得られる上記式(4−1)で表されるモノマー単位と上記記式(4−2)で表されるモノマー単位とを有するポリアミック酸から得られるポリイミドは、下記式(5−1)で表されるモノマー単位と下記式(5−2)で表されるモノマー単位とを有するものである。
Figure 2018062428
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、a、b、c、d、e、B1及びB2は、上記と同じ意味を表す。)
上述したポリアミック酸の閉環反応により得られたポリイミド含有溶液(以下、ポリイミド溶液ともいう)は、そのまま、あるいは希釈もしくは濃縮した後、後述する膜形成用組成物として使用することができる。また該ポリイミド含有溶液に、メタノール、エタノールなどの貧溶媒を加えてポリイミドを沈殿させてポリイミドを単離し、その単離したポリイミドを適当な溶媒に再溶解させ、これを後述する膜形成用組成物として使用することができる。
再溶解用溶媒は、得られたポリイミドを溶解させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、m−クレゾール、2−ピロリドン、NMP、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、DMAc、DMF及びγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
また、単独ではポリイミドを溶解しない溶媒であっても、ポリイミドが析出しない範囲であれば上記溶媒に加えて使用することができる。その具体例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル及び乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。
なお本発明において、ポリアミック酸及び対応するポリイミドの数平均分子量は、得られる薄膜の柔軟性、強度等を向上させるという観点から、好ましくは5,000以上、より好ましくは7,000以上、より一層好ましくは10,000以上であり、また得られるポリアミック酸及び対応するポリイミドの溶解性を確保するという観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、より一層好ましくは50,000以下である。なお本明細書において、数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリスチレン換算値として算出される値である。
[膜形成用組成物・ポリイミド膜形成用組成物]
上述の本発明のポリイミドと、有機溶媒とを含む膜形成用組成物、並びに、本発明のポリアミック酸と、有機溶媒とを含むポリイミド膜形成用組成物も本発明の対象である。ここで本発明の膜形成用組成物及びポリイミド膜形成用組成物は、均一なものであって、相分離は認められないものである。
<有機溶媒>
本発明の膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物は、前記ポリイミド又はポリアミック酸に加えて、有機溶媒を含む。該有機溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、上記ポリアミック酸及びポリイミドの調製時に用いた反応溶媒の具体例と同様のものが挙げられる。より具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、平坦性の高い膜を再現性よく得ることを考慮すると、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
本発明の膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物における固形分量の配合量は、通常0.5〜30質量%程度、好ましくは5〜25質量%程度である。固形分濃度が0.5質量%未満であると膜を作製する上において製膜効率が低くなり、また膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物の粘度が低くなるため、表面が均一な塗膜を得られにくい。また固形分濃度が30質量%を超えると、膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物の粘度が高くなりすぎて、やはり成膜効率の悪化や塗膜の表面均一性に欠ける虞がある。なおここでいう固形分量とは、有機溶媒以外の成分の総質量を意味し、液状のモノマー等であっても固形分として重量に含めるものとする。
なお膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物の粘度は、作製する膜の厚み等を勘案し適宜設定するものではあるが、特に5〜50μm程度の厚さの膜を再現性よく得ること目的とする場合、通常、25℃で500〜50,000mPa・s程度、好ましくは1,000〜20,000mPa・s程度である。
本発明の膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物には、加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、触媒、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、染料、可塑剤、微粒子、カップリング剤、増感剤等を用いることができる。
なおその他成分を含む場合も含め、本発明の膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物の固形分量において、上記ポリイミド又はポリアミック酸の割合は70〜100質量%とすることができる。
本発明の膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物は、上述の方法で得られたポリイミド又はポリアミック酸を上述の有機溶媒に溶解して得ることができるし、ポリイミド又はポリアミック酸の調製後の反応溶液に、所望により前記有機溶媒を更に加えたものとしてもよい。
[膜]
以上説明した本発明の膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物を基材に塗布して乾燥・加熱することで有機溶媒を除去し、高い耐熱性と、高い透明性と、適度な柔軟性と、適度な線膨張係数とを有し、しかもリタデーションの小さい膜(ポリイミド膜)を得ることができる。
すなわち、基材上に塗布した上記膜形成用組成物(ポリイミド含有溶液)を加熱し、溶媒を蒸発させることで、ポリイミドを含む本発明の膜を得ることができ、該膜は、上記膜形成用組成物の固形分からなるものである。
あるいは、基材上に塗布した上記ポリイミド膜形成用組成物(ポリアミック酸含有溶液)を加熱し、溶媒を蒸発させつつイミド化反応をさせることで、ポリイミドを含む本発明の膜を得ることができ、該膜は上記ポリイミド膜形成用組成物の固形分からなり、該固形分中のポリアミック酸のイミド化物を含むものである
そして上記膜、すなわち上記ポリイミドを含有する膜(薄膜)も本発明の対象である。
膜の製造に用いる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、ステンレス鋼(SUS)、木材、紙、ガラス、シリコンウェハ及びスレート等が挙げられる。
特に、電子デバイスの基板材料として適用する場合においては、既存設備を利用することができるという観点から、適用する基材がガラス又はシリコンウェハであることが好ましく、また得られる膜が良好な剥離性を示すことからガラスであることがさらに好ましい。なお、適用する基材の線膨張係数としては塗工後の基材の反りの観点から、好ましくは35ppm/℃以下、より好ましくは30ppm/℃以下、より一層好ましくは25ppm/℃以下、さらに好ましくは、20ppm/℃以下である。
基材への膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物の塗布法は、特に限定されるものではないが、例えば、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等が挙げられ、目的に応じてこれらを適宜用いることができる。
加熱温度は、通常40〜500℃程度であるが、300℃以下が好ましい。300℃を超えると、得られる膜が脆くなり、特にディスプレイ基板用途に適した膜を得ることができない場合がある。
また、得られる膜の耐熱性と線膨張係数特性を考慮すると、塗布した膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物を40℃〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、そのまま段階的に加熱温度を上昇させ、最終的に175℃超〜280℃で30分〜2時間加熱することが望ましい。このように、溶媒を乾燥させる段階と分子配向を促進する段階の2段階以上の温度で加熱することにより、低熱膨張特性を発現させることができる。
特に、塗布した膜形成用組成物は、40℃〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、100℃超〜175℃で5分間〜2時間、次いで、175℃超〜280℃で5分〜2時間加熱することが好ましい。
また、ポリアミック酸を含有するポリイミド膜形成用組成物の場合には、塗膜を加熱し、溶媒を蒸発させつつイミド化反応をさせるべく、例えば、40〜100℃の範囲、100〜150℃の範囲、180〜300℃の範囲などにて段階的に加熱することができる。
加熱に用いる器具は、例えばホットプレート、オーブン等が挙げられる。加熱雰囲気は、空気下であっても窒素等の不活性ガス下であってもよく、また、常圧下であっても減圧下であってもよく、また加熱の各段階において異なる圧力を適用してもよい。
膜の厚さは、特にフレキシブルディスプレイ用の基板として用いる場合、通常1〜60μm程度、好ましくは5〜50μm程度であり、加熱前の塗膜の厚さを調整して所望の厚さの膜を形成する。
なおこのようにして形成された膜を基材から剥離する方法としては特に限定はなく、該膜を基材ごと冷却し、膜に切れ目を入れ剥離する方法やロールを介して張力を与えて剥離する方法等が挙げられる。
そして、前記膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物から形成された膜からなるフレキシブルデバイス用基板、すなわち、前記膜形成用組成物又はポリイミド膜形成用組成物の硬化物(膜形成用組成物の固形分の硬化物)又はポリイミド膜形成用組成物の硬化物(ポリイミド膜形成用組成物の固形分中のポリアミック酸のイミド化物)からなる、フレキシブルデバイス用基板も、本発明の対象である。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、使用した試薬の略語は以下のとおりである
TH:トリプチセンヒドロキノン(9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−1,4−ジオール)
HTAC:無水核水添トリメリット酸クロリド(Hydrogenated trimellitic anhydride chloride)
TH−HTAC−CA:トリプチセンヒドロキノン HTACカルボン酸
TH−HTAC:トリプチセンヒドロキノン HTAC
THF:テトラヒドロフラン
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TFMB:2,2’−ジ(トリフルオロメチル)ベンジジン
BODAxx:ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
また試料の調製及び物性の分析及び評価に用いた装置及びその条件は、以下の通りである。
1)HPLC分析
カラム:Inertsil ODS−3、5μm、4.6mm×250mm
オーブン:40℃
検出波長:254nm
流速:1.0mL/分
溶離液:
TH−HTAC−CA:アセトニトリル/0.5%リン酸水溶液=50/50 サンプル注入量:5μL
TH−HTAC:アセトニトリル/0.5%リン酸水溶液=50/50 サンプル注入量:5μL※
※TH−HTACを溶離液で100倍に希釈し、70℃で1時間撹拌後、TH−HTAC−CAとして測定
2)1HNMR分析
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT−NMR)(INOVA−400(Varian社)400MHz
溶媒:DMSO−d6
内標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
[1]化合物の合成
<実施例1−1>(TH−HTAC−CAの合成)
Figure 2018062428
窒素雰囲気下、TH(30g)、HTAC(68.1g)をテトラヒドロフラン(THF、300g)に溶解し、5℃に冷却した。この溶液に、ピリジン(24.9g)とテトラヒドロフラン(90g)の混合溶液を30分間かけて滴下し、テトラヒドロフラン(30g)で溶液を洗いこんだ。19時間撹拌後、反応溶液を5℃に冷却し、水(1260g)を加え、25℃に昇温後、30分撹拌した。析出物をろ過後、水(90g)で3回洗浄し、得られたろ取物(121.4g)を70℃にて減圧乾燥し、TH−HTAC粗物を82.5g得た。
次にこのTH−HTAC粗物(82.5g)を、酢酸エチル(787g)及び0.5%リン酸水溶液(787g)の混合溶液に加え、この懸濁溶液を還流条件下(78℃)で6時間撹拌し、該粗物を完全溶解させた。この溶液を25℃まで冷却後、水層を除去した後、有機層に水(700g)を加え、30分間撹拌後、水層を除去した。得られた有機層を濃縮後、70℃にて減圧乾燥し、TH−HTAC−CA粗物を82.5g得た。このTH−HTAC−CA粗物(82.5g)をアセトニトリル(339g)に加え、70℃に昇温し1時間撹拌した後、5℃まで冷却した。析出物をろ過後、アセトニトリル(339g)で2回洗浄し、得られたろ取物を70℃にて減圧乾燥することでTH−HTAC−CA異性体混合物を37.9g得た(収率;53.0%(2Steps)、HPLC面百(保持時間;4.9min,5.1min,5.6min,6.2min,6.4min);96.5%)。
<実施例1−2>(TH−HTACの合成)
TH−HTAC−CA(37.9g)を無水酢酸(114g)に加え、還流条件下(130℃)にて30分間撹拌後、反応液を25℃に冷却した。析出物を窒素気流化でろ過後、ろ物を無水酢酸(38g)で洗浄した。得られた未乾燥のろ物にヘキサンを加え、130℃にて減圧乾燥しTH−HTACを31.0g得た。(収率;86.3%、HPLC面百(保持時間;4.9min,5.6min,6.4min);96.8%)。
この結晶は、1HNMR分析およびHPLCによる分析結果から、TH−HTAC異性体混合物(35.1:35.5:26.3)であることを確認した。
1HNMR(DMSO−d6、δppm):7.4(m,4H)、7.0(m,4H )、6.9(m,2H)、5.6(m,2H)、3.7(m,2H)、3.4(m,2H)、3.0(m,2H)、2.5(m,2H)、2.2−1.7(m,10H).
[2]ポリイミドの製造
<実施例1−3 ポリイミド(III)の製造[TH−HTAC:CBDA:BODAxx:TFMB=10:40:50:100(モル比)]
Figure 2018062428
窒素注入/排出口を有しディーン・スターク装置及びメカニカルスターラーが取り付けられた250mL三口反応フラスコ内に、TFMB 6.4046g(0.02モル)を入れた。その後すぐにγ−ブチロラクトン(GBL)16.474gを加え、撹拌を開始した。TFMBが溶媒に完全に溶解した後、BODAxx 2.5g(0.01モル)をGBL 14.12gおよび1−エチルピペリジン 1.024gとともに加え、窒素雰囲気下で3時間、150℃に加熱した。その後、TH−HTAC 1.2932g(0.002モル)をGBL 7.06gとともに加え、窒素雰囲気下、140℃にて1時間反応させた。その後、反応混合物にCBDA 1.568g(0.008モル)、GBL 9.41gおよび1−エチルピペリジン 0.23gを加え、温度を180℃に上げて3時間反応させた。その後、固形分濃度が15質量%となるようにGBLを加えて反応混合物を希釈し、希釈した反応混合物を4時間さらに反応させ、その後、固形分濃度が12質量%となるようにGBLを加えた。
次いで、得られた反応混合物を500gのメタノール中に加えて30分間撹拌し、ろ過によって析出物であるポリイミドを回収した。この操作を3回繰り返した。
最後に、得られたポリイミド中のメタノール残渣を真空オーブンにより、120℃で8時間乾燥し、乾燥したポリイミド(III)を得た(10.5g、収率:95.1%)。
[3]ポリイミド溶液(ワニス)の調製及びポリイミド膜の作製
室温にて、前記ポリイミド(III)3gを、固形分濃度が12質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、得られたポリイミド溶液を、5μmのフィルターを用いて加圧ろ過した。
その後、ろ過したポリイミド溶液をガラス基板上に塗布し、大気下で、50℃で30分間、140℃で30分間、200℃で60分間、順次加熱し、透明のポリイミドの膜を得た。そして、得られたポリイミドの膜を機械的切断にて剥がし、評価試料とした。
上述の手順にて作製した薄膜(評価試料)の耐熱性及び光学特性、すなわち、50℃乃至200℃及び200℃乃至250℃における線熱膨張係数(CTE)、光線透過率(T400nm、T550nm)、5%重量減少温度(Td5%)、CIE b*値(黄色評価)、リタデーション(Rth、R0)並びに複屈折(Δn)に関して、下記手順に従いそれぞれ評価した。また、上記ポリイミドの数平均分子量及び重量平均分子量についても、下記手順に従い測定した。結果を表1に示す。
1)CIE b値(CIE b*
CIE b値(CIE b*)は、日本電色工業(株)製 SA4000スペクトロメーターを用いて、室温にて、リファレンスを空気として、測定を行った。
2)光線透過率(透明性)(T400nm、T550nm
波長400nm及び550nmの光線透過率(T400nm、T550nm[%])は、(株)島津製作所 紫外可視分光光度計 UV−Visible 3600を用い、室温にて、リファレンスを空気として、測定を行った。
3)リタデーション(Rth、R0
厚さ方向リタデーション(Rth)及び面内リタデーション(R0)を、王子計測機器(株)製、KOBURA 2100ADHを用いて、室温にて測定した。
なお、厚さ方向リタデーション(Rth)及び面内リタデーション(R0)は以下の式にて算出される。
0=(Nx−Ny)×d=ΔNxy×d
th=[(Nx+Ny)/2−Nz]×d=[(ΔNxz×d)+(ΔNyz×d)/2
Nx、Ny:面内の直交する2つの屈折率(Nx>Ny、Nxを遅相軸、Nyを進相軸とも称する)
Nz:面に対して厚さ(垂直)方向の屈折率
d:膜厚
ΔNxy:面内の2つの屈折率の差(Nx−Ny)(複屈折)
ΔNxz:面内の屈折率Nxと厚さ方向の屈折率Nzの差(複屈折)
ΔNyz:面内の屈折率Nyと厚さ方向の屈折率Nzの差(複屈折)
4)線膨張係数(CTE)
各評価試料を幅5mm、長さ16mmのサイズにカットし、これをTAインスツルメンツ社製 TMA Q400を用いて、まず10℃/minで昇温して50℃乃至300℃まで加熱(第一加熱)し、次いで10℃/minで降温して30℃まで冷却した後に、10℃/minで昇温して30℃乃至410℃まで加熱(第二加熱)した際の、第二加熱の50℃乃至200℃、並びに200℃乃至250℃における線膨張係数(CTE[ppm/℃])の値を測定することで求めた。なお、第一加熱、冷却および第二加熱を通じて、荷重0.05Nを加えた。
5)5%重量減少温度(Td5%
5%重量減少温度(Td5%[℃])は、TAインスツルメンツ社製 TGA Q500を用い、窒素中、樹脂薄膜約5乃至10mgを50乃至800℃まで10℃/minで昇温して測定することで求めた。なお、150℃における重量を重量減少0%とした。
6)膜厚
得られた樹脂薄膜の膜厚は、(株)テクロック製 シックネスゲージにて測定した。
7)面内複屈折(Δn)
前述の<3)リタデーション>により得られた厚さ方向リタデーション(Rth)の値を用い、以下の式にて算出した。
ΔN=[Rth/d(フィルム膜厚)]/1000
8)数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)
数平均分子量(以下、Mnと略す)と重量平均分子量(以下、Mwと略す)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製0.45μmのフィルタにてろ過したポリマー試料を、装置:昭和電工(株)製、Showdex GPC−101、カラム:KD803およびKD805、カラム温度:50℃、溶出溶媒:DMF、流量:1.5ml/分、検量線:標準ポリスチレン、の条件にて測定した。
Figure 2018062428
表1に示すように、本発明の新規な酸二無水物を用いて作製したポリイミド膜は、厚さ方向のリタデーションRthは500nm未満の値、面内リタデーションR0が5未満といった非常に低い値を有する結果となった。また波長400nmにおける透過率(T400nm)と波長550nmにおける透過率(T550nm)、そして50℃−200℃におけるCTE値と200℃−250℃におけるCTE値が、それぞれ異なる値となった。そしてTd5%値に示すように高い耐熱性を有することが確認された。
本発明の新規な酸二無水物は、共役系を破壊し光伝送のためのより大きな自由体積をもたらす嵩高い構造によって特異な配列方向を有すると考えられ、そしてそのことがポリイミド膜において、透過率とリタデーション(位相差)に優れた性能をもたらすと考えられる。
このように、本発明の新規な酸二無水物を用いて製造したポリイミド膜は、高い透明性(高い光線透過率)及び耐熱性、そして低いリタデーションという特性を有し、すなわちフレキシブルディスプレイ基板のベースフィルムとして必要な要件を満たすものであり、フレキシブルディスプレイ基板のベースフィルムとして特に好適に用いることができることが期待できる。

Claims (16)

  1. 酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸であって、
    前記酸二無水物成分が下記式(1−1)で表される酸二無水物を含むことを特徴とする、ポリアミック酸。
    Figure 2018062428
    (式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基または炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
    6及びR7は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基又は炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
    aおよびbは、互いに独立して、0〜4の整数を表し、
    cおよびdは、互いに独立して、0〜9の整数を表し、
    eは、0〜2の整数を表す。)
  2. 前記ジアミン成分が、式(A1)で表されるジアミンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミック酸。
    Figure 2018062428
    (式中、B2は、式(Y−1)〜式(Y−34)からなる群から選ばれるいずれかの基を表す。)
    Figure 2018062428
    Figure 2018062428
    Figure 2018062428
    Figure 2018062428
    Figure 2018062428
    (式中、*は結合手を表す。)
  3. 前記酸二無水物成分が、更に式(C1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のポリアミック酸。
    Figure 2018062428
    〔式中、B1は、式(X−1)〜式(X−12)からなる群から選ばれるいずれかの基を表す。
    Figure 2018062428
    (式中、複数のRは、互いに独立して、水素原子またはメチル基を表し、*は結合手を表す。)〕
  4. 請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のポリアミック酸と、有機溶媒とを含むポリイミド膜形成用組成物。
  5. 請求項4に記載のポリイミド膜形成用組成物を用いて形成されるポリイミド膜。
  6. 請求項5に記載のポリイミド膜からなるフレキシブルデバイス用基板。
  7. 請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミド。
  8. 請求項7に記載のポリイミドと、有機溶媒とを含む膜形成用組成物。
  9. 請求項8に記載の膜形成組成物を用いて形成されるポリイミド膜。
  10. 請求項9に記載のポリイミド膜からなるフレキシブルデバイス用基板。
  11. 式(1−1)で表されることを特徴とする酸二無水物。
    Figure 2018062428
    (式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基または炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
    6及びR7は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基又は炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
    aおよびbは、互いに独立して、0〜4の整数を表し、
    cおよびdは、互いに独立して、0〜9の整数を表し、
    eは、0〜2の整数を表す。)
  12. 式(1−2)で表されることを特徴とする、請求項11に記載の酸二無水物。
    Figure 2018062428
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、a、b、c、dおよびeは、前記と同じ意味を示す。)
  13. 式(1−3)で表されることを特徴とする、請求項12に記載の酸二無水物。
    Figure 2018062428
  14. 式(2−1)で表されることを特徴とするテトラカルボン酸。
    Figure 2018062428
    (式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基または炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
    6及びR7は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5のアルキル基又は炭素原子数1乃至5のアルコキシ基を表し、
    aおよびbは、互いに独立して、0〜4の整数を表し、
    cおよびdは、互いに独立して、0〜9の整数を表し、
    eは、0〜2の整数を表す。)
  15. 式(2−2)で表されることを特徴とする、請求項14に記載のテトラカルボン酸。
    Figure 2018062428
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、a、b、c、dおよびeは、前記と同じ意味を示す。)
  16. 式(2−3)で表されることを特徴とする、請求項15に記載のテトラカルボン酸。
    Figure 2018062428
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