JPWO2017159425A1 - 重ねレーザ溶接継手、該溶接継手の製造方法および自動車用骨格部品 - Google Patents
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Abstract
Description
+√(2Ra−a2)≧X>1.5 ただし、R≧2(単位:mm)、a:溶接可能な間隙量
また、特許文献2では、折り曲げ部、および該折り曲げ部に続くフランジを有する一の鋼板と、他の一または複数の鋼板とを前記フランジで重ね合わせ、該重ね合わせ部に、第1のレーザ溶接を行って第1のレーザ溶接部を形成し、該第1のレーザ溶接部の温度がMf点未満に低下した後に、形成された前記第1のレーザ溶接部に関して折り曲げ部の反対側となる第1のレーザ溶接部の近傍の領域に、第2のレーザ溶接を行って第2のレーザ溶接部を形成するとともに、該第2のレーザ溶接により第1のレーザ溶接部の熱影響部を焼き戻し処理して当該熱影響部の硬さを第2のレーザ溶接部の熱影響部の硬さの90%以下とすることによってレーザ溶接構造部材を製造することを特徴とするレーザ溶接構造部材の製造方法が開示されている。
[1]二つの鋼板を有し、
前記二つの鋼板が積層された状態で溶接接合されて形成された溶接部で、その表面が略C字形状である溶接部を複数個配列した状態で有する重ねレーザ溶接継手であって、
前記溶接部の夫々は、配列方向に延びている第1線状部と、該第1線状部の両端夫々に形成された表面が半円形状である第2線状部と、からなり、
前記半円形状の半径R(mm)と板厚がより大きい方の鋼板の板厚t(mm)(前記二つの鋼板が同じ板厚を有する場合は、前記同じ板厚を前記板厚tとする)とが式(1)を満たし、
前記二つの鋼板間の隙間G(mm)と前記板厚tとが式(2)を満たし、
隣接する前記溶接部間のピッチλ(mm)に対する、各溶接部における前記第1線状部と前記第2線状部との長さの和である溶接長l(mm)の比:l/λが式(3)を満たし、
前記板厚tが式(4)を満たし、
前記二つの鋼板の接触部の端部と溶接部との間隔X(mm)が式(5)を満たし、
前記板厚tに対する溶接部の幅W(mm)の比:W/tが式(6)を満たし、
前記二つの鋼板のうち少なくとも一つの鋼板は、
質量%で、
C:0.07%超え0.25%以下、
P+S:0.03%未満、
Mn:1.8%以上3.0%以下、
Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
引張強さTSが980MPa以上である重ねレーザ溶接継手。
0<R≦1.5t ・・・(1)
G≦0.25t ・・・(2)
0.4≦l/λ<0.7 ・・・(3)
t≦4.0mm ・・・(4)
2t≦X≦4t ・・・(5)
0.3≦W/t≦1.0 ・・・(6)
[2]前記[1]に記載の重ねレーザ溶接継手の製造方法であって、
二つに鋼板を重ねて積層し、
積層された前記二つの鋼板の表面に対してレーザを照射する片側溶接を行う、重ねレーザ溶接継手の製造方法。
[3]前記二つの鋼板のうち、板厚がより大きい方の鋼板の側からレーザ溶接を行う前記[2]に記載の重ねレーザ溶接継手の製造方法。
[4]前記[1]に記載の重ねレーザ溶接継手を有する自動車用骨格部品。
本発明の自動車用骨格部品は、以下の重ねレーザ溶接継手を成形して得られる。本発明の自動車用骨格部品は、センターピラーに適用することが好ましい。センターピラーでは、剥離強度を確保することが重要であり、本発明の自動車用骨格部品を適用したセンターピラーは、十分な剥離強度を有する。
本発明の重ねレーザ溶接継手1は、少なくとも二つの鋼板が積層されている。図1は、本発明の重ねレーザ溶接継手1の一例を示す斜視図である。図1では、断面形状が略ハット形状の鋼板2(フレーム部品)のフランジ部2bと、該フランジ部2bに対向して配置される他のフレーム部品またはパネル形状の鋼板3とが溶接されて閉断面を構成する重ねレーザ溶接継手1を示す。この重ねレーザ溶接継手1を成形して自動車用骨格部品が得られる。
0<R≦1.5t ・・・(1)
また、図3に示すように、二つの鋼板2、3間の隙間G(mm)と板厚がより大きい方の鋼板の板厚tとについて、以下の式(2)を満たす。
G≦0.25t ・・・(2)
また、図2に示す、隣接する溶接部4間のピッチλ(mm)と、各溶接部4の長さ、すなわち各溶接部4における第1線状部4aと第2線状部4bとの全長さの和である溶接長l(mm)とについて、l/λが以下の式(3)を満たす。なお、ピッチλは、隣接する溶接部4の長手方向の中心間の距離である。
0.4≦l/λ<0.7 ・・・(3)
また、図3に示すように、鋼板2、3のうち板厚がより大きい方向の鋼板の板厚tは、以下の式(4)を満たす。
t≦4.0mm ・・・(4)
また、図2、3に示す、二つの鋼板2、3の接触部の端部(図中、符号0参照)と溶接部4との間隔X(mm)は、以下の式(5)を満たす。
2t≦X≦4t ・・・(5)
また、図3に示す、板厚tと、溶接部4の幅W(mm)とについて、W/tが式(6)を満たす。
0.3≦W/t≦1.0 ・・・(6)
本発明の重ねレーザ溶接継手1では、上記の式(1)および(2)を満たすように精密に調整するからこそ、十分な剥離強度を確保すると共に、熱歪による変形を低減させて寸法精度を向上させることができる。さらに、上記の式(3)〜(6)を満たすように精密に調整することで、十分な剥離強度を確保すると共に、熱歪による変形を低減させて寸法精度をより向上させることができる。
前述したように、t(mm)は、二つの鋼板のうち、板厚がより大きい方の鋼板の板厚であり、二つの鋼板2、3が同じ板厚を有する場合は、その同じ板厚を板厚tとする。本発明では、溶接部4の第2線状部4bの形状を特定の半円形状とし、溶接開始部、終了部への応力集中を避けることができる。溶接部4の第2線状部4bの半円形状の半径Rが1.5tよりも大きいと、溶接部4の長さのうち直線部分の割合が少なくなるため、所望の剥離強度が得られない。一方、R(mm)がどれほど小さくても、溶接部4に第2線状部4bとして半円形状が形成されていれば、単純な直線形状の溶接部よりも高剥離強度にすることができる。そのため、Rは、0超え1.5t以下とする。好ましくは、Rは、0.5t以上1.2t以下である。
鋼板間の隙間(板隙)G(mm)が0.25tより大きいと、溶け落ちが発生してしまい、所望の剥離強度、せん断強度を得られない。そのため、Gは0.25t以下とする。好ましくは、Gは、0.1t以上0.2t以下である。
ピッチλ(mm)に対する1箇所当たりの溶接長l(mm)の比(l/λ)がより小さい方が、熱歪による変形を評価するための指標となる角変形(縦壁部2aとフランジ部2bのなす角の溶接前後の変化量)の抑制の観点からは有利である。l/λが0.7以上となると、この熱歪による変形の抑制効果を十分に得にくくなる。そのため、l/λは0.7未満とする。一方で、l/λが0.4未満となると、最低限必要な溶接長lを確保し、十分なはく離強度を得ることができない場合がある。そのため、l/λは0.4以上とする。以上より、l/λは、0.4以上0.7未満とする。好ましくは、l/λは、0.45以上0.65以下であり、より好ましくは、0.50以上0.60以下である。
板厚がより大きい方の鋼板の板厚tについては、t≦4.0mmとする。tが4.0mm超えであると、自動車用骨格部品の成型が難しくなる。そのため、t≦4.0mmである。好ましくは、tは、1.0mm以上2.5mm以下である。
フランジ部とそれ以外の部分からなる鋼板2とパネル形状の鋼板3との接触部の閉断面側の端部0に溶接部4をより近づけて、間隔X(mm)が2tよりも小さくなると、L字引張試験の際に、溶接部4部分から破断する場合があり、所望の剥離強度を得にくくなる。そのため、Xは2t以上とする。一方、フランジ部とそれ以外の部分からなる鋼板2と、パネル形状の鋼板3との閉断面側の接触部の端部0から溶接部4をより遠ざけて、間隔Xが4t超えとなると、溶接部4にかかるモーメントが大きくなり、所望の剥離強度を得にくくなる。そのため、Xは4t以下とする。以上より、間隔Xは2t以上4t以下とする。間隔Xは、好ましくは2.5t以上3.5t以下であり、より好ましくは、2.75t以上3.25t以下である。
板厚tに対する溶接部4の幅W(mm)の比:W/tが0.3未満であると、溶接部4の強度が不足して引張試験中に溶接部4で破断する場合があり、十分な剥離強度を得にくくなる。そのため、W/tは0.3以上とする。一方、板厚tに対する溶接部4の幅Wの比:W/tが1.0を超えると、角変形が大きくなって、寸法精度が低下する場合があり、部品外観の点でも不良と判断される場合がある。そのため、W/tは1.0以下とする。以上より、W/tは、0.3以上1.0以下とする。好ましくは、W/tは、0.4以上0.9以下であり、より好ましくは、0.5以上0.8以下である。
本発明の重ねレーザ溶接継手1の鋼板は、質量%で、C:0.07%超え0.25%以下、P+S:0.03%未満、Mn:1.8%以上3.0%以下、Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものとすることができる。以下、各成分組成における%とは、質量%のことを指す。
C含有量が0.07%以下であると、析出強化の効果を得ることができなくなる場合がある。一方、C含有量が0.25%超えであると、粗大な炭化物の析出を招き、所望の高強度、加工性を確保できなくなる場合がある。そのため、C含有量は0.07%超え0.25%以下とする。
P含有量とS含有量の合計量(P+S)が0.03%以上であると、延性、靱性が低下し、所望の高強度、加工性を確保できなくなる場合がある。そのため、P含有量とS含有量の合計量(P+S)は0.03%未満とする。
Mn含有量が1.8%未満であると、十分な焼入れ性が確保できず粗大な炭化物が析出してしまう場合がある。一方、Mn含有量が3.0%以下であると、粒界脆化感受性が増加して靱性、耐低温割れ性が劣化する場合がある。そのため、Mn含有量は1.8%以上3.0%以下とする。Mn含有量は2.5%以下であることが好ましい。
Si含有量が1.2%以下であると、固溶して鋼の強度を増加させる効果が十分に得られない場合がある。一方、Si含有量が1.8%超えであると、溶接熱影響部の硬化が大きくなり、溶接熱影響部の靱性、耐低温割れ性が劣化する場合がある。そのため、Si含有量は1.2%超え1.8%以下とする。Si含有量は1.5%以下であることが好ましい。
上記成分組成以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、Al:0.015〜0.050%、N:0.002〜0.005%等が挙げられる。
次に、上述した本発明の重ねレーザ溶接継手1の製造方法について説明する。
板厚が1.2mm、1.6mm、1.8mm、4.2mmである鋼板を用い、図5に示すように、L字の断面形状に曲げ加工を施した。L字の鋼板8は、長辺8aと短辺8bを有しており、長辺8aが重ねレーザ溶接継手1鋼板2の縦壁部2aに相当し、短辺8bがフランジ部2bに相当している(図1再参照)。そして、同じ鋼種・同じ板厚のL字の鋼板8を、短辺8b同士で重ね合わせた後、重ね合わせた部分を長手方向に断続的にレーザ溶接して溶接ビード(溶接部4)を形成し、試験片を作製した。L字の鋼板8は、幅100mm、長辺8aの長さ100mm、短辺8bの長さ30mmである。
2 鋼板(フランジ部とそれ以外の部分からなる鋼板)
2a 縦壁部
2b フランジ部
3 鋼板(パネル形状の鋼板)
4 溶接部
4a 第1線状部
4b 第2線状部
8 L字型の鋼板
8a 長辺
8b 短辺
L レーザ
Claims (4)
- 二つの鋼板を有し、
前記二つの鋼板が積層された状態で溶接接合されて形成された溶接部で、その表面が略C字形状である溶接部を複数個配列した状態で有する重ねレーザ溶接継手であって、
前記溶接部の夫々は、配列方向に延びている第1線状部と、該第1線状部の両端夫々に形成された表面が半円形状である第2線状部と、からなり、
前記半円形状の半径R(mm)と板厚がより大きい方の鋼板の板厚t(mm)(前記二つの鋼板が同じ板厚を有する場合は、前記同じ板厚を前記板厚tとする)とが式(1)を満たし、
前記二つの鋼板間の隙間G(mm)と前記板厚tとが式(2)を満たし、
隣接する前記溶接部間のピッチλ(mm)に対する、各溶接部における前記第1線状部と前記第2線状部との長さの和である溶接長l(mm)の比:l/λが式(3)を満たし、
前記板厚tが式(4)を満たし、
前記二つの鋼板の接触部の端部と溶接部との間隔X(mm)が式(5)を満たし、
前記板厚tに対する溶接部の幅W(mm)の比:W/tが式(6)を満たし、
前記二つの鋼板のうち少なくとも一つの鋼板は、
質量%で、
C:0.07%超え0.25%以下、
P+S:0.03%未満、
Mn:1.8%以上3.0%以下、
Si:1.2%超え1.8%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
引張強さTSが980MPa以上である重ねレーザ溶接継手。
0<R≦1.5t ・・・(1)
G≦0.25t ・・・(2)
0.4≦l/λ<0.7 ・・・(3)
t≦4.0mm ・・・(4)
2t≦X≦4t ・・・(5)
0.3≦W/t≦1.0 ・・・(6) - 請求項1に記載の重ねレーザ溶接継手の製造方法であって、
二つに鋼板を重ねて積層し、
積層された前記二つの鋼板の表面に対してレーザを照射する片側溶接を行う、重ねレーザ溶接継手の製造方法。 - 前記二つの鋼板のうち、板厚がより大きい方の鋼板の側からレーザ溶接を行う請求項2に記載の重ねレーザ溶接継手の製造方法。
- 請求項1に記載の重ねレーザ溶接継手を有する自動車用骨格部品。
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