以下、本発明の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る匂い提示装置10を含む匂い提示システム1の構成を示す構成ブロック図である。同図に示されるように、匂い提示システム1は、匂い提示装置10と、情報処理装置30と、操作デバイス40と、表示装置50と、を含んで構成されている。
匂い提示装置10は、ユーザーに匂いを提示するデバイスであって、空気中に匂い物質(匂い分子)を放出することによってユーザーに特定の匂いを感じさせる。本実施形態において匂い提示装置10は、カートリッジ20を着脱可能に構成されているものとする。カートリッジ20には、ユーザーに提示すべき特定の匂いを発する香料が含まれている。
図2は、カートリッジ20が装着された匂い提示装置10の構成例を模式的に示す図である。同図において匂い提示装置10の本体は、制御回路11と、インタフェース12と、カートリッジ20を収容するカートリッジ収容部13と、を含んで構成されている。また、カートリッジ20は、香料収容部21と、放出機構24と、放出口25と、放出弁25aと、気体センサー26と、メモリ29と、を含んで構成されている。香料収容部21には、香料22及びマーカー材料23が収容されている。
制御回路11は、情報処理装置30から送信される匂い提示指示に応じて、カートリッジ20内の放出機構24、及び放出弁25aを動作させる制御信号を出力する。これにより匂い提示装置10は、カートリッジ20内の香料22から発生する匂い物質を空気中に放出する。また、制御回路11は、後述する気体センサー26による計測結果を取得し、情報処理装置30に対して送信する。インタフェース12は、無線又は有線により情報処理装置30との間で情報を授受するための通信インタフェースである。制御回路11は、このインタフェース12を介して、情報処理装置30からの指示を受信したり、気体センサー26の計測結果を情報処理装置30に送信したりする。
香料収容部21の内部には、香料22及びマーカー材料23が収容されている。カートリッジ20の未使用状態においては、この香料収容部21は気密性が保たれるように構成されている。具体的に、香料収容部21の外壁には外部に通じる放出口25が設けられており、その放出口25はカートリッジ20未使用時には放出弁25aによって閉ざされている。
香料22は、特定の匂いを発する材料であって、例えば揮発によって匂い物質を発生させる材料であってよい。この香料22は、液体の状態で香料収容部21内に収容されてもよいし、多孔質材料などに染みこませた状態で香料収容部21内に収容されてもよい。
マーカー材料23は、後述する気体センサー26による検出用の気体分子を発生させる物質である。以下では、マーカー材料23が発生させる気体分子をマーカー物質という。マーカー物質は、香料22から発生する匂い物質とは別の物質であって、人間が感知する匂いを持たないことが望ましい。また、香料22が出す匂いを打ち消さないことが望ましい。マーカー材料23は、香料22と同様に揮発によってマーカー物質を発生させる材料であってもよいし、化学反応等によってマーカー物質を発生させる材料であってもよい。マーカー物質は、例えばアルコールや二酸化炭素等であってよい。なお、図2では香料22とマーカー材料23とが別々に香料収容部21に収容されているが、両者は混合された状態で収容されてもよい。
放出機構24は、香料収容部21内から放出口25を経由して匂い提示装置10外部に向かう気体の流れを発生させる機構である。この放出機構24が動作することにより、香料22から発生する匂い物質、及びマーカー材料23から発生するマーカー物質が放出口25を経由して匂い提示装置10の外部に放出される。具体的に放出機構24は、ファンやブロアなどの送風機構であってよい。放出機構24は、発生させる気体の流れの強弱を制御可能であることが望ましい。気体の流れの強弱を制御することで、匂い提示装置10が単位時間に放出する匂い物質の量を調整し、ユーザーに感じさせる匂いの強さを変化させることができる。なお、図2における実線の矢印は放出機構24によって発生する気体の流れの向きを示している。
放出口25は、香料収容部21の内外を貫通する気体の流路であって、この放出口25を通って匂い物質、及びマーカー物質が匂い提示装置10の外部に放出される。放出弁25aは、香料収容部21と放出口25との間に配置され、制御回路11からの制御信号に応じて開閉する。放出機構24の動作時に放出弁25aを開くことで、香料収容部21内で発生する匂い物質、及びマーカー物質が空気中に放出される。また、放出機構24が動作しないときには放出弁25aを閉じることで、匂い物質、及びマーカー物質が匂い提示装置10の外部に漏れないようにすることができる。なお、放出弁25aは、電源供給が停止された状態では自動的に閉じられる常時閉の弁であることが望ましい。また、以上の説明では放出弁25aは制御回路11からの制御信号によって電気的に開閉することとしたが、これに限らず放出弁25aは、放出機構24の動作時に生じる圧力によって自動的に開き、放出機構24が動作していないときには自動的に閉じる逆止弁であってもよい。この場合には、放出弁25aは電力供給なしで動作することになる。
気体センサー26は、放出口25の出口側近傍の位置に配置されており、匂い提示装置10外部の空気に含まれるマーカー物質を検出する。特に本実施形態では、気体センサー26は空気中のマーカー物質の量(濃度)を計測することとする。気体センサー26は、対象となるマーカー物質を検出可能な各種の方式のセンサーであってよい。匂い物質は、その化学的な特性などにより、直接その存在を検出したり大気中の濃度を計測することが困難な場合がある。そのような匂い物質を匂い提示装置10が放出する場合であっても、匂い物質と同時に放出されるマーカー物質を検出対象とすることで、匂い物質が放出されていることを間接的に把握することができる。情報処理装置30は、気体センサー26の計測結果を参照することで、匂い提示装置10が実際に放出している匂い物質の量(すなわち、発生させた匂いの強さ)を推定できる。
メモリ29は、不揮発性メモリやIDタグなどであって、当該カートリッジ20に関する情報を記憶している。メモリ29が記憶する情報は、カートリッジ20の出荷時などに予め書き込まれる。具体的に、メモリ29に記憶される情報は、カートリッジ20に収容されている香料22やマーカー材料23の種類を特定する情報や、カートリッジ20の製造元の情報、製造日や使用期限などの情報を含んでよい。また、香料22の属性や性質、使用条件に関する各種の情報(匂いの強さや、他の種類の香料との同時利用の可否などを示す情報)を含んでもよい。これらの情報は、制御回路11によって読み出され、情報処理装置30に送信される。
情報処理装置30は、例えば家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット等であってよい。図1に示されるように、情報処理装置30は、制御部31と、記憶部32と、インタフェース部33と、を含んで構成される。
制御部31は、CPU等のプロセッサを少なくとも一つ含み、記憶部32に記憶されているプログラムを実行して各種の情報処理を実行する。なお、本実施形態において制御部31が実行する処理の具体例については、後述する。記憶部32は、RAM等のメモリデバイスを少なくとも一つ含み、制御部31が実行するプログラム、及び当該プログラムによって処理されるデータを格納する。
インタフェース部33は、匂い提示装置10、操作デバイス40、及び表示装置50との間で各種のデータを授受するための通信インタフェースである。情報処理装置30は、インタフェース部33を介して匂い提示装置10、操作デバイス40、及び表示装置50のそれぞれと有線又は無線のいずれかで接続される。
操作デバイス40は、ユーザーからの操作入力を受け付けるためのデバイスであって、受け付けたユーザーの操作内容を示す信号を情報処理装置30に入力する。操作デバイス40は、例えば家庭用ゲーム機のコントローラやキーボード等であってよい。また、操作デバイス40は情報処理装置30の筐体表面に配置されたボタン等を含んでもよい。
表示装置50は、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等であって、情報処理装置30から出力される映像信号に応じた映像を画面上に表示する。表示装置50は、ヘッドマウントディスプレイなどのようにユーザーが頭部に装着して使用する頭部装着型のデバイスであってもよい。また、表示装置50は情報処理装置30の筐体と一体的に構成されてもよい。
さらに、匂い提示装置10は、情報処理装置30、操作デバイス40、又は表示装置50の筐体内に一体的に構成されてもよい。特に表示装置50が頭部装着型のデバイスである場合、表示装置50の筐体内に匂い提示装置10を内蔵することで、匂い提示装置10はユーザーの鼻の近くで匂い物質を放出することができる。
以下、情報処理装置30が実行する処理の具体例について、説明する。情報処理装置30の制御部31は、記憶部32に記憶されているプログラムを実行することによって、ユーザーに匂いを提示する処理を実現する。例えば制御部31は、ゲーム等のアプリケーションプログラムを実行する。その場合制御部31は、ゲームの進行に応じて特定のオブジェクトがゲーム内に登場したタイミングなどで、そのオブジェクトの匂いをユーザーに提示させる指示を匂い提示装置10に対して送信する。以下では、制御部31が匂い提示装置10に匂いを提示させるために送信する指示を、匂い提示指示という。
本実施形態では、匂い提示指示に匂いの強さを指定するパラメータ(以下、匂い強さ値という)が含まれることとする。匂い提示指示を受け付けた匂い提示装置10は、放出弁25aを開くとともに、匂い提示指示に含まれる匂い強さ値に応じた強さで放出機構24を動作させる。すなわち、匂い提示装置10の制御回路11は、匂い強さ値に応じて放出機構24が発生させる気体の流れの強さを変化させる。これにより匂い提示装置10は、情報処理装置30からの指示に応じた強さの匂いをユーザーに提示することができる。
さらに制御部31は、匂い提示装置10に対して匂い提示指示を送信した後、気体センサー26によるマーカー物質の計測結果を匂い提示装置10から取得する。そして、その計測結果に応じて、さらに匂い提示装置10に対して匂い提示指示を送信する。具体的には、最初の匂い提示指示に応じて放出されたマーカー物質の量が期待値を下回る場合、制御部31は、前回よりも大きな匂い強さ値を指定した匂い提示指示を送信する。逆に計測されたマーカー物質の量が期待値を上回る場合、制御部31は匂いの提示を中止させる制御指示を送信してもよいし、匂いの提示自体は継続させる場合、1回目よりも小さな匂い強さ値を指定した匂い提示指示を送信してもよい。ここで計測結果の期待値は、前回の匂い提示指示で指定した匂い強さ値に対応して予め定められた値であってよい。さらに制御部31は、匂い提示装置10に匂いの提示を行わせている間、このようなフィードバック制御を定期的に繰り返し実行してもよい。これにより制御部31は、ユーザーに実際に提示される匂いの強さを望ましい強さに調整することができる。
図3は、このような制御部31が実行するフィードバック制御の具体例を示すフロー図である。制御部31は、例えば匂いの元になるオブジェクトがゲーム内に登場したタイミングなどで、匂いの提示を開始させる匂い提示指示を送信する(S1)。このとき匂い提示指示に含まれる匂い強さ値は、ゲーム内のパラメータや、オブジェクトとユーザーキャラクターとの間の距離などに応じて決定される。その後、S1の指示に応じて匂い提示装置10は匂いの提示を開始し、気体センサー26による計測結果を情報処理装置30に送信する。制御部31は、匂い提示装置10から送信される気体センサー26の計測結果を取得する(S2)。
続いて制御部31は、気体センサー26の計測結果を期待値と比較する(S3)。ここでの期待値は、S1での匂い提示指示に含まれる匂い強さ値に応じて決定される値である。気体センサー26の計測結果と期待値との差異が所定の閾値内の場合、制御部31は計測結果が期待値と一致していると判断し、S5の処理に進む。計測結果が所定の閾値を超えて期待値と相違する場合、制御部31は次の匂い提示指示に含めるべき匂い強さ値を、比較結果に応じて修正する(S4)。具体的に、気体センサー26の計測結果が期待値を下回っていれば匂い強さ値を増加させ、期待値を上回っていれば匂い強さ値を減少させる。
次に制御部31は、匂い提示指示を継続するか否か判定する(S5)。例えば匂いの元になるゲーム内のオブジェクトが消滅した場合など、これ以上匂いを提示させる必要がなくなった場合、制御部31は匂い提示指示を中止させる指示を匂い提示装置10に送信して(S6)、匂いの提示制御を終了する。一方、匂いの提示を継続させるべき場合には、制御部31は新たな匂い提示指示を匂い提示装置10に送信する(S7)。このときの匂い提示指示に含めるべき匂い強さ値は、S4で修正された値となる。その後制御部31は、S2に戻ってさらなるフィードバック制御を行う。なお、次にS3で気体センサー26の計測結果を期待値と比較する際には、S7の匂い提示指示に含まれる匂い強さ値に応じて決定される期待値が使用される。このように制御部31は、匂いを提示している間気体センサー26の計測結果を用いて匂い強さ値を修正する処理を繰り返すことによって、ユーザーに実際に提示される匂いの強さを望ましい値に制御することができる。
また、制御部31は、過去の匂い提示指示において指定した匂い強さ値にかかわらず、計測結果が予め定められた限界値を超えた場合、直ちに匂いの提示を中止させる制御指示を送信してもよい。これにより、強すぎる匂いが提示された場合に、匂いの提示を中断させることができる。
また、制御部31は、気体センサー26の計測結果を用いてカートリッジ20の交換時期を検出することもできる。カートリッジ20内の香料22及びマーカー材料23は、匂い提示装置10が匂い提示を繰り返すにつれて徐々に減少し、香料22の残量がわずかになってくると匂い物質が十分に放出されなくなる。そこで制御部31は、匂い提示指示を送信した後の気体センサー26による計測結果が所定値を下回る場合、香料22及びマーカー材料23の残量がわずかであると判定する。この場合制御部31は、カートリッジ20の交換を促すメッセージを表示装置50の画面に表示させたり、あるいは匂い提示装置10の筐体に配置された所定のインジケーターランプを点灯させるなどして、カートリッジ20の交換が必要な旨をユーザーに報知する。また、制御部31は、気体センサー26による計測結果に基づいて香料22の残量を推定し、その量を示す表示を行ってもよい。
なお、カートリッジ20内の香料22とマーカー材料23とは、常に同じペースで消費されていくとは限らない。そこで、カートリッジ20の製品出荷時に内蔵されるマーカー材料23の量は、マーカー材料23の方が香料22よりも先に残量不足になるように、香料22よりも少なめに調整することが望ましい。こうすることで、気体センサー26がマーカー物質を検出できなくなるより早く香料22の残量不足が生じないようにすることができる。
また、制御部31は、気体センサー26の計測結果を用いて意図しない匂い物質の漏出を検出することもできる。気体センサー26は、放出口25の外側の外気に含まれるマーカー物質を検出する。そのため、もし制御部31が匂い提示指示を送信するより前に気体センサー26が一定量以上のマーカー物質の存在を検出した場合、放出弁25aなどからカートリッジ20内の匂い物質及びマーカー物質が漏出している可能性がある。そこで制御部31は、情報処理装置30の起動時など、匂い提示指示の送信前の任意のタイミングで、気体センサー26の計測結果を取得する。そして、その計測結果が所定値を上回る場合、気体が漏出している可能性があることをユーザーに報知したり、あるいは匂い提示装置10の動作を停止させたりする。
なお、気体センサー26がマーカー物質の量を計測する機能を備えていない場合であっても、マーカー物質の存否を検出可能であれば、制御部31は以上説明した香料22の残量不足や匂い物質の漏出を検出することができる。具体的に、一定量以上のマーカー物質が空気中に存在する場合に気体センサー26がその存在を検出可能であるとすると、制御部31は、匂い提示指示の後にマーカー物質の存在が検出されなかった場合に、香料22の残量不足が発生していると判定する。また、匂い提示指示の前にマーカー物質の存在が検出された場合には、気体が漏出していると判定する。
また、制御部31は、カートリッジ20内のメモリ29に記憶されている製造日や使用期限の情報を用いて、カートリッジ20の利用の可否を判定してもよい。具体的には、メモリ29に記憶されている使用期限が到来した場合には、それ以降当該カートリッジ20を用いた匂い提示を行わないようにしたり、カートリッジ20の交換が必要な旨をユーザーに報知したりする。また、制御部31は、メモリ29に記憶されている製造日から所定の期間が経過した場合に、それ以降当該カートリッジ20を使用しないように制御してもよい。また、制御部31は、メモリ29から読み出される情報を参照することによって、カートリッジ20が正規品であることを確認するチェック処理を実行してもよい。このチェック処理の結果、匂い提示装置10に装着されているカートリッジが正規のカートリッジ20ではないと判定される場合、制御部31は当該カートリッジを用いた匂い提示を行わないよう制御する。制御部31は、匂い提示装置10の使用開始時や、カートリッジ20の交換が行われた時などのタイミングで、メモリ29に記憶されている情報を読み出すことによって、以上説明したようなカートリッジ20の利用可否を判定する処理を実行すればよい。
以上説明したように、本実施形態に係る匂い提示装置10は、香料収容部21内に香料22とともにマーカー材料23を収容することで、匂い物質の放出時に併せてマーカー物質を放出するようにする。そして、空気中のマーカー物質を気体センサー26で検出することにより、匂い物質を直接検出することが困難な場合であっても、情報処理装置30は匂い物質が放出されているか否か、またはどの程度放出されているかを把握し、その結果に応じて匂い提示装置10の動作を制御したり、ユーザーに匂い提示装置10の状態に関する情報を提示したりすることができる。
なお、以上の説明では匂い提示装置10に対して着脱可能なカートリッジ20内に香料22及びマーカー材料23を収容することとしたが、匂い提示装置10は使い切りの形で提供されてもよい。この場合、以上の説明でカートリッジ20内に含まれるとした各構成要素は直接匂い提示装置10内に内蔵されることになる。
また、匂い提示装置10は、複数種類のカートリッジ20を着脱可能に構成されてもよい。これにより匂い提示装置10は、複数種類の匂いを提示することができるようになる。図4は、この場合の匂い提示装置10の構成例を示している。この図の例においては、匂い提示装置10は3個のカートリッジ20を内蔵可能に構成されており、匂い提示装置10の制御回路11は、各カートリッジ20の放出機構24及び放出弁25aを個別に制御可能になっている。情報処理装置30の制御部31は、放出対象のカートリッジ20を指定して匂い提示指示を送信する。匂い提示装置10は、指定されたカートリッジ20の放出弁25aを開くとともに、指定されたカートリッジ20の放出機構24を動作させることによって、そのカートリッジ20に収容されている香料22から出る匂い物質を放出させる。なお、この例において情報処理装置30の制御部31は、各カートリッジ20が内蔵するメモリ29から読み出した情報を参照することによって、どのカートリッジ20にどの種類の香料22が収容されているかを特定できる。
さらにこの場合において、各カートリッジ20に収容されるマーカー材料23は、同種のものであってもよいし、互いに異なる種類のものであってもよい。各カートリッジ20に同種のマーカー材料23が収容される場合、同時期に複数のカートリッジ20から複数種類の匂い物質を放出されることとすると、個々のカートリッジ20から放出される匂い物質の量を推定することは困難になるが、マーカー物質の量を計測することで、全体としてどの程度の匂い物質が放出されているかを推定することはできる。また、一度に一種類の匂い物質だけを放出させる場合には、その放出中における気体センサー24の検出結果を取得することで、当該匂い物質の放出量を推定することができる。
一方、各カートリッジ20に互いに異なる種類のマーカー材料23が収容される場合、各カートリッジ20には、自身に内蔵されているマーカー材料23が放出するマーカー物質を検出可能な種類の気体センサー26が搭載される。すなわち、複数種類のカートリッジ20は、それぞれ、他の種類のカートリッジ20とは異なる種類の香料22、及びマーカー材料23を内蔵し、内蔵する気体センサー26が検出対象とする気体も種類毎に異なるものになる。情報処理装置30は、個々のカートリッジ20が内蔵する気体センサー26の計測結果を取得することで、カートリッジ20ごとにどの程度の量の匂い物質が放出されているかを推定することができる。そのため、例えば同時期に複数のカートリッジ20から匂い物質を放出させる場合であっても、個々の匂い物質の放出量を個別に推定することができる。
なお、以上の説明においてカートリッジ20に内蔵されるものとした構成要素の一部は、匂い提示装置10本体に内蔵されてもよい。例えば各カートリッジ20に同種のマーカー材料23が収容されている場合、気体センサー26は一種類のマーカー物質のみを検出対象とすればよいので、各カートリッジ20に搭載されるのではなく、匂い提示装置10本体に搭載されてもよい。
また、匂い提示装置10は、自身が提示した匂いを消臭する消臭機構を備えることとしてもよい。例えばゲームにおいて特定の匂いを発するオブジェクトが登場した場合、その匂いを匂い提示装置10に提示させることで臨場感を高めることができる。しかしながら、そのオブジェクトが消滅したりユーザーキャラクターがそのオブジェクトから離れた後も匂い提示装置10の提示する匂いが消えずに残っていると、臨場感を損なうことがある。そこで、それまで提示していた匂いが不要になった際にその匂いを消臭することで、直ちに匂いをユーザーに感じさせなくさせることができる。このような消臭機構は、各種の方式により実現できる。以下、消臭機構がカートリッジ20内に内蔵される場合のいくつかの具体例について、説明する。
図5は、消臭剤27を放出することで匂いを消臭する消臭機構を備えたカートリッジ20の構成例を示している。この例では、カートリッジ20内の香料収容部21とは隔離された空間内に消臭剤27が収容されている。また、この例では放出機構24は、香料収容部21と消臭剤27が収容されている空間のそれぞれに対して、独立して空気の流れを発生させることとする。このような機能は、独立した二つのファンによって実現されてもよいし、一つのファンと、そのファンが発生させる空気の流路を切り替える複数の弁などによって実現されてもよい。
図5の例では、放出機構24は一つのファン24aと二つの弁24b及び24cによって実現されるものとする。弁24bは、香料収容部21とファン24aとの間に配置されており、匂い提示装置10が匂いを提示する際に開放され、それ以外のときには閉じている。弁24cは、消臭剤27が収容される空間とファン24aとの間に配置されており、匂い提示装置10が消臭を行う際に開放され、それ以外のときには閉じている。なお、弁24b及び弁24cは、放出弁25aと同様、制御回路11からの制御信号に応じて動作してもよいし、気圧差に応じて自動的に開閉する逆止弁であってもよい。
消臭を行う際には、匂い提示装置10は放出機構24を動作させて消臭剤27を外部に放出させる。なお、このときの消臭剤27の放出経路は、その一部が香料22及びマーカー材料23の放出経路と共用されてもよい。具体的に、消臭剤27は香料22などと同様に放出口25を経由して匂い提示装置10の外部に放出されてよい。この場合、消臭剤27が収容された空間と放出口25との間に放出弁25aとは別の弁25bが配置され、消臭を行うタイミングでこの弁25bが開くよう制御される。このように放出口25を共用することで、放出口25から放出された匂い物質を効率よく消臭剤27により消臭できる。このとき、マーカー物質も消臭剤27に吸収されるなどして気体センサー26に反応しないようになることが望ましい。なお、図中破線の矢印は、消臭時のファン24aによる気体の流れを示している。
情報処理装置30の制御部31は、例えば匂い提示指示を送信した後、匂いの提示を終了させるタイミングで、消臭指示を匂い提示装置10に対して送信する。これを受けて匂い提示装置10の制御回路11は、放出機構24を動作させて消臭剤27を放出させる。これにより、それまで提示していた匂いを直ちに消臭し、ユーザーに感じさせないようにすることができる。
さらに制御部31は、消臭指示を送信した後、気体センサー26の計測結果を取得してもよい。そして、その計測結果が所定値を上回っている間は匂い提示装置10に消臭剤27の放出を継続させ、計測結果が所定値を下回ったタイミングで匂い提示装置10に対して消臭を中止させる指示を送信する。このように匂い提示時だけでなく消臭時にも気体センサー26の計測結果を用いたフィードバック制御を行うことで、匂い物質とともに放出されたマーカー物質が放出口25の近傍からなくなるまで消臭を続けさせることができ、確実に匂いを消臭することができる。
なお、ここでは匂い提示時も消臭時も一つのファン24aを動作させて気体の流れを発生させることとしたが、これに代えてカートリッジ20は、匂い提示用の送風機構と消臭用の送風機構をそれぞれ独立に備えることとしてもよい。この場合、それぞれの送風機構を動作させることで匂い物質及びマーカー物質の放出、並びに消臭剤27の放出を行う。
図6は、図5とは逆に吸気によって消臭を実現する消臭機構を備えるカートリッジ20の構成例を示している。この例では、図5における消臭剤27の代わりに消臭フィルター28が配置されている。また、図5と同様、消臭フィルター28が収容された空間と放出口25との間には弁25bが配置され、消臭フィルター28が収容された空間とファン24aの間には弁24cが配置されている。
この例において匂い物質を放出させる場合、匂い提示装置10は、図5と同様、放出弁25a及び弁24bを開放し、ファン24aを動作させてカートリッジ20内から外部に向かう気体の流れを生成する。一方、消臭を行う場合、弁25b及び弁24cを開放し、ファン24aを匂い提示時とは逆回転させて吸気を行う。これにより、図中破線の矢印で示すように、匂い提示装置10外部の空気が放出口25からカートリッジ20内に吸気され、消臭フィルター28が配置された空間内を通過する。このとき、消臭フィルター28は匂い物質を吸着するなどして消臭を行う。このように、図6の例によれば、図5とは逆に外気を吸気することによって消臭が行われる。
なお、この例における弁24b及び弁24cは、図5と同様に気圧差によって自動的に開閉する逆止弁であってよい。ただし、この図6の例では、弁24cは図5とは逆向きに配置され、消臭フィルター28からファン24aに向かう方向に気体が流れる際に開くものになる。なお、消臭剤27を用いる例と同様、消臭フィルター28を用いる場合にも、匂い提示時に動作させるファン24aとは別に消臭時に吸気を行うファンを設けてもよい。
図5及び図6の例では、いずれも個々のカートリッジ20内に消臭機構を設けることとしたが、これに限らず匂い提示装置10本体に消臭機構が設けられることとしてもよい。また、香料22を収容したカートリッジ20とは別に消臭剤27又は消臭フィルター28が収容された消臭用のカートリッジが用意され、匂い提示装置10に装着されることとしてもよい。
以上の説明では、ファン等の送風機構が気体の流れを発生させることによって匂い物質やマーカー物質を匂い提示装置10の外部に放出させることとしたが、匂い提示装置10はこれに限らず各種の方式で匂い物質及びマーカー物質を放出することとしてもよい。例えば香料22が液体の状態でカートリッジ20内に収容される場合、カートリッジ20は放出機構24の一部として気化デバイスを内蔵してもよい。この場合匂い提示装置10は、匂い提示時にこの気化デバイスを動作させることで、香料22が気化して発生する匂い物質を匂い提示装置10外部に放出させる。また、匂い提示装置10は、このような気化デバイスをこれまで説明した送風機構と組み合わせて動作させることによって、匂い物質を放出してもよい。いずれの場合にも、匂い提示装置10は匂い物質を放出させる際には常にマーカー物質も併せて放出するよう制御する。これにより、マーカー物質の計測によって匂い物質の放出量を推定することができる。
[変形例]
前述の通り、匂い提示装置10は各種の方式で匂い物質及びマーカー物質を放出することができる。以下では、匂い物質及びマーカー物質の放出を実現する放出機構のいくつかの変形例について、説明する。なお、以下の変形例の説明においては、上述した匂い提示装置と同様の機能を備える構成部材については、同様の符号を用いて参照する。また、以下の変形例では匂い物質及びマーカー物質を放出するためにカートリッジ20が備える構造を中心に説明し、香料収容部21内に収容される香料22及びマーカー材料23、並びに気体センサー26等の図示は省略している。
まず第1の変形例として、ボールねじを用いる例について図7A、図7B、及び図7Cを用いて説明する。図7Aは、この変形例における匂い提示装置10の全体概要を示す斜視図である。また、図7B及び図7Cはカートリッジ20の構成を示す破断斜視図である。図7Aに示すように、この変形例では匂い提示装置10は4個のカートリッジ20を装着可能になっている。図中では省略されているが、匂い提示装置10本体に一つのファンが搭載されており、このファンを動作させることによって匂い提示装置10本体内の流路71に気体の流れが発生する。図中の矢印は、このファンによって発生する気体の流れの向きを示している。なお、実際の使用時には、流路71の上部に蓋が取り付けられ、気体の流れはカートリッジ20の開口部分に導かれる。
図7B及び図7Cに示すように、カートリッジ20は、香料収容部21と、キャップ部72と、Oリング73と、を含んで構成されている。図2の例と同様、香料収容部21には香料22及びマーカー材料23が収容されている。本変形例では香料収容部21は略円筒状であって、香料22及びマーカー材料23は円柱状の多孔質材料に染みこませた状態で香料収容部21内に収容されるものとする。キャップ部72と香料収容部21とはボールねじを構成しており、キャップ部72がナットとして、香料収容部21がねじ軸として機能する。また、香料収容部21は、カートリッジ20を匂い提示装置10本体に装着した際に、本体内のモーターと接続される。キャップ部72の側面には、互いに対向するように流入口72a及び放出口25の二つの開口が設けられている。Oリング73はキャップ部72内部の最奥部(最上部)に固定されている。
匂い提示装置10本体内のモーターが作動すると、その回転軸に接続された香料収容部21が回転し、これに応じてキャップ部72が上下方向に沿って移動する。香料収容部21の回転によってキャップ部72が下方向に移動し、香料収容部21がキャップ部72の最深部まで進入すると、その先端がOリング74に当接する。図7Bはこの状態のカートリッジ20を示している。この状態では流入口72a及び放出口25は香料収容部21の側面によって塞がれており、キャップ部72と香料収容部21の間の隙間もOリング73によって塞がれる。これにより、香料収容部21内部が密閉される。カートリッジ20の未使用時にはこの状態になっており、これは図2に示した例における放出弁25aが閉じている状態に相当している。
匂い提示装置10が匂いを提示する際には、提示しようとする匂いに対応するカートリッジ20に連結されたモーターを回転させる。これにより香料収容部21が回転し、キャップ部72が上方に移動する。図7Cはこの状態のカートリッジ20を示している。この状態では、対向配置された流入口72a及び放出口25が開口し、カートリッジ20内に気体の流路が形成される。この状態において匂い提示装置10がファンを動作させると、流路71を経由して流入口72aからカートリッジ20内に気体が流入し、放出口25から匂い提示装置10の外部に放出される。図7Cの矢印はこの気体の流れを示している。ここで放出口25から放出される気体には、匂い物質及びマーカー物質が含まれることになる。
次に第2の変形例として、直動アクチュエーターを用いる例について説明する。図8A及び図8Bは、この変形例におけるカートリッジ20の構成を示す破断斜視図である。この変形例では、カートリッジ20は、香料収容部21、キャップ部81、外殻部82、Oリング83、及びコイルばね84を含んで構成されている。前述した第1の変形例と同様に、香料収容部21は略円筒状の形状をしており、香料22及びマーカー材料23を収容している。また、キャップ部81の側面には互いに対向するように流入口81a及び放出口25の二つの開口が設けられている。Oリング83はキャップ部81内部の最奥部(最上部)に配置されている。また、コイルばね84は香料収容部21の側面を囲むように、香料収容部21と外殻部82の間に配置されており、香料収容部21を上方に付勢している。
この第2の変形例では、香料収容部21の下端に孔85が設けられており、一方で匂い提示装置10本体にはフックが連結された直動アクチュエーターが内蔵されている。匂い提示装置10が匂いを提示する際には、この孔85にフックを引っかけて直動アクチュエーターを動作させる。これにより香料収容部21が下方に引っ張られ、図8Bに示すように流入口81a及び放出口25が開口する。この状態において、ボールねじを用いる第1の変形例と同様に匂い提示装置10本体に設けられたファンを動作させることにより、流入口81aからカートリッジ20内に流入し、放出口25から匂い提示装置10外部に流れ出る気体の流れが生成される。このようにして放出口25から放出される気体には、第1の変形例と同様に匂い物質及びマーカー物質が含まれることになる。匂い提示を行わない場合には、孔85からフックを外すことにより、コイルばね84の作用で香料収容部21は上方に付勢され、図8Aに示すように流入口81a及び放出口25が塞がれる。
以上説明した第1及び第2の変形例では、送風機構を個々のカートリッジ20に搭載させる必要がなく、匂い提示装置10本体に内蔵された一つの送風機構を動作させることで、複数のカートリッジ20のうちの対象となるカートリッジ20から匂いを放出させることができる。
次に第3の変形例として、ブロアによって開口制御を行う例について説明する。図9A及び図9Bはこの変形例におけるカートリッジ20の構成を示す破断斜視図である。この変形例では、カートリッジ20は、香料収容部21、送風部91、外殻部92、Oリング93、及びコイルばね94を含んで構成されている。外殻部92の側面には放出口25が設けられている。また、送風部91にはブロア91aが内蔵されている。香料収容部21は香料22及びマーカー材料23を収容しており、その上端にはOリング93が固定されている。また、コイルばね94は香料収容部21の側面を囲むように、香料収容部21と外殻部92の間に配置されており、香料収容部21を上方に付勢している。
未使用状態においては、コイルばね94の弾性力により香料収容部21は上方に付勢されるので、その上端に固定されたOリング93は送風部91の下端に密着している。このとき、放出口25は香料収容部21の側面により塞がれ、香料収容部21内部は密閉されている。図9Aはこの状態のカートリッジ20を示している。
匂い提示時には、匂い提示装置10本体からの制御信号に応じてブロア91aが送風を行う。この送風によって生じる圧力で香料収容部21が下方に押し下げられ、放出口25が開口する。そして、このブロア91aの送風により、カートリッジ20内部から放出口25を経由して匂い提示装置10外部への気体の流れが生じる。匂い提示装置10外部に放出される気体には、匂い物質及びマーカー物質が含まれることになる。図9Bはこの状態のカートリッジ20を示している。また、図中の矢印は気体の流れを示している。
この第3の変形例によれば、第1の変形例や第2の変形例と異なり、送風機構とは別にカートリッジ20の開閉を行うためにモーターやアクチュエーターなどの動力源を用意する必要がなくなる。
次に第4の変形例として、ダイアフラムポンプをピストンで動作させる例について説明する。図10A及び図10Bはこの変形例におけるカートリッジ20の構成を模式的に示す図である。この変形例では、香料収容部21がダイアフラムポンプを構成しており、香料収容部21の吸気口101a及び放出口25のそれぞれには逆止弁101b及び101cが配置されている。逆止弁101bにより、香料収容部21内から吸気口101aを経由したカートリッジ20外部への気体の流れは遮断され、逆止弁101cにより、カートリッジ20外部から放出口25を経由した香料収容部21内への気体の流れが遮断される。また、カートリッジ20を匂い提示装置10本体に装着した際には、ピストン102が匂い提示装置10本体に内蔵されているアクチュエーターと接続される。
アクチュエーターによってピストン102が引き下げられると、逆止弁101cが閉じて逆止弁101bが開き、カートリッジ20外部から吸気口101aを経由して香料収容部21内に気体が流れ込む。図10Aはこの状態を示している。その後、アクチュエーターによってピストン102が押し上げられると、逆止弁101bが閉じて逆止弁101cが開き、香料収容部21内から放出口25を経由してカートリッジ20外部に気体が放出される。図10Bはこの状態を示している。香料収容部21には香料22及びマーカー材料23が収容されているので、放出口25から放出される気体には匂い物質及びマーカー物質が含まれることになる。なお、アクチュエーターがどのタイミングで停止しても、香料収容部21の内圧は大気圧に等しくなり、その段階で二つの逆止弁101b及び101cはいずれも閉じた状態になる。そのため、アクチュエーターが不意に停止した場合にも香料収容部21内が密閉された状態が保たれる。
次に第5の変形例として、蛇腹部を備えるダイアフラムポンプを用いる例について説明する。図11A及び図11Bはこの変形例におけるカートリッジ20の構成を模式的に示す図である。この変形例でも、第4の変形例と同様に香料収容部21がダイアフラムポンプを構成しており、吸気口101a及び放出口25のそれぞれに逆止弁101b及び101cが配置されている。また、香料収容部21の下方には、側面が蛇腹状に形成された蛇腹部101dが設けられている。カートリッジ20を匂い提示装置10本体に装着した際には、蛇腹部101dの下端が匂い提示装置10本体に内蔵されているアクチュエーターと接続される。
匂い提示時には、匂い提示装置10本体に内蔵されているアクチュエーターが作動することによって蛇腹部101dが下方から押し込まれる。これにより、第4の変形例でピストン102が押し上げられたときと同様に、逆止弁101cが開き、香料収容部21内から放出口25を経由してカートリッジ20外部に気体が放出される。図11Aはこの状態を示している。アクチュエーターが蛇腹部101dの下端を引っ張ると、蛇腹部101dが延びて香料収容部21内の体積が増加する。これにより、第4の変形例でピストン102が引き下げられたときと同様に、逆止弁101bが開き、カートリッジ20外部から吸気口101aを経由して香料収容部21内に気体が流れ込む。図11Bはこの状態を示している。
この第5の変形例でも、第4の変形例と同様、アクチュエーターをどのタイミングで停止させても、二つの逆止弁101b及び101cが閉じられて、香料収容部21が密閉された状態が保たれる。さらにこの第5の変形例では、蛇腹部101dは始めから密閉された状態なので、第4の変形例のようにピストン102を用いる場合と比較して、香料収容部21の気密性を高めることができる。また、第4の変形例、及び第5の変形例についても、第3の変形例と同様に、送風のための動力源と別に弁を開閉させるために動力源を用意する必要がない。
なお、以上説明した各変形例においても、カートリッジ20はさらに消臭機構を備えてもよい。また、気体センサー26は個々のカートリッジ20に搭載されてもよいし、匂い提示装置10本体側に搭載されてもよい。また、以上説明した実施形態、及び変形例における匂い提示装置10の構造、及び形状はいずれも例示に過ぎず、本発明の実施の形態に係る匂い提示装置は、同様の機能を実現する種々の構造及び形状であってよい。