本開示の一態様である太陽光発電装置は、2枚の太陽電池モジュールを支持するマウント金具と、当該各モジュールの隙間に配置され、各モジュールフレームの外溝に挿し込まれてマウント金具に固定される固定金具とを備える。かかる構成によれば、2枚の太陽電池モジュールをマウント金具上に載せ、当該各モジュールの隙間に固定金具を取り付けるという簡単な方法によって、太陽光発電装置を施工できる。また、固定金具を取り外すことにより、例えば太陽光発電装置を構成する複数の太陽電池モジュールのうち1つのモジュールだけを容易に取り外して交換できる。各太陽電池モジュールは屋根にネジ止めされたマウント金具上に強固に固定され、優れた耐荷重性を有する太陽光発電装置が構築される。
以下、図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであるから、図面に描画された構成要素の寸法などは、以下の説明を参酌して判断されるべきである。本明細書において、「略〜」との記載は、略同じを例に説明すると、完全に同じであることはもとより、実質的に同じであると認められる場合を含む意図である。以下で説明する実施形態は例示であって、本開示の太陽光発電装置はこれに限定されない。
以下では、屋根の軒棟方向に沿うマウント金具等の方向を「縦方向」とし、屋根の桁方向(軒棟方向に垂直な方向)に沿うマウント金具等の方向を「横方向(左右)」とする。マウント金具が載置される屋根面(マウント金具が屋根材上に載置される場合は、屋根材の表面)に垂直な方向に沿うマウント金具等の方向を「上下方向」とする。図面には、屋根の軒棟方向・縦方向を矢印α、桁方向・横方向を矢印β、上下方向を矢印γで示す。特に断らない限り、マウント金具等の上端とは、当該上下方向における上端を意味する。
図1は、実施形態の一例である太陽光発電装置10の分解斜視図である。図1に例示するように、太陽光発電装置10は、太陽電池モジュール11A(第1太陽電池モジュール)と、太陽電池モジュール11B(第2太陽電池モジュール)と、マウント金具30と、固定金具50とを備える。太陽電池モジュール11Aは、太陽電池パネル12A(第1太陽電池パネル)と、モジュールの外側に向かって開口した第1外溝である外溝24A(後述の図8A参照)を含み、当該パネルの端部に設置されたフレーム13A(第1フレーム)とを有する。太陽電池モジュール11Bは、太陽電池パネル12B(第2太陽電池パネル)と、モジュールの外側に向かって開口した第2外溝である外溝24B(図8A参照)を含み、当該パネルの端部に設置されたフレーム13B(第2フレーム)とを有する。太陽電池モジュール11Bは、太陽電池モジュール11Aとの間に隙間S(図8A参照)をあけて太陽電池モジュール11Aの棟側に隣り合って配置されている。
太陽光発電装置10は、屋根100に複数の太陽電池モジュール11(11A,11B)を取り付けて構築されている。本明細書では、説明の便宜上、軒棟方向に隣り合って配置される2枚の太陽電池モジュール11について、軒側に配置されるモジュールを太陽電池モジュール11A、棟側に配置されるモジュールを太陽電池モジュール11Bとする。本実施形態では、全ての太陽電池モジュール11が同じ形状を有するものとする。
詳しくは後述するが、マウント金具30は、屋根100に固定され、太陽電池モジュール11Aの棟側端部に設置されたフレーム13Aと太陽電池モジュール11Bの軒側端部に設置されたフレーム13Bとが載せられる金具である。固定金具50は、フレーム13Aの外溝24Aに挿し込まれる第1係合部52(図8B等参照)と、フレーム13Bの外溝24Bに挿し込まれる第2係合部53(図8B等参照)とを有し、ボルト16を用いてマウント金具30に固定される金具である。固定金具50は、隙間S内で回転することにより、第1係合部52及び第2係合部53を外溝24A,24Bにそれぞれ挿し込み可能に構成されている。
なお、固定金具は、第1係合部を有し、隙間Sに配置可能な第1金具と、第2係合部を有し、隙間Sに配置可能な第2金具とで構成されていてもよい(後述の太陽光発電装置10X,10Y参照)。
本実施形態では、マウント金具30上にアース金具15が設けられ、フレーム13A,13Bはアース金具15を介してマウント金具30上に設置されている。太陽光発電装置10は、ボルト16が締結されるベース金具40を備え、マウント金具30は、ベース金具40を軒棟方向にスライド可能に支持するガイドレール部34を有することが好ましい。そして、固定金具50は、ガイドレール部34に挿入されたベース金具40を介してマウント金具30に固定される。
太陽光発電装置10は、屋根材101が敷設された屋根100に取り付けられている。屋根材101は、例えばスレート瓦である。屋根材101は、棟側の屋根材101を軒側の屋根材101の一部に重ねながら軒棟方向に配置されるため、屋根材101が重なり合った部分には段差が形成される。なお、太陽光発電装置10が取り付けられる屋根は屋根100に限定されない。
太陽光発電装置10は、屋根材101上に配置された複数のマウント金具30上に太陽電池モジュール11を固定することで構築されている。マウント金具30は、例えば、屋根材101及びスペーサ105上に載置されて屋根100の野地板102(後述の図8A参照)にネジ止めされる。スペーサ105は、屋根材101間に形成された段差部分に設けられ、当該段差を埋めてマウント金具30の安定した取り付けを可能とする。マウント金具30を屋根材101及びスペーサ105上に直接配置することで、屋根面(屋根材101の表面)からの太陽電池モジュール11の高さを低くすることができ、屋根100と太陽光発電装置10の一体感が向上する。
太陽電池モジュール11は、上述のように、太陽電池パネル12と、フレーム13とを有する。太陽電池パネル12は、例えば、複数の太陽電池セルが2枚の保護部材で挟持された略平坦なパネルである。フレーム13は、例えば、アルミニウムを主成分とする金属材料を押出成形して形成され、太陽電池パネル12の四方を囲んで設置される。フレーム13の表面には、一般的に塗膜が形成されている。
太陽電池モジュール11は、ベース金具40、固定金具50、及びボルト16を用い、フレーム13を利用してマウント金具30に固定される。図1に示す例では、平面視略矩形形状を有する太陽電池モジュール11の短辺方向が軒棟方向と略平行となるように、複数の太陽電池モジュール11が配置されている。桁方向に隣り合う太陽電池モジュール11同士は略接触した状態で配置され、軒棟方向に隣り合う太陽電池モジュール11同士(太陽電池モジュール11A,11B)は隙間Sをあけて配置されている。
太陽電池モジュール11は、軒側端部の2箇所と棟側端部の2箇所の合計4箇所でマウント金具30に固定されることが好ましい。1枚の太陽電池モジュール11の裏側には、例えば当該モジュールの軒側端部の左右に対応する位置と、棟側端部の左右に対応する位置とにマウント金具30が配置される。太陽電池モジュール11A,11Bの境界部に配置されるマウント金具30には、当該2枚の太陽電池モジュールのフレーム13A,13Bが載せられる。
太陽光発電装置10の軒側端部及び棟側端部は、マウント金具30、ベース金具40、及び固定金具50を用いて屋根100に固定されてもよく、専用の金具を用いて固定されてもよい。
図1に示す例では、複数のマウント金具30が軒棟方向及び桁方向に並んで配置されている。軒棟方向に並ぶ各マウント金具30は、各太陽電池モジュール11の軒棟方向に沿った長さに合わせて、軒棟方向に一定の間隔をあけて配置される。各マウント金具30は、ガイドレール部34が軒棟方向に沿うように屋根100に固定される。フレーム13A,13Bは、ガイドレール部34と略直交するようにマウント金具30上に載せられる。
図2は、太陽電池モジュール11の端部の断面図である。図2に例示するように、太陽電池パネル12の端部に設置されるフレーム13は、中空の角柱形状を有する本体部20と、モジュールの内側に向かって開口した内溝22と、モジュールの外側に向かって開口した外溝24とを有する。また、フレーム13はモジュールの内側に張り出した内鍔部25を有する。本体部20、外溝24、及び内鍔部25は、太陽電池パネル12の裏側に位置し、特に外溝24と内鍔部25は、マウント金具30に対する太陽電池モジュール11の固定に使用される。
フレーム13は、本体部20の上面に立設した鉤部21を有し、本体部20の上面と鉤部21との間に太陽電池パネル12を挿入可能な隙間である内溝22が形成される。鉤部21は、本体部20の外側から上方に真っ直ぐ延び、途中で内側に折れ曲がって断面略L字状に形成されている。即ち、鉤部21は太陽電池パネル12の上下方向に沿った側面を覆い、太陽電池パネル12の受光面上に張り出している。鉤部21の受光面上に張り出す部分の長さは、例えば本体部20の幅と略同一である。フレーム13には、内鍔部25と反対側(外側)に延びた底板23が設けられ、本体部20の下面と底板23との間に外溝24が形成される。底板23は、内鍔部25と共にフレーム13の底面を形成する。
図3はマウント金具30の平面図、図4は図3中のAA線断面図である。図3及び図4に例示するように、マウント金具30は、ベース金具40が載せられる基部31と、基部31の下部から左右にそれぞれ張り出したフランジ部32とを有する。マウント金具30は、屋根面に沿って配置される板状の固定部であって、当該金具を屋根100に固定するためのネジを通す貫通孔が形成された固定部を有する。貫通孔は、固定部の端から10mm以上離れた位置に形成されていることが好ましい。本実施形態では、固定部としてフランジ部32が設けられている。
マウント金具30は、軒棟方向に沿う縦方向に長い形状を有する。マウント金具30の棟側縁部30bは、屋根100の軒棟方向及び桁方向に対して傾斜していることが好ましい。ガイドレール部34は軒棟方向に沿って真っ直ぐに延びることが好ましいため、棟側縁部30bの切断面を縦方向及び横方向に対して斜めに形成することで、棟側縁部30bを傾斜させることが好適である。この場合、施工性を損なうことなく、雨水等の排水性を向上させることができる。つまり、雨水等はマウント金具30によって堰き止められず、傾斜した棟側縁部30bに沿って流れる。
マウント金具30の軒側縁部30aは、屋根100の軒棟方向及び桁方向に対して棟側縁部30bと略同じ角度で傾斜していることが好ましい。即ち、軒側縁部30aは棟側縁部30bと略平行に形成されていることが好ましい。軒側縁部30aの傾斜は排水性に影響を与えないが、一般的に、マウント金具30は長尺状の部材を切断して製造されるため、各端部を同じ方向に同じ角度で切断することで材料の無駄を無くすことができる。なお、軒棟方向の墨出しに利用されるV溝、刻印等の目印をマウント金具30に形成してもよい。当該目印は、例えば軒側縁部30aの近傍における上壁部31aの上面中央に形成される。
マウント金具30の棟側縁部30bは、屋根100の桁方向に対して約3°〜15°の角度θで傾斜していることが好ましい。角度θが当該範囲内であれば、良好な施工性と排水性を両立し易くなる。軒側縁部30aについても、桁方向に対して約3°〜15°の角度θで傾斜していることが好ましい。マウント金具30は、例えば、対角の大きさが略等しい平面視略平行四辺形状を有する。
基部31は、ベース金具40が載せられる上壁部31aと、上壁部31aの横方向両端部から下方に延び、上壁部31aとフランジ部32をつなぐ側壁部31bとを有する。基部31は、例えば、上壁部31aに対して各側壁部31bが略垂直に形成されている。上壁部31aの横方向中央部には、縦方向全長にわたって下方に窪んだ凹部31cが形成されている。凹部31cを設けることで、ベース金具40に固定されるボルト16の軸部の先端が上壁部31aと干渉することを防止できる。
基部31上には、鉤部33が形成されている。マウント金具30には、上壁部31aの横方向両端部に一対の鉤部33がそれぞれ立設している。鉤部33は、上壁部31aの横方向両端部から上方に真っ直ぐ延び、途中で内側に折れ曲がって断面略L字状に形成されている。上壁部31aと鉤部33とによって、ベース金具40を縦方向にスライド可能に支持するガイドレール部34が形成される。
基部31の上壁部31aは、凹部31c以外の部分において屋根面に接触するフランジ部32よりも高い位置に形成されている。このため、上壁部31aの下には屋根面との間に空間が設けられる。マウント金具30は、軒棟方向に沿った縦方向の全長にわたって、屋根面との間に空間を設けて形成された排水溝37を有することが好ましい。マウント金具30には、凹部31cの左右に排水溝37が形成されている。排水溝37を設けることにより、太陽光発電装置10の設置箇所における屋根100の排水性がさらに向上する。
フランジ部32は、基部31の下部から外側に張り出し、マウント金具30の縦方向の全長にわたって形成されている。フランジ部32は、基部31の内側、即ち上壁部31aの下にも延出していることが好ましい。基部31の内側に延出する部分の横方向長さは、鉤部33の横方向長さよりも短くてよい。基部31の各側壁部31bは、例えば、フランジ部32に対して略垂直に形成されている。各フランジ部32には、ネジ107(後述の図8A参照)を通す貫通孔35が軒棟方向に並んで複数形成されている。
貫通孔35は、上述のように、フランジ部32の端から10mm以上離れた位置に形成されることが好ましい。貫通孔35をフランジ部32の端から離して形成することにより、ネジ107が取り付けられる部分に雨水等が浸入し難くなる。貫通孔35は、例えば、フランジ部32の縦方向に沿った外側の端である外端32a、及びフランジ部32の縦方向両端(軒側縁部30a及び棟側縁部30b)から10mm以上離れた位置に形成される。また、貫通孔35は、フランジ部32の縦方向に沿った内側の端であって排水溝37と接する内端32bからも10mm以上離れた位置に形成されることが好ましい。貫通孔35は、例えば外端32a及び内端32bから略等距離の位置に形成される。
マウント金具30には、各太陽電池モジュール11から引き出される配線を固定するための結束バンド(図示せず)を通す結束バンド用孔36が形成されていてもよい。図3に示す例では、上壁部31aの縦方向両端部に2つずつ合計4つの結束バンド用孔36が形成されている。例えば、屋根100の桁方向に延びる配線は、結束バンド用孔36に通された結束バンドを用いて、マウント金具30の軒側端部又は棟側端部に固定される。
マウント金具30には、施工時に使用される位置合わせマーク38が設けられていてもよい。図3に示す例では、各フランジ部32の上面において外端32aから横方向に延びる線状の位置合わせマーク38が形成されている。左右のフランジ部32に形成された各位置合わせマーク38は、横方向に並んで同一直線上に形成されている。マウント金具30は、例えば、位置合わせマーク38が屋根材101の軒側縁部と一致するように、屋根100上に配置される。
図5はベース金具40の斜視図、図6はベース金具40をマウント金具30に取り付けた状態を示す横方向断面図である。図5及び図6に例示するように、ベース金具40は、固定金具50を固定するボルト16が締結される基部41と、マウント金具30のガイドレール部34に挿し込まれる延出部42とを有する。基部41は、マウント金具30の各鉤部33の間に配置可能な幅を有し、軒棟方向に沿う縦方向に長く形成されている。
延出部42は、基部41の左右から張り出している。延出部42がガイドレール部34に挿し込まれることで、ベース金具40がマウント金具30に係合してベース金具40が上方に抜けなくなる。延出部42は、根元で上方に小さく折れ曲がり、その上面は基部41の上面よりも少し上に位置する。延出部42の上面は略平坦であり、例えば、基部41にボルト16が締結されることでガイドレール部34を形成する鉤部33の下面に当接し、マウント金具30に対してベース金具40が強固に固定される。他方、ボルト16が締結されるまでは、ガイドレール部34に沿ってベース金具40をスライドさせることができる。
ベース金具40は、係合部43と、棟側立壁部44とを有していてもよい。フレーム13A,13Bは、上述のように、太陽電池モジュール11A,11Bの裏側において、太陽電池モジュール11A,11Bの内側に張り出した内鍔部25A,25Bをそれぞれ有する。後述の図8に例示するように、係合部43は、マウント金具30の上端よりも上方に突出してフレーム13Aの内鍔部25A(第1内鍔部)に係合する。棟側立壁部44は、マウント金具30の上端よりも上方に突出してフレーム13Bの内鍔部25B(第2内鍔部)の先端と対向配置される。
係合部43は、基部41の軒側端部(縦方向一端部)において、基部41との間に内鍔部25Aを挿入可能な隙間をあけて断面略L字状に形成される。棟側立壁部44は、フレーム13Bの設置に支障がない高さで、内鍔部25Bの先端と対面する位置に形成される。棟側立壁部44は、例えば、基部41の棟側端部(縦方向他端部)と縦方向中央部との間で基部41を構成する金属板の一部を上方に折り曲げて形成されるため、当該折り曲げを可能とすべく、棟側立壁部44の軒側には開口部48が形成されている。
ベース金具40には、ボルト16が螺合されるボルト締結部46、及び仮止めボルト17(後述の図8A参照)が螺合される仮止めボルト締結部47が形成されることが好ましい。ボルト締結部46は、基部41の係合部43と棟側立壁部44の間であって、マウント金具30の凹部31cと上下方向に重なる部分に形成されている。仮止めボルト締結部47は、基部41の棟側立壁部44よりも棟側部分に形成されている。各ボルト締結部は、例えば、基部41を構成する金属板をバーリング加工及びネジ加工して形成される。
図7は、固定金具50の斜視図である。図7に例示するように、固定金具50は、ボルト16を通す貫通孔55が形成された基部51と、基部51から軒側に延出した第1係合部52と、基部51から棟側に延出した第2係合部53とを有する。第1係合部52はフレーム13Aの外溝24Aに挿し込まれる部分であって、第2係合部53はフレーム13Bの外溝24Bに挿し込まれる部分である。固定金具50は、第1係合部52と第2係合部53が基部51で連結され、各係合部が一体となった金具である。
固定金具50は、基部51と各係合部とが並ぶ方向に長くなった平面視略平行四辺形状の金具である。固定金具50の平面視形状は特に限定されないが、長方形を除く平行四辺形状であることが好ましい。固定金具50の軒側縁部50aと棟側縁部50b、即ち第1係合部52の軒側縁部と第2係合部53の棟側縁部は、互いに略平行であり、当該平行四辺形の短辺を形成する。当該平行四辺形の鈍角となる2つの角部は、例えば120°の角度で形成されている。鋭角となる2つの角部は、面取りされていてもよい。なお、固定金具50の平面視形状は、平行六角形等の他の平行多角形状としてもよい。
固定金具50が平面視略平行四辺形状である場合、固定金具50の長さ(長辺の長さ)は、例えば、隙間Sの幅以上、且つフレーム13Aの外溝24Aの最奥部からフレーム13Bの外溝24Bの最奥部までの長さ以下である。固定金具50は、平行四辺形の短辺を形成する軒側縁部50a及び棟側縁部50bが外溝24A,24Bの最奥部にそれぞれ当接する長さを有していてもよい。また、長辺が横方向を向くように固定金具50を回転させたときに各係合部が外溝24A,24Bから完全に抜けるように、固定金具50の幅(短辺の長さ)は隙間Sの幅未満であることが好ましい。固定金具50の厚みは、外溝24A,24Bに挿し込み可能な厚みであればよい。
固定金具50は、基部51と第1係合部52の境界部で上方に小さく折れ曲がり、第1係合部52の下面は基部51の下面よりも少し上に位置する。後述の図8に例示するように、屋根面の傾斜の関係上、フレーム13Aの底板23Aの先端はマウント金具30上から少し浮き上がる。このため、基部51と第1係合部52の境界部に段差を形成することで、フレーム13A,13Bに対する固定金具50の取り付けが容易になる。
固定金具50は、第1係合部52及び第2係合部53が先端(軒側縁部50a及び棟側縁部50b)に向かって緩やかに下がるように僅かに湾曲又は屈曲していてもよい。図7に示す例では、基部51と第2係合部53の境界部に段差は存在しないが、当該境界部に段差を形成してもよい。
基部51は、ボルト16が取り付けられる部分であって、略真円形状の貫通孔55を有する。貫通孔55は、例えば、平面視略平行四辺形状の固定金具50の対角線の交点を中心として形成される。基部51には、2つの器具挿入孔56が形成されていてもよい。各器具挿入孔56は、貫通孔55よりも小さな孔であって、貫通孔55を挟んで形成される。貫通孔55と各器具挿入孔56は、例えば略同一直線上に位置する。固定金具50は隙間S内で回転可能であるが、例えば、当該回転操作時に二股構造の器具(図示せず)を器具挿入孔56に挿入して、ボルト16を中心に固定金具50を回転させることができる。
第1係合部52は基部51の軒側端部から軒側に延出しており、第2係合部53は基部51の棟側端部から棟側に延出している。各係合部は、下方に突出する突起54をそれぞれ有することが好ましい。突起54は、各係合部の横方向両端部に形成されている。突起54は、例えば各係合部を構成する金属板を上面側からプレスして形成される。
図8A,Bは、太陽光発電装置10の取り付け構造を示す縦方向断面図であって、マウント金具30、ベース金具40、及び固定金具50を用いて、太陽電池モジュール11Aの棟側端部及び太陽電池モジュール11Bの軒側端部を屋根100に固定する構造を示す。
図8A,Bに例示するように、マウント金具30上には、アース金具15を介して、太陽電池モジュール11Aの棟側端部に設置されたフレーム13Aと、太陽電池モジュール11Bの軒側端部に設置されたフレーム13Bとが載せられている。そして、第1係合部52がフレーム13Aの外溝24Aに挿し込まれ、第2係合部53がフレーム13Bの外溝24Bに挿し込まれた固定金具50が、ベース金具40にボルト16を用いて締結されている。ボルト16には、例えば頭部に六角レンチを挿入可能なレンチ穴付きのボルトが使用される。
マウント金具30は、板状の固定部であるフランジ部32に取り付けられたネジ107によって屋根100の野地板102に固定される。図8に示す例では、位置合わせマーク38と屋根材101の軒側縁部とが一致するようにマウント金具30が配置され、マウント金具30の棟側部分が屋根材101上に、軒側部分がスペーサ105上に固定されている。一部のネジ107は、フランジ部32の貫通孔35とスペーサ105の貫通孔106に通され、屋根材101を貫通して野地板102に固定される。ネジ107には、例えばパッキン付きの木ネジが使用される。マウント金具30と屋根材101及びスペーサ105との間には、ゴム製シート103(例えば、ブチルゴムシート)が設けられている。
太陽電池モジュール11A,11Bは、太陽電池パネル12A,12Bが屋根100の野地板102と略平行となるようにマウント金具30上に固定される。屋根材101の表面である屋根面は野地板102と平行ではないので、フレーム13A,13Bが載せられるマウント金具30の上端(鉤部33の上面)も野地板102と平行にならない。このため、フレーム13Aの底板23Aの先端がマウント金具30上から少し浮き上がり、マウント金具30の上端からの外溝24A,24Bの高さは外溝24Aの方が僅かに高くなる。このため、固定金具50の基部51と第1係合部52の境界部には上述の段差が形成されている。また、鉤部21A,21Bの高さも鉤部21Aの方が僅かに高くなる。
ベース金具40は、マウント金具30のガイドレール部34(図4等参照)に挿入されている。ガイドレール部34は、上述のように、マウント金具30の軒棟方向に沿った縦方向の全長にわたって形成されている。このため、マウント金具30上にフレーム13A,13Bが載せられてボルト16が締結されるまでは、マウント金具30から食み出さない範囲でベース金具40を軒棟方向にスライドさせることができる。フレーム13A,13Bはマウント金具30上のベース金具40が取り付けられた部分に載せられるが、ベース金具40は上記のようにスライド可能であるため、フレーム13A,13Bの配置の自由度が高く施工性に優れる。
ベース金具40は、フレーム13A,13Bを配置する際に軒棟方向に動かないように、仮止めボルト17を用いて仮止めすることができる。仮止めボルト17は、ベース金具40の基部41に形成された仮止めボルト締結部47に螺合され、軸部の先端がマウント金具30の上壁部31aに押し付けられて、マウント金具30の目的とする位置にベース金具40を仮止めする。ベース金具40の位置は、仮止めボルト17を緩めることで容易に調整できる。
フレーム13Aは、アース金具15を介してマウント金具30の鉤部33上に載せられ、且つベース金具40のボルト締結部46に対応する位置よりも軒側に配置される。アース金具15は、上方に突出した突起と、ボルト16及び後述のスペーサ90を通す貫通孔とを有する。アース金具15の突起が、フレーム13Aの表面に形成された塗膜を突き破ってフレーム13Aの底面に食い込むことでアースをとることができる。アース金具15の突起は、フレーム13Bの底面に対しても同様に食い込む。
フレーム13Aの軒側にはベース金具40の係合部43が立設しており、係合部43がフレーム13Aの内鍔部25A上に張り出して係合する。換言すると、内鍔部25Aがベース金具40の基部41と係合部43との間に挿し込まれた状態である。内鍔部25Aは、例えば太陽電池モジュール11Aに負圧が作用したときに、係合部43によって上から押えられる。
フレーム13Bは、アース金具15を介してマウント金具30の鉤部33上に載せられ、且つベース金具40のボルト締結部46に対応する位置よりも棟側に配置される。つまり、フレーム13Bは、フレーム13Aとの間にボルト16を通す隙間Sをあけて配置されている。フレーム13Bの棟側には、内鍔部25Bの先端と対面する位置に棟側立壁部44が設けられているため、太陽電池モジュール11Bの棟側への移動が防止される。
固定金具50は、第1係合部52がフレーム13Aの外溝24Aに、第2係合部53がフレーム13Bの外溝24Bにそれぞれ挿し込まれることで、フレーム13A,13Bに跨って取り付けられている。固定金具50を固定するボルト16は、基部51の貫通孔55に通され、ベース金具40のボルト締結部46に螺合している。ベース金具40に締結されたボルト16が基部51を上から押圧することで、外溝24A,24Bに挿し込まれた各係合部の突起54(図7参照)が底板23A,23Bの上面に強く当接している。
固定金具50は、隙間Sの下部で回転可能に構成されている。固定金具50は、例えば回転可能な程度でベース金具40にボルト止めされた後、ボルト16の中心軸を中心として回転する。具体的には、ボルト16の軒側に太陽電池モジュール11Aを配置した状態で、上記二股構造の器具を用いて固定金具50を回転させることで、第1係合部52を外溝24Aに挿し込むことができる。そして、ボルト16の棟側に太陽電池モジュール11Bを配置し、外溝24Bに第2係合部53を挿し込むことにより、フレーム13A,13Bに跨って固定金具50が取り付けられる。ボルト16は、例えば第2係合部53が外溝24Bに挿し込まれた後、ベース金具40に締結される。
なお、各係合部が外溝24A,24Bに挿し込まれた固定金具50をボルト16の中心軸を中心に回転させることで、各係合部を外溝24A,24Bから抜いて固定金具50をフレーム13A,13Bから取り外すことができる。具体的には、ボルト16を緩めて固定金具50の幅方向が横方向に沿うように固定金具50を回転させることにより、各係合部を外溝24A,24Bから抜くことができる。即ち、太陽光発電装置10の取り付け構造では、ボルト16を中心に固定金具50を回転させることで、フレーム13A,13Bの外溝24A,24Bに対して各係合部を挿抜可能である。
固定金具50が平面視平行多角形状、好ましくは略平行四辺形状である場合、外溝24Aに挿し込まれた第1係合部52の軒側縁部(軒側縁部50a)の端面が、外溝24Aの最奥部に沿って略当接していてもよい。また、外溝24Bに挿し込まれた第2係合部53の棟側縁部(棟側縁部50b)の端面が、外溝24Bの最奥部に沿って略当接していてもよい。各係合部が外溝24A,24Bの奥まで挿し込まれることで、フレーム13A,13Bを押えることができる。固定金具50の平面視形状が長方形を除く略平行四辺形状であれば、各係合部の端面が外溝24A,24Bの最奥部に沿って当接する状態で取り付けられても、幅方向(長辺)が横方向に沿うように固定金具50を回転させることができる。
つまり、固定金具50は、隙間S内で回転する平面視略平行多角形状の金具であって、第1係合部52の第1端面が外溝24Aの最奥部に沿って略当接し、且つ第2係合部53の第2端面が外溝24Bの最奥部に沿って略当接していることが好ましい。本実施形態において、第1係合部52の第1端面とは、平行四辺形の一方の短辺を形成する軒側縁部50aの端面である。第2係合部53の第2端面とは、第1端面と略平行な、平行四辺形の他方の短辺を形成する棟側縁部50bの端面である。
固定金具50とベース金具40の間には、固定金具50の基部51を支持するスペーサ90が設けられていてもよい。スペーサ90は、例えばボルト16を通す筒状体であって、筒の孔と貫通孔55及びボルト締結部46とが一致するようにベース金具40上に配置される。図8に示す例では、フレーム13A,13Bの底板23A,23Bの各先端部が、マウント金具30の上端から上方に突出して隙間Sに挿し込まれたスペーサ90の上端部にそれぞれ略当接している。
太陽光発電装置10の上記取り付け構造では、ボルト16がベース金具40のボルト締結部46に螺合されることで、固定金具50がフレーム13A,13Bの底板23A,23Bに強く当接すると共に、ベース金具40がマウント金具30に強固に固定される。ボルト16をボルト締結部46に螺合すると、ベース金具40が上方に持ち上がり、ガイドレール部34に挿入された延出部42が鉤部33に強く当接した状態となる。
太陽光発電装置10は、フレーム13Aとフレーム13Bとに跨って隙間S上に配置されるカバー80と、フレーム13Aの外溝24Aに挿し込まれてフレーム13Aに固定されると共に、カバー80がネジ止めされる支持金具85とを備えていてもよい。カバー80は、例えば、太陽電池モジュール11の長辺と略同じ長さを有し、隙間S上の全体を覆う。カバー80は、フレーム13Aからフレーム13Bに跨って取り付けられ隙間Sを覆う基部81と、基部81から下方に延出して隙間Sに挿し込まれる2つの脚部82とを有する。各脚部82は、例えば互いに平行に形成される。
カバー80は、基部81の軒側部分がフレーム13Aの鉤部21A上に配置され、基部81の棟側部分がフレーム13Bの鉤部21B上に配置される。軒側の脚部82はフレーム13Aの上下方向に沿った側面に当接し、棟側の脚部82はフレーム13Bの上下方向に沿った側面に当接している。上述のように、マウント金具30の上端からの鉤部21A,21Bの高さは鉤部21Aの方がやや高くなるため、例えば、基部81は軒側部分が棟側部分よりもやや上方に位置するように傾斜している。また、鉤部21A,21Bの先端部は上面が先端に向かって下方に傾斜しているため、基部81の先端部も鉤部の形状に合わせて下方に小さく折れ曲がっている。
支持金具85は、フレーム13A,13Bの隙間S内に配置され、支持金具85の上部が基部81の裏面に当接している。カバー80は、基部81の幅方向中央部を貫通するネジ86を用いて支持金具85の上部に固定される。
支持金具85は、フレーム13Aの外溝24Aに挿し込まれる爪部88を有することが好ましい。爪部88は、例えば、支持金具85の下部を上部と反対側(軒側)に折り曲げて形成される。支持金具85は、フレーム13Aの本体部20Aに沿って下方に延び、ネジ87を用いて本体部20Aに固定されると共に、爪部88が外溝24Aに挿し込まれることでフレーム13Aに固定されている。ネジ86,87には、例えばドリルネジが使用される。
上述のように、太陽光発電装置10は、施工が容易であるにも関わらず、各太陽電池モジュール11を屋根100に強固に固定でき、優れた耐荷重性を有する。太陽光発電装置10では、例えば目的の太陽電池モジュール11を固定するボルト16を緩めて固定金具50を回転させることにより、各係合部を外溝24A,24Bから抜いて固定金具50をフレーム13A,13Bから取り外すことができる。
つまり、太陽光発電装置10の端部に位置しない太陽電池モジュール11であっても、周囲の太陽電池モジュール11を取り外すことなく目的とする1枚の太陽電池モジュール11だけを容易に取り外して交換することが可能である。このように、太陽光発電装置10はメンテナンス性にも優れる。
次に、図9及び図10A,Bを参照しながら、実施形態の他の一例である太陽光発電装置10Xについて詳説する。以下では、上述の太陽光発電装置10と共通する構成要素には同じ符号を用いて重複する説明を省略する。太陽光発電装置10X(図10A参照)は、固定金具50に変えて固定金具60(図9参照)を用いている点で、太陽光発電装置10と異なる。また、固定金具60とベース金具40の間にスペーサは設けられていない。太陽光発電装置10Xは、その他の点において太陽光発電装置10と共通する。
図9は、固定金具60の斜視図である。図9に例示するように、固定金具60は、第1金具61Aと、第2金具61Bとで構成されている。第1金具61Aは、ボルト16を通す貫通孔65A(第1貫通孔)が形成された第1基部62Aと、第1係合部63Aとを有する。第2金具61Bは、第1基部62Aと重ねて配置され、ボルト16を通す貫通孔65B(第2貫通孔)が形成された第2基部62Bと、第2係合部63Bとを有する。第1係合部63Aは、フレーム13Aの外溝24Aに挿し込まれる部分である。第2係合部63Bは、フレーム13Bの外溝24Bに挿し込まれる部分である。
固定金具60では、第1金具61Aの第1基部62Aの上に、第1基部62Aの第1係合部63Aが取り付けられる。第1金具61Aには、第1基部62Aと第1係合部63Aの境界部が上方に折れ曲がって段差が形成されている。他方、第2金具61Bは、第1金具61Aのように大きな段差を有さないが、第2基部62Bと第2係合部63Bの境界部で上方に小さく折れ曲がっていてもよい。固定金具60の厚みは、外溝24A,24Bに挿し込み可能な厚みであればよい。
第1金具61Aは、横方向に長い平面視略矩形形状の金具である。第1金具61Aの横方向長さは特に限定されないが、好適な長さの一例は、マウント金具30の鉤部33同士の間隔よりも長く、マウント金具30の横方向長さよりも短い。後述の図10に示すように、第1金具61Aはアース金具15を介して鉤部33上に配置される。第1金具61Aの縦方向長さは、外溝24Aの奥行長さと隙間Sの幅を足した長さよりも短い。
第1基部62Aの横方向中央部には、貫通孔65Aが形成されている。貫通孔65Aは、例えば縦方向に長い長孔である。第1基部62Aと第1係合部63Aの境界部の段差は、屋根面の傾斜によるフレーム13Aの底板23Aの浮き上がりを考慮して、例えば底板23Aの厚みに相当する高さよりもやや高く形成される。また、第1金具61Aは、第1基部62A及び第1係合部63Aが各先端に向かって緩やかに下がるように僅かに湾曲又は屈曲していてもよい。
第1係合部63Aは、第1基部62Aの軒側端部から軒側に延出している。第1係合部63Aは、下方に突出する突起64A(第1突起)を有することが好ましい。突起64Aは、第1係合部63Aの横方向両端部に形成されている。
第2金具61Bは、横方向に長い平面視略矩形形状の金具である。第1金具61Aの横方向長さは、例えば第1金具61Aの横方向長さと略同一である。第2金具61Bの縦方向長さは、外溝24Bの奥行長さと隙間Sの幅を足した長さよりも短い。第2基部62Bの横方向中央部には、第1金具61Aと同様に、縦方向に長い貫通孔65Bが形成されている。第2金具61Bは、第2基部62B及び第2係合部63Bが各先端に向かって緩やかに下がるように僅かに湾曲又は屈曲していてもよい。
第2係合部63Bは、第2基部62Bの棟側端部から棟側に延出している。第2係合部63Bは、下方に突出する突起64B(第2突起)を有することが好ましい。突起64Bは、第2係合部63Bの横方向両端部に形成されている。
図10A,Bは、太陽光発電装置10Xの取り付け構造を示す縦方向断面図である。図A,B10は、マウント金具30、ベース金具40、及び固定金具60を構成する第1金具61A、第2金具61Bを用いて、太陽電池モジュール11Aの棟側端部及び太陽電池モジュール11Bの軒側端部を屋根100に固定する構造を示す。
図10A,Bに例示するように、アース金具15を介してマウント金具30上に載せられた太陽電池モジュール11Aのフレーム13Aの外溝24Aには、第1金具61Aの第1係合部63Aが挿し込まれている。また、太陽電池モジュール11Bのフレーム13Bの外溝24Bには、第2金具61Bの第2係合部63Bが挿し込まれている。そして、第1金具61A及び第2金具61Bが、ボルト16を用いてマウント金具30に係合したベース金具40に締結されている。
第1金具61A及び第2金具61Bは、隙間Sの下部において、ボルト16が通される貫通孔65A,65Bが一致するように第2基部62Bを第1基部62A上に重ねて取り付けられる。ボルト16は、貫通孔65A,65Bに通されて、ベース金具40のボルト締結部46に螺合している。ボルト16により連結されて一体化した2つの金具から構成される固定金具60は、フレーム13A,13Bに跨って取り付けられる。
太陽光発電装置10Xの取り付け構造では、ベース金具40に締結されたボルト16が第1金具61Aの第1基部62A及び第2金具61Bの第2基部62Bを上から押圧している。そして、フレーム13A,13Bの外溝24A,24Bに挿し込まれた各係合部の突起64A,64B(図9参照)が底板23A,23Bの上面に強く当接している。また、第1基部62Aはアース金具15を介してマウント金具30の鉤部33上に強く当接している。
第1金具61Aの第1係合部63Aは、外溝24Aの奥まで深く挿し込まれていることが好ましい。同様に、第2金具61Bの第2係合部63Bは、外溝24Bの奥まで深く挿し込まれていることが好ましい。第1係合部63Aの軒側縁部の端面が、外溝24Aの最奥部に沿って略当接していてもよく、第2係合部63Bの棟側縁部の端面が、外溝24Bの最奥部に沿って略当接していてもよい。
上述の構成を備えた太陽光発電装置10Xは、太陽光発電装置10と同様に、施工が容易でメンテナンス性が良好であるにも関わらず、優れた耐荷重性を有する。太陽光発電装置10Xは、例えば、フレーム13Aの外溝24Aに第1金具61Aを挿し込み、第1金具61A及び第2金具61Bをベース金具40に固定した後、フレーム13Bの外溝24Bに第2金具61Bを挿し込むという簡単な手順で施工できる。
具体的には、まず、マウント金具30上に載せられた太陽電池モジュール11Aのフレーム13Aの外溝24Aに第1金具61Aの第1係合部63Aを挿し込む。次に、第1金具61Aの第1基部62Aの上に第2金具61Bの第2基部62Bを配置し、各金具をボルト16でベース金具40に固定する。そして、第2金具61Bの棟側に太陽電池モジュール11Bを配置し、フレーム13Bの外溝24Bに第2係合部63Bを挿し込むことで、フレーム13A,13Bに跨って固定金具60が取り付けられる。ボルト16は、第2係合部63Bを外溝24Bに挿し込んだ後、ベース金具40に締結してもよい。
太陽光発電装置10Xにおいても、目的とする太陽電池モジュール11だけを容易に取り外して交換することが可能である。例えば、交換対象の太陽電池モジュール11を固定するボルト16を取り外した後、当該モジュールの棟側に設置された第2金具61Bを第1金具61Aと重ならない位置まで横方向にずらすことで、当該モジュールだけを取り外すことができる。
次に、図11及び図12A,Bを参照しながら、実施形態の他の一例である太陽光発電装置10Yについて詳説する。以下では、上述の太陽光発電装置10,10Xと共通する構成要素には同じ符号を用いて重複する説明を省略する。太陽光発電装置10Y(図12A参照)は、固定金具50に変えて固定金具70(図11参照)を用いている点で、太陽光発電装置10と異なる。また、固定金具60の下にはスペーサ91が設けられ、固定金具60はボルト18を用いてベース金具40に締結されている。太陽光発電装置10Yは、その他の点において太陽光発電装置10と共通する。
図11は、固定金具70の斜視図である。図11に例示するように、固定金具70は、第1金具71Aと、第2金具71Bと、押え金具71Cとで構成される。第1金具71Aはフレーム13Aの外溝24Aに挿し込まれる第1係合部73Aを有し、第2金具71Bはフレーム13Bの外溝24Bに挿し込まれる第2係合部73Bを有する。押え金具71Cは、第1金具71Aと第2金具71Bとに跨って配置され、第1金具71A及び第2金具71Bを上から押え付ける金具である。押え金具71Cは、第1金具71Aの第1基部72A及び第2金具71Bの第2基部72B上に配置される。
第1金具71A及び第2金具71Bは、フレーム13A,13Bの隙間Sにおいて、上下方向に重なり合うことなく、軒棟方向に隣り合って配置される。第1金具71A及び第2金具71Bは、例えば、横方向に長い平面視略矩形形状の金具であって、互いに略同一の横方向長さ、縦方向長さを有する。好適な横方向長さの一例は、マウント金具30の鉤部33同士の間隔よりも長く、マウント金具30の横方向長さよりも短い。第1金具71A及び第2金具71Bは、押え金具71Cの配置に支障がなく、各係合部を外溝24A,24Bの奥まで挿し込んだ状態で互いに接触しない縦方向長さを有することが好ましい。
第1金具71Aの第1基部72Aの横方向中央部には、ボルト18を通すための切欠き75Aが形成されている。また、第2金具71Bの第2基部72Bの横方向中央部にも切欠き75Bが形成されている。第1金具71A及び第2金具71Bは、切欠き75A,75Bが軒棟方向に重なるように軒棟方向に隣り合って配置され、当該各金具の切欠き75A,75Bが形成された部分にボルト18が通される。
第1基部72Aの棟側端部は、上方に折り曲げられていてもよい。第1基部72Aの棟側端部には、切欠き75Aの両側に立壁部が形成されている。当該立壁部は、第1基部72A上に配置される押え金具71Cの基部76に接触しない高さで形成され、例えば第1金具71Aの取り付け、取り外しを行う際に使用される。第2基部72Bの軒側端部にも、切欠き75Bの両側に同様の立壁部が形成されていてもよい。
第1金具71Aの第1係合部73Aは、第1基部72Aの軒側端部から軒側に延出しており、第2金具71Bの第2基部72Bは、第2基部72Bの棟側端部から棟側に延出している。第1係合部73Aは下方に突出する突起74A(第1突起)を、第2係合部73Bは下方に突出する突起74B(第2突起)をそれぞれ有することが好ましい。突起74A,74Bは、各係合部の横方向両端部に形成されている。
押え金具71Cは、横方向に長い側面視略逆U字形状の金具である。押え金具71Cは、ボルト18を通す貫通孔79が形成された基部76と、基部76の軒側端部から下方に延出した第1脚部77と、基部76の棟側端部から下方に延出した第2脚部78とを有する。押え金具71Cの横方向長さは、例えば、第1金具71A及び第2金具71Bの横方向長さよりも短い。押え金具71Cの縦方向長さ(幅)は、隙間Sに挿入可能で(隙間Sの幅未満)、且つ第1金具71Aと第2金具71Bとに跨って配置可能な長さとされる。
第1脚部77は、第1金具71Aの第1基部72A上に当接する部分である。第2脚部78は、第2金具71Bの第2基部72B上に当接する部分である。後述の図12に示すように、マウント金具30の上端からの第1基部72Aの上面の高さは、第2基部72Bの上面の高さよりも高いので、第2脚部78は第1脚部77よりも長く形成される。各脚部の下端には、複数の突起が形成されていてもよい。
図12A,Bは、太陽光発電装置10Yの取り付け構造を示す縦方向断面図である。図12A,Bは、マウント金具30、ベース金具40、及び固定金具70を構成する第1金具71A、第2金具71B、押え金具71Cを用いて、太陽電池モジュール11Aの棟側端部及び太陽電池モジュール11Bの軒側端部を屋根100に固定する構造を示す。
図12A,Bに例示するように、アース金具15を介してマウント金具30上に載せられた太陽電池モジュール11Aのフレーム13Aの外溝24Aには、第1金具71Aの第1係合部73Aが挿し込まれている。また、太陽電池モジュール11Bのフレーム13Bの外溝24Bには、第2金具71Bの第2係合部73Bが挿し込まれている。そして、ボルト18を用いてベース金具40に締結された押え金具71Cにより、第1金具71A及び第2金具71Bが上から押え付けられている。
第1金具71A及び第2金具71Bの下には、当該各金具を支持するスペーサ91が設けられていてもよい。スペーサ91は、例えば幅が隙間Sの幅より短く、横方向に長い板状の部材であって、アース金具15を介してマウント金具30の鉤部33上に配置される。屋根面の傾斜によりフレーム13Aの底板23Aの先端が少し浮き上がっているので、スペーサ91は、軒側部分の厚みが棟側部分よりも厚く形成されている。また、スペーサ91にはボルト18を通す貫通孔が形成されている。
押え金具71Cの貫通孔79に通されたボルト18は、第1金具71A及び第2金具71Bの切欠き75A,75Bが形成された部分、スペーサ91及びアース金具15の各貫通孔を通って、ベース金具40のボルト締結部46に螺合している。ボルト18により第1金具71A及び第2金具71B上に押え金具71Cが固定されて一体化した3つの金具から構成される固定金具70は、フレーム13A,13Bに跨って取り付けられている。
第1金具71Aの第1基部72Aは、スペーサ91上に配置され、押え金具71Cの第1脚部77によって上から押えられている。第1係合部73Aは、フレーム13Aの外溝24Aに深く挿し込まれ、第1係合部73Aの端面が外溝24Aの最奥部に沿って略当接している。第1基部72Aが押え金具71Cによって上から押圧されることで、外溝24Aに挿し込まれた第1係合部73Aの突起74A(図11参照)が底板23Aの上面に強く当接している。また、第1基部72Aはマウント金具30の鉤部33上に配置されたスペーサ91の軒側部分に強く当接している。
第2金具71Bの第2基部72Bは、スペーサ91上に配置され、押え金具71Cの第2脚部78によって上から押えられている。第2係合部73Bは、フレーム13Bの外溝24Bに深く挿し込まれ、第2係合部73Bの端面が外溝24Bの最奥部に沿って略当接している。第1基部72Aが押え金具71Cによって上から押圧されることで、外溝24Bに挿し込まれた第2係合部73Bの突起74B(図11参照)が底板23Bの上面に強く当接している。また、第2基部72Bはマウント金具30の鉤部33上に配置されたスペーサ91の棟側部分に強く当接している。
上述の構成を備えた太陽光発電装置10Yは、太陽光発電装置10,10Xと同様に、施工が容易でメンテナンス性が良好であるにも関わらず、優れた耐荷重性を有する。太陽光発電装置10Yは、例えば、フレーム13Aの外溝24Aに第1金具71Aを、フレーム13Bの外溝24Bに第2金具71Bをそれぞれ挿し込み、第1金具71A及び第2金具71Bに跨って押え金具71Cを取り付けるという簡単な手順で施工できる。
具体的には、まず、マウント金具30上に載せられた太陽電池モジュール11Aのフレーム13Aの外溝24Aに第1金具71Aの第1係合部73Aを挿し込み、第1金具71Aの第1基部72Aの下にスペーサ91を配置する。次に、第2金具71Bの第2係合部73Bがフレーム13Bの外溝24Bに挿し込まれた太陽電池モジュール11Bをスペーサ91の棟側に配置する。そして、第1金具71Aと第2金具71Bとに跨って押え金具71Cを配置し、押え金具71Cの貫通孔79に通されたボルト18をベース金具40に締結する。なお、押え金具71Cを取り付けた後、第2金具71Bの棟側に太陽電池モジュール11Aを配置して外溝24Bに第2係合部73Bを挿し込むことも可能である。
太陽光発電装置10Yにおいても、目的とする太陽電池モジュール11だけを容易に取り外して交換することが可能である。例えば、交換対象の太陽電池モジュール11を固定するボルト18を緩めて押え金具71Cを取り外すことで、当該モジュールだけを取り外すことができる。
図13に例示するように、フレーム13A,13Bの隙間S上には、基部81の上面に立設した雪止め84を有するカバー80Yが取り付けられていてもよい。雪止め84は、基部81の軒側部分において、カバー80Yを支持金具85に固定するネジ86の頭部よりも高く形成されている。雪止め84の高さは、例えば7mm程度である。雪止め84は、カバー80Yの全長にわたって形成されてもよいが、その場合は所定の間隔で水抜き孔を形成することが好ましい。