JPWO2017179711A1 - 蒸気タービン動翼、蒸気タービン、及び、蒸気タービン動翼の製造方法 - Google Patents

蒸気タービン動翼、蒸気タービン、及び、蒸気タービン動翼の製造方法 Download PDF

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Abstract

蒸気タービン動翼は、前縁部(61a)が形成された翼本体(61)の前記翼高さ方向の先端部分に設けられて、負圧面(612)から前縁部側(61a)に向かうように突出する突出部(7)と、突出部(7)の基端側の面の少なくとも一部と、突出部(7)と負圧面(612)との接続部分のうち、前縁部(61a)側を向く前縁側遷移領域と、を覆うように設けられて、翼本体(61)よりも硬度の高い材料から形成された遷移領域シール部材と、を備える。前記遷移領域シール部材は、表面が翼本体(61)の表面と面一となる前側シール部(81)と、前側シール部(81)と一体に形成されて、表面が前記基端側の面よりも突出する基端側シール部(82)とを有する。

Description

この発明は、蒸気タービン動翼、蒸気タービン、及び、蒸気タービン動翼の製造方法に関する。
本願は、2016年4月14日に出願された特願2016−080994号及び2016年10月28日に出願された特願2016−212034号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
蒸気タービンは、機械駆動用などに用いられ、回転可能に支持されたロータと、ロータを覆うケーシングとを有している。蒸気タービンは、ロータに対して作動流体としての蒸気が供給されることによって回転駆動される。蒸気タービンは、ロータに動翼が設けられ、ロータを覆うケーシングに静翼が設けられている。蒸気タービンの蒸気流路には、動翼と静翼とが交互に複数段配設されて構成されている。蒸気流路に蒸気が流れることで、静翼により蒸気の流れが整流され、動翼を介してロータが回転駆動される。
このような蒸気タービンにおいて、蒸気流路を流れている蒸気中に水滴(ドレン)が発生する。この水滴を含む蒸気が蒸気流路を流れて、高速で回転している動翼に水滴が衝突すると、翼表面を侵食するエロージョンが発生する。
そのため、エロージョンが発生しやすい動翼の前縁部には、エロージョンを防ぐための保護部材が設けられている。例えば、特許文献1には、保護部材として、ステライト板からなるエロージョンシールドを有する動翼が記載されている。
特開2013−87712号公報
ところで、近年、蒸気タービンの大型化に伴い、動翼の長大化が進んでいる。その一方で、動翼の軽量化のために、動翼の先端部分は肉厚が薄くなっている。このような動翼では、周方向に隣接する他の動翼との間隔を調整するために、先端部分に翼面から周方向に突出する構造を動翼に設ける場合がある。
長大化した動翼では、水滴と衝突する速度が先端に向かうにつれて高くなる。このため、長大化して先端部分の肉厚を薄くした動翼では、この先端部分におけるエロージョンによる減肉の影響が他の部分より大きくなる。特に、肉厚が薄い状態で突出部を設けることで先端部分が複雑な形状となる動翼では、さらにこの影響が大きくなる。このような動翼に対して、先端部分でのエロージョンの影響を特に抑えたいという要望がある。
本発明は、突出部が形成された先端部分でのエロージョンの影響を抑えることが可能な蒸気タービン動翼、蒸気タービン、及び蒸気タービン動翼の製造方法を提供する。
本発明の第一の態様に係る蒸気タービン動翼は、翼高さ方向に延びる圧力面及び負圧面を有し、前記圧力面と前記負圧面とによって前記翼高さ方向に延びる前縁部が形成された翼本体と、前記翼本体の前記翼高さ方向の先端部分に設けられて、前記負圧面から前記前縁部側に向かうように突出する突出部と、前記突出部の前記翼高さ方向で先端と反対側の基端側を向く基端側の面の少なくとも一部と、前記突出部と前記負圧面との接続部分のうち、前記前縁部側を向く前縁側遷移領域と、を覆うように設けられて、前記翼本体よりも硬度の高い材料から形成された遷移領域シール部材と、を備え、前記前縁側遷移領域には、前記負圧面から窪む第一凹部が形成され、前記遷移領域シール部材は、表面が前記翼本体の表面と面一となるように前記第一凹部内に配置された前側シール部と、前記前側シール部と一体に形成されて、表面が前記基端側の面よりも突出するように前記基端側の面上に配置された基端側シール部とを有する。
このような構成によれば、基端側シール部の表面が基端側の面よりも突出するように、基端側シール部が基端側の面上に載った状態で配置されている。そのため、基端側の面において、遷移領域シール部材を配置するための凹部を形成する必要が無い。したがって、負圧面と大きく異なる角度で延びる基端側の面を加工するコストや時間を抑えることができる。これにより、コストを抑えて製造された遷移領域シール部材によって、突出部が形成された先端部分でのエロージョンの影響を抑制できる。また、突出部の基端側の面に遷移領域シール部材を配置するための凹部を形成する必要が無いため、隣接する翼と接触して力を受ける突出部の強度確保に有利である。さらに、エロージョンシールドを配置していないタイプの翼に対しても、前側シール部に対応する凹部を形成するだけでエロージョンシールドを配置することが可能となり、エロージョンシールド未装着の既存の翼に対するエロージョン耐性向上を簡便に実現することができる。
本発明の第二の態様における蒸気タービン動翼では、第一の態様において、前記遷移領域シール部材は、前記突出部の前縁側を向く前縁側の面と前記基端側の面とが接続する境界線を、前記境界線と前記負圧面との接続点から所定の長さまで覆っており、前記所定の長さは、前記接続点から前記突出部の先端部までの前記境界線の長さをLとした場合に、前記接続点から0.9L以下の長さであってもよい。
このような構成によれば、境界線の先端を部分的に覆わないことで、突出部の先端部の狭い領域に対応させて精度の高い遷移領域シール部材を形成する必要がない。また、接続点から境界線を覆うことで、エロージョンの生じやすい部分を確実に保護することができる。これにより、エロージョンの影響を抑制しつつ、遷移領域シール部材の製造コストを抑えることができる。
本発明の第三の態様における蒸気タービン動翼では、第一または第二の態様において、前記前縁部を覆うように設けられて、前記翼本体よりも硬度の高い材料から形成された前縁部シール部材を備え、前記翼本体は、前記前縁部で表面から窪む第二凹部を有し、前記前縁部シール部材は、表面が前記翼本体の表面と面一となるように前記第二凹部内に配置されていてもよい。
このような構成によれば、前縁部でのエロージョンの発生を抑制することができる。また、前縁部では、前縁部シール部材が翼本体の表面から突出していないことで、流路内での蒸気の流れを阻害してしまうことが抑えられる。
本発明の第四の態様における蒸気タービン動翼では、第三の態様において、記遷移領域シール部材と、前記前縁部シール部材とが一体に形成され、前記第一凹部と前記第二凹部とが同じ深さで繋がって形成されていてもよい。
このような構成によれば、遷移領域シール部材と前縁部シール部材とを少ない工程で翼本体に接合させることができる。また、第一凹部と第二凹部とが同じ深さであることで、遷移領域シール部材と前縁部シール部材とを同じ厚みの板材として形成することができる。したがって、れにより、遷移領域シール部材及び前縁部シール部材の製造コストを抑えることができる。
本発明の第五の態様に係る蒸気タービンは、第一から第四の態様のいずれか一つの蒸気タービン動翼を有するロータと、前記ロータを覆うケーシングとを備える。
このような構成によれば、蒸気タービン動翼でのエロージョンの影響を抑えることができ、蒸気タービン動翼の長寿命化を図ることができる。
本発明の第六の態様における蒸気タービン動翼の製造方法は、高さ方向に延びる圧力面及び負圧面を有し、前記圧力面と前記負圧面とによって前記翼高さ方向に延びる前縁部が形成された翼本体と、前記翼本体の前記翼高さ方向の先端部分に設けられて、前記負圧面から前記前縁部側に向かうように突出する突出部と、を一体に形成する翼本体形成工程と、前記突出部の前記翼高さ方向で先端と反対側の基端側を向く基端側の面の少なくとも一部と、前記突出部と前記負圧面との接続部分のうち、前記前縁部側を向く前縁側遷移領域と、を覆うような形状をなし、前記翼本体よりも硬度の高い材料から形成された遷移領域シール部材を金属射出成形で形成するシール部材形成工程と、前記遷移領域シール部材を前記基端側の面の少なくとも一部及び前記前縁側遷移領域に接合する接合工程とを含み、前記翼本体形成工程は、前記前縁側遷移領域に前記負圧面から窪む第一凹部を形成し、前記遷移領域シール部材は、表面が前記翼本体の表面と面一となるように前記第一凹部内に配置可能とされた前側シール部と、前記前側シール部と一体に形成されて、表面が前記基端側の面よりも突出するように前記基端側の面上に配置可能とされた基端側シール部とを有する。
本発明の第七の態様における蒸気タービン動翼の製造方法では、第六の態様において、前記接合工程は、前記遷移領域シール部材を前記翼本体及び前記突出部にろう付けしてもよい。
本発明によれば、突出部が形成された先端部分でのエロージョンの影響を抑えることができる。
本発明の実施形態における蒸気タービンの構成を示す模式図である 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の側面図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の内側から示す斜視図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の外側から示す斜視図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の内側から見た要部拡大図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の先端部分を前縁部側から見た要部拡大図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の製造方法を示す斜視図である。 本発明の変形例における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の内側から示す斜視図である。 本発明の変形例における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の外側から示す斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について図を参照して説明する。
蒸気タービン100は、蒸気Sのエネルギーを回転動力として取り出す回転機械である。本実施形態の蒸気タービン100は、図1に示すように、ケーシング1と、静翼2と、ロータ3と、軸受部4と、を備えている。
なお、以下では、ロータ3の軸線Acが延びている方向を軸方向Da、軸線Acに対する周方向を単に周方向Dc、軸線Acに対する径方向を単に径方向Drとする。また、軸方向Daの一方側を上流側、軸方向Daの他方側を下流側とする。
ケーシング1は、内部の空間が気密に封止されているとともに、蒸気Sの流路が内部に形成されている。ケーシング1は、径方向Drの外側からロータ3を覆っている。ケーシング1には、上流側部分にケーシング1内に蒸気Sを導く蒸気入口11が形成されている。ケーシング1には、下流側部分にケーシング1内を通った蒸気Sを外部に排出する蒸気出口12が形成されている。
静翼2は、ロータ3の周方向Dcに沿って並んでケーシング1の内側を向く面に複数設けられている。静翼2は、ロータ3に対して径方向Drに間隔を空けて配置されている。静翼2は、後述する動翼6と軸方向Daに間隔を空けて配置されている。
ロータ3は、軸線Acを中心として回転する。ロータ3は、ロータ本体5と、動翼(蒸気タービン動翼)6とを有する。
ロータ本体5は、ケーシング1を貫通するように軸方向Daに延びている。ロータ本体5は、動翼6が設けられた中間部分がケーシング1の内部に収容されている。ロータ本体5の両端部は、ケーシング1の外部に突出している。ロータ本体5の両端部は、軸受部4により回転可能に支持されている。
軸受部4は、ロータ3を軸線Ac回りに回転可能に支持している。軸受部4は、ロータ本体5の両端部にそれぞれ設けられたジャーナル軸受41と、ロータ本体5の一端側に設けられたスラスト軸受42と、を備えている。
動翼6は、ロータ本体5の周方向Dcに複数並んで配置されている。複数の動翼6は、環状をなしてロータ本体5の外周面に配置されている。動翼6は、ロータ3の軸方向Daに流れる蒸気Sを受けて軸線Ac回りにロータ本体5を回転させる。本実施形態の動翼6は、図2に示すように、翼本体61と、プラットフォーム62と、翼根部63と、突出部7と、シール部材10とを有する。
翼本体61は、径方向Drに延びている。本実施形態における動翼6では、翼本体61の延びる方向を翼高さ方向Dhとする。つまり、本実施形態における翼高さ方向Dhとは径方向Drである。翼本体61は、翼形をなしている。翼本体61は、翼高さ方向Dhの基端から翼高さ方向Dhの先端に向かうにしたがって、軸方向Daの長さが短く、且つ、周方向Dcの肉厚が薄くなるように形成されている。つまり、翼本体61は、翼高さ方向Dhで先端と反対側の基端から先端に向かうにしたがって細くなるように形成されている。本実施形態の翼本体61における翼高さ方向Dhの先端とは、翼本体61の翼高さ方向Dhの一方の端部である。翼本体61は、周方向Dcを向く表面として、翼高さ方向Dhに延びる圧力面611及び負圧面612を有している。負圧面612は、凸状をなして下流側を向く面である。圧力面611は、凹状をなして上流側を向く面である。翼本体61は、これら圧力面611と負圧面612とによって翼高さ方向Dhに延びる前縁部61a及び後縁部61bが形成されている。
なお、本実施形態の翼本体61における翼高さ方向Dhの基端側は径方向Drの内側である。また、翼本体61における翼高さ方向Dhの先端側は径方向Drの外側である。つまり、翼本体61の基端は、翼本体61の先端に対して翼高さ方向Dhの反対側である。
前縁部61aは、翼本体61の上流側の端部である。前縁部61aは、翼高さ方向Dhと直交する断面において、圧力面611と負圧面612とが接続される部分である。
後縁部61bは、翼本体61の下流側の端部である。後縁部61bは、翼高さ方向Dhと直交する断面において、前縁部61aに対して軸方向Daの反対側で圧力面611と負圧面612とが接続される部分である。
プラットフォーム62は、翼本体61の翼高さ方向Dhの基端部分に設けられている。つまり、プラットフォーム62は、翼本体61の径方向Drの内側に設けられている。なお、本実施形態の翼本体61における翼高さ方向Dhの基端とは、翼本体61の翼高さ方向Dhの他方の端部である。プラットフォーム62は、翼本体61の翼高さ方向Dhの基端部分に接続され、翼高さ方向Dhに対して垂直な成分を有する方向に広がる板状の部材である。
翼根部63は、プラットフォーム62から翼本体61と翼高さ方向Dhの反対側に延びている。翼根部63は、プラットフォーム62の径方向Drの内側に設けられている。翼根部63は、ロータ本体5に嵌め込まれている。
突出部7は、翼本体61の翼高さ方向Dhの先端部分に設けられている。突出部7は、負圧面612から前縁部61a側に向かうように突出している。突出部7は、翼本体61の翼高さ方向Dhの先端に設けられた端板ではなく、負圧面612から部分的に突出している。つまり、突出部7は、翼本体61の先端部分の全域に設けられているわけではなく、翼本体61の先端部分の一部を形成している。突出部7は、図3及び図4に示すように、前縁部61aから離れた位置に形成されている。突出部7は、翼高さ方向Dhから見た際に、負圧面612から離れるとともに前縁部61a側に向かうにしたがって、次第に細くなるように形成されている。本実施形態の突出部7は、前縁側遷移領域TAに後縁部61b側に向かって窪む溝部70が形成されている。突出部7は、翼本体61の前縁部61aから後縁部61bまでの長さである翼コード長さYに対して、前縁部61a側の付け根の位置が前縁部61aから0.15Y以下の位置に形成されている。なお、突出部7の付け根の位置は、前縁部61aから0.1Y以下の位置であることがより好ましい。突出部7の付け根の位置は、先端側から見た際に後述する第三面73を延長した場合に負圧面612と合流する位置である。
ここで、前縁側遷移領域TAとは、突出部7と負圧面612との接続部分のうち、後縁部61b側ではなく、前縁部61a側を向く領域である。本実施形態の前縁側遷移領域TAは、溝部70と、溝部70と連続している負圧面612の一部である。したがって、突出部7と負圧面612との接続部分は、翼高さ方向Dhから見た際に、溝部70によって前縁部61a側が欠けるように窪んでいる。
また、本実施形態では、突出部7と負圧面612との接続部分のうち、翼高さ方向Dhで先端と反対側である基端側を向く領域を基端側遷移領域TBと称する。つまり、基端側遷移領域TBは、突出部7と負圧面612との接続する領域の中で、翼高さ方向Dhの基端側に形成された領域である。基端側遷移領域TBは、突出部7に対して翼高さ方向Dhのプラットフォーム62側(径方向Drの内側)に形成されている。本実施形態の基端側遷移領域TBは、突出部7のプラットフォーム62側を向く面の一部と、負圧面612の一部で形成されている。
また、本実施形態では、基端側遷移領域TBのうち、前縁側遷移領域TAと接続される領域を交差領域TCと称する。交差領域TCは、基端側遷移領域TBの中で前縁部61a側に形成された領域である。交差領域TCは、突出部7において、翼高さ方向Dhの基端側かつ前縁部61a側での負圧面612と接続する領域である。交差領域TCは、溝部70の径方向Drの内側に面している。
突出部7には、プラットフォーム62側を向く第一面(基端側の面)71と、第一面71と反対側を向く第二面72と、上流側を向く第三面(前縁側の面)73と、負圧面612と第三面73とを繋ぐ第四面74と、下流側を向く第五面75と、第一面71と負圧面612とを接続する接続面76とが形成されている。
第一面71は、基端側を向いている。第一面71は、径方向Drの内側を向いている。第一面71は、翼高さ方向Dhに対して垂直な成分を有する方向に広がる平面である。つまり、第一面71は、負圧面612に対して垂直な成分を有する方向に広がっている。本実施形態の第一面71は、三角形状をなしている。
第二面72は、径方向Drの外側を向いている。第二面72は、翼高さ方向Dhに対して垂直な成分を有する方向に広がる平面である。第二面72は、第一面71と平行に形成されている。第二面72は、翼本体61の翼高さ方向Dhの先端面と同一面として形成されている。本実施形態の第二面72は、第一面71と同じ大きさの三角形状をなしている。
第三面73は、前縁部61a側を向いている。第三面73は、第一面71及び第二面72に対して垂直に接続されている。第三面73は、軸方向Daの上流側に対して傾斜する成分を有する方向及び翼高さ方向Dhに広がる平面である。本実施形態の第三面73は、矩形状をなしている。
第四面74は、前縁部61a側を向いている。第四面74は、溝部70を形成する面である。第四面74は、前縁部61a側から後縁部61b側に向かって凹む凹状の曲面である。第四面74は、負圧面612と第三面73とを繋いでいる。第四面74は、第一面71及び第二面72に対して垂直に接続されている。第四面74は、負圧面612の一部とともに前縁側遷移領域TAを構成している。本実施形態の第四面74は、負圧面612の一部、第一面71の一部、及び接続面76とともに、交差領域TCを構成している。
第五面75は、後縁部61b側を向いて負圧面612と繋がっている。第五面75は、第一面71及び第二面72に対して垂直に接続されている。第五面75は、第三面73に対して鋭角をなして接続されている。第五面75は、軸方向Daの下流側に対して傾斜する成分を有する方向及び翼高さ方向Dhに広がる平面である。本実施形態の第五面75は、矩形状をなしている。
接続面76は、翼本体61と突出部7とを接続する曲面である。接続面76は、負圧面612と第一面71との略垂直に配置された面同士をなだらかに接続している。接続面76は、負圧面612と第一面71とに連続する曲面を有している。接続面76では、負圧面612に対して、曲面の曲率半径が不連続に変化する。つまり、接続面76は、仮に負圧面612が複雑な三次元曲面によって形成されていた場合であっても、負圧面612の端部から大きく曲率半径を変化させて第一面71の表面に接続されている。接続面76は、負圧面612の一部及び第一面71の一部とともに、基端側遷移領域TBを構成している。
前縁側遷移領域TAには、負圧面612、第三面73、及び第四面74から窪む第一凹部613が形成されている。第一凹部613は、全域にわたって同じ深さで凹んでいる。
翼本体61は、前縁部61aで表面から窪む第二凹部614を有している。第二凹部614は、全域にわたって同じ深さで凹んでいる。本実施形態の第二凹部614は、第一凹部613と一体となって窪み部615を形成している。したがって、第一凹部613と第二凹部614とが同じ深さで繋がって形成されている。窪み部615は、シール部材10の厚みと略同一の深さで負圧面612及び突出部7から窪んでいる。
シール部材10は、第一面71の少なくとも一部と、前縁側遷移領域TAと、前縁部61aとを覆うように設けられている。シール部材10は、基端側遷移領域TBから前縁側遷移領域TAを介して前縁部61aにわたって同じ厚さで形成されている。シール部材10は、翼本体61よりも硬度の高い材料から形成されている。シール部材10は、ステライトを金属射出成形によって成形することで形成されている。シール部材10は、銀ロウを用いてろう付けによって翼本体61の窪み部615に固定される。つまり、窪み部615は、シール部材10の形状を合わせて、シール部材10と厚みと略同一の深さで負圧面612から窪んでいる。シール部材10は、第一シール部材(遷移領域シール部材)8と、第二シール部材(前縁部シール部材)9とを有している。シール部材10では、第一シール部材8と第二シール部材9とが一体的に繋がって形成されている。
第一シール部材8は、第一面71の少なくとも一部と、前縁側遷移領域TAとを覆うように設けられている。本実施形態の第一シール部材8は、第四面74の全域を覆うとともに、第四面74と接続された負圧面612の一部と、第四面74と接続された第一面71の一部と、第四面74と接続された第三面73の一部と、接続面76の一部とを覆っている。第一シール部材8は、突出部7の第三面73と第一面71とが接続する境界線M1を覆っている。第一シール部材8は、図5に示すように、境界線M1と負圧面612との接続点P1から所定の長さまで境界線M1を覆っている。
ここで、境界線M1は、平面である第一面71と第三面73とが直接接続されている場合には、実際に面同士が接続する辺である。一方、第一面71と第三面73とが曲面を介して接続されている場合には、境界線M1は、第一面71と第三面73とをそれぞれ延ばした際に形成される仮想線である。また、第一面71及び第三面73の一方または両方が曲面の場合には、境界線M1は、径方向の内側から見た際に、第一面71と第三面73とが交差する稜線である。
また、所定の長さは、接続点P1から突出部7の先端部までの境界線M1の長さをLとした場合に、接続点から0.9L以下の長さである。
本実施形態の第一シール部材8は、前側シール部81と、基端側シール部82とを有している。第一シール部材8では、前側シール部81と、基端側シール部82とが一体に形成されている。
前側シール部81は、表面が翼本体61の表面と面一となるように第一凹部613内に配置可能とされている。前側シール部81は、前縁側遷移領域TA及び交差領域TCとのみを覆っている。本実施形態の前側シール部81は、第四面74の全域を覆うとともに、第四面74と接続された負圧面612の一部と、第四面74と接続された第三面73の一部と、接続面76の一部とを覆っている。したがって、これらの領域では、前側シール部81の表面が負圧面612や突出部7の面と同じ位置(面一)となるように連続する面を形成している。
基端側シール部82は、図6に示すように、表面が第一面71よりも突出するように第一面71上に配置可能とされている。基端側シール部82は、前側シール部81と連続するように一体的に形成されている。基端側シール部82は、第四面74と接続された第一面71の一部のみを覆っている。本実施形態の基端側シール部82は、第一面71の中で、前縁部61a側の先端部分と、接続面76と接続される領域の中で後縁部61b側を覆っていない。基端側シール部82は、第一面71上に隙間なく載るように形成されている。したがって、第一面71上の基端側シール部82の端部には第一面71に対して段差が形成されている。基端側シール部82は、一定の厚さで形成されている。
第二シール部材9は、図3及び図4に示すように、前縁部61aを覆うように設けられている。本実施形態の第二シール部材9は、前縁部61aのうち翼高さ方向Dhの先端から所定の領域を覆うように、前縁部61aの一部に対して設けられている。ここで、所定の領域とは、例えば、前縁部61aのうちで付着する水滴の量が多い部分が挙げられる。第二シール部材9は、負圧面612と圧力面611とに沿って湾曲した板状の部材である。第二シール部材9は、第二凹部614内に配置されている。第二シール部材9は、表面が圧力面611及び負圧面612と同じ位置(面一)となるように形成されている。第二シール部材9は、第一シール部材8と同じ厚さで形成されている。
次に、以上で説明した動翼6(蒸気タービン動翼)の製造方法について、図7に示すフローチャートに従って説明する。
本実施形態の動翼の製造方法S100は、翼本体形成工程S1と、シール部材形成工程S2と、接合工程S3とを含む。
動翼の製造方法S100では、第一に、翼本体形成工程S1を実施する。翼本体形成工程S1では、動翼6の翼本体61と突出部7とを一体に形成する。翼本体形成工程S1では、例えば鋳造によって翼本体61と突出部7とを一体に形成する。本実施形態の翼本体形成工程S1では、オーステナイト系のステンレスによって鋳造を行う。翼本体形成工程S1は、前縁側遷移領域TAに負圧面612、第三面73、及び第四面74から窪む第一凹部613を形成する。また、翼本体形成工程S1は、前縁部61aに圧力面611及び負圧面612から窪む第二凹部614を形成する。本実施形態の翼本体形成工程S1では、シール部材10が翼本体61の表面から突出しないように、翼本体61にシール部材10の形状に対応した第一凹部613及び第二凹部614として窪み部615を形成する。
なお、翼本体形成工程S1では、翼本体61と突出部7とを含む中間品を形成してから、機械加工によって溝部70を設けることで、翼本体61と突出部7とを形成してもよい。
動翼の製造方法S100では、第二に、シール部材形成工程S2を実施する。本実施形態のシール部材形成工程S2では、第一シール部材8及び第二シール部材9を一体のシール部材10として形成する。シール部材形成工程S2は、シール部材10を金属射出成形(MIM:Metal Injection Mold)で形成する。シール部材形成工程S2では、前側シール部81と、基端側シール部82と、第二シール部材9とが一体になるようにシール部材10を形成する。
動翼の製造方法S100では、第三に、接合工程S3を実施する。接合工程S3では、シール部材10を翼本体61に接合する。接合工程S3は、シール部材10を第一面71の少なくとも一部及び前縁側遷移領域TAに接合する。接合工程S3では、シール部材10が翼本体61の表面から突出しないように、窪み部615にシール部材10を接合する。この際、シール部材10は、第二シール部材9及び前側シール部81の表面が負圧面612や突出部7の面と同じ位置になるように窪み部615に隙間なく接合される。まだ、シール部材10は、基端側シール部82の表面が第一面71から突出するように、第一面71上に基端側シール部82が隙間なく接触した状態で接合される。接合工程S3では、銀ロウを用いてろう付けによって、シール部材10を翼本体61及び突出部7に固定する。
なお、本実施形態では、翼本体61と突出部7と窪み部615とを備え、シール部材10が取り付けられる前の状態の動翼を翼体と称する。
上記のような蒸気タービン100では、動翼6は、軸方向Daの上流側から下流側に向かって蒸気Sが流通する流路内に配置されている。この蒸気S中では、圧力低下とともに水滴(ドレン)が発生する。これにより、蒸気Sは、水滴を含んだ状態で流路内を流通している。
この水滴の径は、動翼6を抜けた後の排気圧力が高くなるほど大きくなる。また、水滴の発生量は、流路内の蒸気Sの湿り度が高くなるほど多くなる。そのため、特に最も下流側の最終段付近では、エロージョンを生じ易くなる粒径を有する水滴が発生し易くなる。具体的には、最終段付近では、100μm〜200μm程度の粒径の水滴が多くなる。さらに、特に最終段の中でも突出部7に到達する水滴は、140μm〜150μm程度の粒径の水滴が多くなる。
動翼6が流路内で高速で回転することで遠心力の影響を受けた水滴は、上流側に隣接する静翼2を通過した後に、軸方向Daの上流側から下流側に向かうとともに、径方向Drの内側から外側に向かって流れる。その結果、動翼6の先端の突出部7には、蒸気Sとともに水滴が衝突してエロージョンが発生する。
特に、翼本体61の翼高さ方向Dhの長さが長くなることで長大化した動翼6では、水滴と衝突する速度が先端部分に向かうにつれて高くなる。これにより、先端部分におけるエロージョンによる減肉の影響が他の部分より大きくなる。そして、本実施形態のように翼本体61の先端部分に突出部7が設けられている場合、翼本体61と突出部7との接続部分のうち、基端側を向く基端側遷移領域TBでのエロージョンによる減肉の影響が大きくなる。
ところが、上記のような動翼の製造方法S100で製造された動翼6によれば、第一シール部材8によって基端側遷移領域TBを覆うことができる。第一シール部材8が翼本体61よりも硬い材料で形成されていることで耐エロージョン性を向上させることができる。これにより、径方向Drの内側(翼高さ方向Dhの基端側)から外側(先端側)に流れる水滴が基端側遷移領域TBに衝突しても、基端側遷移領域TBでのエロージョンを抑制することができる。その結果、突出部7との接続部分でエロージョンによる減肉が進み、突出部7が翼本体61から脱落してしまう事態を避けることができる。したがって、例えば、設計上、翼本体61の翼高さ方向Dhの長さが長くなることで大きくなる突出部7の遠心力を下げるために突出部7を薄くし、翼本体61と突出部7との接続部分の強度が弱い場合でも、突出部7が翼本体61から脱落してしまうことを抑制することができる。これにより、突出部7が設けられた動翼6に対して、先端部分でのエロージョンの影響を抑えることができる。
また、基端側シール部82の表面が第一面71よりも突出するように、基端側シール部82が第一面71上に載った状態で配置されている。そのため、第一面71において、第一シール部材8を内部に配置するための凹部を形成する必要が無い。したがって、負圧面612と大きく異なる角度で延びる第一面71を加工するコストや時間を抑えることができる。これにより、コストを抑えて製造された第一シール部材8によって、突出部7が形成された先端部分でのエロージョンの影響を抑制できる。
また、突出部7の第一面71に第一シール部材8を配置するための凹部を形成する必要が無いため、隣接する他の翼と接触して力を受ける突出部7の強度確保に有利である。さらに、エロージョンシールドを配置していないタイプの翼に対しても、前側シール部81に対応する凹部を形成するだけでエロージョンシールドを配置することが可能となる。したがって、エロージョンシールド未装着の既存の翼に対するエロージョン耐性向上を簡便に実現することができる。
また、境界線M1の先端を部分的に覆わないことで、突出部7の先端部の狭い領域に対応させた第一シール部材8を形成する必要がない。また、接続点P1から境界線M1を覆うことで、エロージョンの生じやすい部分を確実に保護することができる。これにより、エロージョンの影響を抑制しつつ、第一シール部材8を有するシール部材10の製造コストを抑えることができる。
また、第二シール部材9が前縁部61aのうち翼高さ方向Dhの先端部分から所定の領域を覆っている。そのため、前縁部61aのうち、特に水滴に衝突される翼高さ方向Dhの先端部分付近での耐エロージョン性を向上させることができ、エロージョンを抑制することができる。また、前縁部61aでは、第二シール部材9が圧力面611や負圧面612から突出していないことで、流路内での蒸気の流れを阻害してしまうことが抑えられる。これにより、蒸気の流れを阻害することなく、前縁部61aでのエロージョンの影響を抑えることができる。
また、上記のような蒸気タービン100によれば、動翼6でのエロージョンを抑えることができ、動翼6の長寿命化を図ることができる。したがって、動翼6をメンテナンスする頻度を低減させて、蒸気タービン100を効率的に運転させることができる。また、動翼6の突出部7の形状のスリム化を図ることができ、動翼6の長大化が可能となる。
次に、図8及び図9を参照して動翼の変形例について説明する。
変形例においては実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この変形例の動翼は、遷移領域シール部材と前縁部シール部材とが別部材となっている構成について実施形態と相違する。
変形例の動翼6Aは、図8及び図9に示すように、第一シール部材8Aと第二シール部材9Aとが別部材に形成されている。第一シール部材8Aと第二シール部材9Aとは、離れて配置されている。この際、第一凹部613Aと第二凹部614Aとは、離れて配置されている。第一シール部材8Aは、第一凹部613A内に配置されている。第二シール部材9Aは、第二凹部614A内に配置されている。このような構成としても、突出部7を覆う第一シール部材8Aを低コストで形成することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、突出部7を有する動翼6、6Aは、例えば、軸方向Daに並ぶ複数の動翼のうち、下流側の動翼列を構成する動翼のみに採用されてもよい。
また、本実施形態では、第一シール部材8やシール部材10は、前縁側遷移領域TAとして、第四面74及び第四面74と連続する負圧面612の一部を覆うように設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、第一シール部材8は、第四面74と連続する負圧面612の一部を覆っておらず、前縁側遷移領域TAとして、第四面74のみを覆う形状をなしていてもよい。また、第一シール部材8やシール部材10は、前縁側遷移領域TAとして、第四面74と連続する第三面73まで覆う形状をなしていてもよい。
また、第二シール部材9やシール部材10は、前縁部61aの一部のみに設けられていることに限定されるものではなく、前縁部61aの翼高さ方向Dhの全域にわたって設けられていてもよい。
また、本実施形態の突出部7は、溝部70を有していたが、このような形状に限定されるものではない。例えば、突出部7は、溝部70を有しておらず、第三面73が負圧面612と直接接続されていてもよい。このような形状の場合、前縁側遷移領域TAは、例えば、第三面73及び第三面73と連続する負圧面612の一部となる。また、交差領域TCは、例えば、第一面71と、第三面73と、第三面73と連続する負圧面612の一部とが交差する点を中心とする領域となる。
また、シール部材形成工程S2では、第一シール部材8や第二シール部材9を精密鋳造や機械加工によって形成してもよい。
上記した蒸気タービン動翼、蒸気タービン、及び蒸気タービン動翼の製造方法によれば、突出部が形成された先端部分でのエロージョンの影響を抑えることができる。
100 蒸気タービン
S 蒸気
Ac 軸線
Da 軸方向
Dc 周方向
Dr 径方向
1 ケーシング
11 蒸気入口
12 蒸気出口
2 静翼
3 ロータ
5 ロータ本体
6、6A 動翼
Dh 翼高さ方向
61 翼本体
611 圧力面
612 負圧面
613,613A 第一凹部
614,614A 第二凹部
615 窪み部
61a 前縁部
61b 後縁部
62 プラットフォーム
63 翼根部
7 突出部
70 溝部
71 第一面
72 第二面
73 第三面
74 第四面
75 第五面
76 接続面
TA 前縁側遷移領域
TB 基端側遷移領域
TC 交差領域
8、8A 第一シール部材
81 前側シール部
82 基端側シール部
9、9A 第二シール部材
10 シール部材
4 軸受部
41 ジャーナル軸受
42 スラスト軸受
S100 動翼の製造方法
S1 翼本体形成工程
S2 シール部材形成工程
S3 接合工程
本発明の実施形態における蒸気タービンの構成を示す模式図である 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の側面図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の内側から示す斜視図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の外側から示す斜視図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の内側から見た要部拡大図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の先端部分を前縁部側から見た要部拡大図である。 本発明の実施形態における蒸気タービン動翼の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の変形例における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の内側から示す斜視図である。 本発明の変形例における蒸気タービン動翼の先端部分を径方向の外側から示す斜視図である。

Claims (7)

  1. 翼高さ方向に延びる圧力面及び負圧面を有し、前記圧力面と前記負圧面とによって前記翼高さ方向に延びる前縁部が形成された翼本体と、
    前記翼本体の前記翼高さ方向の先端部分に設けられて、前記負圧面から前記前縁部側に向かうように突出する突出部と、
    前記突出部の前記翼高さ方向で先端と反対側の基端側を向く基端側の面の少なくとも一部と、前記突出部と前記負圧面との接続部分のうち、前記前縁部側を向く前縁側遷移領域と、を覆うように設けられて、前記翼本体よりも硬度の高い材料から形成された遷移領域シール部材と、を備え、
    前記前縁側遷移領域には、前記負圧面から窪む第一凹部が形成され、
    前記遷移領域シール部材は、
    表面が前記翼本体の表面と面一となるように前記第一凹部内に配置された前側シール部と、
    前記前側シール部と一体に形成されて、表面が前記基端側の面よりも突出するように前記基端側の面上に配置された基端側シール部とを有する蒸気タービン動翼。
  2. 前記遷移領域シール部材は、前記突出部の前縁側を向く前縁側の面と前記基端側の面とが接続する境界線を、前記境界線と前記負圧面との接続点から所定の長さまで覆っており、
    前記所定の長さは、前記接続点から前記突出部の先端部までの前記境界線の長さをLとした場合に、前記接続点から0.9L以下の長さである請求項1に記載の蒸気タービン動翼。
  3. 前記前縁部を覆うように設けられて、前記翼本体よりも硬度の高い材料から形成された前縁部シール部材を備え、
    前記翼本体は、前記前縁部で表面から窪む第二凹部を有し、
    前記前縁部シール部材は、表面が前記翼本体の表面と面一となるように前記第二凹部内に配置されている請求項1または請求項2に記載の蒸気タービン動翼。
  4. 前記遷移領域シール部材と、前記前縁部シール部材とが一体に形成され、
    前記第一凹部と前記第二凹部とが同じ深さで繋がって形成されている請求項3に記載の蒸気タービン動翼。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の蒸気タービン動翼を有するロータと、
    前記ロータを覆うケーシングとを備える蒸気タービン。
  6. 翼高さ方向に延びる圧力面及び負圧面を有し、前記圧力面と前記負圧面とによって前記翼高さ方向に延びる前縁部が形成された翼本体と、前記翼本体の前記翼高さ方向の先端部分に設けられて、前記負圧面から前記前縁部側に向かうように突出する突出部と、を一体に形成する翼本体形成工程と、
    前記突出部の前記翼高さ方向で先端と反対側の基端側を向く基端側の面の少なくとも一部と、前記突出部と前記負圧面との接続部分のうち、前記前縁部側を向く前縁側遷移領域と、を覆うような形状をなし、前記翼本体よりも硬度の高い材料から形成された遷移領域シール部材を金属射出成形で形成するシール部材形成工程と、
    前記遷移領域シール部材を前記基端側の面の少なくとも一部及び前記前縁側遷移領域に接合する接合工程とを含み、
    前記翼本体形成工程は、前記前縁側遷移領域に前記負圧面から窪む第一凹部を形成し、
    前記遷移領域シール部材は、
    表面が前記翼本体の表面と面一となるように前記第一凹部内に配置可能とされた前側シール部と、
    前記前側シール部と一体に形成されて、表面が前記基端側の面よりも突出するように前記基端側の面上に配置可能とされた基端側シール部とを有する蒸気タービン動翼の製造方法。
  7. 前記接合工程は、前記遷移領域シール部材を前記翼本体及び前記突出部にろう付けする請求項6に記載の蒸気タービン動翼の製造方法。
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