JPWO2017163396A1 - 圧力損失決定装置、圧力損失決定プログラム及び圧力損失決定方法 - Google Patents

圧力損失決定装置、圧力損失決定プログラム及び圧力損失決定方法 Download PDF

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Abstract

圧力損失決定装置(1)は、経路トレース部(30)、配管情報管理部(50)、損失決定部(40)を備える。経路トレース部(30)は、3次元の建物情報から配管を配置すべき平面を抽出し、平面をメッシュ分割して複数のセルに分割し、配管の始点となる始点セルと、終点となる終点セルとを設定する。配管情報管理部(50)は、セル間における流体の圧力損失値を示す損失情報(51)を記憶している。損失決定部(40)は、始点セルから終点セルまでのセルのつながりで形成される配管経路を複数検索し、複数の配管経路の各配管経路に対して、始点セルから終点セルまでの圧力損失値を、損失情報(51)を用いて決定する。

Description

本発明は、BIM(Building Information Modeling)情報などの3次元CAD(Computer Aided Design)データにおいて、配管のルート探索を行い、圧力損失を考慮した配管ルートを決定する装置、プログラム及び方法に関する。
配管経路を最短とするルート検索を行う方法としては、ダイクストラ法などを活用し、区画をノード、移動距離をエッジのコストとして評価して、最小距離となる経路を探索する方式がある。しかし、この方式の場合、曲がりを考慮したコストの計算や、同一区画を直線で通過する、あるいは曲がって通過するなどによるコストの違いが考慮されていない。このため、配管経路の距離は最小になるが、圧力損失が最小になるとは限らないという課題があった。
この課題に対して、従来技術では、ルーティング領域をメッシュ分割し、移動距離による重み付けを行った後、経路情報のバックトレースを行う際に、同じ重みの候補が現れた場合には、前回と同じ移動方向を優先して選択する。これにより、曲がりによるコストを最小化しようとする仕組みが開示されている(例えば特許文献1)。
特開2002−7494号公報
空調設備などの配管は圧力損失が最小となることが重要であるが、ルートの距離が最小であることは、必ずしも、圧力損失が最小であるとは限らない。つまり、距離が長くても、曲がりの回数が少ない方が、圧力損失が最小の場合がある。また、従来技術では、バックトレースで経路を判断する際に、その先に存在する曲がり部品の情報がないため、結果的に、曲がりの多い経路を選択してしまうといった課題があった。
この発明は、圧力損失のより少ない配管経路を決定する装置、プログラム及び方法の提供を目的とする。
この発明の圧力損失決定装置は、
建物をデータ化した3次元の建物情報から配管を配置すべき2次元の平面を抽出し、抽出した前記平面をメッシュ分割して複数のセルに分割し、前記複数のセルのうち前記配管の始点となる始点セルと、前記配管の終点となる終点セルとを設定する分割部と、
前記複数のセルのうち一方のセルから前記一方のセルに隣接する他方のセルに前記配管を介して流体が流れる場合の、セル間における前記流体の圧力損失値を示す損失情報を記憶する損失情報記憶部と、
前記始点セルから前記終点セルまでの前記セルのつながりで形成される配管経路を複数検索し、複数の配管経路の各配管経路に対して、前記始点セルから前記終点セルまで前記流体が流れる場合の圧力損失値を、前記損失情報を用いて決定する損失決定部と
を備えることを特徴とする。
本発明の圧力損失決定装置1によれば、損失決定部は、損失情報を用いて、始点セルから、終点セルまでの配管経路を決定する。よって、圧力損失のより小さい配管経路を決定することができる。
実施の形態1の図で、圧力損失決定装置1のブロック図。 実施の形態1の図で、圧力損失決定装置1のハードウェア構成を示す図。 実施の形態1の図で、圧力損失決定装置1の動作を示すフローチャート。 実施の形態1の図で、図3のステップS102を説明する図。 実施の形態1の図で、図3のステップS103を説明する図。 実施の形態1の図で、図3のステップS104を説明する図。 実施の形態1の図で、始点セル41S、終点セル41Eが設定された平面41を示す図。 実施の形態1の図で、始点セル41S、終点セル41Eの具体的な箇所を示す図。 実施の形態1の図で、損失情報51を示す図。 実施の形態1の図で、図3のステップS107を説明する図。 実施の形態1の図で、図3のステップS108を説明する図。 実施の形態1の図で、図3のステップS109を説明する図。 実施の形態1の図で、図3の2回目のステップS108を示す図。 実施の形態1の図で、図3の2回目のステップS109を示す図。 実施の形態1の図で、図3の3回目のステップS108を説明する図。 実施の形態1の図で、図3のステップS111を説明する図。 実施の形態1の図で、変形例2を示す図。
実施の形態1.
図1、図2に本実施の形態に係るBIM自動配管方式を用いた圧力損失決定装置1のブロック図および圧力損失決定装置1をコンピュータにて実現する場合のH/W構成例を示す。
図1は、実施の形態1の圧力損失決定装置1のブロック図を示す。圧力損失決定装置1は、自動で、圧力損失のよりすくない配管経路を決定する自動配管装置である。図1に示すように、圧力損失決定装置1は、BIM情報管理部10、Z配管配備部20、経路トレース部30、損失決定部40、配管情報管理部50、XY配管配備部60を備えている。経路トレース部30は分割部91である。配管情報管理部50は損失情報記憶部92である。
BIM情報管理部10は、BIM情報2aを格納しているBIM情報記憶装置2と情報をやり取りし、配管情報管理部50は、配管情報3aを格納している配管情報記憶装置3と情報をやり取りする。配管情報管理部50は、配管情報記憶装置3から後述の損失情報51を取得し、記憶装置に記憶する。
図2は、圧力損失決定装置1のハードウェア構成を示す図である。圧力損失決定装置1は、演算処理装置81、主記憶装置82、補助記憶装置83、インタフェース装置84、入力I/F(InterFace)85、表示I/F86を備える。演算処理装置81は、信号線89を介して他のハードウェア構成要素と接続され、これらを制御する。入力I/F85は入力装置に接続され、表示I/F86は表示装置に接続される。
補助記憶装置83には図1の、BIM情報管理部10、Z配管配備部20、経路トレース部30、損失決定部40、配管情報管理部50、XY配管配備部60の機能を実現するプログラムが格納されている。そして演算処理装置81がこれらのプログラムを実行することで、これらBIM情報管理部10、Z配管配備部20、経路トレース部30、損失決定部40、配管情報管理部50、XY配管配備部60の動作を行う。
より具体的には、図1に示すように、Z配管配備部20、経路トレース部30、損失決定部40、XY配管配備部60は演算処理装置81がプログラムを実行することで実現される。また、BIM情報管理部10及び配管情報管理部50は、BIM情報、損失情報を記憶する機能を有する。よって、BIM情報管理部10及び配管情報管理部50は、演算処理装置81及び主記憶装置82及び補助記憶装置83によって実現される。
利用者は、圧力損失決定装置1を利用者の端末上でプログラムとして実行しても良いし、ネットワークを介したサービスとして実行しても良い。
(***動作の説明***)
図3は、圧力損失決定装置1の動作を示すフローチャートである。図3を参照して圧力損失決定装置1行う圧力損失決定方法の動作を説明する。図3のテップS101でBIM情報管理部10と記載しているのは、ステップS101の動作の主体を示している。他のステップも同様である。なお以下のフローチャートの説明では「座標」及び「座標値」が登場する。「座標」という場合は、「場所」を意味し、「座標値」という場合は、「座標」の値を意味するものとする。以下に圧力損失決定装置1による、自動配管のフローを説明する。
<ステップS101>
ステップS101において、BIM情報管理部10は、利用者の指定したBIM情報2a(壁、床などの構造に関する情報が含まれる)をBIM情報記憶装置2から読み取り、BIM情報2aの図面を表示装置4に表示する。BIM情報2aは、ファイル、データベース等の形式でBIM情報記憶装置2に保持されている。
<ステップS102>
図4は、ステップS102を説明する図である。ステップS102において、Z配管配備部20は、入力I/F85を介する利用者の操作により、建物7の階層をまたがって配管が収容されるパイプスペース5を、表示装置4の図面上に作図する。パイプスペース5は配管のためのZ方向のスペースである。より具体的には、パイプスペース5は上下の階を跨る吹き抜けの空間であり、配管そのものではない。パイプスペース5の内部に高さ方向の配管が通される。座標は、図4に示すように建物7の高さ方向をZ軸とする。
<ステップS103>
図5は、ステップS103を説明する図である。ステップS103において、経路トレース部30は、利用者から配管経路の経路探索の要求があった場合に、BIM情報管理部10を介してBIM情報記憶装置2からBIM情報2aを取得する。BIM情報2aにはパイプスペース5及びパイプスペース5のZ方向に配備された配管の情報、室内機6の情報が含まれている。経路トレース部30は、図5に示すように、パイプスペース5に内部に配備された配管の端部49のZ方向の位置および配管が接続されていない室内機6の高さの範囲61から、配管を配備する探索対象の平面41を抽出する。通常、平面41は天井などが該当する。なお室内機6は、配管対象の機器の具体例である。このように、経路トレース部30は、建物をデータ化した3次元の建物情報(BIM情報)から、配管を配置すべき2次元の平面である平面41を抽出する。
なお、経路トレース部30は、後述の図8で示すように、平面41を複数抽出する。図8では建物7の6階、5階からそれぞれ平面41を抽出した場合を示している。このように、経路トレース部30は、建物情報(BIM情報)に含まれ、建物の階層をまたがって建物の高さ方向に配置されて内部に配管が収容される配管スペース93であるパイプスペース5の情報と、建物情報に含まれ、配管される室内機6の情報とを使用して、平面41を抽出する。
<ステップS104>
図6は、ステップS104を説明する図である。図6は平面41が5×5の25区画にメッシュ分割された状態を示す。以下、25区画のそれぞれをセルと呼ぶ。図6に示すように、平面41には座標(Y,X)が設定されている。また図6にはX損失マップ42、Y損失マップ45を示している。経路トレース部30はX損失マップ42、Y損失マップ45を生成する。また経路トレース部30は図10で後述するX起点マップ44、Y起点マップ47を生成する。X損失マップ42、Y損失マップ45は、平面41のメッシュ分割に対応して,5×5の25個のセルに分割されている。また後述のX起点マップ44、Y起点マップ47も、平面41のメッシュ分割に対応して,5×5の25個のセルに分割されている。損失マップ、起点マップは、メッシュ分割された平面41の座標に対応する座標が設定されている。
ステップS104において、図6に示すように、経路トレース部30は、抽出した平面41をメッシュ分割して複数のセルに分割する。図6では平面41を5×5の25の複数のセルに分割している。分割の単位である1セルの大きさは、利用者指定、配管の最小半径、壁等の厚さなどから決定することができる。分割すべき1セルの大きさは、予め経路トレース部30に設定されている。
また、経路トレース部30は、メッシュ分割された平面41に対応して区画分けされたX損失マップ42、Y損失マップ45を生成する。
なお平面41上に壁等があり、配管の配備ができない平面41の箇所は、障害物として扱う。
図6ではハッチングで障害物を示している。
<ステップS105>
ステップS105において、経路トレース部30は、パイプスペース5、室内機6のBIM情報からそれぞれのオブジェクトの座標を取得し、メッシュ分割された平面41に、これから決定しようとしている配管ルートの始点セル41Sと終点セル41Eを設定する。
図7は、平面41に始点セル41S、終点セル41Eが設定された状態を示す。図7に示すように、始点セル41Sは(Y,X)=(4,0)であり、終点セル41Eは(Y,X)=(0,3)である。
図8は、始点セル41S、終点セル41Eの具体的な箇所を示す図である。図8に示すように、始点セル41Sは室内機6の配管取付部であり、終点セル41Eはパイプスペース5にZ方向に配備された配管の上端部である。このように経路トレース部30は、複数のセルのうち配管の始点となる始点セル41Sと、配管の終点となる終点セル41Eとを、平面41に設定する。
<ステップS106>
ステップS106において、損失決定部40は、配管情報管理部50が保有している圧力損失に関する損失情報51を、配管情報管理部50から取得する。損失情報51は、配管情報管理部50が配管情報記憶装置3から管情報3aとして取得した情報である。
図9は、配管情報管理部50が保有している損失情報51の例を示す。損失情報51とは、平面41における複数のセルのうち一方のセル41aから、一方のセル41aに隣接する他方のセル41bに配管を介して流体が流れる場合の、セル間における流体の圧力損失値を示す情報である。図9では、平面41において直進する場合、圧力損失値が1ずつ増えていくことを示し、90度曲がる場合、圧力損失値が4増加することを示している。以下では圧力損失値を損失値と呼ぶ場合もある。なお、配管情報管理部50は、損失情報51として、隣接するメッシュ間の圧力損失値の関係をテーブル形式で保持しても良いし、近似式で保持してもよい。
図9の損失情報51は以下の状態を示している。一方のセルと、他方のセルと、一方のセルに流体の流れの上流で隣接し、流体が一方のセルに流入する上流セルとが直線状の配置の場合が「1セルの直進」に該当する。また、一方のセルと他方のセルとが直線状の配置であり、かつ、上流セルが、一方のセルから他方のセルに向かう方向に対して右方向と左方向とのいずれかで一方のセルに隣接する場合が「曲がり」に該当する。図9では「1セルの直進」と「曲がり」とでは、一方のセルと、他方のセルとの間における流体の圧力損失値1,4と、異なる値である。
<ステップS107>
図10は、ステップS107を説明する図である。図10では、X損失マップ42、Y損失マップ45、X起点マップ44、Y起点マップ47には、わかりやすいように、便宜的に障害物をハッチングで示している。これは以下で説明する図11〜図15でも同様である。損失マップには平面41のセルにおける圧力損失値が設定される。圧力損失値は始点セル41Sを基準にした値である。X損失マップ42には+X方向、あるいは−X方向に進んだ場合の圧力損失値が設定され、Y損失マップ45には+Y方向、あるいは−Y方向に進んだ場合の圧力損失値が設定される。また起点マップには、損失マップにおいて決定された圧力損失値の決定の起点となるセルである起点セルの座標値が設定される。
なお、以下の図11〜図15の説明では、損失決定部40は、X損失マップ42、Y損失マップ45のセルを進むような説明になっているが、便宜的なものである。実際には損失決定部40は平面41のセルを進む。
ステップS107において、損失決定部40は、X損失マップ42とY損失マップ45との始点セル41Sに圧力損失値=0を設定し、始点セル41Sの座標値(4,0)をXキュー43、Yキュー46に格納する。なおキューは図2で説明した主記憶装置82で実現される。
また損失決定部40は、X起点マップ44、Y起点マップ47の始点セル41Sの座標に、座標値(Y,X)=(4,0)を設定する。
図10では、ステップS107で設定された箇所を四角の破線で囲んでいる。図11〜図15も同様である。
<ステップS108:X方向の1回目>
図11は、ステップS108を示す図である。ステップS108において、損失決定部40は平面41においてX方向の経路検索を行う。この例ではステップS108の処理は3回繰り返される。
まず、損失決定部40は、Yキュー46に格納された座標値(4,0)を取得する。そして、損失決定部40は、X損失マップ42に対しては、+X方向への直進時の圧力損失値を決定してX損失マップ42に設定し、X起点マップ44に対しては、起点セルの座標値(4,0)を設定する。
損失決定部40は、損失値を決定する場合、Y損失マップ45から、Yキュー46に格納されている座標値の損失値を取得し、現在の対象の座標が始点Sセル41S以外の場合には、曲がりの損失値を加算して、直進時の圧力損失値を1セルずつ埋めていく。損失決定部40は、障害物のあるセル、または、既に埋めようとしている値より小さな損失値が記録されているセルに対しては、損失値を設定しない。終点セル41Eの損失値が設定されており、評価した損失値が、設定されている終点セル41Eの損失値より大きい場合には、損失決定部40は処理をスキップする。
損失決定部40は、損失値を設定し、または更新した場合には、座標値をXキュー43に格納する。更新する場合とは、損失値が既に設定されているセルに、設定されている損失値よりも小さい損失値を設定しようとする場合である。損失決定部40は、これを、Yキュー46が空になるまで繰り返す。
図11を説明する。
(a)損失決定部40は、Y損失マップ45から、Yキュー46に格納されている座標値(4,0)の損失値=0を取得する。損失決定部40は、損失の評価には図9の損失情報51を使用する。X損失マップ42では経路が座標(4,0)から(4,4)に向かう場合、損失値は1ずつ増加し、1,2,3,4となる。
(b)X損失マップ42の損失値1,2,3,4の起点セルはいずれも座標値(4,0)であるので、損失決定部40は、X起点マップ44の座標(4,1)〜(4,4)のセルに、座標値(4,0)を設定する。
(c)損失決定部40は、Xキュー43に、損失値が設定されたX損失マップ42の座標(4,1)(4,2)(4,3)(4,4)の座標値を設定する。
(d)以上の(a)〜(c)により、X損失マップ42、Xキュー43、X起点マップ44は、図11の状態となる。
<ステップS109:Y方向の1回目>
図12は、ステップS109を説明する図である。ステップS109において、損失決定部40は平面41においてY方向の経路検索を行う。この例ではステップS109の処理は2回繰り返される。
損失決定部40は、ステップS108のX方向の経路検索の場合と同様に、Xキュー43に格納された座標値を取得し、Y損失マップ45、Y起点マップ47に対して、直進時の圧力損失値と現在の起点区画の座標を1セルずつ埋めていく。
損失決定部40は、X損失マップ42から、Xキュー43に格納されている座標値の損失値を取得し、現在の対象の座標が始点セル41S以外の場合には、曲がりの損失値を加算して、直進時の圧力損失値を1セルずつ埋めていく。
損失決定部40は、X方向の経路検索の場合と同様に、障害物のある区画、または、既に埋めようとしている損失値より小さな損失値が設定されているセルに対しては、損失値を設定しない。
損失決定部40は、損失値を設定または更新した場合には、座標値をYキュー46に格納する。
損失決定部40は、これを、Xキュー43が空になるまで、繰り返す。
図12を説明する。損失決定部40は、Xキュー43に格納された座標値を取得し、Y損失マップ45、Y起点マップ47のセルを次のように埋める。
(a)損失決定部40は、Xキュー43から座標値(4,0)を取得する。平面41では座標値(4,0)からは+Y方向、−Y方向のうち−Y方向へ進める。損失決定部40は、Y損失マップ45の座標(3,0),(2,0)に、損失値1,2を設定する。
(b)損失決定部40は、損失値1,2の設定の際、Y起点マップ47の座標(3,0),(2,0)に、損失値1,2の計算の元となった損失値0が設定されているXキュー43における座標値(4,0)を設定し、また、Yキュー46に、座標値(3,0),(2,0)を設定する。
(c)損失決定部40は、Xキュー43から座標値(4,1)を取得する。障害物があるため、座標値(4,1)の座標からは+Y方向、−Y方向のどちらにも進めない。損失決定部40はXキュー43から次の座標値を取得する。
(d)損失決定部40は、Xキュー43から座標値(4,2)を取得する。障害物があるため、座標値(4,2)の座標からは+Y方向、−Y方向のどちらにも進めない。損失決定部40はXキュー43から次の座標値を取得する。
(e)損失決定部40は、Xキュー43から座標値(4,3)を取得する。障害物があるため、座標値(4,3)の座標からは+Y方向、−Y方向のどちらにも進めない。損失決定部40はXキュー43から次の座標値を取得する。
(f)損失決定部40は、Xキュー43から座標値(4,4)を取得する。座標値(4,4)の座標からは−Y方向に進める。つまり座標(4,4)からは座標(0,4)に向かって進める。損失決定部40は、Y損失マップ142の座標(3,4),(2,4),(1,4),(0,4)に、損失値8,9,10,11を設定する。座標(3,4)の損失値が8となるのは、起点セルとなるXキュー43の座標値(4,4)に対して座標(3,4)は図9の「曲がり」に該当するためである。
(g)損失決定部40は、損失値8,9,10,11の設定の際、Y起点マップ47の座標(3,4),(2,4),(1,4),(0,4)に、損失値8,9,10,11の計算の元となった損失値4が設定されているXキュー43における起点セルの座標値(4,4)を設定する。
(h)損失決定部40は、Yキュー46に、座標値(3,4),(2,4),(1,4),(0,4)を設定する。
<ステップS110>
ステップS110において、損失決定部40は、経路検索が終了したかどうかを判定する。損失決定部40は、Xキュー43、Yキュー46の座標値がなくなるまで、ステップS108〜ステップS109を繰り返す。この例では、2回目、3回目のX方向検索と、2回目のY方向検索が続く。
<S108:2回目のX方向の検索>
図13は、2回目のステップS108を示す図である。図13を説明する。
(a)損失決定部40は、Yキュー46から座標値(3,0)を取得する。障害物があるため、座標値(3,0)の座標からは+X方向、−X方向のどちらにも進めない。損失決定部40はYキュー46から次の座標値を取得する。
(b)損失決定部40は、Yキュー46から座標値(2,0)を取得する。座標値(2,0)の座標からは+X方向に進める。つまり座標(2,0)からは座標(2,2)に向かって進める。損失決定部40は、X損失マップ42の座標(2,1),(2,2)に、損失値6,7を設定する。座標(2,1)の損失値が6となるのは、起点となるYキュー46の座標値(2,0)に対して座標(2,1)は「曲がり」に該当するためである。
(c)損失決定部40は、損失値6,7の設定の際、X起点マップ44の座標(2,1),(2,2)に、損失値6,7の計算の元となった損失値2が設定されているYキュー46における起点セルの座標値(2,0)を設定する。
(d)また、損失決定部40は、Xキュー43に、座標値(2,1),(2,2)を設定する。
(e)損失決定部40は、Yキュー46から座標値(3,4),(2,4),(1,4)を取得するが、これらの座標値の座標からは+X方向、−X方向のどちらにも進めない。損失決定部40はYキュー46から次の座標値を取得する。
(f)損失決定部40は、Yキュー46から座標値(0,4)を取得する。座標値(0,4)の座標からは−X方向に進める。座標(0,4)からは座標(0,3)に向かって進める。なお座標(0,3)は終点Eである。損失決定部40は、X損失マップ42の座標(0,3)に、損失値15を設定する。座標(0,3)の損失値が15となるのは、起点となるYキュー46の座標値(0,4)に対して座標(0,3)は「曲がり」に該当するためである。
(g)損失決定部40は、損失値15の設定の際、X起点マップ44の座標(0,3)に、損失値15の計算の元となった損失値11が設定されているYキュー46における起点セルの座標値(0,4)を設定する。損失決定部40は、Xキュー43に座標値(0,3)を設定する。
<S109:2回目のY方向検索>
図14は、2回目のステップS109を示す図である。図14を説明する。
(a)損失決定部40は、Xキュー43から座標値(2,1)を取得する。座標値(2,1)の座標からは+Y方向、−Y方向のどちらにも進めない。損失決定部40はXキュー43から次の座標値を取得する。
(b)損失決定部40は、Xキュー43から座標値(2,2)を取得する。座標値(2,2)の座標からは−Y方向に進める。つまり座標(2,2)からは座標(1,2)、(0,2)に進める。損失決定部40は、Y損失マップ45の座標(1,2),(0,2)に、損失値11,12を設定する。座標(1,2)の損失値が11となるのは、起点となるXキュー43の座標値(2,2)に対して座標(1,2)は「曲がり」に該当するためである。
(c)損失決定部40は、損失値11,12の設定の際、Y起点マップ47の座標(1,2),(0,2)に、損失値11,12の計算の元となった損失値7が設定されているYキュー46における起点セルの座標値(2,2)を設定する。また、損失決定部40は、Yキュー46に、座標値(1,2),(0,2)を設定する。
(d)損失決定部40は、Xキュー43から座標値(0,3)を取得する。座標値(0,3)は終点セル41Eである。よって損失決定部40は2回目のY方向の経路検索を終了する。
<S108:3回目のX方向検索>
図15は、3回目のステップS108を説明する図である。図15を説明する。
(a)損失決定部40は、Yキュー46から座標値(1,2)を取得する。座標値(1,2)の座標からは+X方向、−X方向のどちらにも進めない。損失決定部40はYキュー46から次の座標値を取得する。
(b)損失決定部40は、Yキュー46から座標値(0,2)を取得する。座標値(0,2)の座標からは+X方向の座標(0,3)に進める。座標(0,3)は終点セル41Eである。座標(0,2)から座標(0,3)に進む場合、損失値は16となる。これはすでに終点セル41Eに設定されている損失値よりも大きいので、損失決定部40は損失値16を設定しない。損失値が16となるのは、起点となるYキュー46の座標値(0,2)に対して「曲がり」に該当するためである。
(c)損失決定部40は、Yキュー46が空になり、また、終点セル41Eに到達したためX方向の経路検索を終了する。処理はステップS111に進む。
(d)この場合、損失決定部40は、座標(4,0)→座標(4,4)→座標(0,4)→座標(0,3)の第1の配管経路と、座標(4,0)→座標(2,0)→座標(2,2)→座標(0,2)→座標(0,3)の第2の配管経路とを検索したことになる。損失決定部40は検索過程の損失値を損失マップに設定する。このように、損失決定部40は、配管経路を複数検索する場合に平面41における各配管経路の各セルにおける流体の圧力損失値を損失情報51を用いて決定する。
また、損失決定部40は、始点セル41Sから終点セル41Eまでの複数のセルのつながりで形成される第1の配管経路あるいは第2の配管経路のような配管経路を複数検索し、複数の配管経路の各配管経路に対して、始点セル41Sから終点セル41Eまで流体が流れる場合の圧力損失値を、損失情報51を用いて決定する。
<ステップS111>
図16は、ステップS111を説明する図である。ステップS111において、経路トレース部30は、X損失マップ42,Y損失マップ45のうち、終点Eの損失値の低い値を取得し、対応するX起点マップ44、Y起点マップ47を用いて、配管経路をバックトレースする。この例では次の様である。
(a)経路トレース部30は、X損失マップ42の終点Eの損失値15を取得する。
(b)経路トレース部30は、X起点マップ44における終点セル41Eの座標から、この座標に設定されている座標値(0,4)を取得する。
(c)経路トレース部30は、座標値(0,4)からY起点マップ47の座標(0,4)を参照し、座標(0,4)の座標値(4,4)を取得する。
(d)経路トレース部30は、座標値(4,4)からX起点マップ44の座標(4,4)を参照し、座標(4,4)に設定されている座標値(4,0)を取得する。
(e)経路トレース部30は、座標値(4,0)から始点セル41Sに到達する。これによりバックトレースが終了する。
バックトレースにより、始点セル41S→座標(4,4)→座標(0,4)→終点セル41Eの配管経路が特定される。この配管経路は、平面41において、圧力損失がもっとも小さい経路である。
<ステップS112>
経路トレース部30は始点セル41Sまでのバックトレースが終了した場合、処理を完了する(ステップS112のYES)。
<ステップS113>
ステップS113において、XY配管配備部60は、バックトレースで特定した、圧力損失値の最も小さい配管経路を通過する配管をBIMの電子図面に配備する。
<ステップS114>
ステップS114において、XY配管配備部60は、ステップS104からステップS114の処理を、ステップS103で抽出した複数の平面41のそれぞれの平面41に対して実施する。
(***実施の形態1の効果***)
実施の形態1の圧力損失決定装置1では、損失決定部40は、損失情報51を用いて、始点セル41Sから、終点セル41Eまでの配管経路を決定する。よって、圧力損失のより小さい配管経路を決定することができる。
実施の形態1の圧力損失決定装置1では、圧力損失の評価のために、移動方向に応じた損失評価のための複数の損失マップ、バックトレースに使用するための起点情報を保持する複数の起点マップを用いて圧力損失を評価する。よって、圧力損失決定装置1は、圧力損失がより小さくなる配管経路を、簡易な構成で抽出することができる。
<変形例1>
以上に説明した実施の形態1では、図9の損失情報51の「曲がり」は、平面41内において90度の場合であった。変形例として、以上の説明は、90度以外の曲がり配管を使用する場合にも適用できる。具体例として、45度の曲がり配管に対応するためには、45度の曲がり配管のための損失マップおよび起点マップをそれぞれ使用する。また、圧力損失のパラメータとして、45度の場合の情報を保持する。
<変形例2>
図17は、変形例2を示す図である。以上の実施の形態1では、圧力損失決定装置1は、平面41を用いて配管経路を検索した。変形例2として、経路トレース部30は、平面41の代わりに、3次元の配管経路を決定するため、図17に示すように直方体を抽出する。図17は3次元の配管経路の決定方法を説明する図である。経路トレース部30は図17の(a)に示す直方体を抽出する。経路トレース部30は、抽出した直方体を複数のセルに分割する。損失決定部40は、上述の実施の形態1ではX方向の経路検索及びY方向の経路検索を行った。変形例2では、損失決定部40は直方体に対して、3次元で経路検索を行う。図17の(b)〜(d)は損失決定部40の経路検索の方向を示す。図17の(b)のように、損失決定部40は、XY平面で見た場合、斜線で示す基準となるセルから8方向に経路を進めることができる。また図17の(c)、(d)のように、損失決定部40は、XZ平面、YZ平面でみた場合は、基準となるセルからいずれも8方向に経路を進めることができる。直方体を抽出して3次元の配管経路を検索し、3次元で圧力損失を評価する場合には、複数の損失マップ、複数の起点マップ及び複数のキューを使用する。
<変形例3>
変形例3は、上記の実施の形態1で述べた圧力損失決定装置1が、構造設計等の機能を有するCADツールと一体になって利用される場合である。上記の実施の形態1で述べた圧力損失決定装置1は、CADツールのソフトウェアが組み込まれたCAD装置と接続されており、互いにデータをやり取りできる構成でもよい。あるいは圧力損失決定装置1を実現する圧力損失決定プログラムをCADツールであるCADプログラムが含む構成でもよい。これらの構成により、配管設計と、配管設計以外の構造設計等との両方を、効率よく処理できる。
<変形例4>
変形例4は、圧力損失決定装置1による自動配管の決定結果を含むBIM情報を、ネットワーク経由でアップロードし、自動配管の決定結果を含むBIM情報をダウンロードできるWebサービスを構築する。このWebサービスにより、自動配管の決定結果を必要とするユーザは、簡易に自動配管の決定結果を取得できる。
***ハードウェア構成の説明***
最後に、圧力損失決定装置1のハードウェア構成の補足説明を行う。図2に示す演算処理装置81は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。演算処理装置81は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。図2に示す主記憶装置82あるいは補助記憶装置83は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等である。主記憶装置82、補助記憶装置83には、図1の「〜部」を実現するプログラムの他に、OS(Operating System)も記憶されている。そして、OSの少なくとも一部がプロセッサ11により実行される。演算処理装置81はOSの少なくとも一部を実行しながら、図1の「〜部」の機能を実現するプログラムを実行する。図2では、1つの演算処理装置81が図示されているが、圧力損失決定装置1は複数の演算処理装置を備えていてもよい。また図1の「〜部」の処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値が、主記憶装置82、補助記憶装置83、又は演算処理装置81内のレジスタ又はキャッシュメモリに記憶される。また、図1の「〜部」の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等の可搬記憶媒体、プログラムプロダクトに記憶されてもよい。
また、図1の「〜部」を、「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」に読み替えてもよい。また、圧力損失決定装置1は、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)といった電子回路により実現されてもよい。この場合は、図1の「〜部」は、それぞれ電子回路の一部として実現される。なお、プロセッサ及び上記の電子回路を総称してプロセッシングサーキットリーともいう。
1 圧力損失決定装置、2 BIM情報記憶装置、3 配管情報記憶装置、4 表示装置、5 パイプスペース、6 室内機、10 BIM情報管理部、20 Z配管配備部、30 経路トレース部、40 損失決定部、41 平面、41S 始点セル、41E 終点セル、41a 一方のセル、41b 他方のセル、41c 上流セル、42 X損失マップ、43 Xキュー、44 X起点マップ、45 Y損失マップ、46 Yキュー、47 Y起点マップ、50 配管情報管理部、51 損失情報、60 XY配管配備部、81 演算処理装置、82 主記憶装置、83 補助記憶装置、84 インタフェース装置、85 入力I/F、86 表示I/F、87 入力装置、88 表示装置、91 分割部、92 損失情報記憶部、93 配管スペース。

Claims (6)

  1. 建物をデータ化した3次元の建物情報から配管を配置すべき2次元の平面を抽出し、抽出した前記平面をメッシュ分割して複数のセルに分割し、前記複数のセルのうち前記配管の始点となる始点セルと、前記配管の終点となる終点セルとを設定する分割部と、
    前記複数のセルのうち一方のセルから前記一方のセルに隣接する他方のセルに前記配管を介して流体が流れる場合の、セル間における前記流体の圧力損失値を示す損失情報を記憶する損失情報記憶部と、
    前記始点セルから前記終点セルまでの前記セルのつながりで形成される配管経路を複数検索し、複数の配管経路の各配管経路に対して、前記始点セルから前記終点セルまで前記流体が流れる場合の圧力損失値を、前記損失情報を用いて決定する損失決定部と
    を備える圧力損失決定装置。
  2. 前記損失情報は、
    前記一方のセルと、前記他方のセルと、前記一方のセルに上流で隣接し、前記流体が前記一方のセルに流入する上流セルとが直線状の配置の場合と、前記一方のセルと前記他方のセルとが直線状の配置であり、かつ、前記上流セルが、前記一方のセルから前記他方のセルに向かう方向に対して右方向と左方向とのいずれかで前記一方のセルに隣接する場合とでは、前記一方のセルと、前記他方のセルとの間における前記流体の圧力損失値が異なる請求項1に記載の圧力損失決定装置。
  3. 前記分割部は、
    メッシュ分割された前記平面の座標に対応する座標が設定された起点マップを生成し、
    前記損失決定部は、
    前記配管経路を複数検索する場合に前記平面における各配管経路の各セルにおける前記流体の圧力損失値を前記損失情報を用いて決定し、前記圧力損失値が決定された前記セルの座標に対応する前記起点マップの座標に、決定された前記圧力損失値の決定の起点となるセルの座標値を設定し、
    前記分割部は、
    前記起点マップを用いて前記終点セルから前記始点セルまで、前記配管経路をバックトレースする請求項1または請求項2に記載の圧力損失決定装置。
  4. 前記分割部は、
    前記建物情報に含まれ、前記建物の階層をまたがって前記建物の高さ方向に配置されて内部に配管が収容される配管スペースの情報と、前記建物情報に含まれ、配管される室内機の情報とを使用して、前記平面を抽出する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧力損失決定装置。
  5. コンピュータに、
    3次元の建物情報から配管を配置すべき2次元の平面を抽出し、抽出した前記平面をメッシュ分割して複数のセルに分割し、前記複数のセルのうち前記配管の始点となる始点セルと、前記配管の終点となる終点セルとを設定する処理、
    前記複数のセルのうち一方のセルから前記一方のセルに隣接する他方のセルに前記配管を介して流体が流れる場合の、セル間における前記流体の圧力損失値を示す損失情報を、記憶装置に記憶させる処理、
    前記始点セルから前記終点セルまでの前記セルのつながりで形成される配管経路を複数検索し、複数の配管経路の各配管経路に対して、前記始点セルから前記終点セルまで前記流体が流れる場合の圧力損失値を、前記損失情報を用いて決定する処理と
    を実行させるための圧力損失決定プログラム。
  6. コンピュータが、
    3次元の建物情報から配管を配置すべき2次元の平面を抽出し、抽出した前記平面をメッシュ分割して複数のセルに分割し、前記複数のセルのうち前記配管の始点となる始点セルと、前記配管の終点となる終点セルとを設定し、
    前記複数のセルのうち一方のセルから前記一方のセルに隣接する他方のセルに前記配管を介して流体が流れる場合の、セル間における前記流体の圧力損失値を示す損失情報を、記憶部に記憶し、
    前記始点セルから前記終点セルまでの前記セルのつながりで形成される配管経路を複数検索し、複数の配管経路の各配管経路に対して、前記始点セルから前記終点セルまで前記流体が流れる場合の圧力損失値を、前記損失情報を用いて決定する圧力損失決定方法。
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