JPWO2018012481A1 - アルミニウム合金材並びにこれを用いた導電部材、電池用部材、締結部品、バネ用部品および構造用部品 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] Mg:0.2〜1.8質量%、Si:0.2〜2.0質量%、Fe:0.01〜1.50質量%、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金材であって、
結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、
前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が270nm以下である、アルミニウム合金材。
[2] ビッカース硬さ(HV)が、125〜250である、上記[1]に記載のアルミニウム合金材。
[3] 上記[1]または[2]に記載のアルミニウム合金材を用いた導電部材。
[4] 上記[1]または[2]に記載のアルミニウム合金材を用いた電池用部材。
[5] 上記[1]または[2]に記載のアルミニウム合金材を用いた締結部品。
[6] 上記[1]または[2]に記載のアルミニウム合金材を用いたバネ用部品。
[7] 上記[1]または[2]に記載のアルミニウム合金材を用いた構造用部品。
本発明に従うアルミニウム合金材は、Mg:0.2〜1.8質量%、Si:0.2〜2.0質量%、Fe:0.01〜1.50質量%、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有すると共に、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、上記一方向に平行な断面において、上記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が270nm以下であることを特徴とする。
本発明のアルミニウム合金材の合金組成とその作用について示す。
<Mg:0.2〜1.8質量%>
Mg(マグネシウム)は、アルミニウム母材中に固溶して強化する作用を有すると共に、Siとの相乗効果によって引張強度を向上させる作用を持つ。また、溶質原子クラスターとしてMg−Siクラスターを形成した場合は、引張強度や伸びを向上させる作用を有する元素である。しかしながら、Mg含有量が0.2質量%未満だと、上記作用効果が不十分であり、また、Mg含有量が1.8質量%を超えると、晶出物が形成され、加工性(伸線加工性や曲げ加工性など)が低下する。したがって、Mg含有量は0.2〜1.8質量%とし、好ましくは0.4〜1.0質量%である。
Si(ケイ素)は、アルミニウム母材中に固溶して強化する作用を有すると共に、Mgとの相乗効果によって引張強度や耐屈曲疲労特性を向上させる作用を持つ。またSiは、溶質原子クラスターとしてMg−Siクラスターや、Si−Siクラスターを形成した場合に引張強度や伸びを向上させる作用を有する元素である。しかしながら、Si含有量が0.2質量%未満だと、上記作用効果が不十分であり、また、Si含有量が2.0質量%を超えると、晶出物が形成され、加工性が低下する。したがって、Si含有量は0.2〜2.0質量%とし、好ましくは0.4〜1.0質量%である。
Fe(鉄)は、主にAl−Fe系の金属間化合物を形成することによって結晶粒の微細化に寄与すると共に、引張強度を向上させる元素である。ここで、金属間化合物とは2種類以上の金属によって構成される化合物をいう。Feは、Al中に655℃で0.05質量%しか固溶できず、室温では更に少ないため、Al中に固溶できない残りのFeは、Al−Fe系、Al−Fe−Si系、Al−Fe−Si−Mg系などの金属間化合物として晶出または析出する。これらのようにFeとAlとで主に構成される金属間化合物を本明細書ではFe系化合物と呼ぶ。この金属間化合物は、結晶粒の微細化に寄与すると共に、引張強度を向上させる。また、Feは、Al中に固溶したFeによっても引張強度を向上させる作用を有する。Fe含有量が0.01質量%未満だと、これらの作用効果が不十分であり、また、Fe含有量が1.50質量%超えだと、晶出物が多くなり、加工性が低下する。ここで、晶出物とは、合金の鋳造凝固時に生ずる金属間化合物をいう。したがって、Fe含有量は0.01〜1.50質量%とし、好ましくは0.05〜0.80質量%である。なお、鋳造時の冷却速度が遅い場合は、Fe系化合物の分散が疎となり、悪影響度が高まる。そのため、Fe含有量は、1.00質量%未満とすることがより好ましくは、さらに好ましくは0.60質量%未満である。
上述した成分以外の残部は、Al(アルミニウム)および不可避不純物である。ここでいう不可避不純物は、製造工程上、不可避的に含まれうる含有レベルの不純物を意味する。不可避不純物は、含有量によっては導電率を低下させる要因にもなりうるため、導電率の低下を加味して不可避不純物の含有量をある程度抑制することが好ましい。不可避不純物として挙げられる成分としては、例えば、B(ホウ素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Zn(亜鉛)、Zr(ジルコニウム)、Bi(ビスマス)、Pb(鉛)、Ga(ガリウム)、Sn(スズ)、Sr(ストロンチウム)等が挙げられる。なお、これらの成分含有量の上限は、上記成分毎に0.05質量%以下、上記成分の総量で0.15質量%以下とすればよい。
このような本発明の一実施例によるアルミニウム合金材は、特にAl−Mg−Si−Fe系合金の内部に結晶粒界を高密度で導入することにより、高強度化を図ることを特徴とする。したがって、従来のアルミニウム合金材で一般的に行われてきた、Mg−Si化合物の析出硬化させる方法とは、高強度化に対するアプローチが大きく異なる。
通常、多結晶材料の内部は、隣接する結晶粒同士の方位の違いや、加工工具と接する表層近傍とバルク内部との間の歪みの空間分布に起因して、応力状態は、複雑な多軸状態となっている。これらの影響により、変形前に単一方位であった結晶粒が、変形に伴って複数の方位に分裂していき、分裂した結晶同士の間には結晶粒界が形成される。
加工度(無次元):η=ln(s1/s2) ・・・(1)
加工率(%):R={(s1−s2)/s1}×100 ・・・(2)
上述のような製造方法によって製造される本発明のアルミニウム合金材は、金属組織内に結晶粒界が高密度で導入されてなる。このような本発明のアルミニウム合金材は、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、上記一方向に平行な断面において、上記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が270nm以下であることを特徴とする。このようなアルミニウム合金材は、従来にはない特有の金属組織を有することにより、特に優れた強度を発揮し得る。
[引張強度]
引張強度は、JIS Z2241:2011に準拠して測定されたとする。詳しい測定条件は、後述する実施例の欄にて説明する。
本発明のアルミニウム合金材は、特に線棒材である場合に、好ましくは引張強度が480MPa以上である。これは、一般的な強い加工度で伸線加工した銅線と同等の強度である。また、アルミニウム合金材の引張強度は、より好ましくは520MPa以上、さらに好ましくは560MPa以上、特に好ましくは600MPa以上、より一層好ましくは640MPa以上である。このような高強度をもつ本発明のアルミニウム合金材は、Cu−Sn系やCu−Cr系などの希薄銅合金の強伸線加工材の代替として使用できる。また、このようなアルミニウム合金材は、鋼系やステンレス鋼系の材料の代替としても使用可能である。なお、本発明のアルミニウム合金材の引張強度の上限は、特に限定されないが、例えば1000MPa以下である。
ビッカース硬さ(HV)は、JIS Z 2244:2009に準拠して測定された値とする。詳しい測定条件は、後述する実施例の欄にて説明する。なお、すでに部品となった加工品のビッカース硬さ(HV)を測定する場合には、加工品を分解して、断面を鏡面研磨し、その断面について測定を行うこともできる。
本発明のアルミニウム合金材は、特に線棒材である場合に、好ましくはビッカース硬さ(HV)が125以上である。これは、一般的な強伸線加工した銅線と同等の強度である。また、アルミニウム合金材のビッカース硬さ(HV)は、より好ましくは140以上、さらに好ましくは150以上、特に好ましくは160以上、より一層好ましくは170以上である。このような高強度をもつ本発明のアルミニウム合金材は、Cu−Sn系やCu−Cr系などの希薄銅合金の強伸線加工材の代替として使用できる。また、このようなアルミニウム合金材は、鋼系やステンレス鋼系の材料の代替としても使用可能である。なお、本発明のアルミニウム合金材のビッカース硬さ(HV)の上限は、特に限定されないが、例えば300以下であり、好ましくは250以下である。
本発明のアルミニウム合金材は、鉄系材料、銅系材料およびアルミニウム系材料が用いられているあらゆる用途が対象となり得る。具体的には、電線やケーブル等の導電部材、集電体用のメッシュや網等の電池用部材、ねじや、ボルト、リベット等の締結部品、コイルバネ等のバネ用部品、コネクタや端子等の電気接点用バネ部材、シャフトやフレーム等の構造用部品、ガイドワイヤ、半導体用のボンディングワイヤ、発電機やモータに用いられる巻線等として好適に用いることができる。
導電部材のより具体的な用途例としては、架空送電線、OPGW、地中電線、海底ケーブルなどの電力用電線、電話用ケーブルや同軸ケーブルなどの通信要電線、有線ドローン用ケーブル、キャブタイヤケーブル、EV/HEV用充電ケーブル、洋上風力発電用捻回ケーブル、エレベータケーブル、アンビリカルケーブルケーブル、ロボットケーブル、電車用架線、トロリ線などの機器用電線、自動車用ワイヤーハーネス、船舶用電線、飛行機用電線などの輸送用電線、バスバー、リードフレーム、フレキシブルフラットケーブル、避雷針、アンテナ、コネクタ、端子、ケーブルの編粗などが挙げられる。
電池用部材には、太陽電池の電極、などが挙げられる。
構造部材のより具体的な用途例としては、建築現場の足場、コンベアメッシュベルト、衣料用の金属繊維、鎖帷子、フェンス、虫除けネット、ジッパー、ファスナー、クリップ、アルミウール、ブレーキワイヤやスポークなどの自転車用部品、強化ガラスの補強線、パイプシール、メタルパッキン、ケーブルの保護強化材、ファンベルトの芯金、アクチュエータ駆動用ワイヤ、チェーン、ハンガー、防音用メッシュ、棚板などが挙げられる。
締結部材のより具体的な用途例としては、いもねじ、ステープル、画鋲などが挙げられる。
バネ用部材のより具体的な用途例としては、バネ電極、端子、コネクタ、半導体プローブ用バネ、板バネ、ぜんまい用バネなどが挙げられる。
また、樹脂系材料、プラスチック材料、布などに導電性を持たせたり、強度や弾性率を制御したりするために添加する金属繊維としても好適である。
また、メガネフレーム、時計用ベルト、万年筆のペン先、フォーク、ヘルメット、注射針などの民生部材や医療部材にも好適である。
加えて、本発明の高強度のアルミニウム合金は、高い伸縮性が要求されるヘルスケア用のウェアラブルデバイスを構成する金属導体として用いるのが特に好適である。金属導体には、容易に塑性変形しないような高い材料強度と、繰返しの変形を受けても破断しないような良好な疲労特性が求められている。特に、その導体が人体に直接貼り付けられる電極の機能を兼ねる場合には、銅などのアレルギーが起こり易い金属よりもアルミニウム合金を用いることが好ましい。また、銅は人体から発せられる汗などと反応して、変色や錆の発生が問題となるが、アルミニウム合金ではこのような問題が生じにくいという利点もある。
まず、表1に示す合金組成を有する10mmφの各棒材を準備した。次に、各棒材を用いて、表1に示す製造条件にて、それぞれのアルミニウム合金線材(0.07〜2.0mmφ)を作製した。
比較例1では、99.99質量%−Alからなる10mmφの棒材を用い、表1に示す製造条件にて、アルミニウム線材(0.24mmφ)を作製した。
比較例2〜7では、表1に示す合金組成を有する10mmφの各棒材を用い、表1に示す製造条件にて、それぞれのアルミニウム合金線材(0.07〜2.0mmφ)を作製した。
<製造条件A>
準備した棒材に対し、加工度5.5の冷間加工[1]を行った。なお、調質焼鈍[2]は行わなかった。
<製造条件B>
冷間加工[1]の加工度を6.5とした以外は、製造条件Aと同じ条件で行った。
<製造条件C>
冷間加工[1]の加工度を7.5とした以外は、製造条件Aと同じ条件で行った。
<製造条件D>
冷間加工[1]の加工度を10.0とした以外は、製造条件Aと同じ条件で行った。
<製造条件E>
準備した棒材に対し、加工度4.5の冷間加工[1]を行い、その後、処理温度60℃、保持時間1時間の条件で調質焼鈍[2]を行った。
<製造条件F>
冷間加工[1]の加工度を5.5とした以外は、製造条件Eと同じ条件で行った。
<製造条件G>
冷間加工[1]の加工度を6.5とした以外は、製造条件Eと同じ条件で行った。
<製造条件H>
冷間加工[1]の加工度を10.0とした以外は、製造条件Eと同じ条件で行った。
<製造条件I>
冷間加工[1]の加工度を3.5とした以外は、製造条件Aと同じ条件で行った。
<製造条件J>
準備した棒材に対し、処理温度180℃、保持時間10時間の時効析出熱処理[0]を行い、その後、冷間加工[1]を行ったが、断線が多発したため、作業を中止した。
<製造条件K>
準備した棒材に対し、冷間加工[1]を行ったが、断線が多発したため、作業を中止した。
電気用Al地金(JIS H 2110)、Al−Mg簿合金およびAl−Si母合金を溶解して、Al−0.7質量%Mg−0.7質量%Siの合金組成を有する溶湯を製造し、これを鋳造後、60mmφ、240mm長のビレットを470℃の熱間押出により、荒引線を得た。得られた荒引線を、加工率70%(加工度1.20)で第1の伸線加工を施し、その後130℃にて5時間の1次熱処理を行い、さらに加工率60%(加工度0.92)で第2の伸線加工を施し、その後160℃にて4時間の2次熱処理を行って、アルミニウム合金線材(2mmφ)を得た。
Al−0.51質量%Mg−0.58質量%Si−0.79質量%Feの合金組成を有する溶湯を、プロペルチ式連続鋳造圧延機により10mmφの棒材とした。得られた棒材を、皮むき後に9.5mmφとし、加工度2.5の第1の伸線加工を施し、その後300〜450℃にて0.5〜4時間の1次熱処理を行い、さらに加工度4.3の第2の伸線加工を施し、その後連続通電熱処理にて、612℃で0.03秒の2次熱処理(調質焼鈍[2]に対応)を行い、さらに150℃にて10時間の時効熱処理を行って、アルミニウム合金線材(0.31mmφ)を得た。
グラファイトルツボ内に、純度が99.95質量%のアルミニウム、純度が99.95質量%のマグネシウム、純度が99.99質量%のケイ素、純度が99.95質量%の鉄をそれぞれ所定量投入し、高周波誘導加熱により720℃で撹拌溶融して、Al−0.6質量%Mg−0.3質量%Si−0.05質量%Feの合金組成を有する溶湯を製造し、これをグラファイトダイスが設けられた容器に移し、水冷したグラファイトダイスを介して、約300mm/分の鋳造速度で10mmφ、長さが100mmのワイヤを連続鋳造した。
そして、ECAP法によって4.0の累積相当ひずみを導入した。この段階の再結晶化温度は300℃と求められた。そして、不活性ガス雰囲気中で、250℃にて2時間の事前加熱を行った。
次に、加工率29%(加工度0.34)の第1の伸線処理を施した。この段階の再結晶温度は300℃と求められた。そして、不活性ガス雰囲気中で、260℃にて2時間の1次熱処理を行った。
その後、水冷した伸線ダイス内を500mm/分の引き抜き速度で通過させて、加工度9.3の第2の伸線処理を行った。この段階の再結晶化温度は280℃と求められた。そして、不活性ガス雰囲気中で、220℃にて1時間の2次熱処理を行って、アルミニウム合金線材(0.08mmφ)を得た。
上記実施例および比較例に係るアルミニウム合金線材を用いて、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りである。結果を表1に示す。
JIS H1305:2005に準じて、発光分光分析法によって行った。なお、測定は、発光分光分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて行った。
金属組織の観察は、透過電子顕微鏡JEM−3100FEF(日本電子株式会社製)を用い、STEM(Scanning Transmission Electron Microscopy)観察により行った。
観察用試料は、上記線材の長手方向(伸線方向X)に平行な断面について、FIB(Focused Ion Beam)により厚さ100nm±20nmで切断し、イオンミリングで仕上げたものを用いた。
STEM観察では、グレーコントラストを用い、コントラストの違いを結晶の方位として、コントラストが不連続に異なる境界を結晶粒界として認識した。なお、電子線の回折条件によっては、結晶方位が異なっていてもグレーコントラストに差がない場合があるので、その場合には、電子顕微鏡の試料ステージ内における直交する2本の試料回転軸によって±3°ずつ傾けて電子線と試料の角度を変えて、複数の回折条件で観察面を撮影し、粒界を認識した。なお観察視野は、(15〜40)μm×(15〜40)μmとし、上記断面において、線径方向(長手方向に垂直な方向)に対応する線上の、中心と表層の中間付近の位置(表層側から線径の約1/4中心側の位置)で観察を行った。観察視野は、結晶粒の大きさに応じて、適宜調整した。
そして、STEM観察を行った際に撮影した画像から、線材の長手方向(伸線方向X)に平行な断面において、繊維状の金属組織の有無を判断した。図3は、STEM観察を行った際に撮影した、実施例4の線材の長手方向(伸線方向X)に平行な断面のSTEM画像の一部である。本実施例では、図3のような金属組織が観察された場合に、繊維状の金属組織が「有」と評価した。
さらに、それぞれの観察視野において、結晶粒のうち任意の100個を選択し、それぞれの結晶粒の長手方向に垂直な寸法と、結晶粒の長手方向に平行な寸法を測定し、その結晶粒のアスペクト比を算出した。さらに、結晶粒の長手方向に垂直な寸法とアスペクト比については、観察した結晶粒の総数から、平均値を算出した。なお、観察された結晶粒が400nmよりも明らかに大きい場合には、各寸法を測定する結晶粒の選択数を減らして、それぞれの平均値を算出した。また、結晶粒の長手方向に平行な寸法が、明らかに結晶粒の長手方向に垂直な寸法の10倍以上のものについては、一律にアスペクト比10以上と判断した。
JIS Z2241:2001に準じて、精密万能試験機(株式会社島津製作所製)を用いて、引張試験を行い、引張強さ(MPa)を測定した。なお、上記試験は、評点間距離を10cm、変形速度を10mm/分の条件で実施した。また、各線材は3本ずつ測定を行い、その平均値(N=3)を各線材の引張強度とした。引張強度は大きいほど好ましく、本実施例では、480MPa以上を合格レベルとした。
JIS Z 2244:2009に準じて、微小硬さ試験機 HM−125(株式会社アカシ(現株式会社ミツトヨ)製)を用いて、ビッカース硬さ(HV)を測定した。このとき、試験力は0.1kgf、保持時間は15秒とした。また、測定位置は、線材の長手方向に平行な断面において、線径方向(長手方向に垂直な方向)に対応する線上の、中心と表層の中間付近の位置(表層側から線径の約1/4中心側の位置)とし、測定値の平均値(N=5)を、各線材のビッカース硬さ(HV)とした。なお、測定値の最大値および最小値の差が10以上であった場合には、さらに測定数を増やし、平均値(N=10)を、その線材のビッカース硬さ(HV)とした。ビッカース硬さ(HV)は大きいほど好ましく、本実施例では、125以上を合格レベルとした。
このような特有の金属組織を有する本発明の実施例1〜13に係るアルミニウム金属線材は、鉄系や銅系の金属材料に匹敵する高強度(例えば、引張強度480MPa以上、ビッカース硬さ(HV)125以上)を発揮することが確認された。
Claims (7)
- Mg:0.2〜1.8質量%、Si:0.2〜2.0質量%、Fe:0.01〜1.50質量%、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金材であって、
結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、
前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が270nm以下である、アルミニウム合金材。 - ビッカース硬さ(HV)が、125〜250である、請求項1に記載のアルミニウム合金材。
- 請求項1または2に記載のアルミニウム合金材を用いた導電部材。
- 請求項1または2に記載のアルミニウム合金材を用いた電池用部材。
- 請求項1または2に記載のアルミニウム合金材を用いた締結部品。
- 請求項1または2に記載のアルミニウム合金材を用いたバネ用部品。
- 請求項1または2に記載のアルミニウム合金材を用いた構造用部品。
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