JPWO2017104581A1 - 色変換組成物、色変換フィルム、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置 - Google Patents
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Abstract
本発明の一態様である色変換組成物は、以下の(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含有し、入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換組成物である。この色変換組成物およびこれを含む色変換フィルムは、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置に用いられる。
(A)成分:少なくとも1種の有機発光材料
(B)成分:バインダー樹脂
(C)成分:一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体
【化1】
(R10〜R14は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる。ただし、R11とR12との少なくとも一方およびR13とR14との少なくとも一方は、水素原子ではない。)
(A)成分:少なくとも1種の有機発光材料
(B)成分:バインダー樹脂
(C)成分:一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体
【化1】
(R10〜R14は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる。ただし、R11とR12との少なくとも一方およびR13とR14との少なくとも一方は、水素原子ではない。)
Description
本発明は、色変換組成物、色変換フィルム、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置に関する。
色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明装置等へ応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換することであり、例えば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。この色変換機能を有する組成物(以下、「色変換組成物」という)をフィルム化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有するフィルム(以下、「色変換フィルム」という)とを組み合わせた白色光源をバックライトユニットとし、このバックライトユニットと、液晶駆動部分と、カラーフィルターとを組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また、液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、例えばLED照明等の白色光源として応用できる。
色変換方式を利用する液晶ディスプレイの課題として、色再現性の向上が挙げられる。色再現性の向上には、バックライトユニットの青、緑、赤の各発光スペクトルの半値幅を狭くし、青、緑、赤各色の色純度を高めることが有効である。
これを解決する手段として、無機半導体微粒子による量子ドットを色変換組成物の成分として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。量子ドットを用いる技術は、確かに緑、赤色の発光スペクトルの半値幅が狭く、色再現性は向上するが、反面、量子ドットは熱、空気中の水分や酸素に弱く、耐久性が十分でなかった。また、カドミウムを含む等の課題もある。
また、量子ドットの代わりに有機物の発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術も提案されている。有機発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術の例としては、クマリン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献2参照)、ローダミン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献3参照)、ピロメテン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献4参照)が開示されている。また、有機発光材料の劣化を防ぎ、耐久性を向上させるため、光安定化剤を添加する技術も開示されている(例えば、特許文献5参照)。
しかし、これらの有機発光材料や光安定化剤を用いても、色再現性と耐久性との両立という観点では、未だ不十分であった。
例えば、特許文献5では、一重項酸素を不活性化することによって耐久性を向上させる技術が開示されているが、一重項酸素以外の劣化要因に対しては明確な解決策が施されておらず、故に、耐久性が不十分であった。さらに、特許文献5に記載されている光安定化剤は、可視域に比較的強い吸収を持つため、発光材料の発光を吸収してしまい、故に、発光効率が低下するという問題があった。
このように、高色純度(色再現性の向上)と高い耐久性とを両立できる有機発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術は、未だ不十分であった。
本発明が解決しようとする課題は、液晶ディスプレイ等のディスプレイやLED照明等の照明装置に用いられる色変換組成物において、色再現性の向上と高い耐久性とを両立させることであり、特に、高色純度の発光と高い耐久性とを両立させることである。
本発明者は、光照射により生じるラジカルが有機発光材料の劣化を引き起こすことを突き止めた。その上で、特定の物質を色変換組成物の成分として用いることで、生成したラジカルを不活性化し、有機発光材料の耐久性を向上させることができることを見出した。
すなわち、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る色変換組成物は、入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換組成物であって、以下の(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含有する、ことを特徴とする。
(A)成分:少なくとも1種の有機発光材料
(B)成分:バインダー樹脂
(C)成分:一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体
(A)成分:少なくとも1種の有機発光材料
(B)成分:バインダー樹脂
(C)成分:一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(C)成分は、一般式(2)で表されるピペリジン骨格を有する化合物である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(C)成分は、一般式(3)で表される化合物である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(3)のYは、鎖状または環状の脂肪族炭化水素、ベンゼン環、またはそれらの組み合わせである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記R10は、アルキル基である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(C)成分の含有量は、前記(B)成分の100重量部に対して1.0×10-2重量部以上、10重量部以下である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(A)成分は、一般式(4)で表される化合物を含有する、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(4)のXは、C−R7であり、前記R7は、一般式(5)で表される基である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(4)のR1、R3、R4およびR6は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(4)のR1、R3、R4およびR6は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(A)成分は、波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料を含有する、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(A)成分は、以下の発光材料(a)および発光材料(b)を含有する、ことを特徴とする。
発光材料(a):波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
発光材料(b):波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光および前記発光材料(a)からの発光の少なくとも一方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上、750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
発光材料(a):波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
発光材料(b):波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光および前記発光材料(a)からの発光の少なくとも一方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上、750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記発光材料(a)の含有量waと、前記発光材料(b)の含有量wbとは、wa≧wbの関係である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の発光を呈する前記発光材料は、前記一般式(4)で表される化合物である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記発光材料(b)は、前記一般式(4)で表される化合物である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換フィルムは、上記の発明のいずれか一つに記載の色変換組成物の硬化物層を含む、ことを特徴とする。
また、本発明に係る光源ユニットは、光源と、上記の発明に記載の色変換フィルムと、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る光源ユニットは、上記の発明において、前記光源は、波長430nm以上、500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、ことを特徴とする。
また、本発明に係るディスプレイは、上記の発明のいずれかに記載の光源ユニットを備える、ことを特徴とする。
また、本発明に係る照明装置は、上記の発明のいずれかに記載の光源ユニットを備える、ことを特徴とする。
本発明に係る色変換組成物およびこれを用いた色変換フィルムは、高色純度の発光と高い耐久性とが両立されているため、色再現性の向上と高い耐久性とを両立させることが可能となるという効果を奏する。本発明に係る光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置は、このような色変換フィルムを用いるため、色再現性の向上と高い耐久性とを両立させることが可能となるという効果を奏する。
以下、本発明に係る色変換組成物、色変換フィルム、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<色変換組成物>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、光源等の発光体からの入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換するものであって、少なくとも(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含有する。本発明において、(A)成分は、少なくとも1種の有機発光材料である。(B)成分は、バインダー樹脂である。(C)成分は、一般式(1)で表される部分構造を分子構造中に有するアミン誘導体である。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、光源等の発光体からの入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換するものであって、少なくとも(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含有する。本発明において、(A)成分は、少なくとも1種の有機発光材料である。(B)成分は、バインダー樹脂である。(C)成分は、一般式(1)で表される部分構造を分子構造中に有するアミン誘導体である。
一般式(1)において、R10〜R14は、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の中から選ばれるものである。ただし、これらのR10〜R14は、それぞれ同じでもよいし、異なっていてもよい。また、R11とR12との少なくとも一方およびR13とR14との少なくとも一方は、水素原子ではない。
<(A)成分:有機発光材料>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(A)成分として、少なくとも1種の有機発光材料を含む。ここで、本発明における発光材料とは、何らかの光が照射されたときに、その光とは異なる波長の光を発する材料のことをいう。有機発光材料は、有機物の発光材料である。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(A)成分として、少なくとも1種の有機発光材料を含む。ここで、本発明における発光材料とは、何らかの光が照射されたときに、その光とは異なる波長の光を発する材料のことをいう。有機発光材料は、有機物の発光材料である。
高効率な色変換を達成するためには、発光材料が発光量子収率の高い発光特性を示す材料であることが好ましい。一般に、発光材料としては、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料が挙げられるが、分散の均一性、使用量の低減、環境負荷の低減の観点から、有機発光材料が好ましい。
有機発光材料としては、以下に示すもの等が挙げられる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン等のヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ボラン誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。
また、1,4−ジスチリルベンゼン、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベン等のスチルベン誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、クマリン6、クマリン7、クマリン153等のクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール等のアゾール誘導体およびその金属錯体、インドシアニングリーン等のシアニン系化合物、フルオレセイン、エオシン、ローダミン等のキサンテン系化合物やチオキサンテン系化合物等が、好適な有機発光材料として挙げられる。
また、ポリフェニレン系化合物、ナフタルイミド誘導体、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体、ナイルレッドやナイルブルー等のオキサジン系化合物、ヘリセン系化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン等の芳香族アミン誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、およびレニウム(Re)等の有機金属錯体化合物等が、好適な有機発光材料として挙げられる。しかし、本発明における有機発光材料は、上述したものに限定されない。
有機発光材料は、蛍光発光材料であっても、リン光発光材料であってもよいが、高い色純度を達成するためには、蛍光発光材料が好ましい。これらの中でも、熱的安定性および光安定性が高いことから、縮合アリール環を有する化合物やその誘導体が好ましい。
また、有機発光材料としては、溶解性や分子構造の多様性の観点から、配位結合を有する化合物が好ましい。半値幅が小さく、高効率な発光が可能である点で、フッ化ホウ素錯体等のホウ素を含有する化合物も好ましい。中でも、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好である点で、ピロメテン誘導体が好ましい。より好ましくは、一般式(4)で表される化合物、すなわち、ピロメテン化合物である。
(A)成分が、有機発光材料として、一般式(4)で表される化合物を含有する場合、一般式(4)において、Xは、C−R7またはNである。R1〜R9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および、隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。このことは、以下に説明する化合物またはその部分構造においても同様である。また、以下の説明において、例えば、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて全ての炭素数が6〜40となるアリール基である。炭素数を規定している他の置換基も、これと同様である。
また、上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子または重水素原子が置換したことを意味する。以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
上記の全ての基のうち、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上、20以下、より好ましくは1以上、8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、3以上、20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミド等の炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上、20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基等の二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上、20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基等の三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上、20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上、20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上、20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基等、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上、40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基における芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上、40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基等の芳香族炭化水素基を示す。中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6以上、40以下、より好ましくは6以上、30以下の範囲である。
R1〜R9が置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基であり、フェニル基が特に好ましい。
それぞれの置換基がさらにアリール基で置換される場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。特に好ましくは、フェニル基である。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基等の、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5−ナフチリジニル基、1,6−ナフチリジニル基、1,7−ナフチリジニル基、1,8−ナフチリジニル基、2,6−ナフチリジニル基、2,7−ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上、40以下、より好ましくは2以上、30以下の範囲である。
R1〜R9が置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
それぞれの置換基がさらにヘテロアリール基で置換される場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。また、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、これら置換基は、さらに置換されてもよい。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。アミノ基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基等が挙げられる。アリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基が好ましい。これら置換基は、さらに置換されてもよい。炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上、50以下、より好ましくは6以上、40以下、特に好ましくは6以上、30以下の範囲である。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等のアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等のアリールシリル基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上、30以下の範囲である。
シロキサニル基とは、例えば、トリメチルシロキサニル基等のエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。また、ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。ボリル基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。中でも、アリール基、アリールエーテル基が好ましい。また、ホスフィンオキシド基とは、−P(=O)R10R11で表される基である。R10R11は、R1〜R9と同様の群から選ばれる。
隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環とは、任意の隣接する2置換基(例えば一般式(4)のR1とR2)が互いに結合して、共役または非共役の環状骨格を形成することをいう。このような縮合環および脂肪族環の構成元素としては、炭素以外にも、窒素、酸素、硫黄、リンおよびケイ素から選ばれる元素を含んでいてもよい。また、これらの縮合環および脂肪族環は、さらに別の環と縮合してもよい。
一般式(4)で表される化合物は、高い発光量子収率を示し、かつ、発光スペクトルの半値幅が小さいため、効率的な色変換と高い色純度との双方を達成することができる。さらに、一般式(4)で表される化合物は、適切な置換基を適切な位置に導入することで、発光効率、色純度、熱的安定性、光安定性および分散性等の様々な特性や物性を調整することができる。例えば、R1、R3、R4およびR6が全て水素である場合に比べ、R1、R3、R4およびR6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基や置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合の方が、より良い熱的安定性および光安定性を示す。
R1、R3、R4およびR6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基である場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基といった炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。さらに、このアルキル基としては、熱的安定性に優れるという観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。また、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させるという観点では、このアルキル基として、立体的にかさ高いtert−ブチル基がより好ましい。また、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、このアルキル基として、メチル基も好ましく用いられる。
R1、R3、R4およびR6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基が好ましく、さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基である。特に好ましくは、フェニル基である。
R1、R3、R4およびR6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、キノリニル基、チエニル基が好ましく、さらに好ましくは、ピリジル基、キノリニル基である。特に好ましくは、ピリジル基である。
R1、R3、R4およびR6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である場合、バインダー樹脂や溶媒への溶解性が良好なため、好ましい。この場合、アルキル基としては、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、メチル基が好ましい。
R1、R3、R4およびR6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、より良い熱的安定性および光安定性を示すため、好ましい。この場合、R1、R3、R4およびR6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基であることがより好ましい。
複数の性質を向上させる置換基もあるが、全てにおいて十分な性能を示す置換基は限られている。特に、高発光効率と高色純度との両立が難しい。そのため、一般式(4)で表される化合物に対して複数種類の置換基を導入することで、発光特性や色純度等にバランスの取れた化合物を得ることが可能である。
特に、R1、R3、R4およびR6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基である場合、例えば、R1≠R4、R3≠R6、R1≠R3またはR4≠R6等のように、複数種類の置換基を導入することが好ましい。ここで、「≠」は、異なる構造の基であることを示す。例えば、R1≠R4は、R1とR4とが異なる構造の基であることを示す。上記のように複数種類の置換基を導入することにより、色純度に影響を与えるアリール基と発光効率に影響を与えるアリール基とを同時に導入することができるため、細やかな調節が可能となる。
中でも、R1≠R3またはR4≠R6であることが、発光効率と色純度とをバランスよく向上させるという観点から、好ましい。この場合、一般式(4)で表される化合物に対して、色純度に影響を与えるアリール基を両側のピロール環にそれぞれ1つ以上導入し、それ以外の位置に発光効率に影響を与えるアリール基を導入することができるため、これら両方の性質を最大限に向上させることができる。また、R1≠R3またはR4≠R6である場合、耐熱性と色純度との双方を向上させるという観点から、R1=R4およびR3=R6であることがより好ましい。
主に色純度に影響を与えるアリール基としては、電子供与性基で置換されたアリール基が好ましい。電子供与性基とは、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団に、電子を供与する原子団である。電子供与性基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、負の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II−380頁)から引用することができる。
電子供与性基の具体例としては、例えば、アルキル基(メチル基のσp:−0.17)やアルコキシ基(メトキシ基のσp:−0.27)、アミノ基(−NH2のσp:−0.66)等が挙げられる。特に、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert−ブチル基、メトキシ基が特に好ましく、これらを上記の電子供与性基とした場合、一般式(4)で表される化合物において、分子同士の凝集による消光を防ぐことができる。置換基の置換位置は、特に限定されないが、一般式(4)で表される化合物の光安定性を高めるには結合のねじれを抑える必要があるため、ピロメテン骨格との結合位置に対してメタ位またはパラ位に結合させることが好ましい。一方、主に発光効率に影響を与えるアリール基としては、tert−ブチル基、アダマンチル基、メトキシ基等のかさ高い置換基を有するアリール基が好ましい。
R1、R3、R4およびR6が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基である場合、R1、R3、R4およびR6は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。このとき、R1、R3、R4およびR6は、それぞれ以下のAr−1〜Ar−6から選ばれることがより好ましい。この場合、R1、R3、R4およびR6の好ましい組み合わせとしては、表1−1〜表1−11に示すような組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
R2およびR5は、水素、アルキル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アリール基のいずれかであることが好ましい。中でも、熱的安定性の観点から、水素またはアルキル基が好ましく、発光スペクトルにおいて狭い半値幅を得やすいという観点から、水素がより好ましい。
R8およびR9は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素、含フッ素アルキル基、含フッ素ヘテロアリール基または含フッ素アリール基が好ましい。特に、励起光に対して安定であって、より高い発光量子収率が得られることから、R8およびR9は、フッ素または含フッ素アリール基であることがより好ましい。さらに、合成の容易さから、R8およびR9は、フッ素であることが一層好ましい。
ここで、含フッ素アリール基とは、フッ素を含むアリール基であり、例えば、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基およびペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。含フッ素ヘテロアリール基とは、フッ素を含むヘテロアリール基であり、例えば、フルオロピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基およびトリフルオロピリジル基等が挙げられる。含フッ素アルキル基とは、フッ素を含むアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル基やペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
また、一般式(4)において、Xは、C−R7であることが、光安定性の観点から好ましい。XがC−R7であるとき、一般式(4)で表される化合物の耐久性、すなわち、この化合物の発光強度の経時的な低下には、置換基R7が大きく影響する。具体的には、R7が水素である場合、この部位の反応性が高いため、この部位と空気中の水分や酸素とが容易に反応してしまう。このことは、一般式(4)で表される化合物の分解を引き起こす。また、R7が例えばアルキル基のような分子鎖の運動の自由度が大きい置換基である場合は、確かに反応性は低下するが、組成物中で化合物同士が経時的に凝集し、結果的に濃度消光による発光強度の低下を招く。したがって、R7は、剛直で、かつ運動の自由度が小さく凝集を引き起こしにくい基であることが好ましく、具体的には、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基のいずれかであることが好ましい。
より高い発光量子収率を与え、より熱分解しづらい点、また光安定性の観点から、XがC−R7であり、R7が置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。アリール基としては、発光波長を損なわないという観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましい。
さらに、一般式(4)で表される化合物の光安定性を高めるには、R7とピロメテン骨格との炭素−炭素結合のねじれを適度に抑える必要がある。何故ならば、過度にねじれが大きいと、励起光に対する反応性が高まる等、光安定性が低下するからである。このような観点から、R7としては、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基が好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基であることがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のフェニル基である。
また、R7は、適度にかさ高い置換基であることが好ましい。R7が、ある程度のかさ高さを有することにより、分子の凝集を防ぐことができる。この結果、一般式(4)で表される化合物の発光効率や耐久性がより向上する。
このようなかさ高い置換基のさらに好ましい例としては、下記一般式(5)で表されるR7の構造が挙げられる。
一般式(5)において、rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは、1〜3の整数である。kが2以上である場合、rは、それぞれ同じでも異なってもよい。
より高い発光量子収率を与えることができるという観点から、rは、置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。このアリール基の中でも、特に、フェニル基、ナフチル基が好ましい例として挙げられる。rがアリール基である場合、一般式(5)のkは、1もしくは2であることが好ましく、中でも、分子の凝集をより防ぐという観点から、2であることがより好ましい。さらに、kが2以上である場合、rの少なくとも1つは、アルキル基で置換されていることが好ましい。この場合のアルキル基としては、熱的安定性の観点から、メチル基、エチル基およびtert−ブチル基が特に好ましい例として挙げられる。
また、蛍光波長や吸収波長を制御したり、溶媒との相溶性を高めたりするという観点から、rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基またはハロゲンであることが好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert−ブチル基、メトキシ基が特に好ましい。rがtert−ブチル基またはメトキシ基であることは、分子同士の凝集による消光を防ぐことについて、より有効である。
また、一般式(4)で表される化合物の別の態様として、R1〜R7のうち少なくとも1つが電子求引基であることが好ましい。特に、(1)R1〜R6のうち少なくとも1つが電子求引基であること、(2)R7が電子求引基であること、または(3)R1〜R6のうち少なくとも1つが電子求引基であり、かつ、R7が電子求引基であること、が好ましい。このように上記化合物のピロメテン骨格に電子求引基を導入することで、ピロメテン骨格の電子密度を大幅に下げることができる。これにより、上記化合物の酸素に対する安定性がより向上し、この結果、上記化合物の耐久性をより向上させることができる。
電子求引基とは、電子受容性基とも呼称し、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団から、電子を引き付ける原子団である。電子求引基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、正の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II−380頁)から引用することができる。なお、フェニル基も、上記のような正の値をとる例もあるが、本発明において、電子求引基にフェニル基は含まれない。
電子求引基の例として、例えば、−F(σp:+0.20)、−Cl(σp:+0.28)、−Br(σp:+0.30)、−I(σp:+0.30)、−CO2R12(σp:R12がエチル基の時+0.45)、−CONH2(σp:+0.38)、−COR12(σp:R12がメチル基の時+0.49)、−CF3(σp:+0.51)、−SO2R12(σp:R12がメチル基の時+0.69)、−NO2(σp:+0.81)等が挙げられる。R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のシクロアルキル基を表す。これら各基の具体例としては、上記と同様の例が挙げられる。
好ましい電子求引基としては、フッ素、含フッ素アリール基、含フッ素ヘテロアリール基、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基、置換もしくは無置換のアミド基、置換もしくは無置換のスルホニル基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、化学的に分解しにくいからである。
より好ましい電子求引基としては、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させる効果につながるからである。特に好ましい電子求引基は、置換もしくは無置換のエステル基である。
一般式(4)で表される化合物の特に好ましい例の一つとして、R1、R3、R4およびR6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、さらに、XがC−R7であり、R7が、一般式(5)で表される基である場合が挙げられる。この場合、R7は、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(5)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(4)で表される化合物の特に好ましい例の別の一つとして、R1、R3、R4およびR6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr−1〜Ar−6から選ばれ、さらに、XがC−R7であり、R7が、一般式(5)で表される基である場合が挙げられる。この場合、R7は、rがtert−ブチル基、メトキシ基として含まれる一般式(5)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(5)で表される基であることが特に好ましい。
一般式(4)で表される化合物の一例を以下に示すが、この化合物は、これらに限定されるものではない。
一般式(4)で表される化合物は、例えば、特表平8−509471号公報や特開2000−208262号公報に記載の方法で合成することができる。すなわち、ピロメテン化合物と金属塩とを塩基共存下で反応させることにより、目的とするピロメテン系金属錯体が得られる。
また、ピロメテン−フッ化ホウ素錯体の合成については、J.Org.Chem.,vol.64,No.21,pp.7813−7819(1999)、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,vol.36,pp.1333−1335(1997)等に記載されている方法を参考にして、一般式(4)で表される化合物を合成することができる。例えば、下記一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物とをオキシ塩化リン存在下、1,2−ジクロロエタン中で加熱した後、下記一般式(8)で表される化合物をトリエチルアミン存在下、1,2−ジクロロエタン中で反応させ、これにより、一般式(4)で表される化合物を得る方法が挙げられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ここで、R1〜R9は、上記説明と同様である。Jは、ハロゲンを表す。
さらに、アリール基やヘテロアリール基の導入の際は、ハロゲン化誘導体とボロン酸あるいはボロン酸エステル化誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−炭素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。同様に、アミノ基やカルバゾリル基の導入の際にも、例えば、パラジウム等の金属触媒下でのハロゲン化誘導体とアミンあるいはカルバゾール誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−窒素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、一般式(4)で表される化合物以外に、必要に応じてその他の化合物を適宜含有することができる。例えば、励起光から一般式(4)で表される化合物へのエネルギー移動効率を更に高めるために、ルブレン等のアシストドーパントを含有してもよい。また、一般式(4)で表される化合物の発光色以外の発光色を加味したい場合は、所望の有機発光材料、例えば、クマリン系色素、ローダミン系色素等の有機発光材料を添加することができる。その他、これらの有機発光材料以外でも、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料を組み合わせて添加することも可能である。
以下に、一般式(4)で表される化合物以外の有機発光材料の一例を以下に示すが、本発明は、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(以下、「発光材料(a)」という)を含むことが好ましい。以後、ピーク波長が500nm以上、580nm以下の領域に観測される発光は、「緑色の発光」という。一般に、励起光は、そのエネルギーが大きいほど、材料の分解を引き起こしやすい。しかし、波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光は、比較的小さい励起エネルギーのものである。このため、色変換組成物中の発光材料(a)の分解を引き起こすことなく、色純度の良好な緑色の発光が得られる。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、以下の発光材料(a)および発光材料(b)を含有することが好ましい。発光材料(a)は、上述したように、波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の発光を呈する発光材料である。発光材料(b)は、波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光および発光材料(a)からの発光の少なくとも一方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上、750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料である。以後、ピーク波長が580nm以上、750nm以下の領域に観測される発光は、「赤色の発光」という。
波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光の一部は、本発明の実施の形態に係る色変換フィルムを一部透過するため、発光ピークが鋭い青色LEDを使用した場合、青、緑、赤の各色において鋭い形状の発光スペクトルを示し、色純度の良い白色光を得ることができる。その結果、特にディスプレイにおいては、色彩が一層鮮やかな、より大きな色域を効率的に作ることができる。また、照明用途においては、現在主流となっている青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせた白色LEDに比べ、特に緑色領域および赤色領域の発光特性が改善されるため、演色性が向上した好ましい白色光源を得ることができる。
発光材料(a)としては、クマリン6、クマリン7、クマリン153等のクマリン誘導体、インドシアニングリーン等のシアニン誘導体、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインジアセテート等のフルオレセイン誘導体、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン誘導体、ジイソブチル−4,10−ジシアノペリレン−3,9−ジカルボキシレート等のペリレン誘導体、他にピロメテン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、アゾール誘導体、アントラセン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、芳香族アミン誘導体、有機金属錯体化合物等が好適なものとして挙げられる。しかし、発光材料(a)は、特にこれらに限定されるものではない。これらの化合物の中でも、ピロメテン誘導体は、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好なので、特に好適な化合物である。ピロメテン誘導体の中でも、一般式(4)で表される化合物は、色純度の高い発光を示すことから、好ましい。
発光材料(b)としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン誘導体、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン101、スルホローダミン101等のローダミン誘導体、1−エチル−2−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−ピリジニウム−パークロレート等のピリジン誘導体、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,7,12−テトラフェノキシペリレン−3,4:9,10−ビスジカルボイミド等のペリレン誘導体、他にポルフィリン誘導体、ピロメテン誘導体、オキサジン誘導体、ピラジン誘導体、ナフタセンやジベンゾジインデノペリレン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、有機金属錯体化合物等が好適なものとして挙げられる。しかし、発光材料(b)は、特にこれらに限定されるものではない。
これらの化合物の中でも、ピロメテン誘導体は、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好なので、特に好適な化合物である。ピロメテン誘導体の中でも、一般式(4)で表される化合物は、色純度の高い発光を示すことから、好ましい。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物における(A)成分の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製するフィルムの厚みや透過率にもよるが、通常は(B)成分の100重量部に対して、1.0×10-4重量部〜30重量部である。この(A)成分の含有量は、(B)成分の100重量部に対して、1.0×10-3重量部〜10重量部であることがさらに好ましく、1.0×10-2重量部〜5重量部であることが特に好ましい。
また、色変換組成物に、緑色の発光を呈する発光材料(a)と、赤色の発光を呈する発光材料(b)とを両方含有する場合、緑色の発光の一部が赤色の発光に変換されることから、上記の発光材料(a)の含有量waと、発光材料(b)の含有量wbとは、wa≧wbの関係であることが好ましい。また、これらの発光材料(a)および発光材料(b)の含有比率は、wa:wb=1000:1〜1:1であり、500:1〜2:1であることがさらに好ましく、200:1〜3:1であることが特に好ましい。ただし、含有量waおよび含有量wbは、(B)成分の重量に対する重量パーセントである。
<(B)成分:バインダー樹脂>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(B)成分として、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂は、連続相を形成するものであり、成型加工性、透明性、耐熱性等に優れる材料であればよい。バインダー樹脂の例としては、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂、芳香族エステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂等の公知のものが挙げられる。また、バインダー樹脂としては、これらの共重合樹脂を用いても構わない。これらの樹脂を適宜設計することで、本発明の実施の形態に係る色変換組成物および色変換フィルムに有用なバインダー樹脂が得られる。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(B)成分として、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂は、連続相を形成するものであり、成型加工性、透明性、耐熱性等に優れる材料であればよい。バインダー樹脂の例としては、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂、芳香族エステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂等の公知のものが挙げられる。また、バインダー樹脂としては、これらの共重合樹脂を用いても構わない。これらの樹脂を適宜設計することで、本発明の実施の形態に係る色変換組成物および色変換フィルムに有用なバインダー樹脂が得られる。
これらの樹脂の中でも、フィルム化のプロセスが容易であることから、熱硬化性樹脂がさらに好ましい。熱硬化性樹脂の中でも、特に、透明性、耐熱性等の観点から、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはこれらの混合物を好適に用いることができる。
また、バインダー樹脂には、添加剤として、塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤等を添加することも、フィルム表面の改質剤として、シランカップリング剤等の接着補助剤等を添加することも可能である。また、バインダー樹脂には、色変換材沈降抑制剤として、シリカ粒子やシリコーン微粒子等の無機粒子を添加することも可能である。
また、バインダー樹脂は、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂であることが特に好ましい。シリコーン樹脂の中でも、付加反応硬化型シリコーン組成物が好ましい。付加反応硬化型シリコーン組成物は、常温または50℃〜200℃の温度で、加熱、硬化し、透明性、耐熱性、接着性に優れる。
付加反応硬化型シリコーン組成物は、一例として、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を有する化合物とのヒドロシリル化反応により、形成される。このような材料のうち、「ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する化合物」としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、プロペニルトリメトキシシラン、ノルボルネニルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン等が挙げられる。「ケイ素原子に結合した水素原子を有する化合物」としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−CO−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン−CO−メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。また、付加反応硬化型シリコーン組成物としては、他にも、例えば特開2010−159411号公報に記載されているような公知のものを利用することができる。
また、付加反応硬化型シリコーン組成物としては、市販されているもの、例えば、一般的なLED用途のシリコーン封止材を使用することも可能である。この具体例としては、東レ・ダウコーニング社製のOE−6630A/B、OE−6336A/Bや信越化学工業株式会社製のSCR−1012A/B、SCR−1016A/B等が挙げられる。
本発明の実施の形態に係る色変換フィルム作製用の色変換組成物において、バインダー樹脂には、その他の成分として、常温での硬化を抑制してポットライフを長くするためにアセチレンアルコール等のヒドロシリル化反応遅延剤を配合することが好ましい。また、バインダー樹脂には、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じて、フュームドシリカ、ガラス粉末、石英粉末等の微粒子、酸化チタン、酸化ジルコニア、チタン酸バリウム、酸化亜鉛等の無機充填剤や顔料、難燃剤、耐熱剤、酸化防止剤、分散剤、溶剤、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等の接着性付与剤等を配合してもよい。
特に、色変換フィルムの表面平滑性の点から、色変換フィルム作製用のシリコーン樹脂組成物には、低分子量のポリジメチルシロキサン成分、シリコーンオイル等を添加することが好ましい。このような成分は、このシリコーン樹脂組成物の全体に対して、100ppm〜2000ppm添加することが好ましく、500ppm〜1000ppm添加することがさらに好ましい。
<(C)成分:一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(C)成分として、一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体を含有する。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(C)成分として、一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体を含有する。
一般式(1)において、R10〜R14は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる。ただし、R11とR12との少なくとも一方およびR13とR14との少なくとも一方は、水素原子ではない。
一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体は、有機発光材料の劣化を防ぎ、耐久性を向上させる。したがって、このアミン誘導体の作用により、(A)成分(1種以上の有機発光材料)の発光強度の経時的な低下が抑制される。この効果は、(A)成分としての有機発光材料が一般式(4)で表される化合物であるときに、特に大きい。
有機発光材料の劣化の要因として、光照射により生成されるラジカル種による酸化がある。例えば、光照射により微量生成されるアルキルラジカル(R・)は、酸素と速やかに反応し、ペルオキシラジカル(ROO・)を生じる。このペルオキシラジカルから生成したペルオキシド(ROOH)が開裂することで、ラジカル種が、加速度的に増加し、有機発光材料の酸化劣化を引き起こすと考えられる。
一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体は、ペルオキシラジカルと反応することでニトロキシルラジカルを生成する。ニトロキシルラジカルがアルキルラジカルと反応することによってアルコキシアミンが生じるが、このアルコキシアミンは、ペルオキシラジカルと反応することによって、再度ニトロキシルラジカルに変化する。このような反応が繰り返し起こることで、光照射により生成されたラジカル種を不活性化するため、有機発光材料の酸化劣化を抑制することができると考えられる。
一般式(1)において、R11とR12との少なくとも一方およびR13とR14との少なくとも一方は、水素原子ではない。これは、窒素原子の近くに置換基があることにより、ニトロキシルラジカルに適度な安定性を付与できるからである。
また、一般式(1)において、R11〜R14は、溶解性や合成の容易さの観点から、アルキル基またはシクロアルキル基であることがより好ましい。さらに好ましくは、アルキル基であり、このアルキル基の中でも、メチル基であることが好ましい。
R10は、ペルオキシラジカルとの反応性が高いという観点から、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基であることが好ましく、水素原子またはアルキル基であることがより好ましい。さらに、塩基性が低いために有機発光材料への影響が小さいという観点から、R10は、アルキル基であることが好ましく、このアルキル基の中でも、メチル基が好ましい。
一般式(1)で表される部分構造を有するアミン誘導体((C)成分)は、下記の一般式(2)で表されるピペリジン骨格を有する化合物であることが好ましい。これは、窒素原子の周囲の自由度が適度に小さくなるからである。窒素原子の周囲の自由度が適度に小さくなることにより、ニトロキシルラジカルがより安定化される。さらに、窒素原子の周囲に適度なスペースが確保され、これにより、アミン部位とラジカル種との反応が進行しやすくなる。
一般式(2)で表されるピペリジン骨格を有する化合物において、R10〜R14は、一般式(1)のものと同じである。
(C)成分は、上述したようなピペリジン骨格を有する化合物に特に限定されるものではないが、合成が容易であるという観点から、4−ヒドロキシピペリジン誘導体や4−アミノピペリジン誘導体、4−メトキシピペリジン誘導体等、ピペリジンの4位に置換基を有することが好ましい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基である。より好ましくは、水酸基、アルコキシ基、オキシカルボニル基である。
中でも、ピペリジン骨格部位の動きの自由度が大きくなり、ペルオキシラジカルをより効率的にトラップできるため、(C)成分は、一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(3)において、R10〜R14は、一般式(1)のものと同じである。mは、自然数である。Yは、単結合、鎖状または環状の脂肪族炭化水素、脂肪族複素環、芳香族炭化水素環、芳香族複素環、またはそれらの組み合わせから選ばれる。
また、一般式(3)において、mは、2以上の自然数であることがより好ましい。何故ならば、一般式(3)で表される化合物が同一分子内にピペリジン骨格を複数持つ場合、ラジカルトラップの効率が向上するからである。さらに、合成の容易さの観点から、mは、10以下の自然数であることが好ましく、6以下の自然数であることがより好ましい。
また、一般式(3)において、Yは、耐光性の観点から、単結合、鎖状または環状の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素環、またはそれらの組み合わせであることが好ましい。さらに、Yは、分子の柔軟性の観点から、鎖状の脂肪族炭化水素、環状の脂肪族炭化水素、ベンゼン環、またはそれらの組み合わせであることがより好ましい。
Yが上記の組み合わせである場合、Yの構造としては、以下のものに特に限定されないが、例えば、鎖状の脂肪族炭化水素から構成される構造単位と環状の脂肪族炭化水素から構成される構造単位とが連結した構造や、鎖状の脂肪族炭化水素から構成される構造単位と芳香族炭化水素環から構成される構造単位とが連結した構造、鎖状の脂肪族炭化水素から構成される2つ以上の構造単位が連結した構造等が挙げられる。このようなYの構造では、合成の容易さの観点から、それぞれの構造単位がエステル結合やエーテル結合を介して連結していることが好ましい。
さらに、一般式(3)において、Yは、溶媒への溶解性の観点から、鎖状の脂肪族炭化水素または環状の脂肪族炭化水素であることがより好ましく、合成の容易さの観点から、鎖状の脂肪族炭化水素であることがより一層好ましい。この鎖状の脂肪族炭化水素は、飽和脂肪族炭化水素であることが特に好ましい。
ただし、上記のYは、一般式(3)で示す部分構造以外の置換基で置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基等が挙げられる。
また、一般式(3)のYは、例として以下のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、以下の構造式における結合端部の黒丸は、一般式(9)における結合端部の黒丸と結合する。また、以下の構造式において、nは、0以上の整数である。nが複数示されている場合、それぞれのnは、同一でも異なっていてもよい。以下の例では、無置換のYを示しているが、Yは、前述の置換基で置換されていてもよい。また、一般式(9)のR10〜R14は、一般式(1)のものと同じである。
一方、一般式(1)で表される化合物の分子量としては、分子量が小さすぎると熱による拡散や凝集が起こりやすいため、100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましい。さらに好ましくは200以上である。また、この化合物の分子量としては、分子量が大きすぎると溶解性が下がるため、1000以下であることが好ましく、900以下であることがより好ましい。さらに好ましくは800以下である。
また、一般式(1)で表される化合物は、光源からの光や発光材料の発光を阻害しないという観点から、可視域での吸光係数が小さいことが好ましい。具体的には、波長400nm以上、800nm以下の波長域全域で、この化合物のモル吸光係数εは、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。さらに好ましくは200以下であり、100以下であることが特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、以下に示すものが一例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物において、(C)成分の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換フィルムの厚みや透過率にもよるが、(B)成分の100重量部に対して、1.0×10-3重量部以上であることが好ましく、1.0×10-2重量部以上であることがより好ましく、1.0×10-1重量部以上であることがさらに好ましい。また、(C)成分の含有量は、(B)成分の100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、上述した(A)成分、(B)成分および(C)成分以外に、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、シリコーン微粒子等の無機粒子、およびシランカップリング剤等、その他の添加剤を含有することができる。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、上述した(A)成分、(B)成分および(C)成分以外に、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、シリコーン微粒子等の無機粒子、およびシランカップリング剤等、その他の添加剤を含有することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの酸化防止剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
加工および熱安定化剤としては、例えば、トリブチルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリエチルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン等のリン系安定化剤を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの安定化剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
耐光性安定化剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの耐光性安定化剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
これらの添加剤は、光源からの光や発光材料の発光を阻害しないという観点から、可視域での吸光係数が小さいことが好ましい。具体的には、波長400nm以上、800nm以下の波長域全域で、これらの添加剤のモル吸光係数εは、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。さらに好ましくは200以下であり、100以下であることが特に好ましい。
また、耐光性安定化剤としては、一重項酸素クエンチャーとしての役割を持つ化合物も好適に用いることができる。一重項酸素クエンチャーは、酸素分子が光のエネルギーにより活性化してできた一重項酸素をトラップして不活性化する材料である。組成物中に一重項酸素クエンチャーが共存することで、発光材料が一重項酸素により劣化することを防ぐことができる。
一重項酸素は、ローズベンガルやメチレンブルーのような色素の三重項励起状態と、基底状態の酸素分子との間で電子とエネルギーの交換が起こることで生じることが知られている。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、含有される有機発光材料が励起光により励起され、励起光とは異なる波長の光を発光することで光の色変換を行う。この励起−発光のサイクルが繰り返されるため、生じた励起種と、組成物中に含まれる酸素との相互作用により、一重項酸素が生成する確率は高まる。そのため、有機発光材料と一重項酸素との衝突確率も高まるため、有機発光材料の劣化が進みやすい。
有機発光材料は、無機発光材料と比べて一重項酸素の影響を受けやすい。特に、一般式(4)で表される化合物は、ペリレン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体に比べて一重項酸素との反応性が高く、一重項酸素による耐久性への影響が大きい。そこで、発生した一重項酸素を、一重項酸素クエンチャーによって速やかに不活性化させることで、発光量子収率および色純度に優れた一般式(4)で表される化合物の耐久性を向上させることができる。
一重項酸素クエンチャーとしての役割を持つ化合物としては、例えば、特定の、3級アミン、カテコール誘導体およびニッケル化合物を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの化合物(耐光性安定化剤)は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
3級アミンとは、アンモニアのN−H結合がすべてN−C結合に置き換わった構造を持つ化合物を示す。窒素原子上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
上記3級アミンの窒素原子上の置換基としては、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基が、光安定性の観点から好ましい。中でも、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基がより好ましい。
この場合のアリール基としては、光源からの光や発光材料の発光を阻害しないため、フェニル基またはナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。また、窒素原子上のアリール基が増加すると、可視域の光の吸収が増加する懸念があるため、窒素原子上の3つの置換基のうち、アリール基は、2つ以下が好ましく、1つ以下であることがより好ましい。窒素原子上の3つの置換基のうち、少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基である場合、より効率的に一重項酸素をトラップすることができるため、好ましい。中でも、3つの置換基のうち2つ以上が置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましい。
好ましい3級アミンとしては、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、一般式(2)で表される化合物は、R10がアルキル基であれば、3級アミンである。すなわち、この化合物は、一重項酸素クエンチャーとしての役割も持つ。
カテコール誘導体とは、レゾルシノールやヒドロキノン等の異性体を含む、ベンゼン環上に2つ以上の水酸基を有する化合物を示す。これらの化合物は、ベンゼン環上の水酸基が1つであるフェノール誘導体と比較して、より効率的に一重項酸素をトラップすることができる。
カテコール誘導体のベンゼン環上の置換基としては、水酸基以外にも、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
中でも、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、ハロゲンが、光安定性の観点から好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、ハロゲンがより好ましい。さらに、一重項酸素クエンチャーとの反応後の変色が小さいことから、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、ハロゲンがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基である。
カテコール誘導体におけるベンゼン環上の水酸基の位置としては、少なくとも2つの水酸基が隣接することが好ましい。これは、レゾルシノール(1,3−置換)やヒドロキノン(1,4−置換)に比べて光酸化されにくいためである。また、酸化された後も可視域の光の吸収が小さいため、組成物の変色を防ぐことができる。
好ましいカテコール誘導体としては、4−tert−ブチルベンゼン−1,2−ジオール、3,5−ジ−tert−ブチルベンゼン−1,2−ジオール等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
ニッケル化合物とは、ニッケルを含む化合物である。ニッケル化合物としては、例えば、塩化ニッケル等の無機塩やビスアセチルアセトナトニッケル等の錯体、カルバミン酸ニッケル塩等の有機酸塩等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。ここで、有機酸とは、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性水酸基、チオール基を有する有機化合物を示す。中でも、ニッケル化合物としては、組成物中で均一に分散するという観点から、錯体および有機酸塩が好ましい。
一重項酸素クエンチャーとして好適に用いることができるニッケル錯体および有機酸のニッケル塩としては、例えば、アセチルアセトナート系ニッケル錯体、ビスジチオ−α−ジケトン系ニッケル錯体、ジチオレート系ニッケル錯体、アミノチオレート系ニッケル錯体、チオカテコール系ニッケル錯体、サリチルアルデヒドオキシム系ニッケル錯体、チオビスフェノレート系ニッケル錯体、インドアニリン系ニッケル化合物、カルボン酸系ニッケル塩、スルホン酸系ニッケル塩、フェノール系ニッケル塩、カルバミン酸系ニッケル塩、ジチオカルバミン酸系ニッケル塩等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
これらの中でも、ニッケル化合物としては、有機酸のニッケル塩、アセチルアセトナート系ニッケル錯体およびチオビスフェノレート系ニッケル錯体のうち少なくとも1つであることが好ましい。特に、合成の容易さ、および安価であるという観点から、有機酸のニッケル塩が好ましい。また、可視域におけるモル吸光係数が小さく、光源や発光材料の発光を吸収することがないという観点から、スルホン酸系ニッケル塩が好ましい。さらに、より良い一重項酸素クエンチ効果を示すという観点からは、アリールスルホン酸のニッケル塩がより好ましく、幅広い種類の溶媒への溶解性の観点からは、アルキルスルホン酸のニッケル塩が好ましい。アリールスルホン酸のアリール基としては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、溶媒への溶解性および分散性の観点から、アルキル基で置換されたフェニル基がより好ましい。
また、ニッケル化合物としては、有機溶剤への溶解性および可視域におけるモル吸光係数が小さいという観点から、アセチルアセトナート系ニッケル錯体およびチオビスフェノレート系ニッケル錯体の双方が好ましい。これらの錯体におけるニッケル上の配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基等の置換基により置換されていてもよい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
中でも、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、ハロゲンが、光安定性の観点から好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、ハロゲンがより好ましい。さらに、一重項酸素クエンチャーとの反応後の変色が小さいことから、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、ハロゲンがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基である。
波長400nm以上、800nm以下の波長域全域でモル吸光係数εが100以下であるニッケル化合物としては、例えば、p−トルイルスルホン酸のニッケル塩やアセチルアセトンニッケル(II)錯体、ヘキサフルオロアセチルアセトンニッケル(II)錯体、2,2’−チオビスフェノレート−n−ブチルアミンニッケル(II)錯体、[2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)錯体等が挙げられる。しかし、ニッケル化合物としては、これらのニッケル塩やニッケル錯体に限定されず、上述した各種のニッケル化合物のうち、波長400nm以上、800nm以下の波長域全域でモル吸光係数εが100以下であるものが、好適に用いられる。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物において、これらの添加剤の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換フィルムの厚みや透過率にもよるが、通常は(B)成分の100重量部に対して、1.0×10-3重量部以上であることが好ましく、1.0×10-2重量部以上であることがより好ましく、1.0×10-1重量部以上であることがさらに好ましい。また、これらの添加剤の含有量は、(B)成分の100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。
<溶媒>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、流動状態の樹脂の粘度を調整でき、発光物質の発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に限定されない。このような溶媒として、例えば、水、2−プロパノール、エタノール、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、テルピネオール、テキサノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶媒を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの溶媒の中で特にトルエンは、一般式(4)で表される化合物の劣化に影響を与えず、乾燥後の残存溶媒が少ない点で好適に用いられる。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、流動状態の樹脂の粘度を調整でき、発光物質の発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に限定されない。このような溶媒として、例えば、水、2−プロパノール、エタノール、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、テルピネオール、テキサノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶媒を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの溶媒の中で特にトルエンは、一般式(4)で表される化合物の劣化に影響を与えず、乾燥後の残存溶媒が少ない点で好適に用いられる。
<色変換組成物の作製方法>
以下に、本発明の実施の形態に係る色変換組成物の作製方法の一例を説明する。この作製方法では、前述した有機発光材料((A)成分)、バインダー樹脂((B)成分)、アミン誘導体((C)成分)、溶媒等を所定量混合する。上記の成分を所定の組成になるよう混合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、色変換組成物が得られる。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。また、ある特定の成分を事前に混合することや、エージング等の処理をしても構わない。エバポレーターによって溶媒を除去して所望の固形分濃度にすることも可能である。
以下に、本発明の実施の形態に係る色変換組成物の作製方法の一例を説明する。この作製方法では、前述した有機発光材料((A)成分)、バインダー樹脂((B)成分)、アミン誘導体((C)成分)、溶媒等を所定量混合する。上記の成分を所定の組成になるよう混合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、色変換組成物が得られる。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。また、ある特定の成分を事前に混合することや、エージング等の処理をしても構わない。エバポレーターによって溶媒を除去して所望の固形分濃度にすることも可能である。
<色変換フィルムの作製方法>
本発明において、色変換フィルムは、上述した色変換組成物を硬化して得られる層(すなわち、色変換組成物の硬化物層)を含んでいれば、その構成に限定はない。色変換フィルムの代表的な構造例として、例えば、以下の3つが挙げられる。
本発明において、色変換フィルムは、上述した色変換組成物を硬化して得られる層(すなわち、色変換組成物の硬化物層)を含んでいれば、その構成に限定はない。色変換フィルムの代表的な構造例として、例えば、以下の3つが挙げられる。
図1は、本発明の実施の形態に係る色変換フィルムの一例を示す模式断面図である。図1に例示する色変換フィルム1は、基材層10と色変換層11との積層体である。この色変換層11は、上述した色変換組成物の硬化物層である。この色変換フィルム1の構造例では、色変換層11が、基材層10の上に積層されている。
図2は、本発明の実施の形態に係る色変換フィルムの別例を示す模式断面図である。図2に例示する色変換フィルム1は、複数の基材層10と、色変換層11との積層体である。この色変換フィルム1の構造例では、色変換層11が、複数の基材層10によって挟まれている。
図3は、本発明の実施の形態に係る色変換フィルムの更なる別例を示す模式断面図である。図3に例示する色変換フィルム1は、複数の基材層10と、色変換層11と、複数のバリアフィルム12との積層体である。この色変換フィルム1の構造例では、色変換層11が、複数のバリアフィルム12によって挟まれ、さらに、これら色変換層11と複数のバリアフィルム12との積層体が、複数の基材層10によって挟まれている。すなわち、色変換フィルム1には、色変換層11の酸素、水分や熱による劣化を防ぐために、図3に例示するように、バリアフィルム12を設けてもよい。
(基材層)
基材層(例えば図1〜3に示す基材層10等)としては、特に制限無く公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、基材層として、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄等の金属板や箔、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド、シリコーン、ポリオレフィン、熱可塑性フッ素樹脂、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)等のプラスチックのフィルム、α−ポリオレフィン樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびこれらとエチレンとの共重合樹脂からなるプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、または前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネートまたは蒸着された紙、前記金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルム等が挙げられる。また、基材層が金属板である場合、その表面にクロム系やニッケル系等のメッキ処理やセラミック処理が施されていてもよい。
基材層(例えば図1〜3に示す基材層10等)としては、特に制限無く公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、基材層として、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄等の金属板や箔、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド、シリコーン、ポリオレフィン、熱可塑性フッ素樹脂、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)等のプラスチックのフィルム、α−ポリオレフィン樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびこれらとエチレンとの共重合樹脂からなるプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、または前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネートまたは蒸着された紙、前記金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルム等が挙げられる。また、基材層が金属板である場合、その表面にクロム系やニッケル系等のメッキ処理やセラミック処理が施されていてもよい。
これらの中でも、色変換フィルムの作製のし易さや色変換フィルムの成形のし易さから、ガラスや樹脂フィルムが好ましく用いられる。また、フィルム状の基材層を取り扱う際に破断等の恐れがないように、強度が高いフィルムが好ましい。それらの要求特性や経済性の面で樹脂フィルムが好ましく、これらの中でも、経済性、取り扱い性の面でPET、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリプロピレンからなる群より選ばれるプラスチックフィルムが好ましい。また、色変換フィルムを乾燥させる場合や色変換フィルムを押し出し機により200℃以上の高温で圧着成形する場合は、耐熱性の面でポリイミドフィルムが好ましい。フィルムの剥離のし易さから、基材層は、予め表面が離型処理されていてもよい。
基材層の厚さは、特に制限はないが、下限としては5μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、38μm以上がより好ましい。また、上限としては5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
(色変換層)
つぎに、本発明の実施の形態に係る色変換フィルムの色変換層の作製方法の一例を説明する。この色変換層の作製方法では、上述した方法で作製した色変換組成物を、基材層やバリアフィルム層等の下地上に塗布し、乾燥させる。このようにして、色変換層(例えば図1〜3に示す色変換層11)を作製する。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、リバースロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により、行うことができる。色変換層の膜厚均一性を得るためには、スリットダイコーターやディップコーターで塗布することが好ましい。
つぎに、本発明の実施の形態に係る色変換フィルムの色変換層の作製方法の一例を説明する。この色変換層の作製方法では、上述した方法で作製した色変換組成物を、基材層やバリアフィルム層等の下地上に塗布し、乾燥させる。このようにして、色変換層(例えば図1〜3に示す色変換層11)を作製する。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、リバースロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により、行うことができる。色変換層の膜厚均一性を得るためには、スリットダイコーターやディップコーターで塗布することが好ましい。
色変換層の乾燥は、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。色変換フィルムの加熱には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱条件は、通常、40℃〜250℃で1分〜5時間、好ましくは60℃〜200℃で2分〜4時間である。また、ステップキュア等の段階的に加熱硬化することも可能である。
色変換層を作製した後、必要に応じて基材層を変更することも可能である。この場合、簡易的な方法としては、例えば、ホットプレートを用いて貼り替えを行なう方法や、真空ラミネーターやドライフィルムラミネーターを用いた方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
色変換層の厚みは、特に制限はないが、1μm〜1000μmであることが好ましく、10μm〜1000μmであることがより好ましい。色変換層の厚みが1μmより小さいと、色変換フィルムの強靭性が小さくなるという問題がある。色変換層の厚みが1000μmを超えると、クラックが生じやすくなり、色変換フィルム成形が難しい。色変換層の厚みとして、より好ましくは5μm〜100μmであり、さらに好ましくは10μm〜100μmであり、特に好ましくは15μm〜100μmである。
本発明における色変換フィルムの膜厚は、JIS K7130(1999)プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法における機械的走査による厚さの測定方法A法に基づいて測定される膜厚(平均膜厚)のことをいう。
(バリアフィルム)
バリアフィルム(例えば図3に示すバリアフィルム12等)は、色変換層に対してガスバリア性を向上させる場合等において適宜用いられる。このバリアフィルムとしては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物や、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素等の無機窒化物、またはこれらの混合物、またはこれらに他の元素を添加した金属酸化物薄膜や金属窒化物薄膜、あるいはポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのケン化物等のポリビニルアルコール系樹脂等の各種樹脂から成る膜を挙げることができる。また、水分に対してバリア機能を有するバリアフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンと塩化ビニル、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合物、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのケン化物等のポリビニルアルコール系樹脂等の各種樹脂から成る膜を挙げることができる。
バリアフィルム(例えば図3に示すバリアフィルム12等)は、色変換層に対してガスバリア性を向上させる場合等において適宜用いられる。このバリアフィルムとしては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物や、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素等の無機窒化物、またはこれらの混合物、またはこれらに他の元素を添加した金属酸化物薄膜や金属窒化物薄膜、あるいはポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのケン化物等のポリビニルアルコール系樹脂等の各種樹脂から成る膜を挙げることができる。また、水分に対してバリア機能を有するバリアフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンと塩化ビニル、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合物、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのケン化物等のポリビニルアルコール系樹脂等の各種樹脂から成る膜を挙げることができる。
バリアフィルムは、図3に例示したバリアフィルム12のように色変換層11の両面に設けられてもよいし、色変換層11の片面だけに設けられてもよい。また、色変換フィルムの要求される機能に応じて、光拡散層、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、電磁波シールド機能、赤外線カット機能、紫外線カット機能、偏光機能、調色機能を有した補助層をさらに設けてもよい。
<励起光>
励起光の種類は、一般式(4)で表される化合物等の混合する発光物質が吸収可能な波長領域に発光を示すものであれば、いずれの励起光でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の蛍光性光源、有機EL素子光源、LED光源、白熱光源、あるいは太陽光等、いずれの励起光でも原理的には利用可能である。特に、LED光源からの光が好適な励起光である。ディスプレイや照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、430nm〜500nmの波長範囲の励起光を持つ青色LED光源からの光が、さらに好適な励起光である。励起光の波長範囲がこれより長波長側にあると、青色光が欠如するために白色光が形成できなくなり、また、励起光の波長範囲がこれより短波長側にあると、一般式(4)で表される化合物等の発光物質あるいはバインダー樹脂等の有機化合物が光劣化しやすいので、好ましくない。
励起光の種類は、一般式(4)で表される化合物等の混合する発光物質が吸収可能な波長領域に発光を示すものであれば、いずれの励起光でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の蛍光性光源、有機EL素子光源、LED光源、白熱光源、あるいは太陽光等、いずれの励起光でも原理的には利用可能である。特に、LED光源からの光が好適な励起光である。ディスプレイや照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、430nm〜500nmの波長範囲の励起光を持つ青色LED光源からの光が、さらに好適な励起光である。励起光の波長範囲がこれより長波長側にあると、青色光が欠如するために白色光が形成できなくなり、また、励起光の波長範囲がこれより短波長側にあると、一般式(4)で表される化合物等の発光物質あるいはバインダー樹脂等の有機化合物が光劣化しやすいので、好ましくない。
励起光は、1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには、1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の励起光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
<光源ユニット>
本発明の実施の形態に係る光源ユニットは、少なくとも光源および上述の色変換組成物または色変換フィルムを備える構成である。光源ユニットが色変換組成物を備える場合は、光源と色変換組成物との配置方法については特に限定されず、光源に色変換組成物を直接塗布した構成を取ってもよいし、光源とは離したフィルムやガラス等に色変換組成物を塗布した構成を取ってもよい。光源ユニットが色変換フィルムを備える場合は、光源と色変換フィルムとの配置方法については特に限定されず、光源と色変換フィルムとを密着させた構成を取ってもよいし、光源と色変換フィルムとを離したリモートフォスファー形式を取ってもよい。また、光源ユニットは、色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを備える構成を取ってもよい。
本発明の実施の形態に係る光源ユニットは、少なくとも光源および上述の色変換組成物または色変換フィルムを備える構成である。光源ユニットが色変換組成物を備える場合は、光源と色変換組成物との配置方法については特に限定されず、光源に色変換組成物を直接塗布した構成を取ってもよいし、光源とは離したフィルムやガラス等に色変換組成物を塗布した構成を取ってもよい。光源ユニットが色変換フィルムを備える場合は、光源と色変換フィルムとの配置方法については特に限定されず、光源と色変換フィルムとを密着させた構成を取ってもよいし、光源と色変換フィルムとを離したリモートフォスファー形式を取ってもよい。また、光源ユニットは、色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを備える構成を取ってもよい。
前述の通り、430nm〜500nmの波長範囲の励起光は、比較的小さい励起エネルギーであり、一般式(4)で表される化合物等の発光物質の分解を防止できる。したがって、光源ユニットに用いる光源は、波長430nm以上、500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードであることが好ましい。さらに、この光源は、波長450nm以上、470nm以下の範囲に極大発光を有することが好ましい。本発明における光源ユニットは、ディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板等の用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に好適に用いられる。
<ディスプレイ、照明装置>
本発明の実施の形態に係るディスプレイは、少なくとも、上述したように光源および色変換フィルム等を含む光源ユニットを備える。例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイには、バックライトユニットとして、上述の光源ユニットが用いられる。また、本発明の実施の形態に係る照明装置は、少なくとも、上述したように光源および色変換フィルム等を含む光源ユニットを備える。例えば、この照明装置は、光源ユニットとしての青色LED光源と、この青色LED光源からの青色光をこれよりも長波長の光に変換する色変換フィルムまたは色変換組成物とを組み合わせて、白色光を発光するように構成される。
本発明の実施の形態に係るディスプレイは、少なくとも、上述したように光源および色変換フィルム等を含む光源ユニットを備える。例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイには、バックライトユニットとして、上述の光源ユニットが用いられる。また、本発明の実施の形態に係る照明装置は、少なくとも、上述したように光源および色変換フィルム等を含む光源ユニットを備える。例えば、この照明装置は、光源ユニットとしての青色LED光源と、この青色LED光源からの青色光をこれよりも長波長の光に変換する色変換フィルムまたは色変換組成物とを組み合わせて、白色光を発光するように構成される。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。下記の実施例および比較例において、化合物G−1〜G−6、R−1〜R−3、Q−1〜Q−6は、以下に示す化合物である。
また、実施例および比較例における構造分析に関する評価方法は、以下に示す通りである。
<1H−NMRの測定>
化合物の1H−NMRは、超伝導FTNMR EX−270(日本電子株式会社製)を用い、重クロロホルム溶液にて測定を行った。
化合物の1H−NMRは、超伝導FTNMR EX−270(日本電子株式会社製)を用い、重クロロホルム溶液にて測定を行った。
<吸収スペクトルの測定>
化合物の吸収スペクトルは、U−3200形分光光度計(日立製作所株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10-6mol/Lの濃度で溶解させて測定を行った。
化合物の吸収スペクトルは、U−3200形分光光度計(日立製作所株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10-6mol/Lの濃度で溶解させて測定を行った。
<蛍光スペクトルの測定>
化合物の蛍光スペクトルは、F−2500形分光蛍光光度計(日立製作所株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10-6mol/Lの濃度で溶解させ、波長460nmで励起させた際の蛍光スペクトルを測定した。
化合物の蛍光スペクトルは、F−2500形分光蛍光光度計(日立製作所株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10-6mol/Lの濃度で溶解させ、波長460nmで励起させた際の蛍光スペクトルを測定した。
<色変換特性の測定>
色変換特性の測定では、各色変換フィルムおよび青色LED素子(ProLight社製;型番PM2B−3LBE−SD、発光ピーク波長:460nm)を搭載した発光装置に、10mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)を用いて、発光スペクトル、ピーク波長における発光強度および色度を測定した。なお、各色変換フィルムと青色LED素子との距離は、3cmとした。
色変換特性の測定では、各色変換フィルムおよび青色LED素子(ProLight社製;型番PM2B−3LBE−SD、発光ピーク波長:460nm)を搭載した発光装置に、10mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)を用いて、発光スペクトル、ピーク波長における発光強度および色度を測定した。なお、各色変換フィルムと青色LED素子との距離は、3cmとした。
<光耐久性のテスト>
光耐久性のテストでは、各色変換フィルムおよび青色LED素子(ProLight社製;型番PM2B−3LBE−SD、発光ピーク波長:460nm)を搭載した発光装置に、10mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)を用いて初期輝度を測定した。なお、各色変換フィルムと青色LED素子との距離は、3cmとした。その後、室温下で青色LED素子からの光を連続照射し、輝度が一定量低下するまでの時間を観測することで、光耐久性を評価した。
光耐久性のテストでは、各色変換フィルムおよび青色LED素子(ProLight社製;型番PM2B−3LBE−SD、発光ピーク波長:460nm)を搭載した発光装置に、10mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)を用いて初期輝度を測定した。なお、各色変換フィルムと青色LED素子との距離は、3cmとした。その後、室温下で青色LED素子からの光を連続照射し、輝度が一定量低下するまでの時間を観測することで、光耐久性を評価した。
(合成例1)
以下に、本発明における合成例1の化合物G−1の合成方法について説明する。化合物G−1の合成方法では、3,5−ジブロモベンズアルデヒド(3.0g)、4−t−ブチルフェニルボロン酸(5.3g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.4g)、炭酸カリウム(2.0g)をフラスコに入れ、窒素置換した。これに、脱気したトルエン(30mL)および脱気した水(10mL)を加え、4時間還流した。この反応溶液を室温まで冷却し、有機層を、分液した後に飽和食塩水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、3,5−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアルデヒド(3.5g)を白色固体として得た。
以下に、本発明における合成例1の化合物G−1の合成方法について説明する。化合物G−1の合成方法では、3,5−ジブロモベンズアルデヒド(3.0g)、4−t−ブチルフェニルボロン酸(5.3g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.4g)、炭酸カリウム(2.0g)をフラスコに入れ、窒素置換した。これに、脱気したトルエン(30mL)および脱気した水(10mL)を加え、4時間還流した。この反応溶液を室温まで冷却し、有機層を、分液した後に飽和食塩水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、3,5−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアルデヒド(3.5g)を白色固体として得た。
つぎに、3,5−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアルデヒド(1.5g)と2,4−ジメチルピロール(0.7g)とを反応溶液に入れ、脱水ジクロロメタン(200mL)およびトリフルオロ酢酸(1滴)を加えて、窒素雰囲気下、4時間撹拌した。続いて、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(0.85g)の脱水ジクロロメタン溶液を加え、さらに1時間撹拌した。反応終了後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(7.0mL)およびジイソプロピルエチルアミン(7.0mL)を加えて、4時間撹拌した後、さらに水(100mL)を加えて撹拌し、有機層を分液した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物(0.4g)を得た(収率18%)。この得られた化合物の1H−NMR分析結果は次の通りであり、これが化合物G−1であることが確認された。
1H−NMR(CDCl3,ppm):7.95(s,1H)、7.63−7.48(m,10H)、6.00(s,2H)、2.58(s,6H)、1.50(s,6H)、1.37(s,18H)。
1H−NMR(CDCl3,ppm):7.95(s,1H)、7.63−7.48(m,10H)、6.00(s,2H)、2.58(s,6H)、1.50(s,6H)、1.37(s,18H)。
なお、この化合物G−1の吸収スペクトルは、図4に示す通りとなり、青色の励起光源(460nm)に光の吸収特性を示した。また、この化合物G−1の蛍光スペクトルは、図5に示す通りとなり、緑色領域に鋭い発光ピークを示した。発光量子収率は83%を示し、この化合物G−1は効率的な色変換が可能な化合物であった。
(合成例2)
以下に、本発明における合成例2の化合物R−1の合成方法について説明する。化合物R−1の合成方法では、4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ピロール(300mg)、2−メトキシベンゾイルクロリド(201mg)およびトルエン(10mL)の混合溶液を窒素気流下、120℃で6時間加熱した。この加熱溶液を室温に冷却後、エバポレートした。ついで、エタノール(20mL)で洗浄し、真空乾燥した後、2−(2−メトキシベンゾイル)−3−(4−t−ブチルフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)ピロール(260mg)を得た。
以下に、本発明における合成例2の化合物R−1の合成方法について説明する。化合物R−1の合成方法では、4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ピロール(300mg)、2−メトキシベンゾイルクロリド(201mg)およびトルエン(10mL)の混合溶液を窒素気流下、120℃で6時間加熱した。この加熱溶液を室温に冷却後、エバポレートした。ついで、エタノール(20mL)で洗浄し、真空乾燥した後、2−(2−メトキシベンゾイル)−3−(4−t−ブチルフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)ピロール(260mg)を得た。
つぎに、2−(2−メトキシベンゾイル)−3−(4−t−ブチルフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)ピロール(260mg)、4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ピロール(180mg)、メタンスルホン酸無水物(206mg)および脱気したトルエン(10mL)の混合溶液を窒素気流下、125℃で7時間加熱した。この加熱溶液を室温に冷却後、水(20mL)を注入し、ジクロロメタン(30mL)で有機層を抽出した。この有機層を水(20mL)で2回洗浄し、エバポレートし、真空乾燥して、ピロメテン体を得た。
つぎに、得られたピロメテン体とトルエン(10mL)との混合溶液を、窒素気流下、ジイソプロピルエチルアミン(305mg)および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(670mg)を加えて室温で3時間、攪拌した。その後、水(20mL)を注入し、ジクロロメタン(30mL)で有機層を抽出した。この有機層を水(20mL)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。続いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、赤紫色粉末(0.27g)を得た。得られた赤紫色粉末の1H−NMR分析結果は次の通りであり、上記のようにして得られた赤紫色粉末が化合物R−1であることが確認された。
1H−NMR(CDCl3,ppm):1.19(s,18H)、3.42(s,3H)、3.85(s,6H)、5.72(d,1H)、6.20(t,1H)、6.42−6.97(m,16H)、7.89(d,4H)。
1H−NMR(CDCl3,ppm):1.19(s,18H)、3.42(s,3H)、3.85(s,6H)、5.72(d,1H)、6.20(t,1H)、6.42−6.97(m,16H)、7.89(d,4H)。
なお、この化合物R−1の吸収スペクトルは、図6に示す通りとなり、青色および緑色の励起光源に光の吸収特性を示した。また、この化合物R−1の蛍光スペクトルは、図7に示す通りとなり、赤色領域に鋭い発光ピークを示した。発光量子収率は90%を示し、この化合物R−1は効率的な色変換が可能な化合物であった。
(実施例1)
本発明の実施例1では、(B)成分としてシリコーン樹脂“OE−6630A/B” (東レ・ダウコーニング社製)を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分として化合物G−1を0.20重量部、硬化剤を0.5重量部、(C)成分として化合物Q−1を1.0重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK−400”(クラボウ製)を用いて1000rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、フィルム作製用樹脂液としての色変換組成物を得た。
本発明の実施例1では、(B)成分としてシリコーン樹脂“OE−6630A/B” (東レ・ダウコーニング社製)を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分として化合物G−1を0.20重量部、硬化剤を0.5重量部、(C)成分として化合物Q−1を1.0重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK−400”(クラボウ製)を用いて1000rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、フィルム作製用樹脂液としての色変換組成物を得た。
ついで、このフィルム作製用樹脂液を、スリットダイコーターを用いて“セラピール”BLK(東レフィルム加工株式会社製)上に塗布し、130℃で2時間加熱、乾燥して、膜厚200μmの色変換フィルムを得た。
この色変換フィルムを用いて青色LED光を色変換させたところ、緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長526nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅25nmの高色純度緑色発光が得られた。また、室温下で青色LED素子からの光を連続照射したところ、輝度が5%低下する時間は、105時間であった。実施例1の評価結果、(A)成分および(C)成分は、後述の表2に示す。
(実施例2〜8および比較例1〜6)
本発明の実施例2〜8および本発明に対する比較例1〜6では、(A)成分として表2に記載した有機発光材料(化合物G−1、G−2、G−3、G−4)を用い、(C)成分として表2に記載したアミン誘導体(化合物Q−1、Q−2、Q−3、Q−4、Q−5、Q−6)を適宜用いたこと以外は、実施例1と同様にして、色変換フィルムを作製して評価した。実施例2〜8および比較例1〜6の評価結果は、表2に示す。
本発明の実施例2〜8および本発明に対する比較例1〜6では、(A)成分として表2に記載した有機発光材料(化合物G−1、G−2、G−3、G−4)を用い、(C)成分として表2に記載したアミン誘導体(化合物Q−1、Q−2、Q−3、Q−4、Q−5、Q−6)を適宜用いたこと以外は、実施例1と同様にして、色変換フィルムを作製して評価した。実施例2〜8および比較例1〜6の評価結果は、表2に示す。
(実施例9)
本発明の実施例9では、(B)成分として二液型熱硬化性エポキシ系アクリル樹脂を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分として化合物R−1を0.08重量部、硬化剤を0.5重量部、(C)成分として化合物Q−1を1.0重量部、混合した。その後、これらの混合物を300rpmで1時間攪拌する等して、色変換組成物を作製した。
本発明の実施例9では、(B)成分として二液型熱硬化性エポキシ系アクリル樹脂を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分として化合物R−1を0.08重量部、硬化剤を0.5重量部、(C)成分として化合物Q−1を1.0重量部、混合した。その後、これらの混合物を300rpmで1時間攪拌する等して、色変換組成物を作製した。
ついで、この色変換組成物を、延伸ポリエチレンテレフタル酸フィルム(東レ先端素材株式会社製XG5P1)の上にバーコーティング方式を用いて塗布した後、120℃で5分間乾燥した。これにより、平均膜厚10μmのコーティング層を形成した。その後、このコーティング層に拡散フィルム(東レ先端素材株式会社製“Texcell”(登録商標)TDF127)をラミネーションした後、60℃で1時間熟成して、色変換フィルムを得た。
この色変換フィルムを用いて青色LED光を色変換させたところ、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長635nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅49nmの高色純度赤色発光が得られた。また、室温下で青色LED素子からの光を連続照射したところ、輝度が2%低下する時間は、400時間であった。実施例9の評価結果、(A)成分および(C)成分は、後述の表3に示す。
(実施例10〜15および比較例7〜10)
本発明の実施例10〜15および本発明に対する比較例7〜10では、(A)成分として表3に記載した有機発光材料(化合物R−1、R−2、R−3)を用い、(C)成分として表3に記載したアミン誘導体(化合物Q−1、Q−2、Q−3、Q−4、Q−5、Q−6)を適宜用いたこと以外は、実施例9と同様にして、色変換フィルムを作製して評価した。実施例10〜15および比較例7〜10の評価結果は、表3に示す。
本発明の実施例10〜15および本発明に対する比較例7〜10では、(A)成分として表3に記載した有機発光材料(化合物R−1、R−2、R−3)を用い、(C)成分として表3に記載したアミン誘導体(化合物Q−1、Q−2、Q−3、Q−4、Q−5、Q−6)を適宜用いたこと以外は、実施例9と同様にして、色変換フィルムを作製して評価した。実施例10〜15および比較例7〜10の評価結果は、表3に示す。
(実施例16)
本発明の実施例16では、(B)成分として二液型熱硬化性エポキシ系アクリル樹脂を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分の発光材料(a)として化合物G−1を0.20重量部、(A)成分の発光材料(b)として化合物R−1を0.08重量部、硬化剤を0.5重量部、(C)成分として化合物Q−1を1.0重量部、混合した。その後、これらの混合物を300rpmで1時間攪拌する等して、色変換組成物を作製した。
本発明の実施例16では、(B)成分として二液型熱硬化性エポキシ系アクリル樹脂を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分の発光材料(a)として化合物G−1を0.20重量部、(A)成分の発光材料(b)として化合物R−1を0.08重量部、硬化剤を0.5重量部、(C)成分として化合物Q−1を1.0重量部、混合した。その後、これらの混合物を300rpmで1時間攪拌する等して、色変換組成物を作製した。
ついで、この色変換組成物を、延伸ポリエチレンテレフタル酸フィルム(東レ先端素材株式会社製XG5P1)の上にバーコーティング方式を用いて塗布した後、120℃で5分間乾燥した。これにより、平均膜厚10μmのコーティング層を形成した。その後、このコーティング層に拡散フィルム(東レ先端素材株式会社製“Texcell”(登録商標)TDF127)をラミネーションした後、60℃で1時間熟成して、色変換フィルムを得た。
この色変換フィルムを用いて青色LED光を色変換させたところ、緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長527nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅28nmの高色純度緑色発光が得られ、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長635nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅49nmの高色純度赤色発光が得られた。また、室温下で青色LED素子からの光を連続照射したところ、輝度が5%低下する時間は、110時間であった。実施例16の評価結果、(A)成分および(C)成分は、後述の表4に示す。
(実施例17〜21および比較例11、12)
本発明の実施例17〜21および本発明に対する比較例11、12では、(A)成分として表4に記載した発光材料(a)(化合物G−1、G−2、G−3、G−4)および発光材料(b)(化合物R−1、R−2、R−3)を用い、(C)成分として表4に記載したアミン誘導体(化合物Q−1、Q−6)を適宜用いたこと以外は、実施例16と同様にして、色変換フィルムを作製して評価した。実施例17〜21および比較例11、12の評価結果は、表4に示す。
本発明の実施例17〜21および本発明に対する比較例11、12では、(A)成分として表4に記載した発光材料(a)(化合物G−1、G−2、G−3、G−4)および発光材料(b)(化合物R−1、R−2、R−3)を用い、(C)成分として表4に記載したアミン誘導体(化合物Q−1、Q−6)を適宜用いたこと以外は、実施例16と同様にして、色変換フィルムを作製して評価した。実施例17〜21および比較例11、12の評価結果は、表4に示す。
(実施例22)
本発明の実施例22では、(B)成分としてアクリル樹脂“KC−7000”(共栄社化学株式会社製)を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分として化合物G−5を0.25重量部、(C)成分として化合物Q−1を1.0重量部、混合した。その後、これらの混合物を300rpmで1時間攪拌する等して、色変換組成物を作製した。
本発明の実施例22では、(B)成分としてアクリル樹脂“KC−7000”(共栄社化学株式会社製)を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分として化合物G−5を0.25重量部、(C)成分として化合物Q−1を1.0重量部、混合した。その後、これらの混合物を300rpmで1時間攪拌する等して、色変換組成物を作製した。
ついで、この色変換組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製U48)上にバーコーティング方式を用いて塗布した後、120℃で5分間乾燥した。これにより、平均膜厚16μmの色変換層を形成した。その後、この色変換層に拡散フィルム(東レ先端素材株式会社製“Texcell”(登録商標)TDF127)をラミネーションした後、60℃で1時間熟成して、色変換フィルムを得た。
この色変換フィルムを用いて青色LED光を色変換させたところ、緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長529nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅26nmの高色純度緑色発光が得られた。実施例22のピーク波長における発光強度は、後述の比較例13における発光強度を1.00としたときの相対値である。具体的には、実施例22において、ピーク波長における発光強度は1.00であり、(C)成分による発光の阻害は見られなかった。また、室温下で青色LED素子からの光を連続照射したところ、輝度が5%低下する時間は、260時間であった。実施例22の評価結果、(A)成分および(C)成分は、後述の表5に示す。
(実施例23〜25および比較例13、14)
本発明の実施例23〜25および本発明に対する比較例13、14では、(A)成分として表5に記載した有機発光材料(化合物G−5、G−6)を用い、(C)成分として表5に記載したアミン誘導体(化合物Q−1、Q−2)を適宜用いたこと以外は、実施例22と同様にして、色変換フィルムを作製して評価した。実施例23〜25および比較例13、14の評価結果は、表5に示す。ただし、表5中の発光強度(相対値)は、比較例13における発光強度を1.00としたときの相対値である。
本発明の実施例23〜25および本発明に対する比較例13、14では、(A)成分として表5に記載した有機発光材料(化合物G−5、G−6)を用い、(C)成分として表5に記載したアミン誘導体(化合物Q−1、Q−2)を適宜用いたこと以外は、実施例22と同様にして、色変換フィルムを作製して評価した。実施例23〜25および比較例13、14の評価結果は、表5に示す。ただし、表5中の発光強度(相対値)は、比較例13における発光強度を1.00としたときの相対値である。
以上のように、本発明に係る色変換組成物、色変換フィルム、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置は、色再現性の向上と高い耐久性との両立に有用であり、特に、高色純度の発光と高い耐久性とを両立させる色変換組成物、色変換フィルム、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置に適している。
1 色変換フィルム
10 基材層
11 色変換層
12 バリアフィルム
10 基材層
11 色変換層
12 バリアフィルム
Claims (20)
- 前記一般式(3)のYは、鎖状または環状の脂肪族炭化水素、ベンゼン環、またはそれらの組み合わせである、ことを特徴とする請求項3に記載の色変換組成物。
- 前記R10は、アルキル基である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の色変換組成物。
- 前記(C)成分の含有量は、前記(B)成分の100重量部に対して1.0×10-2重量部以上、10重量部以下である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の色変換組成物。
- 前記(A)成分は、一般式(4)で表される化合物を含有する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の色変換組成物。
- 前記一般式(4)のXは、C−R7であり、
前記R7は、一般式(5)で表される基である、
ことを特徴とする請求項7に記載の色変換組成物。
- 前記一般式(4)のR1、R3、R4およびR6は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基である、ことを特徴とする請求項7または8に記載の色変換組成物。
- 前記一般式(4)のR1、R3、R4およびR6は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である、ことを特徴とする請求項7または8に記載の色変換組成物。
- 前記(A)成分は、波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料を含有する、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の色変換組成物。
- 前記(A)成分は、以下の発光材料(a)および発光材料(b)を含有する、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の色変換組成物。
発光材料(a):波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
発光材料(b):波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光および前記発光材料(a)からの発光の少なくとも一方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上、750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料 - 前記発光材料(a)の含有量waと、前記発光材料(b)の含有量wbとは、wa≧wbの関係である、ことを特徴とする請求項12に記載の色変換組成物。
- 波長430nm以上、500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上、580nm以下の発光を呈する前記発光材料は、前記一般式(4)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項7を引用する請求項11、請求項7および11を引用する請求項12、請求項7および11を引用する請求項13のいずれか一つに記載の色変換組成物。
- 前記発光材料(b)は、前記一般式(4)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項7を引用する請求項12、請求項7を引用する請求項13、請求項7、11および12を引用する請求項14のいずれか一つに記載の色変換組成物。
- 請求項1〜15のいずれか一つに記載の色変換組成物の硬化物層を含む、
ことを特徴とする色変換フィルム。 - 光源と、
請求項16に記載の色変換フィルムと、
を備えることを特徴とする光源ユニット。 - 前記光源は、波長430nm以上、500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、ことを特徴とする請求項17に記載の光源ユニット。
- 請求項17または18に記載の光源ユニットを備える、
ことを特徴とするディスプレイ。 - 請求項17または18に記載の光源ユニットを備える、
ことを特徴とする照明装置。
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