JPWO2018030095A1 - 車両用合わせガラス - Google Patents

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Abstract

本発明の車両用合わせガラスは、外側強化ガラス板と内側強化ガラス板が有機樹脂中間層により一体化された車両用合わせガラスにおいて、外側強化ガラス板の板厚が2.0mm以下であり、外側強化ガラス板が、イオン交換による表面圧縮応力層を有し、外側強化ガラス板の表面圧縮応力層の圧縮応力値が350MPa以上であり、且つ応力深さが15〜100μmであることを特徴とする。

Description

本発明は、車両用合わせガラスに関し、特に自動車のフロントガラスに好適な車両用合わせガラスに関する。
自動車のフロントガラスには、2枚のガラス板が有機樹脂中間層を介して一体化された合わせガラスが用いられている。合わせガラスは、ガラス板の一部が破損しても良好な視界を確保することができ、また事故発生時にガラス板が割れたとしても、有機樹脂中間層の伸縮性により、搭乗者が車外へ飛び出すことを防止し得るという利点がある。
例えば、特許文献1には、エアバッグが展開した時に有機樹脂中間層の破断を防止するために、外側ガラス板の厚さに対する内側ガラス板の厚さの比を0.6以上0.9以下とする合わせガラスが開示されている。また、特許文献2には、防犯性等を高めるために、外側ガラス板と内側ガラス板の厚さの差を1.0mm以上とし、外側ガラス板の板厚を内側ガラス板の板厚よりも大きくした合わせガラスが開示されている。
特開2003−55007号公報 特開2001−39743号公報
近年、自動車業界において、車体の軽量化により燃費を高めることが強く求められている。これにより、自動車関連部品の軽量化が今まで以上に求められている。合わせガラスへの要求もその例外でない。合わせガラスの軽量化を図る場合、ガラス板の薄型化が有効であるが、その実現は、安全性等の観点から容易ではない。現状、合わせガラスの薄型化を図るために、ガラス板として、薄い物理強化ガラスを用いることが想定される。
しかし、薄い物理強化ガラスでは、加熱処理の際に表面と内部に温度差を形成し難いため、圧縮応力層の応力深さを大きくすることが困難である。結果として、合わせガラスの強度を維持し難くなる。
更に、自動車のフロントガラスに物理強化ガラスを用いた場合、小石等の点衝撃により物理強化ガラスが粒状に破損し、その細かい破片により人体が損傷する虞がある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、高強度と薄型化の両立が可能であり、且つ破損時の人体損傷の危険を有効に回避し得る車両用合わせガラスを創案することである。
本発明者等は、2枚の強化ガラス板を積層一体化し、更に車外側になるべきガラス板を化学強化し、その圧縮応力層の圧縮応力値と応力深さを所定範囲内に規制することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の車両用合わせガラスは、外側強化ガラス板と内側強化ガラス板が有機樹脂中間層により一体化された車両用合わせガラスにおいて、外側強化ガラス板の板厚が2.0mm以下であり、外側強化ガラス板が、イオン交換による表面圧縮応力層を有し、外側強化ガラス板の表面圧縮応力層の圧縮応力値が350MPa以上であり、且つ応力深さが15〜100μmであることを特徴とする。ここで、「圧縮応力値」及び「応力深さ」は、表面応力計(例えば、折原製作所社製FSM−6000)を用いて、干渉縞の本数とその間隔を観察することで算出したものである。
本発明の車両用合わせガラスは、外側強化ガラスの板厚が2.0mm以下、圧縮応力層の圧縮応力値が350MPa以上、且つ応力深さが15〜100μmに規制されている。このようにすれば、砂利等の細かい飛来物の点衝撃により、外側強化ガラス板が破損し難くなる。更に本発明の車両用合わせガラスは、2枚の強化ガラス板が有機樹脂中間層により一体化されている。このようにすれば、事故発生時に、搭乗者が車外へ飛び出すことを防止することができる。
図1は、本発明の車両用合わせガラスを説明するための概略図である。車両用合わせガラス10は、内側強化ガラス板11と、板厚2.0mm以下の外側強化ガラス板12と、内側強化ガラス板11と外側強化ガラス板12の間に挟まれる有機樹脂中間層13と、を備えている。外側強化ガラス板12は、イオン交換による表面圧縮応力層を有しており、その圧縮応力値は300MPa以上であり、且つ応力深さは15〜60μmである。そして、車両用合わせガラス10は、外側強化ガラス板12側を凸として、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲している。
また、本発明の車両用合わせガラスは、外側強化ガラス板の内部の引っ張り応力値が70MPa以下であることが好ましい。
また、本発明の車両用合わせガラスは、外側強化ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 3〜30%、B 0〜10%、NaO 5〜20%、KO 0〜5%を含有することが好ましい。
また、本発明の車両用合わせガラスは、内側強化ガラス板の表面圧縮応力層の圧縮応力値が350MPa以上であり、且つ応力深さが15〜100μmであることが好ましい。このようにすれば、車内から内側強化ガラス板に点衝撃が加わった際にも、内側強化ガラス板が破損し難くなる。
また、本発明の車両用合わせガラスは、内側強化ガラス板の引っ張り応力値が70MPa以下であることが好ましい。
また、本発明の車両用合わせガラスは、内側強化ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 3〜30%、B 0〜10%、NaO 5〜20%、KO 0〜5%を含有することが好ましい。
また、本発明の車両用合わせガラスは、外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板のヤング率が76GPa以下であることが好ましい。これにより、強化ガラス板が撓み易くなるため、合わせガラスの衝撃吸収効果を高めることができる。
また、本発明の車両用合わせガラスは、外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板の強化処理前のクラック発生率が80%以下であることが好ましい。ここで、「クラック発生率」は、次のようにして測定した値である。まず湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、荷重800gfに設定したビッカース圧子をガラス表面(光学研磨面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)する。このようにして圧子を50回打ち込み、総クラック発生数を求めた後、(総クラック発生数/200)×100の式により求める。ビッカース圧子の打ち込みは全自動ビッカース硬度計(例えばヒューチュアテック製 FLC−50VX)によって行うことができる。但し、クラック発生率は、ガラス表面の水分状態によって値が変わるため、測定前に(Ps−350℃)〜(Ps−150℃)の温度範囲で1時間以上アニールを行い、室温、湿度によるガラス表面の水分状態の差をキャンセルすることが望ましい。なお、Psは歪点を指す。
また、本発明の車両用合わせガラスは、有機樹脂層が、エチレン酢酸ビニル共重合体又はポリビニルブチラールで構成されることが好ましい。
また、本発明の車両用合わせガラスは、3次元的に湾曲した曲面形状を有することが好ましい。
また、本発明の車両用合わせガラスは、自動車のフロントガラスに用いることが好ましい。
また、本発明の車両用合わせガラスは、鉄道車両の窓ガラスに用いることが好ましい。鉄道車両は、自動車に比べて走行速度が速いため、窓ガラスに加わる点衝撃が大きくなり易い。よって、本発明の車両用合わせガラスがこの用途に有利になる。
本発明の車両用合わせガラスの一例を示す概略図である。
本発明の車両用合わせガラスは、外側強化ガラス板と内側強化ガラス板とを有している。これらの強化ガラス板は、表面に圧縮応力層を有している。表面に圧縮応力層を形成する方法として、物理強化処理と化学強化処理(イオン交換処理)があるが、外側強化ガラス板は化学強化処理がなされている。一方、内側強化ガラス板は、何れの強化処理がなされていてもよい。
化学強化処理は、ガラス板の歪点以下の温度でイオン交換によりガラス表面にイオン半径が大きいアルカリイオンを導入する方法である。化学強化処理であれば、ガラス板の板厚が小さい場合でも、圧縮応力層を適正に形成することができる。物理強化処理は、ガラス板の軟化点付近の温度で熱処理した後、特にガラス板の軟化点付近の温度で曲面加工後にガラスを急冷することにより表面に圧縮応力層を形成する方法である。物理強化処理であれば、圧縮応力層の応力深さを大きくすることができる。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、外側強化ガラス板の板厚は、好ましくは2.0mm以下、1.5mm以下、1.3mm以下、特に1.0mm以下、特に0.8mm以下であり、好ましくは0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、特に1.0mm以上である。内側強化ガラス板の板厚は、好ましくは1.5mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下、特に0.8mm以下であり、好ましくは0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、特に0.7mm以上である。特に、外側強化ガラス板を1.0〜1.5mm、内側強化ガラス板を0.3〜1.1mmにそれぞれ規制すれば、機械的な衝撃力を弾性的に吸収し易くなるため、自動車のフロントガラスに適用した場合に、傷が付き難くなる。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、外側強化ガラス板は、イオン交換による表面圧縮応力層を有し、その圧縮応力層の圧縮応力値は、好ましくは350MPa以上、400MPa以上、500MPa以上、550MPa以上、特に600MPa以上である。圧縮応力値が大きい程、外側強化ガラス板の強度が高くなる。一方、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、内部の引っ張り応力が極端に高くなり、点衝突により外側強化ガラス板が自己破壊する虞がある。よって、圧縮応力層の圧縮応力値は1000MPa以下、800MPa以下、特に650MPa以下が好ましい。
外側強化ガラス板の圧縮応力層の応力深さは、好ましくは15μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、特に50μm以上である。応力深さが大きい程、点衝撃により、外側強化ガラス板に深い傷が付いても、外側強化ガラス板が割れ難くなると共に、強度のばらつきが小さくなり易い。一方、応力深さが大き過ぎると、内部の引っ張り応力が極端に高くなり、点衝突により外側強化ガラス板が自己破壊する虞がある。よって、応力深さは、好ましくは100μm以下、90μm以下、80μm以下、75μm以下、70μm以下、65μm以下、特に60μm以下が好ましい。
外側強化ガラス板の内部の引っ張り応力値は、好ましくは70MPa以下、特に10〜60MPaである。内部の引っ張り応力値が大き過ぎると、点衝突により外側強化ガラス板が自己破壊する虞がある。なお、内部の引っ張り応力値は、以下の数式から算出される値を指す。
〔数1〕
内部の引っ張り応力値=(圧縮応力値×応力深さ)/(板厚−2×応力深さ)
本発明の車両用合わせガラスにおいて、内側強化ガラス板は、表面圧縮応力層を有し、その圧縮応力層の圧縮応力値は、好ましくは350MPa以上、400MPa以上、500MPa以上、550MPa以上、特に600MPa以上である。圧縮応力値が大きい程、内側強化ガラス板の強度が高くなる。一方、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、内部の引っ張り応力が極端に高くなり、点衝突により内側強化ガラス板が自己破壊する虞がある。よって、圧縮応力層の圧縮応力値は1000MPa以下、800MPa以下、特に650MPa以下が好ましい。
内側強化ガラス板の圧縮応力層の応力深さは、好ましくは15μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、特に50μm以上である。応力深さが大きい程、点衝撃により、内側強化ガラス板に深い傷が付いても、内側強化ガラス板が割れ難くなると共に、強度のばらつきが小さくなり易い。一方、応力深さが大き過ぎると、内部の引っ張り応力が極端に高くなり、点衝突により内側強化ガラス板が自己破壊する虞がある。よって、応力深さは、好ましくは100μm以下、90μm以下、80μm以下、75μm以下、70μm以下、65μm以下、特に60μm以下が好ましい。
内側強化ガラス板の内部の引っ張り応力値は、好ましくは70MPa以下、特に10〜50MPaである。内部の引っ張り応力値が大き過ぎると、点衝突により内側強化ガラス板が自己破壊する虞がある。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、強化ガラス板(外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板)は、アルカリアルミノシリケートガラス、アルカリホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラスが好ましく、特にアルカリアルミノシリケートガラスが好ましい。アルカリアルミノシリケートガラスは、イオン交換性能が高いため、短時間の化学強化処理で所望の圧縮応力層を形成することができる。また耐失透性が良好であるため、板状に成形が容易である。
強化ガラス板(外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板)は、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 3〜30%、B 0〜10%、NaO 5〜20%、KO 0〜5%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有範囲を規制した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は質量%を指すものとする。
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分である。SiOの含有量は、好ましくは40〜80%、45〜75%、52〜73%、55〜71%、57〜68%、特に58〜67%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、また熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなり、また熱膨張係数が低くなり過ぎて、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。
Alは、イオン交換性能を高める成分であり、また歪点やヤング率を高める成分である。Alの含有量が少な過ぎると、イオン交換性能を十分に発揮できない虞が生じる。よって、Alの下限範囲は、好ましくは3%以上、8%以上、12%以上、16%以上、16.5%以上、17.1%以上、17.5%以上、18%以上、特に18.5%以上である。一方、Alの含有量が多過ぎると、ガラスに失透結晶が析出し易くなって、オーバーフローダウンドロー法等で板状に成形し難くなる。また耐酸性が低下して、酸処理工程に適用し難くなる。更には高温粘性が高くなり、溶融性が低下し易くなる。よって、Alの上限範囲は、好ましくは30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、23.5%以下、22%以下、21%以下、特に20.5%以下である。
は、液相温度、クラック発生率、高温粘度及び密度を低下させると共に、ガラスを安定化させて結晶を析出させ難くする成分である。Bの下限範囲は、好ましくは0%以上、0.1%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上である。しかし、Bの含有量が多過ぎると、イオン交換によって、ヤケと呼ばれるガラス表面の着色が発生したり、耐水性が低下したり、応力深さが小さくなり易い。よって、Bの上限範囲は、好ましくは10%以下、6%以下、5%以下、特に4%未満である。
NaOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。また、NaOは、耐失透性を改善する成分でもある。NaOの含有量が少な過ぎると、溶融性やイオン交換性能が低下し易くなる。よって、NaOの含有量は、好ましくは5%以上、7.0%超、10%以上、12%以上、13%以上、特に14%以上である。一方、NaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。また歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する場合がある。よって、NaOの含有量は、好ましくは20%以下、19%以下、17%以下、16.3%以下、16%以下、特に15%以下である。
Oは、イオン交換を促進する成分であり、アルカリ金属酸化物の中では応力深さを大きくし易い成分である。また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。更には、耐失透性を改善する成分でもある。しかし、KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。また歪点が低下し過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する傾向がある。よって、KOの上限範囲は、好ましくは5%以下、4%以下、2%未満、特に1%未満である。なお、KOを添加する場合、その添加量は、好ましくは0.1%以上、0.3%以上、特に0.5%以上である。
上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。
LiOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分であると共に、ヤング率を高める成分である。更にLiOは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力値を高める効果が大きいが、NaOを5%以上含むガラス系において、LiOの含有量が極端に多くなると、かえって圧縮応力値が低下する傾向がある。また、LiOの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下して、ガラスが失透し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。更に、低温粘性が低下し過ぎて、応力緩和が起こり易くなり、かえって圧縮応力値が低下する場合がある。よって、LiOの含有量は、好ましくは0〜4%、0〜2%、0〜1.5%、0〜1%、0〜1.0%未満、0〜0.5%、0〜0.1%、特に0.01〜0.05%である。
MgOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、イオン交換性能を高める効果が大きい成分である。よって、MgOの下限範囲は、好ましくは0%以上、0.5%以上、1%以上、1.2%以上、1.3%以上、特に1.4%以上である。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり易く、またガラスが失透し易くなる。よって、MgOの上限範囲は、好ましくは9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2.3%以下、特に2.2%以下である。
CaOは、他の成分と比較して、耐失透性の低下を伴うことなく、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分である。しかし、CaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり、またガラス組成の成分バランスを欠いて、かえってガラスが失透し易くなったり、イオン交換性能が低下したり、イオン交換溶液を劣化させ易くなる。よって、CaOの含有量は、好ましくは0〜6%、0〜5%、0〜4%、0〜3.5%、0〜3%、0〜2%、0〜1%未満、0〜0.5%、特に0〜0.1%である。
SrOとBaOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分である。しかし、SrOやBaOの含有量が多過ぎると、イオン交換反応が阻害され易くなることに加えて、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透し易くなる。よって、SrOとBaOの含有量は、それぞれ0〜2%、0〜1.5%、0〜1%、0〜0.5%、0〜0.1%、特に0〜0.1%未満が好ましい。
MgO、CaO、SrO及びBaOの合量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透したり、イオン交換性能が低下する傾向がある。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量は、好ましくは0〜9.9%、0〜8%、0〜6%、特に0〜5%である。
TiOは、イオン交換性能と耐ソラリゼーション性を高める成分であり、また高温粘度を低下させる成分であるが、その含有量が多過ぎると、ガラスが着色し易くなり、或いは失透し易くなる。よって、TiOの含有量は、好ましくは0〜4.5%、0.01〜0.5%、特に0.05〜0.3%である。
ZrOは、イオン交換性能を高める成分であると共に、液相粘度付近の粘性や歪点を高める成分である。しかし、ZrOの含有量が多過ぎると、耐失透性が著しく低下する虞があり、また密度が高くなり過ぎる虞もある。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0〜5%、0〜3%、0〜1%未満、特に0.001〜0.5%である。
ZnOは、イオン交換性能を高める成分であり、特に圧縮応力値を高める効果が大きい成分である。また低温粘性を低下させずに、高温粘性を低下させる成分である。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐失透性が低下したり、密度が高くなったり、応力深さが小さくなる傾向がある。よって、ZnOの含有量は、好ましくは0〜6%、0〜3%、0〜1%、特に0〜0.1%である。
は、イオン交換性能を高める成分であり、特に応力深さを大きくする成分である。Pの好適な下限範囲は0%以上、1%以上、3%以上、5%以上、特に7%超である。しかし、Pの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐水性が低下し易くなる。よって、Pの含有量の好適な上限範囲は20%以下、18%以下、15%以下、13%以下、10%以下、特に7%以下である。
SnOは、イオン交換性能を高める効果を有する。よって、SnOの含有量は、好ましくは0〜3%、0.01〜3%、0.05〜3%、0.1〜3%、特に0.2〜3%である。
清澄剤として、Cl、SO、CeOの群(好ましくはCl、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0〜3%添加してもよい。
Feは、TiOとの併存により紫外線吸収特性を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、可視光透過率が低下し易くなる。よって、Feの含有量は、好ましくは10ppm以上(0.001%以上)、30ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、特に200ppm以上である。またFeの含有量は、好ましくは1000ppm未満(0.1%未満)、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、特に300ppm未満である。更にFeの含有量を上記範囲に規制した上で、モル比Fe/(Fe+SnO)を0.8以上、0.9以上、特に0.95以上に規制することが好ましい。このようにすれば、波長400〜770nm、板厚1mmにおける全光線透過率を高めることができる(例えば90%以上)。
Nd、La等の希土類酸化物は、ヤング率を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の合量は、好ましくは3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下である。
環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs、Sb、PbO、Bi及びFを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に〜を含有しない」とは、ガラス成分として積極的に明示の成分を添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、明示の成分の含有量が0.05%未満であることを指す。
強化ガラス板として、上記アルカリアルミノシリケートガラスが好適であるが、製造コストの観点から、ソーダライムガラスを用いてもよい。ソーダライムガラスは、一般的に、ガラス組成として、質量%で、SiO 65〜75%、Al 0〜3%、CaO 5〜15%、MgO 0〜15%、NaO 10〜20%、KO 0〜3%、Fe 0〜3%を含有している。
強化処理前の強化ガラス板(外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板)、つまり未強化ガラス板のクラック発生率は90%以下、好ましくは80%以下である。または、クラック発生率が80%以下となる荷重は、好ましくは500gf以上、特に800gf以上である。クラック発生率が大き過ぎると、強化ガラス板に飛来物が衝突し局所的な応力が加わった際に、強化ガラス板にクラックが発生し易くなり、合わせガラス全体の破壊に繋がる虞がある。またクラック発生率が80%以下となる荷重が小さ過ぎると、強化ガラス板に飛来物が衝突し局所的な応力が加わった際に、強化ガラス板にクラックが発生し易くなり、合わせガラス全体の破壊に繋がる虞がある。
強化ガラス板(外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板)の密度は2.60g/cm以下、2.55g/cm以下、2.50g/cm以下、2.48g/cm以下、2.46g/cm以下、特に2.45g/cm以下が好ましい。密度が大き過ぎると、強化ガラス板を軽量化し難くなり、合わせガラスも軽量化し難くなる。なお、「密度」は、アルキメデス法で測定可能である。
強化ガラス板(外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板)の25〜380℃の温度範囲における熱膨張係数は、好ましくは100×10−7/℃以下、95×10−7/℃以下、90×10−7/℃以下、特に85×10−7/℃以下である。強化ガラス板の熱膨張係数が高過ぎると、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合し難くなり、強化ガラス板と有機樹脂中間層の剥離が生じ易くなる。なお、「25〜380℃の温度範囲における熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定した平均値である。
強化ガラス板(外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板)の液相温度は、好ましくは1200℃以下、1150℃以下、1100℃以下、1080℃以下、1050℃以下、1020℃以下、特に1000℃以下である。液相粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、104.4dPa・s以上、104.8dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.3dPa・s以上、105.5dPa・s以上、105.7dPa・s以上、105.8dPa・s以上、特に106.0dPa・s以上である。液相温度と液相粘度が上記範囲外になると、成形時にガラスが失透し易くなる。なお、「液相温度」は、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶が析出する温度を測定した値を指す。「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値を指す。
強化ガラス板(外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板)のヤング率は、好ましくは76GPa以下、74GPa以下、72GPa以下、特に70GPa以下である。ヤング率が高過ぎると、強化ガラス板が撓み難くなり、合わせガラスの衝撃吸収性が低下し易くなる。なお、「ヤング率」は、共振法等で測定可能である。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、有機樹脂中間層の厚みは、好ましくは0.1〜2mm、0.3〜1.5mm、0.5〜1.2mm、特に0.6〜0.9mmである。有機樹脂中間層の厚みが小さ過ぎると、衝撃吸収性が低下し易くなり、また固着性にばらつきが生じ易くなって、強化ガラス板と有機樹脂中間層が剥離し易くなる。一方、有機樹脂中間層の厚みが大き過ぎると、合わせガラスの視認性が低下し易くなる。
有機樹脂中間層として、種々の有機樹脂が使用可能であり、例えば、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、セルロースアセテート(CA)、ジアリルフタレート樹脂(DAP)、ユリア樹脂(UP)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルアルコール(PVAL)、酢酸ビニル樹脂(PVAc)、アイオノマー(IO)、ポリメチルペンテン(TPX)、塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メタクリル−スチレン共重合樹脂(MS)、ポリアレート(PAR)、ポリアリルスルフォン(PASF)、ポリブタジエン(BR)、ポリエーテルスルフォン(PESF)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が使用可能である。その中でも、透明性と固着性の観点から、EVA、PVBが好適であり、特にPVBは遮音性を付与し得るため好ましい。
有機樹脂中間層中に着色剤を添加してもよく、赤外線、紫外線等の特定波長光線を吸収する吸収剤を添加してもよい。
有機樹脂中間層には、上記有機樹脂を複数種類組み合わせたものを用いてもよい。例えば、二層の有機樹脂中間層を用いると、外側強化ガラス板と内側強化ガラス板が異なる有機樹脂で固着されるため、積層一体化の際に、合わせガラスの反りを低減し易くなる。
以下のようにして、本発明の車両用合わせガラスを作製することができる。
まず所定のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500〜1700℃で加熱溶融し、清澄、攪拌した後、成形装置に供給して板状に成形し、徐冷することにより、ガラス板を作製することができる。
平板形状に成形する方法として、オーバーフローダウンドロー法を採用することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、表面が未研磨の状態で、高品位なガラス板を大量に作製し得ると共に、大型のガラス板も容易に作製し得る方法である。なお、表面が未研磨であると、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。
オーバーフローダウンドロー法以外にも、フロート法でガラス板を成形することも好ましい。フロート法は、大型のガラス板を安価に作製し得る方法である。
次に、得られたガラス板について、必要に応じて、曲面加工を行う。曲面加工の方法として、種々の方法を採用することができる。特に、金型によりガラス板をプレス成形する方法が好ましく、所定の形状の金型でガラス板を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることが好ましい。このようにすれば、曲面形状の寸法精度を高めることができる。また、所定形状の金型上にガラス板を配置した後、ガラス板の一部又は全体を熱処理することにより、金型の形状に沿って、ガラス板を自重で軟化変形させる方法も好ましい。このようにすれば、曲面加工の効率を高めることができる。
続いて、曲面加工後のガラス板に対して、強化処理して、2枚の強化ガラスを得る。外側強化ガラス板には、点衝撃強度を高める観点から、化学強化処理が行われる。化学強化処理の条件は、特に限定されず、ガラスの粘度特性、用途、厚み、内部の引っ張り応力、寸法変化等を考慮して最適な条件を選択すればよい。例えば、390〜490℃の溶融塩中に1〜8時間浸漬することで行うことができる。特に、溶融塩中のKイオンをガラス中のNa成分とイオン交換すると、ガラス表面に圧縮応力層を効率良く形成することができる。溶融塩としては、種々の溶融塩が使用可能であり、例えば、KNOとNaNOの混合溶融塩を用いることができる。この場合、NaNOの濃度は5〜20質量%が好ましい。
1枚のガラス板に対して、化学強化処理を複数回(好ましくは2回)行ってもよい。化学強化処理を複数回行うと、深さ方向のKイオン濃度の分布曲線を屈曲させることができ、圧縮応力層の圧縮応力値と応力深さを増大させつつ、内部に蓄積される引っ張り応力の総量を低減することができる。化学強化処理を2回行う場合、化学強化処理の間に熱処理工程を設けてもよい。このようにすれば、溶融塩により、表面から深さ方向における圧縮応力曲線を効率良く屈曲させることができる。更に1回目のイオン交換処理の時間を短縮することができる。
内側強化ガラス板には、物理強化処理が行われていてもよい。物理強化処理の条件は特に限定されないが、ガラス板の軟化点付近の温度に加熱した後、空気ジェット等により急冷することが好ましい。物理強化処理を別途の熱処理工程で行ってもよいが、製造効率の観点から、曲面加工後のガラス板を急冷することで行うことが好ましい。
更に、2枚の強化ガラス板を有機樹脂中間層により積層一体化して、合わせガラスとする。積層一体化の方法として、2枚の強化ガラス板の間に有機樹脂を注入した後に有機樹脂を硬化させる方法、2枚の強化ガラス板の間に有機樹脂シートを配置した後に加圧加熱処理(熱圧着)する方法等が挙げられるが、後者の方法の方が、積層一体化が容易であるため好ましい。
また、加圧加熱処理(熱圧着)に際し、強化ガラス板の熱膨張係数に応じて、内側と外側に配置するヒーターの加熱温度に差をつけてもよい。この場合、低膨張の強化ガラス板側のヒーターの加熱温度を高くし、高膨張の強化ガラス板側のヒーターの加熱温度を低くすることが好ましい。これにより、強化ガラス板間の伸縮量が整合し易くなり、合わせガラスの反りを低減することができる。
合わせガラスを得た後に、合わせガラスの端面から食み出した有機樹脂中間層を除去することが好ましく、合わせガラスの端面からの破損を防止するために面取り加工を行ってもよい。また、合わせガラスを得た後に、外側強化ガラス板又は内側強化ガラス板の表面に、ハードコート膜や赤外線反射膜を形成してもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
まずガラス組成として、質量%で、SiO 61.5%、Al 18.0%、B 0.5%、NaO 14.5%、KO 2.0%、MgO 3.0%、SnO 0.5%を含有するガラスが得られるように、ガラス原料を調合した。次に、調合済みのガラス原料を連続溶融炉に投入した後、溶融、清澄、攪拌して、均質な溶融ガラスを得た後、成形体内に供給し、オーバーフローダウンドロー法で板状に成形した。
得られたガラス板について、各種特性を評価したところ、密度は2.45g/cm、熱膨張係数は91×10−7/℃、ヤング率は71GPa、液相温度は970℃、液相粘度は106.3dPa・s、クラック発生率は65%であった。ここで、密度は、周知のアルキメデス法によって測定した値である。熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて、25〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を測定した値である。ヤング率は、周知の共振法で測定した値である。液相温度は、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶が析出する温度を測定した値である。液相粘度は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。クラック発生率は、まず温度200℃に保持された電気炉内で1時間保持し、表面の水分状態を一定にし、その後、湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、荷重800gfに設定したビッカース圧子をガラス表面に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)し、更にこのようにして圧子を50回打ち込み、総クラック発生数を求めた後、総クラック発生数/200×100の式により求めた値である。
続いて、ガラス板の両表面を光学研磨した後、表1に記載の溶融塩を用いて、表1に記載の条件でイオン交換処理し、各強化ガラス板(試料No.1〜4)を得た。次に、得られた強化ガラス板について、表面応力計(折原製作所社製FSM−6000)を用いて観察される干渉縞の本数とその間隔から表面圧縮応力層の圧縮応力値CSと応力深さDOLを算出し、更に上記数式1により、内部の引っ張り応力値CTを算出した。算出に当たり、各試料の屈折率を1.5、光学弾性定数を29.5[(nm/cm)/MPa]とした。その結果を表1に示す。
Figure 2018030095
得られた強化ガラス板について、点衝撃強度を評価した。点衝撃強度は、花崗岩製の精密定盤の上に強化ガラス板を1枚置き、その上にサンドペーパー(番手P100、砥粒SiC)の砥粒面を強化ガラス板側に向けて載せた後、上方からサンドペーパーに向けて66.8gのステンレス鋼球を自然落下させ、強化ガラス板が破損した高さを求めた。測定回数は15回とし、平均強度は鋼球重量×重力加速度×破損高さから算出し、併せてワイブル係数も算出した。それらの結果を表1に示す。
表1から分かるように、試料No.1、2は、板厚、圧縮応力値CS、応力深さDOL及び内部の引っ張り応力値CTが適正であるため、点衝撃強度が高かった。一方、試料No.3は、応力深さDOLが大き過ぎるため、点衝撃強度が低かった。試料No.4は、応力深さDOLが小さ過ぎるため、点衝撃強度が低かった。
まずガラス組成として、質量%で、SiO 61.5%、Al 18.0%、B 0.5%、NaO 14.5%、KO 2.0、MgO 3.0%、SnO 0.5%を含有するガラスが得られるように、ガラス原料を調合した。次に、調合済みのガラス原料を連続溶融炉に投入した後、溶融、清澄、攪拌して、均質な溶融ガラスを得た後、成形体内に供給し、板厚が1.1mmになるようにオーバーフローダウンドロー法で板状に成形した。
次に、得られたガラス板について、所定の形状の金型で各試料を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることにより、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲した曲面形状に曲面加工した。
曲面加工後のガラス板について、混合溶融塩(KNO 87.43質量%、NaNO 12.57質量%)を用いて、480℃で2時間イオン交換処理を行い、強化ガラス板を得た。更に曲面加工後の強化ガラス板を2枚用意した上で、厚み0.7mmの有機樹脂中間層(PVB)を用いて、これらを加圧加熱処理により積層一体化して、曲面形状を有する合わせガラスを得た。この合わせガラスは、高強度と薄型化の両立が可能であり、且つ破損時の人体損傷の危険を有効に回避し得るものと考えられる。
表2に記載のガラス板(試料No.5〜11)について、実施例2の欄に記載の方法により曲面加工した後、強化処理を行い、強化ガラス板を得た。なお、各試料の密度、熱膨張係数、ヤング率、液相温度、液相粘度及びクラック発生率は、実施例1の欄に記載の測定方法により測定した。
試料No.5〜7、9〜11については、実施例2の欄に記載の条件によりイオン交換処理が行われており、表面圧縮応力層の圧縮応力値CSが400MPa以上、応力深さDOLが40〜90μmであった。試料No.8については、曲面加工後の急冷により、表面圧縮応力層が形成されており、その圧縮応力値CSは50MPa、応力深さDOLは200μmであった。
Figure 2018030095
次に、表1、2の試料No.1(外側強化ガラス板)と試料No.2(内側強化ガラス板)、試料No.1(外側強化ガラス板)と試料No.5(内側強化ガラス板)、試料No.2(外側強化ガラス板)と試料No.5(内側強化ガラス板)、2枚の試料No.6、2枚の試料No.7、試料No.1(外側強化ガラス板)と試料No.8(内側強化ガラス板)、2枚の試料No.9、2枚の試料No.10、2枚の試料No.11、試料No.9(外側強化ガラス板)と試料No.8(内側強化ガラス板)の組み合わせについて、実施例2の欄に記載の方法により、それぞれ合わせガラスを作製した。
本発明の車両用合わせガラスは、自動車のフロントガラスに好適であるが、自動車のリアガラス、ドアガラス、ルーフガラスにも好適である。また鉄道車両の窓ガラスにも好適である。
10 車両用合わせガラス
11 外側強化ガラス板
12 内側強化ガラス板
13 有機樹脂中間層

Claims (12)

  1. 外側強化ガラス板と内側強化ガラス板が有機樹脂中間層により一体化された車両用合わせガラスにおいて、
    外側強化ガラス板の板厚が2.0mm以下であり、
    外側強化ガラス板が、イオン交換による表面圧縮応力層を有し、
    外側強化ガラス板の表面圧縮応力層の圧縮応力値が350MPa以上であり、且つ応力深さが15〜100μmであることを特徴とする車両用合わせガラス。
  2. 外側強化ガラス板の内部の引っ張り応力値が70MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の車両用合わせガラス。
  3. 外側強化ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 3〜30%、B 0〜10%、NaO 5〜20%、KO 0〜5%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用合わせガラス。
  4. 内側強化ガラス板の表面圧縮応力層の圧縮応力値が350MPa以上であり、且つ応力深さが15〜100μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用合わせガラス。
  5. 内側強化ガラス板の引っ張り応力値が70MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両用合わせガラス。
  6. 内側強化ガラス板が、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 3〜30%、B 0〜10%、NaO 5〜20%、KO 0〜5%を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の車両用合わせガラス。
  7. 外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板のヤング率が76GPa以下であることを特徴とする請求項1〜6に記載の車両用合わせガラス。
  8. 外側強化ガラス板及び/又は内側強化ガラス板の強化処理前のクラック発生率が80%以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の車両用合わせガラス。
  9. 有機樹脂層が、エチレン酢酸ビニル共重合体又はポリビニルブチラールで構成されることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の車両用合わせガラス。
  10. 3次元的に湾曲した曲面形状を有することを特徴とする請求項1〜9に記載の車両用合わせガラス。
  11. 自動車のフロントガラスに用いることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の車両用合わせガラス。
  12. 鉄道車両の窓ガラスに用いることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の車両用合わせガラス。
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