WO2012169004A1

WO2012169004A1 - 放香装置

Info

Publication number: WO2012169004A1
Application number: PCT/JP2011/063009
Authority: WO
Inventors: 美紀若松; 幸夫曽根
Original assignee: 日本たばこ産業株式会社
Priority date: 2011-06-07
Filing date: 2011-06-07
Publication date: 2012-12-13

Abstract

　本発明の放香装置（１）は、複数種の香り成分を、それぞれ個別に格納する香りセクションを複数含んで構成されている香り格納部（ＳＴ）と、香り放出口を備え、前記香りセクションのそれぞれに作用して、香り成分を個別に放出可能に構成してある香り放出部（ＲＥ）と、複数の色見本を提示可能な色見本提示部（ＣＳ）と、ユーザが前記色見本毎にイメージする香りを選択できるように設けてある入力ボタン（ＮＰ）とを少なくとも備えて、ユーザが色と香りとを任意に関連付ける設定操作が行える操作部（ＶＡ）と、前記操作部（ＶＡ）を介して設定された、前記色と香りとの関連付けの情報を記憶しておき、前記情報に含まれる色が選択されたときに、前記情報に基づいて前記香り放出部の駆動を制御して、選択された色に応じた香り成分を放出させる制御部（ＣＮ）とを含む。

Description

放香装置

　本発明は、色と、その色からイメージ（想起）する香りとの関連付けを、ユーザ個々が任意に設定できるようにして、香り成分（嗅覚刺激成分）を楽しむことができる放香装置に関する。

　従来から、様々な香りを放出することでユーザを楽しませ、またリラックスさせるようにした放香装置が提案されている。このような放香装置は、家庭の居間や浴室、また車内などで利用するリラクゼーション用の装置として活用されることが期待されるものである。
　そして、近年にあっては、ユーザが視覚で確認している画像などに関連する香り成分を提示してユーザの想像力を高めて、より楽しく、リラックスした感覚が得られるようにした装置についても種々提案されている。これに関連して、例えば特許文献１は、カラー複写機やパソコン等のディスプレイで表示された画像に応じた香りを放出して表示されている画像をより一層、楽しむようにした装置を開示している。この装置は、シアンＣ（青色）に対応した芳香剤としてミントの香り成分、マゼンダＭ（赤色）に対応した芳香剤としてローズの香り成分、そしてイエローＹ（黄色）に対応した芳香剤としてレモンの香り成分を放出して、表示された画像や印刷されたカラー画像をより楽しむことができるようにしてある。
　また、特許文献２は、放香と光の組合せ、音楽と共に楽しませるようにした浴槽用のリラクゼーション装置（リラクゼーションフロート）を開示する。これは、浴槽においてユーザの視覚、聴覚、そして嗅覚を刺激してリラクゼーション効果を得るものである。

JP 2000-6443号公報 JP 2010-119562号公報

　上記のように放香装置に係る技術については、単に香り成分を放出させるという単純設計から、ユーザが視覚や聴覚で認識している画像や色などと関連した香りを提示して、ユーザをより一層、楽しませ、或いはリラックスさせることができるような検討や改善がなされている。
　しかしながら、このような従来の放香装置にあって、これを実際に使用するユーザ個々の感性を十分に考慮していないため、ユーザが実際に使用したときに違和感を覚えることがある。この点を以下で具体的に説明する。

　特許文献１で開示する装置でも当てはまることであるが、放香装置を設計する段階において、色と香りとの関連付け（組合せ）が確定されている。具体的に、引用文献１の場合、前述したように青色はミントの香り、赤色はローズの香り、そして黄色はレモンの香りとされている。そして、このように、色と香りとの関連付けが予め設定されているのが、従来の放香装置では当たり前であり、しかも、その放香装置を使用するユーザが色と香りの組合せを変更することは予定されていなかった。

　また、従来の放香装置において、香り成分（嗅覚刺激成分）は、例えば「ローズマリーの香り」、「ラベンダーの香り」というように香り成分の名称をそのまま明示するものがあった。また、「くつろぎ」、「快眠」などと言った効能を連想させる言葉をもって提示する香り成分を表現する場合などが散見された。しかし、前者のように採用する香り成分の名称をそのまま表記した場合、香り成分によってはユーザに馴染みのないものがあるので、その香り成分から、香りの質について想像を働かせるのは難しい。また、後者のように香り成分を言葉で表記した場合、各言葉から想起される香りのイメージはユーザ毎に異なるものである。そして、香り成分は放香装置に予めセットされたものだけである場合が多かった。

　上記のように、従来の放香装置について、音楽や画像などを提示させる機能を追加することへの改善はなされているものの、ユーザに心地よい香りを放出して楽しませる、リラックスさせるという、放香装置に求められている本質的な観点での配慮が欠けている。
　本来、色と、その色からイメージする香りは、ユーザ毎（個人ごと）に異なるはずであり、従来の放香装置はこの点を十分に配慮していない。例えば、「青色」からイメージする香りは「ミント」であると、色と香りとの関連が装置の提供者（メーカ）側で固定されている場合が多い。これは固定観念に基づいての決め付け、或いは押し付けになっている。そのため、上記で指摘したように、従来の放香装置ではユーザが違和感を覚える（十分な満足感が得られない）という事態となる場合があった。
　そして、更には、従来の放香装置は、予め関連付けされた色と香りとの関係を変更することには配慮がされていない。そのため、ユーザが放香装置から放出される香りに違和感を覚えても、これに対処することが困難となっている。

　本発明の目的は、ユーザが色からイメージする香りを任意に設定して、放出される香りを楽しみ、リラックスすることができ、更には設定した内容を適宜に修正、変更することも可能な放香装置を提供する。

　上述の目的は本発明の放香装置によって達成され、この放香装置は複数種の香り成分を、それぞれ個別に格納する香りセクションを複数含んで構成されている香り格納部と、
　香り放出口を備え、前記香りセクションのそれぞれに作用して、香り成分を個別に放出可能に構成してある香り放出部と、
　複数の色見本を提示可能な色見本提示部と、ユーザが前記色見本毎にイメージする香りを選択できるように設けてある入力ボタンとを少なくとも備えて、ユーザが色と香りとを任意に関連付ける設定操作が行える操作部と、
　前記操作部を介して設定された、前記色と香りとの関連付けの情報を記憶しておき、前記情報に含まれる色が選択されたときに、前記情報に基づいて前記香り放出部の駆動を制御して、選択された色に応じた香り成分を放出させる制御部とを含むことを特徴とする。

　そして、前記制御部による制御には、ユーザが色と香りとを任意に関連付けて設定をする設定モードと、前記設定モードの設定後に選択された色に応じた香り成分の放出を行う使用モードとを含み、前記設定モードでユーザが任意に関連付けする前記色と香りとの関連付けの情報をメモリに記憶し、前記使用モードで前記メモリから前記情報を読み出して香り放出部を制御して香り成分の放出を行うようにしてもよい。

　また、前記色見本に対応する発光色を提示可能に設けてある照明部を更に備えると共に、前記制御部により前記照明部の駆動が制御可能に構成され、
　前記制御部は、前記使用モードを実行する際、香り成分の放出と共に、前記照明部の駆動を制御して選択された色と同一の色を発光させるものが好ましい。

　また、この放香装置が設置された周囲の色を検知する色検知センサを更に備えて、該色検知センサの出力が前記制御部へ供給され、
　前記制御部は、前記検知センサの出力に基づいて選択された色を確認して、前記使用モードを実行するようにしてもよい。
　そして、前記色見本に対応する発光色を提示可能に設けてある照明部を更に備えると共に、前記制御部により前記照明部の駆動が制御可能に構成され、
　前記制御部は、前記使用モードを実行する際、香り成分の放出と共に、前記照明部の駆動を制御して選択された色と同一の色を発光させるものが好ましい。

　また、前記操作部は、前記色と香りとを任意に関連付けして設定する際の決定操作部と、設定後にユーザが色を選択する選択操作部とを兼ね、前記入力ボタンにより設定操作と選択操作とが可能にしてあるのが望ましい。
　また、前記入力ボタンは前記色見本毎に設けてもよく、また前記操作部は前記香り成分毎に放出量を調整する香り放出量調整手段を更に備えてもよい。

　本発明の放香装置は、ユーザ自身がイメージする色と香りとを関連付けできるので、従来の放香装置のように違和感を覚えるというような不都合が無く、放出される香りでユーザを確実に満足させることができる。また、必要に応じて、設定した上記の関連付けを修正、変更することも可能であるので、利便性があってユーザフレンドリーな放香装置として提供できる。

第１実施形態の放香装置の主要構成を示したブロック図である。図１の制御部により設定モードが実行された場合の処理について示した図である。図１の制御部により使用モードが実行された場合の処理について示した図である。第２実施形態の放香装置の主要構成を示したブロック図である。第３実施形態の放香装置の主要構成を示したブロック図である。製品とした場合の一例として、本発明の放香装置の外観を示した図である。

　図を参照して第１実施形態の放香装置について、以下に説明する。
　図１は放香装置１Ａの主要構成を示したブロック図である。この放香装置１Ａは、ユーザが予め任意に設定する色と香りとの関連付けの情報を用いて、いずれかの色を選択する操作がなされたときに、その色に応じた香り成分を放出するように構成してある。
　図１に示すように、放香装置１Ａは香り格納部ＳＴ、香り放出部ＲＥ、操作部ＶＡ、そして制御部ＣＮを有している。
　香り格納部ＳＴは、複数種の香り成分を、それぞれ個別に格納する香りセクションＳＥを複数含んで構成されている。複数の香りセクションＳＥ毎に、異なる香り成分を個別に格納しておくことで、種々の香りを提示できる。このような香りセクションＳＥについては、少なくとも香り成分が周囲に漏れず、長期に貯留できる構造のものであれば、特にその構造に限定はない。また、各香りセクションＳＥに、格納される香り成分は固体、液体、気体のいずれであってもよいが、加熱、加圧などしたときに香り成分を制御可能に、放出できる形態とするのが好適である。
　なお、各香りセクションＳＥを交換可能な構造としておけば、香り格納部ＳＴ内にセット可能な香りセクションの総数に上限がある場合でも、その総数以上の種類の香りを提示できるので、好ましい。

　香り放出部ＲＥは、上記香りセクションＳＥのそれぞれに作用して、香り成分を個別に放出させるための構成で、香りセクションＳＥから放出される香り成分を外部に放出する香り放出口ＥＬを備える。香り放出部ＲＥは、香りセクションＳＥに作用して、香り成分の放出を促す構成であればよく特に限定はないが、例えば各香りセクションＳＥに配置したヒータで加熱する構造を含んでいる構成、また各香りセクションＳＥ内に加圧気体を送る構造を含んでいる構成などを採用できる。

　操作部ＶＡは、この放香装置１Ａをユーザが使用する際に、入力指示に用いるものである。この操作部ＶＡには複数の色見本を提示可能な色見本提示部ＣＳが用意されており、ユーザが複数の色見本を確認できる様にされている。複数の色見本の提示形態には特に限定はないが、操作部ＶＡが表示装置（ディスプレイ）を備えている場合、表示装置を色見本提示部ＣＳとして複数の色見本を表示するのがよい。この場合、複数の色見本は、例えば、標準１６色（ＨＴＭＬにおいて実名で指定して表示が可能な１６種類の色）を用いて示すことができる。
　そして、操作部ＶＡには、ユーザが各色見本それぞれにイメージする香りを選択（決定）できるように入力ボタンＮＰが設けてある。このような操作部ＶＡを用いることにより、ユーザは色と香りとを任意に関連付ける決定操作を行うことができる。

　そして、放香装置１Ａは装置全体を制御する制御部ＣＮを備えている。特に、この制御部ＣＮは、上記操作部ＶＡを介して設定された、色と香りとの関連付けの情報を記憶しておき、この情報に含まれる色が選択されたときに、その情報に基づいて香り放出部ＲＥの駆動を制御して、選択された色に応じた香り成分ＦＲを放出させる。
　このような制御部ＣＮは、ＣＰＵ（Central
Processing Unit：中央処理装置）を中心に構成したコントローラとして構成することができる。制御部ＣＮへ供給される信号には、操作部ＶＡからの信号が含まれている。制御部ＣＮは、これに基づいて香り格納部ＳＴや香り放出部ＲＥを全体に制御する他、ユーザにより任意に設定される前述した色と香りとの関連付けの設定や、その後にユーザが色を選択したとき先に設定された情報に基づいて香り放出部の駆動を制御する。このように種々の制御を実行するためのプログラムは、例えば制御部ＣＮの内部のメモリＭＥに格納されている。そして、このメモリＭＥには、上述した色と香りとの関連付け情報も記憶される。

　特に、制御部ＣＮによる制御では、ユーザが色と香りとを任意に関連付けて設定をする設定モードと、前記設定モードの設定後に選択された色に応じた香り成分の放出を行う使用モードとが準備されている。
　そして、設定モードではユーザが任意に関連付けする前記色と香りとの関連付けの情報をメモリＭＥに記憶し、その後に使用モードではメモリＭＥからその情報を読み出して香り放出部を制御して、適切な香り成分の放出を行う。

　上記制御部ＣＮにより、設定モードが実行され、その後に使用モードが実行された場合の処理フローの一例を図を参照して説明する。
　図２は、制御部ＣＮにより設定モードが実行された場合の処理であり、操作部ＶＡに設けた設定モード用のコマンドボタンなどが、ユーザにより押されたときに、起動される（ステップＳ１、Ｓ２）。
　この設定モードが起動されると、制御部ＣＮはこの放香装置１Ａを使用するユーザが任意に設定する色と香りとの関連付け情報を得るべく、所定の処理が開始される。この所定の処理とは、各色見本について、ユーザがイメージ（想起）する香りを決定するための処理である。この処理は、例えば、制御部ＣＮが香り放出部ＲＥから第１の香り成分を放出させ、その香りからイメージする色を、ユーザが操作部ＶＡの入力ボタンＮＰにより決定の操作をする。このような特定操作を第２の香り成分、第３の香り成分・・・というように順に行って、全香り成分について実行する（ステップＳ３）。このステップ３の処理が完了したときには（ステップＳ４）、ユーザの感性を反映した色と香りとの関連付けの情報が確定するので、これをメモリに格納して設定モードでの処理を終了する（ステップＳ５）。

　ところで、ユーザに、複数の色それぞれにつき、自己がイメージする香りを関連付けさせる作業は、一般に煩雑にして困難である。例えば１０枚の色見本を準備し、一方、香り成分を個別に収納してある１０種類の瓶１０本を準備し、香りを嗅ぎながら関連付け（組合せ）をユーザに決定させる作業など、が考えられる。しかし、このような作業ではユーザが混乱して自己の好みとは違う、誤った関連付けをしてしまう可能性がある。
　これに対して、放香装置１Ａの設定モードによる処理では、上記のように１つの色毎にイメージした香りを決定するという、単純な作業を繰り返すだけで、最終的に全色に対してユーザの好みの香りが決定できる。よって、ユーザが混乱して自己の好みとは異なる関連付けをするのを防止して、ユーザがイメージした好みの色と香りとを関連付けできる。

　図３は、制御部ＣＮにより使用モードが実行された場合の処理であり、この場合も操作部ＶＡに設けた実用モード用のコマンドボタンなどが、ユーザにより押されたときに起動される（ステップＳ１１、Ｓ１２）。
　この使用モードが起動されると、制御部ＣＮは色見本のどの色が選択されたかを確認する（ステップ１３）。ここでの確認には、例えば前述した入力ボタンＮＰを色選択ボタン（選択操作部）として兼用して、このボタンが押されたときとする。
　制御部ＣＮは、色選択ボタンによりユーザがどの色を選択したかを確認したとき（ステップＳ１３）、メモリに記憶した情報を呼び出し、その色に応じた香り成分を決定して、これに基づいて香り放出部ＲＥ駆動して、その香り成分を放出させる（ステップＳ１４）。そして、例えば所定時間経過したとき（ステップＳ１５）、すなわち香り成分を一定時間、放出してこの実用モードを終了する。
　図３で示す実用モードでは、ユーザ自身が設定した色と香りとの関連付けの情報を用い、しかも、その時のユーザの気分（感性）に即した、色に対応した香り成分が放出される。よって、このような放香装置１Ａは、放出した香り成分でユーザを確実に満足させるこができる。

　そして、図２で示している設定モードの処理は、一旦、色と香りとを関連付けした後に、必要に応じて実行してもよい。この場合は、一度、設定した色と香りとの関連付けの情報を修正、或いは変更できるので、ユーザの誤りや感性の変化に応じた調整が可能であり、利便性に富みユーザフレンドリーな放香装置となる。

　更に、図４を参照して第２実施形態の放香装置について、以下に説明する。
　図４は放香装置１Ｂの主要構成を示したブロック図である。この放香装置１Ｂは、
図１で示す放香装置１Ａに加えて、選択された色見本と同一色の光を提示可能に設けてある照明部ＬＧを更に備えるものである。

　照明部ＬＧは、色見本と同じ色を発光できるようにしてある照明装置であればよく、特に限定はない。例えば、白熱灯を光源として、その近傍に色見本に応じた複数のカラーフィルタを配置する。そして、小型モータなどでカラーフィルタを移動させて色の変更を可能として、カラーフィルタを透過する光を装置から放射することで、選択された色と同一の色を発光させるようにできる。
　図４で示すように、上記照明部ＬＧも制御部ＣＮにより駆動を制御すればよい。この放香装置１Ｂにおける制御部ＣＮは、使用モードを実行する際、香り成分の放出と共に、前記照明部の駆動を制御して選択された色と同一の色を発光させる。すなわち、前述した放香装置１Ａでの香り放出の制御に加えて、照明部ＬＧも駆動制御して、色見本と同じ色の光を発光させることで、ユーザが選択した色を香り成分と共に発光して、ユーザの視覚も刺激して一層、リラックスできるように改善したのが放香装置１Ｂである

　上記のように放香装置１Ｂは、照明部ＬＧを備えるので、使用モードでは制御部ＣＮが照明部ＬＧを香り放出しながら、さらに照明部ＬＧが駆動される点だけが図３で示した処理とは異なる。図２で示す設定モードでの処理は、放香装置１Ａと同様である。

　更に、図５を参照して第３実施形態の放香装置について、以下に説明する。
　図５は放香装置１Ｃの主要構成を示したブロック図である。この放香装置１Ｃは、図２で示す放香装置１Ａに加えて、設置された周囲の色を検知する色検知センサＤＴを更に備えるものである。なお、ここで、周囲の色とは、色検知センサＤＴが所定の向きに設定されている場合、色検知センサＤＴの検出可能範囲の色であるが、ここでは、例えば、ユーザ自己がリラックスするため、室内照明などを使用して、その時の気分に沿った色とし、色検知センサＤＴで確実の色を検出できる環境を想定している。

　色検知センサＤＴは、市場に提供されているセンサを適宜に採用すればよいが、例えば赤色、青色、緑色の３色ＬＥＤ（Light
Emitting Diode：発光ダイオード）を用い、交互パルス点灯により対象物の色を判別する色検知センサなどが好適である。
　この放香装置１Ｃでは、色検出センサＤＴの出力が前記制御部へ供給されて、ユーザ自身の動作による色の選択操作に代っている。制御部は、前記検知センサの出力に基づいて選択された色を確認して、前記使用モードを実行する。
　よって、この放香装置１Ｃは、例えばユーザがその時の感情で好みの色とした部屋に、設置するだけで、その色に応じた香り成分を放出して、ユーザを楽しませてリラックスさせることができる。

　上記のように放香装置１Ｃは、色検知センサを備えるので、ユーザの色選択操作を待たず、放香装置側でユーザの好みの色を確認して駆動される点だけが図３で示すものとは異なる。図２で示す設定モードでの処理は、放香装置１Ａと同様である。

　なお、前述したように、放香装置１Ｃを好みの色とした室内に設置する場合には、図４で示した照明部を備える必要がないかもしれない。しかし、色検出センサＤＴで検出した色がその空間の一部だけで、ユーザが周囲を好みの色に染めたいという要請も考えられる。そこで、図５で示した放香装置１Ｃは、図４で示した照明部ＬＧを備えたものを構成例として示しているが、照明部ＬＧを除いて放香装置１Ｃを構成してもよい。

　図６は、製品とした場合の一例として、本発明の放香装置の外観を示した図である。この放香装置１は家庭の居間や浴室、車内（車室内）等で利用することを想定している。浴室対応とするときは必要な防水加工が施される。
　この放香装置１は、図４、図５で示した、照明部ＬＧと色検知センサＤＴを共に備えたフルスペックの構成である。なお、本発明に係る放香装置の構成および作用、効果は前述した通りであるから、図６で示す放香装置１の内部の構造については重複する説明は省くが、必要により前掲した図も参照しながら説明する。

　放香装置１は、大略が円柱状である本体ハウジング１１の内部にここでは図示しない香り成分格納部（図１のＳＴ）を備えている。この香り成分格納部（ＳＴ）は複数種の香り成分をそれぞれ個別に格納する香りセクション（図１のＳＥ）により構成されている。具体的には、香りセクションとなる香り格納容器を複数、本体ハウジング１１に対して着脱可能に設定してある。よって、適宜に、異なる香り成分を収めた他の格納容器に交換すれば、新たな香りに変更することもできる。

　図６における放香装置１は、図１における操作部ＶＡに対応する操作部１２が設けてある。この操作部１２には、色見本の表示を行う色見本提示部１３、香り成分の放出量を調整するためスライド式の香り放出量調整ツマミ１４、そして、前述した設定モードでユーザが任意に香り成分を選択するときに用いる入力ボタン１５、また、設定モードを起動するコマンドボタン１６、使用モードを起動するコマンドボタン１７などを備えている。
　放香装置１では、香りセクション（ＳＥ）は、それぞれ操作部１２中の色見本提示部１３で示す色見本に１対１に対応している。すなわち、この放香装置１は内部に７個の香りセクションが設置されており、これに応じて７個（種類）の色見本が表示されて、ユーザはこれを選択する。操作部１２を介して入力されるユーザからの指示は、図１では図示していない内部のコントローラ（図１の制御部ＣＮ）に供給されており、コントローラが入力に基づいて香り成分の放出を制御する。
　操作部１２は、例えばタッチパネル式のディスプレイなどを含んで構成され、ユーザが色見本提示部１３で示す色見本から好みの色を選択した後、その近傍位置に指示用として設けてある入力ボタン１５を押すと、それに応じて香りセクション（ＳＥ）から香り成分が放出される。
　なお、図６中で、符号２０は本体ハウジング１１の周部に沿って複数配置した香り放出口（図１のＥＬ参照）、符号２１は照明部（図４のＬＧ参照）に設けた光を放つ光放出口、符号２２は発光口から放出する光の光量を調整するための光量調節ツマミ、そして符号２３は色検知センサである

　操作部１２に設けた設定モードを起動するコマンドボタン１６をユーザが押すと、前述したように設定モードが起動されて、色と香りとの関連付けの処理が開始される。また、使用モードを起動するコマンドボタン１７をユーザが押すと、前述したように使用モードが起動されユーザがこの放香装置を使用して香りを楽しむことできる。

　なお、この放香装置１では、操作部１２中に香り放出量調整ツマミ１４が設けてあり、その操作情報は内部のコントローラへ供給されている。よって、ユーザが香り放出量調整ツマミ１４を操作して放出する香り成分毎の量を設定できる。この場合も、コントローラにより香り成分流量の制御が実行されるが、例えば香り格納部の各香りセクションに電磁弁およびフローメータを設け、放出する香り成分量がユーザの指示に沿うように流量を制御できる。これらの構成により香り放出量調整手段が構成される。

　なお、図６では、照明部の構成の一部として、光放出口２１と光量調節ツマミ２２が図示されるが、本体ハウジング１１内には図示しない光源や色フィルタが配置してある。例えば、白熱灯と前述の色見本と同色の色フィルタが配置されたフィルタを用いることができる。白熱灯の光が色フィルタを透過するようにフィルタ板が配置され、フィルタ板を回転させることで、白熱灯からの無色な光を色フィルタによって、そのいずれかの有色光に変更することができる。
　フィルタ板は、操作部１２中の色見本提示部１３で色見本を確認して指示する入力ボタン１５に内部のコントローラを介して電気的に接続されている。そして、ユーザが入力ボタン１５で選択した色に応じて、香りを放出すると同時に選択された色の光を光放出口２１から提示する。
　なお、光放光口２１には、発光された光を拡散し投光させる光拡散構造が設けてある。更に、光源は光量調節ツマミ２２が制御部に接続されており、放出する光量を調整できるようにしてある。

　そして、色検知センサ２３には、例えば光源として赤色、青色、緑色の３色ＬＥＤを用い、交互パルス点灯により対象物の色を判別するセンサが採用されている。この色検知センサ２３の出力も制御部に供給されている。この色検知センサ２３から信号で、使用モードを起動するときは、例えばコマンドボタン１７を２度押ししたときなどとされ、このときには制御部がユーザからの色選択操作を待たずに、色検知センサ２３で検知した色に基づいて、検知された光に対応する香りを香り放出口２０を介して放出する。

　以上、詳述した本発明にかかる放香装置は、ユーザ自身がイメージする色と香りとを関連付けできるので、従来の放香装置のように違和感を覚えるというような不都合が無く、放出した香りでユーザを確実に満足させることができる。また、必要により、一旦、設定した上記の関連付けを修正、変更することも可能であるので、利便性があってユーザフレンドリーな放香装置として提供できる。
　そして、照明部を更に備えた放香装置は視覚でもユーザを楽しませることができ、また色検知センサを備えた放香装置は周囲の色からユーザの好みの色を検知して、香りを提示できる。

　なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
　上記で説明した実施形態の放香装置は、発明の理解を容易とするため、色と香り成分とを設定したのに、実行する実行モードは１つの色を選択した場合について説明している。しかし、本発明の放香装置は、このように使用することに限定するものではない。すなわち、複数の色を同時に選択し、放出させることで香り成分をミックスすることで、新たな刺激を楽しむようにしてもよい。
　また、上記では一人のユーザが、放香装置を使用する場合を説明しているが、本発明の放香装置は一個人専用とする必要はない。前述したメモリ内へのデータ保存を複数併存可能にしておけば、複数のユーザで兼用できる。よって、例えば、家庭の居間に本発明の放香装置を１台設置すれば、家族全員で使用できる。
　更に、設定モードを活用すれば、一旦、定めた色と香りとを関連付けを変更、修正することもできるので、ユーザの感性に即した放香装置となる。

　１（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）　　　　　放香装置
　１１　　　　　　　　　　　　　　本体ハウジング
　１２　　　　　　　　　　　　　　操作部（ＣＮ）
　１３　　　　　　　　　　　　　　色見本提示部
　１４　　　　　　　　　　　　　　香り放出量調整ツマミ
　１５　　　　　　　　　　　　　　入力ボタン（ＮＰ）
　１６　　　　　　　　　　　　　　設定モードを起動するコマンドボタン
　１７　　　　　　　　　　　　　　使用モードを起動するコマンドボタン
　２０　　　　　　　　　　　　　　香り放出口
　２１　　　　　　　　　　　　　　光放出口
　２２　　　　　　　　　　　　　　光量調節ツマミ
　２３　　　　　　　　　　　　　　色検知センサ
　ＣＮ　　　　　　　　　　　　　　制御部
　ＭＥ　　　　　　　　　　　　　　メモリ
　ＳＴ　　　　　　　　　　　　　　香り格納部
　ＳＥ　　　　　　　　　　　　　　香りセクション
　ＲＥ　　　　　　　　　　　　　　香り放出部
　ＥＬ　　　　　　　　　　　　　　香り放出口
　ＶＡ　　　　　　　　　　　　　　操作部
　ＣＳ　　　　　　　　　　　　　　色見本提示部
　ＮＰ　　　　　　　　　　　　　　入力ボタン

Claims

　複数種の香り成分を、それぞれ個別に格納する香りセクションを複数含んで構成されている香り格納部と、
　香り放出口を備え、前記香りセクションのそれぞれに作用して、香り成分を個別に放出可能に構成してある香り放出部と、
　複数の色見本を提示可能な色見本提示部と、ユーザが前記色見本毎にイメージする香りを選択できるように設けてある入力ボタンとを少なくとも備えて、ユーザが色と香りとを任意に関連付ける設定操作が行える操作部と、
　前記操作部を介して設定された、前記色と香りとの関連付けの情報を記憶しておき、前記情報に含まれる色が選択されたときに、前記情報に基づいて前記香り放出部の駆動を制御して、選択された色に応じた香り成分を放出させる制御部と
　を含むことを特徴とする放香装置。
　前記制御部による制御には、ユーザが色と香りとを任意に関連付けて設定をする設定モードと、前記設定モードの設定後に選択された色に応じた香り成分の放出を行う使用モードとを含み、
　前記設定モードでユーザが任意に関連付けする前記色と香りとの関連付けの情報をメモリに記憶し、前記使用モードで前記メモリから前記情報を読み出して香り放出部を制御して香り成分の放出を行う、ことを特徴とする請求項１に記載の放香装置。
　前記色見本に対応する発光色を提示可能に設けてある照明部を更に備えると共に、前記制御部により前記照明部の駆動が制御可能に構成され、
　前記制御部は、前記使用モードを実行する際、香り成分の放出と共に、前記照明部の駆動を制御して選択された色と同一の色を発光させる、ことを特徴とする請求項２に記載の放香装置。
　この放香装置が設置された周囲の色を検知する色検知センサを更に備えて、該色検知センサの出力が前記制御部へ供給され、
　前記制御部は、前記検知センサの出力に基づいて選択された色を確認して、前記使用モードを実行する、ことを特徴とする請求項２に記載の放香装置。
　前記色見本に対応する発光色を提示可能に設けてある照明部を更に備えると共に、前記制御部により前記照明部の駆動が制御可能に構成され、
　前記制御部は、前記使用モードを実行する際、香り成分の放出と共に、前記照明部の駆動を制御して選択された色と同一の色を発光させる、ことを特徴とする請求項４に記載の放香装置。
　前記操作部は、前記色と香りとを任意に関連付けして設定する際の決定操作部と、設定後にユーザが色を選択する選択操作部とを兼ね、前記入力ボタンにより設定操作と選択操作とが可能にしてある、ことを特徴とする請求項１に記載の放香装置。
　前記入力ボタンは前記色見本毎に設けてある、ことを特徴とする請求項１に記載の放香装置。
　前記操作部は前記香り成分毎に放出量を調整する香り放出量調整手段を更に備える、ことを特徴とする請求項１に記載の放香装置。