JPWO2018003950A1 - 回転電機用コイル、回転電機用コイルの製造方法、マイカテープ、マイカテープの製造方法、マイカテープの硬化物及び絶縁物 - Google Patents

回転電機用コイル、回転電機用コイルの製造方法、マイカテープ、マイカテープの製造方法、マイカテープの硬化物及び絶縁物 Download PDF

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Abstract

コイル導体と、前記コイル導体の外周に配置された絶縁層と、を有し、前記絶縁層はマイカテープを含み、前記マイカテープは、マイカを含むマイカ層と、裏打ち材及び無機フィラーを含む裏打ち層と、を有し、前記無機フィラーは、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む、回転電機用コイル。

Description

本発明は、回転電機用コイル、回転電機用コイルの製造方法、マイカテープ、マイカテープの製造方法、マイカテープの硬化物及び絶縁物に関する。
発電機、電動機等の回転電機に用いられるコイル(以下、単にコイルとも称する)は、一般にコイル導体と、コイル導体を外部環境から絶縁するためにコイル導体の外周に配置される絶縁層とを有している。コイル等の部材(被絶縁体)を外部環境から絶縁するための絶縁層を形成する材料として、マイカテープと呼ばれるマイカを用いた絶縁材が知られている。マイカテープは、一般に、裏打ち材を含む裏打ち層と、マイカを含むマイカ層とから主に構成され、マイカテープに含浸している樹脂を硬化することで絶縁層が形成される。
一方、コイルの外側に水素ガス又は空気を通して冷却する間接冷却の方式を採用する発電機等の分野では、コイルの外側に設けられた絶縁層の高熱伝導化が望まれている。絶縁層の熱伝導率を高める手法としては、マイカテープに熱伝導率の高い無機フィラーを含有させる手法が挙げられる。
例えば、特許文献1には、マイカ層の中に無機フィラーとして熱伝導率の高いアルミナが充填されたマイカテープが開示されており、このマイカテープを用いることで0.32W/(m・K)〜0.36W/(m・K)の熱伝導率を有する絶縁層が得られるとされている。
特許文献2には、熱伝導率の高い無機フィラーを含有する熱伝導層が一方の面に配置されたマイカテープが開示されており、0.35W/(m・K)〜0.48W/(m・K)の熱伝導率を有する絶縁層が得られるとされている。
特許文献3には、マイカテープの裏打ち層にHTC(高熱伝導性)粒子を浸透させ、裏打ち層を通して複合体テープの中に含浸樹脂を含浸させる方法が開示されている。
特開2005−199562号公報 特開2002−93257号公報 特表2009−532242号公報
マイカテープの熱伝導性を向上させる手法として無機フィラーを含有させることは有効であるが、製造コスト等の観点から、良好な熱伝導性を達成しつつも使用する無機フィラーの量を抑える技術の開発が待たれている。
しかしながら、無機フィラーを含むマイカテープは、無機フィラーがマイカテープから脱落する可能性がある。特に、マイカテープをコイル導体に巻き付け、樹脂ワニスに浸漬して含浸する場合、無機フィラーがマイカテープから樹脂ワニス中に流出して絶縁層中に残存する無機フィラーの量が減少することがある。そのため、高い熱伝導率を得るためには無機フィラーの量を多めに配合する場合があった。
また、マイカテープから樹脂ワニス中に無機フィラーが流出することによって樹脂ワニスの品質が変わるといった問題もあった。
本発明は上記事情に鑑み、マイカテープからの無機フィラーの脱落を抑制可能なマイカテープを含む絶縁層を有する回転電気用コイル及びその製造方法を提供することを課題とする。マイカテープからの無機フィラーの脱落を抑制可能なマイカテープ、マイカテープの製造方法、マイカテープの硬化物及びそれを用いた絶縁物を提供することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1>コイル導体と、前記コイル導体の外周に配置された絶縁層と、を有し、前記絶縁層はマイカテープを含み、前記マイカテープは、マイカを含むマイカ層と、裏打ち材及び無機フィラーを含む裏打ち層と、を有し、前記無機フィラーは、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む、回転電機用コイル。
<2>前記マイカテープにおいて、前記窒化ホウ素の第一の粒度分布ピークは2μm〜5μmの範囲に存在し、第二の粒度分布ピークは6μm〜10μmの範囲に存在する、<1>に記載の回転電機用コイル。
<3>前記マイカテープにおいて、前記無機フィラーの含有率が、前記マイカと前記裏打ち材を除く不揮発分の総体積の20体積%〜50体積%である、<1>又は<2>に記載の回転電機用コイル。
<4>前記コイル導体の外周に前記マイカテープを巻きつける工程と、前記コイル導体の外周に巻きつけられた前記マイカテープを含む前記絶縁層を形成する工程と、を有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の回転電機用コイルの製造方法。
<5>マイカを含むマイカ層と、裏打ち材及び無機フィラーを含む裏打ち層と、を有し、前記無機フィラーは、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む、マイカテープ。
<6>前記窒化ホウ素の第一の粒度分布ピークは2μm〜5μmの範囲に存在し、第二の粒度分布ピークは6μm〜10μmの範囲に存在する、<5>に記載のマイカテープ。
<7>前記無機フィラーの含有率が、前記マイカと前記裏打ち材を除く不揮発分の総体積の20体積%〜50体積%である、<5>又は<6>に記載のマイカテープ。
<8>裏打ち材をマイカの上に配置して積層体を準備する工程と、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む無機フィラーと、樹脂成分と、を含む組成物を、前記積層体の前記裏打ち材側に付与する工程と、を含む、マイカテープの製造方法。
<9>前記組成物中の前記無機フィラーの含有率は、前記組成物の不揮発分全体の20体積%〜50体積%である、請求項8に記載のマイカテープの製造方法。
<10>前記組成物の付与時の粘度は500mPa・s〜3000mPa・sである、<8>又は<9>に記載のマイカテープの製造方法。
<11>樹脂成分を含み、前記樹脂成分を硬化して得られる<5>〜<7>のいずれか1項に記載のマイカテープの硬化物。
<12>被絶縁体と、前記被絶縁体の表面の少なくとも一部に配置される<11>に記載のマイカテープの硬化物である絶縁層と、を有する絶縁物。
本発明によれば、マイカテープからの無機フィラーの脱落を抑制可能なマイカテープを含む絶縁層を有する回転電気用コイル及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、マイカテープからの無機フィラーの脱落を抑制可能なマイカテープ、マイカテープの製造方法、マイカテープの硬化物及びそれを用いた絶縁物が提供される。
マイカテープの構成の一例を表す概略断面図である。 第一の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素と第二の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素の両方が存在する場合の窒化ホウ素の状態(A)と、第二の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素のみが存在する場合の窒化ホウ素の状態(B)をそれぞれ表す概念図である。 実施例で用いた窒化ホウ素の粒度分布を表すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
<回転電機用コイル>
本実施形態の回転電機用コイルは、コイル導体と、前記コイル導体の外周に配置された絶縁層と、を有し、前記絶縁層はマイカテープを含み、
前記マイカテープは、マイカを含むマイカ層と、裏打ち材及び無機フィラーを含む裏打ち層と、を有し、前記無機フィラーは、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む。
本実施形態の回転電機用コイルは、絶縁層を形成するマイカテープが無機フィラーとして5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含むことで、無機フィラーの脱落が抑制されている。その理由は明らかではないが、窒化ホウ素が5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有することで、大きい窒化ホウ素粒子の間に小さい窒化ホウ素粒子が入り込むことにより、マイカテープの作製に用いる組成物(ワニス)中の窒化ホウ素の分散性が向上し、粘度が低下するために、塗布後の窒化ホウ素の分布ムラが抑制されることが考えられる。さらに、窒化ホウ素が良好に分散した組成物を用いて形成される裏打ち層では窒化ホウ素が裏打ち材にトラップされやすく、無機フィラーの脱落が生じにくいためと考えられる。
本実施形態のコイルの絶縁層の形成に用いられるマイカテープの詳細及び好ましい態様は、後述する本実施形態のマイカテープと同様である。また、本実施形態のコイルに用いられるコイル導体の材質、形状、大きさ等は特に制限されず、コイルの用途等に応じて選択できる。
<回転電機用コイルの製造方法>
本実施形態の回転電機用コイルの製造方法は、コイル導体の外周にマイカテープを巻きつける工程と、前記コイル導体の外周に巻きつけられた前記マイカテープを含む前記絶縁層を形成する工程と、を有する。
コイル導体の外周にマイカテープを巻きつける方法は特に制限されず、通常行われる方法を採用することができる。
コイル導体の外周に巻きつけられた前記マイカテープを含む絶縁層を形成する方法は、特に制限されない。例えば、コイル導体にマイカテープを巻き付けた後にマイカテープを加圧しながら加熱(ヒートプレス)して、あらかじめマイカテープに含まれている樹脂成分をマイカテープの外に流出させて重なり合うマイカテープ間を埋めるようにし、これを硬化させて絶縁層を形成する方法(プリプレグマイカテープの場合)、及びコイル導体にマイカテープを巻きつけた後に真空加圧含浸法(Vacuum Pressure Impregnation、VPI)にて樹脂成分をマイカテープに含浸し、これを硬化させて絶縁層を形成する方法(ドライマイカテープの場合)が挙げられる。
<マイカテープ>
本実施形態のマイカテープは、マイカを含むマイカ層と、裏打ち材及び無機フィラーを含む裏打ち層と、を有し、前記無機フィラーは、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む。窒化ホウ素は、第一の粒度分布ピークと第二の粒度分布ピーク以外の粒度分布ピークを有していてもよい。また、第一の粒度分布ピークが2以上存在してもよく、第二の粒度分布ピークが2以上存在してもよい。
本発明者らの検討により、本実施形態のマイカテープは、無機フィラーの量を抑えつつ熱伝導性に優れる絶縁層を形成可能であることがわかった。
その理由は明らかではないが、本発明者らは以下のように考える。まず、無機フィラーとして含まれる窒化ホウ素は高い熱伝導率を示すことが挙げられる。さらに、窒化ホウ素が5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有することで、大きい窒化ホウ素粒子の間に小さい窒化ホウ素粒子が入り込むことにより、マイカテープの作製に用いる組成物(ワニス)中の窒化ホウ素の分散性が向上し、粘度が低下するために、塗布後の窒化ホウ素の分布ムラが抑制されることが考えられる。さらに、窒化ホウ素が良好に分散した組成物を用いて形成される裏打ち層では窒化ホウ素が裏打ち材にトラップされやすく、窒化ホウ素の脱落が生じにくいためと考えられる。
図2は、第一の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素と第二の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素の両方が存在する場合の窒化ホウ素の状態と、第二の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素のみが存在する場合の窒化ホウ素の状態をそれぞれ表す概念図である。
図2(A)に示すように、第一の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素粒子7と、第二の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素粒子8の両方が存在する場合は、窒化ホウ素が面内のある方向に配向することが抑制され、熱伝導率の異方性が低減する傾向にある。
一方、図2(B)に示すように、第二の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素粒子8のみが存在する場合、同じ充填量の窒化ホウ素と比較して熱伝導率は高い傾向にあるが、面内のある方向に窒化ホウ素が配向し、面内方向と厚さ方向で熱伝導率の差が大きく異方性が生じる傾向にある。
また、図示しないが、第一の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素粒子7のみが存在する場合、熱伝導率の異方性は抑制されるが、同じ充填量の窒化ホウ素と比較して熱伝導率は低い傾向にある。
窒化ホウ素の粒子分散性の向上の観点からは、窒化ホウ素の第一の粒度分布ピークが1μm〜4μmの範囲に存在し、第二の粒度分布ピークが8μm〜11μmの範囲に存在することが好ましく、第一の粒度分布ピークが2μm〜3μmの範囲に存在し、第二の粒度分布ピークが9μm〜10μmの範囲に存在することがより好ましい。
本明細書において粒度分布ピークがある範囲に存在するという場合には、粒度分布ピークを含む山の全部が当該範囲内に存在する場合と、山の一部が当該範囲の外に存在する場合の両方が含まれる。さらに、体積基準の粒度分布曲線において5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークは6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと比較して小さい(ピークの高さが低い)ことが好ましい。第二の粒度分布ピークは6μm〜100μmの範囲にあることが好ましい。
窒化ホウ素は、第一の粒度分布ピークにおける頻度が0.1%〜5%であることが好ましく、1%〜4%であることがより好ましい。また、第二の粒度分布ピークにおける頻度が1%〜6%であることが好ましく、2%〜5%であることがより好ましい。
窒化ホウ素は、第一の粒度分布ピークにおける頻度/第二の粒度分布ピークにおける頻度の値が1未満であることが好ましく、0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。また、第一の粒度分布ピークにおける頻度/第二の粒度分布ピークにおける頻度の値が0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。
窒化ホウ素は、体積基準の粒度分布曲線の小径側からの累積が10%となるときの粒子径(D10)が0.1μm〜3μmであることが好ましく、50%となるときの粒子径(D50)が3μm〜8μmであることが好ましく、90%となるときの粒子径(D90)が8μm〜100μmであることが好ましい。また、D10/D90の値が0.001〜0.333であることが好ましく、D90−D10の値が6μm〜99μmであることが好ましい。
窒化ホウ素の粒度分布ピークは、レーザー回折法で測定することができる。レーザー回折法を用いる場合、純水中に窒化ホウ素を投入して超音波分散機で分散し、得られた分散液からレーザー回折散乱方式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社、「マイクロトラック MT3000II」)を用いて測定される。また、マイカテープからフィラーを抽出して粒度分布ピークを測定する場合、有機溶剤を用いて、裏打ち層からフィラー成分を抽出し、超音波分散機等で十分に分散する。この分散液の粒子径分布を測定することでフィラーの粒子径分布を測定することができる。
図1は、本実施形態のマイカテープの構造の一例を表す概略断面図である。図1に示すように、マイカテープはマイカ4を含むマイカ層6と、裏打ち材2及び無機フィラー1を含む裏打ち層5と、を有していてもよい。また、マイカ層6と裏打ち層5はそれぞれ樹脂成分3を含んでいてもよい。樹脂成分3は、マイカ層6と裏打ち層5の両方に含まれても一方のみに含まれてもよい。マイカ層6(又は裏打ち層5)が樹脂成分3を含む場合、樹脂成分3は、マイカ層6(又は裏打ち層5)の全体に含まれていても、部分的に含まれていてもよい。
本実施形態のマイカテープは、被絶縁体にマイカテープを巻き付けた後にあらかじめマイカテープに含まれている樹脂成分を硬化させて絶縁層を形成する方法に用いられるマイカテープ(プリプレグマイカテープ)であっても、被絶縁体に巻きつけた後に含浸する樹脂成分を硬化させて絶縁層を形成する方法に用いられるマイカテープ(ドライマイカテープ)であってもよい。
(マイカ)
マイカの種類は、特に制限されない。例えば、未焼成硬質マイカ、焼成硬質マイカ、未焼成軟質マイカ、焼成軟質マイカ、合成マイカ及びフレークマイカが挙げられる。これらの中でも、マイカと樹脂成分の接着性の観点からは、未焼成硬質マイカが好ましい。
マイカの粒子径は、特に制限されない。例えば、絶縁性の観点からは、JIS標準篩を用いて篩い分けしたときに、粒子径が2.8mm以上であるマイカ片の割合が、マイカ片全体の45質量%未満であることが好ましく、マイカ片全体の30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
充分な絶縁破壊電界強度を確保する観点からは、JIS標準篩を用いて篩い分けしたときの粒子径が0.5mm以上であるマイカ片の割合が、マイカ片全体の40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
前記JIS標準篩はJIS-Z-8801-1:2006に準拠し、ISO3310-1:2000に対応する。尚、ISO3310-1:2000を用いる場合には、JIS-Z-8801-1:2006と同様に篩い目の形状が正方形であるものを適用することが好ましい。
マイカは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。マイカを2種以上併用する場合としては、例えば、同じ成分で粒子径が異なるマイカを2種以上用いる場合、粒子径が同じで成分の異なるマイカを2種以上用いる場合、並びに平均粒子径及び成分の異なるマイカを2種以上用いる場合が挙げられる。
マイカ層中のマイカの量は、特に制限されない。例えば、80g/m〜230g/mの範囲が好ましく、100g/m〜200g/mの範囲がより好ましい。マイカ層中のマイカの量が80g/m以上であれば、絶縁性の低下が抑制される傾向にある。マイカ層中のマイカの量が230g/m以下であれば、マイカテープの厚さを薄くでき、熱伝導率の低下が抑制される傾向にある。
(裏打ち材)
裏打ち材の種類は、特に制限されない。例えば、ガラスクロスが挙げられる。裏打ち材としてガラスクロスを用いることで、ガラスクロスを構成する繊維の間に無機フィラーが取り込まれ、無機フィラーの脱落が抑制される傾向にある。また、繊維の間に浸透した樹脂成分によって隣接するマイカ層と良好に一体化し、熱伝導性が向上する傾向にある。さらに、被絶縁体に巻きつける際の切れ、ひび等が発生しにくい傾向にある。
裏打ち材としてガラスクロスを用いる場合、その一部が有機材料で構成される繊維であってもよい。有機材料で構成される繊維は特に制限されず、アラミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル等の繊維が挙げられる。ガラスクロスの一部が有機材料で構成される繊維である場合には、縦糸、横糸又はその両方が有機材料で構成される繊維であってもよい。
裏打ち材の平均厚さは特に限定されない。例えば、30μm〜60μmであることが好ましく、45μm〜50μmであることがより好ましい。裏打ち材の平均厚さが30μm以上であれば、マイカテープを加圧した際に裏打ち層が裏打ち材の厚さに追従して薄くなりすぎるのが抑制され、熱伝導率の低下が抑制される傾向にある。裏打ち材の厚さが60μm以下であれば、マイカテープが厚くなるのを抑制でき、マイカテープを被絶縁体に巻き付ける工程中のマイカテープの切れ、ひび等の発生が抑制される傾向にある。
本実施形態において裏打ち材の平均厚さは、マイクロメーター(MDC−SB、株式会社ミツトヨ)を用いて裏打ち材の厚さを計10箇所で測定し、得られた測定値の算術平均値とする。
裏打ち材は、必要に応じて表面処理されたものでもよい。裏打ち材の表面処理の方法としては、例えば、シランカップリング剤による処理が挙げられる。
(無機フィラー)
無機フィラーは、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む。窒化ホウ素は、他の無機フィラー(例えば、アルミナ)よりも高い熱伝導性を示すため、マイカテープから形成される絶縁層の熱伝導性がより向上する傾向にある。無機フィラーは、シリカ、アルミナ等の窒化ホウ素以外の無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーが窒化ホウ素と窒化ホウ素以外の無機フィラーとを含む場合、無機フィラー中の窒化ホウ素の割合は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
窒化ホウ素の種類は特に限定されず、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、立方晶窒化ホウ素(c−BN)、ウルツ鉱型窒化ホウ素等が挙げられる。これらの中でも、六方晶窒化ホウ素(h−BN)が好ましい。窒化ホウ素は、鱗片状に形成されている窒化ホウ素の一次粒子であっても、一次粒子が凝集して形成された二次粒子であってもよい。
無機フィラーの平均粒子径は、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークとを有する窒化ホウ素を含むのであれば、特に制限されない。例えば、3μm〜8μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜7μmの範囲内であることがより好ましい。
無機フィラーの平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱方式粒度分布測定装置(日機装株式会社、「マイクロトラック MT3000II」)を用いることで測定可能である。具体的には、純水中に無機フィラーを投入した後に、超音波分散機で分散する。この分散液の粒子径分布を測定することで、無機フィラーの粒子径分布が測定される。この粒子径分布に基づいて、小径側からの体積累積50%に対応する粒子径(D50)を平均粒子径として求める。
無機フィラーは、アスペクト比が1〜10の範囲内であることが好ましく、1〜9の範囲内であることがより好ましい。また、無機フィラーに含まれる窒化ホウ素は、アスペクト比が1〜10の範囲内であることが好ましく、1〜9の範囲内であることがより好ましい。無機フィラー又は窒化ホウ素のアスペクト比が1〜10の範囲内にあると、無機フィラー又は窒化ホウ素が樹脂と接する表面積が増え、無機フィラー又は窒化ホウ素が樹脂を介して裏打ち材とより密着し、コイルにマイカテープを巻き付ける際の無機フィラーの飛散がより抑制される傾向にある。
無機フィラー又は窒化ホウ素のアスペクト比は、20個の代表的な粒子についてそれぞれ短径に対する長径の長さの比(長径/短径)を測定し、得られた測定値の算術平均値とする。
無機フィラー又は窒化ホウ素のアスペクト比の測定方法は特に制限されない。例えば、マイカテープの硬化物を厚み方向に切断し、切断面をイオンミリング処理により平滑化した後、白金を蒸着して得られた切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率:3000倍)により観察し、ミクロメーターを用いて測定することができる。
無機フィラーは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。無機フィラーを2種以上併用する場合としては、例えば、同じ成分で平均粒子径が異なる無機フィラーを2種以上用いる場合、平均粒子径が同じで成分の異なる無機フィラーを2種以上用いる場合、並びに平均粒子径及び種類の異なる無機フィラーを2種以上用いる場合が挙げられる。
必要に応じ、無機フィラーはカップリング剤、熱処理又は光処理により表面処理されたものであってもよい。
例えば、熱処理の場合、無機フィラーを適切な高温(例えば、250℃〜800℃)で1時間〜3時間加熱することにより、無機フィラー表面の不純物が除去される。そのため、無機フィラーを樹脂成分と混合したときの親和性が向上し、無機フィラーと樹脂成分を含む組成物の粘度が下がり、塗布しやすくなる傾向にある。また、組成物の塗布面は塗り斑や凹凸が少なく平滑性が向上する傾向にある。
(樹脂成分)
マイカテープは、樹脂成分を含んでもよい。樹脂成分として用いる樹脂の種類は特に制限されない。マイカテープを硬化させて絶縁層を形成する観点からは、硬化性樹脂であることが好ましく、熱硬化性樹脂であることがより好ましい。硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びシリコーン樹脂が挙げられる。マイカ層と裏打ち層との接着性及び電気絶縁性の観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
樹脂成分としてエポキシ樹脂を用いる場合のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性の観点からは、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に制限されない。例えば、130g/eq〜500g/eqであることが好ましく、135g/eq〜400g/eqであることがより好ましく、140g/eq〜300g/eqであることがさらに好ましい。なお、エポキシ当量は、精秤したエポキシ樹脂をメチルエチルケトン等の溶媒に溶解させ、酢酸と臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加えた後、過塩素酸酢酸標準液によって電位差滴定することにより測定される。電位差滴定には、指示薬を用いてもよい。
樹脂成分として用いる樹脂の数平均分子量は、特に制限されない。例えば、流動性の観点からは100〜100000であることが好ましく、200〜50000であることがより好ましく、300〜10000であることがさらに好ましい。樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)を用いて、定法に従い下記の条件で測定した値である。
〔測定条件〕
ポンプ:L−6000(株式会社日立製作所)
カラム:TSKgel(登録商標)G4000HHR+G3000HHR+G2000HXL(東ソー株式会社)
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(クロマトグラフィー用安定剤不含、和光純薬工業株式会社)
試料濃度:5g/L(テトラヒドロフラン可溶分)
注入量:100μL
流速:1.0mL/分
検出器:示差屈折率計(RI−8020、東ソー株式会社)
分子量較正標準物質:標準ポリスチレン
データ処理装置:GPC−8020(東ソー株式会社)
マイカテープが樹脂成分として硬化性樹脂を含む場合、硬化剤を樹脂成分として含んでもよい。硬化剤は特に制限されず、硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択できる。硬化剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としてはエポキシ樹脂用硬化剤として通常用いられる硬化剤から適宜選択して用いることができる。具体的には、ジシアンジアミド、芳香族ジアミン等のアミン硬化剤;フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール樹脂硬化剤;脂環式酸無水物等の酸無水物硬化剤などを挙げることができる。硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤とエポキシ樹脂の割合は、当量比(硬化剤/エポキシ樹脂)で0.8〜1.2とすることが硬化性及び硬化物の電気特性の観点から好ましい。
(硬化触媒)
マイカテープが樹脂成分として硬化性樹脂を含む場合、硬化性樹脂の硬化反応を加速させる等の目的で硬化触媒を含んでもよい。硬化触媒は特に制限されず、硬化性樹脂及び必要に応じて用いられる硬化剤の種類等に応じて選択できる。硬化触媒として具体的には、トリメチルアミン等の第3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、錫、亜鉛、コバルト等の有機金属塩、三フッ化ホウ素モノエチルアミン等のルイス酸のアミン錯体、有機ホスフィン化合物等の有機リン化合物などを挙げることができる。硬化促進剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
マイカテープが硬化触媒を含む場合、その含有率は特に制限されない。例えば、樹脂成分としてエポキシ樹脂を用いる場合の硬化触媒の含有率は、エポキシ樹脂及び必要に応じて含まれる硬化剤の合計量に対して0.01質量%〜5質量%の範囲が一般的である。
(その他の成分)
マイカテープは、必要に応じて上述した成分以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、カップリング剤、酸化防止剤、老化防止剤、安定剤、難燃剤、増粘剤等が挙げられる。マイカテープがこれらの成分を含む場合、その含有量は特に制限されない。
<マイカテープの全体構成>
本実施形態のマイカテープは、マイカを含むマイカ層と、裏打ち材及び窒化ホウ素を含む裏打ち層と、を有し、必要に応じてその他の層を有していてもよい。その他の層としては、マイカテープの最表面に設けられる保護層(保護フィルム)等が挙げられる。
マイカテープの平均厚さ(マイカ層と裏打ち層の厚さの合計)は特に制限されない。例えば、マイカテープの平均厚さは400μm以下であってよく、350μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。
マイカテープがプリプレグマイカテープとして使用される場合、マイカテープの巻きつけやすさの観点からは、マイカテープの平均厚さは300μm以下であることが好ましく、290μm以下であることがより好ましい。電気絶縁性の観点からは、マイカテープの平均厚さは120μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、160μm以上であることがさらに好ましい。
マイカテープがドライマイカテープとして使用される場合、マイカテープの巻きつけやすさの観点からは、マイカテープの平均厚さは220μm以下であることが好ましく、190μm以下であることがより好ましい。電気絶縁性の観点からは、マイカテープの平均厚さは120μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、180μm以上であることがさらに好ましい。
マイカ層の平均厚さは、特に制限されない。マイカテープの巻き付けやすさの観点からは、マイカ層の平均厚さは180μm以下であることが好ましく、170μm以下であることがより好ましい。電気絶縁性の観点からは、マイカ層の平均厚さは80μm以上であることが好ましく、90μm以上であることがより好ましい。
裏打ち層の平均厚さは、特に制限されない。マイカテープの巻き付けやすさの観点からは、裏打ち層の平均厚さは60μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。マイカテープの強度の観点からは、裏打ち層の平均厚さは10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。
本実施形態においてマイカテープの平均厚さ(マイカ層と裏打ち層の厚さの合計)は、マイクロメーター(MDC−SB、株式会社ミツトヨ)を用いてマイカテープの厚さを計10箇所で測定し、得られた測定値の算術平均値とする。
本実施形態においてマイカテープ中のマイカ層及び裏打ち層の厚さは、マイカテープの断面におけるマイカ層及び裏打ち層の厚さを実体顕微鏡(例えば、オリンパス株式会社、「BX51」)のミクロメーターにて3箇所観察し、その算術平均値とする。
マイカテープのマイカと裏打ち材を除く不揮発分における無機フィラーの含有率は、特に制限されない。例えば、マイカと裏打ち材を除く不揮発分の総体積の20体積%〜50体積%であることが好ましく、25体積%〜35体積%であることが更に好ましい。無機フィラーの含有率が、マイカと裏打ち材を除く不揮発分の総体積の20体積%以上であると、マイカテープから形成される絶縁層の熱伝導率がより向上する傾向にある。無機フィラーの含有率が、マイカと裏打ち材を除く不揮発分の総体積の50体積%以下であると、無機フィラーの樹脂成分への充填が容易となる傾向にある。
マイカテープのマイカ層と裏打ち層の合計質量におけるマイカと裏打ち材を除く不揮発分の含有率は、特に制限されない。例えば、マイカ層と裏打ち層の合計質量の5質量%〜45質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましく、15質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。マイカと裏打ち材を除く不揮発分の含有率が、マイカ層と裏打ち層の合計質量の5質量%以上であると、熱伝導率がより効果的に向上する傾向にある。マイカと裏打ち材を除く不揮発分の含有率が、マイカ層と裏打ち層の合計質量の45質量%以下であると、マイカテープの厚さの増大が抑えられる傾向にある。また、マイカテープの作製の際にワニスの含浸が進みやすい傾向にある。
マイカテープのマイカと裏打ち材を除く不揮発分における樹脂成分の含有率は、特に制限されない。例えば、マイカと裏打ち材を除く不揮発分の総質量の35質量%〜70質量%であることが好ましく、50質量%〜65質量%であることがより好ましく、55質量%〜60質量%であることがさらに好ましい。樹脂成分の含有率が、マイカと裏打ち材を除く不揮発分の総質量の35質量%以上であると、裏打ち層とマイカ層との接着性が向上する傾向にある。樹脂成分の含有率が、マイカと裏打ち材を除く不揮発分の総質量の70質量%以下であると、熱伝導性が向上する傾向にある。
マイカテープ中の樹脂成分の含有率は特に制限されず、マイカテープの用途等に応じて選択できる。例えば、樹脂成分の含有率は、マイカ層と裏打ち層の合計質量の40質量%以下であってよく、5質量%〜33質量%であることが好ましい。
マイカテープがプリプレグマイカテープとして使用される場合、樹脂成分の含有率は、例えば、マイカ層と裏打ち層の合計質量の25質量%〜33質量%であることが好ましく、25質量%〜30質量%であることがより好ましい。樹脂成分の含有率がマイカ層と裏打ち層の合計質量の25質量%以上であると、マイカテープからのマイカ及び必要に応じて含まれる無機フィラーの脱落(粉落ち)が抑制され、被絶縁体にマイカテープを巻き付ける際のマイカテープのひび割れ、切れ、皺等の発生が抑制される結果、絶縁信頼性の低下及び熱伝導率の低下が抑制される傾向にある。一方、樹脂成分の含有率がマイカ層と裏打ち層の合計質量の33質量%以下であると、マイカテープの厚さの増大が抑制されて良好な巻き付け性が維持される傾向にある。さらに、被絶縁体にマイカテープを巻き付けた状態で重なり合ったマイカテープ間の空隙を埋めるために必要な体積以上に樹脂成分が脱落することが抑制される傾向にある。その結果、ボイドの発生が低減し、絶縁信頼性の低下が抑制される傾向にある。
マイカテープがドライマイカテープとして使用される場合、マイカテープ中の樹脂成分の含有率は、例えば、マイカ層と裏打ち層の合計質量の5質量%〜15質量%であることが好ましく、5質量%〜12質量%であることがより好ましく、8質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。樹脂成分の含有率がマイカ層と裏打ち層の合計質量の5質量%以上であると、裏打ち層とマイカ層との接着性が充分に確保される傾向にある。一方、樹脂成分の含有率がマイカ層と裏打ち層の合計質量の15質量%以下であると、高い熱伝導率が達成される傾向にある。
本実施形態において、マイカテープ中の樹脂成分の含有率は、例えば、下記方法によって算出される。
幅30mm及び長さ50mmの大きさに切断したマイカテープを電気炉にて600℃及び2時間の条件で加熱し、加熱前後の質量減少率(%)を下記式により求める。以上の工程を3回行い、得られた値の算術平均値として求める。
樹脂成分の含有率={(加熱前の質量−加熱後の質量)/加熱前の質量}×100
マイカテープがドライマイカテープとして使用される場合、マイカ層中の樹脂成分の含有率は、マイカ層の総質量の15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
マイカ層は、マイカ以外の無機フィラーを実質的に含まないことが好ましい。具体的には、マイカ層中のマイカ以外の無機フィラーの含有率は、マイカ層の総質量の3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
熱伝導率の低下を抑制する観点からは、マイカ層は、フィブリットを実質的に含まないことが好ましい。具体的には、マイカ層中のフィブリットの含有率は、マイカ層の総質量の1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。本明細書においてフィブリットとは、マイカ層が自立可能になるように混合される繊維状の物質であり、ポリアミド、ポリイミド等の有機繊維、ガラスファイバー等の無機繊維などが挙げられる。
<マイカテープの製造方法>
本実施形態のマイカテープは、いかなる工程を経て製造されたものであってもよく、従来から公知の製造方法を適用することができる。
マイカテープの製造方法の一例としては、裏打ち材をマイカペーパの上に配置して積層体を準備する工程と、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む無機フィラーと、樹脂成分と、を含む組成物(ワニス)を、前記積層体の前記裏打ち材側に付与する工程と、を含む方法が挙げられる。
上記方法に用いられるマイカ、裏打ち材、無機フィラー及び樹脂成分、並びに製造されるマイカテープの詳細及び好ましい態様は、上述したとおりである。マイカペーパは、マイカ片が集合して形成されたシート状の物体である。
必要に応じ、組成物は溶剤を含んでもよい。溶剤を含むことで組成物の粘度が低下し、無機フィラーの混合が容易になる傾向にある。溶剤の種類は特に制限されず、通常用いられる有機溶剤から選択できる。具体的には、メチルエチルケトン、トルエン、メタノール、シクロヘキサノン等が挙げられる。溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
組成物中の無機フィラーの含有率は、特に限定されない。例えば、組成物の不揮発分(溶剤を除く成分)全体の20体積%〜90体積%であることが好ましく、25体積%〜35体積%であることがより好ましい。無機フィラーの含有率が組成物の不揮発分全体の20体積%以上であると、マイカテープを用いて形成される絶縁層の熱伝導率がより向上する傾向にある。無機フィラーの含有率が組成物の不揮発分全体の90体積%以下であると、無機フィラーと樹脂成分の混合性が向上する傾向にある。
組成物の付与時の粘度は、特に制限されない。例えば500mPa・s〜3000mPa・sであることが好ましい。組成物の付与時の粘度は、組成物を裏打ち材に付与するときの組成物の温度で、E型粘度計を用いて50回転/分(rpm)の条件で測定した値とする。組成物の付与は、例えば、ロールコーター等を用いて組成物を裏打ち材に塗布することで行うことができる。
組成物の付与は、裏打ち材に付与した組成物が裏打ち材の他方の面側ににじみ出てマイカペーパの全体又は一部に浸透するように行うことが好ましい。この場合、フィブリット混抄のマイカペーパでなくても、マイカペーパが自立可能となりやすく、崩れにくい。フィブリットを含まないマイカペーパを用いることで、熱伝導率が向上する傾向にある。
本実施形態のマイカテープは、例えば、回転電機コイル等に用いられるコイル導体等の被絶縁体の外周に設けられる絶縁層の形成に用いることができる。
<マイカテープの硬化物>
本実施形態のマイカテープの硬化物は、上述したマイカテープを硬化して得られる。より具体的には、マイカテープに含まれる樹脂成分を硬化して得られる。硬化の方法は特に制限されず、通常の方法から選択できる。
<絶縁物>
本実施形態の絶縁物は、被絶縁体と、前記被絶縁体の表面の少なくとも一部に配置される本実施形態のマイカテープの硬化物である絶縁層と、を有する。本実施形態のマイカテープを用いて絶縁層を形成する方法は特に制限されず、従来から公知の製造方法を適用することができる。例えば、被絶縁体にマイカテープを巻き付けた後にマイカテープを加圧しながら加熱(ヒートプレス)して、あらかじめマイカテープに含まれている樹脂成分をマイカテープの外に流出させて重なり合うマイカテープ間を埋めるようにし、これを硬化させて絶縁層を形成する方法(プリプレグマイカテープの場合)、被絶縁体にマイカテープを巻きつけた後に真空加圧含浸法(Vacuum Pressure Impregnation、VPI)にて樹脂成分をマイカテープに含浸し、これを硬化させて絶縁層を形成する方法(ドライマイカテープの場合)などが挙げられる。
絶縁層の形成を真空加圧含浸法により行う場合、マイカテープに含浸させる樹脂成分は特に制限されない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、脂環式酸無水物等の硬化剤を含むものが挙げられる。真空加圧含浸法における樹脂成分の含浸方法、含浸後の硬化条件、エポキシ樹脂と硬化剤との比率等は、従来から公知の方法、公知の条件等を参照できる。
絶縁物における被絶縁体の種類は特に限定されず、コイル、棒、板等の形状を有する金属材料(銅等)などが挙げられる。被絶縁体として具体的には、回転電機用コイルのコイル導体が挙げられる。
本実施形態のマイカテープを用いることで、高熱伝導性を示す絶縁層を形成することができる。従って、本実施形態の絶縁物がコイルである場合、当該コイルを冷却する際、従来では水直接冷却方式を採用されていた規模のコイルに対しても、水素冷却方式又は空冷方式を採用することができるようになり、コイルの構造を簡素化することが可能となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)マイカペーパの作製
未焼成硬質マイカを水中に分散してマイカ粒子とし、抄紙機にて抄造して、マイカ量が140g/mのマイカペーパを作製した。
(2)窒化ホウ素含有ワニスの調製
樹脂成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社、「エピコート828」)13.1質量%と、硬化触媒として亜鉛(II)アセチルアセトナート(純正化学株式会社)3.3質量%と、溶剤としてメチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社)46.0質量%とを混合した。その後、粒度分布ピークが2μm〜3μmの範囲と7μm〜9μmの範囲にそれぞれ存在する窒化ホウ素(電気化学工業株式会社)37.6質量%を加えて撹拌し、無機フィラーとして窒化ホウ素を含む窒化ホウ素含有ワニスを調製した。用いた窒化ホウ素の粒度分布を図3に示す。窒化ホウ素の粒度分布はD10=2.9μm、D50=6.5μm、D90=13.0μmであった。
尚、窒化ホウ素の粒度分布は、日機装株式会社「マイクロトラック MT3000II」)を用いて、レーザー回折法で測定した。具体的には、50mgの純水に、窒化ホウ素を10mg添加し、10分間振とうさせ分散した。20mlをセルに注入して25℃で測定した。尚、水の屈折率を1.333、窒化ホウ素の屈折率を2.17とした。
窒化ホウ素含有ワニスにおけるエポキシ樹脂と硬化触媒との質量基準の比率(エポキシ樹脂:硬化触媒)は、97:3であった。
得られた窒化ホウ素含有ワニスの塗布時の粘度として、25℃、50回転/分(rpm)での粘度(mPa・s)をE型粘度計を用いて測定した。結果を表1に示す。
(3)マイカテープの作製
マイカペーパの上にガラスクロス(株式会社双洋、「WEA 03G 103」、織目の隙間の合計体積:24.4cm/m)を重ね、ガラスクロスの上に調製した窒化ホウ素含有ワニスをロールコーターを用いて塗布した。塗布は、ガラスクロスの下のマイカペーパにも樹脂成分が浸透するように実施した。乾燥後、マイカペーパとガラスクロスの積層体を幅が30mmとなるように切断して、マイカ層と裏打ち層とを有するマイカテープを作製した。
得られたマイカテープの平均厚さを、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ、「MDC−SB」)を用いて10点の厚さを測定し、その算術平均値として求めた。結果を表1に示す。
(4) マイカテープの積層硬化物の作製
上記のマイカテープを25層に重ねて、含浸ワニスに浸漬し、真空含浸法により含浸ワニスをマイカテープに浸透させた。その後、130℃で2時間、次いで190℃で2時間のヒートプレスを行って樹脂成分を硬化させ、積層硬化物を作製した。このとき、窒化ホウ素の流出の有無を目視で確認したところ、視認可能な流出は生じなかった。
含浸ワニスとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社、「エピコート828」)と硬化剤(日立化成株式会社、「HN−5500」、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)とを質量基準で1:1で混合したものを用いた。
作製した積層硬化物について、熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社、「HC−110」)を用いて、熱伝導率 (W/(m・K))を測定した。結果を表1に示す。
(5)マイカテープ中の窒化ホウ素量の測定
マイカテープに対して電気炉で600℃、2時間の加熱を行い、加熱前後の質量から減少分としての樹脂成分の質量と、残存分としての無機成分(窒化ホウ素、マイカ及びガラスクロス)の質量とを算出した。さらに、マイカテープの作製に使用したマイカとガラスクロスの質量を残存分の質量から差し引いて窒化ホウ素の量を算出した。結果を表1に示す。
<実施例2>
(1)マイカペーパの作製
未焼成硬質マイカを水中に分散してマイカ粒子とし、抄紙機にて抄造して、マイカ量が180g/mのマイカペーパを作製した。
(2)窒化ホウ素含有ワニスの調製
樹脂成分としてエポキシノボラック樹脂(ダウ・ケミカル日本株式会社、商品名「D.E.N.438」(「D.E.N.」は、登録商標))36.7質量%と、硬化促進剤として三フッ化ホウ素モノエチルアミン(和光純薬工業株式会社)1.1質量%と、溶剤としてメチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社)31.1質量%とを混合した。その後、粒度分布ピークが2μm〜3μmの範囲と7μm〜9μmの範囲にそれぞれ存在する窒化ホウ素(電気化学工業株式会社)を31.1質量%加え、さらに混合して窒化ホウ素含有ワニスを調製した。窒化ホウ素の粒度分布はD10=1.1μm、D50=5.2μm、D90=14.5μmであった。
(3)マイカテープの作製
マイカペーパの上にガラスクロス(株式会社双洋、「WEA 03G 103」、織目の隙間の合計体積:24.4cm/m)を重ね、ガラスクロスの上に調製した窒化ホウ素含有ワニスをロールコーターを用いて塗布した。塗布は、ガラスクロスの下のマイカペーパにも樹脂成分が浸透するように実施した。乾燥後、マイカペーパとガラスクロスの積層体を幅が30mmとなるように切断して、マイカ層と裏打ち層とを有するマイカテープを作製した。
得られたマイカテープについて、実施例1と同様にして平均厚さを測定した。結果を表1に示す。
(4)マイカテープの積層硬化物の作製
作製したマイカテープを16層に重ね、170℃で1時間のヒートプレスを行って樹脂成分を硬化させ、積層硬化物を作製した。このとき、窒化ホウ素の流出の有無を目視で確認したところ、視認可能な流出は生じなかった。
得られた積層硬化物について、実施例1と同様にして熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
<比較例1>
窒化ホウ素含有ワニスの調製に用いた窒化ホウ素として、粒度分布ピークが6μmにのみ存在する窒化ホウ素(電気化学工業株式会社)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、マイカテープと積層硬化物を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、真空含浸を行っているときの含浸ワニス中への窒化ホウ素の流出の有無を目視で確認したところ、含浸ワニスが白濁し、窒化ホウ素の流出が生じていた。
<比較例2>
窒化ホウ素含有ワニスの調製に用いた窒化ホウ素として、粒度分布ピークが6μmにのみ存在する窒化ホウ素(電気化学工業株式会社)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、マイカテープを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、マイカテープを作製した際に塗りムラや樹脂抜けが発生し、不均一なテープとなった。マイカテープの16層積層硬化物を作製した際に、窒化ホウ素の流出の有無を目視で確認したところ、プレスにより押し出されたワニスは白濁し、窒化ホウ素の流出が生じていた。
<比較例3>
窒化ホウ素含有ワニスの調製に用いた窒化ホウ素として、粒度分布ピークが2μmにのみ存在する窒化ホウ素(電気化学工業株式会社)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、マイカテープと積層硬化物を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、真空含浸を行っているときの含浸ワニス中への窒化ホウ素の流出の有無を目視で確認したところ、含浸ワニスが白濁し、窒化ホウ素の流出が生じていた。
<比較例4>
窒化ホウ素含有ワニスの調製に用いた窒化ホウ素として、粒度分布ピークが6μmにのみ存在する窒化ホウ素(電気化学工業株式会社)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、マイカテープを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、マイカテープを作製した際に塗りムラや樹脂抜けが発生し、不均一なテープとなった。マイカテープの16層積層硬化物を作製した際に、窒化ホウ素の流出の有無を目視で確認したところ、プレスにより押し出されたワニスは白濁し、窒化ホウ素の流出が生じていた。
表1に示すように、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、7μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークとを有する窒化ホウ素を用いた実施例1は、粒度分布ピークを6μmにのみ有する窒化ホウ素を用いた比較例1に比べて少ない窒化ホウ素量でも良好な熱伝導性が達成されていた。一方で、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークとを有する窒化ホウ素を用いた実施例2は、粒度分布ピークを6μmにのみ有する窒化ホウ素を用いた比較例2とほぼ同量の窒化ホウ素量で大幅に熱伝導率が向上した。
さらに、比較例1、2では窒化ホウ素がワニス中に流出しているのに対し、実施例1、2では流出がほとんどみられなかった。この理由としては、実施例1、2で作製した窒化ホウ素を含むワニスの塗布時の粘度が比較例1、2よりも低く、塗布ムラが生じにくいために裏打ち層中の窒化フィラーの分布のムラが抑えられ、かつ裏打ち層中に窒化フィラーが充分に取り込まれていることが考えられる。
以上より、本発明によればマイカテープからの無機フィラーの脱落を抑制しつつ、絶縁層を形成可能であることがわかった。その結果、無機フィラーの量を抑えつつ熱伝導性に優れる絶縁層を形成可能であることがわかった。
1 無機フィラー
2 裏打ち材
3 樹脂成分
4 マイカ
5 裏打ち層
6 マイカ層
7 第一の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素粒子
8 第二の粒度分布ピークに相当する窒化ホウ素粒子

Claims (12)

  1. コイル導体と、前記コイル導体の外周に配置された絶縁層と、を有し、前記絶縁層はマイカテープを含み、前記マイカテープは、マイカを含むマイカ層と、裏打ち材及び無機フィラーを含む裏打ち層と、を有し、前記無機フィラーは、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む、回転電機用コイル。
  2. 前記マイカテープにおいて、前記窒化ホウ素の第一の粒度分布ピークは2μm〜5μmの範囲に存在し、第二の粒度分布ピークは6μm〜10μmの範囲に存在する、請求項1に記載の回転電機用コイル。
  3. 前記マイカテープにおいて、前記無機フィラーの含有率が、前記マイカと前記裏打ち材を除く不揮発分の総体積の20体積%〜50体積%である、請求項1又は請求項2に記載の回転電機用コイル。
  4. 前記コイル導体の外周に前記マイカテープを巻きつける工程と、
    前記コイル導体の外周に巻きつけられた前記マイカテープを含む前記絶縁層を形成する工程と、を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の回転電機用コイルの製造方法。
  5. マイカを含むマイカ層と、裏打ち材及び無機フィラーを含む裏打ち層と、を有し、前記無機フィラーは、5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む、マイカテープ。
  6. 前記窒化ホウ素の第一の粒度分布ピークは2μm〜5μmの範囲に存在し、第二の粒度分布ピークは6μm〜10μmの範囲に存在する、請求項5に記載のマイカテープ。
  7. 前記無機フィラーの含有率が、前記マイカと前記裏打ち材を除く不揮発分の総体積の20体積%〜50体積%である、請求項5又は請求項6に記載のマイカテープ。
  8. 裏打ち材をマイカの上に配置して積層体を準備する工程と、
    5μm以下の範囲に存在する第一の粒度分布ピークと、6μm以上の範囲に存在する第二の粒度分布ピークと、を有する窒化ホウ素を含む無機フィラーと、樹脂成分と、を含む組成物を、前記積層体の前記裏打ち材側に付与する工程と、を含む、マイカテープの製造方法。
  9. 前記組成物中の前記無機フィラーの含有率は、前記組成物の不揮発分全体の20体積%〜50体積%である、請求項8に記載のマイカテープの製造方法。
  10. 前記組成物の付与時の粘度は500mPa・s〜3000mPa・sである、請求項8又は請求項9に記載のマイカテープの製造方法。
  11. 樹脂成分を含み、前記樹脂成分を硬化して得られる請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のマイカテープの硬化物。
  12. 被絶縁体と、前記被絶縁体の表面の少なくとも一部に配置される請求項11に記載のマイカテープの硬化物である絶縁層と、を有する絶縁物。
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