JPWO2017038885A1 - 磁性体アンテナ及びアンテナ装置 - Google Patents

磁性体アンテナ及びアンテナ装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017038885A1
JPWO2017038885A1 JP2017538079A JP2017538079A JPWO2017038885A1 JP WO2017038885 A1 JPWO2017038885 A1 JP WO2017038885A1 JP 2017538079 A JP2017538079 A JP 2017538079A JP 2017538079 A JP2017538079 A JP 2017538079A JP WO2017038885 A1 JPWO2017038885 A1 JP WO2017038885A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil conductor
magnetic
coil
magnetic core
antenna
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017538079A
Other languages
English (en)
Inventor
敬介 國森
敬介 國森
加奈 原本
加奈 原本
木村 哲也
哲也 木村
山本 一美
一美 山本
由郎 佐藤
由郎 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toda Kogyo Corp
Original Assignee
Toda Kogyo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toda Kogyo Corp filed Critical Toda Kogyo Corp
Publication of JPWO2017038885A1 publication Critical patent/JPWO2017038885A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/34Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F17/00Fixed inductances of the signal type 
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q7/00Loop antennas with a substantially uniform current distribution around the loop and having a directional radiation pattern in a plane perpendicular to the plane of the loop
    • H01Q7/06Loop antennas with a substantially uniform current distribution around the loop and having a directional radiation pattern in a plane perpendicular to the plane of the loop with core of ferromagnetic material
    • H01Q7/08Ferrite rod or like elongated core

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)
  • Details Of Aerials (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

磁性体アンテナ10は、直方体形状を有する磁心12と、磁心12に交互に並んで巻回されている第1コイル導体14及び第2コイル導体15と、を備える。第1コイル導体14と第2コイル導体15の巻回軸は磁心12の長手方向に直交している。第1コイル導体14と第2コイル導体15は並列に接続されている。

Description

本開示は、磁性体アンテナ及びアンテナ装置に関する。
無線通信を行うアンテナ装置として、磁性体アンテナを用いたものが知られている。磁性体アンテナは、磁気結合による通信を行うものであり、通常、磁性体コアとコイル導体とを備えている。
特許文献1では、アンテナ装置を小型化して、NFC(Near Field Communication)及びFelica等で使用される通信端末装置、並びに小型ラジオ等に用いることが提案されている。特許文献1では、第1コイル導体と同一方向に巻回するように形成された第2コイル導体の少なくとも一部を、磁性体コアの内部に形成することが提案されている。
特許文献2では、SIM又はμSD等の分離型モジュールにアンテナを一体モジュール化し、直接外部のコイルと通信を行うデバイス方式が提案されている。この方式では、分離型モジュールが、携帯端末などの制約を受けないターミナル機能と、ネットワークを介したサーバーアクセス機能とを有する。これによって、単なる通信機能を有する携帯端末から、アクセス方式やセキュリティに関する固有情報を格納するモジュールを心臓部として分離して取り換えることを可能にしている。
特開2013−247436号公報 特開2013−182481号公報
データキャリアとして、様々な無線通信技術が活用されている。例えば、NFCでは、近接するコイル導体同士が磁気結合して通信する。2つのコイル導体の磁気結合強度は相互インダクタンスMで表される。相互インダクタンスMは、下記式で求めることができる。
Figure 2017038885
上式中、LA及びLBは、互いに近接するそれぞれのコイル導体のインダクタンスを示す。また、kは結合係数(0≦k≦1)を示す。コイル導体間の交信距離を長くするためには、コイル導体の巻数を増やすことが考えられる。しかしながら、巻数を増やすと抵抗(R)が高くなるので電力損失が大きくなり、クオリティファクター(Q=2πfL/R)が低下する。交信距離を長くするためには、M・Q積を大きくする必要がある。
一方、磁性体アンテナを、例えばマイクロSIM及びマイクロSD等の分離型の記憶モジュールと一体化する場合、磁性体アンテナを小型化する必要がある。ところが、コイル導体を小型化すると相互インダクタンスMが小さくなる。また、コイル導体の巻数を増やそうとすると、磁性体アンテナのサイズが大きくなり、小型化の要請に応えることが困難になる。このため、小型化と交信距離の両方を十分に高い水準で満足することが可能な磁性体アンテナ及びそれを備えるアンテナ装置が求められている。
本発明では、一つの側面において、小型化を可能にしつつ、交信距離を長くすることが可能な磁性体アンテナを提供することを目的とする。本発明では、別の側面において、小型化を可能にしつつ、交信距離を長くすることが可能なアンテナ装置を提供することを目的とする。
本発明は、一つの側面において、直方体形状を有する磁心と、磁心に交互に並んで巻回されている第1コイル導体及び第2コイル導体と、を備え、第1コイル導体と第2コイル導体は並列に接続されている磁性体アンテナを提供する。
上記磁性体アンテナでは、第1コイル導体と第2コイル導体とが並列に接続されている。ここで、第1コイル導体と第2コイル導体の抵抗及びインダクタンスが同一であり、それぞれの抵抗をR及びインダクタンスをLとすると、第1コイル導体と第2コイル導体を並列接続したときの合成抵抗及び合成インダクタンスは、通常、R/2及びL/2となる。ところが、上述の磁性体アンテナでは、第1コイル導体と第2コイル導体とが交互に並んで巻回されていることから、第1コイル導体と第2コイル導体との間における磁気相互誘導作用Mcによって、実際の合成インダクタンスがL/2よりも大きくなる。このように、上記磁性体アンテナでは、並列接続によって抵抗を半減しつつ、合成インダクタンスLを大きくすることができる。したがって、M・Q積を大きくして、交信距離を長くすることができる。
上記磁性体アンテナは、第1コイル導体及び第2コイル導体の巻回軸が直方体形状の磁心の長手方向に直交するように、第1コイル導体及び第2コイル導体が磁心に巻回されていてもよい。このため、第1コイル導体及び第2コイル導体の巻回軸が磁心の長手方向に平行な場合に比べて、第1コイル導体及び第2コイル導体のループの断面積を大きくすることができる。したがって、磁性体アンテナを小型化するためにコイル導体の巻数を減らしても、第1コイル導体及び第2コイル導体の合成インダクタンスL及び結合係数kを大きくして、相互インダクタンスMを大きくすることができる。したがって、磁気結合強度を一層強くして、交信距離をさらに長くすることができる。
幾つかの実施形態では、第1コイル導体及び第2コイル導体のインダクタンスをL及びL、第1コイル導体及び第2コイル導体の合成インダクタンスをL、並びに、第1コイル導体及び第2コイル導体の抵抗をRL1及びRL2、第1コイル導体及び第2コイル導体の合成抵抗をRとしたときに、下記式(1)及び(2)を満たしていてもよい。
Figure 2017038885
Figure 2017038885
幾つかの実施形態では、磁心の少なくとも一方面上に絶縁層を介して導体層を備えており、第1コイル導体及び第2コイル導体は、磁心と絶縁層との間に挟まれていてもよい。これによって、電子機器に実装されて導電性部材が近接した状態であっても、十分に長い交信距離を確保することができる。
本発明は、別の側面において、直方体形状を有する磁心と、磁心に1巻ごとに並んで巻回されている複数のコイル導体と、を備え、複数のコイル導体は並列に接続されている磁性体アンテナを提供する。
上記磁性体アンテナでは、複数のコイル導体が並列に接続されている。ここで、複数(n個)のコイル導体の抵抗及びインダクタンスが同一であり、それぞれの抵抗をR及びインダクタンスをLとすると、n個のコイル導体を並列接続したときの合成抵抗及び合成インダクタンスは、通常、R/n及びL/nとなる。ところが、上述の磁性体アンテナでは、n個のコイル導体が1巻ごとに並んで巻回されていることから、隣り合うコイル導体の間における磁気相互誘導作用によって、実際の合成インダクタンスがL/nよりも大きくなる。このように、上記磁性体アンテナでは、並列接続によって抵抗を低減しつつ、M・Q積を大きくすることができる。これによって、交信距離を長くすることができる。
上記磁性体アンテナは、複数のコイル導体の巻回軸が直方体形状の磁心の長手方向に直交するように、複数のコイル導体が磁心に巻回されていてもよい。このため、複数のコイル導体の巻回軸が磁心の長手方向に平行な場合に比べて、複数のコイル導体のループの断面積を大きくすることができる。したがって、磁性体アンテナを小型化するために複数のコイル導体の巻数を減らしても、複数のコイル導体の合成インダクタンスL及び結合係数kを大きくして、相互インダクタンスMを大きくすることができる。
幾つかの実施形態では、複数のコイル導体はn個のコイル導体からなり、nは2以上の整数であり、複数のコイル導体のそれぞれのインダクタンスをL、複数のコイル導体の合成インダクタンスをL、及び、複数のコイル導体のそれぞれの抵抗をRLn、複数のコイル導体の合成抵抗をR、としたときに、下記式(3)及び(4)を満たしてもよい。
Figure 2017038885
Figure 2017038885
上記磁性体アンテナは、磁心の少なくとも一方面上に絶縁層を介して導体層を備えており、複数のコイル導体は、磁心と絶縁層との間に挟まれていてもよい。これによって、電子機器に実装されて導電性部材が近接した状態であっても、十分に長い交信距離を確保することができる。
幾つかの実施形態において、磁心は、13.56MHzにおける透磁率の実数部が20〜90、虚数部が0.2〜2であるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体で構成されていてもよい。このように、透磁率の虚数部(μ”)を十分に小さくすることによって、抵抗成分を小さくすることができる。したがって、クオリティファクターQを大きくすることができる。したがって、磁性体アンテナを一層小型化することができる。
幾つかの実施形態において、磁心は、構成元素としてCoを含有するフェライトで構成され、CoをCoOに換算して0.05〜1.0質量%含有するNi−Zn−Cu系フェライト焼結体で構成されていてもよい。Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体は、構成元素としてFe,Ni,Zn,Cu,Co及びOを含有するフェライトで構成され、Fe,Ni,Zn及びCuを、それぞれ、Fe,NiO,ZnO及びCuOに換算したときに、Fe,NiO,ZnO及びCuOの合計を基準として、Feを46〜50mol%、NiOを20〜27mol%、ZnOを15〜22mol%、及びCuOを9〜11mol%、含有していてもよい。これによって、磁気損失を一層低減して、クオリティファクターQを大きくできるため、磁性体アンテナの交信距離を一層長くすることができる。
上記磁性体アンテナは、幾つかの実施形態において、長手方向における磁心の長さLに対する、巻回軸の軸方向における磁心の長さLの比(L/L)が0.2〜0.6であってもよい。これによって、長さLを長くして第1コイル導体及び第2コイル導体のループの断面積を増大させて、第1コイル導体及び第2コイル導体のインダクタンス及び結合係数kを大きくすることができる。また、長さLを小さくして一層小型化することができる。すなわち、一層の小型化を図りつつ、交信距離を一層長くすることができる。
本発明は、別の側面において、上述の磁性体アンテナと、磁性体アンテナと電気的に接続されている電子部品とを備える、アンテナ装置を提供する。このアンテナ装置は、上記磁性体アンテナを備えることから、小型化が可能であるとともに、交信距離を十分に長くすることができる。
本発明は、一つの側面において、小型化を可能にしつつ、交信距離を長くすることが可能な磁性体アンテナを提供することができる。本発明は、別の側面において、小型化を可能にしつつ、交信距離を長くすることが可能なアンテナ装置を提供することができる。
図1は、一実施形態の磁性体アンテナを示す斜視図である。 図2は、図1の磁性体アンテナにおける第1コイル導体及び第2コイル導体の回路図である。 図3は、図1の磁性体アンテナのIII−III線断面図である。 図4は、記憶モジュールの内部構造を模式的に示す図である。 図5は、記憶モジュール100のブロック図である。 図6は、アンテナ装置の交信方法を説明するための図である。 図7は、磁性体アンテナとリーダライタの回路図である。 図8は、磁性体アンテナとリーダライタが磁気結合したときの等価回路モデルである。 図9は、フェライト成形シートの積層状態を示す分解斜視図である。 図10は、別の実施形態の磁性体アンテナを示す斜視図である。 図11は、比較例1の磁性体アンテナを示す図である。 図12は、比較例1の磁性体アンテナにおけるコイル導体の回路図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態を説明する。ただし、以下の幾つかの実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、一実施形態である磁性体アンテナ10の斜視図である。磁性体アンテナ10は、直方体形状を有する磁心12と、磁心12に並列に巻回される第1コイル導体14及び第2コイル導体15を備える。磁性体アンテナ10も略直方体形状を有している。第1コイル導体14及び第2コイル導体15は、一巻ごとに並んで巻回軸P回りに巻回されている。第1コイル導体14及び第2コイル導体15は、磁心12の表面に沿って並行して巻き付けられており、同一の巻回軸Pを有する。
第1コイル導体14及び第2コイル導体15は、それぞれの端部において、並列回路を構成するように結合して、端子16a,16bを形成している。端子16a,16bは、外部回路に接続することができる。これによって、第1コイル導体14及び第2コイル導体15はアンテナとして機能する。図1では、第1コイル導体14及び第2コイル導体15の巻数は、それぞれ3回となっているが、これに限定されない。第1コイル導体14及び第2コイル導体15の巻数を増やして、結合係数kを大きくしてもよい。第1コイル導体14及び第2コイル導体15(複数のコイル導体)の巻数は、同じであってもよいし異なっていてもよい。巻数を同じにすることによって、加工を容易にすることができる。
第1コイル導体14及び第2コイル導体15は、巻回軸Pが磁心12の長手方向に直交するように、磁心12に巻回されている。これによって、第1コイル導体14及び第2コイル導体15のループの断面積を大きくして、インダクタンス及び結合係数kを大きくすることができる。第1コイル導体14及び第2コイル導体15の材質は、銅、銀、又はこれらの少なくとも一方を含む合金が挙げられる。
第1コイル導体14及び第2コイル導体15と磁心12とは、密着していることが好ましい。このように、第1コイル導体14及び第2コイル導体15と磁心12との間に隙間が生じないように、第1コイル導体14及び第2コイル導体15と磁心12とを密着させることによって、磁性体アンテナ10を一層小型化するとともに、第1コイル導体14と第2コイル導体15の結合により、合成インダクタンスの低下を抑制することができる。また、記憶モジュール等の内部に搭載し易くすることができる。第1コイル導体14及び第2コイル導体15は、並列回路を形成できるように離間して設けられる。
図2は、磁性体アンテナ10における第1コイル導体14及び第2コイル導体15の回路図である。図2中、Mcは、第1コイル導体14及び第2コイル導体15の相互インダクタンスを示す。第1コイル導体14のインダクタンスをL、第2コイル導体15のインダクタンスをLとしたとき、第1コイル導体14と第2コイル導体15の合成インダクタンスLは、下記式(1)を満たす。
Figure 2017038885
式(1)に示すように、磁性体アンテナ10の第1コイル導体14及び第2コイル導体15の合成インダクタンスLは、第1コイル導体14のインダクタンスLと第2コイル導体15のインダクタンスLとから計算される値よりも大きい。これは、第1コイル導体14と第2コイル導体15との間における磁気相互誘導作用によるものである。
一方、第1コイル導体14の抵抗をRL1、第2コイル導体15の抵抗をRL2としたとき、第1コイル導体14と第2コイル導体の合成抵抗Rは、下記式(2)で表される。
Figure 2017038885
並列接続された第1コイル導体14及び第2コイル導体15の合成抵抗Rは上式(2)の計算値で表されるのに対し、合成インダクタンスLは上式(1)で示すとおり、通常の計算値よりも大きくなる。これによって、通信時の磁性体アンテナ10と通信相手のアンテナとの相互インダクタンスMが大きくなり、磁気結合強度を強くすることができる。これによって、交信距離を長くすることができる。
図3は、図1の磁性体アンテナ10のIII−III線断面図である。本明細書における第1コイル導体14及び第2コイル導体15のループの断面積とは、図3に示すような断面で見たときのループの断面積である。すなわち、本明細書におけるコイル導体のループの断面積とは、巻回軸Pの軸方向から見たときに、コイル導体で形成されるループの内側の面積である。第1コイル導体14のループの断面積と第2コイル導体15のループの断面積は同一である。これによって、磁性体アンテナ10の製造工程を容易にすることができる。
第1コイル導体14及び第2コイル導体15は、磁性体である磁心12の表面に設けられている。したがって、磁性体の内部に埋設される場合に比べて、第1コイル導体14及び第2コイル導体15のループの断面積を大きくすることができる。また、放射磁界が磁性体に取り込まれることが抑制され、交信距離を大きくすることができる。第1コイル導体14及び第2コイル導体15(複数のコイル導体)は、互いに並行であり、巻数も同一である。これによって、磁性体アンテナ10の製造工程を容易にすることができる。
図1において、磁心12の長手方向における長さLに対する、巻回軸Pの軸方向における磁心12の長さLの比(L/L)は、例えば0.2〜0.6であってもよく、0.2〜0.5であってもよい。上記比(L/L)を上述の範囲にすることによって、第1コイル導体14及び第2コイル導体15の断面積を大きくしつつ、第1コイル導体14及び第2コイル導体15の巻数を多くすることができる。これによって、磁性体アンテナ10の一層の小型化を図りつつ、交信距離を一層長くすることができる。
磁心12の積層方向に沿った厚みLに特に制限はなく、厚みLに対する縦の長さLの比(L/L)は、例えば、5〜50であってもよく、10〜40であってもよい。このような磁心12であれば、成形シートの積層体を焼結して磁心を得る際の変形の抑制と、積層体の積層数の低減とを両立することができる。
磁心12のサイズは、例えば、縦の長さL:5〜15mm、横の長さL:3〜5mm、厚みL:0.3〜0.5mmである。このようなサイズとすることによって、マイクロSDカード又はSIMカード等に搭載することが十分に可能となる。磁性体アンテナ10も同様のサイズを有する。
磁心12は、複数の成形シートが積層された積層体を焼成して形成される。成形シートは、例えばフェライト成形シートである。図3に示すように、磁心12は、複数の磁性層12a,12b,12cの積層体で構成されていてもよいし、焼成によって複数の成形シートが一体化され、一つの磁性層で構成されていてもよい。また、一つの成形シートを焼成して形成してもよい。
磁心12は、例えば焼結体で構成される。焼結体の組成は特に限定されず、例えば、構成元素としてFe,Ni,Zn,Cu,Co及びOを有するNi−Zn−Cu系フェライトで構成されてもよい。Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体を得るために原料として用いる酸化物としては、Fe,NiO,ZnO、CuO及びCoOが挙げられる。
Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体は、構成元素としてCoを含有するフェライトで構成され、CoをCoOに換算して、0.05〜1.0質量%含有していてもよく、0.1〜0.5質量%含有していてもよい。このような範囲でCoOを含有することによって、通信周波数13.56MHzにおける磁気損失を十分に低減することができる。したがって、NFC通信用の磁性体アンテナとして特に好適に用いることができる。
Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体は、構成元素としてFe,Ni,Zn,Cu,Co及びOを有するフェライトで構成される。Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体は、Fe,Ni,Zn及びCuを、Fe,NiO,ZnO及びCuOにそれぞれ換算したときに、Fe,NiO,ZnO及びCuOの合計を基準として、Feを46〜50mol%、NiOを20〜27mol%、ZnOを15〜22mol%、CuOを9〜11mol%含有する。
上記合計に対して、Feの含有量は47〜49mol%であってもよい。上記合計に対してNiOの含有量は24〜26mol%であってもよい。上記合計に対してZnOの含有量は15.5〜16.5mol%であってもよい。上記合計に対してCuOの含有量は9.4〜11mol%であってもよい。各成分の含有量は、蛍光X線分析、又はICP発光分光分析で求められる各金属元素の含有量を酸化物に換算して求めることができる。
上述の組成を有するNi−Zn−Cu系フェライト焼結体は、透磁率の虚数部(μ”)が十分に小さい。磁性体アンテナ10の磁心12は、透磁率の実数部(μ’)を高く維持しつつ、透磁率の虚数部(μ”)が十分に低減されたフェライト焼結体で構成されることから、交信距離を十分に長くすることができる。磁性層12a,12b,12cの組成は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体の透磁率の虚数部(μ”)は、例えば0.1〜2であってもよく、0.1〜1であってもよい。上記透磁率の実数部(μ’)は、例えば、20〜90であってもよく、30〜80であってもよい。本明細書における透磁率は、外径20mm、内径10mm、厚み1mmの平板リング状のサンプルを用いて、市販のインピーダンス/マテリアルアナライザによって13.56MHzの周波数において測定される値である。
図4は、記憶モジュール100の内部構造を模式的に示す図である。記憶モジュール100としては、マイクロSD、SIM、USB等が挙げられる。記憶モジュール100の筐体50内には、アンテナ装置60が内蔵されている。アンテナ装置60は、プリント配線板40と、プリント配線板40の主面上に磁性体アンテナ10及び電子部品30とを備える。電子部品30は、例えばICチップである。電子部品30は、ICチップに限定されず、例えばコンデンサ又は整合回路であってもよい。別の幾つかの実施形態では、アンテナ装置60は、複数の電子部品30を備えていてもよい。
図5は、記憶モジュール100のブロック図である。磁性体アンテナ10(図1の端子16a、16b)と電子部品30とは、プリント配線板40における配線(不図示)によって電気的に接続されている。プリント配線板40は、記憶モジュール100に内蔵されるインターフェース部82と電気的に接続されている。アンテナ装置60は、例えば13.56MHzの周波数において共振し、リーダライタ等と通信する機能を有する。磁性体アンテナ10を備えるアンテナ装置60は、小型で且つ交信距離が十分に長いことから、記憶モジュール100に好適に搭載することができる。
記憶モジュール100は、内部に、アンテナ装置60の他に、制御部80、記憶部84、及びインターフェース部82等を備える。制御部80は、インターフェース部82を介して電子部品30から送信された信号を処理するとともに、記憶部84に当該信号から得られたデータを書き込む機能を有していてもよい。制御部80は、記憶部84からデータを読み出すとともに、当該データを処理して得られた信号を、インターフェース部82を介して電子部品30に送信する機能を有していてもよい。制御部80は、例えばCPUを有する。記憶部84は、例えばROM又はRAMを有する。なお、記憶モジュール100は、上述の構成に限定されない。
記憶モジュール100は、磁性体アンテナ10を備えることで通信機能を有する。記憶モジュール100は、携帯端末などの制約を受けないターミナル機能とネットワークを介したサーバーアクセス機能を有する。例えば、携帯端末に記憶モジュール100を取り付けて当該携帯端末を用いてネットワークに接続する。その後、記憶モジュール100を当該携帯端末から取り外し、別の携帯端末に記憶モジュール100を取り付けて、当該別の携帯端末を用いてネットワークに接続することも可能である。
図6は、記憶モジュール100の筐体50内に備えられる磁性体アンテナ10(アンテナ装置60)と、磁性体アンテナ10の通信相手となるリーダライタ200との無線通信の一例を示す図である。記憶モジュール100は、携帯端末150に内蔵されている。
リーダライタ200は、図6の上下方向にループが形成されるように巻回されたコイル状のアンテナ210を備える。リーダライタ200には、図示しない基板と、該基板の上に搭載された電子回路及び電源等が設けられている。アンテナ210は、電子回路及び電源等に電気的に接続されている。リーダライタ200は、例えば、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。
アンテナ210には電流が流れており、磁界が発生している。図6では、アンテナ210のループを下から上に向かって貫通する磁力線が一点鎖線で描かれている。磁性体アンテナ10は、リーダライタ200と磁気結合している。このような状態において、磁性体アンテナ10をリーダライタ200に近づけると、磁性体アンテナ10の磁心12の内部において、第1コイル導体14及び第2コイル導体15を貫通する方向(巻回軸方向)の磁束が変化する。これによって、第1コイル導体14及び第2コイル導体15の端子16a,16b間の電磁誘導起電力Eが変化する。これによって、図4及び図5に示す電子部品30が作動し、記憶モジュール100の記憶部84に記憶されるデータの読み取り、及び記憶部84へのデータの書き込みができる。このようにして、記憶モジュール100とリーダライタ200は交信することができる。
図7は、アンテナ装置61と、リーダライタ200の回路図である。図8は、アンテナ装置61と、リーダライタ200が磁気結合したときの等価回路モデルである。アンテナ装置61は、磁性体アンテナ10と電子部品としてコンデンサC2とを備える。LAはリーダライタ200のアンテナ210のインダクタンスを示し、LBはアンテナ装置61の磁性体アンテナ10のインダクタンスを示す。R1は、アンテナ210の巻線抵抗を示し、R2は磁性体アンテナ10の巻線抵抗と磁性体の透磁率の虚数部分(μ”)の合計を示す。Rgは出力抵抗を、RIは負荷抵抗をそれぞれ示す。
磁性体アンテナ10とアンテナ210との磁気結合強度は相互インダクタンスMである(図8)。相互インダクタンスMは、下記式で表される。
Figure 2017038885
上式中、kは結合係数(0≦k≦1)を示す。結合係数kは、コイル導体(アンテナ)のループの断面積とアンテナ間の距離に依存する。コイルインダクタンスLA及びLBは、コイル導体の巻数、コイル導体の断面積、及び磁性体(磁心12)の透磁率の積に依存する。本実施形態の磁性体アンテナ10は、小型化しても第1コイル導体14及び第2コイル導体15のループの断面積を大きくすることができる。また、磁性体アンテナ10の磁心12を構成するNi−Zn−Cu系フェライト焼結体は、透磁率の実数部を維持しつつ虚数部を低減している。これらの相乗作用によってコイルインダクタンスLBとクオリティファクターQが大きくなる。これによって、磁気結合強度を大きくして交信距離を長くすることができる。
次に、磁性体アンテナ10の製造方法の一例を以下に説明する。まず、所定の組成を有するNi−Zn−Cu系フェライトの仮焼粉を調製する。この仮焼粉は、所定量の酸化コバルトを含む。仮焼粉に溶剤、可塑剤、樹脂成分等を配合して、スラリーを調製する。スラリーは、例えば、Ni−Zn−Cu系フェライトの仮焼粉1000質量部に対し、ポリビニルアルコール樹脂を70〜120質量部、可塑剤としてブチルフタル酸ブチルを15〜25質量部、溶剤を400〜600質量部の割合で配合して調製される。溶剤としては、グリコールエーテル系、MEK、トルエン、メタノール、エタノール、n−ブタノール等を用いることができる。
次に、調製したスラリーを樹脂製のフィルムに塗布する。塗布方法は特に限定されるものではなく、ロールコータ、又はドクターブレードを用いることができる。フィルム上にスラリーを所望の厚みで塗布した後、80〜130℃で30〜60分間乾燥させて、板状のフェライト成形シートを得ることができる。
続いて、幾つかのフェライト成形シートにスルーホールを形成し、導電性ペーストを充填する。導電性ペーストとしては、Agペースト又はAg系合金ペースト等の金属系導電性ペーストを使用することができる。幾つかのフェライト成形シートの主面上に、印刷又は刷毛塗り等の方法によって、導電性ペーストを塗布する。このとき、スルーホール上を通るように導電性ペーストを塗布して、スルーホールに導電性ペーストを充填する。このようにして、第1コイル導体14及び第2コイル導体15となる導電パターンを形成し、フェライト成形シートとする。
導電パターンが形成されたNi−Zn−Cu系フェライトを含むフェライト成形シートを、スルーホールの中心を通る所定の直線に沿って切断する。切断して得られたフェライト成形シート13a,13b,13cを図9に示すように積層し、加圧して密着させ、積層体13を得る。このとき、導電パターン14’,15’が交互にループを形成するように位置合わせを行う。図9は、フェライト成形シートの積層状態を示す分解斜視図である。
その後、例えば800〜1000℃で焼成する。これによって、フェライト成形シートが磁心12となり、導電パターン14’及び導電パターン15’が、それぞれ、第1コイル導体14及び第2コイル導体15となる。このように、磁性体アンテナ10は、所定の導電パターン14’,15’を有するフェライト成形シート13a,13b,13cの積層体13を焼成して製造される。このようにして、図1に示すような、磁心12と、磁心12に巻回される第1コイル導体14及び第2コイル導体15と、を備える磁性体アンテナ10が得られる。また、磁性体アンテナ10と電子部品30とを電気的に接続することによって、アンテナ装置が得られる。
磁性体アンテナ10と電子部品30は、例えば、プリント配線板40の上に搭載することによって、電気的に接続されてもよいし、磁性体アンテナ10の磁心12の上に電子部品30を設けて、端子16a,16bと電子部品30とを、直接又は配線を介して接続してもよい。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、巻回軸Pと磁心の長手方向は、平行であってもよい。磁心12は、フェライト焼結体に限定されず、他の磁性体であってもよい。
図10は、別の実施形態である磁性体アンテナ11を示す斜視図である。図10に示す磁性体アンテナ11は、図1に示す磁性体アンテナ10と同様に、磁心12と、磁心12に巻回されている第1コイル導体14を備える。磁性体アンテナ11は、磁心12の一方面上に、絶縁層71を介して導体層72を備える点で、磁性体アンテナ10と異なっている。絶縁層71は、接着機能を有しており、例えば樹脂を含む。導体層72は、例えば金属を含む。このように絶縁層71を介して導体層72を備えることによって、磁性体アンテナ11の導体層72側に導電性部材が近接した状態であっても、導電性部材による影響を抑制することができ、十分に長い交信距離を確保することができる。絶縁層71及び導体層72は、図10に示すように磁心12の一方面上にのみ設けてもよいし、電子部品等を設けた後に、一方面と対向する他方面の上に設けてもよい。すなわち、磁心12の一方面及び他方面の全体を覆うように、絶縁層71及び導体層72を設けてもよい。
また例えば、第1コイル導体14と第2コイル導体15は、必ずしも、磁心12の表面において接続される必要はなく、例えば、プリント配線板40上において接続されて並列接続となっていてもよい。また、磁心12に巻回されるコイル導体は2つに限定されず、磁心12に3個以上のコイル導体が並列に巻回されていてもよい。このような実施形態であっても、相互インダクタンスMを大きくすることによって通信時における磁気結合強度を強くして、交信距離を長くすることができる。
例えば、n個のコイル導体(nは2以上、又は3以上の整数である。)が磁心12に順番に並んで巻回されている場合、n個のコイル導体のそれぞれのインダクタンスをL、複数のコイル導体の合成インダクタンスをLとしたときに、下記式(3)を満たすことが好ましい。
Figure 2017038885
このとき、n個のコイル導体のそれぞれの抵抗をRLn、n個のコイル導体の合成抵抗をRとしたときに、複数のコイル導体の合成抵抗Rは、下記式(4)で表される。
Figure 2017038885
並列接続されたn個のコイル導体の合成抵抗Rは上式(4)の計算値で表されるのに対し、合成インダクタンスLは上式(3)で示すとおり、通常の計算値よりも大きくなる。これによって、通信時の磁性体アンテナ10と通信相手のアンテナとの相互インダクタンスMが大きくなり、磁気結合強度を強くすることができる。これによって、M・Q積を大きくして、交信距離を長くすることができる。なお、複数のコイル導体のそれぞれの巻数は、必ずしも同一である必要はなく、異なっていてもよい。
実施例及び比較例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[磁性体アンテナの作製]
酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化銅及び酸化コバルトを秤量した。各原料の配合比率は以下のとおりとした。
・Fe:48.5mol%
・NiO:25.1mol%
・ZnO:16mol%
・CuO:10.4mol%
・CoO:0.3wt%
Fe、NiO、ZnO、CuOは、上述の比率で配合した。CoOの質量比率は、Fe、NiO、ZnO、CuO及びCoOの合計に対して、上記質量比率で配合した。配合して得られた原料を、ボールミルを用いて20時間湿式混合した。その後、乾燥、仮焼成、及び粉砕を順次行ってフェライト仮焼粉を得た。このフェライト仮焼粉100質量部に対し、溶剤80質量部、ブチラール樹脂8質量部、及び可塑剤5質量部を配合し、ボールミルを用いて20時間湿式混合を行った。
得られた混合スラリーを、ドクターブレード法によってPETフィルム上に塗布して乾燥し、フェライト成形シートを調製した。フェライト成形シートにスルーホールを形成し、Agペーストを充填した。また、フェライト成形シートの主面上にAgペーストを印刷し、所定の導電パターンを形成した。
導電パターンを形成したフェライト成形シートを、スルーホールの中心を通る直線に沿って切断して、複数のフェライト成形シートに分割した。分割したフェライト成形シートを4枚積層して加圧し、積層方向に隣接するフェライト成形シート同士を密着させた。積層したフェライト成形シートを、900℃,2時間の加熱条件で大気中で焼成して、図1に示すような磁性体アンテナを作製した。この磁性体アンテナには、図2に示すように第1コイル導体と第2コイル導体とが並列となるように形成されていた。
磁心のサイズ、及び第1コイル導体及び第2コイル導体のそれぞれの巻数は、表1に示すとおりであった。第1コイル導体及び第2コイル導体の巻回軸の軸方向と磁心の長手方向とは直交していた。すなわち、L=9.8mm、L=3.3mm、L=0.4mmであった。第1コイル導体及び第2コイル導体の線幅は0.2mmであり、隣接する第1コイル導体と第2コイル導体の間隔(線間隔)は0.2mmであった。磁心を構成するNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の組成は、原料の配合比率と同じであった。
なお、磁性体アンテナに磁心として備えられるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体の透磁率測定のため、上述のフェライト成形シートを別途作製した。フェライト成形シートを10枚積層して、1mmの厚みを有するリング形状の積層体を作製し、磁性体アンテナの磁心の作製時と同じ条件で焼成した。このようにして得られたNi−Zn−Cu系フェライト焼結体を透磁率の測定に用いた。
[透磁率の測定]
市販のインピーダンス/マテリアルアナライザを用いて、13.56MHzの周波数における透磁率を測定した。その結果、透磁率の実数部(μ’)は70、虚数部(μ”)は0.2であった。
[磁性体アンテナの評価]
周波数13.56MHzにおける磁性体アンテナのインダクタンス(L)及び抵抗(Rs)を、インピーダンスアナライザ(アジレントテクノロジー社、装置名:4294A)を用いて測定した。測定結果を表2の「無負荷コイル特性」の欄に示す。
磁性体アンテナのコイル導体と、IC(AMS社製、商品名:AS3922、RFフロントエンド)と、別のIC(AMS社製、商品名:AS3953、デジタル処理用)と、コンデンサとを接続して、共振周波数が13.56MHzに調整されたアンテナ装置を作製した。このアンテナ装置のインピーダンス特性を、上述のインピーダンスアナライザを用いて測定した。測定結果を表2の「整合後インピーダンス」の欄に示す。また、作製したアンテナ装置と、携帯端末(Google社製、商品名:Nexas−S Ver4.0.4)との交信距離を測定した。測定結果を表2に示す。
(実施例2)
第1コイル導体及び第2コイル導体の巻数、及び該巻数に応じて第1コイル導体及び第2コイル導体の線幅及び線間隔を、表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして磁性体アンテナを作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例3)
第1コイル導体及び第2コイル導体の巻回軸の軸方向と磁心の長手方向とが平行になるように、第1コイル導体及び第2コイル導体を形成したこと以外は、実施例1と同様にして磁性体アンテナを作製した。磁心のサイズ、第1コイル導体及び第2コイル導体の巻数、並びに隣接するコイル導体の線幅及び線間隔は、表1に示すとおりであった。そして、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例2のアンテナ装置における磁心のICを配置した面と、当該面と対向する面の全体を覆うように、磁心側から、絶縁層、及び金属導体層を積層して、インピーダンスを調整した。絶縁層としては、両面粘着テープ(テサテープ株式会社製、品番:8851、厚み:30μm)、金属導体層としては、銅箔(厚み:20μm)を用いた。第1コイル導体及び第2コイル導体は、磁心と一対の絶縁層の間に挟まれていた。金属導体層とアルミ板(縦×横×厚さ=5cm×5cm×1mm)が対向するようにして、アルミ板の上にアンテナ装置が配置された状態で評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例1)
第1コイル導体及び第2コイル導体の巻回軸が磁心の長手方向と平行になるようにしたこと、及び、図11に示すように、第1コイル導体14及び第2コイル導体15を、交互に配置せずに、磁心12の左側と右側とに分けて設けたこと以外は、実施例1と同様にして磁性体アンテナを作製した。この比較例1の磁性体アンテナは図11に示すような構造を有していた。比較例1の磁性体アンテナにおける第1コイル導体14の両端には端子14a,14bが、第2コイル導体15の両端には端子15a,15bがそれぞれ形成されている。磁心のサイズ、第1コイル導体及び第2コイル導体の巻数、並びに隣接するコイル導体の線幅及び線間隔は、表1に示すとおりであった。そして、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1の磁心に代えて、当該磁心と同等のサイズを有する紙を準備した。この紙に、銅線を巻回して、比較例2のアンテナとした。ただし、これらのループのサイズ及び形状は、実施例1と同一とした。すなわち、第1コイル導体及び第2コイル導体の巻数、並びに第1コイル導体及び第2コイル導体の線幅及び線間隔は、表1に示すとおりであった。なお、表1の磁心の欄には、紙のサイズを示した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
一つのコイル導体のみを形成したこと、及び、コイル導体の巻数を2としたこと以外は、実施例1と同様にして磁性体アンテナを作製した。磁心のサイズ、コイル導体の線幅及び線間隔は、表1に示すとおりであった。そして、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2017038885
Figure 2017038885
表2に示すとおり、実施例1〜4のアンテナ装置では、交信距離を十分に長くすることができた。いずれの実施例も、NFCフォーラムで規定されている通信距離の下限値(25mm)以上であった。これは、第1コイル導体及び第2コイル導体の断面積を大きくしたこと、並びに、第1コイル導体及び第2コイル導体の間における磁気相互誘導作用によって、インダクタンス低下が抑制されるとともに抵抗が半減したことによるものと推察される。
図12は、比較例1の磁性体アンテナにおけるコイル導体の回路図である。比較例1では、第1コイル導体14と第2コイル導体15との間の結合が小さいため、合成インダクタンスLが低く、交信距離が短かった。比較例2も、合成インダクタンスLが低く、交信距離が短かった。比較例3は、抵抗値Rsが高く、交信距離が短かった。
本開示によれば、小型化を可能にしつつ、交信距離を長くすることが可能な磁性体アンテナを提供することができる。また、小型化を可能にしつつ、交信距離を長くすることが可能なアンテナ装置を提供することができる。
10,11…磁性体アンテナ、12…磁心、13a,13b,13c…フェライト成形シート、13…積層体、14…第1コイル導体、15…第2コイル導体、16a,16b…端子、30…電子部品、40…プリント配線板、50…筐体、60,61…アンテナ装置、80…制御部、82…インターフェース部、84…記憶部、100…記憶モジュール、150…携帯端末、200…リーダライタ、210…アンテナ。

Claims (13)

  1. 直方体形状を有する磁心と、
    前記磁心に交互に並んで巻回されている第1コイル導体及び第2コイル導体と、を備え、
    前記第1コイル導体と前記第2コイル導体は並列に接続されている磁性体アンテナ。
  2. 前記第1コイル導体と前記第2コイル導体の巻回軸は前記磁心の長手方向に直交する、請求項1に記載の磁性体アンテナ。
  3. 前記第1コイル導体及び前記第2コイル導体のインダクタンスをL及びL
    前記第1コイル導体及び前記第2コイル導体の合成インダクタンスをL、並びに、
    前記第1コイル導体及び前記第2コイル導体の抵抗をRL1及びRL2
    前記第1コイル導体及び前記第2コイル導体の合成抵抗をR、としたときに、
    下記式(1)及び(2)を満たす、請求項1又は2に記載の磁性体アンテナ。
    Figure 2017038885
    Figure 2017038885
  4. 前記磁心の少なくとも一方面上に絶縁層を介して導体層を備えており、
    前記第1コイル導体及び前記第2コイル導体は、前記磁心と前記絶縁層との間に挟まれている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性体アンテナ。
  5. 直方体形状を有する磁心と、
    前記磁心に1巻ごとに並んで巻回されている複数のコイル導体と、を備え、
    前記複数のコイル導体は並列に接続されている磁性体アンテナ。
  6. 前記複数のコイル導体の巻回軸は前記磁心の長手方向に直交する、請求項5に記載の磁性体アンテナ。
  7. 前記複数のコイル導体はn個のコイル導体からなり、nは2以上の整数であり、
    前記複数のコイル導体のそれぞれのインダクタンスをL
    前記複数のコイル導体の合成インダクタンスをL、及び
    前記複数のコイル導体のそれぞれの抵抗をRLn
    前記複数のコイル導体の合成抵抗をR、としたときに
    下記式(3)及び(4)を満たす、請求項5又は6に記載の磁性体アンテナ。
    Figure 2017038885
    Figure 2017038885
  8. 前記磁心の少なくとも一方面上に絶縁層を介して導体層を備えており、
    前記複数のコイル導体は、前記磁心と前記絶縁層との間に挟まれている、請求項5〜7のいずれか一項に記載の磁性体アンテナ。
  9. 前記磁心は、13.56MHzにおける透磁率の実数部が20〜90、虚数部が0.1〜2であるNi−Zn−Cu系フェライト焼結体で構成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁性体アンテナ。
  10. 前記磁心は、構成元素としてCoを含有するフェライトで構成され、
    CoをCoOに換算して0.05〜1.0質量%含有するNi−Zn−Cu系フェライト焼結体で構成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁性体アンテナ。
  11. 前記Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体は、構成元素としてFe,Ni,Zn,Cu,Co及びOを含有するフェライトで構成され、
    Fe,Ni,Zn及びCuを、それぞれ、Fe,NiO,ZnO及びCuOに換算したときに、Fe,NiO,ZnO及びCuOの合計を基準として、
    Feを46〜50mol%、
    NiOを20〜27mol%、
    ZnOを15〜22mol%、及び
    CuOを9〜11mol%、含有する、請求項10に記載の磁性体アンテナ。
  12. 前記長手方向における前記磁心の長さLに対する、前記巻回軸の軸方向における前記磁心の長さLの比が0.2〜0.6である、請求項2又は6に記載の磁性体アンテナ。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の磁性体アンテナと、前記磁性体アンテナと電気的に接続されている電子部品と、を備える、アンテナ装置。
JP2017538079A 2015-09-02 2016-08-31 磁性体アンテナ及びアンテナ装置 Pending JPWO2017038885A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015173216 2015-09-02
JP2015173216 2015-09-02
PCT/JP2016/075537 WO2017038885A1 (ja) 2015-09-02 2016-08-31 磁性体アンテナ及びアンテナ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2017038885A1 true JPWO2017038885A1 (ja) 2018-06-14

Family

ID=58188950

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017538079A Pending JPWO2017038885A1 (ja) 2015-09-02 2016-08-31 磁性体アンテナ及びアンテナ装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2017038885A1 (ja)
TW (1) TW201711280A (ja)
WO (1) WO2017038885A1 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS475789Y1 (ja) * 1968-08-15 1972-02-29
JPH0964634A (ja) * 1995-08-22 1997-03-07 Mitsubishi Materials Corp トランスポンダ用アンテナ
JP2005340759A (ja) * 2004-04-27 2005-12-08 Sony Corp アンテナモジュール用磁芯部材、アンテナモジュールおよびこれを備えた携帯情報端末
JP4821965B2 (ja) * 2005-07-07 2011-11-24 戸田工業株式会社 磁性体アンテナ
JP5790702B2 (ja) * 2013-05-10 2015-10-07 Tdk株式会社 複合フェライト組成物および電子部品

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017038885A1 (ja) 2017-03-09
TW201711280A (zh) 2017-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4793584B2 (ja) 磁性体アンテナを実装した基板
JP5354188B2 (ja) 磁性体アンテナ、該磁性体アンテナを実装した基板及びrfタグ
JP4821965B2 (ja) 磁性体アンテナ
JP5403279B2 (ja) Rfタグの製造方法、磁性体アンテナの製造方法及び当該rfタグを実装した基板、通信システム
JP5634717B2 (ja) 磁性体アンテナ及びrfタグ並びに該rfタグを実装した基板
JP5239499B2 (ja) 複合磁性体アンテナ及びrfタグ、該複合磁性体アンテナ又はrfタグを設置した金属部品、金属工具
KR101282268B1 (ko) Nfc 소형화 안테나
CN110214396B (zh) 电子器件、天线和rf标签
JP6031970B2 (ja) アンテナコイル、部品内蔵基板および通信端末装置
WO2017038884A1 (ja) 磁性体アンテナ及びアンテナ装置
JP5975280B2 (ja) アンテナ装置
JP5924167B2 (ja) 積層チップ共振器及びこれを備えたアンテナ装置
WO2017038885A1 (ja) 磁性体アンテナ及びアンテナ装置
JP7109232B2 (ja) モジュール基板用アンテナ、及びそれを用いたモジュール基板
JP5884968B2 (ja) 積層チップ共振器
JP2022034910A (ja) 磁性体アンテナ、及びそれを実装した基板
JP2006041985A (ja) 磁性部材およびこれを用いたアンテナ装置
JP2014086945A (ja) アンテナ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171211