JPWO2017183382A1 - 車両用合わせガラス - Google Patents

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Abstract

本発明の車両用合わせガラスは、内側ガラス板と外側ガラス板が有機樹脂中間層により一体化された車両用合わせガラスにおいて、内側ガラス板と外側ガラス板が、曲面形状を有し、内側ガラス板が、表面に圧縮応力層を有する化学強化ガラスであり、内側ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO240〜75%、Al2O310〜30%、B2O30〜20%、Na2O 10〜25%を含有し、徐冷点が700℃以下、且つ軟化点が900℃以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、車両用合わせガラスに関し、特に自動車のフロントガラスに好適な車両用合わせガラスに関する。
自動車のフロントガラスには、2枚のガラス板が有機樹脂中間層を介して一体化された合わせガラスが用いられている。合わせガラスは、ガラス板の一部が破損しても良好な視界を確保することができ、また事故発生時にガラス板が割れたとしても、有機樹脂中間層の伸縮性により、搭乗者が車外へ飛び出すことを防止し得るという利点がある。
例えば、特許文献1には、エアバッグが展開した時に中間層の破断を防止するために、内側ガラス板の厚さに対する外側ガラス板の厚さの比を0.6以上0.9以下とする合わせガラスが開示されている。また、特許文献2には、防犯性等を高めるために、内側ガラス板と外側ガラス板の厚さの差を1.0mm以上とし、内側ガラス板の板厚を外側ガラス板の板厚よりも大きくした合わせガラスが開示されている。
特開2003−55007号公報 特開2001−39743号公報
近年、自動車業界においては、環境的観点から、車体の軽量化により燃費を高めることが強く求められている。これにより、自動車関連の部品の軽量化が今まで以上に求められている。合わせガラスへの要求もその例外でない。合わせガラスの軽量化を図る場合、ガラス板の薄型化が有効であるが、その実現は、安全性等の観点から容易ではない。そこで、合わせガラスの薄型化を図るために、ガラス板として、薄い物理強化ガラスを用いることが想定される。
しかし、薄い物理強化ガラスでは、加熱処理の際に表面と内部に温度差を形成し難いため、圧縮応力層の圧縮応力値を大きくすることが困難である。結果として、合わせガラスの強度を維持し難くなる。更に、人体に近い場所に物理強化ガラスを設置した場合、物理的衝撃により物理強化ガラスが粒状に破損し、その細かい破片が眼球等を損傷させる虞がある。
また、自動車のフロントガラス等には、曲面形状を有する合わせガラスが使用される。曲面形状を有する合わせガラスを作製する場合、内側ガラス板と外側ガラス板のそれぞれについて、熱処理により曲面加工を行った後に、積層一体化される。この場合、内側ガラス板と外側ガラス板が軟化変形し難いと、内側ガラス板と外側ガラス板を高精度に軟化変形させることができず、両者の積層一体化を適正に行うことが困難になる。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、高強度と薄型化の両立が可能であり、且つ曲面加工性に優れる車両用合わせガラスを創案することである。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、合わせガラスの内側ガラス板として、低軟化特性を有する化学強化ガラスを用いることにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の車両用合わせガラスは、内側ガラス板と外側ガラス板が有機樹脂中間層により一体化された車両用合わせガラスにおいて、内側ガラス板と外側ガラス板が、曲面形状を有し、内側ガラス板が、表面に圧縮応力層を有する化学強化ガラスであり、内側ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜75%、Al 10〜30%、B 0〜20%、NaO 10〜25%を含有し、徐冷点が700℃以下、且つ軟化点が900℃以下であることを特徴とする。ここで、「内側ガラス板」は、車内側に配置されるガラス板を指し、「外側ガラス板」は車外側に配置されるガラス板を指す。なお、合わせガラスが3次元的に湾曲した曲面形状を有する場合、曲率半径が小さいガラス板が内側ガラス板になり、曲率半径が大きいガラス板が外側ガラス板になる。「徐冷点」は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値を指す。「軟化点」は、ASTM C338の方法に基づいて測定した値を指す。
本発明の車両用合わせガラスは、内側ガラス板を化学強化ガラスとしている。これにより、板厚が小さくても強度を維持し得ると共に、破損時に粒状のガラス片が車内側の人体に損傷を与える危険性を低減することができる。
更に、本発明の車両用合わせガラスは、上記のようにガラス組成範囲を規制しつつ、徐冷点を700℃以下、且つ軟化点を900℃以下に規制している。これにより、イオン交換性能を高めつつ、低軟化特性を付与することが可能になる。結果として、曲面形状を有する内側ガラス板の強度と寸法精度を高めることができる。
図1は、本発明の車両用合わせガラスを説明するための概略図である。車両用合わせガラス10は、化学強化ガラスからなる内側ガラス板11と、外側ガラス板12と、内側ガラス板11と外側ガラス板12の間に挟まれる有機樹脂中間層13と、を備えている。そして、車両用合わせガラス10は、外側ガラス板12側を凸として、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲している。
第二に、本発明の車両用合わせガラスは、内側ガラス板の板厚が1.5mm以下であることが好ましい。
第三に、本発明の車両用合わせガラスは、内側ガラス板の表面の圧縮応力層の圧縮応力値が350MPa以上であり、且つ応力深さが20μm以上であることが好ましい。ここで、「圧縮応力値」及び「応力深さ」は、表面応力計(例えば、折原製作所社製FSM−6000)を用いて、干渉縞の本数とその間隔を観察することで算出したものである。
第四に、本発明の車両用合わせガラスは、外側ガラス板が、ソーダライムガラスであることが好ましい。
第五に、本発明の車両用合わせガラスは、有機樹脂層が、エチレン酢酸ビニル共重合体又はポリビニルブチラールで構成されることが好ましい。
第六に、本発明の車両用合わせガラスは、自動車のフロントガラスに用いることが好ましい。
本発明の車両用合わせガラスの一例を示す概略図である。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、内側ガラス板は、表面に圧縮応力層を有している。このようにすれば、内側ガラス板の強度が向上し、合わせガラスの強度も向上する。
ガラス表面に圧縮応力層を形成する方法として、物理強化法と化学強化法があるが、本発明では、内側ガラス板が化学強化ガラスである。化学強化法は、ガラスの歪点以下の温度でイオン交換によりガラス表面にイオン半径が大きいアルカリイオンを導入する方法である。化学強化法であれば、ガラス板の板厚が小さい場合でも、圧縮応力層を適正に形成することができる。
内側ガラス板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜75%、Al 10〜30%、B 0〜20%、NaO 10〜25%を含有する。上記のように、各成分の含有範囲を規制した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、特段の断りがある場合を除き、質量%を表す。
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分である。SiOの含有量は40〜75%であり、好ましくは50〜70%、53〜65%、55〜63%、特に55〜60%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合し難くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、曲面加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、成型金型の劣化が促進する虞がある。
Alは、イオン交換性能を高める成分であり、また歪点やヤング率を高める成分である。Alの含有量は10〜30%であり、Alの好適な上限範囲は19%以下、18%以下、17%以下、特に16.5%以下であり、好適な下限範囲は11%以上、12%以上、特に13%以上である。Alの含有量が少な過ぎると、イオン交換性能を十分に発揮できない虞が生じる。一方、Alの含有量が多過ぎると、ガラスに失透結晶が析出し易くなり、成形性が低下し易くなり、特にオーバーフローダウンドロー法等でガラス板を成形し難くなる。また熱膨張係数が低下し過ぎて、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合し難くなったり、曲面加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、成型金型の劣化が促進する虞がある。
は、軟化点を低下させる成分であり、また液相温度、高温粘度、密度を低下させる成分である。しかし、Bの含有量が多過ぎると、イオン交換によって表面にヤケが発生したり、耐水性やイオン交換性能が低下し易くなる。よって、Bの上限範囲は10%以下であり、好ましくは9%以下、8%以下、特に7%以下である。なお、Bの含有量が少な過ぎると、曲面加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、成型金型の劣化が促進する虞がある。よって、Bの下限範囲は0%以上であり、好ましくは0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、特に5%以上である。
NaOは、イオン交換性能を高める成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。更に耐失透性を改善する成分である。NaOの含有量は10〜20%であり、好ましくは10〜18%、12〜18%、13〜17%、特に12〜15%である。NaOの含有量が少な過ぎると、曲面加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、成型金型の劣化が促進する虞がある。更に溶融性が低下したり、熱膨張係数が低下し過ぎたり、イオン交換性能が低下し易くなる。一方、NaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合し難くなる。
Al+B+NaOの含有量は、好ましくは18%以上、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、特に25%以上である。このようにすれば、イオン交換性能と曲面加工性を両立させ易くなる。ここで、「Al+B+NaO」は、Al、B及びNaOの合量を指す。
質量比Al/NaOは、好ましくは0.75〜2、0.85〜1.7、0.9〜1.5、特に0.95〜1.3である。また、質量比(Al+B)/(B+NaO)は、好ましくは0.75〜2、0.85〜1.7、0.9〜1.5、特に0.95〜1.3である。このようにすれば、イオン交換性能と曲面加工性を両立させ易くなる。ここで、「Al+B+NaO」は、Al、B及びNaOの合量を指す。ここで、「Al+B」は、AlとBの合量である。また、「B+NaO」は、BとNaOの合量である。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を導入してもよい。
LiOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分であると共に、ヤング率を高める成分である。更にLiOは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力値を高める効果が大きいが、NaOを5%以上含むガラス系において、LiOの含有量が極端に多くなると、かえって圧縮応力値が低下する傾向がある。また、LiOの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下して、ガラスが失透し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。よって、LiOの含有量は、好ましくは0〜5%、0〜3.5%、0〜2%、0〜1.5%、0〜1%、0.01〜1.0%未満、特に0.1〜0.5%である。なお、LiOの含有量を0.1%以上導入すると、Liイオンがイオン交換成分として作用するため、短時間で応力深さを増大させることが可能になる。結果として、複数回の化学強化処理を行う場合に、一回目のイオン交換時間を短縮することが可能になる。
Oは、イオン交換性能と曲面加工性を高める成分であり、またアルカリ金属酸化物の中では、応力深さを増大させる効果が大きい成分である。更にKOは、耐失透性を改善する成分である。しかし、KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。また、KOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下する傾向がある。上記点を考慮すると、KOの好適な上限範囲は10%以下、8%以下、7%以下、6%以下、特に5%以下であり、好適な下限範囲は0.1%以上、0.5%以上、1%以上、特に2%以上である。
MgOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、イオン交換性能を高める効果が大きい成分である。よって、MgOの下限範囲は、好ましくは0%以上、0.5%以上、1%以上、1.2%以上、1.3%以上、特に1.4%以上である。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり易く、またガラスが失透し易くなる傾向がある。よって、MgOの上限範囲は、好ましくは9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2.3%以下、特に2.2%以下である。
CaOは、他の成分と比較して、耐失透性の低下を伴うことなく、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分である。しかし、CaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、イオン交換性能が低下したり、イオン交換溶液を劣化させ易くなったり、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。よって、CaOの含有量は、好ましくは0〜6%、0〜5%、0〜4%、0〜3.5%、0〜3%、0〜2%、0〜1%未満、0〜0.5%、特に0〜0.1%である。
SrOとBaOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分である。しかし、SrOとBaOの含有量が多過ぎると、イオン交換反応が阻害され易くなることに加えて、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透し易くなる。よって、SrOとBaOの含有量は、それぞれ0〜2%、0〜1.5%、0〜1%、0〜0.5%、0〜0.1%、特に0〜0.1%未満が好ましい。
MgO、CaO、SrO及びBaOの合量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透したり、イオン交換性能が低下する傾向がある。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量は、好ましくは0〜9.9%、0〜8%、0〜6%、特に0〜5%である。
TiOは、イオン交換性能を高める成分であり、また高温粘度を低下させる成分であるが、その含有量が多過ぎると、ガラスが着色し易くなり、或いは失透し易くなる。よって、TiOの含有量は、好ましくは0〜4.5%、0〜0.5%、特に0〜0.3%である。
ZrOは、イオン交換性能を顕著に高める成分であると共に、液相粘度付近の粘性や歪点を高める成分である。しかし、ZrOの含有量が多過ぎると、耐失透性が著しく低下する虞があり、また密度が高くなり過ぎる虞もある。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0〜5%、0〜3%、0〜1%未満、特に0.001〜0.5%である。
ZnOは、イオン交換性能を高める成分であり、特に圧縮応力値を高める効果が大きい成分である。また低温粘性を低下させずに、高温粘性を低下させる成分である。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐失透性が低下したり、密度が高くなったり、応力深さが小さくなる傾向がある。よって、ZnOの含有量は、好ましくは0〜6%、0〜3%、0〜1%、特に0〜0.1%である。
は、イオン交換性能を高める成分であり、特に応力深さを大きくする成分である。Pの好適な下限範囲は0%以上、1%以上、3%以上、5%以上、特に7%超である。しかし、Pの含有量が多過ぎると、ガラスが分相し、耐水性が低下し易くなる。よって、Pの含有量の好適な上限範囲は20%以下、18%以下、15%以下、13%以下、10%以下、特に7%以下である。
SnOは、イオン交換性能を高める効果を有する。よって、SnOの含有量は、好ましくは0〜3%、0.01〜3%、0.05〜3%、0.1〜3%、特に0.2〜3%である。
清澄剤として、Cl、SO、CeOの群(好ましくはCl、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0〜3%添加してもよい。
Feの含有量は、好ましくは1000ppm未満(0.1%未満)、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、特に300ppm未満である。更に、Feの含有量を上記範囲に規制した上で、モル比Fe/(Fe+SnO)を0.8以上、0.9以上、特に0.95以上に規制することが好ましい。このようにすれば、板厚1mmにおける全光線透過率(400〜770nm)が向上し易くなる(例えば90%以上)。
Nd、La等の希土類酸化物は、ヤング率を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の含有量は、好ましくは3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下である。
上記成分以外にも、他の成分を導入してもよく、その導入量は好ましくは5%以下、特に3%以下である。
環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs、Sb、PbO、Bi及びFを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に〜を含有しない」とは、ガラス成分として積極的に明示の成分を添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、明示の成分の含有量が0.05%未満であることを指す。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、内側ガラス板の徐冷点は、好ましくは700℃以下、680℃以下、670℃以下、660℃以下、650℃以下、特に645℃以下であり、また好適な下限範囲は480℃以上、500℃以上、520℃以上、特に540℃以上である。内側ガラス板の軟化点は、好ましくは900℃以下、880℃以下、850℃以下、830℃以下、800℃以下、780℃以下、特に765℃以下であり、また好適な下限範囲は630℃以上、660℃以上、700℃以上、720℃以上、特に730℃以上である。徐冷点や軟化点が高過ぎると、内側ガラス板を高精度に軟化変形させることが困難になる。更に曲面加工時の熱処理温度が高くなるため、成型金型が劣化し易くなって、曲面加工の精度が低下し易くなる。なお、徐冷点や軟化点が上記範囲外になると、ソーダガラス板の軟化点と整合し難くなるため、外側ガラス板にソーダガラス板を用いた場合に、内側ガラス板と外側ガラス板の曲面形状のズレが顕在化して、積層一体化し難くなる。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、内側ガラス板は表面に圧縮応力層を有し、その圧縮応力層の圧縮応力値は、好ましくは300MPa以上、500MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、特に700MPa以上である。圧縮応力値が大きい程、内側ガラス板の強度が高くなる。一方、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、内部の引っ張り応力が極端に高くなり、点衝突により内側ガラス板が自己破壊する虞がある。よって、圧縮応力層の圧縮応力値は1200MPa以下が好ましい。
内側ガラス板の圧縮応力層の応力深さは、好ましくは5μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、特に50μm以上である。応力深さが大きい程、内側ガラス板に深い傷が付いても、内側ガラス板が割れ難くなると共に、強度のばらつきが小さくなる。一方、応力深さが大き過ぎると、内部の引っ張り応力が極端に高くなり、点衝突により内側ガラス板が自己破壊する虞がある。よって、応力深さは70μm以下が好ましい。
内側ガラス板の内部の引っ張り応力値は、好ましくは200MPa以下、150MPa以下、90MPa以下、70MPa以下、特に10〜50MPaである。内部の引っ張り応力値が大き過ぎると、点衝突によりガラス板が自己破壊する虞がある。なお、内部の引っ張り応力値は、以下の数式から算出される値を指す。
[数1]
内部の引っ張り応力値=(圧縮応力値×応力深さ)/(板厚−2×応力深さ)
内側ガラス板の表面から深さ方向における圧縮応力曲線は屈曲していることが好ましい。このようにすれば、圧縮応力層の圧縮応力値と応力深さを増大させつつ、内部応力破壊を防止し易くなる。なお、化学強化処理を複数回行うと、表面から深さ方向における圧縮応力曲線を屈曲させることができる。
複数回の化学強化処理を行う場合、最後の化学強化処理(例えば、2回の化学強化処理の場合、2回目の化学強化処理)の温度は、好ましくは390〜430℃、特に400〜420℃であり、最後の化学強化処理の時間は、好ましくは1.5〜5時間、特に2〜4.5時間である。このようにすれば、圧縮応力層の圧縮応力値を高め易くなる。
複数回の化学強化処理を行う場合、化学強化処理を2回行うことが好ましい。このようにすれば、表面から深さ方向における圧縮応力曲線を効率良く屈曲させることができる。
化学強化処理を2回行う場合、2回目の化学強化処理に用いるイオン交換液中の小さいアルカリイオン(例えばLiイオン、Naイオン、特にNaイオン)の割合は、1回目の化学強化処理に用いるイオン交換液中のそれよりも少ないことが好ましい。これにより、圧縮応力層の圧縮応力値を高め易くなる。なお、アルカリイオンの大きさは、Liイオン<Naイオン<Kイオンである。
化学強化処理を2回行う場合、1回目の化学強化処理に用いるイオン交換液中のKNOの含有量は、好ましくは75質量%未満、70質量%以下、特に60質量%以下である。2回目の化学強化処理に用いるイオン交換液中のKNOの含有量は、好ましくは75質量%以上、85質量%以上、95質量%以上、特に99.5質量%以上である。イオン交換液中のKNOの含有量が上記範囲外になると、圧縮応力層の圧縮応力値を高め難くなる。
化学強化処理を2回行う場合、2回目の化学強化処理に用いるイオン交換液中のNaNOの含有量は、1回目の化学強化処理に用いるイオン交換液中のNaNOの含有量よりも少ないことが好ましく、5質量%以上少ないことがより好ましく、10質量%以上少ないことが更に好ましく、15質量%以上少ないことが特に好ましい。また、2回目の化学強化処理に用いるイオン交換液中のNaNOの含有量は、好ましくは25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、特に0.5質量%以下である。2回目の化学強化処理に用いるイオン交換液中のNaNOが多過ぎると、表面圧縮応力層の圧縮応力値を高め難くなる。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、内側ガラス板の板厚は、好ましくは1.5mm以下、1.2mm以下、1.0mm以下、特に0.8mm以下であり、好ましくは0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、特に0.7mm以上である。外側ガラス板の板厚は、好ましくは4.0mm以下、3.5mmm以下、3.0mm以下、2.5mm以下、2.0mm以下、1.8mm以下、特に1.5mm以下であり、好ましくは0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、0.9mm以上、特に1.0mm以上である。合わせガラスの板厚は、好ましくは4.5mm以下、3.5mm以下、3.0mm以下、2.5mm以下、2.0mm以下、特に1.5mm以下である。それぞれの板厚が大き過ぎると、合わせガラスを軽量化し難くなる。一方、それぞれの板厚が小さ過ぎると、所望の強度を得難くなる。
特に、内側ガラス板を0.3〜1.0mm、外側ガラス板を1.0〜1.5mmにそれぞれ規制すれば、機械的な衝撃力を弾性的に吸収し易くなるため、自動車のフロントガラスに適用した場合に、傷が付き難くなる。
外側ガラス板として、上記内側ガラス板と同様のアルカリアルミノシリケートガラスを用いてもよいが、製造コストの観点から、ソーダライムガラスを用いることが好ましい。ソーダライムガラスは、一般的に、ガラス組成として、SiO 65〜75%、Al 0〜3%、CaO 5〜15%、MgO 0〜15%、NaO 10〜20%、KO 0〜3%、Fe 0〜3%を含有しており、徐冷点が540〜560℃、軟化点が720〜750℃である。
外側ガラス板として、物理強化ガラスを用いてもよいが、物理的衝撃により粉々に破損される事態を回避するために、未強化ガラス又は化学強化ガラスとすることが好ましく、製造コストの観点から、未強化ガラスとすることが好ましい。
外側ガラス板の徐冷点は、好ましくは680℃以下、670℃以下、660℃以下、650℃以下、635℃以下、特に625℃以下であり、また好適な下限範囲は460℃以上、480℃以上、500℃以上、特に520℃以上である。外側ガラス板の軟化点は、好ましくは880℃以下、850℃以下、820℃以下、800℃以下、780℃以下、760℃以下、特に745℃以下であり、また好適な下限範囲は610℃以上、650℃以上、670℃以上、690℃以上、特に710℃以上である。徐冷点や軟化点が高過ぎると、外側ガラス板を高精度に軟化変形させることが困難になる。更に曲面加工時の熱処理温度が高くなるため、成型金型が劣化し易くなって、曲面加工の精度が低下し易くなる。なお、徐冷点や軟化点が上記範囲外になると、内側ガラス板の軟化点と整合し難くなるため、内側ガラス板と外側ガラス板の曲面形状のズレが顕在化して、積層一体化し難くなる。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、ガラス板(内側ガラス板及び/又は外側ガラス板)の密度は2.6g/cm以下、2.55g/cm以下、2.50g/cm以下、2.48g/cm以下、2.46g/cm以下、特に2.45g/cm以下が好ましい。密度が大き過ぎると、ガラス板を軽量化し難くなり、合わせガラスも軽量化し難くなる。なお、「密度」は、アルキメデス法で測定可能である。
ガラス板(内側ガラス板及び/又は外側ガラス板)の25〜380℃の温度範囲における熱膨張係数は、好ましくは100×10−7/℃以下、95×10−7/℃以下、90×10−7/℃以下、特に85×10−7/℃以下である。ガラス板の熱膨張係数が高過ぎると、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合し難くなり、ガラス板と有機樹脂中間層の剥離が生じ易くなる。なお、「25〜380℃の温度範囲における熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定した平均値である。
ガラス板(内側ガラス板及び/又は外側ガラス板)の液相温度は、好ましくは1200℃以下、1150℃以下、1100℃以下、1080℃以下、1050℃以下、1020℃以下、特に1000℃以下である。液相粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、104.4dPa・s以上、104.8dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.3dPa・s以上、105.5dPa・s以上、105.7dPa・s以上、105.8dPa・s以上、特に106.0dPa・s以上である。液相温度と液相粘度が上記範囲外になると、成形時にガラスが失透し易くなる。なお、「液相温度」は、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値を指す。「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値を指す。
ガラス板(内側ガラス板及び/又は外側ガラス板)のヤング率は、好ましくは65GPa以上、69GPa以上、71GPa以上、75GPa以上、特に77GPa以上である。ヤング率が低過ぎると、ガラス板が撓み易くなり、ガラス板が自重変形し易くなる。なお、「ヤング率」は、共振法等で測定可能である。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、有機樹脂中間層の厚みは、好ましくは0.1〜2mm、0.3〜1.5mm、0.5〜1.2mm、特に0.6〜0.9mmである。有機樹脂中間層の厚みが小さ過ぎると、衝撃吸収性が低下し易くなり、また固着性にばらつきが生じ易くなって、ガラス板と有機樹脂中間層が剥離し易くなる。一方、有機樹脂中間層の厚みが大き過ぎると、合わせガラスの視認性が低下し易くなる。
有機樹脂中間層として、種々の材料が使用可能であり、例えば、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、セルロースアセテート(CA)、ジアリルフタレート樹脂(DAP)、ユリア樹脂(UP)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルアルコール(PVAL)、酢酸ビニル樹脂(PVAc)、アイオノマー(IO)、ポリメチルペンテン(TPX)、塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メタクリル−スチレン共重合樹脂(MS)、ポリアレート(PAR)、ポリアリルスルフォン(PASF)、ポリブタジエン(BR)、ポリエーテルスルフォン(PESF)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が使用可能である。その中でも、透明性と固着性の観点から、EVA、PVBが好適であり、特にPVBは遮音性を付与し得るため好ましい。
有機樹脂中間層中に着色剤を添加してもよく、赤外線、紫外線等の特定波長光線を吸収する吸収剤を添加してもよい。
以下のようにして、本発明の車両用合わせガラスを作製することができる。
まず所定のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500〜1700℃で加熱溶融し、清澄、攪拌した後、成形装置に供給して平板形状等に成形し、徐冷することにより、ガラス板を作製することができる。
平板形状に成形する方法として、オーバーフローダウンドロー法を採用することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、表面が未研磨の状態で、高品位のガラス板を大量に作製し得ると共に、大型のガラス板も容易に作製し得る方法である。なお、表面が未研磨であると、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。
オーバーフローダウンドロー法以外にも、フロート法でガラス板を成形することも好ましい。フロート法は、大型のガラス板を安価に作製し得る方法である。
次に、得られた平板形状のガラス板について、曲面加工を行い、曲面形状を有するガラス板を得る。曲面加工の方法として、種々の方法を採用することができる。特に、成型金型によりガラス板を熱間プレス成型する方法が好ましく、所定の形状の成型金型でガラス板を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることがより好ましい。このようにすれば、曲面形状の寸法精度を高めることができる。
上記方法において、ガラス板を支持する際には、凹湾曲面を有する凹金型と、凹湾曲面に対向する凸湾曲面を有する凸金型とを有し、且つ両湾曲面間にガラス板の板厚により厚みの大きい湾曲成型空間が形成される成型金型を用いることが好ましい。このような成型金型を用いると、両湾曲面の相互間に、ガラス板の板厚に対して厚みの大きい湾曲成型空間が形成されるため、成型金型からガラス板に過大な圧力が作用することを回避することが可能となる。また、この方法では、断面視で凹湾曲面の両端部付近と凸湾曲面の中央部付近のみがガラス板と接することになり、両湾曲面とガラス板の表面とが接触する部位の面積が小さく抑制される。従って、ガラス板の表面が傷付くことを可及的に防止することができる。更に、凹湾曲面とガラス板の一方面との間、及び凸湾曲面とガラス板の他方面との間に、シート状耐熱部材を介在させることが好ましい。このようにすれば、シート状耐熱部材の介在により、ガラス板の表面と成型金型とが直接に接触することが回避されて、ガラス板の表面が欠陥や傷の発生からより安全に保護される。結果として、曲面加工部分の欠陥や傷の残留をより好適に防止することができる。
上記方法以外にも、所定形状の成型金型上にガラス板を配置した後、ガラス板の一部又は全体を熱処理することにより、成型金型の形状に沿って、ガラス板を自重で軟化変形させる方法も好ましい。このようにすれば、曲面加工の効率を高めることができる。
曲面加工時の熱処理温度は、好ましくは(徐冷点−10℃)以上、(徐冷点−5℃)以上、(徐冷点+5℃)以上、特に(徐冷点+20℃)以上が好ましい。このようにすれば、短時間で曲面加工を行うことができる。一方、曲面加工時の熱処理温度が高過ぎると、ガラス表面の平滑性が損なわれ易くなると共に、曲面形状の寸法精度が低下し易くなる。よって、曲面加工時の熱処理温度は、好ましくは(軟化点−5℃)以下、(軟化点−15℃)以下、(軟化点−20℃)以下、特に(軟化点−30℃)以下が好ましい。
続いて、曲面加工後のガラス板に対して、化学強化処理して、内側ガラス板を得る。化学強化処理の条件は、特に限定されず、ガラスの粘度特性、用途、厚み、内部の引っ張り応力、寸法変化等を考慮して最適な条件を選択すればよい。例えば、390〜480℃のKNO溶融塩中に1〜8時間浸漬することで行うことができる。特に、KNO溶融塩中のKイオンをガラス中のNa成分とイオン交換すると、ガラス表面に圧縮応力層を効率良く形成することができる。
更に、化学強化処理後の内側ガラス板と、外側ガラス板とを有機樹脂中間層により積層一体化して、合わせガラスとする。積層一体化の方法として、2枚のガラス板の間に有機樹脂を注入した後に有機樹脂を硬化させる方法、2枚のガラス板の間に有機樹脂シートを配置した後に加圧加熱処理(熱圧着)する方法等が挙げられるが、後者の方法の方が、積層一体化が容易であるため好ましい。
合わせガラスを得た後に、合わせガラスの端面から食み出した有機樹脂中間層を除去することが好ましく、合わせガラスの端面からの破損を防止するために面取り加工を行ってもよい。また、合わせガラスを得た後に、内側ガラス板又は外側ガラス板の表面に、ハードコート膜や赤外線反射膜を形成してもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。但し、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
表1は、合わせガラスの内側ガラス板(試料No.1〜13)のガラス組成とガラス特性を示している。
Figure 2017183382
次のようにして、各試料を作製した。まず表中のガラス組成となるように、各ガラス原料を調合、溶融、清澄、攪拌して均質な溶融ガラスを得た後、溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー法で板状に成形して、0.7mm厚のガラス板を得た。得られた各試料について、種々の特性を評価した。
密度ρは、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
熱膨張係数αは、ディラトメーターを用いて、25〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を測定した値である。
ヤング率Eは、周知の共振法で測定した値である。
歪点Psと徐冷点Taは、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
軟化点Tsは、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度104.0dPa・s、103.0dPa・s、102.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値である。
液相粘度log10ηTLは、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
表1から、内側ガラス板(試料No.1〜13)は、徐冷点Taが641℃以下、軟化点Tsが885℃以下であるため、曲面加工し易いことが分かる。次に、各試料について、凹金型と凸金型からなる成型金型で各試料を挟み込んだ状態で、(軟化点Ts−40℃)の温度に保持した熱処理炉を通過させることにより、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲した曲面形状に曲面加工した。
続いて、各試料の両表面に光学研磨を施した後、430℃のKNO溶融塩中に4時間浸漬することにより、化学強化処理を行った。化学強化処理後に各試料の表面を洗浄し、内側ガラス板を得た。続いて、表面応力計(折原製作所社製FSM−6000)を用いて観察される干渉縞の本数とその間隔から表面の圧縮応力層の圧縮応力値CSと応力深さDOLを算出した。算出に当たり、各試料の屈折率を1.52、光学弾性定数を30[(nm/cm)/MPa]とした。
更に、上記内側ガラス板と同様のサイズを有するソーダライムガラスからなるガラス板(板厚1.5mm、徐冷点Ta551℃、軟化点Ts735℃)を用意すると共に、このガラス板について、上記内側ガラス板の場合と同様の方法により曲面加工した後、徐冷して、外側ガラス板を得た。
最後に、厚み0.7mmの有機樹脂中間層(PVB)を用いて、上記内側ガラス板(試料No.1〜12)と上記外側ガラス板とを加圧加熱処理により積層一体化して、曲面形状を有する合わせガラスを得た。
これらの合わせガラスは、総板厚が2.9mmであり、且つ内側ガラス板の圧縮応力値CSが831MPa以上、応力深さDOLが27μm以上であるため、高強度と薄型化の両立が可能である。
(実施例2)
更に、試料No.5のガラス組成となるように、ガラス原料を調合、溶融、清澄、攪拌して均質な溶融ガラスを得た後、溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー法で板状に成形して、0.8mm厚のガラス板を得た。次に、このガラス板について、凹金型と凸金型からなる成型金型で挟み込んだ状態で、(軟化点Ts−40℃)の温度に保持した熱処理炉を通過させることにより、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲した曲面形状に曲面加工した。更に450℃の混合溶融塩(66.7質量%KNO溶融塩、33.3質量%NaNO溶融塩)中に8時間浸漬した後、更に390℃のKNO溶融塩中に2時間浸漬することにより、化学強化処理を行った。化学強化処理後にガラス表面を洗浄し、内側ガラス板を得た。なお、内側ガラス板は、表面から深さ方向における圧縮応力曲線が屈曲しており、圧縮応力値CSが890MPa、応力深さDOLが53μmであった。
更に、上記内側ガラス板と同様のサイズを有するソーダライムガラスからなるガラス板(板厚1.5mm、徐冷点Ta551℃、軟化点Ts735℃)を用意すると共に、このガラス板について、上記内側ガラス板の場合と同様の方法により曲面加工した後、徐冷して、外側ガラス板を得た。
最後に、厚み0.7mmの有機樹脂中間層(PVB)を用いて、上記内側ガラス板と上記外側ガラス板とを加圧加熱処理により積層一体化して、曲面形状を有する合わせガラスを得た。
本発明の車両用合わせガラスは、自動車のフロントガラスに好適であるが、自動車のリアガラス、ドアガラス、ルーフガラスにも好適である。
10 車両用合わせガラス
11 内側ガラス板
12 外側ガラス板
13 有機樹脂中間層

Claims (6)

  1. 内側ガラス板と外側ガラス板が有機樹脂中間層により一体化された車両用合わせガラスにおいて、
    内側ガラス板と外側ガラス板が、曲面形状を有し、
    内側ガラス板が、表面に圧縮応力層を有する化学強化ガラスであり、
    内側ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜75%、Al 10〜30%、B 0〜20%、NaO 10〜25%を含有し、徐冷点が700℃以下、且つ軟化点が900℃以下であることを特徴とする車両用合わせガラス。
  2. 内側ガラス板の板厚が1.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の車両用合わせガラス。
  3. 内側ガラス板の表面の圧縮応力層の圧縮応力値が350MPa以上であり、且つ応力深さが20μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用合わせガラス。
  4. 外側ガラス板が、ソーダライムガラスであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用合わせガラス。
  5. 有機樹脂層が、エチレン酢酸ビニル共重合体又はポリビニルブチラールで構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両用合わせガラス。
  6. 自動車のフロントガラスに用いることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の車両用合わせガラス。
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