本発明の実施形態は、人の脚の動作を支援する動作支援装置に関する。
近年、人の脚の動作を支援する動作支援装置が開発されている。この種の動作支援装置は、一般に、曲げた膝を伸ばす方向にアシスト力を発生させる。
人の脚に十分なアシスト力を伝えるため、動作支援装置を体にフィットさせる必要がある。動作支援装置と体の間に緩みがあると、人の動作に対する応答速度が遅くなり、アシスト力が体に十分に伝わらなくなる。このため、その人のサイズに合わせて装置を製作すると、受注してからの生産となり、装置の製造コストが高くなる。
また、床の高さにある物を持ち上げる動作の際に、腰を折って物を掴んで持ち上げようとすると、動作支援装置によるアシスト力が十分に発揮されなくなる。また、この場合、腰を痛める原因にもなる。
よって、体格差があっても体にフィットさせることができアシスト力を人の体にロス無く十分に伝えることができる動作支援装置の開発が望まれている。
実施形態に係る動作支援装置は、腰の後ろに装着する背板部およびこの背板部の左右両端からそれぞれ前方に向けて下方に傾斜して延びた2つの連結板部を一体に有する腰部フレームと、背板部の左右両端からそれぞれ複数のヒンジを介して複数の板片を回動可能に連結した2つの腹部ベルトと、背板部から股下を通って2つの腹部ベルトにそれぞれ接続した股下ベルトと、2つの連結板部の下端に上端をそれぞれ回動可能に連結した2つの膝上部分と、2つの膝上部分の下端に上端をそれぞれ回動可能に連結した2つの膝下部分と、2つの膝下部分の少なくとも一方に対して当該膝下部分に連結した少なくとも一方の膝上部分を回動させるアシスト力を発生させる駆動部と、を有する。
実施形態に係る動作支援装置は、腰の後ろに配置される腰部フレームと、腰部フレームを腰に装着する腰部装具と、腰部フレームの左右両端に回動可能に連結された膝上フレームと、各膝上フレームの下端に回動可能に連結された膝下フレームと、各膝上フレームを左右の膝部にそれぞれ装着する膝部装具と、2つの膝下フレームの少なくとも一方に対して当該膝下フレームに連結した少なくとも一方の膝上フレームを回動させるアシスト力を発生させる駆動部と、を有する。腰部装具は、腰に巻き付ける腹部ベルトと、腹部ベルトの伸縮可能部分の伸びを抑えつつ腹部ベルトを締め付けて腰部フレームを固定する固定ベルトと、を有する。
図1は、実施形態に係る動作支援装置の正面図である。
図2は、図1の動作支援装置の側面図である。
図3は、図1の動作支援装置の要部を拡大した正面図である。
図4は、図2の動作支援装置の要部を拡大した側面図である。
図5は、図1の動作支援装置の動作を制御する制御系のブロック図である。
図6は、図1の動作支援装置の腰部装具を右斜め前方から見た外観斜視図である。
図7は、図1の動作支援装置の腰部装具を背面側から見た外観斜視図である。
図8は、図6の腰部装具を人の体に装着した状態を示す外観図である。
図9は、図6の腰部装具の腰部フレームおよび腹部ベルトを示す概略図である。
図10は、図9の組立体を腰に装着した状態を示す正面図である。
図11は、図9の組立体を腰に装着した状態を示す背面図である。
図12は、図6の腰部装具の弾性パッドを示す外観斜視図である。
図13は、図1の動作支援装置の図である。
図14は、他の実施形態に係る動作支援装置の正面図である。
図15は、図14の動作支援装置の側面図である。
図16は、図14の動作支援装置の一部分を拡大した正面図である。
図17は、図15の動作支援装置の一部分を拡大した側面図である。
図18は、図14の動作支援装置の動作を制御する制御系のブロック図である。
図19は、図14の動作支援装置の腰部装具およびその周辺部材を右斜め前方から見た外観斜視図である。
図20は、図19の構造を背面側から見た外観斜視図である。
図21は、図19の腰部装具およびその周辺部材を上方から見た外観図である。
実施形態
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る動作支援装置100(以下、単に、装置100と称する)の正面図であり、図2は、この装置100を左横から見た側面図であり、図3は、図1の要部を部分的に拡大した正面図であり、図4は、図2の要部を部分的に拡大した側面図である。ここでは、この装置100を装着した人が図1のように立った状態を基準にして、上下、左右、前後方向を説明する。なお、左右の構造が同じ構成要素については一方のみを代表して説明し他方の説明を省略する場合もある。
図1および図2に示すように、装置100は、人の腰に装着する腰部装具10、下腿部に装着する下腿部装具20、および大腿部の外側に配置する保持フレーム1を有する。また、装置100は、保持フレーム1を腰部装具10に連結する連結機構40、下腿部装具20を保持フレーム1に対して回動可能に支持する回動支持機構30、駆動力を発生する駆動機構50、駆動機構50からの動力を回動支持機構30に伝える動力伝達機構60、および回動支持機構30に取り付けた膝部装具70を有する。保持フレーム1は、回動支持機構30、駆動機構50、動力伝達機構60、および膝部装具70を保持する。さらに、装置100は、装置100の動作を制御する制御部80(図5)を有する。
回動支持機構30、駆動機構50、動力伝達機構60、および膝部装具70を保持した保持フレーム1、および連結機構40は、膝上部分として機能する。また、下腿部装具20は、膝下部分として機能する。さらに、駆動機構50は、膝下部分に対して膝上部分を回動させるためのアシスト力を発生させる駆動部として機能する。
以下、装置100の各部の構成についてより詳細に説明する。
腰部装具10は、腰部フレーム11、左右2つの腹部ベルト12、12、股下ベルト13、肩掛けベルト14、および弾性パッド15を有する。腰部フレーム11は、腰の後ろに配置される背板部11aおよびこの背板部11aの左右両端からそれぞれ前方に向けて下方に傾斜して延びた2つの連結板部11b、11bを一体に有する。腹部ベルト12は、背板部11aの両端からそれぞれ複数のヒンジ16を介して複数の板片17を回動可能に連結した構造を有する。股下ベルト13は、背板部11aから股下を通って腹部ベルト12に接続する例えば布製のベルトである。肩掛けベルト14は、肩に掛け回して、背板部11aと2つの腹部ベルト12、12をそれぞれ接続する例えば布製のベルトである。この腰部装具10については後に詳述する。
下腿部装具20は、下腿部の外側に沿って配置した細長い板状の下腿部フレーム23、足乗せプレート27、および足の甲や足先やかかとに巻き付けてマジックテープ(登録商標)などで留める足固定ベルト21を有する。
下腿部フレーム23は、帯状の板金を下腿部に沿って折り曲げた下腿部上フレーム23aと、アジャスタ22を介して下腿部上フレーム23aの下端に接続した下腿部下フレーム23bと、を有する。アジャスタ22は、下腿部上フレーム23aと下腿部下フレーム23bを伸縮自在に接続し、下腿部フレーム23の長さを調節可能にしている。足固定ベルト21は、足乗せプレート27の内側に取り付けられている。
足乗せプレート27は、球面軸受26を介して下腿部下フレーム23bの下端に回動自在に取り付けられている。球面軸受26は、足載せプレート27を下腿部下フレーム23bに対してあらゆる方向に回動可能に接続している。これにより、装置100を装着した人の足首の動きに装置100を追従させることができ、人の動作を妨げることがなく、装置100を装着した際の違和感がなく、転倒防止につながる。
足乗せプレート27は、固定ブロック25を介してL字状に連結した足底プレート27aおよび足横プレート27bを有する。足底プレート27aは足の裏に接触し、足横プレート27bはくるぶしに対向する。そして、足横プレート27bの上端が下腿部下フレーム23bの下端に接続されている。固定ブロック25は、足底プレート27aを、足横プレート27bに対して上下位置を調節可能に固定している。
図3および図4に示すように、保持フレーム1は、大腿部の外側に配置された内側フレーム1a、内側フレーム1aの外側に離間して配置された外側フレーム1b、内側フレーム1aおよび外側フレーム1bの前側の端縁をつないだ前側フレーム1c、および内側フレーム1aおよび外側フレーム1bの後ろ側の端縁をつないだ後側フレーム1dを有する。これら複数のフレームを含む保持フレーム1は装置100のケースの一部として機能する。また、保持フレーム1の内部には、水平上サブフレーム2a、水平下サブフレーム2b、および垂直サブフレーム2cが固設されている。
図示明瞭化のため、図1および図3では、前側フレーム1cおよび後側フレーム1dの図示を省略しており、図2および図4では、内側フレーム1aおよび外側フレーム1bの図示を省略している。上述したように、保持フレーム1には、回動支持機構30、駆動機構50、動力伝達機構60、および膝部装具70が取り付けられている。
回動支持機構30は、内側フレーム1aと垂直サブフレーム2cの間に設けた平歯車31を有する。垂直サブフレーム2cは、外側フレーム1bの下端に固定され、内側フレーム1aの外側に離間して平行に配置されている。平歯車31は、図示しないキーを介して回動軸32に同軸に固定されている。回動軸32は、2つのベアリング33、34を介して内側フレーム1aと垂直サブフレーム2cに回動自在に取り付けられている。つまり、平歯車31は、内側フレーム1aと垂直サブフレーム2cの間に配置され、平歯車31の回動軸32は、左右方向に延びている。回動軸32の外側には、ポテンショメータ35が図示しないネジにより固定されている。平歯車31は、図示しないネジ等により下腿部上フレーム23aの上端に固定されている。
このため、後述する動力伝達機構60を介して後述する駆動機構50の駆動力を伝達して、平歯車31を回動させると、保持フレーム1に対して下腿部フレーム23が前後に揺動される。つまり、平歯車31、回動軸32、およびベアリング33、34が、回動支持機構30として機能する。
回動支持機構30の回動軸32の内側には、膝部装具70(図1参照)が取り付けられている。膝部装具70は、球面軸受71を介して回動軸32の端部に回動自在に取り付けた膝部フレーム72を有する。膝部フレーム72は、前後方向に延びた回転軸75を介して回動可能に連結した膝部上フレーム76、および前後方向に延びた回転軸77を介して回動可能に連結した膝部下フレーム78を有する。
また、膝部装具70は、膝部上フレーム76の上端に取り付けた膝上ベルト73、および膝部下フレーム78の下端に取り付けた膝下ベルト74を有する。膝上ベルト73は、膝の上方で脚に巻き付けて図示しないマジックテープなどで留める。膝下ベルト74は、膝の下方で脚に巻き付けて図示しないマジックテープなどで留める。膝部装具70と保持フレーム1は球面軸受71を介して互いにあらゆる方向に回動可能に連結されている。
このため、膝が内側や外側に曲がる際に装置100を脚の動きに追従させることができ、装着の違和感を無くすことができる。特に、膝部フレーム72を上下方向に3分割して2つの回転軸75、77により連結したため、立った状態からしゃがむ際に、膝関節が滑りながら回動する動きに装置100を追従させることができ、膝の屈伸動作を違和感なくスムーズにできる。
或いは、上述した膝部装具70の代りに、図13に示す膝部装具70’を用いてもよい。膝部装具70’は、膝部上フレーム76を有しておらず、膝部下フレーム78に脹脛上ベルト173および脹脛下ベルト174を備えている。この膝部装具70’を用いた場合、回転軸77を介して膝部下フレーム78が回動可能であるため、膝の動きをスムーズにできる。
駆動機構50は、水平上サブフレーム2aに固設されている。駆動機構50は、サーボモータ51、およびハーモニックドライブ(登録商標)などの減速機53を同軸に有する。また、サーボモータ51には、エンコーダ54が取り付けられている。減速機53は、サーボモータ51の回転軸(図示せず)に取り付けられている。減速機53の出力側には上流側駆動軸55が固設されている。サーボモータ51の回転軸は、上下方向に延設されている。このため、駆動機構50を縦方向に配置でき、省スペース化を図ることができる。
連結機構40は、図1および図2に示すように、腰部装具10の腰部フレーム11の連結板部11bに連結するための連結ベース41を有する。連結ベース41は、ヒンジ42を介して上下につながった連結上プレート41aおよび連結下プレート41bを有する。連結上プレート41aの上端が、図1中で左右に延設された回動軸43を介して腰部フレーム11の連結板部11bの下端に回動可能に取り付けられる。また、ヒンジ42は、その回動軸42aが前後に延びる向きで設けられている。このため、連結ベース41は、ヒンジ42の回動軸42aを中心に連結下プレート41bが人体から離れる横方向に回動可能となっている。
図3および図4に示すように、連結ベース41の連結下プレート41bの下端には、保持スリーブ44のフランジ部44aが一体に固設されている。保持スリーブ44は、内部にスライドロッド46を挿通可能な細長い孔44bを有する略円筒形の外形を有する。保持スリーブ44は、その長手軸が上下方向に沿う姿勢で連結ベース41の下端に固設されている。
また、連結機構40は、保持スリーブ44の孔44bに挿通されるスライドロッド46を有する。スライドロッド46は、大腿部の外側に沿って上下方向に延設されている。スライドロッド46の上端には、保持スリーブ44のフランジ部44aの上端に係合するセットカラー46aが設けられている。セットカラー46aは、ブラケット47を介して水平上サブフレーム2aに固定されている。
スライドロッド46の下端は、図示しないネジにより、保持フレーム1の水平上サブフレーム2aに締結固定される。水平上サブフレーム2aは、水平面に沿って配置され、前側フレーム1cと後側フレーム1dの間に架け渡されている。つまり、スライドロッド46は、保持スリーブ44の上方から細長い孔44bに挿通されて、下端を図示しないネジを介して水平上サブフレーム2aに締結固定され、保持フレーム1に固設される。
そして、この連結機構40は、スライドロッド46に対する保持スリーブ44の上下方向への移動を許容することで、腰部装具10と保持フレーム1との間の距離を伸縮可能に接続する。また、この連結機構40は、スライドロッド46の保持スリーブ44に対する回動を許容することで、腰部フレーム11に対する保持フレーム1の捻じれを許容する。なお、ここで言う捻じれとは、スライドロッド46の軸を中心とした保持フレーム1の回動動作を指す。
動力伝達機構60は、駆動機構50の減速機53の上流側駆動軸55に接続したクラッチ機構90を有する。クラッチ機構90は、上流側駆動軸55の下端に図示しないキーを介して固定した上クラッチ歯91を有する。上クラッチ歯91は、複数の歯を下に向けた姿勢で上流側駆動軸55の下端に固設されている。
また、クラッチ機構90は、上クラッチ歯91の下方に配置した下クラッチ歯92を有する。下クラッチ歯92は、複数の歯を上に向けた姿勢で上クラッチ歯91に対して離接する上下方向に移動可能に設けられている。また、下クラッチ歯92の下方には平歯車93が同軸に配置されている。下クラッチ歯92と平歯車93は、互いに上下方向に離間した状態で、下流側駆動軸94に対して同軸に固設されている。下クラッチ歯92および平歯車93は、それぞれ、図示しないキーを介して下流側駆動軸94に固設されている。
上クラッチ歯91は、下流側駆動軸94の上端を軸方向にスライド自在に受け入れるスライドブッシュ95を備えている。スライドブッシュ95は、上流側駆動軸55と同軸に取り付けられており、下流側駆動軸94を上流側駆動軸55と同軸且つスライド自在に保持する。これにより、下クラッチ歯92および平歯車93が上クラッチ歯91に対して離接する方向にスライド可能になるとともに、下クラッチ歯92および平歯車93が上クラッチ歯91と同軸に配置される。
クラッチ機構90の出力側の平歯車93には、動力伝達機構60の平歯車61が歯合されている。この平歯車61は、ワンウェイクラッチ69を介して、上下方向に延設した駆動軸62の上端に対して同軸に取り付けられている。ワンウェイクラッチ69は、曲げた膝を伸ばすときに空転する向きで取り付けられている。駆動軸62は、ベアリング63を備えたベアリングホルダ64を介して水平下サブフレーム2bに回動自在に取り付けられている。
下流側の平歯車61の歯幅は、上流側の平歯車93の歯幅より大きくされている。上流側の平歯車93は、後述するスライド機構110によって下クラッチ歯92とともに上下にスライド可能に支持されており、スライド範囲の全長にわたって下流側の平歯車61と歯合する必要がある。よって、下流側の平歯車61の歯幅が上流側の平歯車93のスライド範囲をカバーする大きさに設計されている。しかし、平歯車61の歯幅を大きくすると、その分、重量も増すため、平歯車61の歯幅は、下クラッチ歯92が上クラッチ歯91に歯合しない位置に上流側の平歯車93がスライドした状態(駆動力が伝達されない状態)では下流側の平歯車61とわずかに歯合する程度の歯幅に設計されている。
駆動軸62の下端には、かさ歯車65が同軸に固設されている。このかさ歯車65には、別のかさ歯車66が歯合されている。そして、この下流側のかさ歯車66は、図示しないキーを介して駆動軸67に同軸に固定されている。駆動軸67は、内側フレーム1aと外側フレーム1bの間に架け渡されている。駆動軸67は、2つのベアリング67a、67bを介してフレーム1a、1bによって回動可能に支持されている。また、駆動軸67には、上述した回動支持機構30の平歯車31と歯合する平歯車68が図示しないキーを介して同軸に固設されている。
しかして、クラッチをつないだ状態で駆動機構50のサーボモータ51が回転すると、減速機53、上流側駆動軸55、上クラッチ歯91、下クラッチ歯92、下流側駆動軸94、平歯車93、平歯車61、駆動軸62、かさ歯車65、かさ歯車66、駆動軸67、および平歯車68を介して、回動支持機構30の平歯車31に動力が伝達され、下腿部フレーム23が保持フレーム1に対して揺動される。上述したように、駆動機構50、動力伝達機構60、および回動支持機構30が同じ保持フレーム1に取り付けられているため、駆動力を確実に伝達でき、安定した動作支援が可能となる。
上述した下クラッチ歯92のスライド機構110は、保持フレーム1に対して上下にスライド自在に設けた可動フレーム111を有する。可動フレーム111は、平歯車93を上下に挟む位置に設けた上可動プレート112、および下可動プレート113を有する。上可動プレート112と下可動プレート113の間には、両者を一定間隔開けて固定するスタッド114が設けられている。スタッド114は、平歯車93に干渉しない位置に設けられている。
下クラッチ歯92を固設した上述した下流側駆動軸94は、上可動プレート112と下可動プレート113を貫通して延びている。上可動プレート112および下可動プレート113は、それぞれ、ベアリング115を介して下流側駆動軸94の下端側を回動可能に保持している。このため、下クラッチ歯92の移動とともに可動フレーム111(上可動プレート112、下可動プレート113、およびスタッド114)も上下に移動する。
一方、水平下サブフレーム2bの上面から2本のスライドロッド116が上方に突出して取り付けられている。2本のスライドロッド116は、それぞれ、上可動プレート112および下可動プレート113を貫通して延びている。上可動プレート112および下可動プレート113は、それぞれ、スライドブッシュ117を介してスライドロッド116に対して上下にスライド可能に取り付けられている。つまり、2本のスライドロッド116は、可動フレーム111を上下にスライド可能に支持している。
また、クラッチ機構90は、下クラッチ歯92を上クラッチ歯91に対して離接可能に支持した支持アーム96、支持アーム96を回動軸96aを中心に図4で反時計周り方向に回動させるソレノイド97、支持アーム96を図示時計周り方向に付勢する引っ張りバネ98、および支持アーム96を図示上方位置にロックするロック機構120を有する。
ロック機構120は、支持アーム96の揺動の先端にある係合ロッド99に係合して支持アーム96をロックするロックレバー121、ロックレバー121を回動軸121aを中心に図4で反時計回り方向に回動させるソレノイド122、およびロックレバー121を時計周り方向に付勢する引っ張りバネ123を有する。
支持アーム96は、図3に示すように、下クラッチ歯92を間に挟んで左右に設けられている。回動軸96aは、これら2つの支持アーム96の基端部を貫通して固設されている。回動軸96aは、装置100の左右方向に延設され、前側フレーム1cにネジ131により締結固定したブラケット132に対し、ブッシュ133を介して回動可能に取り付けられている。
2つの支持アーム96は、連結ロッド134および係合ロッド99によって連結されており、一体に回動可能となっている。係合ロッド99は、支持アーム96の回動の先端近くに設けられており、連結ロッド134は、支持アーム96の長手方向の中間より基端側に片寄った位置に設けられている。
連結ロッド134には、リンク135を介してソレノイド97のプランジャ97aが接続されている。ソレノイド97は、ブラケット136を介して前側フレーム1cに固定して取り付けられている。ソレノイド97に通電するとプランジャ97aが吸引され、支持アーム96が回動軸96aを中心に図4で反時計周り方向に回動され、ソレノイド97をOFFにすると引っ張りバネ98の付勢力により支持アーム96が図4に示す位置へ回動される。
引っ張りバネ98の基端は、図3に示すように、ブラケット137を介して水平下サブフレーム2bに固定されている。引っ張りバネ98の先端は、一方の支持アーム96の長手方向の略中央に固定されている。引っ張りバネ98は、僅かに引き伸ばした状態で水平下サブフレーム2bと一方の支持アーム96の間に取り付けられ、支持アーム96を図4で時計周り方向に常時付勢する。
また、一対の支持アーム96は、それぞれ、下クラッチ歯92を取り付けるためのスライド孔96bを有する。スライド孔96bは、支持アーム96の長手方向に延びた長円形の孔であり、可動フレーム111に固設した一対の支持突起111a(図4参照)を回動可能に受け入れる。下クラッチ歯92は、上述したスライド機構110によって上クラッチ歯91に離接する方向に真っ直ぐにスライド可能に支持されており、支持アーム96が揺動するため、支持突起111aを受け入れるスライド孔96bを長孔とした。
ロック機構120のロックレバー121は、ブッシュ124を介して保持フレーム1に対して回動可能に取り付けた回動軸121aを有する。回動軸121aは、装置100の左右方向に延設され、ロックレバー121の長手方向の中間位置に取り付けられている。ロックレバー121の回動の先端には、支持アーム96の係合ロッド99に係合する係合爪121bが設けられている。また、ロックレバー121の後方には、手動レバー125が一体に突設されている。手動レバー125の操作端は、図4に示すように、後側フレーム1dの図示しない開口部を介して装置100の外に突出している。
ロックレバー121の基端121cには、リンク126を介してソレノイド122のプランジャ122aが接続されている。ソレノイド122は、図3に示すように、ブラケット127を介して内側フレーム1aに固定して取り付けられている。ソレノイド122に通電するとプランジャ122aが吸引され、ロックレバー121が回動軸121aを中心に図4で反時計周り方向に回動され、ソレノイド122をOFFにすると引っ張りバネ123の付勢力によりロックレバー121が図4で時計周り方向に回動される。
引っ張りバネ123の基端は、ブラケット127に固定されている。引っ張りバネ123の先端は、ロックレバー121の回動軸121aより先端に片寄った位置でロックレバー121に固定されている。引っ張りバネ123は、僅かに引き伸ばした状態でブラケット127とロックレバー121の間に取り付けられ、ロックレバー121を時計周り方向に常時付勢する。
図5は、装置100の動作を制御する制御系のブロック図である。
制御部80には、6つの加速度センサ81a、81b、81c、82a、82b、82cが接続されている。各センサの取付位置は左右対称であるため、ここでは、右側の加速度センサ82a、82b、82cについての詳細な説明を省略する。
最も下方の加速度センサ81aは、下腿部フレーム23の下端の外面側に取り付けられている。また、その上の加速度センサ81bは、保持フレーム1の外面側に取り付けられている。さらに、最も上方の加速度センサ81cは、腰部フレーム11の外面側に取り付けられている。
また、制御部80には、サーボモータ51のエンコーダ54の他に、ポテンショメータ35が接続されている。ポテンショメータ35は、回動支持機構30に駆動力を伝達する平歯車31の外側に取り付けられており、平歯車31の回動位置を検出し、下腿部フレーム23の保持フレーム1に対する回動位置を検出する。つまり、ポテンショメータ35は、膝関節の角速度の変化を検出して、膝関節が動いたことを検出する。
さらに、制御部80には、サーボモータ51、クラッチをつなぐためのソレノイド97、およびクラッチを切るためのソレノイド122が接続されている。後述するように、制御部80は、腰部フレーム11の背板部11aに取り付けられている。
次に、制御部80による動作を説明する。
制御部80は、左右6つの加速度センサ81a、81b、81c、82a、82b、82cを介して装置100の動作状態を監視する。また、制御部80は、ポテンショメータ35を介して回動支持機構30の回動位置を監視する。つまり、制御部80は、これらセンサ類を介してこの装置100を装着した人の動きを監視する。
そして、制御部80は、この装置100を装着した人が通常の歩行動作をしようとしていることを判断した場合、或いはこの人が動作していないことを判断した場合、ソレノイド122に通電してクラッチを切って、動力伝達機構60による動力の伝達を遮断する。これにより、歩行時に不所望な負荷が回動支持機構30に与えられる不具合を防止でき、歩行動作を楽にできる。また、クラッチを切ることで、利用者がこの装置100を装着したり取り外したりする際に椅子に腰かける場合など、回動支持機構30に不所望な負荷がかけられる不具合を防止でき、自然に膝を曲げたり伸ばしたりすることができ、装置100の装着/取外しを容易にできる。
或いは、制御部80は、この装置100を装着した人がしゃがんだ状態から図1、2の立位状態に向けて動こうとしていることを判断した場合、ソレノイド97に通電してクラッチを繋げてサーボモータ51を付勢する。これにより、装置100が膝関節の動きをサポートし、例えば、重い荷物を容易に持ち上げる動作が可能となる。
以下、腰部装具10について、図6乃至図12を参照してより詳細に説明する。
図6は、腰部装具10を右斜め前方から見た外観斜視図であり、図7は、腰部装具10を背面側から見た外観斜視図である。また、図8は、腰部装具10を人の体に装着した状態を示す外観図である。また、図9は、腰部装具10の腰部フレーム11および腹部ベルト12を示す概略図である。また、図10は、図9の組立体を腰に装着した状態を示す正面図であり、図11は、図9の組立体を腰に装着した状態を示す背面図である。さらに、図12は、腰部装具10の弾性パッド15を示す外観斜視図である。腰部装具10は、腰部フレーム11、腹部ベルト12、股下ベルト13、肩掛けベルト14、および弾性パッド15を有する。
腰部フレーム11は、腰の後ろに配置される一枚の背板部11aおよび大腿部の外側に沿って傾斜して配置される2枚の連結板部11bを一体に有する。背板部11aは、腰椎を押さえる位置に配置され、左右方向に長い板状に形成されている。背板部11aは、平らな板であってもよく、背中の形状に合わせてわずかに湾曲した形状であってもよい。背板部11aの長手方向(左右方向)の両端は、前方に向けて拡開しており、腰の幅によらず全ての人にフィットする形状に形成されている。つまり、背板部11aの左右方向の幅は、腰の幅と同等かわずかに狭くなる長さに設計されていることが望ましい。言い換えると、背板部11aの左右端が腰の側部に対向しない長さに形成されていることが望ましい。
一対の連結板部11bは、背板部11aの左右両端にそれぞれ固設されている。本実施形態では、2枚の連結板部11bを背板部11aの外側に重ねてリベットにより固定したが、一枚の金属板を形状加工して折り曲げることで背板部11aおよび連結板部11bを一体に有する腰部フレーム11を形成してもよい。
各連結板部11bは、背板部11aの長手方向の端部から前方に向けて下方に傾斜して延びている。各連結板部11bの下端近くには、上述した連結機構40の連結ベース41(連結上プレート41a)を回動可能に取り付けるための軸孔11cがそれぞれ設けられている。一対の連結板部11bは、互いの軸孔11cが同軸に配置される形状を有する。2枚の連結板部11bは、それぞれの軸孔11cが同軸に配置されればよく、その形状は本実施形態の形状に限定されない。よって、2枚の連結板部11bは、人の動作を妨げることのないように、背板部11aの左右両端から外側に離間した位置(体から離れた位置)で斜めに延設されている。
具体的には、連結板部11bは、前方に向けて拡開した背板部11aの左右端と略同じ方向に拡開して延びた第1板部11d、軸孔11cを有して前後方向および上下方向に延設された第3板部11f、および第1板部11dと第3板部11fをつないでねじれて傾斜した第2板部11eを有する。各連結板部11bの第3板部11fは、互いに平行に配置されている。本実施形態では、連結板部11bは、1枚の金属板を形状加工して2箇所で折り曲げることにより形成されている。
腹部ベルト12は、複数枚の平らな金属板(板片17)を複数のヒンジ16を介して連結した構造を有する。複数のヒンジ16は、それぞれ、略上下方向に延びた回動軸を有する。このため、腹部ベルト12は、腹部に巻き付ける方向に回動可能である反面、上方および下方への変位ができない構造となっている。ヒンジ16および板片17の数は任意に設定でき、板片17の形状も平らなものに限らず体に沿って湾曲していてもよく、矩形である必要もない。腹部ベルト12は、少なくとも腰骨を超える位置までの長さを有する。
本実施形態の腹部ベルト12は、背中に近い側から、背板部11aの端部に第1ヒンジ16aを介して連結した略矩形板状の第1板片17a、および第1板片17aに対して第2ヒンジ16bを介して連結した略矩形板状の第2板片17bを備えている。第1ヒンジ16aは、腰骨より背中側に配置され、第2板片17bは、腰骨より腹部側に配置されている。
図9に示すように、腹部ベルト12の延出方向の先端にある第2板片17bは、腹部ベルト12を腹部にフィットさせるための留め具18a(18b)を備えた長さ調整ベルト18を取り付けるためのスリット状のベルト孔17c、および肩掛けベルト14を取り付けるためのスリット状のベルト孔17dを有する。また、第2板片17bは、股下ベルト13を取り付けるためのベルト孔19aを備えた連結プレート19を回動可能に備えている。
背板部11aの両端に位置する腹部ベルト12の第1ヒンジ16aは、腰骨より背中側に配置されている。言い換えると、第1板片17aは、前方に向けて外側に拡開した背板部11aの左右端部よりわずかに内側に回動した姿勢で腰に押し付けられる。そして、第2ヒンジ16bを介して第1板片17aに連結した第2板片17bは、第1板片17aよりさらに内側に回動した姿勢で腰に押し付けられる。理想的には、第2板片17bは、前方に向けて互いに近付く方向に傾斜する姿勢で腰に押し付けられることが望ましい。いずれにしても、第1ヒンジ16a、第1板片17a、第2ヒンジ16b、第2板片17bを含む腹部ベルト12は、腰骨を押圧する位置で腰に巻き付けられる。
図12に示すように、弾性パッド15は、略T字形に形成されている。つまり、弾性パッド15は、腰部フレーム11の背板部11aおよび腹部ベルト12の内側に配置される腰部分15aおよび股下に配置される股下部分15bを一体に有する。腰部分15aは、腰部フレーム11の背板部11aや腹部ベルト12より幅広に形成され、背板部11aおよび腹部ベルト12を超える長さを有する。また、腰部分15aは、背中に対向する部分の幅が比較的広く、左右の先端に向けて僅かに先細になる形状に形成されている。また、股下部分15bは、腰部分15a側から先端に向けて徐々に収束する形状に形成されている。つまり、弾性パッド15は、背板部11aおよび腹部ベルト12より一回り大きなサイズに形成されており、背板部11aや腹部ベルト12が直接人の体に触れることがない。
弾性パッド15の腰部分15aの外面側には、背板部11aに対して着脱自在に貼り付けるためのマジックテープ15cが取り付けられている。このように、マジックテープ15cによって弾性パッド15を着脱可能とすることで、弾性パッド15を装置100から取り外して洗濯することができる。また、弾性パッド15の股下部分15bの外側には、2本の股下ベルト13をまとめて通すためのベルト通し部15dが設けられている。ベルト通し部15dは、股下ベルト13のズレを防止する。
股下ベルト13は、図6に示すように、腹部ベルト12の第2板片17bに対して回動可能に取り付けた連結プレート19のベルト孔19aに挿通されて固定される一端を有する。2本の股下ベルト13は、それぞれ、股下を通って互いに重ねられて弾性パッド15のベルト通し部15dに挿通される。各股下ベルト13の他端は、腰部フレーム11の背板部11aの外面側に固設したハット型のブラケット11g(図11)に取り付けられる。股下ベルト13は、長さを調節するための調節部およびベルトを途中で分離するための留め具を備えている。
肩掛けベルト14は、腹部ベルト12の第2板片17bのベルト孔17dに固定する一端を有するとともに、腰部フレーム11の背板部11aのブラケット11gに固定する他端を有する。2本の肩掛けベルト14は、背中側で互いに連結する連結ベルト14aを有する。2本の肩掛けベルト14は、長さを調節する調節部を途中に有する。
図6および図7に示すように、腰部フレーム11の背板部11aには、図示しないブラケットを介して、制御部80を含む制御ユニット130が固設されている。また、制御ユニット130の上部には、図示しないブラケットを介してバッテリー140が着脱可能に取り付けられている。さらに、腰部フレーム11の右側の連結板部11bの傾斜した第2板部11eには、電源スイッチ151、アシストON/OFFスイッチ152、およびアラーム表示ランプ153を有する操作ユニット150(操作部、表示部)が取り付けられている。左側の連結板部11bの傾斜した第2板部11eには、操作ユニット150と同じ形状のケース155が取り付けられている。
操作ユニット150は制御ユニット130に連結されており、電源スイッチ151、アシストON/OFFスイッチ152、およびアラーム表示ランプ153との間で電力を供給したり信号を送受信するためのケーブル類が操作ユニット150内に配線されている。また、操作ユニット150およびケース155からハーネス160が導出されており、装置100の各種センサ81a〜81c、82a〜82c、35、54との間で信号を送受信するための信号線やサーボモータ51やソレノイド97、122に電力を供給するための給電線などを挿通する。左右2本のハーネス160は、脚の可動域を考慮して少し長めに弛ませて設けられている。
以上のように、本実施形態の動作支援装置100によると、腰部フレーム11の背板部11aによって腰椎を押さえ、且つ2本の腹部ベルト12によって左右の腰骨を押さえるようにしたため、腰部フレーム11を腰に密着させてしっかりと固定することができる。特に、腰椎や腰骨など肉の薄い硬い部分で締め付けることで、腰部フレーム11のずれを防止している。また、弾性パッド15を使用することで、人の体と装置100の密着安定性をより高めることができ、装着時におけるフィット感を増すことができ、違和感を軽減することができる。
また、本実施形態によると、背板部11aと各腹部ベルト12を連結した股下ベルト13を設けたため、2つの連結板部11bを介して腰部装具10によって体重を支える際に、股下ベルト13によって臀部を支えることができ、腰部フレーム11のずれを防止することができ、腰部装具10をより体にフィットさせることができる。よって、本実施形態によると、装置100と人の体との間の緩みを無くすことができ、アシスト力を十分に伝えることができる。
また、本実施形態によると、股下ベルト13の長さを調節することができるため、股下ベルト13で支える体重と腰部フレーム11で支える体重の比率を適当な値に調整することもでき、利用者に合わせた装置100の使用が可能となる。例えば、腰痛対策として、股下ベルト13の長さを少し長めに調節して、腰部フレーム11で支える体重の比率を高めることもできる。
また、本実施形態によると、腰部フレーム11の背板部11aの左右両端が前方に向けて拡開する形状を有する(腰の側面側に背板部11aを配置しない)ため、体格差があっても装置100を腰にフィットさせることができる。これにより、体のサイズに合わせて装置100を制作する必要がなく、装置の製造コストを抑えることができる。本実施形態では、標準サイズの腰部フレーム11を用いて弾性パッド15を使用することで、人体寸法データベースの5〜95%tile値に対応可能である。
また、本実施形態によると、腰部フレーム11を2本の肩掛けベルト14で吊り上げているため、腰部装具10が下方にズレ落ちる不具合を防止することができる。また、本実施形態によると、腹部ベルト12を腰骨より腹部側まで延長しているため、腰部フレーム11を腰に確実に装着することができ、体格差に合わせて長さ調節もできる。
さらに、本実施形態によると、臀部の近くにフレームやパイプなどの構造体が存在しないため、装置100を装着したまま椅子に座ることができ、装置100を装着した状態でしゃがみこんだり体をひねったりする動作を容易にでき、動作の違和感が無い。
図14は、他の実施形態に係る動作支援装置200(以下、単に、装置200と称する)の正面図であり、図15は、この装置200を左横から見た側面図であり、図16は、図14の要部を部分的に拡大した正面図であり、図17は、図15の要部を部分的に拡大した側面図である。ここでは、この装置200を装着した人が図14のように立った状態を基準にして、上下、左右、前後方向を説明する。
図14および図15に示すように、装置200は、人の腰の後ろに配置される腰部フレーム210、腰部フレーム210を腰に装着する腰部装具220、大腿部の外側に配置される膝上フレーム230、下腿部の外側に配置される膝下フレーム240、大腿部装具250、および膝部装具260を有する。図15では、大腿部装具250および膝部装具260の図示を省略してある。
また、装置200は、膝上フレーム230を腰部フレーム210に回動可能に連結した連結機構270、および膝下フレーム240を膝上フレーム230に対して回動可能に連結した回動支持機構280を有する。また、装置200は、アシスト力を発生する駆動機構310(駆動部)、および駆動機構310からの動力を回動支持機構280に伝える動力伝達機構320を有する。さらに、装置200は、装置200の動作を制御する制御部400を有する。
以下、装置200の各部の構成についてより詳細に説明する。
なお、膝上フレーム230、膝下フレーム240、大腿部装具250、膝部装具260、連結機構270、および回動支持機構280は、左右の脚にそれぞれ設けられており、略同じ構造を有するため、左側の構造について代表して説明し、右側の構造の説明を省略する。また、駆動機構310、および動力伝達機構320は、左右にそれぞれ設けてもよいが、少なくとも一方に設ければ良い。
腰部フレーム210は、腰の後ろに配置される背板部211およびこの背板部211の左右両端からそれぞれ前方に向けて下方に傾斜して延びた2つの連結板部212、212を一体に有する。腰部フレーム210は、例えば、1枚の金属板を形状加工して折り曲げて形成されている。
腰部装具220は、腰部フレーム210を腰に巻き付ける腹部ベルト222を有する。腹部ベルト222は、左右2つの腹部ベルト222L、222Rを含む。腹部ベルト222L、222Rは、2枚のスライド板224L、224R(伸縮可能部分)を介して腰部フレーム210の内側にそれぞれスライド自在に取り付けられている。腹部ベルト222は、比較的幅の広い例えば布製のベルトであり、本実施形態では、腹部ベルト222の幅を150〜200mmに形成した。
また、腰部装具220は、2枚のスライド板224L、224Rの移動を抑えつつ腹部ベルト222L、222Rを締め付ける固定ベルト226を有する。固定ベルト226は、左右2つの固定ベルト226L、226Rを含む。固定ベルト226は、腹部ベルト222より小さな幅を有する布製のベルトであり、腹部ベルト222の外側に配置される。本実施形態では、固定ベルト226の幅を40〜60mmに形成した。固定ベルト226は、腹部ベルト222が拡がることを抑えるとともに、腹部ベルト222に腰部フレーム210を固定するように機能する。
図16および図17に示すように、膝上フレーム230は、大腿部の外側に配置された内側フレーム231、内側フレーム231の外側に離間して配置された外側フレーム232、内側フレーム231および外側フレーム232の前側の端縁をつないだ前側フレーム233、および内側フレーム231および外側フレーム232の後ろ側の端縁をつないだ後側フレーム234を有する。膝上フレーム230の内部には、水平上サブフレーム235、水平下サブフレーム236、および垂直サブフレーム237が固設されている。
図示明瞭化のため、図14および図16では、前側フレーム233および後側フレーム234の図示を省略しており、図15および図17では、内側フレーム231および外側フレーム232の図示を省略している。膝上フレーム230には、回動支持機構280、駆動機構310、動力伝達機構320、大腿部装具250、および膝部装具260が取り付けられている。
図14および図15に示すように、膝下フレーム240は、下腿部の外側に沿って配置した細長い板状の下腿部フレーム241、足乗せプレート242、および足の甲や足先やかかとに巻き付けてマジックテープ(登録商標)などで留める足固定ベルト243を有する。
下腿部フレーム241は、帯状の板金を下腿部に沿って折り曲げた下腿部上フレーム241aと、アジャスタ244を介して下腿部上フレーム241aの下端に接続した下腿部下フレーム241bと、を有する。アジャスタ244は、下腿部上フレーム241aと下腿部下フレーム241bを伸縮自在に接続し、下腿部フレーム241の長さを調節可能にしている。足固定ベルト243は、足乗せプレート242の内側に取り付けられている。
足乗せプレート242は、球面軸受245を介して下腿部下フレーム241bの下端に回動自在に取り付けられている。球面軸受245は、足載せプレート242を下腿部下フレーム241bに対してあらゆる方向に回動可能に接続している。これにより、装置200を装着した人の足首の動きに装置200を追従させることができ、人の動作を妨げることがなく、装置200を装着した際の違和感がなく、転倒防止につながる。
足乗せプレート242は、固定ブロック246を介してL字状に連結した足底プレート242aおよび足横プレート242bを有する。足底プレート242aは足の裏に接触し、足横プレート242bはくるぶしに対向する。そして、足横プレート242bの上端が下腿部下フレーム241bの下端に接続されている。固定ブロック246は、足底プレート242aを、足横プレート242bに対して上下位置を調節可能に固定している。
大腿部装具250は、腰部装具220のスライド板224L、224Rの内側にマジックテープなどにより着脱可能に貼り付け可能な左右一対の大腿部ベルト251L、251R(以下、総称して大腿部ベルト251とする場合もある)を含む。大腿部ベルト251は、腰部装具220から腰骨の横を通って大腿部に巻き付けられ、マジックテープで留められる。大腿部ベルト251は、その一部が、膝上フレーム230の内側フレーム231に固設した固定用ブラケット252に対して図示しないネジにより固定される。
大腿部ベルト251L、251Rをそれぞれ内側フレーム231に固定することで、装置200が大腿部から離れることがなく、装置200を人体に緩みなく装着することができる。また、大腿部ベルト251を腰部装具220と連結することで、腰部装具220と大腿部装具250のズレを防止することができる。大腿部ベルト251と腰部装具220の連結は、マジックテープに限らず、ネジなどを用いた固定であってもよい。
膝部装具260は、膝上フレーム230の内側フレーム231に固設した固定用ブラケット262に対して図示しないネジにより固定された膝部ベルト261を含む。膝部ベルト261は、膝に巻き付けてマジックテープで留められる。このため、装置200が膝部から離れることを防止することができる。また、膝部ベルト261をやわらかい布製にすることで、膝関節の複雑な動きに装置200を追従させることができ、動作に違和感を生じることがない。なお、膝部ベルト261は、膝全体を覆う幅を有し、その前部に膝がしらを露出するための開口部が設けられている。
回動支持機構280は、膝上フレーム230の内側フレーム231と垂直サブフレーム237の間に設けた平歯車281を有する。垂直サブフレーム237は、外側フレーム232の下端に固定され、内側フレーム231の外側に離間して平行に配置されている。平歯車281は、図示しないキーを介して回動軸282に同軸に固定されている。回動軸282は、2つのベアリング283、284を介して内側フレーム231と垂直サブフレーム237に回動自在に取り付けられている。つまり、平歯車281は、内側フレーム231と垂直サブフレーム237の間に配置され、平歯車281の回動軸282は、左右方向に延びている。回動軸282の外側には、ポテンショメータ285が図示しないネジにより固定されている。平歯車281は、図示しないネジ等により下腿部上フレーム241aの上端に固定されている。
このため、後述する動力伝達機構320を介して後述する駆動機構310の駆動力を伝達して、平歯車281を回動させると、膝上フレーム230に対して膝下フレーム240が前後に揺動される。つまり、平歯車281、回動軸282、およびベアリング283、284が、回動支持機構280として機能する。
駆動機構310は、水平上サブフレーム235に固設されている。駆動機構310は、サーボモータ311、およびハーモニックドライブ(登録商標)などの減速機313を同軸に有する。また、サーボモータ311には、エンコーダ314が取り付けられている。減速機313は、サーボモータ311の回転軸(図示せず)に取り付けられている。減速機313の出力側には上流側駆動軸315が固設されている。サーボモータ311の回転軸は、上下方向に延設されている。このため、駆動機構310を縦方向に配置でき、省スペース化を図ることができる。
連結機構270は、図14および図15に示すように、腰部フレーム210の連結板部212に連結するための連結ベース271を有する。連結ベース271は、ヒンジ272を介して上下につながった連結上プレート271aおよび連結下プレート271bを有する。連結上プレート271aの上端が、図14中で左右に延設された回動軸273を介して腰部フレーム210の連結板部212の下端に回動可能に取り付けられる。回動軸273の外側には、ポテンショメータ273aが図示しないネジにより固定されている。また、ヒンジ272は、その回動軸272aが前後に延びる向きで設けられている。このため、連結ベース271は、ヒンジ272の回動軸272aを中心に連結下プレート271bが人体から離れる横方向に回動可能となっている。
図16および図17に示すように、連結ベース271の連結下プレート271bの下端には、保持スリーブ274のフランジ部274aが一体に固設されている。保持スリーブ274は、内部にスライドロッド276を挿通可能な細長い孔274bを有する略円筒形の外形を有する。保持スリーブ274は、その長手軸が上下方向に沿う姿勢で連結ベース271の下端に固設されている。
また、連結機構270は、保持スリーブ274の孔274bに挿通されるスライドロッド276を有する。スライドロッド276は、大腿部の外側に沿って上下方向に延設されている。スライドロッド276の上端には、保持スリーブ274のフランジ部274aの上端に係合するセットカラー276aが設けられている。セットカラー276aは、ブラケット277を介して水平上サブフレーム235に固定されている。
スライドロッド276の下端は、図示しないネジにより、膝上フレーム230の水平上サブフレーム235に締結固定される。水平上サブフレーム235は、水平面に沿って配置され、前側フレーム233と後側フレーム234の間に架け渡されている。つまり、スライドロッド276は、保持スリーブ274の上方から細長い孔274bに挿通されて、下端を図示しないネジを介して水平上サブフレーム235に締結固定され、膝上フレーム230に固設される。
そして、この連結機構270は、スライドロッド276に対する保持スリーブ274の上下方向への移動を許容することで、腰部フレーム210と膝上フレーム230との間の距離を伸縮可能に接続する。また、この連結機構270は、スライドロッド276の保持スリーブ274に対する回動を許容することで、腰部フレーム210に対する膝上フレーム230の捻じれを許容する。なお、ここで言う捻じれとは、スライドロッド276の軸を中心とした膝上フレーム230の回動動作を指す。
動力伝達機構320は、駆動機構310の減速機313の上流側駆動軸315に接続したクラッチ機構290を有する。クラッチ機構290は、上流側駆動軸315の下端に図示しないキーを介して固定した上クラッチ歯291を有する。上クラッチ歯291は、複数の歯を下に向けた姿勢で上流側駆動軸315の下端に固設されている。
また、クラッチ機構290は、上クラッチ歯291の下方に配置した下クラッチ歯292を有する。下クラッチ歯292は、複数の歯を上に向けた姿勢で上クラッチ歯291に対して離接する上下方向に移動可能に設けられている。また、下クラッチ歯292の下方には平歯車293が同軸に配置されている。下クラッチ歯292と平歯車293は、互いに上下方向に離間した状態で、下流側駆動軸294に対して同軸に固設されている。下クラッチ歯292および平歯車293は、それぞれ、図示しないキーを介して下流側駆動軸294に固設されている。
上クラッチ歯291は、下流側駆動軸294の上端を軸方向にスライド自在に受け入れるスライドブッシュ295を備えている。スライドブッシュ295は、上流側駆動軸315と同軸に取り付けられており、下流側駆動軸294を上流側駆動軸315と同軸且つスライド自在に保持する。これにより、下クラッチ歯292および平歯車293が上クラッチ歯291に対して離接する方向にスライド可能になるとともに、下クラッチ歯292および平歯車293が上クラッチ歯291と同軸に配置される。
クラッチ機構290の出力側の平歯車293には、動力伝達機構320の平歯車321が歯合されている。この平歯車321は、ワンウェイクラッチ329を介して、上下方向に延設した駆動軸322の上端に対して同軸に取り付けられている。ワンウェイクラッチ329は、曲げた膝を伸ばすときに空転する向きで取り付けられている。駆動軸322は、ベアリング323を備えたベアリングホルダ324を介して水平下サブフレーム236に回動自在に取り付けられている。
下流側の平歯車321の歯幅は、上流側の平歯車293の歯幅より大きくされている。上流側の平歯車293は、後述するスライド機構330によって下クラッチ歯292とともに上下にスライド可能に支持されており、スライド範囲の全長にわたって下流側の平歯車321と歯合する必要がある。よって、下流側の平歯車321の歯幅が上流側の平歯車293のスライド範囲をカバーする大きさに設計されている。しかし、平歯車321の歯幅を大きくすると、その分、重量も増すため、平歯車321の歯幅は、下クラッチ歯292が上クラッチ歯291に歯合しない位置に上流側の平歯車293がスライドした状態(駆動力が伝達されない状態)では下流側の平歯車321とわずかに歯合する程度の歯幅に設計されている。
駆動軸322の下端には、かさ歯車325が同軸に固設されている。このかさ歯車325には、別のかさ歯車326が歯合されている。そして、この下流側のかさ歯車326は、図示しないキーを介して駆動軸327に同軸に固定されている。駆動軸327は、内側フレーム231と外側フレーム232の間に架け渡されている。駆動軸327は、2つのベアリング327a、327bを介してフレーム231、232によって回動可能に支持されている。また、駆動軸327には、上述した回動支持機構280の平歯車281と歯合する平歯車328が図示しないキーを介して同軸に固設されている。
しかして、クラッチをつないだ状態で駆動機構310のサーボモータ311が回転すると、減速機313、上流側駆動軸315、上クラッチ歯291、下クラッチ歯292、下流側駆動軸294、平歯車293、平歯車321、駆動軸322、かさ歯車325、かさ歯車326、駆動軸327、および平歯車328を介して、回動支持機構280の平歯車281に動力が伝達され、膝下フレーム240が膝上フレーム230に対して揺動される。上述したように、駆動機構310、動力伝達機構320、および回動支持機構280が膝上フレーム230に取り付けられているため、駆動力を確実に伝達でき、安定した動作支援が可能となる。
上述した下クラッチ歯292のスライド機構330は、膝上フレーム230に対して上下にスライド自在に設けた可動フレーム331を有する。可動フレーム331は、平歯車293を上下に挟む位置に設けた上可動プレート332、および下可動プレート333を有する。上可動プレート332と下可動プレート333の間には、両者を一定間隔開けて固定するスタッド334が設けられている。スタッド334は、平歯車293に干渉しない位置に設けられている。
下クラッチ歯292を固設した上述した下流側駆動軸294は、上可動プレート332と下可動プレート333を貫通して延びている。上可動プレート332および下可動プレート333は、それぞれ、ベアリング335を介して下流側駆動軸294の下端側を回動可能に保持している。このため、下クラッチ歯292の移動とともに可動フレーム331(上可動プレート332、下可動プレート333、およびスタッド334)も上下に移動する。
一方、水平下サブフレーム236の上面から2本のスライドロッド336が上方に突出して取り付けられている。2本のスライドロッド336は、それぞれ、上可動プレート332および下可動プレート333を貫通して延びている。上可動プレート332および下可動プレート333は、それぞれ、スライドブッシュ337を介してスライドロッド336に対して上下にスライド可能に取り付けられている。つまり、2本のスライドロッド336は、可動フレーム331を上下にスライド可能に支持している。
また、クラッチ機構290は、下クラッチ歯292を上クラッチ歯291に対して離接可能に支持した支持アーム296、支持アーム296を回動軸296aを中心に図17で反時計周り方向に回動させるソレノイド297、支持アーム296を図示時計周り方向に付勢する引っ張りバネ298、および支持アーム296を図示上方位置にロックするロック機構340を有する。
ロック機構340は、支持アーム296の揺動の先端にある係合ロッド299に係合して支持アーム296をロックするロックレバー341、ロックレバー341を回動軸341aを中心に図17で反時計回り方向に回動させるソレノイド342、およびロックレバー341を時計周り方向に付勢する引っ張りバネ343を有する。
支持アーム296は、図16に示すように、下クラッチ歯292を間に挟んで左右に設けられている。回動軸296aは、これら2つの支持アーム296の基端部を貫通して固設されている。回動軸296aは、装置200の左右方向に延設され、前側フレーム233にネジ351により締結固定したブラケット352に対し、ブッシュ353を介して回動可能に取り付けられている。
2つの支持アーム296は、連結ロッド354および係合ロッド299によって連結されており、一体に回動可能となっている。係合ロッド299は、支持アーム296の回動の先端近くに設けられており、連結ロッド354は、支持アーム296の長手方向の中間より基端側に片寄った位置に設けられている。
連結ロッド354には、リンク355を介してソレノイド297のプランジャ297aが接続されている。ソレノイド297は、ブラケット356を介して前側フレーム233に固定して取り付けられている。ソレノイド297に通電するとプランジャ297aが吸引され、支持アーム296が回動軸296aを中心に図17で反時計周り方向に回動され、ソレノイド297をOFFにすると引っ張りバネ298の付勢力により支持アーム296が図17に示す位置へ回動される。
引っ張りバネ298の基端は、図16に示すように、ブラケット357を介して水平下サブフレーム236に固定されている。引っ張りバネ298の先端は、一方の支持アーム296の長手方向の略中央に固定されている。引っ張りバネ298は、わずかに引き伸ばした状態で水平下サブフレーム236と一方の支持アーム296の間に取り付けられ、支持アーム296を図17で時計周り方向に常時付勢する。
また、一対の支持アーム296は、それぞれ、下クラッチ歯292を取り付けるためのスライド孔296bを有する。スライド孔296bは、支持アーム296の長手方向に延びた長円形の孔であり、可動フレーム331に固設した一対の支持突起331a(図17参照)を回動可能に受け入れる。下クラッチ歯292は、上述したスライド機構330によって上クラッチ歯291に離接する方向に真っ直ぐにスライド可能に支持されており、支持アーム296が揺動するため、支持突起331aを受け入れるスライド孔296bを長孔とした。
ロック機構340のロックレバー341は、ブッシュ344を介して膝上フレーム230に対して回動可能に取り付けた回動軸341aを有する。回動軸341aは、装置200の左右方向に延設され、ロックレバー341の長手方向の中間位置に取り付けられている。ロックレバー341の回動の先端には、支持アーム296の係合ロッド299に係合する係合爪341bが設けられている。また、ロックレバー341の後方には、手動レバー345が一体に突設されている。手動レバー345の操作端は、図17に示すように、後側フレーム234の図示しない開口部を介して装置200の外に突出している。
ロックレバー341の基端341cには、リンク346を介してソレノイド342のプランジャ342aが接続されている。ソレノイド342は、図16に示すように、ブラケット347を介して内側フレーム231に固定して取り付けられている。ソレノイド342に通電するとプランジャ342aが吸引され、ロックレバー341が回動軸341aを中心に図17で反時計周り方向に回動され、ソレノイド342をOFFにすると引っ張りバネ343の付勢力によりロックレバー341が図17で時計周り方向に回動される。
引っ張りバネ343の基端は、ブラケット347に固定されている。引っ張りバネ343の先端は、ロックレバー341の回動軸341aより先端に片寄った位置でロックレバー341に固定されている。引っ張りバネ343は、わずかに引き伸ばした状態でブラケット347とロックレバー341の間に取り付けられ、ロックレバー341を時計周り方向に常時付勢する。
図18は、装置200の動作を制御する制御系のブロック図である。
制御部400には、6つの加速度センサ401a、401b、401c、402a、402b、402cが接続されている。各センサの取付位置は左右対称であるため、ここでは、右側の加速度センサ402a、402b、402cについての詳細な説明を省略する。最も下方の加速度センサ401aは、下腿部フレーム241の下端の外面側に取り付けられている。また、その上の加速度センサ401bは、膝上フレーム230の外面側に取り付けられている。さらに、最も上方の加速度センサ401cは、腰部フレーム210の外面側に取り付けられている。
また、制御部400には、サーボモータ311のエンコーダ314の他に、ポテンショメータ273a、285が接続されている。ポテンショメータ285は、回動支持機構280に駆動力を伝達する平歯車281の外側に取り付けられており、平歯車281の回動位置を検出し、膝下フレーム240の膝上フレーム230に対する回動位置を検出する。つまり、ポテンショメータ285は、膝関節の角速度の変化を検出して、膝関節が動いたことを検出する。また、ポテンショメータ273aは、股関節の角速度の変化を検出して、股関節が動いたことを検出する。
さらに、制御部400には、サーボモータ311、クラッチをつなぐためのソレノイド297、およびクラッチを切るためのソレノイド342が接続されている。後述するように、制御部400は、腰部フレーム210の背板部211に取り付けられている。
次に、制御部400による動作を説明する。
制御部400は、左右6つの加速度センサ401a、401b、401c、402a、402b、402cを介して装置200の動作状態を監視する。また、制御部400は、ポテンショメータ285を介して回動支持機構280の回動位置を監視するとともに、ポテンショメータ273aを介して股関節の動きを監視する。つまり、制御部400は、これらセンサ類を介してこの装置200を装着した人の動きを監視する。
そして、制御部400は、この装置200を装着した人が通常の歩行動作をしようとしていることを判断した場合、或いはこの人が動作していないことを判断した場合、ソレノイド342に通電してクラッチを切って、動力伝達機構320による動力の伝達を遮断する。これにより、歩行時に不所望な負荷が回動支持機構280に与えられる不具合を防止でき、歩行動作を楽にできる。また、クラッチを切ることで、利用者がこの装置200を装着したり取り外したりする際に椅子に腰かける場合など、回動支持機構280に不所望な負荷がかけられる不具合を防止でき、自然に膝を曲げたり伸ばしたりすることができ、装置200の装着/取外しを容易にできる。
或いは、制御部400は、この装置200を装着した人がしゃがんだ状態から図14、15の立位状態に向けて動こうとしていることを判断した場合、ソレノイド297に通電してクラッチを繋げてサーボモータ311を付勢する。これにより、装置200が膝関節の動きをサポートして、大腿筋への負荷を軽減し、例えば、重い荷物を容易に持ち上げる動作が可能となる。
以下、腰部装具220およびその周辺部材について、図19乃至図21を参照してより詳細に説明する。
図19は、腰部装具220およびその周辺部材を右斜め前方から見た外観斜視図であり、図20は、図19の装置構成を背面側から見た外観斜視図である。また、図21は、図19の装置構成を上方から見た外観図である。
腰部フレーム210は、その背板部211が腰椎を押さえる位置に配置される。背板部211は、平らな板であってもよく、背中の形状に合わせてわずかに湾曲した形状であってもよい。背板部211の長手方向(左右方向)の両端は、前方に向けて拡開しており、腰の幅によらず全ての人にフィットする形状に形成されている。
一対の連結板部212、212は、背板部211の左右両端にそれぞれ一体に連続している。各連結板部212は、背板部211の長手方向の端部から前方に向けて下方に傾斜して延びている。各連結板部212の下端近くには、上述した連結機構270の連結ベース271(連結上プレート271a)を回動可能に取り付けるための軸孔212aが設けられている。
一対の連結板部212、212は、互いの軸孔212aが同軸に配置される形状を有する。2枚の連結板部212は、それぞれの軸孔212aが同軸に配置されればよく、その形状は本実施形態の形状に限定されない。よって、2枚の連結板部212は、人の動作を妨げることのないように、背板部211の左右両端から外側に離間した位置(体から離れた位置)で斜めに延設されている。
腰部フレーム210の背板部211には、図示しないブラケットを介して、制御部400を含む制御ユニット410が固設されている。また、制御ユニット410の上部には、図示しないブラケットを介してバッテリー420が着脱可能に取り付けられている。さらに、腰部フレーム210の右側の連結板部212には、電源スイッチ351、アシストON/OFFスイッチ352、およびアラーム表示ランプ353を有する操作ユニット350(操作部、表示部)が取り付けられている。
操作ユニット350は制御ユニット410に連結されており、電源スイッチ351、アシストON/OFFスイッチ352、およびアラーム表示ランプ353との間で電力を供給したり信号を送受信したりするためのケーブル類が操作ユニット350内に配線されている。また、操作ユニット350からハーネス360が導出されており、装置200の各種センサ401a〜401c、402a〜402c、403、404との間で信号を送受信するための信号線やサーボモータ311やソレノイド297、342に電力を供給するための給電線などを挿通する。左右2本のハーネス360は、脚の可動域を考慮して少し長めに弛ませて設けられている。
また、腰部フレーム210には、2本の肩掛けベルト370、370が取り付けられている。各肩掛けベルト370の一端は、背板部211に固定されている。各肩掛けベルト370の他端は、連結板部212の上端から突設した支持片212bに設けたベルト孔212cに挿通されて折り返されている。各肩掛けベルト370は、長さ調節部371を有し、その長さを体型に合わせて調節可能となっている。
腰部装具220は、上述したように、腹部ベルト222L、222R、スライド板224L、224R、および固定ベルト226L、226Rを有する。腰部装具220は、この他に、4つのネジ挿通孔(図示せず)を有する弾性プレート227、弾性プレート227の4つのネジ挿通孔に重なる4つのネジ挿通孔(図示せず)を有する押えプレート228、および図示しない弾性パッドを有する。
スライド板224L、224Rは、例えば、可撓性を有する湾曲可能なプラスティック板により形成されている。スライド板224L、224Rは、それぞれ、左右に延びた2本のスリット(図示せず)を上下に離間して並べて有する。2枚のスライド板224L、224Rは、腰部フレーム210の内面側に以下のようにスライド自在に取り付けられる。
左側のスライド板224Lの左端部に左側の腹部ベルト222Lの基端部が縫い付けられている。右側のスライド板224Rの右端部に右側の腹部ベルト222Rの基端部が縫い付けられている。左側のスライド板224Lの右端部に右側の固定ベルト226Rの基端部が縫い付けられている。右側のスライド板224Rの左端部に左側の固定ベルト226Lの基端部が縫い付けられている。左側のスライド板224Lには、左側の固定ベルト226Lを挿通するためのスリット状の孔225(図20参照)が設けられている。
腰部装具220を組み立てる場合、図21に示すように、まず、腰部フレーム210の背板部211の内側にスライド板224Lを重ね、その内側にスライド板224Rを重ね、その内側に弾性プレート227を重ね、さらにその内側に押えプレート228を重ねる。このとき、弾性プレート227の4つのネジ挿通孔および押えプレート228の4つのネジ挿通孔が2枚のスライド板224L、224Rの2本のスリットに重なるように、4つの部材224L、224R、227、228を位置合わせして重ねる。
そして、押えプレート228の内側から4つのネジ挿通孔に4本のネジピン229をそれぞれ挿通し、腰部フレーム210の背板部211に螺合する。4本のネジピン229は、それぞれ、押えプレート228の4つのネジ挿通孔、弾性プレート227の4つのネジ挿通孔、スライド板224Rのスリット、およびスライド板224Lのスリットに挿通される。これにより、2枚のスライド板224L、224Rが4本のネジピン229によってガイドされて左右にスライド自在な状態で、腰部フレーム210の内面側に取り付けられる。
腰部装具220を体に装着する場合、まず、比較的幅広の2本の腹部ベルト222L、222Rが、スライド板224L、224Rから離間した先端側で互いに重ねられ、人体の前面側でマジックテープにより留められる。この際、2枚のスライド板224L、224Rが左右にそれぞれ独立して移動可能であるため、体型に合わせて腹部ベルト222L、222Rの長さを調節することができる。また、腹部ベルト222L、222Rの先端を重ねてマジックテープで留めた状態で、2枚のスライド板224L、224Rをスライドさせて、腹部ベルト222をわずかに緩めることもできる。
次に、比較的幅の狭い2本の固定ベルト226L、226Rを、腹部ベルト222の外側に巻き付ける。左側の固定ベルト226Lは、スライド板224Lの図示しない孔を介して外側に引き出される。左側の固定ベルト226Lは、スライド板224Lの孔から外側に引き出された後、左側の腹部ベルト222Lの外面に設けたベルト通し222aに挿通されて折り返される。そして、固定ベルト226Lは、制御ユニット210のケースに設けたブラケット222bのベルト孔222cに挿通されて再び前方へ折り返される。さらに、固定ベルト262Lの先端が腹部ベルト222の外面に重ねられてマジックテープで留められる。右側の固定ベルト226Rも、同様に、腹部ベルト222Rのベルト通し222aおよびブラケット222bのベルト孔222cに挿通されて腹部ベルト222の外面に留められる。
このとき、2本の固定ベルト226L、226Rの先端を引っ張って、腹部ベルト222を外側から締め付ける。固定ベルト226を締め付けると、腹部ベルト222が2枚のスライド板224L、224Rの移動を伴ってわずかに縮み腹部に密着する。これにより、比較的幅広の腹部ベルト222がコルセットとして機能し、腰を曲げ難くすることができる。また、固定ベルト226を締め付けることにより、腰部フレーム210を人体の腰部にしっかりと固定することができる。
なお、腰部装具220の押えプレート228のさらに内側に、図示しない弾性パッドが取り付けられる。弾性パッドの外面側には、背板部211に対して着脱自在に貼り付けるためのマジックテープが取り付けられている。このように、マジックテープによって弾性パッドを着脱可能とすることで、弾性パッドを装置200から取り外して洗濯することができる。
以上のように、本実施形態の動作支援装置200によると、腹部ベルト222により腰部フレーム210を人体に装着した後、腹部ベルト222の外側から固定ベルト226を締め付けることにより、腰部フレーム210を腰に密着させてしっかりと固定することができる。また、本実施形態によると、膝上フレーム230に固定した大腿部ベルト251L、251R、および膝部ベルト261L、261Rを大腿部および膝部に装着することにより、膝上フレーム230を大腿部および膝部に密着させてしっかりと固定することができる。このため、腰部フレーム210および膝上フレーム230のズレを防止することができ、装置200をより体にフィットさせることができる。
よって、本実施形態によると、装置200と人体との間の緩みを無くすことができ、人の動きに対する装置200の応答速度を速くすることができ、アシスト力を人体に十分に伝えることができる。また、本実施形態によると、腰部と装置200の間の緩みを無くすことができ、且つ膝部と装置200の間の緩みを無くすことができるため、股関節の動きおよび膝関節の動きをポテンショメータ273a、285によって高精度に検出することができ、ポテンショメータ273a、285による角速度の検出感度を向上させることができる。
また、本実施形態によると、腹部ベルト222により装置200を腰部に装着した後、固定ベルト226により腹部ベルト222を締め付けるため、腰部フレーム210を腰部にしっかりと固定できると同時に、制御ユニット410を人体に締結固定することができる。つまり、固定ベルト226による締め付け力は、スライド板224L、224Rの移動を伴って腹部ベルト222を収縮させ、同時に、制御ユニット410を腹部ベルト222に締め付ける。
例えば、固定ベルト226を締め付けた状態で屈伸してしゃがむと、腹部ベルト222が内側から圧迫されて拡がろうとするが、固定ベルト226が腹部ベルト222の伸びを禁止してコルセット効果を発揮することができ、腰を曲げ難くすることができる。これにより、利用者は、しゃがむときに腰を曲げるのではなく膝を曲げざるを得なくなり、立ち上がる際に装置200によるアシスト力を効果的に人体に伝えることができる。
また、固定ベルト226を締め付けた状態でしゃがんだ場合、固定ベルト226が腹部ベルト222の広がりを禁止することにより、腹部ベルト222を広げようとする力が固定ベルト226の張力として作用し、制御ユニット410の締め付け力がより強くなる。このため、しゃがむ動作では、制御ユニット410が人体に対してズレるよりむしろ人体に密着することになり、違和感を無くすことができる。
また、本実施形態によると、腹部ベルト222を装着して装置200を腰に取り付けた状態で、固定ベルト226を体の前で締め付けるだけで腰部装具220を装着することができるため、腰部装具220の締め具合を容易に調節することができ、利便性を向上させることができる。
また、本実施形態によると、大腿部ベルト251L、251R、および膝部ベルト261L、261Rをやわらかい布製にしたため、捩じれなどの体の複雑な動きに装置200を容易に追従させることができ、利用者にとっても傷みや違和感がない。
また、本実施形態によると、装置200が左右方向に突出する構造物を持たないため、装置200を装着した状態で、比較的狭い空間であっても物にぶつかることなく移動することができ、利便性を向上させることができる。
また、本実施形態によると、図示しない弾性パッドを使用することで、人の体と装置200の密着安定性をより高めることができ、装着時におけるフィット感を増すことができ、違和感を軽減することができる。
また、本実施形態によると、腰部フレーム210を2本の肩掛けベルト370で吊り上げているため、腰部装具220が下方にズレ落ちる不具合を防止することができる。
さらに、本実施形態によると、臀部の近くにフレームやパイプなどの構造体が存在しないため、装置200を装着したまま椅子に座ることができ、装置200を装着した状態でしゃがみこんだり体をひねったりする動作を容易にでき、動作の違和感が無い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上述した実施形態では、膝関節の動きをサポートする動作支援装置100、200に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、腰部をしっかりと支える必要がある他の動作支援装置に本発明を適用することもできる。