JPWO2017221438A1

JPWO2017221438A1 - 防錆保管容器

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Publication number: JPWO2017221438A1
Application number: JP2018523278A
Authority: JP
Inventors: 光隆内村; 健一赤嶺; 麻里福岡
Original assignee: IHI Corp
Current assignee: IHI Corp
Priority date: 2016-06-20
Filing date: 2016-11-17
Publication date: 2018-10-25
Anticipated expiration: 2036-11-17
Also published as: US20190161238A1; JP6566135B2; EP3473559A1; WO2017221438A1; EP3473559A4

Abstract

防錆保管容器（１）は、保管空間（Ｓ１）を画成する容器本体（２）と、容器本体（２）の通路（２０）または開口を封止するように設けられ、通路（２０）の断面積または開口の面積よりも大きいシート状かつ可撓性のバリア材（１０）と、を備える。バリア材（１０）の周縁部（１０ａ）は、通路（２０）の外周または開口の外周の全周にわたって固定されており、バリア材（１０）によって保管空間（Ｓ１）の気密性が保たれている。バリア材（１０）の中央部（１０ｂ）は、保管空間側の面であって保管空間における第１気圧を受ける第１面（１１）と、第１面（１１）とは反対側の面であって外部空間（Ｓ２）における第２気圧を受ける第２面（１２）と、を含む。

Description

本開示は、防錆保管容器に関する。

金属材料または金属製品等の腐食（錆の発生）を抑制することができる保管容器が知られている（たとえば、特許文献１，２）。特許文献１に記載の容器は、対向する下容器と上容器とを備え、これらの間に、空間であるポケットが形成されている。ポケットには、保管される金属材料である金型と、脱酸素剤とが収容される。上容器には、気体の吸排気口が設けられており、この吸排気口に、圧力調整弁が設けられている。特許文献２に記載の構造物は、パレットタイプの保管用構造物であり、フレーム体と、フレーム体を覆う幌（カバー）とを備えている。フレーム体の内部の中央には、ガス組成調整機構が取り付けられている。ガス組成調整機構は、空気中から水分を分離する特性を有するガス分離膜を備えており、フレーム体の内部の湿度雰囲気を調整する。

特開平６−８９８１号公報特開平８−２１１１２号公報

上記した従来の保管容器では、構成が複雑化する傾向にある。一方で、従来、金属材料等に防錆油を塗布し、プラスチックシートで金属材料を包むという保管方法もある。しかし、この方法では、防錆油の塗布作業に手間を要し、また金属材料の使用時には防錆油を落とすことが必要になる。防錆油には、一定の有効期間があり、その期間を過ぎると再度の塗布が必要になる。このように、防錆処理が必要であるため、メンテナンス性が良いとは言えない。

本開示は、簡易化された構成を有し、かつ、メンテナンス性の向上が図られた防錆保管容器を説明する。

本開示の一態様に係る防錆保管容器は、保管空間を画成すると共に、保管空間と外部空間との間に通路または開口が設けられた容器本体と、通路または開口を封止するように設けられ、通路の断面積または開口の面積よりも大きいシート状かつ可撓性のバリア材と、を備え、バリア材の周縁部は、通路の外周または開口の外周の全周にわたって固定されており、バリア材によって保管空間の気密性が保たれており、バリア材の中央部は、保管空間側の面であって保管空間における第１気圧を受ける第１面と、第１面とは反対側の面であって外部空間における第２気圧を受ける第２面と、を含む。

本開示の一態様によれば、簡易化された構成を有し、かつ、メンテナンス性の向上が図られた防錆保管容器が提供される。

図１は、本開示の第１実施形態に係る防錆保管容器を示す斜視図である。図２は、図１の防錆保管容器の分解斜視図である。図３における（ａ）は図１の防錆保管容器の断面図であり、図３における（ｂ）は（ａ）の一部拡大図である。図４は、気温が低い時のバリア材の状態を示す防錆保管容器の断面図である。図５は、気温が高い時のバリア材の状態を示す防錆保管容器の断面図である。図６は、本開示の第２実施形態に係る防錆保管容器を示す分解斜視図である。図７における（ａ）は図６の防錆保管容器の断面図であり、図７における（ｂ）は（ａ）の一部拡大図である。図８は、図７における（ａ）中のボックスの斜視図である。図９は、気温が低い時のバリア材の状態を示す防錆保管容器の断面図である。図１０は、気温が高い時のバリア材の状態を示す防錆保管容器の断面図である。図１１は、本開示の第３実施形態に係る防錆保管容器を示す断面図である。

この防錆保管容器によれば、容器本体の保管空間に、金属材料や金属製品等の保管対象物が保管される。容器本体に設けられた通路または開口は、バリア材によって封止されている。シート状のバリア材は、可撓性を有し、通路の断面積または開口の面積よりも大きいため、中央部は通路内または開口内で変形可能である。すなわち、第１気圧と第２気圧との圧力差に応じて、バリア材の中央部は変形する。中央部とは、固定された周縁部を除いた領域である。バリア材の変形により、当該圧力差が緩和される。圧力差の緩和により、たとえば外部空間に存在する水分を含んだ空気が内部の保管空間に流入しないようにできる。この防錆保管容器は、水分の浸入を抑制することにより、金属材料等に防錆油を塗布する等の防錆処理を不要とする。よって、メンテナンス性が向上する。しかも、容器本体の通路または開口にバリア材を設けて気密性を保てばよいので、防錆保管容器の構成が簡易化されている。なお、防錆保管容器は、保管用のみならず、金属材料や金属製品等の移送用としても効果を発揮し得る。

いくつかの態様において、容器本体は、外部空間に面する土台と、土台上に設けられて、保管空間を画成する蓋体と、土台上かつ蓋体内に設けられて、保管空間に面する載置台と、土台と載置台との間に設けられた枠体と、を含み、容器本体の通路は、土台に設けられた貫通孔と、枠体の内側空間と、載置台に設けられた貫通孔とが連通することによって形成されており、バリア材の周縁部は枠体によって保持されており、バリア材の中央部は枠体の内側空間に配置されている。

この態様によれば、土台上に、枠体と載置台とが設けられ、載置台上に金属材料や金属製品等の保管対象物が置かれる。土台、枠体、および載置台に内外を連通する通路が設けられ、枠体の内側空間で、バリア材の中央部が変形し得る。金属材料等を使用する際には、蓋体を開けて、その金属材料を取り出すだけでよい。よって、取出しが容易化されている。また、たとえば、蓋体の上面が平らな構成であれば、防錆保管容器を２段以上に積むこともでき、省スペースに貢献する。

いくつかの態様において、容器本体は、外部空間に面すると共に保管空間に面する土台と、土台上に設けられて、保管空間を画成する蓋体と、を含み、容器本体の通路または開口は、蓋体の少なくとも１つの側面に設けられており、バリア材の周縁部は蓋体の少なくとも１つの側面に固定されており、バリア材の中央部は蓋体内の保管空間に向けて膨出している。

この態様によれば、蓋体の少なくとも１つの側面に、通路または開口が設けられる。保管空間に向けて膨出するバリア材の中央部は、保管空間内で変形し得る。金属材料等を使用する際には、蓋体を開けて、その金属材料を取り出すだけでよい。よって、取出しが容易化されている。バリア材は横方向に膨出および収縮するため、重力の影響を受けにくくなっており、上記した圧力差の緩和が行われやすい。保管空間内にバリア材が配置されるため、バリア材を大きくすることができ、変形量を増大させ得る。したがって、緩和し得る圧力差の範囲が増大する。袋状のバリア材を採用することもできる。また、たとえば、蓋体の上面が平らな構成であれば、防錆保管容器を２段以上に積むこともでき、省スペースに貢献する。

いくつかの態様において、蓋体の少なくとも１つの側面には開口が設けられており、開口の外周には、外周の下辺部から保管空間に向けて突出するプレートが固定されている。

この態様によれば、プレートは、保管空間に向けて膨出するバリア材の中央部を支持することができる。プレートが金属材料等とバリア材との間に配置される場合には、プレートは、バリア材が金属材料等に接触することを防止する。蓋体の側面に通路または開口が設けられる場合において、プレートは、バリア材の適切な変形に寄与する。

いくつかの態様において、容器本体は、外部空間に面すると共に保管空間に面する土台と、土台上に設けられて、保管空間を画成する蓋体と、を含み、蓋体の少なくとも１つの側面には、当該側面から容器本体の内面側に張り出すと共に開口を形成する開口部フレームが設けられており、バリア材は開口部フレームの内面側に設置されてもよい。

いくつかの態様において、少なくとも１つの側面であって開口部フレームの外面側には、網板が設置されてもよい。

いくつかの態様において、容器本体は、保管空間に配置された保管対象物を固定するための固定具を含んでもよい。

以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。

まず、図１〜図３を参照して、第１実施形態の防錆保管容器１について説明する。図１および図２に示されるように、防錆保管容器１は、保管対象物である治工具Ａを保管または輸送するための収納容器である。防錆保管容器１は、金属材料や金属製品などを長期間（たとえば、半年〜数年間）保管する場合に、これらの腐食を抑制する。図２に示される治工具Ａは、一例に過ぎない。防錆保管容器１によって保管または輸送され得る物品は、あらゆる材質や形状を有してもよい。防錆保管容器１の大きさは特に限定されず、保管される物品の大きさに応じて、適宜大きさが変更され得る。すなわち、以下に説明する構成を満たす限り、防錆保管容器１としての防錆機能が発揮され得る。防錆保管容器１によれば、治工具Ａ等に防錆処理（すなわち防錆油の塗布、プラスチックシートによる包装、梱包等）を施す必要がない。防錆保管容器１は、屋内に置かれてもよいが、屋外に置かれてもよい。治工具Ａは、たとえば、機械部品の製造に用いられる治具である。治工具Ａに代えて、機械、機械部品、素材などが収納されてもよい。

防錆保管容器１は、治工具Ａを収納するための容器本体２を備える。容器本体２は、矩形の保管箱である。容器本体２は、内部に保管空間Ｓ１（図３の（ａ）参照）を画成している。防錆保管容器１は、防錆保管容器１の底部を構成する土台４と、土台４上に設けられた矩形の蓋体３とを含む。

土台４としては、たとえばパレット等が用いられる。土台４は、所定の厚みを有する直方体状であり、上面をなす第１板部４ａと、下面をなす第２板部４ｂと、これらの第１板部４ａおよび第２板部４ｂを連結する複数の柱部４ｃとを含む。第１板部４ａおよび第２板部４ｂは、たとえば水平に延びており、互いに平行である。土台４の第２板部４ｂは、外部空間Ｓ２に面している。土台４には、上下方向に貫通する貫通孔４ｄが１つまたは複数設けられている（図では１つの中央の貫通孔４ｄのみが図示されている）。貫通孔４ｄは、容器本体２の内外を連通する。土台４は、たとえば樹脂製であってもよく、アルミ等の金属製であってもよい。

蓋体３は、耐候性に優れた材質からなる不透明な箱である。言い換えれば、蓋体３は、屋外に１０年以上放置された場合でも、簡単なタッチアップ程度のメンテナンスで維持可能である。蓋体３は、直方体の６面のうち底面のみが開放された形状をなしている。蓋体３は、１つの上面部３ａと、４つの側面部３ｂとを含む。上面部３ａは、４つの側面部３ｂの上端を連結する。蓋体３は、保管空間Ｓ１を画成している。４つの側面部３ｂの下端には、水平方向に突出するフランジ部３ｃが設けられている。フランジ部３ｃは、蓋体３の下端部の全周にわたって、環状に設けられている。蓋体３は、たとえばアルミ等の金属製であってもよい。

図３の（ａ）および（ｂ）に示されるように、蓋体３のフランジ部３ｃと土台４の第１板部４ａの周縁部との間には、環状のシール用部材６が設けられている。シール用部材６の表面６ａとフランジ部３ｃとは、密着しており、これによって容器本体２内の気密性が保たれている。図３の（ｂ）に示されるように、シール用部材６には、表面６ａから窪む溝６ｂが設けられてもよい。溝６ｂは、環状であってもよい。溝６ｂには、紐状のシール材１６が設けられてもよい。シール材１６は、たとえばシリコーン製であってもよい。シール材１６は、ゼリー状の粘着性ゲルであってもよい。なお、シール用部材６およびシール材１６に代えて、フランジ部３ｃと土台４との間に、１本の紐状のシール材が設けられてもよい。

蓋体３は、その自重によって土台４上に乗っているのみであり、フランジ部３ｃにボルトやナットなどは設けられていない。防錆保管容器１では、蓋体３の開閉が非常に容易になっている。なお、蓋体３は、ボルトやナット等の締結手段を用いて、土台４に固定されてもよい。

なお、蓋体３は、２段積みが可能になっている。防錆保管容器１は、治工具Ａを収めた他の防錆保管容器１の荷重に耐え得る強度を有する。すなわち、蓋体３は、そのような荷重に耐え得る強度を有する。防錆保管容器１が複数に段積みされることにより、スペースの有効活用が可能である。

容器本体２は、土台４上に設けられた枠体７と、枠体７上に設けられたパレット（載置台）８と、を含む。すなわち、枠体７およびパレット８は、土台４上に積み重ねられるように設けられており、かつ、蓋体３内に配置されている。枠体７は、土台４とパレット８との間に設けられている。

パレット８は、たとえば、土台４と同様の形状をなしているが、土台４よりも僅かに小さい。すなわち、パレット８の外形は、蓋体３の内周面の大きさよりも小さい。パレット８は、所定の厚みを有する扁平な直方体状であり、上面をなす第１板部８ａと、下面をなす第２板部８ｂと、これらの第１板部８ａおよび第２板部８ｂを連結する複数の柱部８ｃとを含む。第１板部８ａおよび第２板部８ｂは、たとえば水平に延びており、互いに平行である。第１板部８ａ上には、治工具Ａが載置される。パレット８の第１板部８ａは、保管空間Ｓ１に面している。パレット８には、上下方向に貫通する貫通孔８ｄが１つまたは複数設けられている（図では１つの中央の貫通孔８ｄのみが図示されている）。パレット８は、たとえば樹脂製であってもよく、アルミ等の金属製であってもよい。

枠体７は、パレット８側の第１枠体７Ａと、土台４側の第２枠体７Ｂとを含む。第１枠体７Ａと第２枠体７Ｂとは、たとえば矩形の環状をなしており、その各辺は中空の角形材料からなる。第１枠体７Ａおよび第２枠体７Ｂは、同じ大きさおよび同じ材質を有する同一の部材である。第１枠体７Ａおよび第２枠体７Ｂは、上下方向に積み重ねられており、内側空間７Ｃの空間を画成している。内側空間７Ｃは、第１枠体７Ａおよび第２枠体７Ｂの厚みに相当する所定の高さを有している。枠体７の外形は、たとえば、パレット８の外形と略等しくてもよく、パレット８の外形より小さくてもよい。枠体７は、たとえば樹脂製であってもよく、アルミ等の金属製であってもよい。

土台４、枠体７、およびパレット８は、互いに密着している。これらの間には、適宜シール材が設けられてもよいが、シール材が設けられなくてもよい。上記した土台４の１つまたは複数の貫通孔４ｄと、枠体７の内側空間７Ｃと、パレット８の１つまたは複数の貫通孔８ｄとは、上下に隣接している。これらの貫通孔４ｄ、内側空間７Ｃ、および貫通孔８ｄが隣接することにより、容器本体２の通路２０が形成されている。通路２０は、保管空間Ｓ１と外部空間Ｓ２との間に設けられており、バリア材１０が介在する状態で、保管空間Ｓ１と外部空間Ｓ２とを接続している。

枠体７およびパレット８と、蓋体３の側面部３ｂとの間には、隙間が設けられてもよい。なお、枠体７およびパレット８の少なくともいずれか一方は、蓋体３の側面部３ｂに接していてもよい。また、保管空間Ｓ１内には、多少の乾燥剤を設置してもよい。乾燥剤は、容器本体２（もしくは保管空間Ｓ１）内に当初から存在する水分の除去に有効である。乾燥剤の投入量は、防錆保管容器１が保管される地域の気温や気候、保管される季節などに応じて変更し得る。

図２および図３の（ａ）に示されるように、防錆保管容器１は、通路２０を封止するように設けられたバリア材１０を備えている。より詳細には、バリア材１０は、矩形に広がる薄いシート状の樹脂材料であり、可撓性を有する。バリア材１０としては、たとえば、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）や、ＯＰＰ（二軸延伸ポリプロピレン）を含む材料からなる。バリア材１０は、ＰＥＴフィルムにポリエチレンフィルム等が積層された積層体であってもよい。バリア材１０は、ＯＰＰフィルムに樹脂コーティング（ＰＶＤＣ；ポリフッ化ビニリデン等）がなされたコーティング体であってもよい。

バリア材１０は、極小さい透湿度を有することが好ましい。バリア材１０の透湿度は、たとえば１０（ｇ／（ｍ^２・ｄ））以下であってもよい。バリア材１０の透湿度は、５（ｇ／（ｍ^２・ｄ））以下であってもよく、３（ｇ／（ｍ^２・ｄ））以下であってもよい。バリア材１０の透湿度は、１（ｇ／（ｍ^２・ｄ））以下であることが望ましく、０（ｇ／（ｍ^２・ｄ））であることがもっとも望ましい。中央部１０ｂの厚みは特に限定されるものではないが、たとえば、１０μｍ〜３０μｍ程度であってもよい。

バリア材１０の周縁部１０ａは、枠体７によって保持されている。より詳しくは、バリア材１０の環状の周縁部１０ａは、第１枠体７Ａと第２枠体７Ｂとによって挟まれている。周縁部１０ａと第１枠体７Ａおよび第２枠体７Ｂとの間には、接着剤などの固定手段が設けられてもよいし、固定手段が設けられなくてもよい。周縁部１０ａと第１枠体７Ａおよび第２枠体７Ｂとの間の摩擦抵抗により、バリア材１０が保持されてもよい。このようにして、バリア材１０の周縁部１０ａは、内側空間７Ｃ（通路２０）の外周の全周にわたって固定されている。言い換えれば、第１枠体７Ａと第２枠体７Ｂとによって、封止固定部１３が構成されている。これにより、バリア材１０は、枠体７にしっかりと保持されており、枠体７に対してずれたり、脱落したりすることがない。

バリア材１０の周縁部１０ａを除いた中央部１０ｂは、通路２０の断面、すなわちこの場合、内側空間７Ｃの水平方向の断面よりも大きい。この中央部１０ｂは、枠体７の内側空間７Ｃに配置されており、一定の弛みをもっている。これにより、中央部１０ｂは、内側空間７Ｃにおいて上下方向に動き得る（すなわち変形し得る）。中央部１０ｂは、保管空間Ｓ１側（すなわちパレット８側）の面である第１面１１と、第１面１１とは反対側（すなわち土台４側）の面である第２面１２とを含む。第１面１１は、貫通孔８ｄを介して、保管空間Ｓ１における第１気圧を受け得る。第２面１２は、貫通孔４ｄを介して、外部空間Ｓ２における第２気圧を受け得る。

防錆保管容器１のバリア材１０は、内部圧力である第１気圧と、外部圧力である第２気圧とを均衡させる。防錆保管容器１の周囲環境（とりわけ気温）は、１日のうちの時間帯（昼夜）または季節によって変動し得る。気温の変動に伴い、保管空間Ｓ１の圧力は約１５％程度変化し得る。バリア材１０は、内外の圧力を均衡させる、すなわち圧力差を緩和することにより、空気（特に水分を含んだ空気）が蓋体３の内部に吸い込まれないようにする。言い換えれば、外部空間Ｓ２と保管空間Ｓ１との間に通路２０に設けられた、枠体７、バリア材１０、および封止固定部１３によって、圧力均衡装置が構成されている。

以下、図４および図５を参照して、より具体的に説明する。図４は、気温が低い時（すなわち夜間や冬場等）のバリア材１０の状態を示す防錆保管容器１の断面図である。図４に示されるように、気温が低いと、内部の第１気圧は外部の第２気圧よりも小さくなるため、圧力差が生じる。この圧力差に応じて、バリア材１０は、内側空間７Ｃ内でパレット８側に膨らむ。すなわち、バリア材１０は、第１面１１が曲面の外面側となるように膨らむ。このバリア材１０の変形により、圧力差が緩和され、外部の水分を含んだ空気は、蓋体３内に入り込まない。

図５は、気温が高い時（すなわち昼間や夏場等）のバリア材１０の状態を示す防錆保管容器１の断面図である。図５に示されるように、気温が高いと、内部の第１気圧は外部の第２気圧よりも大きくなるため、圧力差が生じる。この圧力差に応じて、バリア材１０は、内側空間７Ｃ内で土台４側に膨らむ。すなわち、バリア材１０は、第２面１２が曲面の外面側となるように膨らむ。このバリア材１０の変形により、圧力差が緩和される。

第１実施形態の防錆保管容器１によれば、容器本体２の保管空間Ｓ１に治工具Ａが保管される。容器本体２に設けられた通路２０は、バリア材１０によって封止されている。シート状のバリア材１０は、可撓性を有し、通路２０の断面積よりも大きいため、中央部１０ｂは通路２０内で変形可能である。すなわち、第１気圧と第２気圧との圧力差に応じて、バリア材１０の中央部１０ｂは変形する。バリア材１０の変形により、当該圧力差が緩和される。圧力差の緩和により、たとえば外部空間Ｓ２に存在する水分を含んだ空気が内部の保管空間Ｓ１に流入しないようにできる。すなわち、いわゆる呼吸現象が緩和される。この防錆保管容器１は、水分の浸入を抑制する（さらには遮断する）ことにより、金属材料等に防錆油を塗布する等の防錆処理を不要とする。よって、メンテナンス性が向上する。しかも、容器本体２の通路２０にバリア材１０を設けて気密性を保てばよいので、防錆保管容器１の構成が簡易化されている。この防錆保管容器１は、保管用のみならず、金属材料や金属製品等の移送用としても効果を発揮し得る。

防錆保管容器１は、特に、発錆を嫌う金属部品の保管や輸送用に適する。防錆保管容器１によれば、たとえば１年程度は、メンテナンスフリーが実現され得る。しかも、防錆保管容器１を屋外に保管してもよい。

土台４上に、枠体７とパレット８とが設けられ、パレット８上に治工具Ａが置かれる。土台４、枠体７、およびパレット８に内外を接続する通路２０が設けられ、枠体７の内側空間７Ｃで、バリア材１０の中央部１０ｂが変形する。治工具Ａを再び使用する際には、蓋体３を開けて、その治工具Ａを取り出せばよい。よって、治工具Ａの取出しが容易化されている。また、たとえば、蓋体３の上面部３ａが平らであることにより、防錆保管容器１は、２段以上に積むこともでき、省スペースに貢献する。

なお、実際に、防錆保管容器１と同様の構成を有する試験装置を製作し、温度および湿度を繰り返し変化させる加速試験を実施した（３２サイクル、１ヶ月間に相当）。試験の結果、試験装置の内部の湿度は４０％未満に維持された。湿度４０％は、錆の発生限界であると言われる。防錆保管容器１と同様の構成を有する試験装置によれば、十分な防錆機能が発揮されることが確認された。

続いて、図６および図７を参照して、第２実施形態の防錆保管容器１Ａについて説明する。防錆保管容器１Ａが防錆保管容器１と違う点は、通路２０を備えた容器本体２に代えて、側面部３ｂに開口３ｅが形成された容器本体２Ａを備える点である。防錆保管容器１Ａでは、１つまたは複数の開口３ｅが、蓋体３Ａの少なくとも１つの側面部３ｂに設けられている。開口３ｅが設けられる箇所には、必ずバリア材１０Ａが設けられる。バリア材１０Ａは、たとえば袋状である。すなわち、バリア材１０Ａは、シート状の樹脂材料が袋状に成形されてなる。バリア材１０Ａの中央部１０ｂは、容器本体２Ａ内に配置されており、一定の弛みをもっている。なお、土台４は貫通孔４ｄを有するが、蓋体３Ａと土台４との間には平板部材１８が設けられており、平板部材１８によって、貫通孔４ｄの上端の開口は閉鎖されている。したがって、土台４には、内外の空間を接続する通路は形成されていない。

蓋体３Ａは、その自重によって土台４上に乗っているのみであり、フランジ部３ｃにボルトやナットなどは設けられていない。防錆保管容器１Ａでは、蓋体３の開閉が非常に容易になっている。なお、蓋体３Ａは、ボルトやナット等の締結手段を用いて、土台４に固定されてもよい。

なお、蓋体３Ａは、２段積みが可能になっている。防錆保管容器１Ａは、治工具Ａを収めた他の防錆保管容器１Ａの荷重に耐え得る強度を有する。すなわち、蓋体３Ａは、そのような荷重に耐え得る強度を有する。防錆保管容器１Ａが複数に段積みされることにより、スペースの有効活用が可能である。

バリア材１０Ａの周縁部１０ａすなわち開口端部は、図７の（ａ）および（ｂ）に示されるように、開口３ｅの外周の全周にわたって、側面部３ｂに固定されている。側面部３ｂの内面に取り付けられた内枠材４１と、側面部３ｂの外表面に取り付けられた押さえ用の外枠材４２と、複数のねじ４３とによって、バリア材１０Ａの周縁部１０ａが固定されている。外枠材４２と側面部３ｂとの間には、環状かつゴム製のシール材４４が設けられてもよい。これらの内枠材４１、外枠材４２、ねじ４３、およびシール材４４によって、封止固定部４０が構成されている。

さらに、開口３ｅには、ボックス３０（図８も参照）が取り付けられている。ボックス３０は、上板部３１と、上板部３１に対向する底板部（プレート）３３と、上板部３１と底板部３３とを上下方向に連結する一対の側板部３２とを含む。上板部３１、側板部３２、および底板部３３の基端側（外部空間Ｓ２側）には、これらの板部に対して直角に延びるフランジ部３４が設けられている。上板部３１、側板部３２、および底板部３３からなる角管は、開口３ｅに対応する大きさを有している。環状のフランジ部３４は、開口３ｅの外周に固定されている。ボックス３０は、たとえば樹脂製であってもよく、アルミ等の金属製であってもよい。

底板部３３は、上板部３１および側板部３２よりも長く延びている。言い換えれば、底板部３３は、上板部３１および側板部３２よりも、保管空間Ｓ１に突出している。底板部３３は、水平に延在する。ボックス３０は、蓋体３Ａの内部であって、保管空間Ｓ１とバリア材１０Ａとの間に存在している。バリア材１０Ａの中央部１０ｂは、上板部３１および側板部３２よりも保管空間Ｓ１側に突出し得る大きさ（面積）を有する。ボックス３０の中空部を通って、バリア材１０Ａが保管空間Ｓ１に向けて膨出している。言い換えれば、防錆保管容器１Ａでは、バリア材１０Ａの中央部１０ｂの第１面１１は、保管空間Ｓ１に晒されており、保管空間Ｓ１を画成している。また、開口３ｅにおいて、バリア材１０Ａの第２面１２側には何も設けられていない。よって、中央部１０ｂの第２面１２は、外部空間Ｓ２側の雰囲気に晒されている。

なお、開口３ｅには、保護カバー２５が設けられ得る。保護カバー２５は、開口３ｅを覆うが、開口３ｅを密閉しない。保護カバー２５と側面部３ｂとの間には間隙が存在し、外気はバリア材１０Ａの第２面１２に容易に進入し得る。すなわち、第２面１２は、第２気圧を受けている。保護カバー２５は、側面部３ｂに引っ掛けられてもよいが、蝶番を介して、側面部３ｂに取り付けられてもよい。保護カバー２５に代えて、金網やパンチングメタル等の網板が用いられてもよい。この場合、金網やパンチングメタル等は、開口３ｅに固定され得る。

防錆保管容器１Ａでは、外部空間Ｓ２と保管空間Ｓ１との間の開口３ｅに設けられた、バリア材１０および封止固定部４０によって、圧力均衡装置が構成されている。

防錆保管容器１Ａによっても、防錆保管容器１と同様の作用・効果が奏される。すなわち、図９に示されるように、気温が低いと、内部の第１気圧は外部の第２気圧よりも小さくなるため、圧力差が生じる。この圧力差に応じて、バリア材１０Ａは、保管空間Ｓ１側に膨らむ。すなわち、バリア材１０Ａは、第１面１１が曲面の外面側となるように膨らむ。このバリア材１０Ａの変形により、圧力差が緩和され、外部の水分を含んだ空気は、蓋体３Ａ内に入り込まない。図１０に示されるように、気温が高いと、内部の第１気圧は外部の第２気圧よりも大きくなるため、圧力差が生じる。この圧力差に応じて、バリア材１０Ａは、蓋体３Ａ内で開口３ｅ側に膨らむ。すなわち、バリア材１０Ａは、第２面１２が曲面の外面側となるように膨らむ。このバリア材１０Ａの変形により、圧力差が緩和される。

防錆保管容器１Ａは、水分の浸入を抑制する（さらには遮断する）ことにより、金属材料等に防錆油を塗布する等の防錆処理を不要とする。よって、メンテナンス性が向上する。しかも、容器本体２Ａの開口３ｅにバリア材１０Ａを設けて気密性を保てばよいので、防錆保管容器１Ａの構成が簡易化されている。この防錆保管容器１Ａは、保管用のみならず、金属材料や金属製品等の移送用としても効果を発揮し得る。

蓋体３Ａの少なくとも１つの側面部３ｂに、開口３ｅが設けられる。保管空間Ｓ１に向けて膨出するバリア材１０Ａの中央部１０ｂは、保管空間Ｓ１内で変形し得る。治工具Ａを再び使用する際には、蓋体３Ａを開けて、治工具Ａを取り出すだけでよい。よって、治工具Ａの取出しが容易化されている。バリア材１０Ａは横方向に膨出および収縮するため、重力の影響を受けにくくなっており、上記した圧力差の緩和が行われやすい。保管空間Ｓ１内にバリア材１０Ａが配置されるため、バリア材１０Ａを大きくすることができ、変形量を増大させ得る。したがって、緩和し得る圧力差の範囲が増大する。袋状のバリア材１０Ａを採用することができる。また、たとえば、蓋体３Ａの上面部３ａが平らであることにより、防錆保管容器１Ａは、２段以上に積むこともでき、省スペースに貢献する。

底板部３３は、保管空間Ｓ１に向けて膨出するバリア材１０Ａの中央部１０ｂを支持することができる。底板部３３が治工具Ａとバリア材１０Ａとの間に配置される場合には、開口３ｅが設けられる場合において、底板部３３は、バリア材１０Ａの適切な変形に寄与する。

図１１を参照して、第３実施形態の防錆保管容器１Ｂについて説明する。防錆保管容器１Ｂが防錆保管容器１Ａと違う点は、容器本体２Ｂの内面側（保管空間Ｓ１側）に所定の厚さＬだけ張り出した開口部フレーム５０が設けられた点である。開口部フレーム５０は、たとえば、蓋体３Ｂの側面の開口部に設けられた矩形の枠体である。バリア材１０Ｂは、開口部フレーム５０の内面側に設置される。これにより、バリア材１０Ｂの設置面は、防錆保管容器１Ａに比して、容器本体２Ｂの内方にずらされている。バリア材１０Ｂは、容器本体２Ｂ内に配置されており、一定の弛みをもっている。図１１に示されるように、開口部フレーム５０は、厚さＬを有することにより、バリア材１０Ｂの膨れ代を確保している。この場合、膨れ代は、開口部フレーム５０の厚さＬに相当する。「膨れ代」は、バリア材１０Ｂが膨れることができる空間的な余裕を意味する。

開口部フレーム５０は、容器本体２Ｂの強度部材として機能してもよい。開口部の面積や個数、開口部フレーム５０の厚さＬ（上記の膨れ代に相当）、バリア材１０Ｂの大きさ等は、防錆保管容器１Ｂが用いられる地域の気候と、防錆保管容器１Ｂの強度とを勘案して決められ得る。なお、バリア材１０Ｂは、上記第２実施形態とほぼ同じ構造によって固定され得る。より詳しくは、第２実施形態の側面部３ｂが開口部フレーム５０になり、上板部３１が省かれた状態で、バリア材１０Ｂは固定される。

容器本体２Ｂの開口部には、金網やパンチングメタル等の網板５１が固定され得る。網板５１は、開口部フレーム５０の外面側（外部空間Ｓ２側）に設置される。網板５１は、防錆保管容器１Ｂの気密性を損なわない手段で設置される。網板５１は、バリア材１０Ｂを保護する。なお、第２実施形態におけるボックス３０を用いて、バリア材１０Ｂを保護してもよい。

容器本体２Ｂは、治工具Ａを固定するための固定具６０を含んでもよい。固定具６０は、たとえば、金属製または布製のベルトを含んでもよい。固定具６０は、金属フレームであってもよい。固定具６０は、容器本体２Ｂの一部である。固定具６０は、たとえば土台４の平板部材１８に取り付けられた金具と、金具に連結された保持部材とを含む。固定具６０がベルトを含む場合、そのベルトが、保持部材に相当する。固定具６０の大きさは、保管対象物である治工具Ａの大きさに応じて調整可能になっている。たとえば、固定具６０がベルトを含む場合、そのベルトの長さが調整可能になっている。固定具６０は、土台４に取り付けられてもよいが、蓋体３Ｂに取り付けられてもよい。固定具６０によれば、治工具Ａが固定されているので、振動や傾斜に伴う治工具Ａの破損などを防止することができる。固定具６０は、治工具Ａを治工具Ａの確実な運搬・輸送を可能とする。固定具６０は、防錆保管容器１Ｂの全体を輸送する場合に優位性をもたらす。

上記の防錆保管容器１Ｂによっても、防錆保管容器１，１Ａと同様の作用・効果が奏される。

以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。第１実施形態の防錆保管容器１において、通路２０に代えて、容器本体２（蓋体３等）に開口が形成されてもよい。その場合、バリア材１０の周縁部１０ａは、開口の外周の全周にわたって固定される。第２実施形態の防錆保管容器１Ａにおいて、開口３ｅに代えて、容器本体２Ａ（蓋体３Ａの側面部３ｂ等）に通路が形成されてもよい。その場合、バリア材１０Ａの周縁部１０ａは、通路の外周の全周にわたって固定される。容器本体の構成は、対象とする金属材料などに応じて、適宜、異なる構成を採用してもよい。防錆保管容器が保管される場所、地域、気候などに応じて、防錆保管容器の各部の構成を変更可能である。固定具６０は、第１実施形態または第２実施形態の防錆保管容器に設けられてもよい。固定具６０は、容器本体２，２Ａの一部である。固定具６０は、容器本体２のパレット（載置台）８に取り付けられてもよい。

本開示のいくつかの態様によれば、簡易化された構成を有し、かつ、メンテナンス性の向上が図られた防錆保管容器が提供される。

１防錆保管容器
１Ａ防錆保管容器
１Ｂ防錆保管容器
２容器本体
２Ａ容器本体
２Ｂ容器本体
３蓋体
３Ａ蓋体
３Ｂ蓋体
３ｅ開口
４土台
４ｄ貫通孔
７枠体
７Ａ第１枠体
７Ｂ第２枠体
７Ｃ内側空間
８パレット（載置台）
１０バリア材
１０Ａバリア材
１０Ｂバリア材
１０ａ周縁部
１０ｂ中央部
１１第１面
１２第２面
１３封止固定部
２０通路
２５保護カバー
３０ボックス
３３底板部（プレート）
３４フランジ部
４０封止固定部
５０開口部フレーム
５１網板
６０固定具
Ａ治工具
Ｓ１保管空間
Ｓ２外部空間

Claims

保管空間を画成すると共に、前記保管空間と外部空間との間に通路または開口が設けられた容器本体と、
前記通路または前記開口を封止するように設けられ、前記通路の断面積または前記開口の面積よりも大きいシート状かつ可撓性のバリア材と、を備え、
前記バリア材の周縁部は、前記通路の外周または前記開口の外周の全周にわたって固定されており、前記バリア材によって前記保管空間の気密性が保たれており、
前記バリア材の中央部は、前記保管空間側の面であって前記保管空間における第１気圧を受ける第１面と、前記第１面とは反対側の面であって前記外部空間における第２気圧を受ける第２面と、を含む、防錆保管容器。
前記容器本体は、
前記外部空間に面する土台と、
前記土台上に設けられて、前記保管空間を画成する蓋体と、
前記土台上かつ前記蓋体内に設けられて、前記保管空間に面する載置台と、
前記土台と前記載置台との間に設けられた枠体と、を含み、
前記容器本体の前記通路は、前記土台に設けられた貫通孔と、前記枠体の内側空間と、前記載置台に設けられた貫通孔とが連通することによって形成されており、
前記バリア材の前記周縁部は前記枠体によって保持されており、前記バリア材の前記中央部は前記枠体の前記内側空間に配置されている、請求項１に記載の防錆保管容器。
前記容器本体は、
前記外部空間に面すると共に前記保管空間に面する土台と、
前記土台上に設けられて、前記保管空間を画成する蓋体と、を含み、
前記容器本体の前記通路または前記開口は、前記蓋体の少なくとも１つの側面に設けられており、
前記バリア材の前記周縁部は前記蓋体の前記少なくとも１つの側面に固定されており、前記バリア材の前記中央部は前記蓋体内の前記保管空間に向けて膨出している、請求項１に記載の防錆保管容器。
前記蓋体の前記少なくとも１つの側面には前記開口が設けられており、
前記開口の前記外周には、前記外周の下辺部から前記保管空間に向けて突出するプレートが固定されている、請求項３に記載の防錆保管容器。
前記容器本体は、
前記外部空間に面すると共に前記保管空間に面する土台と、
前記土台上に設けられて、前記保管空間を画成する蓋体と、を含み、
前記蓋体の少なくとも１つの側面には、当該側面から前記容器本体の内面側に張り出すと共に前記開口を形成する開口部フレームが設けられており、
前記バリア材は前記開口部フレームの内面側に設置される、請求項１に記載の防錆保管容器。
前記少なくとも１つの側面であって前記開口部フレームの外面側には、網板が設置される、請求項５に記載の防錆保管容器。
前記容器本体は、前記保管空間に配置された保管対象物を固定するための固定具を含む、請求項１〜６のいずれか一項に記載の防錆保管容器。