JPWO2017179691A1 - 血糖値低下用又はgi値低減用の食品組成物又は組み合わせ - Google Patents

血糖値低下用又はgi値低減用の食品組成物又は組み合わせ Download PDF

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Abstract

本発明は、血糖値低下用又はGI値低減用の食品組成物又は組み合わせに関する。本発明の食品組成物は、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する、ことを特徴とする。本発明の組み合わせは、本発明の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせである。一態様において、穀物を主原料とする食品組成物はレジスタントスターチを含有する。

Description

本発明は、血糖値低下用又はGI値低減用の食品組成物又は組み合わせに関する。
血糖値制御
血糖値は、血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度である。ヒトの血糖値は、血糖値を下げるインスリン、血糖値を上げるグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンといったホルモンにより、非常に狭い範囲の正常値に保たれている。体内におけるグルコースはエネルギー源として重要である反面、高濃度のグルコースは糖化反応を引き起こし微小血管に障害を与え生体に有害であるため、インスリンなどによりその濃度(血糖値)が常に一定範囲に保たれている。
血糖上昇に対する防御機構を、動物はほとんど備えていない。血糖値が高くなったとき、それを調節するホルモンはインスリンだけである。このたった1つの調節メカニズムが破綻した場合、糖尿病などの高血糖症を発症することになる。体内における血糖値を制御し、高血糖を防ぐことは極めて重要である。
醸造酵母が血糖減少特性を有する物質を含有することが知られている。該物質は、クロム結合能を有するキノリン誘導体(分子量174)である(特公平6−86379)。また、Edenらは、インビトロでのラット脂肪細胞を用いた研究で、ビール酵母由来の酵母エキスがインスリンによる脂肪細胞内への糖取り込みを増強することを記載している(N.Edens, et al.:J Nutr. 2002 Jun;132(6):1141−1148)。ただし当該文献のデータは、in vitroのデータに過ぎず、実際に動物に投与したときの作用について、明らかになっていない。
特開2009−291076は、乾燥菌体あたり2.5重量%以上のグルタチオンを含有するサッカロマイセス・セレビジエから得られる乾燥酵母エキスにより、高脂肪粉末飼料を与えたマウスにおいて血糖値上昇抑制効果が得られたことを記載している。
ヒトの食品については、複数の食品同士を組み合わせて、食事全体のGI値を低減させることが知られている。具体的には、例えば、特開2011−19402は高GI食材を含む複数の食材を用いた食材の組み合わせ方法であって、複数の食材を構成する各食材の糖質量を合計した総糖質量に対する複数の食材に含まれる高GI食材の糖質量の割合に基づいて、組み合わせられる複数の食材に含まれる各食材の割合を決定する、ことを記載している。これは、高GI食材と低GI食材を組み合わせて糖質量の総量を抑えるという考え方に基づくものである。食品・飲料に関し、以下のような知見も得られている。
−うどんや米飯を単独で食べるよりも卵や野菜、マーボー茄子といった副菜と一緒に食べる方が、血糖上昇曲線下面積(IAUC)が小さくなる(Matsushima M, et al.:Glycative Stress Research. 2014;1:53−59);
−ファストフードであっても主食と副菜を組み合わせて摂取することで、糖化ストレスを緩和する可能性がある(Kawabata A, et al.:Glycative Stress Research. 2015;2(2):67−71)
しかしながら、血糖値制御(血糖値上昇を抑制する)機能にすぐれ、かつ、味・食感にも優れた食品組成物は提供されていない。
レジスタントスターチ
「レジスタントスターチ」(RS)は、消化酵素の消化作用に抵抗性を有し、健康な人の小腸内で消化・吸収されない澱粉及び分解物である。RSは、腸内環境改善作用、血糖上昇抑制作用、コレステロール低下作用、脂質代謝改善作用等を有することが知られている。例えば、特開2011−84674は、RS高含有澱粉を含有したうどんを記載している。しかしながら、RS含有食品、例えば麺は粉っぽくぼそぼそする等、味・食感がかならずしも満足のいくものではなかった。
特公平6−86379 特開2009−291076 特開2011−19402 特開2011−84674(特許4482611号)
N.Edens, et al.:J Nutr. 2002 Jun;132(6):1141−1148 Matsushima M, et al.:Glycative Stress Research. 2014;1:53−59 Kawabata A, et al.:Glycative Stress Research. 2015;2(2):67−71 Jenkins,D.J., et al.:Am. J. Clin. Nutr., 1981;34:362−366
本発明は、血糖値低下用又はGI値低減用の食品組成物又は組み合わせを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題の解決のために鋭意研究に務めた結果、サッカロマイセス属酵母由来の酵母エキスが、顕著な血糖値低下作用及びGI値低減作用を有することを見出し、本発明の食品組成物を想到した。
さらに、本発明のサッカロマイセス属酵母由来の酵母エキス含有食品組成物を、穀物を主原料とする食品組成物と組み合わせることにより、顕著な血糖値低下作用及びGI値低減作用を有する食品組成物の組み合わせを提供することに成功した。
限定されるわけではないが、本発明は以下の態様を含む
[態様1]
サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する、血糖値低下用食品組成物。
[態様2]
サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する、GI値低減用食品組成物。
[態様3]
酵母エキスを、乾燥酵母エキスに換算した場合に0.001重量%以上5.0重量%以下含有する、態様1又は2に記載の食品組成物。
[態様4]
サッカロマイセス属酵母が、サッカロマイセス・セレビシエに属する、態様1−3のいずれか1項に記載の食品組成物。
[態様5]
食品組成物にサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有させることを含む、当該食品の血糖値低下作用を高める方法。
[態様6]
食品組成物にサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有させることを含む、当該食品のGI値を低減させる方法。
[態様7]
態様1−4のいずれか1項に記載の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせ。
[態様8]
穀物を主原料とする食品組成物が、米、麺、餅、パン、お好み焼、たこ焼、もんじゃ焼、ピザ、トルティーヤ、点心、中華まん、チヂミ、シリアル食品又は菓子である、態様7の組み合わせ。
[態様9]
穀物を主原料とする食品組成物が、うどん、冷や麦、素麺、そば、パスタ、中華麺、及びライスヌードルからなる群から選択される、態様7又は8に記載の組み合わせ。
[態様10]
穀物を主原料とする食品組成物が、うどんである、態様7−9のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[態様11]
穀物を主原料とする食品組成物が、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造された食品組成物である、態様7−10のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[態様12]
態様1−4のいずれか1項に記載の食品組成物が液状である、態様7−11のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[態様13]
穀物を主原料とする食品組成物が、レジスタントスターチを含有する、態様7−12のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[態様14]
レジスタントスターチの含量が、粉体原料の合計量の0.6重量%以上6重量%未満である、態様13に記載の組み合わせ。
[態様15]
レジスタントスターチが、ハイアミロースコーンスターチを酸処理することにより得られるものであり、その分子量ピークが6×103以上4×104以下である、態様13又は14の組み合わせ。
[態様16]
血糖値低下に用いるための態様7−15のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[態様17]
GI値低減に用いるための態様7−15のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[態様18]
態様1−4のいずれか1項に記載の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物とを組み合わせることを含む、両食品組成物の血糖値低下作用を高める方法。
[態様19]
態様1−4のいずれか1項に記載の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせることを含む、両食品組成物のGI値を低減させる方法。
[態様20]
レジスタントスターチを含有し、そして、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造される、血糖値低下用麺。
[態様21]
麺にレジスタントスターチを含有させ、そして、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造する、ことを含む麺のGI値を低減させる方法。
本発明の食品組成物は、サッカロマイセス属酵母由来の酵母エキスを含有させることにより、顕著な血糖値低下作用及びGI値低減作用を示す。
また、本発明の組み合わせは、本発明のサッカロマイセス属酵母由来の酵母エキス含有食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物とを組み合わせることにより、顕著な血糖値低下作用及びGI値低減作用を示す。本発明の組み合わせは、血糖値低下及びGI値低減に関する複数の機構を組み合わせることにより、顕著な効果を得られるものである。一例として、本発明前は、レジスタントスターチを利用した低GI食品組成物、例えば麺には、食感がぼそぼそするなどという問題があった。本発明の組み合わせにおいて、上記サッカロマイセス属酵母由来の酵母エキスを例えば麺つゆなどに入れることにより、麺に含有させるレジスタントスターチ量を減じて、かつ、つゆの風味・呈味に寄与しつつ、料理全体として低GIで、かつ、良好な食感の麺料理を提供することが可能になった。さらに、例えば、お好み焼の添加ソースにサッカロマイセス属酵母由来の酵母エキスを加えることにより、GI値が低減したお好み焼を提供できた。さらにまた、サッカロマイセス属酵母由来の酵母エキスを含む白だしを炊飯米に加えることにより、酵母エキスを含まない白だしを加えた場合よりも、大幅なGI値低減効果が観察された。
図1は、実施例1における「減圧うどん」×「酵母エキス添加なし」の場合の血糖値時間変化を示す(表1のNo.1)。 図2は、実施例1における「RS減圧うどん」×「酵母エキス添加なし」の場合の血糖値時間変化を示す(表1のNo.2)(表4のNo.1)。 図3は、実施例1における「減圧うどん」×「酵母エキスNYP添加」の場合の血糖値時間変化を示す(表1のNo.3)。 図4は、実施例1における「RS減圧うどん」×「酵母エキスNYP添加」の場合の血糖値時間変化を示す(表1のNo.4)(表4のNo.2)。 図5は、実施例1における「常圧うどん」×「酵母エキス添加なし」の場合の血糖値時間変化を示す(表1の比較例)。 各うどんの麺物性(滑らかさ、粘り、弾力)について、よく訓練されたパネル10名にて、各評価項目を1(悪)〜5(良)として5段階評価で官能評価を行い、各パネルの評価点の平均を求めた。また、得られた粘りの値と弾力の値との平均の値を粘弾性とした。図6において、縦軸に粘弾性を、横軸に滑らかさをとり、プロットした。RS高含有減圧うどん(表3のNo.1)、難消化性デキストリン高含有減圧うどん(表3のNo.2)、NYP含有減圧うどん(表3のNo.3)、減圧うどん(表3のNo.4、比較例)、RS含有減圧うどん(No.5)。 図7は、実施例3における「RS減圧うどん」×「バーテックス(登録商標)IG20」の場合の血糖値時間変化を示す(表4のNo.3)。 図8は、実施例3における「RS減圧うどん」×「Sp−d」の場合の血糖値時間変化を示す(表4のNo.4)。 図9は、実施例3における「RS減圧うどん」×「アジレックス(登録商標)LK」の場合の血糖値時間変化を示す(表4のNo.5)。 図10は、実施例3における「RS減圧うどん」×「アロマイルド(登録商標)」の場合の血糖値時間変化を示す(表4のNo.6)。 図11は、実施例3における「RS減圧うどん」×「イーストエキス21−TF)」の場合の血糖値時間変化を示す(表4のNo.7)。 図12は、実施例4における分画1の場合の血糖値時間変化を示す。 図13は、実施例4における分画2の場合の血糖値時間変化を示す。 図14は、実施例4における分画3の場合の血糖値時間変化を示す。 図15は、実施例4における分画4の場合の血糖値時間変化を示す。 図16は、実施例4におけるBCAAの場合の血糖値時間変化を示す。 図17は、実施例4における核酸の場合の血糖値時間変化を示す。 図18は、実施例5における検査食1(本発明)及び検査食2(比較例)の血糖値時間変化を示す。
食品組成物
本発明は、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する、血糖値低下用食品組成物に関する。
本発明はまた、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する、GI値低減用食品組成物に関する。
本発明の食品組成物に含まれる酵母エキスは、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスである。「サッカロマイセス属酵母」は、サッカロマイセス属に属し、主にパン発酵、ワイン若しくはビールの醸造などに用いられる酵母である。好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(「パン酵母」、「出芽酵母」とも言う)に属する。
「酵母エキス」は、酵母の有用な成分を自己消化や酵素、熱水などの処理を行うことにより抽出されたエキスのことである。本発明において、酵母エキスの抽出方法は特に限定されず、例えば、熱水抽出、酵素分解抽出、自己消化抽出などの方法により抽出される。現在の食品と食品添加物との分類では、酵母エキスは食品添加物ではなく、醤油や昆布エキスなどと同様に食品に分類されている。
なお、酵母エキスは主成分としてアミノ酸や核酸関連物質、ミネラル、ビタミン類を含み、核酸をより多く含有するタイプ、核酸をほとんど含まずアミノ酸のみを含有するタイプ、核酸とアミノ酸の両方をバランスよく含有するタイプ、などがある。サッカロマイセス属酵母の酵母エキスでは、いずれのタイプのものも血糖値低下効果(GI値低減効果を含む)を有することが見出された(実施例3)。
また、限定されるわけではないが、好ましくは本発明の酵母エキスは高グルタチオン含有酵母由来ではない。「高グルタチオン含有酵母」とは、例えば、特開2009−291076に記載の「乾燥菌体あたり2.5重量%以上のグルタチオンを含有するサッカロマイセス・セレビシエ」である。そのようなサッカロマイセス・セレビシエの具体例として、特開2004−180509に記載された、サッカロマイセス・セレビシエFERM P−19072株、サッカロマイセス・セレビシエFERM P−19073株、サッカロマイセス・セレビシエFERM P−19074株(いずれも2002年10月18日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託)やそれらの親株あるいはそれらから得られる派生株が挙げられる。本発明の酵母エキスは、好ましくはこれらの高グルタチオン含有酵母に由来しない。乾燥菌体あたりのグルタチオン含量とは、還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンの含量の和のことをいう。使用するサッカロマイセス・セレビシエの、乾燥菌体あたりのグルタチオン含量は、サッカロマイセス・セレビシエの培養液から菌体を集め、菌体を水洗し培地成分を除いた後、蒸留水に懸濁し、この懸濁液の固形分濃度を加熱乾燥や凍結乾燥によって求めるとともに、この懸濁液を85℃、5分間加熱した液に含まれる還元型グルタチオン、酸化型グルタチオンの含量をHPLC分析で求めることによって計算することができる。
食品組成物に対する酵母エキスの添加量は、特に限定されない。好ましくは、乾燥酵母エキスに換算した場合に、添加量の上限は5.0重量%、2.0重量%であり、下限は食品組成物の0.001重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%である。当業者は、酵母エキスを添加する食品組成物の種類等に応じて、酵母エキスの添加量を適宜調整することが可能である。
サッカロマイセス・セレビシエから抽出した酵母エキスを分画したところ、下限の分子量が500であり、上限の分子量が3000である画分に特異的に血糖値低下効果が見られた(実施例4)。本発明の酵母エキスは、好ましくは、酵母エキス中の分子量500−3000の範囲に含まれる画分を含む。
「血糖値低下用食品組成物」とは、本発明の食品組成物を主食として摂取した場合、あるいは主食と共に摂取した場合に、摂取しない場合と比べて、血糖値が低下する(あるいは上昇を抑制する)作用を有する食品組成物をいう。血糖値とは血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度である。ヒトの場合、空腹時血糖値はおおよそ80−120mg/dLであるが、食品の摂取により若干増加し、約20分−40分後には、健常者で最高で120−200mg/dLくらいまで上昇する。そして、健常者の場合、食品摂取後120分以内に空腹時血糖値レベルまで低下する。本発明において、「血糖値が低下する(あるいは上昇を抑制する)」とは、食品の摂取による血糖値上昇の最高値が減少する、摂取後の最高血糖値と空腹時血糖値との差(食品の摂取による血糖値上昇の最高値−空腹時血糖値)が減少する、血糖値上昇後、空腹時の血糖値レベルに下がるまでの時間が短くなる、グリセミック・インデックス(GI値)等によって示されるような摂食後血糖値の上昇度が低下する、などを意味する。
「食品の摂取による血糖値上昇の最高値が減少する」とは、非限定的に、摂取する食品がサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する場合に含有していない場合と比較して、上昇した血糖値の最高値が低下すること、好ましくは1mg/dL以上、5mg/dL以上、10mg/dL以上、20mg/dL以上、30mg/dL、40mg/dL以上低下することを意味する。
「摂取後の最高血糖値と空腹時血糖値との差(食品の摂取による血糖値上昇の最高値−空腹時血糖値)が減少する」とは、非限定的に、摂取する食品がサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する場合に、含有していない場合と比較して、「食品の摂取による血糖値上昇の最高値−空腹時血糖値」が減少すること、好ましくは1mg/dL以上、5mg/dL以上、10mg/dL以上、20mg/dL以上、30mg/dL、40mg/dL以上減少することを意味する。
「血糖値上昇後、空腹時の血糖値レベルに下がるまでの時間が短くなる」とは、非限定的に、摂取する食品がサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する場合に含有していない場合と比較して短くなること、好ましくは1分以上、5分以上、10分以上、20分以上、30分以上短くなる、60分以上短くなる、ことを意味する。
本明細書において、「血糖値低下作用」は、一態様として「GI値低減作用」を含む。「血糖値低下作用」の有無は、例えばGI値低減作用の有無を測定することにより判定することができる。
「GI(グリセミックインデックス)」とは、食品に含まれる糖質の血液中への吸収度合いを示すものであり、食品ごとの摂取後の血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値である。具体的には、食品摂取2時間までに血液中に入る糖質量を計測したものであり、グルコース50gのIAUC(血糖上昇曲線下面積)を100とした時の検査食(糖質として50g相当)のIAUCの割合により算出する(Jenkins,D.J., et al.:Am. J. Clin. Nutr., 1981;34:362−366)。
[化1]
GI値=「食品」摂取時の血糖上昇曲線下面積/グルコース摂取時の血糖上昇曲線下面積×100
上昇速度やピーク値は低くても、長時間血糖値が上がったままの食品は面積が大きくなりGI値が高くなる。また、急激に高い血糖値へ上昇し、大量のインスリンを分泌し、速やかに下降するような食品は面積が小さくなりGI値は低くなる。
一般に、低GI食品とは、本来GI値の低い食品、あるいは、製造法、調理法の改良や血糖値低下作用を有する物質の添加により、GI値を低減させた食品を意味し、そのGI値は55以下とされている。本明細書において、低GI食品のGI値は、好ましくは55以下、50以下、47以下、45以下、42以下である。血糖値低下作用を有する物質の機序は、特に限定されるものではない。
「GI値低減用食品組成物」とは、摂取する食品がサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する場合に、含有していない場合と比較して、GI値が低減する(あるいは上昇を抑制する)作用を有する食品組成物をいう。また「GI値低減用食品組成物」は、本発明の食品組成物を、穀物を主原料とする食品組成物と共に摂取した場合に、摂取しない場合と比べて、GI値が低減する(あるいは上昇を抑制する)作用を有する食品組成物であってもよい。本発明の「GI値低減用組成物」は、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有することによって、その食品組成物自体のGI値が低減する食品組成物、並びに、穀物を主原料とする食品組成物と共に摂取した場合に穀物を主原料とする食品組成物のGI値を低減させる作用を有する食品組成物、の双方を含む。
本明細書において、「GI値が低減する」とは、非限定的に、摂取する食品がサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する場合に含有していない場合と比較し、食品組成物のGI値が低減すること、好ましくは、10%以上、20%以上、30%以上、35%以上、40%以上低減すること、を意味する。
本発明のサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する食品組成物の種類は特に限定されない。好ましくは、液状、ゲル状、ペースト状、固形状、粉末状又は顆粒状である。より好ましくは、液状である。例えば、つゆ、たれ、ソースなどの態様が含まれる。本発明の食品組成物は、温かい状態であっても冷たい状態でもよい。本発明の食品組成物は、調理後に酵母エキスを添加されたものであっても、酵母エキスを含む状態で(加熱)調理されたものであってもよい。また、本発明の食品組成物は、限定されるものではないが、酵母エキスが喫食時の食味に悪影響を与えないものが好ましい。
本発明の食品は、非限定的にヒトを対象とする。健常者であっても、血糖制御を必要とする疾患・症状を伴う患者、特に、高血糖症(糖尿病、薬剤性高血糖症等)を伴う患者を対象としてもよい。好ましくは健常者である。
食品組成物の血糖値低下作用を高める方法又はGI値を低減させる方法
本発明は、食品組成物にサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有させることを含む、当該食品の血糖値低下作用を高める方法、に関する。
本発明はまた、食品組成物にサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有させることを含む、当該食品のGI値を低減させる方法に関する。
「食品組成物」、「サッカロマイセス属酵母の酵母エキス」、「血糖値低下」、「GI値低減」については、食品組成物に関して上述した通りである。
「食品組成物の血糖値低下作用を高める」とは、食品組成物にサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有させることにより、食品組成物が元来の(酵母エキスを含有させない場合でも有する)血糖値低下作用をより高めることのみならず、血糖値低下作用を有しない食品組成物に、血糖値低下作用を付与することも含む。
組み合わせ
本発明はさらに、本発明のサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせ、に関する。本発明の組み合わせは、特に「血糖値低下」又は「GI値低減」に用いるために、特に有用である。本発明はまた、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物を含むセットに関する。本発明のセットは、血糖値低下作用を高めるため、あるいは、GI値を低減させるために使用できる。
(1)穀物を主原料とする食品組成物
穀物を主原料とする食品組成物は特に限定されない。限定されるものではないが、穀物としては、イネ(モチ米を含む)、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ライムギ、ライコムギ、ソバ、モロコシ、アワ、ヒエ、その他の雑穀が挙げられる。穀物を主原料とする食品組成物は、穀物を粒の状態で調理したものであってよく、またこれらの穀物を加工した食品組成物であってもよい。前者の例としては、米、後者の例としては、穀物粉生地を利用して製造される加工食品が挙げられる。穀物を加工した食品組成物として、非限定的に、麺、餅、パン、お好み焼(ねぎ焼、広島焼を含む)、たこ焼、もんじゃ焼、ピザ、トルティーヤ、点心、中華まん、チヂミ、シリアル食品又は菓子(クレープ等)などが挙げられる。
米は、炊飯米、炒飯、粥、パエリア等の態様であってよく、調理方法は特に限定されない。米の種類、品種も限定されなない。
麺は、非限定的に、好ましくは、うどん、冷や麦、素麺、そば、パスタ、中華麺、及びライスヌードルからなる群から選択される。より好ましくは、うどんである。本発明者らは、製造過程において、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造された麺は、より低いGI値を示すことを見出した。論理に縛られるわけではないが、減圧ミキシングにより緻密なグルテンネットワークが構築され、摂食後の澱粉が、そこから徐々に溶け出して消化されることが理由と考えられる。麺生地の減圧ミキシングのためのミキサーは、減圧環境を設定できるものであれば特に限定されず、例えば、真空ミキサーや減圧ミキサーを使用可能である。本発明の減圧ミキシングにおける真空度は、常圧を0mmHg、完全真空を−760mmHgとすると、好ましくは、−400mmHg以下、−500mmHg以下、−600mmHg以下である。また、減圧ミキシングの時間は、生地の状態や真空度に応じて当業者が適宜選択することができる。限定されるものではないが、5分以上が好ましい。本発明の好ましい態様において、穀物を主原料とする食品組成物は、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造された食品組成物である。本発明の好ましい態様において、穀物を主原料とする食品組成物は、麺、より好ましくはうどんである。また、このような麺は、常温麺、冷蔵麺、冷凍麺等の態様であってよい。
餅は、もち米を加工して作る食品で、種類は特に限定されない。粒状の米を蒸して杵でついた「つき餅」と、穀物の粉に湯を加えて練り、蒸し上げた練り餅の2種類に大別され、いずれも本発明の穀物を主原料とする食品組成物に含まれる。
パンの種類も、特に限定されない。小麦を材料とする通常のパンの他、米を材料とする米パンも含む。
お好み焼(ねぎ焼、広島焼を含む)、たこ焼、もんじゃ焼も、種類は特に限定されない。小麦を材料とし、中に含まれる具は限定されない。
ピザ、トルティーヤも、種類は特に限定されない。ピザは、小麦粉、水、塩、イースト、砂糖、少量のオリーブ油をこねた後に発酵させて生地を薄くのばし、その上に具を乗せ、オーブンや専用のかまどなどで焼いた食品である。トルティーヤは、すりつぶしたトウモロコシから作る、メキシコ等の伝統的な薄焼きパンである。小麦粉から作られた同様のものもトルティーヤと呼ばれる。
点心は、中華料理の軽食の総称である。本発明における点心は、穀物を主原料とする点心であれば、種類は限定されない。餃子、焼売、春巻、小籠包等を含む。
中華まんとは、小麦粉、水、砂糖、酵母、ベーキングパウダーなどをこねて発酵させた柔らかい皮で具を包み、蒸し上げた饅頭である。具の種類に応じて、肉まん、あんまんなどがあるが、本発明において種類は限定されない。
チヂミは、小麦粉、米粉、水、卵に適当な具(タマネギ、ニラ、ニンジン、ネギなど)を混ぜ合わせたタネを、フライパンで多めの油で揚げるように焼いたものである。韓国風お好み焼とも呼ばれる。
シリアル食品は、トウモロコシ、オーツ麦、小麦、大麦、米などの穀物を押しつぶして薄い破片(フレーク)にする、パフ状にする(膨張させる)、混ぜ合わせてシート状にしてから砕く、などの加熱調理で食べやすく加工し、長期保存に適した形状にした簡便食である。本発明においてシリアル食品の種類は特に限定されず、例えば、コーンフレーク、オートミ−ル等を含む。
菓子の種類も、特に限定されない。例えば、饅頭等の和菓子、ケーキ、クレープ、ガレット等の洋菓子などが含まれる。
このような穀物を主原料とする食品組成物は、炭水化物を豊富に含んでおり、食事の主食となることが多い。
本発明の組み合わせにおいて、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する食品組成物の種類は特に限定されない。好ましくは、液状、ゲル状、ペースト状、固形状、粉末状又は顆粒状である。より好ましくは、液状である。例えば、つゆ、たれ、ソースなどの態様が含まれる。食品組成物は、温かい状態であっても冷たい状態でもよい。
穀物を主原料とする食品組成物、例えば麺に酵母エキスを含有させると、物性(滑らかさ、粘り、弾力等)が変化し、味、食感が低下する場合がある。穀物を主原料とする食品組成物に、例えば液状の本発明の酵母エキスを含有する食品組成物を組み合わせることにより、味、食感が低下する、という問題を解消できる。
例えば、穀物を主原料とする食品組成物が麺の場合、酵母エキスを含有する食品組成物として液状のつゆ(例えば、うどんに対するめんつゆ)、タレ、スープ、汁等を提供することが可能である。麺は、つゆと麺が別になっている「つけ麺」タイプであっても、スープ(汁)が麺に掛かっている「かけ麺」タイプであってもよい。
穀物を主原料とする食品組成物、酵母エキスを含有する食品組成物の組み合わせの例としては、他にも例えば、お茶漬け(ご飯と出汁)、カレーライスのライスとカレー、ご飯と味噌汁、お好み焼とソース、ケーキと紅茶又はコーヒー、など、通常組み合わせて食するものであれば、特に限定されない。
「組み合わせて食する」とは、穀物を主原料とする食品組成物が麺の場合、酵母エキスを含有する食品組成物とを完全に同時に口に入れる場合(例えば、うどんとめんつゆ、お茶漬けのご飯と出汁、お好み焼とソースなど)のみならず、1回の食事において実質的に同時に体内に取り入れるような態様も含む。本発明において両食品組成物を組み合わせて食することにより、体内において酵母エキスの有効成分が吸収され、穀物を主原料とする食品組成物の消化・吸収による血糖値上昇を抑制、及び/又は、血糖値低下を促進させる効果が得られる。酵母エキスを含有する食品組成物が液状の場合、その有効成分の吸収が早いため、同時に食する穀物を主原料とする食品組成物の消化・吸収による血糖値上昇の抑制/血糖値低下の促進を一層効果的に行うことができ、より好ましい。
(2)レジスタントスターチ
本発明の一態様において穀物を主原料とする食品組成物は、レジスタントスターチを含有する。
「レジスタントスターチ」(RS)は、消化酵素の消化作用に抵抗性を有し、健康な人の小腸内で消化・吸収されない澱粉及び分解物の総称である。難消化性澱粉又は耐性澱粉ともいう。RSは水に不溶性であり、水溶性である難消化性デキストリンはこれに含まれない。RSは消化されないメカニズムの違いによって次の4種類に分類されている。
RS1: 雑穀のように硬い組織に囲まれていることで消化酵素が澱粉まで届かないタイプ
RS2: 十分に加熱されていない未糊化のでんぷんやアミロースの極めて多い澱粉など、澱粉の粒子自体が消化されにくいタイプ
RS3: 冷やご飯や春雨のように一度加熱されて糊化したあと、冷めたり保存する過程で一部の澱粉が再結晶して消化されにくい構造に変化したタイプ
RS4: 加工澱粉の一種で、澱粉を高程度に化学修飾することで消化酵素が作用しにくくなったタイプ
本発明において、RSの種類及び製造方法は特に限定されないが、高アミロース含有量のトウモロコシ、米等から分離・精製された物が好ましい。
また本発明におけるRSとしては、加熱安定性が高いものが好ましい。加熱安定性の高いRSの一例として、ハイアミロースコーンスターチを酸処理することにより、分子量ピークを6×103以上4×104以下としたRSが知られている。これは酸による加水分解により澱粉分子量を10分の1以下に低減して、分子同士の空間配置を密にすることによってアミロース分子の結晶性を上昇させ、加熱安定性や消化耐性を向上させたものである。なお、ハイアミロースコーンスターチは育種によりアミロース含量を高めたコーンスターチであり、アミロース含量が40%以上であることが好ましい。酸処理は、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸と、澱粉、浄水を混合することにより行うことができる。
また、本発明において使用するRS高含有澱粉としては、生体内での澱粉の消化条件に即した定量法であるAOAC公定法2002.02で測定可能なものが好ましい。
これらの条件を満たすRSを高含有する澱粉の例として、特開2011−84674(特許4482611号)に記載のものが挙げられる。
すなわち、本発明における好ましい一態様として、穀物を主原料とする食品組成物は、RSとして、以下の条件(a)、(b)、(c)および(d):
(a)AOAC公定法2002.02のレジスタントスターチ測定法によるレジスタントスターチ含有量が60%以上
(b)分子量ピークが6×103以上4×104以下
(c)分子量分散度が1.5以上6.0以下
(d)示差走査熱量測定による50℃〜130℃における糊化エンタルピーが10J/g以下
を満たすRS高含有澱粉を含有する。
このようなRS高含有澱粉は、アミロース含量が40%以上であるアミロース高含有澱粉を原料とし、該原料を無機酸水溶液中で酸処理することにより得られる、ものであってもよい。酸処理の反応条件が、非限定的に、以下の式(1)および(2)を満たす。
[化2]
(5.54×(4.20)(T-40)/10)(-0.879)≦C<−0.000016×T3+0.00068×T2−0.028×T+4.3 (1)
13.0×C(-1.14)×(1/4.2)(T-40)/10≦t≦180×C(-1.58)×(1/4.2)(T-40)/10 (2)
(ただし、上記式(1)および(2)において、T:反応温度(℃)、C:前記無機酸水溶液中の無機酸の規定度(N)、t:反応時間(時間)である。)
以上の条件を満たすRS高含有澱粉の一例として、アミロファイバー(登録商標)SH(株式会社J−オイルミルズ製)が挙げられる。アミロファイバー(登録商標)SHには、AOAC公定法2002.02のレジスタントスターチ測定法によるRSが約60%含まれている。また、分子量ピークが1.2×104と小さく結晶化されており加熱安定性が高いため、本発明のRSを高含有する澱粉として好ましく用いることができる。
好ましくは、穀物を主原料とする食品組成物は、粉体原料の合計量(主原料の穀物、その他粉体及びRS含有原料の合計量)に対し、RSを0.6重量%以上6重量%未満、好ましくは1重量%以上5重量%以下、含有する。例えば、うどんの場合は、粉体原料は、小麦粉とRS含有澱粉の合計量を意味するが、さらにその他の粉体として、例えば、加工助剤等を含んでも良い。また、限定されるものではないが、RS含有うどんは、好ましくは、減圧工程を含む方法によって製造されたRS含有うどんである。
本発明の実施例において、アミロファイバー(登録商標)SHを粉体原料の約5重量%用いてうどんを調製した。アミロファイバー(登録商標)SHは、RSを約60%含有する。よって、RSの含有量は粉体原料の約3重量%となる。アミロファイバー(登録商標)SHとしては、粉体原料に対し、1重量%以上10重量%未満、好ましくは1重量%以上8重量%以下である。
食品組成物の血糖値低下作用を高める方法又はGI値を低減させる方法
本発明はさらにまた、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する本発明の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物とを組み合わせることを含む、両食品組成物の血糖値低下作用を高める方法、に関する。
本発明はさらにまた、サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する本発明の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせることを含む、両食品組成物のGI値を低減させる方法、に関する。
「サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する食品組成物」、「穀物を主原料とする食品組成物」、「組み合わせ」、「血糖値低下」、「食品組成物の血糖値低下作用を高める」、「GI値低減」については、食品組成物、組み合わせに関して上述した通りである。
組み合わせの使用
本発明はさらに、本発明のサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせの、食品組成物の血糖値低下作用を高める方法への使用、あるいは、本発明のサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせのGI値を低減させる方法への使用に関する。
「サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する食品組成物」、「穀物を主原料とする食品組成物」、「組み合わせ」、「血糖値低下」、「食品組成物の血糖値低下作用を高める」、「GI値低減」については、食品組成物、組み合わせに関して上述した通りである。
血糖値低下用麺
本発明はまた、血糖値低下用麺、に関する。本発明の麺は、レジスタントスターチを含有し、そして、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造され、そして、血糖値を低下させる、という用途を有する。「血糖値低下」とは、食品組成物、組み合わせ等に関して上述した通りである。本発明の麺は、GI値が低減した低GI食品であり、食した場合に、血糖値低下の効果(GI値低減効果を含む)が得られる。
「麺」、「レジスタントスターチ」、「減圧ミキシングによるミキシング工程」についても上述した通りである。
麺のGI値を低減させる方法
本発明はさらにまた、麺のGI値を低減させる方法に関する。本発明の方法は、麺にレジスタントスターチを含有させ、そして、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造する、ことを含む。
「麺」、「GI値低減」、「レジスタントスターチ」、「減圧ミキシングによるミキシング工程」については上述した通りである。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
材料及び方法
本明細書の実施例において特に記載しない場合には、以下の材料及び方法を用いた。
[減圧うどんの調製]
次のようにして、減圧うどんを調製した。
(1)減圧うどん
小麦粉1000gに、塩水500gを加え、製麺用の横型真空ミキサー(さぬき麺機製)で10分間の減圧ミキシング(真空度が−500mmHg以下となるように管理)を経て得られた生地を、常法にて圧延、複合し、熟成させた。その後、常法にて圧延し、麺幅3.8mmにて、厚み3.2mmの生うどんを得た。その後、十分な量の沸騰したお湯で、約10分間茹で調理後、直ちに水洗いして冷水中で冷却し、ゆで調理済みのうどん(ゆでうどん)を得た。なお、以下の実施例では、「減圧うどん」というときは、特に記載した場合を除き、上記工程により得られたうどんを指す。
(2)RS減圧うどん
小麦粉950gに、アミロファイバー(登録商標)SH(J−オイルミルズ製で、レジスタントスターチ(RS)を約60%(AOAC公定法2002.02による測定)含有する高アミロースコーンスターチ分解物。)50gと、塩水500gを加えた(アミロファイバー(登録商標)SHは粉体原料の5重量%、よってRSは粉体原料の3重量%)。これを、製麺用の横型真空ミキサー(さぬき麺機製)で10分間の減圧ミキシング(真空度が−500mmHg以下となるように管理)を経て、得られた生地を、常法にて圧延、複合し、熟成させた。その後、常法にて圧延し、麺幅3.8mmにて、厚み3.2mmの生うどんを得た。その後、十分な量の沸騰したお湯で、約10分間茹で調理後、直ちに水洗いして冷水中で冷却し、ゆで調理済みのうどん(ゆでうどん)を得た。なお、以下の実施例では、「RS減圧うどん」というときは、特に記載した場合を除き、上記工程により得られたうどんを指す。
[血糖値測定試験の実施方法]
(1)血糖値はメディセーフフィット(テルモ製)を用い、指先採血を行うことで測定した。
(2)検査は朝食を抜き、空腹状態で8時〜9時に開始した。
(3)指先採血は基準食・検査食の摂取前、摂取15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後と実施した。
(4)摂取前の空腹時血糖が70〜110以内であれば検査参加とした。
(5)試験食、検査食の実施は1日1回とし、ウォッシュアウト期間は、前回の採血より、1日以上とした。
[GI値の算出方法]
(1)基準食(トレーラン(登録商標)G50g(エイワイファーマ製):糖質量50g)の負荷採血は2回実施した。
(2)血糖上昇下面積(以下、「IAUC」という。)の差が25%以内であれば、平均し基準値とした。差が25%以上の場合は、3回目負荷試験を実施し、その中より25%以内の値を平均し基準値とした。
(3)糖質量を50gに調製した検査食の負荷試験を実施し、IAUCを求めた。
(4)算出された検査食IAUCの基準食に占める割合を算出し、その値を各人のGI値とした。各人のGI値を平均し、標準偏差の2倍より外れた値を除外して、再度平均し試験食のGI値とした。
GI値=((検査食のIAUC)/(基準食のIAUC))×100
実施例1 うどんと酵母エキス添加つゆの組み合わせによるGI値低減効果
本実施例において、うどんと酵母エキス添加つゆの組み合わせによるGI値低減効果を調べた。
(1)無作為に選んだ成人男女6〜9名をパネルとした。
(2)上記のように製造した減圧うどん又はRS減圧うどんとめんつゆとを組み合わせ、冷やしうどんとして各パネルに摂食させた。
うどん:冷やしうどん(うどん167g(糖質量48g));
酵母エキス添加めんつゆ12.3g:追いがつおつゆ(登録商標)(ミツカン製、糖質量2g)に酵母エキス「イーストエキス21−NYP」(富士食品工業製。以下「NYP」という。)0.025gを添加(酵母エキスの含量:めんつゆ+酵母エキスの約0.2重量%)、又は
めんつゆ12.3g:追いがつおつゆ(登録商標)(ミツカン製、糖質量2g)
うどんの比較例として、上記減圧うどんの製造工程において、減圧ミキシングを行わず、代わりに常圧でミキシングしたうどん(以下「常圧うどん」という。)167gと上記のめんつゆを用いた。表1に示す組み合わせについて、上記の血糖値測定方法に従って血糖値測定を実施し、その効果を確認した。
表1及び図1−5に示した通り、減圧うどんは常圧うどんと比べ、GI値が低いことが分かった(No.1と比較例の比較)。また、減圧うどんにNYP含有つゆを加えることで、効果が高まっていることが分かった(No.3)。さらに標準偏差の結果から、RSを加えた減圧うどんとNYP含有つゆを同時に喫食することにより、大きなGI値低減効果が安定的に発揮されることが示された(No.4)。
実施例2 低GIうどんの食感評価
本実施例において、本発明の組み合わせにおける低GIうどんの食感を評価した。
(1)減圧うどんの製造
下記の表2に示された配合組成で混合し、上記方法に従い減圧うどんを製造した。
(2)(1)で得られた3種類のうどん(RS高含有減圧うどん、難消化性デキストリン高含有減圧うどん、NYP含有減圧うどん)と、実施例1で製造した減圧うどん及びRS減圧うどん(計5種類のうどん)について、表3のようにうどんとめんつゆとを組み合わせ、冷やしうどんとして各パネルに摂食させた。
うどん:冷やしうどん(うどん167g(糖質量48g))
酵母エキス添加めんつゆ12.3g:追いがつおつゆ(登録商標)(ミツカン製、糖質量2g)+NYP0.025g、又は
めんつゆ12.3g:追いがつおつゆ(登録商標)(ミツカン製、糖質量2g)
そして、各組み合わせについて、上記の血糖値測定方法に従って血糖値測定を実施し、その効果を確認した。
(3)各うどんの麺物性(滑らかさ、粘り、弾力)について、よく訓練されたパネル10名にて、各評価項目を1(悪)〜5(良)として5段階評価で官能評価を行い、各パネルの評価点の平均を求めた。また、得られた粘りの値と弾力の値との平均の値を粘弾性とした。(2)(3)の結果を表3に示す。また、縦軸に粘弾性を、横軸に滑らかさをとり、プロットした図を示す(図6)。
表3及び図6に示した通り、RS高含有減圧うどん(No.1)はGI値が低いものの粉っぽくぼさぼさした食感であること、難消化性デキストリン高含有減圧うどん(No.2)はGI値が高く食感もコシに欠けること、NYP含有減圧うどん(No.3)は、GI値がある程度下がり食感も良いが、色目や食味に問題があることが分かった。これに対し、RS含有減圧うどんとNYP添加めんつゆとを組み合わせたもの(No.5)は、低GI、良食感、良食味を同時に実現できるものであった。
実施例3 酵母エキスの種類とGI値低減効果
本実施例において、各種酵母エキスのGI値低減効果を調べた。
(1)無作為に選んだ成人男女6〜9名をパネルとした。
(2)糖質を約50gに調製したRS減圧うどんとめんつゆとを組合わせ、冷やしうどんとして、各パネルに摂食させた。
うどん:RS減圧うどん(うどん167g(糖質量48g))
酵母エキス添加めんつゆ12.3g:追いがつおつゆ(登録商標)(ミツカン製、糖質量2g)+表4に示す各種酵母エキス0.025g、又は
めんつゆ12.3g:追いがつおつゆ(登録商標)(ミツカン製、糖質量2g)
検査食の摂取前、15分、30分、45分、60分、90分、120分と血糖値測定を実施した。
以上から、サッカロマイセス属酵母から抽出された酵母エキスを用いることで、安定的な血糖値の上昇抑制が可能になることがわかった。また、トルラ酵母(Candida. utilis)から抽出された酵母エキスには、その効果が見られなかった。
−アジレックスLK:トルラ酵母(Candida utilis)由来酵母エキス。イノシン酸やグアニル酸、その他の核酸類及びペプチド類を豊富に含む。
−アロマイルド:トルラ酵母(Candida utilis)から熱水抽出法で抽出したエキスに核酸分解酵素等の酵素処理を行い、含有するRNA成分をヌクレオチドに分解して、製造した酵母エキス。
実施例4 酵母エキス含有成分の分画試験
本実施例では、酵母エキス(NYP)含有成分の分画試験を行った。具体的には、下記の手順に従い、酵母エキスに含有される成分の分画液を調製した。
(A)手順
(1)NYPを水に溶かし、10%の水溶液を調製した。
(2)分画分子量3000のペンシル型モジュール(旭化成ケミカルズ製)を用いて、分画を行った(容器を氷で冷却しながら、24時間)。
(3)透過しなかったサンプルを分画液1とした。
(4)透過した分画を分画分子量500〜1000の透析チューブ(スペクトラ/ポア(フナコシ製))に充填し、撹拌しながら蒸留水中で透析を行った(4℃、24時間、蒸留水1L×2回交換)。
(5)透析チューブ内のサンプルを分画液2とした。
(6)蒸留水側を透析前と等量になるよう減圧濃縮した。
(7)分画分子量100〜500の透析チューブ(スペクトラ/ポア、フナコシ)に(6)を充填し、撹拌しながら蒸留水中で透析を行った(4℃、24時間、蒸留水1L×2回交換)。
(8)透析チューブ内のサンプルを分画液3とした。
(9)蒸留水側を透析前と等量になるよう減圧濃縮し、分画液4とした。
(10)分画液を、それぞれエバポレーターを用いて濃縮した後、乾燥凍結機によるフリーズドライにて粉末化を行った。
(B)分画詳細
各分画液に含有される成分の分子量を、下表に示した。
(C)各分画液のGI低減評価結果
NYPの各分画液につき、上記の方法でGI値を測定した。また、比較のため、NYPが有している量と同量(表6)の遊離分枝鎖アミノ酸(BCAA)、核酸高含有酵母エキスであるアロマイルド(興人)が含有する種類及び量の核酸(表7)、及び対照につき、上記の方法でGI値を測定した。
GI値が大きく低減したのは、分画2(500〜1000<分子量<3000)のみであった。また、BCAAや核酸についても、GI値の大幅な低減は見られなかった。以上から、GI値低減効果を有する物質は、上記の分画法を用いた場合、500〜1000<分子量<3000の画分に存在することが示された。
(D)分画液のHPLCによる分子量分布分析
NYPと上記の各分画液に含有される物質の分子量分布をHPLCにより分析した。HPLCシステムとしてD−7000シリーズ(日立製作所製)を使用し、カラムは、GS−320 HQ(Asahipak)とGS−320 HQ(Asahipak)(昭和電工製)を連結して用いて、表9の測定条件で測定を行った。これにより得られた分子量分布比率を表10に示す。
以上の結果より、NYP中の分子量500〜3000の割合が分画1、分画3、分画4よりも高く、分画2と同等の値を示すことから、GI値を低減させる成分が、分画2に含まれることが確認された。
実施例5 うどんと酵母エキス添加つゆの組み合わせによるGI値低減効果
本実施例において、うどんと酵母エキス添加つゆの組み合わせによるGI値低減効果を調べた。以下の試験は、守秘義務契約の下、外部試験委託先(CPCC株式会社)において行われた。
(1)年齢が20歳以上50歳以下の男女の健常者であって、BMIが30Kg/m以下の者、20名を対象とした。最終的に12名のGI値を採用した。
(2)上記のように製造したRS減圧うどんとめんつゆとを組み合わせ、冷やしうどんとして各パネルに摂食させた。
うどん:冷やしうどん(うどん167g(糖質量48g));
酵母エキス添加めんつゆ12.3g:追いがつおつゆ(登録商標)(ミツカン製、糖質量2g)に酵母エキス「イーストエキス21−NYP」(富士食品工業製。以下「NYP」という。)0.025gを添加(酵母エキスの含量:めんつゆ+酵母エキスの約0.2重量%)、又は
めんつゆ12.3g:追いがつおつゆ(登録商標)(ミツカン製、糖質量2g)
検査食1:RSうどん + NYP
検査食2:RSうどん + 添加なしめんつゆ
基準となるグルコース液 (トレーランG50g)の負荷試験を2回実施し、病域者、耐糖能異常者は除外した。上記の血糖値測定方法に従って血糖値測定を実施し、その効果を確認した。
結果を、図18に示す。図18の結果、検査食1(本発明)のGI値は39.8、検査食2(比較例)のGI値は、52.4であった。
実施例6 お好み焼と酵母エキス添加ソースの組み合わせによるGI値低減効果
本実施例において、お好み焼と酵母エキス添加ソースの組み合わせによるGI値低減効果を調べた。
(1)無作為に選んだ成人男女8〜10名をパネルとした。
(2)下記のお好み焼と酵母エキス添加ソース又はソースとを組み合わせ、各パネルに摂食させた。
お好み焼:「ごっつ旨いお好み焼」(テーブルマーク製341g(糖質量38.5g);
酵母エキス添加ソース30g:上記「ごっつ旨いお好み焼」に添付されているソース(糖質量11.5g)に酵母エキスNYPを0.5g添加(酵母エキスNYPの含量:ソース+酵母エキスNYPの約1.6重量%)、又は
ソース30g:上記「ごっつ旨いお好み焼」に添付されているソース(糖質量11.5g)。
これらの組み合わせについて、上記の血糖値測定方法に従って血糖値測定を実施し、その効果を確認した。
表11に示した通り、お好み焼と酵母エキスを添加したソースとを組み合わせたものは、酵母エキスを添加していないソースと組み合わせたものと比べ、GI値が低く、GI値低減効果が、より安定的に発揮されることが分かった(No.2)。
実施例7 炊飯米と酵母エキス添加だしの組み合わせによるGI値低減効果
本実施例において、炊飯米と酵母エキス添加だしの組み合わせによるGI値低減効果を調べた。なお、酵母エキスとして、サッカロマイセス属酵母から抽出された酵母エキスとトルラ酵母から抽出された酵母エキスの二種類を使用した。
(1)無作為に選んだ成人男女5〜8名をパネルとした。
(2)下記の炊飯米と酵母エキス添加白だし又は白だしとを組み合わせ、各パネルに摂食させた。
炊飯米:「たきたてご飯ふっくらつや炊き」(テーブルマーク製パックご飯150g(糖質量49.6g)電子レンジ500Wで2分間加熱);
サッカロマイセス由来酵母エキス添加白だし5g:割烹白だし(登録商標)(ヤマキ製、糖質量0.4g)にサッカロマイセス属酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来の酵母エキス「イーストエキス21−YK」(富士食品工業製。以下「YK」という。)を1g添加し、水45gを添加(酵母エキスの含量:白だし+水+酵母エキスの約2重量%)、
トルラ酵母由来酵母エキス添加白だし5g:割烹白だし(登録商標)(ヤマキ製、糖質量0.4g)にトルラ酵母(Candida utilis)由来の酵母エキス「イーストエキス21−TF」(富士食品工業製。以下「21TF」という。)を1g添加し、水45gを添加(酵母エキスの含量:白だし+水+酵母エキスの約2重量%)又は
白だし5g:割烹白だし(登録商標)(ヤマキ製、糖質量0.4g)
これらの組み合わせについて、上記の血糖値測定方法に従って血糖値測定を実施し、その効果を確認した。
表12に示した通り、炊飯米とサッカロマイセス属由来酵母エキスを添加した白だしとを組み合わせたものは、酵母エキスを添加していない白だしと組み合わせたものと比べ、GI値が大幅に低いことが分かった(No.2)。また、トルラ酵母由来酵母エキスを添加した白だしでは、大きなGI値低減効果は見られなかった(No.3)。

Claims (21)

  1. サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する、血糖値低下用食品組成物。
  2. サッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有する、GI値低減用食品組成物。
  3. 酵母エキスを、乾燥酵母エキスに換算した場合に0.001重量%以上5.0重量%以下含有する、請求項1又は2に記載の食品組成物。
  4. サッカロマイセス属酵母が、サッカロマイセス・セレビシエに属する、請求項1−3のいずれか1項に記載の食品組成物。
  5. 食品組成物にサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有させることを含む、当該食品の血糖値低下作用を高める方法。
  6. 食品組成物にサッカロマイセス属酵母の酵母エキスを含有させることを含む、当該食品のGI値を低減させる方法。
  7. 請求項1−4のいずれか1項に記載の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせ。
  8. 穀物を主原料とする食品組成物が、米、麺、餅、パン、お好み焼、たこ焼、もんじゃ焼、ピザ、トルティーヤ、点心、中華まん、チヂミ、シリアル食品又は菓子である、請求項7の組み合わせ。
  9. 穀物を主原料とする食品組成物が、うどん、冷や麦、素麺、そば、パスタ、中華麺、及びライスヌードルからなる群から選択される、請求項7又は8に記載の組み合わせ。
  10. 穀物を主原料とする食品組成物が、うどんである、請求項7−9のいずれか1項に記載の組み合わせ。
  11. 穀物を主原料とする食品組成物が、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造された食品組成物である、請求項7−10のいずれか1項に記載の組み合わせ。
  12. 請求項1−4のいずれか1項に記載の食品組成物が液状である、請求項7−11のいずれか1項に記載の組み合わせ。
  13. 穀物を主原料とする食品組成物が、レジスタントスターチを含有する、請求項7−12のいずれか1項に記載の組み合わせ。
  14. レジスタントスターチの含量が、粉体原料の合計量の0.6重量%以上6重量%未満である、請求項13に記載の組み合わせ。
  15. レジスタントスターチが、ハイアミロースコーンスターチを酸処理することにより得られるものであり、その分子量ピークが6×103以上4×104以下である、請求項13又は14の組み合わせ。
  16. 血糖値低下に用いるための請求項7−15のいずれか1項に記載の組み合わせ。
  17. GI値低減に用いるための請求項7−15のいずれか1項に記載の組み合わせ。
  18. 請求項1−4のいずれか1項に記載の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物とを組み合わせることを含む、両食品組成物の血糖値低下作用を高める方法。
  19. 請求項1−4のいずれか1項に記載の食品組成物と、穀物を主原料とする食品組成物の組み合わせることを含む、両食品組成物のGI値を低減させる方法。
  20. レジスタントスターチを含有し、そして、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造される、血糖値低下用麺。
  21. 麺にレジスタントスターチを含有させ、そして、減圧ミキシングによるミキシング工程を含む方法によって製造する、ことを含む麺のGI値を低減させる方法。


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