以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、図1〜図3及び図12を参照して、本実施形態に係る光検出装置1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る光検出装置を示す概略斜視図である。図2は、半導体光検出素子の概略平面図である。図3は、図2に示されたIII−III線に沿った断面構成を説明するための図である。図12は、半導体光検出素子の概略拡大図である。
光検出装置1は、図1に示されるように、半導体光検出素子10A、搭載基板20、及びガラス基板30を備えている。搭載基板20は、半導体光検出素子10Aと対向している。ガラス基板30は、半導体光検出素子10Aと対向している。半導体光検出素子10Aは、搭載基板20とガラス基板30との間に配置されている。本実施形態では、半導体光検出素子10A、搭載基板20、及びガラス基板30の各主面と平行な面がXY軸平面であると共に、各主面に直交する方向がZ軸方向である。
半導体光検出素子10Aは、平面視で矩形形状を呈している半導体基板50Aを有している。半導体基板50Aは、Siからなり、N型(第二導電型)の半導体基板である。半導体基板50Aは、互いに対向する主面1Naと主面1Nbとを含んでいる。
半導体光検出素子10Aは、図2に示されるように、複数のアバランシェフォトダイオードAPDと、複数の貫通電極TEとを備えている。複数のアバランシェフォトダイオードAPDは、半導体基板50Aに二次元配列されている。本実施形態では、複数のアバランシェフォトダイオードAPDは、行列状に配列されている。本実施形態では、行方向がX軸方向であり、列方向がY軸方向である。アバランシェフォトダイオードAPDは、X軸方向とY軸方向との各方向から見て、直線上に等間隔で並んでいる。
各アバランシェフォトダイオードAPDは、受光領域S1を有しており、ガイガーモードで動作する。受光領域S1は、半導体基板50Aの主面1Na側に配置されている。各アバランシェフォトダイオードAPDは、図6にも示されるように、クエンチング抵抗R1と直列に接続された形態で、並列に接続されている。各アバランシェフォトダイオードAPDには、電源から逆バイアス電圧が印加される。各アバランシェフォトダイオードAPDからの出力電流は、信号処理部SPによって検出される。受光領域S1は、入射光に応じて電荷が発生する電荷発生領域(光感応領域)である。すなわち、受光領域S1は、光検出領域である。
ガラス基板30は、互いに対向する主面30aと主面30bとを有している。ガラス基板30は、平面視で矩形形状を呈している。主面30bは、半導体基板50Aの主面1Naと対向している。主面30a及び主面30bは、平坦である。ガラス基板30と半導体光検出素子10Aとは、光学接着剤OAにより光学的に接続されている。ガラス基板30は、半導体光検出素子10A上に直接形成されていてもよい。
ガラス基板30の主面30aには、シンチレータ(図示省略)が光学的に接続されていてもよい。この場合、シンチレータは、光学接着剤により主面30aに接続される。シンチレータからのシンチレーション光は、ガラス基板30を通り、半導体光検出素子10Aに入射する。
搭載基板20は、互いに対向する主面20aと主面20bとを有している。搭載基板20は、平面視で矩形形状を呈している。主面20aは、半導体基板50Aの主面1Nbと対向している。搭載基板20は、主面20aに配置された複数の電極を含んでいる。これらの電極は、貫通電極TEに対応して配置されている。
半導体基板50Aの側面1Ncとガラス基板30の側面30cと搭載基板20の側面20cは、面一とされている。すなわち、平面視で、半導体基板50Aの外縁と、ガラス基板30の外縁と、搭載基板20の外縁とは、一致している。半導体基板50Aの外縁と、ガラス基板30の外縁と、搭載基板20の外縁とは、一致していなくてもよい。たとえば、平面視で、搭載基板20の面積が半導体基板50A及びガラス基板30の各面積よりも大きくてもよい。この場合、搭載基板20の側面20cは、半導体基板50Aの側面1Nc及びガラス基板30の側面30cよりもXY軸平面方向の外側に位置する。
次に、図2及び図12を参照して、半導体光検出素子10Aの構成を説明する。図2は、半導体基板50Aの主面1Naに直交する方向(Z軸方向)から半導体光検出素子10Aを見た図である。図12は、溝が形成されている領域を示している。
一つのアバランシェフォトダイオードAPDは、半導体光検出素子10Aにおける一つのセルを構成している。各アバランシェフォトダイオードAPDの各々は、一つの受光領域S1を有する。すなわち、半導体光検出素子10Aは、複数の受光領域S1を有している。受光領域S1は、Z軸方向から見て多角形形状を呈している。半導体光検出素子10Aの受光領域S1は、Z軸方向から見て、八角形形状を呈している。
複数の受光領域S1は、Z軸方向から見て、二次元配列されている。本実施形態では、複数の受光領域S1は、行列状に配列されている。受光領域S1は、X軸方向とY軸方向との各方向から見て、直線上に等間隔で並んでいる。本実施形態では、受光領域S1は、100μmのピッチで並んでいる。半導体光検出素子10Aでは、隣り合う二つの受光領域S1が、八角形形状の一辺が互いに対向するように配置されている。
各アバランシェフォトダイオードAPDは、電極E1を有している。電極E1は、半導体基板50Aの主面1Na上に配置されている。電極E1は、受光領域S1の輪郭に沿って設けられており、八角形の環形状を有している。
電極E1は、受光領域S1と電気的に接続される接続部Cを有している。接続部Cは、受光領域S1の四辺に設けられている。接続部Cは、受光領域S1の一辺おきに設けられている。この場合、受光領域S1からの信号の検出精度が確保される。図12に示されるように、接続部Cは、第一端部E1aと第二端部E1bとを含んでおり、XY軸平面上において受光領域S1の外縁側から中心側に向けて延在している。電極E1は、図3にも示されるように、第二端部E1bにおいてZ軸方向に延在している。このため、電極E1には、第二端部E1bの位置で、段差が形成されている。電極E1は、上述した段差から受光領域S1の中心とは反対方向に延在している。電極E1は、配線Fに電気的に接続される第三端部E1cを含んでいる。
配線Fは、図3にも示されるように、第三端部E1cから受光領域S1の中心とは反対方向に延在している。配線Fは、電極E1と電極パッド12とを電気的に接続している。配線Fは、受光領域S1の外側の半導体基板50A上に位置している。配線Fは、絶縁層L1を介して半導体基板50A上に形成されている。
電極E1及び貫通電極TEは、金属からなる。電極E1及び貫通電極TEは、たとえば、アルミニウム(Al)からなる。半導体基板がSiからなる場合には、電極材料として、アルミニウム以外に、銅(Cu)が用いられる。電極E1と貫通電極TEとは、一体に形成されていてもよい。電極E1及び貫通電極TEは、たとえば、スパッタ法により形成される。
半導体光検出素子10Aは、複数の貫通電極TEと、複数の電極パッド12を備えている。各貫通電極TEは、対応するアバランシェフォトダイオードAPDと電気的に接続されている。各電極パッド12は、対応する貫通電極TEと電気的に接続されている。電極パッド12は、配線Fを通して電極E1と電気的に接続されている。電極パッド12は、主面1Na上に配置されている。各貫通電極TEは、電極パッド12、配線F、及び電極E1を通して、受光領域S1と電気的に接続されている。電極パッド12は、Z軸方向から見て、溝13によって囲まれている領域(溝13の内側領域)AR1に位置し、かつ、溝13から離間している。
貫通電極TEは、半導体基板50Aを厚み方向(Z軸方向)に貫通している貫通孔THに配置されている。半導体基板50Aには、複数の貫通孔THが形成されている。複数の貫通孔THは、複数のアバランシェフォトダイオードAPDが二次元配列されている領域に位置している。複数の貫通孔THは、複数のアバランシェフォトダイオードAPDのうちの互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDで囲まれる領域毎に形成されている。
貫通孔THの開口は、XY軸平面内に位置していると共に、Z軸方向から見て円形形状を呈している。XY軸平面と平行な切断面での貫通孔THの断面形状は、円形形状を呈している。半導体光検出素子10Aは、貫通孔THの内周面に、絶縁層L2を備えている。貫通電極TEは、絶縁層L2を介して、貫通孔TH内に配置されている。
複数の貫通孔THは、開口の中心がZ軸方向から見て行列状に位置するように、配列されている。本実施形態では、行方向がX軸方向であり、列方向がY軸方向である。複数の貫通孔THは、開口の中心が、X軸方向とY軸方向との各方向から見て、直線上に等間隔で並んでいる。貫通孔THは、100μmのピッチで並んでいる。
複数の貫通電極TEは、半導体基板50Aを、主面1Na側から主面1Nb側まで貫通している。貫通電極TEは、貫通孔TH毎に配置されている。複数の貫通電極TEは、複数のアバランシェフォトダイオードAPDのうち互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDで囲まれる領域毎に配置されている。複数の貫通電極TEは、半導体基板50Aを厚み方向に貫通している。貫通電極TEは、アバランシェフォトダイオードAPD毎に配置されている。貫通電極TEは、対応する受光領域S1と電気的に接続されている。貫通電極TEは、配置された貫通孔THを囲む四つのアバランシェフォトダイオードAPDのうちの一つのアバランシェフォトダイオードAPDの受光領域S1と電気的に接続されている。
複数の貫通孔THと複数の受光領域S1とは、Z軸方向から見て、四つの貫通孔THが一つの受光領域S1を囲むと共に四つの受光領域S1が一つの貫通孔THを囲むように位置している。貫通孔TH及び受光領域S1は、X軸及びY軸に交差する方向に、交互に並んでいる。
各受光領域S1が呈している多角形形状は、Z軸方向から見て、一対の第一辺16aと、四つの第二辺16bと、一対の第三辺16cと、を含んでいる。一対の第一辺16aは、行方向で互いに対向し、かつ、列方向に延在している。行方向で隣り合う二つのアバランシェフォトダイオードAPDの受光領域S1の第一辺16aは、行方向で互いに対向している。四つの第二辺16bは、受光領域S1を囲んでいる四つの貫通電極TEに対向し、かつ、行方向及び列方向に交差する方向にそれぞれ延在している(すなわち、四つの第二辺16bそれぞれは、行方向及び列方向の両方に対して斜めに延在している)。各第二辺16bが延在している方向は、異なっている。一対の第三辺16cは、列方向で互いに対向し、かつ、行方向に延在している。列方向で隣り合う二つのアバランシェフォトダイオードAPDの受光領域S1の第三辺16cは、列方向で互いに対向している。
受光領域S1が呈する八角形形状の辺のうち、四つの第一辺16a及び第三辺16cは、隣に位置する受光領域S1の辺と対向している。四つの第二辺16bは、受光領域S1の隣に位置する貫通孔THと対向している。一つの貫通孔THは、四方向で、四つの受光領域S1の各第二辺16bによって囲まれている。
接続部Cは、貫通孔THに対向する四つの第二辺16bに設けられている。第一辺16aの長さG1は、第二辺16bの長さG2よりも短い。第三辺16cの長さG3は、第二辺16bの長さG2よりも短い。四つの第二辺16bの合計長さは、受光領域S1の全周の50%以上である。本実施形態では、各第一辺16aの長さG1が、各第二辺16bの長さG2よりも短い。また、各第三辺16cの長さG3が、各第二辺16bの長さG2よりも短い。各第一辺16aは、実質的に同じ長さを有していてもよい。各第二辺16bは、実質的に同じ長さを有していてもよい。各第三辺16cは、実質的に同じ長さを有していてもよい。
半導体基板50Aの主面1Naは、受光領域S1、中間領域S2、及び開口周辺領域S3を含んでいる。開口周辺領域S3は、主面1Naの貫通孔THの開口周辺に位置する領域である。中間領域S2は、主面1Naにおいて、受光領域S1及び開口周辺領域S3を除いた領域である。
半導体基板50Aの中間領域S2には、各受光領域S1の全周を囲む溝13,14,15が形成されている。溝13は、Z軸方向から見て、互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDの各受光領域S1と、これらのアバランシェフォトダイオードAPDに囲まれた貫通孔THと、の間の中間領域S2に形成されている。溝13は、Z軸方向から見て、各受光領域S1の第二辺16bに沿って延在している。溝14,15は、互いに隣り合う二つの受光領域S1の間の中間領域S2に形成されている。溝14は、各受光領域S1の第一辺16aに沿って延在している。溝15は、各受光領域S1の第三辺16cに沿って延在している。溝13,14,15は、各受光領域S1の各辺に沿って延在しており、各受光領域S1の全周を囲っている。
互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDに囲まれた貫通孔THの全周は、Z軸方向から見て、溝13によって囲まれている。溝13は、上記四つのアバランシェフォトダイオードAPDの各受光領域S1の第二辺16bに沿って延在している。溝14,15は、Z軸方向から見て、異なる貫通孔THを囲んでいる溝13同士を連結している。
溝13によって囲まれた領域AR1は、Z軸方向から見て、略正方形である。一つの領域AR1には、一つの貫通孔THが位置している。溝13,14,15によって囲まれた領域AR2は、八角形形状である。一つの領域AR2には、一つの受光領域S1が位置している。各領域AR1,AR2は、Z軸方向から見て、多角形形状を呈している。
各受光領域S1の第一辺16aに沿って延在する溝14は、隣り合う二つの受光領域S1の間の領域で、一つの直線上に位置している。溝14は、隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。溝14は、一方の受光領域S1を囲んでいる溝であり、他方の受光領域S1を囲んでいる溝でもある。各受光領域S1の第三辺16cに沿って延在する溝15は、隣り合う二つの受光領域S1の間の領域で、一つの直線上に位置している。溝15は、隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。溝15は、一方の受光領域S1を囲んでいる溝であり、他方の受光領域S1を囲んでいる溝でもある。行方向で隣り合う二つの受光領域S1を囲んでいる溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有している。列方向で隣り合う二つの受光領域S1をそれぞれ囲んでいる溝15は、列方向で隣り合う二つの受光領域の間に形成された部位を共有している。
図12に示されるように、溝13の縁13eから溝13によって囲まれている貫通孔THの縁D2での距離βは、溝13の縁13fから上記貫通孔THと隣り合う受光領域S1の縁D1までの距離αよりも長い。本実施形態では、距離αは5.5μmであり、距離βは7.5μmである。距離αは、Z軸方向から見た場合の、溝13の縁13fから上記貫通孔THと隣り合う受光領域S1の縁D1までの最短距離である。距離βは、Z軸方向から見た場合の、溝13の縁13eから溝13によって囲まれている貫通孔THの縁D2までの最短距離である。
次に、図3を参照して、本実施形態における半導体光検出素子の断面構成について説明する。図3では、ガラス基板30と光学接着剤OAとの図示が省略されている。
各アバランシェフォトダイオードAPDは、受光領域S1を含んでいる。各アバランシェフォトダイオードAPDは、P型(第一導電型)の第一半導体領域1PAと、N型(第二導電型)の第二半導体領域1NAと、N型の第三半導体領域1NBと、P型の第四半導体領域1PBと、を有している。
第一半導体領域1PAは、半導体基板50Aの主面1Na側に位置している。第二半導体領域1NAは、半導体基板50Aの主面1Nb側に位置している。第三半導体領域1NBは、第一半導体領域1PAと第二半導体領域1NAの間に位置しており、第二半導体領域1NAよりも不純物濃度が低い。第四半導体領域1PBは、第一半導体領域1PA内に形成されており、第一半導体領域1PAよりも不純物濃度が高い。第四半導体領域1PBは、受光領域S1である。各アバランシェフォトダイオードAPDは、主面1Na側から、第四半導体領域1PBであるP+層、第一半導体領域1PAであるP層、第三半導体領域1NBであるN層、第二半導体領域1NAであるN+層の順で構成されている。
第一半導体領域1PAは、Z軸方向から見て、中間領域S2に位置しており、第四半導体領域1PB(受光領域S1)を囲むように位置している。図示していないが、第一半導体領域1PAは、Z軸方向から見て、互いに隣り合う二つの受光領域S1の間の中間領域S2にも位置している。半導体基板50Aの中間領域S2は、溝13,14,15が成形された部分を除き、主面1Na側から、第一半導体領域1PAであるP層、第三半導体領域1NBであるN層、第二半導体領域1NAであるN+層の順で構成されている。
溝13の内面13bは、第二半導体領域1NAと同じN+層によって成形されている。内面13b上には、絶縁層13cが設けられている。溝13内の絶縁層13cによって囲まれている領域には、充填材13aが配置されている。充填材13aは、たとえば、充填が容易であり、かつ、遮光性が高い材料からなる。本実施形態では、充填材13aは、タングステン(W)からなる。溝14,15の内面は、内面13bと同様に、第二半導体領域1NAと同じN+層によって成形されている。溝14,15内には、溝13と同様に、絶縁層13c及び充填材13aが配置されている。図3では、溝14,15と、溝14,15内に配置されている絶縁層13c及び充填材13aとは、図示されていない。充填材13aは、タングステンではなく、銅又はアルミニウムからなっていてもよい。
溝13,14,15の深さ、すなわち、Z軸方向(半導体基板50Aの厚み方向)での主面1Naから溝13,14,15の底面までの距離は、Z軸方向での主面1Naから第二半導体領域1NAと第三半導体領域1NBとの界面までの距離より長く、半導体基板50Aの厚みよりも短い。溝13の底面13dは、第二半導体領域1NAにより構成されており、第三半導体領域1NBよりも主面1Nb寄りに位置している。溝14,15の底面も、第二半導体領域1NAにより構成されており、第三半導体領域1NBよりも主面1Nb寄りに位置している。
半導体基板50Aは、N型の第五半導体領域1NCを有している。第五半導体領域1NCは、Z軸方向から見て、貫通孔THの縁D2と第一半導体領域1PAとの間に形成されている。第五半導体領域1NCは、第二半導体領域1NAと同様に、第三半導体領域1NBよりも不純物濃度が高いN+層である。主面1Naにおいて第五半導体領域1NCが形成されている領域が、開口周辺領域S3である。半導体基板50Aの開口周辺領域S3は、主面1Na側から、第五半導体領域1NCであるN+層、第二半導体領域1NAであるN+層の順で構成されている。
貫通孔THの内周面(縁D2)は、主面1Na側から、第五半導体領域1NC、第二半導体領域1NAの順で構成されている。したがって、第一半導体領域1PAと第三半導体領域1NBとによって形成されるPN接合は、貫通孔THに露出していない。
アバランシェフォトダイオードAPDは、電極E1を有している。電極E1の接続部Cは、第四半導体領域1PB(受光領域S1)と接続されている。接続部Cは、上述したように、第一端部E1aと第二端部E1bとを含んでいる。電極E1は、第三端部E1cを含んでいる。
第一半導体領域1PAは、第四半導体領域1PBを通して、電極E1と電気的に接続されている。
電極パッド12は、貫通電極TEと電気的に接続されている。貫通電極TEは、半導体基板50Aの裏面側(主面1Nb側)に延在している。貫通電極TEには、搭載基板20側に絶縁層L3が設けられている。貫通電極TEは、半導体基板50Aの裏面側で、バンプ電極BEを通して搭載基板20と電気的に接続されている。電極E1と搭載基板20とは、配線F、電極パッド12、貫通電極TE、及びバンプ電極BEを通して、電気的に接続されている。第四半導体領域1PBは、電極E1、配線F、電極パッド12、貫通電極TE、及び、バンプ電極BEを通して、搭載基板20に電気的に接続されている。バンプ電極BEは、たとえば、はんだからなる。
バンプ電極BEは、不図示のUBM(Under Bump Metal)を介して、主面1Nb上に延在している貫通電極TE上に形成される。UBMは、バンプ電極BEと電気的及び物理的に接続が優れた材料からなる。UBMは、たとえば、無電解めっき法によって形成される。バンプ電極BEは、たとえば、ハンダボールを搭載する手法又は印刷法によって形成される。
次に、図4を参照して、本実施形態に係る搭載基板20について説明する。図4は、搭載基板の概略平面図である。搭載基板20は、図4に示されるように、複数の電極E9と、複数のクエンチング抵抗R1と、複数の信号処理部SPとを含んでいる。搭載基板20は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を構成している。クエンチング抵抗R1は、搭載基板20ではなく、半導体光検出素子10Aに配置されていてもよい。
各電極E9は、バンプ電極BEに電気的に接続されている。電極E9も、電極E1及び貫通電極TEと同じく、金属からなる。電極E9は、たとえば、アルミニウムからなる。電極E9を構成する材料は、アルミニウム以外に、銅であってもよい。
各クエンチング抵抗R1は、主面20a側に配置されている。クエンチング抵抗R1の一端は、電極E9に電気的に接続されており、クエンチング抵抗R1の他端は、コモン電極CEに接続されている。クエンチング抵抗R1は、パッシブクエンチング回路を構成している。コモン電極CEには、複数のクエンチング抵抗R1が並列に接続されている。
各信号処理部SPは、主面20a側に配置されている。信号処理部SPの入力端は、電極E9に電気的に接続されており、信号処理部SPの出力端は、信号線TLに接続されている。各信号処理部SPには、電極E1、貫通電極TE、バンプ電極BE、及び電極E9を通して、対応するアバランシェフォトダイオードAPD(半導体光検出素子10A)からの出力信号が入力される。各信号処理部SPは、対応するアバランシェフォトダイオードAPDからの出力信号を処理する。各信号処理部SPは、対応するアバランシェフォトダイオードAPDからの出力信号をデジタルパルスに変換するCMOS回路を含んでいる。
次に、図5を参照して、光検出装置1の回路構成を説明する。図5は、光検出装置の回路図である。光検出装置1(半導体光検出素子10A)には、N型の第三半導体領域1NBとP型の第一半導体領域1PAとの間に形成されるPN接合によって、アバランシェフォトダイオードAPDが形成されている。半導体基板50Aは、裏面側に配置された電極(図示省略)に電気的に接続され、第一半導体領域1PAは、第四半導体領域1PBを通して、電極E1に接続されている。各クエンチング抵抗R1は、対応するアバランシェフォトダイオードAPDに直列に接続されている。
半導体光検出素子10Aでは、各アバランシェフォトダイオードAPDがガイガーモードで動作する。ガイガーモードでは、アバランシェフォトダイオードAPDのブレークダウン電圧よりも大きな逆方向電圧(逆バイアス電圧)が、アバランシェフォトダイオードAPDのアノードとカソードとの間に印加される。たとえば、アノードには(−)電位V1が印加され、カソードには(+)電位V2が印加される。これらの電位の極性は相対的なものであり、一方の電位がグラウンド電位であってもよい。
アノードは第一半導体領域1PAであり、カソードは第三半導体領域1NBである。アバランシェフォトダイオードAPDに光(フォトン)が入射すると、基板内部で光電変換が行われて光電子が発生する。第一半導体領域1PAのPN接合界面の近傍領域において、アバランシェ増倍が行われ、増幅された電子群は半導体基板50Aの裏面側に配置された電極に向けて走る。半導体光検出素子10Aのいずれかのセル(アバランシェフォトダイオードAPD)に光(フォトン)が入射すると、増倍されて、信号として電極E9から取り出される。電極E9から取り出された信号は、対応する信号処理部SPに入力される。
以上のように、光検出装置1では、各受光領域S1は、Z軸方向から見て、一対の第一辺16aと四つの第二辺16bとを含む多角形形状を呈している。
複数のアバランシェフォトダイオードの間隔が小さい場合、複数のアバランシェフォトダイオードの間隔が大きい場合に比して、開口率が確保されるものの、隣り合うアバランシェフォトダイオードの間でのクロストークにより、光検出装置の検出精度が悪化するおそれがある。ガイガーモード型のアバランシェフォトダイオードではなだれ増倍による発光が起こり得るため、アバランシェフォトダイオードは、隣に位置するアバランシェフォトダイオードが発した光を受光するおそれがある。したがって、光検出装置は、アバランシェフォトダイオード自体の発光の影響を受けた検出結果を出力するおそれがある。
光検出装置1では、各受光領域S1が呈する多角形形状が、一対の第一辺16aを含んでいる。行方向において隣り合う二つのアバランシェフォトダイオードAPDでは、それぞれの第一辺16aが行方向で互いに対向している。このため、行方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPDの間で、上述したクロストークが発生するおそれがある。第一辺16aの長さが短い場合、第一辺16aの長さが長い場合に比して、行方向で隣り合う二つのアバランシェフォトダイオードAPDにおいてクロストークが発生する領域は小さい。
加工精度上の問題又は電気的な接続確保のため、貫通電極TEの大きさを小さくすることは難しい。貫通電極TEに対向する第二辺16bの長さが長い場合、貫通電極TEに対向する第二辺16bの長さが短い場合に比して、デットスペースが大きく、開口率が確保され難い。
光検出装置1では、第一辺16aの長さが、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、行方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
光検出装置1では、各受光領域S1が呈する多角形形状は、一対の第三辺16cを含んでいる。列方向において、隣り合う二つのアバランシェフォトダイオードAPDでは、それぞれの第三辺16cが列方向で互いに対向している。このため、列方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPDの間で、上述したクロストークが発生するおそれがある。第三辺16cの長さが短い場合、第三辺16cの長さが長い場合に比して、列方向で隣り合う二つのアバランシェフォトダイオードAPDにおいてクロストークが発生する領域は小さい。
光検出装置1では、第三辺16cの長さが、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、列方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
行方向と列方向とに交差する方向での受光領域S1の間隔は、行方向又は列方向での受光領域S1の間隔よりも大きい。行方向と列方向とに交差する方向では、二つの受光領域S1の間に貫通電極TEが存在している。したがって、行方向と列方向とに交差する方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間では、上述したクロストークは生じ難い。
溝13,14,15は、半導体基板50Aの主面1Na側で、受光領域S1の全周を囲んでいる。受光領域S1と当該受光領域S1と隣り合う貫通電極TEとの間の中間領域S2に溝13が形成されているので、開口率が確保されていると共に、アバランシェフォトダイオードAPDへの表面リーク電流の流れ込みが低減される。隣り合う受光領域S1の間に溝14,15が形成されているので、アバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークが更に低減されている。
溝13,14,15には、遮光性が高い充填材13aが配置されている。このため、光検出装置1では、隣に位置するアバランシェフォトダイオードAPDが発した光による、アバランシェフォトダイオードAPD間のクロストークが低減されている。
溝13,14,15内に配置されている充填材13aが金属であるので、充填材13aと受光領域S1との間に寄生容量が生じ得る。寄生容量の値が、充填材13aと受光領域S1との間の位置に応じて異なっている、すなわち、寄生容量の値に偏りが生じている場合、アバランシェフォトダイオードAPDの光検出精度が低下するおそれがある。
溝13,14,15は、各受光領域S1の各辺に沿って延在しており、各受光領域S1を囲っている。このため、充填材13aと受光領域S1との間に寄生容量が生じる場合でも、寄生容量の値に偏りが生じ難い。この結果、光検出装置1では、アバランシェフォトダイオードAPDへの寄生容量の影響が低減されている。
溝13には、タングステンからなる充填材13aが配置されている。電極パッド12は、溝13から離間しているので、電極パッド12と充填材13aとの間で発生する寄生容量が低減される。
溝13は、隣り合う二つの受光領域S1で互いに対向する第二辺16bに沿って延在している。溝14は、隣り合う二つの受光領域S1で互いに対向する第一辺16aに沿って延在している。溝15は、隣り合う二つの受光領域S1で互いに対向する第三辺16cに沿って延在している。溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。すなわち、溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有している。この場合、溝が、二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有していない場合に比して、行方向において、複数の受光領域S1が密に配置されている。
溝15は、列方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。すなわち、溝15は、列方向で隣り合う二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有している。この場合、溝が、二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有していない場合に比して、列方向において、複数の受光領域S1が密に配置されている。光検出装置1では、行方向及び列方向で、複数の受光領域S1が密に配置されているので、開口率が更に向上する。光検出装置1では、上述したように、アバランシェフォトダイオードAPDへの寄生容量の影響が低減されている。
四つの第二辺16bの合計長さは、受光領域S1の全周の50%以上である。この場合、隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間の領域を規定する辺(一対の第一辺16a及び一対の第三辺16c)の合計長さが、受光領域S1の全周の半分未満である。したがって、光検出装置1では、開口率が確保されていると共に、アバランシェフォトダイオード間でのクロストークの発生が更に抑制される。
溝13は、貫通孔THと受光領域S1との間の狭い領域に形成される。このため、半導体基板50Aにおける、溝13と貫通孔THとの間の領域に、構造欠陥が生じるおそれがある。構造欠陥は、たとえば、半導体基板50Aの割れ又は欠けなどである。溝13の縁13eから貫通孔THの縁D2までの距離βが、溝13の縁13eから受光領域S1の縁D1までの距離α以下である場合、距離βが距離αよりも長い場合に比して、構造欠陥が生じやすい。
光検出装置1では、距離βは、距離αよりも長い。このため、半導体基板50Aにおける貫通孔THの周囲に構造欠陥が生じ難い。
溝13,14,15の底面は、第二半導体領域1NAにより構成されている。第三半導体領域1NBよりも溝13の底面13dが深いため、領域AR1で電荷が生じる場合でも、領域AR1で生じた電荷がアバランシェフォトダイオードAPDに移動するのが抑制される。アバランシェフォトダイオードAPDの発光による隣り合うアバランシェフォトダイオード間のクロストークは、溝14,15によって低減される。半導体基板50A内に溝13,14,15の底面13dが形成されている、すなわち、溝13,14,15が半導体基板50Aの主面1Nbに達していないため、半導体基板50Aが溝13,14,15の位置で分離するおそれはない。したがって、光検出装置1の製造過程では、半導体基板50Aの取り扱いが容易である。
Z軸方向から見て、領域AR1及び領域AR2は多角形形状を呈していると共に、受光領域S1は多角形形状を呈している。受光領域S1が円形形状である場合、電界が集中するような角は存在しない。受光領域S1が円形形状である場合、受光領域S1が多角形形状である場合に比して、受光領域S1と貫通孔THとの間に生じるデッドスペースが大きいので、開口率は確保され難い。領域AR1,AR2と受光領域S1とは、多角形形状である。領域AR1,AR2の辺と受光領域S1の辺とが沿うように、領域AR1,AR2と受光領域S1とが配置されている。このため、領域AR1,AR2と受光領域S1とが多角形形状でない場合、又は、領域AR1,AR2の辺と受光領域S1の辺とが沿っていない場合に比して、光検出装置1では、貫通孔THと受光領域S1との間隔が狭い。したがって、光検出装置1では、デッドスペースが少なく、かつ、開口率が大きい。
Z軸方向から見て、貫通孔THの開口は円形形状であり、貫通孔THの内周面には絶縁層L2が配置されている。貫通孔THの内周面に絶縁層L2が配置されていることにより、貫通電極TEと半導体基板50Aとが電気的に絶縁される。貫通孔THの開口に角部が存在すると、絶縁層L2が形成される際、角部に形成される絶縁層L2に亀裂が生じるおそれがある。本実施形態では、主面1Naに直交する方向から見て貫通孔THが円形形状であるため、絶縁層L2が形成される際に、絶縁層L2に亀裂が生じ難い。したがって、光検出装置1では、貫通電極TEと半導体基板50Aとの電気的絶縁が確保される。
貫通電極TEは、互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDのうちの一つのアバランシェフォトダイオードAPDの受光領域S1と電気的に接続されている。この場合、貫通電極TEと当該貫通電極TEに電気的に接続される受光領域S1との配線距離が短いので、配線抵抗及び寄生容量の影響を受け難い。したがって、光検出装置1での検出精度の劣化が抑制される。
受光領域S1がZ軸方向から見て四角形形状又は六角形形状を呈している場合、以下の問題が生じるおそれがある。この場合、互いに隣り合う受光領域S1の間で、電界強度の比較的高い角が互いに対向するので、光検出装置1での検出結果が電界の影響を受ける。本実施形態では、受光領域S1は、Z軸方向から見て八角形形状を呈しているので、互いに隣り合う受光領域S1の間で、第一辺16a及び第三辺16cのみが対向する。したがって、光検出装置1での検出結果が、電界の影響を受け難い。受光領域S1がZ軸方向から見て八角形形状を呈している場合、主面1Naにおける貫通電極TE以外の領域を有効に活用することが可能である。したがって、貫通電極TEと受光領域S1との間の配線距離が短い構成が実現されていると共に、受光領域S1が他の形状を呈しているに比して開口率が向上する。
次に、図6を参照して、本実施形態の変形例に係る光検出装置の構成を説明する。図6は、本実施形態の変形例に係る光検出装置の断面構成を説明するための図である。図6は、図2に示されたIII−III線に対応する平面で本変形例に係る光検出装置を切断したときの断面構成を示している。図6でも、ガラス基板30と光学接着剤OAとの図示が省略されている。本変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じであるが、以下に説明するように、本変形例は、アバランシェフォトダイオードAPDの構成に関して、上述した実施形態と相違する。
本変形例に係る光検出装置は、半導体光検出素子10Bを備えている。半導体光検出素子10Bは、搭載基板20とガラス基板30との間に配置されている。半導体光検出素子10Bは、平面視で矩形形状を呈している半導体基板50Bを有している。半導体基板50Bは、Siからなり、N型(第二導電型)の半導体基板である。半導体基板50Bは、互いに対向する主面1Naと主面1Nbとを含む。半導体光検出素子10Bは、複数のアバランシェフォトダイオードAPDと、複数の貫通電極TEとを備えている。複数のアバランシェフォトダイオードAPDは、半導体基板50Bに二次元配列されている。本変形例では、複数のアバランシェフォトダイオードAPDは、行列状に配列されている。
半導体光検出素子10Bに形成される溝23は、半導体光検出素子10Aに形成される溝13と同様の構成を有している。半導体基板50Bの中間領域S2には、各受光領域S1の全周を囲む溝23,14,15が形成されている。溝23は、Z軸方向から見て、互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDの各受光領域S1と、これらのアバランシェフォトダイオードAPDに囲まれた貫通孔THと、の間の中間領域S2に形成されている。溝23は、Z軸方向から見て、各受光領域S1の第二辺16bに沿って延在している。
溝14,15は、互いに隣り合う二つの受光領域S1の間の中間領域S2に形成されている。溝14は、各受光領域S1の第一辺16aに沿って延在している。溝15は、各受光領域S1の第三辺16cに沿って延在している。溝23,14,15は、各受光領域S1の各辺に沿って延在しており、各受光領域S1の全周を囲っている。
互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDに囲まれた貫通孔THの全周は、Z軸方向から見て、溝23によって囲まれている。溝14,15は、Z軸方向から見て、異なる貫通孔THを囲んでいる溝23同士を連結している。
溝23によって囲まれた領域AR1は、Z軸方向から見て、略正方形である。溝23,14,15によって囲まれた領域AR2は、八角形形状である。領域AR1,AR2は、Z軸方向から見て、多角形形状を呈している。
半導体光検出素子10Bでは、各受光領域S1の第一辺16aに沿って延在する溝14は、隣り合う二つの受光領域S1の間の領域で、一つの直線上に位置している。溝14は、隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。溝14は、一方の受光領域S1を囲んでいる溝であり、他方の受光領域S1を囲んでいる溝でもある。各受光領域S1の第三辺16cに沿って延在する溝15は、隣り合う二つの受光領域S1の間の領域で、一つの直線上に位置している。溝15は、隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。溝15は、一方の受光領域S1を囲んでいる溝であり、他方の受光領域S1を囲んでいる溝でもある。行方向で隣り合う二つの受光領域S1を囲んでいる溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有している。列方向で隣り合う二つの受光領域S1をそれぞれ囲んでいる溝15は、列方向で隣り合う二つの受光領域の間に形成された部位を共有している。
半導体光検出素子10Bでも、各アバランシェフォトダイオードAPDは、受光領域S1を含んでいる。各アバランシェフォトダイオードAPDは、P型(第一導電型)の第一半導体領域2PAと、P型の第二半導体領域2PBと、N型の第三半導体領域2NAと、P型の第四半導体領域2PCと、を有している。
第一半導体領域2PAは、半導体基板50Bの主面1Na側に位置している。第二半導体領域2PBは、半導体基板50Bの主面1Nb側に位置しており、第一半導体領域2PAよりも不純物濃度が高い。第三半導体領域2NAは、第一半導体領域2PAの主面1Na側に形成されている。第四半導体領域2PCは、第三半導体領域2NAと接するように第一半導体領域2PAに形成されており、第一半導体領域2PAよりも不純物濃度が高い。第三半導体領域2NAは、受光領域S1である。各アバランシェフォトダイオードAPDは、主面1Na側から、第三半導体領域2NAであるN+層、第四半導体領域2PCであるP層、第一半導体領域2PAであるP−層、第二半導体領域2PBであるP+層の順で構成されている。
第一半導体領域2PAは、Z軸方向から見て、中間領域S2に位置しており、受光領域S1である第三半導体領域2NAを囲むように位置している。図示していないが、第一半導体領域2PAは、Z軸方向から見て、互いに隣り合う二つの受光領域S1の間の中間領域S2にも位置している。半導体基板50Bの中間領域S2は、溝23,14,15が成形された部分を除き、主面1Na側から、第一半導体領域2PAであるP−層、第二半導体領域2PBであるP+層の順で構成されている。
溝23の内面23bは、第二半導体領域2PBと同じP+層によって成形されている。内面23b上には、絶縁層23cが設けられている。溝23内の絶縁層23cによって囲まれている領域には、充填材23aが配置されている。充填材23aは、たとえば、充填が容易であり、かつ、遮光性が高い材料からなる。本変形例では、充填材23aは、充填材13aと同じく、タングステン(W)からなる。溝14の内面は、内面23bと同様に、第一半導体領域2PAよりも不純物濃度が高いP+層によって成形されている。溝14内には、溝23と同様に、絶縁層23c及び充填材23aが配置されている。図6では、上述したように、溝14,15と、溝14,15内に配置されている絶縁層23c及び充填材23aとは、図示されていない。充填材13aは、タングステンではなく、銅又はアルミニウムからなっていてもよい。
溝23,14,15の深さ、すなわち、Z軸方向(半導体基板50Bの厚み方向)での主面1Naから溝23,14,15の底面までの距離は、Z軸方向での主面1Naから第一半導体領域2PAと第二半導体領域2PBとの界面までの距離より長く、半導体基板50Bの厚さよりも短い。溝23の底面23dは、第二半導体領域2PBにより構成されており、第一半導体領域2PAよりも主面1Nb寄りに位置している。溝14,15の底面も、第二半導体領域2PBにより構成されており、第一半導体領域2PAよりも主面1Nb寄りに位置している。
半導体基板50Bは、P型の第五半導体領域2PDを有している。第五半導体領域2PDは、Z軸方向から見て、貫通孔THの縁D2と第一半導体領域2PAとの間に形成されている。第五半導体領域2PDは、第二半導体領域2PBと同様に、第一半導体領域2PAよりも不純物濃度が高いP+層である。主面1Naにおいて第五半導体領域2PDが形成されている領域が、開口周辺領域S3である。半導体基板50Bの開口周辺領域S3は、主面1Na側から、第五半導体領域2PDであるP+層,第二半導体領域2PBであるP+層の順で構成されている。
貫通孔THの内周面(縁D2)は、主面1Na側から、第五半導体領域2PD、第二半導体領域2PBの順で構成されている。したがって、第三半導体領域2NAと第四半導体領域2PCとによって形成されるPN接合は、貫通孔THに露出していない。
アバランシェフォトダイオードAPDは、電極E1を有している。電極E1は、半導体基板50Bの主面1Na側に配置されている。電極E1は、本変形例でも、受光領域S1の輪郭に沿って設けられており、八角形の環形状を有している。
電極E1は、受光領域S1と電気的に接続する接続部Cを有している。本変形例でも、図6に示されるように、接続部Cは、第一端部E1aと第二端部E1bを含んでいる。電極E1は、配線Fに電気的に接続される第三端部E1cを含んでいる。
配線Fは、図6に示されるように、第三端部E1cから受光領域S1の中心とは反対方向に延在している。配線Fは、電極E1と電極パッド12とを電気的に接続している。配線Fは、受光領域S1の外側の半導体基板50B上に位置している。配線Fは、絶縁層L1を介して半導体基板50B上に形成されている。
本変形例でも、電極パッド12は、貫通電極TEに電気的に接続されている。貫通電極TEは、半導体基板50Bの裏面側(主面1Nb側)に延在している。貫通電極TEには、絶縁層L3が設けられている。貫通電極TEは、バンプ電極BEにより搭載基板20と電気的に接続されている。電極E1と搭載基板20とは、配線F、電極パッド12、貫通電極TE、及びバンプ電極BEを通して、電気的に接続されている。第三半導体領域2NAは、電極E1、配線F、電極パッド12、貫通電極TE、及びバンプ電極BEを通して、搭載基板20に電気的に接続されている。
本変形例においても、第一辺16aの長さが、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、行方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
第三辺16cの長さも、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、列方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
溝23の底面23dが、第二半導体領域2PBにより構成されている。溝23の底面23dは、第一半導体領域2PAよりも深い位置にある。このため、半導体基板50Bにおける溝23によって囲まれる領域で電荷が生じる場合、当該領域で生じた電荷がアバランシェフォトダイオードAPDに移動するのが抑制される。半導体基板50B内に溝23の底面23dが形成されている、すなわち、溝23が半導体基板50Bの主面1Nbに達していないため、半導体基板50Bが溝23の位置で分離するおそれはない。したがって、本変形例に係る光検出装置の製造過程でも、半導体基板50Bの取り扱いが容易である。
次に、図7〜図11を参照して、半導体光検出素子の変形例の構成を説明する。図7〜図11は、半導体光検出素子の変形例を示す概略平面図である。
半導体光検出素子10C,10D,10E,10F,10Gは、搭載基板20とガラス基板30との間に配置されている。半導体光検出素子10C,10D,10E,10F,10Gは、半導体光検出素子10Aと同じく、平面視で矩形形状を呈している半導体基板50Aを有している。半導体光検出素子10C,10D,10E,10F,10Gは、複数のアバランシェフォトダイオードAPDと、複数の貫通電極TEとを備えている。
図7に示された半導体光検出素子10Cでは、複数の受光領域S1は、Z軸方向から見て、六角形形状を呈している。複数の受光領域S1は、Z軸方向から見て、二次元配列されている。本変形例では、複数の受光領域S1は、行列状に配列されている。行方向がX軸方向であり、列方向がY軸方向である。受光領域S1は、X軸方向とY軸方向との各方向から見て、直線上に等間隔で並んでいる。半導体光検出素子10Cの受光領域S1は、行方向に66.6μmのピッチで並んでいる共に、列方向に100μmのピッチで並んでいる。
半導体光検出素子10CのアバランシェフォトダイオードAPDでは、電極E1は、受光領域S1の輪郭に沿って設けられており、六角形の環形状を有している。電極E1は、受光領域S1と電気的に接続する接続部Cを有している。接続部Cは、受光領域S1の一辺に設けられている。
半導体光検出素子10Cでは、各受光領域S1が呈している六角形形状は、一対の第一辺16aと、四つの第二辺16bとを含んでいる。一対の第一辺16aは、行方向で互いに対向し、かつ、列方向に延在している。四つの第二辺16bは、受光領域S1を囲んでいる四つの貫通電極TEに対向し、かつ、行方向及び列方向に交差する方向にそれぞれ延在している。
各第一辺16aは、隣に位置する受光領域S1の辺と対向している。四つの第二辺16bは、受光領域S1の隣に位置する貫通孔THと対向している。一つの貫通孔THは、四方向で、四つの受光領域S1の各第二辺16bによって囲まれている。接続部Cは、第二辺16bに設けられている。第一辺16aの長さG1は、第二辺16bの長さG2よりも短い。四つの第二辺16bの合計長さは、受光領域S1の全周の50%以上である。本変形例では、各第一辺16aの長さG1が、各第二辺16bの長さG2よりも短い。各第一辺16aは、実質的に同じ長さを有していてもよい。各第二辺16bは、実質的に同じ長さを有していてもよい。
半導体光検出素子10Cにおいて、半導体基板50Aの主面1Naは、受光領域S1、中間領域S2、及び開口周辺領域S3を含んでいる。開口周辺領域S3は、主面1Naの貫通孔THの開口周辺に位置する領域である。中間領域S2は、主面1Naにおいて、受光領域S1及び開口周辺領域S3を除いた領域である。
半導体基板50Aの中間領域S2には、各受光領域S1の全周を囲む溝13,14が形成されている。溝13は、Z軸方向から見て、互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDの各受光領域S1と、これらのアバランシェフォトダイオードAPDに囲まれた貫通孔THと、の間の中間領域S2に形成されている。溝13は、Z軸方向から見て、各受光領域S1の第二辺16bに沿って延在している。溝14は、互いに隣り合う二つの受光領域S1の間の中間領域S2に形成されている。溝14は、各受光領域S1の第一辺16aに沿って延在している。
互いに隣り合う四つのアバランシェフォトダイオードAPDに囲まれた貫通孔THの全周は、Z軸方向から見て、溝13によって囲まれている。溝14は、Z軸方向から見て、異なる貫通孔THを囲んでいる溝13同士を連結している。
溝13によって囲まれた領域AR1は、Z軸方向から見て、略正方形である。溝13,14によって囲まれた領域AR2は、六角形形状である。各領域AR1,AR2は、Z軸方向から見て、多角形形状を呈している。
半導体光検出素子10Cにおいて、各受光領域S1の第一辺16aに沿って延在する溝14は、隣り合う二つの受光領域S1の間の領域で、一つの直線上に位置している。溝14は、隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。溝14は、一方の受光領域S1を囲んでいる溝であり、他方の受光領域S1を囲んでいる溝でもある。行方向で隣り合う二つの受光領域S1を囲んでいる溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有している。
本変形例でも、第一辺16aの長さが、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、行方向で隣り合うアバランシェフォトダイオード間のクロストークの発生が抑制されている。
溝13,14は、半導体基板50Aの主面1Na側で、受光領域S1の全周を囲んでいる。受光領域S1と当該受光領域S1と隣り合う貫通電極TEとの間の中間領域S2に溝13が形成されているので、開口率が確保されていると共に、アバランシェフォトダイオードAPDへの表面リーク電流の流れ込みが低減される。隣り合う受光領域S1の間に溝14が形成されているので、アバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークが更に低減されている。
溝13,14は、各受光領域S1の各辺に沿って延在しており、各受光領域S1を囲っている。このため、充填材13aと受光領域S1との間で寄生容量が生じる場合でも、寄生容量の値に偏りが生じ難い。この結果、本変形例でも、アバランシェフォトダイオードAPDへの寄生容量の影響が低減されている。
溝13は、隣り合う二つの受光領域S1で互いに対向する第二辺16bに沿って延在している。溝14は、隣り合う二つの受光領域S1で互いに対向する第一辺16aに沿って延在している。溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有している。この場合、溝が、二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有していない場合に比して、行方向において、複数の受光領域S1が密に配置されている。本変形例では、上述したように、アバランシェフォトダイオードAPDへの寄生容量の影響が低減されている。
Z軸方向から見て、各領域AR1,AR2は多角形形状を呈していると共に、受光領域S1は多角形形状を呈している。受光領域S1が円形形状である場合、電界が集中するような角は存在しない。受光領域S1が円形形状である場合、受光領域S1が多角形形状である場合に比して、受光領域S1と貫通孔THとの間に生じるデッドスペースが大きいので、開口率は確保され難い。領域AR1,AR2と受光領域S1とは、多角形形状である。領域AR1,AR2の辺と受光領域S1の辺とが沿うように、領域AR1,AR2と受光領域S1とが配置されている。このため、領域AR1,AR2と受光領域S1とが多角形形状でない場合、又は、領域AR1,AR2の辺と受光領域S1の辺とが沿っていない場合に比して、本変形例では、貫通孔THと受光領域S1との間隔が、比較的狭い。したがって、本変形例では、デッドスペースが少なく、かつ、開口率が大きい。
図8に示された半導体光検出素子10Dでは、貫通孔THと当該貫通孔THと隣り合う受光領域S1との間の中間領域S2に、溝13が形成されている。溝13は、貫通孔THを囲んでいる。溝13は、Z軸方向から見て、貫通電極TEと受光領域S1とを電気的に接続する配線Fが配置されている領域には形成されていない。溝13は、Z軸方向から見て、配線Fが配置されている領域で分断された状態で、貫通孔THを囲っている。
半導体光検出素子10Dにおいても、第一辺16aの長さが、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、行方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
第三辺16cの長さも、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、列方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
行方向と列方向とに交差する方向での受光領域S1の間隔は、行方向又は列方向での受光領域S1の間隔よりも大きい。行方向と列方向とに交差する方向では、二つの受光領域S1の間に貫通電極TEが存在している。したがって、行方向と列方向とに交差する方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間では、上述したクロストークは生じ難い。したがって、溝13が、配線Fが配置されている領域で分断されている場合でも、クロストークの発生には影響し難い。
図9に示された半導体光検出素子10Eでは、貫通孔THと当該貫通孔THと隣り合う受光領域S1との間の中間領域S2に、溝13が形成されている。溝13は、貫通孔THを囲んでいる。図2と図9とは、縮尺が異なっている。半導体光検出素子10Dの電極パッド12の大きさは、半導体光検出素子10Aの電極パッド12の大きさと同じである。
半導体光検出素子10Eでは、貫通孔THのピッチが半導体光検出素子10Aの貫通孔THのピッチと同じであり、受光領域S1のピッチが半導体光検出素子10Aの受光領域S1のピッチと同じである。貫通孔THと受光領域S1とは、貫通孔THと受光領域S1とが一対一の関係で配列されている。半導体光検出素子10Eの受光領域S1は、半導体光検出素子10Aの受光領域S1と同様に、略八角形形状を呈している。半導体光検出素子10Eの受光領域S1の面積は、半導体光検出素子10Aの受光領域S1の面積よりも小さい。溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。行方向で隣り合う二つの受光領域S1の間には、一つの溝14が形成されている。溝15は、列方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。列方向で隣り合う二つの受光領域S1の間には、一つの溝15が形成されている。
半導体光検出素子10Eでは、溝13が、半導体光検出素子10Aと同様に、貫通孔THを囲っている。溝14,15は、互いに隣り合う二つの受光領域S1の間の中間領域S2に形成されている。溝14は、Z軸方向から見て、各受光領域S1の第一辺16aに沿って延在している。溝15は、Z軸方向から見て、各受光領域S1の第三辺16cに沿って延在している。溝14,15は、Z軸方向から見て、異なる貫通孔THを囲んでいる溝13同士を連結している。半導体光検出素子10Eにおいて、受光領域S1の全周が、溝13,14,15によって囲まれている。
半導体光検出素子10Eでは、貫通孔THのピッチが半導体光検出素子10Aの貫通孔THのピッチと同じであり、受光領域S1のピッチが半導体光検出素子10Aの受光領域S1のピッチと同じである。半導体光検出素子10Eでは、溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有され、溝15は、列方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されている。この場合、溝が、二つの受光領域S1の間に形成された部位を共有していない場合に比して、行方向及び列方向において、複数の受光領域S1が密に配置されている。本変形例でも、アバランシェフォトダイオードAPDへの寄生容量の影響が低減されている。
加工精度上の問題又は電気的な接続確保のため、貫通電極TEの大きさを削減することは難しい。電極パッド12と溝13内の充填材13aとの間で発生する寄生容量を低減するため、溝13は電極パッド12から離間している。開口率を向上させるため、受光領域S1は多角形形状を呈している。
これらの条件の下、半導体光検出素子10Eの受光領域S1は、半導体光検出素子10Aの受光領域S1と異なる形状の多角形形状を呈している。半導体光検出素子10Eの受光領域S1では、第一辺16aの長さが第二辺16bの長さよりも極めて短く、第三辺16cの長さが第二辺16bの長さよりも極めて短い。
この構成により、半導体光検出素子10Eでは、半導体光検出素子10Aよりも解像度が高く、かつ、開口率が確保されている。アバランシェフォトダイオードAPDと充填材13aと電極パッド12との間で生じる寄生容量が低減される。
半導体光検出素子10Eにおいても、第一辺16aの長さが、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、行方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
第三辺16cの長さも、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、列方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
図10に示された半導体光検出素子10Fでは、貫通孔THと当該貫通孔THと隣り合う受光領域S1との間の中間領域S2に、溝13が形成されている。溝13は、貫通孔THを囲んでいる。図2と図10とは、縮尺が異なっている。半導体光検出素子10Eの電極パッド12の大きさは、半導体光検出素子10Aの電極パッド12の大きさと同じである。
半導体光検出素子10Fでは、貫通孔THのピッチが半導体光検出素子10Aの貫通孔THのピッチと同じであり、受光領域S1のピッチが半導体光検出素子10Aの受光領域S1のピッチと同じである。貫通孔THと受光領域S1とは、貫通孔THと受光領域S1とが一対一の関係で配列されている。半導体光検出素子10Fの受光領域S1は、半導体光検出素子10Aの受光領域S1と同様に、略八角形形状を呈している。第一辺16aの長さが第二辺16bの長さよりも短く、第三辺16cの長さが第二辺16bの長さよりも短い。
半導体光検出素子10Fでは、溝13は、貫通孔THが並ぶ行方向及び列方向において分断されて、貫通孔THを囲っている。溝14は、Z軸方向から見て、受光領域S1の第一辺16aに沿って延在している。溝15は、Z軸方向から見て、受光領域S1の第三辺16cに沿って延在している。溝14,15は、Z軸方向から見て、異なる貫通孔THを囲んでいる溝13同士を連結している。半導体光検出素子10Fにおいて、受光領域S1の全周が、溝13,14,15によって囲まれている。
アバランシェフォトダイオードAPDへの寄生容量の影響を低減するため、溝13は受光領域S1の第二辺16bに沿うように形成され、溝14は受光領域S1の第一辺16aに沿うように形成され、溝15は受光領域S1の第三辺16cに沿うように形成されている。加工精度上の問題又は電気的な接続確保のため、貫通電極TEの大きさを小さくすることは難しい。電極パッド12と溝13内に配置されている充填材13aとの間で生じる寄生容量を低減するため、溝13は電極パッド12から離間している。
溝14は、行方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されておらず、溝15は、列方向で隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されていない。これらの条件の下では、八角形形状の受光領域S1の面積は、半導体光検出素子10Aの受光領域S1の面積よりも小さい。半導体光検出素子10Fでは、行方向で隣り合う二つの受光領域S1の間の領域に、二つの溝14が延在している。一方の溝14が、一方の受光領域S1を囲んでおり、他方の溝14が、他方の受光領域S1を囲んでいる。列方向で隣り合う二つの受光領域S1の間の領域に、二つの溝15が延在している。一方の溝15が、一方の受光領域S1を囲んでおり、他方の溝15が、他方の受光領域S1を囲んでいる。
上記構成により、半導体光検出素子10Fでは、半導体光検出素子10Aよりも受光領域S1の間でのクロストークが低減される。したがって、半導体光検出素子10Fでは、半導体光検出素子10Aよりも受光領域S1の間でのクロストークが低減されると共に、アバランシェフォトダイオードAPDと充填材13aと電極パッド12との間で発生する寄生容量が低減される。
半導体光検出素子10Fにおいても、第一辺16aの長さが、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、行方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
第三辺16cの長さも、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、列方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
図11に示された半導体光検出素子10Gでは、貫通孔THと当該貫通孔THと隣り合う受光領域S1との間の中間領域S2に、溝13が形成されている。溝13は、貫通孔THを囲んでいる。図10と図11とは、縮尺が異なっている。半導体光検出素子10Gの電極パッド12の大きさは、半導体光検出素子10Fの電極パッド12の大きさと同じである。
貫通孔THと受光領域S1とは、それぞれ二次元配列されている。貫通孔TH及び受光領域S1の各ピッチは、半導体光検出素子10Fに比して、小さい。半導体光検出素子10Gでは、半導体光検出素子10Fよりも解像度が高くなるように、貫通孔THと受光領域S1とが一対一の関係で配列されている。受光領域S1及び貫通孔THの各ピッチは、たとえば50μmである。
半導体光検出素子10Gでは、溝13は、貫通孔THが並ぶ行方向及び列方向において分断されて、貫通孔THを囲っている。溝14は、Z軸方向から見て、受光領域S1の第一辺16aに沿って延在している。溝15は、Z軸方向から見て、受光領域S1の第三辺16cに沿って延在している。溝14,15は、Z軸方向から見て、異なる貫通孔THを囲んでいる溝13同士を連結している。半導体光検出素子10Gにおいて、受光領域S1の全周が、溝13,14,15によって囲まれている。
アバランシェフォトダイオードAPDへの寄生容量の影響を低減するため、溝13は受光領域S1の第二辺16bに沿うように形成され、溝14は受光領域S1の第一辺16aに沿うように形成され、溝15は受光領域S1の第三辺16cに沿うように形成されている。加工精度上の問題又は電気的な接続確保のため、貫通電極TEの大きさを小さくすることは難しい。電極パッド12と溝13内に配置されている充填材13aとの間で生じる寄生容量を低減するため、溝13は電極パッド12から離間している。
これらの条件の下、溝14,15は、隣り合う二つの受光領域S1に対して共有されていない。半導体光検出素子10Gの受光領域S1は、半導体光検出素子10Fの受光領域S1と異なる形状の多角形形状を呈している。具体的には、半導体光検出素子10Gの受光領域S1では、第一辺16aの長さが第二辺16bの長さよりも極めて短く、第三辺16cの長さが第二辺16bの長さよりも極めて短い。
この構成により、半導体光検出素子10Gでは、半導体光検出素子10Fよりも解像度が高く、かつ、開口率が確保されている。アバランシェフォトダイオードAPDと充填材13aと電極パッド12との間で生じる寄生容量が低減される。
半導体光検出素子10Gにおいても、第一辺16aの長さが、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、行方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
第三辺16cの長さも、第二辺16bの長さよりも短いので、開口率が確保されていると共に、列方向で隣り合うアバランシェフォトダイオードAPD間でのクロストークの発生が抑制されている。
以上、本発明の好適な実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上述した実施形態及び変形例では、一つのアバランシェフォトダイオードAPDが、一つの貫通電極TE(一つの電極パッド12)に電気的に接続されているが、これに限られない。複数のアバランシェフォトダイオードAPDが、一つの貫通電極TE(一つの電極パッド12)に電気的に接続されていてもよい。
上述した実施形態及び変形例では、アバランシェフォトダイオードAPDについて、半導体基板50Aと半導体基板50Bとの二つ層構造が示されているが、半導体基板の層構造はこれらに限定されない。半導体基板50Aに設けられるアバランシェフォトダイオードAPDでは、たとえば、第二半導体領域1NAと第三半導体領域1NBとが、一つの半導体領域で構成されていてもよい。この場合、アバランシェフォトダイオードAPDは、第1導電型(たとえばN型)の半導体領域と、当該第1導電型の半導体領域とpn接合を形成する第2導電型(たとえばP型)の半導体領域と、当該第2導電型の半導体領域内に位置し、かつ、当該第2導電型の半導体領域よりも不純物濃度が高い別の第2導電型の半導体領域と、を有する。本構成では、不純物濃度が高い方の第2導電型の半導体領域が、受光領域である。半導体基板50Bに設けられるアバランシェフォトダイオードAPDでは、たとえば、第一半導体領域2PAと第二半導体領域2PBと第四半導体領域2PCとが、一つの半導体領域で構成されていてもよい。この場合、アバランシェフォトダイオードAPDは、第1導電型(たとえばP型)の半導体領域と、当該第1導電型の半導体領域内に位置し、かつ、当該第1導電型の半導体領域とpn接合を形成する第2導電型(たとえばN型)の半導体領域と、を有する。本構成では、第2導電型の半導体領域が、受光領域である。
半導体基板50A及び半導体基板50Bでは、P型及びN型の各導電型が上述した導電型とは逆になるように入れ替わっていてもよい。半導体基板50Aの受光領域S1は、主面1Na側から、N+層、N層、P層、P+層の順で構成されてもよい。半導体基板50Bの受光領域S1は、主面1Na側から、P+層、N層、N−層、N+層の順で構成されてもよい。
上述した実施形態及び変形例では、溝13,14,15が半導体基板50A,50Bに形成されているが、これらの溝13,14,15は形成されていなくてもよい。
上述した実施形態及び変形例では、受光領域S1は、Z軸方向から見て六角形形状又は八角形形状であると説明されているが、他の形状が用いられてもよいことが理解される。たとえば、受光領域S1は、10又はそれ以上の辺を有する形状が用いられてもよい。