JPWO2017195861A1 - 液滴サイズ判別装置及び液滴サイズ判別方法 - Google Patents

液滴サイズ判別装置及び液滴サイズ判別方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、検出信号の液滴サイズ依存性が異なる複数種類の液滴検出器の出力を組み合わせることによって、液滴サイズを簡単かつ短時間で測定することを目的とする。本発明の一実施形態において、図5(a)に示すギャップ幅の狭い検出器は小さな液滴の付着により電極間が導通する。これに対して図5(b)、図5(c)に示すギャップ幅の広い検出器はより大きなサイズの液滴が付着しないと導通しない。これを利用して、液滴サイズの判別を行う。液滴が水の場合には、液滴検出器としてたとえば異種金属電極間に水が付着することで形成される電池によるガルバニ電流を検出するタイプの検出器を使用して良い。

Description

本発明は液滴のサイズを判別することに関し、これに限定されるものではないが、大気中に浮遊していたり、あるいは物体の表面上で結露した微細な水滴等のサイズを判別することができる装置及びそれを用いたサイズ判別方法に関する。
液滴の例として大気中を浮遊あるいは降下等する水滴について考えると、直径(以下特に明記しない限り、液滴のサイズをその直径で表す)が1μm未満の極めて微細な水滴から、10μm程度のもや、10〜100μm程度の霧、100〜300μm程度の霧雨、300〜1000μm程度のしとしと雨、更には通常の雨やスコール等の1mm程度以上のものまで、そのサイズは極めて広い範囲を有する。また、産業上も、純粋な液体あるいは他のガス、液体、固体等を溶解・分散した溶媒や分散媒を噴霧等により細かな液滴として各種の用途に応用することが広く行われている。あるいは、例えば水蒸気が物体表面に接触することで、当該表面上に微細な水滴が結露として現れ、またそれが時間とともに成長あるいは縮小するなどの、物体表面で形成される液滴も存在する。また、空中を浮遊等している液滴が物体表面に付着する場合もある。
液滴を利用する技術分野や、液滴の形成による悪影響を回避することが好ましい技術分野では、液滴のサイズを簡単に求めることが有用となることがしばしばある。しかしながら、従来技術では、例えば水滴の場合に、湿度計を使用して空気中の水の総量というマクロな量を求めることは容易であったが、湿度計の検出部は環境中の水分を吸収した際の力学的・電気的な変化量を測定する構成であるものが多く、液滴のサイズと言うミクロな量を簡単にしかも短時間のうちに求めることは困難であった。例えば、物体表面に付着した液滴のサイズを知りたい場合には、原理的には顕微鏡で観察すればよいが、これではかなりの手間を要するだけではなく、液滴サイズを測定するためにかなりの時間を要するので、実時間測定は非常に困難であり、また測定時間を要したりあるいは測定装置に対象物をセットすることによって、測定中に液滴サイズが変化する場合もある。また、粒度分布計を用いることで、液滴サイズを判別することは可能であるが、粒度分布計は光学系素子を用いるものが多く、装置がデスクトップサイズであることに加えて、固定して使用することを要する。あるいは、浮遊している液滴にレーザー光を照射してその散乱や回折を測定することによっても液滴のサイズを測定することは可能である。しかし、このような測定を行うためには装置が大がかりになってしまうため、液滴サイズを簡単に測定したいという場合や、測定系を非常に小さくする必要がある場合には適用することができない。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解消し、液滴サイズを簡単かつ短時間で判別することを課題とする。
本発明の一側面によれば、液滴サイズと検出出力との間に第1の関係を有する第1の種類の液滴検出器と、前記第1の関係とは異なる第2の関係を有する第2の種類の液滴検出器とを設け、少なくとも前記第1の種類及び前記第2の種類の液滴検出器からの出力信号に基づいて、前記第1の種類及び前記第2の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズを判別する液滴サイズ判別装置が与えられる。
ここで、前記第1の種類の液滴検出器は前記第2の種類の液滴検出器とは異なるサイズの液滴の付着に応答して検出出力を与えてよい。
また、更に前記第1の関係及び前記第2の関係と異なる関係を有する少なくとも一種類の他の種類の液滴検出器を設け、更に前記他の種類の液滴検出器からの出力信号に基づいて前記第1の種類の液滴検出器、前記第2の種類の液滴検出器及び前記他の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズを判別してよい。
また、前記液滴検出器は互いに種類の異なる金属からなる電極の対が間隔を開けて配置されていてよい。
また、前記液滴は水を含んでよい。
本発明の他の側面によれば、少なくとも、液滴サイズと検出出力との間に第1の関係を有する第1の種類の液滴検出器からの第1の検出出力と、前記第1の関係とは異なる第2の関係を有する第2の種類の液滴検出器からの第2の検出出力とに基づいて、前記第1の種類及び前記第2の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズを判別する液滴サイズ判別方法が与えられる。
ここで、前記第1の種類の液滴検出器は前記第2の種類の液滴検出器とは異なるサイズの液滴の付着に応答して前記第1の検出出力を与えてよい。
また、更に前記第1の関係及び前記第2の関係と異なる関係を有する少なくとも一種類の他の種類の液滴検出器からの出力信号に基づいて、前記第1の種類の液滴検出器、前記第2の種類の液滴検出器及び前記他の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズを判別してよい。
また、前記液滴検出器は互いに種類の異なる金属からなる電極の対が間隔を開けて配置されたものを使用して良い。
また、前記液滴は水を含んでよい。
また、前記判別される液滴のサイズは、前記第1の種類及び前記第2の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズの分布であってよい。
また、更に、前記第1の種類及び第2の種類の液滴検出器に単分散の液滴を付着させた場合のそれぞれの出力に基づいて前記判別を行ってもよい。
また、前記単分散の液滴を付着させた場合の出力は、前記単分散の液滴のサイズを所定範囲で変化させた場合の一群の出力を含んでよい。
本発明によれば、液滴サイズを非常に簡単な構成を使用して短時間で判別することができる。
特許文献1に記載された液滴検出器の動作を説明する概念図。 図1に示す構造を有する液滴検出器表面に水滴が付着した際の光学顕微鏡像。 図1に示す構造を有する液滴検出器表面に水滴を噴霧した際の電流応答の経時変化を示す図。 図3に示す電流応答の電流ピークにおける特定の時間でビデオクリップした検出器表面の光学顕微鏡像。 図3に示す電流応答の電流ピークにおける特定の時間でビデオクリップした検出器表面の光学顕微鏡像。 図3に示す電流応答の電流ピークにおける特定の時間でビデオクリップした検出器表面の光学顕微鏡像。 図1に概念的に示した液滴検出器において、付着した液滴サイズと検出出力との関係を異ならせるための手法を説明する概念図。 液滴サイズ判別装置の構成例を示す概念図。 図1に示す構造を有するとともに電極のギャップ幅が異なる2つの液滴検出器の応答の違いを示す図。 図1に示す構造を有するとともに電極のギャップ幅が異なる4つの液滴検出器が基板上に近接して配置されたマルチチャンネル液滴検出器からの4つの応答を重ねて示す図。
本発明の一実施形態によれば、付着した液滴サイズと検出出力との関係が異なる複数の液滴検出器を組み合わせることにより、液滴サイズの判別が行なわれる。このような液滴検出器としては、これに限定するものではないが、例えば所定の間隔を開けて配置された電極対を使用することができる。例えば本願出願人が先に出願した特許文献1においては、絶縁基板上に異種金属の細線を近接配置し、大気中を浮遊している水滴が付着したり、あるいは水蒸気がその表面で凝結することで形成された水滴(以下、簡単のため、水滴が付着するものとして説明するが、もちろん浮遊している水滴が付着する代わりに、水蒸気の凝結により水滴が検出器表面上に形成される場合を排除するものではない。このような検出器上での凝結による液滴の形成も、本願では付着と称する)を検出する乾湿応答センサ(液滴検出器)が開示されている。
ここで、図1に示す概念図を参照しながら、単一の水滴がこれら異種金属細線の間の領域(以下、ギャップとも称する)に付着した場合を考える。図1において、金属A(これに限定する意図はないが、例えば白金、銀、チタン、これらの間の各種の合金から選択された金属、更には本願では炭素もここで使用できる金属の一種として取り扱う)でできた電極とそれとは異なる金属B(これも限定の意図はないが、例えば銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウム、スズ、クロム、モリブデン、マンガン、マグネシウム、あるいはこれらの間の各種の合金から選択された金属)でできた電極との間のギャップに水滴が付着して、両電極に接触すると、[金属A]−[電解質として機能する水]−[金属B]なる構造を有する電池が形成され、両電極間に起電力が発生する。従って、両電極間を電気的に接続することによって、図示したように電流(ガルバニ電流)が流れる。この電流を検出することにより、両電極を跨ぐ形で水滴が存在しているか否かを判別することができる。
ここで注目すべきこととして、単一の水滴がギャップに付着する場合を考えると、水滴のサイズが両電極のギャップの幅よりも小さい場合には明らかに上述した電池の構造([金属A]−[電解質として機能する水]−[金属B])が形成されないため、電極間に起電力が発生せず、従って電流も流れない。これに対して、付着する水滴のサイズがギャップの幅以上である場合には、水滴がギャップのどこに付着するかにより影響されるが、両電極間が当該水滴により接続されることで上述の電池構造が形成されて電流が流れる。換言すれば、単一の水滴が両電極間のランダムな位置に付着する場合には、付着した水滴サイズとギャップの大きさとの間の比の値により決まる確率で両電極間に電池が形成されて電流が流れる。また、この場合には明らかにギャップの大きさが、電流が流れ始めるという意味で水滴サイズの閾値となる。
また、両電極間に流れる電流は、電極を構成する金属の種類及び金属の組み合わせに依存すると考えられる。そこで、本願発明者は、本発明を完成させるにあたり、予備実験1として、電極に用いる金属の組成が両電極間に流れる電流に及ぼす影響について検討した。
実験用液滴検出器として、シリコンウェハー表面をシリカ層で覆ったものを基板とし、その上に異種金属からなる細線(アレー)を電極として交互に並べた対向櫛形構造を有するセンサを作製した。異種金属の組み合わせは、Cu/AuおよびAl/Auの2通りとした。細線電極間隔を0.5〜10μm、電極幅を1μm、電極厚さを0.1μmとし、電極組数を50とした。この検出器を搭載した電流計測器を光学顕微鏡の観察ステージに設置し、ネブライザ(OMRON社/NE−U17、水滴粒径:約1〜8μm)を用いて検出器の表面に水滴を導入して、検出器からの出力信号(電流)を最小測定間隔0.2秒で測定した。検出器表面の観察には、光学顕微鏡(KEYENCE社/VHX−5000)を用いた。
検出器表面に水滴が付着した際の光学顕微鏡像の一例を図2に示す。少なくとも二つの隣り合う電極を水滴が跨ぐ(覆う)ように付着する際に、検出器からの電流応答が得られることが確認された。また、いずれの電極組み合わせおよび電極間隔においても、検出器からの電流応答が得られた。電極組み合わせについては、Cu/Auに比べてAl/Auでは、電流値が最大で約1桁向上した。これはAl/Auの方がCu/Auよりもガルバニ対としての起電力が大きく、検出器表面に付着する水滴の状態が同じ、すなわち電極間の液抵抗が同一と仮定すると、得られる電流が上昇するためと考えられる。なお、出力信号については、水滴の噴霧と乾燥のサイクルを繰り返しても、ほぼ同程度であった。
また、水滴が付着・乾燥した後のセンサ表面において、Cu/Auでは電極間に析出物が観測される一方、Al/Auではほとんど変化が見られなかった。これは電極におけるガルバニ反応の進行に伴い、アノードとなる金属の酸化反応が起こるが、Cuの場合には生成するCu2+の溶解度が比較的大きく、Cu2+イオンがカソード側へ移動するためであると考えられる。一方、Alの場合にはAl3+の溶解度が桁違いに小さく、ほとんど溶解しないために電極間には観測されなかったためと考えられる。
ところで、特許文献1に示されるセンサの応用の一つである大気腐食モニタリング(ACM)センサ分野における先行文献である非特許文献1では、ACMセンサの電極間隔(電極間)の距離とセンサの感度(電流応答)の関係に関する報告がなされている。しかし、非特許文献1で論じられているのはセンサの感度と電極間隔との関係であって、センサに付着する液滴のサイズについては着目されておらず、液滴サイズが変化した場合に感度がどのように変化するかについては考慮の範囲外となっている。
また、特許文献1と類似した外見を有する結露センサが市販され、その説明が非特許文献2に与えられている。しかし、そのPg. 9の「測定原理」の章では単に「金メッキされたくし型電極間に電圧を印加し、センサが濡れた際の抵抗の変化を変換器のコンパレーターで読み取ることで、測定します。」との説明がなされているだけである。すなわち、非特許文献2は検出表面が濡れているかどうかというマクロな観点でしか結露をとらえていない、逆に言えば結露により付着する個々の微小水滴には何の関心も払われていないという点で、本発明とは無関係である。そもそも、ここに示されている結露センサにおける対向電極間のギャップは、このセンサが対象としている水が取り得る微小液滴サイズに比べてかなり大きいものであり(非特許文献2のPg. 12の「8-3. 寸法図」の章に示されている結露センサの各部の寸法からこのギャップ幅を見積もった場合、100μmを下回ることはないと考えられる)、これから考えても、非特許文献2から液滴サイズと検出出力との関係を読み取ることはできないと考えられる。
実際にはギャップに複数個の水滴が付着する場合が普通である。ここで、付着した極めて多数の水滴が検出器表面上で連結してギャップのほぼ全面を濡らした状態になるような極端な場合を除外して考えれば、大気から検出器表面に付着する水滴サイズ(正確には表面上での水滴の成長を考えない、付着当初のサイズ)を次第に大きくしていくと、水滴サイズがギャップ幅よりもある程度小さい段階で水滴の融合によるサイズ増大の影響で電流が流れ始め、水滴サイズがギャップ幅を越えてもしばらくの間は電流が増大し続ける。なお、ここでは付着する水滴の個数や一旦付着した水滴のサイズの時間変化は考えない。従って、この検出器では水滴のサイズと検出出力(電流)との間にある関数関係が成立する。
ここで、本願発明者は、上記関数関係を確認するための予備実験2として、液滴検出器に微小水滴が接触した際の検出器の表面状態の観察と、その際の検出器からの電流応答とのその場(in−situ)計測を行った。
実験用液滴検出器として、上記予備実験1と同様の対向櫛形構造を有するセンサを作製した。異種金属の組み合わせは、Cu/AuおよびAl/Auの2通りとした。細線電極間隔を0.5〜10μm、電極幅を1μm、電極厚さを0.1μmとし、電極組数を50とした。この検出器を搭載した電流計測器を光学顕微鏡の観察ステージに設置し、ネブライザ(OMRON社/NE−U17、水滴粒径:約1〜8μm)を用いて検出器の表面に水滴を導入して、検出器からの出力信号を最小測定間隔0.2秒で測定した。なお、ネブライザの噴霧出口にはシャッターを設け、このシャッターを3秒間開いた後に閉じる過程を2分毎に5回繰り返した。検出器表面の観察には、光学顕微鏡(KEYENCE社/VHX−5000)を用い、動画撮影(フレームレート:30fps)を行った。
検出器の表面に水滴を噴霧した際の電流応答の経時変化を図3(a)に示す。ネブライザのシャッターの開閉に伴う検出器表面への水滴の導入に対応して、電流応答が生じることが分かった。また、出力信号は時間経過に対し、同様なピーク形状を示した。そのうちの一つのピーク(試験時間:470〜520秒)を図3(b)に拡大して示す。これより、出力信号の発生はシャッターの開動作の直後に起こるが、シャッターの閉動作と出力信号の消滅のタイミングは一致していないことが分かった。また、出力信号は急激に上昇した後、時間とともに徐々に減衰することも分かった。この電流ピークにおける特定の時間でビデオクリップした検出器表面の光学顕微鏡像を図4A〜図4Cに示す。なお、シャッターを開いた480.0秒の時点から1.0秒後に出力信号が増加し始め、同時に検出器表面に水滴が観測された。このタイムラグについては、シャッターから検出器表面までの距離によるものと考えられる。また、出力信号がピークを示す481.8秒においても検出器表面上に水滴が観測されているが、最も多くの個数の水滴が観測されるのは488.8秒であった。さらに、観測される水滴は時間の経過とともに減少し、512.0秒において完全に消失した。
これらの結果から、検出器表面への水滴の接触に伴う水滴形状と出力信号の関係は以下のように推測される。
1)検出器表面への水滴の付着により、出力信号が検出されるが、律速過程が水滴の核生成から核成長へと移行するために、水滴の個数が減少するとともに、1個の水滴が大きくなるため、出力信号はピーク形状を示す。なお、図3(b)に示すピーク形状は、水滴の核生成とその後の核成長によるものだけでなく、溶存酸素の消費とその後の溶解も寄与していると考えられる。
2)水滴の粒子径が小さくなるとともに、出力信号が減少する。
3)水滴の消失とともに出力信号が消滅する。
一方、この種の検出器を使用する場合、単一の種類の検出器では水滴サイズの判別は厳密な意味では不可能あるいは困難である。なぜなら、十分大きな出力(電流)が検出された場合にはその電極間のギャップ以上のサイズの水滴が付着したことがわかるが、出力が検出されないという事態については、水滴のサイズが充分小さいか、あるいはそもそも水滴がギャップに何も付着していないかの二通りの場合が対応するため、必ずしもギャップよりも小さなサイズの水滴が付着していることを意味しないからである。
従って、本発明の一実施形態では、単一の種類の液滴検出器を使用する代わりに、付着した液滴サイズと検出出力との関係が異なる複数の種類の液滴検出器を組み合わせる。この構成を取ることにより、例えば相対的に小さなサイズの液滴の付着でも検出出力が立ち上がる第1の種類の液滴検出器には検出出力が現れるが、相対的に大きなサイズの液滴で初めて検出出力が得られる第2の種類の液滴検出器には検出出力が現れない場合には、これらの液滴検出器上には確かに液滴が付着しており、そのサイズは第1の種類の液滴検出器の検出限界以上で且つ第2の種類の液滴検出器の検出限界未満であるとの判別を行うことができる。
更には、単一の液滴検出器を使用した測定では、液滴サイズ以外の要因(例えば気温や液滴中に含まれる塩類等の不純物の濃度、あるいはこれらの検出器に対して単位時間に与えられる液滴の量等。外乱とも言う)によって検出器の出力が大きな影響を受ける場合があり、それが液滴の検出結果にも影響を与えかねない。これに対して、複数の液滴検出器を使用した場合には、上記外乱が夫々の検出器の出力に与える影響の検出器間での相互の関係(例えば比例関係にある、差が一定、互いに逆方向の出力変動が起きる等)を事前に把握しておくことで、最終的な判別結果に対するそれらの影響を排除あるいは軽減することも可能となる。もちろん、これらの要因の値を測定等により別途求めて(例えば温度計の設置等)、それ単独で、あるいは上述したところの当該要因が複数の液滴検出器出力にもたらす相互関係と組み合わせることで、判別処理の精度を上げることもできる。もちろん、各種の外乱の悪影響の排除・軽減のために各種の測定でしばしば採用される手法である、標準的な(既知の)測定対象をこれらの測定機に与えて測定する較正処理を行うこともできる。
液滴検出器において付着した液滴サイズと検出出力との関係を異ならせるためには、図1に概念的に示した液滴検出器においては、図5に概念的に示すように電極間のギャップ幅を変更すればよい。図5(a)は相対的に小さなギャップ幅を有する液滴検出器にこのギャップ幅より僅かに大きなサイズの水滴を付着させた状態を示す。この状態では[電極A]−[水滴]−[電極B]なる構造は電池を形成しており、両電極間に電流が流れる。これに対して、図5(a)に示す水滴のサイズよりも大きなギャップ幅を有する液滴検出器では、図5(b)に示すように、同じ液滴を付着させてもこの水滴は電極Aと電極Bの間を接続(ブリッジとも言う)できないため、電池は形成されず、電流は流れない。図5(b)に示すところの相対的に大きなギャップ幅を有する液滴検出器が電池を形成して電流が流れるようにするためには、図5(c)に示すように、図5(a)に示すよりも十分に大きな水滴を付着させる必要がある。従って、上述の第1の液滴検出器及び第2の液滴検出器として、例えば図5(a)に示す液滴検出器及び図5(b)、(c)に示す液滴検出器を夫々使用することができる。
なお、ここで「付着した液滴のサイズ」と言う場合、付着した時点の液滴サイズではなく、近接位置に付着した他の液滴との融合や既存の液滴の上に他の液滴が新たに付着することによる融合、あるいは大気中に存在する蒸気の吸収による液滴の成長、更には逆に付着した液滴の蒸発による液滴の縮小により変化することがある液滴の現時点のサイズのことを言うと理解する必要がある。また、この観点から、液滴サイズ判別装置を用いて、付着した液滴のサイズの時間変化を観測することもできる点に注意する必要がある。
本発明の一実施形態の液滴サイズ判別装置の構成例の概念図を図6に示す。図6に示す液滴サイズ判別装置においては、付着した液滴サイズと検出出力との関係が互いに異なる第1の液滴検出器及び第2の液滴検出器が基板上に近接して設置されている。基板上に設置されたこれらの液滴検出器に対して例えば大気が供給される。大気中に含まれている液滴、あるいは大気中に含まれている蒸気の結露により生成される液滴がこれらの検出器に付着する。その結果現れる検出出力をデータ処理装置(図示せず)へ導入し、上で説明した液滴サイズの判別処理を行う。第1及び第2の液滴検出器が上で例示したような図1に示す原理で動作するものである場合、これらの液滴検出器毎に液滴サイズと電流値の関係を示す表を記録しておくことで、判別処理を実現することができる。また、上述したところの各種の外乱が判別結果に与える影響を排除・軽減するための処理も、データ処理装置に行わせることができる。
なお、上の説明は、例えば空中に漂っている液滴が検出器表面に付着する場合を考えると、そのような液滴がある割合(個数/単位時間)で液滴検出器表面に付着していき、また水のような揮発性の液滴の場合は周囲の蒸気圧にもよるが一旦付着した液滴が消滅することもある。また、付着している液滴の増加と消滅とがバランスしている場合にはある平衡状態を維持することもある。従って、液滴検出器からの信号は時間変化する信号として観測される場合もあることに注意する必要がある。しかしながら、このような場合であっても上に説明した本発明の原理等に影響を与えるものではない。
なお、液滴検出器表面に極めて大量の液滴が浮遊した気体を吹き付ける等により当該表面に大量に液滴が付着した場合には、これら付着した液滴同士が融合することによって液滴検出器表面に連続した液体の膜が形成されることもあり得る。しかし、このような極端な場合を除けば、本発明に基づいて液滴サイズ判別を行う際には、上述した平衡状態が現れている場合でも、通常は液滴検出器表面には液滴が比較的まばらに散在している状態であることが多い。
また、上の説明は液滴サイズと検出出力との関係が異なる2種類の液滴検出器を使用した場合に関するものであるが、当該関係が異なる検出器の種類を3種類以上図6に示す基板上に配置するなどして使用した場合には、液滴サイズをもっと細かく判別することができる。なお、上でも言及したが、液滴サイズと検出出力との関係は必ずしもオン/オフの二値的な関係になるわけではない。例えば図1に概念図を示す形式の液滴検出器の場合には、液滴サイズがギャップと同じかあるいはギャップよりもやや大きい場合には液滴の付着位置がギャップ幅の丁度中央の場合には電池が形成されるが、中央からずれた場合には電極Aと電極Bの一方にしか液滴が接触しないために電池が形成されず、電流が流れないことになる。また、電池が形成された場合であっても、液滴が電極A、Bの少なくとも一方ときわめてわずかしか接触していない場合には形成される電池の内部抵抗が大きくなるため、流れる電流値は小さくなる。従って、複数の検出器からの出力を組み合わせることにより、使用される検出器の種類よりも多くの段階の(あるいは連続的な)サイズ判別を行うことが可能であることに注意されたい。
また、現実の液滴は、程度の差があるとは言え、通常は単分散粒子にはならず、サイズの分布がある広がりを持つと考えられる。このような場合でも、液滴検出器の出力からサイズの分散を見積もることができる。例えば、後述の実施例において言及するように、サイズの異なる液滴が電極を跨ぐように付着した場合には、液滴の乾燥に伴う縮小の速度がサイズにより異なり、従って電流値の時間に対する減衰速度が異なる。液滴サイズの分布・分散を考えるということは、通常は、液滴検出器にサイズの異なる多数の液滴が付着することを想定している。従って、これらの液滴のそれぞれがその乾燥によるサイズ縮小を反映した検出信号を発生し、それらをまとめたものが液滴検出器の検出出力の時間変化として観測される。このような検出出力の変化を統計的に解析することによって、液滴サイズの分布を見積もることが可能となる。このようなサイズ分布の見積もり、つまり推定もサイズ判別の一種であると考えることができる。
このような液滴サイズ分布の見積もり、推定を行う際の一つの考え方として、液滴検出器からの出力信号の時間変化は基本的には試料中に含まれている液滴の個々のサイズの液滴に対する液滴検出器の出力信号をサイズ分布の範囲全体について合成したもので近似できるとみなすことができる。このような液滴サイズごとの出力の重ね合わせで出力全体が近似できるという「重ね合わせの原理」の適用は、特に液滴が液滴検出器表面に比較的低密度で付着している(つまり、異なる液滴サイズに基づく出力相互の影響が少ない)場合に高い精度の近似を与えることができる。このような線形性に基づく考え方に従えば、逆に異なるギャップ幅を有する複数の液滴検出器からの出力信号に基づいて測定対象の試料中の液滴サイズ分布を容易に推定することができる。ここで、上述の推定に使用するための液滴サイズごとの出力信号(一般的に表現すれば、液滴サイズから出力信号の時間変化の関数を与える関数)は、含まれる液滴のサイズ分布が単分散である、あるいは求められる推定精度の点から単分散とみなすことができる液滴サイズ分布を有する液滴(本願では両者を併せて単分散の液滴、液滴が単分散である等と称する)を含む気体を所定の条件で液滴検出器に吹き付けることで実測してもよいし、あるいは妥当と考えられるモデルに基づいて計算で求めることも可能である。また、この種の計算と実測とを併用することもできる。もちろん、このような線形性を仮定せずに液滴サイズ分布を推定することもできる。
上で述べたような推定を行うに当たっては統計学などの分野で広く知られている各種の手法を利用できるので、本明細書ではこれ以上の具体的な説明は省略する。
上述したような液滴サイズ分布の推定に当たって、複数の液滴検出器からの出力信号の全体を使用してもよいが、これでは推定のための計算量が多くなりすぎるという場合には、出力信号波形中でサイズ分布を良く反映すると考えられる特定の特徴(パラメータ)だけに着目することもできる。このような特徴を非限定的に例示すれば、出力信号の勾配、立ち上がりの時間遅れ、ピークに到達するまでの時間、ピーク時の出力値などがある。
なお、以下の2つの実施例では、図7及び図8を参照するとわかるように、液滴検出器のギャップ幅が大きいほど出力電流値が小さくなるという傾向がみられる。しかし、これは必ずしもあらゆるサイズの液滴と液滴検出器との組み合わせに対して共通にみられる傾向ではない。例えば、本願発明者の実験によれば、2番目の実施例で使用したマルチチャンネル液滴検出器に対して10μm以上のサイズの水滴を多数含む水滴を3秒間噴霧してから乾燥させるというサイクルを繰り返したところ、ギャップ幅10μmの液滴検出器からの出力の定常状態(ピーク)出力の方が他の液滴検出器からの対応する出力よりも大きくなるという結果が得られた。したがって、ピーク時の出力あるいはピーク時の出力とギャップ幅との関係も液滴サイズ分布の影響を受けるパラメータであることが確認できている。
また、通常の液滴検出器の検出出力変化は液滴サイズに線形ではなく、特定のサイズの近傍だけ高い感度を有すると考えられる。例えば、図1に示すタイプの液滴検出器では、電極のギャップ幅の値の近傍でサイズを変化させた場合に大きな検出出力変化を起こす。本発明の構成では付着した液滴サイズと検出出力との関係が互いに異なる複数の種類の液滴検出器を使用するため、液滴サイズの分散が大きい場合でも高い分解能でその分散を見積もることが可能となる。なお、検出器に付着している液滴への空気中からの液体成分の凝結や逆に液滴からの蒸発による液滴サイズの増大・縮小には、検出器近傍の空気の温度やその中の当該液体成分の蒸気圧、また検出器自体の温度が影響を与える。そこで、これらの温度や蒸気圧を測定する温度計、蒸気圧計(水の場合は湿度計)を検出器に組み込んだりまたその近傍に設置してこれらの検出出力も利用することで、液滴サイズの分散をより正確に見積もることも可能である。
ここまでの説明では、液滴を構成する液体は電解液などの導電性の液体である具体例を使用してきた。しかし、空中を浮遊したり、あるいは何らかの原因で物体表面に付着する液滴としては、例えば油の微粒子など、導電性をほとんど持っていないものもある。本発明の液滴サイズ検出は液滴の導電性・非導電性を問わず適用可能である点に注意する必要がある。例えば、油等の導電性を持たない液滴を帯電させることや計測対象を電流から電気容量に変えることなどで、液滴検出器の検出対象を導電性がほとんどない液滴とすることが可能なので、このようなタイプの液滴検出器を使用すれば導電性のほとんどない液滴のサイズ判別を行うことができる。
以下、図1に原理を示した液滴検出器であって電極間のギャップ幅が異なるものを組み合わせることで液滴サイズ判別装置を構成することができることを、より具体的に説明する。そのための実施例として、電極のギャップ幅が異なっていること以外は同じ構造の2種類の液滴検出器を実際に作製した。そして、これら液滴検出器が液滴サイズと検出出力との関係が異なる2種類の液滴検出器として実際に動作することを検証した。従ってこれらの液滴検出器を組み合わせた液滴サイズ判別装置により液滴サイズ判別を行うことが可能となる。
具体的には絶縁基板上に電極のギャップ幅を1μmとした図1に示す構造の液滴検出器及び20μmの同構造の液滴検出器を夫々作製した。これら2種類の液滴検出器においては、A電極同士及びB電極同士は同じ金属を使用するなど、ギャップ幅の大きさ以外は同一の材料・構造とした。ここではA電極の材料として金を、B電極の材料として銅を使用した。なお、図1ではA電極及びB電極は一対の電極であるように図示してあるが、これはあくまで概念的な構造であり、本実施例のこれらの電極は、特許文献1に示したように、多数の金属の平行な細線を隣接する細線同士がA電極とB電極となるように構成した、いわゆる櫛形電極構造とした。具体的にはA電極及びB電極用の細線(電極線)は夫々50本とした。もちろん、A電極とB電極との組み合わせの形状は櫛形電極状に限定されるものではなく、例えば二重渦巻き状など、両電極が長い距離に渡って近接する形状とすることが、感度向上の点から好ましい。
このようにして構成した液滴サイズ判別装置に対して人間の呼気を連続的に吹きかけた。水蒸気を大量に含むとともに37℃程度に維持されている肺中の空気が外気に触れることによって、呼気中には非常に微細な水滴が形成されるが、このような水滴を含んだ呼気を基板上で近接した位置にある2種類の液滴検出器に接触させることにより、これらの液滴検出器表面には実質的に同じサイズの液滴が実質的に同じ密度で付着すると考えられる。図7(a)及び(b)に、ギャップ幅が1μm及び20μmの液滴検出器からの出力信号(電流)の時間変化をそれぞれ示す。図7からわかるように、電極のギャップ幅が小さい場合(図7(a))には短時間(1秒以内)で電流応答が見られたが、ギャップ幅が大きい(図7(b))と電流応答が見られるまでに長時間(15秒程度)を要した。また、電流の上昇および下降の傾きは、ギャップ幅が大きい方が緩やかになった。なお、この測定に当たっては、出力信号がピークに達した時点で呼気の吹きかけを打ち切った。これにより、図7(a)、(b)の何れのグラフでも、出力信号がピークに達すると、その後あまり間隔を置かずにピーク値からの低下に転じるという時間変化が起こっている。
この測定結果から確認できたこととして、電極のギャップ幅が小さいときには、小さい液滴サイズでも対向する2つの電極(A電極とB電極)を跨ぐことで接続する(ブリッジする)ため、ごく少数(1個の場合もある)の液滴がギャップに付着するだけで電流が流れる。一方、同じ粒径でもギャップ幅が大きい場合には、1個の液滴だけでは電極間をブリッジできず、付着した水滴がそれに隣接して付着した他の水滴と融合したりあるいは呼気中に残存した水蒸気を得て成長する等により大きくなり、電極をブリッジできるようになるまでに時間を要する。また、水滴のサイズ増大および乾燥に伴う液滴サイズの縮小には時間依存性があるため、ギャップ幅が大きい方が電流の上昇・下降の傾きは緩やかになる。もちろん、これは液滴の融合や成長が可能な状況、すなわち多数の液滴やその蒸気の継続的な供給、が行なわれた場合の現象である。比較的少数の液滴を短時間供給するなど、液滴の成長を実質的に無視できる場合には、図7(b)の出力電流はほとんど観測されないことになる。
本発明の別の実施例である、4種類のギャップ幅(0.5μm、1μm、5μm及び10μm)を有する液滴検出器が基板上に近接して配置したマルチチャンネル液滴検出器を使用した液滴サイズ判別装置を作製した。ここで、個々の液滴検出器をチャンネルと呼んでいる。本実施例ではギャップ幅の異なる4つのチャンネルが設けられている。図8に、本装置のマルチチャンネル液滴検出器に対して図7に示した測定と同様に人間の呼気を吹きかけた際に得られた、各チャンネルからの出力信号(電流)の時間変化のグラフを示す。ただし、図7とは異なり、電流測定開始時刻から3秒弱経過後に呼気の吹き付けを開始した。
図7にその結果を示した測定でも同様であるが、呼気中に浮遊している水滴のサイズは極端に大きなものはないが、単分散ではなく、ある程度の範囲にわたって分布している。このような試料が与えられた場合の液滴検出器の出力は、図5のモデルを使用して単分散の液滴を与えた場合について想定される出力に比べて、サイズ分布に従って変化するが、基本的にはブロードなものとなることに注意されたい。
なお、図7においては、図7(a)に示すギャップ幅1μmが呼気の吹き付け開始後ほとんど時間遅れなしで出力電流が立ち上がるのに対して、図7(b)に示すギャップ幅20μmの場合にはかなりの遅れが見られた。これに対して、本実施例では、図8に示すように最大ギャップ幅10μmのチャンネルの出力もこのような時間遅れはほとんど見られなかった。本実施例でこのように何れのチャンネルでも時間遅れがほとんど見られなかったのは、吹き付けられた呼気中の水滴サイズ分布が10μm程度あるいはそれよりも大きなサイズまで広がっていたためであろうと考えられる。もちろん、呼気中の水滴のサイズ分布には個人差があり、また同じ人間の呼気の場合であっても体温などの体調、外気温、呼気の流速等の様々な条件で多様に変化すると考えられるので、条件を変えて同じ実験を行うと、図8に示したものとは異なる結果が出る可能性があることに注意されたい。
しかしながら、すでに説明したように、液滴のサイズがある範囲に分布している場合のそれぞれのチャンネルの出力信号の時間変化は基本的には試料中に含まれている液滴の個々のサイズの液滴(換言すれば単分散の液滴)に対する当該チャンネルの出力信号をサイズ分布の範囲全体にわたって合成、すなわち重ね合わせたものとして近似できることから、逆にこれら複数のチャンネルからの出力信号に基づいて測定対象の試料中の液滴サイズ分布を推定できる。
例えば、図8に示された各種のギャップ幅の液滴検出器からの出力の変化の態様を比較すると、ギャップ幅が大きくなるにつれて電流の立ち上がりが緩慢になり、従ってギャップ幅が小さい液滴検出器からの出力の方が短時間でピークに到達することがわかる。このように、例えば出力信号の傾斜やピークに到達するまでの所要時間、あるいは上に述べたような吹き付け開始時点から出力が立ち上がるまでの時間遅れなどがギャップ幅により異なり、またここで使用している液滴検出器の動作原理から考えてこれが液滴サイズ分布の影響を受けることは当然であるから、このような出力の時間変化カーブ上の各種の特徴量を使用することで、上記液滴サイズ分布推定が可能となることが理解できるであろう。
また、上で説明したようなマルチチャンネルの液滴検出器を1ヶ所だけではなく液滴を含有した気体の複数の流路に沿ってそれぞれ配置すれば、液滴サイズ分布の推定の精度をさらに向上させることができる。
もちろん、このようなマルチチャンネルの液滴検出器を単分散の、あるいはそれに近い液滴サイズ分布を持つ試料に対して使用することができる。その場合には、チャンネル数に応じた分解能で液滴サイズの判別を高精度で行うことができる。
以上詳細に説明したように、本発明によれば液滴のサイズを簡単に判別することが可能となるため、液滴を取り扱う多くの技術分野への応用が期待される。
国際公開2016/013544
Engaji et al, Toyota Tech. rep., 40(1987) p.57. 英弘精機株式会社 結露検知器 MH-045 取扱説明書Ver. 2(発行年不明)

Claims (13)

  1. 液滴サイズと検出出力との間に第1の関係を有する第1の種類の液滴検出器と、
    前記第1の関係とは異なる第2の関係を有する第2の種類の液滴検出器と
    を設け、
    少なくとも前記第1の種類及び前記第2の種類の液滴検出器からの出力信号に基づいて、前記第1の種類及び前記第2の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズを判別する
    液滴サイズ判別装置。
  2. 前記第1の種類の液滴検出器は前記第2の種類の液滴検出器とは異なるサイズの液滴の付着に応答して検出出力を与える、請求項1に記載の液滴サイズ判別装置。
  3. 更に前記第1の関係及び前記第2の関係と異なる関係を有する少なくとも一種類の他の種類の液滴検出器を設け、
    更に前記他の種類の液滴検出器からの出力信号に基づいて前記第1の種類の液滴検出器、前記第2の種類の液滴検出器及び前記他の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズを判別する、請求項1または2に記載の液滴サイズ判別装置。
  4. 前記液滴検出器は互いに種類の異なる金属からなる電極の対が間隔を開けて配置されている、請求項1から3の何れかに記載の液滴サイズ判別装置。
  5. 前記液滴は水を含む、請求項1から4の何れかに記載の液滴サイズ判別装置。
  6. 少なくとも、
    液滴サイズと検出出力との間に第1の関係を有する第1の種類の液滴検出器からの第1の検出出力と、
    前記第1の関係とは異なる第2の関係を有する第2の種類の液滴検出器からの第2の検出出力と
    に基づいて、前記第1の種類及び前記第2の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズを判別する
    液滴サイズ判別方法。
  7. 前記第1の種類の液滴検出器は前記第2の種類の液滴検出器とは異なるサイズの液滴の付着に応答して前記第1の検出出力を与える、請求項6に記載の液滴サイズ判別方法。
  8. 更に前記第1の関係及び前記第2の関係と異なる関係を有する少なくとも一種類の他の種類の液滴検出器からの出力信号に基づいて、前記第1の種類の液滴検出器、前記第2の種類の液滴検出器及び前記他の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズを判別する、請求項6または7に記載の液滴サイズ判別方法。
  9. 前記液滴検出器は互いに種類の異なる金属からなる電極の対が間隔を開けて配置されている、請求項6から8の何れかに記載の液滴サイズ判別方法。
  10. 前記液滴は水を含む、請求項6から9の何れかに記載の液滴サイズ判別方法。
  11. 前記判別される液滴のサイズは、前記第1の種類及び前記第2の種類の液滴検出器に付着した液滴のサイズの分布である、請求項6から10の何れかに記載の液滴サイズ判別方法。
  12. 更に、前記第1の種類及び第2の種類の液滴検出器に単分散の液滴を付着させた場合のそれぞれの出力に基づいて前記判別を行う、請求項11に記載の液滴サイズ判別方法。
  13. 前記単分散の液滴を付着させた場合の出力は、前記単分散の液滴のサイズを所定範囲で変化させた場合の一群の出力を含む、請求項12に記載の液滴サイズ判別方法。
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