JPWO2017131041A1 - ヒータとそれを備える定着装置、画像形成装置及び加熱装置 - Google Patents

ヒータとそれを備える定着装置、画像形成装置及び加熱装置 Download PDF

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Abstract

被加熱物と対面された状態で、被加熱物及び本ヒータ1のうちの少なくとも一方を掃引して被加熱物を加熱するヒータであって、基体11と、基体11の一面11a側に配置された発熱層12と、基体11と発熱層12との層間、及び、基体11の他面11b側、のうちの少なくとも一方に配置され、基体11を構成する材料よりも熱伝導率が大きい材料によって形成された均熱層13と、を備えることによって、発熱層に起因した熱の起伏が加熱面に反映され難く、均熱性に優れたヒータと、それを備える定着装置、画像形成装置及び加熱装置を提供する。

Description

本発明は、ヒータとそれを備える定着装置、画像形成装置及び加熱装置に関する。詳しくは、均熱性に優れたヒータとそれを備える定着装置、画像形成装置及び加熱装置に関する。
対象物の熱処理を行うための加熱手段として、薄く形成された基体に利用し、その一面に通電発熱する発熱層を設けたヒータが知られている。このようなヒータは、コンパクトに形成できるため、例えば、複写機やプリンター等に組み込まれて記録媒体にトナーやインク等を定着する目的で用いられたり、乾燥機に組み込まれてパネル等の被処理体を均一に加熱乾燥させる目的で用いられたりする。このようなヒータは、下記特許文献1に開示されている。
国際公開第2013/073276号パンフレット
このようなヒータでは、薄く形成された基体を利用することで、省電力でありながら、早い立ち上がり特性を得ることができる。一方で、薄く形成された基体を用いると、その一面に設けられた発熱層の、例えば、パターン形状等に起因した熱の起伏が、加熱面に現れ易いという問題がある。更に、昨今、従来に比べてよりコンパクトなヒータが求められており、特に、掃引方向により幅狭なヒータが要望されている。このような掃引方向への幅狭化は、発熱層のパターンに起因した熱の起伏をより顕著に加熱面へ反映することに繋がり、その対策が必要となっている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、発熱層に起因した熱の起伏が加熱面に反映され難く、均熱性に優れたヒータと、それを備える定着装置、画像形成装置及び加熱装置を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
請求項1に記載のヒータは、被加熱物と対面された状態で、前記被加熱物及び本ヒータのうちの少なくとも一方を掃引して前記被加熱物を加熱するヒータであって、
基体と、
前記基体の一面側に配置された発熱層と、
前記基体と前記発熱層との層間、及び、前記基体の他面側、のうちの少なくとも一方に配置され、前記基体を構成する材料よりも熱伝導率が大きい材料によって形成された均熱層と、を備えることを要旨とする。
請求項2に記載のヒータは、請求項1に記載のヒータにおいて、前記均熱層として、前記基体に直接積層された直接積層型の均熱層を有することを要旨とする。
請求項3に記載のヒータは、請求項1又は2に記載のヒータにおいて、前記均熱層として、前記基体との間にガラスグレーズ層を介して積層された間接積層型の均熱層を有することを要旨とする。
請求項4に記載のヒータは、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のヒータにおいて、前記均熱層が、切欠き、又は、表裏に貫通した貫通孔、を含んだ欠落部を有し、
前記欠落部を介して、前記均熱層の一面側に隣接した層と、前記均熱層の他面側に隣接した層とが接合されていることを要旨とする。
請求項5に記載のヒータは、請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のヒータにおいて、前記均熱層は、複数の金属粒子が連なって形成された金属多孔部と、前記金属多孔部の間隙に配置された非金属部と、を有することを要旨とする。
請求項6に記載のヒータは、請求項1乃至5のうちのいずれかに記載のヒータにおいて、前記発熱層は、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セルを備え、
各前記抵抗発熱セルは、前記掃引方向に対して略垂直に配置された複数の横配線部と、前記横配線部間を接続する縦配線部と、が結ばれてつづら折り状に形成された抵抗発熱配線を有し、
隣り合った前記抵抗発熱セル同士の間には、前記抵抗発熱配線が形成されていない非形成部を有することを要旨とする。
請求項7に記載の定着装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載のヒータを備えることを要旨とする。
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載のヒータを備えることを要旨とする。
請求項9に記載の加熱装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載のヒータを備えることを要旨とする。
本発明のヒータによれば、発熱層に起因した熱の起伏が加熱面に反映され難く、均熱性に優れたヒータとすることができる。
均熱層として、基体に直接積層された直接積層型の均熱層を有する場合には、この均熱層を有さない場合に比べてより優れた均熱性を得ることができる。
均熱層として、基体との間にガラスグレーズ層を介して積層された間接積層型の均熱層を有する場合は、この均熱層を有さない場合に比べてより優れた均熱性を得ることができる。
本ヒータの形態の一例(実施例1)を示す模式的な断面図である。 本ヒータの形態の他例(実施例2)を示す模式的な断面図である。 本ヒータの形態の他例(実施例3)を示す模式的な断面図である。 本ヒータの形態の他例(実施例4)を示す模式的な断面図である。 本ヒータの形態の他例(実施例7)を示す模式的な断面図である。 本ヒータの形態の他例(実施例8)を示す模式的な断面図である。 本ヒータの形態の他例を示す模式的な断面図である。 本ヒータにおける発熱層と均熱層との相関を例示する模式的な平面図である。 本ヒータにおける均熱層の一例の欠落部を説明する説明図である。 本ヒータを使用した定着装置の一例を表す概略斜視図である。 本ヒータを使用した定着装置の他例を表す概略斜視図である。 本ヒータを使用した画像形成装置の一例を表す概略図である。 実施例1乃至4に係るヒータによる均熱効果を示すグラフである。 実施例5乃至9に係るヒータによる均熱効果を示すグラフである。 従来のヒータ(比較例1)を示す模式的な断面図である。 均熱層における金属多孔部と非金属部とを模式的に示す説明図である。 均熱層の平面形状のバリエーションを示す説明図である。 実施例5乃至14に係るヒータによる均熱効果を示すグラフである。
以下、図を参照しながら、本発明を詳しく説明する。
[1]ヒータ
本ヒータ(1)は、被加熱物と対面された状態で、被加熱物及び本ヒータ(1)のうちの少なくとも一方を掃引して被加熱物を加熱するヒータである。
更に、本ヒータ(1)は、基体(11)と、基体(11)の一面(11a)側に配置された発熱層(12)と、基体(11)と発熱層(12)との層間、及び、基体の他面(11b)側、のうちの少なくとも一方に配置され、基体を構成する材料よりも熱伝導率が大きい材料によって形成された均熱層(13)と、を備える(図1〜図4参照)。
〈1〉基体について
上記「基体(11)」は、発熱層を指示する基板である。この基体11は、通常、薄板状であり、その表裏の各主面を、本明細書では、一面(11a)及び他面(11b)とする。即ち、一面11aと他面11bとは、互いに反対の面である。
基体11を構成する材料は、特に限定されず、その表面上で発熱層を発熱させられればよく、特に限定されない。例えば、金属、セラミックス及びこれらの複合材料等を利用できる。金属等の導電性材料を用いる場合、基体はその導電性材料上に絶縁層を設けて構成できる。
基体を構成する材料のうち、金属としては、スチール等を挙げることができる。なかでも本発明では、ステンレスを好適に用いることができる。ステンレスの種類は特に限定されず、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレスが好ましい。更にこれらのステンレスのなかでも、特に耐熱性及び耐酸化性に優れた品種が好ましい。例えば、SUS430、SUS436、SUS444、SUS316L等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、基体を構成する金属として、アルミニウム、マグネシウム、銅及びこれらの金属の合金を用いることができる。これらは1種のみで用いてもよく2種以上を併用してもよい。そのうち、アルミニウム、マグネシウム、及び、これらの合金(アルミニウム合金、マグネシウム合金、Al−Mg合金等)は比重が小さいため、これらを採用することによって本ヒータの軽量化を図ることができる。また、銅及びその合金は、熱伝導性に優れているため、これらを採用することによって本ヒータの均熱性の向上を図ることができる。
基体を構成する材料のうち、セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ジルコニア、シリカ、ムライト、スピネル、コージェライト、窒化ケイ素等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのうち、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムが好ましい。また、金属とセラミックスとの複合材料としては、SiC/Cや、SiC/Al等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
基体11の寸法や形状は特に限定されないが、その厚さは、50μm以上700μm以下とすることができる。この範囲では、特に、省電力でありながら、早い立ち上がり特性を得ることができる。この厚さは、更に、100μm以上600μm以下が好ましく、150μm以上500μm以下がより好ましく、180μm以上450μm以下が更に好ましく、200μm以上400μm以下が特に好ましい。
また、基体の形状は、掃引方向(D)の長さよりも幅方向(D)の長さが長い形状とすることが好ましい。これにより、本発明の構成による効果を得易い。具体的には、例えば、基体の掃引方向(D)の長さをLD1とし、基体の幅方向(D)の長さをLD2とした場合に、長さの比(LD1/LD2)は、0.001以上0.25以下とすることができる。この比は、更に、0.005以上0.2以下が好ましく、0.01以上0.15以下がより好ましい。
〈2〉発熱層について
上記「発熱層(12)」は、通電により発熱される層であり、基体11の一面11a側に配置される。発熱層12は、通常、基体11の一面11a側のみに配置されるが、他面11b側にも設けることができる。
この発熱層12の具体的な形状等は特に限定されない。例えば、全面が一様の厚さの発熱シートであってもよいし、一連にされた所定のパターン形状を有する抵抗発熱配線であってもよい。本発明では、これらの前述した形態の発熱層であるよりも、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セルを備えた抵抗発熱配線であることが好ましい。
より具体的には、各抵抗発熱セルは、掃引方向(D)に対して略垂直に配置された複数の横配線部(122)と、横配線部(122)間を接続する縦配線部(123)と、が結ばれてつづら折り状に形成された抵抗発熱配線(121)であることが好ましい(図8参照)。
このようなつづら折り状にパターンニングされた抵抗発熱配線121である場合、横配線部122は縦配線部123より短くてもよいが、横配線部122が縦配線部123より長いことが好ましい。これにより、本発明の構成による効果を得易い。即ち、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セルである場合、各抵抗発熱セル間に熱の落ち込みを生じる場合があり、均熱化できることが有用である。同様に、掃引方向(D)に沿って配置される縦配線部123を有する場合にも、この縦配線部123による熱積算が大きくなりがちであり、均熱化できることが有用である。
このような観点からは、縦配線部123を有する場合には、縦配線123は、掃引方向(D)に対して傾斜されていることが好ましい。傾斜によって、1本の縦配線部123による熱積算を拡散させることができ、均熱化作用を得ることができる。具体的には、掃引方向(D)に対して0度に配置されている場合を傾斜されていない場合とすると、傾斜される場合、掃引方向(D)に対して−80度以上80度以下の範囲とすることができ、−60度以上60度以下が好ましく、−50度以上50度以下がより好ましい。
上述の各抵抗発熱セル間に熱の落ち込みは、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セル124を備えた抵抗発熱配線において、隣り合った抵抗発熱セル124同士の間に抵抗発熱配線が形成されていない非形成部125(特に、掃引方向に対して交差する非形成部)が存在する場合に顕著となる。このような非形成部125を有する抵抗発熱配線では、均熱層13を備えることによる均熱作用をより効果的に得ることができる。抵抗発熱セル124(抵抗発熱配線121)の形態や、非形成部125の形態としては、図8(a)〜(d)が例示される。
また、発熱層を構成する抵抗発熱材料は、通電によりその抵抗値に応じた発熱ができる材料であればよく、その種類は特に限定されない。例えば、銀、銅、金、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、レニウム(Re)及びルテニウム(Ru)等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合においては合金とすることができる。より具体的には、銀−パラジウム合金、銀−白金合金、白金−ロジウム合金、銀−ルテニウム、銀、銅及び金等を利用できる。
また、上述のように、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セルを備えた抵抗発熱配線を有する場合、各抵抗発熱セルを構成する各抵抗発熱配線は、どのような抵抗発熱特性を有してもよいが、各抵抗発熱セル間で、自己温度均衡作用(自己温度補完作用)を発揮できることが好ましい。その観点から、抵抗発熱セルを構成する抵抗発熱配線は、正の抵抗発熱係数を有する抵抗発熱材料から形成されていることが好ましい。具体的には、−200℃以上1000℃以下の温度範囲における抵抗温度係数が100ppm/℃以上4400ppm/℃以下である抵抗発熱材料が好ましく、更には、300ppm/℃以上3700ppm/℃以下である抵抗発熱材料がより好ましく、500ppm/℃以上3000ppm/℃以下である抵抗発熱材料が特に好ましい。このような抵抗発熱材料としては、銀−パラジウム合金等の銀系合金が挙げられる。
このように、正の抵抗温度係数を有する抵抗発熱材料を用いて形成された抵抗発熱配線が抵抗発熱セルを形成し、各々並列に接続されている場合、これらの複数の抵抗発熱セル同士は自己温度均衡の作用を奏する。即ち、例えば、第1の抵抗発熱セルと第3の抵抗発熱セルとに挟まれて、第2の抵抗発熱セルがある場合、第2の抵抗発熱セルの温度が低下すると、第2の抵抗発熱セルの抵抗値が下がることとなる。すると、この第2の抵抗発熱セルに流れる電流は増加してワット数が増えることとなり、第2の抵抗発熱セルは自律的に温度低下を補完するように振る舞うことができる。
各抵抗発熱セル同士が、実質的に同一の発熱量になるようにする場合、各抵抗発熱セルが実質的に同じ抵抗値となるように形成すればよい。その場合、抵抗発熱セルは、同じ線長、同じ線幅及び同じ厚さで、同様の抵抗発熱配線のパターンとして形成することができる。抵抗発熱配線の厚さは、例えば、面積固有抵抗の観点から3μm以上40μm以下とすることができる。
尚、実質的に同一の発熱量を有するとは、各抵抗発熱セルが、同じ測定条件下において、実質的に同じ抵抗温度係数と抵抗値を有することを意味する。例えば、抵抗発熱セル間での抵抗温度係数の差異が±20%以内であり、且つ、抵抗発熱セル間での抵抗値の差異が±10%以内とすることができる。
〈3〉絶縁層について
また、上述のように、基体11として導電性材料を用いる場合、基体11と発熱層12との間は絶縁する必要がある。即ち、絶縁層(14)を備えることができる。絶縁層14は、導電性材料から形成された基体11と発熱層12とを絶縁できる絶縁性を発揮できればよく、具体的な、材料及び形状等は限定されない。
この絶縁層14としては、ガラスグレーズ層やセラミックス層を用いることができる。これらのうちでは、ガラスグレーズ層が加工性の観点から好ましい。ガラスグレーズ層を構成するガラスは、非晶質ガラスであってもよく、結晶化ガラスであってもよく、半結晶化ガラスであってもよい。具体的には、SiO−Al−MO系ガラスが挙げられる。ここで、MOは、アルカリ土類金属の酸化物(MgO、CaO、BaO、SrO等)である。
また、絶縁層14は、例えば、基体11と発熱層12との間に1層のみを備えてもよく、2層以上を備えてもよい。2層以上を備える場合としては、異なる材質の絶縁層14を備える場合が挙げられる。
更に、絶縁層14の厚さは特に限定されないが、例えば、10μm以上400μm以下とすることができる。特に基体11が導電性材料(ステンレス等)から形成される場合、絶縁層14は、基体11と発熱層12との絶縁を担うことになる。この場合、基体11と発熱層12との間に配置される絶縁層14の厚さ((異なる材質の絶縁層14が2層以上介在されている場合には、これらの絶縁層14の合計厚さ))は、20μm以上300μm以下が好ましく、30μm以上200μm以下がより好ましく、40μm以上100μm以下が特に好ましい。
尚、例えば、図1において、基体11と発熱層12との間に配置される絶縁層14は、絶縁層141である。従って、上述の厚さは絶縁層141の厚さに対して適用され得る。
一方、絶縁を目的としない、ガラスグレーズ層としての使用において、ガラスグレーズ層の厚さ(他層を介挿せず焼成により一体化されたガラスグレーズ層全体の厚さ)は、例えば、1μm以上500μm以下とすることができる。この厚さは、2μm以上400μm以下が好ましく、3μm以上300μm以下がより好ましく、4μm以上200μm以下が特に好ましい。具体的には、例えば、図1において、発熱層12よりも、ヒータの一面1a側に配置されたガラスグレーズ層142及び143は、絶縁を目的としないガラスグレーズ層である。また、図1において、均熱層13よりも、ヒータの他面1b側に配置されたガラスグレーズ層141、142及び143は、絶縁を目的としないガラスグレーズ層である。
〈4〉均熱層について
上記「均熱層(13)」は、基体11と発熱層12との層間、及び、基体の他面11b側、のうちの少なくとも一方に配置された層であり、基体11を構成する材料よりも熱伝導率が大きい材料によって形成された層である。
この均熱層13は、発熱層12において形成された熱の起伏を均す役目を有している。即ち、加熱温度の落ち込みがある場合には、その周囲と同等の温度へ昇温させることができ、加熱温度の突出がある場合には、その周囲と同等の温度へ降温させて、熱の起伏を均すことができる。特に発熱層12が、所定のパターン形状を有した抵抗発熱配線を用いて形成されている場合、このパターン形状に起因して生じる熱の起伏を均すために好適である。即ち、パターン形状を有することによって、抵抗発熱配線が存在する部位と、存在しない部位とを生じ、抵抗発熱配線が存在する部位は、存在しない部位に比べて温度が高くなるという熱の起伏が形成される。このような熱の起伏を、均熱層13を通すことによって均し、温度差を小さくすることができる。このような観点から、均熱層13を設けることは、発熱層12として、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セル121を備えたヒータにおいて効果的である。
従って、均熱層13は、基体11と発熱層12との層間、及び、基体11の他面11b側(被加熱物と接することとなる表面側)、のうちの少なくとも一方に少なくとも配置される。即ち、発熱層12よりも、加熱面(被加熱物と接することとなる表面)に近い側に配置される。尚、当然ながら、発熱層12よりも、非加熱面(被加熱物と接しない表面)に近い側に併せて配置することもできる。
均熱層13は、基体11を構成する材料よりも熱伝導率が大きい材料によって形成されればよい。具体的には、例えば、熱伝導率が50W/mK以下と低熱伝導性であるステンレスを基体11とする場合、熱伝導率が100W/mK以上となる材料を均熱層13の材料として用いることが好ましい。具体的には、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、ニッケル等や、これらの金属のうちの少なくとも1種を含んだ合金を熱伝導性金属として用いることができる。これらの熱伝導性金属は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、銀、銅、アルミニウム及びこれらのうちの少なくとも1種を含んだ合金が好ましい。
また、例えば、熱伝導率が50W/mK以下と低熱伝導性であるアルミナ等のセラミックスを基体11とする場合にも、熱伝導率が100W/mK以上となる材料を均熱層13の材料として用いることが好ましい。具体的には、窒化アルミニウム等の熱伝導性セラミックスを利用できるほか、上述の各種熱伝導性金属を用いることができる。
均熱層13は、どのように形成してもよい。具体的には、めっき層(無電解めっき層、電界めっき層、これらの複合めっき層等)として均熱層13を設けることができる。また、熱伝導性材料を含んだペーストを印刷した後、その印刷塗膜を焼き付けることで均熱層13を形成できる。例えば、熱伝導性材料として金属粒子(金属粉末)を含んだ印刷ペーストを利用できる。この場合、印刷ペーストは、金属粒子以外にも、ペースト化するためのビヒクルや、共生地としてのガラス成分やセラミック成分を含むことができる。
このような印刷ペーストを焼き付けて得られる均熱層13は、例えば、図16(a)及び図16(b)に示すような複数の金属粒子が連なって形成された金属多孔部135aと、金属多孔部135aの間隙に配置された非金属部135bと、を有した均熱層13が得られる。また、図16において図16(a)は、複数の金属粒子が互いに接して連なった金属多孔部135aを示しており、図16(b)は、複数の金属粒子同士は、焼き付けにより互いに融着して連なった金属多孔部135aを示している。本発明のヒータ1において均熱層13は、図16(a)の形態を呈してもよく、図16(b)の形態を呈してもよく、これら両方の形態を複合的に有する形態であってもよいが、図16(b)の形態を有することが好ましい。即ち、均熱層13は、複数の金属粒子が互いに融着して連なった金属多孔部135aを有することが好ましい。この形態では、より高い熱伝導を得ることができる。
一方、非金属部135bは、ガラス成分やセラミック成分(セラミック及びガラスセラミックを含む)により形成される。即ち、本発明のヒータ1における均熱層13が非金属部135bを有する場合、非金属部135bは、ガラスのみ、又は、ガラス及びセラミックからなることができる。
金属多孔部135aと非金属部135bとを有する場合、これらの合計を100質量%とした場合(とりわけ、金属多孔部135aが銀であり、非金属部135bがガラスである場合)に、非金属部135bの割合は特に限定されないが0.1質量%以上であることが好ましい。このような非金属部135bを有することにより、均熱層13を介在して、その一面側の隣接層と、他面側の隣接層と、の接合性を向上させながら、優れた均熱性を得ることができる。また、非金属部135bは、通常、20質量%以下とすることが好ましい。この割合は、更に、0.2質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上12質量%以下が更に好ましい。
均熱層13は、上述のように、基体11と発熱層12との層間、及び、基体の他面11b側、のうちの少なくとも一方に配置されればよい。従って、均熱層13としては、例えば、下記(1)の直接積層型の均熱層(131)と、下記(2)の間接積層型の均熱層(132)と、の2つの形態が挙げられる。
(1)直接積層型の均熱層131は、基体11に直接積層された均熱層13である。この直接積層型の均熱層131は、基体11と均熱層13との層間に絶縁層14等の他層を介さずに積層されている。
(2)間接積層型の均熱層132は、基体11と均熱層13との間に他層を介して積層されている。他層としては、具体的には、ガラスグレーズ層(絶縁層14)が挙げられる。
これらの直接積層型の均熱層131と、間接積層型の均熱層132と、は1つのヒータにおいて、いずれか一方のみを有してもよく、これらの両方を備えてもよい。
直接積層型の均熱層131を備える場合としては、基体11の一面(11a)にのみ備える形態、基体11の他面(11b)にのみ備える形態、基体11の一面(11a)及び他面(11b)の両面に備える形態、が挙げられる。これらのうちでは、基体11の一面(11a)にのみ備える形態、又は、基体11の一面(11a)及び他面(11b)の両面に備える形態、が好ましい。
この直接積層型の均熱層131の層厚は特に限定されないが、均熱層(13、131)の厚さをDとし、基体11の厚さをDとした場合に、DとDとの比D/Dは、0.6以下であることが好ましい。この比は、更に、0.001以上0.6以下がより好ましく、0.005以上0.57以下が更に好ましく、0.008以上0.53以下がより更に好ましく、0.01以上0.50以下が特に好ましい。より具体的には、直接積層型の均熱層131の層厚は、1μm以上250μm以下が好ましく、1μm以上150μm以下がより好ましく、2μm以上120μm以下が更に好ましく、3μm以上60μm以下がより更に好ましく、3μm以上40μm以下が特に好ましく、3μm以上30μm以下がとりわけ好ましい。
また、上記のうち、両面に備える形態では、各直接積層型の均熱層131は、各々同じ厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。更には、同じ形状(パターン形状等)であってもよいし、異なる形状であってもよい。
一方、間接積層型の均熱層132を備える場合としては、基体11の一面(11a)側にのみ備える形態、基体11の他面(11b)側にのみ備える形態、基体11の一面(11a)側及び他面(11b)側の両面側に備える形態、が挙げられる。これらのうちでは、基体11の一面(11a)にのみ備える形態が好ましい。間接積層型の均熱層132は、直接積層型の均熱層131に比べて基体11の他面(11b)に設けることによるヒータ1全体に対する均熱効果が低いためである。
この間接積層型の均熱層132の層厚は特に限定されないが、均熱層(13、132)の厚さをDとし、基体11の厚さをDとした場合に、DとDとの比D/Dは、0.6以下であることが好ましい。この比は、更に、0.001以上0.6以下がより好ましく、0.005以上0.57以下が更に好ましく、0.008以上0.53以下がより更に好ましく、0.01以上0.50以下が特に好ましい。より具体的には、間接積層型の均熱層132の層厚は、1μm以上250μm以下が好ましく、1μm以上150μm以下がより好ましく、2μm以上120μm以下が更に好ましく、3μm以上60μm以下がより更に好ましく、3μm以上40μm以下が特に好ましく、3μm以上30μm以下がとりわけ好ましい。
また、間接積層型の均熱層132は、1つのヒータ1において何層を備えてもよい。即ち、1層のみを備えてもよいし、2層以上を備えてもよい。通常、より多くの層数を備えることで、より高い均熱性が得られるが、間接積層型の均熱層132の層数の過度な増加は、ヒータ1の耐熱衝撃や、反り防止の観点から好ましくはない。このため、1層以上10層以下が好ましく、1層以上5層以下がより好ましく、1層以上3層以下が特に好ましい。間接積層型の均熱層132を2層以上備える場合、各々の均熱層13は、同じ厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。更には、同じ形状(パターン形状等)であってもよいし、異なる形状であってもよい。
特に、基体11が厚さ100μm以上600μm以下であるステンレス基体(ステンレス製の基体)である場合、均熱層13は、その合計厚さを60μm以下(更には30μm以下)に抑えることで効果的にヒータ全体の反りを防止できるとともに、均熱作用に優れた範囲の層厚で利用できる。
一方、均熱化の観点からは、均熱層13の厚さは厚い方が効果は得られ易い、例えば、基体11の他面11b側に、合計厚さ30μmを超える均熱層13を設ける場合には、基体11の一面11a側(特に、基体11と発熱層12との層間が好ましい)に、同じ厚さの均熱層13を対称は配置となるように設けてヒータ全体の反りを防止できる。更に、同じ厚さの均熱層13を設けることが難しい場合、基体11の他面11b側に設けられた均熱層13の合計厚さに対し、25%以上95%以下の厚さ割合となる均熱層13を、基体11の一面11a側(特に、基体11と発熱層12との層間が好ましい)に、設けることで、ヒータ全体の反りを十分に抑制することができる。上記厚さ割合は、30%以上92%以下が好ましく、35%以上88%がより好ましく、40%以上85%以下が特に好ましい(図7参照)。
尚、均熱層13の厚さは厚い方が効果は得られ易いものの、厚さを過度に大きくしても、厚さの増加分に対して、得られる均熱作用が小さくなる傾向がある。このため、例えば、基体11が厚さ100μm以上600μm以下であるステンレス基体に対しては、均熱層13の合計層厚は、上述のように250μm以下とすることが好ましい。
本ヒータ1において、直接積層型の均熱層131と、間接積層型の均熱層132と、を比較すると、直接積層型の均熱層131の方が、より高い均熱性を示す傾向がある。従って、本発明のヒータ1では、少なくとも、直接積層型の均熱層131を備えていることが好ましい。
また、本ヒータ1において、直接積層型の均熱層131を備えたうえで、間接積層型の均熱層132を備える場合、直接積層型の均熱層131に対して、間接積層型の均熱層132は、より加熱面に近い側に配置することが好ましい。
とりわけ、導電性材料を基体材料とするヒータ1(例えば、ステンレス基板)では、基体11と発熱層12とを絶縁する必要があり、絶縁層14が設けられる。絶縁層14は、ガラスグレーズによって形成できる。そして、このような絶縁層14を設ける場合、基体11に対して、表裏で均等な配置及び厚さとなるように設けることで、ヒータ1全体の反りを防止するため、基体11と発熱層12との層間以外にも、絶縁を目的とせずとも、反り防止の目的で絶縁層14が設けられることが多い。このような絶縁層14は、通常、熱伝導性が低い材料であり、例えば、ガラスグレーズの熱伝導率は5W/mK以下である。従って、本ヒータ1において、間接積層型の均熱層132を設けるということは、熱伝導性の低い絶縁層14(絶縁を目的とした層でなくともよい)の層間に均熱層13を設けることとなり、均熱効果を得る観点から好ましい。
更に、前述のように、間接積層型の均熱層132には、均熱層13として、表面及び裏面の両面をガラスグレーズ層(絶縁層14)によって覆った形態があるが、この場合、間接積層型の均熱層132に欠落部(133X)を設け(図8(a)及び図9参照)、この欠落部133Xを介して、間接積層型の均熱層132の表面を覆うガラスグレーズ層(絶縁層14)と、間接積層型の均熱層132の裏面を覆うガラスグレーズ層(絶縁層14)と、を融着させた形態とすることができる。このようにガラスグレーズ層を表裏で融着させることで、ヒータ1の間接積層型の均熱層132を備える層間における接合性を向上させることができるとともに、ヒータ1の耐熱衝撃性及び反り防止性を向上させることができる。
上述の欠落部133Xとしては、切欠き(133S)や、表裏に貫通した貫通孔(133H)が挙げられる(図8(a)及び図9参照)。これらは一方のみを有してもよく、両方を有してもよい。また、欠落部133Xを備える場合、この欠落部133Xは、熱起伏のより小さい箇所に配置されることが好ましい。即ち、欠落部133Xを設けることにより、この部位の均熱性が他部に比べて低下するため、この箇所は、発熱層12による温度差が小さい位置に配置することが好ましい。
より具体的には、発熱層12が、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セルを備える場合には、各抵抗発熱セル間に欠落部133Xを配置することが好ましい(図8(a)参照)。また、抵抗発熱セルが、掃引方向(D)に対して略垂直に配置された複数の横配線部と、横配線部間を接続する縦配線部と、を有し、横配線部122及び縦配線部123が結ばれてつづら折り状に形成された抵抗発熱配線121である場合には、対応する縦配線部123を避けて欠落部133Xを配置することが好ましい。即ち、ヒータ1を平面視した場合に、縦配線部123の投影像と、欠落部133Xの投影像とが、重ならないように配置することが好ましい(図8(a)参照)。更に、換言すれば、縦配線部123の投影像が、均熱層13の実在部と重なっていることが好ましい。
また、当然ながら、上述のような欠落部133X(切欠き133S及び貫通孔133Hを含む)を有した均熱層13は、直接積層型の均熱層131か、間接積層型の均熱層132か、に関係無く、いずれの均熱層13においても有効である。即ち、均熱層13が欠落部133を有する場合には、欠落部133を介して、均熱層の一面側に隣接した層と、均熱層の他面側に隣接した層とが接合されて、より耐久性の高いヒータ1を得ることができる。具体的には、間接積層型の均熱層132の場合では、上述のように、均熱層の一面側に隣接した層も、均熱層の他面側に隣接した層も、ガラスグレーズ層であり、これらのガラスグレーズ層同士が接合される。また、直接積層型の均熱層131の場合であって、基体11がステンレス基板である場合、均熱層の一面側に隣接した層はステンレス基板であり、均熱層の他面側に隣接した層はガラスグレーズ層とすることができる。この場合には、ステンレス基板とガラスグレーズ層との強固な接合を得ることができる。
本ヒータ1において、均熱層13は、直接積層型の均熱層131であるか、間接積層型の均熱層132であるかに関わらず、パターンニング(即ち、欠落部133Xを有する平面形状)を有することができる。具体的には、均熱層13は、非連続的な層として配置できる。例えば、所定の層間において、熱起伏が大きい箇所にのみパッチ(均熱層13の一部)を配置し、熱起伏が小さい箇所は欠落部133Xとすることができる(図8(a)参照)。更に、所定の層間において、熱起伏が大きい箇所の均熱層13の厚さを厚くし、熱起伏が小さい箇所の均熱層13の厚さを相対的に薄く形成することができる。
更に、欠落部133Xを有する平面形状をなす均熱層13の具体的な形状は限定されないが、図8(a)及び図9以外にも、図17(b)〜(g)等を例示できる(図17(a)は欠落部133Xを有さない平面形状を例示している)。
即ち、図17(b)は、水玉模様のように個片化された均熱層片の集合体として均熱層13が形成された形態であり、各均熱層片の間隙として連続された欠落部133Xを有する。また、図17(c)及び図17(d)は、狭幅方向(掃引方向)への面積率が揃うようにパターニングされた均熱層13である。このうち、図17(c)は、欠落部133Xとして、長方形状の貫通孔133Hと、長方形状の欠落部133Sを有する。一方、図17(d)は、長方形状に個片化された均熱層片の集合体として均熱層13が形成された形態であり、各均熱層片の間隙として連続された欠落部133Xを有する。
更に、図17(e)〜(g)は、いずれも、ストライプ形状に個片化された均熱層片の集合体として均熱層13が形成された形態であり、各均熱層片の間隙として対応したストライプ状の欠落部133Xを有する。このうち、図17(e)は、長手方向に沿った(掃引方向に直交した)ストライプ形状の均熱層13である。また、図17(f)は、長手方向にも幅方向にも交差するように傾斜された(掃引方向に傾斜された)ストライプ形状の均熱層13である。更に、図17(g)は、幅方向に沿った(長手方向に直交し、掃引方向に沿った)ストライプ形状の均熱層13である。尚、これらのストライプ形状の均熱層13では、必要に応じて、ストライプ幅や欠落部133Xの幅に粗密を設けることができる。
〈5〉その他の層について
本発明のヒータ1では、基体11、発熱層12、均熱層13及び絶縁層14以外にも、他層を備えることができる。他層としては、グレーズガラスで構成したオーバーコート層、ポリイミドフィルムで構成したオーバーコート層(ポリイミド層)、所定以上の高温時に溶融して発熱層12への通電を遮断できる自己通電遮断層(特開2002−359059号公報に記載の技術を適用できる)等が挙げられる。このうち、上述のオーバーコート層は、摺動面の耐久性(耐摩耗性)を向上させたり、清浄性を高めたりする目的で利用できる。これらの層は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
〈6〉ヒータの加熱面について
本ヒータ1において加熱面は、基体11に対して、一面11a側に配置されてもよく、他面11b側に配置されてもよく、更には、これらの両面の側に配置されてもよい。即ち、どの面を用いて、被加熱物を加熱してもよいが、基体11の他面11b側の表面を、被加熱物との対向面とすることが好ましい。即ち、発熱層12とは、基体11を挟んで反対側の面を、被加熱物との対向面とすることが好ましい。このように加熱面を配置することで、均熱層13を備えることによる均熱効果をより得易くすることができる。
尚、基体11は、平板形状であってもよいが、湾曲形状とすることもできる。即ち、ヒータ1の加熱面と被加熱物とを対面された状態で、被加熱物とヒータとを相対的に掃引させて被加熱物を加熱する場合、基体11の掃引方向(D)の断面形状は、掃引方向(D)と直交する軸を中心として被加熱物との対面側に凸状な円弧形状(即ち、円柱又は円筒を、中心軸に平行な平面で切り取った形状)とすることができる。このような形状とすることにより、ヒータ1を円筒状のロールに取り付け、ロールを回転させることによって、ロール上を掃引される被加熱物を効率的に加熱することができる。
〈7〉用途について
本ヒータ1は、印刷機、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置や定着装置等に組み込まれて、記録媒体にトナーやインク等を定着する定着用ヒータとして利用できる。また、加熱機に組み込まれて、パネル等の被処理体を均一に加熱(乾燥又は焼成など)する加熱装置として利用できる。その他、金属製品の熱処理、各種形状の基体に形成された塗膜、被膜の熱処理等を好適に行うことができる。具体的には、フラットパネルディスプレイ用の塗膜(フィルター構成材料)の熱処理、塗装された金属製品、自動車関連製品、木工製品等の塗装乾燥、静電植毛接着乾燥、プラスチック加工製品の熱処理、プリント基板のはんだリフロー、厚膜集積回路の印刷乾燥等に利用することができる。
[2]定着装置
本ヒータ1を備える定着装置は、加熱対象や定着手段等により、適宜選択された構成とすることができる。例えば、圧着を伴う定着手段を備えて、紙等の記録用媒体にトナー等を定着させる場合や、複数の部材を貼り合わせる場合には、ヒータを備える加熱部と、加圧部とを備える定着装置とすることができる。勿論、圧着を伴わない定着手段とすることもできる。本発明においては、紙、フィルム等の記録用媒体の表面に形成されたトナーを含む未定着画像を記録用媒体に定着させる定着装置5であることが好ましい。
図10は、電子写真方式の画像形成装置に配設される定着装置5の要部を示している。定着装置5は、回転可能な定着用ロール51と、回転可能な加圧用ロール54とを備え、ヒータ1は定着用ロール51の内部に配設されている。ヒータ1は、好ましくは、定着用ロール51の内表面に近接するように配設される。
ヒータ1は、例えば、図12に示される定着手段5のように、ヒータ1の発した熱を伝導可能な材料からなるヒータホルダ53の内部に固定されて、ヒータ1の発熱を、定着用ロール51の内側から外表面に伝える構造とすることもできる。
図11もまた、電子写真方式の画像形成装置に配設される定着装置5の要部を示している。定着装置5は、回転可能な定着用ロール51と、回転可能な加圧用ロール54とを備え、定着用ロール51に熱を伝えるヒータ1、及び、加圧用ロール54と共に記録用媒体を圧接する加圧用ロール52、が定着用ロール51の内部に配設されている。ヒータ1は、定着用ロール51の円筒面に沿うように配設されている。
図10又は図11に示された定着装置5において、図示していない電源装置から電圧を加えることによりヒータ1を発熱させ、その熱が定着用ロール51に伝えられる。そして、表面に未定着のトナー画像を有する記録用媒体が、定着用ロール51と加圧用ロール54との間に供給されると、定着用ロール51及び加圧用ロール54の圧接部において、トナーが溶融して定着画像が形成される。定着用ロール51及び加圧用ロール54の圧接部を有するので、連れだって回転する。前記のように、ヒータ1は、小さい記録用媒体を用いた際に発生しやすい局所的な温度上昇が抑制されるので、定着用ロール51における温度むらが発生しにくく、定着を均一に行うことができる。
本ヒータ1を備える定着装置の他の態様としては、上型及び下型を備える金型であって、上型及び下型の少なくとも一方の内部にヒータを配設した態様とすることができる。
本ヒータ1を備える定着装置は、電子写真方式の印刷機、複写機等の画像形成装置をはじめ、家庭用の電気製品、業務用、実験用の精密機器等に装着して、加熱、保温等の熱源として好適である。
[3]画像形成装置
本ヒータ1を備える画像形成装置は、加熱対象や加熱目的等により、適宜選択された構成とすることができる。本発明においては、図12に示されるように、紙、フィルム等の記録用媒体の表面に未定着画像を形成する作像手段と、未定着画像を記録用媒体に定着させる定着手段5とを備え、定着手段5が本ヒータ1を備える画像形成装置4であることが好ましい。画像形成装置4は、上記手段の他、記録用媒体搬送手段や、各手段を制御するための制御手段を備えて構成することができる。
図12は、電子写真方式の画像形成装置4の要部を示す概略図である。作像手段としては、転写ドラムを備える方式及び転写ドラムを備えない方式のいずれでもよいが、図12は、転写ドラムを備える態様である。
作像手段では、回転しながら、帯電装置43により所定の電位に帯電処理された感光ドラム44の帯電処理面に、レーザースキャナー41から出力されるレーザーが照射され、現像器45から供給されるトナーにより静電潜像が形成される。次いで、電位差を利用して、感光ドラム44と連動する転写ドラム46の表面に、トナー画像が転写される。その後、転写ドラム46及び転写用ロール47の間に供給される記録用媒体の表面に、トナー画像が転写され、未定着画像を有する記録用媒体が得られる。トナーは、結着樹脂と着色剤と添加剤とを含む粒子であり、結着樹脂の溶融温度は、通常、90℃〜250℃である。尚、感光ドラム44及び転写ドラム46の表面には、不溶なトナー等を除去するための清掃装置を備えることができる。
定着手段5は、前記定着装置5と同様の構成とすることができ、加圧用ロール54と、通紙方向通電型のヒータ1を保持したヒータホルダ53を内部に備え、加圧用ロール54と連動する定着用ロール51と、を備える。作像手段からの未定着画像を有する記録用媒体は、定着用ロール51及び加圧用ロール54の間に供給される。定着用ロール51の熱が、記録用媒体のトナー画像を溶融し、更に、溶融したトナーが、定着用ロール51と加圧用ロール54との圧接部で加圧されて、トナー画像が記録用媒体に定着される。図12の定着手段5においては、定着用ロール51に代えて、ヒータ1を近接配置した定着用ベルトを備える態様であってもよい。
一般に、定着用ロール51の温度が不均一となって、トナーに与えられる熱量が小さすぎる場合にはトナーが記録用媒体から剥がれ、一方、熱量が大きすぎる場合にはトナーが定着用ロール51に付着し、定着用ロール51が一周して記録用媒体に再付着してしまうことがある。本発明のヒータを備える定着手段5によれば、所定の温度へ迅速に調整されるので、不具合を抑制することができる。
本発明の画像形成装置は、使用時に非通紙領域の過昇温が抑制され、電子写真方式の印刷機、複写機等として好適である。
[4]加熱装置
本ヒータを備える加熱装置は、加熱対象の大きさや形状等により、適宜選択された構成とすることができる。本発明においては、例えば、筐体部と、被熱処理物の出し入れ等のために配された密閉可能な窓部と、筐体部の内部に配された移動可能なヒータ部と、を備えて構成することができる。必要に応じて、筐体部の内部に、被熱処理物を配置する被熱処理物設置部、被熱処理物の加熱により気体が排出された場合に、この気体を排出する排気部、筐体部の内部の圧力を調整する、真空ポンプ等の圧力調整部等を備えることができる。また、加熱は、被熱処理物及びヒータ部を固定した状態で行ってよいし、いずれか一方を移動させながら行ってもよい。
本加熱装置は、水、有機溶剤等を含む被熱処理物の乾燥を、所望の温度で行う装置として好適である。そして、真空乾燥機(減圧乾燥機)、加圧乾燥機、除湿乾燥機、熱風乾燥機、防爆型乾燥機等として用いることができる。また、LCDパネル、有機ELパネル等の未焼成物の焼成を、所望の温度で行う装置として好適である。そして、減圧焼成機、加圧焼成機等として用いることができる。
以下では、本発明を、実施例を用いて説明する。
[1]ヒータの作製
下記の要領によって、実施例1〜4及び比較例1のヒータを作製した。
(1)実施例1のヒータ(図1参照)
厚さ300μmのステンレスフィルム(SUS430、熱伝導率26W/mK)を基体11とした。
この基体11の他面11b側の表面に、銀ペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ8μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した。
次いで、絶縁ガラスペーストを、基体11の一面11a側の表面、及び、均熱層13の表面、に塗布した後、焼き付けて、厚さ75μmのガラスグレーズ層(絶縁層141)を形成した。
更に、基体11の一面11a側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、発熱層12となる未焼成層をパターニング形成した後、焼き付けて、発熱層12を形成した。この発熱層12は、Ag−Pdを含み、正の抵抗発熱係数を有する抵抗発熱配線であって、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セルを備え、各抵抗発熱セルは、掃引方向に対して略垂直に配置された複数の横配線部と、この横配線部間を接続する縦配線部と、が結ばれてつづら折り状に形成された抵抗発熱配線121によって形成されている。尚、この発熱層12は、抵抗発熱配線121以外に、抵抗発熱配線121へ給電を行うための給電ランド及び給電用配線(図示されない)を有する。これらの給電ランド及び給電用配線は、銀ペーストにより抵抗発熱配線121の形成と前後してスクリーン印刷及び焼き付けにより形成している。
その後、絶縁ガラスペーストを、基体11の他面11b側に露出された絶縁層141の表面と、基体11の一面11a側に露出された絶縁層141及び発熱層12の両表面と、に塗布した後、焼き付けて、厚さ50μmのガラスグレーズ層(絶縁層142)を形成した。
次いで、絶縁ガラスペーストを、基体11の一面11a側に露出された絶縁層142と、基体11の他面11b側に露出された絶縁層142の表面と、に塗布した後、焼き付けて、厚さ20μmのガラスグレーズ層(絶縁層143)を形成して、実施例1(図1)のヒータ1を得た。
(2)実施例2のヒータ(図2参照)
実施例1と同じ、厚さ300μmのステンレスフィルムを基体11とした。
この基体11の一面11a側の表面に、銀ペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ8μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した。
次いで、絶縁ガラスペーストを、基体11の他面11b側の表面、及び、均熱層13の表面、に塗布した後、焼き付けて、厚さ75μmのガラスグレーズ層(絶縁層141)を形成した。
更に、基体11の一面11a側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、発熱層12となる未焼成層をパターニング形成した後、焼き付けて、発熱層12を形成した。この発熱層12は、実施例1と同様である。
その後、絶縁ガラスペーストを、基体11の他面11b側に露出された絶縁層141の表面と、基体11の一面11a側に露出された絶縁層141及び発熱層12の両表面と、に塗布した後、焼き付けて、厚さ50μmのガラスグレーズ層(絶縁層142)を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、厚さ20μmのガラスグレーズ層(絶縁層143)を形成して、実施例2(図2)のヒータ1を得た。
(3)実施例3のヒータ(図3参照)
実施例1と同じ、厚さ300μmのステンレスフィルムを基体11とした。
この基体11の一面11a側の表面、及び、他面11b側の表面、の両表面に、銀ペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ8μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した。
次いで、絶縁ガラスペーストを、基体11の一面11a側、及び、他面11b側、の各々の均熱層13の表面、に塗布した後、焼き付けて、厚さ75μmのガラスグレーズ層(絶縁層141)を形成した。
更に、基体11の一面11a側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、発熱層12となる未焼成層をパターニング形成した後、焼き付けて、発熱層12を形成した。この発熱層12は、実施例1と同様である。
その後、絶縁ガラスペーストを、基体11の他面11b側に露出された絶縁層141の表面と、基体11の一面11a側に露出された絶縁層141及び発熱層12の両表面と、に塗布した後、焼き付けて、厚さ50μmのガラスグレーズ層(絶縁層142)を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、厚さ20μmのガラスグレーズ層(絶縁層143)を形成して、実施例3(図3)のヒータ1を得た。
(4)実施例4のヒータ(図4参照)
実施例1と同じ、厚さ300μmのステンレスフィルムを基体11とした。
この基体11の他面11b側の表面に、銀ペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ8μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した。
次いで、絶縁ガラスペーストを、基体11の一面11a側の表面、及び、均熱層13の表面、に塗布した後、焼き付けて、厚さ75μmのガラスグレーズ層(絶縁層141)を形成した。
更に、基体11の一面11a側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、発熱層12となる未焼成層をパターニング形成した後、焼き付けて、発熱層12を形成した。この発熱層12は、実施例1と同様である。
その後、基体11の他面11b側に露出された絶縁層141の表面に、銀ペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ8μmの均熱層13(間接積層型の均熱層132)を形成した。
その後、絶縁ガラスペーストを、間接積層型の均熱層132の表面と、基体11の一面11a側に露出された絶縁層141及び発熱層12の両表面と、に塗布した後、焼き付けて、厚さ50μmのガラスグレーズ層(絶縁層142)を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、厚さ20μmのガラスグレーズ層(絶縁層143)を形成して、実施例4(図4)のヒータ1を得た。
(5)比較例1のヒータ(図15参照)
実施例1と同じ、厚さ300μmのステンレスフィルムを基体11とした。
この基体11の一面11a側の表面、及び、他面11b側の表面、の両方面に、絶縁ガラスペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ75μmのガラスグレーズ層(絶縁層141)を形成した。
更に、基体11の一面11a側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、発熱層12となる未焼成層をパターニング形成した後、焼き付けて、発熱層12を形成した。この発熱層12は、実施例1と同様である。
その後、基体11の一面11a側に露出された絶縁層141及び発熱層12の両表面と、基体11の他面11b側に露出された絶縁層141と、の表面に、絶縁ガラスペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ50μmのガラスグレーズ層(絶縁層142)を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、厚さ20μmのガラスグレーズ層(絶縁層143)を形成して、比較例1(図15)のヒータを得た。
[2]均熱層の効果の確認
上記[1]で得られた実施例1〜4及び比較例1のヒータの各々に、交流45Vの電圧を印加し、各ヒータ1の表面の最高温度が260℃に達した時点で、サーモトレーサー(NEC Avio赤外線テクノロジー株式会社製、型式「TH9100MR」)を利用して、各ヒータ1全体の温度データを一括して取得した。その後、得られたデータから、各ヒータ1の掃引方向(D)の幅中央部における温度データをピックアップして、グラフ化し、このグラフにおける最高温度と最低温度との温度差を算出した。
上記の測定を各ヒータに毎に3回行い、得られた温度差の平均値を算出し、グラフとして図13に示した。その結果、比較例1のヒータの温度差が18.03℃であったのに対して、実施例1は13.10℃、実施例2は13.00℃、実施例3は12.43℃、実施例4は12.50℃であった。即ち、実施例1は27.3%、実施例2は27.9%、実施例3は31.1%、実施例4は30.7%、各々温度差を縮小でき、いずれも優れた均熱効果が得られていることが分かった。
[3]均熱層の厚さと形成位置との相関
(1)実施例5のヒータ(図1参照)
基体11の他面11b側の表面に、厚さ8μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例5のヒータ1を得た。即ち、実施例5のヒータ1は、合計厚さ8μmの直接積層型の均熱層131を有することになる。
(2)実施例6のヒータ(図3参照)
基体11の一面11a及び他面11bの両表面に、各々厚さ8μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した以外は、実施例3と同様にして、実施例6のヒータ1を得た。即ち、実施例6のヒータ1は、合計厚さ16μmの直接積層型の均熱層131を有することになる。
(3)実施例7のヒータ(図5参照)
実施例1と同じ、厚さ300μmのステンレスフィルムを基体11とした。
この基体11の一面11a側の表面、及び、他面11b側の表面、の両方面に、絶縁ガラスペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ75μmのガラスグレーズ層(絶縁層141)を形成した。
更に、基体11の一面11a側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、発熱層12となる未焼成層をパターニング形成した後、焼き付けて、発熱層12を形成した。この発熱層12は、実施例1と同様である。
更に、基体11の他面11b側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、銀ペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ8μmの均熱層13(間接積層型の均熱層132)を形成した。
その後、基体11の一面11a側に露出された絶縁層141及び発熱層12の両表面と、基体11の他面11b側に露出された均熱層13と、の表面に、絶縁ガラスペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ50μmのガラスグレーズ層(絶縁層142)を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、厚さ20μmのガラスグレーズ層(絶縁層143)を形成して、実施例7(図5)のヒータを得た。即ち、実施例7のヒータ1は、合計厚さ8μmの間接積層型の均熱層132を有することになる。
(4)実施例8のヒータ(図6参照)
実施例1と同じ、厚さ300μmのステンレスフィルムを基体11とした。
この基体11の一面11a側の表面、及び、他面11b側の表面、の両方面に、絶縁ガラスペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ75μmのガラスグレーズ層(絶縁層141)を形成した。
更に、基体11の一面11a側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、発熱層12となる未焼成層をパターニング形成した後、焼き付けて、発熱層12を形成した。この発熱層12は、実施例1と同様である。
更に、基体11の他面11b側に形成した絶縁層141の表面に、スクリーン印刷により、銀ペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ8μmの均熱層13(間接積層型の均熱層132)を形成した。
その後、基体11の一面11a側に露出された絶縁層141及び発熱層12の両表面と、基体11の他面11b側に露出された均熱層13と、の表面に、絶縁ガラスペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ50μmのガラスグレーズ層(絶縁層142)を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、厚さ20μmのガラスグレーズ層(絶縁層143)を形成した。
更に、基体11の他面11b側に形成したガラスグレーズ層(絶縁層143)の表面に、スクリーン印刷により、銀ペーストを塗布した後、焼き付けて、厚さ8μmの均熱層13(間接積層型の均熱層132)を形成して、実施例8(図6)のヒータを得た。即ち、実施例8のヒータ1は、合計厚さ16μmの間接積層型の均熱層132を有することになる。
(5)実施例9のヒータ(図5参照)
銀ペーストを3回塗布した後、焼き付けて、厚さ24μmの均熱層13(間接積層型の均熱層132)を形成した以外は、実施例7と同様にして、実施例9のヒータを得た。即ち、実施例9のヒータ1は、合計厚さ24μmの間接積層型の均熱層132を有することになる。
(6)実施例10のヒータ(図1参照)
基体11の他面11b側の表面に、厚さ24μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例10のヒータ1を得た。即ち、実施例10のヒータ1は、合計厚さ24μmの直接積層型の均熱層131を有することになる。
(7)実施例11のヒータ(図3参照)
基体11の一面11a及び他面11bの両表面に、各々厚さ36μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した以外は、実施例3と同様にして、実施例11のヒータ1を得た。即ち、実施例11のヒータ1は、合計厚さ72μmの直接積層型の均熱層131を有することになる。
(8)実施例12のヒータ(図3参照)
基体11の一面11a及び他面11bの両表面に、各々厚さ54μmの均熱層13(直接積層型の均熱層131)を形成した以外は、実施例3と同様にして、実施例11のヒータ1を得た。即ち、実施例11のヒータ1は、合計厚さ108μmの直接積層型の均熱層131を有することになる。
(9)実施例13のヒータ(図5参照)
厚さ54μmの均熱層13(間接積層型の均熱層132)を形成した以外は、実施例7と同様にして、実施例13のヒータを得た。即ち、実施例13のヒータ1は、合計厚さ54μmの間接積層型の均熱層132を有することになる。
(10)実施例14のヒータ(図6参照)
絶縁層141の他面側の表面に厚さ54μmの均熱層13(間接積層型の均熱層132)を形成、ガラスグレーズ層(絶縁層143)の他面側の表面に厚さ18μmの均熱層13(間接積層型の均熱層132)を形成した以外、実施例8と同様にして、実施例14のヒータを得た。即ち、実施例14のヒータ1は、合計厚さ72μmの間接積層型の均熱層132を有することになる。
(11)測定1
上記[3](1)〜(5)で得られた実施例5〜9のヒータを用いて、均熱層の厚さと形成位置との相関について検討を行った。上記[2]と同様の測定を行って、最高温度と最低温度との温度差を求めた。更に、その結果をグラフとして図14に示した。
図14において、実施例5〜実施例6を結ぶラインは、直接積層型の均熱層131を用いた場合の均熱化効果と均熱層の厚みとの相関を示している。一方、実施例7〜実施例9を結ぶラインは、間接積層型の均熱層132を用いた場合の均熱化効果と均熱層の厚みとの相関を示している。
この図14の結果から、直接積層型の均熱層131の厚さと、間接積層型の均熱層132の厚さとを、同じ厚さにした場合に、温度差をより低減する効果が高いのは、直接積層型の均熱層131であることが分かる。
(12)測定2
上記[1](5)で得られた比較例1のヒータ、上記[3](1)〜(10)で得られた実施例5〜14のヒータを用いて、均熱層の厚さと形成位置との相関について検討を行った。上記[2]と同様の測定を行って、最高温度と最低温度との温度差(各ヒータ毎に3回の測定を行い、得られた各データにおける温度差の平均値)を求めた。更に、その結果をグラフとして図18に示した。
この図18の結果から、直接積層型の均熱層131であるか、間接積層型の均熱層132であるか、比較例1に対して、厚さ8μmと極めて薄い均熱層13を設けることにより、飛躍的な均熱作用(温度差の低減作用)が発揮されることが分かる。即ち、比較例1における温度差が18.3℃であるのに対し、実施例5(直接積層型均熱層8μm)では11.2℃、実施例7(間接積層型均熱層8μm)では13.0℃となった。これは、実施例5では38.8%の均熱作用が得られ、実施例7では29.0%の均熱作用が得られているといえる。そして、この顕著な均熱作用は合計厚さが30μm程度まで得られることが、図18から分かる。
しかしながら、図18から、直接積層型の均熱層131であるか、間接積層型の均熱層132であるか、に関わらず、均熱層厚さの増大に対し、得られる均熱作用が次第に縮小する様子が分かる。即ち、比較例1に対する実施例7、実施例8及び実施例9の各均熱作用や、比較例1に対する実施例5、実施例6及び実施例10の各均熱作用は、極めて優れているのに対し、これらの均熱作用に比べて、実施例11に対する実施例12の均熱作用や、実施例13に対する実施例14の均熱作用は、縮小されている。また、直接積層型の均熱層131と間接積層型の均熱層132との両方を用い、合計厚さ200μmとなる均熱層13を形成した例における、同様の温度差は6.7℃であった。
これらのことから、直接積層型の均熱層131であるか、間接積層型の均熱層132であるか、に関わらず、より効果的な均熱作用を得ようとすると、均熱層の合計厚さを150μm以下(通常1μm以上)とすることが好ましく、60μm以下とすることがより好ましく、40μm以下とすることが更に好ましく、30μm以下とすることが特に好ましいといえる。
[4]均熱層の平面形状と均熱作用との相関
上記実施例1〜実施例14のヒータ1に設けられた均熱層13の平面形状は、いずれも、図17(a)に示す長方形状(ベタ塗り形態)である。これに対し、図9の均熱層の平面形状や、図17(b)〜(g)の均熱層の平面形状は、いずれも、欠落部133X(133H及び133Sを含む)を有する形態である。このように均熱層の平面形状と均熱作用との相関を以下のようにして評価した。
(1)実施例15のヒータ(図5参照)
実施例7と同様にして、厚さ16μmの均熱層132を有する実施例15のヒータを得た。即ち、実施例15は、厚さ16μmであり、平面形状が長方形状(ベタ塗り形態)である間接積層型の均熱層132を有することになる。
(2)実施例16のヒータ(図5参照)
均熱層13(間接積層型の均熱層132)の平面形状を、図17(e)に示すストライプ形状とした以外は、実施例7と同様にして、厚さ16μmの均熱層132を有する実施例15のヒータを得た。尚、平面形状における面積率は、実施例15のヒータの均熱層132を100%とした場合に、実施例16のヒータの均熱層132は60.0%である。
(3)測定3
上記[4](1)で得られた実施例15のヒータ(図5参照)と、上記[4](2)で得られた実施例16のヒータ(図5参照)とを用いて、上記[2]と同様の測定を行い、最高温度と最低温度との温度差(各ヒータ毎に3回の測定を行い、得られた各データにおける温度差の平均値)を求めた。
その結果、実施例15の温度差は10.7℃であった。一方、実施例16の温度差は11.5℃であった。即ち、実施例16のヒータの均熱層132は、面積率が実施例15に対して60%であるにも関わらず、同レベルの均熱作用を発揮していることが分かる。具体的には、実施例15のヒータの均熱層132は、面積率1%あたりの均熱効果は0.11℃であるのに対し、実施例16のヒータの均熱層132は、面積率1%あたりの均熱効果が0.19℃となっており、より少ない材料によって効率よく均熱化できていることが分かる。この結果からは、欠落部133Xを形成し、平面形状を最適化することにより、より高い均熱作用が得られることが分かる。
尚、上述した各実施例及び比較例のヒータの均熱層13は、いずれも、塗布した銀ペーストを焼き付けて形成していることから、複数の金属粒子が連なって形成された金属多孔部135aと、金属多孔部の間隙に配置された非金属部135bと、を有する形態(図16の(a)及び(b)参照)となる。このうち、金属多孔部135aは、銀粒子が連なった形態であり、具体的には、図16(b)の形態を呈する。一方、非金属部135bは、ガラスによって形成される。
尚、本発明においては、上記の具体的実施形態に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。
また、本発明には以下の発明が含まれている。
(1)基体を構成する材料がステンレスであることを要旨とするヒータ。
(2)基体の他面側の表面を、被加熱物との対向面とすることを要旨とするヒータ
(3)均熱層を構成する材料は、銀、銅、アルミニウム、及び、これらのうちの少なくとも1種を含んだ合金のうちから選択されることを要旨とするヒータ。
(4)均熱層の厚さをDとし、基体の厚さをDとした場合に、DとDとの比D/Dは、0.6以下であることを要旨とするヒータ。
(5)発熱層は、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セルを備え、
各抵抗発熱セルは、掃引方向に対して略垂直に配置された複数の横配線部と、横配線部間を接続する縦配線部と、が結ばれてつづら折り状に形成された抵抗発熱配線であることを要旨とするヒータ。
(6)横配線部は、縦配線部よりも長いことを要旨とするヒータ。
(7)縦配線が、掃引方向に対して傾斜されていることを要旨とするヒータ。
(8)各抵抗発熱セルを構成する各抵抗発熱配線は、正の抵抗発熱係数を有するヒータ。
1;ヒータ、1a;ヒータの一面、1b;ヒータの他面(加熱面)、
11;基体、11a;基体の一面、11b;基体の他面、
12;発熱層、121;抵抗発熱配線、122;横配線部、123;縦配線部、124;抵抗発熱セル、125;非形成部、
13;均熱層、131;直接積層型の均熱層、132;間接積層型の均熱層、
133X;欠落部、133H;貫通孔、133S;切欠き、
135a;金属多孔部、135b;非金属部、
14、141、142、143;絶縁層(ガラスグレーズ層)、
2;被加熱物、
4;画像形成装置、41:レーザースキャナー、42:ミラー、43:帯電装置、44:感光ドラム、45:現像器、46:転写ドラム、47:転写用ロール、
5:定着装置(定着手段)、51:定着用ロール、52:加圧用ロール、53:ヒータホルダ、54:加圧用ロール、
P:記録用媒体、
:掃引方向、D:幅方向。

Claims (9)

  1. 被加熱物と対面された状態で、前記被加熱物及び本ヒータのうちの少なくとも一方を掃引して前記被加熱物を加熱するヒータであって、
    基体と、
    前記基体の一面側に配置された発熱層と、
    前記基体と前記発熱層との層間、及び、前記基体の他面側、のうちの少なくとも一方に配置され、前記基体を構成する材料よりも熱伝導率が大きい材料によって形成された均熱層と、を備えることを特徴とする。
  2. 前記均熱層として、前記基体に直接積層された直接積層型の均熱層を有する請求項1に記載のヒータ。
  3. 前記均熱層として、前記基体との間にガラスグレーズ層を介して積層された間接積層型の均熱層を有する請求項1又は2に記載のヒータ。
  4. 前記均熱層が、切欠き、又は、表裏に貫通した貫通孔、を含んだ欠落部を有し、
    前記欠落部を介して、前記均熱層の一面側に隣接した層と、前記均熱層の他面側に隣接した層とが接合されている請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のヒータ。
  5. 前記均熱層は、複数の金属粒子が連なって形成された金属多孔部と、前記金属多孔部の間隙に配置された非金属部と、を有する請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のヒータ。
  6. 前記発熱層は、電気的に並列に接続された複数の抵抗発熱セルを備え、
    各前記抵抗発熱セルは、前記掃引方向に対して略垂直に配置された複数の横配線部と、前記横配線部間を接続する縦配線部と、が結ばれてつづら折り状に形成された抵抗発熱配線を有し、
    隣り合った前記抵抗発熱セル同士の間には、前記抵抗発熱配線が形成されていない非形成部を有する請求項1乃至5のうちのいずれかに記載のヒータ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のヒータを備えることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載のヒータを備えることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1乃至6のいずれかに記載のヒータを備えることを特徴とする加熱装置。
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