JPWO2017056803A1 - 近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、および固体撮像素子 - Google Patents

近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、および固体撮像素子 Download PDF

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Abstract

ヘイズの小さい近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、および、固体撮像素子を提供する。近赤外線カットフィルタは、赤外線吸収剤Aを含む第1の赤外線吸収層と、赤外線吸収剤Cを含む第2の赤外線吸収層と、第1の赤外線吸収層と第2の赤外線吸収層との間に設けられた樹脂層と、を有する。

Description

本発明は、近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、および、近赤外線カットフィルタを有する固体撮像素子に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子である、CCD(電荷結合素子)や、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)が用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルタを用いることが多い。
特許文献1には、透明基材の表面に、透明樹脂と有機色素とを含む近赤外線吸収層を形成した近赤外線カットフィルタが記載されている。同文献の段落0108には、ガラス基材の一方の主面に、ポリエステル樹脂とスクアリリウム色素を含む塗工液を塗布して、赤外線吸収層を形成し、この赤外線吸収層の上に、ポリエステル樹脂とジインモニウム化合物とを含む塗工液を塗布して赤外線吸収層を形成して近赤外線カットフィルタを製造することが記載されている。
国際公開第2014/168189号
しかしながら、本発明者らが、特許文献1に記載された近赤外線カットフィルタについて検討したところ、ヘイズが大きいことが分かった。
よって、本発明の目的は、ヘイズの小さい近赤外線カットフィルタ、近赤外線カットフィルタの製造方法、および、固体撮像素子を提供することにある。
本発明者らが、赤外線吸収剤を含む赤外線吸収層を2層以上積層した近赤外線カットフィルタについて、ヘイズが発生する原因について鋭意検討した結果、赤外線吸収層同士の界面において、両者の層に含まれる赤外線吸収剤が層間混合するためであることを見出した。そして、上記界面における、赤外線吸収剤が層間混合を抑止できれば、ヘイズを小さくできると考え、本発明を完成するに至った。本発明は以下を提供する。
<1> 赤外線吸収剤Aを含む第1の赤外線吸収層と、赤外線吸収剤Cを含む第2の赤外線吸収層と、第1の赤外線吸収層と第2の赤外線吸収層との間に設けられた樹脂層と、を有する、近赤外線カットフィルタ。
<2> 赤外線吸収剤Aおよび赤外線吸収剤Cの少なくとも一方が、銅化合物を含む、<1>に記載の近赤外線カットフィルタ。
<3> 赤外線吸収剤Aおよび赤外線吸収剤Cの少なくとも一方が、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>または<2>に記載の近赤外線カットフィルタ。
<4> 赤外線吸収剤Aおよび赤外線吸収剤Cの一方が、銅化合物を含み、他方が、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>に記載の近赤外線カットフィルタ。
<5> 第1の赤外線吸収層、および、第2の赤外線吸収層の少なくとも一方が、架橋性基を有する化合物と、赤外線吸収剤とを含有する赤外線吸収組成物を硬化した層である、<1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<6> 第1の赤外線吸収層、および、第2の赤外線吸収層の少なくとも一方が、架橋性基を有する化合物と、銅化合物とを含有する赤外線吸収組成物を硬化した層であり、架橋性基を有する化合物が、M−Xで表される部分構造を有する化合物である、<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。ただし、Mは、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される原子であり、Xは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)から選択される1種であり、RaおよびRbは、それぞれ独立に1価の有機基を表し、Xが、O=C(Ra)(Rb)である場合、カルボニル基の酸素原子の非共有電子対でMと結合する。
<7> 架橋性基を有する化合物の含有量が、赤外線吸収組成物の全固形分の15質量%以上である、<5>または<6>に記載の近赤外線カットフィルタ。
<8> 樹脂層のガラス転移温度が0〜200℃である、<1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<9> 樹脂層の膜厚が0.005mm以上である、<1>〜<8>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<10> 第1の赤外線吸収層および第2の赤外線吸収層の少なくとも一方が樹脂を含み、第1の赤外線吸収層および第2の赤外線吸収層の少なくとも一方が含む樹脂の溶解度パラメータであるSP値と、樹脂層が含む樹脂の溶解度パラメータであるSP値との差の絶対値が、0.5〜5.0(MPa)1/2である、<1>〜<9>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<11> 第1の赤外線吸収層と樹脂層とが接しており、第2の赤外線吸収層と樹脂層とが接している、<1>〜<10>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<12> 赤外線吸収剤Aを含む赤外線吸収組成物Aを用いて、支持体上に、第1の赤外線吸収層を形成する工程と、樹脂Bを含む樹脂組成物Bを用いて、第1の赤外線吸収層上に樹脂層を形成する工程と、赤外線吸収剤Cを含む赤外線吸収組成物Cを用いて、樹脂組層上に、第2の赤外線吸収層を形成する工程と、を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
<13> 赤外線吸収組成物Aが、赤外線吸収剤Aと樹脂Aとを含み、樹脂Aの溶解度パラメータであるSP値と、樹脂Bの溶解度パラメータであるSP値との差の絶対値が0.5〜5.0(MPa)1/2である、<12>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<14> 赤外線吸収組成物Cが、赤外線吸収剤Cと樹脂Cとを含み、樹脂Cの溶解度パラメータであるSP値と、樹脂Bの溶解度パラメータであるSP値との差の絶対値が0.5〜5.0(MPa)1/2である、<12>または<13>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<15> <1>〜<11>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタを有する固体撮像素子。
本発明によれば、ヘイズの小さい近赤外線カットフィルタを提供可能になった。また、近赤外線カットフィルタの製造方法、および、固体撮像素子を提供可能になった。
本発明の近赤外線カットフィルタの一実施形態の概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
本発明で用いられる化合物の重量平均分子量および数平均分子量の測定方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定でき、GPCの測定によるポリスチレン換算値として定義される。
近赤外線とは、極大吸収波長領域が700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。本発明における固形分は、25℃における固形分である。
<近赤外線カットフィルタ>
図1は、本発明の近赤外線カットフィルタの一実施形態である。近赤外線カットフィルタは、赤外線吸収剤Aを含む第1の赤外線吸収層10と、樹脂層20と、赤外線吸収剤Cを含む第2の赤外線吸収層30とを有する。そして、樹脂層20は、第1の赤外線吸収層10と、第2の赤外線吸収層30との間に有する。このような構成とすることにより、ヘイズの小さい近赤外線カットフィルタとすることができる。すなわち、近赤外線カットフィルタは、第1の赤外線吸収層10と、第2の赤外線吸収層30との間に樹脂層20を有するので、樹脂層20によって、第1の赤外線吸収層10に含まれる赤外線吸収剤Aと、第2の赤外線吸収層30に含まれる赤外線吸収剤Bとの層間混合を抑止でき、その結果、ヘイズの小さい近赤外線カットフィルタとすることができる。
近赤外線カットフィルタにおいて、第1の赤外線吸収層10は、樹脂層20の表面に直接形成されていてもよい。すなわち、第1の赤外線吸収層10と樹脂層20とが接していてもよい。また、第1の赤外線吸収層10と樹脂層20との間に他の層が介在していてもよい。また、第2の赤外線吸収層30は、樹脂層20の表面に直接形成されていてもよい。すなわち、第2の赤外線吸収層30と樹脂層20とが接していてもよい。また、第2の赤外線吸収層30と樹脂層20との間に他の層が介在していてもよい。第1の赤外線吸収層10および第2の赤外線吸収層30は、それぞれ樹脂層20に接していることが好ましい。
近赤外線カットフィルタは、支持体上に、第1の赤外線吸収層10と、樹脂層20と、第2の赤外線吸収層30とがそれぞれ形成されていてもよい。支持体の材質としては、少なくとも可視波長域の光を透過できるものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、結晶、樹脂などが挙げられる。ガラスとしては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどが挙げられる。結晶としては、例えば、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイヤ等が挙げられる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
本発明の近赤外線カットフィルタは、赤外線吸収層を3層以上有していてもよい。赤外線吸収層を3層以上有する場合は、第1の赤外線吸収層10および/または第2の赤外線吸収層30の表面に、他の赤外線吸収層が直接積層されていてもよいし、樹脂層を介して、他の赤外線吸収層が積層されていてもよい。また、近赤外線カットフィルタが、支持体上に、第1の赤外線吸収層10と、樹脂層20と、第2の赤外線吸収層30とがそれぞれ形成したものである場合、支持体上であって、第1の赤外線吸収層10と、樹脂層20と、第2の赤外線吸収層30との積層体が形成された側とは反対側の面に形成されていてもよい。
また、本発明の近赤外線カットフィルタは、更に、誘電体多層膜を有していてもよい。誘電体多層膜を有することで、視野角が広く、赤外線遮蔽性に優れた近赤外線カットフィルタが得られ易い。誘電体多層膜は、第1の赤外線吸収層10および/または第2の赤外線吸収層30上に有していてもよい。また、近赤外線カットフィルタが、支持体上に、第1の赤外線吸収層10と、樹脂層20と、第2の赤外線吸収層30とがそれぞれ形成したものである場合、支持体上であって、第1の赤外線吸収層10と、樹脂層20と、第2の赤外線吸収層30との積層体が形成された側とは反対側の面に形成されていてもよい。
なお、本発明において、誘電体多層膜は、光の干渉の効果を利用して近赤外線を遮光する膜である。すなわち、誘電体多層膜は、近赤外線を反射する能力を有する膜を意味する。具体的には、屈折率の異なる誘電体層(高屈折率材料層と低屈折率材料層)を、交互に2層以上積層して得られる膜である。
誘電体多層膜の材料としては、例えばセラミックを用いることができる。光の干渉の効果を利用した近赤外線カットフィルタを形成するためには、屈折率の異なるセラミックを2種以上用いることが好ましい。誘電体多層膜としては具体的には、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した構成を好適に用いることができる。
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.7〜2.5の材料が選択される。この材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウムを主成分とし酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウムなどを少量含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.2〜1.6の材料が選択される。この材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚みは、遮断しようとする赤外線波長λ(nm)の0.1λ〜0.5λの厚みであることが好ましい。厚みが上記範囲とすることにより、特定波長の遮断・透過をコントロールしやすい。また、誘電体多層膜における積層数は、2〜100層が好ましく、2〜60層がより好ましく、2〜40層が更に好ましい。誘電体多層膜を蒸着した際に基板に反りが生じてしまう場合には、これを解消するために、基板両面へ誘電体多層膜を蒸着する、基板の誘電多層膜を蒸着した面に紫外線等の放射線を照射する等の方法をとる事ができる。なお、放射線を照射する場合、誘電体多層膜の蒸着を行いながら照射してもよいし、蒸着後別途照射してもよい。
本発明の近赤外線カットフィルタは、更に、紫外線吸収層を有していてもよい。紫外線吸収層を有することで、紫外線遮蔽性に優れた近赤外線カットフィルタとすることができる。紫外線吸収層としては、例えば、WO2015/099060号の段落0040〜0070、0119〜0145に記載の吸収層を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
以下、本発明の近赤外線カットフィルタについて詳細に説明する。
<<樹脂層20>>
近赤外線カットフィルタは、第1の赤外線吸収層10と、第2の赤外線吸収層30との間に樹脂層20を有する。樹脂層20としては、樹脂を含む層であればいずれも好ましい。透明樹脂を含む層であることがより好ましい。樹脂層20は、樹脂の含有量が、樹脂層の質量に対して50〜100質量%であることが好ましい。下限は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。上限は、例えば、99質量%以下とすることもでき、95質量%以下とすることもできる。
樹脂層20の膜厚は、0.0005mm以上が好ましく、0.01mm以上がより好ましい。上限は、0.05mm以下が好ましく、0.02mm以下が更に好ましい。樹脂層の膜厚が0.0005mm以上であれば、ヘイズを効果的に抑制できる。
樹脂層20のガラス転移温度は、0〜200℃が好ましい。下限は、10℃以上が好ましく、30℃以上が更に好ましい。上限は、100℃以下が好ましく、70℃以下が更に好ましい。樹脂層のガラス転移温度が上記範囲であれば、隣接する層との界面で剥がれ等が生じにくくできる。本発明において、樹脂層のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSCの方法で測定した値である。なお、本発明において、樹脂層がガラス転移温度を2以上有する場合は、低い方の温度を、本発明におけるガラス転移温度の値とする。
なお、樹脂層20は、第1の赤外線吸収層10や、第2の赤外線吸収層30から赤外線吸収剤が移行して、赤外線吸収剤を微量含有する場合があるが、本発明における樹脂層20は赤外線吸収性を殆ど有さない層であり、赤外線吸収層とは異なる層である。樹脂層20は、赤外線吸収剤の含有量が、樹脂層の質量に対して20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下がより好ましい。下限は、例えば、0質量%以上とすることもできる。
樹脂層20は、樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成できる。例えば、樹脂組成物を、塗布等の方法で、第1の赤外線吸収層10または第2の赤外線吸収層30上などに適用して形成できる。樹脂組成物の適用方法としては、滴下法(ドロップキャスト)、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、アプリケータ塗布等の方法が挙げられる。以下、樹脂組成物について説明する。
<<<<樹脂組成物>>>
(樹脂)
樹脂組成物が含有する樹脂としては、特に限定はない。少なくとも近赤外線(好ましくは、波長700〜1200nmの波長の光)を透過する樹脂を好ましく用いることができる。樹脂は可視光および近赤外線を透過する樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ−N−ビニルアセトアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、フルオレンポリカーボネート樹脂、フルオレンポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、フッ素化芳香族ポリマー樹脂、アリルエステル樹脂およびシルセスキオキサン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。上記樹脂については、特開2014−218597号公報の段落0056〜0060の記載、特開2013−218312の段落0074〜0156の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。下限は、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。
また、エポキシ樹脂の場合、重量平均分子量(Mw)は、100以上が好ましく、200〜2,000,000がより好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。
上記樹脂は、25℃から、20℃/分で昇温した5%熱質量減少温度が、200℃以上であることが好ましく、260℃以上であることがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸および/またはそのエステルに由来する構成単位を含むポリマーが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種を重合して得られるポリマーが挙げられる。市販品としては、例えば、サイクロマーP ACA230AA、ACA210β((株)ダイセル製)、BGM−601(大阪有機化学工業(株)製)、アクリキュア−RD−F8(日本触媒(株)製)などが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と、多塩基酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など)との反応により得られるポリマーや、カプロラクトンモノマー等の環状エステル化合物の開環重合により得られるポリマー(例えばポリカプロラクトン)が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。市販品としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、JER827、JER828、JER834、JER1001、JER1002、JER1003、JER1055、JER1007、JER1009、JER1010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、JER806、JER807、JER4004、JER4005、JER4007、JER4010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、JER152、JER154、JER157S70、JER157S65、(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690、EPICLON N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP−4080S、同EP−4085S、同EP−4088S(以上、(株)ADEKA製)セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、(株)ダイセル製)、デナコール EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、JER1031S(三菱化学(株)製)、リポキシ SPCF−9X(昭和電工(株)製)等が挙げられる。
樹脂は、酸基を有していてもよい。酸基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性ヒドロキシル基などが挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂としては、特開2015−043063号公報の段落0180〜0202に記載のアルカリ可溶性樹脂が挙げられ、この内容は本願明細書に組み込まれることとする。酸基を有する樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、150mgKOH/g以下が好ましく、120mgKOH/g以下がより好ましい。
樹脂は、架橋性基を有していてもよい。架橋性基は、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、メチロール基、後述する−M−(X2nで表される基などが挙げられる。架橋性基を有する樹脂としては、例えば、架橋性基を有する構成単位を含む樹脂や、上述したエポキシ樹脂などが挙げられる。架橋性基を有する構成単位としては、下記式(A2−1)〜(A2−4)などが挙げられる。
1は、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。R1は、水素原子またはメチル基が好ましい。
51は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられ、アルキレン基、アリーレン基およびアルキレン基の少なくとも1つと−O−との組み合わせからなる基が好ましい。アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜15より好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキレン基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。アリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
1は、架橋性基を表す。架橋性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、メチロール基、−M−(X2nで表される基などが挙げられる。−M−(X2nで表される基において、Mは、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される原子を表し、X2は置換基または配位子を表し、n個のX2のうち、少なくとも1つが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)から選択される1種であり、X2同士は、それぞれ結合して環を形成していてもよく、nは、MのX2との結合手の数を表す。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。環状エーテル基としては、エポキシ基やオキセタニル基が挙げられ、エポキシ基が好ましい。
M−(X2nで表される基において、Mは、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される原子であり、Si、Ti、Zrが好ましく、Siがより好ましい。
2は置換基または配位子を表し、n個のX2のうち、少なくとも1つが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)から選択される1種であり、X2同士は、それぞれ結合して環を形成していてもよい。n個のX2のうち、少なくとも1つが、アルコキシ基、アシルオキシ基およびオキシム基から選択される1種であることが好ましく、n個のX2のうち、少なくとも1つがアルコキシ基であることが更に好ましく、X2の全てが、アルコキシ基であることがより好ましい。なお、X2が、O=C(Ra)(Rb)である場合、カルボニル基(−CO−)の酸素原子の非共有電子対でMと結合する。RaおよびRbは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。
2が表すアルコキシ基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が特に好ましい。アルコキシ基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルコキシ基は、無置換であってもよく、置換基を有してもよいが、無置換が好ましい。置換基としては、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、イソアネート基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
2が表すアシルオキシ基としては、例えば、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基等が挙げられる。置換基としては上述したものが挙げられる。
2が表すオキシム基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。例えば、エチルメチルケトオキシム基などが挙げられる。
2が表すアミノ基としては、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基等が挙げられる。置換基としては上述したものが挙げられる。
2が、O=C(Ra)(Rb)である場合、RaおよびRbが表す1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、−R101−COR102で表される基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキル基は、無置換であってもよく、上述した置換基を有していてもよい。アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。アリール基は、無置換であってもよく、上述した置換基を有していてもよい。
−R101−COR102で表される基において、R101は、アリーレン基を表し、R102はアルキル基またはアリール基を表す。R101が表すアリーレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。アリーレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基は、無置換であってもよく、上述した置換基を有していてもよい。R102が表すアルキル基およびアリール基は、Ra、Rbで説明したものが挙げられ、好まし範囲も同様である。
2が表す置換基および配位子のうち、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基以外の置換基としては、炭化水素基が好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。分岐状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜12がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。アルケニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。アリール基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。炭化水素基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、イソアネート基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。
樹脂が、架橋性基を有する構成単位を含む場合、架橋性基を有する構成単位の含有量は、ポリマーを構成する全構成単位の5〜100モル%であることが好ましい。下限は、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。上限は、90モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましく、70モル%以下が特に好ましい。
架橋性基を含有する樹脂としては、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer.Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、アクリキュア−RD−F8(日本触媒(株)製)などが挙げられる。また、上述したエポキシ樹脂なども挙げられる。また、下記樹脂を用いることもできる。
本発明において、樹脂は、下記式(A3−1)〜(A3−6)で表される構成単位を有することも好ましい。

式中、R5は水素原子またはアルキル基を表し、L4〜L7はそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、R10〜R13はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。
5は、式(A2−1)〜(A2−4)のR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
4〜L7は、式(A2−1)〜(A2−4)のL1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
10が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、環状が好ましい。アルキル基は上述した置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。R10が表すアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。R10は、環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。
11、R12が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでも良く、直鎖状または分岐状が好ましい。アルキル基は上述した置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルキル基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が更に好ましい。R11,R12が表すアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6が更に好ましい。R11、R12は、直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。
13が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでも良く、直鎖状または分岐状が好ましい。アルキル基は上述した置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルキル基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が更に好ましい。R13が表すアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6が更に好ましい。R13は、直鎖状または分岐状のアルキル基、または、アリール基が好ましい。
本発明において、樹脂は、上述した式(A2−1)〜(A2−4)で表される構成単位の少なくとも1つと、下記式(A3−1)〜(A3−6)で表される構成単位の少なくとも1つとを有する樹脂を用いることもできる。この態様において、式(A2−1)〜(A2−4)で表される構成単位の合計と、式(A3−1)〜(A3−6)で表される構成単位の合計とのモル比は、95:5〜20:80であることが好ましく、90:10〜40:60であることがより好ましい。
樹脂組成物中における樹脂の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して、50〜100質量%が好ましい。下限は、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。上限は、例えば、95質量%以下とすることもでき、90質量%以下とすることもできる。
(溶剤)
樹脂組成物は溶剤を含有してもよい。溶剤は、特に制限はなく、樹脂組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、有機溶剤を用いることができ、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、アルコール類(例えばメタノール)、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、およびジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が好適に挙げられる。アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、特開2012−194534号公報段落0136等に記載のものが挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、エステル類、ケトン類、エーテル類の具体例としては、特開2012−208494号公報段落0497(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の<0609>)に記載のものが挙げられる。
また、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸シクロヘキシル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例えば、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤を2種以上組み合せて用いる場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
樹脂組成物中における溶剤の量は、固形分が10〜90質量%となる量が好ましい。下限は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
(他の成分)
樹脂組成物は、例えば、架橋性化合物、光重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤などを含んでもよい。これらの詳細については、後述する赤外線吸収組成物で説明したものが挙げられる。また、樹脂組成物は、分散剤、増感剤、硬化促進剤、フィラー、可塑剤、密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)をさらに含有することができる。これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜0228(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の<0237>〜<0309>)、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104、段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
樹脂組成物は、赤外線吸収剤を実質的に含まないことが好ましい。赤外線吸収剤としては、後述する赤外線吸収層で説明したものが挙げられる。なお、樹脂組成物は、赤外線吸収剤を実質的に含まないとは、例えば、樹脂組成物中における赤外線吸収剤の含有量が、樹脂組成物の全固形分に対して、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下が更に好ましく、含有しないことが一層好ましい。
<樹脂組成物の調製方法>
樹脂組成物は、前述の成分を混合して調製できる。樹脂組成物の調製に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。
樹脂組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン−6、ナイロン−6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜3.0μm程度、さらに好ましくは0.05〜0.5μm程度である。この範囲とすることにより、後工程において均一及び平滑な組成物の調製を阻害する、微細な異物を確実に除去することが可能となる。また、ファイバ状のろ材を用いることも好ましく、ろ材としては例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられ、具体的にはロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジを用いることができる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(DFA4201NXEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
<<第1の赤外線吸収層10、第2の赤外線吸収層30>>
近赤外線カットフィルタは、第1の赤外線吸収層10と、第2の赤外線吸収層30とを有する。第1の赤外線吸収層10と樹脂層20とは接していることが好ましい。また、樹脂層20と第2の赤外線吸収層30とは接していることが好ましい。第1の赤外線吸収層10および第2の赤外線吸収層30は、それぞれ赤外線吸収剤を含む。第1の赤外線吸収層10が含む赤外線吸収剤Aと、第2の赤外線吸収層30が含む赤外線吸収剤Cは、同じ種類のものであってもよく、異なる種類であってもよい。以下、第1の赤外線吸収層10と第2の赤外線吸収層30とを併せて、赤外線吸収層ともいう。
本発明において、赤外線吸収剤は、赤外領域の波長領域(好ましくは、波長700〜1200mnの範囲)に吸収を有し、可視領域(好ましくは、波長400〜650mnの範囲)の波長の光を透過する化合物を意味する。赤外線吸収剤は、極大吸収波長が700〜1200nmの範囲に有する化合物が好ましく、650〜1000nmの範囲に有する化合物がより好ましい。
赤外線吸収剤としては、例えば、銅化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ジインモニウム化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、クオタリレン系化合物、クロコニウム系化合物等が挙げられる。なかでも、近赤外線遮蔽性と可視透過性の両立に優れた膜を形成しやすいという理由から、銅化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物が好ましい。また、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物は、染料(すなわち、ピロロピロール染料、スクアリリウム染料、シアニン染料、フタロシアニン染料およびナフタロシアニン染料)が好ましい。
本発明において、赤外線吸収剤Aおよび赤外線吸収剤Cの少なくとも一方は、銅化合物が好ましい。この態様において、他方の赤外線吸収剤は、銅化合物であってもよいし、銅化合物以外の赤外線吸収剤であってもよい。銅化合物以外の赤外線吸収剤は、有機色素が好ましい。本発明において、有機色素とは、色素骨格を有する有機化合物からなる色素を意味する。
また、本発明において、赤外線吸収剤Aおよび赤外線吸収剤Cの少なくとも一方は、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる1種であることが好ましい。この態様において、他方の赤外線吸収剤は、上述の化合物であってもよいし、上述の化合物以外の赤外線吸収剤(例えば、銅化合物や、銅化合物以外の有機色素など)であってもよい。
本発明において、赤外線吸収剤Aおよび赤外線吸収剤Cの少なくとも一方は、銅化合物であり、他方は、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような組み合わせとすることで、幅広い波長領域の赤外線を遮光でき、赤外線遮蔽性に特に優れた近赤外線カットフィルタとすることができる。更には、ヘイズのより小さい近赤外線カットフィルタが得られ易い。
本発明において、赤外線吸収剤Aおよび赤外線吸収剤Cの少なくとも一方は、波長650〜850nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物(赤外線吸収剤)であり、他方が波長700〜1000nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物(赤外線吸収剤)である組み合わせも好ましい。また、赤外線吸収剤Aの極大吸収波長と、赤外線吸収剤Cの極大吸収波長との差は50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。上限は、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。このような組み合わせとすることで、幅広い波長領域の赤外線を遮光でき、赤外線遮蔽性に特に優れた近赤外線カットフィルタとすることができる。波長700〜1000の範囲に極大吸収波長を有する化合物(赤外線吸収剤)としては、銅化合物が好ましい。波長650〜850の範囲に極大吸収波長を有する化合物(赤外線吸収剤)としては、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物が好ましい。
以下、赤外線吸収剤について詳細に説明する。
(銅化合物)
本発明において、赤外線吸収剤として用いる銅化合物は、銅錯体が好ましい。銅錯体としては、銅と、銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)との錯体が好ましい。銅に対する配位部位としては、アニオンで配位する配位部位、非共有電子対で配位する配位原子が挙げられる。銅錯体は、配位子を2つ以上有していてもよい。配位子を2つ以上有する場合は、それぞれの配位子は同一であってもよく、異なっていてもよい。銅錯体は、4配位、5配位および6配位が例示され、4配位および5配位がより好ましく、5配位がさらに好ましい。また、銅錯体は、銅と配位子によって、5員環および/または6員環が形成されていることが好ましい。このような銅錯体は、形状が安定であり、錯体安定性に優れる。
本発明において、銅錯体は、フタロシアニン銅錯体以外の銅錯体であることも好ましい。ここで、フタロシアニン銅錯体とは、フタロシアニン骨格を有する化合物を配位子とする銅錯体である。フタロシアニン骨格を有する化合物は、分子全体にπ電子共役系が広がり、平面構造を取る。フタロシアニン銅錯体は、π−π*遷移で光を吸収する。π−π*遷移で赤外領域の光を吸収するには、配位子をなす化合物が長い共役構造をとる必要がある。しかしながら、配位子の共役構造を長くすると、可視光透過性が低下する傾向にある。このため、フタロシアニン銅錯体は、可視光透過性が不十分な場合がある。
また、銅錯体は、400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有さない化合物を配位子とする銅錯体であることも好ましい。400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物を配位子とする銅錯体は、可視領域(例えば、400〜600nmの波長領域)に吸収を有するため、可視光透過性が不十分な場合がある。400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物としては、長い共役構造を有し、π−π*遷移の光の吸収の大きい化合物が挙げられる。具体的には、フタロシアニン骨格を有する化合物が挙げられる。
銅錯体は、例えば銅成分(銅または銅を含む化合物)に対して、銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)を混合・反応等させて得ることができる。銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)は、低分子化合物であってもよく、ポリマーであってもよい。両者を併用することもできる。
銅成分は、2価の銅を含む化合物が好ましい。銅成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。銅成分としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩は、例えば、カルボン酸銅(例えば、酢酸銅、エチルアセト酢酸銅、ギ酸銅、安息香酸銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅など)、スルホン酸銅(例えば、メタンスルホン酸銅など)、リン酸銅、リン酸エステル銅、ホスホン酸銅、ホスホン酸エステル銅、ホスフィン酸銅、アミド銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、メチド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、硫酸銅、硝酸銅、過塩素酸銅、フッ化銅、塩化銅、臭化銅が好ましく、カルボン酸銅、スルホン酸銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、フッ化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅がより好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅、フェノキシ銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅が更に好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅、塩化銅、硫酸銅が特に好ましい。
本発明において、銅錯体は、700〜1200nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましい。銅錯体の極大吸収波長は、720〜1200nmの波長領域に有することがより好ましく、800〜1100nmの波長領域に有することがさらに好ましい。極大吸収波長は、例えば、Cary 5000 UV−Vis−NIR(分光光度計 アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて測定することができる。
銅錯体の上述した波長領域における極大吸収波長でのモル吸光係数は、120(L/mol・cm)以上が好ましく、150(L/mol・cm)以上がより好ましく、200(L/mol・cm)以上がさらに好ましく、300(L/mol・cm)以上がよりさらに好ましく、400(L/mol・cm)以上が特に好ましい。上限は、特に限定はないが、例えば、30000(L/mol・cm)以下とすることができる。銅錯体の上記モル吸光係数が、100(L/mol・cm)以上であれば、薄膜であっても、赤外線遮蔽性に優れた硬化膜を形成することができる。
銅錯体の800nmでのグラム吸光係数は、0.11(L/g・cm)以上が好ましく、0.15(L/g・cm)以上がより好ましく、0.24(L/g・cm)以上がさらに好ましい。
なお、本発明において、銅錯体のモル吸光係数およびグラム吸光係数は、銅錯体を溶媒に溶解させて1g/Lの濃度の溶液を調製し、銅錯体を溶解させた溶液の吸収スペクトルを測定して求めることができる。測定装置としては、島津製作所製UV−1800(波長領域200〜1100nm)、Agilent製Cary 5000(波長領域200〜1300nm)などを用いることができる。測定溶媒としては、水、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2,4−トリクロロベンゼン、アセトンが挙げられる。本発明では、上述した測定溶媒のうち、測定対象の銅錯体を溶解できるものを選択して用いる。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルで溶解する銅錯体の場合は、測定溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いることが好ましい。なお、溶解するとは、25℃の溶媒に対する、銅錯体の溶解度が0.01g/100gSolventを超える状態を意味する。
本発明において、銅錯体のモル吸光係数およびグラム吸光係数は、上述した測定溶媒のいずれか1つを用いて測定した値であることが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルでの値であることがより好ましい。
[低分子タイプの銅化合物]
銅化合物としては、例えば、下式(Cu−1)で表される銅錯体を用いることができる。この銅錯体は、中心金属の銅に配位子Lが配位した銅化合物であり、銅は、通常2価の銅である。例えば銅成分に対して、配位子Lとなる化合物またはその塩を混合・反応等させて得ることができる。
Cu(L)n1・(X)n2 式(Cu−1)
上記式中、Lは、銅に配位する配位子を表し、Xは、対イオンを表す。n1は、1〜4の整数を表す。n2は、0〜4の整数を表す。
Xは、対イオンを表す。銅化合物は、電荷を持たない中性錯体のほか、カチオン錯体、アニオン錯体になることもある。この場合、銅化合物の電荷を中和するよう、必要に応じて対イオンが存在する。
対イオンが負の対イオンの場合、例えば、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。具体例としては、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換または無置換のアルキルカルボン酸イオン(酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン等)、置換または無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばパラ−トルエンスルホン酸イオン、パラ−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラアリールホウ酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン(B-(C654)、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、アミドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、メチドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたメチドを含む)が挙げられ、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラアリールホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、アミドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、メチドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたメチドを含む)が好ましい。
対イオンが正の対イオンの場合、例えば、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えば、テトラブチルアンモニウムイオンなどのテトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルベンジルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオンなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン、トリエチルフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオンまたはプロトンが挙げられる。
また、対イオンは金属錯体イオンであってもよく、特に対イオンが銅錯体、すなわち、カチオン性銅錯体とアニオン性銅錯体の塩であっても良い。
配位子Lは、銅に対する配位部位を有する化合物であり、銅に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する化合物が挙げられる。アニオンで配位する配位部位は、解離していてもよく、非解離でも良い。配位子Lは、銅に対する配位部位を2個以上有する化合物(多座配位子)が好ましい。また、配位子Lは、可視透明性を向上させるために、芳香族などのπ共役系が連続して複数結合していないことが好ましい。配位子Lは、銅に対する配位部位を1個有する化合物(単座配位子)と、銅に対する配位部位を2個以上有する化合物(多座配位子)とを併用することもできる。単座配位子としては、アニオンまたは非共有電子対で配位する単座配位子が挙げられる。アニオンで配位する配位子としては、ハライドアニオン、ヒドロキシドアニオン、アルコキシドアニオン、フェノキシドアニオン、アミドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、イミドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたイミドを含む)、アニリドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアニリドを含む)、チオラートアニオン、炭酸水素アニオン、カルボン酸アニオン、チオカルボン酸アニオン、ジチオカルボン酸アニオン、硫酸水素アニオン、スルホン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸ジエステルアニオン、ホスホン酸モノエステルアニオン、ホスホン酸水素アニオン、ホスフィン酸アニオン、含窒素へテロ環アニオン、硝酸アニオン、次亜塩素酸アニオン、シアニドアニオン、シアナートアニオン、イソシアナートアニオン、チオシアナートアニオン、イソチオシアナートアニオン、アジドアニオンなどが挙げられる。非共有電子対で配位する単座配位子としては、水、アルコール、フェノール、エーテル、アミン、アニリン、アミド、イミド、イミン、ニトリル、イソニトリル、チオール、チオエーテル、カルボニル化合物、チオカルボニル化合物、スルホキシド、へテロ環、あるいは、炭酸、カルボン酸、硫酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、硝酸、または、そのエステルが挙げられる。
上記配位子が有するアニオンは、銅成分中の銅原子に配位可能なものであればよく、酸素アニオン、窒素アニオンまたは硫黄アニオンが好ましい。アニオンで配位する配位部位は、以下の1価の官能基群(AN−1)、または、2価の官能基群(AN−2)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、以下の構造式における波線は、配位子を構成する原子団との結合位置である。
群(AN−1)
群(AN−2)
上記式中、Xは、NまたはCRを表し、Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
Rが表すアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキル基の例としては、メチル基が挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、カルボキシル基、ヘテロ基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましく、1または2が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。アルキル基が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよい。
Rが表すアルケニル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルケニル基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
Rが表すアルキニル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルキニル基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
Rが表すアリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。アリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
Rが表す。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。ヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
アニオンで配位する配位部位の例として、モノアニオン性配位部位も挙げられる。モノアニオン性配位部位は、1つの負電荷を有する官能基を介して銅原子と配位する部位を表す。例えば、酸解離定数(pKa)が12以下の酸基が挙げられる。具体的には、リン原子を含有する酸基(リン酸ジエステル基、ホスホン酸モノエステル基、ホスフィン酸基等)、スルホ基、カルボキシル基、イミド酸基等が挙げられ、スルホ基、カルボキシル基が好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子が好ましく、酸素原子、窒素原子または硫黄原子がより好ましく、酸素原子、窒素原子がさらに好ましく、窒素原子が特に好ましい。非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子である場合、窒素原子に隣接する原子が炭素原子、または、窒素原子であることが好ましく、炭素原子がより好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれる、または、以下の1価の官能基群(UE−1)、2価の官能基群(UE−2)、3価の官能基群(UE−3)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれることが好ましい。なお、以下の構造式における波線は、配位子を構成する原子団との結合位置である。
群(UE−1)
群(UE−2)
群(UE−3)
群(UE−1)〜(UE−3)中、R1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表す。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれていてもよい。非共有電子対で配位する配位原子が環に含まれる場合、非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、5〜12員環が好ましく、5〜7員環がより好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、ケイ素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、カルボキシル基等が挙げられる。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよく、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(UE−1)〜(UE−3)から選択される少なくとも1種の部分構造を含む基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアシル基、ヒドロキシ基が挙げられる。
非共有電子対で配位する配位原子が群(UE−1)〜(UE−3)で表される部分構造に含まれる場合、R1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表す。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アルコキシ基の炭素数は、1〜12が好ましく、3〜9がより好ましい。
アリールオキシ基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリールオキシ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールオキシ基を構成するヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アルキルチオ基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましい。
アリールチオ基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリールチオ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールチオ基を構成するヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アシル基の炭素数は、2〜12が好ましく、2〜9がより好ましい。
配位子が、1分子内に、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する場合、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを連結する原子数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができ、可視光透過性を高めつつ、モル吸光係数を大きくし易い。アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを連結する原子の種類は、1種または2種以上であってもよい。炭素原子、または、窒素原子が好ましい。
配位子が、1分子内に、非共有電子対で配位する配位原子を2以上有する場合、非共有電子対で配位する配位原子は3つ以上有していてもよく、2〜5つ有していることが好ましく、4つ有していることがより好ましい。非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、2〜3が更に好ましく、3が特に好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子は、1種または2種以上であってもよい。非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子は、炭素原子が好ましい。
配位子は、少なくとも2つの配位部位を有する化合物(多座配位子ともいう)が好ましい。配位子は、配位部位を少なくとも3つ有することがより好ましく、3〜5個有することが更に好ましく、4〜5個有することが特に好ましい。多座配位子は、銅成分に対し、キレート配位子として働く。すなわち、多座配位子が有する少なくとも2つの配位部位が、銅とキレート配位することにより、銅錯体の構造が歪んで、可視光領域の高い透過性が得られ、赤外線の吸光能力を向上でき、色価も向上すると考えられる。
多座配位子は、アニオンで配位する配位部位を1つ以上と非共有電子対で配位する配位原子を1つ以上とを含む化合物、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物、アニオンで配位する配位部位を2つ含む化合物等が挙げられる。これらの化合物は、それぞれ独立に、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、配位子となる化合物は、配位部位を1つのみ有する化合物を用いることもできる。
多座配位子は、下記一般式(IV−1)〜(IV−14)で表される化合物であることが好ましい。例えば、配位子が4つの配位部位を有する化合物である場合は、下記式(IV−3)、(IV−6)、(IV−7)、(IV−12)で表される化合物が好ましく、金属中心により強固に配位し、耐熱性の高い安定な5配位錯体を形成しやすいという理由から、(IV−12)で表される化合物がより好ましい。また、例えば、配位子が5つの配位部位を有する化合物である場合は、下記式(IV−4)、(IV−8)〜(IV−11)、(IV−13)、(IV−14)で表される化合物が好ましく、金属中心により強固に配位し、耐熱性の高い安定な5配位錯体を形成しやすいという理由から、(IV−9)〜(IV−10)、(IV−13)、(IV−14)で表される化合物がより好ましく、(IV−13)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(IV−1)〜(IV−14)中、X1〜X59はそれぞれ独立して、配位部位を表し、L1〜L25はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、L26〜L32はそれぞれ独立して3価の連結基を表し、L33〜L34はそれぞれ独立して4価の連結基を表す。
1〜X42はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(AN−1)、または、群(UE−1)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
43〜X56はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(AN−2)、または、群(UE−2)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
57〜X59はそれぞれ独立して、上述した群(UE−3)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
1〜L25はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−O−、−SO2−または、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、−SO2−またはこれらの組み合わせからなる基がより好ましい。
26〜L32はそれぞれ独立して3価の連結基を表す。3価の連結基としては、上述した2価の連結基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
33〜L34はそれぞれ独立して4価の連結基を表す。4価の連結基としては、上述した2価の連結基から水素原子を2つ除いた基が挙げられる。
ここで、群(AN−1)〜(AN−2)中のR、および、群(UE−1)〜(UE−3)中のR1は、R同士、R1同士、あるいは、RとR1間で連結して環を形成しても良い。
配位子をなす化合物の具体例としては、以下に示す化合物、後述する多座配位子の好ましい具体例として示す化合物、および、これらの化合物の塩が挙げられる。塩を構成する原子としては、金属原子、テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。金属原子としては、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子がより好ましい。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。また、特開2014−41318号公報の段落0022〜0042の記載、特開2015−43063号公報の段落0021〜0039の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。


銅錯体は、例えば、以下の(1)〜(5)の態様が好ましい一例として挙げられ、(2)〜(5)がより好ましく、(3)〜(5)が更に好ましく、(4)または(5)が一層好ましい。
(1)2つの配位部位を有する化合物の1つまたは2つを配位子として有する銅錯体
(2)3つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体
(3)3つの配位部位を有する化合物と2つの配位部位を有する化合物とを配位子として有する銅錯体
(4)4つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体
(5)5つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体
上記(1)の態様において、2つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を2つ有する化合物、または、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物が好ましい。また、2つの配位部位を有する化合物の2つを配位子として有する場合、配位子の化合物は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、(1)の態様において、銅錯体は、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもでき、1〜3個とすることもできる。単座配位子の種類としては、アニオンで配位する単座配位子、非共有電子対で配位する単座配位子のいずれも好ましく、2つの配位部位を有する化合物が非共有電子対で配位する配位原子を2つ有する化合物の場合は配位力が強いという理由からアニオンで配位する単座配位子がより好ましく、2つの配位部位を有する化合物がアニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物の場合には錯体全体が電荷を持たないという理由から非共有電子対で配位する単座配位子がより好ましい。
上記(2)の態様において、3つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を3つ有する化合物が更に好ましい。
また、(2)の態様において、銅錯体は、更に、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもできる。また、1個以上とすることもでき、1〜3個以上がより好ましく、1〜2個がさらに好ましく、2個が一層好ましい。単座配位子の種類としては、アニオンで配位する単座配位子、非共有電子対で配位する単座配位子のいずれも好ましく、上述した理由によりアニオンで配位する単座配位子がより好ましい。
上記(3)の態様において、3つの配位部位を有する化合物は、アニオンで配位する配位部位と、非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物が好ましく、アニオンで配位する配位部位を2つ、および、非共有電子対で配位する配位原子を1つ有する化合物が更に好ましい。さらに、この2つのアニオンで配位する配位部位が異なっていることが特に好ましい。また、2つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を2つ有する化合物が更に好ましい。なかでも、3つの配位部位を有する化合物が、アニオンで配位する配位部位を2つ、および、非共有電子対で配位する配位原子を1つ有する化合物であり、2つの配位部位を有する化合物が、非共有電子対で配位する配位原子を2つ有する化合物である組み合わせが、特に好ましい。
また、(3)の態様において、銅錯体は、更に、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもでき、1個以上とすることもできる。0個がより好ましい。
上記(4)の態様において、4つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を2以上有する化合物がより好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を4つ有する化合物が更に好ましい。
また、(4)の態様において、銅錯体は、更に、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもでき、1個以上とすることもでき、2個以上とすることもできる。1個が好ましい。単座配位子の種類としては、アニオンで配位する単座配位子、非共有電子対で配位する単座配位子のいずれも好ましい。
上記(5)の態様において、5つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を2以上有する化合物がより好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を5つ有する化合物が更に好ましい。
また、(5)の態様において、銅錯体は、更に、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもでき、1個以上とすることもできる。単座配位子の数は0個が好ましい。
多座配位子としては、以下に示す化合物が好ましい一例として挙げられる。

[リン酸エステル銅錯体]
本発明において、銅化合物として、リン酸エステル銅錯体を用いることもできる。リン酸エステル銅錯体は、銅を中心金属としリン酸エステル化合物を配位子とするものである。リン酸エステル銅錯体の配位子をなすリン酸エステル化合物は、下記式(L−100)で表される化合物またはその塩が好ましい。
(HO)n−P(=O)−(OR13-n 式(L−100)
式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜18のアラルキル基、または炭素数1〜18のアルケニル基を表すか、−OR1が、炭素数4〜100のポリオキシアルキル基、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、または、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルポリオキシアルキル基を表し、nは1または2を表す。nが1のとき、R2はそれぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。
上記式において、−OR1の少なくとも1つが、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、または、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルポリオキシアルキル基を表すことが好ましく、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表すことがより好ましい。ポリオキシアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、および(メタ)アクリロイルポリオキシアルキル基の炭素数は、それぞれ、4〜20であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
リン酸エステル化合物の分子量は、300〜1500であることが好ましく、320〜900であることがより好ましい。
リン酸エステル化合物の具体例としては、上述した配位子が挙げられる。また、特開2014−41318号公報の段落0022〜0042の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[スルホン酸銅錯体]
本発明において、銅化合物として、スルホン酸銅錯体を用いることもできる。スルホン酸銅錯体は、銅を中心金属としスルホン酸化合物を配位子とするものである。スルホン酸銅錯体の配位子をなすスルホン酸化合物は、下記式(L−200)で表される化合物またはその塩が好ましい。
2−SO2−OH 式(L−200)
式中、R2は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを挙げることができる。
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。
アリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜25が好ましく、6〜10がより好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、重合性基(好ましくは、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基)、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基、カルボン酸エステル基(例えば−CO2CH3)、ハロゲン化アルキル基()、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン原子を含有する酸基、アミノ基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基等が挙げられる。
上記のハロゲン化アルキル基としては、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。特に、フッ素原子を2つ以上有する炭素数が1〜10のアルキル基が好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれであってもよいが、直鎖または分岐が好ましい。ハロゲン化アルキル基における炭素数は、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3がより好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基は、末端の構造が(−CF3)であることが好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基は、フッ素原子の置換率が、50〜100%であることが好ましく、80〜100%であることがさらに好ましい。ここで、フッ素原子の置換率とは、フッ素原子で置換されたアルキル基において、水素原子がフッ素原子に置換されている比率(%)のことをいう。特に、ハロゲン化アルキル基としては、ペルフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基がさらに好ましく、トリフルオロエチル基及びトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
上述したアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、二価の連結基を有していてもよい。二価の連結基としては、−(CH2m−(mは1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜4の整数)、炭素数5〜10の環状のアルキレン基、または、これらの基と、−O−、−COO−、−S−、−NH−および−CO−の少なくとも1つの組み合わせからなる基が好ましい。
式(L−200)中、R2は、式量が300以下の有機基であることが好ましく、式量が50〜200の有機基がより好ましく、式量60〜100の有機基がさらに好ましい。
式(L−200)で表されるスルホン酸化合物の分子量は、80〜750が好ましく、80〜600がより好ましく、80〜450がさらに好ましい。
スルホン酸銅錯体は、下記式(L−201)で表される構造を有することが好ましい。
2A−SO2−O−* (L−201)
式中、R2Aは、式(L−200)におけるR2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
スルホン酸化合物の具体例としては、上述した配位子が挙げられる。また、特開2015−43063号公報の段落0021〜0039の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[ポリマータイプの銅化合物]
本発明において、銅化合物として、ポリマー側鎖に銅錯体部位を有する銅含有ポリマーを用いることができる。銅含有ポリマーは、ポリマー側鎖に銅錯体部位を有するので、銅を起点として、ポリマーの側鎖間に架橋構造が形成されると考えられ、耐熱性に優れた膜が得られると考えられる。なお、ポリマータイプの銅化合物(銅含有ポリマー)は、後述する樹脂とは異なる成分である。
銅錯体部位としては、銅と、銅に対して配位する部位(配位部位)とを有するものが挙げられる。銅に対して配位する部位としては、アニオンまたは非共有電子対で配位する部位が挙げられる。また、銅錯体部位は、銅に対して4座配位または5座配位する部位を有することが好ましい。配位部位の詳細については、上述した低分子タイプの銅化合物で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
銅含有ポリマーは、配位部位を含むポリマー(ポリマー(B1)ともいう)と、銅成分との反応で得られるポリマーや、ポリマー側鎖に反応性部位を有するポリマー(以下ポリマー(B2)ともいう)と、ポリマー(B2)が有する反応性部位と反応可能な官能基を有する銅錯体とを反応させて得られるポリマーが挙げられる。銅含有ポリマーの重量平均分子量は、2000以上が好ましく、2000〜200万がより好ましく、6000〜200,000がさらに好ましい。
(スクアリリウム化合物)
スクアリリウム化合物は、極大吸収波長が650〜850nmの範囲に有する化合物が好ましく、700〜800nmの範囲に有する化合物がより好ましい。スクアリリウム化合物は、下記一般式1で表される化合物が好ましい。
一般式1

一般式1中、環Aおよび環Bは、それぞれ独立に、芳香族環を表し、
AおよびXBはそれぞれ独立に置換基を表し、
AおよびGBはそれぞれ独立に置換基を表し、
kAは0〜nAの整数を表し、kBは0〜nBの整数を表し、
nAは、A環に置換可能な最大の整数を表し、nBは、B環に置換可能な最大の整数を表し、
AとGA、XBとGBは互いに結合して環を形成しても良く、GAおよびGBがそれぞれ複数存在する場合は、互いに結合して環を形成していても良い。
一般式1において、GAおよびGBはそれぞれ独立に置換基を表す。
置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−ORc1、−CORc2、−COORc3、−OCORc4、−NRc5c6、−NHCORc7、−CONRc8c9、−NHCONRc10c11、−NHCOORc12、−SRc13、−SO2c14、−SO2ORc15、−NHSO2c16または−SO2NRc17c18が挙げられる。Rc1〜Rc18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。なお、−COORc3のRc3が水素原子の場合(すなわち、カルボキシル基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、−SO2ORc15のRc15が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましく、1〜8が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキル基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。
アルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましく、2〜8が特に好ましい。アルケニル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アルキニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましく、2〜8が特に好ましい。アルキニル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アリール基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。
アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。アラルキル基の炭素数は、7〜40が好ましく、7〜30がより好ましく、7〜25が更に好ましい。
ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述したGAおよびGBで挙げた置換基が挙げられ、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
一般式1において、XAおよびXBはそれぞれ独立に置換基を表す。置換基は、活性水素を有する基が好ましく、−OH、−SH、−COOH、−SO3H、−NHRx1、−NRx1x2、−NHCORx1、−CONRx1x2、−NHCONRx1x2、−NHCOORx1、−NHSO2x1、−B(OH)2、−PO(OH)3および−NHBRx1x2が好ましく、−OH、−NHCORx1、−NHCONRx1x2、−NHCOORx1、−NHSO2x1および−NHBRx1x2がより好ましく、−NHCORx1、−NHCONRx1x2、−NHCOORx1および−NHSO2x1がさらに好ましく、−NHCORx1および−NHSO2x1が特に好ましい。
x1およびRx2は、それぞれ独立して、置換基を表す。置換基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜8が更に好ましく、1〜5が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。アルキル基およびアリール基は、置換基を有してもよく、無置換であってもよいが、置換基を有していることが好ましい。置換基としては、後述するRZで説明する置換基が挙げられる。例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられ、耐熱性および耐光性の観点からハロゲン原子が好ましく、フッ素原子が更に好ましい。
x1およびRx2は、フッ素原子を有する基が好ましく、フッ素原子を有するアルキル基または、フッ素原子を有するアリール基がより好ましく、フッ素原子を有するアルキル基が更に好ましく、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基が特に好ましい。
一般式1において、環Aおよび環Bは、それぞれ独立に、芳香族環を表す。芳香族環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。芳香族環は、芳香族炭化水素環であってもよく、芳香族複素環であってもよい。芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、および、フェナジン環が挙げられ、ベンゼン環またはナフタレン環が好ましく、ナフタレン環がより好ましい。
芳香族環は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、GAおよびGBで説明した置換基が挙げられる。
一般式1において、XAとGA、XBとGBは互いに結合して環を形成しても良く、GAおよびGBがそれぞれ複数存在する場合は、GA同士、または、GB同士が互いに結合して環を形成していても良い。環としては、5員環または6員環が好ましい。環は単環であってもよく、複環であってもよい。XAとGA、XBとGB、GA同士またはGB同士が結合して環を形成する場合、これらが直接結合して環を形成してもよく、アルキレン基、−CO−、−O−、−NH−、−BR−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を介して結合して環を形成してもよい。XAとGA、XBとGB、GA同士またはGB同士が、−BR−を介して結合して環を形成することが好ましい。Rは、水素原子または置換基を表す。置換基としてはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が挙げられる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、および、ヘテロアリール基の詳細については、GAおよびGBで説明した範囲と同義である。
一般式1において、kAは0〜nAの整数を表し、kBは0〜nBの整数を表し、nAは、A環に置換可能な最大の整数を表し、nBは、B環に置換可能な最大の整数を表す。
kAおよびkBは、それぞれ独立に0〜4が好ましく、0〜2がより好ましく、0〜1が特に好ましい。
一般式1で表される化合物は、下記一般式1−1で表される化合物が好ましい。この化合物は、耐熱性に優れている。
一般式1−1

式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリールまたは、下式(W)で表される基を表し、
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表し、
1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、または、−N(R5)−を表し、
5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
1〜Y4は、それぞれ独立に、置換基を表し、Y1とY2、および、Y3とY4は、互いに結合して環を形成していてもよく、
1〜Y4は、それぞれ複数有する場合は、互いに結合して環を形成していてもよく、
pおよびsは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、
qおよびrは、それぞれ独立に0〜2の整数を表す;
−S1−L1−T1 ・・・(W)
式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表し、
1は、アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基またはトリアルコキシシリル基を表す。
一般式1−1において、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリールまたは、式(W)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも一方は、式(W)で表される基を表すことが好ましい。一般式1−1において、R1とR2は、同一であってもよく、異なる基であってもよい。R1とR2が同じ基であることがより好ましい。なお、本明細書において、アリール基は、芳香族炭化水素基を意味し、ヘテロアリール基は、芳香族複素環基を意味する。
1およびR2が表すアルキル基の炭素数は、1〜40が好ましい。下限は、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が一層好ましく、13以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐のアルキル基の分岐数は、例えば、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
1およびR2が表すアルケニル基の炭素数は、2〜40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルケニル基は直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐のアルケニル基の分岐数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
1およびR2が表すアリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。
1およびR2が表すヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましい。
(式(W)で表される基)
次に、式(W)で表される基について説明する。
式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、ホウ素原子との結合の安定性の観点から、アリーレン基またはヘテロアリーレン基が好ましく、アリーレン基がより好ましい。
アリーレン基は、単環であっても多環であってもよい。単環が好ましい。アリーレン基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。単環が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはセレン原子が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましい。
1が表す、アリーレン基およびヘテロアリーレン基の具体例としては、以下に示す構造が挙げられる。

式中、波線部分は一般式1−1のホウ素原子との結合位置を表し、*は、L1との結合位置を表し、R’は置換基を表し、RNは、水素原子またはアルキル基を表し、mは0以上の整数を表す。
R’が表す置換基としては、上述した一般式1のGAおよびGBで説明した置換基が挙げられる。
Nが表すアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜2が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は、各基の最大置換数である。mは、0が好ましい。
式(W)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表す。
式(W)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−SO2−、−ORL2−または、これらを組み合わせてなる基が好ましく、柔軟性および溶剤溶解性の観点から、アルキレン基、アルケニレン基、−O−、−ORL2−または、これらを組み合わせてなる基がより好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、−O−または−ORL2−がさらに好ましく、アルキレン基、−O−、または−ORL2−が特に好ましい。
1が表すアルキレン基の炭素数は、1〜40が好ましい。下限は、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が一層好ましく、13以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルキレン基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐数は、例えば、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
1が表すアルケニレン基およびアルキニレン基の炭素数は、2〜40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルケニレン基およびアルキニレン基は直鎖、分岐のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
L1は、水素原子またはアルキル基を表し、水素原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜2が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよい。
L2は、アルキレン基を表す。RL2が表すアルキレン基は、L1で説明したアルキレン基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(W)において、T1は、アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基またはトリアルコキシシリル基を表す。
アルキル基、トリアルキルシリル基が有するアルキル基およびトリアルコキシシリル基が有するアルキル基の炭素数は、1〜40が好ましい。下限は、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が一層好ましく、13以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。
アリール基およびヘテロアリール基は、R1およびR2で説明したアリール基およびヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(W)において、S1が単結合で、L1がアルキレン基で、T1がアルキル基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和は、13以上であることが好ましく、溶剤溶解性の観点から21以上が好ましい。上限は、例えば40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
また、S1がアリーレン基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和は、5以上が好ましく、溶剤溶解性の観点から9以上が好ましく、10以上がより好ましい。上限は、例えば40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
式(W)の好ましい態様としては、S1がアリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、L1がアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−SO2−、−ORL2−または、これらを組み合わせてなる基であり、T1がアルキル基またはトリアルキルシリル基である組み合わせが挙げられる。S1は、アリーレン基がより好ましい。L1は、アルキレン基、アルケニレン基、−O−、−ORL2−または、これらを組み合わせてなる基がより好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、−O−または−ORL2−がさらに好ましく、アルキレン基、−O−、または−ORL2−が特に好ましい。T1はアルキル基がより好ましい。
式(W)において、−L1−T1部分は、分岐アルキル構造を含むことが好ましい。具体的には、−L1−T1部分は、分岐のアルキル基または分岐のアルコキシ基であることが特に好ましい。−L1−T1部分の分岐数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。−L1−T1部分の炭素数は、5以上が好ましく、9以上が好ましく、10以上がより好ましい。上限は、例えば40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
式(W)において、−L1−T1部分は、不斉炭素を含むことが好ましい。この態様によれば、一般式1−1で表される化合物が複数の光学異性体を含むことができ、その結果、化合物の溶剤溶解性をさらに向上できる。不斉炭素の数は1個以上が好ましい。不斉炭素の上限は特に限定はないが、例えば4以下が好ましい。
一般式1−1において、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表す。R3とR4は、同一であってもよく、異なる基であってもよい。R3とR4が同じ基であることがより好ましい。
3およびR4が表すアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜2が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式1−1において、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子(−O−)、または、−N(R5)−を表す。X1とX2は同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
5は、水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましい。R5が表すアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した一般式1のGAおよびGBで説明した置換基が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜2が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよい。
アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましい。
1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、または、下記のいずれかで表されることが好ましい。

式中、R5aはアルキル基を表し、R6〜R8は、それぞれ独立に、置換基を表し、aは0〜5の整数を表し、bおよびcはそれぞれ0〜7の整数を表し、*は連結手を表す。
6〜R8が表す、置換基としては、上述した一般式1のGAおよびGBで説明した置換基が挙げられる。
一般式1−1において、Y1〜Y4は、それぞれ独立に、置換基を表す。
置換基としては、上述した一般式1のGAおよびGBで説明した置換基が挙げられる。
一般式1−1において、Y1とY2、および、Y3とY4は、互いに結合して環を形成していてもよい。例えば、Y1とY2とが互いに結合して、Y1及びY2に直結しているナフタレン環と併せて、例えば、アセナフテン環、アセナフチレン環等の3環等となっていてもよい。
1〜Y4は、それぞれ複数有する場合は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。例えば、Y1が複数有する場合、Y1同士が互いに結合し、Y1およびY2に直結しているナフタレン環と併せて、例えば、アントラセン環、フェナントレン環等の3環等となっていてもよい。なお、Y1同士が互いに結合して環構造を形成する場合、Y1以外の置換基であるY2〜Y4は必ずしも複数有する必要はない。また、Y2〜Y4は存在しなくてもよい。Y2同士、Y3同士およびY4同士が結合して環構造を形成する場合も同様である。
pおよびsは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくはそれぞれ0〜1であり、特に好ましくは0である。
qおよびrは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、好ましくはそれぞれ0〜1であり、特に好ましくは0である。
なお、一般式(1)においてカチオンは、以下のように非局在化して存在している。
一般式1で表されるスクアリリウム化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる。また、特開2011−208101号公報の段落番号0044〜0049に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
(ピロロピロール化合物)
ピロロピロール化合物は、極大吸収波長が650〜850nmの範囲に有する化合物が好ましく、700〜800nmの範囲に有する化合物がより好ましい。
ピロロピロール化合物は、下記一般式2で表される化合物が好ましい。
一般式2

一般式2中、R1aおよびR1bは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
2〜R5は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R2とR3、R4とR5は、それぞれ結合して環を形成していてもよく、
6およびR7は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−BRAB、または金属原子を表し、RAおよびRBは、各々独立に、水素原子または置換基を表し、
6は、R1aまたはR3と、共有結合もしくは配位結合していてもよく、R7は、R1bまたはR5と、共有結合もしくは配位結合していてもよい。
一般式2中、R1aおよびR1bは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。
1aおよびR1bが表すアルキル基の炭素数は、1〜40が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜25が特に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。
1aおよびR1bが表すアリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。アリール基は、フェニルが好ましい。
1aおよびR1bが表すヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましく、3〜10が特に好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。
上述したアリール基およびヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。溶媒に対する溶解性を向上できるという観点から置換基を有していることが好ましい。
置換基としては、酸素原子を含んでもよい炭化水素基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、メルカプト基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1〜40が好ましい。下限は、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐のアルキル基の炭素数は、3〜40が好ましい。下限は、例えば、5以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が一層好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。分岐のアルキル基の分岐数は、例えば、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
アルケニル基の炭素数は、2〜40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐のアルケニル基の炭素数は、3〜40が好ましい。下限は、例えば、5以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が一層好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。分岐のアルケニル基の分岐数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。
酸素原子を含む炭化水素基としては、−L−Rx1で表される基が挙げられる。
Lは、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−(ORx2m−または−(Rx2O)m−を表す。Rx1は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。Rx2は、アルキレン基またはアリーレン基を表す。mは2以上の整数を表し、m個のRx2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
Lは、−O−、−(ORx2m−または−(Rx2O)m−が好ましく、−O−がより好ましい。
x1が表すアルキル基、アルケニル基、アリール基は上述したものと同義であり、好ましい範囲も同様である。Rx1は、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
x2が表すアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が更に好ましい。アルキレン基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。Rx2が表すアリーレン基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。Rx2はアルキレン基が好ましい。
mは2以上の整数を表し、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。
置換基は、分岐アルキル構造を有する基が好ましい。この態様によれば、溶剤溶解性がより向上する。また、置換基は、酸素原子を含んでもよい炭化水素基が好ましく、酸素原子を含む炭化水素基がより好ましい。酸素原子を含む炭化水素基は、−O−Rx1で表される基が好ましい。Rx1は、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、分岐のアルキル基が特に好ましい。すなわち、置換基は、アルコキシ基がより好ましく、分岐のアルコキシ基が特に好ましい。置換基が、アルコキシ基であることにより、耐熱性および耐光性にすぐれた赤外線吸収剤とすることができる。そして、分岐のアルコキシ基であることにより、溶剤溶解性が良好である。
アルコキシ基の炭素数は、1〜40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルコキシ基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐のアルコキシ基の炭素数は、3〜40が好ましい。下限は、例えば、5以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が一層好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。分岐のアルコキシ基の分岐数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。
2〜R5は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基などが挙げられる。
2およびR3のいずれか一方と、R4およびR5のいずれか一方は、電子吸引性基であることが好ましい。
Hammettのσp値(シグマパラ値)が正の置換基は、電子吸引性基として作用する。
本発明においては、Hammettのσp値が0.2以上の置換基を電子吸引性基として例示することができる。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。上限は特に制限はないが、好ましくは0.80である。
電子吸引性基の具体例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(−COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(−COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(−COOPh:0.44)、カルバモイル基(−CONH2:0.36)、アルキルカルボニル基(−COMe:0.50)、アリールカルボニル基(−COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(−SO2Me:0.72)、アリールスルホニル基(−SO2Ph:0.68)などが挙げられる。特に好ましくは、シアノ基である。ここで、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。
Hammettのσp値については、例えば、特開2009−263614号公報の段落0024〜0025を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
2およびR3のいずれか一方と、R4およびR5のいずれか一方は、ヘテロアリール基が好ましい。
ヘテロアリール基は、単環、または、縮合環が好ましく、単環、または、縮合数が2〜8の縮合環がより好ましく、単環、または、縮合数が2〜4の縮合環がさらに好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基は、窒素原子を1個以上有することが好ましい。ヘテロアリール基を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がさらに好ましく、3〜10が特に好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基の具体例としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、トリアジル基、キノリル基、キノキサリル基、イソキノリル基、インドレニル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ナフトチアゾリル基、ベンズオキサゾリ基、m−カルバゾリル基、アゼピニル基、およびこれらの基のベンゾ縮環基もしくはナフト縮環基などが挙げられる。
ヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述したR2〜R5が表す置換基が挙げられる。ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。アルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1〜40が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜25が特に好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。
一般式2において、R2とR3、R4とR5は、それぞれ結合して環を形成していてもよい。R2とR3、R4とR5が互いに結合して環を形成する場合は、5〜7員環(好ましくは5または6員環)を形成することが好ましい。形成される環としてはメロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましい。具体例としては、例えば、特開2010−222557号公報の段落番号0026に記載の構造が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
2とR3、R4とR5が互いに結合して形成する環は、好ましくは1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、またはインダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、またはインダノン核である。
6およびR7は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−BRAB、または金属原子を表し、−BRABがより好ましい。
アルキル基の炭素数は、1〜40が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜25が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。アルキル基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したR2〜R5が表す置換基が挙げられる。
アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。アリール基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したR2〜R5が表す置換基が挙げられる。
ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環がより好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましく、3〜5が特に好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したR2〜R5が表す置換基が挙げられる。
金属原子としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、スズ、アルミニウム、亜鉛、スズ、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、イリジウム、白金が好ましく、アルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、白金が特に好ましい。
−BRABで表される基において、RAおよびRBは、各々独立に、置換基を表す。RAおよびRBが表す置換基としては、上述したR2〜R5が表す置換基が挙げられる。ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。アルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1〜40が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜25が特に好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子などが挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。アリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましく、3〜5が特に好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
一般式2において、R6は、R1aまたはR3と、共有結合もしくは配位結合していてもよい。また、R7は、R1bまたはR5と、共有結合もしくは配位結合していてもよい。
一般式2で表されるピロロピロール化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる。また、特開2010−222557号公報の段落番号0049〜0062に記載の化合物D−1〜D−162が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれることとする。以下の式中Phはフェニル基を表す。
(シアニン化合物)
シアニン化合物は、極大吸収波長が650〜850nmの範囲に有する化合物が好ましく、700〜800nmの範囲に有する化合物がより好ましい。シアニン化合物は、下記一般式3で表される化合物が好ましい。
一般式3

一般式3中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり、
101およびR102は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、
1は、奇数個のメチン基を有するメチン鎖を表し、
aおよびbは、それぞれ独立に、0または1であり、
aが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが二重結合で結合し、bが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが単結合で結合し、
式中のCyで表される部位がカチオン部である場合、X1はアニオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X1はカチオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、cは0である。
一般式3において、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群を表す。含窒素複素環には、他の複素環、芳香族環または脂肪族環が縮合してもよい。含窒素複素環は、5員環が好ましい。5員の含窒素複素環に、ベンゼン環又はナフタレン環が縮合している構造がさらに好ましい。含窒素複素環の具体例としては、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環、キノキサリン環等が挙げられ、キノリン環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環が好ましく、インドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環が特に好ましい。含窒素複素環及びそれに縮合している環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、一般式1のGAおよびGBで説明した置換基が挙げられる。
一般式3において、R101およびR102は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。
アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましく、1〜8が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましく、2〜8が特に好ましい。アルケニル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アルキニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましく、2〜8が特に好ましい。アルキニル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アリール基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。アリール基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。
アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。アラルキル基の炭素数は、7〜40が好ましく、7〜30がより好ましく、7〜25が更に好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基およびアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられ、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、スルホ基が特に好ましい。カルボキシル基およびスルホ基は、水素原子が解離していてもよく、塩の状態であってもよい。
式3において、L1は、奇数個のメチン基を有するメチン鎖を表す。L1は、3、5または7のメチン基を有するメチン鎖が好ましい。
メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチン基は、中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。置換基の具体例としては、Z1およびZ2の含窒素複素環が有してもよい置換基、および、下式(a)で表される基が挙げられる。また、メチン鎖の二つの置換基が結合して5または6員環を形成しても良い。

式(a)中、*は、メチン鎖との連結部を表し、A1は、酸素原子または硫黄原子を表す。
一般式3において、aおよびbは、それぞれ独立に、0または1である。aが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが二重結合で結合し、bが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが単結合で結合する。aおよびbはともに0であることが好ましい。なお、aおよびbがともに0の場合は、一般式3は以下のように表される。
一般式3において、式中のCyで表される部位がカチオン部である場合、X1はアニオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表す。アニオンの例としては、ハライドイオン(Cl-、Br-、I-)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF6 -、BF4 -またはClO4 -、トリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオン(例えば、(CF3SO23-)、ジ(ハロゲノアルキルスルホニル)イミドアニオン(例えば(CF3SO22-)、テトラシアノボレートアニオンなどが挙げられる。
一般式3において、式中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X1はカチオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表す。カチオンとしては、アルカリ金属イオン(Li+、Na+、K+など)、アルカリ土類金属イオン(Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+など)、遷移金属イオン(Ag+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+など)、その他の金属イオン(Al3+など)、アンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、グアニジニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、ジアザビシクロウンデセニウムなどが挙げられる。カチオンとしては、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Zn2+、ジアザビシクロウンデセニウムが好ましい。
一般式3において、式中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、X1は存在しない。すなわち、cは0である。
一般式3で表される化合物は、下記(3−1)または(3−2)で表される化合物であることも好ましい。この化合物は、耐熱性に優れている。

式(3−1)および(3−2)中、R1A、R2A、R1BおよびR2Bは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、
1AおよびL1Bは、それぞれ独立に奇数個のメチン基を有するメチン鎖を表し、
1およびY2は、各々独立に−S−、−O−、−NRX1−または−CRX2X3−を表し、
X1、RX2およびRX3は、各々独立に水素原子またはアルキル基を表し、
1A、V2A、V1BおよびV2Bは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−ORc1、−CORc2、−COORc3、−OCORc4、−NRc5c6、−NHCORc7、−CONRc8c9、−NHCONRc10c11、−NHCOORc12、−SRc13、−SO2c14、−SO2ORc15、−NHSO2c16または−SO2NRc17c18を表し、V1A、V2A、V1BおよびV2Bは、縮合環を形成していてもよく、
c1〜Rc18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
−COORc3のRc3が水素原子の場合および−SO2ORc15のRc15が水素原子の場合は、水素原子が解離しても、塩の状態であってもよく、
m1およびm2は、それぞれ独立に0〜4を表し、
式中のCyで表される部位がカチオン部である場合、X1はアニオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X1はカチオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、X1は存在しない。
1A、R2A、R1BおよびR2Bが表す基は、一般式3のR101およびR102で説明したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基およびアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。これらの基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられ、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、スルホ基が特に好ましい。カルボキシル基およびスルホ基は、水素原子が解離していてもよく、塩の状態であってもよい。R1A、R2A、R1BおよびR2Bがアルキル基を表す場合は、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。
1およびY2は、各々独立に−S−、−O−、−NRX1−または−CRX2X3−を表し、−NRX1−が好ましい。RX1、RX2およびRX3は、各々独立に水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。アルキル基は、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
1AおよびL1Bは、一般式3のL1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
1A、V2A、V1BおよびV2Bが表す基は、一般式1のGAおよびGBで説明した範囲と同義であり、好ましい範囲も同様である。
m1およびm2は、それぞれ独立に0〜4を表し、0〜2が好ましい。
1が表すアニオンおよびカチオンは、一般式3のX1で説明した範囲と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式3で表される化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる。また、特開2009−108267号公報の段落番号0044〜0045に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれることとする。なお、以下の表中、Etはエチル基を表す。
一般式3で表される化合物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、およびデー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トッピクス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Specialtopics in heterocyclic chmistry)」、第18章、第14節、482〜515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977年刊、第15章、369〜422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、特開平6−313939号公報および特開平5−88293号公報等を参考にして容易に合成できる。
(フタロシアニン化合物)
フタロシアニン化合物は、極大吸収波長が650〜850nmの範囲に有する化合物が好ましく、700〜800nmの範囲に有する化合物がより好ましい。フタロシアニン化合物は、下記式(PC)で表される化合物が好ましい。
一般式(PC)において、X1〜X16は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、M1は、Cu又はV=Oを表す。
1〜X16が表す置換基は、上述した置換基Tで説明した基が挙げられ、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルチオ基、フェニルチオ基、アルキルアミノ基、アニリノ基が好ましい。
1〜X16のうち、置換基の数は、0〜16が好ましく、0〜4がより好ましく、0〜1がさらに好ましく、0が特に好ましい。また、M1は、Ti=Oが好ましい。
一般式(PC)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物や、特開2006−343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニンなどが挙げられる。
(ナフタロシアニン化合物)
ナフタロシアニン化合物は、極大吸収波長が650〜850nmの範囲に有する化合物が好ましく、700〜800nmの範囲に有する化合物がより好ましい。ナフタロシアニン化合物は、下記式(NPC)で表される化合物が好ましい。

一般式(NPC)において、X1〜X24は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、M1は、Cu又はV=Oを表す。X1〜X24が表す置換基は、上述した置換基T群で説明した基が挙げられ、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルチオ基、フェニルチオ基、アルキルアミノ基、アニリノ基が好ましい。M1は、V=Oが好ましい。
一般式(NPC)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられる。
赤外線吸収層における赤外線吸収剤の含有量は、赤外線吸収層の質量に対して、1〜80質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましい。
赤外線吸収層が、赤外線吸収剤として銅化合物を含む層である場合、銅化合物の含有量は、赤外線吸収層の質量に対して、30〜70質量%が好ましい。上限は、赤外線吸収層の質量に対して60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましい。下限は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましい。
赤外線吸収層が、赤外線吸収剤として、銅化合物以外の有機色素(好ましくは、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種)を含む層である場合、有機色素の含有量は、赤外線吸収層の質量に対して、5〜30質量%が好ましい。上限は、赤外線吸収層の質量に対して20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
赤外線吸収層は、樹脂を含むことが好ましい。樹脂としては、上述した樹脂層で説明した樹脂が挙げられる。樹脂の含有量は、赤外線吸収層の質量に対して10〜90質量%が好ましい。下限は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。樹脂の含有量が上記範囲であれば、赤外線の吸収性(赤外線遮蔽性)が良好で、赤外線吸収剤の隣接する層への溶出などを抑制できるという効果が期待できる。
赤外線吸収層が樹脂を含む場合、赤外線吸収層が含む樹脂の溶解度パラメータ(SP値)と、樹脂層が含む樹脂の溶解度パラメータ(SP値)との差の絶対値は、0.5〜5.0(MPa)1/2であることが好ましい。下限は、0.5(MPa)1/2以上が好ましく、1.0(MPa)1/2以上がより好ましい。上限は、4.0(MPa)1/2以下が好ましく、3.0(MPa)1/2以下がより好ましい。上記の値が上述した範囲であれば、赤外線吸収層に含まれる赤外線吸収剤が、樹脂層側に移行し難く、ヘイズをより小さくできる。更には、樹脂層と赤外線吸収層との密着性を良好にできる。
なお、赤外線吸収層が、2種類の樹脂(例えば、樹脂A1と樹脂A2)を含む場合、赤外線吸収層が含む樹脂のSP値は、以下の方法で算出した値とする。
赤外線吸収層が含む樹脂のSP値={(樹脂A1のSP値×赤外線吸収層が含む樹脂中における樹脂A1の含有量(質量%))+(樹脂A2のSP値×赤外線吸収層が含む樹脂中における樹脂A2の含有量(質量%))}/100
赤外線吸収層が、3種類以上の樹脂を含む場合も、上記と同様の方法で算出した値を、赤外線吸収層が含む樹脂のSP値とする。
樹脂層が、2種類以上の樹脂を含む場合も、上記と同様の方法で算出した値を、樹脂層が含む樹脂のSP値とする。
赤外線吸収層の膜厚は、0.1μm〜1.0mmが好ましい。
赤外線吸収層が、赤外線吸収剤として銅化合物を含む層である場合、赤外線吸収層の膜厚は、0.05〜1.0mmが好ましい。下限は、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上が更に好ましい。上限は、0.3mm以下が好ましく、0.2mm以下が更に好ましい。
また、赤外線吸収層が、赤外線吸収剤として銅化合物以外の有機色素(好ましくは、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種)を含む層である場合、赤外線吸収層の膜厚は、0.1〜500μmが好ましい。上限は、300μm以下がより好ましく、250μm以下がさらに好ましく、200μm以下が特に好ましい。下限は、0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
赤外線吸収層は、赤外線吸収剤を含む赤外線吸収組成物を用いて形成できる。例えば、赤外線吸収組成物を、塗布等の方法で、支持体や樹脂層20上に適用して形成できる。樹脂組成物の適用方法としては、滴下法(ドロップキャスト)、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、アプリケータ塗布等の方法が挙げられる。以下、赤外線吸収組成物について説明する。
<<<赤外線吸収組成物>>>
(赤外線吸収剤)
赤外線吸収剤は、赤外線吸収層で説明したものが挙げられる。赤外線吸収組成物中における赤外線吸収剤の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対し、1〜80質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましい。赤外線吸収剤の含有量が上記範囲であれば、赤外線遮蔽性に優れた膜を形成しやすい。
(無機微粒子)
赤外線吸収組成物は、無機微粒子を含有することができる。無機微粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
無機微粒子は、主に、赤外線を遮光(吸収)する役割を果たす粒子である。無機微粒子は、赤外線遮蔽性がより優れる点で、金属酸化物微粒子または金属微粒子が好ましい。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、Alドープ酸化亜鉛(AlドープZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO2)粒子、ニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO2)粒子などが挙げられる。
金属微粒子としては、例えば、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、ニッケル(Ni)粒子など挙げられる。なお、赤外線遮蔽性とフォトリソ性とを両立するためには、露光波長(365−405nm)の透過率が高い方が望ましく、酸化インジウムスズ(ITO)粒子または酸化アンチモンスズ(ATO)粒子が好ましい。
無機微粒子の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状、チューブ状であってもよい。
また、無機微粒子としては酸化タングステン系化合物が使用できる、具体的には、下記一般式(組成式)(I)で表される酸化タングステン系化合物であることがより好ましい。
xyz・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
Mが表す金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Biが挙げられ、アルカリ金属が好ましく、RbまたはCsがより好ましく、Csが特に好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でも良い。
x/yが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができ、1.1以下であることにより、酸化タングステン系化合物中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
上記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができ、Cs0.33WO3又はRb0.33WO3であることが好ましく、Cs0.33WO3であることが更に好ましい。
酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02などのタングステン微粒子の分散物として入手可能である。
無機微粒子の平均粒子径は、800nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。無機微粒子の平均粒子径がこのような範囲であることによって、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光散乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、無機微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
無機微粒子の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
(樹脂)
赤外線吸収組成物は、樹脂を含有することができる。樹脂としては、上述した樹脂層で説明した樹脂が挙げられる。樹脂は、上述した架橋性基を有する樹脂を用いてもよく、架橋性基を有さない樹脂を用いてもよい。架橋性基を有する樹脂を用いることで、後述する架橋性化合物を使用しなくても、耐熱性および耐溶剤性に優れた赤外線吸収層を形成できる。樹脂は1種類のみであってもよく、2種類以上を併用することもできる。2種類以上の樹脂を併用する場合、架橋性基を有さない樹脂を2種類以上併用してもよい。また、架橋性基を有する樹脂を2種類以上併用してもよい。また、架橋性基を有さない樹脂を1種類以上と、架橋性基を有する樹脂を1種類以上とを併用してもよい。なお、本発明において、架橋性基を有する樹脂は、後述する架橋性化合物にも該当する成分である。すなわち、本発明において、架橋性基を有する樹脂は、樹脂にも該当し、後述する架橋性化合物にも該当することとする。
樹脂(すなわち、架橋性基を有する樹脂と、架橋性基を有さない樹脂との合計)の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対し、1〜80質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましい。樹脂は、架橋性基を有する樹脂のみで構成されていてもよい。また、架橋性基を有さない樹脂のみで構成されていてもよい。また、架橋性基を有する樹脂と、架橋性基を有さない樹脂とを併用することもできる。
架橋性基を有さない樹脂の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対し、1〜80質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましい。
架橋性基を有する樹脂の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対し、1〜80質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましい。
架橋性基を有する樹脂と、架橋性基を有さない樹脂とを併用する場合、架橋性基を有する樹脂は、樹脂の全質量中に、30〜99質量%含有することが好ましい。下限は、50質量%以上とすることもでき、40質量%以上とすることもできる。上限は、90質量%以下とすることもでき、70質量%以下とすることもできる。
樹脂は、架橋性基を有する樹脂を少なくとも含むことが好ましく、実質的に架橋性基を有する樹脂のみで構成されていることがより好ましい。なお、本発明において、樹脂が実質的に架橋性基を有する樹脂のみで構成されている場合とは、架橋性基を有する樹脂が、樹脂の全質量中に、99質量%以上含有することが好ましく、99.9質量%以上含有することがより好ましく、架橋性基を有する樹脂のみで構成されていることが一層好ましい。
樹脂は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(架橋性基を有する化合物(架橋性化合物))
赤外線吸収組成物は、架橋性基を有する化合物を含有することができる。赤外線吸収組成物が、架橋性化合物を含有することにより、耐熱性および耐溶剤性に優れた赤外線吸収層を形成できる。架橋性化合物としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。例えば、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物、環状エーテル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、後述するM−Xで表される部分構造を有する化合物等が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。環状エーテル基としては、エポキシ基やオキセタニル基が挙げられ、エポキシ基が好ましい。
架橋性化合物は、モノマー、ポリマーのいずれの形態であってもよい。ポリマータイプの架橋性化合物は、例えば、上述した樹脂で説明したエポキシ樹脂や、架橋性基を有する構成単位を含む樹脂などが挙げられる。モノマータイプの架橋性化合物の分子量は、2000未満が好ましく、100以上2000未満がより好ましく、200以上2000未満がさらに好ましい。上限は、例えば1500以下が好ましい。ポリマータイプの架橋性化合物の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。下限は、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。また、環状エーテル基を有する化合物の場合、重量平均分子量(Mw)は、100以上が好ましく、200〜2,000,000がより好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。
[エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物]
エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物の例としては、特開2013−253224号公報の段落0033〜0034の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。具体例としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはNKエステルATM−35E;新中村化学社製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製、A−DPH−12E;新中村化学工業社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。また、特開2013−253224号公報の段落0034〜0038の重合性化合物の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、特開2012−208494号公報段落0477(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の<0585>)に記載の重合性モノマー等が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としては M−460;東亜合成製)が好ましい。ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製、A−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD HDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。例えば、RP−1040(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物としては、さらに、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。酸基を有する化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが挙げられる。脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に、非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM−305、M−510、M−520などが挙げられる。酸基を有する化合物の酸価は、0.1〜40mgKOH/gが好ましい。下限は、5mgKOH/g以上が好ましい。上限は、30mgKOH/g以下が好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物も好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する化合物としては、特開2013−253224号公報の段落0042〜0045の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
本発明において、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物は、また、上述した樹脂で説明したエチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。
[環状エーテル基を有する化合物]
環状エーテル基を有する化合物としては、単官能または多官能グリシジルエーテル化合物や、多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物などが挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基としてグリシジル基を有する化合物や、脂環式エポキシ基を有する化合物を用いることもできる。このようなものとしては例えば特開2009−265518号公報段落0045等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、上述した樹脂で説明したエポキシ樹脂なども挙げられる。
[M−Xで表される部分構造を有する化合物]
本発明では、架橋性化合物として、M−Xで表される部分構造を有する化合物を用いることもできる。特に、赤外線吸収剤として銅化合物を用いる場合、架橋性化合物としてM−Xで表される部分構造を有する化合物を用いることが好ましい。この態様によれば、耐熱性、耐溶剤性に優れた近赤外線カットフィルタを製造しやすい。
M−Xで表される部分構造を有する化合物において、Mは、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される原子であり、Si、Ti、Zrが好ましく、Siがより好ましい。
M−Xで表される部分構造を有する化合物において、Xは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)から選択される1種であり、アルコキシ基、アシルオキシ基およびオキシム基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。なお、Xが、O=C(Ra)(Rb)である場合、カルボニル基(−CO−)の酸素原子の非共有電子対でMと結合する。RaおよびRbは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。
M−Xで表される部分構造は、MがSiで、Xがアルコキシ基である組み合わせが好ましい。この組み合わせによれば、適度な反応性を有しているので、組成物の保存安定性を良好にできる。更にはより耐熱性に優れた近赤外線カットフィルタを製造しやすい。
Xが表すアルコキシ基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が特に好ましい。アルコキシ基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルコキシ基は、無置換であってもよく、置換基を有してもよいが、無置換が好ましい。置換基としては、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、イソアネート基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
Xが表すアシルオキシ基としては、例えば、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基等が挙げられる。例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基などが挙げられる。置換基としては上述したものが挙げられる。
Xが表すオキシム基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。例えば、エチルメチルケトオキシム基などが挙げられる。
Xが表すアミノ基としては、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基等が挙げられる。例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ等が挙げられる。置換基としては上述したものが挙げられる。
aおよびRbが表す1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、−R101−COR102で表される基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキル基は、無置換であってもよく、上述した置換基を有していてもよい。アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。アリール基は、無置換であってもよく、上述した置換基を有していてもよい。−R101−COR102で表される基において、R101は、アリーレン基を表し、R102はアルキル基またはアリール基を表す。R101が表すアリーレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。アリーレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基は、無置換であってもよく、上述した置換基を有していてもよい。R102が表すアルキル基およびアリール基は、Ra、Rbで説明したものが挙げられ、好まし範囲も同様である。
M−Xで表される部分構造を有する化合物は、低分子化合物、ポリマーのいずれの形態であってもよいが、より耐熱性に優れた膜を形成しやすいという理由からポリマーが好ましい。M−Xで表される部分構造を有する化合物のうち、低分子化合物の分子量は、100〜1000であることが好ましい。上限は、800以下が好ましく、700以下がより好ましい。なお、分子量は、構造式から求めた理論値である。M−Xで表される部分構造を有する化合物のうち、ポリマータイプの化合物の重量平均分子量は、500〜300000であることが好ましい。下限は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。上限は、250000以下が好ましく、200000以下がより好ましい。
M−Xで表される部分構造を有する化合物のうち、低分子化合物としては、例えば、下記(MX1)で表される化合物が挙げられる。
M−(X1m ・・・(MX1)
Mは、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される原子を表し、X1は置換基または配位子を表し、m個のX1のうち、少なくとも1つが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)から選択される1種であり、X1同士は、それぞれ結合して環を形成していてもよく、mは、MのX1との結合手の数を表す。RaおよびRbは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。なお、X1が、O=C(Ra)(Rb)である場合、カルボニル基(−CO−)の酸素原子の非共有電子対でMと結合する。
Mは、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される原子であり、Si、Ti、Zrが好ましく、Siがより好ましい。X1は置換基または配位子を表し、m個のX1のうち、少なくとも1つが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)から選択される1種であり、m個のX1のうち、少なくとも1つが、アルコキシ基、アシルオキシ基およびオキシム基から選択される1種であることが好ましく、m個のX1のうち、少なくとも1つがアルコキシ基であることが更に好ましく、X1の全てが、アルコキシ基であることがより好ましい。
置換基および配位子のうち、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)は、上述したものと同義であり、好ましい範囲も同様である。
ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基以外の置換基としては、炭化水素基が好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、イソアネート基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。分岐状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜12がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アルケニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。
アリール基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
MがSiで表される化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
市販品としては、信越シリコーン社製の KBM−13、KBM−22、KBM−103、KBE−13、KBE−22、KBE−103、KBM−3033、KBE−3033、KBM−3063、KBE−3063、KBE−3083、KBM−3103、KBM−3066、KBM−7103、SZ−31、KPN−3504、KBM−1003、KBE−1003、KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−602、KBM−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−573、KBM−575、KBM−9659、KBE−585、KBM−802、KBM−803、KBE−846、KBE−9007などが挙げられる。
MがTiで表される化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、リン酸チタン化合物、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、ターシャリーアミルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート、チタン−1,3−プロパンジオキシビス(エチルアセトアセテート)、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、チタンイソステアレート、チタンジエタノールアミネート、チタンアミノエチルアミノエタノレートなどが挙げられる。市販品としては、マツモトファインケミカル社製のオルガチックスシリーズ(例えば、TA−10、TA−21、TA−23、TA−30、TC−100、TC−401、TC−710、TC−1040、TC−201、TC−750、TC−300、TC−310、TC−315、TC−400、TA−60、TA−80、TA−90、TC−120、TC−220、TC−730、TC−810、TC−800、TC−500、TC−510など)、味の素ファインテクノ社製のプレンアクトシリーズ(例えば、TTS、46B、55、41B、38S、138S、238S、338X、44、9SA、ETなど)が挙げられる。
MがZrで表される化合物としては、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。市販品としては、マツモトファインケミカル社製のオルガチックスシリーズ(例えば、ZA−45、ZA−65、ZC−150、ZC−540、ZC−700、ZC−580、ZC−200、ZC−320、ZC−126、ZC−300など)が挙げられる。
MがAlで表される化合物としては、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。市販品としては、味の素ファインテクノ社製のプレンアクト AL−Mなどが挙げられる。
M−Xで表される部分構造を有する化合物のうち、ポリマータイプの化合物としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、スチレン樹脂、ポリシロキサンなどが挙げられる。なかでも、皮膜性の向上・塗布液粘度調整の容易性という理由からアクリル樹脂、アクリルアミド樹脂またはスチレン樹脂が好ましい。
ポリマータイプの化合物の具体例としては、例えば、下記(MX2−1)で表される構成単位、下記(MX2−2)で表される繰り返し単位および下記(MX2−3)で表される構成単位から選ばれる1種を有するポリマーなどが挙げられる。
Mは、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される原子を表し、X2は置換基または配位子を表し、n個のX2のうち、少なくとも1つが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)から選択される1種であり、X2同士は、それぞれ結合して環を形成していてもよく、R1は、水素原子またはアルキル基を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、nは、MのX2との結合手の数を表す。RaおよびRbは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。なお、X2が、O=C(Ra)(Rb)である場合、カルボニル基(−CO−)の酸素原子の非共有電子対でMと結合する。
M、X2は、式(MX1)のMおよびX1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
1は、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれも好ましいく、直鎖がより好ましい。アルキル基は、水素原子の一部または全部がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい。
1は単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられ、アルキレン基、アリーレン基およびアルキレン基の少なくとも1つと−O−との組み合わせからなる基が好ましい。
アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜15より好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキレン基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。
アリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
上記ポリマータイプの化合物は、式(MX2−1)、(MX2−2)、(MX2−3)で表される構成単位の他に、他の構成単位を含有していてもよい。他の構成単位を構成する成分としては、特開2010−106268号公報の段落番号0068〜0075(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の<0112>〜<0118>)に開示の共重合成分の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、上述した樹脂で説明した(A3−1)〜(A3−6)で表される構成単位を有することもできる。
上記ポリマータイプの化合物が、他の構成単位(好ましくは式((A3−1)〜(A3−6)で表される構成単位)を含む場合、式(MX2−1)〜(MX2−3)で表される構成単位の合計と、他の構成単位の合計とのモル比は、95:5〜20:80であることが好ましく、90:10〜40:60であることがより好ましい。式(MX2−1)〜(MX2−3)で表される構成単位の含有率を、上記範囲内で高めることで耐湿性および耐溶剤性がより向上する傾向にある。また、式(MX2−1)〜(MX2−3)で表される構成単位の含有率を上記範囲内で低くすることで、耐熱性がより向上する傾向にある。
架橋性化合物(架橋性基を有する樹脂(ポリマータイプの架橋性化合物)を含む)の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対して、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下がさらに好ましい。
架橋性化合物は、モノマータイプの化合物のみで構成されていてもよい。また、架橋性基を有する樹脂(ポリマータイプの架橋性化合物)のみで構成されていてもよい。また、モノマータイプの化合物と架橋性基を有する樹脂(ポリマータイプの架橋性化合物)とを併用することもできる。モノマータイプの化合物と架橋性基を有する樹脂(ポリマータイプの架橋性化合物)とを併用する場合、架橋性基を有する樹脂(ポリマータイプの架橋性化合物)は、架橋性化合物の全質量中に、30〜90質量%含有することが好ましい。下限は、50質量%以上とすることもでき、40質量%以上とすることもできる。上限は、70質量%以下とすることもでき、50質量%以下とすることもできる。
樹脂と架橋性化合物との合計含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対し、15〜99質量%が好ましい。下限は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。上限は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
架橋性化合物は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(ゼラチン)
赤外線吸収組成物は、ゼラチンを含有することが好ましい。ゼラチンを含有することにより、耐熱性に優れた赤外線吸収層を形成しやすい。詳細なメカニズムは不明であるが、赤外線吸収剤とゼラチンとで会合体を形成しやすいためであると推測する。特に、赤外線吸収剤としてシアニン化合物を用いた場合、耐熱性に優れた赤外線吸収層を形成しやすい。
本発明において、ゼラチンとしては、その合成方法によって、酸処理ゼラチンおよびアルカリ処理ゼラチン(石灰処理など)があり、いずれも好ましく用いることができる。ゼラチンの分子量は、10,000〜1,000,000であることが好ましい。また、ゼラチンのアミノ基やカルボキシル基を利用して変性処理した変性ゼラチンも用いることができる(例えば、フタル化ゼラチンなど)。ゼラチンとしては、イナートゼラチン(例えば、新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば、新田ゼラチン801)などを用いることができる。
赤外線吸収層の耐水性及び機械的強度を高めるため、種々の化合物を用いてゼラチンを硬化させる事が好ましい。硬化剤は従来公知のものを使用することができ、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物類、米国特許第3,288.775号その他に記載されている反応性のハロゲンを有する化合物類、米国特許第3,642.486号、特公昭49−13563号その他に記載されている反応性のエチレン不飽和結合を有する化合物類、米国特許第3,017,280号等に記載されているアジリジン系化合物類、米国特許第3,091,537号等に記載されているエホ士シ系化合物類、ムコクロル酸のようなハロゲンカルボキシルアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等ジオキサン類、あるいは又無機硬膜剤としてクロム明ばん、硫酸ジルコニウム等が挙げられる。具体例としては、1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノールが挙げられる。
ゼラチンの含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対し、1〜99質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。上限は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
(光重合開始剤)
赤外線吸収組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対し、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。光重合開始剤は、1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
光重合開始剤としては、光により硬化性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
光重合開始剤としては、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、例えば、アシルホスフィン化合物、アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物、チオール化合物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、特開2013−253224号公報の段落0217〜0228の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
オキシム化合物としては、市販品であるIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司社製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)等を用いることができる。
アセトフェノン系化合物としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、および、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。またアシルホスフィン化合物としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
本発明は、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報記載の化合物、特表2014−500852号公報記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報記載の化合物(C−3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
また、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることも可能である。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物や、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)が挙げられる。
(熱安定性付与剤)
赤外線吸収組成物は、熱安定性付与剤としてオキシム化合物を含有することもできる。特に、赤外線吸収剤として、銅化合物を用いた場合、オキシム化合物などの熱安定性付与剤を配合することで、赤外線吸収層の耐熱性をより向上できる。オキシム化合物としては、市販品であるIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司社製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)等を用いることができる。また、上述したフッ素原子を有するオキシム化合物や、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることもできる。
熱安定性付与剤の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(触媒)
赤外線吸収組成物は、触媒を含有することが好ましい。触媒を含有することで、耐溶剤性や耐熱性に優れた近赤外線カットフィルタが得られ易い。触媒としては、有機金属系触媒、酸系触媒、アミン系触媒が挙げられ、有機金属系触媒が好ましい。有機金属系触媒としては、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)などが挙げられる。
触媒の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜5質量%が好ましい。下限は、0.05質量%以上が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
(界面活性剤)
赤外線吸収組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.0001〜5質量%が好ましい。下限は、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。上限は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。赤外線吸収組成物は、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善される。このため、組成物の液特性(特に、流動性)が向上し、塗布厚の均一性や省液性がより改善する。その結果、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成を行える。
フッ素系界面活性剤のフッ素含有率は、3〜40質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下が更に好ましい。フッ素含有率が上述した範囲内である場合は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落0060〜0064(対応する国際公開WO2014/17669号パンフレットの段落0060〜0064)等に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F−171、同F−172、同F−173、同F−176、同F−177、同F−141、同F−142、同F−143、同F−144、同R30、同F−437、同F−475、同F−479、同F−482、同F−554、同F−780(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としてブロックポリマーを用いることもでき、具体例としては、例えば特開2011−89090号公報に記載されたが化合物が挙げられる。また、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。

上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。
また、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体をフッ素系界面活性剤として用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報0050〜0090段落および0289〜0295段落に記載された化合物、例えばDIC社製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、RS−72−K等が挙げられる。なお、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体は、界面活性剤に該当し、上述した架橋性基を有する樹脂および架橋性化合物とは異なる成分である。
フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0553(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の<0679>)等に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0554(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の<0680>)に記載のカチオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、特開2012−208494号公報段落0556(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の<0682>)等に記載のシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
(重合禁止剤)
赤外線吸収組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられ、p−メトキシフェノールが好ましい。重合禁止剤の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜5質量%が好ましい。
(紫外線吸収剤)
赤外線吸収組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤は、公知の化合物を用いることができる。市販品としては、例えば、UV503(大東化学株式会社)などが挙げられる。紫外線吸収剤の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。
(溶剤)
赤外線吸収組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤としては、水、有機溶剤を用いることができる。また、水と有機溶剤とを併用することもできる。有機溶剤の詳細については、上述した樹脂組成物で説明したものが挙げられる。
溶剤の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分が5〜80質量%となる量が好ましく、10〜60質量%となる量がより好ましい。
(酸化防止剤)
赤外線吸収組成物は、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。分子量500以上のフェノール化合物、分子量500以上の亜リン酸エステル化合物又は分子量500以上のチオエーテル化合物がより好ましい。これらは2種以上を混合して使用してもよい。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。特に、フェノール性水酸基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1〜22の置換又は無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基がより好ましい。また、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物(酸化防止剤)も好ましい。
また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、および亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
これらは、市販品として容易に入手可能であり、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−330((株)ADEKA)などが挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(他の成分)
赤外線吸収組成物は、例えば、分散剤、増感剤、硬化促進剤、フィラー、可塑剤、密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)をさらに含有することができる。これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜0228(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]〜<0309>)、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104、段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<赤外線吸収組成物の調製方法>
赤外線吸収組成物は、上記各成分を混合して調製できる。赤外線吸収組成物の調製方法の詳細については、上述した樹脂組成物の調製方法で説明した方法が挙げられる。
赤外線吸収組成物の粘度は、例えば、塗布により赤外線吸収層を形成する場合、1〜3000mPa・sの範囲にあることが好ましい。下限は、10mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上がより好ましい。上限は、2000mPa・s以下が好ましく、1500mPa・s以下がより好ましい。なお、粘度の値は25℃での値である。
<近赤外線カットフィルタの製造方法>
次に、本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法について説明する。本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法は、赤外線吸収剤Aを含む赤外線吸収組成物Aを用いて、支持体上に、第1の赤外線吸収層を形成する工程と、樹脂Bを含む樹脂組成物Bを用いて、第1の赤外線吸収層上に樹脂層を形成する工程と、赤外線吸収剤Cを含む赤外線吸収組成物Cを用いて、樹脂層上に、第2の赤外線吸収層を形成する工程と、を含む。
支持体としては、特に限定はない。少なくとも可視波長域の光を透過できる材質で構成されたものが挙げられる。例えば、ガラス、結晶、樹脂などが挙げられる。ガラスとしては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどが挙げられる。結晶としては、例えば、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイヤ等が挙げられる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
また、支持体として基板(例えば、シリコン基板)上にCCDやCMOS等の固体撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基板を用いることができる。
各組成物の適用方法としては、滴下法(ドロップキャスト)、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、アプリケータ塗布、インクジェット法等の方法により実施できる。
各層は、各組成物を適用後、プリベーク(前加熱)を行ってもよい。加熱温度は、80℃〜200℃が好ましく、90℃〜150℃がより好ましい。加熱時間は、30〜240秒が好ましく、60〜180秒がより好ましい。
各層の形成方法において、各組成物の適用後、硬化処理を行ってもよい。硬化処理はプリベークを行った後に行ってもよく、プリベークを行わずに硬化処理を行ってもよい。
硬化処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。露光方式としては、ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。露光量は5〜3000mJ/cm2が好ましく、10〜2000mJ/cm2がより好ましく、50〜1000mJ/cm2が特に好ましい。全面露光処理の方法としては、例えば、形成された上記膜の全面を露光する方法が挙げられる。全面露光により、膜中の架橋成分の硬化が促進され、上記膜の硬化が更に進行し、赤外線吸収層の耐溶剤性や耐熱性が向上する。上記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などの紫外線露光機が好適に挙げられる。また、全面加熱処理の方法としては、形成された上記膜の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、赤外線吸収層の耐溶剤性や耐熱性が向上する。
全面加熱における加熱温度は、120℃〜250℃が好ましく、160℃〜220℃がより好ましい。加熱温度が120℃以上であれば、加熱処理によって膜強度が向上し、250℃以下であれば、膜成分の分解を抑制できる。全面加熱における加熱時間は、3分〜180分が好ましく、5分〜120分がより好ましい。全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、赤外線(IR)ヒーターなどが挙げられる。
各層の形成方法において、硬化処理を行った後、さらに、ポストベーク(後加熱)を行ってもよい。後加熱は、硬化処理後の膜の硬化を完全なものとするための加熱処理である。加熱温度は、100〜240℃が好ましい。膜硬化の観点から、200〜230℃がより好ましい。加熱時間は、30〜1000秒が好ましく、60〜500秒がより好ましい。
本発明において、赤外線吸収組成物Aおよび樹脂組成物Bとして以下の条件(1)を満たす組み合わせを用いることが好ましい。
(1):赤外線吸収組成物Aが、赤外線吸収剤Aと樹脂Aとを含み、赤外線吸収組成物Aが含む樹脂Aの溶解度パラメータ(SP値)と、樹脂組成物Bが含む樹脂Bの溶解度パラメータ(SP値)との差の絶対値が0.5〜5.0(MPa)1/2(好ましくは、1.0〜4.0(MPa)1/2、更に好ましくは、1.0〜3.0(MPa)1/2)である。
本発明において、赤外線吸収組成物Cおよび樹脂組成物Bとして以下の条件(2)を満たす組み合わせを用いることが好ましい。
(2):赤外線吸収組成物Cが、赤外線吸収剤Cと樹脂Cとを含み、赤外線吸収組成物Cが含む樹脂Cの溶解度パラメータ(SP値)と、樹脂組成物Bが含む樹脂Bの溶解度パラメータ(SP値)との差の絶対値が0.5〜5.0(MPa)1/2(好ましくは、1.0〜4.0(MPa)1/2、更に好ましくは、1.0〜3.0(MPa)1/2)である。
本発明において、赤外線吸収組成物A、赤外線吸収組成物Cおよび樹脂組成物Bとして、それぞれ上記の条件(1)、(2)を満たす組み合わせを用いることが特に好ましい。この態様によれば、ヘイズのより小さい近赤外線カットフィルタを製造しやすい。
なお、赤外線吸収組成物Aが、2種類の樹脂(樹脂A1と樹脂A2)を含む場合、すなわち、樹脂Aが、樹脂A1と樹脂A2とで構成されている場合は、樹脂AのSP値は、以下の方法で算出した値とする。
樹脂AのSP値={(樹脂A1のSP値×樹脂A中における樹脂A1の含有量(質量%))+(樹脂A2のSP値×樹脂A中における樹脂A2の含有量(質量%))}/100
樹脂Aが、3種類以上の樹脂で構成されている場合も、上記と同様の方法で算出した値を、樹脂AのSP値とする。
樹脂組成物Bが、2種類以上の樹脂を含む場合、すなわち、樹脂Bが、2種類以上の樹脂で構成されている場合も、上記と同様の方法で算出した値を、樹脂BのSP値とする。
赤外線吸収組成物Cが、2種類以上の樹脂を含む場合、すなわち、樹脂Cが、2種類以上の樹脂で構成されている場合も、上記と同様の方法で算出した値を、樹脂CのSP値とする。
<近赤外線カットフィルタの用途>
本発明の近赤外線カットフィルタは、赤外線を吸収およびカットする機能を有するレンズ(デジタルカメラや携帯電話や車載カメラ等のカメラ用レンズ、f−θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ)および半導体受光素子用の光学フィルタなどに用いられる。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルタとしても有用である。また、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子や太陽電池素子等にも好ましく用いることができる。
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明の近赤外線カットフィルタを含む。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の近赤外線カットフィルタを備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。近赤外線カットフィルタを含む固体撮像素子の詳細については、特開2015−044188号公報の段落番号0106〜0107の記載、特開2014−132333号公報の段落0010〜0012の記載を参酌でき、この内容は本明細書に含まれる事とする。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の近赤外線カットフィルタを有する。本発明の近赤外線カットフィルタは、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などの画像表示装置に用いることもできる。例えば、各着色画素(例えば赤色、緑色、青色)とともに用いることにより、表示装置のバックライト(例えば白色発光ダイオード(白色LED))に含まれる赤外光を遮断し、周辺機器の誤作動を防止する目的や、各着色表示画素に加えて赤外の画素を形成する目的で用いることが可能である。
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子としては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、特開2003−45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線−高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集−」、技術情報協会、326−328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm−485nm)、緑色領域(530nm−580nm)及び黄色領域(580nm−620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加え更に赤色領域(650nm−700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。また、以下において、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをPGMEAと記す。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)は、以下の方法で測定した。
カラムの種類:TSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mm(内径)×15.0cm)
展開溶媒:10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):10μL
装置名:HLC−8220(東ソー(株)製)
検量線ベース樹脂:ポリスチレン
<ガラス転移温度の測定>
樹脂層のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で測定した。
<近赤外線カットフィルタの製造>
<<赤外線吸収層の形成>>
(赤外線吸収層1)
以下に示す銅錯体1を45質量部と、以下に示す樹脂1を49.95質量部と、IRGACURE−OXE02(BASF社製)を5質量部と、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(東京化成工業(株)製)を0.05質量部と、シクロヘキサノンを100質量部と、を混合して赤外線吸収組成物1を調製した。得られた赤外線吸収組成物1を、ガラスウェハまたは樹脂層上に乾燥後の膜厚が100μmになるようにスピンコーターを用いて塗布した。次いで、160℃のホットプレートを用いて1.5時間加熱処理を行って、膜厚100μmの赤外線吸収層1を形成した。
銅錯体1:下記構造

樹脂1:下記構造(Mw=1.5万、SP値=20.5、主鎖に付記した数値は、各構成単位のモル比である)
(赤外線吸収層2)
銅錯体1のかわりに、同量の銅錯体2を用いた以外は赤外線吸収組成物1の調製と同様にして赤外線吸収組成物2を調製した。得られた赤外線吸収組成物2を用いて、赤外線吸収層1の形成と同様の方法で、膜厚100μmの赤外線吸収層2を形成した。
銅錯体2:下記構造
(赤外線吸収層3)
銅錯体1のかわりに、同量の銅錯体3を用いた以外は赤外線吸収組成物1の調製と同様にして赤外線吸収組成物3を調製した。得られた赤外線吸収組成物3を用いて、赤外線吸収層1の形成と同様の方法で、膜厚100μmの赤外線吸収層3を形成した。
銅錯体3:下記構造
(赤外線吸収層4)
銅錯体1のかわりに、同量の銅錯体4を用いた以外は赤外線吸収組成物1の調製と同様にして赤外線吸収組成物4を調製した。得られた赤外線吸収組成物4を用いて、赤外線吸収層1の形成と同様の方法で、膜厚100μmの赤外線吸収層4を形成した。
銅錯体4:下記化合物を配位子として有する銅錯体。
(赤外線吸収層5)
銅錯体1のかわりに、同量の銅錯体5を用いた以外は赤外線吸収組成物1の調製と同様にして赤外線吸収組成物5を調製した。得られた赤外線吸収組成物5を用いて、赤外線吸収層1の形成と同様の方法で、膜厚100μmの赤外線吸収層5を形成した。
銅錯体5:下記化合物を配位子として有する銅錯体。
(赤外線吸収層6)
ナスフラスコに、酢酸銅一水和物7.00g(35.06mmol)、メタノール140gを加え、20℃で1時間攪拌し、溶液(A液)を得た。別の容器に、プライサーフA219B(第一工業製薬製)1.75g、n−ブチルホスホン酸4.82gをメタノール100gに溶解し、溶液(B液)を得た。B液を、A液に対して3時間かけて滴下し反応液を得た。この反応液を20℃で10時間撹拌した。その後、エバポレーター(水浴60℃)で反応液から溶媒を留去した。溶媒が留去された固形分にトルエン100gを加え、恒量になり、酢酸臭がしなくなるまでエバポレーターで留去した。収量8.75g(収率100%)の青緑色固体が得られた。これにトルエン211gを加え、超音波照射を6時間行い、n−ブチルホスホン酸銅塩トルエン分散液(1)を得た。
次に、フラスコに、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート) 1.90g、トルエン250ml、ポリビニルブチラール(PVB)5.00gを加えた。これに、meso‐エリスリトール4.8mgをメタノール1mlに溶かした溶液を加えた。これに上記n−ブチルホスホン酸銅塩トルエン分散液(1)3.65g(銅塩を0.583mmol含む)を添加し、20℃で10時間撹拌した。撹拌後、1.5時間超音波照射し、PVBを均一に溶解させ、赤外線吸収組成物6を得た。
得られた赤外線吸収組成物6を、ガラスウェハまたは樹脂層上に乾燥後の膜厚が100μmになるようにスピンコーターを用いて塗布した。次いで、160℃のホットプレートを用いて1.5時間加熱処理を行って、膜厚100μmの赤外線吸収層6を形成した。
(赤外線吸収層7)
以下に示す樹脂2を8.04質量部と、以下に示す化合物SQ−23を0.1質量部と、架橋性化合物としてKAYARAD DPHA(日本化薬(株)社製)を0.07質量部と、メガファックRS−72K(DIC(株)社製)を0.265質量部と、下記光重合開始剤を0.38質量部と、溶剤としてPGMEAを82.51質量部とを混合し、撹拌した。撹拌後の溶液を、孔径0.5μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)社製)でろ過して、赤外線吸収組成物7を調製した。得られた赤外線吸収組成物7を、スピンコーター(ミカサ(株)社製)を用いてガラスウエハまたは樹脂層上に塗布して塗膜を形成した。次いで、100℃、120秒間の前加熱(プリベーク)を行った後、i線ステッパーを用い、1000mJ/cmで全面露光を行った。次いで、220℃、300秒間の後加熱(ポストベーク)を行い、膜厚0.8μmの赤外線吸収層7を形成した。
樹脂2:下記化合物(Mw:41000、SP値=19.2、主鎖に付記した数値は、各構成単位のモル比である)

化合物SQ−23:下記構造

光重合開始剤:下記構造
(赤外線吸収層8)
化合物SQ−23のかわりに、同量の下記化合物A−52を用いた以外は、赤外線吸収組成物7の調製と同様にして、赤外線吸収組成物8を調製した。得られた赤外線吸収組成物8を用いて、赤外線吸収層7の形成と同様の方法で、膜厚0.8μmの赤外線吸収層8を形成した。
化合物A−52:下記構造
(赤外線吸収層9)
イオン交換水69.5質量部に下記化合物C−15を0.5質量部溶解させた溶液に、ゼラチンの10質量%水溶液30.0質量部を加え、更に硬膜剤として1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノールを0.3質量部加え攪拌することで、赤外線吸収組成物9を調製した。得られた赤外線吸収組成物9を用いて、赤外線吸収層7の形成と同様の方法で、膜厚0.8μmの赤外線吸収層9を形成した。
化合物C−15:下記構造
(赤外線吸収層10)
化合物C−15のかわりに、同量の下記化合物31用いた以外は、赤外線吸収組成物9の調製と同様にして、赤外線吸収組成物10を調製した。得られた赤外線吸収組成物10を用いて、赤外線吸収層7の形成と同様の方法で、膜厚0.8μmの赤外線吸収層10を形成した。
化合物31:下記構造
(赤外線吸収層11)
樹脂2のかわりに、同量のアクリキュア−RD−F8(日本触媒(株)製)を用いた以外は、赤外線吸収組成物7の調製と同様にして赤外線吸収組成物11を調製した。得られた赤外線吸収組成物11を用いて、赤外線吸収層7の形成と同様の方法で、膜厚0.8μmの赤外線吸収層11を形成した。
(赤外線吸収層12)
樹脂1のかわりに、同量のアクリキュア−RD−F8(日本触媒(株)製)を用いた以外は、赤外線吸収組成物5の調製と同様にして赤外線吸収組成物12を調製した。得られた赤外線吸収組成物12を用いて、赤外線吸収層1の形成と同様の方法で、膜厚100μmの赤外線吸収層12を形成した。
(赤外線吸収層13)
樹脂1のかわりに、同量の樹脂3を用いた以外は、赤外線吸収組成物5の調製と同様にして赤外線吸収組成物13を調製した。得られた赤外線吸収組成物13を用いて、赤外線吸収層1の形成と同様の方法で、膜厚100μmの赤外線吸収層13を形成した。
樹脂3:下記構造(Mw=1.5万、SP値=19.2、主鎖に付記した数値は、各構成単位のモル比である)
<<樹脂層(中間層)の形成>>
(樹脂層1)
樹脂B1(サイクロマーP (ACA230AA) (株)ダイセル製、アクリル樹脂)を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物1を得た。得られた樹脂組成物1を塗布膜厚が10μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて2分加熱した。次いで200℃のホットプレートを用いて5分加熱処理を行って、膜厚10μmの樹脂層1(ガラス転移温度=31℃)を形成した。
(樹脂層2)
樹脂B2(サイクロマーP(ACA210β) (株)ダイセル製、アクリル樹脂)を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物2を得た。得られた樹脂組成物2を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層2(ガラス転移温度=12℃)を形成した。
(樹脂層3)
樹脂B3(BGM−601 大阪有機化学工業(株)製)を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物3を得た。得られた樹脂組成物3を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層3(ガラス転移温度=47℃)を形成した。
(樹脂層4)
樹脂B4(リポキシSPCF−9X 昭和電工(株)製)を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物4を得た。得られた樹脂組成物4を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層4を形成した。
(樹脂層5)
樹脂B5(アクリキュア−RD−F8 日本触媒(株)製、アクリル樹脂)を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物5を得た。得られた樹脂組成物5を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層5(ガラス転移温度=46℃)を形成した。
(樹脂層6)
樹脂B1(サイクロマーP (ACA230AA) (株)ダイセル製、アクリル樹脂)を15質量部と、樹脂B2(サイクロマーP(ACA210β) (株)ダイセル製、アクリル樹脂)を15質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物6を得た。得られた樹脂組成物6を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層6(ガラス転移温度=31℃)を形成した。
(樹脂層7)
樹脂3を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物7を得た。得られた樹脂組成物7を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層7を形成した。
樹脂3:下記構造(Mw=1.5万、SP値=19.2、主鎖に付記した数値は、各構成単位のモル比である)

(樹脂層8)
樹脂4を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物8を得た。得られた樹脂組成物8を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層8を形成した。
樹脂4:下記構造(Mw=1.5万、SP値=20.0、主鎖に付記した数値は、各構成単位のモル比である)

(樹脂層9)
樹脂5を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物9を得た。得られた樹脂組成物9を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層8を形成した。
樹脂5:下記構造(Mw=1.5万、SP値=20.9、主鎖に付記した数値は、各構成単位のモル比である)

(樹脂層10)
樹脂6を30質量部と、シクロヘキサノン70質量部とを混合して樹脂組成物10を得た。得られた樹脂組成物10を用いて、樹脂層1の形成と同様の方法で、膜厚10μmの樹脂層10を形成した。
樹脂6:下記構造(Mw=1.5万、SP値=24.5、主鎖に付記した数値は、各構成単位のモル比である)
<ヘイズの測定>
日本電色工業社製ヘーズメーターNDH−5000を用いて、近赤外線カットフィルタのヘイズを測定した。ヘイズが1%を超えると、目視で曇りがわかるレベルであり、ヘイズは1%以下が実用的である。
上記結果より、第1の赤外線吸収層と、第2の赤外線吸収層との間に樹脂層を有する実施例の近赤外線カットフィルタは、ヘイズが小さく、1%以下であり、曇りが殆ど目視で観測できなかった。また、樹脂層のSP値と第1の赤外線吸収層のSP値との差の絶対値、および、樹脂層のSP値と第2の赤外線吸収層のSP値との差の絶対値が、それぞれ5.0(MPa)1/2以下である、実施例18〜20は、上述のSP値の差の絶対値が5.0(MPa)1/2を超える実施例21よりも、樹脂層と第1の赤外線吸収層との密着性、および、樹脂層と第2の赤外線吸収層との密着性が良好であった。
これに対し、樹脂層を有さない比較例1は、ヘイズが大きく、曇りが大きかった。
10 第1の赤外線吸収層、20 樹脂層、30 第2の赤外線吸収層

Claims (15)

  1. 赤外線吸収剤Aを含む第1の赤外線吸収層と、
    赤外線吸収剤Cを含む第2の赤外線吸収層と、
    前記第1の赤外線吸収層と前記第2の赤外線吸収層との間に設けられた樹脂層と、
    を有する、近赤外線カットフィルタ。
  2. 前記赤外線吸収剤Aおよび前記赤外線吸収剤Cの少なくとも一方が、銅化合物を含む、請求項1に記載の近赤外線カットフィルタ。
  3. 前記赤外線吸収剤Aおよび前記赤外線吸収剤Cの少なくとも一方が、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の近赤外線カットフィルタ。
  4. 前記赤外線吸収剤Aおよび前記赤外線吸収剤Cの一方が、銅化合物を含み、他方が、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の近赤外線カットフィルタ。
  5. 前記第1の赤外線吸収層、および、前記第2の赤外線吸収層の少なくとも一方が、架橋性基を有する化合物と、赤外線吸収剤とを含有する赤外線吸収組成物を硬化した層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  6. 前記第1の赤外線吸収層、および、前記第2の赤外線吸収層の少なくとも一方が、架橋性基を有する化合物と、銅化合物とを含有する赤外線吸収組成物を硬化した層であり、
    前記架橋性基を有する化合物が、M−Xで表される部分構造を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ;
    Mは、Si、Ti、ZrおよびAlから選択される原子であり、Xは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ホスホリルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、オキシム基およびO=C(Ra)(Rb)から選択される1種であり、RaおよびRbは、それぞれ独立に1価の有機基を表し、Xが、O=C(Ra)(Rb)である場合、カルボニル基の酸素原子の非共有電子対でMと結合する。
  7. 前記架橋性基を有する化合物の含有量が、前記赤外線吸収組成物の全固形分の15質量%以上である、請求項5または6に記載の近赤外線カットフィルタ。
  8. 前記樹脂層のガラス転移温度が0〜200℃である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  9. 前記樹脂層の膜厚が0.005mm以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  10. 前記第1の赤外線吸収層および前記第2の赤外線吸収層の少なくとも一方が樹脂を含み、
    前記第1の赤外線吸収層および前記第2の赤外線吸収層の少なくとも一方が含む樹脂の溶解度パラメータであるSP値と、前記樹脂層が含む樹脂の溶解度パラメータであるSP値との差の絶対値が、0.5〜5.0(MPa)1/2である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  11. 前記第1の赤外線吸収層と前記樹脂層とが接しており、前記第2の赤外線吸収層と前記樹脂層とが接している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  12. 赤外線吸収剤Aを含む赤外線吸収組成物Aを用いて、支持体上に、第1の赤外線吸収層を形成する工程と、
    樹脂Bを含む樹脂組成物Bを用いて、前記第1の赤外線吸収層上に樹脂層を形成する工程と、
    赤外線吸収剤Cを含む赤外線吸収組成物Cを用いて、前記樹脂組層上に、第2の赤外線吸収層を形成する工程と、を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
  13. 前記赤外線吸収組成物Aが、前記赤外線吸収剤Aと樹脂Aとを含み、前記樹脂Aの溶解度パラメータであるSP値と、前記樹脂Bの溶解度パラメータであるSP値との差の絶対値が0.5〜5.0(MPa)1/2である、請求項12に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  14. 前記赤外線吸収組成物Cが、前記赤外線吸収剤Cと樹脂Cとを含み、前記樹脂Cの溶解度パラメータであるSP値と、前記樹脂Bの溶解度パラメータであるSP値との差の絶対値が0.5〜5.0(MPa)1/2である、請求項12または13に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタを有する固体撮像素子。
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