JPWO2017138119A1 - 目標追尾装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この目標追尾装置では、ネットワークの通信容量を低減する目的で、自己が推定した航跡を融合航跡と融合することで、その融合航跡の誤差を大きく低減できるか否かを判定し、その融合航跡の誤差を大きく低減できると判断した場合に限り、自己が推定した航跡を他の目標追尾装置に送信するようにしている。
図1はこの発明の実施の形態1による目標追尾装置を示す構成図であり、図2はこの発明の実施の形態1による目標追尾装置のハードウェア構成図である。
図1では、M(Mは2以上の整数)台の目標追尾装置1−1〜1−Mがネットワーク2に接続されている例を示している。目標追尾装置1−1〜1−Mの内部構成は同一である。
図1及び図2において、センサ11としては、例えば、レーダ、光学カメラ、赤外カメラなどが想定され、センサ11は観測対象の目標の位置を観測して、その位置の観測値であるセンサ観測値を追尾処理部12に出力する。
図1では、目標追尾装置1−1〜1−Mがセンサ11を実装している例を示しているが、センサ11は、目標追尾装置1−1〜1−Mの外部に設けられていてもよい。
センサ航跡記憶部13は例えば図2の記憶処理回路41で実現されるものであり、センサ追尾処理部14により推定されセンサ航跡及びセンサ観測値である目標相関済みセンサ観測値を記憶している。
また、センサ追尾処理部14はセンサ観測値が示す位置とセンサ航跡が示す位置とが相関していると判定する場合、そのセンサ観測値を目標相関済みセンサ観測値としてセンサ航跡記憶部13に格納するとともに、その目標相関済みセンサ観測値を再追尾処理部16及び旋回判定部17に出力する処理を実施する。
さらに、センサ追尾処理部14はその目標相関済みセンサ観測値とセンサ航跡記憶部13に記憶されている過去の目標相関済みセンサ観測値とから、目標の現時点における位置や速度などの状態ベクトルを有するセンサ航跡を推定し、センサ航跡記憶部13に記憶されているセンサ航跡を、その推定したセンサ航跡に置き換える処理を実施する。
再追尾処理部16は例えば図2の再追尾処理回路43で実現されるものであり、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値が示す位置と、部分航跡記憶部15に記憶されている部分航跡が示す位置とが相関しているか否かを判定する処理を実施する。
また、再追尾処理部16はセンサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値が示す位置とセンサ航跡が示す位置とが相関していると判定する場合、その目標相関済みセンサ観測値を部分航跡記憶部15に格納するとともに、その目標相関済みセンサ観測値と部分航跡記憶部15に記憶されている過去の目標相関済みセンサ観測値とから、目標の現時点における位置や速度などの状態ベクトルを有する部分航跡を推定する処理を実施する。
さらに、再追尾処理部16は部分航跡記憶部15に記憶されている部分航跡を、その推定した部分航跡に置き換えるとともに、その推定した部分航跡に対して、旋回判定部17の判定結果である目標の旋回有無を示す旋回フラグと、目標の旋回の度合いを示す旋回レベルを付加し、旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を送信判定部19に出力する処理を実施する。
融合航跡記憶部18は例えば図2の記憶処理回路41で実現されるものであり、目標の位置の情報を含む融合航跡として、航跡融合部21により推定された融合航跡を記憶している。
このとき、送信判定部19は、その部分航跡に付されている旋回フラグが、目標が旋回していない旨を示している場合より、目標が旋回している旨を示している場合の方が、その旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を送信する旨を示す判定結果を出す頻度を高めるようにする。
また、送受信部20は、ネットワーク2を介して、他の目標追尾装置1−Mから送信された部分航跡を受信すると、その部分航跡を航跡融合部21に出力する処理を実施する。
相関判定部22は例えば図2の相関判定処理回路47で実現されるものであり、送受信部20から出力された旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡が示す位置と融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡が示す位置が相関しているか否かを判定する処理を実施する。
融合追尾処理部23は例えば図2の融合追尾処理回路48で実現されるものであり、相関判定部22により相関していると判定された場合、送受信部20から出力された旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡と融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡から、目標の現時点における位置や速度などの状態ベクトルを有する融合航跡を推定し、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡を、その推定した融合航跡に置き換える処理を実施する。
また、融合追尾処理部23は相関判定部22により相関していないと判定された場合、送受信部20から出力された旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を新たな融合航跡として融合航跡記憶部18に記録する処理を実施する。
ここで、記憶処理回路41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
また、センサ追尾処理回路42、再追尾処理回路43、旋回判定処理回路44、送信判定処理回路45、送受信処理回路46、相関判定処理回路47、融合追尾処理回路48及び表示処理回路49は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものが該当する。
ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
図3は目標追尾装置がソフトウェアやファームウェアなどで実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
目標追尾装置がソフトウェアやファームウェアなどで実現される場合、センサ航跡記憶部13、部分航跡記憶部15及び融合航跡記憶部18をコンピュータのメモリ61上に構成するとともに、センサ追尾処理部14、再追尾処理部16、旋回判定部17、送信判定部19、送受信部20、相関判定部22、融合追尾処理部23及び表示処理部24の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムをメモリ61に格納し、コンピュータのプロセッサ62がメモリ61に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
例えば、センサ11、送受信部20及び表示処理部24を専用のハードウェアで実現し、センサ航跡記憶部13、センサ追尾処理部14、部分航跡記憶部15、再追尾処理部16、旋回判定部17、融合航跡記憶部18、送信判定部19、相関判定部22及び融合追尾処理部23をソフトウェアやファームウェアなどで実現することが可能である。ただし、専用のハードウェアとソフトウェア等の組み合わせは任意である。
図4において、旋回開始判定処理部71はセンサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値と、旋回フラグデータベース(以下、「旋回フラグDB」)72に記憶されている目標の旋回の有無を示す旋回フラグとを用いて、旋回の開始を判定する旋回開始判定処理を実施して、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグを更新する。
旋回フラグDB72は目標の旋回の有無を示す旋回フラグを記憶するメモリである。旋回フラグDB72に記憶される旋回フラグの初期値は“非旋回”を示すものであるものとする。
旋回終了判定処理部73はセンサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値と、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグとを用いて、旋回の終了を判定する旋回終了判定処理を実施して、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグを更新する。
旋回レベル算出処理部75は旋回フラグ出力処理部74から出力された旋回フラグが、目標が旋回している旨を示している場合、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値から、目標の旋回の度合いを示す旋回レベルを算出し、その旋回レベルを再追尾処理部16に出力する処理を実施する。
図5において、旋回開始判定用観測値データベース(以下、「旋回開始判定用観測値DB」と称する)71aはセンサ追尾処理部14から出力された過去Nthサンプル分の目標相関済みセンサ観測値を蓄積するメモリである。
速度データベース(以下、「速度DB」と称する)71bは過去Nthサンプル分の平滑速度を蓄積するメモリである。
旋回開始判定用平滑航跡データベース(以下、「旋回開始判定用平滑航跡DB」と称する)71cは過去Nthサンプル分の平滑航跡を蓄積するメモリである。
直線軌道推定処理部71eは目標の運動状態が等速直線運動であると仮定した上で、例えば、線形最小二乗法やカルマンフィルタなどを用いて、旋回開始判定用観測値DB71aに蓄積されている過去Nthサンプル分の目標相関済みセンサ観測値から、目標の平滑位置と平滑速度を算出するとともに、その平滑位置誤差共分散行列と平滑速度誤差共分散行列を算出する処理を実施する。
また、直線軌道推定処理部71eは算出した平滑速度を速度DB71bに格納する。
また、速度再平滑処理部71fは直線軌道推定処理部71eにより算出された平滑速度及び平滑誤差共分散行列の速度項を再平滑速度及び再平滑速度誤差分散行列で置き換える処理等を実施することで平滑航跡を算出し、その平滑航跡を旋回開始判定用平滑航跡DB71cに格納する。
マハラノビス平方距離算出処理部71hはNステップ予測処理部71gにより算出された予測航跡が示す位置と、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値が示す位置とから、その予測航跡が示す位置と目標相関済みセンサ観測値が示す位置とのマハラノビス平方距離を算出する処理を実施する。
閾値判定処理部71jは時間方向平滑処理部71iにより時間方向に平滑化されたマハラノビス平方距離と事前に設定された閾値を比較し、そのマハラノビス平方距離が閾値より大きければ、旋回が開始していると判定して、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグを“旋回”に設定し、そのマハラノビス平方距離が閾値以下であれば、旋回が開始していないと判定して、旋回フラグDB72に記憶されている“非旋回”の旋回フラグを維持する処理を実施する。
図6において、旋回終了判定用観測値データベース(以下、「旋回終了判定用観測値DB」と称する)73aはセンサ追尾処理部14から出力された過去Nthサンプル分の目標相関済みセンサ観測値を蓄積するメモリである。
旋回終了判定用平滑航跡データベース(以下、「旋回終了判定用平滑航跡DB」と称する)73bは過去Nthサンプル分の平滑航跡を蓄積するメモリである。
初期化処理部73cは旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“非旋回”である場合、旋回終了判定用観測値DB73a及び旋回終了判定用平滑航跡DB73bの蓄積データ、即ち、目標相関済みセンサ観測値及び平滑航跡を削除して、旋回終了判定処理を終了する。一方、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“旋回”である場合、以降の旋回終了判定処理の実施を許可する。
また、軌道推定処理部73dは算出した平滑航跡を旋回終了判定用平滑航跡DB73bに格納する。
マハラノビス平方距離算出処理部73fはNステップ予測処理部73eにより算出された予測航跡が示す位置と、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値が示す位置とから、その予測航跡が示す位置と目標相関済みセンサ観測値が示す位置とのマハラノビス平方距離を算出する処理を実施する。
閾値判定処理部73hは時間方向平滑処理部73gにより時間方向に平滑化されたマハラノビス平方距離と事前に設定された閾値を比較し、そのマハラノビス平方距離が閾値以下であれば、旋回が終了していると判定して、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグを“非旋回”に設定し、そのマハラノビス平方距離が閾値より大きければ、旋回が終了していないと判定して、旋回フラグDB72に記憶されている“旋回”の旋回フラグを維持する処理を実施する。
この場合、差分値が負となる回数を記憶する差分値カウンタデータベース(以下、「差分値カウンタDB」と称する)73iを備え、閾値判定処理部73hが差分値カウンタDB73iに記憶されている回数を更新する。
図7において、初期化処理部75aは旋回フラグ出力処理部74から出力された旋回フラグが“非旋回”であれば、旋回レベル算出用観測値データベース(以下、「旋回レベル算出用観測値DB」と称する)75bに蓄積されている目標相関済みセンサ観測値を削除し、その旋回フラグが“旋回”であれば、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値を旋回レベル算出用観測値DB75bに格納する処理を実施する。
旋回レベル算出用観測値DB75bはセンサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値を蓄積するメモリである。
旋回軌道推定処理部75cは目標の運動状態が等加速度運動であると仮定した上で、例えば、線形最小二乗法やカルマンフィルタなどを用いて、旋回レベル算出用観測値DB75bに蓄積されている目標相関済みセンサ観測値から目標の加速度を算出し、目標の加速度を旋回レベルに換算して、その旋回レベルを再追尾処理部16に出力する処理を実施する。
図8において、パラメータ変更処理部81は再追尾処理部16から出力された部分航跡に付いている旋回フラグ及び旋回レベルに応じて、送信判断用のシステム雑音パラメータ及び送信判断用の閾値を変更する処理を実施する。
融合航跡予測処理部82は再追尾処理部16から出力された部分航跡の時刻と融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡の時刻との時間差を算出し、その時間差とパラメータ変更処理部81により変更されたシステム雑音パラメータを用いて、送信判断用の予測誤差共分散行列を算出する処理を実施する。
ここで、融合航跡誤差は、融合航跡の誤差共分散行列のスペクトルノルムである。更新済み融合航跡誤差は、送信判断用の予測誤差共分散行列を元に部分航跡で更新した後の融合航跡の誤差共分散行列のスペクトルノルムである。なお、航跡誤差を誤差共分散行列のスペクトルノルムで定義しているが、誤差共分散行列のトレースノルムでもよいし、行列式でもよい。ノルムの定義の方法はユーザが事前に決める。
また、誤差共分散行列は、位置成分のみの誤差共分散行列でもよいし、速度成分のみの誤差共分散行列でもよい。また、誤差共分散行列は、直交座標で定義することもできるし、極座標で定義することもできる。
このとき、判定処理部84は、その部分航跡に付されている旋回フラグが、目標が旋回していない旨を示している場合より、目標が旋回している旨を示している場合の方が、その旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡の送信を許可する判定結果を出す頻度を高めるようにする。
この実施の形態1では、M台の目標追尾装置1−1〜1−Mがネットワーク2に接続されている例を想定している。目標追尾装置1−1〜1−Mの処理内容は同一であるため、ここでは、代表として、目標追尾装置1−1の処理内容を説明する。
センサ11は、観測対象の目標の位置を観測して、その位置の観測値であるセンサ観測値を追尾処理部12に出力する。
即ち、センサ追尾処理部14は、センサ11から出力されたセンサ観測値が、過去に推定しているセンサ航跡に係る目標の位置を観測しているものであるか否かを判定する。
また、センサ追尾処理部14は、例えば、カルマンフィルタなどの公知の追尾アルゴリズムを実行することで、その目標相関済みセンサ観測値とセンサ航跡記憶部13に記憶されている過去の目標相関済みセンサ観測値とから、目標の現時点における位置や速度などの状態ベクトルを有するセンサ航跡を推定する。
センサ追尾処理部14は、センサ航跡を推定すると、センサ航跡記憶部13に記憶されているセンサ航跡を、その推定したセンサ航跡に置き換えることで、センサ航跡記憶部13に記憶されているセンサ航跡を更新する。
以下、旋回判定部17による旋回の判定処理を具体的に説明する。
図9は旋回開始判定処理部71の処理内容を示すフローチャートである。
以下、図9を参照しながら、旋回開始判定処理部71の処理内容を具体的に説明する。
初期化処理部71dは、旋回開始判定処理の初期化処理を実施する(図9のステップST1)。
即ち、初期化処理部71dは、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“旋回”である場合、旋回開始判定用観測値DB71a、速度DB71b及び旋回開始判定用平滑航跡DB71cの蓄積データである目標相関済みセンサ観測値、平滑速度及び平滑航跡を削除して、旋回開始判定処理を終了する。
初期化処理部71dは、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“非旋回”である場合、以降の旋回開始判定処理の実施を許可する。即ち、直線軌道推定処理部71e、速度再平滑処理部71f、Nステップ予測処理部71g、マハラノビス平方距離算出処理部71h、時間方向平滑処理部71i及び閾値判定処理部71jの動作を許可する。
即ち、直線軌道推定処理部71eは、目標の運動状態が等速直線運動であると仮定した上で、例えば、線形最小二乗法やカルマンフィルタなどを用いて、旋回開始判定用観測値DB71aに蓄積されている過去Nthサンプル分の目標相関済みセンサ観測値から、目標の平滑位置と平滑速度を算出するとともに、その平滑位置誤差共分散行列と平滑速度誤差共分散行列を算出するという直線軌道推定処理を実施する。
例えば、目標の位置を直交座標系のX,Y,Zで定義する場合、線形最小二乗法によって、各軸に対する平滑位置と平滑速度を算出する。
以下、X軸を例にとって、直線軌道推定処理部71eの算出処理を具体的に説明する。
ここでは、電子出願の関係上、明細書の文章中では、文字の上に“^”の記号を付することができないため、pハットx,kのように表記している。同様に、文字の上に“・”と“^”の記号を付することができないため、pドットハットx,kのように表記している。
式(1)〜(5)において、下付添え字のkはセンサ11の各サンプリング時刻tk(k=1,2,・・・)におけるデータ、上付き添え字のkはサンプリング時刻tkまでのデータの集合を示している。Tはベクトルもしくは行列の転置を意味する。
直線軌道推定処理部71eは、Y軸及びZ軸に対しても、上記と同様の手順で平滑位置と平滑速度を算出する。直線軌道推定処理部71eは、算出した平滑速度を速度DB71bに格納する。
ここで、A[i,j]は行列Aのi行j列目の要素を意味する。また、diag[a b c]は要素a,b,cを対角要素に持つ行列を意味する。
なお、直線軌道推定処理部71eは、旋回開始判定用観測値DB71aに蓄積されている目標相関済みセンサ観測値の数が、Nthサンプル未満である場合(ステップST2:NOの場合)、直線軌道推定処理を実施しない。この場合、ステップST11の処理に移行する。
即ち、速度再平滑処理部71fは、目標の運動状態が等速直線運動であると仮定した上で、例えば、線形最小二乗法やカルマンフィルタなどを用いて、速度DB71bに蓄積されている過去Nthサンプル分の平滑速度から、再平滑化した速度である再平滑速度と、その再平滑速度誤差分散行列を算出するという速度再平滑処理を実施する。
また、速度再平滑処理部71fは、直線軌道推定処理部71eにより算出された平滑速度及び平滑誤差共分散行列の速度項を再平滑速度及び再平滑速度誤差分散行列で置き換える処理等を実施することで平滑航跡を算出し、その平滑航跡を旋回開始判定用平滑航跡DB71cに格納する。
以下、X軸を例にとって、速度再平滑処理部71fの算出処理を具体的に説明する。
Nステップ予測処理部71gは、最も古い平滑航跡の時刻tbが、Npサンプル前の時刻tk−Np+1と同じ時刻又はNpサンプル前の時刻tk−Np+1より古い時刻であれば(ステップST5:YESの場合)、旋回開始判定用平滑航跡DB71cに蓄積されている過去Nthサンプル分の平滑航跡から、目標の現時点における位置や速度などの状態ベクトルを有する予測航跡を算出するというNステップ予測処理を実施する(ステップST6)。
例えば、等速直線運動モデルにしたがって、旋回開始判定用平滑航跡DB71cに蓄積されているNpサンプル前の平滑航跡から直線外挿した予測ベクトルを算出する。
なお、Nステップ予測処理部71gは、旋回開始判定用平滑航跡DB71cに蓄積されている平滑航跡の中で、最も古い平滑航跡の時刻tbが、Npサンプル前の時刻tk−Np+1より新しい時刻であれば(ステップST5:NOの場合)、Npサンプル前の平滑航跡が旋回開始判定用平滑航跡DB71cに蓄積されていないため、Nステップ予測処理を実施しない。この場合、ステップST11の処理に移行する。
即ち、マハラノビス平方距離算出処理部71hは、下記の式(24)に示すように、最新のサンプリング時刻tkにおける予測航跡の予測ベクトルxハットk|k−Npと、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値が示す位置zkとの残差rkを算出する。
マハラノビス平方距離算出処理部71hは、下記の式(27)に示すように、残差共分散行列Skを算出し、その残差共分散行列Skを用いて、下記の式(28)に示すように、マハラノビス平方距離εv(k)を算出する。
即ち、時間方向平滑処理部71iは、下記の式(29)に示すように、そのマハラノビス平方距離εv(k)を時間方向に平滑化する。
式(29)において、εav(k)はサンプリング時刻tkにおける時間方向平滑値、αは事前に設定された係数である。
閾値判定処理部71jは、その時間方向平滑値εav(k)が閾値Thturnbgnより大きく、式(31)が成立する場合(ステップST9:YESの場合)、旋回が開始していると判定して、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグを“旋回”に設定する(ステップST10)。
閾値判定処理部71jは、その時間方向平滑値εav(k)が閾値Thturnbgn以下であり、式(31)が成立しない場合(ステップST9:NOの場合)、旋回が開始していないと判定して、旋回フラグDB72に記憶されている“非旋回”の旋回フラグを維持する(ステップST11)。
閾値判定処理部71jは、直線軌道推定処理部71eにより直線軌道推定処理が実施されない場合や、Nステップ予測処理部71gによりNステップ予測処理が実施されない場合も、旋回フラグDB72に記憶されている“非旋回”の旋回フラグを維持する(ステップST11)。
図10は旋回終了判定処理部73の処理内容を示すフローチャートである。
以下、図10を参照しながら、旋回終了判定処理部73の処理内容を具体的に説明する。
初期化処理部73cは、旋回終了判定処理の初期化処理を実施する(図10のステップST21)。
即ち、初期化処理部73cは、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“非旋回”である場合、旋回終了判定用観測値DB73a及び旋回終了判定用平滑航跡DB73bの蓄積データである目標相関済みセンサ観測値及び平滑航跡を削除して、旋回終了判定処理を終了する。
初期化処理部73cは、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“旋回”である場合、以降の旋回終了判定処理の実施を許可する。即ち、軌道推定処理部73d、Nステップ予測処理部73e、マハラノビス平方距離算出処理部73f、時間方向平滑処理部73g及び閾値判定処理部73hの動作を許可する。
即ち、軌道推定処理部73dは、目標の運動状態が等加速度運動であると仮定した上で、例えば、線形最小二乗法やカルマンフィルタなどを用いて、旋回終了判定用平滑航跡DBに蓄積されている過去Nthサンプル分の目標相関済みセンサ観測値から、目標の平滑航跡として、目標の平滑位置、平滑速度及び平滑加速度を算出するとともに、その平滑位置誤差共分散行列及び平滑速度誤差共分散行列を算出するという軌道推定処理を実施する。
例えば、目標の位置を直交座標系のX,Y,Zで定義する場合、線形最小二乗法によって、各軸に対する目標の平滑位置、平滑速度及び平滑加速度を算出する。
以下、X軸を例にとって、軌道推定処理部73dの算出処理を具体的に説明する。
ここでは、電子出願の関係上、明細書の文章中では、文字の上に文字の上に“・・”と“^”の記号を付することができないため、pツードットハットx,kのように表記している。
軌道推定処理部73dは、平滑位置、平滑速度及び平滑加速度を平滑航跡として旋回終了判定用平滑航跡DB73bに格納する。
なお、軌道推定処理部73dは、旋回終了判定用観測値DB73aに蓄積されている目標相関済みセンサ観測値の数が、Nthサンプル未満である場合(ステップST22:NOの場合)、軌道推定処理を実施しない。この場合、ステップST30の処理に移行する。
Nステップ予測処理部73eは、最も古い平滑航跡の時刻tbが、Npサンプル前の時刻tk−Np+1と同じ時刻又はNpサンプル前の時刻tk−Np+1より古い時刻であれば(ステップST24:YESの場合)、旋回終了判定用平滑航跡DB73bに蓄積されている過去Nthサンプル分の平滑航跡から、目標の現時点における位置や速度などの状態ベクトルを有する予測航跡を算出するというNステップ予測処理を実施する(ステップST25)。
なお、Nステップ予測処理部73eは、旋回終了判定用平滑航跡DB73bに蓄積されている平滑航跡の中で、最も古い平滑航跡の時刻tbが、Npサンプル前の時刻tk−Np+1より新しい時刻であれば(ステップST24:NOの場合)、Npサンプル前の平滑航跡が旋回終了判定用平滑航跡DB73bに蓄積されていないため、Nステップ予測処理を実施しない。この場合、ステップST30の処理に移行する。
マハラノビス平方距離算出処理部73fにおけるマハラノビス平方距離の算出処理は、図5に示すマハラノビス平方距離算出処理部71hにおけるマハラノビス平方距離の算出処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
時間方向平滑処理部73gにおけるマハラノビス平方距離εv(k)の平滑化処理は、図5に示す時間方向平滑処理部71iにおけるマハラノビス平方距離εv(k)の平滑化処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
閾値判定処理部73hは、その時間方向平滑値εav(k)が閾値Thturnend以下となり、式(36)が成立する場合(ステップST28:YESの場合)、旋回が終了していると判定して、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグを“非旋回”に設定する(ステップST29)。
閾値判定処理部73hは、その時間方向平滑値εav(k)が閾値Thturnbgnより大きく、式(36)が成立しない場合(ステップST28:NOの場合)、旋回が終了していないと判定して、旋回フラグDB72に記憶されている“旋回”の旋回フラグを維持する(ステップST30)。
閾値判定処理部73hは、軌道推定処理部73dにより軌道推定処理が実施されない場合や、Nステップ予測処理部73eによりNステップ予測処理が実施されない場合も、旋回フラグDB72に記憶されている“旋回”の旋回フラグを維持する(ステップST30)。
図11は閾値判定処理部73hの処理内容を示すフローチャートである。以下、図11を参照しながら、閾値判定処理部73hの処理内容を具体的に説明する。
閾値判定処理部73hは、差分値Δεav(k)を算出すると、その差分値Δεav(k)が負であれば(ステップST32:YESの場合)、差分値カウンタDB37iに記録されているカウント値Cを1だけ増やすインクリメント処理を実施する(ステップST33)。そのカウント値Cは、差分値Δεav(k)が負になった回数を示すものであり、差分値カウンタDB37iに記録されているカウント値Cの初期値は0である。
閾値判定処理部73hは、その差分値Δεav(k)が0以上であれば(ステップST32:NOの場合)、差分値カウンタDB37iに記録されているカウント値Cを維持する(ステップST34)。
C>Thcnt (38)
閾値判定処理部73hは、差分値カウンタDB37iに記録されている回数Cが閾値Thcntより多くなり、式(38)が成立する場合(ステップST35:YESの場合)、旋回が終了していると判定して、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグを“非旋回”に設定する(ステップST36)。
また、閾値判定処理部73hは、差分値カウンタDB37iに記録されている回数Cが閾値Thcnt以下であり、式(38)が成立しない場合(ステップST35:NOの場合)、旋回フラグDB72に記憶されている“旋回”の旋回フラグを維持する(ステップST37)。
閾値判定処理部73hは、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグを“非旋回”に設定すると、差分値カウンタDB37iに記録されている回数Cを0に初期化する。
旋回判定部17の旋回レベル算出処理部75は、旋回フラグ出力処理部74から旋回フラグを受けると、その旋回フラグが“旋回”である場合、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値から、目標の旋回の度合いを示す旋回レベルを算出し、その旋回レベルを再追尾処理部16に出力する。
以下、旋回レベル算出処理部75の処理内容を具体的に説明する。
初期化処理部75aは、旋回フラグ出力処理部74から出力された旋回フラグが“旋回”であれば、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値を旋回レベル算出用観測値DB75bに格納する。
旋回軌道推定処理部75cは、X軸、Y軸及びZ軸に対する目標の加速度を算出すると、下記の式(39)のように、加速度の大きさaハットを算出する。
加速度の大きさaハットと旋回レベルは正比例の関係があり、加速度の大きさaハットが大きくなる程、旋回レベルが高くなるものとする。
部分航跡は、基本的には時刻、位置、速度からなる状態ベクトルと、その状態ベクトルの誤差共分散行列で構成されるものであり、他にも目標を識別する目標番号や、センサ11を識別するセンサ番号などの識別番号が付与される。
この識別番号は、例えば、目標を類識別した番号、航空機や衛星などの機体の種別が識別された番号、あるいは、敵であるのか味方であるのかを示す情報としての番号などが考えられる。
部分航跡の状態ベクトルは、センサ観測値の位置を含む状態ベクトルであってもよいし、位置及び速度を含む状態ベクトルであってもよいし、加速度まで含む状態ベクトルであってもよい。
即ち、再追尾処理部16は、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値が、過去に推定している部分航跡に係る目標の位置を観測しているものであるか否かを判定する。
また、再追尾処理部16は、例えば、カルマンフィルタなどの公知の追尾アルゴリズムを実行することで、その目標相関済みセンサ観測値と部分航跡記憶部15に記憶されている過去の目標相関済みセンサ観測値とから、目標の現時点における位置や速度などを含む状態ベクトルを有する部分航跡を推定する。
このとき、再追尾処理部16は、旋回判定部17から出力された旋回フラグに対応するカルマンフィルタを用いる追尾アルゴリズムを実行するようにしてもよい。
例えば、再追尾処理部16は、旋回判定部17から出力された旋回フラグが“非旋回”であれば、等速直線運動モデルに基づくカルマンフィルタによって位置及び速度を含む状態ベクトルを算出し、その旋回フラグが“旋回”であれば、等加速度運動モデルに基づくカルマンフィルタによって位置、速度及び加速度を含む状態ベクトルを算出するようにしてもよい。
再追尾処理部16は、センサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値が示す位置と、部分航跡記憶部15に記憶されている部分航跡が示す位置とが相関していない場合、旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を送信判定部19に出力しない。
このとき、送信判定部19は、その部分航跡に付されている旋回フラグが“非旋回”である場合より、“旋回”である場合の方が、その旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を送信する旨を示す判定結果を出す頻度を高めるようにする。
また、その部分航跡に付されている旋回レベルが高い程、その旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を送信する旨を示す判定結果を出す頻度を高めるようにする。
送信判定部19は、その部分航跡を送信すると判断すると、その部分航跡を送受信部20に出力した後、部分航跡記憶部15に記憶されている当該部分航跡を削除する。
以下、送信判定部19による部分航跡の送信判定処理を具体的に説明する。
送信判断用のシステム雑音パラメータは、目標の運動が想定される運動モデルから逸脱した際の運動誤差を補償するためのパラメータであり、そのシステム雑音パラメータが増加することで、後述する融合航跡の誤差の増加率が上がる。
パラメータ変更処理部81は、その部分航跡に付されている旋回フラグが“非旋回”である場合より、“旋回”である場合の方が、システム雑音パラメータが高くなるように、システム雑音パラメータを変更する。
また、パラメータ変更処理部81は、その部分航跡に付されている旋回フラグが“旋回”である場合、その部分航跡に付されている旋回レベルが高い程、システム雑音パラメータが高くなるように、システム雑音パラメータを変更する。
即ち、融合航跡予測処理部82は、下記の式(40)に示すように、再追尾処理部16から出力された旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡の時刻tk (S)と、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡の時刻tm−1 (F)との時間差ΔTkを算出する。
式(40)において、tk (S)は現サンプリング時刻を示し、上付き添え字の(S)は再追尾処理部16から出力された部分航跡に関わる旨を示す変数である。
また、tm−1 (F)は融合追尾処理部23により融合航跡が推定された時刻を示し、上付き添え字の(F)は融合航跡に関わる旨を示す変数である。
ここで、Φkは状態遷移行列、Q(F)はシステム雑音共分散行列、qx (F)はパラメータ変更処理部81により変更されたX軸におけるシステム雑音パラメータ、qy (F)はパラメータ変更処理部81により変更されたY軸におけるシステム雑音パラメータ、qz (F)はパラメータ変更処理部81により変更されたZ軸におけるシステム雑音パラメータである。
また、Ps,m−1 (F)は融合航跡の誤差共分散行列である。
ここで、図12は送信判定部19における送信判定概念を示す説明図である。
図12において、融合航跡誤差は、再追尾処理部16から出力された部分航跡と融合される前の融合航跡の誤差を示し、更新済み融合航跡誤差は、再追尾処理部16から出力された部分航跡と融合された後の融合航跡の誤差を示している。
また、融合航跡誤差差異は、融合航跡誤差から更新済み融合航跡誤差を引いた差分を示している。
即ち、判定処理部84は、その融合航跡誤差差異が差異閾値より大きい場合、再追尾処理部16から出力された部分航跡を融合航跡と融合することによる融合航跡誤差の低減寄与度が大きいと判断し、その部分航跡を送信する旨を示す判定結果、即ち、“送信”の送信判定フラグと、旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡とを送受信部20に出力するとともに、部分航跡記憶部15に記憶されている当該部分航跡を削除する。
判定処理部84は、その融合航跡誤差差異が差異閾値以下の場合、その部分航跡を融合航跡と融合することによる融合航跡誤差の低減寄与度が小さいと判断し、その部分航跡の送信を保留する旨を示す判定結果、即ち、“送信保留”の送信判定フラグと、旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡とを送受信部20に出力する。
判定処理部84は、その融合航跡誤差が送信閾値以下の場合、その融合航跡誤差差異が差異閾値以下であれば、その融合航跡を部分航跡と融合する必要がないと判断し、その部分航跡の送信を保留する旨を示す判定結果、即ち、“送信保留”の送信判定フラグと、旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡とを送受信部20に出力する。ただし、その融合航跡誤差差異が差異閾値より大きい場合、“送信”の送信判定フラグを送受信部20に出力するようにしてもよい。
目標が旋回していない場合、パラメータ変更処理部81によって送信判断用のシステム雑音パラメータが低く抑えられており、融合航跡誤差の時間方向の増加率が小さいため、融合航跡誤差が送信閾値を上回るまでに多くの時間を要する。このため、旋回フラグが“非旋回”である場合、部分航跡の送信頻度は低いものとなる。
一方、目標が旋回を開始することで、旋回フラグが“旋回”となり、パラメータ変更処理部81が送信判断用のシステム雑音パラメータを高めると、融合航跡誤差の時間方向の増加率が大きくなるため、短時間で融合航跡誤差が送信閾値を上回るようになる。このため、旋回フラグが“旋回”である場合、部分航跡の送信頻度が高いものとなる。
図13では、送信閾値が固定されている例を示している。このため、目標が旋回している場合、融合航跡誤差が送信閾値を上回る頻度が増加して、ネットワーク2での通信負荷が大きくなり過ぎることがある。
パラメータ変更処理部81は、ネットワーク2での通信負荷が大きくなり過ぎないようにするために、旋回フラグが“旋回”となり、送信判断用のシステム雑音パラメータを高める際、送信閾値も一緒に高めるようにしてもよい。ただし、送信閾値を高くし過ぎると、部分航跡の送信頻度を高くすることができなくなるため、システム雑音パラメータと送信閾値のバランスを考える必要がある。
図14は送信閾値を用いない場合の旋回前と旋回中における融合航跡誤差の時間変化と、部分航跡の送信頻度とを示す概念図である。
図14では、判定処理部84が、融合航跡誤差差異が差異閾値より大きい場合に限り、その部分航跡を送信する旨を示す判定結果、即ち、“送信”の送信判定フラグを送受信部20に出力する例を示している。
図14の例では、パラメータ変更処理部81が送信判断用のシステム雑音パラメータを高めることで、融合航跡誤差の時間方向の増加率が大きくなっても、その部分航跡を送信する旨を示す判定結果が得られないため、ネットワーク2での通信負荷が大きくなり過ぎる状況を回避することができる。
送受信部20は、送信判定部19から“送信保留”の送信判定フラグを受けると、他の目標追尾装置1−Mに対する部分航跡の送信処理や、航跡融合部21に対する部分航跡の出力処理を実施しない。
送受信部20は、ネットワーク2を介して、他の目標追尾装置1−Mから送信された部分航跡を受信すると、その部分航跡を航跡融合部21に出力する。
航跡融合部21の融合追尾処理部23は、相関判定部22により相関していると判定された場合、送受信部20から出力された部分航跡と融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡から、目標の現時点における位置や速度などを含む状態ベクトルを有する融合航跡を推定する。
また、目標の状態ベクトルを3次元直交座標系で定義すると、式(50)におけるDは、下記の式(52)のように定義される。
式(52)において、qxは融合追尾処理部23により事前に設定されたX軸におけるシステム雑音パラメータ、qyは融合追尾処理部23により事前に設定されたY軸におけるシステム雑音パラメータ、qzは融合追尾処理部23により事前に設定されたZ軸におけるシステム雑音パラメータである。
システム雑音パラメータqx,qy,qzは目標の旋回度合いに応じて大きく設定した方が、融合航跡の追尾精度が向上するため、融合追尾処理部23によって、部分航跡に付加されている旋回レベルに応じて設定されているものであってもよい。即ち、その旋回レベルが示す目標の旋回の度合いが大きいほど、システム雑音パラメータqx,qy,qzが大きな値に設定されているものであってもよい。
融合追尾処理部23は、相関判定部22により相関していないと判定された場合、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡がメモリトラック状態にあると判断して、その融合航跡を部分航跡で更新せずに、送受信部20から出力された部分航跡を新たな融合航跡として、融合航跡記憶部18に記録する。
即ち、この実施の形態1によれば、目標が旋回している場合、部分航跡の送信頻度を高めて、目標の追尾精度を高めることができる。一方、目標が旋回していない場合、部分航跡の送信頻度を下げて、通信容量を低減することができる。
この実施の形態2では、送受信部20から出力された部分航跡に付いている旋回フラグを用いて、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグを更新するフラグ統合部を備えている目標追尾装置について説明する。
図15及び図16において、図1及び図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
フラグ統合部91は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいはワンチップマイコンなどから構成されているフラグ統合処理回路50で実現されるものである。フラグ統合部91は送受信部20から出力された部分航跡に付いている旋回フラグを用いて、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグを更新する処理を実施する。
目標追尾装置がソフトウェアやファームウェアなどで実現される場合、センサ航跡記憶部13、部分航跡記憶部15及び融合航跡記憶部18を図3に示すメモリ61上に構成するとともに、センサ追尾処理部14、再追尾処理部16、旋回判定部17、融合航跡記憶部18、送信判定部19、送受信部20、相関判定部22、融合追尾処理部23、表示処理部24及びフラグ統合部91の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを図3に示すメモリ61に格納し、図3に示すプロセッサ62がメモリ61に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
例えば、センサ11、送受信部20及び表示処理部24を専用のハードウェアで実現し、センサ航跡記憶部13、センサ追尾処理部14、部分航跡記憶部15、再追尾処理部16、旋回判定部17、融合航跡記憶部18、送信判定部19、相関判定部22、融合追尾処理部23及びフラグ統合部91をソフトウェアやファームウェアなどで実現することが可能である。ただし、専用のハードウェアとソフトウェア等の組み合わせは任意である。
フラグ更新処理部101は旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“旋回”であり、かつ、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグが“旋回”であれば、その旋回フラグの“旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回開始判定処理部71及び誤判定解除処理部103に出力し、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“旋回”であり、かつ、その融合航跡に付いている旋回フラグが“非旋回”であれば、その旋回フラグを“非旋回”に変更して、その旋回フラグを旋回開始判定処理部71及び誤判定解除処理部103に出力する処理を実施する。
また、フラグ更新処理部101は旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグが“非旋回”であれば、その旋回フラグの“非旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回開始判定処理部71及び誤判定解除処理部103に出力する処理を実施する。
即ち、誤判定解除処理部103はセンサ追尾処理部14から出力された目標相関済みセンサ観測値の観測時刻と、旋回開始時刻DB102に記憶されている旋回開始時刻との時刻差である差分時間を算出する処理を実施する。
また、誤判定解除処理部103はフラグ更新処理部101から出力された旋回フラグが“旋回”であり、かつ、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグが“旋回”である場合、その旋回フラグの“旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回フラグDB72、旋回レベル算出処理部75及び再追尾処理部16に出力する処理を実施する。
また、誤判定解除処理部103はフラグ更新処理部101から出力された旋回フラグが“旋回”であり、その融合航跡に付いている旋回フラグが“非旋回”であり、かつ、その差分時間が事前に設定された解除用閾値未満である場合、その旋回フラグの“旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回フラグDB72、旋回レベル算出処理部75及び再追尾処理部16に出力する処理を実施する。
誤判定解除処理部103はフラグ更新処理部101から出力された旋回フラグが“旋回”であり、その融合航跡に付いている旋回フラグが“非旋回”であり、かつ、その差分時間が事前に設定された解除用閾値以上である場合、その旋回フラグを“非旋回”に変更して、その旋回フラグを旋回フラグDB72、旋回レベル算出処理部75及び再追尾処理部16に出力する処理を実施する。
また、誤判定解除処理部103はフラグ更新処理部101から出力された旋回フラグが“非旋回”である場合、その旋回フラグの“非旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回フラグDB72、旋回レベル算出処理部75及び再追尾処理部16に出力する処理を実施する。
図18に示す旋回開始判定処理部71の構成要素は、図5に示す旋回開始判定処理部71の構成要素と同様であるが、図18に示す旋回開始判定処理部71の初期化処理部71dの入力データである旋回フラグが、フラグ更新処理部101から出力された旋回フラグであるのに対して、図5に示す旋回開始判定処理部71の初期化処理部71dの入力データである旋回フラグが、旋回フラグDB72に記憶されている旋回フラグである点で相違している。
また、図18に示す旋回開始判定処理部71の閾値判定処理部71jの出力先が、旋回フラグDB72だけでなく、旋回開始時刻DB102、再追尾処理部16及び旋回レベル算出処理部75も含まれる点で、図5に示す旋回開始判定処理部71の閾値判定処理部71jと相違している。
旋回終了判定用融合航跡データベース(以下、「旋回終了判定用融合航跡DB」と称する)73jは融合航跡を蓄積するメモリである。
初期化処理部73kは融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグが“非旋回”である場合、旋回終了判定用融合航跡DB73jに蓄積されている平滑航跡を削除して、旋回終了判定処理を終了する。
また、初期化処理部73kは、その融合航跡に付いている旋回フラグが“旋回”である場合、その融合航跡を旋回終了判定用融合航跡DB73jに格納して、以降の旋回終了判定処理の実施を許可する。
マハラノビス平方距離算出処理部73mはNステップ予測処理部73lにより算出された予測航跡と、相関判定部22により融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡と相関がとれていると判定された部分航跡とから、その予測航跡を構成する予測ベクトルと部分航跡とのマハラノビス平方距離を算出する処理を実施する。
フラグ統合部91及び旋回判定部17以外は、概ね上記実施の形態1と同様であるため、この実施の形態2では、フラグ統合部91及び旋回判定部17の処理内容を主に説明する。
フラグ統合部91は、送受信部20から旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を受けると、その部分航跡に付いている旋回フラグを用いて、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグを更新する。
この実施の形態2では、融合航跡に付いている旋回フラグを「統合旋回フラグ」と称する。統合旋回フラグは、同一のネットワーク2に接続されている全ての目標追尾装置間で共通の旋回フラグであり、全ての目標追尾装置で同じ旋回判定結果を示すフラグである。
以下、フラグ統合部91による統合旋回フラグの更新処理を具体的に説明する。
フラグ統合部91は、送受信部20から出力された当該旋回フラグを信用し、それ以降に、送受信部20から“非旋回”の旋回フラグが付いている部分航跡を受けても、その融合航跡に付いている“旋回”の統合旋回フラグを維持する。
統合旋回フラグが“非旋回”に変更されるタイミングは、後述する旋回終了判定処理部73によって、旋回が終了していると判定されたタイミングに限られる。
以下、統合旋回レベルの算出例を具体的に説明する。
フラグ統合部91は、送受信部20から部分航跡を受ける毎に、その部分航跡に付いている旋回フラグが“旋回”であれば、その部分航跡に付いている旋回レベルを記録する。
フラグ統合部91は、一定周期毎に、記録済みの旋回レベルを用いて、統合旋回レベルを算出する。例えば、記録済みの旋回レベルの中で、目標の旋回の度合いが最も大きい旋回レベルを統合旋回レベルとしてもよいし、記録済みの旋回レベルの平均値を統合旋回レベルとしてもよい。
なお、フラグ統合部91により記録された旋回レベルは、例えば、旋回終了判定処理部73により統合旋回フラグが“非旋回”に更新されるタイミングで消去されるものとする。
旋回判定部17による旋回の判定処理の大部分は、上記実施の形態1と同様であり、以下、上記実施の形態1と相違する部分を主に説明する。
図20はフラグ更新処理部101の処理内容を示すフローチャートである。
以下、図20を参照しながら、フラグ更新処理部101の処理内容を説明する。
フラグ更新処理部101は、その取得した旋回フラグが“旋回”であるか否かを判定し(ステップST41)、その旋回フラグが“非旋回”である場合(ステップST41:NOの場合)、その旋回フラグの“非旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回開始判定処理部71及び誤判定解除処理部103に出力する(ステップST42)。
フラグ更新処理部101は、その旋回フラグが“旋回”である場合(ステップST41:YESの場合)、その取得した統合旋回フラグが“非旋回”であるか否かを判定する(ステップST43)。
フラグ更新処理部101は、その統合旋回フラグが“非旋回”である場合(ステップST43:YESの場合)、その旋回フラグを“非旋回”に変更して、その旋回フラグを旋回開始判定処理部71及び誤判定解除処理部103に出力する(ステップST44)。
フラグ更新処理部101は、その統合旋回フラグが“旋回”である場合(ステップST43:NOの場合)、その旋回フラグの“旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回開始判定処理部71及び誤判定解除処理部103に出力する(ステップST45)。
ただし、この実施の形態2では、旋回開始判定処理部71の初期化処理部71dは、フラグ更新処理部101から出力された旋回フラグにしたがって旋回開始判定処理の初期化処理を実施する点で、上記実施の形態1と相違している。
また、旋回開始判定処理部71の閾値判定処理部71jは、上記実施の形態1と同様に、設定した旋回フラグを旋回フラグDB72に出力するが、最初に旋回が開始していると判定した時刻を旋回開始時刻として旋回開始時刻DB102に記録する。
図21は誤判定解除処理部103の処理内容を示すフローチャートである。
以下、図21を参照しながら、誤判定解除処理部103の誤判定解除処理を具体的に説明する。
Δta−s=ta−ts (53)
なお、目標相関済みセンサ観測値の観測時刻taは、センサ追尾処理部14から目標相関済みセンサ観測値が出力された時刻である。
誤判定解除処理部103は、その旋回フラグが“非旋回”である場合(ステップST52:NOの場合)、その旋回フラグの“非旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回フラグDB72、旋回レベル算出処理部75及び再追尾処理部16に出力する(ステップST53)。
誤判定解除処理部103は、その旋回フラグが“旋回”である場合(ステップST52:YESの場合)、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている統合旋回フラグが“非旋回”であるか否かを判定する(ステップST54)。
誤判定解除処理部103は、その統合旋回フラグが“非旋回”である場合(ステップST54:YESの場合)、先に算出した差分時間Δta−sが事前に設定された解除用閾値以上であるか否かを判定する(ステップST56)。
誤判定解除処理部103は、その差分時間Δta−sが解除用閾値未満である場合(ステップST56:NOの場合)、その旋回フラグの“旋回”を変更せずに、その旋回フラグを旋回フラグDB72、旋回レベル算出処理部75及び再追尾処理部16に出力する(ステップST55)。
図22は旋回終了判定処理部73の処理内容を示すフローチャートである。
以下、図22を参照しながら、旋回終了判定処理部73の処理内容を具体的に説明する。
旋回終了判定処理部73の初期化処理部73kは、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡を取得し、その融合航跡に付いている統合旋回フラグが“旋回”であるか否かを判定する(ステップST61)。
初期化処理部73kは、その旋回フラグが“非旋回”である場合(ステップST61:NOの場合)、旋回終了判定用融合航跡DB73jに蓄積されている融合航跡を削除して、旋回終了判定処理を終了する(ステップST62)。
初期化処理部73kは、その旋回フラグが“旋回”である場合(ステップST61:YESの場合)、その取得した融合航跡を旋回終了判定用融合航跡DB73jに格納して(ステップST63)、以降の旋回終了判定処理の実施を許可する。即ち、Nステップ予測処理部73l、マハラノビス平方距離算出処理部73f、時間方向平滑処理部73g及び閾値判定処理部73hの動作を許可する。
Nステップ予測処理部73lは、時刻差(tk (S)−tb)を算出すると、下記の式(54)に示すように、その時刻差(tk (S)−tb)が事前に設定された閾値TH_PRE_TIME以上であるか否かを判定する(ステップST64)。
(tk (S)−tb)≧TH_PRE_TIME (54)
Nステップ予測処理部73lは、その時刻差(tk (S)−tb)が閾値TH_PRE_TIME以上であり、式(54)が成立する場合(ステップST64:YESの場合)、下記の式(55)に示すように、相関判定部22により相関がとれていると判定された部分航跡の時刻tk (S)から閾値TH_PRE_TIMEだけ遡った過去の時刻Ttntを算出する。
また、Nステップ予測処理部73lは、下記の式(56)に示すように、旋回終了判定用融合航跡DB73jに蓄積されている融合航跡の中から、過去の時刻Ttntに最も近い融合航跡の時刻tjmを検索する。
さらに、Nステップ予測処理部73lは、下記の式(57)に示すように、時刻tjmから部分航跡の時刻tk (S)までの外挿時間ΔTを算出する。
予測ベクトルと予測誤差共分散行列を算出する処理は、旋回開始判定処理部71におけるNステップ予測処理部71gと同様に、式(20)〜(23)にしたがって算出する。
以下、マハラノビス平方距離算出処理部73mによるマハラノビス平方距離の算出処理を具体的に説明する。
部分航跡が位置及び速度で構成される状態ベクトルである場合と、位置のみで構成される状態ベクトルである場合とに分けて説明する。
マハラノビス平方距離算出処理部73mは、下記の式(58)に示すように、Nステップ予測処理部73lにより算出された最新時刻tkにおける融合航跡の予測ベクトルと、部分航跡の位置速度ベクトルとの残差rkを算出する。
マハラノビス平方距離算出処理部73mは、下記の式(61)に示すように、Nステップ予測処理部73lにより算出された最新時刻tkにおける融合航跡の予測位置ベクトルと、部分航跡の位置ベクトルとの残差rkを算出する。
次に、マハラノビス平方距離算出処理部73mは、下記の式(62)(63)に示すように、残差共分散行列Skを算出し、式(60)に示すように、残差rkと残差共分散行列Sk用いて、マハラノビス平方距離εv(k)を算出する。
時間方向平滑処理部73gにおけるマハラノビス平方距離εv(k)の平滑化処理は、図5に示す時間方向平滑処理部71iにおけるマハラノビス平方距離εv(k)の平滑化処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
閾値判定処理部73hは、その時間方向平滑値εav(k)が閾値Thturnend以下となり、式(36)が成立する場合、旋回が終了していると判定して、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている統合旋回フラグを“非旋回”に設定する。
閾値判定処理部73hは、その時間方向平滑値εav(k)が閾値Thturnbgnより大きく、式(36)が成立しない場合、旋回が終了していないと判定して、“旋回”の統合旋回フラグを維持する。
図23は閾値判定処理部73hの処理内容を示すフローチャートである。以下、図23を参照しながら、閾値判定処理部73hの処理内容を具体的に説明する。
閾値判定処理部73hは、差分値Δεav(k)を算出すると、その差分値Δεav(k)が負であれば(ステップST72:YESの場合)、差分値カウンタDB37iに記録されているカウント値Cを1だけ増やすインクリメント処理を実施する(ステップST73)。そのカウント値Cは、差分値Δεav(k)が負になった回数を示すものであり、差分値カウンタDB37iに記録されているカウント値Cの初期値は0である。
閾値判定処理部73hは、その差分値Δεav(k)が0以上であれば(ステップST72:NOの場合)、差分値カウンタDB37iに記録されているカウント値Cを維持する(ステップST74)。
閾値判定処理部73hは、差分値カウンタDB37iに記録されている回数Cが閾値Thcntより多くなり、式(38)が成立する場合(ステップST75:YESの場合)、旋回が終了していると判定して、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている統合旋回フラグを“非旋回”に設定する(ステップST76)。
また、閾値判定処理部73hは、差分値カウンタDB37iに記録されている回数Cが閾値Thcnt以下であり、式(38)が成立しない場合(ステップST75:NOの場合)、“旋回”の統合旋回フラグを維持する(ステップST77)。
閾値判定処理部73hは、その統合旋回フラグを“非旋回”に設定すると、差分値カウンタDB37iに記録されている回数Cを0に初期化する。
再追尾処理部16は、その目標相関済みセンサ観測値が示す位置と、部分航跡記憶部15に記憶されている部分航跡が示す位置とが相関しており、その目標相関済みセンサ観測値を当該部分航跡と対応付けることができると判断すると、上記実施の形態1と同様に、その目標相関済みセンサ観測値を部分航跡記憶部15に格納する。
また、再追尾処理部16は、上記実施の形態1と同様に、その目標相関済みセンサ観測値と部分航跡記憶部15に記憶されている過去の目標相関済みセンサ観測値とから、目標の現時点における位置や速度などを含む状態ベクトルを有する部分航跡を推定する。
再追尾処理部16は、部分航跡を推定すると、部分航跡記憶部15に記憶されている部分航跡を、その推定した部分航跡に置き換えるとともに、その推定した部分航跡に対して、旋回判定部17から出力された旋回フラグ及び旋回レベルを付加し、旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を送信判定部19に出力する。
このとき、送信判定部19は、その部分航跡に付されている旋回フラグが“非旋回”である場合より、“旋回”である場合の方が、その旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡の送信を許可する判定結果を出す頻度を高めるようにする。
また、その部分航跡に付されている旋回レベルが高い程、その旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡の送信を許可する判定結果を出す頻度を高めるようにする。
また、ここでは、送信判定部19は、部分航跡に付されている旋回レベルが高い程、上記実施の形態1と同様に、式(42)のシステム雑音パラメータを高めることで、その旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を送信する旨を示す判定結果を出す頻度を高めるようにするものを想定しているが、融合航跡記憶部18に記憶されている融合航跡に付いている統合旋回レベルが高い程、式(42)のシステム雑音パラメータを高めることで、その旋回フラグ及び旋回レベル付きの部分航跡を送信する旨を示す判定結果を出す頻度を高めるようにしてもよい
即ち、この実施の形態2によれば、目標が旋回している場合、部分航跡の送信頻度を高めて、目標の追尾精度を高めることができる。一方、目標が旋回していない場合、部分航跡の送信頻度を下げて、通信容量を低減することができる。
また、送受信部20から出力された部分航跡に付いている旋回フラグの“旋回”が誤っている場合でも、その誤りの影響を受けずに、部分航跡を適正な送信頻度で送信することができる効果を奏する。
Claims (13)
- センサから出力された目標の位置を示す観測値の時系列データから、前記目標の位置の情報を含む部分航跡を推定する追尾処理部と、
前記観測値の時系列データから前記目標が旋回しているか否かを判定する旋回判定部と、
前記目標の位置の情報を含む融合航跡を記憶している融合航跡記憶部と、
前記追尾処理部により推定された部分航跡の時刻と前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡の時刻との時間差と、前記旋回判定部の判定結果とから、前記追尾処理部により推定された部分航跡を送信するか否かを判定する送信判定部と、
前記送信判定部の判定結果が部分航跡を送信する旨を示している場合に、前記部分航跡を他の目標追尾装置に送信し、他の目標追尾装置から送信された部分航跡を受信する送受信部と、
前記送受信部により送信又は受信された部分航跡を用いて、前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡を更新する航跡融合部と
を備えた目標追尾装置。 - 前記追尾処理部は、
前記目標の位置の情報を含むセンサ航跡と、前記目標の位置を示す観測値とを記憶するセンサ航跡記憶部と、
前記センサから出力された観測値が示す位置と前記センサ航跡記憶部に記憶されているセンサ航跡が示す位置とが相関しているか否かを判定し、前記センサから出力された観測値が示す位置と前記センサ航跡が示す位置とが相関していれば、前記センサから出力された観測値を前記センサ航跡記憶部に格納するとともに、当該観測値と前記センサ航跡記憶部に記憶されている観測値とから、前記目標の位置の情報を含むセンサ航跡を推定し、前記センサ航跡記憶部に記憶されているセンサ航跡を前記推定したセンサ航跡に置き換えるセンサ追尾処理部と、
前記目標の位置の情報を含む部分航跡と、前記目標の位置を示す観測値とを記憶する部分航跡記憶部と、
前記センサ追尾処理部によりセンサ航跡が示す位置と相関していると判定された観測値が示す位置と、前記部分航跡記憶部に記憶されている部分航跡が示す位置とが相関しているか否かを判定し、当該観測値が示す位置と前記部分航跡が示す位置とが相関していれば、当該観測値を前記部分航跡記憶部に格納するとともに、当該観測値と前記部分航跡記憶部に記憶されている観測値とから、前記目標の位置の情報を含む部分航跡を推定し、前記部分航跡記憶部に記憶されている部分航跡を前記推定した部分航跡に置き換える再追尾処理部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。 - 前記旋回判定部は、前記観測値の時系列データから前記目標の位置を推定して、前記推定した位置と前記センサから出力された観測値が示す位置との差をマハラノビス平方距離に換算し、前記マハラノビス平方距離から前記目標が旋回しているか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
- 前記旋回判定部は、前記観測値の時系列データから前記目標の位置を推定して、前記推定した位置と前記センサから出力された観測値が示す位置との差をマハラノビス平方距離に換算するとともに、前記マハラノビス平方距離を時間方向に平滑化し、前記時間方向に平滑化したマハラノビス平方距離と閾値を比較することで、前記目標が旋回しているか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
- 前記送信判定部は、前記旋回判定部により目標が旋回していないと判定された場合より、前記旋回判定部により目標が旋回していると判定された場合の方が、前記部分航跡を送信する旨を示す判定結果を出す頻度を高めることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
- 前記旋回判定部は、前記目標が旋回していると判定した場合、前記観測値の時系列データから前記目標の旋回の度合いを算出し、
前記送信判定部は、前記旋回判定部により算出された旋回の度合いが大きい程、前記部分航跡を送信する旨を示す判定結果を出す頻度を高めることを特徴とする請求項5記載の目標追尾装置。 - 前記航跡融合部は、前記旋回判定部により算出された旋回の度合いが大きい程、前記融合航跡を更新する際に用いるシステム雑音パラメータを大きな値に設定することを特徴とする請求項6記載の目標追尾装置。
- 前記航跡融合部は、
前記送受信部により送信又は受信された部分航跡が示す位置と前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡が示す位置が相関しているか否かを判定する相関判定部と、
前記相関判定部により相関していると判定された場合、前記部分航跡が示す位置と前記融合航跡が示す位置とから、前記目標の位置の情報を含む融合航跡を推定し、前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡を前記推定した融合航跡に置き換える処理を実施し、前記相関判定部により相関していないと判定された場合、前記送受信部により送信又は受信された部分航跡を融合航跡として前記融合航跡記憶部に記録する融合追尾処理部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。 - 前記追尾処理部は、前記旋回判定部の判定結果を示す旋回フラグを前記推定した部分航跡に付加して、前記旋回フラグ付きの部分航跡を出力し、
前記送受信部は、前記送信判定部の判定結果が部分航跡を送信する旨を示している場合に、前記旋回フラグ付きの部分航跡を他の目標追尾装置に送信し、他の目標追尾装置から送信された旋回フラグ付きの部分航跡を受信し、
前記融合航跡記憶部は、前記旋回フラグ付きの融合航跡を記憶しており、
前記送受信部により送信又は受信された部分航跡に付いている旋回フラグを用いて、前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグを更新するフラグ統合部を備えたことを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。 - 前記旋回判定部は、前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグが、前記目標が旋回していない旨を示している場合、前記目標が旋回を開始しているか否かを判定する旋回開始判定処理を実施することを特徴とする請求項9記載の目標追尾装置。
- 前記旋回判定部は、前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡と、前記送受信部により送信又は受信された部分航跡との差異から、前記目標が旋回を終了しているか否かを判定する旋回終了判定処理を実施することを特徴とする請求項9記載の目標追尾装置。
- 前記旋回判定部は、前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグと、前記送受信部により送信又は受信された部分航跡に付いている旋回フラグとから、前記目標が旋回を終了しているか否かを判定する旋回終了判定処理を実施することを特徴とする請求項9記載の目標追尾装置。
- 前記旋回判定部は、前記融合航跡記憶部に記憶されている融合航跡に付いている旋回フラグを用いて、前記観測値の時系列データから判定した旋回の判定結果を訂正することを特徴とする請求項9記載の目標追尾装置。
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