以下、本発明の詳細を説明する。
(金属含有粒子)
本発明に係る金属含有粒子は、基材粒子と、金属部とを備える。上記金属部は、上記基材粒子の表面上に配置されている。本発明に係る金属含有粒子では、上記金属部が外表面に複数の突起を有する。本発明に係る金属含有粒子では、上記金属部の上記突起の先端は、400℃以下で溶融可能である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、金属部の突起の先端を比較的低温で溶融させることができる。このため、上記金属含有粒子における上記金属部の突起の先端を比較的低温で溶融させ、溶融後に固化させて、他の粒子又は他の部材に接合させることができる。また、複数の金属含有粒子を溶融接合させることができる。また、金属含有粒子を接続対象部材に溶融接合させることができる。また更に、金属含有粒子を電極に溶融接合させることができる。
金属粒子の粒径が100nm以下のサイズまで小さくなり、構成原子数が少なくなると、粒子の体積に対する表面積比が急激に増大し、融点又は焼結温度がバルク状態に比較して大幅に低下することが知られている。本発明者らは、上記金属部の突起の先端径を小さくすることで、ナノサイズの金属粒子を用いた場合と同様に、上記金属部の上記突起の先端の溶融温度を低くすることができることを見出した。
上記金属部の上記突起の先端の溶融温度を低くするために、上記突起部の形状を先細りしている針状にしてもよい。上記金属部の上記突起の先端の溶融温度を低くするために、上記金属部の外表面に複数の小さな突起を形成してもよい。上記金属部の上記突起の先端の溶融温度を低くするために、本発明に係る金属含有粒子では、上記金属部が、外表面に複数の凸部(第1の突起)を有し、上記金属部が、上記凸部の外表面に上記突起(第2の突起)を有することが好ましい。上記凸部は、上記突起よりも大きいことが好ましい。上記突起とは別に、上記突起よりも大きい上記凸部が存在することで、接続信頼性がより一層高くなる。凸部と突起とは一体化していてもよく、凸部上に突起が付着していてもよい。上記突起は、粒子により構成されていてもよい。本明細書において、上記突起と区別して、該突起が外表面上に形成されている突起部分を凸部と呼ぶ。上記凸部の先端は、400℃以下で溶融可能でなくてもよい。
このように、突起の先端径を小さくすることで、溶融温度を低くすることができる。また、溶融温度を低くするために、金属部の材料を選択することができる。上記金属部の突起の先端の溶融温度を400℃以下にするために、突起の形状と金属部の材料とを選択することが好ましい。
上記金属部の突起の先端の溶融温度は、以下のようにして評価される。
上記金属部の突起の先端の溶融温度は、示差走査熱量計(ヤマト科学社製「DSC−6300」)を用いて測定できる。上記測定は、金属含有粒子15gを用いて、昇温範囲30℃から500℃、昇温速度5℃/min.、窒素パージ量5ml/min.の測定条件で行う。
次に、上記の測定で得られた溶融温度で上記金属部の突起の先端が溶融していることを確認する。金属含有粒子1gを容器に入れ、電気炉に入れる。電気炉にて上記測定で得られた溶融温度と同じ温度を設定し、窒素雰囲気で10分間加熱する。その後、加熱した金属含有粒子を電気炉から取出し、走査型電子顕微鏡を用いて突起の先端の溶融状態(又は溶融後の固化状態)を確認する。
突起の先端の溶融温度を効果的に低くし、接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記突起の形状が、先細りしている針状であることが好ましい。この金属含有粒子では、上記金属部の外表面の上記突起の形状が従来の形状とは異なり、突起の形状が先細りしている針状であることによる新たな効果が発揮される。
本発明に係る金属含有粒子は、上記金属部の上記の突起の先端を比較的低温で溶融接合させることができるので、2つの接続対象部材の接続に用いることができる。2つの接続対象部材間に、金属含有粒子における上記金属部の突起の先端において溶融接合させることで、強固な接続を発揮する接続部を形成することができ、接続信頼性を高めることができる。
また、本発明に係る金属含有粒子は、導電接続に用いてもよい。さらに、本発明に係る金属含有性粒子は、ギャップ制御材(スペーサ)としても用いることができる。
複数の上記突起の頂角の平均(a)は好ましくは10°以上、より好ましくは20°以上であり、好ましくは60°以下、より好ましくは45°以下である。上記頂角の平均(a)が上記下限以上であると、突起が過度に折れにくくなる。上記頂角の平均(a)が上記上限以下であると、溶融温度がより一層低くなる。なお、折れた突起は、導電接続時に電極間の接続抵抗を上昇させることがある。
上記突起の上記頂角の平均(a)は、金属含有粒子1個に含まれる突起のそれぞれの頂角を、平均することにより求められる。
複数の上記突起の平均高さ(b)は、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは50nm以上であり、好ましくは5000nm以下、より好ましくは1000nm以下、更に好ましくは800nm以下である。上記突起の平均高さ(b)が上記下限以上であると、溶融温度がより一層低くなる。上記突起の平均高さ(b)が上記上限以下であると、突起が過度に折れにくくなる。
上記突起の平均高さ(b)は、金属含有粒子1個に含まれる突起の高さの平均である。金属部が上記凸部を有さず、かつ上記突起を有する場合には、上記突起の高さは、金属含有粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図1に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の金属部の仮想線(図1に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の金属含有粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図1においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。なお、上記金属部が上記凸部を有し、かつ上記突起を有する場合には、即ち上記金属部が上記凸部上に上記突起を有する場合には、上記突起の高さは、突起が無いと想定した場合の金属部(凸部)の仮想線から突起の先端までの距離を示す。突起は、複数の粒状物の集合体であってもよい。例えば、突起は、突起を構成する粒子が複数連なって形成されていてもよい。この場合に、突起の高さは、複数の粒状物の集合体又は連なった粒子を全体でみたときの突起の高さである。図3においても、突起1Ba,3Baの高さは、突起が無いと想定した場合の金属部の仮想線上から突起の先端までの距離を示す。
複数の上記突起の基部の平均径(c)は、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは50nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下である。上記平均径(c)が上記下限以上であると、突起が過度に折れにくくなる。上記平均径(c)が上記上限以下であると、接続信頼性がより一層高くなる。
上記突起の基部の平均径(c)は、金属含有粒子1個に含まれる突起の基部の径の平均である。基部の径は、突起における基部のそれぞれの最大径である。上記金属部が上記凸部を有し、かつ上記突起を有する場合には、即ち上記金属部が上記凸部上に上記突起を有する場合には、金属含有粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線上における、突起が無いと想定した場合の金属部の仮想線部分の端部が、上記突起の基部であり、上記仮想線部分の端部間距離(端部を直線で結んだ距離)が基部の径である。
複数の上記突起の平均高さ(b)の、複数の上記突起の基部の平均径(c)に対する比(平均高さ(b)/平均径(c))は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.5以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。上記比(平均高さ(b)/平均径(c))が上記下限以上であると、接続信頼性がより一層高くなる。上記比(平均高さ(b)/平均径(c))が上記上限以下であると、突起が過度に折れにくくなる。
複数の上記突起の高さの中央の位置における平均径(d)の、複数の上記突起の基部の平均径(c)に対する比(平均径(d)/平均径(c))は、好ましくは1/5以上、より好ましくは1/4以上、更に好ましくは1/3以上であり、好ましくは4/5以下、より好ましくは3/4以下、更に好ましくは2/3以下である。上記比(平均径(d)/平均径(c))が上記下限以上であると、突起が過度に折れにくくなる。上記比(平均径(d)/平均径(c))が上記上限以下であると、接続信頼性がより一層高くなる。
上記突起の高さの中央の位置における平均径(d)は、金属含有粒子1個に含まれる突起の高さの中央の位置における径の平均である。突起の高さの中央の位置における径は、突起の高さの中央の位置のそれぞれの最大径である。
突起の過度の折れを抑え、突起による溶融接合性をより一層高め、接続信頼性を効果的に高める観点からは、複数の上記突起の形状は、針状又は球体の一部の形状であることが好ましい。針状の形状は、角錐状、円錐状又は回転放物面状であることが好ましく、円錐状又は回転放物面状であることがより好ましく、円錐状であることが更に好ましい。上記突起の形状は、角錐状であってもよく、円錐状であってもよく、回転放物面状であってもよい。本発明では、回転放物面状も、先細りしている針状に含まれる。回転放物面状の突起では、基部から先端にかけて先細りしている。
上記金属含有粒子1個あたりの上記金属部の外表面の突起は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。突起の数の上限は金属含有粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。なお、上記金属含有粒子に含まれる突起は、先細りしている針状でなくてもよく、更に上記金属含有粒子に含まれる突起の全てが、先細りしている針状である必要はない。
上記金属含有粒子1個あたりに含まれる突起の数に占める先細りしている針状である突起の数の割合は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。針状の突起の数の割合が多いほど、針状の突起による効果がより一層効果的に得られる。
金属部の外表面の表面積の全体100%中、突起がある部分の表面積の割合(x)は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。突起がある部分の表面積の割合が多いほど、突起による効果がより一層効果的に得られる。
接続信頼性を効果的に高める観点からは、金属部の外表面の表面積の全体100%中、針状の突起がある部分の表面積の割合は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。針状の突起がある部分の表面積の割合が多いほど、突起による効果がより一層効果的に得られる。
複数の上記凸部の頂角の平均(A)は好ましくは10°以上、より好ましくは20°以上であり、好ましくは60°以下、より好ましくは45°以下である。上記頂角の平均(A)が上記下限以上であると、凸部が過度に折れにくくなる。上記頂角の平均(A)が上記上限以下であると、溶融温度がより一層低くなる。なお、折れた凸部は、導電接続時に電極間の接続抵抗を上昇させることがある。
上記凸部の上記頂角の平均(A)は、金属含有粒子1個に含まれる凸部のそれぞれの頂角を、平均することにより求められる。
複数の上記凸部の平均高さ(B)は、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上であり、好ましくは5000nm以下、より好ましくは1000nm以下、更に好ましくは800nm以下である。上記凸部の平均高さ(B)が上記下限以上であると、溶融温度がより一層低くなる。上記凸部の平均高さ(B)が上記上限以下であると、凸部が過度に折れにくくなる。
上記凸部の平均高さ(B)は、金属含有粒子1個に含まれる凸部の高さの平均である。上記凸部の高さは、金属含有粒子の中心と凸部の先端とを結ぶ線(図8に示す破線L1)上における、凸部が無いと想定した場合の金属部の仮想線(図8に示す破線L2)上(凸部が無いと想定した場合の球状の金属含有粒子の外表面上)から凸部の先端までの距離を示す。すなわち、図8においては、破線L1と破線L2との交点から凸部の先端までの距離を示す。
複数の上記凸部の基部の平均径(C)は、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは50nm以上であり、好ましくは5000nm以下、より好ましくは1000nm以下、更に好ましくは800nm以下である。上記平均径(C)が上記下限以上であると、凸部が過度に折れにくくなる。上記平均径(C)が上記上限以下であると、接続信頼性がより一層高くなる。
上記凸部の基部の平均径(C)は、金属含有粒子1個に含まれる凸部の基部の径の平均である。基部の径は、凸部における基部のそれぞれの最大径である。金属含有粒子の中心と凸部の先端とを結ぶ線(図8に示す破線L1)上における、凸部が無いと想定した場合の金属部の仮想線部分(図8に示す破線L2)の端部が、上記凸部の基部であり、上記仮想線部分の端部間距離(端部を直線で結んだ距離)が基部の径である。
複数の上記凸部の高さの中央の位置における平均径(D)の、複数の上記凸部の基部の平均径(C)に対する比(平均径(D)/平均径(C))は、好ましくは1/5以上、より好ましくは1/4以上、更に好ましくは1/3以上であり、好ましくは4/5以下、より好ましくは3/4以下、更に好ましくは2/3以下である。上記比(平均径(D)/平均径(C))が上記下限以上であると、凸部が過度に折れにくくなる。上記比(平均径(D)/平均径(C))が上記上限以下であると、接続信頼性がより一層高くなる。
上記凸部の高さの中央の位置における平均径(D)は、金属含有粒子1個に含まれる凸部の高さの中央の位置における径の平均である。凸部の高さの中央の位置における径は、凸部の高さの中央の位置のそれぞれの最大径である。
凸部の過度の折れを抑え、凸部による溶融接合性をより一層高め、接続信頼性を効果的に高める観点からは、複数の上記凸部の形状は針状又は球体の一部の形状であることが好ましい。針状の形状は、角錐状、円錐状又は回転放物面状であることが好ましく、円錐状又は回転放物面状であることがより好ましく、円錐状であることが更に好ましい。上記凸部の形状は、角錐状であってもよく、円錐状であってもよく、回転放物面状であってもよい。本発明では、回転放物面状も、先細りしている針状に含まれる。回転放物面状の凸部では、基部から先端にかけて先細りしている。
上記金属含有粒子1個あたりの上記金属部の外表面の凸部は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記凸部の数の上限は特に限定されない。凸部の数の上限は金属含有粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。なお、上記金属含有粒子に含まれる凸部は、先細りしている針状でなくてもよく、上記金属含有粒子に含まれる凸部の全てが、先細りしている針状である必要はない。
上記金属含有粒子1個あたりに含まれる凸部の数に占める先細りしている針状である凸部の数の割合は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。針状の凸部の数の割合が多いほど、針状の凸部による効果がより一層効果的に得られる。
金属部の外表面の表面積の全体100%中、凸部がある部分の表面積の割合(X)は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。凸部がある部分の表面積の割合が多いほど、凸部上の突起による効果がより一層効果的に得られる。
接続信頼性を効果的に高める観点からは、金属部の外表面の表面積の全体100%中、針状の凸部がある部分の表面積の割合は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。針状の凸部がある部分の表面積の割合が多いほど、凸部上の突起による効果がより一層効果的に得られる。
複数の上記凸部の平均高さ(B)の、複数の上記突起の平均高さ(b)に対する比(平均高さ(B)/平均高さ(b))は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。上記比(平均高さ(B)/平均高さ(b))が上記下限以上であると、接続信頼性がより一層高くなる。上記比(平均高さ(B)/平均高さ(b))が上記上限以下であると、凸部が過度に折れにくくなる。
複数の上記突起を有する上記金属部が、金属又は合金の結晶配向により形成されていることが好ましい。なお、後述する実施例では、金属部は、金属又は合金の結晶配向により形成されている。
接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記金属含有粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)は、好ましくは100N/mm2以上、より好ましくは1000N/mm2以上、好ましくは25000N/mm2以下、より好ましくは10000N/mm2以下、より好ましくは8000N/mm2以下である。
上記金属含有粒子の上記圧縮弾性率(10%K値)は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で金属含有粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
10%K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:金属含有粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:金属含有粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:金属含有粒子の半径(mm)
上記突起のX線回折における(111)面の割合が50%以上であることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る金属含有粒子を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、金属含有粒子1は、基材粒子2と、金属部3とを備える。
金属部3は、基材粒子2の表面上に配置されている。金属含有粒子1は、基材粒子2の表面が金属部3により被覆された被覆粒子である。金属部3は連続皮膜である。
金属含有粒子1は金属部3の外表面に、複数の突起1aを有する。金属部3は外表面に、複数の突起3aを有する。複数の突起1a,3aの形状は、先細りしている針状であり、本実施形態では円錐状である。本実施形態では、突起1a,3aの先端が、400℃以下で溶融可能である。金属部3は、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。複数の突起1a,3aを除く部分が、金属部3の上記第1の部分である。複数の突起1a,3aは、金属部3の厚みが厚い上記第2の部分である。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る金属含有粒子を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、金属含有粒子1Aは、基材粒子2と、金属部3Aとを備える。
金属部3Aは、基材粒子2の表面上に配置されている。金属含有粒子1Aは金属部3Aの外表面に、複数の突起1Aaを有する。金属部3Aは外表面に、複数の突起3Aaを有する。複数の突起1Aa,3Aaの形状は、先細りしている針状であり、本実施形態では回転放物面状である。本実施形態では、突起1Aa,3Aaの先端が、400℃以下で溶融可能である。
金属含有粒子1,1Aのように、上記金属部における複数の突起の形状は、先細りしている針状であることが好ましく、円錐状であってもよく、回転放物面状であってもよい。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る金属含有粒子を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、金属含有粒子1Bは、基材粒子2と、金属部3Bとを備える。
金属部3Bは、基材粒子2の表面上に配置されている。金属含有粒子1Bは金属部3Bの外表面に、複数の突起1Baを有する。金属部3Bは外表面に、複数の突起3Baを有する。複数の突起1Ba,3Baの形状は、球体の一部の形状である。金属部3Bは、外表面上に一部が露出するように埋め込まれた金属粒子3BXを有する。金属粒子3BXの露出している部分が、突起1Ba,3Baを構成している。本実施形態では、突起1Ba,3Baの先端が、400℃以下で溶融可能である。
金属含有粒子1Bのように、突起を小さくすることで、突起の形状は、先細りしている針状でなくてもよく、例えば球体の一部の形状であってもよい。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る金属含有粒子を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、金属含有粒子1Cは、基材粒子2と、金属部3Cとを備える。
金属含有粒子1と金属含有粒子1Cとでは、金属部のみが異なっている。すなわち、金属含有粒子1では、1層構造の金属部3が形成されているのに対し、金属含有粒子1Cでは、2層構造の金属部3Cが形成されている。
金属部3Cは、第1の金属部3CA及び第2の金属部3CBを有する。第1,第2の金属部3CA,3CBは、基材粒子2の表面上に配置されている。基材粒子2と第2の金属部3CBとの間に、第1の金属部3CAが配置されている。従って、基材粒子2の表面上に第1の金属部3CAが配置されており、第1の金属部3CAの外表面上に第2の金属部3CBが配置されている。第1の金属部3CAの外形は球状である。金属含有粒子1Cは金属部3Cの外表面に、複数の突起1Caを有する。金属部3Cは、外表面に複数の突起3Caを有する。第2の金属部3CBは外表面に、複数の突起を有する。複数の突起1Ca,3Caの形状は、先細りしている針状であり、本実施形態では円錐状である。本実施形態では、突起1Ca,3Caの先端が、400℃以下で溶融可能である。内側の第1の金属部が外表面に、複数の突起を有していてもよい。
図5は、本発明の第5の実施形態に係る金属含有粒子を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、金属含有粒子1Dは、基材粒子2と、金属部3Dとを備える。
金属部3Dは、基材粒子2の表面上に配置されている。金属含有粒子1Dは金属部3Dの外表面に、複数の突起1Daを有する。金属含有粒子1Dは金属部3Dの外表面に、複数の凸部(第1の突起)3Daを有する。金属部3Dは外表面に、複数の凸部(第1の突起)3Daを有する。金属部3Dは、凸部(第1の突起)3Daの外表面に、凸部(第1の突起)3Daよりも小さい突起3Db(第2の突起)を有する。凸部(第1の突起)3Daと突起3Db(第2の突起)とは一体化しており、連なっている。本実施形態では、突起3Db(第2の突起)の先端径が小さく、突起3Db(第2の突起)の先端が、400℃以下で溶融可能である。
図6は、本発明の第6の実施形態に係る金属含有粒子を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、金属含有粒子1Eは、基材粒子2と、金属部3Eと、芯物質4Eを備える。
金属部3Eは、基材粒子2の表面上に配置されている。金属含有粒子1Eは金属部3Eの外表面に、複数の突起1Eaを有する。金属含有粒子1Eは金属部3Eの外表面に、複数の凸部(第1の突起)3Eaを有する。金属部3Eは外表面に、複数の凸部(第1の突起)3Eaを有する。金属部3Eは、凸部(第1の突起)3Eaの外表面に、凸部(第1の突起)3Eaよりも小さい突起3Eb(第2の突起)を有する。凸部(第1の突起)3Eaと突起3Eb(第2の突起)とは一体化しており、連なっている。本実施形態では、突起3Eb(第2の突起)の先端径が小さく、突起3Eb(第2の突起)の先端が、400℃以下で溶融可能である。
複数の芯物質4Eが、基材粒子2の外表面上に配置されている。複数の芯物質4Eは、金属部3Eの内側に配置されている。複数の芯物質4Eは、金属部3Eの内側に埋め込まれている。芯物質4Eは、凸部3Eaの内側に配置されている。金属部3Eは、複数の芯物質4Eを被覆している。複数の芯物質4Eにより、金属部3Eの外表面が隆起されており、凸部3Eaが形成されている。
金属原子含有粒子1Eのように、金属含有粒子は、金属部の外表面を隆起させている複数の芯物質を備えていてもよい。
図7は、本発明の第7の実施形態に係る金属含有粒子を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、金属含有粒子1Fは、基材粒子2と、金属部3Fとを備える。
金属部3Fは、基材粒子2の表面上に配置されている。金属含有粒子1Fは金属部3Fの外表面に、複数の突起1Faを有する。金属部3Fは、凸部(第1の突起)3Faの外表面に、凸部(第1の突起)3Faよりも小さい突起3Fb(第2の突起)を有する。凸部(第1の突起)3Faと突起3Fb(第2の突起)とは一体化していない。本実施形態では、突起3Fb(第2の突起)の先端径が小さく、突起3Fb(第2の突起)の先端が、400℃以下で溶融可能である。
図8は、本発明の第8の実施形態に係る金属含有粒子を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、金属含有粒子1Gは、基材粒子2と、金属部3Gとを備える。
金属部3Gは、第1の金属部3GA及び第2の金属部3GBを有する。第1,第2の金属部3GA,3GBは、基材粒子2の表面上に配置されている。基材粒子2と第2の金属部3GBとの間に、第1の金属部3GAが配置されている。従って、基材粒子2の表面上に第1の金属部3GAが配置されており、第1の金属部3GAの外表面上に第2の金属部3GBが配置されている。
金属部3Gは、基材粒子2の表面上に配置されている。金属含有粒子1Gは金属部3Gの外表面に、複数の突起1Gaを有する。金属含有粒子1Gは金属部3Gの外表面に、複数の凸部(第1の突起)3Gaを有する。金属部3Gは、凸部(第1の突起)3Gaの外表面に、凸部(第1の突起)3Gaよりも小さい突起3Gb(第2の突起)を有する。凸部(第1の突起)3Gaと突起3Gb(第2の突起)との間に、界面が存在する。本実施形態では、突起3Gb(第2の突起)の先端径が小さく、突起3Gb(第2の突起)の先端が、400℃以下で溶融可能である。
また、図11〜14に、実際に製造された金属含有粒子の画像を示した。図11〜14に示す金属含有粒子は、金属部の外表面に複数の突起を有し、複数の該突起の先端は、400℃以下で溶融可能である。図14に示す金属含有粒子では、金属部が、外表面に複数の凸部を有し、該凸部の外表面上に上記凸部よりも小さい突起を有する。
また、図15〜18に、製造された金属含有粒子の金属部の突起を溶融させた後固化させた粒子の画像を示した。図18は、図14に示す金属含有粒子の金属部の突起の先端を溶融させた後固化させた粒子である。
以下、金属含有粒子をより詳しく説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有していてもよく、コアシェル粒子であってもよい。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが更に好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。これらの好ましい基材粒子の使用により、2つの接続対象部材の接続用途に好適な金属含有粒子が得られる。
上記基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、上記金属含有粒子が変形しやすく、上記金属含有粒子の柔軟性が高くなる。このため、接続後に、衝撃吸収性が高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。2つの接続対象部材の接続用途に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記コアの粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、2つの接続対象部材の接続用途に好適に使用可能になる。例えば、上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記金属含有粒子を用いて2つの接続対象部材を接続した場合に、金属含有粒子と接続対象部材との接触面積が充分に大きくなり、かつ金属部を形成する際に凝集した金属含有粒子が形成されにくくなる。また、金属含有粒子を介して接続された2つの接続対象部材の間隔が大きくなりすぎず、かつ金属部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記コアの粒径は、上記コアが真球状である場合には直径を意味し、上記コアが真球状以外の形状である場合には、最大径を意味する。また、コアの粒径は、コアを任意の粒径測定装置により測定した平均粒径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析などの原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。
上記シェルの厚みは、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。上記シェルの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると2つの接続対象部材の接続用途に好適に使用可能になる。上記シェルの厚みは、基材粒子1個あたりの平均厚みである。ゾルゲル法の制御によって、上記シェルの厚みを制御可能である。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは400μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、接続信頼性がより一層高くなる。さらに、基材粒子の表面に金属部を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した金属含有粒子が形成されにくくなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、金属含有粒子が充分に圧縮されやすく、接続信頼性がより一層高くなる。
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
接続信頼性のヒートサイクル試験での接続部のクラック又は剥離の発生をより一層抑え、応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、上記基材粒子は、シリコーン樹脂を含む粒子(シリコーン粒子)であることが好ましい。上記基材粒子の材料は、シリコーン樹脂を含むことが好ましい。
上記シリコーン粒子の材料は、好ましくは、ラジカル重合性基を有するシラン化合物と炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物とであるか、ラジカル重合性基を有しかつ炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物であるか、もしくは、ラジカル重合性基を両末端に有するシラン化合物であることが好ましい。これらの材料を反応させた場合には、シロキサン結合が形成される。得られるシリコーン粒子において、ラジカル重合性基及び炭素数5以上の疎水基は一般に残存する。このような材料を用いることで、0.1μm以上、500μm以下の1次粒子径を有するシリコーン粒子を容易に得ることができ、しかもシリコーン粒子の耐薬品性を高くし、かつ透湿性を低くすることができる。
上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物では、ラジカル重合性基はケイ素原子に直接結合していることが好ましい。上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジビニルメトキシビニルシラン、ジビニルエトキシビニルシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、及び1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物では、炭素数5以上の疎水基はケイ素原子に直接結合していることが好ましい。上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジメチルメトキシフェニルシラン、ジメチルエトキシフェニルシラン、ヘキサフェニルジシロキサン、1,3,3,5−テトラメチル−1,1,5,5−テトラペニルトリシロキサン、1,1,3,5,5−ペンタフェニル−1,3,5−トリメチルトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、及びオクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
上記ラジカル重合性基を有しかつ炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物では、ラジカル重合性基はケイ素原子に直接結合していることが好ましく、炭素数5以上の疎水基はケイ素原子に直接結合していることが好ましい。上記ラジカル重合性基を有しかつ炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ラジカル重合性基を有しかつ炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物としては、フェニルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、フェニルメチルビニルメトキシシラン、フェニルメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルビニルメトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、フェニルジビニルメトキシシラン、フェニルジビニルエトキシシラン、及び1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジビニルジシロキサン等が挙げられる。
シリコーン粒子を得るために、上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物と、上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物とを用いる場合に、上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物と、上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物とは重量比で、1:1〜1:20で用いることが好ましく、1:5〜1:15で用いることがより好ましい。
シリコーン粒子を得るためのシラン化合物の全体において、ラジカル重合性基の数と炭素数5以上の疎水基の数とは、1:0.5〜1:20であることが好ましく、1:1〜1:15であることがより好ましい。
耐薬品性を効果的に高くし、透湿性を効果的に低くし、10%K値を好適な範囲に制御する観点からは、上記シリコーン粒子は、1つのケイ素原子に2つのメチル基が結合したジメチルシロキサン骨格を有することが好ましく、上記シリコーン粒子の材料は、1つのケイ素原子に2つのメチル基が結合したシラン化合物を含むことが好ましい。
耐薬品性を効果的に高くし、透湿性を効果的に低くし、10%K値を好適な範囲に制御する観点からは、上記シリコーン粒子は、上述したシラン化合物を、ラジカル重合開始剤により反応させて、シロキサン結合を形成させることが好ましい。一般に、ラジカル重合開始剤を用いて、0.1μm以上、500μm以下の1次粒子径を有するシリコーン粒子を得ることは困難であり、100μm以下の1次粒子径を有するシリコーン粒子を得ることが特に困難である。これに対して、ラジカル重合開始剤を用いる場合でも、上記シラン化合物を用いることで、0.1μm以上、500μm以下の1次粒子径を有するシリコーン粒子を得ることができ、100μm以下の1次粒子径を有するシリコーン粒子を得ることもできる。
上記シリコーン粒子を得るために、ケイ素原子に結合した水素原子を有するシラン化合物を用いなくてもよい。この場合には、金属触媒を用いずに、ラジカル重合開始剤を用いて、シラン化合物を重合させることができる。結果として、シリコーン粒子に金属触媒が含まれないようにすることができ、シリコーン粒子における金属触媒の含有量を少なくすることができ、更に耐薬品性を効果的に高くし、透湿性を効果的に低くし、10%K値を好適な範囲に制御することができる。
上記シリコーン粒子の具体的な製造方法としては、懸濁重合法、分散重合法、ミニエマルション重合法、又は乳化重合法等でシラン化合物の重合反応を行い、シリコーン粒子を作製する方法等がある。シラン化合物の重合を進行させてオリゴマーを得た後、懸濁重合法、分散重合法、ミニエマルション重合法、又は乳化重合法等で重合体(オリゴマーなど)であるシラン化合物の重合反応を行い、シリコーン粒子を作製してもよい。例えば、ビニル基を有するシラン化合物を重合させて、末端においてケイ素原子に結合したビニル基を有するシラン化合物を得てもよい。フェニル基を有するシラン化合物を重合させて、重合体(オリゴマーなど)として、側鎖においてケイ素原子に結合したフェニル基を有するシラン化合物を得てもよい。ビニル基を有するシラン化合物とフェニル基を有するシラン化合物とを重合させて、重合体(オリゴマーなど)として、末端においてケイ素原子に結合したビニル基を有しかつ側鎖においてケイ素原子に結合したフェニル基を有するシラン化合物を得てもよい。
シリコーン粒子は、複数の粒子を外表面に有していてもよい。この場合に、シリコーン粒子は、シリコーン粒子本体と、シリコーン粒子本体の表面上に配置された複数の粒子とを備えていてもよい。上記複数の粒子としては、シリコーン粒子及び球状シリカ等が挙げられる。上記複数の粒子の存在によって、シリコーン粒子の凝集を抑えることができる。
[金属部]
上記金属部の上記突起の先端は、400℃以下で溶融可能である。溶融温度を低くすることで、加熱時のエネルギーの消費量を抑え、更に接続対象部材等の熱劣化を抑える観点からは、上記金属部の上記突起の先端は、350℃以下で溶融可能であることが好ましく、300℃以下で溶融可能であることがより好ましく、250℃以下で溶融可能であることが更に好ましく、200℃以下で溶融可能であることが特に好ましい。上記突起の先端の溶融温度は、突起の先端の金属の種類及び突起の先端の形状により制御することができる。上記凸部の基部、上記突起の高さの中央の位置、上記突起の基部、及び上記突起の高さの中央の位置の融点は、200℃を超えていてもよく、250℃を超えていてもよく、300℃を超えていてもよく、350℃を超えていてもよく、400℃を超えていてもよい。上記金属部、上記凸部及び上記突起は、200℃を超える部分を有していてもよく、250℃を超える部分を有していてもよく、300℃を超える部分を有していてもよく、350℃を超える部分を有していてもよく、400℃を超える部分を有していてもよい。
上記金属部の材料は特に限定されない。上記金属部の材料は金属を含むことが好ましい。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、リチウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、ルテニウム、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。
本発明では、上記金属部の突起の先端が400℃以下で溶融可能であるように、金属部の材料が選ばれる。
接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記突起の材料は、銀、銅、金、パラジウム、錫、インジウム又は亜鉛を含むことが好ましい。上記突起の材料は、錫を含んでいなくてもよい。
上記金属部の材料は、はんだではないことが好ましい。上記金属部の材料がはんだではないことで、金属部全体が過度に溶融するのを抑えることができる。上記金属部の材料は、錫を含んでいなくてもよい。
接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記金属部の材料は、銀、銅、金、パラジウム、錫、インジウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、鉄、タングステン、モリブデン、ルテニウム、白金、ロジウム、イリジウム、リン又はホウ素を含むことが好ましく、銀、銅、金、パラジウム、錫、インジウム又は亜鉛を含むことがより好ましく、銀を含むことが更に好ましい。これらの好ましい材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記銀は、銀単体又は酸化銀として含まれていてもよい。酸化銀としては、Ag2O及びAgOが挙げられる。
銀を含む金属部100重量%中、銀の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは100重量%以下、より好ましくは90重量%以下、80重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよく、40重量%以下であってもよく、20重量%以下であってもよく、10重量%以下であってもよい。銀の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接合強度が高くなり、接続信頼性がより一層高くなる。
上記銅は、銅単体又は酸化銅として含まれていてもよい。
銅を含む金属部100重量%中、銅の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは100重量%以下、より好ましくは90重量%以下、80重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよく、40重量%以下であってもよく、20重量%以下であってもよく、10重量%以下であってもよい。銅の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接合強度が高くなり、接続信頼性がより一層高くなる。
上記金属部は、1つの層により形成されていてもよい。上記金属部は、複数の層により形成されていてもよい。
上記金属部の外表面は防錆処理されていてもよい。上記金属含有粒子は、上記金属部の外表面に防錆膜を有していてもよい。防錆処理としては、金属部の外表面に防錆剤を配置する方法、金属部の外表面を合金化し耐食性を向上する方法、金属部の外表面に高耐食金属膜をコーティングする方法等が挙げられる。上記防錆剤としては、ベンゾトリアゾール化合物、イミダゾール化合物等の含窒素ヘテロ環化合物;メルカプタン化合物、チアゾール化合物、有機ジスルフィド化合物のような含硫黄化合物;有機リン酸化合物等の含リン化合物が挙げられる。
[防錆処理]
金属含有粒子の腐食を抑え、電極間の接続抵抗を低くするために、上記金属部の外表面は防錆処理、又は耐硫化処理されていることが好ましい。
耐硫化剤、防錆剤や変色防止剤としては、ベンゾトリアゾール化合物、イミダゾール化合物等の含窒素ヘテロ環化合物;メルカプタン化合物、チアゾール化合物、有機ジスルフィド化合物のような含硫黄化合物;有機リン酸化合物等の含リン化合物が挙げられる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記金属部の外表面は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物により、防錆処理されていることが好ましい。上記金属部の表面は、リンを含まない化合物により防錆処理されていてもよく、炭素数6〜22のアルキル基を有しかつリンを含まない化合物により防錆処理されていてもよい。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記金属部の外表面は、アルキルリン酸化合物又はアルキルチオールにより、防錆処理されていることが好ましい。防錆処理により、上記金属部の外表面に、防錆膜を形成できる。
上記防錆膜は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物(以下、化合物Aともいう)により形成されていることが好ましい。上記金属部の外表面は、上記化合物Aにより表面処理されていることが好ましい。上記アルキル基の炭素数が6以上であると、金属部全体で錆がより一層生じ難くなる。上記アルキル基の炭素数が22以下であると、金属含有粒子の導電性が高くなる。金属含有粒子の導電性をより一層高める観点からは、上記化合物Aにおける上記アルキル基の炭素数は16以下であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖構造を有していてもよく、分岐構造を有していてもよい。上記アルキル基は、直鎖構造を有することが好ましい。
上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有していれば特に限定されない。上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシラン、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオール、又は、炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドであることが好ましい。すなわち、上記炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物Aは、リン酸エステル又はその塩、亜リン酸エステル又はその塩、アルコキシシラン、アルキルチオール、又は、ジアルキルジスルフィドであることが好ましい。これらの好ましい化合物Aの使用により、金属部に錆をより一層生じ難くすることができる。錆をより一層生じ難くする観点からは、上記化合物Aは、上記リン酸エステルもしくはその塩、亜リン酸エステルもしくはその塩、又は、アルキルチオールであることが好ましく、上記リン酸エステルもしくはその塩、又は、亜リン酸エステルもしくはその塩であることがより好ましい。上記化合物Aは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物Aは、上記金属部の外表面と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記金属含有粒子が上記金属部の外表面上に配置された絶縁性物質を備える場合に、上記化合物Aは、上記絶縁性物質と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記防錆膜は、上記金属部と化学結合していることが好ましい。上記防錆膜は、上記絶縁性物質と化学結合していることが好ましい。上記防錆膜は、上記金属部及び上記絶縁性物質の双方と化学結合していることがより好ましい。上記反応性官能基の存在により、及び上記化学結合により、上記防錆膜の剥離が生じ難くなり、この結果、金属部に錆がより一層生じ難くなり、かつ金属含有粒子の表面から絶縁性物質が意図せずにより一層脱離し難くなる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩としては、例えば、リン酸ヘキシルエステル、リン酸ヘプチルエステル、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノノニルエステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸モノウンデシルエステル、リン酸モノドデシルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸モノテトラデシルエステル、リン酸モノペンタデシルエステル、リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及びリン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩としては、例えば、亜リン酸ヘキシルエステル、亜リン酸ヘプチルエステル、亜リン酸モノオクチルエステル、亜リン酸モノノニルエステル、亜リン酸モノデシルエステル、亜リン酸モノウンデシルエステル、亜リン酸モノドデシルエステル、亜リン酸モノトリデシルエステル、亜リン酸モノテトラデシルエステル、亜リン酸モノペンタデシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及び亜リン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記亜リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン及びペンタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオールとしては、例えば、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール及びヘキサデシルチオール等が挙げられる。上記アルキルチオールは、アルキル鎖の末端にチオール基を有することが好ましい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドとしては、例えば、ジヘキシルジスルフィド、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジノニルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジウンデシルジスルフィド、ジドデシルジスルフィド、ジトリデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジペンタデシルジスルフィド及びジヘキサデシルジスルフィド等が挙げられる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記金属部の外表面は、スルフィド化合物若しくはチオール化合物を主成分とする硫黄含有化合物、ベンゾトリアゾール化合物又はポリオキシエチレンエーテル界面活性剤のいずれかの層により、耐硫化処理されていることが好ましい。耐硫化処理により、上記金属部の外表面に、防錆膜を形成できる。
上記スルフィド化合物としては、ジヘキシルスルフィド、ジヘプチルスルフィド、ジオクチルスルフィド、ジデシルスルフィド、ジドデシルスルフィド、ジテトラデシルスルフィド、ジヘキサデシルスルフィド、ジオクタデシルスルフィド等の炭素数6〜40程度(好ましくは炭素数10〜40程度)の直鎖状又は分岐鎖状のジアルキルスルフィド(アルキルスルフィド);ジフェニルスルフィド、フェニル−p−トリルスルフィド、4,4−チオビスベンゼンチオール等の炭素数12〜30程度の芳香族スルフィド;3,3’−チオジプロピオン酸、4,4’−チオジブタン酸等のチオジカルボン酸等が挙げられる。上記スルフィド化合物は、ジアルキルスルフィドであることが特に好ましい。
上記チオール化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メチル−2−プロパンチオールやオクタデシルチオール等の炭素数4〜40程度(より好ましくは6〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルチオール等が挙げられる。また、これらの化合物の炭素基に結合している水素原子がフッ素に置換された化合物等が挙げられる。
上記ベンゾトリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール塩、メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体等が挙げられる。
また、上記変色防止剤としては、北池産業社製の商品名「AC−20」、「AC−70」、「AC−80」、メルテックス社製の商品名「エンテックCU−56」、大和化成社製の商品名「ニューダインシルバー」、「ニューダインシルバーS−1」、千代田ケミカル社製の商品名「B−1057」、及び千代田ケミカル社製の商品名「B−1009NS」等が挙げられる。
上記基材粒子の表面上に金属部を形成する方法は特に限定されない。金属部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。金属部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成する方法としては、下記の方法が挙げられる。
還元剤としてヒドラジンを用いた無電解高純度ニッケルめっきによる方法、還元剤としてヒドラジンを用いた無電解パラジウム−ニッケル合金による方法、還元剤として次亜リン酸化合物を用いた無電解CoNiP合金めっき方法、還元剤としてヒドラジンを用いた無電解銀めっきによる方法、並びに還元剤として次亜リン酸化合物を用いた無電解銅−ニッケル−リン合金めっきによる方法等が挙げられる。
無電解めっきにより形成する方法では、一般的に、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。以下、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、銅及びニッケルを含む合金めっき層及び金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む金属部を形成できる。
上記無電解めっき工程では、銅含有化合物、錯化剤及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解銅−ニッケル−リン合金めっき方法において、還元剤として次亜リン酸化合物を含み、還元剤の反応開始金属触媒としてニッケル含有化合物を含み、かつノニオン界面活性剤を含む銅−ニッケル−リン合金めっき液を用いることが好ましい。
銅−ニッケル−リン合金めっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、銅−ニッケル−リン合金を析出させることができ、銅、ニッケル及びリンを含む金属部を形成できる。
上記銅含有化合物としては、硫酸銅、塩化第二銅、及び硝酸銅等が挙げられる。上記銅含有化合物は、硫酸銅であることが好ましい。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
上記リン含有還元剤としては、次亜リン酸、及び次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。上記リン含有還元剤に加えて、ボロン含有還元剤を用いてもよい。上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。
上記錯化剤は、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸錯化剤、エチレンジアミン等のアミン錯化剤、マレイン酸等の有機酸錯化剤、又は、これらの塩であることが好ましい。これらの好ましい錯化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられ、特にノニオン界面活性剤が好適である。好ましいノニオン界面活性剤は、エーテル酸素原子を含むポリエーテルである。好ましいノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、及びエチレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール又はフェノールエトキシレートである。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。分子量1000程度(例えば、500以上、2000以下)のポリエチレングリコールが特に好ましい。
金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成するためには、銅化合物とニッケル化合物とのモル比を制御することが望ましい。上記の銅化合物の使用量は、ニッケル化合物に対するモル比で2倍から100倍であることが好ましい。
また、上記のノニオン界面活性剤等を用いなくても、針状の形状を有する突起が得られる。より頂角が鋭利に先細りしている形状の突起を形成するためには、ノニオン界面活性剤を用いることが好ましく、分子量1000程度(例えば、500以上、2000以下)のポリエチレングリコールを用いることが特に好ましい。
複数の突起の平均高さ(b)の、複数の上記突起の基部の平均径(c)に対する比(平均高さ(b)/平均径(c))は、金属部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は好ましくは30℃以上、好ましくは100℃以下であり、まためっき浴への浸漬時間は好ましくは5分以上である。
次に、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、銀めっき層及び金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む金属部を形成できる。
上記無電解めっき工程では、銀含有化合物、錯化剤及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解銀めっき方法において、還元剤としてヒドラジン、ノニオン界面活性剤及び硫黄含有有機化合物を含む銀めっき液を用いることが好ましい。
銀めっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、銀を析出させることができ、銀を含む金属部を形成できる。
上記銀含有化合物としては、シアン化銀カリウム、硝酸銀、チオ硫酸銀ナトリウム、グルコン酸銀、銀−システイン錯体、メタンスルホン酸銀が好ましい。
上記還元剤としては、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム、ホルマリン、ブドウ糖等が挙げられる。
針状の形状を有する突起を形成する為の還元剤としては、ヒドラジン一水和物、塩酸ヒドラジン、及び硫酸ヒドラジンが好ましい。
上記錯化剤は、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤、又は、これらの塩であることが好ましい。これらの好ましい錯化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられ、特にノニオン界面活性剤が好適である。好ましいノニオン界面活性剤は、エーテル酸素原子を含むポリエーテルである。好ましいノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、及びエチレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール又はフェノールエトキシレートである。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。分子量1000程度(例えば、500以上、2000以下)のポリエチレングリコールが特に好ましい。
また、上記のノニオン界面活性剤等を用いなくても、針状の形状を有する突起が得られる。より頂角が鋭利に先細りしている形状の突起を形成するためには、ノニオン界面活性剤を用いることが好ましく、分子量1000程度(例えば、500以上、2000以下)のポリエチレングリコールを用いることが特に好ましい。
上記硫黄含有有機化合物としては、スルフィド又はスルホン酸基を有する有機化合物、チオ尿素化合物、及びベンゾチアゾール化合物等が挙げられる。上記スルフィド又はスルホン酸基を有する有機化合物としては、N,N−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホプロピル)エステル、3−メルカプト−プロピルスルホン酸−(3−スルホプロピル)エステル、3−メルカプト−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸カリウム塩、炭酸−ジチオ−o−エチルエステル、ビススルホプロピルジスルフィド、ビス−(3−スルホプロピル)−ジスルフィド・ジナトリウム塩、3−(ベンゾチアゾリル−s−チオ)プロピルスルホン酸ナトリウム塩、ピリジニウムプロピルスルホベタイン、1−ナトリウム−3−メルカプトプロパン−1−スルホネート、N,N−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホエチル)エステル、3−メルカプト−エチルプロピルスルホン酸−(3−スルホエチル)エステル、3−メルカプト−エチルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプト−1−エタンスルホン酸カリウム塩、炭酸−ジチオ−o−エチルエステル−s−エステル、ビススルホエチルジスルフィド、3−(ベンゾチアゾリル−s−チオ)エチルスルホン酸ナトリウム塩、ピリジニウムエチルスルホベタイン、1−ナトリウム−3−メルカプトエタン−1−スルホネート、及びチオ尿素化合物等が挙げられる。上記チオ尿素化合物としては、チオ尿素、1,3−ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、及びアリルチオ尿素等が挙げられる。
また、上記の硫黄含有有機化合物等を用いなくても、針状の形状を有する突起が得られる。より頂角が鋭利に先細りしている形状の突起を形成するためには、硫黄含有有機化合物を用いることが好ましく、チオ尿素を用いることが特に好ましい。
複数の突起の平均高さ(b)の、複数の上記突起の基部の平均径(c)に対する比(平均高さ(b)/平均径(c))は、金属部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は好ましくは30℃以上、好ましくは100℃以下であり、まためっき浴への浸漬時間は好ましくは5分以上である。
次に、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、高純度ニッケルめっき層及び金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む金属部を形成できる。
上記無電解めっき工程では、ニッケル含有化合物、錯化剤及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解高純度ニッケルめっき方法において、還元剤としてヒドラジンを含む高純度ニッケルめっき液が好適に用いられる。
高純度ニッケルめっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、高純度ニッケルめっきを析出させることができ、高純度ニッケルの金属部を形成できる。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、塩化ニッケルであることが好ましい。
上記の還元剤としては、ヒドラジン一水和物、塩酸ヒドラジン、及び硫酸ヒドラジンが挙げられる。上記の還元剤は、ヒドラジン一水和物であることが好ましい。
上記錯化剤としては、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤等が挙げられる。上記錯化剤は、アミノ酸系錯化剤であるグリシンであることが好ましい。
金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成するためには、めっき液のpHを8.0以上に調整することが好ましい。還元剤としてヒドラジンを用いる無電解めっき液では、ヒドラジンの酸化反応によりニッケルを還元する際にpHの急激な低下をともなう。上記のpHの急激な低下を抑制するために、リン酸、ホウ酸、炭酸等の緩衝剤を用いることが好ましい。上記緩衝剤は、pH8.0以上の緩衝作用の効果があるホウ酸であることが好ましい。
複数の突起の平均高さ(b)の、複数の上記突起の基部の平均径(c)に対する比(平均高さ(b)/平均径(c))は、金属部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は、好ましくは30℃以上、好ましくは100℃以下であり、まためっき浴への浸漬時間は好ましくは5分以上である。
次に、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、パラジウム−ニッケル合金めっき層及び金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む金属部を形成できる。
上記無電解めっき工程では、ニッケル含有化合物、パラジウム化合物、安定剤、錯化剤及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解パラジウム−ニッケルめっき方法において、還元剤としてヒドラジンを含むパラジウム−ニッケル合金めっき液が好適に用いられる。
パラジウム−ニッケル合金めっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、パラジウム−ニッケル合金めっきを析出させることができ、パラジウム−ニッケルの金属部を形成できる。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
上記パラジウム含有化合物としては、ジクロロエチレンジアミンパラジウム(II)、塩化パラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム(II)、ジニトロジアンミンパラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩、テトラアンミンパラジウム(II)硫酸塩、オキザラトジアンミンパラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)シュウ酸塩、及びテトラアンミンパラジウム(II)クロライド等が挙げられる。上記パラジウム含有化合物は、塩化パラジウムであることが好ましい。
上記安定剤としては、鉛化合物、ビスマス化合物、及びタリウム化合物等が挙げられる。これらの化合物としては、具体的には、化合物を構成する金属(鉛、ビスマス、タリウム)の硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、及び塩酸塩等が挙げられる。環境への影響を考慮すると、ビスマス化合物又はタリウム化合物が好ましい。これらの好ましい安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記の還元剤としては、ヒドラジン一水和物、塩酸ヒドラジン、及び硫酸ヒドラジンが挙げられる。上記の還元剤は、ヒドラジン一水和物であることが好ましい。
上記錯化剤としては、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤等が挙げられる。上記錯化剤は、アミノ酸系錯化剤であるエチレンジアミンであることが好ましい。
金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成するためには、めっき液のpHを8.0から10.0に調整することが好ましい。pH7.5以下では、めっき液の安定性が低下し、浴分解を引き起こすため、pH8.0以上にすることが好ましい。
複数の突起の平均高さ(b)の、複数の上記突起の基部の平均径(c)に対する比(平均高さ(b)/平均径(c))は、金属部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は好ましくは30℃以上、好ましくは100℃以下であり、まためっき浴への浸漬時間は好ましくは5分以上である。
次に、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、コバルトとニッケルを含む合金めっき層及び金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成する方法の一例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む金属部を形成できる。
上記無電解めっき工程では、コバルト含有化合物、無機添加剤、錯化剤及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解コバルト−ニッケル−リン合金めっき方法において、還元剤として次亜リン酸化合物を含み、還元剤の反応開始金属触媒としてコバルト含有化合物を含むコバルト−ニッケル−リン合金めっき液が好適に用いられる。
コバルト−ニッケル−リン合金めっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、コバルト−ニッケル−リン合金を析出させることができ、コバルト、ニッケル、及びリンを含む金属部を形成できる。
上記コバルト含有化合物は、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、又は炭酸コバルトであることが好ましい。上記コバルト含有化合物は、硫酸コバルトであることがより好ましい。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
上記リン含有還元剤としては、次亜リン酸、及び次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。上記リン含有還元剤に加えて、ボロン含有還元剤を用いてもよい。上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。
上記錯化剤は、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤、又は、これらの塩であることが好ましい。これらの好ましい錯化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機添加剤は、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、又はホウ酸であることが好ましい。これらの好ましい無機添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記無機添加剤は、無電解コバルトめっき層の析出を促進させる作用をするものと考えられる。
金属部の外表面に先細りしている針状の形状を有する突起を形成するためには、コバルト化合物とニッケル化合物とのモル比を制御することが望ましい。上記のコバルト化合物の使用量は、ニッケル化合物に対するモル比で2倍から100倍であることが好ましい。
また、上記の無機添加剤を用いなくても、針状の形状を有する突起が得られる。より頂角が小さく、鋭利に先細りしている形状の突起を形成するためには無機添加剤を用いることが好ましく、硫酸アンモニウムを用いることが特に好ましい。
複数の突起の平均高さ(b)の、複数の上記突起の基部の平均径(c)に対する比(平均高さ(b)/平均径(c))は、金属部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は好ましくは30℃以上、好ましくは100℃以下であり、まためっき浴への浸漬時間は好ましくは5分以上である。
上記突起が無い部分における金属部全体の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下である。上記凸部が無い部分における金属部全体の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下である。金属部全体の厚みが上記下限以上であると、金属部の剥離が抑えられる。金属部全体の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と金属部との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から金属部が剥離し難くなる。上記金属部の厚みは、金属部が複数の金属部(第1の金属部と第2の金属部)を有する場合には、金属部全体の厚み(第1,第2の金属部の合計の厚み)を示す。
上記金属部が複数の金属部を有する場合に、最外層の上記突起が無い部分における金属部の厚みは、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下である。上記金属部が複数の金属部を有する場合に、最外層の上記凸部が無い部分における金属部の厚みは、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下である。上記最外層の金属部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の金属部による被覆を均一にでき、耐腐食性が充分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が充分に低くなる。また、上記最外層が内層の金属部よりも高価である場合に、最外層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記金属部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、金属含有粒子の断面を観察することにより測定可能である。
[芯物質]
上記金属含有粒子は、上記金属部の表面を隆起させている複数の芯物質を備えることが好ましく、上記金属部内において、複数の上記凸部又は複数の上記突起を形成するように、上記金属部の表面を隆起させている複数の芯物質を備えることがより好ましい。上記芯物質が上記金属部中に埋め込まれていることによって、上記金属部が外表面に複数の上記凸部又は複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、金属含有粒子及び金属部の外表面に凸部又は突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。例えば、無電解めっきにより芯物質を用いずに凸部又は突起を形成する方法として、無電解めっきにより金属核を発生させ、基材粒子又は金属部の表面に金属核を付着させ、更に無電解めっきにより金属部を形成する方法等が挙げられる。
上記凸部又は突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより金属部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより金属部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより金属部を形成する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面上に芯物質を配置する方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質が上記金属部中に埋め込まれていることによって、上記金属部が外表面に複数の上記凸部又は複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、金属含有粒子の導電性の表面及び金属部の表面に凸部又は突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
上記凸部又は突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより金属部を形成する方法、基材粒子の表面に無電解めっきにより金属部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより金属部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより金属部を形成する途中段階で芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。上記芯物質の材料である金属としては、上記導電材料の材料として挙げた金属を適宜使用可能である。
上記芯物質の材料の具体例としては、チタン酸バリウム(モース硬度4.5)、ニッケル(モース硬度5)、シリカ(二酸化ケイ素、モース硬度6〜7)、酸化チタン(モース硬度7)、ジルコニア(モース硬度8〜9)、アルミナ(モース硬度9)、炭化タングステン(モース硬度9)及びダイヤモンド(モース硬度10)等が挙げられる。上記無機粒子は、ニッケル、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが好ましく、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることがより好ましく、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが更に好ましく、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが特に好ましい。上記芯物質の材料のモース硬度は好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは7以上、特に好ましくは7.5以上である。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
[絶縁性物質]
本発明に係る金属含有粒子は、上記金属部の外表面上に配置された絶縁性物質を備えることが好ましい。この場合には、金属含有粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の金属含有粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で金属含有粒子を加圧することにより、金属含有粒子の金属部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。金属部が外表面に複数の突起を有するので、金属含有粒子の金属部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。また、金属部が外表面に複数の凸部を有する場合には、金属含有粒子の金属部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁性物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン化合物、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン化合物としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記金属部の表面上に絶縁性物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁性物質が脱離し難いことから、上記金属部の表面に、化学結合を介して上記絶縁性物質を配置する方法が好ましい。
上記金属部の外表面、及び絶縁性物質(絶縁性粒子等)の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。金属部の外表面と絶縁性物質の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。金属部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁性物質の表面の官能基と化学結合していても構わない。
上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は、金属含有粒子の粒子径及び金属含有粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁性物質の平均径が上記下限以上であると、金属含有粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の金属含有粒子における金属部同士が接触し難くなる。絶縁性物質の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と金属含有粒子との間の絶縁性物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁性物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁性物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
(粒子連結体)
本発明に係る金属含有粒子は前述の通り、金属部の突起を溶融させた後固化させることにより、図15に示されるような粒子連結体を形成することができる。このような粒子連結体は、従来の金属含有粒子よりも高い接続信頼性を高めることができる新規材料として有用である。即ち、本発明者らは、新規な接続材料として、さらに下記の発明を見出した。
1)複数の金属含有粒子(本発明に係る金属含有粒子と区別して、金属含有粒子本体ともいう)が金属を含む柱状連結部を介して連結している粒子連結体。
2)上記柱状連結部が、上記金属含有粒子に含まれる金属と同種の金属を含む上記1)の粒子連結体。
3)上記粒子連結体を構成する上記金属含有粒子が、本発明に係る金属含有粒子に由来する上記1)又は2)の粒子連結体。
4)上記粒子連結体を構成する上記金属含有粒子及び上記柱状連結部が、本発明に係る金属含有粒子の上記突起が溶融固化することで形成されている上記1)〜3)のいずれかの粒子連結体。
5)上記柱状連結部が本発明に係る金属含有粒子の突起に由来する上記1)〜4)のいずれかの粒子連結体。
本発明の粒子連結体は、前述した方法により製造することができるが、製造方法は前述した方法に限定されない。例えば金属含有粒子と柱状体を別々に製造して、金属含有粒子を柱状体により連結させて、柱状連結部を形成してもよい。
上記柱状連結部は円柱状連結部又は多角柱状連結部であってもよく、柱の中央部分が太くなっていてもよく、細くなっていてもよい。
上記柱状連結部において、上記金属含有粒子との接続面の外接円の直径(d)は、好ましくは3nm以上、より好ましくは100nm以上であり、好ましくは10000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。
上記柱状連結部において、柱状連結部の長さ(l)は、好ましくは3nm以上、より好ましくは100nm以上であり、好ましくは10000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。
上記柱状連結部において、上記金属含有粒子との接続面の外接円の直径(d)に対する柱状連結部の長さ(l)の比((d)/(l))は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.1以上であり、好ましくは100以下、より好ましくは10以下である。
本発明の粒子連結体は、図15に示されるような2個の金属含有粒子の連結体であってもよく、3個以上の金属含有粒子の連結体であってもよい。
(接続材料)
本発明に係る接続材料は、2つの接続対象部材を接続する接続部を形成するために好適に用いられる。上記接続材料は、上述した金属含有粒子と、樹脂とを含む。上記接続材料は、複数の金属含有粒子の金属部の突起の先端を溶融させた後に固化させることで、上記接続部を形成するために用いられることが好ましい。
上記樹脂は特に限定されない。上記樹脂は、上記金属含有粒子を分散させるバインダーである。上記樹脂は、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂を含むことが好ましく、硬化性樹脂を含むことがより好ましい。上記硬化性樹脂としては、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。上記光硬化性樹脂は、光硬化性樹脂及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記金属部の突起が金属酸化物を含む場合に、還元剤が用いられることが好ましい。上記還元剤としては、アルコール化合物(アルコール性水酸基を有する化合物)、カルボン酸化合物(カルボキシ基を有する化合物)及びアミン化合物(アミノ基を有する化合物)等が挙げられる。上記還元剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アルコール化合物としては、アルキルアルコールが挙げられる。上記アルコール化合物の具体例としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール及びイコシルアルコール等が挙げられる。また、上記アルコール化合物としては、1級アルコール型化合物に限られず、2級アルコール型化合物、3級アルコール型化合物、アルカンジオール及び環状構造を有するアルコール化合物も使用可能である。さらに、上記アルコール化合物として、エチレングリコール及びトリエチレングリコールなど多数のアルコール基を有する化合物を用いてもよい。また、上記アルコール化合物として、クエン酸、アスコルビン酸及びグルコースなどの化合物を用いてもよい。
上記カルボン酸化合物としては、アルキルカルボン酸等が挙げられる。上記カルボン酸化合物の具体例としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸及びイコサン酸等が挙げられる。また、上記カルボン酸化合物は、1級カルボン酸型化合物に限られず、2級カルボン酸型化合物、3級カルボン酸型化合物、ジカルボン酸及び環状構造を有するカルボキシル化合物も使用可能である。
上記アミン化合物としては、アルキルアミン等が挙げられる。上記アミン化合物の具体例としては、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン及びイコデシルアミン等が挙げられる。また、上記アミン化合物は分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有するアミン化合物としては、2−エチルヘキシルアミン及び1,5−ジメチルヘキシルアミン等が挙げられる。上記アミン化合物は、1級アミン型化合物に限られず、2級アミン型化合物、3級アミン型化合物及び環状構造を有するアミン化合物も使用可能である。
上記還元剤は、アルデヒド基、エステル基、スルホニル基又はケトン基などを有する有機物であってもよく、カルボン酸金属塩などの有機物であってもよい。カルボン酸金属塩は金属粒子の前駆体としても用いられる一方で、有機物を含有しているために、金属酸化物粒子の還元剤としても用いられる。
上記接続材料は、上記金属含有粒子及び上記樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記接続材料は、導電接続に用いられることが好ましく、導電接続材料であることが好ましい。上記接続材料は、異方導電接続に用いられることが好ましく、異方導電接続材料であることが好ましい。上記接続材料は、ペースト及びフィルム等として使用され得る。上記接続材料がフィルムである場合には、金属含有粒子を含むフィルムに、金属含有粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記ペーストは、導電ペーストであることが好ましく、異方性導電ペーストであることがより好ましい。上記フィルムは、導電フィルムであることが好ましく、異方性導電フィルムであることがより好ましい。
上記接続材料100重量%中、上記樹脂の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、10重量%以上であってもよく、30重量%以上であってもよく、50重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよく、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続信頼性がより一層高くなる。
上記接続材料100重量%中、上記金属含有粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下、80重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよく、40重量%以下であってもよく、20重量%以下であってもよく、10重量%以下であってもよい。上記金属含有粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続信頼性がより一層高くなる。また、上記金属含有粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、第1,第2の接続対象部材間に、金属含有粒子を十分に存在させることができ、金属含有粒子によって、第1,第2の接続対象部材間の間隔が部分的に狭くなるのをより一層抑制できる。このため、接続部の放熱性が部分的に低くなるのを抑制することもできる。
上記接続材料は、金属含有粒子とは別に、基材粒子を有さない金属原子含有粒子を含んでいてもよい。
上記金属原子含有粒子としては、金属粒子及び金属化合物粒子等が挙げられる。上記金属化合物粒子は、金属原子と、該金属原子以外の原子とを含む。上記金属化合物粒子の具体例としては、金属酸化物粒子、金属の炭酸塩粒子、金属のカルボン酸塩粒子及び金属の錯体粒子等が挙げられる。上記金属化合物粒子は、金属酸化物粒子であることが好ましい。例えば、上記金属酸化物粒子は、還元剤の存在下で接続時の加熱で金属粒子となった後に焼結する。上記金属酸化物粒子は、金属粒子の前駆体である。上記金属のカルボン酸塩粒子としては、金属の酢酸塩粒子等が挙げられる。
上記金属粒子及び上記金属酸化物粒子を構成する金属としては、銀、銅、ニッケル及び金等が挙げられる。銀又は銅が好ましく、銀が特に好ましい。従って、上記金属粒子は、好ましくは銀粒子又は銅粒子であり、より好ましくは銀粒子である。上記金属酸化物粒子は、好ましくは酸化銀粒子又は酸化銅粒子であり、より好ましくは酸化銀粒子である。銀粒子及び酸化銀粒子を用いた場合には、接続後に残渣が少なく、体積減少率も非常に小さい。該酸化銀粒子における酸化銀としては、Ag2O及びAgOが挙げられる。
上記金属原子含有粒子は、400℃未満の加熱で焼結することが好ましい。上記金属原子含有粒子が焼結する温度(焼結温度)は、より好ましくは350℃以下、好ましくは300℃以上である。上記金属原子含有粒子が焼結する温度が上記上限以下又は上記上限未満であると、焼結を効率的に行うことができ、更に焼結に必要なエネルギーを低減し、かつ環境負荷を小さくすることができる。
上記金属原子含有粒子を含む接続材料は、平均粒子径が1nm以上、100nm以下である金属粒子を含む接続材料であるか、又は平均粒子径が1nm以上、50μm以下である金属酸化物粒子と還元剤とを含む接続材料であることが好ましい。このような接続材料を用いると、接続時の加熱で、上記金属原子含有粒子同士を良好に焼結させることができる。上記金属酸化物粒子の平均粒子径は、好ましくは5μm以下である。上記金属原子含有粒子の粒子径は、金属原子含有粒子が真球状である場合には、直径を示し、金属原子含有粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記接続材料100重量%中、上記金属原子含有粒子の含有量は、好ましく10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、100重量%以下、好ましくは99重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。上記接続材料の全量が、上記金属原子含有粒子であってもよい。上記金属原子含有粒子の含有量が上記下限以上であると、上記金属原子含有粒子をより一層緻密に焼結させることができる。この結果、接続部における放熱性及び耐熱性も高くなる。
上記金属原子含有粒子が金属酸化物粒子である場合に、還元剤が用いられることが好ましい。上記還元剤としては、アルコール化合物(アルコール性水酸基を有する化合物)、カルボン酸化合物(カルボキシ基を有する化合物)及びアミン化合物(アミノ基を有する化合物)等が挙げられる。上記還元剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アルコール化合物としては、アルキルアルコールが挙げられる。上記アルコール化合物の具体例としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール及びイコシルアルコール等が挙げられる。また、上記アルコール化合物としては、1級アルコール型化合物に限られず、2級アルコール型化合物、3級アルコール型化合物、アルカンジオール及び環状構造を有するアルコール化合物も使用可能である。さらに、上記アルコール化合物として、エチレングリコール及びトリエチレングリコールなど多数のアルコール基を有する化合物を用いてもよい。また、上記アルコール化合物として、クエン酸、アスコルビン酸及びグルコースなどの化合物を用いてもよい。
上記カルボン酸化合物としては、アルキルカルボン酸等が挙げられる。上記カルボン酸化合物の具体例としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸及びイコサン酸等が挙げられる。また、上記カルボン酸化合物は、1級カルボン酸型化合物に限られず、2級カルボン酸型化合物、3級カルボン酸型化合物、ジカルボン酸及び環状構造を有するカルボキシル化合物も使用可能である。
上記アミン化合物としては、アルキルアミン等が挙げられる。上記アミン化合物の具体例としては、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン及びイコデシルアミン等が挙げられる。また、上記アミン化合物は分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有するアミン化合物としては、2−エチルヘキシルアミン及び1,5−ジメチルヘキシルアミン等が挙げられる。上記アミン化合物は、1級アミン型化合物に限られず、2級アミン型化合物、3級アミン型化合物及び環状構造を有するアミン化合物も使用可能である。
さらに、上記還元剤は、アルデヒド基、エステル基、スルホニル基又はケトン基などを有する有機物であってもよく、カルボン酸金属塩などの有機物であってもよい。カルボン酸金属塩は金属粒子の前駆体としても用いられる一方で、有機物を含有しているために、金属酸化物粒子の還元剤としても用いられる。
上記金属原子含有粒子の焼結温度(接合温度)よりも低い融点を有する還元剤を用いると、接合時に凝集し、接合部にボイドが生じやすくなる傾向がある。カルボン酸金属塩の使用により、該カルボン酸金属塩は接合時の加熱により融解しないため、ボイドが生じるのを抑制できる。なお、カルボン酸金属塩以外にも有機物を含有する金属化合物を還元剤として用いてもよい。
上記還元剤が用いられる場合には、上記接続材料100重量%中、上記還元剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。上記還元剤の含有量が上記下限以上であると、上記金属原子含有粒子をより一層緻密に焼結させることができる。この結果、接合部における放熱性及び耐熱性も高くなる。
上記接続材料100重量%中、上記金属酸化物粒子の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは60重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下、より一層好ましくは99.5重量%以下、更に好ましくは99重量%以下、特に好ましくは90重量%以下、最も好ましくは80重量%以下である。
上記接続材料がペーストである場合に、該ペーストに用いられるバインダーは特に限定されない。上記バインダーは、上記金属原子含有粒子が焼結する際に、消失することが好ましい。上記バインダーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記バインダーの具体例としては、溶媒としては、脂肪族系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、パラフィン系溶媒及び石油系溶媒等が挙げられる。
上記脂肪族系溶媒としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサン等が挙げられる。上記ケトン系溶媒としては、アセトン及びメチルエチルケトン等が挙げられる。上記芳香族系溶媒としては、トルエン及びキシレン等が挙げられる。上記エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸イソプロピル等が挙げられる。上記エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、及びジオキサン等が挙げられる。上記アルコール系溶媒としては、エタノール及びブタノール等が挙げられる。上記パラフィン系溶媒としては、パラフィン油及びナフテン油等が挙げられる。上記石油系溶媒としては、ミネラルターペン及びナフサ等が挙げられる。
(接続構造体)
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部が、上記金属含有粒子又は上記接続材料により形成されている。上記接続部の材料が、上記金属含有粒子又は上記接続材料である。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材との間に、上記金属含有粒子を配置するか、又は、上記接続材料を配置する工程と、上記金属含有粒子を加熱して、上記金属部の上記突起の先端を溶融させ、溶融後に固化させ、上記金属含有粒子又は上記接続材料によって、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を形成する工程とを備える。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る金属含有粒子を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
図9に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、金属含有粒子1と樹脂(硬化した樹脂など)とを含む。接続部54は、金属含有粒子1を含む接続材料により形成されている。接続部54の材料は、上記接続材料である。接続部54は、接続材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。なお、図9では、金属含有粒子1の金属部3の突起3aの先端は、溶融した後固化している。接続部54では、複数の金属含有粒子1の接合体を含む。接続構造体51では、金属含有粒子1と第1の接続対象部材51とが接合しており、金属含有粒子1と第2の接続対象部材53とが接合している。
金属含有粒子1にかえて、金属含有粒子1A,1B,1C,1D,1E,1F,1Gなどの他の金属含有粒子を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の金属含有粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が金属含有粒子1により電気的に接続されている。接続構造体51では、金属含有粒子1と第1の電極52aとが接合しており、金属含有粒子1と第2の電極53aとが接合している。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記接続材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板である電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記金属含有粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、SUS電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る金属含有粒子を用いた接続構造体の変形例を模式的に示す断面図である。
図10に示す接続構造体61は、第1の接続対象部材62と、第2の接続対象部材63,64と、第1の接続対象部材62と第2の接続対象部材63,64とを接続している接続部65,66とを備える。接続部65,66は、金属含有粒子1と、他の金属含有粒子67とを含む接続材料を用いて形成されている。接続部65,66の材料は、上記接続材料である。
第1の接続対象部材62の第1の表面(一方の表面)側に接続部65及び第2の接続対象部材63が配置されている。接続部65は、第1の接続対象部材62と第2の接続対象部材63とを接続している。
第1の接続対象部材62の第1の表面とは反対の第2の表面(他方の表面)側に接続部66及び第2の接続対象部材64が配置されている。接続部66は、第1の接続対象部材62と第2の接続対象部材64とを接続している。
第1の接続対象部材62と第2の接続対象部材63,64との間にそれぞれ、金属含有粒子1と、金属含有粒子67とが配置されている。本実施形態では、接続部65,66において、金属原子含有粒子及び金属含有粒子1は焼結した焼結物の状態である。第1の接続対象部材62と第2の接続対象部材63,64間に、金属含有粒子1が配置されている。金属含有粒子1によって、第1の接続対象部材62と第2の接続対象部材63,64とが接続されている。
第2の接続対象部材63の接続部65側とは反対の表面に、ヒートシンク68が配置されている。第2の接続対象部材64の接続部66側とは反対側の表面に、ヒートシンク69が配置されている。従って、接続構造体61は、ヒートシンク68、第2の接続対象部材63、接続部65、第1の接続対象部材62、接続部66、第2の接続対象部材64及びヒートシンク69がこの順で積層された部分を有する。
第1の接続対象部材62としては、整流ダイオード、パワートランジスタ(パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ及びトライアック等に用いられるSi,SiC,GaNなどが材料であるパワー半導体素子等が挙げられる。このような第1の接続対象部材62を備える接続構造体61では、接続構造体61の使用時に、第1の接続対象部材62において大きな熱量が発生しやすい。従って、第1の接続対象部材62から発生した熱量を、ヒートシンク68,69などに効率的に放散させる必要がある。このため、第1の接続対象部材62とヒートシンク68,69との間に配置されている接続部65,66には、高い放熱性と高い信頼性が求められる。
第2の接続対象部材63,64としては、セラミック、プラスチックなどが材料である基板等が挙げられる。
接続部65,66は、上記接続材料を加熱して、上記金属含有粒子の先端を溶融させた後に固化させることにより形成されている。
(導通検査用部材又は導通用部材)
本発明の粒子連結体、及び接続材料は、導通検査用部材又は導通用部材に適用することも可能である。以下、導通検査用部材の一態様を記す。なお、導通検査用部材は下記態様に限定されない。上記導通検査用部材及び上記導通用部材は、シート状導通用部材であってもよい。
図19(a),(b)は、導通検査用部材の一例を示す平面図及び断面図である。図19(b)は、図19(a)中のA−A線に沿う断面図である。
図19(a),(b)に示す導通検査用部材11は、貫通孔12aを有する基体12と、基体12の貫通孔12a内に配置された導電部13とを備える。導電部13の材料が、上記金属含有粒子を含む。導通検査用部材11は、導通用部材であってもよい。
上記基体は、上記導通検査用部材の基板となる部材である。上記基体は、絶縁性を有することが好ましく、上記基体は絶縁性の材料によって形成されていることが好ましい。絶縁性の材料としては、例えば、絶縁性樹脂が挙げられる。
上記基体を構成する絶縁性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、及びポリカーボネート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、シリコーン樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。シリコーン樹脂としては、シリコーンゴム等が挙げられる。
上記基体が絶縁性樹脂で形成される場合は、上記基体を構成する絶縁性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記基体は、例えば、板状、シート状等である。シート状には、フィルム状が含まれる。上記基体の厚みは、導通検査用部材の種類に応じて適宜設定することができ、例えば、0.005mm以上、50mm以下の厚みであってもよい。上記基体の平面視における大きさも目的の検査装置に応じて適宜設定することができる。
上記基体は、例えば、上記の絶縁性樹脂等の絶縁性材料を原料として、所望の形状に成形することで得ることができる。
上記基体の上記貫通孔は、上記基体に複数配置される。上記貫通孔は、上記基体の厚み方向に貫通していることが好ましい。
上記基体の上記貫通孔は、円柱状に形成され得るが、円柱状に限らず、その他の形状、例えば、多角柱状に形成されていてもよい。また、上記貫通孔は、一方の方向に先細りしているテーパー状に形成されていてもよいし、その他、歪んだ形状に形成されていてもよい。
上記貫通孔の大きさ、例えば、平面視における上記貫通孔の見かけ面積も適宜の大きさに形成することができ、例えば、導電部を収容でき、かつ、保持できる程度の大きさに形成されていればよい。上記貫通孔が例えば円柱状であれば、上記貫通孔の直径は好ましくは0.01mm以上、好ましくは10mm以下である。
なお、上記基体の上記貫通孔の全てが同じ形状、同じ大きさであってもよいし、上記基体の上記貫通孔の一部の形状又は大きさが、他の貫通孔と異なっていてもよい。
上記基体の上記貫通孔の個数も適宜の範囲で設定することができ、導通検査が可能な程度の個数を有していればよく、目的の検査装置に応じて適宜設定することができる。また、上記基体の上記貫通孔の配置場所も目的の検査装置に応じて適宜設定することができる。
上記基体の上記貫通孔を形成する方法は特に限定されず、公知の方法(例えば、レーザー加工)で貫通孔を形成することが可能である。
上記基体の上記貫通孔内の導電部は導電性を有する。
具体的に導電部は、上記金属含有粒子に由来する粒子を含む。例えば、導電部は、複数の金属含有粒子が貫通孔内に収容されて形成される。上記導電部は、金属含有粒子に由来する粒子の集合体(粒子群)を含む。
上記導電部の材料は、上記金属含有粒子以外の材料を含んでいてもよい。例えば、上記導電部の材料は、上記金属含有粒子以外にバインダーを含むことができる。上記導電部の材料がバインダーを含むことで、上記金属含有粒子がより強固に集合し、これにより上記金属含有粒子に由来する粒子が上記貫通孔内に保持されやすくなる。
上記バインダーとしては特に限定されず、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。上記光硬化性樹脂は、光硬化性樹脂及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記樹脂としては、例えば、シリコーン系共重合体、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金属含有粒子に由来する粒子は、上記貫通孔内に密に充填されていることが好ましく、この場合、上記導通検査用部材よってより確実な導通検査を行うことができる。上記導電部は、導通検査用部材又は導通用部材の表裏にわたって導通可能であるように上記貫通孔内に収容されていることが好ましい。
上記導電部において、上記金属含有粒子に由来する粒子は、導電部の表面から裏面にわたって連続して上記金属含有粒子に由来する粒子が互いに接触しながら存在していることが好ましい。この場合、上記導電部の導通性が向上する。
上記導電部を、上記貫通孔内に収容する方法は特に限定されない。例えば、上記金属含有粒子とバインダーを含む材料を基体に塗工する方法で上記金属含有粒子を貫通孔内に充填し、適宜の条件で硬化させることで、導電部を貫通孔内に形成することができる。これにより、導電部が貫通孔に収容される。上記金属含有粒子とバインダーを含む材料には必要に応じて溶剤が含まれていてもよい。
上記金属含有粒子とバインダーを含む材料は、上記金属含有粒子100重量部に対して、バインダーの含有量は固形分換算で好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上であり、好ましくは70重量部以下、より好ましくは50重量部以下である。
上記導通検査用部材は、プローブカードとして用いることができる。なお、上記導通検査用部材は、本発明の効果が阻害されない程度であれば、その他の構成要素を備えていてもよい。
図20(a)〜(c)は、電子回路デバイスの電気特性を導通検査用部材によって検査している様子を模式的に示す図である。
図20(a)〜(c)では、電子回路デバイスは、BGA基板31(ボールグリッドアレイ基板)である。BGA基板31は、接続パッドが格子状に多層基板31Aに配列され、各パッドにはんだボール31Bが配設された構造を有する基板である。また、図20(a)〜(c)では、導通検査用部材21は、プローブカードである。導通検査用部材21は、基体22に複数の貫通孔22aが形成されており、貫通孔22a内には導電部23が収容されている。図20(a)のように、BGA基板31と、導通検査用部材21とを準備し、図20(b)のように、BGA基板31を導通検査用部材21に接触させて圧縮させる。このとき、半田ボール31Bは、貫通孔22a内の導電部23と接触する。この状態において図20(c)のように、電流計32を接続して導通検査を実施し、BGA基板31の合否を判定することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
基材粒子Aとして、粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を用意した。
パラジウム触媒液5重量%を含むアルカリ溶液100重量部に、基材粒子A10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子Aを取り出した。次いで、基材粒子Aをジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子Aの表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(A)を得た。
次に、金属ニッケル粒子スラリー(三井金属社製「2020SUS」、平均粒子径150nm)1重量部を3分間かけて上記懸濁液(A)に添加し、芯物質が付着された基材粒子Aを含む懸濁液(B)を得た。
懸濁液(B)を、硫酸銅20g/L、及びエチレンジアミン四酢酸30g/Lを含む溶液中に入れ、粒子混合液(C)を得た。
また、無電解銅めっき液として、硫酸銅250g/L、エチレンジアミン四酢酸150g/L、グルコン酸ナトリウム100g/L、及びホルムアルデヒド50g/Lを含む混合液を、アンモニアにてpH10.5に調整した銅めっき液(D)を用意した。
また、無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lを含む混合液を、アンモニア水にてpH8.0に調整した銀めっき液(E)を用意した。
また、ジメチルアミンボラン100g/L、及び水酸化ナトリウム0.5g/Lを含む突起形成用めっき液(F)(pH10.0)を用意した。
55℃に調整した分散状態の粒子混合液(C)に上記銅めっき液(D)を徐々に滴下し、無電解銅めっきを行った。銅めっき液(D)の滴下速度は30mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銅めっきを行った。このようにして、樹脂粒子の表面に銅金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を含む粒子混合液(G)を得た。
その後、粒子混合液(G)をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、上記基材粒子Aの表面上に銅金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を得た。この粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、粒子混合液(H)を得た。
次に、60℃に調整した分散状態の粒子混合液(H)に上記銀めっき液(E)を徐々に滴下し、無電解銀めっきを行った。銀めっき液(E)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った。その後、上記突起形成用めっき液(F)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は10分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下中は、発生した銀突起核を超音波攪拌により分散しながら銀めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に銅及び銀金属部(凸部が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例2)
金属ニッケル粒子スラリーをアルミナ粒子スラリー(平均粒子径150nm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、金属含有粒子を得た。
(実施例3)
実施例1で得られた懸濁液(A)を、硫酸ニッケル40ppm、クエン酸3ナトリウム2g/L、及びアンモニア水10g/Lを含む溶液中に入れ、粒子混合液(B)を得た。
針状突起形成用めっき液として、硫酸銅100g/L、硫酸ニッケル10g/L、次亜リン酸ナトリウム100g/L、クエン酸3ナトリウム70g/L、ホウ酸10g/L、及びノニオン界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)5mg/Lを含む混合液を、アンモニア水にてpH10.0に調整した無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液である針状突起形成用めっき液(C)を用意した。
また、無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lの混合液を、アンモニア水にてpH8.0に調整した銀めっき液(D)を用意した。
また、ジメチルアミンボラン100g/L、及び水酸化ナトリウム0.5g/Lを含む突起形成用めっき液(E)(pH10.0)を用意した。
70℃に調整した分散状態の粒子混合液(B)に上記針状突起形成用めっき液(C)を徐々に滴下し、針状突起を形成した。針状突起形成用めっき液(C)の滴下速度は40mL/分、滴下時間は60分間で、無電解銅−ニッケル−リン合金めっきを行った(針状突起形成及び銅−ニッケル−リン合金めっき工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、基材粒子Aの表面上に銅−ニッケル−リン合金金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子(F)を得た。粒子(F)を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(G)を得た。
その後、懸濁液(G)をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、上記基材粒子Aの表面上に銅−ニッケル−リン合金金属部が配置されており、表面に針状凸部を有する金属部を備える粒子を得た。この粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、粒子混合液(H)を得た。
次に、60℃に調整した分散状態の粒子混合液(H)に上記銀めっき液(D)を徐々に滴下し、無電解銀めっきを行った。銀めっき液(D)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った。その後、上記突起形成用めっき液(E)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(E)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は10分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(E)の滴下中は、発生した銀突起核を超音波攪拌により分散しながら銀めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に銅−ニッケル−リン合金及び銀金属部(凸部が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に複数の針状凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例4)
実施例1で得られた懸濁液(A)を、硫酸ニッケル80g/L、硝酸タリウム10ppm及び硝酸ビスマス5ppmを含む溶液中に入れ、粒子混合液(B)を得た。
針状突起形成用めっき液として、塩化ニッケル100g/L、ヒドラジン一水和物100g/L、クエン酸3ナトリウム50g/L、及びポリエチレングリコール1000(分子量:1000)20mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムにてpH9.0に調整した無電解高純度ニッケルめっき液である針状突起形成用めっき液(C)を用意した。
また、無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lを含む混合液を、アンモニア水にてpH8.0に調整した銀めっき液(D)を用意した。
また、ジメチルアミンボラン100g/L、及び水酸化ナトリウム0.5g/Lを含む突起形成用めっき液(E)(pH10.0)を用意した。
60℃に調整した分散状態の粒子混合液(B)に上記針状突起形成用めっき液(C)を徐々に滴下し、針状突起を形成した。針状突起形成用めっき液(C)の滴下速度は20mL/分、滴下時間は50分間で、無電解高純度ニッケルめっきを行った(針状突起形成及び銅−ニッケル−リン合金めっき工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、基材粒子Aの表面上に高純度ニッケル金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子(F)を得た。粒子(F)を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(G)を得た。
その後、懸濁液(G)をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、上記基材粒子Aの表面上に高純度ニッケル金属部を配置して、表面に針状凸部を有する金属部を備える粒子を得た。この粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、粒子混合液(H)を得た。
次に、60℃に調整した分散状態の粒子混合液(H)に上記銀めっき液(D)を徐々に滴下し、無電解銀めっきを行った。銀めっき液(D)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った。その後、上記突起形成用めっき液(E)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(E)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は10分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(E)の滴下中は、発生した銀突起核を超音波攪拌により分散しながら銀めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、基材粒子Aの表面上に高純度ニッケル及び銀金属部が配置されており、表面に針状凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える粒子混合液(I)を得た。
その後、粒子混合液(I)をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に高純度ニッケル及び銀金属部(凸部が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に複数の針状凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例5)
実施例1で得られた懸濁液(A)を、硝酸銀500ppm、コハク酸イミド10g/L、アンモニア水10g/L、を含む溶液中に入れ、粒子混合液(B)を得た。
無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lを含む混合液を、アンモニア水にてpH8に調整した銀めっき液(C)を用意した。
また、ジメチルアミンボラン100g/L、及び水酸化ナトリウム0.5g/Lを含む突起形成用めっき液(D)(pH10.0)を用意した。
60℃に調整した分散状態の粒子混合液(B)に上記無電解銀めっき液(C)を徐々に滴下し、針状突起を形成した。無電解銀めっき液(C)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った(銀めっき工程)。その後、上記突起形成用めっき液(D)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(D)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は10分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(D)の滴下中は、発生した銀突起核を超音波攪拌により分散しながら銀めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に銀金属部(突起が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例6)
実施例1で得られた懸濁液(A)を、シアン化銀カリウム500ppm、シアン化カリウム10g/L、及び水酸化カリウム10g/Lを含む溶液中に入れ、粒子混合液(B)を得た。
針状突起形成用めっき液として、シアン化銀カリウム80g/L、シアン化カリウム10g/L、ポリエチレングリコール1000(分子量:1000)20mg/L、チオ尿素50ppm、及びヒドラジン一水和物100g/Lを含む混合液を、水酸化カリウムにてpH7.5に調整した銀めっき液(C)を用意した。
80℃に調整した分散状態の粒子混合液(B)に上記無電解銀めっき液(C)を徐々に滴下し、針状突起を形成した。無電解銀めっき液(C)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は60分間で、無電解銀めっきを行った(針状突起形成及び銀めっき工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面に銀金属部(突起が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に複数の針状突起が形成された銀金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例7)
実施例1で得られた懸濁液(A)を、シアン化銀カリウム500ppm、シアン化カリウム10g/L、及び水酸化カリウム10g/Lを含む溶液中に入れ、粒子混合液(B)を得た。
針状突起形成用めっき液として、シアン化銀カリウム80g/L、シアン化カリウム10g/L、ポリエチレングリコール1000(分子量:1000)20mg/L、チオ尿素50ppm、及びヒドラジン一水和物100g/Lを含む混合液を、水酸化カリウムにてpH7.5に調整した銀めっき液(C)を用意した。
また、無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lを含む混合液を、アンモニア水にてpH8.0に調整した銀めっき液(D)を用意した。
また、ジメチルアミンボラン100g/L、及び水酸化ナトリウム0.5g/Lを含む突起形成用めっき液(E)(pH10.0)を用意した。
80℃に調整した分散状態の粒子混合液(B)に上記無電解銀めっき液(C)を徐々に滴下し、針状突起を形成した。無電解銀めっき液(C)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は45分間で、無電解銀めっきを行った(針状突起形成及び銀めっき工程)。
その後、ろ過することにより粒子を取り出し、基材粒子Aの表面上に銀金属部が配置されており、表面に針状凸部を有する金属部を備える粒子(F)を得た。粒子(F)を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、粒子混合液(G)を得た。
次に、60℃に調整した分散状態の粒子混合液(G)に上記銀めっき液(D)を徐々に滴下し、無電解銀めっきを行った。銀めっき液(D)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った。その後、上記突起形成用めっき液(E)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(E)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は10分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(E)の滴下中は、発生した銀突起核を超音波攪拌により分散しながら銀めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に銀金属部(凸部が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に複数の針状凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例8)
実施例1で得られた懸濁液(B)を、硫酸ニッケル50g/L、硝酸タリウム30ppm及び硝酸ビスマス20ppmを含む溶液中に入れ、粒子混合液(C)を得た。
無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/L、タングステン酸ナトリウム5g/L、ジメチルアミンボラン30g/L、硝酸ビスマス10ppm、及びクエン酸3ナトリウム30g/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整した無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液(D)を用意した。
また、無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lの混合液を、アンモニア水にてpH8.0に調整した銀めっき液(E)を用意した。
また、ジメチルアミンボラン100g/L、及び水酸化ナトリウム0.5g/Lを含む突起形成用めっき液(F)(pH10.0)を用意した。
60℃に調整した分散状態の粒子混合液(C)に上記無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液(D)を徐々に滴下し、無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっきを行った。無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液(D)の滴下速度は15mL/分、滴下時間は60分間で、無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっきを行った。このようにして、基材粒子Aの表面上にニッケル−タングステン−ボロン合金金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を含む粒子混合液(G)を得た。
その後、粒子混合液(G)をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、上記基材粒子Aの表面上にニッケル−タングステン−ボロン合金金属層が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を得た。この粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、粒子混合液(H)を得た。
次に、60℃に調整した分散状態の粒子混合液(H)に上記銀めっき液(E)を徐々に滴下し、無電解銀めっきを行った。銀めっき液(E)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った。その後、上記突起形成用めっき液(F)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は10分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下中は、発生した銀突起核を超音波攪拌により分散しながら銀めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上にニッケル−タングステン−ボロン合金及び銀金属部(凸部が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に複数の凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例9)
実施例1で得られた懸濁液(B)を、硫酸ニッケル50g/L、硝酸タリウム30ppm及び硝酸ビスマス20ppmを含む溶液中に入れ、粒子混合液(C)を得た。
無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/L、タングステン酸ナトリウム2g/L、ジメチルアミンボラン30g/L、硝酸ビスマス10ppm、及びクエン酸3ナトリウム30g/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整した無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液(D)を用意した。
また、無電解金めっき液として、シアン化金カリウム30g/L、シアン化カリウム2g/L、クエン酸3ナトリウム30g/L、エチレンジアミン四酢酸15g/L、水酸化カリウム10g/L、及びジメチルアミンボラン20g/Lを含む混合液を、水酸化カリウムにてpH8.0に調整した金めっき液(E)を用意した。
また、水素化ホウ素ナトリウム30g/L、及び水酸化ナトリウム0.5g/Lを含む突起形成用めっき液(F)(pH10.0)を用意した。
60℃に調整した分散状態の粒子混合液(C)に上記無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液(D)を徐々に滴下し、無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっきを行った。無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液(D)の滴下速度は15mL/分、滴下時間は60分間で、無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっきを行った。このようにして、基材粒子Aの表面上にニッケル−タングステン−ボロン合金金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子(G)を得た。
その後、懸濁液(G)をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、上記基材粒子Aの表面上にニッケル−タングステン−ボロン合金金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を得た。この粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、粒子混合液(H)を得た。
次に、60℃に調整した分散状態の粒子混合液(H)に上記無電解金めっき液(E)を徐々に滴下し、無電解金めっきを行った。無電解金めっき液(E)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解金めっきを行った。その後、上記突起形成用めっき液(F)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は5分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下中は、発生した金突起核を超音波攪拌により分散しながら金めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上にニッケル−タングステン−ボロン合金及び金金属部(凸部が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に複数の凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例10)
実施例1で得られた懸濁液(B)を、硫酸銅20g/L、及びエチレンジアミン四酢酸30g/Lを含む溶液中に入れ、粒子混合液(C)を得た。
また、無電解銅めっき液として、硫酸銅250g/L、エチレンジアミン四酢酸150g/L、グルコン酸ナトリウム100g/L、及びホルムアルデヒド50g/Lを含む混合液を、アンモニアにてpH10.5に調整した銅めっき液(D)を用意した。
また、無電解錫めっき液として、塩化錫20g/L、ニトリロ三酢酸50g/L、チオ尿素2g/L、チオリンゴ酸1g/L、エチレンジアミン四酢酸7.5g/L、及び三塩化チタン15g/Lを含む混合液を、硫酸にてpH7.0に調整した錫めっき液(E)を用意した。
また、ジメチルアミンボラン100g/Lを含む突起形成用めっき液(F)(pH7.0)を用意した。
55℃に調整した分散状態の粒子混合液(C)に上記銅めっき液(D)を徐々に滴下し、無電解銅めっきを行った。銅めっき液(D)の滴下速度は30mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銅めっきを行った。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、このようにして、基材粒子Aの表面上に銅金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を含む粒子混合液(G)を得た。
その後、粒子混合液(G)をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、上記基材粒子Aの表面上に銅金属部を配置して、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を得た。この粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、粒子混合液(H)を得た。
次に、60℃に調整した分散状態の粒子混合液(H)に上記錫めっき液(E)を徐々に滴下し、無電解錫めっきを行った。錫めっき液(E)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解錫めっきを行った。その後、上記突起形成用めっき液(F)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は10分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下中は、発生した錫突起核を超音波攪拌により分散しながら錫めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に銅及び錫金属部(凸部が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に複数の凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例11)
(1)シリコーンオリゴマーの作製
温浴槽内に設置した100mlのセパラブルフラスコに、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン1重量部と、0.5重量%p−トルエンスルホン酸水溶液20重量部とを入れた。40℃で1時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウム0.05重量部を添加した。その後、ジメトキシメチルフェニルシラン10重量部、ジメチルジメトキシシラン49重量部、トリメチルメトキシシラン0.6重量部、及びメチルトリメトキシシラン3.6重量部を添加し、1時間撹拌を行った。その後、10重量%水酸化カリウム水溶液1.9重量部を添加して、85℃まで昇温してアスピレーターで減圧しながら、10時間撹拌、反応を行った。反応終了後、常圧に戻し40℃まで冷却して、酢酸0.2重量部を添加し、12時間以上分液漏斗内で静置した。二層分離後の下層を取り出して、エバポレーターにて精製することでシリコーンオリゴマーを得た。
(2)シリコーン粒子材料(有機ポリマーを含む)の作製
得られたシリコーンオリゴマー30重量部に、tert−ブチル−2−エチルペルオキシヘキサノアート(重合開始剤、日油社製「パーブチルO」)0.5重量部を溶解させた溶解液Aを用意した。また、イオン交換水150重量部に、ラウリル硫酸トリエタノールアミン塩40重量%水溶液(乳化剤)0.8重量部とポリビニルアルコール(重合度:約2000、けん化度:86.5〜89モル%、日本合成化学社製「ゴーセノールGH−20」)の5重量%水溶液80重量部とを混合して、水溶液Bを用意した。温浴槽中に設置したセパラブルフラスコに、上記溶解液Aを入れた後、上記水溶液Bを添加した。その後、Shirasu Porous Glass(SPG)膜(細孔平均径約1μm)を用いることで、乳化を行った。その後、85℃に昇温して、9時間重合を行った。重合後の粒子の全量を遠心分離により水洗浄し、凍結乾燥を行った。乾燥後、粒子の凝集体が目的の比(平均2次粒子径/平均1次粒子径)になるまでボールミルにて粉砕して、粒子径が3.0μmのシリコーン粒子(基材粒子B)を得た。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Bに変更し、実施例1と同様にして金属部を形成して、金属含有粒子を得た。
(実施例12)
シリコーンオリゴマーの代わりに両末端アクリルシリコーンオイル(信越化学工業社製「X−22−2445」)を用いて粒子径が3.0μmのシリコーン粒子(基材粒子C)を得た。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Cに変更し、実施例1と同様にして金属部を形成して、金属含有粒子を得た。
(実施例13)
純銅粒子(日本アトマイズ加工社製「HXR−Cu」、粒子径2.5μm)を基材粒子Dとして用意した。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Dに変更し、実施例1と同様にして金属部を形成して、金属含有粒子を得た。
(実施例14)
純銀粒子(粒子径2.5μm)を基材粒子Eとして用意した。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Eに変更し、実施例1と同様にして金属部を形成して、金属含有粒子を得た。
(実施例15)
基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が2.0μmである基材粒子Fを用意した。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Fに変更し、実施例1と同様にして金属部を形成して、金属含有粒子を得た。
(実施例16)
基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が10.0μmである基材粒子Gを用意した。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Gに変更し、実施例1と同様にして金属部を形成して、金属含有粒子を得た。
(実施例17)
基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が50.0μmである基材粒子Hを用意した。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Hに変更し、実施例1と同様にして金属部を形成して、金属含有粒子を得た。
(実施例18)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
実施例1で得られた金属含有粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した金属含有粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、金属含有粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により金属含有粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
(実施例19)
実施例1で得られた懸濁液(B)を、硫酸ニッケル50g/L、硝酸タリウム30ppm及び硝酸ビスマス20ppmを含む溶液中に入れ、粒子混合液(C)を得た。
無電解ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/L、次亜リン酸ナトリウム30g/L、硝酸ビスマス10ppm、及びクエン酸3ナトリウム30g/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整した無電解ニッケル−リン合金めっき液(D)を用意した。
また、無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lの混合液を、アンモニア水にてpH8.0に調整した銀めっき液(E)を用意した。
また、次亜リン酸ナトリウム130g/L、及び水酸化ナトリウム0.5g/Lを含む突起形成用めっき液(F)(pH12.0)を用意した。
65℃に調整した分散状態の粒子混合液(C)に上記無電解ニッケル−リン合金めっき液(D)を徐々に滴下し、無電解ニッケル−リン合金めっきを行った。無電解ニッケル−リン合金めっき液(D)の滴下速度は15mL/分、滴下時間は60分間で、無電解ニッケル−リン合金めっきを行った。このようにして、基材粒子Aの表面上にニッケル−リン合金金属部が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を含む粒子混合液(G)を得た。
その後、粒子混合液(G)をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、上記基材粒子Aの表面上にニッケル−リン合金金属層が配置されており、表面に凸部を有する金属部を備える粒子を得た。この粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、粒子混合液(H)を得た。
次に、60℃に調整した分散状態の粒子混合液(H)に上記銀めっき液(E)を徐々に滴下し、無電解銀めっきを行った。銀めっき液(E)の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った。その後、上記突起形成用めっき液(F)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下速度は1mL/分、滴下時間は10分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(F)の滴下中は、発生した銀突起核を超音波攪拌により分散しながら銀めっきを行った(突起形成工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上にニッケル−リン合金及び銀金属部(凸部が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)が配置されており、表面に複数の凸部を有し、凸部の表面上に複数の突起を有する金属部を備える金属含有粒子を得た。
(実施例20)
実施例1で得られた金属含有粒子について、銀変色防止剤として大和化成社製「ニューダインシルバー」を用いて硫化防止処理を行った。
ニューダインシルバー10重量%を含むイソプロピルアルコール溶液100重量部に、実施例1で得られた金属含有粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、硫化防止膜が形成された金属含有粒子を得た。
(実施例21)
実施例1で得られた金属含有粒子について、銀硫化防止剤として2−メルカプトベンゾチアゾール溶液を用いて硫化防止処理を行った。
2−メルカプトベンゾチアゾール0.5重量%を含むイソプロピルアルコール溶液100重量部に、実施例1で得られた金属含有粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、硫化防止膜が形成された金属含有粒子を得た。
(比較例1)
パラジウム触媒液5重量%を含むアルカリ溶液100重量部に、上記基材粒子A10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子Aを取り出した。次いで、基材粒子Aをジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子Aの表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、分散液(A)を得た。
次に、金属ニッケル粒子スラリー(三井金属社製「2020SUS」、平均粒子径150nm)1gを3分間かけて上記分散液(A)に添加し、芯物質が付着された基材粒子Aを含む懸濁液(B)を得た。
懸濁液(B)を、硫酸ニッケル50g/L、硝酸タリウム30ppm及び硝酸ビスマス20ppmを含む溶液中に入れ、粒子混合液(C)を得た。
また、硫酸ニッケル200g/L、次亜リン酸ナトリウム85g/L、クエン酸ナトリウム30g/L、硝酸タリウム50ppm、及び硝酸ビスマス20ppmを含むニッケルめっき液(D)(pH6.5)を用意した。
50℃に調整した分散状態の粒子混合液(C)に上記ニッケルめっき液(D)を徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。ニッケルめっき液(D)の滴下速度は25mL/分、滴下時間は60分間で、無電解ニッケルめっきを行った(Niめっき工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上にニッケル−リン合金金属部が配置されており、表面に突起を有する金属部を備える金属部を備える金属含有粒子合金(突起が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)を得た。
(比較例2)
パラジウム触媒液5重量%を含むアルカリ溶液100重量部に、基材粒子A10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子Aを取り出した。次いで、基材粒子Aをジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子Aの表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(A)を得た。
懸濁液(A)を、硫酸ニッケル50g/L、硝酸タリウム30ppm及び硝酸ビスマス20ppmを含む溶液中に入れ、粒子混合液(B)を得た。
また、次亜リン酸ナトリウム300g/L、及び水酸化ナトリウム10g/Lを含む突起形成用めっき液(C)(pH11.0)を用意した。
また、硫酸ニッケル200g/L、次亜リン酸ナトリウム85g/L、クエン酸ナトリウム30g/L、硝酸タリウム50ppm、及び硝酸ビスマス20ppmを含むニッケルめっき液(D)(pH6.5)を用意した。
50℃に調整した分散状態の粒子混合液(B)に上記突起形成用めっき液(C)を徐々に滴下し、突起形成を行った。突起形成用めっき液(C)の滴下速度は20mL/分、滴下時間は5分間で、突起形成を行った。突起形成用めっき液(C)の滴下中は、発生したNi突起核を超音波攪拌により分散しながらニッケルめっきを行った(突起形成工程)。このようにして、分散状態のNi突起核及び粒子混合液(E)を得た。
その後、分散状態のNi突起核及び粒子混合液(E)に上記ニッケルめっき液(D)を徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。ニッケルめっき液(D)の滴下速度は25mL/分、滴下時間は60分間で、無電解ニッケルめっきを行った。ニッケルめっき液(D)の滴下中は、発生したNi突起核を超音波攪拌により分散しながらニッケルめっきを行った(Niめっき工程)。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上にニッケル−リン合金金属部が配置されており、表面に突起を有する金属部を備える金属含有粒子(突起が無い部分における金属部全体の厚み:0.1μm)を得た。
(評価)
(1)凸部及び突起の高さの測定
得られた金属含有粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、金属含有粒子検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用埋め込み樹脂中に分散した金属含有粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、金属含有粒子の断面を切り出した。
そして、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)(日本電子社製「JEM−ARM200F」)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の金属含有粒子を無作為に選択し、それぞれの金属含有粒子の凸部及び突起を観察した。得られた金属含有粒子における凸部及び突起の高さを計測し、それを算術平均して凸部及び突起の平均高さとした。
(2)突起の基部の平均径の測定
得られた金属含有粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、金属含有粒子検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用埋め込み樹脂中に分散した金属含有粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、金属含有粒子の断面を切り出した。
そして、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)(日本電子社製「JEM−ARM200F」)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の金属含有粒子を無作為に選択し、それぞれの金属含有粒子の凸部及び突起を観察した。得られた金属含有粒子における凸部及び突起の基部径を計測し、それを算術平均して凸部及び突起の平均基部径とした。
(3)凸部及び突起の形状の観察
走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、20個の金属含有粒子を無作為に選択し、それぞれの金属含有粒子の凸部及び突起を観察し、全ての凸部及び突起の属する形状の種類を調査した。
(4)凸部及び突起の頂角の平均の測定
得られた金属含有粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、金属含有粒子検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用埋め込み樹脂中に分散した金属含有粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、金属含有粒子の断面を切り出した。
そして、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)(日本電子社製「JEM−ARM200F」)を用いて、画像倍率100万倍に設定し、20個の金属含有粒子を無作為に選択し、それぞれの金属含有粒子の突起部を観察した。得られた金属含有粒子における凸部及び突起の頂角を計測し、それを算術平均して凸部及び突起の頂角の平均とした。
(5)凸部及び突起の高さの中央の位置における平均径の測定
得られた金属含有粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、金属含有粒子検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用埋め込み樹脂中に分散した金属含有粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、金属含有粒子の断面を切り出した。
そして、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)(日本電子社製「JEM−ARM200F」)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の金属含有粒子を無作為に選択し、それぞれの金属含有粒子の突起部を観察した。得られた金属含有粒子における凸部及び突起の基部径を計測し、それを算術平均して凸部及び突起の高さの中央の位置における平均径を求めた。
(6)針状である凸部及び突起の数の割合の測定
走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、20個の金属含有粒子を無作為に選択し、それぞれの金属含有粒子の凸部及び突起を観察した。全ての凸部及び突起は、凸部形状及び突起形状が、先細りしている針状か否かを評価して、凸部形状及び突起形状が先細りしている針状により形成されている凸部及び突起と、凸部形状及び突起形状が、先細りしている針状により形成されていない凸部及び突起とに分別した。このようにして、1つの金属含有粒子あたりの1)先細りしている針状により形成されている凸部及び突起の個数と、2)先細りしている針状形状により形成されていない凸部及び突起の個数とを計測した。1)と2)の突起部の全個数100%中の1)針状である凸部及び突起の数の割合Xを算出した。
(7)凸部及び突起が無い部分における金属部全体の厚みの測定
得られた金属含有粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、金属含有粒子検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用埋め込み樹脂中に分散した金属含有粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、金属含有粒子の断面を切り出した。
そして、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)(日本電子社製「JEM−ARM200F」)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の金属含有粒子を無作為に選択し、それぞれの金属含有粒子の突起が無い部分における金属部を観察した。得られた金属含有粒子における突起が無い部分における金属部全体の厚みを計測し、それを算術平均して厚み(平均厚み)(上記実施例及び比較例中に記載)とした。
(8)金属含有粒子の圧縮弾性率(10%K値)
得られた金属含有粒子の上記圧縮弾性率(10%K値)を、23℃の条件で、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。10%K値を求めた。
(9)金属部の面格子の評価
X線回折装置(理学電機社製「RINT2500VHF」)を用いて、回折角に依存する装置固有の回折線のピーク強度比を算出した。金層の回折線全体の回折ピーク強度に占める(111)方位の回折ピーク強度の割合((111)面の割合)を求めた。
(10)接続構造体Aでの金属部の突起の先端の溶融及び固化状態
得られた金属含有粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させて、異方性導電ペーストを作製した。
L/Sが30μm/30μmである銅電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmである金電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が250℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、0.5MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を250℃で硬化させて、接続構造体Aを得た。接続構造体Aを得るために、電極間を0.5MPaの低圧で接続した。
得られた接続構造体を、Kulzer社製「テクノビット4000」に入れて硬化させ、接続構造体検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用樹脂中の接続構造体の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、金属含有粒子の断面を切り出した。
そして、走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、得られた接続構造体Aを断面観察することで、金属含有粒子の金属部の突起の先端が溶融した後固化しているか否かを判定した。
[金属部の突起の先端の溶融及び固化状態の判定基準]
A:金属部の突起の先端が溶融した後固化している
B:金属部の突起の先端が溶融した後固化していない
(11)接続構造体Aでの金属部の突起の接合状態
上記(10)の評価で得られた接続構造体Aにおいて、接続構造体Aを断面観察することで、金属部の突起の接合状態を判定した。
[金属部の突起の接合状態の判定基準]
A:接続部中で、金属含有粒子における金属部の突起の先端が溶融した後固化し、電極及び他の金属含有粒子と接合している
B:接続部中で、金属含有粒子における金属部の突起の先端が溶融した後固化し、電極及び他の金属含有粒子と接合していない
(12)接続構造体Aにおける接続信頼性
上記(10)の評価で得られた接続構造体A15個の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続信頼性を下記の基準で判定した。
[接続信頼性の判定基準]
○○○:接続抵抗が1.0Ω以下
○○:接続抵抗が1.0Ωを超え、2.0Ω以下
○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
△:接続抵抗が3.0Ωを超え、5Ω以下
×:接続抵抗が5Ωを超える
(13)接続構造体Bでの金属部の突起の先端の溶融及び固化状態
得られた金属含有粒子を含有量が5重量%となるように、日本スペリア社製「ANP−1」(金属原子含有粒子を含む)に添加し、分散させて、焼結銀ペーストを作製した。
第1の接続対象部材として、接続面にNi/Auめっきが施されたパワー半導体素子を用意した。第2の接続対象部材として、接続面にCuめっきが施された窒化アルミニウム基板を用意した。
第2の接続対象部材上に、上記焼結銀ペーストを、約70μmの厚みとなるように塗布し、接続用銀ペースト層を形成した。その後、接続用銀ペースト層上に、上記第1の接続対象部材を積層して、積層体を得た。
得られた積層体を130℃のホットプレートで60秒間プレヒートし、その後、積層体を10MPaの圧力をかけて300℃で3分加熱することにより、焼結銀ペーストに含まれている上記金属原子含有粒子を焼結させて、焼結物と金属含有粒子とを含む接続部を形成し、該焼結物により上記第1,第2の接続対象部材を接合して、接続構造体Bを得た。
得られた接続構造体を、Kulzer社製「テクノビット4000」に入れて硬化させ、接続構造体検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用埋め込み樹脂中の接続構造体の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、金属含有粒子の断面を切り出した。
そして、走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、得られた接続構造体Bを断面観察することで、金属含有粒子の金属部の突起の先端が溶融した後固化しているか否かを判定した。
[金属部の突起の先端の溶融及び固化状態の判定基準]
A:金属部の突起の先端が溶融した後固化している
B:金属部の突起の先端が溶融した後固化していない
(14)接続構造体Bでの金属部の突起の接合状態
上記(13)の評価で得られた接続構造体Bにおいて、接続構造体Bを断面観察することで、金属部の突起の接合状態を判定した。
[金属部の突起の接合状態の判定基準]
A:接続部中で、金属含有粒子における金属部の突起の先端が溶融した後固化し、電極及び他の金属含有粒子と接合している
B:接続部中で、金属含有粒子における金属部の突起の先端が溶融した後固化し、電極及び他の金属含有粒子と接合していない
(15)接続構造体Bにおける接続信頼性
上記(13)の評価で得られた接続構造体Bを、冷熱衝撃試験機(エスペック社製:TSA−101S−W)に投入し、最低温度−40℃で保持時間30分、最高温度200℃で保持時間30分の処理条件を1サイクルとして3000サイクル後にせん断強度試験機(レスカ社製:STR−1000)で接合強度を測定した。接続信頼性を下記の基準で判定した。
[接続信頼性の判定基準]
○○○:接合強度が50MPa以上
○○:接合強度が40MPaを超え、50MPa以下
○:接合強度が30MPaを超え、40MPa以下
△:接合強度が20MPaを超え、30MPa以下
×:接合強度が20MPa以下
(16)導通検査用部材の接触抵抗値
シリコーン系共重合体10重量部、得られた金属含有粒子90重量部、エポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製、「KBE−303」)1重量部及びイソプロピルアルコール36重量部を配合し、ホモディスパーを用いて1000rpmで20分撹拌させた後、シンキー社製「練太郎ARE250」を用いて脱泡することで、金属含有粒子とバインダーとを含む導電材料を調製した。
上記のシリコーン系共重合体は、次の方法で重合した。内容量2Lの金属混練機内に4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デグサ社製)162g(628mmol)、片末端アミノ基変性ポリジメチルシロキサン(モメンティブ社製「TSF4709」)(分子量10000)900g(90mmol)を入れ、70〜90℃で溶解後、撹拌を2時間行った。その後、ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)65g(625mmol)をゆっくり加え、30分混練し、続けて未反応のネオペンチルグリコールを減圧除去した。得られたシリコーン系共重合体は20重量%になるようにイソプロピルアルコールに溶解させて使用した。なお、イソシアネート基の消失はIRスペクトルにて確認した。得られたシリコーン系共重合体において、シリコーン含有量は80重量%、重量平均分子量は25000であり、SP値は7.8、極性基を有する構造(ポリウレタン)の繰り返し単位のSP値は10であった。
次に、導通検査用部材の基材(絶縁材料により形成されたシート状の基材)として、シリコーンゴムを準備した。シリコーンゴムのサイズは、横幅25mm、縦幅25mm及び厚み1mmである。シリコーンゴムには、レーザー加工で形成した直径0.5mmの円柱状の貫通孔が縦20個及び横20個で総数400個形成されている。
上記導電材料を、貫通孔を有するシリコーンゴム上にナイフコーターを用いて塗工し、貫通孔に導電材料を充填した。次に、導電材料が貫通孔に充填されたシリコーンゴムをオーブンにて50℃で10分間乾燥した後、更に続けて100℃で20分間乾燥し、厚さ1mmの導通検査用部材を得た。
得られた導通検査用部材の接触抵抗値は、接触抵抗測定システム(ファクトケイ社製「MS7500」)を用いて測定した。接触抵抗測定は、直径0.5mmの白金プローブにて荷重15gfで得られた導通検査用部材の導電部に垂直方向から加圧した。その際に、低抵抗計(鶴賀電機社製「MODEL3566」)で5Vを印加し、接触抵抗値を測定した。5か所の導電部を測定した接触接続抵抗値の平均値を算出した。接触抵抗値を下記の基準で判定した。
[接触抵抗値の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50.0mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が50.0mΩを超え、100.0mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が100.0mΩを超え、500.0mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が500.0mΩを超える
(17)導通検査用部材の繰り返し信頼性試験
上記(16)導通検査用部材の接触抵抗値の評価の導通検査用部材を用意した。
得られた導通検査用部材の繰り返し信頼性試験及び接触抵抗値は、接触抵抗測定システム(ファクトケイ社製「MS7500」)を用いて測定した。繰り返し信頼性試験は、直径0.5mmの白金プローブにて荷重15gfで得られたプローブシートの導電部に垂直方向から1000回繰り返し加圧した。1000回繰り返し加圧した後に、低抵抗計(鶴賀電機社製「MODEL3566」)で5Vを印加し、接触抵抗値を測定した。5か所の導電部を同様に測定した接触抵抗値の平均値を算出した。接触抵抗値を下記の基準で判定した。
[繰り返し加圧後の接触抵抗値の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が100.0mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が100.0mΩを超え、500.0mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が500.0mΩを超え、1000.0mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が1000.0mΩを超える
組成及び結果を表1〜5に示す。
なお、凸部及び突起における球状は、球の一部の形状を含む。なお、比較例1,2では、400℃まで加熱しても、突起の先端が溶融しないことを確認した。