JPWO2017126466A1 - 透明導電性フィルム - Google Patents

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Abstract

タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性に優れるとともにクラック、剥離、割れ等の破壊を起こしにくい柔軟性にも優れた透明導電性フィルムを提供すること。透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面にインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、特定の柔軟性試験による曲げ直径が15.2mm以下であり、特定のΔb試験によるΔbが0.60以上である透明導電性フィルム。

Description

本発明は、透明プラスチックフィルム基材上に結晶性のインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜を積層した透明導電性フィルム、特に、抵抗膜式タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性、および柔軟性に優れる透明導電性フィルムに関するものである。
透明プラスチック基材上に、透明でかつ抵抗の小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極等として、電気・電子分野の用途に広く使用されている。
抵抗膜式タッチパネルは、ガラスやプラスチックの基板に透明導電性薄膜をコーティングした固定電極と、プラスチックフィルムに透明導電性薄膜をコーティングした可動電極(フィルム電極)を組み合わせたものであり、表示体の上側に重ね合わせて使用されている。指やペンでフィルム電極を押して、固定電極とフィルム電極の透明導性薄膜同士を接触させることが、タッチパネルの位置認識のための入力となる。指と比較して、ペンはタッチパネルにかかる力が強くなることが多い。タッチパネルにペンで強く入力し続けると、フィルム電極側の透明導電性薄膜にクラック、剥離等の破壊が生じることがある。また、タッチパネル製造工程などでフィルム電極を曲げたりしたときや、タッチパネルの端部に入力したときにフィルム電極の透明導電性薄膜が割れたりすることがある。この透明導電性薄膜の割れは透明導電性薄膜の柔軟性が乏しいために発生する現象である。これらの問題を解決するために、優れたペン摺動耐久性と柔軟性を両立する透明導電性フィルムが要望されている。
ペン摺動耐久性を向上させる手段として、フィルム電極側の透明導電性薄膜を結晶性にする方法がある(例えば、特許文献1参照)。
従来の透明導電性フィルムは、インジウム−スズ複合酸化物の結晶性を制御することでペン摺動耐久性に優れた透明導電性フィルムを実現している。しかし、従来の透明導電性フィルムは、後述の柔軟性試験を実施すると、不十分であった。
特開2004−071171号公報
本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性に優れるとともに柔軟性にも優れた透明導電性フィルムを提供することにある。
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた本発明の透明導電性フィルムとは、以下の構成よりなる。
1. 透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面にインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、以下の(1)及び(2)の条件を満たすことを特徴とする透明導電性フィルム。
(1)以下に記載の柔軟性試験による曲げ直径が15.2mm以下であること
(柔軟性試験)
165℃75分加熱処理した透明導電性フィルムを20mm×80mmの長方形状にカットする。次に、長方形の短辺をテスターでつなぎ抵抗値を観測する。透明導電膜を外側にして、透明導電性フィルムを曲げていき、テスターの抵抗値が増加し始めた時の透明導電性フィルムの曲げ直径(mm)を記録する。
(2)以下に記載のΔb試験によるΔbが0.60以上であること
(Δb試験)
JIS−K7105に準拠し、日本電色工業(株)製Ze 6000を用いて、透明導電性フィルムの透過色差b1を測定する。次に透過色差b1を測定した透明導電性フィルムを165℃75分加熱処理した後に、透過色差b2を測定する。Δb=b1−b2の式よりΔbを算出する。
2. インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶粒径が、10〜1000nmであることを特徴とする上記第1に記載の透明導電性フィルム。
3. インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜が、酸化スズを0.5〜9.5質量%含むことを特徴とする上記第1又は第2に記載の透明導電性フィルム。
4. 透明導電膜の厚みが、10〜30nmである上記第1〜第3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
本発明によれば、優れたペン摺動耐久性および柔軟性を併せ持つ透明導電性フィルムの提供が可能となる。得られた透明導電性フィルムは、抵抗膜式タッチパネル等の用途に極めて有用である。
本発明における結晶粒の最長部の一例を示す模式図である。 本発明における結晶粒の最長部の他の一例を示す模式図である。 本発明における結晶粒の最長部の他の一例を示す模式図である。 本発明における結晶粒の最長部の他の一例を示す模式図である。 本発明において好適に使用されるスパッタリング装置の一例のセンターロールの位置を説明するための模式図である。
本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面にインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、以下の(1)と(2)の条件を満たすことが好ましい。
(1)以下に記載の柔軟性試験で、曲げ直径が15.2mm以下であることを特徴とする透明導電性フィルム。柔軟性試験の方法は次のとおり。165℃75分加熱処理した透明導電性フィルムを20mm×80mmの長方形状にカットする。次に、長方形の短辺をテスターでつなぎ抵抗値を観測する。透明導電膜を外側にして、透明導電性フィルムを曲げていき、テスターの抵抗値が増加し始めた時の透明導電性フィルムの曲げ直径を記録する。
(2)以下に記載のΔb試験で、Δbが0.60以上であることを特徴とする透明導電性フィルム。Δb試験の方法は次のとおり。JIS−K7105に準拠し、日本電色工業(株)製Ze 6000を用いて、透明導電性フィルムの透過色差b1を測定する。次に透過色差b1を測定した透明導電性フィルムを165℃75分加熱処理した後に、透過色差b2を測定する。b1−b2(=Δb)を計算する。
本発明の透明導電性フィルムの特徴は、ペン摺動耐久性と柔軟性に優れていることである。ペン摺動耐久性と柔軟性は相反する性質である。まずペン摺動耐久性について説明する。ペン摺動耐久性に優れるインジウム−スズ複合酸化物の透明導電性フィルムは透明導電膜の結晶性が高い。ここで、結晶性について説明する。透過型電子顕微鏡下で観察される、円状もしくは多角形状の領域をもつ部分を透明導電膜の結晶質部(=結晶粒)、それ以外の部分を非晶質部と定義する。結晶性が高いとは、結晶質部の割合が高いことを示す。結晶性の高い透明導電膜は、硬い結晶質部の割合が高いため、透明導電膜が硬くなり、ペン摺動耐久性に優れる。次に柔軟性について説明する。柔軟性に優れるインジウム−スズ複合酸化物の透明導電性フィルムは透明導電膜の結晶性が低い。結晶性の低い透明導電膜は、軟らかい非晶質部の割合が高いので、透明導電膜が軟らかくなるため、柔軟性に優れる。前記のように、ペン摺動耐久性と柔軟性は相反する性質であることが分かる。検討の結果、透明導電膜の結晶性を制御することによりペン摺動耐久性と柔軟性を両立させることができることを発明した。次からペン摺動耐久性と柔軟性を両立させる透明導電膜を有する透明導電性フィルムについて説明する。
柔軟性試験は、透明導電性フィルムの柔軟性を評価できるだけでなく、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶性の評価もできる。柔軟性試験において曲げ直径が大きいほど、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶性は高い。柔軟性試験は、特にインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜において結晶質部が多い状態での結晶性比較をすることに適している。曲げ直径が15.2mm以下であることが望ましい。より好ましくは15.0mm以下である。曲げ直径が15.2mm以下であれば、インジウム−スズ複合酸化物の結晶性が高過ぎないため、特に柔軟性に優れ好ましい。
柔軟性試験では、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜において結晶質部が少ない状態での結晶性比較は困難である。なぜならば、透明導電膜が完全に非晶質のものや、透明導電膜が非晶質部の海に結晶質部が島状に浮かんでいる海島構造のものは、柔軟性試験において、いずれも非晶質部の柔軟性を評価していることになるため、ほぼ同一の結果となる。そのため、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜において結晶質部が少ない状態での結晶性を比較する必要がある。比較する方法として、Δb試験がある。Δb試験においてΔbが高いほど、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶性が高い。前述のとおり、Δb試験は、特にインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜において結晶質部が少ない状態での結晶性比較をすることに適している。Δbは0.60以上であることが望ましい。より好ましくは0.65以上である。さらに好ましくは0.68以上である。Δbが0.60以上であれば、インジウム−スズ複合酸化物の結晶性が低過ぎないため、ペン摺動耐久性に優れ好ましい。
柔軟性試験において曲げ直径が15.2mm以下であり、かつΔb試験においてΔbが0.60以上であれば、透明導電膜が適度な結晶性となり、ペン摺動耐久性と柔軟性が両立することを発明した。
本発明におけるインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶粒径は10nm以上であることが好ましい。より好ましくは30nm以上である。結晶粒径が10nm以上であると、結晶粒として硬くなりやすいのでペン摺動耐久性を満足し易く好ましい。一方、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶粒径は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは500nm以下である。結晶粒径が1000nm以下であると、柔軟性が保たれ好ましい。
本発明における透明導電膜は、インジウム−スズ複合酸化物からなり、酸化スズを0.5質量%以上9.5質量%以下含むことが好ましい。インジウム−スズ複合酸化物中の酸化スズは酸化インジウムにとっての不純物に相当する。酸化スズの不純物が含有されていることにより、インジウム−スズ複合酸化物の融点が増大する。すなわち、酸化スズの不純物含有は結晶化を阻害する方向に働く。酸化スズが0.5質量%以上含有されていると、透明導電性フィルムの表面抵抗が実用的な水準となり好ましい。更に好ましくは酸化スズの含有率は1質量%以上であり、2質量%以上であると特に好ましい。酸化スズの含有率が9.5質量%以下であると、後述の半結晶状態に調節する上での結晶化が起こり易く、ペン摺動耐久性が良好となり好ましい。酸化スズの含有率は8質量%以下であるとより好ましく、6質量%以下であると更に好ましく、4質量%以下であると特に好ましい。なお、本発明の透明導電性フィルムの表面抵抗は50〜900Ω/□であることが好ましい。
本発明において透明導電膜の厚みは、10nm以上30nm以下であることが望ましい。透明導電膜の厚みが10nm以上であると、透明導電膜が非晶質過ぎることがなく、後述の半結晶状態にする適度な結晶性を与え易く、結果としてペン摺動耐久性が保たれて好ましい。より好ましくは透明導電膜の厚みは13nm以上、より好ましくは16nm以上である。また、透明導電膜の厚みが30nm以下であると、透明導電膜の結晶性が高くなり過ぎることがなく、半結晶状態を保持し易く、柔軟性が保たれて好ましい。より好ましくは26nm以下、更に好ましくは22nm以下である。
本発明の透明導電性フィルムを得るための製造方法に特に限定はないが、例えば、以下のような製造方法を好ましく例示できる。
透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に結晶性のインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜を成膜する方法としてはスパッタリング法が好ましく用いられる。スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比について、成膜開始時から成膜終了時までの最大値と最小値の差が2.0×10−4以下になるように精密制御し、かつ成膜中はフィルム温度を80℃以下にして透明プラスチックフィルム上に透明導電膜を成膜することが望ましい。成膜中のフィルム温度は、走行フィルムが接触するセンターロールの温度を調節する温調機の設定温度で代用する。ここで、図5に本発明において好適に使用されるスパッタリング装置の一例の模式図を示しており、走行するフィルム101がセンターロール102の表面に部分的に接触して走行している。チムニー103を介してインジウム−スズのスパッタリングターゲット104が設置され、センターロール102上を走行するフィルム101の表面にインジウム−スズ複合酸化物の薄膜が堆積して積層される。センターロール102は図示しない温調機によって温度制御される。また、不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどが挙げられる。さらに、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比の中心値(最大値と最小値の中間の値)は、4.0×10−4〜2.9×10−3であることが望ましい。ただし、不活性ガスに対する水分圧の比の中心値は、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜中の酸化スズの含有率や、透明導電膜の厚みにもいくらか依存している。インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜中の酸化スズの添加量が多い場合や透明導電膜が薄い場合は、不活性ガスに対する水分圧の比の中心値を前記の範囲の中で低めに設定することが望ましい。逆に、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜中の酸化スズの含有率が少ない場合や透明導電膜が厚い場合は、不活性ガスに対する水分圧の比の中心値を前記の範囲のなかで高めに設定することが望ましい。また、透明導電性フィルムの表面抵抗および全光線透過率を実用的な水準にするために、スパッタリング時に酸素ガスを添加することが望ましい。
成膜雰囲気中の水が多いと、透明導電膜の結晶性が低下することが知られている。そのため、成膜雰囲気中の水分量は重要な因子である。プラスチックフィルム上にインジウム−スズ複合酸化物を成膜する時の水分量の制御には、実際に成膜時の水分量を観測することが望ましい。成膜雰囲気中の水分量の制御に到達真空度を使うのは以下の2点の通り好ましくない。
まず好ましくない理由の1点目として、スパッタリングで、プラスチックフィルムに成膜をすると、フィルムが加熱され、フィルムから水分が放出されるので、成膜雰囲気中の水分量が増加してしまい、到達真空度を測定したときの水分量より増加する。
2点目は、大量に透明プラスチックフィルムを投入する装置での場合である。このような装置ではフィルムをフィルムロールの形態で投入する。フィルムをロールにして真空槽に投入するとロールの外層部分は水が抜けやすいが、ロールの内層部分は水が抜けにくい。到達真空度を測定するとき、フィルムロールは停止しているが、成膜時にはフィルムロールが走行するため、水を多く含むフィルムロールの内層部分が巻き出されてくるため、成膜雰囲気中の水分量が増加し、到達真空度を測定したときの水分量より増加する。本発明においては、成膜雰囲気中の水分量の制御に当たって、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を観測することで好ましく対応することができる。
本発明における透明導電膜の結晶性は高過ぎず、低過ぎずという状態である(このような結晶性を半結晶性又は半結晶質と呼ぶことにする)。透明導電膜を安定して半結晶性にすることは非常に難しい。それは、非晶性から結晶性へ急激に相変化していく途中で止めた状態が半結晶性だからである。そのため、結晶性に関係のあるパラメーターである成膜雰囲気中の水分量に非常に敏感で、少しでも成膜雰囲気中の水分量が少ないとほぼ完全な結晶性(高い結晶性)になり、逆に、少しでも成膜雰囲気中の水分量が多いと非晶性(低い結晶性)になる。そこで、本発明においては、透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面にインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜を成膜する方法において、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比について、成膜開始時から成膜終了時までの最大値と最小値の差が2.0×10−4以下になるように精密制御することが望ましい。スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比の最大値と最小値の差が2.0×10−4以下であると、結晶性の高い部分や低い部分が混在するような透明導電膜になりづらく、均一な半結晶性の透明導電膜を得易いので、優れたペン摺動耐久性および柔軟性を併せ持つ透明導電性フィルムを好適に得ることが可能となる。
スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比について、成膜開始時から成膜終了時までの最大値と最小値の差が2.0×10−4以下になるように精密制御する方法として、例えば、以下の[1]、[2]、[3]が好ましく採用され得る。
[1] 成膜雰囲気中にマスフローコントローラーで水を導入し、ガス分析装置でスパッタ
リング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を連続的に観測し、水分圧の観測結果をマスフローコントローラーにフィードバックして、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比の最大値と最小値の差が2.0×10−4以下になるように精密制御することが好ましく採用され得る。
[2] 成膜雰囲気中にマスフローコントローラーで水素原子含有ガス(水素、アンモニア
、水素+アルゴン混合ガスなど、水素原子が含まれているガスであれば特に限定しない)を導入し、ガス分析装置でスパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を連続的に観測し、水分圧の観測結果をマスフローコントローラーにフィードバックして、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比の最大値と最小値の差が2.0×10−4以下になるように精密制御することが好ましく採用され得る。スパッタリング時の成膜雰囲気中で、水素原子含有ガスは分離して、成膜雰囲気中の酸素などと結合して水となる。そのため、水素原子含有ガスの添加は水添加と同等の効果がある。
[3]ガス分析装置でスパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を常に観測し、水分圧の観測結果を透明プラスチックフィルムに接触しているセンターロールの温度にフィードバックして、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比の最大値と最小値の差が2.0×10−4以下になるように精密制御することが望ましい。透明プラスチックフィルムには水が含まれているため、透明プラスチックフィルムにかける温度を変えることで、透明プラスチックフィルムからの放出される水分量を制御することができる。例えば、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を高くしたい場合には、透明プラスチックフィルムに接触しているセンターロールの温度を高く上げれば良い。逆に、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を低くしたい場合には、透明プラスチックフィルムに接触しているセンターロールの温度を下げれば良い。透明プラスチックフィルムに接触しているセンターロールの温度を制御している温調機の温媒の温度で代用する。スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を制御するためには、温度に対する応答速度の速い温調機を用いることが望ましい。
スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比についての成膜開始時から成膜終了時までの最大値と最小値の差が2.0×10−4以下になるように精密制御する方法として、上記の[1]、[2]、[3]が好ましい理由を以下に示す。
透明導電性フィルムを高い生産性で製造するためには、フィルムロールを供給し、成膜後、フィルムロールの形状に巻き上げる所謂ロール式スパッタリング装置を使用することが好ましい。生産性を向上させるために、ロール式スパッタリング装置に透明プラスチックフィルムの長尺フィルムロールをセットする。スパッタリング法で透明導電膜を成膜工程において、装置内部を略真空状態にする際に、フィルムロールの外層部分は水が抜けやすいが、ロールの内層部分は水が抜けにくい。スパッタリング開始直後は、フィルムロールの外層部分から繰り出され、繰り出されたフィルムから放出される水が少ないため、成膜雰囲気中の水の放出量が少ない。スパッタリングを継続していくと、フィルムロールからフィルムが外層から内層に順次連続的に繰り出されて走行し、水を多く含むフィルムロールの内層部分が繰り出されてくるため、成膜雰囲気中の水分量が増加する。また、フィルムは長手方向で含まれる水分量が異なることも多い。安定して透明導電膜を半結晶性にするためには、成膜雰囲気中の水分量が刻々と変化していくので、常時水分量を監視し、水分量の変化を察知したら、すばやく応答して目的の水分量に調節することが好ましい。上記の[1]と[2]はマスフローを使用しているため、水分量の変化を察知後、すばやく応答して目的の水分量に調節することが可能である。上記の[3]は、温度に対する応答速度の速い温調機を用いるため、水分量の変化を察知後、すばやく応答して目的の水分量に調節することが可能である。
透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に結晶性のインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜を成膜する方法において、スパッタリング時のフィルム温度を80℃以下にして透明プラスチックフィルム上に透明導電膜を成膜することが望ましい。80℃以下であると、フィルムからの水、有機ガス等の不純物ガスが大量に発生することを防げて、フィルムがセンターロールに対して滑る不具合を生じるおそれがなく望ましい。
透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に結晶性のインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜を成膜する方法において、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比の中心値(成膜開始時から成膜終了時の最大値と最小値の丁度中間の値)は、4.0×10−4〜2.9×10−3であることが望ましい。不活性ガスに対する水分圧の比の中心値が、4.0×10−4以上であると、透明導電膜の結晶性が高くなり過ぎることがなく、柔軟性が保たれて好ましい。不活性ガスに対する水分圧の比の中心値が、2.9×10−3以下であると、透明導電膜の結晶性が特に低くなり過ぎず、ペン摺動耐久性が保持され好ましい。ただし、不活性ガスに対する水分圧の比の中心値は、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜中の酸化スズの添加量や、透明導電膜の厚みにも依存する。インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜中の酸化スズの添加量が多い場合や透明導電膜が薄い場合は、不活性ガスに対する水分圧の比の中心値を前記の範囲の中で低めに設定することが望ましい。逆に、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜中の酸化スズの添加量が少ない場合や透明導電膜が厚い場合は、不活性ガスに対する水分圧の比の中心値を前記の範囲のなかで高めに設定することが望ましい。
透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に結晶性のインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜を成膜する方法において、スパッタリング時に酸素ガスを導入することが望ましい。スパッタリング時に酸素ガスを導入すると、インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜の酸素の欠乏による不具合がなく、透明導電性フィルムの表面抵抗は低く、全光線透過率は高くなり好ましい。そのため、透明導電性フィルムの表面抵抗および全光線透過率を実用的な水準にするために、スパッタリング時に酸素ガスを導入することが望ましい。
なお、本発明の透明導電性フィルムの全光線透過率は70〜95%が好ましい。
本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上にインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜が成膜積層された後、酸素を含む雰囲気下で、80〜200℃、0.1〜12時間加熱処理を施されてなることが望ましい。80℃以上であると、半結晶状態にすべく結晶性をやや高める処置が容易であり、ペン摺動耐久性が向上し好ましい。200℃以下であると、透明プラスチックフィルムの平面性が確保されて好ましい。
<透明プラスチックフィルム基材>
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材とは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー等が挙げられる。
これらの有機高分子のなかで、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレート等が好適である。また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合したり、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材の厚みは、10〜300μmの範囲であることが好ましく、70〜260μmの範囲が特に好ましい。プラスチックフィルムの厚みが10μm以上であると、機械的強度が保持され、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に対する変形が小さく、耐久性の観点から好ましい。一方、厚みが300μm以下であると、タッチパネルに用いた際に、ペン入力で位置させるための荷重を特に大きくする必要がなく好ましい。
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施してもよい。
透明プラスチックフィルム基材に硬化型樹脂層を塗布し、かつその硬化型樹脂層の表面を凹凸にした上に透明導電膜を成膜すると、ペン摺動耐久性の向上効果を期待することができる。この効果は主に2点ある。1点目は透明導電性薄膜と硬化型樹脂層の付着力が増すことにより、ペン摺動による透明導電膜の剥がれの防止をできるためペン摺動耐久性が向上するという点である。2点目はペン摺動により透明導電薄膜がガラスと接触するときの真の接触面積が減少し、ガラス面と透明導電膜との滑り性が良くなるためペン摺動耐久性が向上するという点である。硬化型樹脂層の詳細について以下に記載する。
<硬化型樹脂層>
また、本発明で好ましく用いられる前記硬化型樹脂としては、加熱、紫外線照射、電子線照射等のエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に制限はなく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。生産性の観点からは、紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂等を挙げることができる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレン等を加えて共重合させることができる。
また、透明導電性薄膜と硬化型樹脂層との付着力を向上するために、硬化型樹脂層の表面を以下に記載する手法で処理することが有効である。具体的な手法としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基を増加するためにグロー又はコロナ放電を照射する放電処理法、アミノ基、水酸基、カルボニル基等の極性基を増加させるために酸又はアルカリで処理する化学薬品処理法等が挙げられる。
紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に制限なく使用することができ、このような光重合開始剤としては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、ベンゾフェノン類等を挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100質量部当たり通常1〜5質量部とすることが好ましい。
また、本発明において硬化型樹脂層には、主たる構成成分である硬化型樹脂のほかに、硬化型樹脂に非相溶な樹脂を併用することが好ましい。マトリックスの硬化型樹脂に非相溶な樹脂を少量併用することで、硬化型樹脂中で相分離が起こり非相溶樹脂を粒子状に分散させることができる。この非相溶樹脂の分散粒子により、硬化型樹脂表面に凹凸を形成させ、広領域における表面粗さを向上させることができる。
硬化型樹脂が前記の紫外線硬化型樹脂の場合、非相溶樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等が例示される。
本発明において、硬化型樹脂層の主たる構成成分である硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂を用い、硬化型樹脂に非相溶な高分子樹脂として高分子量のポリエステル樹脂を用いる場合、それらの配合割合は、紫外線硬化型樹脂100質量部当たりポリエステル樹脂0.1〜20質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜10質量部、特に好ましくは0.5〜5質量部である。
前記ポリエステル樹脂の配合量が紫外線硬化型樹脂100質量部当たり0.1質量部以上であると、硬化型樹脂層表面に形成される凸部が小さ過ぎず、効果的に表面粗さを付与でき、ペン摺動耐久性のさらなる改良効果が得られ好ましい。一方、前記ポリエステル樹脂の配合量が紫外線硬化型樹脂100質量部当たり20質量部以下であると、この硬化型樹脂層の強度が保たれる他、耐薬品性も保持され好ましい。
しかしながら、ポリエステル樹脂は紫外線硬化型樹脂と屈折率に差異があるため、硬化型樹脂層のヘーズ値が上昇し透明性を低下する傾向があるのであまり好ましくない場合もある。逆に、高分子量のポリエステル樹脂の分散粒子による透明性の悪化を積極的に利用し、ヘーズ値が高く防眩機能を有する防眩フィルムとして好ましく使用されることもできる。
前記の紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及び高分子量のポリエステル樹脂は、それぞれに共通の溶剤に溶解して塗布液を調製する。使用する溶剤には特に制限はなく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のようなアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のようなエステル系溶剤、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のようなエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のようなケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等のような芳香族炭化水素系溶剤等を単独に、あるいは混合して使用することができる。
塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度等を考慮して適切に選択することができる。例えば、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及び高分子量のポリエステル樹脂の合計量が占める割合は、通常は20〜80質量%である。また、この塗布液には、必要に応じて、その他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系レベリング剤等を添加してもよい。
本発明において、調製された塗布液は透明プラスチックフィルム基材上にコーティングされる。コーティング法には特に制限はなく、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法等の従来から知られている方法を使用することができる。
コーティングされた塗布液は、次の乾燥工程で溶剤が蒸発除去される。この工程で、塗布液中で均一に溶解していた高分子量のポリエステル樹脂は微粒子となって紫外線硬化型樹脂中に析出する。塗膜を乾燥した後、プラスチックフィルムに紫外線を照射することにより、紫外線硬化型樹脂が架橋・硬化して硬化型樹脂層を形成する。この硬化の工程で、高分子量のポリエステル樹脂の微粒子はハードコート層中に固定されるとともに、硬化型樹脂層の表面に突起を形成し広領域における表面粗さを向上させる。
また、硬化型樹脂層の厚みは0.1〜15μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.5〜10μmの範囲であり、特に好ましくは1〜8μmの範囲である。硬化型樹脂層の厚みが0.1μm以上の場合には、十分な突起が形成され好ましい。一方、15μm以下であれば、生産性がよく好ましい。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、実施例における各種測定評価は下記の方法により行った。
(1)全光線透過率
JIS−K7136に準拠し、日本電色工業(株)製NDH−2000を用いて、全光線透過率を測定した。
(2)表面抵抗値
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、(株)三菱化学アナリテック製 Lotesta AX MCP−T370を用いた。
(3)Δb試験
JIS−K7105に準拠し、日本電色工業(株)製Ze 6000を用いて、透明導電性フィルムの透過色差b1を測定した。次に透過色差b1を測定した透明導電性フィルムを165℃75分加熱処理した後に、透過色差b2を測定した。Δb=b1−b2の式よりΔbを算出する。
(4)結晶粒径
透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、導電性薄膜面を外向きにして適当な樹脂ブロックの上面に貼り付けた。これをトリミングしたのち、一般的なウルトラミクロトームの技法によってフィルム表面にほぼ平行な超薄切片を作製した。
この切片を透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)で観察して著しい損傷がない導電性薄膜表面部分を選び、加速電圧200kV、直接倍率40000倍で写真撮影を行った。
透過型電子顕微鏡下で観察される円状もしくは多角形状の領域をもつ部分を透明導電膜の結晶粒と定義する。観察される結晶粒において、すべての結晶粒の最長部を測定し、それらの測定値の平均値を結晶粒径とする。ここで、図1〜4に結晶粒の最長部の測定時における最長部の認定方法に関する例を示す。即ち、最も各結晶粒の粒径を最も大きく測定できる直線の長さによって最長部を認定している。
(5)透明導電膜の厚み(膜厚)
透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
(6)ペン摺動耐久性試験
透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にプラズマCVD法で厚みが20nmのインジウム−スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜(日本曹達社製、S500)を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。次にポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、16万往復の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は180mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。さらに、ペン荷重0.8Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。ON抵抗は10kΩ以下であるのが望ましい。
(7)柔軟性試験
165℃75分加熱処理した透明導電性フィルムを20mm×80mmの長方形状にカットする。次に、長方形の短辺をテスターでつなぎ抵抗値を観測する。透明導電膜を外側にして、透明導電性フィルムを曲げていき、テスターの抵抗値が増加し始めた時の透明導電性フィルムの曲げ直径(mm)を記録する。曲げ直径は15.2mm以下が望ましい。
(8)透明導電膜中に含まれる酸化スズの含有率の測定
試料を切りとって(約15 cm2)石英製三角フラスコにいれ、6mol/l塩酸20 mlを加え、
酸の揮発がないようにフィルムシールをした。室温で時々揺り動かしながら9日間放置し、ITO層を溶解させた。残フィルムを取り出し、ITO層が溶解した塩酸を測定液とした。溶解液中のIn、Snは、ICP発光分析装置(メーカー名;リガク、装置型式;CIROS-120 EOP)を用いて、検量線法により求めた。各元素の測定波長は、干渉のない、感度の高い波長を選択した。また、標準溶液は、市販のIn、Snの標準溶液を希釈して用いた。
実施例、比較例において使用した透明プラスチックフィルム基材は、両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡社製、A4340、厚み188μm)である。硬化型樹脂層として、光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビーム(登録商標)EXF−01J)100質量部に、共重合ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロン200、重量平均分子量18,000)を3質量部配合し、溶剤としてトルエン/MEK(8/2:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した(この塗布液を以下塗布液Aと呼ぶ)。塗膜の厚みが5μmになるように、調製した塗布液をマイヤーバーを用いて塗布した。80℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、UB042−5AM−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm)し、塗膜を硬化させた。
(実施例1〜9)
各実施例水準は表1に示した条件のもと、以下の通り実施した。
真空槽にフィルムを投入し、1.5×10−4Paまで真空引きをした。次に、酸素導入後に不活性ガスとしてアルゴンを導入し全圧を0.5Paにした。
インジウム−スズ複合酸化物の焼結ターゲット、あるいは酸化スズを含まない酸化インジウム焼結ターゲットに2W/cmの電力密度で電力を投入し、DCマグネトロンスパッタリング法により、透明導電膜を成膜した。膜厚についてはフィルムがターゲット上を通過するときの速度を変えて制御した。また、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比については、ガス分析装置(インフィコン社製、トランスペクターXPR3)を用いて測定した。各実施例水準において、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を調節すべく、表1に記載されるように、水又は水素原子含有ガスの導入量や、フィルムが接触走行しているセンターロールの温度を制御する温調機の温媒の温度を調節した。上記のスパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比についての成膜開始時から成膜終了時までの変化を小さく精密制御するための上記[3]の方法を採用する実施例水準においては、温調機の温度は可変に制御されており、成膜開始時から成膜終了時までの温度の最大値と最小値の丁度真ん中に当たる温度を中心値として表1に記載した。
透明導電膜を成膜積層したフィルムは、表1に記載の熱処理をした後、測定を実施した。測定結果を表1に示した。
(比較例1〜9)
表1に記載の条件で実施例1と同様に透明導電性フィルムを作製して評価した。結果を表1に示した。
表1に記載のとおり、実施例1〜9記載の透明導電性フィルムは、ペン摺動耐久性および柔軟性に優れており、両特性を兼備している。しかしながら、比較例1〜9はペン摺動耐久性および柔軟性を両立できていない。
上記の通り、本発明によれば、ペン摺動耐久性および柔軟性に優れた透明導電性フィルムを作製でき、これは抵抗膜式タッチパネル等の用途に極めて有用である。
1. 結晶粒
2. 最長部
11. 結晶粒
12. 最長部
21. 結晶粒
22. 最長部
31. 結晶粒
32. 最長部
101.フィルム
102.センターロール
103.チムニー
104.インジウム−スズ複合酸化物のターゲット

Claims (4)

  1. 透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面にインジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、以下の(1)及び(2)の条件を満たすことを特徴とする透明導電性フィルム。
    (1)以下に記載の柔軟性試験による曲げ直径が15.2mm以下であること
    (柔軟性試験)
    165℃75分加熱処理した透明導電性フィルムを20mm×80mmの長方形状にカットする。次に、長方形の短辺をテスターでつなぎ抵抗値を観測する。透明導電膜を外側にして、透明導電性フィルムを曲げていき、テスターの抵抗値が増加し始めた時の透明導電性フィルムの曲げ直径(mm)を記録する。
    (2)以下に記載のΔb試験によるΔbが0.60以上であること
    (Δb試験)
    JIS−K7105に準拠し、日本電色工業(株)製Ze 6000を用いて、透明導電性フィルムの透過色差b1を測定する。次に透過色差b1を測定した透明導電性フィルムを165℃75分加熱処理した後に、透過色差b2を測定する。Δb=b1−b2の式よりΔbを算出する。
  2. インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶粒径が、10〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. インジウム−スズ複合酸化物の透明導電膜が、酸化スズを0.5〜9.5質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 透明導電膜の厚みが、10〜30nmである請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
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