JPWO2018042732A1 - 磁気トンネル接合素子およびその製造方法 - Google Patents

磁気トンネル接合素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

よりTMR比が高く、耐熱性の高い磁気トンネル接合素子およびその製造方法を提供するために、積層順に、金属材料から成る下地層、強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層、非磁性体から成る磁気結合層、強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、非磁性体から成る障壁層および強磁性体から成る記録層を積層して、または、積層順に、強磁性体から成る記録層、非磁性体から成る障壁層、強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、非磁性体から成る磁気結合層、金属材料から成る下地層および強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層を積層して、磁気トンネル接合素子を構成するに際して、成膜した下地層の表面をプラズマトリートメントにした後に固定層を成膜して積層する。

Description

本発明は、磁気トンネル接合素子およびその製造方法に関する。
スピントランスファートルク(Spin Transfer Torque、以下では、「STT」という)を用いた磁化反転は、素子サイズが小さくなるほど書き込みに要する電流値が小さくなるため、高密度で消費電力の小さいメモリ素子に適している。近年、このSTTによる磁化反転を用いた磁気メモリ(STT−MRAM)が注目を集めている。
このSTTによる磁化反転を利用する磁気メモリは、磁気トンネル接合(MTJ;Magnetic Tunnel Junction)素子(以下、「MTJ素子」という場合がある)で構成されている。そして、MTJ素子は、磁化の向きが固定された参照(固定)層と磁化の向きが変化する記録(自由)層とで、トンネル障壁層(トンネル絶縁膜)をサンドイッチした構成を有している。
MTJ素子の性能は、トンネル磁気抵抗比(TMR比)、熱安定性および閾値電流で表される。トンネル磁気抵抗比は、(Rap−R)/R (ここで、R:障壁層に隣接する参照層の磁化と記録層の磁化とが平行に配列した時の抵抗値、Rap:障壁層に隣接する参照層の磁化と記録層の磁化とが反平行に配列した時の抵抗値)で定義される値である。また、熱安定性は、Keff・V/kT (ここで、Keff:記録層の実効磁気異方性エネルギー密度、V:記録層の体積、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)に比例する値である。一般に、MTJ素子は、トンネル磁気抵抗比が大きい方が好適であり、また、熱安定性を閾値電流で除した値が大きいほど好適である。
MTJ素子が、垂直磁化型のとき、STTにより磁化を反転させる場合と熱的な反転が生じる場合とでは、磁化の通る方向が同じになる。一方、面内磁化型のとき、STTにより磁化を反転させる場合と熱的な反転が生じる場合とでは、磁化が違う方向を通る。この場合、STTによる反転では、磁化は反磁界が大きな面直方向を通り、熱的反転では、磁化は反磁界が小さな面内方向を通る。その結果、面内磁化型では、閾値電流に対する熱安定性の比が、垂直磁化型に比べて小さくなる。このため、近時では、垂直磁化型のMTJ素子がより注目されており、垂直磁化型のMTJ素子が用いられるようになってきている。
このような垂直磁化型のMTJ素子として、CoFeBから形成される強磁性層とMgO絶縁膜とを用いることにより、高いトンネル磁気抵抗比と高い熱安定性、低い閾値電流を有するものが開発されており(例えば、特許文献1参照)、現在、この材料系を用いた検討が活発に行われている。
また、垂直磁気異方性を向上させるため、MgO(障壁層)/CoFeB(記録層)/MgO(保護層)構造のように、記録層(CoFeB)を、酸素を含む障壁層(MgO)と保護層(MgO)とで挟んだ構造(二重界面構造)を有するものも開発されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、保護層として導電性酸化物層を用いた二重界面構造を有するものや、その保護層の上に金属キャップ層を配置したものも開発されている(例えば、特許文献2参照)。
このような二重界面構造を有するMTJ素子は、記録層の下と記録層の上のCoFeB/MgO界面に生じる2つの垂直磁気異方性によって、MgOの保護層がないトンネル接合素子よりも記録層の膜厚を大きくすることができる。熱安定性は、記録層の膜厚に比例して増加するため、膜厚を大きくすることにより熱安定性を向上させることができる。また、同時に、記録層の膜厚を大きくすることにより、記録層のダンピング定数αを低減することも可能となる。書き込み電流の値はダンピング定数αに比例するため、書き込み電流の値を同時に低減することができる。これらの結果、二重界面構造を有するMTJ素子は、熱安定性が高く、書き込み電流が小さい、すなわち、熱安定性を閾値電流で除した値が大きいものとなっている。
一方、MgOの保護層がないMTJ素子では、記録層の上に、MgO保護層の代わりにTa等の保護層を積層している。この場合、熱処理によってTaがボロンを吸収するため、CoFeBが結晶化し、高いTMR比が得られる。
しかし、特許文献1および2に記載された二重界面構造を有するMTJ素子は、MgOでCoFeBを挟んでおり、Ta等のキャップがないため熱処理によるボロンの拡散が起きにくい。このため、CoFeBが熱処理によって結晶化せず、TMR比が低下してしまうという問題があった。
そこで、このようなTMR比の低下を防ぐために、記録層の間に薄いTa等の非磁性層を挿入したMTJ素子が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このMTJ素子では、熱処理によりTa等の非磁性層がボロンを吸収してCoFeBが結晶化しているため、高いTMR比が得られている。
また、磁化固定層として[Co/Pt]多層膜のような垂直磁気異方性の高い膜の上に、磁気結合層といわれる4Å程度の薄いTaを間に挟んでCoFeBの参照層を積層したMTJが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。CoFeB/MgO/CoFeBのトンネル接合では、CoFeBとMgOが(001)面配向した時に高いTMR比が得られる。[Co/Pt]はfccの(111)結晶配向性を持つため、この上にCoFeBの参照層を直接積層すると、[Co/Pt]のfcc結晶方向にCoFeBが結晶配向するため高いTMR比が得られない。磁気結合層は、[Co/Pt]の結晶配向をここでいったん切ることによって、CoFeBを(001)方向に配向し、高いTMR比を得るために用いられる。
特開2014−207469号公報 国際公開第2013/069091号
H.Sato,M.Yamanouchi,S.Ikeda,S.Fukami,F.Matsukura,and H.Ohno,"Perpendicular−anisotropy CoFeB−MgO magnetic tunnel junctions with a MgO/CoFeB/Ta/CoFeB/MgO recording structure",Appl.Phys.Lett.,2012,101,022414
磁気トンネル接合素子の実際の構造は、例えば図1に示すように、基板27の上に、下部電極層28および下地層29を形成し、この下地層29の上に、固定層25、磁気結合層26、参照層11、障壁層12、記録層13、保護層14および上部電極層30の順に積層された構成を有している。
ここで、固定層としては、後述するようにCo/PtなどのCo合金系の垂直磁性膜が用いられる場合が多い。このCo合金膜が垂直磁気異方性を持つには、hcp構造の磁化容易軸である(0001)方向が、基板と垂直な多結晶配向膜であることが必要である。
このようにCo合金膜を配向させる方法として、下地層の上にヘテロエピタキシャルに成長させる方法が用いられる。hcp構造の最稠密面の原子配列と同様な配列のhcp構造の(0001)配向膜あるいはfcc構造の(111)配向膜を下地層にして、その上にCo合金を成膜すると、Co合金膜は下地層の結晶配向の影響を受けて、(0001)面を下地と平行にした多結晶配向膜が成長することになる。このような材料として、例えば、hcp構造を持つTi、Sc、RuおよびHfの膜、fcc構造を持つPt、Pd、AuおよびCuの膜などがよく用いられている。
それらの材料の中で、プラチナ(Pt、以下では「Pt」という)を下地層29として使用する場合には、Pt下地層を成膜後、その上に固定層25の一部を構成する[Co/Pt]多層膜(Co膜とPt膜とをそれぞれ交互に積層した膜)が成膜され、この成膜以降は上述した順に各層が成膜され、その後熱処理が施される。その時に、参照層11を構成するCoFeBのFeが熱処理(アニール処理)により下層のCo/Pt多層膜側に拡散する現象が発生することが、測定分析(本発明の実施例において後述するが、図11の(a)に示すように、EDX線(エネルギー分散型X線)分析)により判明した。この現象は、垂直磁気異方性を劣化させTMR比の低下を引き起こす課題を呈するものである。
本発明は、この課題に着目してなされたもので、この課題を解決して、耐熱性およびTMR比を向上させる磁気トンネル接合素子の製造方法および該製造方法によって生成した磁気トンネル接合素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る磁気トンネル接合素子の製造方法は、金属表面のスパッタエッチング、いわゆる「プラズマトリートメント(Plasma Treatment)」(以下では、略して「PT」という)を活用する。すなわち、積層順に、金属材料から成る下地層、強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層、非磁性体から成る磁気結合層、強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、非磁性体から成る障壁層および強磁性体から成る記録層を積層して、または、積層順に、強磁性体から成る記録層、非磁性体から成る障壁層、強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、非磁性体から成る磁気結合層、金属材料から成る下地層および強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層を積層して、磁気トンネル接合素子を構成するに際して、成膜した下地層の表面をプラズマトリートメントにした後に固定層を成膜して積層することを特徴とする。
本発明は、磁気トンネル接合素子の下地層であるPt下地を成膜後に、Ar等でこのPt表面をプラズマトリートメントした後に、[Co/Pt]多層膜から成る固定層を成膜することにより、Pt表面の平滑性および[Co/Pt]多層膜から成る固定層の結晶配向性が向上し、磁気トンネル接合素子の耐熱性およびTMR比を向上させることを可能にする。
図1は、本発明に係る磁気トンネル接合素子(MTJ素子)の積層構造の代表的な構成例(第1の構成例)を示す図である。 図2は、本発明に係る磁気トンネル接合素子の積層構造、および(a)低抵抗状態、(b)高抵抗状態を示す説明図である。 図3は、本発明に係る磁気トンネル接合素子の積層構造の第2の構成例を示す図である。 図4は、本発明に係る磁気トンネル接合素子の積層構造の第3の構成例を示す図である。 図5は、Pt表面の平均表面粗さ(Ra)を測定した結果を示す図である。 図6は、PTの有無によるCo/Pt表面の平均表面粗さ(Ra)の測定結果を示す図である。 図7は、PTの有無による成膜直後と熱処理時の異方性磁界Hkの測定値を示す図である。 図8は、本発明の実施例に係る磁気トンネル接合素子の製造方法の簡略図である。 図9は、PTの有無によるTMR比および接合抵抗(RA)の測定値の変化を示す図である。 図10は、PTによる削り量とTMR比との関係を示す図である。 図11は、MTJ素子の積層構造に対するEDX線分析を元素Feについて行った結果を示す図である。 図12は、固定層の断面として[Co/Pt]の粒界をTEMで撮像した図である。 図13は、固定層の[Co/Pt]およびその下のPt下地までの断面をTEMで撮像した図である。 図14は、図11のTEM撮像図で、固定層の[Co/Pt]部分を拡大した図である。 図15は、Pt下地に対してArを使ったプラズマトリートメント(PT)のあり/なしを示した模式図である。 図16は、HR−RBS分析による測定結果を示した図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る磁気トンネル接合(MTJ;Magnetic Tunnel Junction)素子の積層構造の代表的な構成例(第1の構成例)を示す図である。
磁気トンネル接合素子10は、参照層11、障壁層12、記録層13および保護層14をこの順番で積層した構造と、これらの各層をスパッタリング等で成膜するための基層15とを有している。実際には、磁気トンネル接合素子10は、図示のように、基板27の上に、下部電極層28および下地層29を形成し、この下地層29の上に、固定層25、磁気結合層26、参照層11、障壁層12、記録層13、保護層14および上部電極層30の順に積層された構成を有している。この場合には、基板27の上に各層を成膜した後、熱処理を行うことにより製造することができる。なお、図1では、基板27、下部電極層28、下地層29、固定層25および磁気結合層26が、基層15を成している。
以下、各層について順に説明するが、基層15については、参照層11に近い固定層25および磁気結合層26を先に説明する。
基層15を構成する固定層25は、強磁性体であって、磁化方向が膜面に対して垂直方向で固定になっている。
基層15を構成する磁気結合層26は、非磁性体であって、例えば、厚さ0.4nmのTaの膜から成る。Ta以外では、Hf、W、Mo、Nb、Zr、Y、Sc、Ti、VおよびCrのうちの少なくともいずれか1つから成る膜であってもよい。
参照層11は、強磁性体であって、磁化方向が膜面に対して垂直方向で固定になっていて、例えば、厚さ1.0〜1.2nmのCoFeBの膜から成っている。
障壁層12は、酸素を含む非磁性体であって、例えば、厚さ1.0〜1.3nmのMgOの膜から成っている。ただし、非磁性体として酸素を含めることを限定するものではない。
記録層13は、強磁性体であって、磁化方向が膜面に対して垂直方向で可変になっていて、例えば、図示はしないが、第1の強磁性層、非磁性体から成る挿入層および第2の強磁性層の順に積層した構造とすることができ、第1の強磁性層および第2の強磁性層が挿入層を介して磁気的に結合している。その際には、第1の強磁性層は、磁化方向が膜面に対して垂直方向で可変になっており、例えば、厚さ1.4〜1.5nmのCoFeBの膜から成っている。挿入層は、非磁性体であって、例えば、厚さ0.2〜0.5nmのTaまたはWの膜から成っている。第2の強磁性層は、磁化方向が膜面に対して垂直方向で可変になっており、例えば、厚さ1.0〜1.5nmのCoFeBの膜から成っている。
保護層14は、酸素を含む非磁性体であって、例えば、厚さ1.0〜1.1nmのMgOの層から成っている。ただし、非磁性体として酸素を含めることを限定するものではない。また、保護層14は、導電性酸化物膜から成っていてもよい。
上述のように、基層15として、固定層25および磁気結合層26を有し、また、基層15は、参照層11の障壁層12側とは反対側の面に配置されている。
固定層25は、図2に示すように、第3の強磁性層31、第4の強磁性層32および双方の間に挟まれた非磁性層33を有している。
第3の強磁性層31は、例えば、厚さ0.5nmのCo膜と厚さ0.3nmのPt膜とをそれぞれ交互に4回積層した上に、厚さ0.5nmのCo膜を積層した膜から成っている。
第4の強磁性層32は、例えば、厚さ0.5nmのCo膜と厚さ0.3nmのPt膜とをそれぞれ交互に2回積層した上に、厚さ0.5nmのCo膜を積層した膜から成っている。
非磁性層33は、例えば、厚さ0.9nmのRu膜から成っている。
そして、固定層25は、非磁性層33を介して、第3の強磁性層31および第4の強磁性層32の磁化の向きが、RKKY相互作用により、膜面に対して垂直方向で互いに反対向きになっている。
磁気結合層26は、非磁性体であって、固定層25と参照層11との間に挟まれ、例えば、厚さ0.4nmのTa膜から成っている。
また、固定層25は、第4の強磁性層32が磁気結合層26と接するように設けられている。
なお、参照層11は、磁気結合層26を介して固定層25と磁気的に結合しており、磁化方向が膜面に対して垂直方向で一方向に固定されている。
磁気トンネル接合素子10は、障壁層12を介して、参照層11と記録層13との間に磁気トンネル接合が生成されている。また、図1に示すように、磁気トンネル接合素子10は、記録層13を障壁層12と保護層14とで挟んだ二重界面構造を有し、記録層13と障壁層12との界面、および、記録層13と保護層14との界面に、それぞれ垂直磁気異方性が生じ、記録層13の磁化方向が膜面に対して垂直になっている。また、磁気トンネル接合素子10は、記録層13の磁化方向が、スピン注入磁化反転により変化するようになっている。
磁気トンネル接合素子10の製造時には、基層15の上に、参照層11、障壁層12、記録層13および保護層14を順に成膜した後、熱処理を行う。各層の堆積方法としては、物理蒸着法であるスパッタリングや分子線エピタキシャル成長法(MBE法)などを用いることができる。熱処理の温度は、350℃〜450℃が好ましい。
次に、基層15につき、上述した固定層25および磁気結合層26以外の構成部分について説明する。
基板27は、トランジスタや多層の配線層を含んだ構成を有している。
下部電極層28は、例えば、厚さ20〜50nm程度の導電層であって、Ta、TaN、Ti、TiN、Cu、CuN、Au、AgおよびRuなどの金属材料またはその合金などから成っている。また、下部電極層28は、複数の金属材料を積層した構造、例えば、Ta/Ru/Taといった構造であってもよい。下部電極層28は、上部の各層を形成するための下地となる層であり、成膜後、化学機械研磨(CMP)やガスクラスターイオンビオーム(GCIB)等により、表面が平坦に形成されている。
下地層29は、例えば、厚さ5nm程度のPtの膜から成っているが、Ptの他にも、Ti、Sc、Pd、Ru、Cu、AuおよびHfなどの金属材料から成っていてもよい。
上部電極層30は、例えば、厚さ10〜100nm程度の導電層であって、Ta、TaN、Ti、TiN、Cu、CuN、Au、AgおよびRuなどの金属材料またはその合金などから成っている。また、上部電極層30は、複数の金属材料を積層した構造、例えば、Ta/Ruといった構造であってもよい。
次に、磁気トンネル接合素子10に対する情報の書き込み/読み出しについて説明する。
磁気トンネル接合素子10は、図2の(a)に示すように、参照層11の磁化方向と記録層13の磁化方向が互いに平行で同一方向(P状態)のとき、下部電極層28と上部電極層30との間が低抵抗になる。一方、図2の(b)に示すように、参照層11の磁化方向と記録層13の磁化方向が反平行(平行で反対方向:AP状態)のとき、下部電極層28と上部電極層30との間が高抵抗になる。この抵抗値の高低を、ビット情報の「0」と「1」とに対応させることにより、情報を書き込むことができる。図2に示す例では、低抵抗状態に「0」を、高抵抗状態に「1」を割り当てている。
磁気トンネル接合素子10に情報を書き込む場合は、下部電極層28と上部電極層30との間に流す書き込み電流の方向を変えることにより、「0」または「1」を書き込むことができる。書き込み電流を上部電極層30から下部電極層28に向かって流すと、図2の(a)に示すように、記録層13の磁化が参照層11の磁化と同一方向になるため、「0」が書き込まれる。一方で、書き込み電流を下部電極層28から上部電極層30に向かって流すと、図2の(b)に示すように、記録層13の磁化が参照層11の磁化と反対方向になるため、「1」が書き込まれる。
一方、磁気トンネル接合素子10から情報を読み出す場合は、下部電極層28と上部電極層30との間に読み出し電圧を印加することにより、「0」または「1」のそれぞれの抵抗値に応じた電流が流れる。この電流を検出することにより、磁気トンネル接合素子10に書き込まれている情報(「0」または「1」)を読み出すことができる。
また、図3に、磁気トンネル接合素子10の積層構造の第2の構成例を示す。第2の構成例は、図1に示す、固定層25から保護層14までをひっくり返し、図3に示すような積層構造とし、磁気結合層26と固定層25の間に下地層29を挿入した構成である。この場合、保護層14と下部電極層28とが接触し、固定層25と上部電極層30とが接触している。そして、基板27および下部電極層28が基層15を成している。また、参照層11と固定層25の間の磁気結合を強めるために、磁気結合層26と下地層29の間に薄い磁性膜を挿入してもよい。
さらにまた、図4に、磁気トンネル接合素子10の積層構造の第3の構成例を示す。第3の構成例は、図4に示すように、記録層13と保護層14との間に、記録層13の側から順に、第2の障壁層12a、第2の参照層11a、第2の磁気結合層26a、第2の下地層29aおよび第2の固定層25aを挿入して積層された構造である。この場合には、基板27から磁気結合層26までの5層が基層15を成している。また、第2の磁気結合層26aと第2の下地層29aの間の磁気的な結合を強めるために、薄い磁性膜を挿入してもよい。
次に、磁気トンネル接合素子10の製造方法の中で、本発明に係る製造方法の実施例として、下地層を成膜後に下地層表面をスパッタエッチング、いわゆるプラズマトリートメント(以下、「PT」という場合がある)した後に固定層を成膜する方法について、以下に説明する。
まず初めに、プラズマトリートメント(PT)による磁気トンネル接合素子の積層面の表面粗さの変化について述べる。
実施例に係る磁気トンネル接合素子においては、固定層として、上述したCo/Pt積層膜、Co/Pd積層膜、Co/Ni積層膜、CoPt合金膜、CoCrPt合金膜およびCoCrRu合金膜などのCo合金系の垂直磁性膜を用いる。そこで、このCo合金膜が垂直磁気異方性を持つには、上述のように、hcp構造の磁化容易軸である(0001)方向が基板と垂直な多結晶配向膜であることが必要であるため、下地層の上にCo合金膜をヘテロエピタキシャルに成長させる方法が用いられる。すなわち、hcp構造の最稠密面の原子配列と同様な配列のhcp構造の(0001)配向膜あるいはfcc構造の(111)配向膜を下地層にして、その上にCo合金を成膜すると、Co合金膜は下地層の結晶配向の影響を受けて、(0001)面を下地と平行にした多結晶配向膜が成長することになる。これを満足させるために、下地層に用いる材料としては、上述した金属材料(Pt、Ti、Sc、Pd、Ru、Cu、AuおよびHfなど)を用いる。構造的には、Ti、Sc、RuおよびHfがhcp構造を持ち、Pt、Pd、CuおよびAuがfcc構造を持つ。
下地層のPt下地にPTを施すに当たって、まず、図5に、PT実施のあり/なしの場合において、Pt表面の平均表面粗さ(Ra)を測定した結果を示す。Pt下地に対して、図5の(a)がPTなしの場合の測定結果を示し、図5の(b)がPTあり(PT処理により厚さ8nmのPtが厚さ5nmとなり、PTなしの場合と同等の状態とした)の場合の測定結果を示す。Pt表面の平均表面粗さ(Ra)の測定結果は、PTなしの場合がRa=0.219nm、PTありの場合がRa=0.228nmで、ほとんど差がないことが分かった。
そこで、下地層のPt下地に、さらに固定層を積層した場合の表面粗さの変化について測定した。固定層として、厚さ0.5nmのCo膜と厚さ0.3nmのPt膜とをそれぞれ交互に4回積層した上に(以下、この積層を「Co/Pt」と略し、図面中では、この4回積層を[Co(0.5)/Pt(0.3)]で示す)、厚さ0.5nmのCo膜(上述した、第3の強磁性層31に対応)を積層した。図6に、この場合のPt下地に対するPT実施の有無によるCo/Pt表面の平均表面粗さ(Ra)の測定結果を示す。図6の(a)がPTなしの場合の測定結果を示し、図6の(b)がPTあり(図5と同様に、PT処理により厚さ8nmのPtが厚さ5nmとなり、PTなしの場合と同等の状態とした)の場合の測定結果を示す。PTなしの場合がRa=0.241nm、PTありの場合がRa=0.181nmとなり、固定層を積層した状態においても、Pt下地にPTを実施することによりCo/Ptが平滑になることが分かった。
次に、プラズマトリートメント(PT)による耐熱性への効果について述べる。
Pt下地に対してPTを実施することにより、熱処理後に[Co/Pt]多層膜の垂直磁気異方性がどのように変化するかを測定した。図7は、図6に示す積層構造に厚さ3nm(非磁性層33に対応)を積層した状態において、Pt下地に対するPTのあり/なしのそれぞれについて、成膜直後(as depo)と400℃で1時間熱処理した場合の異方性磁界Hkの測定値の比較結果を示す。図7の(a)がPTなしの積層構造、図7の(b)がPTありの積層構造、図7の(c)がPTのあり/なしのそれぞれの異方性磁界Hkの測定値のグラフ、を示す。図7の(a)と(b)とは、PT処理後では同じ積層構造となっているが、図5および6と同様に、(b)のPTありの場合は、PT処理によりPt膜の厚さが8nmから5nmとなったものである。この400℃の熱処理により、PTなしの場合には、異方性磁界Hkが半分近くまで減少しているのに対し、PTありの場合には、異方性磁界Hkの減少率は1割弱に留まっていることが分かる。すなわち、Pt下地に対してPTを行うことで、400℃の熱処理後であっても、[Co/Pt]多層膜の垂直磁気異方性の劣化を抑制できることが分かった。
図8は、本発明の実施例に係る磁気トンネル接合素子の製造方法の簡略図である。磁気トンネル接合素子を積層して製造する工程において、下地層を構成する(例えば、Pt)を成膜後に、Ar、KrおよびXe等の希ガスによってこのPt表面にプラズマトリートメント(PT)を施し、それに続いて、例えば[Co/Pt]から成る固定層を成膜する。
ここで、このプラズマトリートメント(PT)を施すことにより、磁気特性に対してどのような効果があったかについて述べる。
図9は、先に述べた磁気トンネル接合素子の積層構造にあって、上記Pt下地に対するPTのあり/なしの場合におけるTMR比および接合抵抗(RA)の測定値の変化を示す図(グラフ)である。図9の(a)に、実際の測定に用いた磁気トンネル接合素子の積層構造を示し、図9の(b)に、PTのあり/なしのそれぞれにおけるTMR比および接合抵抗(RA)の測定値のグラフを示す。図9の(a)では、簡略的に、下地層に記す、「Pt(5)」がPTなしの場合を示し、「Pt(8→5)」がPTありの場合を示す(すなわち、図5〜7と同様である)。また、RA(Resistance−Area product)は接合抵抗を表し、その値はTMR素子の単位面積(1μm)当たりの規格化抵抗値であってトンネル膜の性能指標といえるものである。
TMR比に関しては、PTありの場合は、PTなしの場合よりTMR比が約20%増加することが分かり、抵抗値(RA)に関しては、若干の減少はあるが大きな変動はないことが分かった。すなわち、上記Pt下地に対してPTを行うことで、TMR比特性、延いては磁気特性の向上を図ることができる。
さらに、プラズマトリートメント(PT)による削り量とTMR比特性との関係について述べる。
図10は、先に述べた磁気トンネル接合素子の積層構造にあって、上記Pt下地に対してPTによる削り量とTMR比との関係を示す図(グラフ)である。図10の(a)に、実際の測定に用いた磁気トンネル接合素子の積層構造を示し、図10の(b)に、PTなしからPTによるPt削り量6nmまでのTMR比の特性をグラフで示す。削り量3nm程度をピークに、削り量が少なくても多くてもTMR比は減少する傾向にあることが分かる。すなわち、削り量を大きくとればTMR比の特性が向上していくものではなく、適正な削り量が存在することになる。
次に、上記Pt下地に対するプラズマトリートメント(PT)により、磁気トンネル接合素子の積層構造にどのような現象(変化)が生じたかについて述べる。
図11は、上記Pt下地に対するPTのあり/なしの場合に、磁気トンネル接合素子の積層構造に対するEDX線(エネルギー分散型X線)分析を、元素Feについて行った結果を示す図(グラフ)である。図11の(a)にPTなしの場合、図11の(b)にPTありの場合の各特性を示す。図示の積層構造に沿うと、右側の下地層から成膜し、当該下地層を構成するPt(Pt下地)に対してプラズマトリートメント(PT)を実施するか否か(PTのあり/なし)の場合のEDX線分析結果である。双方共に、グラフ上に示す磁気トンネル接合素子の積層構造に含まれるFeの含有特性を表し、成膜直後(as depo)の分析結果を実線で示し、400℃で1時間熱処理(アニール処理)した後の分析結果を破線で示している。
図11の(a)に示すように、Pt下地に対するPTなしの場合には、400℃で熱処理(アニール処理)を行うことによって、参照層を構成するCoFeBに含まれるFeが、固定層の[Co/Pt]側に拡散していることがグラフより明らかである(矢印で示すように、実線から破線へ変化)。ところが、図11の(b)に示すように、Pt下地に対するPTありの場合には、400℃で熱処理(アニール処理)を行っても、参照層を構成するCoFeBに含まれるFeに大きな変化はなく、上記Feの拡散が抑制されていることが分かる。この時、Co/Pt中に拡散したFe元素の量は2at%/nm以下である。これにより、垂直磁気異方性の劣化が抑制され、TMR比は向上することになる。
さらに、断面のTEM観察(透過型電子顕微鏡による断面観察)により、上記Pt下地に対するプラズマトリートメント(PT)のあり/なしの場合における、結晶粒サイズの変化や層の格子間隔の変化の様子を示す。
図12は、400℃で1時間熱処理(アニール処理)を行った場合に、磁気トンネル接合素子の断面をTEMで撮像した図である。図12の(a)がPTなしのサンプルの撮像図で、図12の(b)がPTありのサンプルの撮像図である。固定層の断面である[Co/Pt]の粒界に着目すると、両図において、「▽」で示される部分が[Co/Pt]の粒界である。図示のとおり、PTなしのサンプルでは、[Co/Pt]の粒子サイズが13nm程度であるが、PTありのサンプルでは、20nm程度であると推測される。このようにグレインサイズが大きくなることにより、ラフネスが低減され、垂直磁気異方性が増加したものと推測される。また、グレインサイズが大きくなることによって、結晶粒界が減少することから、結晶粒界を通したFe元素の拡散が抑制される。
図13および図14は、同じく400℃で1時間熱処理(アニール処理)を行った場合に、固定層の[Co/Pt]からその下の下地層のPt、さらに下の下部電極のTaNまでの断面をTEMで撮像した図である。共に、図13および図14の(a)がPTなしのサンプルの撮像図で、図13および図14の(b)がPTありのサンプルの撮像図である。図14は、特に、[Co/Pt]部分を拡大した図である。PTなしの場合には、Ptの格子間隔は2.29Å程度、[Co/Pt]の格子間隔は2.12Å程度である。一方、PTありの場合には、Ptの格子間隔は2.31Å程度で、[Co/Pt]の格子間隔は2.18Å程度となる。
図を比較してみると、結晶配向性および格子間隔がPTの有無により変化していることが観察できる。固定層の[Co/Pt]に関しては、図14から明らかなように、PTありの方が[Co/Pt]の結晶格子縞が揃っていることが観察できる。すなわち、[Co/Pt]の結晶配向性が向上していることが確認できたものである。
上記した[Co/Pt]の結晶配向性の向上、すなわち、Pt下地に対するプラズマトリートメント(PT)による耐熱性向上について、高分解能RBS(HR−RBS:High Resolution Rutherford Backscattering Spectrometry)分析(以下、「HR−RBS分析」という)を行って評価した結果を以下に示す。
図15は、HR−RBS分析による比較のために、Pt下地に対してArを使ったプラズマトリートメント(PT)のあり/なしを示した模式図である。(a)がPTなし、(b)がPTありの場合であり、そのPt−PT条件は、図示のとおりである。シリコン(Si)基板上に50nmのPtをKrガスで成膜し、成膜後にその場で表面にプラズマトリートメント(PT)を行った。その後、サンプルをHR−RBS分析し、Arの打ち込み深さおよび打ち込み量を評価した。
図16は、上記のHR−RBS分析による測定結果を示した図で、(a)がPTなし、(b)がPTありの場合である。共に右側に、縦軸の原子パーセント(at%)を拡大した図を示す(最大値を100%から5%に拡大)。(b)に示されるように、PTを行ったサンプルでは、Pt表面から10nmまでの範囲でArが検出された。また、シリコン(Si)基板表面のArは、成膜前の基板クリーニングの際に打ち込まれたものである。なお、図中、Krのグラフ線種を記しているが、測定により検出下限以下であったため、図中には現れていない。
このように、ArがPt下地に打ち込まれることにより、該Ptの結晶格子間隔が変化し、[Co/Pt]の結晶格子不整合が減少してその結晶配向性が向上したものと評価できる。これにより、垂直磁気特性を向上させることができる。
以上のとおり、本発明に係る製造方法による磁気トンネル接合素子の断面のTEM観察による分析結果から、上記Pt下地に対してプラズマトリートメント(PT)を行うことの効果として以下のことが判明した。すなわち、このPtの結晶配向性を変えることによって、[Co/Pt]の結晶粒が大きくなり、それにより、結晶粒界の減少によるFeの粒界拡散が抑制され、また、[Co/Pt]の結晶配向性が向上し、これらによって、耐熱性および垂直磁気異方性を向上させることができたものである。
また、本発明に係る磁気トンネル接合素子は、その固定層として、上記Co合金系の垂直磁性膜の他にも種々の結晶性磁性膜を採用できる。
例えば、FePt垂直磁性膜を用いることができる。FePt合金は、L1型の規則合金であり、基板垂直方向に磁化するには、結晶c軸を膜面垂直に結晶配向させる必要がある。このような、結晶を配向させる下地膜の結晶構造としては、NaCl構造、fcc構造およびbcc構造をもつものがよく用いられている。例えば、下地膜として、NaCl構造のMgO膜、fcc結晶構造のCrRu合金膜およびbcc結晶構造のCr/Ta、Cr/MgO積層膜などがよく用いられる。
更には、SmCo系の垂直磁性膜を用いることもできる。この場合にも、基板垂直方向に磁化するには、結晶c軸を膜面垂直に結晶配向させる必要がある。このような、結晶を配向させる下地膜の結晶構造としては、fcc構造をもつものが用いられる。例えば、fcc結晶構造のCu、Cu/Ti積層膜などがよく用いられる。
そしてまた、本発明に係る磁気トンネル接合素子の適用性に関しては、STT素子だけではなく、3端子のSOT(Spin Orbit Torque)素子にも適用可能である。
10 磁気トンネル接合(MTJ)素子
11 参照層
12 障壁層
13 記録層
14 保護層
15 基層
25 固定層
26 磁気結合層
27 基板
28 下部電極層
29 下地層
30 上部電極層
31 第3の強磁性層
32 第4の強磁性層
33 非磁性層
【0005】
その後熱処理が施される。その時に、参照層11を構成するCoFeBのFeが熱処理(アニール処理)により下層のCo/Pt多層膜側に拡散する現象が発生することが、測定分析(本発明の実施例において後述するが、図11の(a)に示すように、EDX線(エネルギー分散型X線)分析)により判明した。この現象は、垂直磁気異方性を劣化させTMR比の低下を引き起こす課題を呈するものである。
[0018]
本発明は、この課題に着目してなされたもので、この課題を解決して、耐熱性およびTMR比を向上させる磁気トンネル接合素子の製造方法および該製造方法によって生成した磁気トンネル接合素子を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0019]
上記目的を達成するために、本発明に係る磁気トンネル接合素子の製造方法は、金属表面のスパッタエッチング、いわゆる「プラズマトリートメント(Plasma Treatment)」(以下では、略して「PT」という)を活用する。すなわち、積層順に、金属材料から成る下地層、強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層、非磁性体から成る磁気結合層、強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、非磁性体から成る障壁層および強磁性体から成る記録層を積層して、または、積層順に、強磁性体から成る記録層、非磁性体から成る障壁層、強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、非磁性体から成る磁気結合層、金属材料から成る下地層および強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層を積層して、磁気トンネル接合素子を構成するに際して、成膜した下地層の表面をプラズマトリートメントにした後に固定層を成膜して積層することを特徴とする。
発明の効果
[0020]
本発明は、磁気トンネル接合素子の下地層であるPt下地を成膜後に、Ar等でこのPt表面をプラズマトリートメントした後に、[Co/Pt]多層膜から成る固定層を成膜することにより、[Co/Pt]多層膜から成る固定層の平滑性および結晶配向性が向上し、磁気トンネル接合素

Claims (8)

  1. 積層順に、
    金属材料から成る下地層、
    強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層、
    非磁性体から成る磁気結合層、
    強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、
    非磁性体から成る障壁層および
    強磁性体から成る記録層
    を積層して構成する磁気トンネル接合素子、
    または、積層順に、
    強磁性体から成る記録層、
    非磁性体から成る障壁層、
    強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、
    非磁性体から成る磁気結合層、
    金属材料から成る下地層および
    強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層
    を積層して構成する磁気トンネル接合素子
    の製造方法であって、
    成膜した前記下地層の表面をプラズマトリートメントにした後に前記固定層を成膜して積層する
    ことを特徴とする磁気トンネル接合素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気トンネル接合素子の製造方法であって、
    前記固定層は、強磁性体から成る2つの層に非磁性体から成る層が挟まれる構造に積層する
    ことを特徴とする磁気トンネル接合素子の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の磁気トンネル接合素子の製造方法であって、
    前記下地層を構成する前記金属材料は、白金(Pt)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、金(Au)およびハフニウム(Hf)のいずれか1つである
    ことを特徴とする磁気トンネル接合素子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気トンネル接合素子の製造方法であって、
    前記プラズマトリートメントには、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)の少なくともいずれか1つを用いる
    ことを特徴とする磁気トンネル接合素子の製造方法。
  5. 積層順に、
    金属材料から成り、自らの表面がプラズマトリートメントされた下地層、
    強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層、
    非磁性体から成る磁気結合層、
    強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、
    非磁性体から成る障壁層および
    強磁性体から成る記録層
    の積層体から構成される磁気トンネル接合素子。
  6. 積層順に、
    強磁性体から成る記録層、
    非磁性体から成る障壁層、
    強磁性体から成り磁化方向が固定である参照層、
    非磁性体から成る磁気結合層、
    金属材料から成り、自らの表面がプラズマトリートメントされた下地層および
    強磁性体から成り磁化方向が固定である固定層
    の積層体から構成される磁気トンネル接合素子。
  7. 請求項5または6に記載の磁気トンネル接合素子であって、
    前記固定層は、強磁性体から成る2つの層と当該2つの層に挟まれた非磁性体から成る層とから構成させる磁気トンネル接合素子。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の磁気トンネル接合素子であって、
    前記記録層の前記障壁層とは反対側に隣接して設けられる保護層を有する磁気トンネル接合素子。
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