JP2019182692A - ガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体 - Google Patents

ガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】有機樹脂中間層を剥離させ難いガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体を創案する。【解決手段】本発明のガラス板は、有機樹脂中間層を介して樹脂板と一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板であって、少なくとも一方の表面の表面粗さRaが0.05〜50μmであることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体に関し、特に自動車のフロントガラスやドアガラスに好適なガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体に関する。
自動車等のフロントガラスには、一般的に、複数枚のソーダライムガラス板を有機樹脂中間層で一体化した合わせガラスが使用されており、軽量化を目的として、複数枚のソーダライムガラス板と樹脂板とを有機樹脂中間層で一体化したガラス樹脂複合体が用いられることもある(特許文献1〜4参照)。
自動車等のフロントガラスに使用されるソーダライムガラス板は、走行中の飛び石等の飛散片の先端形状を変形させて、その衝撃抵抗を増大させることで、飛散片の衝突エネルギーを減衰する機能を有している。
しかし、ソーダライムガラス板は、飛散片の衝撃抵抗を増大させる効果が十分であるとは言えない。現状、ソーダライムガラス板の板厚を大きくするか、積層枚数を多くして、飛散片の衝撃抵抗を高めているが、これに伴い、フロントガラスの厚みや質量の増大を招いている。
そこで、飛散片の衝撃抵抗を高めるために、ソーダライムガラス板の代わりに結晶化ガラス板を用いることが検討されている。例えば、主結晶としてβ−石英固溶体(LiO・Al・nSiO[但し、n≧2])等のLiO−Al−SiO系結晶を析出してなる結晶化ガラス板が検討されている。
特開2012−144217号公報 特開2004−196184号公報 特開2001−151539号公報 実開平1−8821号公報
ところで、複数枚のガラス板を一体化するための有機樹脂中間層は、耐候性が低いため、寒暖差の大きい場所や紫外線の強い場所において2〜3年程度で剥離が生じ易い。結果として、ガラス樹脂複合体の耐衝撃性や視認性が大幅に低下する虞がある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、有機樹脂中間層を剥離させ難いガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体を創案することである。
本発明者等は、凹凸表面を有するガラス板をガラス樹脂複合体に用いることにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のガラス板は、有機樹脂中間層を介して樹脂板と一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板であって、少なくとも一方の表面の表面粗さRaが0.05〜50μmであることを特徴とする。ここで、「表面粗さRa」は、レーザー顕微鏡で測定可能である。
本発明のガラス板は、有機樹脂中間層を介して樹脂板と一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板である。ガラス樹脂複合体において、ガラス板は、透明性を有し、衝撃抵抗を高める材料である。樹脂板は、飛散片の衝突による衝撃を緩和し、また飛散片の衝撃によるガラス片の飛散を防止する材料である。両者を備えることにより、耐衝撃性を確保し易くなる。
また、本発明のガラス板は、少なくとも一方の表面の表面粗さRaが0.05〜50μmである。このようにすれば、ガラス板と有機樹脂中間層との接着強度がアンカー効果により強固になるため、有機樹脂中間層が剥離し難くなる。結果として、ガラス樹脂複合体の耐衝撃性や視認性が向上する。
また、本発明のガラス板は、有機樹脂中間層と接する側の表面の表面粗さRaが0.05〜50μmであることが好ましい。
また、本発明のガラス板は、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラスの何れかであることが好ましい。
また、本発明のガラス板は、ガラス組成として、モル%で、SiO 40〜80%、Al 5〜30%、B+P 0超〜25%、B 0〜15%、P 0〜15%、LiO+NaO+KO 0超〜20%、MgO 3〜35%、CaO+SrO+BaO 0〜15%を含有することが好ましい。ここで、「B+P」は、BとPの合量を指す。「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量を指す。「CaO+SrO+BaO」は、CaO、SrO及びBaOの合量を指す。
また、本発明のガラス板は、3次元的に湾曲した曲面形状を有することが好ましい。このようにすれば、自動車のフロントガラス等に適用し易くなる。
本発明のガラス樹脂複合体は、少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とが有機樹脂中間層により一体化されたガラス樹脂複合体であって、複数枚のガラス板の内、少なくとも一枚のガラス板が、上記のガラス板であることが好ましい。
図1は、ガラス樹脂複合体の一例を説明するための概略図である。ガラス樹脂複合体10は、外側(外気側)から順に、ガラス板11と、ガラス板12と、樹脂板13と、を有しており、これらは図示しない有機樹脂中間層で一体化されると共に、3次元的に湾曲した曲面形状を有している。ガラス板11の内側の表面、ガラス板12の両表面の表面粗さRaは0.05〜50μmに規制されている。更に、ガラス板11は、ガラス組成として、モル%で、SiO 40〜80%、Al 5〜30%、B 0〜15%、P 0〜15%、LiO+NaO+KO 0超〜20%、MgO 3〜35%、CaO+SrO+BaO 0〜15%を含有しており、ガラス板12はソーダライムガラスである。また、樹脂板13は、ポリカーボネートである。
ガラス樹脂複合体の一例を説明するための概略図である。
本発明のガラス板は、少なくとも一方の表面の表面粗さRaが0.05〜50μmであり、好ましくは0.1〜30μm、特に1〜15μmである。表面の表面粗さRaが小さ過ぎると、アンカー効果を享受し難くなり、有機樹脂中間層が剥離し易くなる。一方、表面の表面粗さRaが大き過ぎると、表面の凹凸内に有機樹脂が入り込めず、空隙が発生し易くなり、結果として、接着強度が低下して、有機樹脂中間層が剥離し易くなる。
表面粗さRaが0.05〜50μmとなる表面は、ガラス板の一方の表面のみに形成されていてもよく、両方の表面に形成されていてもよい。ガラス板の一方の表面の表面粗さRaを0.05〜50μmとすれば、外表面に平滑な表面を配置することが可能になり、その場合、ガラス樹脂複合体の耐衝撃性が向上する。ガラス板の両方の表面の表面粗さRaを0.05〜50μmとすれば、内層のガラス板に用いた場合に、その両側で有機樹脂中間層が剥離し難くなる。
ガラス板のガラス系は、特に限定されないが、曲面加工性や耐候性の観点から、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラスであることが好ましい。
本発明のガラス板は、ガラス組成として、モル%で、SiO 40〜80%、Al 5〜30%、B 0〜15%、P 0〜15%、LiO+NaO+KO 0超〜20%、MgO 3〜35%、CaO+SrO+BaO 0〜15%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有範囲を規制した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示はモル%を指すものとする。
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分である。SiOの含有量は、好ましくは40〜80%、42〜75%、特に45〜70%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、また耐候性が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなり、また熱膨張係数が低くなり過ぎて、ガラス板と樹脂板の膨張不整合によって樹脂板が変形し易くなる。
Alは、ヤング率や耐候性を高める成分である。Alの含有量は、好ましくは5〜30%、9〜25%、15〜24%、特に18〜23%である。Alの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、Alの含有量が多過ぎると、溶融性、成形性、耐失透性が低下し易くなる。
+Pの含有量は、好ましくは0〜25%、0超〜15%、1〜10%、特に2〜8%である。B+Pの含有量が少な過ぎると、溶融性、成形性、曲面加工性が低下し易くなる。B+Pの含有量が多過ぎると、耐候性が低下し易くなる。なお、「B+P」は、BとPの合量である。
は、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。Bの含有量は、好ましくは0〜15%、1〜12%、特に2〜10%である。Bの含有量が多過ぎると、ヤング率、耐候性が低下し易くなる。
は、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。Pの含有量は、好ましくは0〜15%、1〜12%、特に2〜10%である。Pの含有量が多過ぎると、耐候性が低下し易くなる。
LiO、NaO及びKOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。LiO、NaO及びKOの合量は、好ましくは0超〜20%、1〜15%、特に5〜12%である。LiO及びKOのそれぞれの含有量は、好ましくは0〜15%、0〜3%、特に0〜1%未満である。NaOの含有量は、好ましくは0超〜15%、1〜12%、特に3〜10%である。LiO、NaO及びKOの含有量が多過ぎると、ヤング率、耐候性が低下し易くなる。LiOの含有量が多過ぎると、曲面加工時にガラスが失透し易くなる。
モル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)は、好ましくは0〜1.5、0超〜1.5、0.1〜1.2、0.5〜1.1、特に0.9〜1.0である。モル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)が小さ過ぎると、曲面加工性が低下し易くなる。一方、モル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)が大き過ぎると、ヤング率が低下し易くなる。なお、「(LiO+NaO+KO)/(B+P)」は、LiO、NaO及びKOの合量をBとPの合量で除した値を指す。
MgOは、ヤング率を大幅に高める成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。MgOの含有量は、好ましくは3〜35%、8〜33%、12〜32%、特に15〜30%である。MgOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、MgOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
CaO、SrO及びBaOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。CaO、SrO及びBaOの合量は、好ましくは0〜15%、0〜5%、特に0〜1%未満である。CaO、SrO及びBaOのそれぞれの含有量は、好ましくは0〜12%、0〜5%、0〜2%、特に0〜1%未満である。CaO、SrO及びBaOの含有量が多過ぎると、耐失透性、ヤング率等が低下し易くなる。
ヤング率を高める観点から、モル比MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)は、好ましくは0.5以上、0.7以上、0.8以上、特に0.9以上である。なお、「MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)」は、MgOの含有量をMgO、CaO、SrO及びBaOの合量で除した値である。
上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。
TiOは、耐候性を高める成分であるが、ガラスを着色させる成分でもある。よって、TiOの含有量は、好ましくは0〜0.5%、特に0〜0.1%未満である。
ZrOは、ヤング率、耐候性を高める成分であるが、耐失透性を低下させる成分でもある。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0〜0.5%、特に0〜0.1%未満である。
清澄剤として、SnO、Cl、SO、CeOの群(好ましくはSnO、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0.05〜0.5%添加してもよい。
Feは、ガラス原料に不純物として不可避的に混入する成分であり、着色成分である。よって、Feの含有量は、好ましくは0.5%以下、特に0.01〜0.07%である。
、Cr、CoO及びNiOは、着色成分である。よって、V、Cr、CoO及びNiOのそれぞれの含有量は、好ましくは0.1%以下、特に0.01%未満である。
、Nd、La等の希土類酸化物は、ヤング率を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の合量は、好ましくは3%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下である。
環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs、Sb、PbO、Bi及びFを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に〜を含有しない」とは、ガラス成分として積極的に明示の成分を添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、明示の成分の含有量が0.05%未満であることを指す。
本発明のガラス板は、以下の特性を有することが好ましい。
ガラス転移点は、好ましくは820℃未満、800℃以下、790℃以下、特に780℃以下である。ガラス転移点が高過ぎると、曲面加工性が低下し易くなる。なお、「ガラス転移点」は、ディラトメーターを用いて測定した値を指す。
ヤング率は、好ましくは80GPa以上、85GPa以上、90GPa以上、特に95〜150GPaである。ヤング率が低過ぎると、飛散片の衝突による衝撃波の速度が遅くなるため、衝撃波が狭い領域にしか広がらず、飛散片の衝突エネルギーを減衰し難くなる。なお、「ヤング率」は、周知の共振法で測定した値を指す。
800℃における粘度は、好ましくは1012.0dPa・s以下、1011.5dPa・s以下、1011.0dPa・s以下、特に1010.5dPa・s以下である。800℃における粘度が高過ぎると、曲面加工性が低下し易くなる。なお、「800℃における粘度」は、歪点、徐冷点、軟化点の温度から得られる温度−粘度曲線の内挿値から求めたものである。なお、「歪点」と「徐冷点」は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。「軟化点」は、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
結晶化度は、好ましくは30%以下、10%以下、5%以下、1%以下、特に0%、つまり非晶質である。結晶化度が高過ぎると、曲面加工性が低下し易くなる。なお、「結晶化度」は、粉末法によりXRDを測定することにより、非晶質の質量に相当するハローの面積と、結晶の質量に相当するピークの面積とをそれぞれ算出した後、[ピークの面積]×100/[ピークの面積+ハローの面積](%)の式により求めた値を指す。
本発明のガラス板において、板厚は、好ましくは15mm以下、12mm以下、10mm以下、特に8mm以下であり、好ましくは1.5mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、特に7mm以上である。ガラス板の板厚が小さ過ぎると、耐衝撃性を確保し難くなる。一方、ガラス板の板厚が大き過ぎると、フロントガラスを薄型化し難くなり、視認性が低下し易くなる。またフロントガラスの質量が増大して、自動車等の燃費が高騰してしまう。
本発明のガラス樹脂複合体は、少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とが有機樹脂中間層により一体化されたガラス樹脂複合体であって、複数枚のガラス板の内、少なくとも一枚のガラス板が、上記のガラス板であることが好ましい。なお、本発明のガラス樹脂複合体において、本発明のガラス板以外のガラス板(例えば、ソーダライムガラス板)を含んでいてもよいが、本発明の効果を的確に享受する観点から、全てのガラス板が本発明のガラス板であることが好ましい。
本発明のガラス樹脂複合体において、ガラス板は複数であり、軽量化と耐衝撃性の観点から、その枚数は3〜8枚が好ましい。
本発明のガラス樹脂複合体において、樹脂板は複数枚でもよいが、視認性を高める観点から、1枚であることが好ましい。樹脂板は、アクリル、ポリカーボネート等の種々の樹脂が使用可能であるが、透明性、衝撃緩和性、軽量化の観点から、ポリカーボネートが特に好ましい。
樹脂板の板厚は、好ましくは10mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、特に5mm以下であり、好ましくは0.5mm以上、0.7mm以上、1mm以上、2mm以上、特に3mm以上である。樹脂板の板厚が小さ過ぎると、飛散片が衝突した時にその衝撃を緩和し難くなる。一方、樹脂板の板厚が大き過ぎると、フロントガラスを薄型化し難くなり、またフロントガラスの視認性が低下し易くなる。
本発明のガラス樹脂複合体において、ガラス板同士、ガラス板と樹脂板は、有機樹脂中間層により一体化されている。有機樹脂中間層の厚みは、好ましくは0.1〜2mm、0.3〜1.5mm、0.5〜1.2mm、特に0.6〜0.9mmである。有機樹脂中間層の厚みが小さ過ぎると、飛散片が衝突した時に、衝撃波のエネルギーが室内側に伝搬し易くなる。一方、有機樹脂中間層の厚みが大き過ぎると、フロントガラスの視認性が低下し易くなる。
有機樹脂中間層の熱膨張係数は、全ガラス板の熱膨張係数以上、且つ樹脂板の熱膨張係数以下であることが好ましい。このようにすれば、フロントガラスが直射日光で加熱された時に、ガラス板と樹脂板が分離、変形し難くなる。
有機樹脂中間層として、種々の有機樹脂が使用可能であり、例えば、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、セルロースアセテート(CA)、ジアリルフタレート樹脂(DAP)、ユリア樹脂(UP)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルアルコール(PVAL)、酢酸ビニル樹脂(PVAc)、アイオノマー(IO)、ポリメチルペンテン(TPX)、塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メタクリル−スチレン共重合樹脂(MS)、ポリアレート(PAR)、ポリアリルスルフォン(PASF)、ポリブタジエン(BR)、ポリエーテルスルフォン(PESF)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が使用可能である。その中でも、透明性と固着性の観点から、EVA、PVBが好適であり、特にPVBは遮音性を付与し得るため好ましい。
有機樹脂中間層中に着色剤を添加してもよく、赤外線、紫外線等の特定波長光線を吸収する吸収剤を添加してもよい。
有機樹脂中間層には、上記有機樹脂を複数種類組み合わせたものを用いてもよい。例えば、ガラス板と樹脂板の一体化に2層の有機樹脂中間層を用いると、ガラス板と樹脂板の熱膨張係数に整合する有機樹脂をそれぞれ選択し得るため、ガラス板と樹脂板の膨張差を緩和し易くなる。結果として、フロントガラスの反りを低減し易くなる。
ガラス樹脂複合体の総板厚は、好ましくは55mm以下、45mm以下、40mm以下であり、好ましくは4mm以上、5mm以上、7mm以上、特に10mm以上である。ガラス樹脂複合体の総板厚が小さ過ぎると、フロントガラスの耐衝撃性が低下し易くなる。一方、ガラス樹脂複合体の総板厚が大き過ぎると、フロントガラスの質量が大きくなり、またフロントガラスの視認性が低下し易くなる。
以下のようにして、本発明のガラス樹脂複合体を作製することができる。
まず所定のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500〜1700℃で溶融し、清澄、攪拌した後、成形装置に供給して板状に成形し、徐冷することにより、ガラス板を作製することができる。
ガラス板を成形する方法として、フロート法を採用することが好ましい。フロート法は、ガラス板を安価に作製し得る方法である。
フロート法以外にも、オーバーフローダウンドロー法を採用してもよい。オーバーフローダウンドロー法は、表面を研磨することなく、薄いガラス板を大量に作製し得る方法である。
ガラス板の表面は、表面粗さRaを調整するために、必要に応じて、砥粒による研磨処理、サンドブラスト等の方法で粗面化処理される。砥粒としては、アルミナ、酸化鉄等を用いることが好ましい。砥粒の大きさは♯80〜3000が好ましい。
ガラス板は、必要に応じて、面取り加工されていることが好ましい。その場合、#800のメタルボンド砥石等により、C面取り加工を行うことが好ましい。このようにすれば、端面強度を高めることができる。必要に応じて、ガラス板の端面をエッチングして、端面に存在するクラックソースを低減することも好ましい。
次に、得られたガラス板について、必要に応じて、曲面加工を行う。曲面加工の方法として、種々の方法を採用することができる。特に、金型によりガラス板を1枚ずつ或いは積層してプレス成形する方法が好ましく、所定の形状の金型でガラス板を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることも好ましい。このようにすれば、曲面形状の寸法精度を高めることができる。また、所定形状の金型上にガラス板を1枚ずつ或いは積層して配置した後、ガラス板の一部又は全体を熱処理することにより、金型の形状に沿って、ガラス板を自重で軟化変形させる方法も好ましい。このようにすれば、曲面加工の効率を高めることができる。
次に、複数枚のガラス板と樹脂板とを有機樹脂中間層で一体化して、ガラス樹脂複合体を作製することができる。一体化の方法として、ガラス板同士又はガラス板と樹脂板の間に有機樹脂を注入した後に有機樹脂を硬化させる方法、ガラス板同士又はガラス板と樹脂板の間に有機樹脂シートを配置した後に加圧加熱処理(熱圧着)する方法等が挙げられる。前者の方法は、ガラス板と樹脂板の膨張不整合による樹脂板の変形を抑制することができる。後者の方法は、一体化が容易である。
また、一体化した後に、最外層のガラス板の外表面に、ハードコート膜、赤外線反射膜、熱線反射膜等の機能膜を形成してもよい。また一体化する前に、最外層のガラス板の内表面に、ハードコート膜、赤外線反射膜、熱線反射膜等の機能膜を形成してもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
ガラスAは、次のようにして作製したものである。まず、ガラス組成として、モル%で、SiO 45%、Al 23%、P 7%、LiO 2%、MgO 23%を含むガラスが得られるように、ガラス原料を調合した。次に、調合済みのガラスバッチを連続溶融炉に投入し、1600℃で20時間溶融した後、清澄、攪拌して、均質な溶融ガラスを得た上で、板厚8.0mmの板状に成形した。
得られたガラス板について、熱膨張係数、ガラス転移温度、ヤング率、800℃における粘度(logη800℃)及び結晶化度を評価し、その結果を表1に示す。なお、本ガラス板は、Feの混入不純物量が0.05モル%未満であり、V、Cr、CoO及びNiOの混入不純物量がそれぞれ0.01モル%未満であった。
熱膨張係数は、30〜300℃の温度範囲で測定した値であり、またディラトメーターを用いて測定した値である。
ガラス転移温度は、ディラトメーターを用いて測定した値である。
ヤング率は、周知の共振法で測定した値である。
800℃における粘度logηは、歪点、徐冷点、軟化点の温度から得られる温度−粘度曲線の内挿値から求めたものである。なお、歪点と徐冷点は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。軟化点は、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
結晶化度は、粉末法によりXRDを測定することにより、非晶質の質量に相当するハローの面積と、結晶の質量に相当するピークの面積とをそれぞれ算出した後、[ピークの面積]×100/[ピークの面積+ハローの面積](%)の式により求めた値である。
次いで得られたガラス板の一方の表面を数種類のアルミナ砥粒で研磨し、表面粗さRaを調製した。なお、表面粗さRaは、レーザー顕微鏡で測定可能である。また、市販のソーダライムガラス板(板厚8.0mm)について、アルミナ砥粒で研磨し、一方の表面の表面粗さRaを調製した。
表2は、本発明の実施例(試料No.1〜7)と比較例(試料No.8)を示している。なお、表2において、「A」は上記ガラスAを指しており、「SL」は、上記ソーダライムガラスを指している。
次に、試料No.1に係るガラス板を所定の形状の金型で挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることにより、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲した形状に曲面加工した。その後、曲面加工後のガラス板の端面について#800のメタルボンド砥石によりC面取り加工及び研磨加工を行った。
続いて、ガラス板と同様の曲面形状を有するポリカーボネート板(板厚4.0mm)を用意した。
最後に、外側(大気側)から、試料No.1に係るガラス板、厚み0.8mmのポリビニルブチラール(PVB)、試料No.1に係るガラス板、厚み0.8mmのポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート板の順になるように、オートクレーブ処理により一体化して、試料No.1に係るガラス樹脂複合体を得た。一体化に際して、ガラス板のアルミナ砥粒で研磨した側の表面を内側に配置すると共に、ポリビニルブチラール(PVB)に接するように配置した。更に、試料No.2〜8についても、同様の実験を行い、試料No.2〜8に係るガラス樹脂複合体を得た。
試料No.1〜8に係るガラス樹脂複合体について、ヒートサイクル試験を行った。ヒートサイクル試験とは、ガラス樹脂複合体を約65℃の温水中に鉛直に立てて3分間経過後、手早く沸騰水中に浸し2時間保持してから取り出して、有機樹脂中間層及びそれとガラスとの界面の状態を見る試験であり、これを3回繰り返した後の有機樹脂中間層の剥離の有無を調べて、剥離が観察されなかったものを「○」、剥離が観察されたものを「×」として評価するものである。
表2から分かるように、試料No.1〜7に係るガラス樹脂複合体は、ガラス板の表面の表面粗さRaが大きいため、ヒートサイクル試験の評価が良好であった。一方、試料No.8に係るガラス樹脂複合体は、ガラス板の表面の表面粗さRaが小さいため、ヒートサイクル試験の評価が不良であった。
本発明のガラス板は、樹脂板と一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板として好適である。また、本発明のガラス樹脂複合体は、自動車、鉄道、航空機等のフロントガラス、ドアガラスに好適であり、それ以外にも、高層ビル等の建築物の窓ガラスにも好適である。
10 ガラス樹脂複合体
11 ガラス板
12 ガラス板
13 樹脂板

Claims (6)

  1. 有機樹脂中間層を介して樹脂板と一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板であって、少なくとも一方の表面の表面粗さRaが0.05〜50μmであることを特徴とするガラス板。
  2. 有機樹脂中間層と接する側の表面の表面粗さRaが0.05〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載のガラス板。
  3. アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラスの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板。
  4. ガラス組成として、モル%で、SiO 40〜80%、Al 5〜30%、B+P 0超〜25%、B 0〜15%、P 0〜15%、LiO+NaO+KO 0超〜20%、MgO 3〜35%、CaO+SrO+BaO 0〜15%を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス板。
  5. 3次元的に湾曲した曲面形状を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラス板。
  6. 少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とが有機樹脂中間層により一体化されたガラス樹脂複合体であって、
    複数枚のガラス板の内、少なくとも一枚のガラス板が、請求項1〜5の何れかに記載のガラス板であることを特徴とするガラス樹脂複合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022216743A1 (en) * 2021-04-08 2022-10-13 Bromden Ventures Llc Laminated windows
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