JPWO2018062318A1 - SiC単結晶の製造方法及び製造装置、並びにSiC単結晶の製造に用いるシードシャフト - Google Patents
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Abstract
高品質で結晶厚みの大きいSiC単結晶を製造できる製造方法を提供する。製造方法は、シードシャフトの下端面に取り付けられた種結晶(8)の結晶成長面(81)をSi−C溶液(7)に接触させてSiC単結晶を成長させる、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、坩堝(2)に収容された原料を加熱して溶融させ、Si−C溶液(7)を生成する工程と、結晶成長面(81)をSi−C溶液(7)に接触させ、結晶成長面(81)上にSiC単結晶を成長させる工程とを備える。シードシャフト(6)は、少なくとも、下端と下端から30mmの位置との間の領域(61)のうち、種結晶(8)が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である。
Description
本発明は、SiC単結晶の製造方法及び製造装置、並びにSiC単結晶の製造に用いるシードシャフトに関する。
炭化珪素(SiC)は、熱的及び化学的に安定な化合物半導体である。SiC単結晶はSi単結晶と比較して、優れた物性を有する。例えば、SiC単結晶はSi単結晶と比較して、大きいバンドギャップ、高い絶縁破壊電圧、及び高い熱伝導率を有し、電子の飽和速度も大きい。そのためSiC単結晶は、次世代の半導体材料として注目されている。
SiC単結晶を製造する方法として、昇華再結晶法及び溶液成長法等が知られている。昇華再結晶法では、原料を気相の状態にしてSiCの種結晶の上に供給することで、種結晶上にSiC単結晶を成長させる。溶液成長法では、Si−C溶液にSiCの種結晶を接触させて、種結晶上にSiC単結晶を成長させる。具体的には、坩堝内にSiを含む原料を入れ、坩堝を加熱して原料を溶融させ、Si−C溶液を生成する。Si−C溶液に種結晶を接触させて、種結晶近傍のSi−C溶液を過飽和にすることで、SiC単結晶を製造する。ここで、Si−C溶液とは、Si又はSi合金の融液に炭素が溶解した溶液をいう。
溶液成長法は、再結晶法と比較して結晶成長速度が小さく、結晶成長速度を大きくすることが課題である。特開2013−147397号公報には、側面が反射部材によって覆われた種結晶保持軸を用いるSiC単結晶の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、反射部材によって種結晶保持軸を介した抜熱が向上し、成長速度が大きくなる。なおこの製造方法では、反射部材は、種結晶と直接接触しないように単結晶との間に間隙を開けて配置される。
溶液成長法ではまた、溶液内の低温部分で多結晶が析出するという問題があり、この多結晶が成長結晶に付着しないようにすることも課題である。特開2010−184838号公報には、炭素棒下端の側面部に溶液に対して炭素棒より濡れ性の低い多結晶発生阻害部が設けられたSiC単結晶製造装置が開示されている。特開2013−1619号公報には、中蓋及び上蓋を含む坩堝を備えたSiC単結晶の製造装置が開示されている。
SiC単結晶を製造する際、その製造方法にかかわらず、多結晶の発生、異種の結晶多形の混入、結晶欠陥及び転位の導入等が生じ、SiC単結晶の品質が低下する場合がある。SiC単結晶には、さらなる品質の向上が求められている。また、生産性向上の観点から、結晶の長尺化技術が求められている。
近年、溶液成長法では、種結晶の結晶成長面上に形成されるSiC単結晶の厚みを厚くすることが検討されている。SiC単結晶の厚みを厚くするためには、SiC単結晶の成長速度を大きくするか、SiC単結晶の成長時間を長くする必要がある。しかし、SiC単結晶の成長時間を長くすると、SiC単結晶の品質が低下するという問題がある。
特開2014−201508号公報には、SiC種結晶の結晶成長面上に形成されるSiC単結晶の厚みを厚くすることができるSiC単結晶の製造方法が開示されている。この製造方法は、準備工程と、生成工程と、成長工程とを備える。準備工程では、Si−C溶液の原料が収容される坩堝と、坩堝の側壁の周囲に配置される高周波コイルとを含む製造装置を準備する。生成工程では、坩堝内の原料を高周波コイルで加熱して溶融させ、Si−C溶液を生成する。成長工程では、Si−C溶液にSiCの種結晶を接触させ、種結晶上でSiC単結晶を成長させる。成長工程は、維持工程を含む。維持工程では、坩堝及び高周波コイルの少なくとも一方を他方に対して高さ方向に相対移動させ、Si−C溶液の液面と高周波コイルの高さ中心との高さ方向における離隔距離を所定の範囲内に維持する。
SiC単結晶の成長時間を長くすると、SiC単結晶の成長が進行することや、Si−C溶液が蒸発することによって、Si−C溶液の液面が低下する。Si−C溶液の液面が低下すると、高周波コイルによるSi−C溶液の加熱条件が変化し、SiC種結晶近傍のSi−C溶液の温度が変化する。これによって、当該領域のSiCの過飽和度が変化する。そのため、安定したSiC単結晶の成長が阻害され、SiC単結晶の品質が低下する。
上記製造方法では、SiC単結晶を成長させるときに、Si−C溶液の液面と高周波コイルの高さ中心との高さ方向における離隔距離を所定の範囲内に維持する。そのため、高周波コイルによるSi−C溶液の加熱条件が変化しにくくなる。その結果、SiC単結晶近傍の温度、延いては、SiC単結晶近傍の過飽和度の変化を抑制することができる。
特開2014−201509号公報に記載されたSiC単結晶の製造方法も、準備工程と、生成工程と、成長工程とを備える。この製造方法では、成長工程は、形成工程と、維持工程とを含む。形成工程では、SiC単結晶の成長界面とSi−C溶液の液面との間にメニスカスを形成する。維持工程では、シードシャフト及び坩堝の少なくとも一方を他方に対して高さ方向に相対移動させることにより、メニスカスの高さの変動幅を所定の範囲内に維持する。
上記製造方法では、SiC単結晶を成長させるときに、メニスカスの高さの変動幅を所定の範囲内に維持する。そのため、メニスカス高さの変動に起因する、種結晶近傍の過飽和度の変化を抑制することができる。
特開2014−201508号公報及び特開2014−201509号公報に開示された技術は、結晶厚みの大きいSiC単結晶を製造するための有効な手段である。しかし、結晶厚みをさらに大きくするためには、制御しなければならない成長条件パラメータがさらに存在することが明らかになった。
本発明の目的は、高品質で結晶厚みの大きいSiC単結晶を製造できる製造方法及び製造装置、並びにこれらに用いるシードシャフトを提供することである。
本発明の一実施形態による製造方法は、シードシャフトの下端面に取り付けられた種結晶の結晶成長面をSi−C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、坩堝に収容された原料を加熱して溶融させ、前記Si−C溶液を生成する工程と、前記結晶成長面を前記Si−C溶液に接触させ、前記結晶成長面上に前記SiC単結晶を成長させる工程とを備える。前記シードシャフトは、少なくとも、下端と下端から30mmの位置との間の領域のうち、前記種結晶が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である。
本発明の一実施形態による製造装置は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いる製造装置であって、Si−C溶液が収容される坩堝と、下端面に種結晶が取り付けられるシードシャフトとを備える。前記シードシャフトは、少なくとも、下端と下端から30mmの位置との間の領域のうち、前記種結晶が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である。
本発明の一実施形態によるシードシャフトは、下端面に種結晶を取り付け、前記種結晶の結晶成長面をSi−C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いるシードシャフトであって、少なくとも、下端と下端から30mmの位置との間の領域のうち、前記種結晶が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である。
本発明によれば、高品質で結晶厚みの大きいSiC単結晶を製造できる製造方法及び製造装置、並びにこれらに用いるシードシャフトが得られる。
本発明者らは、溶液成長法によるSiC単結晶の製造を長時間安定して実施する方法について検討した。その結果、以下の知見を得た。
溶液成長法では、シードシャフトの下端面にSiCの種結晶を取り付け、種結晶の結晶成長面をSi−C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる。シードシャフトは、一般的に黒鉛等の炭素質の材料からなり、気孔を有する多孔質構造である。SiC単結晶の成長時間を長くすると、蒸気がシードシャフトの内部まで侵入する。侵入した蒸気は、シードシャフトを構成する炭素等と化学反応する場合もあれば、シードシャフト内部で液化して金属として残存する場合もある(以下では、この両者を合わせて、蒸気とシードシャフトとが「反応」すると称する。)。
このように、シードシャフトが長時間Si−C溶液の蒸気に曝されると、一種の複合材料が形成され、初期の状態から熱的特性が変化する。例えば、気孔内に金属等が侵入することによって、シードシャフトの熱伝導率が高くなる。これによって、SiC単結晶の成長中、シードシャフトからの抜熱量が大きくなり、種結晶近傍の過飽和度が大きくなる。種結晶近傍の過飽和度が過剰に大きくなると、2次元的な成長から3次元的な成長表面形態に変化する。その結果、溶媒インクルージョンが形成されやすくなり、SiC単結晶の品質が低下する。
ガス透過率を従来のものに比べて低下させたシードシャフトを用いることで、Si−C溶液の蒸気とシードシャフトとが反応するのを抑制できる。これによって、蒸気との反応によるシードシャフトの熱的特性の変化、及びこれに起因する種結晶近傍の過飽和度の変化を抑制し、SiC単結晶を長時間安定して成長させることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成された。以下、図面を参照して、本発明の一実施形態によるSiC単結晶の製造方法及び製造装置、並びにこれらに用いるシードシャフトついて説明する。図面は必ずしも実際の寸法比等を忠実に表したものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態によるSiC単結晶の製造方法のフロー図である。この製造方法は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、準備工程(ステップS1)と、Si−C溶液を生成する生成工程(ステップS2)と、種結晶をSi−C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる成長工程(ステップS3)とを備えている。以下、各工程を詳述する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるSiC単結晶の製造方法のフロー図である。この製造方法は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、準備工程(ステップS1)と、Si−C溶液を生成する生成工程(ステップS2)と、種結晶をSi−C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる成長工程(ステップS3)とを備えている。以下、各工程を詳述する。
[準備工程(ステップS1)]
この工程では、製造装置、SiCの種結晶、及びSi−C溶液の原料を準備する。
この工程では、製造装置、SiCの種結晶、及びSi−C溶液の原料を準備する。
[製造装置の構成]
図2は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いる製造装置の一例である製造装置100の模式的断面図である。図2に示す製造装置100の構成は例示であり、本実施形態に用いる製造装置の構成は、これに限定されない。
図2は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いる製造装置の一例である製造装置100の模式的断面図である。図2に示す製造装置100の構成は例示であり、本実施形態に用いる製造装置の構成は、これに限定されない。
製造装置100は、チャンバ1、坩堝2、断熱材3、高周波コイル4、回転軸5及びシードシャフト6を備えている。
チャンバ1は、坩堝2、断熱材3、及び高周波コイル4を収容する。SiC単結晶を製造するとき、チャンバ1は水冷される。
坩堝2は、筒部21と、筒部21の下端に配置された底部22とを含んでいる。坩堝2は、Si−C溶液7の原料を収容する。坩堝2は、好ましくは、炭素を含有する。坩堝2が炭素を含有する場合、坩堝2は、Si−C溶液7への炭素の供給源となる。
断熱材3は、坩堝2の周囲を囲むように配置されている。断熱材3は、坩堝2を保温する。高周波コイル4は、坩堝2及び断熱材3の外側に配置されている。高周波コイル4は、坩堝2を誘導加熱する。高周波コイル4の鉛直方向の長さは、Si−C溶液7の鉛直方向の長さよりも長いことが好ましい。高周波コイル4の鉛直方向の長さは、より好ましくは、坩堝2の鉛直方向の長さ以上である。
回転軸5は、軸方向が鉛直方向と平行になるように配置されている。回転軸5は、一方の端部で坩堝2を支持する。回転軸5の他方の端部は、チャンバ1の下方に配置された駆動装置59に接続されている。駆動装置59は、回転軸5を軸方向の回りに回転させる。この構成によれば、坩堝2を回転させることができる。駆動装置59は、回転軸5を昇降する機能を備えていてもよい。この構成によれば、坩堝2とコイル4との相対位置を変化させて、Si−C溶液7の温度分布を調整することができる。
シードシャフト6は、軸方向が鉛直方向と平行になるように配置されている。シードシャフト6の下端面には、SiCの種結晶8が取り付けられる。シードシャフト6の他方の端部は、チャンバ1の上方に配置された駆動装置69に接続されている。駆動装置69は、シードシャフト6を昇降する。後述するように、成長工程では、Si−C溶液7を生成後、シードシャフト6を下降させて種結晶8とSi−C溶液7とを接触させる。駆動装置69は、シードシャフト6を軸方向の回りに回転させる機能を備えていてもよい。
後述するように、成長工程は、例えば1600〜2050℃で実施される。シードシャフト6の少なくとも断熱材3の内側に位置する部分は、このような高温に耐えられる材料で形成されている。シードシャフト6は、例えば高融点金属、高融点金属の炭化物、又は炭素で形成されている。シードシャフト6は、経済的な観点から、炭素で形成されていることが好ましい。
シードシャフト6は、好ましくは外径が25mm以上であり、より好ましくは外径が40mm以上であり、さらに好ましくは外径が45mm以上である。
本実施形態では、シードシャフト6の下端近傍のおける表層のガス透過率を5×10−5m2/s以下にする。具体的には、下端と下端から高さhだけ離れた位置との間の領域(以下「領域61」と呼ぶ。)において、表層のガス透過率を5×10−5m2/s以下にする。表層のガス透過率は、好ましくは5×10−6m2/s以下であり、さらに好ましくは5×10−7m2/s以下である。
シードシャフト6の表層のガス透過率を低くすることで、Si−C溶液7の蒸気がシードシャフト6の内部に侵入するのを抑制できる。ここで「表層のガス透過率」とは、表面から3mmの深さまでの領域におけるガス透過率をいう。表層のガス透過率が高ければ、内部のガス透過率が低くても、表層でシードシャフト6とSi−C溶液7の蒸気とが反応するため、シードシャフト6の熱的特性の変化を抑制できない。一方、表層のガス透過率が低ければ、内部のガス透過率は高くてもよい。
シードシャフト6は、表層と内部とにおいて異なる材料で形成されていてもよい。また、シードシャフト6は、中空であってもよい。シードシャフト6の内部を別の材料で形成したり、中空にしたりすることで、結晶成長中のシードシャフト6からの抜熱量を調整することができる。
領域61の高さhは、少なくとも30mm以上である。高さhが大きいほど、Si−C溶液7の蒸気の影響を小さくすることができる。高さhは、好ましくは40mm以上であり、さらに好ましくは50mm以上である。シードシャフト6は、全長にわたって表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下であってもよい。
領域61のうち、種結晶8が取り付けられる部分は、ガス透過率が高くてもよい。この部分は、種結晶8に覆われてSi−C溶液7の蒸気と接触しないためである。すなわち、シードシャフト6は、少なくとも、領域61のうち、種結晶8が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下であればよい。図2に示す例では、種結晶8の径が、シードシャフト6の径よりも大きい。そのため、シードシャフト6の下端面は、種結晶8にすべて覆われる。この場合、下端面の表層のガス透過率は5×10−5m2/s以下であってもよいし、5×10−5m2/sよりも高くてもよい。
シードシャフト6の表層のガス透過率は、例えば、シードシャフト6の表面にカーボン接着材を塗布し、シードシャフト6の開気孔率を下げることで制御できる。カーボン接着材は、樹脂に炭素の粉末を練り込んだものである。この場合、カーボン接着材の配合や塗布量によって、ガス透過率を調整することができる。
シードシャフト6の表面にカーボン接着剤を塗布して開気孔率を下げる場合、領域61うち、種結晶8が取り付けられる領域以外の領域に隈なくカーボン接着剤を塗布する必要がある。カーボン接着剤が塗布されていない部分が少しでもあると、その部分からガスが浸入するため、ガス透過率を5×10−5m2/s以下にすることができない。そのため、例えば刷毛等を用いて、領域61のうち、種結晶8が取り付けられる領域以外の領域の全面にカーボン接着剤を塗布するようにする。
あるいは、シードシャフト6の表層のガス透過率は、SiCやパイロリティック・グラファイト(PG)をコーティングすることによっても制御できる。コーティングには例えば、化学気相成長(CVD)法を用いることができる。この場合、CVD法に用いるガスの混合比や流量によって、ガス透過率を調整することができる。
シードシャフト6の表層のガス透過率を下げる手段として他に、シードシャフト6の周りをガス透過率の低い遮蔽部材(例えばカーボンシート等)で覆うことが考えられる。しかし、この手段では遮蔽部材の端部からガスが浸入するため、ガス透過率を5×10−5m2/s以下にすることは困難である。
シードシャフト6の表層のガス透過率は、曽我部敏明、岡田雅樹、「大型円筒等方性黒鉛のガス透過率」、炭素、1995(No.168)、第176−178頁に記載されている方法に準じて、次のように測定する。
図3は、ガス透過率の測定装置9の模式図である。この測定装置9は、第1チャンバ91と、第2チャンバ92とを備えている。
シードシャフト6の領域61(図2)から、表層を含む円筒状の試験片6Aを採取する。シードシャフト6が中実の場合には、内部をくり抜いて円筒状にする。試験片6Aの一方の開口がチャンバ92に通じるように配置し、他方の開口は蓋93で塞いでおく。試験片6Aの端部は、パッキン94でシールしておく。この状態で、試験片6Aを第1チャンバ91に収容する。
第1チャンバ91に窒素を充填して、試験片6Aの外側に所定の圧力(例えば、100〜300kPa)を加える。一方、第2チャンバ92内は真空排気して減圧する。これによって、第1チャンバ91内の窒素ガスは試験片6Aを通じて第2チャンバ92へ流れ、第2チャンバ92の圧力が上昇する。このとき、試験片6Aのガス透過率K(m2/s)は、下記の式で求められる。
ここで、ΔPは試験片6A内外の圧力差(Pa)、Lは試験片6Aの厚み(m)、Aはガス透過面積(m2)、PB1は時刻t1における第2チャンバ92の圧力(Pa)、PB2は時刻t2における第2チャンバ92の圧力(Pa)、VBは第2チャンバ91の容積(m3)である。なお、ガス透過面積は、試験片6Aの外周と内周の表面積の対数平均とする。
上記の式のとおり、ガス透過率は、試験片の厚さの逆数及びガス透過面積で規格化された量である。試験片6Aのガス透過率が全体にわたって均質であれば、理論的には、ガス透過率の値は試験片6Aの寸法に依存しない。
試験片6Aのガス透過率に分布がある場合、測定されるガス透過率の値は、試験片6A全体におけるガス透過率の平均値になる。上述したシードシャフト6にカーボン接着材を塗布する方法や、シードシャフト6をコーティングする方法によってガス透過率を制御した場合、シードシャフト6は、表面に近いほどガス透過率が低くなると考えられる。そのため、表面から3mm以上の領域を含む試験片で測定してガス透過率が5×10−5m2/s以下であれば、表面から3mmの深さまでの領域におけるガス透過率も5×10−5m2/s以下であると結論できる。
シードシャフト6の下端面を含めてガス透過率を測定する場合、図4に示すように、シードシャフト6から底部を含む有底筒状の試験片6Bを採取し、上記と同様に測定すればよい。
[種結晶]
次に、SiCの種結晶8を準備する。種結晶8は、SiCの単結晶である。種結晶8は、結晶成長面81が坩堝2の底部22と対向するように、シードシャフト6の下端面に取り付けられる。
次に、SiCの種結晶8を準備する。種結晶8は、SiCの単結晶である。種結晶8は、結晶成長面81が坩堝2の底部22と対向するように、シードシャフト6の下端面に取り付けられる。
種結晶8は、製造するSiC単結晶と同じ結晶構造のSiC単結晶であることが好ましい。例えば、4H多形のSiC単結晶を製造する場合、4H多形の種結晶を用いることが好ましい。4H多形の種結晶を用いる場合、結晶成長面81を(0001)面若しくは(000−1)面、又は(0001)面若しくは(000−1)面から8°以下の角度で傾斜した面とすることが好ましい。これらの面を用いることで、SiC単結晶を安定に成長させることができる。
[Si−C原料]
次に、Si−C溶液7の原料を坩堝2に配置する。原料は例えば、シリコンのみであってもよいし、シリコンと他の金属元素との混合物であってもよい。金属元素は例えば、チタン、マンガン、クロム、コバルト、バナジウム、鉄等である。原料は例えば、塊であってもよいし、粉末であってもよい。
次に、Si−C溶液7の原料を坩堝2に配置する。原料は例えば、シリコンのみであってもよいし、シリコンと他の金属元素との混合物であってもよい。金属元素は例えば、チタン、マンガン、クロム、コバルト、バナジウム、鉄等である。原料は例えば、塊であってもよいし、粉末であってもよい。
[生成工程(ステップS2)]
チャンバ1内に不活性ガスを充填する。高周波コイル4によって坩堝2を誘導加熱し、坩堝2内の原料を融点以上に加熱する。坩堝2が炭素を含有する場合、坩堝2を加熱すると、坩堝2から炭素が融液に溶け込み、Si−C溶液7が生成される。坩堝2が炭素を含有しない場合、外部から炭素を供給するようにしてもよい。炭素がSi−C溶液7に溶け込むと、Si−C溶液7内の炭素溶解度は飽和濃度に近づく。
チャンバ1内に不活性ガスを充填する。高周波コイル4によって坩堝2を誘導加熱し、坩堝2内の原料を融点以上に加熱する。坩堝2が炭素を含有する場合、坩堝2を加熱すると、坩堝2から炭素が融液に溶け込み、Si−C溶液7が生成される。坩堝2が炭素を含有しない場合、外部から炭素を供給するようにしてもよい。炭素がSi−C溶液7に溶け込むと、Si−C溶液7内の炭素溶解度は飽和濃度に近づく。
[成長工程(ステップS3)]
駆動装置69によってシードシャフト6を下降させ、Si−C溶液7に種結晶8の結晶成長面81を接触させる。この状態で、高周波コイル4を制御し、種結晶8の近傍のSi−C溶液7を結晶成長温度に保持する。結晶成長温度は、例えば1600〜2050℃であり、好ましくは1850〜2000℃である。このとき、種結晶8の近傍を低温にして、SiCを過飽和状態にする。SiCが過飽和状態になることによって、結晶成長面81上にSiC単結晶が成長する。
駆動装置69によってシードシャフト6を下降させ、Si−C溶液7に種結晶8の結晶成長面81を接触させる。この状態で、高周波コイル4を制御し、種結晶8の近傍のSi−C溶液7を結晶成長温度に保持する。結晶成長温度は、例えば1600〜2050℃であり、好ましくは1850〜2000℃である。このとき、種結晶8の近傍を低温にして、SiCを過飽和状態にする。SiCが過飽和状態になることによって、結晶成長面81上にSiC単結晶が成長する。
種結晶8の近傍を低温にする方法は、特に限定されない。例えば、高周波コイル4を制御して、種結晶8近傍の温度を他の領域の温度よりも低くしてもよい。あるいは、種結晶8の近傍を冷媒によって冷却してもよい。具体的には、シードシャフト6の内部に冷媒を循環させてもよい。冷媒は例えば、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガスである。シードシャフト6の内部に冷媒を循環させることによって、種結晶8が冷却され、種結晶8の近傍の温度も低くすることができる。
このとき、駆動装置59によって回転軸5及び坩堝2を回転させることが好ましい。また、駆動装置69によってシードシャフト6及び種結晶8を回転させることが好ましい。坩堝2の回転方向と種結晶8の回転方向は、同じであってもよいし、反対であってもよい。それぞれの回転速度は、一定であってもよいし、変動させてもよい。
[第1の実施形態の効果]
種結晶8の近傍を過飽和状態に保持する時間(以下「成長時間」という。)を長くすることで、結晶成長面81上に形成されるSiC単結晶の厚みを厚くすることができる。一方、成長時間を長くすると、Si−C溶液7の蒸気とシードシャフト6との反応が進行し、シードシャフト6の熱的特性が初期状態から変化する。
種結晶8の近傍を過飽和状態に保持する時間(以下「成長時間」という。)を長くすることで、結晶成長面81上に形成されるSiC単結晶の厚みを厚くすることができる。一方、成長時間を長くすると、Si−C溶液7の蒸気とシードシャフト6との反応が進行し、シードシャフト6の熱的特性が初期状態から変化する。
シードシャフト6の熱的特性が変化すると、シードシャフト6からの伝熱及び輻射による抜熱量が変化する。これによって、種結晶8の近傍のSi−C溶液7の過飽和度も変化する。過飽和度が適正な範囲を外れると、安定したSiC単結晶の成長ができなくなる。具体的には、異種多形、異方位の結晶が形成されたり、溶媒インクルージョンが形成されたりしやすくなる。
本実施形態による製造方法によれば、シードシャフト6は、少なくとも、領域61のうち、種結晶8が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である。シードシャフト6の表層のガス透過率を低くすることで、Si−C溶液7の蒸気がシードシャフト6の内部に侵入するのを抑制できる。
シードシャフト6を用いて成長工程を実施することで、成長時間を長くしても、Si−C溶液7の蒸気とシードシャフト6とが反応するのを抑制できる。そのため、シードシャフト6の熱的特性を長時間、初期状態に維持することできる。これによって、溶液成長法によるSiC単結晶の製造を長時間安定して実施することができる。そのため、高品質で結晶厚みの大きいSiC単結晶を製造することができる。
本実施形態による製造方法は、これに限定されないが、シードシャフト6の径が大きい場合、例えばシードシャフトの径が25mm以上の場合に好適である。シードシャフト6の径が大きいほど、シードシャフト6からの抜熱の量が大きくなり、シードシャフト6の特性の変化による結晶成長への影響が大きくなる。本実施形態による製造方法は、シードシャフト6の径が40mm以上の場合、特に好適である。
本実施形態による製造方法は、これに限定されないが、成長時間が長い場合、例えば成長時間が30時間以上の場合に好適である。成長時間が長い程、シードシャフト6と蒸気との反応による影響が顕在化するからである。本実施形態による製造方法は、成長時間が40時間以上の場合、特に好適である。
[製造装置の他の例1]
図5は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いる製造装置の他の例である製造装置200の模式的断面図である。製造装置200は、製造装置100(図2)と比較して、坩堝の構成が異なっている。製造装置200は、製造装置100の坩堝2に代えて、坩堝25を備えている。
図5は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いる製造装置の他の例である製造装置200の模式的断面図である。製造装置200は、製造装置100(図2)と比較して、坩堝の構成が異なっている。製造装置200は、製造装置100の坩堝2に代えて、坩堝25を備えている。
坩堝25は、筒部21、及び筒部21の下端に配置された底部22に加えて、中蓋23をさらに備えている。中蓋23は、筒部21及び底部22からなる坩堝25の本体にSi−C溶液7が収容された状態で、Si−C溶液7の液面よりも上方に位置するように配置されている。中蓋23は、シードシャフト6を通す貫通孔23aを有している。
坩堝25の構成によれば、Si−C溶液7の液面からの輻射が中蓋23によって遮られる。そのため、Si−C溶液7の液面と中蓋23との間の空間が保温される。この構成によれば、Si−C溶液7の種結晶8近傍以外の領域の温度を均一にすることができる。
中蓋23は、シードシャフト6と同様、高温に耐えられる材料で形成されている。中蓋23は、炭素で形成されていることが好ましい。中蓋23は、シードシャフト6と同様、成長時間を長くすると、Si−C溶液7の蒸気と反応し、熱的特性が初期状態から変化する。これによって、Si−C溶液7の液面と中蓋23との間の空間の温度分布も初期状態から変化する。
本実施形態では、中蓋23の少なくとも下面231の表層のガス透過率を5×10−5m2/s以下にする。この構成によれば、成長時間を長くしても、Si−C溶液7の蒸気と中蓋23とが反応するのを抑制できる。そのため、中蓋23の熱的特性を長時間、初期状態に維持できる。中蓋23の下面231の表層のガス透過率は、好ましくは5×10−6m2/s以下であり、より好ましくは5×10−7m2/s以下である。
中蓋23は、Si−C溶液7の蒸気と接する下面の表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下であればよい。中蓋23の内部及び上面のガス透過率は任意である。
中蓋23の下面の表層のガス透過率は、シードシャフト6の場合と同様に、中蓋23にカーボン接着材を塗布したり、中蓋23にSiCやPGをコーティングしたりすることによって制御できる。
中蓋23の表層のガス透過率は、図6に示すように、中蓋23から試験片23Aを採取し、シードシャフト6の場合(図3及び図4)と同様にして測定することができる。
[製造装置の他の例2]
図7は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いる製造装置の他の例である製造装置300の模式的断面図である。製造装置300は、製造装置100(図2)と比較して、シードシャフトの構成が異なっている。製造装置300は、製造装置100のシードシャフト6に代えて、シードシャフト65を備えている。
図7は、溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いる製造装置の他の例である製造装置300の模式的断面図である。製造装置300は、製造装置100(図2)と比較して、シードシャフトの構成が異なっている。製造装置300は、製造装置100のシードシャフト6に代えて、シードシャフト65を備えている。
シードシャフト65は、本体66と、本体66の下端面に取り付けられた台座67とを備えている。本体66と台座67とは、例えばネジによって接続されていてもよいし、接着材で固定されていてもよい。また、本体66と台座67とが一体的に構成されていてもよい。すなわち、シードシャフト65は、一つの部材から構成されていてもよい。
種結晶8は、台座67の下端面に取り付けられる。この構成によれば、本体66及び台座67の径を調整することによって、シードシャフト65からの抜熱量を調整し、種結晶8の近傍の過飽和度を制御することができる。図7に示す例では、種結晶8の径は、本体66の径よりも小さく、台座67の径よりも大きい。
本実施形態においても、シードシャフト65の下端と下端から高さhだけ離れた位置との間の領域において、シードシャフト65の表層のガス透過率を5×10−5m2/s以下にする。シードシャフト65の下端と下端から高さhだけ離れた位置との間の領域は、本体66の一部の領域661及び台座67を含む。すなわち、本実施形態では、領域661及び台座67の表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である。
本実施形態においても、種結晶8が取り付けられる部分は、ガス透過率が高くてもよい。図7に示す例では、種結晶8の径は台座67の径よりも大きいので、台座67の下端面は種結晶8によってすべて覆われる。そのため、台座67の下端面の表層はガス透過率が高くてもよい。一方、本体66の下端面は一部露出しているので、この部分では、表層のガス透過率を5×10−5m2/s以下にする必要がある。
シードシャフト65によっても、シードシャフト6の場合と同様、成長時間を長くしても、Si−C溶液7の蒸気との反応を抑制できる。そのため、シードシャフト65の熱的特性を長時間、初期状態に維持することができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態によるSiC単結晶の製造方法は、第1の実施形態と比較して、成長工程(図1のステップS3)が異なっている。
本発明の第2の実施形態によるSiC単結晶の製造方法は、第1の実施形態と比較して、成長工程(図1のステップS3)が異なっている。
本実施形態では、成長工程において、種結晶8をSi−C溶液7に接触させた後、シードシャフト6を所定の距離だけ上昇させる。これによって、図8に示すように、種結晶8とSi−C溶液7との間にメニスカス71が形成される。メニスカス71の高さは、種結晶8とSi−C溶液7の液面との間の距離dによって制御することができる。
本実施形態によれば、メニスカス71によって、SiC単結晶の拡大角を調整することができる。
なお、SiC単結晶の成長時間を長くすると、SiC単結晶の成長が進行することや、Si−C溶液7が蒸発することによって、Si−C溶液7の液面が低下する。Si−C溶液7の液面が低下することによって、種結晶8とSi−C溶液7の液面との間の距離dが変化し、メニスカス71の形状が初期状態から変化する。メニスカス71の形状が変化すると、これに伴って、種結晶8近傍の過飽和度も変化する。安定して長時間の成長を行うためには、Si−C溶液7の液面の低下を補償する方向に、シードシャフト6及び/又は坩堝2を移動させることが好ましい。すなわち、Si−C溶液7の液面が低下する速度を予め見積もっておき、同じ速度でシードシャフト6を下降させるか、同じ速度で坩堝2を上昇させることが好ましい。あるいは、種結晶8とSi−C溶液7の液面との間の距離dが一定となるように、シードシャフト6及び坩堝2の両方を移動させてもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
シードシャフトのガス透過率等を代えてSiC単結晶を製造し、製造したSiC単結晶の品質を評価した。
[実施例1]
製造装置100(図2)に準じた装置を用いて、SiC単結晶を製造した。Si−C溶液の原料の組成は、原子比で、Si:Cr=0.6:0.4とした。種結晶は、直径50.8mmの4H多形のSiC単結晶とし、結晶成長面は(000−1)面とした。
製造装置100(図2)に準じた装置を用いて、SiC単結晶を製造した。Si−C溶液の原料の組成は、原子比で、Si:Cr=0.6:0.4とした。種結晶は、直径50.8mmの4H多形のSiC単結晶とし、結晶成長面は(000−1)面とした。
シードシャフトは等方性の黒鉛からなる、直径46mmの中実のものを使用した。シードシャフトは、側面及び底面にカーボン接着材を隈なく、かつ薄く塗布して、開気孔を閉塞してガス透過率を低下させた。カーボン接着材の塗布領域は、シードシャフトの下端と下端から50mmの間の領域とした。シードシャフトは、カーボン接着材を塗布した後、大気雰囲気下で250℃、1時間焼成し、カーボン接着材のバインダー成分を揮発させた。同じ条件で調整したシードシャフトから試験片を採取し、室温で表層のガス透過率を測定した。ガス透過率は、5×10−5m2/sであった。
このシードシャフトを用いて、種結晶をSi−C溶液に接触させる結晶成長を実施した。結晶成長温度は1950℃、種結晶近傍の温度勾配は12℃/cmであった。種結晶をSi−C溶液に接触させた後、シードシャフトを0.5mm上昇させてメニスカスを形成した。成長開始から40時間経過した後、シードシャフトを上昇させて種結晶をSi−C溶液から引き離し、結晶成長を終了させた。
[実施例2]
シードシャフトへのカーボン接着材の塗布量を変えて、開気孔の閉塞度合を向上させた。同じ条件で調整したシードシャフトから採取した試験片によって測定した室温における表層のガス透過率は、5×10−6m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
シードシャフトへのカーボン接着材の塗布量を変えて、開気孔の閉塞度合を向上させた。同じ条件で調整したシードシャフトから採取した試験片によって測定した室温における表層のガス透過率は、5×10−6m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
[実施例3]
シードシャフトへのカーボン接着材の塗布に代えて、CVD法によってSiCを約10μmコーティングした。同じ条件で調整したシードシャフトから採取した試験片によって測定した室温における表層のガス透過率は、5×10−7m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
シードシャフトへのカーボン接着材の塗布に代えて、CVD法によってSiCを約10μmコーティングした。同じ条件で調整したシードシャフトから採取した試験片によって測定した室温における表層のガス透過率は、5×10−7m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
[実施例4]
製造装置200(図5)に準じた装置を用いて、SiC単結晶を製造した。Si−C溶液の液面から10mm上の位置に、厚さ5mmの黒鉛製の中蓋を設置した。中蓋の両面(側面も含む)にカーボン接着材を塗布した。中蓋は、カーボン接着材を塗布した後、大気雰囲気下で250℃、1時間焼成し、カーボン接着材のバインダー成分を揮発させた。同じ条件で調整した中蓋から採取した試験片によって測定した室温における表層のガス透過率は、5×10−5m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
製造装置200(図5)に準じた装置を用いて、SiC単結晶を製造した。Si−C溶液の液面から10mm上の位置に、厚さ5mmの黒鉛製の中蓋を設置した。中蓋の両面(側面も含む)にカーボン接着材を塗布した。中蓋は、カーボン接着材を塗布した後、大気雰囲気下で250℃、1時間焼成し、カーボン接着材のバインダー成分を揮発させた。同じ条件で調整した中蓋から採取した試験片によって測定した室温における表層のガス透過率は、5×10−5m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
[実施例5]
製造装置300(図7)に準じた装置を用いて、SiC単結晶を製造した。シードシャフトは、直径75mmの中実構造の本体の下端に、直径46mmで高さ5mmの台座を取り付けたものを使用した。本体及び台座はともに等方性の黒鉛である。直径50.8mmの種結晶は台座の下端面に取り付けた。本体の側面及び底面、並びに台座の側面に、カーボン接着材を隈なく、かつ薄く塗布して、開気孔を閉塞してガス透過率を低下させた。カーボン接着材の塗布領域は、シードシャフトの下端と下端から50mmの位置との間の領域とした。シードシャフトは、カーボン接着材を塗布した後、大気雰囲気下で250℃、1時間焼成し、カーボン接着材のバインダー成分を揮発させた。同じ条件で調整したシードシャフトから試験片を採取し、室温で表層のガス透過率を測定した。ガス透過率は、5×10−5m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
製造装置300(図7)に準じた装置を用いて、SiC単結晶を製造した。シードシャフトは、直径75mmの中実構造の本体の下端に、直径46mmで高さ5mmの台座を取り付けたものを使用した。本体及び台座はともに等方性の黒鉛である。直径50.8mmの種結晶は台座の下端面に取り付けた。本体の側面及び底面、並びに台座の側面に、カーボン接着材を隈なく、かつ薄く塗布して、開気孔を閉塞してガス透過率を低下させた。カーボン接着材の塗布領域は、シードシャフトの下端と下端から50mmの位置との間の領域とした。シードシャフトは、カーボン接着材を塗布した後、大気雰囲気下で250℃、1時間焼成し、カーボン接着材のバインダー成分を揮発させた。同じ条件で調整したシードシャフトから試験片を採取し、室温で表層のガス透過率を測定した。ガス透過率は、5×10−5m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
[実施例6]
シードシャフトの本体を外径75mm、内径69mmの中空構造とした。その他の条件は実施例5と同様にして、SiC単結晶を製造した。
シードシャフトの本体を外径75mm、内径69mmの中空構造とした。その他の条件は実施例5と同様にして、SiC単結晶を製造した。
[実施例7]
結晶成長中、メニスカス高さが初期状態と一致するように、シードシャフトを1.0mm下降するように駆動した。その他の条件は実施例6と同様にして、SiC単結晶を製造した。
結晶成長中、メニスカス高さが初期状態と一致するように、シードシャフトを1.0mm下降するように駆動した。その他の条件は実施例6と同様にして、SiC単結晶を製造した。
[比較例]
シードシャフトとして黒鉛材をそのまま使用した。同じ条件で調整したシードシャフトから採取した試験片によって測定した室温における表層のガス透過率は、8×10−4m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
シードシャフトとして黒鉛材をそのまま使用した。同じ条件で調整したシードシャフトから採取した試験片によって測定した室温における表層のガス透過率は、8×10−4m2/sであった。その他の条件は実施例1と同様にして、SiC単結晶を製造した。
[評価方法]
製造したSiC単結晶を切断し、切断面を研磨してSiC単結晶の成長厚みを測定した。図9に示すように、SiC単結晶の表面に多結晶やインクルージョンが形成された場合には、そこまでの厚みを「均一成長厚み」と定義し、各SiC単結晶の均一成長厚みを測定した。均一成長厚みが3.0mm以上の場合を「優」、2.0mm以上3.0mm未満の場合を「良」、2.0mm未満の場合を「不可」と評価した。
製造したSiC単結晶を切断し、切断面を研磨してSiC単結晶の成長厚みを測定した。図9に示すように、SiC単結晶の表面に多結晶やインクルージョンが形成された場合には、そこまでの厚みを「均一成長厚み」と定義し、各SiC単結晶の均一成長厚みを測定した。均一成長厚みが3.0mm以上の場合を「優」、2.0mm以上3.0mm未満の場合を「良」、2.0mm未満の場合を「不可」と評価した。
製造条件及び評価結果を表1にまとめて示す。
実施例1〜3及び比較例の比較から、ガス透過率を低くすることで、均一成長厚みを大きくできることが分かる。また、ガス透過率を5×10−5m/s以下にすることによって、均一成長厚みを2.0mm以上にできることが分かる。さらに、実施例7に示すように、メニスカス高さ制御を組み合わせることで、均一成長厚みを3.0mm以上にできることが分かる
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示にすぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
Claims (8)
- シードシャフトの下端面に取り付けられた種結晶の結晶成長面をSi−C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、
坩堝に収容された原料を加熱して溶融させ、前記Si−C溶液を生成する工程と、
前記結晶成長面を前記Si−C溶液に接触させ、前記結晶成長面上に前記SiC単結晶を成長させる工程とを備え、
前記シードシャフトは、少なくとも、下端と下端から30mmの位置との間の領域のうち、前記種結晶が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である、製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法であって、
前記坩堝は、
筒部、及び前記筒部の下端部に配置される底部を含む本体と、
前記本体に前記Si−C溶液が収容された状態で、前記Si−C溶液の液面の上方であって前記筒部内に位置し、前記シードシャフトを通す貫通孔を有する中蓋とを備え、
前記中蓋の少なくとも下面の表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である、製造方法。 - 請求項1又は2に記載の製造方法であって、
前記シードシャフトは、25mm以上の外径を有する、製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法であって、
前記成長させる工程において、前記結晶成長面を前記Si−C溶液に接触させる時間が30時間以上である、製造方法。 - 溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いる製造装置であって、
Si−C溶液が収容される坩堝と、
下端面に種結晶が取り付けられるシードシャフトとを備え、
前記シードシャフトは、少なくとも、下端と下端から30mmの位置との間の領域のうち、前記種結晶が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である、製造装置。 - 請求項5に記載の製造装置であって、
前記シードシャフトは、25mm以上の外径を有する、製造装置。 - 下端面に種結晶を取り付け、前記種結晶の結晶成長面をSi−C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる溶液成長法によるSiC単結晶の製造に用いるシードシャフトであって、
少なくとも、下端と下端から30mmの位置との間の領域のうち、前記種結晶が取り付けられる領域以外の領域において、表層のガス透過率が5×10−5m2/s以下である、シードシャフト。 - 請求項7に記載のシードシャフトであって、
25mm以上の外径を有する、シードシャフト。
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