JP6513310B1 - 航跡推定装置及び携帯情報端末 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、フィンガープリント法では、領域内の複数の位置と、受信信号の強度との関係を表す強度マップを作成する。
フィンガープリント法では、観測対象の位置を測位する際、信号源から送信された信号を受信すると、強度マップに含まれている信号強度の中から、受信した信号の強度に近い信号強度を探索する。
そして、フィンガープリント法では、強度マップから、探索した信号強度に対応する位置を取得し、取得した位置を観測対象の位置に決定する。
しかし、マルチパス等の影響によって、領域内の局所的な位置の信号強度が、大きな外れ値となることがある。大きな外れ値となっている信号強度からは、観測対象の位置の測位精度が劣化する。
特許文献1に開示されている位置推定装置は、観測対象である携帯端末の状態を予測するためのパーティクルフィルタを用いて、複数の弱位置推定器により推定された電磁波信号の受信位置の重みを計算し、複数の受信位置を重み付け平均している。
しかし、特許文献1に開示されている位置推定装置は、携帯端末の位置を測位する際、大きな外れ値を用いていることには変わりがないため、外れ値の影響の低減効果は限定的であり、位置の測位精度が劣化してしまうことがあるという課題があった。
図1は、実施の形態1による航跡推定装置を示す構成図である。
図2は、実施の形態1による航跡推定装置における位置推定部10及び追尾処理部20のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図1において、信号観測部1は、観測対象に実装される。観測対象としては、スマートフォン又はタブレッド端末などの携帯情報端末が考えられる。
信号観測部1は、センサ2及び信号受信部3を備えている。
信号観測部1は、信号源から出力された信号を受信し、受信した信号を位置推定部10に出力する。
信号源としては、所定の領域内に設置されている無線LAN(Local Area Network)ルータなどのネットワーク機器が該当する。所定の領域は、ショッピングモール又は公共施設などの室内の空間等が考えられ、所定の領域内には、1つ以上の信号源が設置されているものとする。
センサ2は、信号源から出力された信号を受信する。
信号受信部3は、例えば、マッチドフィルタを用いて、センサ2により受信された信号を検知し、検知した信号を信号強度検出部11に出力する。
位置推定部10は、信号観測部1により受信された信号の強度から、観測対象の位置である観測位置を推定する。
信号強度検出部11は、例えば、図2に示す信号強度検出回路41によって実現される。
信号強度検出部11は、信号受信部3から出力された信号の強度を検出し、検出した信号強度を位置推定処理部13に出力する。
強度マップ保存部12は、信号源から出力された信号を領域内の複数の位置でそれぞれ受信した場合の信号強度を示す強度マップを保存している。
観測対象である携帯情報端末の航跡を推定する前に、領域内の複数の位置のそれぞれに受信機が一時的に設置される。強度マップは、複数の受信機によって、信号源から出力された信号が受信され、受信されたそれぞれの信号の強度が、受信機の設置位置毎に記録されることで生成される。
位置推定処理部13は、強度マップ保存部12により保存されている強度マップを取得する。
位置推定処理部13は、強度マップが示す複数の受信位置での信号強度の中から、信号強度検出部11から出力された信号強度に対応する信号強度を探索する。
位置推定処理部13は、信号強度検出部11から出力された信号強度に対応する信号強度として、強度マップが示す複数の受信位置での信号強度の中で、例えば、信号強度検出部11から出力された信号強度と最も近い信号強度を探索する。
位置推定処理部13は、強度マップにおいて、探索した信号強度と対応付けられている受信位置を、観測対象の観測位置であると推定し、観測位置を相関仮説生成部21に出力する。
即ち、位置推定処理部13は、航跡予測部28から出力された1つ以上の仮説に含まれている航跡が示す観測対象の位置の平均位置を算出し、強度マップが示す複数の受信位置での信号強度の中から、平均位置からの距離が閾値以内の位置での信号強度を抽出する。
位置推定処理部13は、抽出した信号強度の中から、信号強度検出部11から出力された信号強度に対応する信号強度を探索する。
位置推定処理部13は、強度マップにおいて、探索した信号強度と対応付けられている受信位置を、観測対象の観測位置であると推定し、観測位置を相関仮説生成部21及び信頼度算出部22のそれぞれに出力する。
相関仮説生成部21は、例えば、図2に示す相関仮説生成回路44によって実現される。
相関仮説生成部21は、航跡予測部28から出力された1つ以上の仮説のうち、いずれか1つの仮説と、位置推定処理部13から出力された観測位置とを含む1つ以上の相関仮説を生成する。
相関仮説生成部21は、1つ以上の相関仮説を信頼度算出部22及び評価値算出部24のそれぞれに出力する。
信頼度算出部22は、位置推定処理部13から出力された観測位置での信号強度の確率密度分布を用いて、観測位置の信頼度を算出し、観測位置の信頼度を評価値算出部24及び航跡更新部25のそれぞれに出力する。
航跡決定部23は、評価値算出部24、航跡更新部25、航跡決定処理部26及び仮説保存部27を備えている。
航跡決定部23は、例えば、図2に示す航跡決定回路46によって実現される。
航跡決定部23は、信頼度算出部22により算出された観測位置の信頼度に基づいて、相関仮説生成部21により生成された1つ以上の相関仮説の中から、1つの相関仮説を選択し、選択した相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を観測対象の航跡に決定する。
航跡更新部25は、評価値算出部24により算出されたそれぞれの相関仮説に含まれている観測位置を用いて、それぞれの相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を更新する。
航跡更新部25は、航跡更新後の仮説を含むそれぞれの相関仮説を航跡決定処理部26及び仮説保存部27のそれぞれに出力する。
仮説保存部27は、航跡更新部25から出力されたそれぞれの相関仮説に含まれている仮説を保存する。
航跡予測部28は、例えば、図2に示す航跡予測回路47によって実現される。
航跡予測部28は、仮説保存部27により保存されているそれぞれの仮説が有している航跡の予測処理を実施し、予測処理後のそれぞれの航跡を含む仮説を位置推定処理部13及び相関仮説生成部21のそれぞれに出力する。
また、信号強度検出回路41、位置推定処理回路43、相関仮説生成回路44、信頼度算出回路45、航跡決定回路46及び航跡予測回路47のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
位置推定部10及び追尾処理部20がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合、強度マップ保存部12がコンピュータのメモリ52に構成される。信号強度検出部11、位置推定処理部13、相関仮説生成部21、信頼度算出部22、航跡決定部23及び航跡予測部28の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ52に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ51がメモリ52に格納されているプログラムを実行する。
図4は、位置推定部10及び追尾処理部20がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合の処理手順を示すフローチャートである。
図1に示す航跡推定装置では、U個の信号源s(s=1,2,・・・,U)があり、センサ2が、U個の信号源sからのU個の信号を受信するものとする。
航跡推定装置が、観測対象の航跡を推定する前に、信号源s毎の強度マップhsが強度マップ保存部12に保存される。
強度マップhsは、図5に示すように、信号源sから出力された信号を領域内の位置pm(m=1,2,・・・,M)でそれぞれ受信した場合の信号強度hs(m)を示すものである。
図5は、信号源sから出力された信号を受信している位置ps(m)を示す説明図である。
図5において、○は、信号源sから出力された信号を受信している位置ps(m)を示している。図5では、○が、2次元配置されている。
信号源sから出力された信号には、信号源sを特定するための識別符号が付加されているものとする。
信号受信部3は、センサ2から時刻kにおけるU個の受信信号を受けると、例えば、マッチドフィルタを用いて、U個の受信信号をそれぞれ検知し、検知したU個の受信信号を信号強度検出部11に出力する。
時刻は、位置推定部10及び追尾処理部20におけるそれぞれのサンプリング時刻である。例えば、時刻kは、今回のサンプリング時刻であり、時刻k−1は、前回のサンプリング時刻である。
位置推定処理部13は、航跡予測部28から出力された1つ以上の仮説Hi k−1(iは、1,2,・・・,I)が有している航跡xi k|k−1が示す観測対象の位置piの平均位置pi aveを算出する。
i番目の仮説Hi k−1には、時刻k−1における相関仮説の評価値ci k−1と、時刻k−1における観測対象の航跡xi k|k−1とが含まれている。
i番目の仮説Hi k−1は、以下の式(1)のように表される。
位置推定処理部13は、強度マップhs毎に、当該強度マップhsが示す位置ps(1)〜ps(M)での信号強度hs(1)〜hs(M)の中から、平均位置pi aveからの距離が閾値Lth以内の位置での信号強度を抽出する。平均位置pi aveは、確率変数であるpiの平均値(期待値)である。
閾値Lthは、位置推定処理部13の内部メモリに格納されているものとしてもよいし、外部から与えられるものとしてもよい。
ここでは、説明の便宜上、位置推定処理部13が、N個の信号強度を抽出したものとする。N個の信号強度をhs(1)〜hs(N)のように表記する。
位置推定処理部13は、抽出したN個の信号強度hs(1)〜hs(N)の中から、時刻kの信号強度strs kと最も近い信号強度hs(n)を探索する。
U個の信号源sに対応する強度マップhsがあるため、位置推定処理部13によって、U個の信号強度hs(n)が探索される。
位置推定処理部13は、U個の強度マップhsのそれぞれから、探索した信号強度hs(n)と対応付けられている位置ps(n)を取得し、それぞれの位置ps(n)を観測対象の観測位置zs kであると推定する(図4のステップST2)。
位置推定処理部13は、観測対象の観測位置zs kを相関仮説生成部21及び信頼度算出部22のそれぞれに出力する。
U個の信号源sに対応する強度マップhsがあるため、位置推定処理部13によって、U個の観測位置zs kが相関仮説生成部21及び信頼度算出部22に出力される。
j番目の相関仮説CHj,s kは、以下の式(2)のように表される。
式(2)において、j=1,2,・・・,I×Uである。
また、相関仮説生成部21は、位置推定処理部13から出力されたU個の観測位置zs kの全てが正しくないと仮定し、観測位置zs kを含まない相関仮説CHj,s kも生成する(図4のステップST3)。
相関仮説生成部21は、相関仮説CHj,s k及び相関仮説CH0,i kのそれぞれを信頼度算出部22及び評価値算出部24のそれぞれに出力する。
以下、信頼度算出部22による信頼度cofs kの算出処理を具体的に説明する。
図6は、信頼度算出部22による信頼度cofs kの算出処理の概要を示す説明図である。
観測位置zs kの信頼度cofs kは、観測位置zs kが、真の位置zTからγ以内に存在する確率である。
式(4)において、vは、強度の観測値を表す変数であり、fs(v)は、平均がhs(a)であり、分散がσs 2の正規分布である。
真の位置zTからγ以内の範囲{y;|y−zT|≦γ}をYとおくと、Yの強度の範囲Dは、以下の式(4’)ように表される。
この強度の範囲Dで、強度の観測値の確率密度分布を積分することで、以下の式(5)に示すように、信頼度cofs kを計算する。
上記の説明では、信頼度cofs kの計算において真の位置zTを用いたが、真の位置は未知であるため、代わりに例えば相関仮説CHj,s kに含まれる航跡xj k|k−1の平均位置pj aveを用いる。
信頼度算出部22は、観測位置zs kの信頼度cofs kを評価値算出部24及び航跡更新部25のそれぞれに出力する。
即ち、評価値算出部24は、相関仮説CHj,s kの評価値cj,s kについては、以下の式(6)に示すように算出する。
式(6)において、gは、相関仮説CHj,s kに含まれている航跡xi k|k−1の尤度である。
cj,s k−1は、相関仮説CHj,s k−1の評価値であり、式(1)に示す評価値ci k−1と対応している。
式(7)において、βFTは、不要信号の発生率である。
不要信号の発生率βFTは、評価値算出部24の内部メモリに格納されているものとしてもよいし、外部から与えられるものとしてもよい。
評価値算出部24は、評価値cj,s kを含む時刻kの相関仮説CHj,s kを航跡更新部25に出力する。
また、評価値算出部24は、評価値c0,s kを含む時刻kの相関仮説CH0,s kを航跡更新部25に出力する。
航跡xi k|k−1の更新は、以下の式(10)に示すように、カルマンフィルタを用いて行うことができる。相関仮説CH0,s kについては、観測位置zs kを含んでいないため、更新を行わない。
式(10)において、xi k|kは、時刻kにおける更新後の航跡、xi k|k−1は、更新される前の航跡である。
Ki kは、時刻kにおけるi番目の相関仮説CHj,s k,CH0,s kに含まれている航跡のカルマンゲイン行列である。f()は、航跡xi k|k−1を観測位置に変換する関数である。
航跡更新部25は、更新後の航跡xi k|kを含む相関仮説CHj,s k及び相関仮説CH0,s kを航跡決定処理部26及び仮説保存部27のそれぞれに出力する。
更新後の航跡xi k|kを含む相関仮説CHj,s k及び相関仮説CH0,s kは、以下の式(11)及び式(12)のように表される。
航跡決定処理部26は、選択した相関仮説CHMAXに含まれている航跡xi k|kを観測対象である携帯情報端末の航跡に決定する(図4のステップST8)。
以下、説明の簡単化のため、仮説{cj,s k,xi k|k}と仮説{c0,s k,xi k|k}がHi kであるとして説明する。
航跡予測部28は、サンプリング時刻k+1において、航跡の決定処理を行うことができるようにするため、仮説保存部27により保存されているHi kが有している航跡xi k|kの予測処理を実施する。
航跡予測部28は、予測処理後の航跡xi k+1|kを含む仮説Hi k+1を位置推定処理部13及び相関仮説生成部21のそれぞれに出力する。
以下、航跡予測部28による航跡の予測処理を具体的に説明する。
wは、運動の速度の曖昧さを示す平均0の2次元の駆動雑音ベクトルである。
I2は、2×2の単位行列である。
このとき、観測対象の位置を以下の式(14)で表し、観測対象の速度を以下の式(15)で表すると、航跡xi k+1|kは、以下の式(16)のように表される。
式(16)において、Tは、転置を表す記号である。
信号源毎の強度マップは、事前に受信した複数の位置での強度を表すものであるが、複数の位置の間の強度を、線形補間などを用いて補完し、より高密度な強度マップを作成して用いてもよい。補間関数としては、線形補間、スプライン補間又はガウス過程回帰などを行う関数が考えられる。
位置推定処理部13は、強度マップhs毎に、当該強度マップhsが示す位置ps(1) 〜ps(M)の中から、平均位置pi aveからの距離が閾値Lth以内の位置での信号強度を抽出している。さらに、位置推定処理部13は、抽出した信号強度に対し、平均位置pi aveでの強度マップ上の強度の値hs(pi ave)から閾値Lth2 以内の信号強度のみを再度抽出する処理を行うようにしてもよい。また、上記の説明では、強度マップを「複数の位置の強度」という離散的なデータとしているが、強度マップを連続な強度の関数として表してもよい。具体的には、離散的な強度マップのデータを用いて、スプライン曲面又はガウス過程などのパラメータを推定することで、強度マップを連続で滑らかな関数として表現することができる。
以下、強度マップを連続な関数で表す場合の観測対象の位置の推定方法について述べる。
信号源sの強度マップをhs、時刻kに観測した信号源sの強度をstrs kとするとき、推定位置は、例えば、(hs(p)−strs k)2が最小値となる位置pとする。
(hs(p)−strs k)2の最小値は、例えば、非線形最小二乗法を用いることで求 めることができる。
非線形最小二乗法を用いる場合、初期値を決める必要があり、例えば、平均位置pi aveを初期値とする。
また、仮説Hi k−1が有している航跡xi k|k−1が示す観測対象の位置piが従う分布からサンプリングした複数のサンプル点を初期値として、それぞれ非線形最小二乗法を行い、非線形最小二乗法後の値が最も小さくなった位置を推定位置としてもよい。複数のサンプル点を初期値とした非線形最小二乗法を行うことで、推定位置が局所解となる可能性を低減できるため、推定精度を改善することができる。
以下、グループ毎の観測位置の推定について具体的に説明する。
あるグループoにおいて選択された信号源のインデックスをq1,q2,・・・,qQとおく。このとき,選択された信号源は、sq1,sq2,・・・,sqQのように表される。
観測位置zo kは、以下の式(17)のargminの引数を最小化する位置として求められる。
ここで、強度マップが離散的なデータである場合、観測位置zo kは、強度マップに含まれる位置の中で、式(17)のargminの引数を最小にする位置となる。強度マップが連続的な関数である場合、観測位置zo kは、非線形最小二乗法等によって求められたargminの引数の最小値の位置となる。
実施の形態2では、信頼度算出部22における観測雑音の推定処理を具体的に説明する。
実施の形態2による航跡推定装置の構成図は、実施の形態1による航跡推定装置と同様に、図1である。
上記の計算では、真の位置zTを用いたが、真の位置は未知であるため、代わりに例えば相関仮説CHj,s kに含まれる航跡xj k|k−1の平均位置pj aveを用いればよい。
実施の形態3では、航跡予測部62が、運動諸元観測部61により観測された観測対象の運動諸元を用いて、仮説保存部27により保存されているそれぞれの仮説に含まれている航跡の予測処理を実施する航跡推定装置について説明する。
図7において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
運動諸元観測部61は、加速度センサ及び角速度センサを備えている。
運動諸元観測部61は、観測対象の運動諸元として、加速度センサを用いて、観測対象の加速度を観測するとともに、角速度センサを用いて、観測対象の角速度を観測する。
運動諸元観測部61は、観測対象の加速度及び角速度のそれぞれを航跡予測部62に出力する。
航跡予測部62は、例えば、図2に示す航跡予測回路47によって実現される。
航跡予測部62は、運動諸元観測部61から出力された加速度及び角速度のそれぞれを用いて、仮説保存部27により保存されているそれぞれの仮説に含まれている航跡の予測処理を実施する。
航跡予測部62は、予測処理後のそれぞれの航跡を含む仮説を位置推定処理部13及び相関仮説生成部21のそれぞれに出力する。
ただし、運動諸元観測部61及び航跡予測部62以外は、図1に示す航跡推定装置と同様であるため、ここでは、運動諸元観測部61及び航跡予測部62の動作のみを説明する。
運動諸元観測部61は、加速度センサを用いて、観測対象の加速度を観測するとともに、角速度センサを用いて、観測対象の角速度を観測する。
運動諸元観測部61は、観測対象の加速度及び角速度のそれぞれを航跡予測部62に出力する。
また、航跡予測部62は、運動諸元観測部61から出力された角速度を1回積分することで、観測対象における移動方向の変化分Δθを算出する。
航跡予測部62は、以下の式(20)に示すように、移動距離Δr及び移動方向の変化分Δθを用いて、時刻k+1のi番目の仮説に含まれている航跡の予測処理を実施する。
また、θi k|kは、以下の式(22)に示すように、航跡xi k|kに含まれている速度を用いて表すことができる。
航跡予測部62は、予測処理後のそれぞれの航跡を含む仮説を位置推定処理部13及び相関仮説生成部21のそれぞれに出力する。
なお、運動諸元が観測できる場合には、航跡予測部62が、式(20)の予測処理と並行して、式(13)の予測処理を行う。そして、航跡予測部62が、式(13)で予測処理したそれぞれの航跡を含む仮説も、位置推定部10及び相関仮説生成部21のそれぞれに出力するようにしてもよい。
上記の処理を行うことで、運動諸元の観測値に大きな誤差があるために、式(20)の予測処理の誤差が大きくなる場合に、式(13)の予測処理の結果を利用できるので、運動諸元の観測値の誤差に影響され難くなる。
実施の形態4では、航跡決定部23が、地図情報を用いて、航跡予測部62により予測処理が実施される航跡を制限する航跡推定装置について説明する。
図8は、実施の形態4による航跡推定装置を示す構成図である。
図8は、実施の形態4による航跡推定装置における位置推定部10及び追尾処理部20のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図8及び図9において、図1及び図2と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
地図情報保存部71は、地図情報を保存している。
航跡更新部72は、図1に示す航跡更新部25と同様に、評価値算出部24により算出されたそれぞれの相関仮説に含まれている観測位置を用いて、それぞれの相関仮説に含まれている航跡を更新する。
航跡更新部72は、更新後の航跡を含むそれぞれの相関仮説のうち、地図情報保存部71により保存されている地図情報を用いて、仮説保存部27に出力する相関仮説を制限する。
図8に示す航跡推定装置では、地図情報保存部71及び航跡更新部72が、図7に示す航跡推定装置に適用されている。しかし、これは一例に過ぎず、地図情報保存部71及び航跡更新部72が、図1に示す航跡推定装置に適用されるものであってもよい。
ただし、地図情報保存部71及び航跡更新部72以外は、図1及び図7に示す航跡推定装置と同様であるため、ここでは、地図情報保存部71及び航跡更新部72の動作のみを説明する。
航跡更新部72は、図1に示す航跡更新部25と同様に、評価値算出部24により算出されたそれぞれの相関仮説に含まれている観測位置を用いて、それぞれの相関仮説に含まれている航跡xi k|k−1を更新する。
航跡更新部72は、更新後のそれぞれの航跡xi k|kのうち、ユーザの通行を妨げる位置を通過する航跡については、誤った航跡である可能性が高いため、当該航跡を含んでいる相関仮説を仮説保存部27に出力する相関仮説から除外する。
航跡更新部72は、除外せずに残っている相関仮説だけを航跡決定処理部26及び仮説保存部27のそれぞれに出力する。これにより、航跡予測部62によって予測処理が実施される航跡は、実施の形態1〜3よりも制限される。
また、実施の形態4の航跡推定装置は、実施の形態1〜3の航跡推定装置よりも、仮説及び相関仮説を保存するためのメモリ量を削減することができるとともに、位置推定部10及び追尾処理部20におけるそれぞれの処理負荷を軽減することができる。
また、この発明は、航跡推定装置を備えている携帯情報端末に適している。
Claims (11)
- 信号源から出力された信号を受信する信号観測部と、
前記信号観測部により受信された信号の強度から、前記信号観測部を実装している観測対象の位置である観測位置を推定する位置推定部と、
前記観測対象の航跡を有している1つ以上の仮説のうち、いずれか1つの仮説と前記位置推定部により推定された観測位置とを含む1つ以上の相関仮説を生成する相関仮説生成部と、
前記位置推定部により推定された観測位置での信号強度の確率密度分布を用いて、前記観測位置の信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度算出部により算出された観測位置の信頼度に基づいて、前記相関仮説生成部により生成された1つ以上の相関仮説の中から、1つの相関仮説を選択し、前記選択した相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を前記観測対象の航跡に決定する航跡決定部とを備え、
前記航跡決定部は、前記相関仮説生成部により生成されたそれぞれの相関仮説に含まれている観測位置を用いて、それぞれの相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を更新する航跡更新部を備えたことを特徴とする、航跡推定装置。 - 信号源から出力された信号を受信する信号観測部と、
前記信号観測部により受信された信号の強度から、前記信号観測部を実装している観測対象の位置である観測位置を推定する位置推定部と、
前記観測対象の航跡を有している1つ以上の仮説のうち、いずれか1つの仮説と前記位置推定部により推定された観測位置とを含む1つ以上の相関仮説を生成する相関仮説生成部と、
前記位置推定部により推定された観測位置での信号強度の確率密度分布を用いて、前記観測位置の信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度算出部により算出された観測位置の信頼度に基づいて、前記相関仮説生成部により生成された1つ以上の相関仮説の中から、1つの相関仮説を選択し、前記選択した相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を前記観測対象の航跡に決定する航跡決定部とを備え、
前記航跡決定部は、前記相関仮説生成部により生成されたそれぞれの相関仮説に含まれている観測位置を用いて、それぞれの相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を更新する航跡更新部を備えており、
前記航跡更新部により更新されたそれぞれの航跡の予測処理を実施し、予測処理後のそれぞれの航跡を有している仮説を前記相関仮説生成部に出力する航跡予測部をさらに備えたことを特徴とする、航跡推定装置。 - 前記航跡決定部は、
前記信頼度算出部により算出された観測位置の信頼度に基づいて、前記相関仮説生成部により生成されたそれぞれの相関仮説の評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部により算出されたそれぞれの相関仮説の評価値に基づいて、前記相関仮説生成部により生成された1つ以上の相関仮説の中から、1つの相関仮説を選択し、前記選択した相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を前記観測対象の航跡に決定する航跡決定処理部と
を備えていることを特徴とする請求項1記載の航跡推定装置。 - 前記位置推定部は、前記信号源から出力された信号を複数の位置でそれぞれ受信した場合の信号強度を示す強度マップを取得し、前記強度マップが示すそれぞれの受信位置での信号強度の中から、前記信号観測部により受信された信号の強度に対応する信号強度を探索し、前記観測位置として、前記強度マップから、前記探索した信号強度に対応する受信位置を取得することを特徴とする請求項1記載の航跡推定装置。
- 信号源から出力された信号を受信する信号観測部と、
前記信号観測部により受信された信号の強度から、前記信号観測部を実装している観測対象の位置である観測位置を推定する位置推定部と、
前記観測対象の航跡を有している1つ以上の仮説のうち、いずれか1つの仮説と前記位置推定部により推定された観測位置とを含む1つ以上の相関仮説を生成する相関仮説生成部と、
前記位置推定部により推定された観測位置での信号強度の確率密度分布を用いて、前記観測位置の信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度算出部により算出された観測位置の信頼度に基づいて、前記相関仮説生成部により生成された1つ以上の相関仮説の中から、1つの相関仮説を選択し、前記選択した相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を前記観測対象の航跡に決定する航跡決定部とを備え、
前記位置推定部は、前記信号源から出力された信号を複数の位置でそれぞれ受信した場合の信号強度を示す強度マップを取得し、前記1つ以上の仮説に含まれている航跡が示す観測対象の位置の平均位置を算出し、前記強度マップが示すそれぞれの受信位置での信号強度の中から、前記平均位置からの距離が閾値以内の受信位置での信号強度を抽出し、前記抽出した信号強度の中から、前記信号観測部により受信された信号の強度に対応する信号強度を探索し、前記観測位置として、前記強度マップから、前記探索した信号強度に対応する受信位置を取得することを特徴とする、航跡推定装置。 - 前記位置推定部は、前記信号源から出力された信号を複数の位置でそれぞれ受信した場合の信号強度を示す強度マップを取得し、前記1つ以上の仮説に含まれている予測処理後の航跡が示す観測対象の位置を探索の初期値に設定して、前記強度マップから、前記観測位置を探索することを特徴とする請求項2記載の航跡推定装置。
- 前記信号観測部により複数の信号が受信されており、
前記位置推定部は、前記信号観測部により受信された複数の信号をグループ分けし、グループ毎に、当該グループに含まれている信号の強度から、前記観測位置をそれぞれ推定することを特徴とする請求項1記載の航跡推定装置。 - 前記信頼度算出部は、前記位置推定部により推定された観測位置の信頼度を算出するほかに、前記確率密度分布を用いて、前記観測位置の雑音である観測雑音を推定し、
前記航跡更新部は、前記相関仮説生成部により生成されたそれぞれの相関仮説に含まれている仮説が有している航跡が示す観測対象の位置及び前記観測雑音のそれぞれを用いて、それぞれの相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を更新することを特徴とする請求項2記載の航跡推定装置。 - 前記観測対象の運動諸元を観測する運動諸元観測部を備え、
前記航跡予測部は、前記運動諸元観測部により観測された運動諸元を用いて、前記航跡更新部により更新された航跡の予測処理を実施することを特徴とする請求項2記載の航跡推定装置。 - 前記航跡更新部は、地図情報を用いて、前記航跡予測部により予測処理が実施される航跡を制限することを特徴とする請求項2記載の航跡推定装置。
- 観測対象の航跡を決定する航跡推定装置を備える携帯情報端末であり、
前記航跡推定装置は、
信号源から出力された信号を受信する信号観測部と、
前記信号観測部により受信された信号の強度から、前記信号観測部を実装している観測対象の位置である観測位置を推定する位置推定部と、
前記観測対象の航跡を有している1つ以上の仮説のうち、いずれか1つの仮説と前記位置推定部により推定された観測位置とを含む1つ以上の相関仮説を生成する相関仮説生成部と、
前記位置推定部により推定された観測位置での信号強度の確率密度分布を用いて、前記観測位置の信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度算出部により算出された観測位置の信頼度に基づいて、前記相関仮説生成部により生成された1つ以上の相関仮説の中から、1つの相関仮説を選択し、前記選択した相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を前記観測対象の航跡に決定する航跡決定部とを備え、
前記航跡決定部は、前記相関仮説生成部により生成されたそれぞれの相関仮説に含まれている観測位置を用いて、それぞれの相関仮説に含まれている仮説が有している航跡を更新する航跡更新部を備えたことを特徴とする、携帯情報端末。
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